説明

芳香発生装置

【課題】小型化および低背化が容易な芳香発生装置を実現する。
【解決手段】主筐体11とカバー部材12からなる筐体1には当該筐体1の内部空間110が形成されている。筐体1の内部空間110には芳香剤保持体40が備えられている。カバー部材12には、空気流入口121と空気流出口122が形成されている。空気流入口121には、圧電ブロア20が取り付けられている。空気流出口122には、受動バルブ30が取り付けられている。受動バルブ30は、弾性を有するダイヤフラムシート32を備える。圧電ブロア20が停止中には、受動バルブ30は閉じており、芳香成分が外部へ放散されない。圧電ブロア20が駆動し、圧電ブロア20から内部空間110へ空気が流入すると、内部空間110が外部よりも高圧になって受動バルブ30が開く。これにより、芳香剤保持体40から揮発した芳香成分が外部へ放散される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芳香成分を所定領域へ放散する芳香発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、気分のリフレッシュやリラックス効果のある芳香を発生させる電気機器に対する需要があり、そのための各種装置が考案されている。例えば、特許文献1には、芳香剤保持体が内部に設置された筐体と、この筐体に空気を流入する送風ポンプと、を備える芳香発生装置が記載されている。
【0003】
特許文献1の芳香発生装置には、送風ポンプから筐体内部へ空気を流入する流入口に逆止弁が備えられるとともに、送風ポンプからの送風によって、筐体内部から外部へ、芳香成分を含む空気流を放散する放出口が備えられている。そして、放出口には、駆動回路によって開閉が制御される能動バルブが備えられている。
【0004】
特許文献1の芳香発生装置では、芳香成分を放散する場合、送風ポンプを駆動させることで空気を筐体内に流入させ、さらに駆動回路を制御することにより能動バルブを開放する。これにより、筐体内部の芳香成分が空気流にのって外部へ放散される。一方、芳香成分を放散させない場合、送風を停止し、能動バルブを閉じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−310740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の芳香発生装置では、芳香成分を外部へ放出させるために、能動バルブを用いており、当該能動バルブを駆動させるために、アクチュエータと駆動回路を別途設けなければならない。したがって、芳香発生装置の構造が複雑になるとともに、小型化および低背化が難しくなってしまう。
【0007】
したがって、本発明の目的は、小型化および低背化が容易な芳香発生装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の芳香発生装置は、筐体、芳香剤保持体、圧電ブロア、および受動バルブを備える。筐体は内部空間を有し、当該内部空間は、空気流入口と空気流出口のみを介して外部へつながる。芳香剤保持体は、筐体の内部空間内に備えられている。圧電ブロアは、圧電素子が取り付けられたダイヤフラムを備えるポンプ室と、空気送出孔と空気送入孔とを備えポンプ室を囲む形状で形成された外周壁とを備える。圧電ブロアの空気送出孔は筐体の空気流入口に接続され、圧電ブロアは筐体の外部から内部空間へ空気を流入させる。受動バルブは、空気流出口に取り付けられ、圧電ブロアからの吐出圧力により内部空間の空気が外部へ放散されるように開く形状からなる。
【0009】
この構成では、吐出圧力を高くできる圧電ブロアを用いることで、当該圧電ブロアの送風制御により受動バルブの開閉も制御できる。したがって、能動バルブのような駆動回路やアクチュエータを用いずとも、筐体内部に備えられた芳香剤保持体から発する芳香成分を、制御して外部へ放散させることができるので、小型および低背な芳香発生装置を実現することができる。
【0010】
また、この発明の芳香発生装置では、空気流入口の内部空間側に受動バルブをさらに取り付けることも可能である。この構成では、空気流入口側にも受動バルブが取り付けられることで、圧電ブロアが送風を行わないときにおける内部空間の密閉度が向上する。すなわち、芳香成分を放散させたくない状況での不要な放散を防止できる。
【0011】
また、この発明の芳香発生装置では、筐体に空気流出口を複数備え、複数の空気流出口のそれぞれに受動バルブを取り付けることも可能である。この構成では、芳香成分が放散する空気流出口が複数あるため、放散範囲を広くすることができる。
【0012】
