芳香族求核置換によるホスホン酸エステル、ホスホン酸およびスルホン酸のモノマー、オリゴマーおよびポリマーの製造方法
本発明は、フッ素化されてない、部分的にフッ素化された又は全フッ素化された(ペルフルオロ)スルホン酸の単量体、オリゴマー及び重合体を、ハロゲン化された、低-分子量、オリゴマー又は高分子のアレーンと、亜硫酸(水素)塩、亜ジチオン酸塩、硫化物又は他の還元性硫黄の塩と反応させることによって、できるだけイオウ酸化度+6未満で、適切な酸化剤を使って、対応するスルホン酸官能基(スルホン酸、スルホハロゲン化物、スルホンアミド及びスルホン酸エステルの基)の形成と共に形成されるイオウ-含有アレーン中間体を酸化することによって生産することに関する。本発明はまた、ハロゲン化されてない、部分的にハロゲン化された又は全ハロゲン化されたホスホン酸エステルそしてそれらの誘導体(例えば、遊離のホスホン酸又はホスホン酸塩)の単量体、オリゴマー及び重合体を、求核試薬の芳香族置換(ミカエリス-ベッカ-反応)、ハロゲン化物の官能基のリン酸塩官能基(ホスホン酸エステル、ホスホン酸アミド、ホスホン酸、ホスホン酸塩、ホスホン酸ハロゲン化物)による完全な又は部分的な置換によって生産する方法に関する。前記発明はまた、ハロゲン化されてない、部分的にハロゲン化された又は全ハロゲン化された重合体又は(ア)イオノマで、(CF2)xPO(OR)2-又は(CF2)xSO2Me-又は(CF2)xSO3Me-側鎖、(式中、x=1-20、R=任意の有機ラジカル、Me=任意の1価陽イオン)を含むものを生産するための方法に関する。前記機能化された(即ち、スルホン酸化された、スルホン酸化又はホスホン酸化された)単量体の求核試薬重縮合をオリゴマー又は重合体中で実行するための方法を開示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
スルホン化したポリ(アリル)エーテルを製造するために現在行われる方法は、以下の2個のグループに分けられる(非特許文献1):
i)既存のポリマーを後からスルホン化する:
文献に記載された方法では、芳香族求電子置換反応(SEAr)が常に用いられる。典型的なスルホン化試薬としては、この場合、濃硫酸、発煙硫酸、クロロスルホン酸、三酸化硫黄およびこれらの複合体化合物(例えば三酸化硫黄−ピリジン、三酸化硫黄−リン酸トリエチル複合体など)が挙げられる。代替のスルホン化経路としては、ポリスルホンを例として、Kerres et al.に記載される(非特許文献2,3,4)。これによれば、ポリマーを最初にリチウム化し、次の段階で二酸化硫黄求電子剤によって変換し、最後に、得られたスルフィン酸ポリマーを酸化する。リチウム化したポリマーをスルフリルクロライドSO2Cl2によってスルホクロライドのポリマーに変換でき、続いてスルホクロライド基を水性溶媒中でスルホン酸基に加水分解する(非特許文献5)。
ii)スルホン化したポリマーを直接重合する(統計的な共重合体):
共重合するために投入するモノマーは同様に上述の方法によってスルホン化し、特に濃硫酸または発煙硫酸をスルホン化試薬として投入する(非特許文献6,7)。
ここ数年、ポリアリルエーテルのホスホン化に対する関心は年々高まってきた。ホスホン酸をポリマー鎖に共有結合することはしかし、合成上難しく、今までに僅かなポリマーでのみ実現されている(非特許文献8)。いくつかの例を以下に記載する。ポリ(ホスファゼン)主鎖のホスホン化は、Allcock et.alがリチウム化およびそれに続くクロロホスホン酸エステルの変換によって成功させた(非特許文献9)。同様にAllcock et.alによって、亜リン酸ジメチルナトリウムおよび亜リン酸ジブチルナトリウムを含むポリ(ホスファゼン)における、求核置換(ミヒャエリス−ベッカー反応)によるベンジル側鎖のホスホン化が記載されている。ホスホン化したポリアリルエーテルを得る他の合成経路としてはパラジウム触媒によるホスホン化がある(非特許文献10、特許文献1)。低分子化合物の領域では、ミヒャエリス−ベッカー反応を芳香族(フッ素化)ホスホン酸エステルの製造にも用いる(非特許文献11)。この芳香族(フッ素化)ホスホン酸エステルは様々な低分子のフルオロ芳香族(ペンタフルオロベンゾニトリル、オクタフルオロトルエン、ヘキサフルオロベンゾール、ペンタフルオロベンゾール、ペンタフルオロニトロベンゾール、ペンタフルオロアニゾール)から出発し、収量は約10−65%である。部分フッ素化したポリマーに関してはこの反応は、我々の知る限り記載されたことがない。
芳香族系に(CF2)XPO(OR)2側鎖(x=1−20、R=任意の有機部分)を導入する他の方法は、医化学または薬化学においてすでに確立されており、ハロゲン芳香族(多くヨウ素芳香族または臭素芳香族)とX(CF2)XPO(OR)2(X=ハロゲン、多くの場合臭素またはヨウ素、R=任意の有機部分)との、Zn粉末およびCuBrの存在下における、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)中での反応による(非特許文献12,13)。部分および過フッ素化した、一般化学式R−CF2X(R=非、部分または過フッ素化した芳香族、X=Br,I)を有する低分子の芳香族を、非特許文献14および非特許文献15に記載の方法(スルフィナートのハロゲン化およびそれに続く酸化)によって化学式R−CF2SO2Y(Y=Cl,OH,OMe,Me=任意のカチオン)の化合物に転移できる。上述の反応は、これまで我々の知る限りではポリマーに関しては記載されていない。
【0002】
本発明の課題は、芳香族求核置換反応(SNAr)によってスルホン酸またはホスホン酸もしくは、スルホン酸またはホスホン酸誘導体のモノマー、オリゴマーおよびポリマーを得ることにある。スルホン酸またはホスホン酸のモノマーを製造するためには部分または過ハロゲン化した(特に部分または過フッ素化した)芳香族から出発し、一方でスルホン酸またはホスホン酸のオリゴマーおよびポリマーを製造するためには、例として部分または過ハロゲン化した(特に部分または過フッ素化した)ポリ(アリル)エーテルが記載されている。この方法は、驚くべきことに他の適した部分および過ハロゲン化した(特に部分または過フッ素化した)ポリマーにも用いることができる。上述のスルホン酸の製造のための求核試薬としては、亜硫酸金属、亜硫酸水素金属、亜ジチオン酸金属または硫化金属を使用する。亜ジチオン酸金属もしくは亜ジチオン酸水素金属または亜硫酸金属、もしくは亜硫酸水素による、ハロゲン化アレーンのハロゲン配位における芳香族求核置換反応では、硫黄の酸化数が+6以下である硫黄性の官能基が生ずるため、本発明によれば、これらの官能基をハロゲン分子(臭素、ヨウ素、塩素)、次亜塩素酸金属、過マンガン酸カリウム、過酸化水素または他の適した酸化剤を用いることにより、酸化数を上げて適切な必要とするスルホン酸官能基とする。
【0003】
類似のホスホン酸を製造する際は、ミヒャエリス−ベッカー試薬(例えば亜リン酸ジエチルナトリウム、亜リン酸フェニルナトリウム、亜リン酸ジブチルナトリウム)を、−93℃〜+200℃の反応温度において求核試薬として用いる。両方の場合において、離核性の基はCSP2結合したハロゲン(特にフッ素)とする。さらに、官能基性の非、部分、または過フッ素化した共重合体(代替の、統計に基づくブロックおよびグラフト共重合体)を、上述の方法によって部分または過フッ素化した、適するジフェノール、ジチオフェノールまたはその他の適切なモノマー(例えばシリルエーテルまたはカルバモイル保護基などのジフェノールの誘導体も(非特許文献16,17)を含む低分子のスルホン酸および/またはホスホン酸(もしくは、これらの誘導体)を投入して求核性の重縮合によって製造することは、本発明の構成要素である。この重縮合には、最も多く用いられる方法(塩基として炭酸カリウム、非プロトン性非プロトン性極性の溶媒、比較的高い温度:80−200℃、場合によっては水の投入下において引張するベンゾール、トルエンまたはキシロールなどの有機溶媒)の他にも、利点(ポリマーの樹状分岐および架橋結合を回避する)を有するように修正した、温和な条件下で実行できる方法も適用できる。ここでは特に、Robertson.et.alが記載した、比較的温和な温度において分子ふるいを投入することで生じた反応水を吸収する方法(非特許文献18)および上述した、塩基として水素化カルシウムと、触媒としてフッ化セシウムを用いてDMAc/ベンゾールまたはプロピレンカーボネート中での方法(非特許文献19、特許文献2)が挙げられる。
【特許文献1】独国特許出願公開第10148131号明細書
【特許文献2】米国特許出願第60/433574号明細書(2003年出願)
【非特許文献1】M.A.ヒックネル、W.クイ、H.ガッセミ、Y.S.キム、B.R.アインスラ、J.E.マックグラス氏らによるケミカルレビュー(Chem.Rev.)、2004年第104号、第4587〜4612頁の論文
【非特許文献2】J.ケレス、W.クイ、S.リチエ氏らによる、「J.Polym. Sci., Part A:Polym. Chem」1996年第34巻第2421頁の論文
【非特許文献3】J.ケレス、W.ツァンW.クイ氏らによる、「J.Polym. Sci., Part A:Polym. Chem」1996年第36巻第1441頁の論文
【非特許文献4】J.ケレス、W.クイ、M.ユンギンガー氏らによる、「J.Membr. Sci., Part A:Polym. Chem」1996年第36巻第1441頁の論文
【非特許文献5】J.ケレス、A.Jファン・ツァイル氏らによる、「J.Appl. Polym. Sci., Part A:Polym. Chem」1999年第74巻第428〜438頁の論文
【非特許文献6】F.ワング、M.ヒックネル、Y.S.キム、T.A.ザヴォツィンスキー、J.E.マックグラス氏らによる、「J.Membr. Sci., Part A:Polym. Chem」2002年第197巻第231頁の論文
【非特許文献7】F.ワング、M.ヒックネル、Q.ジュ・W.ハリソン、Jマッカム、T.A.ザヴォツィンスキー、J.E.マックグラス氏らによる、「Macromol. Symp.」2001年第175巻第387頁の論文
【非特許文献8】A.グリュッセン、D.ストルテン氏らによる、「Membranen fur Polymerelektorolyt-Brennstoffzellen, Chemie Ingenieur Technik」2003年75巻(11号)第1591〜1597頁の論文
【非特許文献9】H.R.オールコック、M.A.ホフマン、C.M.アンブラー、R.V.モーフォード氏らによる、「Macromolecules」2002年35巻第3484頁の論文
【非特許文献10】K.ミヤタケ、A.S.ハイ氏らによる、「Journal of Polymer Science: Part A: Polymer Chemistry」2001年39巻第3770〜3779頁の論文
【非特許文献11】L.N.マルコフシー、G.G.フリン、Y.G.シェルモロビッチ、G.G.ヤコブソン氏らによる、「Bulletin of the Academy of Science of the USSR/Division of Chemical Science」1981年第30巻(第4号)第646〜648頁の論文
【非特許文献12】T.ヨコマツ、H.アベ、T.ヤマギシ、K.スエムネ、S.シブヤ氏らによる、「J. Org. Chem.」1999年第64巻第8413〜8418頁の論文
【非特許文献13】G.Sコッケリル、H.J.イースターフィールド、J.M.パーシー、S.ピンタット氏らによる、「J. Chem. Soc., Perkin. Trans. 1」2000年第2591〜2599頁の論文
【非特許文献14】J.T.ルイ、H.J.リュ・シン氏らによる、「Chem. Lett.」2000年第11巻第3号第189〜190頁の論文
【非特許文献15】G.K.スルヤ・プラカッシュ、J.ヒュー、J.サイモン、D.R.ベレウ、G.A.オラー氏らによる、「J. Fluorine Chem.」2004年第125巻第595〜601頁の論文
【非特許文献16】A.ティーガー、C.ヴォーゲル、D.レーマン、W.レンク、K.シュレンシュテット、J.マイヤー‐ハアック氏らによる、「Macromol. Symp.」2004年第210巻第175〜184頁の論文
【非特許文献17】L.ワン、Y.Z.メン、S.J.ワング、X.Y.シャン、L.リー、A.S.ハイ氏らによる、「Macromolecules」2004年第37巻第3151〜3158頁の論文
【非特許文献18】F.リュー、J.ディン、M.リー、M.デイ、G.ロバートソン、M.ツォウ氏らによる、「Macromol. Rapid Commun.」2002年第23巻第844〜848頁の論文
【非特許文献19】Y.クイ、J.ディン、M.デイ、J.ジャン、C.L.カレンダー氏らによる、「Chem. Mater.」2005年第17巻第676〜682頁の論文
【非特許文献20】英国ロンドンのテムズ・ポリテクニックにおける化学科の教授A.N.セルギス氏による「Reactions of sulphone-stabilised carbanions with fluorinated aromatic compounds」1990年12月発表の論文
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
驚くべきことに、図1に示す部分および過ハロゲン化した(特に部分および過フッ素化した)芳香族を、亜硫酸または亜硫酸水素、もしくは、例えば亜ジチオン酸塩/亜ジチオン酸水素または硫化物/硫化水素など他の硫酸塩により芳香族求核置換によって反応でき、その際に、場合によっては酸化段階の後で適したスルホン酸またはその塩を生ずることが発見された。
