説明

芳香組成物

本発明は、少なくとも 1 種の香油、及び 20 ℃〜100 ℃の融点又は流動点を有する少なくとも 1 種の添加剤を含んでなる芳香組成物に関する。前記組成物は、18 ℃までの温度では高粘度又は固体であり、110 ℃以下の温度では実質上分解することなく液状溶融状態に転化する。本発明はまた、香油の凝固方法、及び基材表面の長期持続性芳香付与方法に関する。本発明は更に、前記芳香組成物の使用、並びに前記芳香組成物を含む洗剤、洗浄剤及び繊維製品後処理剤に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、18 ℃までの温度で高粘度又は固体であり、少なくとも 1 種の香料又は香油、及び 20〜100 ℃の範囲の融点又は流動点を有する少なくとも 1 種の添加剤を含んでなり、110 ℃以下の温度で実質上分解することなく溶融液体状態となる、芳香組成物に関する。本発明は更に、このような芳香組成物の製造方法、及び例えば部屋に芳香を付与するためのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
香料、アロマ及び香油のない日常生活は、想像できないであろう。古くから、それらは、人類文化において、第一に祭儀での使用、やや遅れて美容手入れにも、重要な役割を果たしてきた。現代においても同様に、例えば、芳香付与製品の分野、パーソナルケア製品の分野、又は洗剤及びクレンザーの分野において、それらは、顕著かつなお高まりつつある重要性を有している。
【0003】
香料の揮発性は、香りを知覚するために重要であり、官能基の種類及び化合物の構造に加えて、分子量も影響する。従って、ほとんどの香料は、200 ダルトンまでの分子量を有し、300 ダルトン以上の分子量は極めて例外的である。香料の異なった揮発性により、複数の芳香物質からなる香水又は芳香剤の匂いは蒸発中に変化し、匂いの効果は、「トップノート」、「ミドルノート」又は「ボディ」及び「エンドノート」又は「ドライアウト」に細分される。匂いの知覚は、ほとんどの場合、芳香強度に依存するので、香水又は芳香剤のトップノートは、高揮発性化合物によって必然的に決まり、エンドノートは、ほとんどの場合、低揮発性、即ち頑強な芳香物質からなる。香水の組成物において、高揮発性芳香物質は、例えば特定の固定剤に結合され得、それにより急な蒸発が妨げられる。
【0004】
例えば洗剤から、芳香物質を制御して放出させるための基本的な方法は、応用組成物へ芳香物質を直接添加することによる。この方法の欠点は、組成物から芳香物質が直ちに放出されることであり、それによって芳香効果が短くなり、従って、組成物の貯蔵寿命が著しく低下する。更に、多数の芳香物質、特にアルデヒド及びアルコールに見られる、大気中の酸素に対する低い化学安定性が観察された。このような物質のカプセル化又はシクロデキストリンへの組込みといった試みは、ほとんど成果がないか、又は原料コストが高いため不経済であった。
【0005】
芳香物質を化学誘導体化によって固定する方法は、長期持続性芳香効果を生ずるために有利であることがわかった。例えば、WO 95/04809 は、長期持続性芳香を生ずるための、リパーゼによる芳香アルコールのエステルの遅い分解を教示している。WO 97/3067 及び EP-A-816322 では、スルホネート、スルフェート及びホスホネートに結合することによって、同様の効果を得た。芳香アルコールを制御して徐放するための更なる可能性は、EP-A-0799885 に示されたようなベタインエステル、WO 98/07810 に示されたようなα-三級炭化水素エステル、WO 98/07813 に示されたようなβ-ケトエステル、或いは直鎖又は環状アセタールである。WO 94/06441 の対象は、芳香特性を有するアルデヒド/ケトン又はアルコールに基づくアセタール及びオルトエステルの酸加水分解である。
【0006】
しかしながら、芳香物質の化学誘導体化は、しばしば、高コスト又は技術的複雑さを伴い、結局のところ、芳香効果の変質を招き得る。その結果、長期持続性芳香効果を有する芳香物質に対する変わらぬ要求が存在している。
【0007】
従来技術は、この要求を満たすための更なる試みを含む。芳香物質装填シリカ粒子及びその粉末洗剤への使用は、EP-A-0820762 に記載されている。EP-A-0281034 は、芳香組成物の無機ポリマー物質への結合を教示しており、同明細書では、各ポリマーは架橋されている。これら両方の特許明細書において、芳香物質は、基本的に担体物質内に吸着されているか、又は担体上に固定されている。
【0008】
国際公開 WO 99/21953 及び WO 01/16280 は、同様に、芳香成形物、特に芳香ビーズの製造方法を扱っている。同明細書では、65〜95 重量%の担体、5〜25 重量%の芳香物質及び 10 重量%までの助剤の固形プレミックスを、造粒又は加圧凝塊形成する。ここで、これらの方法は、必然的に担体の高比率に依存してしまい、その結果として、25 重量%の最大芳香物質含有量しか達成できない。成分のこの形態は、応用分野全てにおいて望ましいわけではなく、例えば芳香強度の理由から、例えば高比率の芳香物質が要求される分野では望ましくない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、本発明の目的は、長期にわたる芳香物質又は芳香物質混合物の制御された定常的な放出(徐放、長期持続)のための代替組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、少なくとも 18 ℃までの温度で高粘度又は固体であり、少なくとも 1 種の香油、及び 20〜100 ℃の範囲の融点又は流動点を有する少なくとも 1 種の添加剤を含んでなり、110 ℃以下、好ましくは 100 ℃以下、有利には 90 ℃以下、より有利には 80 ℃以下、特に 70 ℃以下の温度で実質上分解することなく溶融液体状となる芳香組成物によって達成される。
