苗移植機のトレイ載置装置
【課題】本発明では、苗移植機で、機体の左右どちら側からでも重い苗トレイをトレイ載置台に容易に載せられるようなトレイ載置装置を提供することが課題である。
【解決手段】苗移植機の機体上側に苗トレイ160を載置するトレイ載置台38を設け、このトレイ載置台38の載置面より上側に突出して苗トレイ160を押さえる押さえ位置Bと載置面から降下した押さえ解除位置Cに切換え保持可能に押さえ部材113を設けたことを特徴とする苗移植機のトレイ載置装置とする。
【解決手段】苗移植機の機体上側に苗トレイ160を載置するトレイ載置台38を設け、このトレイ載置台38の載置面より上側に突出して苗トレイ160を押さえる押さえ位置Bと載置面から降下した押さえ解除位置Cに切換え保持可能に押さえ部材113を設けたことを特徴とする苗移植機のトレイ載置装置とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ポット状の苗をトレイから取り出して畝床へ植え付ける苗移植機のトレイ載置装置に関する。
【背景技術】
【0002】
苗移植機の空トレイ載置装置として、例えば、特開平10−313614号公報に記載の構成が知られている。この苗移植機の空トレイ載置装置は、空トレイを載置するトレイ載置台の上部に押さえ部材を空トレイの押さえ位置と押さえ解除位置に保持可能に設ける構成になっている。
【特許文献1】特開平10−313614号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記の苗移植機のトレイ載置台は、機体前部のエンジン上に設けられ、このトレイ載置台の側部に押さえ位置と押さえ解除位置に切換え可能な押さえ部材が設けられている。トレイをトレイ載置台に載せる際には、機体の押さえ部材のない側に立った作業者がトレイの端をトレイ載置台に載せて横に滑らせて所定位置にセットする。そして、トレイが空の場合には、押さえ部材を押さえ位置にすることで、軽い空トレイが風で飛ばされないようにしている。
【0004】
この苗移植機の空トレイ載置装置では、作業者が苗が詰まって重いトレイをトレイ載置台に載せる際の機体に対する作業位置が押さえ部材のない側に制限されることで、作業性が悪くなっている。
【0005】
そこで、本発明では、機体の左右どちら側からでも容易にトレイをトレイ載置台に載せられるようなトレイ載置装置を提供することが課題である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記本発明の課題は、次の技術手段により解決される。
請求項1に記載の発明は、苗トレイ160を載置するトレイ載置台38を設け、このトレイ載置台38の載置面より上側に突出して苗トレイ160を押さえる押さえ位置Bと載置面から降下した押さえ解除位置Cとに切換え保持可能に押さえ部材113を設けたことを特徴とする苗移植機のトレイ載置装置とした。
【0007】
この構成で、押さえ部材113を押さえ解除位置Cにするとトレイ載置台38の載置面より降下するために、機体の左右どちら側からでも苗の詰まったトレイ160の端をトレイ載置台38に一旦載せて横にスライドして所定位置へセットすることが可能で、軽い空のトレイ160を載せる場合には押さえ部材113を押さえ位置Bにするとトレイ載置台上の苗トレイ160が風で飛ぶのを防ぐ。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の発明では、機体の左右どちら側からでも苗トレイ160をトレイ載置台38に載せてスライドしてセットすることが可能になって、苗移植機に対する作業者の作業位置を限定することがないので作業性が良くなり、空トレイ160を押さえ部材113でトレイ載置台38に保持出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1〜図11は、本発明を施した苗移植機の一例としての野菜移植機を表している。
この野菜苗移植機1は、後車輪2,2と前車輪3,3を有する走行部1aによって畝Uを跨いだ状態で機体を進行させながら、苗トレイ搬送装置4、苗取出装置5、苗植付装置6等からなる植付部1bによって苗トレイ160に収容されている野菜の土付き苗を畝Uの上面に植付ける構成となっている。作業者は、機体後方を歩きながら操縦ハンドル7で適宜機体の操向操作を行う。
【0010】
以下、各部の構成について説明する。
走行部1aは、機体の前端部にエンジン8が搭載され、その後側にエンジン8の回転動力が伝達される走行部ミッションケース9が設けられている。また、エンジン8の左側面部には該エンジンの動力で駆動する油圧ポンプ10が設けられている。さらに、エンジン8の上側には燃料タンク11等が設けられ、その上側をボンネット12が覆っている。走行部ミッションケース9の背面部には側面視長方形の左右に長い連結フレーム13が一体に設けられており、この連結フレームの背面右端部にメインフレーム14の前端部が固着連結されている。メインフレーム14は、植付部1bの平面視右側を通って後方に延び、途中で斜め上向きに湾曲し、そのまま植付部1bの後方位置まで延びている。そして、その後端部に操縦ハンドル7が固着して取り付けられている。
【0011】
走行部ミッションケース9の左右側面から突出する回動筒部15,15に走行伝動ケース16,16が一体に取り付けられ、その走行伝動ケースの先端部外側に駆動車輪である後輪2,2が軸支されている。走行部ミッションケース9から後輪2,2へ、回動筒部15,15内のシャフト及び走行伝動ケース16,16内のチェーンを介して伝動される。
【0012】
また、エンジン8の下側に前後方向のピボット軸17aを中心に揺動自在に設けた前輪支持フレーム17の左右両端部に前輪支持ロッド18,18が高さ調節可能に取り付けられ、該ロッドの下端部に転動車輪である前輪3,3が軸支されている。
【0013】
走行部1aには機体に対し後輪2,2を上下動させて機体位置を制御する機体制御機構が設けられている。この機体制御機構は、走行部ミッションケース9の上に配置した油圧バルブユニット20から後方に向けて昇降シリンダ21が設けられ、該シリンダのピストンロッドの先端部に天秤秤22が上下方向の軸回りに回動自在に取り付けられている。ピストンロッドは、前後両端が油圧バルブユニット20とメイフレーム14に取り付けた取付部材23とに支持されたガイド軸24に沿って摺動するようになっている。天秤秤22の左右両端部と、回動筒部15,15に固着したスイングアーム25,25とが、連結ロッド26,26を介して連結されている。左側の連結ロッド26は、ローリングシリンダ27が組み込まれており、該シリンダ27を伸縮作動させることにより長さを変えられるようになっている。
【0014】
油圧ポンプ10で昇降シリンダ21及びローリングシリンダ27へ作動油を供給し、その供給を油圧バルブユニット20内の制御バルブ(図示せず)で制御するようにしている。昇降シリンダ21を伸縮作動させると、左右の後輪2,2が同方向に同量だけ機体に対し上下動し、機体が昇降する。また、ローリングシリンダ27を伸縮作動させると、左右の後輪2,2が逆方向に同量だけ機体に対し上下動し、機体が左右に傾斜する。
【0015】
前記連結フレーム13の上面には、走行部ミッションケース9から伝動される植付部ミッションケース30の下部が固着されている。この植付部ミッションケース30の上端部とメインフレーム14の後部との間に架け渡した上部フレーム31に苗取出装置5の支持フレームを兼ねる中間ギヤケース32が固定して設けられており、植付部ミッションケース30から中間ギヤケース32へ苗取出伝動ケース33内のチェーンを介して伝動されると共に、中間ギヤケース32から苗供給装置4の後記縦送り駆動軸44へ伝動パイプ34内のシャフト及び縦送り伝動ケース35内のチェーンを介して伝動される。また、植付部ミッションケース30の上部に第一植付伝動ケース36の基部が固着され、更に該第一植付伝動ケース36の先端部に第二植付伝動ケース37の基部が固着されている。そして、これら第一植付伝動ケース36及び第二植付伝動ケース37に苗植付装置6の植付カップ作動機構が連結されている。符号38はトレイ載置台で、植付部ミッションケース30の上端部に基部を固着したトレイ載置台フレーム39に取り付けられている。
【0016】
トレイ載置台38の詳細な構造を、図12と図13に示している。