【0005】
図2に示す、部分および過ハロゲン化した(特に部分および過フッ素化した)アリル主鎖ポリマーを、亜硫酸金属または亜硫酸水素ナトリウムを芳香族求核置換のために反応させることができ、その際スルホン酸のポリマーまたはその塩を生ずることがさらに発見された。
【0006】
亜リン酸金属を含む部分および過ハロゲン化した芳香族化合物のモノマーをホスホン酸塩(図3)(ミヒャエリス−ベッカー反応によって生ずるホスホン酸エステルを、HBrまたは他の適する加水分解試薬で加水分解することにより遊離ホスホン酸を得られる)に変換できることは、上述したとおり(非特許文献11)いくつかの低分子芳香族において既知である。驚くべきことに、亜リン酸金属を含む部分および過ハロゲン化したオリゴまたはポリアリル(ポリアリルエーテル、ポリアリルチオエーテル、ポリアリルスルホキシド、ポリアリルスルホンおよびこれらの共重合体)(図4参照)をミヒャエリス−ベッカー反応によって−93℃〜+200℃の反応温度において変換できることが分かった。
【0007】
以下の低分子のハロゲン化芳香族のために記載した反応を、ポリマーによっても行えることが驚くべきことに分かった(図5)。
【0008】
以下の図(図6、図7、図8、図9、図10、図11、図12、図13、図14、図15、図16、図17、図18、図19、図20、図21、図22、図23、図24、図25)には、亜リン酸金属、亜硫酸金属または、例えば亜ジチオン酸ナトリウムなど他の金属硫黄化合物による求核置換反応に適した、本発明の部分ハロゲン化した、特に部分フッ素化したアリルポリマーを示す。
図6、図7、図8、図9、図10、図11、図12、図13、図14、図15、図16、図17、図18、図19、図20、図21、図22、図23、図24、図25の図に示した繰り返しユニットを含む統計的な共重合体およびブロック共重合体は、本発明の亜リン酸金属、亜硫酸金属または、例えば亜ジチオン酸ナトリウムなど他の金属硫黄化合物による求核置換反応に適することが驚くべきことに示された。
さらに驚くべきことに、非塩状の亜リン酸化合物もまた芳香族求核置換反応に適している。これにより、亜リン酸トリス(トリメチルシリル)および他の任意のシリル亜リン酸により芳香族に結合したハロゲン原子を、ホスホン酸配位によって求核置換できる(図26)。
さらに、過フッ素化した側鎖によって修飾したポリマー、特にアリル主鎖ポリマーが亜リン酸、亜硫酸金属または、例えば亜ジチオン酸ナトリウムなど他の金属硫黄化合物による求核置換反応に適することが驚くべきことに示された。この際、これらの過フッ素化芳香族を側鎖として有するポリマーを、驚くべきことに、例えば適する過フッ素化芳香族(図式は図27参照)を有するリチウム化ポリマーによって製造できる。これまで文献には、低分子の、スルホンによって安定化したカルバニオンの反応と、部分または過フッ素化した芳香族との反応のみが記載されている(特許文献22)。このポリマーをリチウム化ポリマーから製造するには、例えば臭化したPPSU Radel Rと過フッ素化した芳香族ベンゾールを図27に示す。リチウム化ポリマーとの反応に適切な部分または過フッ素化した芳香族を図28に示す。
【0009】
次に、図面につき本発明の好適な実施例を説明する。
【実施例1】
【0010】
1. スルフィン化したポリスルホン、デカフルオロビフェニルおよび亜硫酸ナトリウムから得られたスルホン酸化ポリスルホン
ポリスルホンを背景技術に従って硬化し、二酸化硫黄によってスルフィン酸のポリマーに変換する。スルフィン酸基はポリスルホンのスルホン酸基に対してオルト位置にある。スルフィン酸リチウム塩ポリマーを濾過し、低温において真空乾燥する。次の反応のために、ポリマーの反復単位当たり1.5スルフィン酸リチウム基を有するポリスルホンを使用する。10グラムのデカフルオロビフェニルを50グラムのNMPと室温で混合する。10グラムの、反復単位当たり1.5スルフィン酸基を有するスルフィン酸ポリマーを90グラムのNMPに溶解する。デカフルオロビフェニルとNMPの混合物をしっかりと攪拌し(攪拌速度は300回転/分)、スルフィン酸ポリマーをゆっくりと(1ml/分)滴下漏斗によって添加する。混合物をさらに攪拌した後、ゆっくりと(加熱率は1℃/分)120℃まで加熱する。120℃の温度を10時間保つ。その後、10℃まで冷却し、混合物に500mlの十分に冷却した(T=10℃において)水和亜硫酸ナトリウム溶液を加える。その後、逆流下において110℃まで加熱し、10時間この温度を維持する。冷却後、生成物を回転蒸発器によって真空蒸発させる。得られた生成物を1lの水と混合し、透析ホースに入れて透析し、脱塩水とする(高分子のための透析膜の除去サイズを3000ダルトンとする)。これにより、小さな分子をスルホン化した(スルホン酸塩が得られる)ポリマーから分離できる。透析ホースの残留物を蒸発させた後に、スルホン化したポリマーをナトリウム塩形態で得られる。
【実施例2】
【0011】
2. 部分フッ化したアリル主鎖ポリマーと亜リン酸ナトリウムとのミヒャエリス−ベッカー反応(XFS001Aの合成)
【0012】
【表1】
PFS001Bに基づいて2eq NaPO(OMe)2
【0013】
この反応の反応式を図29に示す。0.519g(21.63mmol)の水素化ナトリウムを40mlの無水THFに溶解した溶液に、0℃において保護ガス下で21.3807g(21.63mmol)の亜リン酸ジメチルを(40mlの無水THFに)ゆっくりと滴下する。水素の発生が終了すると、反応溶液を室温まで温め、6.8180g(10.815mmol)の、無水THF80mlに溶解したPFS001Bを(約20分間)滴下して加える(THFに溶解したPFS001B:黄色がかっている;亜リン酸ジメチルナトリウムの滴下の際に反応溶液はピンク色/オレンジ色となる)。反応混合物を一晩中RTによって攪拌し、さらに3時間、65℃まで加熱する(この後で、溶液は黄色を呈し、均一に分散した固体−フッ化ナトリウム?−が出現し、これは濾過できなかった)。次に、溶液を回転蒸発器において濃縮する。残余物を約300mlの塩化メチレンによって吸収することを試みる(水で洗い流し、生じたNAFを除去するために)。しかし、黄色がかった(塩状ではない)残余物が残る。沈殿物を濾過分離し、約200mlの水に懸濁し透析する(XFS001A,CH2Cl2不溶性の留分XFS001A−UF)。CH2Cl2濾液を新たに濃縮し、残余物を同様に200mlの水に再懸濁し、透析する(XFS001A,CH2Cl2不溶性の留分=XFS001A−LF)。
【0014】
特性解析:
A.元素分析(XFS001A−UF):
実験式:C31H20O8F12P2(2ホスホン酸基、M=810.14gmol−1)
実験式:C29H14O5F13P(1ホスホン酸基、M=720.37gmol−1)
【0015】
【表2】
【0016】
B.元素分析(XFS001A−LF):
実験式:C31H20O8F12P2(2ホスホン酸基)
実験式:C29H14O5F13P(1ホスホン酸基、M=689.40gmol−1)
【0017】
【表3】
【実施例3】
【0018】
3.部分フッ化したアリル主鎖ポリマーと亜リン酸ナトリウムとのミヒャエリス−ベッカー反応(XFS001Dの合成)
【0019】
【表4】
括弧内の記述:理論値;その上の記述:実験値
註:使用したTHF(フィッシャー)は、計測したNaHにさらにTHFを加えると多かれ少なかれはっきりと水素合成が起こったことから、高いH2O濃度を有すると考えられる。このため、ポリマーPFS001Dの量を実際に計測した量とは見込まない(実際に4倍の過剰量の原因がNaPO(OEt)2であることを確実にするため)。
PFS001Dに基づいて4eq NaPO(OMt)2
【0020】
この反応の反応式を図30に示す。1.155g(48.15mmol)の水素化ナトリウムを80mlの無水THFに溶解し、0℃で保護ガス下において6.6489g(48.15mmol)の亜リン酸ジメチルを(80mlの無水THFに)ゆっくりと滴下する。水素の発生が終了すると、反応溶液を室温まで温め、6.8180g(10.815mmol)の、無水THF80mlに溶解したPFS001Dを(約20分間)滴下して加える(THFに溶解したPFS001D:黄色がかっている;亜リン酸ジメチルナトリウムの滴下の際には反応溶液はピンク色/オレンジ色となる)。反応混合物を72時間RTによって攪拌し、さらに6時間、65℃まで加熱する。次に、溶液を回転蒸発器によって濃縮する。残余物を約300mlの水によって吸収し、透析する。溶媒を蒸発させた後、ポリマーを60℃で真空乾燥庫において乾燥する(一晩中)。
特性解析(XFS001D):
A.元素分析
実験式:C31H18O5F13P(RU当り1PO(OEt)2基、M=748.42gmol−1)
実験式:C35H28O8F12P2(RU当り2PO(OEt)2基、M=866.52gmol−1)
実験式:C39H38O11F11P3(RU当り3PO(OEt)2基、M=984.62gmol−1)
実験式:C43H48O14F10P4(RU当り4PO(OEt)2基、M=1102.71gmol−1)
【0021】
【表5】
【0022】
B.1H−NMR
図31参照
比較スペクトルPFS001D 図32参照
【化1】
溶媒: CDCl3
基準: TMS
δ[ppm](200.13MHz): 7.06(d,J=8.51Hz,1H,3H,6H8H,4H)
7.42(d,J=8.72Hz,2H,4H,5H7H,4H)
C.13C−NMR 図33参照。
D.19F−NMR 図34参照。
19F−NMR比較スペクトルPFS001D 図35参照。
【0023】
F.IR−スペクトル
遊離物PFS001のFTIR−スペクトルを図36に示す。
図37には反応産物XFS001Dおよび加水分解した生成物(遊離ホスホン酸基)XFX01D−HのIR−スペクトルを示す。
図38には、比較のためにPFS001,XFS001DおよびXFS001D−H(遊離ホスホン酸基)のIR−スペクトルを示す。
2983−2912cm−1のバンド(赤いカーブはXFS001D−H)はホスホン酸基のO−H伸縮振動の可能性がある。1394cm−1において同様に新たに生じたピークは、確実に分類することができない。文献 (Hesse,Meier,Zeeh) によれば、ホスホン酸のP=O−伸縮振動は1240−1180cm−1に位置する。エステル形態(緑色のカーブ)においてもこのような振動は見られるはずである(置換パターンが異なるためおそらく少しずれている、ただしピークは比較的大きくずれていなければならない)。
【0024】
XFS001D(XFS001D−H)の加水分解:
3.50gのXFS001Dを80mlの48%臭化水素酸に懸濁し、16時間100℃まで加熱する。反応溶液を約800mlの水で希釈し、沈殿物を濾過する。水に再懸濁した沈殿物を5日間透析する。次に、ポリマーを80℃において循環空気乾燥庫で乾燥する(ホスホン酸の濃縮を回避するため乾燥温度<110℃とする)。
収量(透析後):
2.507g
【0025】
XFS001D−Hの特性解析:
A.元素分析
実験式:C27H10O5F13P(RU当り1PO(OH)2基、M=692.32gmol−1)
実験式:C27H12O8F12P2(RU当り2PO(OH)2基、M=754.31gmol−1)
【0026】
【表6】
B.IEC値の計測
【0027】
【表7】
[1]ポリマーは計測の際、上方で浮遊した(置換は完了?)
【実施例4】
【0028】
4.オクタフルオロトルエンとリチウム化したPSU(AK−51)との反応
材料:
22.1g PSU Udel P 1800(0.05mol)乾燥
800ml 無水THF
10ml n−BuLi 10N(0.1mol)
28.4ml=47.2gオクタフルオロトルエン(0.2mol,MW=236g/mol)
【0029】
実行:
保護ガス下においてTHFを反応容器に満たす。その後、反応容器にアルゴンで攪拌および強く洗浄しながら乾燥させたポリマーを入れる。ポリマーが溶解すると、強いアルゴン風下において−50℃まで冷却する(可能な限り)。次に、反応混合物がもはや無水であることを示す薄い黄色/オレンジ色を呈するまで、ポリマー溶液を注意深く2.5Nのn−BuLiによって滴定する。10分以内に10Nのn−BuLiを添加する。最低でも2時間攪拌する。反応混合物の色がどのように変化するか待つ。色が変化しない場合は、一晩−30℃まで温める。反応混合物が無色になるまで、最高で一晩中−30℃で攪拌する。
【0030】
溶液が無色にならない場合、翌朝温度を最高で−10℃まで上げる(溶液は高粘度のままである)。20mlのメタノールを反応混合物が無色にするまで添加する。その後、室温まで温める。
【0031】
ポリマーを2lのメタノールに投入し、濾過してメタノールで洗浄する。
投入したポリマーを新たに濾過し、乾燥させて800mlのMeOH中で攪拌する。その後、新たに濾過し、再び400mlのMeOHに浮遊させて攪拌および濾過し、50℃で真空乾燥する。乾燥させたポリマーをNMPに溶解することを試みる(溶解する場合、膜形成特性を確定できる)。変更したPSUの置換温度を1H/13C−NMRおよび元素分析(C,H,S)によって決定する。
収量:35.4g(理論上の収量43.73gの81%〜〜)
元素分析
2基として算定
C41H20F14O4S
874.64
874.085876
C 56.30% H2.30% F30.41% O7.32% S3.67%
【0032】
【表8】
フッ素含有量に関して、1.25基/F.E.が結合した!
