苗移植機
【課題】 この発明の課題は、苗取量調節レバー及び植付深さ調節レバーの合理的な配置により、車輪と昇降リンク機構との干渉を防ぎ、コンパクト化並びに操作性の向上を図ることにある。
【解決手段】 本発明は、左右に走行車輪3,3を備える走行車体に対し苗植付部を昇降リンク機構7を介して昇降可能に装着して設け、前記苗植付部は左右移動する苗載台から一株分づつ苗を取り出して圃場へ移植する構成とし、苗載台を左右移動させるリードカム軸16の一端を左右方向において昇降リンク機構7と左右一方の走行車輪3との間に配置し、リードカム軸16一端と左右一方の走行車輪3の間に苗載台を上下動させて苗取量を変更させる苗取量調節レバー30を配置し、リードカム軸16一端と昇降リンク機構7との間にはフロート14,14,14sを上下に変位させて植付深さを変更させる植付深さ調節レバー32を配置してあることを特徴とする。
【解決手段】 本発明は、左右に走行車輪3,3を備える走行車体に対し苗植付部を昇降リンク機構7を介して昇降可能に装着して設け、前記苗植付部は左右移動する苗載台から一株分づつ苗を取り出して圃場へ移植する構成とし、苗載台を左右移動させるリードカム軸16の一端を左右方向において昇降リンク機構7と左右一方の走行車輪3との間に配置し、リードカム軸16一端と左右一方の走行車輪3の間に苗載台を上下動させて苗取量を変更させる苗取量調節レバー30を配置し、リードカム軸16一端と昇降リンク機構7との間にはフロート14,14,14sを上下に変位させて植付深さを変更させる植付深さ調節レバー32を配置してあることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、圃場に苗を移植する苗移植機に関し、農業機械の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示されているように、植付駆動軸の回転を不等速に伝達するリードカム軸の一端側には、苗植植付具が植え付ける1株当たりの苗の量を調節するギヤ列式の苗取量調節部が設けられ、更に、植付駆動軸の前方下方には、植付深さ調節軸が回動自在に軸架され、該植付深さ調節軸を回動させて苗植付具に対する各フロートの上下位置を変更して苗の植付深さを調節するようにした技術が開示されている。
【特許文献1】特開2002−291308号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上記従来技術に対する苗取量調節レバー及び植付深さ調節レバーの配置関係にあり、各レバー類を合理的に配置することで、車輪と昇降リンク機構との干渉を防ぎ、コンパクト化並びに操作性の向上を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明は、上記課題を解決すべく次のような技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1記載の本発明は、左右に走行車輪(2),(2)、(3),(3)を備える走行車体(1)に対し苗植付部(6)を昇降リンク機構(7)を介して昇降可能に装着して設け、前記苗植付部(6)は左右移動する苗載台(11)から一株分づつ苗を取り出して圃場へ移植する構成とし、苗載台(11)を左右移動させるリードカム軸(16)の一端を左右方向において昇降リンク機構(7)と左右一方の走行車輪(3)との間に配置し、リードカム軸(16)一端と左右一方の走行車輪(3)の間に苗載台(11)を上下動させて苗取量を変更させる苗取量調節レバー(30)を配置し、リードカム軸(16)一端と昇降リンク機構(7)との間にはフロート(14),(14),(14s)を上下に変位させて植付深さを変更させる植付深さ調節レバー(32)を配置してあることを特徴とする。
【0005】
リードカム軸(16)の一端と左右一方の走行車輪(3)との間に苗取量調節レバー(30)を配置し、更に、リードカム軸(16)一端と昇降リンク機構(7)との間には植付深さ調節レバー(32)を配置するので、車輪(3)と昇降リンク機構(7)との干渉を防ぎながら合理的且つコンパクトに配置でき、しかも、両レバー(30),(32)が左右同じ側にあるので操作性が向上する。