トレイ載置台フレーム39の左右中央で上側に伸びる支え枠114で左右に杆状の受け台112a,112bで構成したトレイ載置台38を張り出して支持している。支え枠114には、前後方向の枢支軸で片方の受け台112aの上方へ起立した起立位置Aから受け台112aの下方に収納した収納位置Cまで回動するように押さえ部材113を設けて、この押さえ部材113を押さえ位置Bにして受け台112aに載置したトレイ160を自重によって上から押さえ付けるようにしている。この押さえ部材113は、杆状体で平面視U字状に形成し、後述するトレイ160の底面側の縦溝部162と横溝部163に杆状体が位置しているので、受け台112aに載置したトレイ160に重ねてトレイ160を置いても安定する。杆状体の位置は200穴と120穴の二種類のトレイ160で縦溝部162と横溝部163が共通する位置としている。
【0017】
なお、押さえ部材113を起立位置Aと収納位置Cに付勢するようにばねによる不安定支持機構で枢支軸に取り付けて、押さえ位置Bでばね力が働くようにしても良い。また、図では片側の受け台112aのみに押さえ部材113を設けているが、他方の受け台112bにも設けても良い。
【0018】
トレイ載置台フレーム39の左右端部には、補助受け台115a,115bを側方へ張り出した位置と前記受け台112a、112bの上に重ねた位置に保持できるように正面視でL字状に曲げたフレームで取り付けている。この補助受け台115a,115bにも底面側に枢支した押さえ部材117を設けて、下側の収納位置から上方へ回動してトレイ160を押さえる押さえ位置に出来るようにしている。
【0019】
なお、左右の受け台112a、112bの間でトレイを載置するに邪魔にならない中間位置で、支え枠114から受け台112aの上に向けて前後二本の保持棒を突出して設け、この保持棒に空のトレイ160を串刺しにして保持出来るようにすることもある。二本の保持棒の間隔は、200穴と120穴の二種類のトレイ160がどちらでも突き刺さる共通間隔とする。
【0020】
次に、この苗移植機に使用する苗トレイ160について説明する。図3に示すように、苗トレイ160は、複数の育苗ポット161,・・・を縦横に連設したもので、プラスチックで形成されていて、可撓性を有する構造をしている。各ポット161,・・・は表面側で連結し、裏面は独立した形態となっているため、苗トレイ160の裏面側には各ポットの間に縦溝部162と横溝部163とが形成されている。
【0021】
図3〜5に苗トレイ搬送装置4を示す。苗トレイ搬送装置4は、後述するガイドレール57,58に沿って左右方向に移動可能な苗載台41を備えている。
この苗載台41は、苗トレイ160の底部を横一列のポットにわたって支持する前下がりに傾斜した底板42を有し、この底板42の左右両端に側板43,43が固定して設けられている。
【0022】
左右の側板43,43の下部間には縦送り駆動軸44が設けられ、その左右両端部に駆動スプロケット45,45がそれぞれ取り付けられている。また、左右の側板43,43の上部間には縦送り従動軸46が設けられ、その左右両端部に従動スプロケット47,47がそれぞれ取り付けられている。そして、駆動スプロケット45、従動スプロケット47、及びチェーンタイトナ48に搬送チェーン50が巻き掛けられている。この搬送チェーン50の対向内側には、苗トレイ160の横溝部163に嵌合すべく、苗載台41内側へ片持ち状に突設された係合ピン51,・・・が所定間隔で取り付けられている。
【0023】
相対向する左右の側板43の外周部には、搬送チェーン50を外側から覆うフランジ部43aが内向きに形成されている。そして、このフランジ部43aに、苗トレイ160の縁部を上から押えるための押え枠52が設けられている。また、底板42の左右中央部には、苗トレイ160の中央の縦溝部162に係合して苗トレイ160を縦送り方向に案内するガイドプレート53が設けられている。
【0024】
底板42の下端部は、縦送り駆動軸44を中心とする側面視円弧状になっている。そして、この円弧状部分42aに対応して、苗トレイ160を上面側から押えて円弧状部分に沿って湾曲させるための押え部材54が設けられている。この押え部材54は、先端部が底板42側に付勢された状態で、側板43,43の下部間に架設した取付軸55に取り付けられている。さらに、押え部材54に続いて苗トレイ160を後方に導くための案内棒56が底板42の下方に設けられている。
【0025】
底板42と押え枠52との間に挟み込むようにして苗トレイ160を苗載台41の上方から差し込むと、苗トレイ160の横溝部163に搬送チェーン50,50の係合ピン51,・・・が係合した状態となる。この状態で駆動軸44が図4の矢印方向に回転すると、苗トレイ160が底板42に沿って斜め下方に縦送りされる。苗トレイ160が底板の円弧状部分42aまで縦送りされると、苗トレイ160は円弧状部分に沿って下方へ湾曲され、さらに案内棒56に沿って操縦ハンドル7の上方まで導かれる。
【0026】
上記苗載台41は、左右方向に設けたガイドレール57,58に沿って移動自在に支持されている。両ガイドレール57,58の左右両端はサポート部材59,59で連結されており、左右のサポート部材間に、外周面に螺旋状の溝60aが形成された横送り軸60が回動自在に支承されている。この横送り軸60には、苗載台41に連結されたスライダ61が外嵌され、該スライダ61の図示しない係合部材が螺旋状の溝60aに噛み合っている。これにより、横送り軸60が間欠的に回転駆動されると、スライダ61が左右移動して苗載台41が左右いずれかの方向に間欠的に往復移動され、該苗載台上の苗トレイ160の横一列分の苗165,・・・が一株づつ順に所定の苗取出位置Pへ供給される。この苗取出位置Pへ供給された苗165が苗取出装置5によってポット161から取り出される。
【0027】
また、横送り軸60には左右一対の縦送りカム62,62が固定して取り付けられている。これら縦送りカム62,62に対応するカムフォロア63,63を取り付けた縦送り作動軸64が、左右の側板43,43間に横送り軸60及び前記縦送り駆動軸44と平行に設けられている。この縦送り作用軸64の左端部は側板43から外に突出しており、この突出部に揺動リンク65が固定されている。縦送り駆動軸44も左端部が側板43から外に突出しており、この突出部に前記揺動リンク65が係合する係合歯を有する一対の駆動ギヤ66,67と、縦送り作用軸64を苗トレイ160の縦送り方向のみに回転させるためのワンウェイクラッチ68とが設けられている。
【0028】
苗載台41が左右ストロークの端部に到達し、苗取出装置5によって横一列分の苗165,・・・が全て取り出されると、縦送りカム62がカムフォロア63に係合して縦送り作用軸64を若干回動させ、揺動リンク65を揺動させる。すると、この揺動リンク65の揺動でいずれか一方の駆動ギヤ66又は67がその係合歯一つ分だけ回転して、縦送り駆動軸44を一定角度だけ回転駆動する。これにより、苗載台41上の苗トレイ160がポット1個分だけ下方へ縦送りされる。一対の駆動ギヤ66,67のどちらに作用するか選択可能で、使用する苗トレイ160のポットピッチに合った縦送り量となるように駆動ギヤを選択する。
【0029】
前記苗載台のガイドレール57,58は、メインフレーム14の後部と操縦ハンドルの横棒部7bにそれぞれ溶接等で固着した取付部材69,・・・にボルトで取り付けられている。このため、苗トレイ搬送装置3をガイドレール57,58ごと簡単に機体から取り外すことができ、メンテナンスを容易に行える。
【0030】
苗取出装置5を図6〜図11に示す。苗取出装置5は、左右一対の苗取出爪70,70、該苗取出爪70を先端に設けた爪支持体71、苗取出爪70,70を進退案内する爪ガイド72、爪支持体71及び爪ガイド72を往復動自在に保持する保持体73等からなる苗取出具5aを備え、これが姿勢変更しながら所定の軌跡を描いて移動すると共に、適宜タイミングで苗取出爪70,70が進退作動及び開閉作動することで、苗取出位置Pに位置するポットから苗を取り出し、それを苗植付装置6の植付カップ120内に供給するようになっている。
【0031】
苗取出爪70,70は、爪支持体の爪取付部71aに該爪の直角に屈曲した基端部を回動自在に挿入して取り付けてあり、先端側が左右方向に回動自在となっている。
