苗移植機

【課題】比較的シンプルな構成で苗取出と苗植付ができる装置を備えた苗移植機を提供すること。
【解決手段】上部の苗トレイ供給口４ａから補給された苗トレイＡを下部側に移送するトレイガイド４の下部で苗トレイＡ内の苗Ｅを挟み付けて取り出して受け取った後、回転させて圃場に植付けを行う一対の苗植付ディスク９，９とを設け、該苗植付ディスク９，９の外周縁には凹凸部を設け、該凸部で苗をつかみ、凹部で苗植付ディスク（９，９）が苗に干渉しないようにして苗を横スライドさせるので、苗トレイ（Ａ）から一株づつ苗を精度良く取り出せる効果がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、苗移植機に関し、特に育苗ポットを縦横に配列した育苗トレイを用いて育苗した形態の苗トレイを供給して苗植する苗植機として利用でき、主として野菜苗の移植を有効に行う苗移植機に関する。
【背景技術】
【０００２】
トレイガイドの上部の苗トレイ供給口から補給された方形状のマット形態に育苗された苗トレイをトレイガイドの下部の苗植付装置側へ移送しながら、苗トレイの苗を苗取出装置により取り出して苗植付装置による苗植付けを行わせる苗供給装置を備えた苗移植機を本出願人は出願している。
【特許文献１】特開２００２−２３３２１８号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００３】
上記特許文献１記載の苗移植機では、トレイガイドの上部から下部に移送される苗トレイの苗を苗取出装置により取り出して苗植付装置に移す構成である。前記苗取出装置は、育苗ポット内の苗を一株ずつ挟持して苗トレイから取出して苗植付装置の供給筒内へ供給するもので、カム機構とダブルクランク機構との組合せにより所定の苗取出軌跡に作動される左右一対の苗取出針を有する構成である。また、苗植付装置はリンク機構により上下する動作に連動して下端が開閉する一対のくちばし体からなる。
【０００４】
このように苗取出装置と苗植付装置は共に複雑な作動部を有する構成からなるため、苗トレイから圃場の植付け位置までの苗の移送工程が複雑になり、高速で植え付けることができず植付作業能率に限界があった。また、その組み立て、メンテナンス、製造コストなどに難点があった。
【０００５】
そこで本発明の課題は、比較的シンプルな構成で苗取出と苗植付ができる装置を備えた苗移植機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
請求項１記載の発明は、上部の苗トレイ供給口（４ａ）から補給された苗トレイ（Ａ）を下部側に移送するトレイガイド（４）と、該トレイガイド（４）の下部で苗トレイ（Ａ）の苗（Ｅ）を挟み付けて取り出して受け取った後、回転させて圃場に植付けを行う一対の苗植付ディスク（９，９）とを設け、苗植付ディスク（９，９）の外周縁には凹凸部を設けた苗移植機である。
【発明の効果】
【０００７】
本発明の苗移植機は、回転させて圃場に植付けを行う一対の苗植付ディスク（９，９）の外周縁の凸部で苗をつかみ、凹部で苗植付ディスク（９，９）が苗に干渉しないようにして苗を横スライドさせるので、苗トレイ（Ａ）から一株づつ苗を精度良く取り出せる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００８】
本発明の実施例を図面と共に説明する。
本実施例の乗用型苗植機の苗植付装置部分の左側面図を図１に、平面図を図２に示し、図３は苗植付装置のトレイガイド部分の斜視図を示す。また、図４にはトレイガイド部分の内部機構の側面図を示し、図５にはトレイガイド部分の内部機構の正面図を示す。
なお、本明細書では苗植機の前進方向に向かって左右をそれぞれ左側と右側といい、前進方向を前側、後進方向を後側という。