【発明の効果】
【0006】
以上要するに、本発明によれば、レバー(30),(32)類の上記配置構成により、車輪(3)と昇降リンク機構(7)との干渉を防ぎながら合理的且つコンパクトに配置でき、しかも、両レバーが左右同じ側に集中配置されるので、より操作性の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
この発明の実施例を図面に基づき説明する。
図1及び図2は、走行車輌の一例として4条植田植機を示すものであり、車体1の前後には走行車輪としての左右一対の前輪2,2及び後輪3,3が架設されている。車体上前部には操作ボックス4及びステアリングハンドル5等を有する操縦装置が設置され、また、車体後方部には昇降可能な苗植付部6が装備されている。操縦装置の後側に運転席9が設置され、運転席の下側に田植機の各部に動力を伝達するエンジンEが搭載されている。
【0008】
走行車体1の後部で運転席9の左右両側には粒状肥料を圃場に繰出散布するための施肥装置10が設置されている。
苗植付部6は、車体の後部に昇降リンク機構7を介して昇降可能に装着され、昇降用油圧シリンダ8の伸縮作動により昇降する構成である。操作ボックス4の右側面部側には、苗植付部6を昇降操作する植付昇降レバー15が配置されている。
【0009】
また、この苗植付部6には、左右に往復動する苗載台11、1株分の苗を切取って土中に植込む苗植付具12を有する2条分植付装置13,13、苗植付面を滑走しながら整地するフロ−ト(サイドフロ−ト)14,14、センタフロ−ト14S等を備えている。
【0010】
施肥装置10は、苗植付部6の前方に設けられていて、肥料タンク19内の粒状肥料を肥料繰出部20によって一定量づつ下方に繰り出し、その繰り出された肥料を送風機(ブロア)21から供給されるエアによって施肥ホース22を通って施肥ガイド23まで移送し、該施肥ガイド23の吐出口から、この前側に設けた作溝体によって苗植付条の側部近傍に形成される施肥溝内に落し込むようになっている。
【0011】
エンジンEの回転動力は、エンジン出力プーリ24からベルト25を介して油圧式無段変速装置(HST)26の入力プ−リ27に伝えられ、この入力プーリ27軸から油圧ポンプを駆動し、更に、HST24の出力軸からミッションケ−ス29のミッション入力軸に伝えられるようになっている。
【0012】
前記操作ボックス4の左側面部側には、前後進速度を変速制御する変速レバー(HSTレバー)28が配置され、この変速レバー28は、前後方向の揺動操作でHST26を駆動し機体の前進及び後進制御を司るように構成されている。
【0013】
前記苗載台11は、左右横方向に架設されたリードカム軸16の回転によって左右に往復移動する構成になっている。リードカム軸16は植付伝動ケ−ス17内の植付駆動軸18から回転駆動されるように連動連結されてあり、そして、このリードカム軸16の一端が左右横方向において前記昇降リンク機構7と左右一方側の走行車輪(図例では左側の後輪)3との間に位置するよう配置されている。左右方向においてリードカム軸16一端と左右一方の走行車輪3との間に苗載台11を上下動させて苗取量を変更させる苗取量調節レバー30が配置され、ガイド板体31に形成されたレバーガイド33aに沿う前後方向の移動操作によって苗載台11を上下動調節し、苗植付装置13が植え付ける1株当たりの苗の量を調節する構成としている。
【0014】
また、左右方向において前記リードカム軸16一端と昇降リンク機構7との間には各フロート14,14.14sを上下に変位させて植付深さを変更させる植付深さ調節レバー32が配置されてあり、この植付深さ調節レバー32は、前記苗取量調節レバー30をガイドするガイド板体31のレバーガイド33aに対しこれと同一面上に並設されたレバーガイド33bに沿って前後に移動操作することにより、左右方向に架設された植付深さ調節軸34が回動し、この軸34に一体に設けられたフロート支持アーム35に枢支された各フロート14,14,14sの苗植付装置13に対する支持高さを変更し、苗の植付深さを任意に変更調節する構成としている。
