説明

芳香族高分子化合物の製造方法

【課題】分子量が十分に大きい芳香族高分子化合物を得ることができる手段を提供する。
【解決手段】下記式(M−1):


[Arは、Rを置換基として有していてもよいナフタレンジイル基等を表す。]で表される化合物と、下記式(M−2):


[Ar’は、2価の反応性基を有する芳香族炭化水素基等を表す。]で表される化合物とを溶媒中で遷移委金属錯体、及び、塩基の存在下で縮合重合させる、下記式(P−1):


で表される高分子化合物の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芳香族高分子化合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
芳香族高分子化合物を製造する方法としては、溶媒、塩基及び遷移金属錯体の存在下で、下記式:
【0003】
【化1】

で表されるホウ酸エステル残基を末端基として有する芳香族ボロン酸エステルと、芳香族ハロゲン化物とを重合させる方法が知られている(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Chem.mater. 2005, 17, 1381-1385
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述した方法では、重合が進行しにくく、その結果、得られる芳香族高分子化合物の分子量が十分に大きくならないという問題があった。
そこで、本発明は、分子量が十分に大きい芳香族高分子化合物を得ることができる手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は第一に、下記式(M−1):
【0007】
【化2】

[式(M−1)中、
Arは、Rを置換基として有していてもよいナフタレンジイル基、Rを置換基として有していてもよいアントラセンジイル基、又は、Rを置換基として有していてもよいピレンジイル基を表す。
1及びR2はそれぞれ独立に、水素原子、非置換若しくは置換のアルキル基、又は、非置換若しくは置換のアリール基を表す。
3は、非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアルコキシ基、非置換若しくは置換のアリール基、非置換若しくは置換のアリールオキシ基、非置換若しくは置換の1価の芳香族複素環基、非置換若しくは置換のシリル基、フッ素原子、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、又は、シアノ基を表す。
aaは0以上の整数である。bbは2整数である。2個存在するR1及びR2は、各々、同一であっても異なっていてもよい。R3が複数個ある場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。]
で表される化合物と、下記式(M−2):
【0008】
【化3】

[式(M−2)中、
Ar’は、非置換若しくは置換の2価の芳香族炭化水素基、複素環の骨格を構成するヘテロ原子として窒素原子若しくは酸素原子を有する非置換又は置換の2価の芳香族複素環基、又は、2価の芳香族アミン残基を表す。
4は、反応性基を表す。
ccは2である。2個存在するRは、同一であっても異なっていてもよい。]
で表される化合物と、を溶媒中において、ホスフィン化合物を配位子とした遷移金属錯体、及び、塩基の存在下で、縮合重合させることを含む、下記式(P−1):
【0009】
【化4】