【０００９】
図１の苗移植機では、トラクタ形態のＰＴＯリフトリンク２に箱形フレーム３を介して苗植付装置Ｎが連結されており、該苗移植機は苗トレイＡ（図３）を用いて苗供給を行いながら苗植作業を行わせる機械であり、特に野菜苗の移植に適する。また、本実施例の苗植付装置Ｎの苗送り装置Ｈには一対のトレイガイド４を苗植機の機体の前後方向に向かい合わせて配置し、該一対のトレイガイド４を機体の左右方向に並列状に二列配置して合計４個のトレイガイド４を有する構成からなる。
【００１０】
図３に示すように、方形状の苗トレイＡは、育苗ポットＤを縦横に配置形成して育苗したトレイであり、苗植機は、各トレイガイド４に苗トレイＡの補給を受けて移送しながら、苗Ｅを一対の苗植付ディスク９，９に受渡し、該一対の苗植付ディスク９，９が直接圃場に苗Ｅを植え付ける構成である。
【００１１】
各トレイガイド４には、側面視でＵ字状形態に前後に迂回するように形成した苗トレイＡを移送する機構が設けられ、更に、該トレイガイド４に移送案内される苗トレイＡの各育苗ポットＤから苗Ｅを受け取り、圃場に苗Ｅを植え付ける円盤状の苗植付ディスク９等が配置されている。また、苗植機のトレイガイド４へは、前記苗トレイＡの苗Ｅが育苗されたままの状態で供給することができる。前記トレイガイド４は、側面視でＵ字状形態の底部を前下部に位置させ、供給口４ａや送出口４ｂの上端部を後上方に位置させた、傾斜させた構成としている。
【００１２】
トレイガイド４は、苗トレイＡの底部を受けて案内する案内板２４と、前記苗トレイＡの左右両側縁を案内する案内側板２５と、これら案内側板２５側に張設されて回転する送りチェン２６等からなり、苗トレイＡの補給を受けて該送りチェン２６に配置されたラグ２７によって苗トレイＡの左右両側のポットＤの間隔部を係合して移送させる。
【００１３】
案内板２４の下端部は送りチェン２６の横方向スプロケット軸２８の周りに向けて湾曲されて、この外周には左右両側の案内側板２５間には案内体３０が配置されて、全体として苗トレイＡを側面視でＵ字状に迂回移送するように案内することができる。案内板２４の中央部に形成した送りガイド２９は、苗トレイＡの底部のポットＤの間隔部を嵌合させて送出方向の移送を案内する。
【００１４】
このようなトレイガイド４は、フレーム３に一体的に取り付けた取付フレーム３１に対してガイドレール３２によって苗トレイＡの横幅に亘って左右に往復移動自在に支持される。前記トレイガイド４は案内子３３を取付フレーム３１に支持されたリードカム３４に嵌合させて、該リードカム３４の回転によってトレイガイド４を横方向へ往復移動できる。前記スプロケット軸２８の伝動回転によって、送りチェン２６を駆動すると共に、リンク機構３５を介して左右一対のクランクアーム３６からの回動を受ける。
【００１５】
前記クランクアーム３６は、トレイガイド４と一体的に横方向へ移動して、取付フレーム３１に対して一定位置で回転するリードカム３４の駆動軸３７の左右両側部に一体の駆動アーム３８に係合され間欠的に駆動される。これによってトレイガイド４が左横端と右横端に移動された位置で、苗トレイＡが育苗ポットＤの一横列分だけ縦移送される。
【００１６】
トレイガイド４内に苗トレイＡから苗Ｅを押し出して、矢印Ｆ方向（図１参照）に回転する一対の苗植付ディスク９，９の先端で挟み込み、苗Ｅを挟み込んだ一対の苗植付ディスク９，９は圃場に向かって回転して圃場に挟み込んだ苗Ｅを植え付けて離す。
【００１７】
トレイガイド４の上部の苗トレイ供給口４ａから補給された苗トレイＡの苗Ｅを下部の苗植付ディスク９へ移送しながら、該苗植付ディスク９による苗植付けを行わせると共に、苗供給後の空トレイＢを該供給口４ａの前側又は後側に形成される送出口４ｂへＵターン形態に迂回させて送り出す。また、送出口４ｂには案内側板２５の後端部から後上方に渡って空トレイＢの送り出しを支持案内する案内体４４を設ける。