【0015】
前記苗取量調節レバー30及び植付深さ調節レバー32は、前記施肥装置10の最も左側の施肥ホース22と、その内側の施肥ホース22との間に配置し、しかも、同一ガイド板体31上に配置することで、操作性の向上を図るようにしている。また、上記のように機体の左右一方側に苗取量調節レバー30及び植付深さ調節レバー32を配置するものにおいて、左右方向で両レバー30,32の間には苗送りベルト36を間欠的に回転駆動する苗送りカム37を配置することで、配置構成のコンパクト化を図るようにしている。
【0016】
図6及び図7に示すように、運転席9を挟む左右後方部に施肥装置10,10を配置して設け、苗載台11の裏側中央部に畦クラッチレバー38を配置するように構成すれば、運転席の後方部に空間が設けられることになるので、畦クラッチレバーの操作が容易となり、操作性の向上を図ることができる。
【0017】
また、図8及び図9に示すように、左右の施肥装置10,10間の空間部で、運転席9の背部に畦クラッチレバー38を配置することによっても、上記と同様の効果を奏することができ、畦クラッチレバーの運転位置からの操作性が向上することになる。かかる実施例では、左右の施肥装置10,10を左右横方向に長く延出する施肥フレーム39によって一体化し、このフレーム39の中央部に畦クラッチレバー38と該レバーを操作ガイド自在に軸装保持するガイドボックス40を設けてあり、そして、各2条分植付装置13,13毎に設けてある畦クラッチ42を入切操作する畦クラッチケーブル41は、施肥フレーム39に配策する構成とすることで、操作性並びに配策性の向上を図るようにしている。
【0018】
なお、図10に示す実施例では、苗取量調節レバー30及び植付深さ調節レバー32を苗植付部の左右一方側に配置し、その反対側に畦クラッチレバー38を配置することによって左右のバランス向上を図るようにしている。
【0019】
図11及び図12に示すように、単一の畦クラッチレバー38で左右各2条分植付装置13,13の畦クラッチ42,42の入切を行う移植機において、畦クラッチケーブル41及び苗送りベルト36の苗送りケーブル43のアウタ受け連結点Q1,Q2と畦クラッチレバー38の回動支点Pとの関係を図11のように構成する。例えば、右側の畦クラッチケーブル41及び苗送りケーブル43のアウタ受け連結点Q1,Q2の位置が、畦クラッチレバー38を全条畦クラッチ「入」の状態(イ)から左2条分畦クラッチ「切」の状態(ロ)位置(又は右2条分畦クラッチ「切」の状態(ハ)位置)まで操作すると、その操作角(θ1+θ1)の2/1角度の時、支点Pを越えるように構成する。これによれば、1本のレバーにより、左右方向の操作で、左右各2条分畦クラッチを入切することができる。
【0020】
苗植付部6への動力伝達は、前記ミッションケ−ス29内のミッション装置から取り出される作業機用取出伝動軸(PTO)45を介して車体後部に設けた植付クラッチケ−ス46内に伝達され、そこから植付伝動軸47によって苗植付部6へ伝達されるようになっている。
【0021】
図13に示す実施例は、PTO軸45と同一軸上に植付クラッチ48及び安全クラッチ49を設けた構成のものにおいて、入力ベベルギヤ50より機体前側に植付クラッチ48を設けると共に、後方に安全クラッチ49を設けた構成としている。植付クラッチ(ピン)部を機体前方に設けることにより、コラム内に收めることができ、フロアステップの凹凸部を無くすことができる。また、この実施例では、植付クラッチ48の駆動側爪48aを入力ベベルギヤ50と一体化することにより、部品点数の削減、コストダウンを図るようにしている。
【0022】
図14及び図15に示す実施例は、車体前後のフレーム53,54にピン55a,55b,55cを取り付けると共に、これらピン55a,55b,55cには直接フューエルタンク56を引っ掛けて載置するように構成している。これによれば、部品点数が少なくなり、軽量化、コストダウンを図ることができる。
【0023】