[式(P−1)中、
Ar及びAr’は、前記と同じ意味を有する。
n1及びn2はそれぞれ独立に、構成単位数を表す。Ar及びAr’が複数個ある場合、各々、同一であっても異なっていてもよい。]
で表される高分子化合物の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の製造方法によれば、分子量が十分に大きい芳香族高分子化合物を製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本明細書において共通して用いられる用語について、必要に応じて例を挙げて説明する。
【0012】
「構成単位」とは、高分子化合物中に1個以上存在する単位構造を意味する。「構成単位」は、「繰り返し単位」(すなわち、高分子化合物中に2個以上存在する単位構造)として高分子化合物中に含まれることが好ましい。
【0013】
本明細書中、「非置換若しくは置換の」という用語は、この用語の直後に記載された官能基が置換基を有していてもよいことを意味する。例えば、「非置換若しくは置換のアルキル基」は、「非置換のアルキル基若しくは置換基を有するアルキル基」を意味する。
【0014】
以下、本発明を詳細に説明する。
[式(M−1)で表される化合物]
前記式(M−1)中、R1及びR2で表される非置換若しくは置換のアルキル基における「アルキル基」は、通常、炭素原子数1〜20である。
非置換のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、イソアミル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、3,7−ジメチルオクチル基、n−ドデシル基が挙げられ、好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、3,7−ジメチルオクチル基、n−ドデシル基であり、より好ましくは、メチル基である。
置換のアルキル基としては、例えば、非置換のアルキル基における水素原子の少なくとも1個が置換された基が挙げられ、好ましくは、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基等のハロゲン原子で置換されたアルキル基;フェニルメチル基、4−(4−ヘキシルフェニル)ブチル基等のアリール基で置換されたアルキル基である。
【0015】
前記式(M−1)中、R1及びR2で表される非置換若しくは置換のアリール基における「アリール基」は、通常、炭素原子数6〜20である。ここで、「アリール基」とは、芳香族炭化水素の環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個を除いてなる原子団を意味し、縮合環を持つ基、独立したベンゼン環及び縮合環から選ばれる2個以上が直接結合した基を含む。
非置換のアリール基としては、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、1−ピレニル基、2−ピレニル基、4−ピレニル基、2−ペリレニル基、3−ペリレニル基、2−フルオレニル基、3−フルオレニル基、4−フルオレニル基、1−ビフェニレニル基、2−ビフェニレニル基、2−フェナンスレニル基、9−フェナンスレニル基、2−フェニルフェニル基、3−フェニルフェニル基、4−フェニルフェニル基が挙げられる。
置換のアリール基としては、例えば、非置換のアリール基における水素原子の少なくとも1個が、アルキル基、アルコキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アシル基、N,N−ジアルキルアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、シアノ基、ニトロ基、塩素原子、フッ素原子等で置換された基が挙げられ、好ましくは、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、3−n−ブチルフェニル基、4−n−ブチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、3−n−ヘキシルフェニル基、4−n−ヘキシルフェニル基、4−n−オクチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、3−n−ヘキシル−5−メチルフェニル基、3,5−ジヘキシルフェニル基である。
【0016】
前記式(M−1)中、R1及びR2は、水素原子又は非置換若しくは置換のアルキル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
【0017】
前記式(M−1)中、R3で表される非置換若しくは置換のアルキル基における「アルキル基」は、通常、炭素原子数1〜20である。
非置換のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソアミル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、3,7−ジメチルオクチル基、ラウリル基が挙げられる。
置換のアルキル基としては、例えば、非置換のアルキル基における水素原子の少なくとも1個が置換された基が挙げられ、好ましくは、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基等のハロゲン原子で置換されたアルキル基;フェニルメチル基、4−(4−ヘキシルフェニル)ブチル基等のアリール基で置換されたアルキル基である。
【0018】
前記式(M−1)中、R3で表される非置換若しくは置換のアルコキシ基における「アルコキシ基」は、通常、炭素原子数1〜20である。
非置換若しくは置換のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基、ラウリルオキシ基、トリフルオロメトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、パーフルオロブトキシ基、パーフルオロヘキシルオキシ基、パーフルオロオクチルオキシ基が挙げられる。
【0019】
前記式(M−1)中、R3で表される非置換若しくは置換のアリール基における「アリール基」の説明、例は、R1及びR2で表される非置換若しくは置換のアリール基の項の説明、例と同じである。
【0020】
前記式(M−1)中、R3で表される非置換若しくは置換のアリールオキシ基における「アリールオキシ基」は、通常、炭素原子数6〜20である。
非置換のアリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、1−アントラセニルオキシ基、9−アントラセニルオキシ基、1−ピレニルオキシ基が挙げられる。
置換のアリールオキシ基としては、例えば、非置換のアリールオキシ基における水素原子の少なくとも1個が、アルキル基、アルコキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アシル基、N,N−ジアルキルアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、シアノ基、ニトロ基、塩素原子、フッ素原子等で置換された基が挙げられる。
【0021】
前記式(M−1)中、R3で表される非置換若しくは置換の1価の芳香族複素環基における「1価の芳香族複素環基」は、通常、炭素原子数3〜30である。「1価の芳香族複素環基」とは、芳香族複素環式化合物(即ち、芳香族性をもつ複素環式化合物)の環を構成する炭素原子に直接結合する1個の水素原子を除いた残りの原子団を意味する。芳香族複素環式化合物とは、環式構造を持つ有機化合物のうち、環を構成する元素が炭素原子だけでなく、酸素原子、窒素原子、燐原子、ホウ素原子等のヘテロ原子を環内に含む芳香族化合物を意味する。
芳香族複素環化合物としては、例えば、ピリジン、フラン、ピロール、ピラジン、ピリミジン、トリアジン、キノリン、イソキノリン、カルバゾール、アクリジン、フェノキサジン、フェノチアジン、ジベンゾフラン、ビピリジル、ベンゾチアジアゾールが挙げられる。
非置換の1価の芳香族複素環基としては、例えば、チエニル基、ピロリル基、フリル基、ピリジル基、ピペリジル基、キノリル基、イソキノリル基、ピリミジル基、トリアジニル基が挙げられる。
置換の1価の芳香族複素環基としては、非置換の1価の芳香族複素環基における水素原子の少なくとも1個が、アルキル基、アルコキシ基等で置換された基が挙げられる。
【0022】
前記式(M−1)中、R3で表される置換のシリル基としては、例えば、シリル基における水素原子の1〜3個が、非置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアリール基、及び、非置換若しくは置換の1価の芳香族複素環基からなる群から選ばれる1〜3個の基で置換されたシリル基が挙げられる。非置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアリール基、及び、非置換若しくは置換の1価の芳香族複素環基の定義、例は、前記と同じである。
置換のシリル基としては、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリ−n−プロピルシリル基、トリ−イソプロピルシリル基、ジメチル−イソプロピリシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、トリ−p−キシリルシリル基、トリベンジルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、tert−ブチルジフェニルシリル基、ジメチルフェニルシリル基が挙げられる。
【0023】
前記式(M−1)中、R3で表されるアルコキシカルボニル基は、通常、炭素原子数1〜20である。
アルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロピルオキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、n−ブチルオキシカルボニル基、tert−ブチルオキシカルボニル基が挙げられる。
【0024】
前記式(M−1)中、R3は、非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアルコキシ基、非置換若しくは置換のアリール基が好ましい。
【0025】
前記式(M−1)中、aaは、好ましくは0〜2であり、より好ましくは0である。
【0026】
本発明の製造方法において、前記式(M−1)で表される化合物は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0027】
前記式(M−1)で表される化合物としては、例えば、下記式(1)で表される化合物、下記式(2)で表される化合物、及び、下記式(3)で表される化合物が挙げられ、下記式(1)で表される化合物、又は、下記式(2)で表される化合物が好ましく、下記式(1)で表される化合物がより好ましい。
【0028】
【化5】

[式(1)中、
1、R2及びR3は、前記と同じ意味を有する。
aは2であり、bは0〜6の整数である。2個存在するR1及びR2は、各々、同一であっても異なっていてもよい。R3が複数個ある場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。]
【0029】
式(1)中、bは0〜2であることが好ましく、0であることがより好ましい。
【0030】
【化6】

[式(2)中、
1、R2及びR3は、前記と同じ意味を有する。
cは2であり、dは0〜8の整数である。2個存在するR1及びR2は、各々、同一であっても異なっていてもよい。R3が複数個ある場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。]
【0031】
式(2)中、dは0〜2であることが好ましく、0であることがより好ましい。
【0032】
【化7】

[式(3)中、
1、R2及びR3は、前記と同じ意味を有する。
eは2であり、f及びgはそれぞれ独立に0〜4の整数である。2個存在するR1及びR2は、各々、同一であっても異なっていてもよい。R3が複数個ある場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。]
【0033】
式(3)中、fは0または1であることが好ましく、0であることがより好ましい。gは0または1であることが好ましく、0であることがより好ましい。
【0034】
前記式(1)で表される化合物としては、例えば、以下の化合物1〜8が挙げられ、より分子量の大きい高分子化合物が得られるため、化合物1〜4が好ましく、化合物1〜2がより好ましい。
【0035】
【化8】

(式中、R3及びbは、前記と同じ意味を有する。)
【0036】
前記式(2)で表される化合物としては、例えば、以下の化合物9〜12が挙げられ、より分子量の大きい高分子化合物が得られるため、化合物9〜10が好ましい。
【0037】
【化9】

(式中、R3及びdは、前記と同じ意味を有する。)
【0038】
前記式(3)で表される化合物としては、例えば、以下の化合物13〜16が挙げられ、より分子量の大きい高分子化合物が得られるため、化合物13〜14が好ましい。
【0039】
【化10】