爪支持体71の本体部は筒状で、その内部に爪ガイド72が、爪支持体両端の爪取付部71aとロックアーム取付部71bとに摺動自在に支持された状態で挿入されている。爪ガイド72の先端部には、苗取出爪70,70が挿通される爪挿通穴が形成されたガイド部72aが一体に取り付けられている。また、爪ガイド72の中途部には止め具75が取り付けられ、これと爪支持体のロックアーム取付部71bとの間に爪ガイド突出スプリング76が嵌装されている。
【0032】
前記爪ガイドのガイド部72aに形成されている爪挿通孔の間隔は、苗取出爪70,70の基端部の間隔よりも狭くしてある。このため、爪支持体71に対して爪ガイド72が摺動して苗取出爪70,70とガイド部72aとが相対移動すると、苗取出爪の先端間距離が変化する。すなわち、ガイド部72aが苗取出爪70,70の基端側に位置するほど苗取出爪の先端間距離が狭くなり、最も狭くなると図6における実線の状態となる。このように、爪支持体71に対して爪ガイド72が摺動することで、苗取出爪70,70が開閉作動する。
【0033】
爪支持体71は、保持体73の筒状部分に摺動自在に保持され、ロックアーム取付部71bと保持体73との間に介装された爪支持体復帰スプリング78によって、苗取出爪70,70が保持体73に対して引っ込む方向に付勢されている。
【0034】
前記中間ギヤケース32の下部に揺動軸80により回動自在に支持された揺動アーム81の上端部に保持体73がピン82にて枢結され、これにて苗取出具全体が揺動軸80を支点にして揺動自在に支持されている。揺動アーム81の中途部には溝カム83が形成されており、中間ギヤケース32から左側方に突出する苗取出駆動軸85に取り付けたクランク体86の先端部に設けたクランクピン87がこの溝カム83に遊嵌している。溝カム83は、図10に示すように、揺動アーム81の支点側から先端側へ順に直線部83a、正円弧部83b、逆円弧部83cが連続形成されている。クランク体86が図7〜図9における反時計回りに回転駆動することにより、クランクピン87が溝カム83の中を移動して苗取出具5aが揺動する。
【0035】
また、中間ギヤケース32の上部に支点ピン89にて揺動板90が揺動自在に取り付けられ、この揺動板90のJ字状長穴91に、保持体73にブラケット92を介して遊転自在に取り付けたローラ93が係合している。上記揺動板90には転動ローラ95が設けられていて、この転動ローラ95が前記苗取出駆動軸85に取り付けた駆動カム96の外周面に当接している。駆動カム96が反時計回りに回転駆動することにより、揺動板90の姿勢が変わり、それによって苗取出具5aの姿勢も変更させられる。
【0036】
さらに、保持体73の下端部には、押出リンク98がピン99にて回動自在に枢結されている。この押出リンク98の先端部には長溝100が形成され、これに爪支持体の爪取付部71aと一体のアームに設けたピン101が係合している。押出リンク98には略円弧状のカム板102が設けられており、このカム板102がクランク体86のクランクピン87と当接可能となっている。クランク体86の回転駆動によってクランクピン87が溝カム83を支点側から先端側へ移動する過程で、クランクピン87がカム板102を介して押出リンク98を押すことにより、爪支持体71及びこれに支持された苗取出爪70,70を保持体73に対して突出させる。また、これと同時に爪支持体復帰スプリング78が圧縮され、爪支持体71及び苗取出爪70,70が元の位置へ戻るための復元力が蓄えられる。
【0037】
苗取出具5aには上記各構成部材の他に、下記の部材が設けられている。作動片104は、保持体73に支点軸105にて回動自在に設けられ、トルクスプリング106によって図7〜図9における時計回り方向に付勢されている。この作動片104は略T字形で、各端部がそれぞれロック部104a、解除部104b、及び押動部104cとなっている。
【0038】
作動部材108は、爪ガイド72と一体に設けられていて、外部から力が加わっていない状態にある作動片のロック部104aと係合して、爪ガイド72の突出方向への移動を規制する。
【0039】
ロックアーム109は、爪支持体のロックアーム取付部71bに枢支され、トルクスプリング110によって図7〜図9における時計回り方向に付勢されている。保持体73の係合部73aと係合可能な被係合部109aと、作動部材108に押し上げられる傾斜面109bと、作動片の解除部104bによって押し上げられる突起部109cとを有している。解除部材111は、揺動板90に位置調整可能に固定して設けられている。
【0040】
次に、苗取出装置5の動作を説明する。図7において、苗取出装置の動作のサイクルは、前記苗取出位置Pにある苗トレイ160のポット161内の苗165に対して、苗取出爪70,70を葉165aの下側からすくい上げながら正面視で苗の中心線に対して傾斜状態で突出させて苗の床土部分165bに突入する行程(苗取出爪先端軌跡K1のA−B)と、突き刺した苗を苗取出爪70,70の引っ込み作動でポット深さの中途まで取り出す行程(同B−C)と、苗取出爪70,70をポット161内から姿勢変更しかつ移動して苗トレイ160に対向する姿勢から略下向き姿勢に移行する行程(同C−D)と、この行程に続いて苗取出爪70,70の移動及び姿勢変更を行い、その最終位置で苗取出爪70,70とそれを案内している爪ガイド72との相対移動により、苗取出爪70,70から苗を離脱して苗植付装置6の植付筒へ落下供給し、さらに苗取出爪70,70を後退させる行程(同D−E)と、苗離脱後の苗取出爪70,70を復動させる行程(同E−F)と、この行程に続いて最初の行程まで苗取出爪70,70を略下向き姿勢から苗トレイ160に向く姿勢へ変更しながら復動させる行程(同F−A)とからなっている。
【0041】
図7の位置は復動させる行程(同F−A)中の状態で、ガイド部72aの先端が苗取出位置Pにあるポット161の土付苗の葉を下側からすくい上げながら苗取出具5aが苗トレイ160に向かって移動し、苗トレイ160に接近した状態を表している。この状態から、クランクピン87が溝カム83の正円弧部83bを移行する間は、クランク体87が回転しても、揺動アーム81は揺動しない静止状態に維持される。
【0042】
この間、クランクピン87がカム板102を介して押出リンク98を押して回動させることにより、苗取出爪70,70がポット内の苗の床土部分に向けて前進する。一方、爪ガイド72は、作動部材108が作動片のロック部104aと係合しているため、苗取出爪先端側方向への移動が規制されている。このため、苗取出爪70,70の前進時、爪ガイドのガイド部72aは苗取出爪70,70の基端側に相対移動することとなり、一対の苗取出爪70,70の先端間距離が狭められる。この結果、一対の苗取出爪70,70は、床土部分165bの左右中心に対し斜めに(図6参照)、且つ床土部分165bの上下中心より下側に(図8参照)突き刺さる。
【0043】
次いで、クランクピン87が溝カム83の正円弧部83bを通過して逆円弧部83cに移行することで、揺動アーム81が図7〜図9における反時計回りに回動する。これにより、苗取出具5a全体がポットから離れる側へ移動し、ポット161から苗を取り出す(図8)。
【0044】
前記のように苗取出爪70,70を床土部分に突き刺すことにより、苗の茎や根に損傷を与えることなく、苗を強固に保持して取り出すことができる。
苗を保持した苗取出具5aは、略水平の苗取出し姿勢から略下向きの苗解放姿勢に姿勢変更しながら、植付カップ120の上方まで移動する。この行程における苗取出具5aの姿勢変更は、ローラ93がJ字状長穴91の弧状部に係合することで行われる。
【0045】
苗取出具5aが植付カップ120の上方へ移動すると、ローラ93が長穴91の弧状部側の端部近傍まで移行してきて、解除部材111が作動片の押動部104cを押すことで、作動片104が反時計回りに回動し、作動片のロック部104aと作動部材108との係合が解除される。これにより、爪ガイド突出スプリング76の弾発力により爪ガイド72が苗取出爪先端側へ突出し、苗取出爪70,70により保持されている苗をガイド部72aが先端側に押し出して、苗取出爪70,70から離脱させる。
【0046】
また、爪ガイド72が突出すると、これと一体に作動する作動部材108が傾斜面109bを押し上げてロックアーム109を反時計回りに若干回動させ、該ロックアームの被係合部109aと保持体73の係合部73aとの係合が解除される。これにより、前進位置にあった爪支持体71が、爪支持体復帰スプリング78の弾発力により後退位置まで戻される(図9)。このとき、作動部材108は爪支持体のロックアーム取付部71bに当接しているので、爪支持体71の後退に伴い爪ガイド72も後退する。
