苗移植機
【課題】タイムラグを低減することが可能な苗移植機を提供すること。
【解決手段】走行車体2の後側に設けられ、苗を圃場に植え付ける条単位毎の植え付け部52を複数有する植え付け装置4と、複数の植え付け部52への駆動力を複数の植え付け部毎に入切する、複数の部分条クラッチ110と、駆動軸127に配置された複数のプーリ部材121と、駆動軸127の回転をプーリ部材121に伝達して回転させるべく、プーリ部材のそれぞれに配置されている伝達機構139と、部分条クラッチ110とプーリ部材121を連結する切替操作部材112とを備え、部分条クラッチ110は、切替操作部材112がプーリ部材121の回転によって巻き取られると共に、切替操作部材112で引かれることによって切り状態となり、複数の伝達機構139が端から順にタイミングをずらしてプーリ部材121に駆動軸127の回転を伝達し、プーリ部材を回転させる、苗移植機である。
【解決手段】走行車体2の後側に設けられ、苗を圃場に植え付ける条単位毎の植え付け部52を複数有する植え付け装置4と、複数の植え付け部52への駆動力を複数の植え付け部毎に入切する、複数の部分条クラッチ110と、駆動軸127に配置された複数のプーリ部材121と、駆動軸127の回転をプーリ部材121に伝達して回転させるべく、プーリ部材のそれぞれに配置されている伝達機構139と、部分条クラッチ110とプーリ部材121を連結する切替操作部材112とを備え、部分条クラッチ110は、切替操作部材112がプーリ部材121の回転によって巻き取られると共に、切替操作部材112で引かれることによって切り状態となり、複数の伝達機構139が端から順にタイミングをずらしてプーリ部材121に駆動軸127の回転を伝達し、プーリ部材を回転させる、苗移植機である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、苗移植機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
苗移植機において、畦際近辺での植え付け作業時、及び変形圃場の圃場端での植え付け作業時に、必要な位置にのみ苗を植え付けることを可能とするために、2組の植え付け部毎に駆動力の入り切りを切り替える部分条クラッチが設けられている。
【0003】
このような複数の部分条クラッチの入り切りの操作を行うため、部分条クラッチ毎にスイッチが設けられた構成が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
しかしながら、畦際、圃場端で、複数の部分条クラッチを操作する際には、一つ一つ対応するスイッチを押す必要があるため、操作工数が多く、操作性が低下するという問題がある。
【0005】
この問題を解決するために、モータによりスライドする凹凸のあるカムに、部分条クラッチを操作する軸の先端部に設けたカムローラを、位相を変えて接触させ、カムをスライドさせることによって段階的に部分条クラッチを左端又は右端から入り切りを行う構成が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0006】
この構成は、1つの操作を行うことにより、複数の部分条クラッチが段階的に入り切り操作を行うことを可能とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010―004818号公報
【特許文献2】特許登録第3841542号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、カムの凹凸とカムローラの接触によって部分条クラッチの入り切りを操作しているため、切替に若干のタイムラグが生じることがある。
【0009】
そのため、部分条クラッチが切り操作される前に植え付け部が苗を掻き取って圃場に植えてしまう場合があり、枕地植の際に無駄になる苗が生じるという問題が発生する。
【0010】
本発明は、上記従来の苗移植機の課題を考慮し、タイムラグを低減することが可能な苗移植機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、第1の本発明は、
走行車体(2)と、
前記走行車体(2)の後側に設けられ、苗を圃場に植え付ける条単位毎の植え付け部(52)を複数有する植え付け装置(4)と、
前記複数の植え付け部(52)への駆動力を1つ又は複数の前記植え付け部(52)毎に入切する、複数の部分条クラッチ(110)と、
回転可能に構成された駆動軸(127)と、
前記駆動軸(127)に配置された複数のプーリ部材(121)と、
前記駆動軸(127)の回転を前記プーリ部材(121)に伝達して回転させるべく、前記プーリ部材(121)のそれぞれに配置されている伝達機構(139)と、
前記部分条クラッチ(110)と前記プーリ部材(121)を連結する切替操作部材(112)とを備え、
前記部分条クラッチ(110)は、前記切替操作部材(112)が前記プーリ部材(121)の回転によって巻き取られると共に、前記切替操作部材(112)で引かれることによって切り状態となり、