【0011】
芳香組成物が、110 ℃以下、好ましくは 100 ℃以下、有利には 90 ℃以下、より有利には 80 ℃以下、特に 70 ℃以下の温度で実質上分解することなく溶融液体状となることに伴う利点は、芳香組成物が溶融する際、場合により必要とされ得るが、香油成分が芳香組成物から実質上追い出されないことが、比較的穏やかな融点により保証されるという事実による。例として、例えば 250 ℃で最初に溶融する芳香成形物は、必要に応じて液状溶融状態に転化され得るが、このような温度で、対象中に存在する香油成分は、例えばこれらの成分の蒸発によって急速に追い出され得ることが直ちに理解できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
用語「実質上分解することなく」とは、ある材料又は化合物又は物質及びそれ故これらの物質を含む対象物が、熱エネルギーの導入により分解され得るという事実を考慮している。これは、問題となっている物質が、本来の目的にもはや適さない状態に転化されてしまうように、構造上変化されることを意味する。例として、架橋ポリマーを挙げることができる。架橋ポリマーを、不可逆的変化なしに、流動状態に変形することはできない。架橋ポリマーとは異なって、本発明の芳香組成物は、実質上分解することなく液状溶融状態に転化する事を特徴とする。これは、液状溶融状態への転化に必要な特定の温度負荷の下、本発明の組成物が主要な分解をせず、流動状態への転化及び続く固体状態への再転化後でさえ、問題なく本来の目的に再び使用できることを意味する。この逆が、例えば、液状溶融状態への転化の際に分解する対象物であり、固体状態への再転化後、例えば、視覚的外観、表面の感じ、匂い又は他の特徴に関して、該対象物は初期状態とは明らかに異なる。
【0013】
実際には、「実質上分解することなく」とは、固体状態から液体状態への転移及び固体状態に戻る際の転移から生じる芳香組成物の重量損失が、好ましくは最大 10 重量%、有利には最大 5 重量%、より有利には最大 1 重量%、ことさら有利には最大 0.5 重量%(総組成物に基づく重量%)であって、特に重量損失がない、即ち、芳香組成物が、重量損失することなく溶融し、その後、固体状態に戻れるように、芳香組成物の液状溶融状態への転化が行われることを意味する。
【0014】
用語「芳香組成物(組成物はラテン語「componere」から派生している。構成すること。)」は、その組成が、少なくとも 2 種の成分、即ち少なくとも 1 種の香油、及び 20〜100 ℃の範囲の融点又は流動点を有する少なくとも 1 種の添加剤からなることを意味しており、その中で、香油は複数の芳香物質の均一な混合物であってもよい。
【0015】
本発明において、用語「香油」は、ヒトに好適な好ましい匂いの知覚を誘発し、それ故に例えば、工業的物品及び衛生用品、石鹸、化粧品、ボディケア製品などのような対象物への芳香付与又は芳香供給に適しており、多くの用途で使用されるような、単一物質又は物質混合物の全てを広範に包含する。従って、本発明の範囲において、香油の概念は、基本的に、エーテルのような油、芳香物質及びアロマ物質の全てを、単独で、及び 2 種から 100 種まで又はそれ以上の異なった成分の混合物として含む。しかしながら、精油及びアロマ又は芳香物質又はそれらの混合物は、本発明では特に香油の概念に含まれる。加えて、フェロモンも、厳密に言えば芳香物質ではないが、用語「香油」に明らかに含まれる。もちろん、香油の概念は、特に、伝統的な香油、即ち、例えば果物の皮を搾ることによって、ロジン、バルサム、地衣類及び蘚類から樹脂を抽出することによって、超臨界ガス法(例えば二酸化炭素)による(花の)芳香物質の超臨界流体抽出によって、又は予め調製した細断植物の蒸気蒸留によって得た香油、例えばローズ油を意味する。
【0016】
個々の芳香化合物、例えば、エステル、エーテル、アルデヒド、ケトン、アルコール及び炭化水素型の合成生成物が、例えば香油として使用できる。エステル型芳香化合物は、例えば、ベンジルアセテート、フェノキシエチルイソブチレート、p-t-ブチルシクロヘキシルアセテート、リナリルアセテート、ジメチルベンジルカルビニルアセテート、フェニルエチルアセテート、リナリルベンゾエート、ベンジルホルメート、エチルメチルフェニルグリシネート、アリルシクロヘキシルプロピオネート、スチラリルプロピオネート及びベンジルサリチレートである。エーテルは、例えばベンジルエチルエーテルを含み、アルデヒドは、例えば、8〜18 個の炭素原子を含む直鎖アルカナール、シトラール、シトロネラル、シトロネリルオキシアセトアルデヒド、シクラメンアルデヒド、ヒドロキシシトロネラル、リリアール及びブルゲオナールを含み、ケトンは、例えば、イオノン類、α-イソメチルイオノン、及びメチルセドリルケトンを含み、アルコールは、アネトール、シトロネロール、オイゲノール、ゲラニオール、リナロール、フェニルエチルアルコール及びテルピネオールを含み、炭化水素は、とりわけテルペン類及びバルサム類を含む。しかしながら、協同して快い香を発する種々の芳香物質の混合物を使用することが好ましい。
【0017】
もちろん、香油は、植物性原料又は動物性原料、例えば、マツ、シトラス、ジャスミン、パチョリ、バラ、又はイラン-イラン油から得られるような、芳香物質の天然混合物も含み得る。アロマ成分として使用されることの多い低揮発性エーテル油は、香油として適しており、例えば、セージ油、カモミール油、丁子油、メリッサ油、ミント油、シナモン葉油、ライム花油、ジュニパーベリー油、ベチベル油、乳香油、ガルバヌム油及びラブダナム油である。
【0018】