【0047】
なお、何らかの事情で作動部材108がロックアームの傾斜面109bを押し上げられなかったとしても、ローラ93が長穴91の弧状部側の端部まで移動したとき、解除部材111が作動片104をさらに回動させ、作動片の解除部104cでロックアームの突起部109cを押し上げることにより、ロックアームの被係合部109aと保持体73の係合部73aとの係合を強制的に解除する。
【0048】
これにて、苗取出爪70,70及び爪ガイド71は共に後退位置に戻り、作動部材108はロック可能な状態となる。これ以後、クランク体86の回転に伴って揺動アーム81が時計回りに回動し、苗取出具5aは図7の位置まで移動する。この移動中、駆動カム96の凸部が転動ローラ106に作用して揺動板90の姿勢を変えることにより、苗取出具5aの姿勢が略下向き姿勢から略水平姿勢に急激に変更させられる。このため、苗取出具5aは苗取出位置Pにある苗の葉を下からすくい上げるようにして突入開始位置まで移動することとなり、苗の葉を傷めない。
【0049】
苗植付位置6の具体的構成は、公知であるので説明を省略する。
苗植付位置6の後方には、左右一対の鎮圧輪140,140が設けられている。この鎮圧輪140,140は、メインフレーム14の前後中間部に上下に揺動自在に支持された鎮圧輪フレーム141に、下部ほど互いの間隔が狭くなるように斜めに取り付けられており、機体の進行に伴って畝面を転動し、苗が植付けられた苗移植穴の周囲の土を崩落させて穴を埋め戻すと共に、その跡を軽く鎮圧するようになっている。なお、鎮圧輪140,140は、鎮圧輪フレーム141の後端部に設けたウエイト142によって地面に押し付けられている。
【0050】
機体の下部には、畝U上面の凹凸に応じて上下に回動する接地体145が設けられている。この接地体145の上下回動が連動機構146を介して油圧バルブユニット20内の昇降用油圧バルブに伝えられ、昇降シリンダ21を伸縮作動させる。具体的には、畝U上面の凸部では機体を上昇させる側に昇降シリンダ21を作動し、畝U上面の凹部では機体を下降させる側に昇降シリンダ21を作動させる。これにより、苗の植付深さを常に一定に維持する。
【0051】
前記接地体145は、メインフレーム14に回動自在に設けた支持アーム147の先端部に支持されている。この支持アーム147と一体に回動するように設けた植付深さ調節レバー148を操作して、接地体145の支持高さを変更することにより、苗の植付深さを調節する。植付深さ調節レバー148の中途部をレバーガイド148aに形成されているガイド溝の複数係合部のいずれかに選択的に係合させることにより、該植付深さ調節レバー148の角度を固定するようになっている。よって、苗の植付深さは複数段階に調節されることになる。
【0052】
なお、油圧バルブユニット20内のローリング用油圧バルブは左右傾斜検出用の振り子150の動きに連動して切り替わるようになっており、機体が左右に傾斜するとローリングシリンダ27が適宜作動し、機体を左右水平に戻すように制御する。
【0053】
操縦ハンドル7は両端が後方に延びる平面視略コ字形をしており、その両端部にグリップ7a,7aが取り付けられている。グリップ7a,7aの下側にはサイドクラッチレバー151,151が設けられている。また、操縦ハンドル7の周辺部には、植付部1bへ伝動する植付クラッチの入・切操作及び機体の昇降操作をする植付昇降レバー152、メインクラッチの入・切操作をするメインクラッチレバー153、走行速度を変更する走行変速レバー154、前記植付深さ調節レバー148、エンジンのリコイルノブ155等が設けられている。
【0054】
走行変速レバー154も、植付深さ調節レバー148と同様に、中途部をレバーガイド154aに択的に係合させるようになっていて、走行速度を複数段階に調節するようになっている。走行変速レバーのレバ一ガイド154aは操縦ハンドル7の横棒部7bに取り付けられ、植付深さ調節レバーのレバーガイド148aはメインフレーム14に取り付けられている。
【0055】
図14は、野菜移植機の別実施例で、苗植付装置6を反転ディスク170,170と植付ディスク171,171で構成し、他の部分は前記の野菜移植機と同一である。反転ディスク170,170は左右から対向して設け回転中心側を接近させた二枚の円板で構成し、第一植付伝動ケース36から反転駆動ケース172に伝動される駆動力で二枚の円板を同一方向に回転させ、側面視で苗取出装置5の苗取出爪70の苗取出軌跡と外周を重合させて、苗取出爪70から苗を受け取り苗の上下を反転させて植付ディスク171,171に受け渡す。また、植付ディスク171,171は反転ディスク170,170よりも大径で、反転ディスク170,170と同じように左右から対向して設け回転中心側を接近させた二枚の円板で構成し、第一植付伝動ケース36から植付駆動ケース173に伝動される駆動力で同一方向に回転させ、その外周を側面視で反転ディスク170,170の外周と重合させ、反転ディスク170,170から苗を受け取り、下端で苗を根側から畝Uに植え付ける。
【0056】
図15は、さらに、野菜移植機の別実施例で、前輪3と後輪2を装着したメインフレーム170上の前輪3上側に苗トレイ搬送装置4を配置し、機体の前後中央に苗取出装置5と苗植付装置6を配置して、メインフレーム170の後端から斜め後上方へ伸びるサブフレーム175に操縦ハンドル7を設けている。
【0057】
さらに、苗取出装置5のフレーム上に苗トレイ搬送装置4の苗を監視する苗カメラ172を設け、後輪2を覆うフェンダ171に植え付け後の苗を監視する植付カメラ173を設けている。
【0058】
苗カメラ172は、苗トレイ搬送装置4上の抜き取り位置より1つ前の苗を監視し、生育状態によって正常かどうかの判断を行う。この生育判断で生育が悪いと判断すると、走行を停止して苗トレイ搬送装置4のみを1ポット分送り、正常な苗と判断すれば苗取出装置5と苗植付装置6を駆動して走行を開始して苗の植付を続行する。
【0059】
植付カメラ173は、苗の植付状態を監視し、苗が倒れたり抜けたりしていると異常と判断する。異常と判断した場合の制御は、その苗の植付位置まで機体を後退してその場で苗植付装置6で一度空植えを行って植えていた苗を押し退けてから再度新しい苗の植付動作を行う。その後、植付を中断した位置まで植付動作を行わず前進し、元の位置から植付を開始する。この再植付時の植付角度と深さは調整可能にする。或いは、異常と判断した場合の別制御として、再植付を直ぐに行わず、異常植付をカウントし、所定走行距離或いは一畝での異常植付の割合が許容される所定値以上になると同じ畝に植付を再実施する制御にしても良い。この場合に全てを再植え付けするのではなく、異常植付の発生箇所を地図データとして記憶し、その異常植付地にのみ再植えつける制御にしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明実施例の野菜移植機の側面図である。
【図2】本発明実施例の野菜移植機の一部省略平面図である。
【図3】苗トレイ搬送装置の斜視図である。
【図4】苗トレイ搬送装置の側断面図である。
【図5】苗トレイ搬送装置の平断面図である。
【図6】苗取出装置の平断面図である。
【図7】苗取出装置の苗取出し直前の状態を一部分拡大して表した側面図である。
【図8】苗取出装置の苗取出し直後の状態を一部分拡大して表した側断面図である。
【図9】苗取出装置の苗離脱直後の状態を一部分拡大して表した側断面図である。
【図10】揺動アームの側面図である。
【図11】苗取出装置の背面図である。
【図12】苗トレイ載置装置の平面図である。
【図13】苗トレイ載置装置の正面図である。
【図14】別実施例の野菜移植機の側面図である。
【図15】別実施例の野菜移植機の側面図である。
【符号の説明】
【0061】
1 苗移植機
38 トレイ載置台
113 押さえ部材
160 苗トレイ
B 押さえ位置
C 押さえ解除位置
【技術分野】
【0001】
この発明は、ポット状の苗をトレイから取り出して畝床へ植え付ける苗移植機のトレイ載置装置に関する。
【背景技術】
【0002】