【0033】
反応生成物AK51の1H−NMRスペクトルは図39を参照されたい。反応生成物AK51の13C−NMRスペクトルを図40に示す。反応生成物AK51の19F−NMRスペクトルを図41に示す。
【実施例5】
【0034】
5.ヘキサフルオロベンゾールとリチウム化したPSU A1179との反応
材料:
11.05g PSU Udel P 1800(0.025mol)乾燥させた
800ml無水THF
5ml n−BuLi 10N(0.05mol)
11.54mol=18.6gヘキサフルオロベンゾール(0.1mol,MW=186.056g/mol)
【0035】
実行:
保護ガス下においてTHFを反応容器に満たす。その後、反応容器にアルゴンで攪拌および強く洗浄しながら乾燥させたポリマーを入れる。ポリマーが溶解すると、強いアルゴン風下において−50℃まで冷却する(可能な限り)。次に、反応混合物がもはや無水であることを示す薄い黄色/オレンジ色染色が出現するまでポリマー溶液を注意深く2.5N n−BuLiによって滴定する。10分以内に10N n−BuLiを添加する。最低でも2時間攪拌する。その後、ヘキサフルオロベンゾールを添加する。反応混合物の色がどのように変化するか待つ。色が変化しない場合は、一晩中−30℃まで温める(19F−NMR A 1179aの受容:CHCl3に不溶、DMSOに僅かに溶性)。反応混合物が無色になるまで、最高で一晩中−30℃において攪拌する。
【0036】
溶液が無色にならない場合、温度を翌朝最高で−10℃まで上げる(19F−NMR A 1179bの受容:CHCl3に不溶、DMSOに中程度溶性)。20mlのメタノールを反応混合物が無色になるまで添加する。その後、室温まで温める。
【0037】
ポリマーを2lのメタノールに投入して濾過し、0.5リットルのMeOHで抽出してメタノールによってフリット上で濾過および後洗浄する。
【0038】
投入したポリマーを50℃で真空乾燥する。乾燥させたポリマーからをNMPに溶解することを試みる。変更したPSUの置換温度は1H/13C/19F−NMRおよび元素分析(C,H,S,F)によって決定する。
ポリマーはNMP中では溶けにくく、完全に溶解するには12時間要する!!!
収量:16.8g(理論上の収量19.37gの86.7%)
元素分析 1179a(−30℃)
2基として算定する
C39H20F10O4S
774.62
774.092263
C 60.47% H2.60% F24.53% O8.26% S4.14%
【0039】
【表9】
【0040】
元素分析 1179b(−10℃)
2基として算定する
C39H20F10O4S
774.62
774.092263
C 60.47% H2.60% F24.53% O8.26% S4.14%
【0041】
【表10】
フッ素含有量に関して、1.59基/F.E.が結合した!
【0042】
溶媒DMSO中の反応生成物A1179の19F−NMRスペクトルを図42に示す。ヘキサフルオロベンゾールとリチウム化したPSUとの反応が弱まったことがはっきりと分かる。おおよその積分比が2:2:1(2オルト−F:2メタ−F:1パラ−F)である3個のピークが見られる。図43には溶媒CDCl3中の反応生成物A1179の19F−NMRスペクトルを示す。反応生成物がCDCl3に非常に溶けにくいことが分かる。
【実施例6】
【0043】
6. A1179(PSU/ヘキサフルオロベンゾール/n−BuLi)とジエチル亜リン酸ナトリウム(A1184)との反応
材料:
5g 1.59基を有するA1179(M=774.62g/mol,6.45mmol)、100mlのTHFに溶解/懸濁した
1.78g ジエチル亜リン酸(M=138.10g/mol,12.9mmol)、20mlのTHFに溶解した。
Sdp=2mmHgにおいて50−51℃、密度:1.072g/cm3、屈折指数:1.407
0.31g 水素化ナトリウム(M=24.0g/mol,12.9mmol)、20mlのTHFに溶解した。
反応式:図44参照
実行:
保護ガス下において0℃で、1.78g(12.9mmol)の、無水THF20mlに溶解したジエチル亜リン酸を250mlの三つ口フラスコに入れる。この三つ口フラスコには0.31g(12.9mmol)の、THF20mlに溶解したNaHを入れてある。水素が発生しなくなると(約30分)溶液をRTにおいて温め、20分間、THL100mlに溶解した化合物1を滴下漏斗によって滴定する。混合物を6時間、65℃において攪拌し、次に反応溶液を20mlのMeOhによって加水分解して回転蒸発器においてTHFを除去してdestによってとる。水を加え(懸濁)48時間透析する(水の交換3回)。大きな磁器製容器に入れて水をオーブンで80℃において蒸発させ、次に真空オーブンで80℃においてさらに後乾燥させる。
生成物からは以下の分析が得られる:1H−,19F−,13C−NMR、元素分析(C,H,F,P)
収量:4.5g〜6.52g(理論上の収量の69.1%)
1H,13C,19F,31P−NMR:DMSO中でA1184Dは中程度に溶解する
CDCl3中でA1184Cは溶解しにくい
【0044】
図45にはCDCl3中の反応産物A1184の19F−NMRスペクトルを示す。反応産物がCDCl3に溶解しにくいため、シグナルは非常に弱い。図46にはDMSO中の反応産物A1184の19F−NMRスペクトルを示す。DMSO中の反応産物A1179の19F−NMRスペクトル(図43)と比較すると、1個のシグナルが消えたことが分かり、これは、パラ−Fのジエチル亜リン酸ナトリウムとの反応が弱まったこと(置換したこと)および、これにより必要とする置換反応が起こったことを示す。図47にはDMSO中の反応産物A1184の1H−NMRスペクトルを示し、図48にはCDCl3中の反応産物A1184の1H−NMRスペクトルを示す。図49にはDMSO中の反応産物A1184の13C−NMRスペクトルを示し、図50にはDMSO中の反応産物A1184の13C−NMRスペクトルを示す。図51ではホスホン酸塩Pと隣接したFとの結合がはっきりと見られる。
【0045】
元素分析:
1基として算定する
C37H31F4O7PS
726.67
726.146426
C 61.16% H4.30% F10.46% O15.41% P4.26% S4.41%
【0046】
【表11】
リンによれば、0.93基/FE
【0047】
2基として算定する
C47H40F8O10P2S
1010.82
1010.168972
C 55.85% H3.99% F15.04% O15.83% P6.13% S3.17%
【0048】
【表12】
リンによれば、1.28基/FE
【実施例7】
【0049】
7.デカフルオロビフェニルとリチウム化したPSU A1180との反応
材料:
5.53g PSU UdelP1800(0.0125mol)乾燥させた
800ml 無水THF
2.5ml n−BuLi10N(0.025mol)
16.7g デカフルオロビフェニル(0.1mol,MW=334.11g/mol)
反応式:図52参照
実行:
保護ガス下においてTHFを反応容器に満たす。その後、反応容器にアルゴンで攪拌および強く洗浄しながら、乾燥させたポリマーを入れる。ポリマーが溶解すると、強いアルゴン風下において−60℃まで冷却する。次に、反応混合物がもはや無水であることを示す薄い黄色/オレンジ色染色が出現するまで、ポリマー溶液を注意深く2.5N n−BuLiによって滴定する。10分以内に10N n−BuLiを添加する。最低でも2時間攪拌する。その後、デカフルオロビフェニルを添加すると(THF100mlに溶解してある、滴下漏斗によって添加)、色はすぐに黒に変化する。−55℃において15時間反応させた後は色が明るい灰色に変化/明色化し、反応は中断して加水分解が起こる。ここで20mlのMeOHを反応混合物が無色になるまで添加する。その後、室温まで温める。
【0050】
ポリマーを2lのMeOHに添加した後、回転によりメタノールを除去し、水に吸収させて混合物を透析する。その後、水を50℃において蒸発させ、ポリマーを50℃で真空乾燥する。乾燥したポリマーをNMPに溶解することを試みる。変更したPSUの置換温度は1H/13C/19F−NMRおよび元素分析(C,H,S,F)によって決定する。
【0051】
収量:8.8g(理論上の収量13.86gの63.5%に相当する)
溶解性: アセトニトリルに不溶
CHCl3に難溶 A1180(NMR)
CH2Cl2中でゲル化
D2Oに不溶
アセトンに不溶
DMSOに中程度可溶 A1180D(NMR)
【0052】
元素分析
2基として算定する
C51H20F20O4S
1108.74
1108.076296
C 55.25% H1.82% F34.27% O5.77% S2.89%
【0053】
【表13】
フッ素含有量に関して、1.24基/F.E.が結合した!