複数の前記伝達機構(139)が、端から順にタイミングをずらして前記プーリ部材(121)に前記駆動軸(127)の回転を伝達し、前記プーリ部材を回転させる、苗移植機である。
【0012】
第2の本発明は、
それぞれの前記伝達機構(139)は、自身の有するソレノイド(129)によって、前記駆動軸(127)の回転の伝達及び否伝達が切り替えられる、第1の本発明の苗移植機である。
【0013】
第3の本発明は、
走行車体(2)と、
前記走行車体(2)の後側に設けられ、苗を圃場に植え付ける条単位毎の植え付け部(52)を複数有する植え付け装置(4)と、
前記複数の植え付け部(52)への駆動力を1つ又は複数の前記植え付け部(52)毎に入切する、複数の部分条クラッチ(110)と、
回転可能に構成された駆動軸(127)と、
前記駆動軸(127)に配置された複数のプーリ部材(121)と、
前記駆動軸(127)の回転を前記複数のプーリ部材(121)に伝達して回転させるべく、前記複数のプーリ部材(121)に配置されている1つの伝達機構(139)と、
前記部分条クラッチ(110)と前記プーリ部材(121)を連結する切替操作部材(251)とを備え、
前記部分条クラッチ(110)は、前記切替操作部材(251)が前記プーリ部材(121)の回転によって巻き取られ、前記切替操作部材(251)で引かれることによって切り状態となり、
前記プーリ部材(121)及び前記切替操作部材(251)は、前記伝達機構(139)が同じタイミングで前記複数のプーリ部材(121)に前記駆動軸(127)の回転を伝達した際、複数の前記切替操作部材(251)が端から順にタイミングをずらして張っていき、前記部分条クラッチ(110)が順次切り状態となる、苗移植機である。
【0014】
第4の本発明は、
前記複数の切替操作部材(251)の長さをそれぞれ異なる長さとすることによって、前記部分条クラッチ(110)が端から順にタイミングがずれて切り状態となる構成とした、第3の本発明の苗移植機である。
【0015】
第5の本発明は、
走行車体(2)と、
前記走行車体(2)の後側に設けられ、苗を圃場に植え付ける条単位毎の植え付け部(52)を複数有する植え付け装置(4)と、
前記複数の植え付け部(52)への駆動力を1つ又は複数の前記植え付け部(52)毎に入切する、複数の部分条クラッチ(110)と、
回転可能に構成された駆動軸(127)と、
前記駆動軸(127)に配置された複数のプーリ部材(210、211、212)と、
前記駆動軸(127)の回転を前記複数のプーリ部材(210、211、212)に伝達して回転させるべく、前記複数のプーリ部材(210、211、212)に配置されている1つの伝達機構(139)と、
前記部分条クラッチ(110)と前記プーリ部材(210、211、212)を連結する切替操作部材(112)とを備え、
前記部分条クラッチ(110)は、前記切替操作部材(112)が前記プーリ部材(210、211、212)の回転によって巻き取られ、前記切替操作部材(112)で引かれることによって切り状態となり、
前記複数のプーリ部材(210、211、212)は、端から順に径が小さくなっており、
前記伝達機構(139)は、同じタイミングで前記複数のプーリ部材(210、211、212)に前記駆動軸(127)の回転を伝達し、前記複数のプーリ部材(210、211、212)のうち、より径の大きい方が、前記切替操作部材(112)の移動量が大きくより早く前記部分条クラッチが切り状態となる、苗移植機である。
【0016】
第6の本発明は、
前記伝達機構(139)は、摩擦部材(122)又はトルクリミッタと、
前記摩擦部材又は前記トルクリミッタを、前記プーリ部材に当接するバネ部材(125)とを有する、第1から5のいずれかの本発明の苗移植機である。
【0017】
第7の本発明は、
走行車体(2)と、
前記走行車体(2)の後側に設けられ、苗を圃場に植え付ける条単位毎の植え付け部(52)を複数有する植え付け装置(4)と、
前記複数の植え付け部(52)への駆動力を1つ又は複数の前記植え付け部(52)毎に入切する、複数の部分条クラッチ(110)と、
前記複数の部分条クラッチ(110)のそれぞれに対応して設けられている、回動可能なアーム部材(200)と、
前記部分条クラッチ(110)と前記アーム部材(200)の一端を連結する切替操作部材(112)と、
複数の前記アーム部材(200)のそれぞれの他端に設けられた孔を貫通して配設されているケーブル部材(204)又は棒状部材と、
前記ケーブル部材(204)又は前記棒状部材に固定されており、当接することによって前記アーム部材(200)を回動させる複数の当接部(206、207)とを備え、
それぞれの前記当接部(206、207)は、それぞれの前記アーム部材(200)の同一の側に設けられており、
前記当接部(206、207)が前記アーム部材(200)に当接していないときにおけるそれぞれの前記アーム部材(200)と前記当接部(206、207)の間隔は、複数の前記アーム部材(200)の一方の端から他方の端に向かって、単調に増加しており、