苗移植機の空トレイ載置装置として、例えば、特開平10−313614号公報に記載の構成が知られている。この苗移植機の空トレイ載置装置は、空トレイを載置するトレイ載置台の上部に押さえ部材を空トレイの押さえ位置と押さえ解除位置に保持可能に設ける構成になっている。
【特許文献1】特開平10−313614号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記の苗移植機のトレイ載置台は、機体前部のエンジン上に設けられ、このトレイ載置台の側部に押さえ位置と押さえ解除位置に切換え可能な押さえ部材が設けられている。トレイをトレイ載置台に載せる際には、機体の押さえ部材のない側に立った作業者がトレイの端をトレイ載置台に載せて横に滑らせて所定位置にセットする。そして、トレイが空の場合には、押さえ部材を押さえ位置にすることで、軽い空トレイが風で飛ばされないようにしている。
【0004】
この苗移植機の空トレイ載置装置では、作業者が苗が詰まって重いトレイをトレイ載置台に載せる際の機体に対する作業位置が押さえ部材のない側に制限されることで、作業性が悪くなっている。
【0005】
そこで、本発明では、機体の左右どちら側からでも容易にトレイをトレイ載置台に載せられるようなトレイ載置装置を提供することが課題である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記本発明の課題は、次の技術手段により解決される。
請求項1に記載の発明は、苗トレイ160を載置するトレイ載置台38を設け、このトレイ載置台38の載置面より上側に突出して苗トレイ160を押さえる押さえ位置Bと載置面から降下した押さえ解除位置Cとに切換え保持可能に押さえ部材113を設けたことを特徴とする苗移植機のトレイ載置装置とした。
【0007】
この構成で、押さえ部材113を押さえ解除位置Cにするとトレイ載置台38の載置面より降下するために、機体の左右どちら側からでも苗の詰まったトレイ160の端をトレイ載置台38に一旦載せて横にスライドして所定位置へセットすることが可能で、軽い空のトレイ160を載せる場合には押さえ部材113を押さえ位置Bにするとトレイ載置台上の苗トレイ160が風で飛ぶのを防ぐ。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の発明では、機体の左右どちら側からでも苗トレイ160をトレイ載置台38に載せてスライドしてセットすることが可能になって、苗移植機に対する作業者の作業位置を限定することがないので作業性が良くなり、空トレイ160を押さえ部材113でトレイ載置台38に保持出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1〜図11は、本発明を施した苗移植機の一例としての野菜移植機を表している。
この野菜苗移植機1は、後車輪2,2と前車輪3,3を有する走行部1aによって畝Uを跨いだ状態で機体を進行させながら、苗トレイ搬送装置4、苗取出装置5、苗植付装置6等からなる植付部1bによって苗トレイ160に収容されている野菜の土付き苗を畝Uの上面に植付ける構成となっている。作業者は、機体後方を歩きながら操縦ハンドル7で適宜機体の操向操作を行う。
【0010】
以下、各部の構成について説明する。
走行部1aは、機体の前端部にエンジン8が搭載され、その後側にエンジン8の回転動力が伝達される走行部ミッションケース9が設けられている。また、エンジン8の左側面部には該エンジンの動力で駆動する油圧ポンプ10が設けられている。さらに、エンジン8の上側には燃料タンク11等が設けられ、その上側をボンネット12が覆っている。走行部ミッションケース9の背面部には側面視長方形の左右に長い連結フレーム13が一体に設けられており、この連結フレームの背面右端部にメインフレーム14の前端部が固着連結されている。メインフレーム14は、植付部1bの平面視右側を通って後方に延び、途中で斜め上向きに湾曲し、そのまま植付部1bの後方位置まで延びている。そして、その後端部に操縦ハンドル7が固着して取り付けられている。
【0011】
走行部ミッションケース9の左右側面から突出する回動筒部15,15に走行伝動ケース16,16が一体に取り付けられ、その走行伝動ケースの先端部外側に駆動車輪である後輪2,2が軸支されている。走行部ミッションケース9から後輪2,2へ、回動筒部15,15内のシャフト及び走行伝動ケース16,16内のチェーンを介して伝動される。
【0012】
また、エンジン8の下側に前後方向のピボット軸17aを中心に揺動自在に設けた前輪支持フレーム17の左右両端部に前輪支持ロッド18,18が高さ調節可能に取り付けられ、該ロッドの下端部に転動車輪である前輪3,3が軸支されている。
【0013】
走行部1aには機体に対し後輪2,2を上下動させて機体位置を制御する機体制御機構が設けられている。この機体制御機構は、走行部ミッションケース9の上に配置した油圧バルブユニット20から後方に向けて昇降シリンダ21が設けられ、該シリンダのピストンロッドの先端部に天秤秤22が上下方向の軸回りに回動自在に取り付けられている。ピストンロッドは、前後両端が油圧バルブユニット20とメイフレーム14に取り付けた取付部材23とに支持されたガイド軸24に沿って摺動するようになっている。天秤秤22の左右両端部と、回動筒部15,15に固着したスイングアーム25,25とが、連結ロッド26,26を介して連結されている。左側の連結ロッド26は、ローリングシリンダ27が組み込まれており、該シリンダ27を伸縮作動させることにより長さを変えられるようになっている。
【0014】
油圧ポンプ10で昇降シリンダ21及びローリングシリンダ27へ作動油を供給し、その供給を油圧バルブユニット20内の制御バルブ(図示せず)で制御するようにしている。昇降シリンダ21を伸縮作動させると、左右の後輪2,2が同方向に同量だけ機体に対し上下動し、機体が昇降する。また、ローリングシリンダ27を伸縮作動させると、左右の後輪2,2が逆方向に同量だけ機体に対し上下動し、機体が左右に傾斜する。
【0015】
前記連結フレーム13の上面には、走行部ミッションケース9から伝動される植付部ミッションケース30の下部が固着されている。この植付部ミッションケース30の上端部とメインフレーム14の後部との間に架け渡した上部フレーム31に苗取出装置5の支持フレームを兼ねる中間ギヤケース32が固定して設けられており、植付部ミッションケース30から中間ギヤケース32へ苗取出伝動ケース33内のチェーンを介して伝動されると共に、中間ギヤケース32から苗供給装置4の後記縦送り駆動軸44へ伝動パイプ34内のシャフト及び縦送り伝動ケース35内のチェーンを介して伝動される。また、植付部ミッションケース30の上部に第一植付伝動ケース36の基部が固着され、更に該第一植付伝動ケース36の先端部に第二植付伝動ケース37の基部が固着されている。そして、これら第一植付伝動ケース36及び第二植付伝動ケース37に苗植付装置6の植付カップ作動機構が連結されている。符号38はトレイ載置台で、植付部ミッションケース30の上端部に基部を固着したトレイ載置台フレーム39に取り付けられている。
【0016】
トレイ載置台38の詳細な構造を、図12と図13に示している。
トレイ載置台フレーム39の左右中央で上側に伸びる支え枠114で左右に杆状の受け台112a,112bで構成したトレイ載置台38を張り出して支持している。支え枠114には、前後方向の枢支軸で片方の受け台112aの上方へ起立した起立位置Aから受け台112aの下方に収納した収納位置Cまで回動するように押さえ部材113を設けて、この押さえ部材113を押さえ位置Bにして受け台112aに載置したトレイ160を自重によって上から押さえ付けるようにしている。この押さえ部材113は、杆状体で平面視U字状に形成し、後述するトレイ160の底面側の縦溝部162と横溝部163に杆状体が位置しているので、受け台112aに載置したトレイ160に重ねてトレイ160を置いても安定する。杆状体の位置は200穴と120穴の二種類のトレイ160で縦溝部162と横溝部163が共通する位置としている。
【0017】
なお、押さえ部材113を起立位置Aと収納位置Cに付勢するようにばねによる不安定支持機構で枢支軸に取り付けて、押さえ位置Bでばね力が働くようにしても良い。また、図では片側の受け台112aのみに押さえ部材113を設けているが、他方の受け台112bにも設けても良い。