図16に示す実施例は、苗載台11上に装填されたマット苗を上側から押える苗押え杆60の支持ステー61を樹脂材で成型したものにおいて、苗押え杆60のL字型に曲げた棒状突起62を支持ステー61の係合溝63に差し込むことにより、苗押え杆60の前後方向の位置決めを行うように構成し、苗押え杆60を開く時には苗押え杆60を後方へ矢印F方向にスライドさせ、棒状突起62を係合溝63から抜き外し、仮想線で示す位置に、後方上方に向けて開放するように構成している。これによれば、苗を押えたままで横方向にスライドさせロックを外して開放する従来方式に比べ、苗に対する抵抗がなく操作が簡単にでき、また、苗を傷つけたりすることもなくなる。なお、前記係合溝63の終端(後端)63aを、図例のように、上向きに屈曲開放すべくL字状に構成しておくと、苗押え杆がこれを後方へスライドさせる時に勢い余って支持ステーから外れてしまうのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】苗移植機の側面図
【図2】苗移植機の平面図
【図3】同上要部の平面図
【図4】同上要部の側面図
【図5】同上要部の背面図
【図6】苗移植機の要部の背面図
【図7】同上要部の側面図
【図8】苗移植機の要部の背面図
【図9】同上要部の側面図
【図10】苗移植機の要部の平面図
【図11】畦クラッチレバーの操作機構を示す正面図
【図12】同上正面図
【図13】苗植付部への動力伝達機構を示す平面図
【図14】苗移植機の要部の側面図
【図15】同上要部の平面図
【図16】苗植付部の要部の側面図
【符号の説明】
【0025】
2 前輪 3 後輪
6 苗植付部 7 昇降リンク機構
11 苗載台 14 フロート
16 リードカム軸 30 苗取量調節レバー
32 植付深さ調節レバー
【技術分野】
【0001】
この発明は、圃場に苗を移植する苗移植機に関し、農業機械の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示されているように、植付駆動軸の回転を不等速に伝達するリードカム軸の一端側には、苗植植付具が植え付ける1株当たりの苗の量を調節するギヤ列式の苗取量調節部が設けられ、更に、植付駆動軸の前方下方には、植付深さ調節軸が回動自在に軸架され、該植付深さ調節軸を回動させて苗植付具に対する各フロートの上下位置を変更して苗の植付深さを調節するようにした技術が開示されている。
【特許文献1】特開2002−291308号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上記従来技術に対する苗取量調節レバー及び植付深さ調節レバーの配置関係にあり、各レバー類を合理的に配置することで、車輪と昇降リンク機構との干渉を防ぎ、コンパクト化並びに操作性の向上を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明は、上記課題を解決すべく次のような技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1記載の本発明は、左右に走行車輪(2),(2)、(3),(3)を備える走行車体(1)に対し苗植付部(6)を昇降リンク機構(7)を介して昇降可能に装着して設け、前記苗植付部(6)は左右移動する苗載台(11)から一株分づつ苗を取り出して圃場へ移植する構成とし、苗載台(11)を左右移動させるリードカム軸(16)の一端を左右方向において昇降リンク機構(7)と左右一方の走行車輪(3)との間に配置し、リードカム軸(16)一端と左右一方の走行車輪(3)の間に苗載台(11)を上下動させて苗取量を変更させる苗取量調節レバー(30)を配置し、リードカム軸(16)一端と昇降リンク機構(7)との間にはフロート(14),(14),(14s)を上下に変位させて植付深さを変更させる植付深さ調節レバー(32)を配置してあることを特徴とする。
【0005】
リードカム軸(16)の一端と左右一方の走行車輪(3)との間に苗取量調節レバー(30)を配置し、更に、リードカム軸(16)一端と昇降リンク機構(7)との間には植付深さ調節レバー(32)を配置するので、車輪(3)と昇降リンク機構(7)との干渉を防ぎながら合理的且つコンパクトに配置でき、しかも、両レバー(30),(32)が左右同じ側にあるので操作性が向上する。