【００１８】
前記トレイガイド４の送出口４ｂに空トレイＢの送出端が達した状態で、供給口４ａでは苗トレイＡが補給可能の状態となるように設定している。
なお、トレイガイド４の送出口４ｂ部分に空トレイＢの送出端が達した状態で、該空トレイＢの次の苗トレイＡの搬送先端部が苗植付ディスク９の苗取出位置Ｘ（図１参照）より若干手前に位置するように設定している。
【００１９】
これによって、苗植作業時にトレイガイド４の供給口４ａに苗トレイＡを供給すると、該苗トレイＡはトレイガイド４を移送されてＵターン部を迂回されて送出口４ｂ側へ移送される間に、苗植付ディスク９による苗植付作用を受けて、送出口４ｂへは空トレイＢとして送り出される。前記空トレイＢの送出端が送出口４ｂに達した状態では、供給口４ａには新たな苗トレイＡが補給可能の状態にあるため、作業者は前記送出口４ｂに空トレイＢの送出端が達したことを確認して、又は、供給口４ａ部における苗トレイＡの補給可能の状態を確認して、植付作業において欠株を生じさせないように苗トレイＡの補給を行うことができる。
【００２０】
このように、Ｕターン形態のトレイガイド４の前後の供給口４ａ又は送出口４ｂのいずれか一方の苗トレイＡおよび空トレイＢの監視によって苗トレイＡの補給の可否を判断することができ、作業操作性を容易化できる。特にトレイガイド４を比較的高い位置に配置する構成とし、作業者の前後方向の操作視界を遮る形態では、例えば、前方の供給口４ａの状態が見えなくても送出口４ｂ側の状態だけを見ながら苗トレイＡの補給作業を行うことができる。
【００２１】
苗植付ディスク９は、図６（ａ）の側面図と図６（ｂ）の図６（ａ）のＡ−Ａ線断面図に示すように、金属製の円盤９ａの外周部にゴム部分９ｂを取り付けた構造であり、図６（ｂ）に示すように一対のディスク板からなる。また、苗植付ディスク９の外周縁に側面視で凹凸を設けて、該ディスク９の凸部で苗をつかみ、凹部で苗植付ディスク（９，９）が苗に干渉しないようにして苗を横スライドさせる。
従ってディスク９の外周縁の凹凸部により、苗トレイ（Ａ）から一株づつ苗を精度良く取り出せる効果がある。
【００２２】
また、図１、図２に示すように、苗植付ディスク９は各苗送り装置Ｈの前後に一対設け、更に左右方向に一対の苗植付ディスク９，９を配置している。そのため、トレイガイド４内の苗トレイＡ内に配置される各育苗ポットＤ間の間隔、又は苗トレイ全体の寸法に影響されずにディスク９，９を設置でき、隣接条の苗送り装置Ｈ同士を隣接して横並びに設けても、植付条間を比較的狭くすることができる。
【００２３】
また、前後に配置される一対の苗植付ディスク９，９で、それぞれ苗送りタイミング（ディスクが苗をつかむタイミング）を変えると植え付けるタイミングも変わり、圃場に苗を植え付けると千鳥植えが行える。
【００２４】
さらに、図１、図２に示すように、一対の苗植付ディスク９は前側の苗送り装置Ｈに対応するものが並列状に２つ、後側の苗送り装置Ｈに対応するものが並列状に２つ配置された例を示し、前側の一対の苗植付ディスク９，９と後側の一対の苗植付ディスク９，９はそれぞれ独立に横スライドが可能な構成になっている。
【００２５】
また、前後のトレイガイド４の横スライド機構のスライド位相が互いに逆になっているので、機体の左右方向のバランスが保てる。
また各苗植付ディスク９の両側には接地輪兼覆土輪４３が配置され、各苗植付ディスク９により畝Ｃに植え付けられた苗の回りの覆土を行う。
【００２６】
苗植付ディスク９の中心軸９ｃには機体前方に配置された図示しない植付伝動ケース内の動力伝達機構を介してエンジン動力を入力する。さらに苗植付ディスク９の中心軸９ｃは支持フレーム４５に支持される継手部４７により中心軸９ｃの傾斜角度を調節操作具（図示せず）等により変更可能な構成である。なお、支持フレーム４５は植付伝動ケースの内側に設けられている。