【0018】
トレイ載置台フレーム39の左右端部には、補助受け台115a,115bを側方へ張り出した位置と前記受け台112a、112bの上に重ねた位置に保持できるように正面視でL字状に曲げたフレームで取り付けている。この補助受け台115a,115bにも底面側に枢支した押さえ部材117を設けて、下側の収納位置から上方へ回動してトレイ160を押さえる押さえ位置に出来るようにしている。
【0019】
なお、左右の受け台112a、112bの間でトレイを載置するに邪魔にならない中間位置で、支え枠114から受け台112aの上に向けて前後二本の保持棒を突出して設け、この保持棒に空のトレイ160を串刺しにして保持出来るようにすることもある。二本の保持棒の間隔は、200穴と120穴の二種類のトレイ160がどちらでも突き刺さる共通間隔とする。
【0020】
次に、この苗移植機に使用する苗トレイ160について説明する。図3に示すように、苗トレイ160は、複数の育苗ポット161,・・・を縦横に連設したもので、プラスチックで形成されていて、可撓性を有する構造をしている。各ポット161,・・・は表面側で連結し、裏面は独立した形態となっているため、苗トレイ160の裏面側には各ポットの間に縦溝部162と横溝部163とが形成されている。
【0021】
図3〜5に苗トレイ搬送装置4を示す。苗トレイ搬送装置4は、後述するガイドレール57,58に沿って左右方向に移動可能な苗載台41を備えている。
この苗載台41は、苗トレイ160の底部を横一列のポットにわたって支持する前下がりに傾斜した底板42を有し、この底板42の左右両端に側板43,43が固定して設けられている。
【0022】
左右の側板43,43の下部間には縦送り駆動軸44が設けられ、その左右両端部に駆動スプロケット45,45がそれぞれ取り付けられている。また、左右の側板43,43の上部間には縦送り従動軸46が設けられ、その左右両端部に従動スプロケット47,47がそれぞれ取り付けられている。そして、駆動スプロケット45、従動スプロケット47、及びチェーンタイトナ48に搬送チェーン50が巻き掛けられている。この搬送チェーン50の対向内側には、苗トレイ160の横溝部163に嵌合すべく、苗載台41内側へ片持ち状に突設された係合ピン51,・・・が所定間隔で取り付けられている。
【0023】
相対向する左右の側板43の外周部には、搬送チェーン50を外側から覆うフランジ部43aが内向きに形成されている。そして、このフランジ部43aに、苗トレイ160の縁部を上から押えるための押え枠52が設けられている。また、底板42の左右中央部には、苗トレイ160の中央の縦溝部162に係合して苗トレイ160を縦送り方向に案内するガイドプレート53が設けられている。
【0024】
底板42の下端部は、縦送り駆動軸44を中心とする側面視円弧状になっている。そして、この円弧状部分42aに対応して、苗トレイ160を上面側から押えて円弧状部分に沿って湾曲させるための押え部材54が設けられている。この押え部材54は、先端部が底板42側に付勢された状態で、側板43,43の下部間に架設した取付軸55に取り付けられている。さらに、押え部材54に続いて苗トレイ160を後方に導くための案内棒56が底板42の下方に設けられている。
【0025】
底板42と押え枠52との間に挟み込むようにして苗トレイ160を苗載台41の上方から差し込むと、苗トレイ160の横溝部163に搬送チェーン50,50の係合ピン51,・・・が係合した状態となる。この状態で駆動軸44が図4の矢印方向に回転すると、苗トレイ160が底板42に沿って斜め下方に縦送りされる。苗トレイ160が底板の円弧状部分42aまで縦送りされると、苗トレイ160は円弧状部分に沿って下方へ湾曲され、さらに案内棒56に沿って操縦ハンドル7の上方まで導かれる。
【0026】
上記苗載台41は、左右方向に設けたガイドレール57,58に沿って移動自在に支持されている。両ガイドレール57,58の左右両端はサポート部材59,59で連結されており、左右のサポート部材間に、外周面に螺旋状の溝60aが形成された横送り軸60が回動自在に支承されている。この横送り軸60には、苗載台41に連結されたスライダ61が外嵌され、該スライダ61の図示しない係合部材が螺旋状の溝60aに噛み合っている。これにより、横送り軸60が間欠的に回転駆動されると、スライダ61が左右移動して苗載台41が左右いずれかの方向に間欠的に往復移動され、該苗載台上の苗トレイ160の横一列分の苗165,・・・が一株づつ順に所定の苗取出位置Pへ供給される。この苗取出位置Pへ供給された苗165が苗取出装置5によってポット161から取り出される。
【0027】
また、横送り軸60には左右一対の縦送りカム62,62が固定して取り付けられている。これら縦送りカム62,62に対応するカムフォロア63,63を取り付けた縦送り作動軸64が、左右の側板43,43間に横送り軸60及び前記縦送り駆動軸44と平行に設けられている。この縦送り作用軸64の左端部は側板43から外に突出しており、この突出部に揺動リンク65が固定されている。縦送り駆動軸44も左端部が側板43から外に突出しており、この突出部に前記揺動リンク65が係合する係合歯を有する一対の駆動ギヤ66,67と、縦送り作用軸64を苗トレイ160の縦送り方向のみに回転させるためのワンウェイクラッチ68とが設けられている。
【0028】
苗載台41が左右ストロークの端部に到達し、苗取出装置5によって横一列分の苗165,・・・が全て取り出されると、縦送りカム62がカムフォロア63に係合して縦送り作用軸64を若干回動させ、揺動リンク65を揺動させる。すると、この揺動リンク65の揺動でいずれか一方の駆動ギヤ66又は67がその係合歯一つ分だけ回転して、縦送り駆動軸44を一定角度だけ回転駆動する。これにより、苗載台41上の苗トレイ160がポット1個分だけ下方へ縦送りされる。一対の駆動ギヤ66,67のどちらに作用するか選択可能で、使用する苗トレイ160のポットピッチに合った縦送り量となるように駆動ギヤを選択する。
【0029】
前記苗載台のガイドレール57,58は、メインフレーム14の後部と操縦ハンドルの横棒部7bにそれぞれ溶接等で固着した取付部材69,・・・にボルトで取り付けられている。このため、苗トレイ搬送装置3をガイドレール57,58ごと簡単に機体から取り外すことができ、メンテナンスを容易に行える。
【0030】
苗取出装置5を図6〜図11に示す。苗取出装置5は、左右一対の苗取出爪70,70、該苗取出爪70を先端に設けた爪支持体71、苗取出爪70,70を進退案内する爪ガイド72、爪支持体71及び爪ガイド72を往復動自在に保持する保持体73等からなる苗取出具5aを備え、これが姿勢変更しながら所定の軌跡を描いて移動すると共に、適宜タイミングで苗取出爪70,70が進退作動及び開閉作動することで、苗取出位置Pに位置するポットから苗を取り出し、それを苗植付装置6の植付カップ120内に供給するようになっている。
【0031】
苗取出爪70,70は、爪支持体の爪取付部71aに該爪の直角に屈曲した基端部を回動自在に挿入して取り付けてあり、先端側が左右方向に回動自在となっている。
爪支持体71の本体部は筒状で、その内部に爪ガイド72が、爪支持体両端の爪取付部71aとロックアーム取付部71bとに摺動自在に支持された状態で挿入されている。爪ガイド72の先端部には、苗取出爪70,70が挿通される爪挿通穴が形成されたガイド部72aが一体に取り付けられている。また、爪ガイド72の中途部には止め具75が取り付けられ、これと爪支持体のロックアーム取付部71bとの間に爪ガイド突出スプリング76が嵌装されている。
【0032】
前記爪ガイドのガイド部72aに形成されている爪挿通孔の間隔は、苗取出爪70,70の基端部の間隔よりも狭くしてある。このため、爪支持体71に対して爪ガイド72が摺動して苗取出爪70,70とガイド部72aとが相対移動すると、苗取出爪の先端間距離が変化する。すなわち、ガイド部72aが苗取出爪70,70の基端側に位置するほど苗取出爪の先端間距離が狭くなり、最も狭くなると図6における実線の状態となる。このように、爪支持体71に対して爪ガイド72が摺動することで、苗取出爪70,70が開閉作動する。
【0033】
爪支持体71は、保持体73の筒状部分に摺動自在に保持され、ロックアーム取付部71bと保持体73との間に介装された爪支持体復帰スプリング78によって、苗取出爪70,70が保持体73に対して引っ込む方向に付勢されている。