【発明の効果】
【0006】
以上要するに、本発明によれば、レバー(30),(32)類の上記配置構成により、車輪(3)と昇降リンク機構(7)との干渉を防ぎながら合理的且つコンパクトに配置でき、しかも、両レバーが左右同じ側に集中配置されるので、より操作性の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
この発明の実施例を図面に基づき説明する。
図1及び図2は、走行車輌の一例として4条植田植機を示すものであり、車体1の前後には走行車輪としての左右一対の前輪2,2及び後輪3,3が架設されている。車体上前部には操作ボックス4及びステアリングハンドル5等を有する操縦装置が設置され、また、車体後方部には昇降可能な苗植付部6が装備されている。操縦装置の後側に運転席9が設置され、運転席の下側に田植機の各部に動力を伝達するエンジンEが搭載されている。
【0008】
走行車体1の後部で運転席9の左右両側には粒状肥料を圃場に繰出散布するための施肥装置10が設置されている。
苗植付部6は、車体の後部に昇降リンク機構7を介して昇降可能に装着され、昇降用油圧シリンダ8の伸縮作動により昇降する構成である。操作ボックス4の右側面部側には、苗植付部6を昇降操作する植付昇降レバー15が配置されている。
【0009】
また、この苗植付部6には、左右に往復動する苗載台11、1株分の苗を切取って土中に植込む苗植付具12を有する2条分植付装置13,13、苗植付面を滑走しながら整地するフロ−ト(サイドフロ−ト)14,14、センタフロ−ト14S等を備えている。
【0010】
施肥装置10は、苗植付部6の前方に設けられていて、肥料タンク19内の粒状肥料を肥料繰出部20によって一定量づつ下方に繰り出し、その繰り出された肥料を送風機(ブロア)21から供給されるエアによって施肥ホース22を通って施肥ガイド23まで移送し、該施肥ガイド23の吐出口から、この前側に設けた作溝体によって苗植付条の側部近傍に形成される施肥溝内に落し込むようになっている。
【0011】
エンジンEの回転動力は、エンジン出力プーリ24からベルト25を介して油圧式無段変速装置(HST)26の入力プ−リ27に伝えられ、この入力プーリ27軸から油圧ポンプを駆動し、更に、HST24の出力軸からミッションケ−ス29のミッション入力軸に伝えられるようになっている。
【0012】
前記操作ボックス4の左側面部側には、前後進速度を変速制御する変速レバー(HSTレバー)28が配置され、この変速レバー28は、前後方向の揺動操作でHST26を駆動し機体の前進及び後進制御を司るように構成されている。
【0013】
前記苗載台11は、左右横方向に架設されたリードカム軸16の回転によって左右に往復移動する構成になっている。リードカム軸16は植付伝動ケ−ス17内の植付駆動軸18から回転駆動されるように連動連結されてあり、そして、このリードカム軸16の一端が左右横方向において前記昇降リンク機構7と左右一方側の走行車輪(図例では左側の後輪)3との間に位置するよう配置されている。左右方向においてリードカム軸16一端と左右一方の走行車輪3との間に苗載台11を上下動させて苗取量を変更させる苗取量調節レバー30が配置され、ガイド板体31に形成されたレバーガイド33aに沿う前後方向の移動操作によって苗載台11を上下動調節し、苗植付装置13が植え付ける1株当たりの苗の量を調節する構成としている。
【0014】
また、左右方向において前記リードカム軸16一端と昇降リンク機構7との間には各フロート14,14.14sを上下に変位させて植付深さを変更させる植付深さ調節レバー32が配置されてあり、この植付深さ調節レバー32は、前記苗取量調節レバー30をガイドするガイド板体31のレバーガイド33aに対しこれと同一面上に並設されたレバーガイド33bに沿って前後に移動操作することにより、左右方向に架設された植付深さ調節軸34が回動し、この軸34に一体に設けられたフロート支持アーム35に枢支された各フロート14,14,14sの苗植付装置13に対する支持高さを変更し、苗の植付深さを任意に変更調節する構成としている。
【0015】