【００２７】
図６（ｂ）に示すように一対の苗植付ディスク９，９の中心軸９ｃの傾斜角度に応じてゴム部分９ｂ，９ｂによる苗Ｅの挟持範囲を変更できる。
なお、トレイガイド４から一対の苗植付ディスク９，９への苗Ｅの受渡は一対の苗植付ディスク９，９が苗Ｅの葉部を挟持して移送することで行う。このときトレイガイド４から苗Ｅを受け渡される一対の苗植付ディスク９，９のゴム部分９ｂ，９ｂは互いに接触状態を保って受け渡された苗Ｅを挟持する。前記一対の苗植付ディスク９，９の苗Ｅの挟持位置は、一対の苗植付ディスク９，９が回転して圃場に挟持した苗Ｅを植え付ける位置に対応して適宜調整できる。一対の苗植付ディスク９，９が圃場に挟持した苗Ｅを植え付ける時には苗Ｅをタイミング良く離すような動作を一対の苗植付ディスク９，９が行うことができる。
【００２８】
前記一対の苗植付ディスク９，９による苗Ｅの挟持と解放のタイミングは調節操作具等で苗植付ディスク９の傾斜角度を変更調節したり、一対の苗植付ディスク９，９の間隔を変更調節する。
【００２９】
また、苗トレイＡの苗を一対の苗植付ディスク９，９が直接挟持してそのまま植え付けるので、一対の苗植付ディスク９，９による苗Ｅの掴み位置が一定となるため、圃場への苗Ｅの植付深さが安定する。
【００３０】
本実施例の苗植付ディスク９は、従来の苗移植機の苗取出装置と苗植付装置とを一体化したシンプルな構成であるので、その組み立て、メンテナンス、製造コストなどで有利な苗移植機が得られる。
また、苗植付ディスク９がトレイガイド４から移送される苗Ｅを掴む時には、育苗ポットＤ内の苗Ｅを掴みながらトレイガイド４から苗植付ディスク９へ押し出す部材（図示せず）をトレイガイド４内部に設けることができる。これにより、苗トレイＡからの苗の取り出しを促すことができ、苗取り出しの精度が向上する。
【００３１】
また、苗植付ディスク９がトレイガイド４から苗Ｅを受取る位置Ｘにおいて、苗植付ディスク９とトレイガイド４の回転方向は互いに逆方向となっている。そのため、トレイガイド４から苗植付ディスク９へ苗Ｅの取出しが円滑に行える。
【００３２】
図７には本発明の他の実施例の乗用型苗植機の苗植付装置部分の左側面図を示し、図８はその平面図を示す。図７、図８に示す苗植付装置には図２〜図６で説明した苗植付ディスク９が並列配置されているが、図１、図２に示す例とは異なり、トレイガイド４は全て同じ方向を向いている。
【００３３】
苗植付ディスク９の駆動についての詳細な構成は説明しないが、エンジンから駆動するのでなく、機体走行による地面から（例えば回転自在の接地輪から）の回転伝達で駆動するグランドＰＴＯ駆動軸７からの動力により駆動する構成としている。ＰＴＯ駆動軸７からの動力が図７に示す取付フレーム３１に支持された伝動ケース５０に収納されたスプロケット５１，５２とチェン５３を介して苗植付ディスク９の駆動軸が作動する。
【００３４】
トラクタＰＴＯ（作業機）の駆動をすると、ＰＴＯのリフト前にＰＴＯを「切」にしなければならないので、ＰＴＯの駆動力が「入」のままでは苗を空送りしてしまう。しかし、上記構成によれば、ＰＴＯ駆動軸７からの動力は作業機用のリフトリンク２を含むリンク機構Ｒがリフトシリンダ１８により作業機（本実施例では苗送り装置Ｈ）を上昇させると作業機を作動させる動力伝達を確実にオフにする構成を備えているので、安全である。
【００３５】
また、作業者の椅子を苗植付ディスク９より上方に設けているので、苗の補給作業以外、作業者は椅子４０に座ったままで作業ができる。
【００３６】
図９は本発明の他の実施例の歩行型苗植機の苗トレイＡ（図３）を用いて苗供給を行いながら苗植作業を行わせる歩行形態の苗植機の左側面図である。図９の苗植機には図２〜図６で説明した苗植付ディスク９が並列配置されている。