【0034】
前記中間ギヤケース32の下部に揺動軸80により回動自在に支持された揺動アーム81の上端部に保持体73がピン82にて枢結され、これにて苗取出具全体が揺動軸80を支点にして揺動自在に支持されている。揺動アーム81の中途部には溝カム83が形成されており、中間ギヤケース32から左側方に突出する苗取出駆動軸85に取り付けたクランク体86の先端部に設けたクランクピン87がこの溝カム83に遊嵌している。溝カム83は、図10に示すように、揺動アーム81の支点側から先端側へ順に直線部83a、正円弧部83b、逆円弧部83cが連続形成されている。クランク体86が図7〜図9における反時計回りに回転駆動することにより、クランクピン87が溝カム83の中を移動して苗取出具5aが揺動する。
【0035】
また、中間ギヤケース32の上部に支点ピン89にて揺動板90が揺動自在に取り付けられ、この揺動板90のJ字状長穴91に、保持体73にブラケット92を介して遊転自在に取り付けたローラ93が係合している。上記揺動板90には転動ローラ95が設けられていて、この転動ローラ95が前記苗取出駆動軸85に取り付けた駆動カム96の外周面に当接している。駆動カム96が反時計回りに回転駆動することにより、揺動板90の姿勢が変わり、それによって苗取出具5aの姿勢も変更させられる。
【0036】
さらに、保持体73の下端部には、押出リンク98がピン99にて回動自在に枢結されている。この押出リンク98の先端部には長溝100が形成され、これに爪支持体の爪取付部71aと一体のアームに設けたピン101が係合している。押出リンク98には略円弧状のカム板102が設けられており、このカム板102がクランク体86のクランクピン87と当接可能となっている。クランク体86の回転駆動によってクランクピン87が溝カム83を支点側から先端側へ移動する過程で、クランクピン87がカム板102を介して押出リンク98を押すことにより、爪支持体71及びこれに支持された苗取出爪70,70を保持体73に対して突出させる。また、これと同時に爪支持体復帰スプリング78が圧縮され、爪支持体71及び苗取出爪70,70が元の位置へ戻るための復元力が蓄えられる。
【0037】
苗取出具5aには上記各構成部材の他に、下記の部材が設けられている。作動片104は、保持体73に支点軸105にて回動自在に設けられ、トルクスプリング106によって図7〜図9における時計回り方向に付勢されている。この作動片104は略T字形で、各端部がそれぞれロック部104a、解除部104b、及び押動部104cとなっている。
【0038】
作動部材108は、爪ガイド72と一体に設けられていて、外部から力が加わっていない状態にある作動片のロック部104aと係合して、爪ガイド72の突出方向への移動を規制する。
【0039】
ロックアーム109は、爪支持体のロックアーム取付部71bに枢支され、トルクスプリング110によって図7〜図9における時計回り方向に付勢されている。保持体73の係合部73aと係合可能な被係合部109aと、作動部材108に押し上げられる傾斜面109bと、作動片の解除部104bによって押し上げられる突起部109cとを有している。解除部材111は、揺動板90に位置調整可能に固定して設けられている。
【0040】
次に、苗取出装置5の動作を説明する。図7において、苗取出装置の動作のサイクルは、前記苗取出位置Pにある苗トレイ160のポット161内の苗165に対して、苗取出爪70,70を葉165aの下側からすくい上げながら正面視で苗の中心線に対して傾斜状態で突出させて苗の床土部分165bに突入する行程(苗取出爪先端軌跡K1のA−B)と、突き刺した苗を苗取出爪70,70の引っ込み作動でポット深さの中途まで取り出す行程(同B−C)と、苗取出爪70,70をポット161内から姿勢変更しかつ移動して苗トレイ160に対向する姿勢から略下向き姿勢に移行する行程(同C−D)と、この行程に続いて苗取出爪70,70の移動及び姿勢変更を行い、その最終位置で苗取出爪70,70とそれを案内している爪ガイド72との相対移動により、苗取出爪70,70から苗を離脱して苗植付装置6の植付筒へ落下供給し、さらに苗取出爪70,70を後退させる行程(同D−E)と、苗離脱後の苗取出爪70,70を復動させる行程(同E−F)と、この行程に続いて最初の行程まで苗取出爪70,70を略下向き姿勢から苗トレイ160に向く姿勢へ変更しながら復動させる行程(同F−A)とからなっている。
【0041】
図7の位置は復動させる行程(同F−A)中の状態で、ガイド部72aの先端が苗取出位置Pにあるポット161の土付苗の葉を下側からすくい上げながら苗取出具5aが苗トレイ160に向かって移動し、苗トレイ160に接近した状態を表している。この状態から、クランクピン87が溝カム83の正円弧部83bを移行する間は、クランク体87が回転しても、揺動アーム81は揺動しない静止状態に維持される。
【0042】
この間、クランクピン87がカム板102を介して押出リンク98を押して回動させることにより、苗取出爪70,70がポット内の苗の床土部分に向けて前進する。一方、爪ガイド72は、作動部材108が作動片のロック部104aと係合しているため、苗取出爪先端側方向への移動が規制されている。このため、苗取出爪70,70の前進時、爪ガイドのガイド部72aは苗取出爪70,70の基端側に相対移動することとなり、一対の苗取出爪70,70の先端間距離が狭められる。この結果、一対の苗取出爪70,70は、床土部分165bの左右中心に対し斜めに(図6参照)、且つ床土部分165bの上下中心より下側に(図8参照)突き刺さる。
【0043】
次いで、クランクピン87が溝カム83の正円弧部83bを通過して逆円弧部83cに移行することで、揺動アーム81が図7〜図9における反時計回りに回動する。これにより、苗取出具5a全体がポットから離れる側へ移動し、ポット161から苗を取り出す(図8)。
【0044】
前記のように苗取出爪70,70を床土部分に突き刺すことにより、苗の茎や根に損傷を与えることなく、苗を強固に保持して取り出すことができる。
苗を保持した苗取出具5aは、略水平の苗取出し姿勢から略下向きの苗解放姿勢に姿勢変更しながら、植付カップ120の上方まで移動する。この行程における苗取出具5aの姿勢変更は、ローラ93がJ字状長穴91の弧状部に係合することで行われる。
【0045】
苗取出具5aが植付カップ120の上方へ移動すると、ローラ93が長穴91の弧状部側の端部近傍まで移行してきて、解除部材111が作動片の押動部104cを押すことで、作動片104が反時計回りに回動し、作動片のロック部104aと作動部材108との係合が解除される。これにより、爪ガイド突出スプリング76の弾発力により爪ガイド72が苗取出爪先端側へ突出し、苗取出爪70,70により保持されている苗をガイド部72aが先端側に押し出して、苗取出爪70,70から離脱させる。
【0046】
また、爪ガイド72が突出すると、これと一体に作動する作動部材108が傾斜面109bを押し上げてロックアーム109を反時計回りに若干回動させ、該ロックアームの被係合部109aと保持体73の係合部73aとの係合が解除される。これにより、前進位置にあった爪支持体71が、爪支持体復帰スプリング78の弾発力により後退位置まで戻される(図9)。このとき、作動部材108は爪支持体のロックアーム取付部71bに当接しているので、爪支持体71の後退に伴い爪ガイド72も後退する。
【0047】
なお、何らかの事情で作動部材108がロックアームの傾斜面109bを押し上げられなかったとしても、ローラ93が長穴91の弧状部側の端部まで移動したとき、解除部材111が作動片104をさらに回動させ、作動片の解除部104cでロックアームの突起部109cを押し上げることにより、ロックアームの被係合部109aと保持体73の係合部73aとの係合を強制的に解除する。
【0048】
これにて、苗取出爪70,70及び爪ガイド71は共に後退位置に戻り、作動部材108はロック可能な状態となる。これ以後、クランク体86の回転に伴って揺動アーム81が時計回りに回動し、苗取出具5aは図7の位置まで移動する。この移動中、駆動カム96の凸部が転動ローラ106に作用して揺動板90の姿勢を変えることにより、苗取出具5aの姿勢が略下向き姿勢から略水平姿勢に急激に変更させられる。このため、苗取出具5aは苗取出位置Pにある苗の葉を下からすくい上げるようにして突入開始位置まで移動することとなり、苗の葉を傷めない。