前記部分条クラッチ(110)は、前記ケーブル部材(204)の移動に伴って前記当接部(206、207)が移動し、前記アーム部材(200)に当接し、前記アーム部材(200)が回動することにより、前記切替操作部材(112)が引かれ、切り状態となる、苗移植機である。
【0018】
第8の本発明は、
前記走行車体の速度を調整する速度調整部(303)と、
前記走行車体の速度を検知する速度検知部(301)と、
前記部分条クラッチの切り操作を検知した際、前記走行車体の速度が所定速度以上であれば、前記速度調整部により前記走行車体の速度が減速される、第1から7のいずれかの本発明の苗移植機である。
【発明の効果】
【0019】
請求項1記載の本発明によって、駆動軸(127)を一方に回転させると、プーリ部材(121)が切替操作部材(112)を操作して部分条クラッチ(110)機構を左側または右側端部から段階的に「切」状態とする構成としたことにより、一つのレバー又はスイッチ等の操作部材で複数の部分条クラッチ(110)の操作を行うことができるので、複数の部分条クラッチ(110)機構を切操作する必要があっても作業能率が向上すると共に、操作性が向上する。
【0020】
複数の部分条クラッチ(110)機構を切操作する必要があるときに、一部の部分条クラッチ(110)を切り忘れることを防止できるので、植え付けが不要な条に苗を植えることが防止され、無駄になる苗が減少する。
【0021】
部分条クラッチ(110)機構が切り操作されるとプーリ部材(121)の作動を伝達機構(139)が停止させる構成であるため、部分条クラッチ(110)機構を切り操作する際に、プーリ部材(121)が切替操作部材(112)を操作し過ぎることを防止することが出来るので、部分条クラッチ(110)の破損が防止される。
【0022】
部分条クラッチ(110)機構が切操作されるとプーリ部材(121)の作動を伝達機構(139)が停止させる構成であるため、部分条クラッチ(110)機構が切状態になる位置を安定させることができるので、部分条クラッチ(110)機構の破損が防止される。
【0023】
伝達機構(139)の作動するタイミングが一定であるため、必要なときに確実に部分条クラッチ(110)を作動させることができるので、不要な苗の植え付けが行われず、苗の無駄が減少する。
【0024】
請求項2記載の本発明によって、請求項1記載の本発明の効果に加えて、操作部材の操作に連動してソレノイド(129)が作動し、伝達機構(139)を作動させて部分条クラッチ(110)機構を確実に切操作することができるので、必要なときに部分条クラッチ(110)機構が即座に切状態となるため、無駄な苗の植え付けが防止される。
【0025】
請求項3記載の本発明によって、駆動軸(127)を一方に回転させると、プーリ部材(121)が切替操作部材(251)を操作して部分条クラッチ(110)機構を左側または右側端部から段階的に「切」状態とする構成としたことにより、一つのレバー又はスイッチ等の操作部材で複数の部分条クラッチ(110)の操作を行うことができるので、複数の部分条クラッチ(110)機構を切操作する必要があっても作業能率が向上すると共に、操作性が向上する。
【0026】
複数の部分条クラッチ(110)機構を切操作する必要があるときに、一部の部分条クラッチ(110)を切り忘れることを防止できるので、植え付けが不要な条に苗を植えることが防止され、無駄になる苗が減少する。
【0027】
部分条クラッチ(110)機構が切り操作されるとプーリ部材(121)の作動を伝達機構(139)が停止させる構成であるため、部分条クラッチ(110)機構を切り操作する際に、プーリ部材(121)が切替操作部材(251)を操作し過ぎることを防止することが出来るので、部分条クラッチ(110)の破損が防止される。
【0028】
部分条クラッチ(110)機構が切操作されるとプーリ部材(121)の作動を伝達機構(139)が停止させる構成であるため、部分条クラッチ(110)機構が切状態になる位置を安定させることができるので、部分条クラッチ(110)機構の破損が防止される。
【0029】
伝達機構(139)の作動するタイミングが一定であるため、必要なときに確実に部分条クラッチ(110)を作動させることができるので、不要な苗の植え付けが行われず、苗の無駄が減少する。
【0030】
請求項4記載の本発明によって、請求項3記載の本発明の効果に加えて、同じサイズのプーリ部材(121)を用い、切替操作部材(251)の長さを変更するだけでよいため、部品点数を少なくすることが可能となる。
【0031】
請求項5記載の本発明によって、駆動軸(127)を一方に回転させると、プーリ部材(210、211、212)が切替操作部材(112)を操作して部分条クラッチ(110)機構を左側または右側端部から段階的に「切」状態とする構成としたことにより、一つのレバー又はスイッチ等の操作部材で複数の部分条クラッチ(110)の操作を行うことができるので、複数の部分条クラッチ機構を切操作する必要があっても作業能率が向上すると共に、操作性が向上する。
【0032】
複数の部分条クラッチ機構を切操作する必要があるときに、一部の部分条クラッチ(110)を切り忘れることを防止できるので、植え付けが不要な条に苗を植えることが防止され、無駄になる苗が減少する。