(式中、R3、f及びgは、前記と同じ意味を有する。)
【0040】
本発明の製造方法において、前記式(1)で表される化合物、前記式(2)で表される化合物、前記式(3)で表される化合物は、各々、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0041】
[式(M−2)で表される化合物]
前記式(M−2)中、Ar’で表される非置換若しくは置換の2価の芳香族炭化水素基における「芳香族炭化水素」の炭素原子数は、通常、6〜60であり、好ましくは6〜30であり、より好ましくは6〜18である。「芳香族炭化水素基」とは、芳香族炭化水素の環を構成する炭素原子に直接結合する少なくとも1個の水素原子を除いてなる原子団を意味する。芳香族炭化水素としては、例えば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ナフタセン、フルオレン、ピレン、ペリレン、ビフェニル、ジフェニルエーテル、2,2−ジフェニルプロパンが挙げられる。
非置換の2価の芳香族炭化水素基としては、例えば、非置換のアリーレン基が挙げられる。非置換のアリーレン基は、単環、縮合環、並びに、単環及び縮合環からなる群から選ばれる2個以上が直接結合して、又は、ビニレン基等を介して結合してなる基のいずれでもよい。この非置換のアリーレン基の炭素原子数は、通常、6〜60であり、好ましくは6〜30であり、より好ましくは6〜18である。
非置換のアリーレン基としては、例えば、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基等のフェニレン基、1,4−ナフタレンジイル基、2,6−ナフタレンジイル基等のナフタレンジイル基、9,10−アントラセンジイル基等のアントラセンジイル基、2,7−フェナントレンジイル基等のフェナントレンジイル基、5,12−ナフタセンジイル基等のナフタセンジイル基、2,7−フルオレンジイル基等のフルオレンジイル基、ピレンジイル基、3,8−ペリレンジイル基等のペリレンジイル基、2,8−クリセンジイル基、6,12−クリセンジイル基等のクリセンジイル基、ビフェニレン基、ジフェニルエーテルジイル基、2,2−ジフェニルプロパンジイル基が挙げられ、フェニレン基、ナフタレンジイル基、アントラセンジイル基、フルオレンジイル基が好ましく、フルオレンジイル基がより好ましい。
置換の2価の芳香族炭化水素基としては、例えば、非置換の芳香族炭化水素基(好ましくは、非置換のアリーレン基)における水素原子の少なくとも1個が、非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアルコキシ基、非置換若しくは置換のアリール基、フッ素原子、非置換若しくは置換の1価の芳香族複素環基、非置換若しくは置換のカルボキシル基等で置換された基が挙げられる。
【0042】
前記式(M−2)中、Ar’で表される複素環の骨格を構成するヘテロ原子として窒素原子若しくは酸素原子を有する非置換又は置換の2価の芳香族複素環基の炭素原子数は、通常、3〜60であり、好ましくは4〜60であり、より好ましくは4〜20であり、更に好ましくは4〜9であり、特に更に好ましくは4又は5である。「複素環の骨格を構成するヘテロ原子として窒素原子若しくは酸素原子を有する非置換又は置換の2価の芳香族複素環基」とは、複素環の骨格を構成するヘテロ原子として窒素原子若しくは酸素原子を有する非置換又は置換の芳香族複素環基式化合物から2個の水素原子を除いた残りの原子団を意味する。複素環の骨格を構成するヘテロ原子として窒素原子若しくは酸素原子を有する非置換又は置換の芳香族複素環基式化合物とは、環式構造を持つ有機化合物のうち、環を構成する元素が炭素原子だけでなく、酸素原子及び窒素原子の少なくとも一方を含み、場合により、硫黄原子、燐原子、ホウ素原子等のその他のヘテロ原子を環内に含む芳香族化合物を意味する。このような芳香族複素環化合物としては、例えば、ピリジン、フラン、ピロール、ピラジン、ピリミジン、トリアジン、キノリン、イソキノリン、カルバゾール、アクリジン、フェノキサジン、フェノチアジン、ジベンゾフラン、ビピリジル、ベンゾチアジアゾールが挙げられる。
複素環の骨格を構成するヘテロ原子として窒素原子若しくは酸素原子を有する非置換の2価の芳香族複素環基としては、例えば、N−メチル−2,5−ピロールジイル基等のピロールジイル基、2,5−フランジイル基等のフランジイル基;2,5−ピリジンジイル基、2,6−ピリジンジイル基等のピリジンジイル基;2,4−キノリンジイル基、2,6−キノリンジイル基等のキノリンジイル基;1,4−イソキノリンジイル基、1,5−イソキノリンジイル基等のイソキノリンジイル基;3,7−フェノキサジンジイル基等のフェノキサジンジイル基;3,6−カルバゾールジイル基等のカルバゾールジイル基が挙げられる。
複素環の骨格を構成するヘテロ原子として窒素原子若しくは酸素原子を有する置換の2価の芳香族複素環基としては、例えば、複素環の骨格を構成するヘテロ原子として窒素原子若しくは酸素原子を有する非置換の芳香族複素環基における水素原子の少なくとも1個が、非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアルコキシ基、非置換若しくは置換のアリール基、フッ素原子、非置換若しくは置換の1価の芳香族複素環基、非置換若しくは置換のカルボキシル基等で置換された基が挙げられる。
【0043】
ここで、前記式(M−2)中、Ar’で表される「非置換又は置換の2価の芳香族炭化水素基」、及び、「複素環の骨格を構成するヘテロ原子として窒素原子若しくは酸素原子を有する非置換又は置換の2価の芳香族複素環基」における水素原子が置換され得る置換基(以下、単に「Ar’における置換基」と言う。)を説明する。
【0044】
Ar’における置換基である非置換若しくは置換のアルキル基は、直鎖、分岐鎖、環状鎖のいずれでもよい。この非置換若しくは置換のアルキル基における「アルキル基」の炭素原子数は、通常1〜20(環状鎖アルキル基の場合は、通常3〜20)であり、好ましくは1〜15(環状鎖アルキル基の場合は、好ましくは3〜15)であり、より好ましくは1〜10(環状鎖アルキル基の場合は、より好ましくは3〜10)である。
非置換のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソアミル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、3,7−ジメチルオクチル基、ラウリル基が挙げられる。
置換のアルキル基としては、例えば、非置換のアルキル基における水素原子の少なくとも1個がハロゲン原子で置換された基が挙げられ、好ましくは、非置換のアルキル基における水素原子の少なくとも1個がフッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子で置換された基であり、より好ましくは、非置換のアルキル基における水素原子の少なくとも1個がフッ素原子で置換された基であり、さらに好ましくは、トリフルオロメチル基、パーフルオロヘキシル基である。
【0045】
Ar’における置換基である非置換若しくは置換のアルコキシ基は、直鎖、分岐鎖、環状鎖のいずれでもよい。この非置換若しくは置換のアルコキシ基における「アルコキシ基」の炭素原子数は、通常1〜20(環状鎖アルコキシ基の場合は、通常3〜20)であり、好ましくは1〜15(環状鎖アルコキシ基の場合は、好ましくは3〜15)である。
非置換のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、n−オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、n−デシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基、メトキシメチルオキシ基、2−メトキシエチルオキシ基、2−エトキシエチルオキシ基が挙げられる。
置換のアルコキシ基としては、例えば、非置換のアルコキシ基における水素原子の少なくとも1個がハロゲン原子で置換された基が挙げられ、好ましくは、非置換のアルコキシ基における水素原子の少なくとも1個がフッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子で置換された基であり、より好ましくは、非置換のアルコキシ基における水素原子の少なくとも1個がフッ素原子で置換された基であり、さらに好ましくは、トリフルオロメトキシ基、パーフルオロヘキシルオキシ基である。
【0046】
Ar’における置換基である非置換若しくは置換のアリール基は、単環、縮合環、並びに、単環及び縮合環からなる群から選ばれる2個以上が直接結合して、又は、ビニレン基等を介して結合してなる基のいずれでもよい。この非置換若しくは置換のアリール基における「アリール基」の炭素原子数は、通常6〜60であり、好ましくは6〜48であり、より好ましくは6〜20であり、更に好ましくは6〜10である。
非置換のアリール基としては、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、1−テトラセニル基、1−ピレニル基、2−ピレニル基、2−ペリレニル基、3−ペリレニル基、2−フルオレニル基、4−フルオレニル基、3−フルオレニル基、4−フェニルフェニル基が挙げられる。
置換のアリール基としては、例えば、非置換のアリール基における水素原子の少なくとも1個が、アルキル基、アルコキシ基、又は、アルキルオキシカルボニル基で置換された基が挙げられる。
【0047】
Ar’における置換基である非置換若しくは置換の1価の芳香族複素環基における「1価の芳香族複素環基」の炭素原子数は、通常3〜60であり、好ましくは4〜60であり、より好ましくは4〜20である。
非置換の1価の芳香族複素環基としては、例えば、チエニル基、ピロリル基、フリル基、ピリジル基、ピペリジル基、キノリル基、イソキノリル基、ピリミジル基、トリアジニル基が挙げられ、チエニル基、ピリジル基、キノリル基、イソキノリル基、ピリミジル基、トリアジニル基が好ましく、チエニル基、ピリジル基、ピリミジル基、トリアジニル基がより好ましい。
置換の1価の芳香族複素環基としては、例えば、非置換の1価の芳香族複素環基における水素原子の少なくとも1個が、アルキル基、又は、アルコキシ基で置換された基が挙げられる。
【0048】
Ar’における置換基である置換のカルボキシル基としては、例えば、アルキル基、アリール基又は1価の芳香族複素環基で置換されたカルボキシル基が挙げられる。「置換のカルボキシル基」の炭素原子数は、通常2〜60であり、好ましくは2〜48である。
置換カルボキシル基としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、ピリジルオキシカルボニル基が挙げられる。
【0049】
前記式(M−2)中、Ar’で表される2価の芳香族アミン残基とは、芳香族アミンから2個の水素原子を除いてなる原子団を意味する。
【0050】
前記式(M−2)中、Ar’としては、非置換若しくは置換の2価の芳香族炭化水素基が好ましい。
【0051】
前記式(M−2)中、R4で表される反応性基とは、前記式(M−1)で表される化合物と反応することができる基を意味し、例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、スルホネート基が挙げられ、好ましくは、塩素原子、臭素原子、又は、ヨウ素原子である。
【0052】
本発明の製造方法において、前記式(M−2)で表される化合物は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0053】
前記式(M−2)で表される化合物としては、例えば、下記式(4)で表される化合物、及び、下記式(5)で表される化合物が挙げられ、式(M−2)で表される化合物の少なくとも1つは、式(4)で表される化合物、又は、下記式(5)で表される化合物であることが好ましい。
【0054】
【化11】