芳香組成物が 18 ℃までの温度で高粘度又は固体であるということにより、芳香組成物の拡散率が通常の液状香油の拡散率より有意に低いので、長期持続性芳香効果を得ることができる。如何なる理論にもよらないが、芳香組成物の拡散率が、液状香油の拡散率より概して少なくとも 2 桁小さいという前提に立っている。
【0019】
故に、芳香物質は、芳香組成物から連続的ではあるが非常にゆっくりと放出される。従って、本来の香油と比較して遅延された芳香効果が得られる。
【0020】
20 ℃でのブルックフィールド粘度が、2,500 mPas、有利には 5,000 mPas、特に 7,500 mPas、好ましくは 10,000 mPas、特に好ましくは 25,000 mPas の値を超えるとき(ブルックフィールド粘度計モデル DV II、スピンドル 3 を用いて 20 rpm で粘度測定)、芳香組成物は高粘度であるとみなされる。
【0021】
この非常にゆっくりとした、しかし連続した芳香放出は、多くの点で有利である。加えて、分析検出限界より遥かに低い、即ち極めて希薄な場合でさえ、その芳香がヒトによって感知される多数の化合物が存在するという点において、特別な利点がある。本発明では、芳香組成物は、高濃度に容易に処理できる、これらの極めて強い芳香化合物の配置又は供給の可能性を与える。これらの化合物は、別の方法では強力な芳香強度を有するので、今までは、強すぎる芳香を回避するためには、非常に希釈した状態でこれらの化合物を扱うことしかできなかった。芳香組成物は、本発明では、理想的に、これらの芳香強力化合物をゆっくりかつ連続して放出することを可能にする。しかしながら、上記した従来技術と比較して、ある程度ゆっくりかつ連続した芳香放出を可能にする更なる利点がある。上記した従来技術は、基本的に、芳香物質を担体材料に吸着するか、又は芳香物質を担体上に固定する概念を提供する。これにより生じる欠点は明らかである。例えば、シリカと芳香物質又は架橋無機ポリマーマトリックスと芳香物質から作られた芳香成形物品は、多かれ少なかれ、不可逆な形状又は状態を有し、質的に重大な損失を伴うことなく溶融することは不可能である。
【0022】
これに対し、本発明の組成物は、110 ℃以下の温度で実質上分解することなく液状溶融状態に転化されるので、楽に変形させることができる。そうすることで、本発明の芳香組成物は、例えば、芳香特性に関して、質的に重大な損失を被ることはない。一方、従来技術の組成物では、例えば架橋無機ポリマーマトリックスと芳香物質からなる構造は、ポリマーの架橋の結果として高温で分解するので、後の状態又は形状変化に関する自由度が非常に制限される。芳香物質がシリカに吸着されている組成物は、理論的には溶融しかできない。しかしながら、シリケートが溶融するまでに必要な又は到達する結果としての温度では、如何なる香油も分解する。
【0023】
本発明の組成物の更なる利点は、特に WO 99/21953 及び WO 01/16280 に従った芳香ビーズに関して、該芳香ビーズの全てが、最大 25 重量%の芳香物質率しか有さないことである。これは、本発明の組成物には全く適用されない重大な制限である。組成物中の芳香物質の量は、以下に更に説明するように、25 重量%を著しく超える量まで問題なく調節できる。
【0024】
本発明の更なる利点は、通常の香油と比較して、著しく向上した芳香組成物の貯蔵安定性である。第一に、本来、芳香組成物は、通常の香油のように迅速に揮発しない。第二に、芳香組成物は、著しい酸素安定性を有する。ある場合には、これは、従来技術に従った芳香組成物の場合でもあり得る。しかしながら、本発明では、貯蔵安定性と可逆的形状形成の組合せを考慮しなければならない。例えば、本発明の組成物を、大きなモノリシックな塊の状態で貯蔵することができる。必要に応じて、塊の相当量又は一部分を、塊を暖めることによって取り出すことができる。この概念は、例えば、シリカ粒子を用いて理解することができる。WO 99/21953 及び WO 01/16280 に従った芳香付与ビーズは、芳香物質ではない少なくとも 75 重量%のバラストと共に貯蔵されているので、芳香物質の有効な貯蔵としての魅力はない。
【0025】
故に、芳香組成物、特に固形芳香組成物の重大な利点は、容易に変形されることに加えて、容易に溶融され、続いて再凝固され、その結果として、芳香組成物は、例えば、球状、星形又は長方形状にも製造され得ることである。このため、例えば、室温(約 20〜22 ℃)で固体の芳香組成物を、加熱して液状に転化し、その混合物を如何なる形状の型にでも注いで冷却することができる。次いで、冷却して形づくられた室温で固体の芳香組成物を型から外す。しかしながら、芳香組成物が充填された型を最終製品又は販売製品とすることも可能である。
【0026】
好ましい態様によれば、本発明の組成物は、少なくとも 20 重量%、好ましくは少なくとも 30 重量%、有利には少なくとも 40 重量%、非常に有利には少なくとも 50 重量%、特に有利には少なくとも 60 重量%、極めて有利には少なくとも 70 重量%、とりわけ有利には少なくとも 80 重量%、ことさら有利には少なくとも 90 重量%、特に少なくとも 95 重量%、しかしながら最も有利には 100 重量%の、成分である香油及び 20〜100 ℃の範囲の融点又は流動点を有する添加剤からなることを特徴とする。
【0027】
20 ℃と 100 ℃の間の融点又は流動点を有する添加剤は、融点より高い温度で、少なくとも部分的に、特に完全に、香油に溶解する。故に、本発明の更に好ましい発展形は、20 ℃〜100 ℃の範囲の融点又は流動点を有する少なくとも 1 種の添加剤が、少なくとも部分的に香油に可溶であり、好ましくは各添加剤の流動点付近で香油に基本的に完全に可溶なことである。
【0028】