また、この発明の芳香発生装置では、筺体の一面に空気流入口および空気流出口を形成し、圧電ブロアと受動バルブを筺体の同一面に取り付ける構造にすることができる。この構成では、芳香発生装置をより低背にすることができる。
【0013】
また、この発明の芳香発生装置では、筐体は、特定面が開放した主筐体と該主筐体の特定面を覆うように着脱可能に取り付けられたカバー部材とを有することが好ましい。この構成では、カバー部材を主筐体から取り外すことで、内部空間が開放し、芳香剤保持体の挿入や取り替えを容易に行うことができる。
【0014】
また、この発明の芳香発生装置では、カバー部材に空気流入口および空気流出口を形成し、カバー部材の主筐体が着脱される主面と反対側の主面に圧電ブロアと受動バルブを取り付ける構造にすることができる。この構成では、カバー部材に圧電ブロアと受動バルブを取り付けた後に、カバー部材を主筐体に取り付けるので、組み立てが容易になる。
【発明の効果】
【0015】
小型および低背な芳香発生装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る芳香発生装置10の平面図および側面図である。
【図2】圧電ブロア20の構成を示す図である。
【図3】圧電ブロア20の送風機構を説明する図である。
【図4】受動バルブ30の分解斜視図である。
【図5】芳香発生装置10の動作を説明するための側面断面図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る芳香発生装置10Aの側面図である。
【図7】本発明の第3の実施形態に係る芳香発生装置10Bの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の第1の実施形態に係る芳香発生装置について、図1を参照して説明する。図1(A)は本実施形態に係る芳香発生装置10の平面図であり、図1(B)は芳香発生装置10の側面図である。
【0018】
芳香発生装置10は、筐体1と、圧電ブロア20と、平板状の受動バルブ30とを備える。
【0019】
筺体1は、例えば樹脂から形成されており、平面視して各辺が40mm×20mmであり、厚みが5mmである。筺体1は、主筺体11とカバー部材12とから形成されており、内部空間110を備える。主筐体11は、一面が開放した直方体形状の箱体から形成されている。カバー部材12は、主筐体11の内部空間が密閉されるように取り付けられている。筐体の内部空間110には、複数の芳香剤保持体40が備えられている。なお、このように、主筐体11とカバー部材12から筐体1を構成することで、芳香剤保持体40の挿入や取り替えを容易に行うことができる。
【0020】
カバー部材12には、当該カバー部材12の厚み方向に貫通する孔からなる空気流入口121と空気流出口122が形成されている。これにより、主筐体11とカバー部材12とにより密閉された筐体1の内部空間110は、これら空気流入口121および空気流出口122のみにより、外部と通じている。これら空気流入口121および空気流出口122は、カバー部材12の長手方向に沿って所定距離離間した位置に形成されている。
【0021】
圧電ブロア20は、後述する自身のノズル212が空気流入口121に内に収まるように、カバー部材12に取り付けられている。この際、圧電ブロア20は、カバー部材12における主筐体11を覆う主面と反対側の主面に取り付けられている。
【0022】
ここで、具体的に、圧電ブロア20の構造について説明する。図2は圧電ブロア20の構成を示す図であり、図2(A)は外観斜視図、図2(B)は正面図、図2(C)は側面断面図である。
【0023】
圧電ブロア20はブロア筐体210を備える。このブロア筐体210の外形寸法は、例えば正面視して各辺(高さおよび幅に相当)が15mmから30mmのものであり、厚み(奥行きに相当)が2mmである。ブロア筐体210は、例えば、平板形状の本体211とノズル212と背面部材213とを備える。これら本体211と背面部材213が本発明の「外周壁」に相当する。本体211は、正面視して方形状の正面壁211Fと、該正面壁211Fの四側辺から正面壁211Fに対して垂直に延びるように形成された側面壁211Sとからなる。本体211の正面壁211Fの略中央には、所定の径からなり、空気送出孔200を有するノズル212が形成されている。また、ブロア筐体210の背面側には、空気送入孔260が形成された背面部材213が設置されている。空気送入孔260は、正面視して円形となる円形開口からなる。
【0024】
ブロア筐体210内には、ポンプ正面壁221R、ポンプ側面壁221S、ダイヤフラム240からなるポンプ本体が配設されている。
【0025】