[式(4)中、
Ar1は、非置換若しくは置換のアリーレン基、又は、複素環の骨格を構成するヘテロ原子として窒素原子若しくは酸素原子を有する非置換又は置換の2価の芳香族複素環基を表す。
1及びX2はそれぞれ独立に、反応性基を表す。]
【0055】
【化12】

[式(5)中、
Ar2、Ar3及びAr4はそれぞれ独立に、非置換若しくは置換のアリーレン基、又は、複素環の骨格を構成するヘテロ原子として窒素原子若しくは酸素原子を有する非置換又は置換の2価の芳香族複素環基を表す。
7及びR8はそれぞれ独立に、水素原子、非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアリール基、又は、非置換若しくは置換の1価の複素環基を表す。
hは0又は1である。
3及びX4はそれぞれ独立に、反応性基を表す。]
【0056】
前記式(4)中、Ar1で表される非置換若しくは置換のアリーレン基は、前記Ar’で表される非置換若しくは置換のアリーレン基と同じ意味を有するが、Ar1で表される置換のアリーレン基としては、該アリーレン基における水素原子の少なくとも1個が、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、又は、1価の芳香族複素環基で置換されている基が好ましく、アルキル基、アルコキシ基、又は、アリール基で置換されている基がより好ましく、アルキル基、又は、アルコキシ基で置換されている基が更に好ましい。なお、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、及び、1価の芳香族複素環基は、前記Ar’における置換基の項における説明、例と同じである。
【0057】
前記式(4)中、Ar1で表される複素環の骨格を構成するヘテロ原子として窒素原子若しくは酸素原子を有する非置換又は置換の2価の芳香族複素環基は、前記Ar’で表される複素環の骨格を構成するヘテロ原子として窒素原子若しくは酸素原子を有する非置換若しくは置換の2価の芳香族複素環基と同じ意味を有するが、Ar1で表される複素環の骨格を構成するヘテロ原子として窒素原子若しくは酸素原子を有する非置換又は置換の2価の芳香族複素環基としては、該2価の芳香族複素環基における水素原子の少なくとも1個が、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、又は、1価の芳香族複素環基で置換されている基が好ましく、アルキル基、アルコキシ基、又は、アリール基で置換されている基がより好ましく、アルキル基、又は、アルコキシ基で置換されている基が更に好ましい。なお、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、及び、1価の芳香族複素環基は、前記Ar’における置換基の項における説明、例と同じである。
【0058】
前記式(4)中、X1及びX2で表される反応性基は、前記R4で表される反応性基と同じ意味を有する。
【0059】
前記式(5)中、Ar2、Ar3及びAr4で表される非置換若しくは置換のアリーレン基は、前記Ar’で表される非置換若しくは置換のアリーレン基と同じ意味を有するが、更に、下記式:5−1〜5−3で表される基が挙げられる。
【0060】
【化13】