【0054】
図53にはCDCl3中の反応生成物A1180の1H−NMRスペクトルを示し、図54にはDMSO中の反応生成物A1180の1H−NMRスペクトルを示す。図55にはCDCl3中の反応生成物A1180の13C−NMRスペクトルを示し、図56にはCDCl3中の反応生成物A1180の19F−NMRスペクトルを示し、図57にはDMSO中の反応生成物A1180の19F−NMRスペクトルを示す。
【実施例8】
【0055】
8.ペンタフルオロピリジンとリチウム化したPSU A1181との反応
材料:
5.53g 乾燥させたPSU Udel P1800(0.0125mol)
800ml 無水THF
2.5ml n−BuLi 10N(0.025mol)
8.45g=5.3ml ペンタフルオロピリジン(0.05mol,MW=169.05g/mol)
反応式:図58参照
実行:
保護ガス下でTHFを反応容器に満たす。次に、反応容器にアルゴンで攪拌および強く洗浄しながら、乾燥させたポリマーを入れる。ポリマーが溶解したら、強いアルゴン風下において−60℃まで冷却する。次に、反応混合物がもはや無水であることを示す薄い黄色/オレンジ色が出現するまで、ポリマー溶液を注意深く2.5N n−BuLiによって滴定する。10分以内に10N n−BuLiを添加する。2時間攪拌する。その後、ペンタフルオロピリジンを滴下漏斗によって滴下する(THF100mlに溶解させて)。反応混合物の色がどのように変化するか観察する(反応時間:4時間、温度:−60℃)。色が変化しない場合は、96時間以上−55℃において反応させる。色は暗赤色/暗橙色から明るい橙色に変化する。
【0056】
2lのMeOHを反応混合物が無色になるまで添加する。次に、室温まで温める。
ポリマーを2lのMeOHに投入し、濾過し、0.5lのMeOHで抽出してメタノールによってフリット上で濾過および後洗浄する。
投入したポリマーを60℃で真空乾燥する。乾燥したポリマーをNMPに溶解することを試みる。変更したPSUの置換温度は1H/13C/19F−NMRおよび元素分析(C,H,S,F)によって決定する。
【0057】
収量:9.1g(理論上の収量13.86gに相当する)
溶解性: アセトニトリルに不溶
CHCl3に難溶
CH2Cl2中でゲル化
D2Oに不溶
アセトンに不溶
DMSOに中程度可溶
1H,13C−NMR: DMSO中のA1181D
CDCl3中のA1181C
【0058】
図59にはCDCl3中の反応産物A1181の1H−NMRスペクトルを示し、図60にはCDCl3中の反応産物A1181の13C−NMRスペクトルを示す。図61にはCDCl3中の反応産物A1181の19F−NMRスペクトルを示し、図62にはDMSO中の反応産物A1181の19F−NMRスペクトルを示す。
【0059】
元素分析
2基として算定する
C37H20F10N2O4S
778.62
778.098411
C 57.08% H2.59% F24.40% N3.60% O8.22% S4.12%
【0060】
【表14】
フッ素含有量によれば、1.59基/F.E.が結合した
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】亜硫酸または亜硫酸水素と、部分または過ハロゲン化し任意に置換したハロゲン芳香族(特にフッ素芳香族)とのSNAr反応である。
【図2】亜硫酸または亜硫酸水素と、部分または過ハロゲン化したポリアリルエーテルとのSNAr反応である。
【図3】亜リン酸金属と部分または過ハロゲン化した芳香族とのSNAr反応(ミヒャエリス−ベッカー反応)である。
【図4】亜リン酸金属と部分または過ハロゲン化したオリゴまたはポリアリルエーテルとのSNAr反応(ミヒャエリス−ベッカー反応)である。
【図5】ハロゲン化したアリルポリマーとX(CF2)XPO(OR)2(X=ハロゲン、多くの場合臭素またはヨウ素、R=任意の有機部分)との、Zn粉末およびCuBrの存在下における、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)中での反応である。
【図6】デカフルオロビフェニルをモノマーから製造したポリマーとして使用した、亜リン酸金属、亜硫酸または他の適するリンまたは硫黄化合物との、本発明の継続反応である。
【図7】デカフルオロベンゾフェノンをモノマーから製造したポリマーとして使用した、亜リン酸金属、亜硫酸または他の適するリンまたは硫黄化合物との、本発明の継続反応である。
【図8】デカフルオロジフェニルスルホンをモノマーから製造したポリマーとして使用した、亜リン酸金属、亜硫酸または他の適するリンまたは硫黄化合物との、本発明の継続反応である。
【図9】デカフルオロジフェニルスルフィドをモノマーから製造したポリマーとして使用した、亜リン酸金属、亜硫酸または他の適するリンまたは硫黄化合物との、本発明の継続反応である。
【図10】ヘキサフルオロベンゾールをモノマーから製造したポリマーとして使用した、亜リン酸金属、亜硫酸または他の適するリンまたは硫黄化合物との、本発明の継続反応である。
【図11】オクタフルオロトルエンをモノマーから製造したポリマーとして使用した、亜リン酸金属、亜硫酸または他の適するリンまたは硫黄化合物との、本発明の継続反応である。
【図12】ペンタフルオロベンゾールスルホン酸をモノマーから製造したポリマーとして使用した、亜リン酸金属、亜硫酸または他の適するリンまたは硫黄化合物との、本発明の継続反応である。
【図13】ヘプタフルオロベンジルスルホン酸をモノマーから製造したポリマーとして使用した、亜リン酸金属、亜硫酸または他の適するリンまたは硫黄化合物との、本発明の継続反応である。
【図14】4−トリフルオロメチルフェニルホスホン酸をモノマーから製造したポリマーとして使用した、亜リン酸金属、亜硫酸または他の適するリンまたは硫黄化合物との、本発明の継続反応である。
【図15】過フッ素化ベンジルヨウ化物を製造した部分フッ素化したポリマーを、スルフィン酸ハロゲン化−酸化による継続反応および/または、亜リン酸金属、亜硫酸または他の適するリンまたは硫黄化合物との、本発明の継続反応である。
【図16】ペンタフルオロベンゾニトリルをモノマーから製造したポリマーとして使用した、亜リン酸金属、亜硫酸または他の適するリンまたは硫黄化合物との、本発明の継続反応である。
【図17】テトラフルオロイソフタロニトリルをモノマーから製造したポリマーとして使用した、亜リン酸金属、亜硫酸または他の適するリンまたは硫黄化合物との、本発明の継続反応である。
【図18】ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルホスフィンオキシドをジフェノールから製造したポリマーとして使用した、亜リン酸金属、亜硫酸または他の適するリンまたは硫黄化合物との、本発明の継続反応である。
【図19】亜硫酸水素金属または亜リン酸金属による芳香族求核置換の遊離物として適切なポリマーの選択肢である。
【図20】亜硫酸水素金属または亜リン酸金属による芳香族求核置換の遊離物として適切なポリマーの選択肢である。
【図21】亜硫酸水素金属または亜リン酸金属による芳香族求核置換の遊離物として適切なポリマーの選択肢である。
【図22】亜硫酸水素金属または亜リン酸金属による芳香族求核置換の遊離物として適切なポリマーの選択肢である。
【図23】亜硫酸水素金属または亜リン酸金属による芳香族求核置換の遊離物として適切なポリマーの選択肢である。
【図24】亜硫酸水素金属または亜リン酸金属による芳香族求核置換の遊離物として適切なポリマーの選択肢である。
【図25】亜硫酸水素金属または亜リン酸金属による芳香族求核置換の遊離物として適切なポリマーの選択肢である。
【図26】亜リン酸トリス(トリメチルシリル)と部分フッ素化した芳香族のポリマーとの反応である。
【図27】過フッ素化した芳香族を側基として有するポリマーを、例としてポリフェニルスルホンを示すリチウム化したポリマーによって製造する方法である。
【図28】リチウム化したポリマーとの反応に適する過フッ素化した芳香族である。
【図29】部分フッ素化したポリマーPFS001を亜リン酸ナトリウムによって変換する反応の反応式である。
【図30】部分フッ素化したポリマーPFS001を亜リン酸ナトリウムによって変換する反応の反応式である。
【図31】ホスホン化した反応産物XFS001Dの1H−NMRスペクトルである。
【図32】ポリマーの遊離物PFS001Dの比較1H−NMRスペクトルである。
【図33】反応産物XFS001Dの13C−NMRスペクトルである。
【図34】反応産物XFS001Dの19F−NMRスペクトルである。(a=全体図、b=詳細図である)
【図35】反応遊離物PFS001の19F−スペクトルである。
【図36】遊離物PFS001のIR−スペクトルである。
【図37】反応産物XFS001Dおよび加水分解した生成物(遊離ホスホン酸基)XFX001D−HのIR−スペクトルである。
【図38】PFS001,XFS001DおよびXFS001D−Hの比較のためのIR−スペクトルである。
【図39】反応産物AK51の1H−NMRスペクトルである。
【図40】反応産物AK51の13C−NMRスペクトルである。
【図41】反応産物AK51の19F−NMRスペクトルである。
【図42】反応産物A1179の19F−NMRスペクトルである。(DMSO中で測定)
【図43】CDCl3中の反応産物A1179の19F−NMRスペクトルである。
【図44】ヘキサフルオロベンゾールによって修飾したポリマー1179を亜リン酸トリエチルナトリウムによってホスホン化し反応産物A1184を製造する反応式である。
【図45】CDCl3中の反応産物A1184の19F−NMRスペクトルである。
【図46】DMSO中の反応産物A1184の19F−NMRスペクトルである。
【図47】DMSO中の反応産物A1184の1H−NMRスペクトルである。
【図48】CDCl3中の反応産物A1184の1H−NMRスペクトルである。
【図49】DMSO中の反応産物A1184の13C−NMRスペクトルである。
【図50】DMSO中の反応産物A1184の31P−NMRスペクトルである。
【図51】CDCl3中の反応産物A1184の31P−NMRスペクトルである。
【図52】リチウム化したPSUとデカフルオロビフェニルとにより反応産物A1180を得る反応の反応式である。
【図53】CDCl3中の反応産物A1180の1H−NMRスペクトルである。
【図54】DMSO中の反応産物A1180の1H−NMRスペクトルである。
【図55】CDCl3中の反応産物A1180の13C−NMRスペクトルである。
【図56】CDCl3中の反応産物A1180の19F−NMRスペクトルである。
【図57】DMSO中の反応産物A1180の19F−NMRスペクトルである。
【図58】リチウム化したPSUをペンタフルオロピリジンによって反応産物A1181に変換する反応の反応式である。
【図59】CDCl3中の反応産物A1181の1H−NMRスペクトルである。
【図60】CDCl3中の反応産物A1181の13C−NMRスペクトルである。
【図61】CDCl3中の反応産物A1181の19F−NMRスペクトルである。
【図62】DMSO中の反応産物A1181の19F−NMRスペクトルである。
【技術分野】
【0001】
スルホン化したポリ(アリル)エーテルを製造するために現在行われる方法は、以下の2個のグループに分けられる(非特許文献1):
i)既存のポリマーを後からスルホン化する:
文献に記載された方法では、芳香族求電子置換反応(SEAr)が常に用いられる。典型的なスルホン化試薬としては、この場合、濃硫酸、発煙硫酸、クロロスルホン酸、三酸化硫黄およびこれらの複合体化合物(例えば三酸化硫黄−ピリジン、三酸化硫黄−リン酸トリエチル複合体など)が挙げられる。代替のスルホン化経路としては、ポリスルホンを例として、Kerres et al.に記載される(非特許文献2,3,4)。これによれば、ポリマーを最初にリチウム化し、次の段階で二酸化硫黄求電子剤によって変換し、最後に、得られたスルフィン酸ポリマーを酸化する。リチウム化したポリマーをスルフリルクロライドSO2Cl2によってスルホクロライドのポリマーに変換でき、続いてスルホクロライド基を水性溶媒中でスルホン酸基に加水分解する(非特許文献5)。
ii)スルホン化したポリマーを直接重合する(統計的な共重合体):
共重合するために投入するモノマーは同様に上述の方法によってスルホン化し、特に濃硫酸または発煙硫酸をスルホン化試薬として投入する(非特許文献6,7)。
ここ数年、ポリアリルエーテルのホスホン化に対する関心は年々高まってきた。ホスホン酸をポリマー鎖に共有結合することはしかし、合成上難しく、今までに僅かなポリマーでのみ実現されている(非特許文献8)。いくつかの例を以下に記載する。ポリ(ホスファゼン)主鎖のホスホン化は、Allcock et.alがリチウム化およびそれに続くクロロホスホン酸エステルの変換によって成功させた(非特許文献9)。同様にAllcock et.alによって、亜リン酸ジメチルナトリウムおよび亜リン酸ジブチルナトリウムを含むポリ(ホスファゼン)における、求核置換(ミヒャエリス−ベッカー反応)によるベンジル側鎖のホスホン化が記載されている。ホスホン化したポリアリルエーテルを得る他の合成経路としてはパラジウム触媒によるホスホン化がある(非特許文献10、特許文献1)。低分子化合物の領域では、ミヒャエリス−ベッカー反応を芳香族(フッ素化)ホスホン酸エステルの製造にも用いる(非特許文献11)。この芳香族(フッ素化)ホスホン酸エステルは様々な低分子のフルオロ芳香族(ペンタフルオロベンゾニトリル、オクタフルオロトルエン、ヘキサフルオロベンゾール、ペンタフルオロベンゾール、ペンタフルオロニトロベンゾール、ペンタフルオロアニゾール)から出発し、収量は約10−65%である。部分フッ素化したポリマーに関してはこの反応は、我々の知る限り記載されたことがない。
芳香族系に(CF2)XPO(OR)2側鎖(x=1−20、R=任意の有機部分)を導入する他の方法は、医化学または薬化学においてすでに確立されており、ハロゲン芳香族(多くヨウ素芳香族または臭素芳香族)とX(CF2)XPO(OR)2(X=ハロゲン、多くの場合臭素またはヨウ素、R=任意の有機部分)との、Zn粉末およびCuBrの存在下における、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)中での反応による(非特許文献12,13)。部分および過フッ素化した、一般化学式R−CF2X(R=非、部分または過フッ素化した芳香族、X=Br,I)を有する低分子の芳香族を、非特許文献14および非特許文献15に記載の方法(スルフィナートのハロゲン化およびそれに続く酸化)によって化学式R−CF2SO2Y(Y=Cl,OH,OMe,Me=任意のカチオン)の化合物に転移できる。上述の反応は、これまで我々の知る限りではポリマーに関しては記載されていない。
【0002】
本発明の課題は、芳香族求核置換反応(SNAr)によってスルホン酸またはホスホン酸もしくは、スルホン酸またはホスホン酸誘導体のモノマー、オリゴマーおよびポリマーを得ることにある。スルホン酸またはホスホン酸のモノマーを製造するためには部分または過ハロゲン化した(特に部分または過フッ素化した)芳香族から出発し、一方でスルホン酸またはホスホン酸のオリゴマーおよびポリマーを製造するためには、例として部分または過ハロゲン化した(特に部分または過フッ素化した)ポリ(アリル)エーテルが記載されている。この方法は、驚くべきことに他の適した部分および過ハロゲン化した(特に部分または過フッ素化した)ポリマーにも用いることができる。上述のスルホン酸の製造のための求核試薬としては、亜硫酸金属、亜硫酸水素金属、亜ジチオン酸金属または硫化金属を使用する。亜ジチオン酸金属もしくは亜ジチオン酸水素金属または亜硫酸金属、もしくは亜硫酸水素による、ハロゲン化アレーンのハロゲン配位における芳香族求核置換反応では、硫黄の酸化数が+6以下である硫黄性の官能基が生ずるため、本発明によれば、これらの官能基をハロゲン分子(臭素、ヨウ素、塩素)、次亜塩素酸金属、過マンガン酸カリウム、過酸化水素または他の適した酸化剤を用いることにより、酸化数を上げて適切な必要とするスルホン酸官能基とする。
【0003】
類似のホスホン酸を製造する際は、ミヒャエリス−ベッカー試薬(例えば亜リン酸ジエチルナトリウム、亜リン酸フェニルナトリウム、亜リン酸ジブチルナトリウム)を、−93℃〜+200℃の反応温度において求核試薬として用いる。両方の場合において、離核性の基はCSP2結合したハロゲン(特にフッ素)とする。さらに、官能基性の非、部分、または過フッ素化した共重合体(代替の、統計に基づくブロックおよびグラフト共重合体)を、上述の方法によって部分または過フッ素化した、適するジフェノール、ジチオフェノールまたはその他の適切なモノマー(例えばシリルエーテルまたはカルバモイル保護基などのジフェノールの誘導体も(非特許文献16,17)を含む低分子のスルホン酸および/またはホスホン酸(もしくは、これらの誘導体)を投入して求核性の重縮合によって製造することは、本発明の構成要素である。この重縮合には、最も多く用いられる方法(塩基として炭酸カリウム、非プロトン性非プロトン性極性の溶媒、比較的高い温度:80−200℃、場合によっては水の投入下において引張するベンゾール、トルエンまたはキシロールなどの有機溶媒)の他にも、利点(ポリマーの樹状分岐および架橋結合を回避する)を有するように修正した、温和な条件下で実行できる方法も適用できる。ここでは特に、Robertson.et.alが記載した、比較的温和な温度において分子ふるいを投入することで生じた反応水を吸収する方法(非特許文献18)および上述した、塩基として水素化カルシウムと、触媒としてフッ化セシウムを用いてDMAc/ベンゾールまたはプロピレンカーボネート中での方法(非特許文献19、特許文献2)が挙げられる。