ポンプ正面壁221Rは、ブロア筐体210の正面壁211Fに対して、ポンプ正面壁221Rとブロア筐体210の正面壁211Fとの間に、正面視して所定の径を有する空間からなる前室271と所定幅の空間からなる四つの正面側通気路270とが配設されるように、形成されている。前室271は、平面視した中心が、空気送出孔200の中心と略一致するように、形成されている。各正面側通気路270は、前室271に一方端がつながり、他方端がブロア筐体210を正面視した各角部付近まで延びるように形成されている。これら正面側通気路270の他方端は、ブロア筐体210の正面壁211Fおよび側面壁211Sと、ポンプ正面壁221Rとから形成される空間である各側面側通気路272の一方端部に連通している。
【0026】
また、ポンプ正面壁221Rの略中央には、ポンプ用流出入孔222が形成されている。ポンプ用流出入孔222は、中心軸が、ブロア筐体210の空気送出孔200の中心軸と略一致するように、形成されている。また、ポンプ用流出入孔222は、空気送出孔200以下の径で形成されている。
【0027】
ポンプ側面壁221Sは、ブロア筐体210の背面側から正面側を向く方向に沿って延びる所定径からなる四つの側面側通気路272がブロア筐体210内に配設されるように、ブロア筐体210の側面壁211Sに対して形成されている。
【0028】
ポンプ側面壁221Sのポンプ正面壁221Rと反対側の端部には、ダイヤフラム240が配設されている。ダイヤフラム240は弾性を有する板状であり、例えば樹脂から構成されている。ダイヤフラム240は、駆動電圧が印加されていないときの主平面が、空気送出孔200およびポンプ用流出入孔222の中心軸に対して略垂直になるように設置されている。ダイヤフラム240、対向するポンプ正面壁221R、およびポンプ側面壁221Sにより、中空のポンプ室230が形成される。そして、ポンプ室230は、ポンプ用流出入孔222のみによって、前室271に連通している。
【0029】
ダイヤフラム240の背面側(ポンプ室230と反対側)の面には、圧電素子250が配設されている。圧電素子250は例えばチタン酸ジルコン酸鉛系セラミックスから構成されている。圧電素子250には図示しない駆動電圧印加用電極が形成されており、当該駆動電圧印加用電極に駆動電圧を印加することで、圧電素子250を歪ませることができる。
【0030】
また、圧電素子250は、ブロア筐体210の背面部材213に接触しないように、形成されている。これにより、ダイヤフラム240および圧電素子250と背面部材213との間に背面側通気路が形成される。背面側通気路は、一方端が側面側通気路272につながり、他方端が空気送入孔260に連通している。
【0031】
このような構造の圧電ブロア20は、図3に示すような動作の繰り返し(状態遷移)によって、定常的に空気送入孔260から空気を送入し、空気送出孔200から正面側外方へ空気を送出する。
【0032】
図3は、圧電ブロア20の送風機構を説明するための図であり、図3(A)がダイヤフラム240をポンプ室230側へ湾曲させた状態、図3(B)、図3(D)がダイヤフラム240を駆動していない状態、図3(C)がダイヤフラム240を圧電素子250側へ湾曲させた状態を示している。
【0033】
図3(A)に示すように、圧電素子250に駆動電圧を印加してダイヤフラム240をポンプ室230側へ湾曲させると、ポンプ室230の容積が減少する。これに伴い、ポンプ室230内の空気が、ポンプ用流出入孔222から前室271、空気送出孔200を介して正面側外方へ送出される。この際、このポンプ用流出入孔222から空気送出孔200への空気の流れによって、正面側通気路270、側面側通気路272および背面側通気路を介して、空気送入孔260から送入した空気が引き込まれ、空気送出孔200から高い圧力でもって送出される。
【0034】
次に、図3(B)に示すように、圧電素子250への駆動電圧の印加が停止し、ダイヤフラム240が定常状態になると、ポンプ室230からの空気の流出は無いものの、前室271から空気送出孔200への空気の流れの慣性力は働いている。したがって、正面側通気路270、側面側通気路272および背面側通気路を介して、空気送入孔260から送入された空気が引き込まれ、空気送出孔200から送出される。
【0035】
次に、図3(C)に示すように、圧電素子250に駆動電圧を印加してダイヤフラム240を圧電素子250側へ湾曲させると、ポンプ室230の容積が増加する。しかしながら、このポンプ室230への空気の引き込み量は、慣性力により空気送出孔200へ流れる空気よりも少なく設定されている。したがって、図3(B)と同様に、正面側通気路270、側面側通気路272および背面側通気路を介して、空気送入孔260から送入された空気が引き込まれ、空気送出孔200から送出される。