【0033】
部分条クラッチ(110)機構が切り操作されるとプーリ部材(210、211、212)の作動を伝達機構(139)が停止させる構成であるため、部分条クラッチ(110)機構を切り操作する際に、プーリ部材(121)が切替操作部材(112)を操作し過ぎることを防止することが出来るので、部分条クラッチ(110)の破損が防止される。
【0034】
部分条クラッチ(110)機構が切操作されるとプーリ部材(210、211、212)の作動を伝達機構(139)が停止させる構成であるため、部分条クラッチ(110)機構が切状態になる位置を安定させることができるので、部分条クラッチ(110)機構の破損が防止される。
【0035】
伝達機構(139)の作動するタイミングが一定であるため、必要なときに確実に部分条クラッチ(110)を作動させることができるので、不要な苗の植え付けが行われず、苗の無駄が減少する。
【0036】
請求項6記載の本発明によって、請求項1から4のいずれか1項に記載の本発明に加えて、簡単な機構で部分条クラッチ(110)機構が切状態になる位置をより安定させることができるので、部分条クラッチ(110)機構の破損が防止される。
【0037】
請求項7記載の本発明によって、ケーブル部材(204)を一方に回転させると、アーム部材(200)が切替操作部材(112)を操作して部分条クラッチ(110)機構を左側または右側端部から段階的に「切」状態とする構成としたことにより、一つのレバー又はスイッチ等の操作部材で複数の部分条クラッチ(110)の操作を行うことができるので、複数の部分条クラッチ(110)機構を切操作する必要があっても作業能率が向上すると共に、操作性が向上する。
【0038】
複数の部分条クラッチ(110)機構を切操作する必要があるときに、一部の部分条クラッチ(110)を切り忘れることを防止できるので、植え付けが不要な条に苗を植えることが防止され、無駄になる苗が減少する。
【0039】
アーム部材(200)の作動するタイミングが一定であるため、必要なときに確実に部分条クラッチ(110)を作動させることができるので、不要な苗の植え付けが行われず、苗の無駄が減少する。
【0040】
請求項8記載の本発明によって、請求項1から7のいずれか1項に記載の本発明の効果に加えて、部分条クラッチ(110)機構を切り操作すると走行車体(2)の速度が減速されることにより、走行車体が前進して部分条クラッチ(110)機構に対応した植え付け部(52)が苗を植え付けることを防止することが出来るので、植え付けが不要な条に苗を植え付けることが防止され、無駄になる苗を減少させることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明にかかる実施の形態1における田植機の左側面構成図
【図2】本発明にかかる実施の形態1における田植機の平面構成図
【図3】本発明にかかる実施の形態1における田植機の植え付け部の駆動の制御機構を示す模式図
【図4】(a)本発明にかかる実施の形態1における田植機の旋回指示スイッチの構成を示す図、(b)第1の傾斜方向を示す図(c)第2の傾斜方向を示す図
【図5】本発明にかかる実施の形態1における田植機が圃場の端に近づいて行く状態を説明するための図
【図6】本発明にかかる実施の形態1における田植機のプーリ部材の側面構成図
【図7】本発明にかかる実施の形態1における田植機が圃場の端に近づいて植え付けが終了した状態を説明するための図
【図8】本発明にかかる実施の形態1における田植機の第1の傾斜方向の圃場での右旋回時の畦クラッチの制御を説明するための図
【図9】本発明にかかる実施の形態1における田植機の第2の傾斜方向の圃場での左旋回時の畦クラッチの制御を説明するための図
【図10】本発明にかかる実施の形態1における田植機の第1の傾斜方向の圃場での左旋回時の畦クラッチの自動制御を説明するための図
【図11】本発明にかかる実施の形態1における田植機の第2の傾斜方向の圃場での右旋回時の畦クラッチの自動制御を説明するための図
【図12】本発明にかかる実施の形態2における田植機の植え付け部の駆動の制御機構を示す模式図
【図13】本発明にかかる実施の形態2における田植機のアーム部材の側面構成図
【図14】(a)、(b)本発明にかかる実施の形態2における田植機のアーム部材の回動を説明するための図
【図15】本発明にかかる実施の形態3における田植機の植え付け部の駆動の制御機構を示す模式図
【図16】本発明にかかる実施の形態3における田植機の各畦クラッチプーリ部材とのワイヤの接続関係を示す模式図
【図17】本発明にかかる実施の形態3における田植機による苗の植え付け状態を示す平面図
【図18】本発明にかかる実施の形態4における田植機の植え付け部の駆動の制御機構を示す模式図
【図19】本発明にかかる実施の形態4における田植機の各畦クラッチプーリ部材とのワイヤの接続関係を示す模式図
【図20】本発明にかかる実施の形態5における田植機の制御の構成を示す図
【図21】本発明にかかる実施の形態5における田植機1の畦クラッチを操作する際の車体速度の制御のフロー図