【特許文献1】独国特許出願公開第10148131号明細書
【特許文献2】米国特許出願第60/433574号明細書(2003年出願)
【非特許文献1】M.A.ヒックネル、W.クイ、H.ガッセミ、Y.S.キム、B.R.アインスラ、J.E.マックグラス氏らによるケミカルレビュー(Chem.Rev.)、2004年第104号、第4587〜4612頁の論文
【非特許文献2】J.ケレス、W.クイ、S.リチエ氏らによる、「J.Polym. Sci., Part A:Polym. Chem」1996年第34巻第2421頁の論文
【非特許文献3】J.ケレス、W.ツァンW.クイ氏らによる、「J.Polym. Sci., Part A:Polym. Chem」1996年第36巻第1441頁の論文
【非特許文献4】J.ケレス、W.クイ、M.ユンギンガー氏らによる、「J.Membr. Sci., Part A:Polym. Chem」1996年第36巻第1441頁の論文
【非特許文献5】J.ケレス、A.Jファン・ツァイル氏らによる、「J.Appl. Polym. Sci., Part A:Polym. Chem」1999年第74巻第428〜438頁の論文
【非特許文献6】F.ワング、M.ヒックネル、Y.S.キム、T.A.ザヴォツィンスキー、J.E.マックグラス氏らによる、「J.Membr. Sci., Part A:Polym. Chem」2002年第197巻第231頁の論文
【非特許文献7】F.ワング、M.ヒックネル、Q.ジュ・W.ハリソン、Jマッカム、T.A.ザヴォツィンスキー、J.E.マックグラス氏らによる、「Macromol. Symp.」2001年第175巻第387頁の論文
【非特許文献8】A.グリュッセン、D.ストルテン氏らによる、「Membranen fur Polymerelektorolyt-Brennstoffzellen, Chemie Ingenieur Technik」2003年75巻(11号)第1591〜1597頁の論文
【非特許文献9】H.R.オールコック、M.A.ホフマン、C.M.アンブラー、R.V.モーフォード氏らによる、「Macromolecules」2002年35巻第3484頁の論文
【非特許文献10】K.ミヤタケ、A.S.ハイ氏らによる、「Journal of Polymer Science: Part A: Polymer Chemistry」2001年39巻第3770〜3779頁の論文
【非特許文献11】L.N.マルコフシー、G.G.フリン、Y.G.シェルモロビッチ、G.G.ヤコブソン氏らによる、「Bulletin of the Academy of Science of the USSR/Division of Chemical Science」1981年第30巻(第4号)第646〜648頁の論文
【非特許文献12】T.ヨコマツ、H.アベ、T.ヤマギシ、K.スエムネ、S.シブヤ氏らによる、「J. Org. Chem.」1999年第64巻第8413〜8418頁の論文
【非特許文献13】G.Sコッケリル、H.J.イースターフィールド、J.M.パーシー、S.ピンタット氏らによる、「J. Chem. Soc., Perkin. Trans. 1」2000年第2591〜2599頁の論文
【非特許文献14】J.T.ルイ、H.J.リュ・シン氏らによる、「Chem. Lett.」2000年第11巻第3号第189〜190頁の論文
【非特許文献15】G.K.スルヤ・プラカッシュ、J.ヒュー、J.サイモン、D.R.ベレウ、G.A.オラー氏らによる、「J. Fluorine Chem.」2004年第125巻第595〜601頁の論文
【非特許文献16】A.ティーガー、C.ヴォーゲル、D.レーマン、W.レンク、K.シュレンシュテット、J.マイヤー‐ハアック氏らによる、「Macromol. Symp.」2004年第210巻第175〜184頁の論文
【非特許文献17】L.ワン、Y.Z.メン、S.J.ワング、X.Y.シャン、L.リー、A.S.ハイ氏らによる、「Macromolecules」2004年第37巻第3151〜3158頁の論文
【非特許文献18】F.リュー、J.ディン、M.リー、M.デイ、G.ロバートソン、M.ツォウ氏らによる、「Macromol. Rapid Commun.」2002年第23巻第844〜848頁の論文
【非特許文献19】Y.クイ、J.ディン、M.デイ、J.ジャン、C.L.カレンダー氏らによる、「Chem. Mater.」2005年第17巻第676〜682頁の論文
【非特許文献20】英国ロンドンのテムズ・ポリテクニックにおける化学科の教授A.N.セルギス氏による「Reactions of sulphone-stabilised carbanions with fluorinated aromatic compounds」1990年12月発表の論文
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
驚くべきことに、図1に示す部分および過ハロゲン化した(特に部分および過フッ素化した)芳香族を、亜硫酸または亜硫酸水素、もしくは、例えば亜ジチオン酸塩/亜ジチオン酸水素または硫化物/硫化水素など他の硫酸塩により芳香族求核置換によって反応でき、その際に、場合によっては酸化段階の後で適したスルホン酸またはその塩を生ずることが発見された。
【0005】
図2に示す、部分および過ハロゲン化した(特に部分および過フッ素化した)アリル主鎖ポリマーを、亜硫酸金属または亜硫酸水素ナトリウムを芳香族求核置換のために反応させることができ、その際スルホン酸のポリマーまたはその塩を生ずることがさらに発見された。
【0006】
亜リン酸金属を含む部分および過ハロゲン化した芳香族化合物のモノマーをホスホン酸塩(図3)(ミヒャエリス−ベッカー反応によって生ずるホスホン酸エステルを、HBrまたは他の適する加水分解試薬で加水分解することにより遊離ホスホン酸を得られる)に変換できることは、上述したとおり(非特許文献11)いくつかの低分子芳香族において既知である。驚くべきことに、亜リン酸金属を含む部分および過ハロゲン化したオリゴまたはポリアリル(ポリアリルエーテル、ポリアリルチオエーテル、ポリアリルスルホキシド、ポリアリルスルホンおよびこれらの共重合体)(図4参照)をミヒャエリス−ベッカー反応によって−93℃〜+200℃の反応温度において変換できることが分かった。
【0007】
以下の低分子のハロゲン化芳香族のために記載した反応を、ポリマーによっても行えることが驚くべきことに分かった(図5)。
【0008】
以下の図(図6、図7、図8、図9、図10、図11、図12、図13、図14、図15、図16、図17、図18、図19、図20、図21、図22、図23、図24、図25)には、亜リン酸金属、亜硫酸金属または、例えば亜ジチオン酸ナトリウムなど他の金属硫黄化合物による求核置換反応に適した、本発明の部分ハロゲン化した、特に部分フッ素化したアリルポリマーを示す。
図6、図7、図8、図9、図10、図11、図12、図13、図14、図15、図16、図17、図18、図19、図20、図21、図22、図23、図24、図25の図に示した繰り返しユニットを含む統計的な共重合体およびブロック共重合体は、本発明の亜リン酸金属、亜硫酸金属または、例えば亜ジチオン酸ナトリウムなど他の金属硫黄化合物による求核置換反応に適することが驚くべきことに示された。
さらに驚くべきことに、非塩状の亜リン酸化合物もまた芳香族求核置換反応に適している。これにより、亜リン酸トリス(トリメチルシリル)および他の任意のシリル亜リン酸により芳香族に結合したハロゲン原子を、ホスホン酸配位によって求核置換できる(図26)。
さらに、過フッ素化した側鎖によって修飾したポリマー、特にアリル主鎖ポリマーが亜リン酸、亜硫酸金属または、例えば亜ジチオン酸ナトリウムなど他の金属硫黄化合物による求核置換反応に適することが驚くべきことに示された。この際、これらの過フッ素化芳香族を側鎖として有するポリマーを、驚くべきことに、例えば適する過フッ素化芳香族(図式は図27参照)を有するリチウム化ポリマーによって製造できる。これまで文献には、低分子の、スルホンによって安定化したカルバニオンの反応と、部分または過フッ素化した芳香族との反応のみが記載されている(特許文献22)。このポリマーをリチウム化ポリマーから製造するには、例えば臭化したPPSU Radel Rと過フッ素化した芳香族ベンゾールを図27に示す。リチウム化ポリマーとの反応に適切な部分または過フッ素化した芳香族を図28に示す。
【0009】
次に、図面につき本発明の好適な実施例を説明する。
【実施例1】
【0010】
1. スルフィン化したポリスルホン、デカフルオロビフェニルおよび亜硫酸ナトリウムから得られたスルホン酸化ポリスルホン
ポリスルホンを背景技術に従って硬化し、二酸化硫黄によってスルフィン酸のポリマーに変換する。スルフィン酸基はポリスルホンのスルホン酸基に対してオルト位置にある。スルフィン酸リチウム塩ポリマーを濾過し、低温において真空乾燥する。次の反応のために、ポリマーの反復単位当たり1.5スルフィン酸リチウム基を有するポリスルホンを使用する。10グラムのデカフルオロビフェニルを50グラムのNMPと室温で混合する。10グラムの、反復単位当たり1.5スルフィン酸基を有するスルフィン酸ポリマーを90グラムのNMPに溶解する。デカフルオロビフェニルとNMPの混合物をしっかりと攪拌し(攪拌速度は300回転/分)、スルフィン酸ポリマーをゆっくりと(1ml/分)滴下漏斗によって添加する。混合物をさらに攪拌した後、ゆっくりと(加熱率は1℃/分)120℃まで加熱する。120℃の温度を10時間保つ。その後、10℃まで冷却し、混合物に500mlの十分に冷却した(T=10℃において)水和亜硫酸ナトリウム溶液を加える。その後、逆流下において110℃まで加熱し、10時間この温度を維持する。冷却後、生成物を回転蒸発器によって真空蒸発させる。得られた生成物を1lの水と混合し、透析ホースに入れて透析し、脱塩水とする(高分子のための透析膜の除去サイズを3000ダルトンとする)。これにより、小さな分子をスルホン化した(スルホン酸塩が得られる)ポリマーから分離できる。透析ホースの残留物を蒸発させた後に、スルホン化したポリマーをナトリウム塩形態で得られる。
【実施例2】
【0011】
2. 部分フッ化したアリル主鎖ポリマーと亜リン酸ナトリウムとのミヒャエリス−ベッカー反応(XFS001Aの合成)
【0012】
【表1】
PFS001Bに基づいて2eq NaPO(OMe)2
【0013】
この反応の反応式を図29に示す。0.519g(21.63mmol)の水素化ナトリウムを40mlの無水THFに溶解した溶液に、0℃において保護ガス下で21.3807g(21.63mmol)の亜リン酸ジメチルを(40mlの無水THFに)ゆっくりと滴下する。水素の発生が終了すると、反応溶液を室温まで温め、6.8180g(10.815mmol)の、無水THF80mlに溶解したPFS001Bを(約20分間)滴下して加える(THFに溶解したPFS001B:黄色がかっている;亜リン酸ジメチルナトリウムの滴下の際に反応溶液はピンク色/オレンジ色となる)。反応混合物を一晩中RTによって攪拌し、さらに3時間、65℃まで加熱する(この後で、溶液は黄色を呈し、均一に分散した固体−フッ化ナトリウム?−が出現し、これは濾過できなかった)。次に、溶液を回転蒸発器において濃縮する。残余物を約300mlの塩化メチレンによって吸収することを試みる(水で洗い流し、生じたNAFを除去するために)。しかし、黄色がかった(塩状ではない)残余物が残る。沈殿物を濾過分離し、約200mlの水に懸濁し透析する(XFS001A,CH2Cl2不溶性の留分XFS001A−UF)。CH2Cl2濾液を新たに濃縮し、残余物を同様に200mlの水に再懸濁し、透析する(XFS001A,CH2Cl2不溶性の留分=XFS001A−LF)。
【0014】
特性解析:
A.元素分析(XFS001A−UF):
実験式:C31H20O8F12P2(2ホスホン酸基、M=810.14gmol−1)
実験式:C29H14O5F13P(1ホスホン酸基、M=720.37gmol−1)
【0015】
【表2】
【0016】
B.元素分析(XFS001A−LF):
実験式:C31H20O8F12P2(2ホスホン酸基)
実験式:C29H14O5F13P(1ホスホン酸基、M=689.40gmol−1)
【0017】
【表3】
【実施例3】
【0018】
3.部分フッ化したアリル主鎖ポリマーと亜リン酸ナトリウムとのミヒャエリス−ベッカー反応(XFS001Dの合成)
【0019】
【表4】
括弧内の記述:理論値;その上の記述:実験値
註:使用したTHF(フィッシャー)は、計測したNaHにさらにTHFを加えると多かれ少なかれはっきりと水素合成が起こったことから、高いH2O濃度を有すると考えられる。このため、ポリマーPFS001Dの量を実際に計測した量とは見込まない(実際に4倍の過剰量の原因がNaPO(OEt)2であることを確実にするため)。
PFS001Dに基づいて4eq NaPO(OMt)2
【0020】
この反応の反応式を図30に示す。1.155g(48.15mmol)の水素化ナトリウムを80mlの無水THFに溶解し、0℃で保護ガス下において6.6489g(48.15mmol)の亜リン酸ジメチルを(80mlの無水THFに)ゆっくりと滴下する。水素の発生が終了すると、反応溶液を室温まで温め、6.8180g(10.815mmol)の、無水THF80mlに溶解したPFS001Dを(約20分間)滴下して加える(THFに溶解したPFS001D:黄色がかっている;亜リン酸ジメチルナトリウムの滴下の際には反応溶液はピンク色/オレンジ色となる)。反応混合物を72時間RTによって攪拌し、さらに6時間、65℃まで加熱する。次に、溶液を回転蒸発器によって濃縮する。残余物を約300mlの水によって吸収し、透析する。溶媒を蒸発させた後、ポリマーを60℃で真空乾燥庫において乾燥する(一晩中)。
特性解析(XFS001D):
A.元素分析
実験式:C31H18O5F13P(RU当り1PO(OEt)2基、M=748.42gmol−1)
実験式:C35H28O8F12P2(RU当り2PO(OEt)2基、M=866.52gmol−1)
実験式:C39H38O11F11P3(RU当り3PO(OEt)2基、M=984.62gmol−1)
実験式:C43H48O14F10P4(RU当り4PO(OEt)2基、M=1102.71gmol−1)
【0021】
【表5】
【0022】
B.1H−NMR
図31参照
比較スペクトルPFS001D 図32参照
【化1】
溶媒: CDCl3
基準: TMS
δ[ppm](200.13MHz): 7.06(d,J=8.51Hz,1H,3H,6H8H,4H)
7.42(d,J=8.72Hz,2H,4H,5H7H,4H)
C.13C−NMR 図33参照。
D.19F−NMR 図34参照。
19F−NMR比較スペクトルPFS001D 図35参照。
【0023】
F.IR−スペクトル
遊離物PFS001のFTIR−スペクトルを図36に示す。
図37には反応産物XFS001Dおよび加水分解した生成物(遊離ホスホン酸基)XFX01D−HのIR−スペクトルを示す。
図38には、比較のためにPFS001,XFS001DおよびXFS001D−H(遊離ホスホン酸基)のIR−スペクトルを示す。
2983−2912cm−1のバンド(赤いカーブはXFS001D−H)はホスホン酸基のO−H伸縮振動の可能性がある。1394cm−1において同様に新たに生じたピークは、確実に分類することができない。文献 (Hesse,Meier,Zeeh) によれば、ホスホン酸のP=O−伸縮振動は1240−1180cm−1に位置する。エステル形態(緑色のカーブ)においてもこのような振動は見られるはずである(置換パターンが異なるためおそらく少しずれている、ただしピークは比較的大きくずれていなければならない)。
【0024】
XFS001D(XFS001D−H)の加水分解:
3.50gのXFS001Dを80mlの48%臭化水素酸に懸濁し、16時間100℃まで加熱する。反応溶液を約800mlの水で希釈し、沈殿物を濾過する。水に再懸濁した沈殿物を5日間透析する。次に、ポリマーを80℃において循環空気乾燥庫で乾燥する(ホスホン酸の濃縮を回避するため乾燥温度<110℃とする)。
収量(透析後):
2.507g
【0025】
XFS001D−Hの特性解析:
A.元素分析
実験式:C27H10O5F13P(RU当り1PO(OH)2基、M=692.32gmol−1)
実験式:C27H12O8F12P2(RU当り2PO(OH)2基、M=754.31gmol−1)
【0026】
【表6】
B.IEC値の計測
【0027】
【表7】
[1]ポリマーは計測の際、上方で浮遊した(置換は完了?)