【0036】
次に、図3(D)に示すように、圧電素子250への駆動電圧の印加が停止し、ダイヤフラム240が定常状態になると、ポンプ室230からの空気の流出は無いものの、前室271から空気送出孔200への空気の流れの慣性力は働いている。したがって、正面側通気路270、側面側通気路272および背面側通気路を介して、空気送入孔260から送入された空気が引き込まれ、空気送出孔200から送出される。
【0037】
そして、図3(A)に示すように、圧電素子250に駆動電圧を印加してダイヤフラム240をポンプ室230側へ湾曲させる状態に戻る。
【0038】
このように、圧電ブロア20は、空気流出量に若干の脈動はあるもの、駆動時には、定常的に空気送出孔200から空気を送出することができる。さらに、このような構成とすることで、小型且つ薄型でありながら、吐出圧力を高くすることができる。
【0039】
受動バルブ30は、図1(B)に示すように、空気流出口122の形成領域を含むようにカバー部材12に取り付けられている。この際、受動バルブ30は、カバー部材12における主筐体11と反対側の面に取り付けられている。
【0040】
ここで、具体的に、受動バルブ30の構造について説明する。図4は受動バルブ30の分解斜視図である。受動バルブ30は、ダイヤフラム支持台31、ダイヤフラムシート32、スペーサ33、およびバルブカバー34を順次積層して形成される。
【0041】
ダイヤフラム支持台31は、平面視した形状が方形状であり、厚み方向に中央領域が貫通した開口空間310を備える枠体からなる。この際、ダイヤフラム支持台31は、当該ダイヤフラム支持台31をカバー部材12に取り付けたときに、平面視して開口空間310と空気流出口122とが重なるように配設されている。ただし、ダイヤフラム支持台31は、開口空間310の所定位置に、枠体に接続し、当該枠体と同じ厚みからなる中央支持部311を備える。この中央支持部311は、ダイヤフラムシート32をダイヤフラム支持台31の表面に取り付けたときに、空気流出口122に被らず、さらに、平面視してダイヤフラムシート32に貫通孔320が重なるように形成されている。ダイヤフラム支持台31の寸法は、例えば、平面視して20mm×20mmであり、厚みが0.3mmである。
【0042】
ダイヤフラムシート32は、平面視した形状が方形状であり、例えばエラストマーからなる平膜状の弾性体からなり、所定位置に、厚み方向に貫通する貫通孔320が形成されている。前述した通り、ダイヤフラムシート32は、平面視して、貫通孔320がダイヤフラム支持台31の中央支持部311に重なるように取り付けられている。ダイヤフラムシート32の寸法は、例えば、平面視して20mm×20mmであり、厚みが0.06mmである。また、貫通孔320の径は、1.0mmである。
【0043】
スペーサ33は、平面視した形状が方形状であり、厚み方向に中央領域が貫通した開口空間330を備える枠体からなる。スペーサ33の寸法は、例えば、平面視して20mm×20mmであり、厚みが0.6mmである。
【0044】
バルブカバー34は、平面視した形状が方形状であり、厚み方向に貫通する貫通孔340が形成されている。バルブカバー34の貫通孔340は、当該バルブカバー34をスペーサ33に取り付けた場合に、ダイヤフラムシート32の貫通孔320と、平面視して重なる位置に形成されている。バルブカバー34の寸法は、例えば、平面視して20mm×20mmであり、厚みが0.3mmである。また、貫通孔340の径は、例えば1.6mmである。
【0045】
図5は芳香発生装置10の動作を説明するための側面断面図(図1(A)のA−A’断面図)であり、図5(A)は圧電ブロア20から空気を送入していない状態を示し、図5(B)は圧電ブロア20から空気を送入している状態を示している。芳香発生装置10は、次に示すように芳香剤保持体40の芳香成分を外部へ放散する。
【0046】
(i)圧電ブロア20が停止している場合
圧電ブロア20が駆動していない場合には、圧電ブロア20から筐体の内部空間110内に空気が流入されない。このため、図5(A)に示すように、受動バルブ30のダイヤフラムシート32はダイヤフラム支持台31の中央支持部311に当接する。すなわち、ダイヤフラムシート32の貫通孔320は一方端が中央支持部311によって塞がれる。これにより、筐体1の内部空間110内の芳香剤保持体40から揮発した芳香成分は、筐体1の内部空間110内にとどまり、空気流出口122から外部へ放散されない。
【0047】
(ii)圧電ブロア20が駆動している場合