【0061】
前記式(5)中、Ar2、Ar3及びAr4で表される非置換若しくは置換のアリーレン基としては、該アリーレン基における水素原子の少なくとも1個が、非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアルコキシ基、非置換若しくは置換のアリール基、非置換若しくは置換のアリールオキシ基、非置換若しくは置換の1価の芳香族複素環基、非置換若しくは置換のシリル基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、又は、シアノ基で置換されている基が好ましく、非置換のアルキル基、非置換のアルコキシ基、又は、非置換若しくは置換のアリール基で置換されている基がより好ましく、非置換のアルキル基で置換されている基が更に好ましい。なお、非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアルコキシ基、非置換若しくは置換のアリール基、非置換若しくは置換のアリールオキシ基、非置換若しくは置換の1価の芳香族複素環基、置換のシリル基、ハロゲン原子、及び、アルコキシカルボニル基の説明、例は、前記R3の項における説明、例と同じである。
【0062】
前記式(5)中、Ar2、Ar3及びAr4で表される複素環の骨格を構成するヘテロ原子として窒素原子若しくは酸素原子を有する非置換又は置換の2価の芳香族複素環基は、前記Ar’で表される複素環の骨格を構成するヘテロ原子として窒素原子若しくは酸素原子を有する非置換若しくは置換の2価の芳香族複素環基と同じ意味を有する。
【0063】
前記式(5)中、Ar2及びAr3は、それぞれ独立に、好ましくは、非置換若しくは置換のアリーレン基であり、より好ましくは、非置換若しくは置換の1,3−フェニレン基、非置換若しくは置換の1,4−フェニレン基、非置換若しくは置換の1,4−ナフタレンジイル基、非置換若しくは置換の2,6−ナフタレンジイル基であり、更に好ましくは、非置換若しくは置換の1,4−フェニレン基又は非置換若しくは置換の1,4−ナフタレンジイル基であり、特に好ましくは、非置換若しくは置換の1,4−フェニレン基である。
【0064】
前記式(5)中、Ar4は、好ましくは、非置換若しくは置換のアリーレン基であり、より好ましくは、非置換若しくは置換の1,3−フェニレン基、非置換若しくは置換の1,4−フェニレン基、非置換若しくは置換の1,4−ナフタレンジイル基、非置換若しくは置換の2,7−フルオレンジイル基、9,10−アントラセンジイル基、前記式5−1で表される基であり、更に好ましくは、非置換若しくは置換の1,4−フェニレン基、非置換若しくは置換の1,4−ナフタレンジイル基、非置換若しくは置換の2,7−フルオレンジイル基、9,10−アントラセンジイル基、前記式5−1で表される基であり、特に好ましくは、非置換の1,4−フェニレン基、置換の2,7−フルオレンジイル基、前記式5−1で表される基である。
【0065】
前記式(5)中、X3及びX4で表される反応性基は、前記R4で表される反応性基と同じ意味を有する。
【0066】
前記式(5)中、R7及びR8で表される非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアリール基、及び、非置換若しくは置換の1価の芳香族複素環基の説明、例は、前記R3の項における説明、例と同じである。
【0067】
前記式(5)中、hは、好ましくは1である。
【0068】
前記式(4)で表される化合物の少なくとも1つは、好ましくは、下記式(6)で表される化合物である。
【0069】
【化14】

[式(6)中、
9及びR10はそれぞれ独立に、水素原子、非架橋性アルキル基、又は、非架橋性アリール基を表す。
1及びX2は、前記と同じ意味を有する。]
【0070】
前記式(6)中、R9及びR10で表される非架橋性アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソアミル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、3,7−ジメチルオクチル基、ラウリル基等の非置換のアルキル基、及び、これらの基における少なくとも1個の水素原子が、アリール基、アルコキシ基、フッ素原子等で置換された基が挙げられる。
【0071】
前記式(6)中、R9及びR10で表される非架橋性アリール基としては、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、1−テトラセニル基、1−ピレニル基、2−ピレニル基、2−ペリレニル基、3−ペリレニル基、2−フルオレニル基、4−フルオレニル基、3−フルオレニル基、4−フェニルフェニル基等の非置換のアリール基、及び、これらの基における少なくとも1個の水素原子が、アルキル基、アルコキシ基、フッ素原子等で置換された基が挙げられる。
【0072】
前記式(4)で表される化合物の少なくとも1つは、好ましくは下記式(7)で表される化合物である。

[式(7)中、
11は、架橋性基を表す。
12は、水素原子、架橋性基、非架橋性アルキル基、又は、非架橋性アリール基を表す。
1及びX2は、前記と同じ意味を有する。]
【0073】
前記式(7)中、R11で表される架橋性基としては、例えば、下記式(7−1)〜(7−15)で表される基が挙げられ、下記式(7−3)〜(7−12)で表される基が好ましく、下記式(7−6)〜(7−8)、下記式(7−10)、下記式(7−11)で表される基がより好ましい。
【0074】
【化15】

【0075】
【化16】

【0076】
前記式(7)中、R12で表される架橋性基は、R11で表される架橋性基の項における説明、例示と同じである。
【0077】
前記式(7)中、R12で表される非架橋性アルキル基、及び、非架橋性アリール基の定義、例は、R9及びR10の項における説明、例と同じである。
【0078】
前記式(7)中、R12としては、架橋性基、又は、非架橋性アリール基が好ましく、架橋性基がより好ましい。R11で表される架橋性基とR12で表される架橋性基は同一であっても異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
【0079】
前記式(5)で表される化合物は、下記式(8)で表される化合物が好ましい。

[式(8)中、
13は、架橋性基を表す。
14は、架橋性基、非架橋性アルキル基、又は、非架橋性アリール基を表す。kは0又は1である。
3及びX4は、前記と同じ意味を有する。]
【0080】
前記式(8)中、R13で表される架橋性基は、R11で表される架橋性基の項における説明、例示と同じである。
【0081】
前記式(8)中、R14で表される非架橋性アルキル基、及び、非架橋性アリール基は、R12で表される非架橋性アルキル基、及び、非架橋性アリール基の項における説明、例示と同じである。
【0082】
前記式(8)中、kは、好ましくは0である。
【0083】
前記式(4)で表される化合物としては、例えば、以下で示される化合物17〜28が挙げられ、より分子量の大きい高分子化合物が得られるため、化合物17〜28が好ましく、化合物17、化合物20〜22、化合物24がより好ましく、化合物17、化合物20が特に好ましい。
【0084】
【化17】