【0049】
苗植付位置6の具体的構成は、公知であるので説明を省略する。
苗植付位置6の後方には、左右一対の鎮圧輪140,140が設けられている。この鎮圧輪140,140は、メインフレーム14の前後中間部に上下に揺動自在に支持された鎮圧輪フレーム141に、下部ほど互いの間隔が狭くなるように斜めに取り付けられており、機体の進行に伴って畝面を転動し、苗が植付けられた苗移植穴の周囲の土を崩落させて穴を埋め戻すと共に、その跡を軽く鎮圧するようになっている。なお、鎮圧輪140,140は、鎮圧輪フレーム141の後端部に設けたウエイト142によって地面に押し付けられている。
【0050】
機体の下部には、畝U上面の凹凸に応じて上下に回動する接地体145が設けられている。この接地体145の上下回動が連動機構146を介して油圧バルブユニット20内の昇降用油圧バルブに伝えられ、昇降シリンダ21を伸縮作動させる。具体的には、畝U上面の凸部では機体を上昇させる側に昇降シリンダ21を作動し、畝U上面の凹部では機体を下降させる側に昇降シリンダ21を作動させる。これにより、苗の植付深さを常に一定に維持する。
【0051】
前記接地体145は、メインフレーム14に回動自在に設けた支持アーム147の先端部に支持されている。この支持アーム147と一体に回動するように設けた植付深さ調節レバー148を操作して、接地体145の支持高さを変更することにより、苗の植付深さを調節する。植付深さ調節レバー148の中途部をレバーガイド148aに形成されているガイド溝の複数係合部のいずれかに選択的に係合させることにより、該植付深さ調節レバー148の角度を固定するようになっている。よって、苗の植付深さは複数段階に調節されることになる。
【0052】
なお、油圧バルブユニット20内のローリング用油圧バルブは左右傾斜検出用の振り子150の動きに連動して切り替わるようになっており、機体が左右に傾斜するとローリングシリンダ27が適宜作動し、機体を左右水平に戻すように制御する。
【0053】
操縦ハンドル7は両端が後方に延びる平面視略コ字形をしており、その両端部にグリップ7a,7aが取り付けられている。グリップ7a,7aの下側にはサイドクラッチレバー151,151が設けられている。また、操縦ハンドル7の周辺部には、植付部1bへ伝動する植付クラッチの入・切操作及び機体の昇降操作をする植付昇降レバー152、メインクラッチの入・切操作をするメインクラッチレバー153、走行速度を変更する走行変速レバー154、前記植付深さ調節レバー148、エンジンのリコイルノブ155等が設けられている。
【0054】
走行変速レバー154も、植付深さ調節レバー148と同様に、中途部をレバーガイド154aに択的に係合させるようになっていて、走行速度を複数段階に調節するようになっている。走行変速レバーのレバ一ガイド154aは操縦ハンドル7の横棒部7bに取り付けられ、植付深さ調節レバーのレバーガイド148aはメインフレーム14に取り付けられている。
【0055】
図14は、野菜移植機の別実施例で、苗植付装置6を反転ディスク170,170と植付ディスク171,171で構成し、他の部分は前記の野菜移植機と同一である。反転ディスク170,170は左右から対向して設け回転中心側を接近させた二枚の円板で構成し、第一植付伝動ケース36から反転駆動ケース172に伝動される駆動力で二枚の円板を同一方向に回転させ、側面視で苗取出装置5の苗取出爪70の苗取出軌跡と外周を重合させて、苗取出爪70から苗を受け取り苗の上下を反転させて植付ディスク171,171に受け渡す。また、植付ディスク171,171は反転ディスク170,170よりも大径で、反転ディスク170,170と同じように左右から対向して設け回転中心側を接近させた二枚の円板で構成し、第一植付伝動ケース36から植付駆動ケース173に伝動される駆動力で同一方向に回転させ、その外周を側面視で反転ディスク170,170の外周と重合させ、反転ディスク170,170から苗を受け取り、下端で苗を根側から畝Uに植え付ける。
【0056】
図15は、さらに、野菜移植機の別実施例で、前輪3と後輪2を装着したメインフレーム170上の前輪3上側に苗トレイ搬送装置4を配置し、機体の前後中央に苗取出装置5と苗植付装置6を配置して、メインフレーム170の後端から斜め後上方へ伸びるサブフレーム175に操縦ハンドル7を設けている。
【0057】
さらに、苗取出装置5のフレーム上に苗トレイ搬送装置4の苗を監視する苗カメラ172を設け、後輪2を覆うフェンダ171に植え付け後の苗を監視する植付カメラ173を設けている。
【0058】
苗カメラ172は、苗トレイ搬送装置4上の抜き取り位置より1つ前の苗を監視し、生育状態によって正常かどうかの判断を行う。この生育判断で生育が悪いと判断すると、走行を停止して苗トレイ搬送装置4のみを1ポット分送り、正常な苗と判断すれば苗取出装置5と苗植付装置6を駆動して走行を開始して苗の植付を続行する。
【0059】
植付カメラ173は、苗の植付状態を監視し、苗が倒れたり抜けたりしていると異常と判断する。異常と判断した場合の制御は、その苗の植付位置まで機体を後退してその場で苗植付装置6で一度空植えを行って植えていた苗を押し退けてから再度新しい苗の植付動作を行う。その後、植付を中断した位置まで植付動作を行わず前進し、元の位置から植付を開始する。この再植付時の植付角度と深さは調整可能にする。或いは、異常と判断した場合の別制御として、再植付を直ぐに行わず、異常植付をカウントし、所定走行距離或いは一畝での異常植付の割合が許容される所定値以上になると同じ畝に植付を再実施する制御にしても良い。この場合に全てを再植え付けするのではなく、異常植付の発生箇所を地図データとして記憶し、その異常植付地にのみ再植えつける制御にしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明実施例の野菜移植機の側面図である。
【図2】本発明実施例の野菜移植機の一部省略平面図である。
【図3】苗トレイ搬送装置の斜視図である。
【図4】苗トレイ搬送装置の側断面図である。
【図5】苗トレイ搬送装置の平断面図である。
【図6】苗取出装置の平断面図である。
【図7】苗取出装置の苗取出し直前の状態を一部分拡大して表した側面図である。
【図8】苗取出装置の苗取出し直後の状態を一部分拡大して表した側断面図である。
【図9】苗取出装置の苗離脱直後の状態を一部分拡大して表した側断面図である。
【図10】揺動アームの側面図である。
【図11】苗取出装置の背面図である。
【図12】苗トレイ載置装置の平面図である。
【図13】苗トレイ載置装置の正面図である。
【図14】別実施例の野菜移植機の側面図である。
【図15】別実施例の野菜移植機の側面図である。
【符号の説明】
【0061】
1 苗移植機
38 トレイ載置台
113 押さえ部材
160 苗トレイ
B 押さえ位置
C 押さえ解除位置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
苗トレイ(160)を載置するトレイ載置台(38)を設け、このトレイ載置台(38)の載置面より上側に突出して苗トレイ(160)を押さえる押さえ位置(B)と載置面から降下した押さえ解除位置(C)とに切換え保持可能に押さえ部材(113)を設けたことを特徴とする苗移植機のトレイ載置装置。
【請求項1】
苗トレイ(160)を載置するトレイ載置台(38)を設け、このトレイ載置台(38)の載置面より上側に突出して苗トレイ(160)を押さえる押さえ位置(B)と載置面から降下した押さえ解除位置(C)とに切換え保持可能に押さえ部材(113)を設けたことを特徴とする苗移植機のトレイ載置装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2009−284831(P2009−284831A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−141221(P2008−141221)
【出願日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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