圧電ブロア20が駆動すると、図5(B)の太線矢印に示すように、筐体の内部空間110内に高圧の空気が流入され、筐体1の内部空間110の圧力が上昇する。
【0048】
ここで、ダイヤフラム支持台31の開口空間310は、空気が流入していなければ、ダイヤフラムシート32とカバー部材12とによって閉空間化され、カバー部材12の空気流出口122を介して筐体1の内部空間110につながっている。このため、筐体1の内部空間110の圧力が上昇すると、筐体1の内部空間110による閉空間の圧力も上昇する。この圧力の上昇により、ダイヤフラムシート32は、バルブカバー34側に湾曲してダイヤフラム支持台31の中央支持部311から離間する。この動きにより、貫通孔320が開放される。
【0049】
すなわち、圧電ブロア20から空気が流入している間は、筐体1の内部空間110の圧力が外部の圧力よりも高くなるので、筐体1の内部空間110は、カバー部材12の空気流出口122、ダイヤフラム支持台31の開口空間310、ダイヤフラムシート32の貫通孔320、スペーサ33の開口空間330、バルブカバー34の貫通孔340を介して、外部と連通する。これにより、筐体1の内部空間110に溜められた芳香成分が空気流出口122から外部へ放散される。
【0050】
(iii)圧電ブロア20が駆動状態から停止状態に戻った場合
圧電ブロア20が停止すると、筐体1の内部空間110の圧力が低下し、外部と同じ圧力まで戻る。これにより、ダイヤフラムシート32は、弾性体の復元力により、再びダイヤフラム支持台31の中央支持部311に当接する。このため、ダイヤフラムシート32の貫通孔320は、図5(A)に示すように、一方端が中央支持部311によって塞がれる。これにより、筐体1の内部空間110内の芳香剤保持体40から揮発した芳香成分は、筐体1の内部空間110内にとどまり、空気流出口122から外部へ放散されない。
【0051】
以上のように、本実施形態の構成を用いれば、能動バルブを用いることなく、芳香成分の放散を制御することができる。また、上述のように、本実施形態の芳香発生装置10を構成する各部材は、低背化されたもののみで構成されており、芳香発生装置10を低背化することができる。すなわち、芳香発生装置を小型且つ簡素な構成で実現できる。
【0052】
次に、本発明の第2の実施形態に係る芳香発生装置について、図6を参照して説明する。図6は本実施形態に係る芳香発生装置10Aの側面図である。本実施形態の芳香発生装置10Aは、基本構造は第1の実施形態に係る芳香発生装置10と同じである。したがって、異なる箇所のみを具体的に説明する。
【0053】
芳香発生装置10Aの筐体1Aは、第1の実施形態に示した芳香発生装置10よりも、平面視して長手方向に長く形成されている。カバー部材12Aには、第1の実施形態と同様の空気流入口121とともに、二つの空気流出口122A1,122A2が形成されている。二つの空気流出口122A1,122A2は所定距離離間して形成されている。
【0054】
カバー部材12Aの主筐体11Aを覆う主面と反対側の主面には、空気流出口122A1を覆うように受動バルブ30A1が取り付けられている。カバー部材12Aの主筐体11Aを覆う主面と反対側の主面には、空気流出口122A2を覆うように受動バルブ30A2が取り付けられている。
【0055】
このような構成では、圧電ブロア20が駆動し、圧電ブロア20から筐体の内部空間110Aに空気が流入されると、各受動バルブ30A1,30A2が開放し、外部へ芳香成分が放散される。これにより、より広い範囲へ芳香成分を放散させることができる。
【0056】
なお、本実施形態では受動バルブを二つ備える例を示したが、三つ以上であってもよい。
【0057】
次に、本発明の第3の実施形態に係る芳香発生装置について、図7を参照して説明する。図7は本実施形態に係る芳香発生装置10Bの側面図である。本実施形態の芳香発生装置10Bも、基本構造は第1の実施形態に係る芳香発生装置10と同じである。したがって、異なる箇所のみを具体的に説明する。
【0058】
芳香発生装置10Bは、第1の実施形態に示した芳香発生装置10に対して、空気流入口121の内部空間側に、受動バルブ30Bを追加した構成からなる。
【0059】
このような構成では、圧電ブロア20が駆動し、圧電ブロア20から筐体の内部空間110Bに空気が流入されると、各受動バルブ30B,30が順次開放し、外部へ芳香成分が放散される。
【0060】
一方、圧電ブロア20が停止すると、各受動バルブ30B,30が閉まり、筐体1Aの内部空間110が密閉空間となる。したがって、空気流入口121および空気流出口122の双方において芳香成分が外部へ放散されることを防止できる。
【0061】