前記苗取量調節レバー30及び植付深さ調節レバー32は、前記施肥装置10の最も左側の施肥ホース22と、その内側の施肥ホース22との間に配置し、しかも、同一ガイド板体31上に配置することで、操作性の向上を図るようにしている。また、上記のように機体の左右一方側に苗取量調節レバー30及び植付深さ調節レバー32を配置するものにおいて、左右方向で両レバー30,32の間には苗送りベルト36を間欠的に回転駆動する苗送りカム37を配置することで、配置構成のコンパクト化を図るようにしている。
【0016】
図6及び図7に示すように、運転席9を挟む左右後方部に施肥装置10,10を配置して設け、苗載台11の裏側中央部に畦クラッチレバー38を配置するように構成すれば、運転席の後方部に空間が設けられることになるので、畦クラッチレバーの操作が容易となり、操作性の向上を図ることができる。
【0017】
また、図8及び図9に示すように、左右の施肥装置10,10間の空間部で、運転席9の背部に畦クラッチレバー38を配置することによっても、上記と同様の効果を奏することができ、畦クラッチレバーの運転位置からの操作性が向上することになる。かかる実施例では、左右の施肥装置10,10を左右横方向に長く延出する施肥フレーム39によって一体化し、このフレーム39の中央部に畦クラッチレバー38と該レバーを操作ガイド自在に軸装保持するガイドボックス40を設けてあり、そして、各2条分植付装置13,13毎に設けてある畦クラッチ42を入切操作する畦クラッチケーブル41は、施肥フレーム39に配策する構成とすることで、操作性並びに配策性の向上を図るようにしている。
【0018】
なお、図10に示す実施例では、苗取量調節レバー30及び植付深さ調節レバー32を苗植付部の左右一方側に配置し、その反対側に畦クラッチレバー38を配置することによって左右のバランス向上を図るようにしている。
【0019】
図11及び図12に示すように、単一の畦クラッチレバー38で左右各2条分植付装置13,13の畦クラッチ42,42の入切を行う移植機において、畦クラッチケーブル41及び苗送りベルト36の苗送りケーブル43のアウタ受け連結点Q1,Q2と畦クラッチレバー38の回動支点Pとの関係を図11のように構成する。例えば、右側の畦クラッチケーブル41及び苗送りケーブル43のアウタ受け連結点Q1,Q2の位置が、畦クラッチレバー38を全条畦クラッチ「入」の状態(イ)から左2条分畦クラッチ「切」の状態(ロ)位置(又は右2条分畦クラッチ「切」の状態(ハ)位置)まで操作すると、その操作角(θ1+θ1)の2/1角度の時、支点Pを越えるように構成する。これによれば、1本のレバーにより、左右方向の操作で、左右各2条分畦クラッチを入切することができる。
【0020】
苗植付部6への動力伝達は、前記ミッションケ−ス29内のミッション装置から取り出される作業機用取出伝動軸(PTO)45を介して車体後部に設けた植付クラッチケ−ス46内に伝達され、そこから植付伝動軸47によって苗植付部6へ伝達されるようになっている。
【0021】
図13に示す実施例は、PTO軸45と同一軸上に植付クラッチ48及び安全クラッチ49を設けた構成のものにおいて、入力ベベルギヤ50より機体前側に植付クラッチ48を設けると共に、後方に安全クラッチ49を設けた構成としている。植付クラッチ(ピン)部を機体前方に設けることにより、コラム内に收めることができ、フロアステップの凹凸部を無くすことができる。また、この実施例では、植付クラッチ48の駆動側爪48aを入力ベベルギヤ50と一体化することにより、部品点数の削減、コストダウンを図るようにしている。
【0022】
図14及び図15に示す実施例は、車体前後のフレーム53,54にピン55a,55b,55cを取り付けると共に、これらピン55a,55b,55cには直接フューエルタンク56を引っ掛けて載置するように構成している。これによれば、部品点数が少なくなり、軽量化、コストダウンを図ることができる。
【0023】