【0085】
【化18】

(式中、
1及びX2は、前記と同じ意味を有する。
Aは、非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアルコキシ基、非置換若しくは置換のアリール基、非置換若しくは置換のアリールオキシ基、非置換若しくは置換の1価の芳香族複素環基、非置換若しくは置換のシリル基、フッ素原子、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、又は、シアノ基を表す。
pは0〜2の整数であり、qは0〜3の整数であり、rは0〜4の整数であり、sは0〜5の整数である。RAが複数ある場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。)
【0086】
前記式(5)で表される化合物としては、例えば、以下で示される化合物29〜33が挙げられ、より分子量の大きい高分子化合物が得られるため、化合物29〜31が好ましい。
【0087】
【化19】

(式中、
3、X4及びRAは、前記と同じ意味を有する。
qは0〜3の整数であり、rは0〜4の整数であり、sは0〜5の整数である。RAが複数ある場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。)
【0088】
前記式中、RAで表される基は、前記R3の項における説明、例示と同じである。
【0089】
本発明の製造方法において、前記式(M−2)で表される化合物の割合は、前記式(M−1)で表される化合物を100重量部としたとき、通常、80〜120重量部であり、好ましくは90〜110重量部であり、より好ましくは95〜105重量部である。
【0090】
[ホスフィン化合物を配位子とした遷移金属錯体]
本発明の製造方法で用いられるホスフィン化合物を配位子とした遷移金属錯体は、ホスフィン化合物を配位子としたパラジウム錯体であることが好ましい。なお、ホスフィン化合物を配位子とした遷移金属錯体は、遷移金属錯体とホスフィン化合物を別々に反応系中に加えて、反応系内で調製してもよい。
【0091】
パラジウム錯体としては、例えば、[トリス(ジベンジリデンアセトン)]ジパラジウム、[トリス(ジベンジリデンアセトン)]ジパラジウム・クロロホルム付加体、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム、塩化パラジウム、酢酸パラジウム、ビス(アセトニトリル)ジクロロパラジウム、ビス(トリフェニルホスフィン)ジクロロパラジウム、ビス(ベンゾニトリル)ジクロロパラジウム、パラジウム[テトラキス(トリフェニルホスフィン)]が挙げられ、好ましくは、[トリス(ジベンジリデンアセトン)]ジパラジウム、[トリス(ジベンジリデンアセトン)]ジパラジウム・クロロホルム付加体、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム、塩化パラジウム、酢酸パラジウム、ビス(アセトニトリル)ジクロロパラジウム、ビス(ベンゾニトリル)ジクロロパラジウムであり、より好ましくは、[トリス(ジベンジリデンアセトン)]ジパラジウム、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム、[トリス(ジベンジリデンアセトン)]ジパラジウム・クロロホルム付加体、酢酸パラジウムであり、更に好ましくは、[トリス(ジベンジリデンアセトン)]ジパラジウム、酢酸パラジウムである。
【0092】
本発明の製造方法において、前記ホスフィン化合物を配位子とした遷移金属錯体の割合は、前記式(M−1)で表される化合物及び前記式(M−2)で表される化合物のモル数の合計に対して、0.0001〜20モル当量が好ましく、0.0005〜10モル当量がより好ましく、0.001〜5モル当量が更に好ましい。
【0093】
本発明の製造方法では、ホスフィン化合物を配位子とした遷移金属錯体を、遷移金属錯体とホスフィン化合物を別々に反応系中に加えて、反応系内で調製することが好ましい。ホスフィン化合物としては、置換若しくは非置換のアリール基が少なくとも1つリン原子に結合したホスフィン化合物が挙げられ、中でも、置換若しくは非置換のアリール基が3つリン原子に結合したホスフィン化合物が特に好ましい。
【0094】
置換若しくは非置換のアリール基が3つリン原子に結合したホスフィン化合物としては、例えば、トリフェニルホスフィン、トリス(2−メチルフェニル)ホスフィン、トリス(3−メチルフェニル)ホスフィン、トリス(4−メチルフェニル)ホスフィン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホスフィン、トリス(4−フルオロフェニル)ホスフィン、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(3−メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(4−メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(2,4,6−トリメトキシフェニル)ホスフィン、トリス(3−クロロフェニル)ホスフィン、トリス(4−クロロフェニル)ホスフィンが挙げられ、トリス(2−メチルフェニル)ホスフィンが好ましい。
【0095】
前記ホスフィン化合物の使用量は、パラジウム錯体のモル数に対して、通常0.2〜20当量、好ましくは0.5〜10当量、更に好ましくは1〜5当量である。
【0096】
パラジウム錯体のうち、あらかじめホスフィンが配位されたPd錯体を用いる場合、単独で使用してもよいし、更にホスフィン化合物を追加して用いてもよい。
【0097】
[塩基]
本発明の製造方法で用いられる塩基としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、リン酸カリウム、水酸化バリウム、フッ化セシウムが挙げられ、好ましくは、リン酸カリウムである。
【0098】
塩基は、そのまま用いてもよいが、水溶液として用いることが好ましい。
【0099】
塩基を水溶液として用いる場合、水の割合は、通常、塩基の割合を1重量部としたとき、通常、0.1〜50重量部であり、好ましくは0.5〜20重量部であり、より好ましくは1〜10重量部である。
【0100】
本発明の製造方法において、塩基の使用量は、前記式(M−1)で表される化合物及び前記式(M−2)で表される化合物の合計を1モル部としたとき、通常、0.1〜20モル部であり、好ましくは0.2〜10モル部であり、より好ましくは0.5〜10モル部である。
【0101】
[溶媒]
本発明の製造方法において、縮合重合は、水、有機溶媒等の溶媒中で行うが、水及び有機溶媒の混合溶媒中、又は、有機溶媒中で行うことが好ましい。有機溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン(o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、及び、それらの混合物)、メシチレン、エチルベンゼン、クロロベンゼン、ニトロベンゼン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジクロロメタン、1,2−ジメトキシエタンが挙げられ、好ましくは、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、1,2−ジメトキシエタンであり、より好ましくはトルエン、ジクロロメタン、テトラヒドロフランであり、より好ましくは、ジクロロメタン、テトラヒドロフランである。
【0102】
溶媒の割合は、通常、前記式(M−1)で表される化合物及び前記式(M−2)で表される化合物の合計を1重量部としたとき、通常、0.1〜100重量部であり、好ましくは1〜50重量部であり、より好ましくは2〜30重量部である。
【0103】
本発明の製造方法では、縮合重合の反応温度は、通常、0〜110℃であり、好ましくは25〜90℃であり、より好ましくは25〜70℃である。
【0104】
本発明の製造方法では、縮合重合の反応時間は、反応温度等の条件によるが、通常、5時間以上であり、好ましくは10〜200時間であり、より好ましくは10〜100時間である。
【0105】
本発明の製造方法では、縮合反応の終了後、例えば、反応混合物と、該反応混合物に含まれる高分子化合物を実質的に溶解しない溶媒とを、混合したりろ過したりすることにより、該高分子化合物を析出及び単離することができる。単離した高分子化合物の分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー等の通常の分析手段により分析することができる。
【0106】
前記高分子化合物を実質的に溶解しない溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、アセトニトリルが挙げられ、水又はメタノールが好ましい。
【0107】
本発明の製造方法により得られる高分子化合物は、下記式(P−1):
【0108】
【化20】