更に好ましい態様では、20 ℃〜100 ℃の範囲の融点又は流動点を有する添加剤が、基本的に中立の臭いであり、好ましくは、全ての添加剤が基本的に中立の臭いである。
【0029】
これに関連して、「基本的に中立の臭い」とは、香油の芳香が、ヒトの嗅覚に場合により不快感を与える添加剤の著しく強い固有の匂いによって損なわれないことを意味する。それ故、添加剤は、好ましくは、顕著な固有の匂いを有すべきではなく、香油の芳香を低下させるべきではない。
【0030】
本発明の更に好ましい態様では、組成物は、高粘度であるか、又は特に、20 ℃まで、好ましくは 22 ℃まで、有利には 28 ℃まで、非常に有利には 32 ℃まで、特に有利には 38 ℃まで、極めて特に有利には 42 ℃まで、ことさら有利には 48 ℃までの温度で固体である。
【0031】
融点又は流動点が 20 ℃〜100 ℃の範囲に収まる添加剤の流動点が高い程、組成物の流動点をより高く調整することができる。本発明の更に好ましい態様では、高温で流動性を有する添加剤(即ち、20 ℃と 100 ℃の間の融点又は流動点を有する添加剤)又は 20 ℃より高く 100 ℃までの融点又は流動点を有する添加剤混合物の流動点は、好ましくは 25〜90 ℃の範囲、有利には 30〜70 ℃の範囲、特に 35〜60 ℃の範囲である。
【0032】
融点又は流動点が 20 ℃と 100 ℃の間である添加剤の割合は、組成物の流動点に影響を与えるだけでなく、芳香強度と芳香物質放出の持続を制御するために利用され得る。芳香組成物の同じ単位質量に対するこれら添加剤(及び任意追加の添加剤)の割合が高い程、厳密に言えば、組成物中に含まれ放出に利用可能な香油が少なくなるので、一般に、芳香強度が低くなり、従って一般に、芳香物質放出の持続期間が短くなる。
【0033】
本発明の更に好ましい態様では、組成物は、全組成物に基づいて、90 重量%まで、好ましくは 10〜80 重量%、しかしながら特に好ましくは 75 重量%未満、即ち、有利には 15〜65 重量%、非常に有利には 20〜55 重量%、ことさら有利には 28〜50 重量%の高温で流動性を有する添加剤(例えば、20 ℃と 100 ℃の間の融点又は流動点を有する添加剤)を含む。
【0034】
逆に、芳香強度及び芳香物質放出期間は、芳香組成物中の香油の含有量にも影響される。好ましい態様では、本発明の組成物は、組成物全体に基づいて、10 重量%超の香油、好ましくは 25 重量%超、有利には 26〜90 重量%、非常に有利には 30〜80 重量%、ことさら有利には 40〜75 重量%、特に 50〜72 重量%の香油を含むことを特徴とする。
【0035】
応用技術上の理由又は製造技術上の理由から、組成物が水を含むことが必要となることがある。例えば、使用される添加剤又は使用される香油が水を含んでもよい。しかしながら、組成物がほとんど水を含まないことが好ましい。従って、本発明の好ましい発展形では、組成物は、10 重量%未満、好ましくは 5 重量%未満、有利には 3 重量%未満の水を含み、特に完全に無水である。
【0036】
芳香組成物中に香油と共に存在するそれらの物質は、上記したように、20 ℃〜100 ℃の範囲の融点又は流動点を有するという要求を、有利には満たさなければならない。このような要求を満たす物質は多数存在する。本発明の更に好ましい態様では、20 ℃〜100 ℃の温度範囲の流動点を有し、芳香組成物中に含まれる物質は、脂肪アルコール、脂肪酸、シリコーン油、パラフィン、非イオン性界面活性剤、エステルクォート、天然油、ワックス及び/又はポリアルキレングリコールからなる群から選ばれるが、これらに限定されるわけではない。
【0037】
もちろん、組成物は、所望により更なる物質も含むことができる。そのような固形物は、通常、20〜100 ℃の範囲の融点又は流動点を有しておらず、固形物が融点又は流動点を実際に有する場合は 100 ℃より高い。従って、本発明の更に好ましい態様では、本発明の組成物は、固形物、好ましくは洗剤に使用される典型的な固形物を含み、その固形物の含有量は、全組成物に基づいて、好ましくは 70 重量%未満、有利には 50 重量%未満、非常に有利には 25 重量%未満、特に 15 重量%未満、最も有利には 10 重量%未満である。更に好ましい態様では、これらの固形物は、0.2 mm 未満、好ましくは 0.1 mm 未満、特に 0.05 mm 未満の d50 値を有する。
【0038】
d50 値は、平均粒径に相当する。DIN 66160:1992-09 によれば、これは、粒径分布の和が値 0.5、即ち 50 %となる特性値である。例えば、記述 d50 = a μm は、対象としている製品中の 50(重量)%の粒子が a μm より大きい直径を有し、50(重量)%が a μm 未満の直径を有することを意味する。
【0039】
洗剤に使用される典型的な固形物とは、洗濯物の洗浄過程において合理的に使用される固形物の全てを意味する。これらは当業者に知られているか、又は関連文献に見出すことができる。それにも拘わらず、更に好ましい発展形によれば、組成物が、ゼオライト、ベントナイト、シリケート、ホスフェート、ウレア及び/又はその誘導体、スルフェート、カーボネート、シトレート、クエン酸、アセテート及び/又はアニオン性界面活性剤の塩からなる群から選ばれる成分を含むように、特定の固形物が使用される。
【0040】
このような物質を含む組成物の利点は、以下に示すような、洗剤及び洗濯物の洗濯方法に関する芳香組成物の使用に関連する。微細な高表面積の固形物を組み合わせて使用することにより、香油を更に吸着し、それによって放出を更に遅延する。
【0041】