図16に示す実施例は、苗載台11上に装填されたマット苗を上側から押える苗押え杆60の支持ステー61を樹脂材で成型したものにおいて、苗押え杆60のL字型に曲げた棒状突起62を支持ステー61の係合溝63に差し込むことにより、苗押え杆60の前後方向の位置決めを行うように構成し、苗押え杆60を開く時には苗押え杆60を後方へ矢印F方向にスライドさせ、棒状突起62を係合溝63から抜き外し、仮想線で示す位置に、後方上方に向けて開放するように構成している。これによれば、苗を押えたままで横方向にスライドさせロックを外して開放する従来方式に比べ、苗に対する抵抗がなく操作が簡単にでき、また、苗を傷つけたりすることもなくなる。なお、前記係合溝63の終端(後端)63aを、図例のように、上向きに屈曲開放すべくL字状に構成しておくと、苗押え杆がこれを後方へスライドさせる時に勢い余って支持ステーから外れてしまうのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】苗移植機の側面図
【図2】苗移植機の平面図
【図3】同上要部の平面図
【図4】同上要部の側面図
【図5】同上要部の背面図
【図6】苗移植機の要部の背面図
【図7】同上要部の側面図
【図8】苗移植機の要部の背面図
【図9】同上要部の側面図
【図10】苗移植機の要部の平面図
【図11】畦クラッチレバーの操作機構を示す正面図
【図12】同上正面図
【図13】苗植付部への動力伝達機構を示す平面図
【図14】苗移植機の要部の側面図
【図15】同上要部の平面図
【図16】苗植付部の要部の側面図
【符号の説明】
【0025】
2 前輪 3 後輪
6 苗植付部 7 昇降リンク機構
11 苗載台 14 フロート
16 リードカム軸 30 苗取量調節レバー
32 植付深さ調節レバー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右に走行車輪(2),(2)、(3),(3)を備える走行車体(1)に対し苗植付部(6)を昇降リンク機構(7)を介して昇降可能に装着して設け、前記苗植付部(6)は左右移動する苗載台(11)から一株分づつ苗を取り出して圃場へ移植する構成とし、苗載台(11)を左右移動させるリードカム軸(16)の一端を左右方向において昇降リンク機構(7)と左右一方の走行車輪(3)との間に配置し、リードカム軸(16)一端と左右一方の走行車輪(3)の間に苗載台(11)を上下動させて苗取量を変更させる苗取量調節レバー(30)を配置し、リードカム軸(16)一端と昇降リンク機構(7)との間にはフロート(14),(14),(14s)を上下に変位させて植付深さを変更させる植付深さ調節レバー(32)を配置してあることを特徴とする苗移植機。
【請求項1】
左右に走行車輪(2),(2)、(3),(3)を備える走行車体(1)に対し苗植付部(6)を昇降リンク機構(7)を介して昇降可能に装着して設け、前記苗植付部(6)は左右移動する苗載台(11)から一株分づつ苗を取り出して圃場へ移植する構成とし、苗載台(11)を左右移動させるリードカム軸(16)の一端を左右方向において昇降リンク機構(7)と左右一方の走行車輪(3)との間に配置し、リードカム軸(16)一端と左右一方の走行車輪(3)の間に苗載台(11)を上下動させて苗取量を変更させる苗取量調節レバー(30)を配置し、リードカム軸(16)一端と昇降リンク機構(7)との間にはフロート(14),(14),(14s)を上下に変位させて植付深さを変更させる植付深さ調節レバー(32)を配置してあることを特徴とする苗移植機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2007−53939(P2007−53939A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−241407(P2005−241407)
【出願日】平成17年8月23日(2005.8.23)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年8月23日(2005.8.23)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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