なお、本発明の芳香発生装置では、筐体は、それぞれに独立する複数の内部空間を有し、複数の内部空間のそれぞれに対して圧電ブロアと受動バルブを取り付けてもよい。このように構成すると、内部空間毎に異なる芳香成分の芳香剤保持体を備えておけば、多様な芳香を外部へ放散させることができる。
【0062】
また、本発明に係る圧電ブロアは上述の実施形態に限定するものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更できる。
【0063】
前記実施形態では、芳香剤保持体40は揮発性を有する芳香剤を固体のコアに染みこませたものから形成しているが、これに限るものではない。例えば液体や、ゼリー状や、オイルパッドのようなものであってもよい。
【0064】
前記実施形態では、ダイヤフラム240は樹脂から構成しているが、これに限るものではない。弾性体であれば、例えば金属から形成されていてもよい。
【0065】
前記実施形態では、圧電素子250はチタン酸ジルコン酸鉛系セラミックスから構成しているが、これに限るものではない。例えば、ニオブ酸カリウムナトリウム系及びアルカリニオブ酸系セラミックス等の非鉛系圧電体セラミックスの圧電材料などから構成してもよい。
【0066】
前記実施形態では、ダイヤフラムシート32はエラストマーから形成しているが、これに限るものではない。弾性体であれば、例えばシリコーンゴムや樹脂等から形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0067】
10,10A,10B,:芳香発生装置、
1,1A,1B:筐体、
11,11A,11B:主筐体、110,110A,110B:内部空間、12:カバー部材、121:空気流入口、122,122A1,122A2:空気流出口、
20:圧電ブロア、200:空気送出孔、210:ブロア筐体、211:本体、211F:正面壁、211S:側面壁、212:ノズル、222:ポンプ用流出入孔、230:ポンプ室、240:ダイヤフラム、250:圧電素子、260:空気送入孔、270:空気流通路、271:前室、272:側面側通気路、
30,30A1,30A2,30B:受動バルブ、31:ダイヤフラム支持台、310:開口空間、311:中央支持部、32:ダイヤフラムシート、320:貫通孔、33:スペーサ、330:開口空間、34:バルブカバー、340:貫通孔、
40:芳香剤保持体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気流入口と空気流出口を備える筐体と、
該筐体の内部空間内に備えられた芳香剤保持体と、
圧電素子が取り付けられたダイヤフラムを備えるポンプ室と、空気送出孔と空気送入孔とを備え前記ポンプ室を囲む形状で形成された外周壁とを備え、前記空気送出孔が前記筐体の前記空気流入口に接続され、前記筐体の外部から前記内部空間へ空気を流入させる圧電ブロアと、
前記空気流出口に取り付けられ、前記圧電ブロアの吐出圧力により前記内部空間の空気が外部へ放散されるように開く受動バルブと、を備えた芳香発生装置。
【請求項2】
前記空気流入口の前記内部空間側に、受動バルブが更に取り付けられている、請求項1に記載の芳香発生装置。
【請求項3】
前記筐体は、前記空気流出口を複数備え、
前記複数の空気流出口のそれぞれに、前記受動バルブが取り付けられている、請求項1または請求項2に記載の芳香発生装置。
【請求項4】
前記筐体の一面に前記空気流入口および前記空気流出口が形成されており、
前記圧電ブロアと前記受動バルブとが前記筐体の同一面に取り付けられている、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の芳香発生装置。
【請求項5】
前記筐体は、特定面が開放した主筐体と、該主筐体の前記特定面を覆うように着脱可能に取り付けられたカバー部材とを有する、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の芳香発生装置。
【請求項6】
前記カバー部材に前記空気流入口および前記空気流出口が形成されており、
前記カバー部材の前記主筐体が着脱される主面と反対側の主面に、前記圧電ブロアと前記受動バルブが取り付けられている、請求項5に記載の芳香発生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−228287(P2012−228287A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−96682(P2011−96682)
【出願日】平成23年4月25日(2011.4.25)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】