本発明の更なる対象は、少なくとも部分的に香油に可溶であり、20 ℃〜100 ℃の範囲の融点を有する添加剤の、18 ℃までの温度で高粘度又は固体であり、長期持続性芳香作用を有し、110 ℃以下の温度で実質上分解することなく溶融液体状態となる芳香組成物を製造するための使用である。同様に、従来の香油を、少なくとも部分的に香油に可溶であり、20 ℃〜100 ℃の範囲の流動点を有する添加剤と混合する香油の凝固方法は、本発明の更なる対象を表す。ただし、凝固した香油は、110 ℃以下の温度で実質上分解することなく溶融液体状態となり、18 ℃までの温度で高粘度又は固体である。
【0042】
本発明の好ましい態様では、
a)1 種以上の香油を、20 ℃と 100 ℃の間の流動点を有する添加剤と共に撹拌しながら 20〜22 ℃で混合し、次いで、
b)混合物を、添加剤の流動点の範囲、好ましくは流動点より高い温度まで加熱して、その高温を維持し、
c)任意に、更なる添加剤、特に典型的な洗剤添加剤、有利には、ゼオライト、ベントナイト、シリケート、ホスフェート、ウレア及び/又はその誘導体、スルフェート、カーボネート、シトレート、クエン酸、アセテート及び/又はアニオン性界面活性剤の塩からなる群から選ばれる添加剤を該混合物に懸濁させ、最後に、
d)該混合物を、18〜25 ℃の範囲の温度まで冷却することによって凝固させる。
【0043】
本発明の更に好ましい態様では、混合物を、加工温度で、即ち冷却前に、噴霧、小球化又は芳香製剤化し、次いで、冷却により高粘度又は固体状に転化させる。その結果、特に、微細小滴、ビーズ、小球又は芳香製剤の形態となる。これらは、容易に認識できる芳香組成物を得るために、有利には、高温において液相中で着色され得る。
【0044】
例えば小滴状又はビーズ状に製造することの利点は、これらの芳香組成物ビーズが、例えば、更なる加工工程の必要なく顆粒洗剤に直接添加できることである。
【0045】
そして、所定の製造における香油の加工温度を極めて低くすべき場合、本発明の更に好ましい態様では、香油及び添加剤の混合物を液体二酸化炭素に溶解し、その後更に混合し、最後に霧化する。
【0046】
香油及び添加剤の混合物の霧化は、液体二酸化炭素中で行うか、又は加熱した流動性混合物を霧化することが、一般に有利である。従って、本発明の更なる態様は、基材表面の長期持続性芳香付与方法であり、この方法では、本発明の芳香組成物を、事前に加熱によって液体状にし、好ましくは噴霧によって、芳香を付与する基材表面に塗布する。
【0047】
この方法の利点は、高表面積物質の長期持続性表面芳香が、僅かな作業で実現できることである。組成物を、例えば、基材表面上にフィルムとして置くことができる。例えば、厚紙表面へは、この方法により、容易にかつ長期持続的に芳香を付与し得る。
【0048】
基本的に、あらゆる基材の表面を、芳香組成物で芳香付与できるが、好ましい態様では、基材表面は、固形の洗剤又はクレンザー(成分)である。
【0049】
固形の洗剤又はクレンザー(成分)に芳香付与することの利点は、消費者ニーズが、単純な組成物によって満たされることである。消費者は、洗剤自体、石鹸水及び洗濯物のいずれもが、できるだけ良好に長期間匂うことを要求する。これらの要求を満たすために、種々の概念が存在する。固形の洗剤又はクレンザー(成分)の基材表面に芳香付与することによって、洗剤自体の長期持続性芳香が、単純な方法で実現される。固形の洗剤又はクレンザー(成分)の表面上の芳香組成物の遅延効果により、放出される芳香物質の極めて大部分が主として洗浄過程で放出され、その前に蒸発させないことが可能になり、その結果、石鹸水も好ましい匂いを有する。
【0050】
洗剤分野、例えば洗剤パッケージ又は固形洗剤成分での表面への長期持続性芳香付与を提供する可能性が存在するだけでなく、芳香組成物は、直接、洗剤又はクレンザーに使用され得る。従って、有利には非液体状で、好ましくはビーズ状及び特に着色された本発明の芳香組成物を含む、洗剤又はクレンザーは、本発明の更なる対象である。
【0051】
このような洗剤又はクレンザーは、本発明の芳香組成物に加えて、洗剤又はクレンザーに通常含まれるあらゆる成分を含むことができる。これらの成分は、洗剤又はクレンザーの当業者に既知であり、本明細書でそれらを列挙することは不要であろう。この応用に関して、用語「洗剤」は、特に、洗濯コンディショナー及びリンス剤も意味する。よって、適当な洗濯コンディショナー又はリンス剤は、本発明の芳香組成物に加えて、当業者に既知である洗濯コンディショナー又はリンス剤に特有の通常の成分を含むことができる。当業者に既に知られているこれら成分の列挙は免除できる。
【0052】
例えばベントナイトのような通常の洗剤固形物を含む上記芳香組成物は、特に、この全組成物に有利である。
【0053】
このように、記載した形状物は、好ましくはタブレット状、特に球状であると容易に認識され得、洗濯後処理特性を有する。従って、本発明の好ましい態様は、洗濯後処理に適した成分、好ましくは柔軟化特性を有する成分を含む本発明の芳香組成物を含んでなる洗濯後処理剤によって説明され、これらの成分は、芳香組成物に基づいて、有利には、60 重量%未満、極めて有利には 50 重量%未満、特に有利には 40 重量%未満、ことさら有利には 30 重量%未満、特に 20 重量%未満の量で含まれる。また、これらの組成物は、液状に転化されるまで元の芳香組成物を加熱し、次いでその中へ添加成分を懸濁させることによって得られる。或いは、芳香組成物が製造される時、有利には芳香組成物が加熱液体状態である時、添加成分を直接その中に懸濁することもできる。混合物を冷却すると、洗濯後処理剤が得られる。
【0054】
好ましい態様は、基本的に本発明の固形芳香組成物からなる、好ましくはタブレット状及び/又は球状の、一回分の洗濯後処理剤で構成される。芳香組成物は、1 種以上の洗濯後処理に適した成分、好ましくは柔軟化成分を含む。これらの柔軟化成分は、特に、クレー、好ましくはベントナイトと、ペンタエリトロール又はペンタエリトロール誘導体の組合せである。