[式(P−1)中、
Ar及びAr’は、前記と同じ意味を有する。
n1及びn2はそれぞれ独立に、構成単位数を表す。Ar及びAr’が複数個ある場合、各々、同一であっても異なっていてもよい。]
で表される。
【0109】
前記式(P−1)で表される高分子化合物としては、例えば、以下の高分子化合物33〜66が挙げられる。なお、これらの高分子化合物において、nn、x、y、z及びxxは、繰り返し単位数を表す。その他の記号は、前記と同じ意味を表す。
【0110】
【化21】

【0111】
【化22】

【0112】
【化23】

【0113】
【化24】

【0114】
【化25】

【0115】
【化26】

【0116】
【化27】

【0117】
【化28】

【0118】
【化29】

【0119】
【化30】

【0120】
【化31】

【0121】
【化32】

【0122】
【化33】

【0123】
【化34】

【0124】
【化35】

【0125】
【化36】

【0126】
【化37】

【0127】
【化38】

【実施例】
【0128】
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明する。
【0129】
本実施例において、ポリスチレン換算の数平均分子量及び重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC、島津製作所製、商品名:LC−10Avp)により求めた。測定する高分子化合物は、約0.5重量%の濃度になるようテトラヒドロフランに溶解させ、GPCに30μL注入した。GPCの移動相にはテトラヒドロフランを用い、0.6mL/分の流速で流した。カラムは、TSKgel SuperHM−H(東ソー製)2本とTSKgel SuperH2000(東ソー製)1本を直列に繋げた。検出器には示差屈折率検出器(島津製作所製、商品名:RID−10A)を用いた。
【0130】
<実施例1>
反応容器内の気体を不活性ガス雰囲気とした後、下記式:
【0131】
【化39】

で表される化合物1(2.1762g,7.00mmol)、下記式:
【0132】
【化40】

で表される化合物2(3.96194g,7.00mmol)、[トリス(ジベンジリデンアセトン)]ジパラジウム(32.0mg)、トリス(2−メチルフェニル)ホスフィン(43.5mg)、及び、ジクロロメタン(45mL)を混合し、40℃に加熱した。得られた反応液にリン酸カリウム(4.54g,21.0mmol)、及び、水(7.0mL)を加え、44時間還流させた。得られた反応混合物の溶液をメタノールに滴下し、撹拌した後、得られた沈殿物をろ取し、乾燥させることにより、高分子化合物1を2.50g(収率83%)得た。高分子化合物1のポリスチレン換算の数平均分子量は3.5×104であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は1.1×105であった。
【0133】
高分子化合物1は、仕込み原料から求めた理論値では、下記式:
【0134】
【化41】

で表される構成単位と、下記式:
【0135】
【化42】

で表される構成単位とが、50:50のモル比で構成されてなる高分子化合物である。
【0136】
<実施例2>
反応容器内の気体を不活性ガス雰囲気とした後、下記式:
【0137】
【化43】

で表される化合物1(2.1762g,7.00mmol)、下記式:
【0138】
【化44】

で表される化合物2(3.96194g,7.00mmol)、[トリス(ジベンジリデンアセトン)]ジパラジウム(32.0mg)、トリス(2−メチルフェニル)ホスフィン(43.5mg)、及び、テトラヒドロフラン(60mL)を混合し、40℃に加熱した。得られた反応液に、リン酸カリウム(4.54g,21.0mmol)、及び、水(7.0mL)を加え、42時間還流させた。得られた反応混合物の溶液をメタノールに滴下し、撹拌した後、得られた沈殿物をろ取し、乾燥させることにより、高分子化合物2を1.99g(収率77%)得た。高分子化合物2のポリスチレン換算の数平均分子量は3.8×104であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は1.5×105であった。
【0139】
高分子化合物2は、仕込み原料から求めた理論値では、下記式:
【0140】
【化45】

で表される構成単位と、下記式:
【0141】
【化46】

で表される構成単位とが、50:50のモル比で構成されてなる高分子化合物である。
【0142】
<実施例3>
反応容器内の気体を不活性ガス雰囲気とした後、下記式:
【0143】
【化47】

で表される化合物1(1.8559g,6.00mmol)、下記式:
【0144】
【化48】

で表される化合物2(0.8490g,1.5mmol)、下記式:
【0145】
【化49】

で表される化合物3(3.3007g,3.6mmol)、下記式:
【0146】
【化50】

で表される化合物4(0.4789g,0.9mmol)、[トリス(ジベンジリデンアセトン)]ジパラジウム(27.5mg)、トリス(2−メチルフェニル)ホスフィン(36.5mg)、及び、ジクロロメタン(40mL)を混合し、40℃に加熱した。得られた反応液に、リン酸カリウム(3.81g,18.0mmol)、及び、水(6.0mL)を加え、42時間還流させた。得られた反応混合物の溶液をメタノールに滴下し、撹拌した後、得られた沈殿物をろ取し、乾燥させることにより、高分子化合物3を3.25g(収率84%)得た。高分子化合物3のポリスチレン換算の数平均分子量は4.4×104であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は1.2×105であった。
【0147】
高分子化合物3は、仕込み原料から求めた理論値では、下記式:
【0148】
【化51】

で表される構成単位と、下記式:
【0149】
【化52】

で表される構成単位と、下記式:
【0150】
【化53】

で表される構成単位と、下記式:
【0151】
【化54】

で表される構成単位とが、50:12.5:30:7.5のモル比で構成されてなる高分子化合物である。
【0152】
<比較例1>
反応容器内の気体を不活性ガス雰囲気とした後、下記式:
【0153】
【化55】