【実施例4】
【0028】
4.オクタフルオロトルエンとリチウム化したPSU(AK−51)との反応
材料:
22.1g PSU Udel P 1800(0.05mol)乾燥
800ml 無水THF
10ml n−BuLi 10N(0.1mol)
28.4ml=47.2gオクタフルオロトルエン(0.2mol,MW=236g/mol)
【0029】
実行:
保護ガス下においてTHFを反応容器に満たす。その後、反応容器にアルゴンで攪拌および強く洗浄しながら乾燥させたポリマーを入れる。ポリマーが溶解すると、強いアルゴン風下において−50℃まで冷却する(可能な限り)。次に、反応混合物がもはや無水であることを示す薄い黄色/オレンジ色を呈するまで、ポリマー溶液を注意深く2.5Nのn−BuLiによって滴定する。10分以内に10Nのn−BuLiを添加する。最低でも2時間攪拌する。反応混合物の色がどのように変化するか待つ。色が変化しない場合は、一晩−30℃まで温める。反応混合物が無色になるまで、最高で一晩中−30℃で攪拌する。
【0030】
溶液が無色にならない場合、翌朝温度を最高で−10℃まで上げる(溶液は高粘度のままである)。20mlのメタノールを反応混合物が無色にするまで添加する。その後、室温まで温める。
【0031】
ポリマーを2lのメタノールに投入し、濾過してメタノールで洗浄する。
投入したポリマーを新たに濾過し、乾燥させて800mlのMeOH中で攪拌する。その後、新たに濾過し、再び400mlのMeOHに浮遊させて攪拌および濾過し、50℃で真空乾燥する。乾燥させたポリマーをNMPに溶解することを試みる(溶解する場合、膜形成特性を確定できる)。変更したPSUの置換温度を1H/13C−NMRおよび元素分析(C,H,S)によって決定する。
収量:35.4g(理論上の収量43.73gの81%〜〜)
元素分析
2基として算定
C41H20F14O4S
874.64
874.085876
C 56.30% H2.30% F30.41% O7.32% S3.67%
【0032】
【表8】
フッ素含有量に関して、1.25基/F.E.が結合した!
【0033】
反応生成物AK51の1H−NMRスペクトルは図39を参照されたい。反応生成物AK51の13C−NMRスペクトルを図40に示す。反応生成物AK51の19F−NMRスペクトルを図41に示す。
【実施例5】
【0034】
5.ヘキサフルオロベンゾールとリチウム化したPSU A1179との反応
材料:
11.05g PSU Udel P 1800(0.025mol)乾燥させた
800ml無水THF
5ml n−BuLi 10N(0.05mol)
11.54mol=18.6gヘキサフルオロベンゾール(0.1mol,MW=186.056g/mol)
【0035】
実行:
保護ガス下においてTHFを反応容器に満たす。その後、反応容器にアルゴンで攪拌および強く洗浄しながら乾燥させたポリマーを入れる。ポリマーが溶解すると、強いアルゴン風下において−50℃まで冷却する(可能な限り)。次に、反応混合物がもはや無水であることを示す薄い黄色/オレンジ色染色が出現するまでポリマー溶液を注意深く2.5N n−BuLiによって滴定する。10分以内に10N n−BuLiを添加する。最低でも2時間攪拌する。その後、ヘキサフルオロベンゾールを添加する。反応混合物の色がどのように変化するか待つ。色が変化しない場合は、一晩中−30℃まで温める(19F−NMR A 1179aの受容:CHCl3に不溶、DMSOに僅かに溶性)。反応混合物が無色になるまで、最高で一晩中−30℃において攪拌する。
【0036】
溶液が無色にならない場合、温度を翌朝最高で−10℃まで上げる(19F−NMR A 1179bの受容:CHCl3に不溶、DMSOに中程度溶性)。20mlのメタノールを反応混合物が無色になるまで添加する。その後、室温まで温める。
【0037】
ポリマーを2lのメタノールに投入して濾過し、0.5リットルのMeOHで抽出してメタノールによってフリット上で濾過および後洗浄する。
【0038】
投入したポリマーを50℃で真空乾燥する。乾燥させたポリマーからをNMPに溶解することを試みる。変更したPSUの置換温度は1H/13C/19F−NMRおよび元素分析(C,H,S,F)によって決定する。
ポリマーはNMP中では溶けにくく、完全に溶解するには12時間要する!!!
収量:16.8g(理論上の収量19.37gの86.7%)
元素分析 1179a(−30℃)
2基として算定する
C39H20F10O4S
774.62
774.092263
C 60.47% H2.60% F24.53% O8.26% S4.14%
【0039】
【表9】
【0040】
元素分析 1179b(−10℃)
2基として算定する
C39H20F10O4S
774.62
774.092263
C 60.47% H2.60% F24.53% O8.26% S4.14%
【0041】
【表10】
フッ素含有量に関して、1.59基/F.E.が結合した!
【0042】
溶媒DMSO中の反応生成物A1179の19F−NMRスペクトルを図42に示す。ヘキサフルオロベンゾールとリチウム化したPSUとの反応が弱まったことがはっきりと分かる。おおよその積分比が2:2:1(2オルト−F:2メタ−F:1パラ−F)である3個のピークが見られる。図43には溶媒CDCl3中の反応生成物A1179の19F−NMRスペクトルを示す。反応生成物がCDCl3に非常に溶けにくいことが分かる。
【実施例6】
【0043】
6. A1179(PSU/ヘキサフルオロベンゾール/n−BuLi)とジエチル亜リン酸ナトリウム(A1184)との反応
材料:
5g 1.59基を有するA1179(M=774.62g/mol,6.45mmol)、100mlのTHFに溶解/懸濁した
1.78g ジエチル亜リン酸(M=138.10g/mol,12.9mmol)、20mlのTHFに溶解した。
Sdp=2mmHgにおいて50−51℃、密度:1.072g/cm3、屈折指数:1.407
0.31g 水素化ナトリウム(M=24.0g/mol,12.9mmol)、20mlのTHFに溶解した。
反応式:図44参照
実行:
保護ガス下において0℃で、1.78g(12.9mmol)の、無水THF20mlに溶解したジエチル亜リン酸を250mlの三つ口フラスコに入れる。この三つ口フラスコには0.31g(12.9mmol)の、THF20mlに溶解したNaHを入れてある。水素が発生しなくなると(約30分)溶液をRTにおいて温め、20分間、THL100mlに溶解した化合物1を滴下漏斗によって滴定する。混合物を6時間、65℃において攪拌し、次に反応溶液を20mlのMeOhによって加水分解して回転蒸発器においてTHFを除去してdestによってとる。水を加え(懸濁)48時間透析する(水の交換3回)。大きな磁器製容器に入れて水をオーブンで80℃において蒸発させ、次に真空オーブンで80℃においてさらに後乾燥させる。
生成物からは以下の分析が得られる:1H−,19F−,13C−NMR、元素分析(C,H,F,P)
収量:4.5g〜6.52g(理論上の収量の69.1%)
1H,13C,19F,31P−NMR:DMSO中でA1184Dは中程度に溶解する
CDCl3中でA1184Cは溶解しにくい
【0044】
図45にはCDCl3中の反応産物A1184の19F−NMRスペクトルを示す。反応産物がCDCl3に溶解しにくいため、シグナルは非常に弱い。図46にはDMSO中の反応産物A1184の19F−NMRスペクトルを示す。DMSO中の反応産物A1179の19F−NMRスペクトル(図43)と比較すると、1個のシグナルが消えたことが分かり、これは、パラ−Fのジエチル亜リン酸ナトリウムとの反応が弱まったこと(置換したこと)および、これにより必要とする置換反応が起こったことを示す。図47にはDMSO中の反応産物A1184の1H−NMRスペクトルを示し、図48にはCDCl3中の反応産物A1184の1H−NMRスペクトルを示す。図49にはDMSO中の反応産物A1184の13C−NMRスペクトルを示し、図50にはDMSO中の反応産物A1184の13C−NMRスペクトルを示す。図51ではホスホン酸塩Pと隣接したFとの結合がはっきりと見られる。
【0045】
元素分析:
1基として算定する
C37H31F4O7PS
726.67
726.146426
C 61.16% H4.30% F10.46% O15.41% P4.26% S4.41%
【0046】
【表11】
リンによれば、0.93基/FE
【0047】
2基として算定する
C47H40F8O10P2S
1010.82
1010.168972
C 55.85% H3.99% F15.04% O15.83% P6.13% S3.17%
【0048】
【表12】
リンによれば、1.28基/FE
【実施例7】
【0049】
7.デカフルオロビフェニルとリチウム化したPSU A1180との反応
材料:
5.53g PSU UdelP1800(0.0125mol)乾燥させた
800ml 無水THF
2.5ml n−BuLi10N(0.025mol)
16.7g デカフルオロビフェニル(0.1mol,MW=334.11g/mol)
反応式:図52参照
実行:
保護ガス下においてTHFを反応容器に満たす。その後、反応容器にアルゴンで攪拌および強く洗浄しながら、乾燥させたポリマーを入れる。ポリマーが溶解すると、強いアルゴン風下において−60℃まで冷却する。次に、反応混合物がもはや無水であることを示す薄い黄色/オレンジ色染色が出現するまで、ポリマー溶液を注意深く2.5N n−BuLiによって滴定する。10分以内に10N n−BuLiを添加する。最低でも2時間攪拌する。その後、デカフルオロビフェニルを添加すると(THF100mlに溶解してある、滴下漏斗によって添加)、色はすぐに黒に変化する。−55℃において15時間反応させた後は色が明るい灰色に変化/明色化し、反応は中断して加水分解が起こる。ここで20mlのMeOHを反応混合物が無色になるまで添加する。その後、室温まで温める。
【0050】
ポリマーを2lのMeOHに添加した後、回転によりメタノールを除去し、水に吸収させて混合物を透析する。その後、水を50℃において蒸発させ、ポリマーを50℃で真空乾燥する。乾燥したポリマーをNMPに溶解することを試みる。変更したPSUの置換温度は1H/13C/19F−NMRおよび元素分析(C,H,S,F)によって決定する。
【0051】
収量:8.8g(理論上の収量13.86gの63.5%に相当する)
溶解性: アセトニトリルに不溶
CHCl3に難溶 A1180(NMR)
CH2Cl2中でゲル化
D2Oに不溶
アセトンに不溶
DMSOに中程度可溶 A1180D(NMR)
【0052】
元素分析
2基として算定する
C51H20F20O4S
1108.74
1108.076296
C 55.25% H1.82% F34.27% O5.77% S2.89%
【0053】
【表13】
フッ素含有量に関して、1.24基/F.E.が結合した!