【0055】
好ましい態様に従った、収納室を経て及び/又は洗濯ドラムに直接投入できる、このような上記形状物の利点は明らかである。洗濯後処理剤を計量する面倒な工程を回避できることを意味する一回分の洗濯後処理剤を、消費者は歓迎する。消費者は、洗濯過程後に洗濯物が有する芳香のタイプを直ちに匂うことができる。消費者は、長期持続性芳香を体験し、洗濯過程後、好ましく香り柔軟化された洗濯物を得る。
【0056】
好ましい態様では、含まれる芳香組成物は、他の洗剤又はクレンザー成分を含む組成物状態で存在せず、個々の固体粒子、好ましくは球状粒子、特に好ましくは着色された粒子の状態である。
【0057】
本発明の更なる対象は、部屋、自動車又は戸棚(食器棚)に芳香を付与するための、特に、デザインが一色又は多色であり得る香り付き石及び/又は小匂い袋としての、芳香組成物の使用である。
【0058】
本発明の更なる対象は、対象物、好ましくは洗剤、洗濯機及びクリーニング機、乾いた洗濯物及びパッケージに芳香を付与するための、本発明の芳香組成物の使用によって説明される。このために、芳香付与は、例えば、適当な芳香組成物を芳香付与する対象物付近に置くことによって、例えば洗濯することによって達成される。パッケージは、上記のように、例えば芳香組成物を噴霧することによって芳香付与できる。
【0059】
好ましくは自動の洗濯又は乾燥処理の際に繊維製品に芳香を付与するための、本発明の芳香組成物の使用は、本発明の更なる対象を表す。
【0060】
以前より、芳香組成物、特に固形芳香組成物の更なる利点は、それらを容易に溶融でき、容易に型で成形できることであると説明されてきた。従って、中空の型を、本発明の芳香組成物で、芳香組成物が自由流動性を有する温度で満たし、該組成物が冷却によって型の中で凝固することによって得られた製品は、本発明の更なる対象を表す。好ましい態様では、この型は、水中では不溶である。
【0061】
しかしながら一方で、このような製品が、自動洗濯過程で使用される場合、型が水中で可溶であることが有利であり得る。従って、更に好ましい態様では、型は、洗濯条件下では完全に溶解することを特徴とする。型は、特に、天然及び/又は合成ポリマー、又はウレア(誘導体)及びポリエチレングリコールからなる。好ましい態様では、型は、球状であり、特にボール状である。
【0062】
本発明の更なる対象は、フェロモンの制御された長期持続性放出のための、本発明の芳香組成物の使用である。フェロモンは、基本的に、種によって放出され、特に同種の一員との特定の反応を誘発するシグナル伝達物質である。本発明では、好ましくはヒトの臭覚限度以下である極めて低い濃度も、アドレスから特定の反応を顕在化するのに十分である。このようなフェロモンは、例えば誘引物質であり得る。
【0063】
特に、誘引物質として供給される芳香組成物が本発明では適当であり、該組成物は、増加した接着力を特徴とするか又は殺虫剤を好ましくはその表面に含む。このような場合、昆虫は、芳香組成物からゆっくり連続して放出される誘引物質によって誘引される。その後、昆虫は、該組成物に捕らわれたままそこで動けなくなって死ぬか、又は適用された殺虫剤によって死ぬ。従って、好ましい態様は、フェロモンの制御された長期持続性放出のための本発明の芳香組成物の使用に関する。ただし、フェロモンは、昆虫誘引物質であり、芳香組成物は殺虫剤を含む。本発明の更なる対象は、虫除け活性を有する芳香物質(防虫剤)の制御された長期持続性放出のための本発明の芳香組成物の使用である。既に極めて低濃度のこのような虫除け芳香物質の放出が、昆虫に大きな影響を与えるので、これは、非常に有利な応用分野である。従って、昆虫に対する極めて長期に持続する防御は、少量の活性芳香剤の使用によって実現できる。
【実施例】
【0064】
実施例 1、3 及び 4 で使用した香油 M1 は、以下の組成を有するドイツスズラン組成物である:リリアール 15.0 重量%、リラール 20.0 重量%、シトロネロール 10.0 重量%、フェニルエチルアルコール 10.0 重量%、α-ヘキシルシンナムアルデヒド 10.0 重量%、ゲラニオール 5.0 重量%、ベンジルアセトン 3.0 重量%、シクラメンアルデヒド 2.0 重量%、リナロール 2.0 重量%、ボイサムブレンフォルテ 1.7 重量%、アンブロキサン 0.2 重量%、インドール 0.1 重量%、へジオン 16.0 重量%、サンデリス 5.0 重量%。
【0065】
実施例 1:
固形香油芳香組成物 100 g の調製
33.33 g のヘキサデカノール(融点 49.6 ℃)を、66.66 g の液状香油 M1 に添加し、約 52 ℃まで、即ち、透明の溶液が得られるまで撹拌しながら加熱した。混合物は冷却時に凝固した。非晶質物は、30 ℃以下の温度で完全に固体であった。
【0066】
実施例 2:
固形ゲラニオール芳香組成物 100 g の調製
a)30 g のデカン酸(融点 31.5 ℃)及び 30 g のヘキサデカノール(融点 49.6 ℃)の混合物を、テルペンアルコール類(ゲラニオール)由来の液状芳香物質 40 g に添加し、50 ℃まで撹拌しながら加熱した。23 ℃まで冷却後、固形物を得た。
b)40 g のゲラニオールを、60 g のドデカン酸(融点 43.5 ℃)と混合し、45 ℃まで加熱した。25 ℃まで冷却後、混合物は凝固した。
【0067】
実施例 3:
固形香油芳香組成物 100 g の調製
洗剤の長期持続性芳香のため、10 g の Dehydol(登録商標)(5 個のエトキシ単位を有する獣脂アルコール、流動点約 36 ℃、Cognis Germany GmbH 製)及び 35 g のオクタデカノール(融点 57.9 ℃)を、55 g の液状香油 M1 に撹拌しながら添加し、短時間加熱した。透明な溶液を、Loedige Mixer 内の洗剤成分上に他の液体と同様に 55 ℃で噴霧できた。約 25 ℃まで冷却後、混合物は固体になった。