で表される化合物5(2.6824g,7.00mmol)、下記式:
【0154】
【化56】

で表される化合物2(3.96194g,7.00mmol)、[トリス(ジベンジリデンアセトン)]ジパラジウム(32.0mg)、トリス(2−メチルフェニル)ホスフィン(43.5mg)、及び、ジクロロメタン(45mL)を混合し、40℃に加熱した。得られた反応液に、リン酸カリウム(4.54g,21.0mmol)、及び、水(7.0mL)を加え、44時間還流させた。得られた反応混合物の溶液をメタノールに滴下し、撹拌した後、得られた沈殿物をろ取し、乾燥させることにより、高分子化合物C1を2.89g(収率70%)得た。高分子化合物C1のポリスチレン換算の数平均分子量は6.9×103であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は1.3×104であった。
【0155】
高分子化合物C1は、仕込み原料から求めた理論値では、下記式:
【0156】
【化57】

で表される構成単位と、下記式:
【0157】
【化58】

で表される構成単位とが、50:50のモル比で構成されてなる高分子化合物である。
【0158】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(M−1):
【化1】

[式(M−1)中、
Arは、Rを置換基として有していてもよいナフタレンジイル基、Rを置換基として有していてもよいアントラセンジイル基、又は、Rを置換基として有していてもよいピレンジイル基を表す。
1及びR2はそれぞれ独立に、水素原子、非置換若しくは置換のアルキル基、又は、非置換若しくは置換のアリール基を表す。
3は、非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアルコキシ基、非置換若しくは置換のアリール基、非置換若しくは置換のアリールオキシ基、非置換若しくは置換の1価の芳香族複素環基、非置換若しくは置換のシリル基、フッ素原子、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、又は、シアノ基を表す。
aaは0以上の整数である。bbは2である。2個存在するR1及びR2は、各々、同一であっても異なっていてもよい。R3が複数個ある場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。]
で表される化合物と、下記式(M−2):
【化2】

[式(M−2)中、
Ar’は、非置換若しくは置換の2価の芳香族炭化水素基、複素環の骨格を構成するヘテロ原子として窒素原子若しくは酸素原子を有する非置換又は置換の2価の芳香族複素環基、又は、非置換若しくは置換の2価の芳香族アミン残基を表す。
4は、反応性基を表す。
ccは2である。2個存在するRは、同一であっても異なっていてもよい。]
で表される化合物と、を溶媒中において、ホスフィン化合物を配位子とした遷移金属錯体、及び、塩基の存在下で、縮合重合させることを含む、下記式(P−1):
【化3】

[式(P−1)中、
Ar及びAr’は、前記と同じ意味を有する。
n1及びn2はそれぞれ独立に、構成単位数を表す。Ar及びAr’が複数個ある場合、各々、同一であっても異なっていてもよい。]
で表される高分子化合物の製造方法。
【請求項2】
前記式(M−1)で表される化合物が、下記式(1)で表される化合物、下記式(2)で表される化合物、又は、下記式(3)で表される化合物である、請求項1に記載の高分子化合物の製造方法。
【化4】

[式(1)中、
1、R2及びR3は、前記と同じ意味を有する。
aは2であり、bは0〜6の整数である。2個存在するR1及びR2は、各々、同一であっても異なっていてもよい。R3が複数個ある場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。]
【化5】

[式(2)中、
1、R2及びR3は、前記と同じ意味を有する。
cは2であり、dは0〜8の整数である。2個存在するR1及びR2は、各々、同一であっても異なっていてもよい。R3が複数個ある場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。]
【化6】

[式(3)中、
1、R2及びR3は、前記と同じ意味を有する。
eは2であり、f及びgはそれぞれ独立に0〜4の整数である。2個存在するR1及びR2は、各々、同一であっても異なっていてもよい。R3が複数個ある場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。]
【請求項3】
前記式(M−1)で表される化合物が、前記式(1)で表される化合物である、請求項2に記載の高分子化合物の製造方法。
【請求項4】
前記式(M−2)で表される化合物の少なくとも1つが、下記式(4)で表される化合物、又は、下記式(5)で表される化合物である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の高分子化合物の製造方法。
【化7】

[式(4)中、
Ar1は、非置換若しくは置換のアリーレン基、又は、複素環の骨格を構成するヘテロ原子として窒素原子若しくは酸素原子を有する非置換又は置換の2価の芳香族複素環基を表す。
1及びX2はそれぞれ独立に、反応性基を表す。]
【化8】

[式(5)中、
Ar2、Ar3及びAr4はそれぞれ独立に、非置換若しくは置換のアリーレン基、又は、複素環の骨格を構成するヘテロ原子として窒素原子若しくは酸素原子を有する非置換又は置換の2価の芳香族複素環基を表す。
7及びR8はそれぞれ独立に、水素原子、非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアリール基、又は、非置換若しくは置換の1価の複素環基を表す。
hは0又は1である。
3及びX4はそれぞれ独立に、反応性基を表す。]
【請求項5】
前記式(4)で表される化合物の少なくとも1つが、下記式(6)で表される化合物である、請求項4に記載の高分子化合物の製造方法。
【化9】

[式(6)中、
9及びR10はそれぞれ独立に、水素原子、非架橋性アルキル基、又は、非架橋性アリール基を表す。
1及びX2は、前記と同じ意味を有する。]
【請求項6】
前記式(4)で表される化合物の少なくとも1つが、下記式(7)で表される化合物である、請求項4又は5に記載の高分子化合物の製造方法。
【化10】

[式(7)中、
11は、架橋性基を表す。
12は、水素原子、架橋性基、非架橋性アルキル基、又は、非架橋性アリール基を表す。
1及びX2は、前記と同じ意味を有する。]
【請求項7】
前記式(5)で表される化合物の少なくとも1つが、下記式(8)で表される芳香族化合物である、請求項4〜6のいずれか一項に記載の高分子化合物の製造方法。
【化11】

[式(8)中、
13は、架橋性基を表す。
14は、架橋性基、非架橋性アルキル基、又は、非架橋性アリール基を表す。kは0又は1である。
3及びX4は、前記と同じ意味を有する。]
【請求項8】
前記aaが、0である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の高分子化合物の製造方法。
【請求項9】
前記溶媒が、ハロゲン化アルキル又は脂肪族エーテルである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の高分子化合物の製造方法。
【請求項10】
前記遷移金属錯体が、パラジウム錯体である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の高分子化合物の製造方法。
【請求項11】
前記ホスフィン化合物が、トリス(2−メチルフェニル)ホスフィンである、請求項1〜10のいずれか一項に記載の高分子化合物の製造方法。
【請求項12】
前記溶媒の割合が、前記式(M−1)で表される化合物及び前記式(M−2)で表される化合物の合計を1重量部としたとき、0.1〜100重量部である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の高分子化合物の製造方法。

【公開番号】特開2012−214731(P2012−214731A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−66880(P2012−66880)
【出願日】平成24年3月23日(2012.3.23)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】