図９の苗移植機では、ハンドトラクタ形態のハンドルフレーム８の前側上部に苗トレイを載置できるトレイガイド４を有する苗送り装置Ｈが配置されている。この苗移植機の前方には苗トレイを載置する補助苗載台１０を配置している。また送出口４ｂは空トレイＢの送り出しを支持案内する案内体４４を設け、該案内体４４の先端部を苗補給マーカ５とする。苗送り装置Ｈにも苗載台６を配置している。
【００３７】
また、リフトシリンダ１８は車体１１の下部の接地センサ４１による畝Ｃの高さの検出によって、リフトシリンダ１８の油圧回路の制御弁を切り替えて畝高さに応じた車高を変更しながら、車高及び苗植付ディスク９による苗植深さを一定に維持制御するように構成される。
【００３８】
図９の苗植機では、ハンドトラクタの車体１１は、前部にエンジン１２を搭載し、後部にハンドルフレーム８を有して、後端に操縦ハンドル１３を有する。左右両側には車輪ケース１４で上下揺動可能にして車高を調節できる駆動車輪１５と、前部の補助車輪１６とが配置される。エンジン１２の動力は走行ミッションケース１９内の走行ミッションと車輪ケース１４内のチェンなどを介して駆動車輪１５に伝達され、駆動車輪１５が駆動される。車輪ケース１４の前端はアクスルハウジング１７の周りに上下回動自在で、油圧力によるリフトシリンダ１８やローリングシリンダ（図示せず）の伸縮で上下動されて車高を変更させることができる。前記リフトシリンダ１８は車体１１の下部の接地センサ（図示せず）による畝Ｃの高さの検出によって、リフトシリンダ１８の油圧回路の制御弁を切り替えて畝高さに応じた車高を変更しながら、車高及び苗植付ディスク９による苗植深さを一定に維持制御するように構成される。
【００３９】
また、補助車輪１６も前記駆動車輪１５と同期して昇降されて、車高変更を平行状態にして行うことができる。アクスルハウジング１７の周りに回動する車輪ケース１４と一体のアーム２０は、前記リフトシリンダ１８との間をリンクロッド２１で連結されて連動される。前記車輪ケース１４と連動するリンク２２は、補助車輪１６を上下回動自在に支持する前輪アーム２３を連動する。
【００４０】
リフトシリンダ１８の伸長によって駆動車輪１５が車体１１に対して下動すると前側の補助車輪１６も同量だけ下動する。また、逆に駆動車輪１５が上昇すると補助車輪１６も同量だけ上動して、車高は車体１１の平行状態の昇降によって変更する。このため、苗植付ディスク９による苗植付姿勢も一定に維持される。また、苗送り装置Ｈのトレイガイド４へは、前記苗トレイの苗が育苗されたままの状態で供給され、トレイガイド４から苗植付ディスク９に苗を供給して、苗植付ディスク９が畝Ｃに苗を植え付ける構成である。
【００４１】
苗送り装置Ｈの駆動軸３７の駆動はエンジン動力がミッションケース１９内の走行ミッションと植付伝動ケース３９内の苗植付ディスク９を経由して伝達される。また走行ミッション内部に株間調節機構（図示せず）を設け、走行ミッションと苗植付ディスク９の間に株間調節機構Ｋ１を設け、さらに苗植付ディスク９と苗送り装置Ｈとの間に株間調節機構Ｋ２を設けている。従って３段階に亘って株間の調節を行うことができる。
【００４２】
また、苗植付ディスク９と苗送り装置Ｈとの間にだけ株間調節機構Ｋ２を設けた構成としても良い。この場合は苗送り装置Ｈから苗植付ディスク９へ苗を送るタイミングを株間調節機構Ｋ２で調節するだけで、容易に畝Ｃへの苗の植付間隔を変えることができる。
【００４３】
この構成ではくちばし状の苗植付け体に苗供給チェーンから苗を落下させるタイプの苗移植機のように、苗植付け体と苗供給チェーンとの位相タイミングの調整を刷る必要がないので信頼性の高い苗移植機を提供することができる。