【0054】
図53にはCDCl3中の反応生成物A1180の1H−NMRスペクトルを示し、図54にはDMSO中の反応生成物A1180の1H−NMRスペクトルを示す。図55にはCDCl3中の反応生成物A1180の13C−NMRスペクトルを示し、図56にはCDCl3中の反応生成物A1180の19F−NMRスペクトルを示し、図57にはDMSO中の反応生成物A1180の19F−NMRスペクトルを示す。
【実施例8】
【0055】
8.ペンタフルオロピリジンとリチウム化したPSU A1181との反応
材料:
5.53g 乾燥させたPSU Udel P1800(0.0125mol)
800ml 無水THF
2.5ml n−BuLi 10N(0.025mol)
8.45g=5.3ml ペンタフルオロピリジン(0.05mol,MW=169.05g/mol)
反応式:図58参照
実行:
保護ガス下でTHFを反応容器に満たす。次に、反応容器にアルゴンで攪拌および強く洗浄しながら、乾燥させたポリマーを入れる。ポリマーが溶解したら、強いアルゴン風下において−60℃まで冷却する。次に、反応混合物がもはや無水であることを示す薄い黄色/オレンジ色が出現するまで、ポリマー溶液を注意深く2.5N n−BuLiによって滴定する。10分以内に10N n−BuLiを添加する。2時間攪拌する。その後、ペンタフルオロピリジンを滴下漏斗によって滴下する(THF100mlに溶解させて)。反応混合物の色がどのように変化するか観察する(反応時間:4時間、温度:−60℃)。色が変化しない場合は、96時間以上−55℃において反応させる。色は暗赤色/暗橙色から明るい橙色に変化する。
【0056】
2lのMeOHを反応混合物が無色になるまで添加する。次に、室温まで温める。
ポリマーを2lのMeOHに投入し、濾過し、0.5lのMeOHで抽出してメタノールによってフリット上で濾過および後洗浄する。
投入したポリマーを60℃で真空乾燥する。乾燥したポリマーをNMPに溶解することを試みる。変更したPSUの置換温度は1H/13C/19F−NMRおよび元素分析(C,H,S,F)によって決定する。
【0057】
収量:9.1g(理論上の収量13.86gに相当する)
溶解性: アセトニトリルに不溶
CHCl3に難溶
CH2Cl2中でゲル化
D2Oに不溶
アセトンに不溶
DMSOに中程度可溶
1H,13C−NMR: DMSO中のA1181D
CDCl3中のA1181C
【0058】
図59にはCDCl3中の反応産物A1181の1H−NMRスペクトルを示し、図60にはCDCl3中の反応産物A1181の13C−NMRスペクトルを示す。図61にはCDCl3中の反応産物A1181の19F−NMRスペクトルを示し、図62にはDMSO中の反応産物A1181の19F−NMRスペクトルを示す。
【0059】
元素分析
2基として算定する
C37H20F10N2O4S
778.62
778.098411
C 57.08% H2.59% F24.40% N3.60% O8.22% S4.12%
【0060】
【表14】
フッ素含有量によれば、1.59基/F.E.が結合した
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】亜硫酸または亜硫酸水素と、部分または過ハロゲン化し任意に置換したハロゲン芳香族(特にフッ素芳香族)とのSNAr反応である。
【図2】亜硫酸または亜硫酸水素と、部分または過ハロゲン化したポリアリルエーテルとのSNAr反応である。
【図3】亜リン酸金属と部分または過ハロゲン化した芳香族とのSNAr反応(ミヒャエリス−ベッカー反応)である。
【図4】亜リン酸金属と部分または過ハロゲン化したオリゴまたはポリアリルエーテルとのSNAr反応(ミヒャエリス−ベッカー反応)である。
【図5】ハロゲン化したアリルポリマーとX(CF2)XPO(OR)2(X=ハロゲン、多くの場合臭素またはヨウ素、R=任意の有機部分)との、Zn粉末およびCuBrの存在下における、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)中での反応である。
【図6】デカフルオロビフェニルをモノマーから製造したポリマーとして使用した、亜リン酸金属、亜硫酸または他の適するリンまたは硫黄化合物との、本発明の継続反応である。
【図7】デカフルオロベンゾフェノンをモノマーから製造したポリマーとして使用した、亜リン酸金属、亜硫酸または他の適するリンまたは硫黄化合物との、本発明の継続反応である。
【図8】デカフルオロジフェニルスルホンをモノマーから製造したポリマーとして使用した、亜リン酸金属、亜硫酸または他の適するリンまたは硫黄化合物との、本発明の継続反応である。
【図9】デカフルオロジフェニルスルフィドをモノマーから製造したポリマーとして使用した、亜リン酸金属、亜硫酸または他の適するリンまたは硫黄化合物との、本発明の継続反応である。
【図10】ヘキサフルオロベンゾールをモノマーから製造したポリマーとして使用した、亜リン酸金属、亜硫酸または他の適するリンまたは硫黄化合物との、本発明の継続反応である。
【図11】オクタフルオロトルエンをモノマーから製造したポリマーとして使用した、亜リン酸金属、亜硫酸または他の適するリンまたは硫黄化合物との、本発明の継続反応である。
【図12】ペンタフルオロベンゾールスルホン酸をモノマーから製造したポリマーとして使用した、亜リン酸金属、亜硫酸または他の適するリンまたは硫黄化合物との、本発明の継続反応である。
【図13】ヘプタフルオロベンジルスルホン酸をモノマーから製造したポリマーとして使用した、亜リン酸金属、亜硫酸または他の適するリンまたは硫黄化合物との、本発明の継続反応である。
【図14】4−トリフルオロメチルフェニルホスホン酸をモノマーから製造したポリマーとして使用した、亜リン酸金属、亜硫酸または他の適するリンまたは硫黄化合物との、本発明の継続反応である。
【図15】過フッ素化ベンジルヨウ化物を製造した部分フッ素化したポリマーを、スルフィン酸ハロゲン化−酸化による継続反応および/または、亜リン酸金属、亜硫酸または他の適するリンまたは硫黄化合物との、本発明の継続反応である。
【図16】ペンタフルオロベンゾニトリルをモノマーから製造したポリマーとして使用した、亜リン酸金属、亜硫酸または他の適するリンまたは硫黄化合物との、本発明の継続反応である。
【図17】テトラフルオロイソフタロニトリルをモノマーから製造したポリマーとして使用した、亜リン酸金属、亜硫酸または他の適するリンまたは硫黄化合物との、本発明の継続反応である。
【図18】ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルホスフィンオキシドをジフェノールから製造したポリマーとして使用した、亜リン酸金属、亜硫酸または他の適するリンまたは硫黄化合物との、本発明の継続反応である。
【図19】亜硫酸水素金属または亜リン酸金属による芳香族求核置換の遊離物として適切なポリマーの選択肢である。
【図20】亜硫酸水素金属または亜リン酸金属による芳香族求核置換の遊離物として適切なポリマーの選択肢である。
【図21】亜硫酸水素金属または亜リン酸金属による芳香族求核置換の遊離物として適切なポリマーの選択肢である。
【図22】亜硫酸水素金属または亜リン酸金属による芳香族求核置換の遊離物として適切なポリマーの選択肢である。
【図23】亜硫酸水素金属または亜リン酸金属による芳香族求核置換の遊離物として適切なポリマーの選択肢である。
【図24】亜硫酸水素金属または亜リン酸金属による芳香族求核置換の遊離物として適切なポリマーの選択肢である。
【図25】亜硫酸水素金属または亜リン酸金属による芳香族求核置換の遊離物として適切なポリマーの選択肢である。
【図26】亜リン酸トリス(トリメチルシリル)と部分フッ素化した芳香族のポリマーとの反応である。
【図27】過フッ素化した芳香族を側基として有するポリマーを、例としてポリフェニルスルホンを示すリチウム化したポリマーによって製造する方法である。
【図28】リチウム化したポリマーとの反応に適する過フッ素化した芳香族である。
【図29】部分フッ素化したポリマーPFS001を亜リン酸ナトリウムによって変換する反応の反応式である。
【図30】部分フッ素化したポリマーPFS001を亜リン酸ナトリウムによって変換する反応の反応式である。
【図31】ホスホン化した反応産物XFS001Dの1H−NMRスペクトルである。
【図32】ポリマーの遊離物PFS001Dの比較1H−NMRスペクトルである。
【図33】反応産物XFS001Dの13C−NMRスペクトルである。
【図34】反応産物XFS001Dの19F−NMRスペクトルである。(a=全体図、b=詳細図である)
【図35】反応遊離物PFS001の19F−スペクトルである。
【図36】遊離物PFS001のIR−スペクトルである。
【図37】反応産物XFS001Dおよび加水分解した生成物(遊離ホスホン酸基)XFX001D−HのIR−スペクトルである。
【図38】PFS001,XFS001DおよびXFS001D−Hの比較のためのIR−スペクトルである。
【図39】反応産物AK51の1H−NMRスペクトルである。
【図40】反応産物AK51の13C−NMRスペクトルである。
【図41】反応産物AK51の19F−NMRスペクトルである。
【図42】反応産物A1179の19F−NMRスペクトルである。(DMSO中で測定)
【図43】CDCl3中の反応産物A1179の19F−NMRスペクトルである。
【図44】ヘキサフルオロベンゾールによって修飾したポリマー1179を亜リン酸トリエチルナトリウムによってホスホン化し反応産物A1184を製造する反応式である。
【図45】CDCl3中の反応産物A1184の19F−NMRスペクトルである。
【図46】DMSO中の反応産物A1184の19F−NMRスペクトルである。
【図47】DMSO中の反応産物A1184の1H−NMRスペクトルである。
【図48】CDCl3中の反応産物A1184の1H−NMRスペクトルである。
【図49】DMSO中の反応産物A1184の13C−NMRスペクトルである。
【図50】DMSO中の反応産物A1184の31P−NMRスペクトルである。
【図51】CDCl3中の反応産物A1184の31P−NMRスペクトルである。
【図52】リチウム化したPSUとデカフルオロビフェニルとにより反応産物A1180を得る反応の反応式である。
【図53】CDCl3中の反応産物A1180の1H−NMRスペクトルである。
【図54】DMSO中の反応産物A1180の1H−NMRスペクトルである。
【図55】CDCl3中の反応産物A1180の13C−NMRスペクトルである。
【図56】CDCl3中の反応産物A1180の19F−NMRスペクトルである。
【図57】DMSO中の反応産物A1180の19F−NMRスペクトルである。
【図58】リチウム化したPSUをペンタフルオロピリジンによって反応産物A1181に変換する反応の反応式である。
【図59】CDCl3中の反応産物A1181の1H−NMRスペクトルである。
【図60】CDCl3中の反応産物A1181の13C−NMRスペクトルである。
【図61】CDCl3中の反応産物A1181の19F−NMRスペクトルである。
【図62】DMSO中の反応産物A1181の19F−NMRスペクトルである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非フッ素化、部分フッ素化または過フッ素化した(特に非、部分、または過フッ素化した)、芳香族スルホン酸またはホスホン酸(またはこれらの誘導体)のモノマー、オリゴマー、およびポリマーであって、ポリマーの部分または過フッ素化した基を、ポリマーの主鎖だけでなく側鎖にも備えることができる該モノマー、オリゴマー、およびポリマーにおいて、硫黄またはリン求核試薬による芳香族求核置換によって得られることを特徴とするモノマー、オリゴマー、およびポリマー。
【請求項2】
請求項1記載のモノマー、オリゴマー、およびポリマーにおいて、反応性の高いハロゲン芳香族(特にフルオロ芳香族)において幅広い置換パターンを有し、これにより即時にプロトン伝導基を保持することができ(図1および図3参照)、投入可能なハロゲン化したモノマーとしてはビス(ペンタフルオロフェニル)スルホン、ビス(ペンタフルオロフェニル)スルフィド、デカフルオロビフェニル、4,4‘−ジフルオロビフェニル、デカフルオロベンゾフェノン、4,4’−ジフルオロベンゾフェノン、ビス(4−フルオロフェニル)フェニルホスフィンオキシド、デカフルオロジフェニルスルフィド、ヘキサフルオロベンゾール、ペンタフルオロベンゾール、様々に置換したジ、トリおよびテトラフルオロベンゾール、オクタフルオロトルエン、2,2’,3,3’,5,5’,6,6’−オクタフルオロビフェニル、ペンタフルオロピリジン、様々に置換したジ−、トリ−およびテトラフルオロピリジン(例えば2,3,5,6−テトラフルオロピリジン、2,6−ジフルオロピリジン、3,5−ジフルオロピリジン、2,5−ジフルオロピリジン、2,4−ジフルオロピリジン、2,4,6−トリフルオロピリジン)、様々なトリアジン(例えば2,4,6−トリフルオロ−1,3,5−トリアジン、3,5,6−トリフルオロ−1,2,4−トリアジン、3,6−ジフルオロー1,2,4−トリアジン)、ピリミジン(例えば2,4,6−トリフルオロピリミジン)、ピリダジン(例えば3,6−ジフルオロピリダジン、3,4,5,6−テトラフルオロピリダジン)、ピラジン(例えば2,6−ジフルオロピラジン、2,3,5,6−テトラフルオロピラジン)、キノリン(例えばヘプタフルオロキノリン)、イソキノリン(例えばヘプタフルオロイソキノリン、)キノキサリン(例えばヘキサフルオロキノキサリン)、キナゾリン(例えばヘキサフルオロキナゾリン)並びに非、部分、または過フッ素化したイミダゾールおよびベンズイミダゾールなど、ジハロゲン化したヘテロアリル化合物、ペンタフルオロベンゾールスルホン酸またはそれらの塩、ペンタフルオロベンゾールホスホン酸またはその塩が適するものとし、ジフェノールとしてはあらゆる可能なジフェノールを投入可能であり、特に以下のジフェノール:ビスフェノールA(4,4‘−(イソプロピリデン)−ジフェノール)、ビスフェノールS(ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)チオエーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)−ジフェノール、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルホスフィンオキシドおよびフェノールフタレインが適するものとし、モノマーを任意で、例えばホモポリマー、統計的な共重合体またはブロック共重合体などのポリマーに化合できるものとしたモノマー、オリゴマーおよびポリマー。