【図22】本発明にかかる実施の形態1のワイヤ巻き取り機構の変形例を示す図
【図23】左側面側のスタンド400を田植機1の背面側から視た図
【図24】植え付け装置を降下させる際の制御フローを示す図
【図25】田植機の油圧計の構成図
【図26】田植機の植え付け装置近傍の側面構成図
【図27】田植機の植え付け装置の平面構成図
【発明を実施するための形態】
【0042】
本発明の苗移植機の一例としての田植機について図面を参照しながら説明する。
【0043】
(実施の形態1)
図1は、本発明にかかる実施の形態1の乗用型の田植機1の左側面構成図である。図2は、本実施の形態1の田植機1の平面構成図である。
【0044】
図1及び図2に示すように、この田植機1は、施肥装置付き乗用型であり、走行車体2の後側に昇降リンク装置3を介して植え付け装置4が昇降可能に装着され、走行車体2の後部上側に施肥装置5の本体部分が設けられている。
【0045】
走行車体2は、駆動輪である左右一対の前輪10、10及び左右一対の後輪11、11を備えた四輪駆動車両であって、機体の前部にミッションケース12が配置され、そのミッションケース12の左右側方に前輪ファイナルケース13、13が設けられ、該左右前輪ファイナルケース13、13の操向方向を変更可能な各々の前輪支持部から外向きに突出する左右前輪車軸に左右の前輪10、10が各々取り付けられている。
【0046】
又、ミッションケース12の背面部にメインフレーム15の前端部が固着されており、そのメインフレーム15の後端左右中央部に前後水平に設けた後輪ローリング軸を支点にして後輪ギヤケース18、18がローリング自在に支持され、その後輪ギヤケース18、18から外向きに突出する後輪車軸11aに後輪11、11が取り付けられている。この後輪ローリング軸に隣接して後輪11の回転数を検出する回転センサ104が設けられている。このような構造によって、後輪11が回転しても検出された回転数が安定する。
【0047】
エンジン20はメインフレーム15の上に搭載されており、該エンジン20の回転動力が、ベルト伝動装置21及びHST23を介してミッションケース12に伝達される。ミッションケース12に伝達された回転動力は、ミッションケース12内のトランスミッションにより変速された後、走行動力と外部取出動力に分離して取り出される。
【0048】
そして、走行動力は、一部が前輪ファイナルケース13、13に伝達されて前輪10、10を駆動すると共に、残りが後輪ギヤケース18、18に伝達されて後輪11、11を駆動する。また、ミッションケース12の右側面側より取り出された外部取出動力は、走行車体2の後部に設けた植え付けクラッチケースに伝達され、それから植え付け伝動軸26によって植え付け装置4へ伝動されるとともに、施肥伝動機構28によって施肥装置5へ伝動される。尚、エンジン20近くのマフラー46はエンジン20の左側でリンクベースフレーム42の近くの外側に配置されており、エンジン20を冷却する冷却ファンはエンジン20の右側面にあって冷却風は機体右側から左側に排風される構成となっている。
【0049】
エンジン20の上部はエンジンカバー30で覆われており、その上に座席31が設置されている。座席31の前方には各種操作機構を内蔵するフロントカバー32があり、その上方に前輪10、10を操向操作するハンドル34が設けられている。
【0050】
次に、走行車体2の後端に設けられている植え付け装置4の構成について説明する。
【0051】
本実施の形態における植え付け装置4は、8条植の構成で、フレームを兼ねる伝動ケース50、マット苗を載せて左右往復動し、マット苗を苗受け板530に押し付けて、苗を一株分ずつ各条の苗取出口51a、…に供給するとともに横一列分の苗を全て苗取出口51a、…に供給する苗送りベルト51b、…により苗を下方に移送する苗載台51、苗取出口51a、…に供給された苗を圃場に植付ける8つの植え付け部52、次行程における機体進路を表土面に線引きする左右一対の線引きマーカ184(図1参照、図2では省略)等を備えている。
【0052】
8つの植え付け部52とは、図2に示すように、左側面側から第1の植え付け部52a、第2の植え付け部52b、第3の植え付け部52c、第4の植え付け部52d、第5の植え付け部52e、第6植え付け部52f、第7植え付け部52g、及び第8植え付け部52hのことである。
【0053】
それぞれの植え付け部52では、回転プレート521に2つの植え付け爪522が配置され、回転プレート521が回転することにより、2つの植え付け爪522が交互に一株分の苗を植え付けていく。
【0054】
また、本実施の形態では、2つの植え付け部52の回転プレート521は、1つの回転軸101によって回転する。すなわち、左側面側の第1の植え付け部52a及び第2の植え付け部52bは、同じ第1の回転軸101aによって回転し、中央左側面側の第3の植え付け部52c及び第4の植え付け部52dは、同じ第2の回転軸101bによって回転し、中央右側面側の第5の植え付け部52e及び第6植え付け部52fは、同じ第3の回転軸101cによって回転し、右側面側の第7植え付け部52g及び第8植え付け部52hは、同じ第4の回転軸101dによって回転する。