【0068】
実施例 4 及び 5:
100 g の固形香油芳香組成物及び固形油のローズマリー芳香組成物の調製
両実験を平行して同量で行った。30.0 g のオクタデカノールを、ガラスビーカー 1 内の 70 g の液状香油 M1、及びガラスビーカー 2 内の 70.0 g のローズマリー油に、撹拌しながら添加した。各々、短時間加熱し、透明溶液を得た(約 59 ℃)。25 ℃まで冷却後、両混合物は凝固した。高粘度相を、非常に素早く濾過した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
18 ℃までの温度で高粘度又は固体であり、少なくとも 1 種の香油、及び高温で流動性を有し、20 ℃〜100 ℃の範囲の融点又は流動点を有する少なくとも 1 種の添加剤を含んでなり、実質上分解することなく 110 ℃以下の温度で溶融液体状態となることを特徴とする芳香組成物。
【請求項2】
100 ℃以下、有利には 90 ℃以下、より有利には 80 ℃以下、特に 70 ℃以下の温度で、実質上分解することなく溶融液体状態となる、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
少なくとも 20 重量%、好ましくは少なくとも 30 重量%、有利には少なくとも 40 重量%、非常に有利には少なくとも 50 重量%、特に有利には少なくとも 60 重量%、極めて有利には少なくとも 70 重量%、ことのほか有利には少なくとも 80 重量%、更に有利には少なくとも 90 重量%、特に少なくとも 95 重量%、最も有利には 100 重量%の、成分である香油及び 20 ℃〜100 ℃の範囲の融点又は流動点を有する添加剤からなる、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
20 ℃〜100 ℃の範囲の融点又は流動点を有する少なくとも 1 種の添加剤が、少なくとも部分的に香油に可溶であり、好ましくは各添加剤の流動点付近で香油に基本的に完全に可溶である、請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
20 ℃〜100 ℃の範囲の融点又は流動点を有する添加剤が基本的に中立の臭いである、請求項1〜4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
含まれる添加剤の全てが基本的に中立の臭いである、請求項1〜5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
20 ℃まで、好ましくは 22 ℃まで、有利には 28 ℃まで、非常に有利には 32 ℃まで、特に有利には 38 ℃まで、極めて特に有利には 42 ℃まで、ことのほか有利には 48 ℃までの温度で、高粘度又は特に固体である、請求項1〜6のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
高温で流動性を有する添加剤又はこれら添加剤の混合物の流動点が、20 ℃より高い、好ましくは 25〜90 ℃の範囲、有利には 30〜70 ℃の範囲、特に 35〜60 ℃の範囲である、請求項1〜7のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
組成物全体に基づいて、90 重量%まで、好ましくは 10〜80 重量%、しかしながら特に好ましくは 75 重量%未満、即ち有利には 15〜65 重量%、非常に有利には 20〜55 重量%、ことさら有利には 28〜50 重量%の高温で流動性を有する添加剤(即ち、20 ℃と 100 ℃の間の融点又は流動点を有する添加剤)を含む、請求項1〜8のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
組成物全体に基づいて、10 重量%超の香油、好ましくは 25 重量%超、有利には 26〜90 重量%、非常に有利には 30〜80 重量%、ことさら有利には 40〜75 重量%、特に 50〜72 重量%の香油を含む、請求項1〜9のいずれかに記載の組成物。
【請求項11】
10 重量%未満、好ましくは 5 重量%未満、有利には 3 重量%未満の水を含み、特に完全に無水である、請求項1〜10のいずれかに記載の組成物。
【請求項12】
流動点が 20 ℃〜100 ℃の範囲である添加剤が、脂肪アルコール、脂肪酸、シリコーン油、パラフィン、非イオン性界面活性剤、エステルクォート、天然油、ワックス及び/又はポリアルキレングリコールからなる群から選ばれる、請求項1〜11のいずれかに記載の組成物。
【請求項13】
追加の固形物、好ましくは一般の洗剤固形物を含む、請求項1〜12のいずれかに記載の組成物。
【請求項14】
該固形物の含有量が、組成物に基づいて、70 %未満、好ましくは 50 %未満、有利には 25 %未満、特に 15 %未満、最も好ましくは 10 %未満である、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
含まれる固形物が、0.2 mm 未満、好ましくは 0.1 mm 未満、特に 0.05 mm 未満の d50 値を有する、請求項13又は14に記載の組成物。
【請求項16】
ゼオライト、ベントナイト、シリケート、ホスフェート、ウレア及び/又はその誘導体、スルフェート、カーボネート、シトレート、クエン酸、アセテート及び/又はアニオン性界面活性剤の塩からなる群から選ばれる成分を含む、請求項13〜15のいずれかに記載の組成物。
【請求項17】