【請求項3】
請求項1記載のオリゴマーおよびポリマーにおいて、反応性の高いハロゲン芳香族(特にフルオロ芳香族)において幅広い置換パターンを有し、かつプロトン伝導基を保持できるものとし(図2および図4参照)、CSP2結合したハロゲン(特にフッ素)を有する全てのポリマーが適するものとし、このための適するポリマーの選択肢を例えば図6、図7、図8、図9、図10、図11、図12、図13、図14、図15、図16、図17、図18、図19、図20、図21、図22、図23、図24、図25に示したオリゴマーおよびポリマー。
【請求項4】
請求項1〜3に記載のモノマー、オリゴマー、およびポリマーの製造方法において、溶媒として、遊離物の置換パターンにそれぞれ従って、プロトン性溶媒または極性非プロトン性溶媒および水(スルホンの場合のみ)、THF、ジエチルエーテル、ジオキサン、グリム、ジグリム、トリグリム、DMAc、DMF、NMP、スルホラン、プロピレンカーボネート、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、ベンゾール、トルエン、キシロールなどの非プロトン性溶媒およびこれらの任意の混合物を互いに使用できるものとした方法。
【請求項5】
請求項1〜4に記載のモノマー、オリゴマー、およびポリマーの製造方法において、溶媒および遊離物の反応性によって反応温度を−93℃から+200℃とし、反応を保護ガス(アルゴン、窒素)下または保護ガス無しでの環境で実行できるものとした方法。
【請求項6】
請求項1〜5に記載のモノマー、オリゴマー、およびポリマーの製造方法において、反応性求核試薬として亜硫酸金属または亜硫酸水素金属(例えば亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸水素カリウム)、もしくは亜リン酸金属(例えば亜リン酸ジメチルナトリウム、亜リン酸ジエチルナトリウム、亜リン酸ジフェニルナトリウム)または、例えば亜リン酸トリス(トリメチルシリル)などの他の亜リン酸化合物を使用し、これらによってSNAr反応において1個または複数個のハロゲン化物イオン(特にフッ化物イオン)を適合する、部分または過ハロゲン化(特に部分または過フルオロ化)した出発化合物から遊離し、亜リン酸金属を原位置において、THFまたは他の無水溶媒中での水素化金属と、亜リン酸ジアルキルまたは亜リン酸ジアリルとの以下の反応により製造できる方法。
【請求項7】
請求項1〜6に記載のモノマー、オリゴマー、およびポリマーの製造方法において、モノマー化合物の場合、基準手段(例えばYakobson et al.(非特許文献12)に記載されている)または類似の処理によって必要とする生成物を製造でき、洗浄は液体状の化合物の場合は蒸留、固体の化合物の場合は再結晶によって行い、非、部分または過ハロゲン化(特に非、部分、または過フッ素化)した芳香族スルホン酸またはホスホン酸(またはこれらの誘導体)のポリマー(オリゴマー)の場合は処理および洗浄を繰り返しの沈殿および再溶解によって、また水溶性のスルホン酸およびホスホン酸ポリマーでは透析によって行う方法。
【請求項8】
請求項1〜7に記載の1個または複数個の方法によって製造する化合物、特にポリマーおよびオリゴマー。
【請求項9】
請求項1〜7に記載の1個または複数個の方法によって製造する化合物の使用法であって、膜処理(特に燃料電池、膜電気分解および電気透析処理)、コーティング(例えば織物繊維)、ナノ粒子、塗料、接着剤、パッキン、センサー、染料、除草剤および殺虫剤における使用法。
【請求項1】
非フッ素化、部分フッ素化または過フッ素化した(特に非、部分、または過フッ素化した)、芳香族スルホン酸またはホスホン酸(またはこれらの誘導体)のモノマー、オリゴマー、およびポリマーであって、ポリマーの部分または過フッ素化した基を、ポリマーの主鎖だけでなく側鎖にも備えることができる該モノマー、オリゴマー、およびポリマーにおいて、硫黄またはリン求核試薬による芳香族求核置換によって得られることを特徴とするモノマー、オリゴマー、およびポリマー。
【請求項2】
請求項1記載のモノマー、オリゴマー、およびポリマーにおいて、反応性の高いハロゲン芳香族(特にフルオロ芳香族)において幅広い置換パターンを有し、これにより即時にプロトン伝導基を保持することができ(図1および図3参照)、投入可能なハロゲン化したモノマーとしてはビス(ペンタフルオロフェニル)スルホン、ビス(ペンタフルオロフェニル)スルフィド、デカフルオロビフェニル、4,4‘−ジフルオロビフェニル、デカフルオロベンゾフェノン、4,4’−ジフルオロベンゾフェノン、ビス(4−フルオロフェニル)フェニルホスフィンオキシド、デカフルオロジフェニルスルフィド、ヘキサフルオロベンゾール、ペンタフルオロベンゾール、様々に置換したジ、トリおよびテトラフルオロベンゾール、オクタフルオロトルエン、2,2’,3,3’,5,5’,6,6’−オクタフルオロビフェニル、ペンタフルオロピリジン、様々に置換したジ−、トリ−およびテトラフルオロピリジン(例えば2,3,5,6−テトラフルオロピリジン、2,6−ジフルオロピリジン、3,5−ジフルオロピリジン、2,5−ジフルオロピリジン、2,4−ジフルオロピリジン、2,4,6−トリフルオロピリジン)、様々なトリアジン(例えば2,4,6−トリフルオロ−1,3,5−トリアジン、3,5,6−トリフルオロ−1,2,4−トリアジン、3,6−ジフルオロー1,2,4−トリアジン)、ピリミジン(例えば2,4,6−トリフルオロピリミジン)、ピリダジン(例えば3,6−ジフルオロピリダジン、3,4,5,6−テトラフルオロピリダジン)、ピラジン(例えば2,6−ジフルオロピラジン、2,3,5,6−テトラフルオロピラジン)、キノリン(例えばヘプタフルオロキノリン)、イソキノリン(例えばヘプタフルオロイソキノリン、)キノキサリン(例えばヘキサフルオロキノキサリン)、キナゾリン(例えばヘキサフルオロキナゾリン)並びに非、部分、または過フッ素化したイミダゾールおよびベンズイミダゾールなど、ジハロゲン化したヘテロアリル化合物、ペンタフルオロベンゾールスルホン酸またはそれらの塩、ペンタフルオロベンゾールホスホン酸またはその塩が適するものとし、ジフェノールとしてはあらゆる可能なジフェノールを投入可能であり、特に以下のジフェノール:ビスフェノールA(4,4‘−(イソプロピリデン)−ジフェノール)、ビスフェノールS(ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)チオエーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)−ジフェノール、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルホスフィンオキシドおよびフェノールフタレインが適するものとし、モノマーを任意で、例えばホモポリマー、統計的な共重合体またはブロック共重合体などのポリマーに化合できるものとしたモノマー、オリゴマーおよびポリマー。
【請求項3】
請求項1記載のオリゴマーおよびポリマーにおいて、反応性の高いハロゲン芳香族(特にフルオロ芳香族)において幅広い置換パターンを有し、かつプロトン伝導基を保持できるものとし(図2および図4参照)、CSP2結合したハロゲン(特にフッ素)を有する全てのポリマーが適するものとし、このための適するポリマーの選択肢を例えば図6、図7、図8、図9、図10、図11、図12、図13、図14、図15、図16、図17、図18、図19、図20、図21、図22、図23、図24、図25に示したオリゴマーおよびポリマー。
【請求項4】
請求項1〜3に記載のモノマー、オリゴマー、およびポリマーの製造方法において、溶媒として、遊離物の置換パターンにそれぞれ従って、プロトン性溶媒または極性非プロトン性溶媒および水(スルホンの場合のみ)、THF、ジエチルエーテル、ジオキサン、グリム、ジグリム、トリグリム、DMAc、DMF、NMP、スルホラン、プロピレンカーボネート、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、ベンゾール、トルエン、キシロールなどの非プロトン性溶媒およびこれらの任意の混合物を互いに使用できるものとした方法。
【請求項5】
請求項1〜4に記載のモノマー、オリゴマー、およびポリマーの製造方法において、溶媒および遊離物の反応性によって反応温度を−93℃から+200℃とし、反応を保護ガス(アルゴン、窒素)下または保護ガス無しでの環境で実行できるものとした方法。
【請求項6】
請求項1〜5に記載のモノマー、オリゴマー、およびポリマーの製造方法において、反応性求核試薬として亜硫酸金属または亜硫酸水素金属(例えば亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸水素カリウム)、もしくは亜リン酸金属(例えば亜リン酸ジメチルナトリウム、亜リン酸ジエチルナトリウム、亜リン酸ジフェニルナトリウム)または、例えば亜リン酸トリス(トリメチルシリル)などの他の亜リン酸化合物を使用し、これらによってSNAr反応において1個または複数個のハロゲン化物イオン(特にフッ化物イオン)を適合する、部分または過ハロゲン化(特に部分または過フルオロ化)した出発化合物から遊離し、亜リン酸金属を原位置において、THFまたは他の無水溶媒中での水素化金属と、亜リン酸ジアルキルまたは亜リン酸ジアリルとの以下の反応により製造できる方法。
【請求項7】
請求項1〜6に記載のモノマー、オリゴマー、およびポリマーの製造方法において、モノマー化合物の場合、基準手段(例えばYakobson et al.(非特許文献12)に記載されている)または類似の処理によって必要とする生成物を製造でき、洗浄は液体状の化合物の場合は蒸留、固体の化合物の場合は再結晶によって行い、非、部分または過ハロゲン化(特に非、部分、または過フッ素化)した芳香族スルホン酸またはホスホン酸(またはこれらの誘導体)のポリマー(オリゴマー)の場合は処理および洗浄を繰り返しの沈殿および再溶解によって、また水溶性のスルホン酸およびホスホン酸ポリマーでは透析によって行う方法。
【請求項8】
請求項1〜7に記載の1個または複数個の方法によって製造する化合物、特にポリマーおよびオリゴマー。
【請求項9】
請求項1〜7に記載の1個または複数個の方法によって製造する化合物の使用法であって、膜処理(特に燃料電池、膜電気分解および電気透析処理)、コーティング(例えば織物繊維)、ナノ粒子、塗料、接着剤、パッキン、センサー、染料、除草剤および殺虫剤における使用法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【図54】
【図55】
【図56】
【図57】
【図58】
【図59】
【図60】
【図61】
【図62】
【図2】
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【図4】
【図5】
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【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【図54】
【図55】
【図56】
【図57】
【図58】
【図59】
【図60】
【図61】
【図62】
【公表番号】特表2009−500505(P2009−500505A)
【公表日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−520716(P2008−520716)
【出願日】平成18年7月10日(2006.7.10)
【国際出願番号】PCT/DE2006/001240
【国際公開番号】WO2007/006300
【国際公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【出願人】(507054917)
【出願人】(507055877)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年7月10日(2006.7.10)
【国際出願番号】PCT/DE2006/001240
【国際公開番号】WO2007/006300
【国際公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【出願人】(507054917)
【出願人】(507055877)
【Fターム(参考)】
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