【0055】
尚、第1の植え付け部52a、第2の植え付け部52b及び第1の回転軸101aを含む部分を第1の植え付け部組108aとし、第3の植え付け部52c、第4の植え付け部52d及び第2の回転軸101bを含む部分を第2の植え付け部組108bとし、第5の植え付け部52e、第6植え付け部52f及び第3の回転軸101cを含む部分を第3の植え付け部組108cとし、第7植え付け部52g、第8植え付け部52h及び第4の回転軸101dを含む部分を第4の植え付け部組108dとする。
【0056】
植え付け装置4の下部には中央にセンターフロート55、その左右両側に2つずつサイドフロート56、・・・がそれぞれ設けられている。
【0057】
これらセンターフロート55、サイドフロート56、・・・を圃場の泥面に接地させた状態で機体を進行させると、センターフロート55、サイドフロート56、・・・が泥面を整地しつつ滑走し、その整地跡に苗植え付け部52、…により苗が植付けられる。センターフロート55、サイドフロート56、・・・は圃場表土面の凹凸に応じて前端側が上下動するように回動自在に取り付けられており、植え付け作業時にはセンターフロート55の前部の上下動が迎い角センサ(図示せず)により検出され、その検出結果に応じ後述する昇降油圧シリンダ25を制御する油圧バルブを切り替えて植え付け装置4を昇降させることにより、苗の植え付け深さを常に一定に維持する。
【0058】
施肥装置5は、肥料ホッパ60に貯留されている粒状の肥料を繰出部61、…によって一定量ずつ繰り出し、その肥料を施肥ホース62、…でセンターフロート55、サイドフロート56、56の左右両側に取り付けた施肥ガイド62a…まで導き、施肥ガイド62a…の前側に設けた作溝体62b、…によって苗植え付け条の側部近傍に形成される施肥構内に落とし込むようになっている。ブロア用電動モータ53で駆動するブロア58で発生させたエアが、左右方向に長いエアチャンバ59を経由して施肥ホース62、…に吹き込まれ、施肥ホース62、…内の肥料を風圧で強制的に搬送するようになっている。
【0059】
植え付け装置4には整地を行うための第1のロータ27aと、第2のロータ27bが取り付けられている。また、苗載台51は植え付け装置4の全体を支持する左右方向と上下方向に幅一杯の矩形の支持枠体65に支持されている。この支持枠体65は、支持ローラ65aと、両側辺部材65bとを有しており、苗載台51が、支持ローラ65aをレールとして左右方向にスライドする。
【0060】
昇降リンク装置3は平行リンク構成であって、1本の上リンク40と左右一対の下リンク41、41を備えている。これら上リンク40、下リンク41、41は、その基部側がメインフレーム15の後端部に立設した背面視門形のリンクベースフレーム42に回動自在に取り付けられ、その先端側に縦リンク43が連結されている。そして、縦リンク43の下端部に植え付け装置4に回転自在に支承された連結軸44が挿入連結され、連結軸44を中心として植え付け装置4がローリング自在に連結されている。メインフレーム15に固着した支持部材と上リンク40に一体形成したスイングアーム(図示せず)の先端部との間に昇降油圧シリンダ25が設けられており、昇降油圧シリンダ25を油圧で伸縮させることにより、上リンク40が上下に回動し、植え付け装置4がほぼ一定姿勢のまま昇降する。
【0061】
又、植え付け装置4の右側面側と左側面側には、圃場以外で植え付け装置4を降下させた時に、支持するためのスタンド400が設けられている。このスタンド400は、植え付け装置4のフレームから側面に向けて突出して設けられたスタンド支持フレーム401に設けられている。このスタンド400は、圃場以外で植え付け装置4を下げるときの支持台として用いるとともに、苗受け板530を保護する機能も有している。
【0062】
次に、本実施の形態1の植え付け部の駆動の制御機構について説明する。
【0063】
図3は、本実施の形態1の第1の植え付け部組108a、第2の植え付け部組108b、第3の植え付け部組108c、第4の植え付け部組108dの駆動の制御機構を説明するための簡易模式図である。
【0064】
図3に示すように、本実施の形態ではミッションケース12から第1の植え付け部組108a、第2の植え付け部組108b、第3の植え付け部組108c、及び第4の植え付け部組108dにエンジンからの動力伝達を入り切りするためのメインクラッチ109が設けられており、第1の植え付け部組108a、第2の植え付け部組108b、第3の植え付け部組108c、及び第4の植え付け部組108dのそれぞれに対してエンジンからの動力伝達を入り切りするための第1の畦クラッチ110a、第2の畦クラッチ110b、第3の畦クラッチ110c、及び第4の畦クラッチ110dが設けられている。これら畦クラッチ110が、本発明の部分条クラッチの一例に対応し、1つの畦クラッチ110が2つの植え付け部52を同時に入り状態又は切り状態にするように構成されているが、1つの畦クラッチが1つの植え付け部を入り状態又は切りに状態するように構成しても良いし、1つの畦クラッチが3つ以上の植え付け部を入り状態又は切り状態にするように構成しても良い。