18 ℃までの温度で高粘度又は固体であり、長期持続性芳香作用を有し、実質上分解することなく 110 ℃以下の温度で溶融液体状態となる芳香組成物を製造するための、少なくとも部分的に香油に可溶であり、20 ℃〜100 ℃の範囲の流動点を有する添加剤の使用。
【請求項18】
従来の香油を、少なくとも部分的に香油に可溶であり、20 ℃〜100 ℃の範囲の流動点を有する添加剤と混合する香油の凝固方法であって、凝固した香油が、実質上分解することなく 110 ℃以下の温度で溶融液体状態となり、18 ℃までの温度で高粘度又は固体である方法。
【請求項19】
a)1 種以上の香油を、20 ℃と 100 ℃の間の流動点を有する添加剤と共に撹拌しながら 20〜22 ℃で混合し、次いで、
b)混合物を、添加剤の流動点の範囲、好ましくは流動点より高い温度まで加熱して、その高温を維持し、
c)任意に、更なる添加剤、特に典型的な洗剤添加剤、有利には、ゼオライト、ベントナイト、シリケート、ホスフェート、ウレア及び/又はその誘導体、スルフェート、カーボネート、シトレート、クエン酸、アセテート及び/又はアニオン性界面活性剤の塩からなる群から選ばれる添加剤を該混合物に懸濁させ、最後に、
d)該混合物を、18〜25 ℃の範囲の温度まで冷却することによって凝固させる、
請求項18に記載の方法。
【請求項20】
混合物が、加工温度で、即ち冷却前に、噴霧、小球化又は芳香製剤化され、次いで、冷却の結果として高粘度又は固体状となり、それによって特に、微細小滴、ビーズ、小球又は芳香製剤の形態となる、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
香油と添加剤の混合物を液体二酸化炭素に溶解し、更に混合し、最後に噴霧する、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
請求項1〜16のいずれかに記載の組成物を、事前に加熱によって液体状にし、好ましくは噴霧によって、芳香を付与する基材表面に塗布する、基材表面の長期持続性芳香付与方法。
【請求項23】
前記基材表面が固体の洗剤又はクレンザー(成分)である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
請求項1〜16のいずれかに記載の組成物を含む洗剤又はクレンザー。
【請求項25】
含まれる芳香組成物が、他の洗剤又はクレンザー成分を含む組成物状態で存在せず、個々の固体粒子、好ましくは球状粒子の状態である、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
洗濯物後処理のための適当な成分、好ましくは柔軟化特性を有する成分を含む、請求項1〜16のいずれかに記載の芳香組成物を含んでなる洗濯物後処理剤であって、該成分を、有利には、芳香組成物に基づいて、60 重量%未満の量、非常に有利には 50 重量%未満の量、極めて有利には 40 重量%未満の量、ことさら有利には 30 重量%未満の量、特に 20 重量%未満の量で含む洗濯物後処理剤。
【請求項27】
柔軟化成分が、クレー、好ましくはベントナイトと、ペンタエリトロール又はペンタエリトロール誘導体の組合せである、請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
一回分、好ましくはタブレット状及び/又は球状である、請求項26又は27に記載の組成物。
【請求項29】
部屋、自動車又は戸棚に芳香を付与するための、特に香り付き石及び/又は小匂い袋としての、請求項1〜16のいずれかに記載の芳香組成物の使用。
【請求項30】
対象、好ましくは、洗剤、洗濯機及びクリーニング機、乾いた洗濯物及びパッケージに芳香を付与するための、請求項1〜16のいずれかに記載の芳香組成物の使用。
【請求項31】
好ましくは自動の洗濯又は乾燥処理の際に繊維製品に芳香を付与するための、請求項1〜16のいずれかに記載の芳香組成物の使用。
【請求項32】
中空の型を、請求項1〜16のいずれかに記載の組成物により、組成物が自由流動性を有する温度で満たし、該組成物が冷却によって型の中で凝固することによって得られた製品。
【請求項33】
前記型が水に不溶である請求項32に記載の製品。
【請求項34】
前記型が洗濯条件下で完全に溶解する請求項32に記載の製品。
【請求項35】
前記型が、天然及び/又は合成ポリマー、又はウレア(誘導体)及びポリエチレングリコールからなる、請求項34に記載の製品。
【請求項36】
前記型が球状、特にボール状である、請求項31〜34のいずれかに記載の製品。
【請求項37】
フェロモンの制御された長期持続性放出のための、請求項1〜16のいずれかに記載の芳香組成物の使用。
【請求項38】
前記フェロモンが昆虫誘引剤であり、芳香組成物が殺虫剤を含む、請求項36に記載の使用。
【請求項39】
虫除け作用を有する芳香物質(防虫剤)の制御された長期持続性放出のための、請求項1〜16のいずれかに記載の芳香組成物の使用。

【公表番号】特表2007−519434(P2007−519434A)
【公表日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−543384(P2006−543384)
【出願日】平成16年10月30日(2004.10.30)
【国際出願番号】PCT/EP2004/012322
【国際公開番号】WO2005/056062
【国際公開日】平成17年6月23日(2005.6.23)
【出願人】(391008825)ヘンケル・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチエン (309)
【氏名又は名称原語表記】HENKEL KOMMANDITGESELLSCHAFT AUF AKTIEN
【住所又は居所原語表記】40191 Dusseldorf,Henkelstrasse 67,Germany
【Fターム(参考)】