【００４４】
図１０は本発明の他の実施例の歩行型苗植機の苗トレイＡ（図３）を用いて苗供給を行いながら苗植作業を行わせる歩行形態の苗植機の左側面図であり、図９で説明した部材と同一部材は同一番号を付して、その説明は省略する。
この構成の特徴は、苗送り装置Ｈが走行ミッションから動力シャフト４２を介して直接動力伝達を受けて駆動されることである。この場合には苗植付ディスク９は図示しないグランドＰＴＯ軸（接地することで回転するＰＴＯ軸）から動力伝達を受ける。なお、苗植付ディスク９と同軸で一体回転する格別の接地輪を設けてもよい。
【００４５】
また、苗送り装置Ｈに設けた駆動軸３７を苗植付ディスク９に設けた動力入力軸４９に連結しておき、圃場条件が土壌が軟らかいあるいはぬかるんでいる、又は圃場面の凹凸が激しいときなどには苗植付ディスク９は、グランドＰＴＯ軸（図示せず）からの動力伝達を受けないで苗送り装置Ｈから動力伝達を受ける構成とし、この動力伝達用の構成と先の動力シャフト４２を介して直接動力伝達を受ける構成を駆動クラッチの入切により切替可能にしておくと、広範囲の圃場条件で苗植付ディスク９を用いる苗の植え付けが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【００４６】
本発明は、重労働から作業者を解放する苗移植用の農作業機として利用可能性が高い。
【図面の簡単な説明】
【００４７】
【図１】本発明の一実施例の乗用型苗植機の苗植付装置部分の左側面図である。
【図２】図１の乗用型苗植機の苗植付装置部分の平面図である。
【図３】図１の乗用型苗植機の苗植付装置のトレイガイド部分の斜視図である。
【図４】図１の苗移植機のトレイガイド部の内部機構の側面図である。
【図５】図１の苗移植機のトレイガイド部の内部機構の正面図である。
【図６】図１の苗移植機の苗植付ディスクの側面図（図６（ａ））と図６（ａ）のＡ−Ａ線断面図（図６（ｂ））である。
【図７】図１の本発明の他の実施例の乗用型苗植機の苗植付装置部分の左側面図である。
【図８】図７の乗用型苗植機の苗植付装置部分の平面図である。
【図９】図１の本発明の他の実施例の乗用型苗植機の歩行型苗植機の側面図である。
【図１０】図１の本発明の他の実施例の乗用型苗植機の歩行型苗植機の側面図である。
【符号の説明】
【００４８】
２ＰＴＯリフトリンク３フレーム
４トレイガイド４ａ供給口
４ｂ送出口５苗補給マーカ
６苗載台７ＰＴＯ駆動軸
８ハンドルフレーム９苗植付ディスク
９ａ円盤９ｂゴム部分
９ｃ中心軸１０補助苗載台
１１車体１２エンジン
１３操縦ハンドル１４車輪ケース
１５駆動車輪１６補助車輪
１７アクスルハウジング１８リフトシリンダ
１９走行ミッションケース２０アーム
２１リンクロッド２２リンク
２３前輪アーム２４案内板
２５案内側板２６送りチェン
２７ラグ２８横方向スプロケット軸
２９送りガイド３０案内体
３１取付フレーム３２ガイドレール
３３案内子３４リードカム
３５リンク機構３６クランクアーム
３７駆動軸３８駆動アーム
３９植付伝動ケース４０椅子
４１接地センサ４２動力シャフト
４３接地輪兼覆土輪４４案内体
４５支持フレーム４７継手部
４９動力入力軸５０伝動ケース
５１，５２スプロケット５３チェン
５５リフトシリンダ
Ａ苗トレイＢ空トレイ
Ｃ畝Ｄ育苗ポット
Ｅ苗Ｈ苗送り装置
Ｋ１，Ｋ２株間調節機構Ｎ苗植付装置

【特許請求の範囲】
【請求項１】
上部の苗トレイ供給口（４ａ）から補給された苗トレイ（Ａ）を下部側に移送するトレイガイド（４）と、
該トレイガイド（４）の下部で苗トレイ（Ａ）の苗（Ｅ）を挟み付けて取り出して受け取った後、回転させて圃場に植付けを行う一対の苗植付ディスク（９，９）と
を設け、
苗植付ディスク（９，９）の外周縁には凹凸部を設け
たことを特徴とする苗移植機。

【図１】