【0065】
これら第1の畦クラッチ110a、第2の畦クラッチ110b、第3の畦クラッチ110c、及び第4の畦クラッチ110dのそれぞれには、クラッチ板同士を押し付けるようにバネ部材111が設けられており、このバネ部材111によって、畦クラッチが入り状態になるよう付勢されている。ここで示す入り状態とは、クラッチが接続され、エンジンからの動力が伝達されている状態であり、切り状態とは、クラッチが切断され、エンジンからの動力が伝達されていない状態のことである。
【0066】
そして、第1の畦クラッチ110a、第2の畦クラッチ110b、第3の畦クラッチ110c、及び第4の畦クラッチ110dのそれぞれには、本発明の切替操作部材の一例に対応するワイヤ部材112の一端が接続されている。このワイヤ部材112を矢印A方向に引っ張ることによって、それぞれの畦クラッチが切断されることになる。又、第1の畦クラッチ110a、第2の畦クラッチ110b、第3の畦クラッチ110c、及び第4の畦クラッチ110dのそれぞれに接続されているワイヤ部材112を引くための第1のワイヤ巻き取り機構120a、第2のワイヤ巻き取り機構120b、第3のワイヤ巻き取り機構120c、及び第4のワイヤ巻き取り機構120dが設けられている。これら4つのワイヤ巻き取り機構の構成は同じであるため、第1のワイヤ巻き取り機構120aを例に挙げて、その構成を説明する。
【0067】
尚、ワイヤ部材112は、ワイヤ巻き取り機構120側は、1本であるが、ジョイント140を介して、第1の分岐ワイヤ部材112aと第2の分岐ワイヤ部材112bの2本に分岐している。そして、第1の分岐ワイヤ部材112aの端が畦クラッチ110に連結されている。又、ワイヤ部材112のワイヤ巻き取り機構120側の端を第1の端141とし、第1の分岐ワイヤ部材112aの端を第2の端142とし、第2の分岐ワイヤ部材112bの端を第3の端143とする。ワイヤ部材112のジョイント140のワイヤ巻き取り機構120側の一本の部分には、調整用バネ部材147が設けられている。この調整用バネ部材147は、畦クラッチ110に設けられているバネ部材111に過度な負荷をかけないように設けられている。
【0068】
第1のワイヤ巻き取り機構120aは、第1の端141が接続されているプーリ部材121を有している。このプーリ部材121は、断面が六角形状の駆動軸127上に配置されており、それぞれのプーリ部材121の隣には、順に摩擦板122、駆動用ボス123、当接部124、バネ部材125、ワリピン126が設けられている。また、プーリ部材121の摩擦板122と反対側には、プーリ部材121の移動を規制する規制部材128が駆動軸127に固定されて設けられている。駆動軸127は、減速ギア135を介してモータ131の回転が伝達されて回転する。
【0069】
プーリ部材121には、円形状の貫通孔が形成され、摩擦板122及び駆動用ボス123には、六角形の貫通孔が形成されており、それらの貫通孔を貫通して駆動軸127が配置されている。すなわち、摩擦板122及び駆動用ボス123は、駆動軸127の長手方向にはスライド可能であるが、駆動軸127の回転に伴って回転することになる。そして、ワリピン126は、駆動軸127に固定されており、ワリピン126にバネ部材125が当接されている。
【0070】
又、当接部124は、ソレノイド129によって回動される回動部材130の先端部分であり、回動部材130の末端には、ソレノイド129の可動部129aが連結されている。この回動部材130は、可動部129aとの連結部分と、先端との間に回動支点130aを有しており、可動部129aの移動により、回動部材130が回動支点130aを中心にして回動し、当接部124が移動する。ソレノイド129に通電していない状態では、ワリピン126によって一端側が固定されているバネ部材125が、当接部124を駆動用ボス123及び摩擦板122側に付勢しており、摩擦板122は、プーリ部材121を押圧している。この状態で駆動軸127をモータ131によって回転させると、駆動軸127の回転によって摩擦板122が回転し、摩擦板122と当接しているプーリ部材121も回転し、ワイヤ部材112がプーリ部材121に巻き取られ、第2の端142がプーリ部材121側に引っ張られ、第1の畦クラッチ110aが切り状態となる。このように、本実施の形態1では、駆動軸127の回転をプーリ部材121に伝達し、回転させる伝達機構139は、規制部材128、摩擦板122、駆動用ボス123、回動部材130、ソレノイド129、バネ部材125、及びワリピン126を備えている。
【0071】
尚、第3の端143は、各植え付け部組108に対応する苗送りベルト51bへの駆動の入り切りを行う機構に接続されている。具体的には、第3の端143は、回動アーム部材144の一端に連結されており、この回動アーム部材144の他端144bは、苗送りベルト51bを駆動する駆動ローラ146に駆動力を伝達するためのカム部145に連結されている。
【0072】
そして、第3の端143がジョイント140側に引っ張られることによって、回動アーム部材144が軸144aを中心にして回動すると、回動アーム部材144の他端144bが矢印R方向に移動し、カム部145の嵌合が離間する。このようにカム部145の嵌合が離間されると、駆動ローラ146の回転が停止し、苗送りベルト51bが停止することになる。
【0073】
すなわち、プーリ部材121の回転によってワイヤ部材112が巻き取られると、第2の端142及び第3の端143がプーリ部材121側に移動することになり、例えば、第1の植え付け部組108aが停止すると、その第1の植え付け部52aと第2の植え付け部52bに苗を送る苗送りベルト51bが停止する。
【0074】
一方、ソレノイド129に通電することによって、可動部129aが、矢印B方向に移動し、当接部124がバネ部材125の方向(矢印C方向)に移動する。すると、プーリ部材121が摩擦板122によって押圧されないため、駆動軸127が回転したとしても、プーリ部材121は回転されない。
【0075】
又、4つのソレノイド129の通電を制御するために制御部132が設けられており、4つの畦クラッチ110の制御を行うことを制御部132に指示するための畦クラッチ自動制御指示部138が、ハンドル34の下側のフロントカバー32に設けられている(図2参照)。この畦クラッチ自動制御指示部138には、2つのスイッチが設けられており、一方のスイッチは左側面側の畦クラッチから順に切り状態とする左側面側切断スイッチ138aであり、他方のスイッチは右側面側の畦クラッチから順に切り状態とする右側面側切断スイッチ138bである。
【0076】
尚、図2に示すように、第1の畦クラッチ110a、第2の畦クラッチ110b、第3の畦クラッチ110c、及び第4の畦クラッチ110dのそれぞれを個別に手動で入り切りするための第1の畦クラッチレバー19a、第2の畦クラッチレバー19b、第3の畦クラッチレバー19c、第4の畦クラッチレバー19dが設けられている。
【0077】
又、図1に示すように、ハンドル34の回転軸であるハンドル軸103には、ハンドル34による操舵を検知するための操舵検知装置102が設けられている。この操舵検知装置102は、ポテンショメータなどから構成されている。
【0078】
ハンドル34の下側のフロントカバー32上には、変形圃場での旋回であることを指示する旋回指示スイッチ107が設けられている。旋回指示スイッチ107は、変形圃場の端部分における旋回を行う際に、作業者がスイッチを入れることによって、変形圃場における旋回であることを、制御部132に指示する。この旋回指示スイッチ107は、図4(a)に示すように、変形圃場の端の傾斜方向が、第1の傾斜方向であることを指示する第1の位置P1、第2の傾斜方向であることを指示する第2の位置P2と、指示をしない位置P0に切替可能である。ここで圃場の端Wの第1の傾斜は、図4(b)に示すように、走行車体2が近づく場合に端Wからの距離が右側よりも左側の方が近くなるような傾斜である。一方、圃場の端Wの第2の傾斜は、図4(c)に示すように、走行車体2が近づく場合に端Wからの距離が左側よりも右側の方が近くなるような傾斜である。
【0079】
なお、上記旋回指示スイッチ107は、指示しない状態と、第1の傾斜方向であることを指示する状態、第2の傾斜方向であることを指示する状態と、3つの指示状態に切り替えることが出来るが、2つのスイッチに分けても良い。例えば、指示条状態と未指示状態を切り替える第1のスイッチと、第1の傾斜方向であることを指示する状態と第2の傾斜方向であることを指示する状態を切り替える第2のスイッチの2つのスイッチが設けられていても良い。この場合、第1のスイッチを指示状態にしたときに、第2のスイッチが有効となる構成としてもよい。
【0080】
エンジンカバー30及びフロントカバー32の下端左右両側は水平状のフロアステップ35になっている。フロアステップ35の左右側には貫通孔が多数設けられた格子状部(図2参照)が形成されており、座席31に着座して機体を操縦する操縦者が左右の前輪10,10を目視することができて操縦が容易になる構成としていると共に、該フロアステップ35を歩く作業者の靴についた泥が圃場に落下するようになっている。フロアステップ35の後部は、リヤステップを兼ねる後輪フェンダ36となっている。
【0081】
また、走行車体2の前部左右両側には、補給用の苗を載せておく予備苗載台38、38
が機体よりも側方に張り出す位置と内側に収納した位置とに回動可能に設けられている。
【0082】
次に、本発明にかかる実施の形態1の田植機1の動作について説明する。
【0083】
はじめに、第1の傾斜方向を有する圃場の端において右旋回を行う場合の畦クラッチ105の制御(以下、第1の制御ともいう)について説明する。
【0084】
図5は、変形圃場における田植え動作を説明するための平面図である。図5に示すように、平面視において端Wが斜辺に形成されている圃場において、田植機1が右旋回を行う場合について説明する。
【0085】
図5に示す圃場では、圃場の端Wは、走行車体2が端Wに向かう場合に、走行車体2の右側よりも左側の方が端Wからの距離が近くなるように傾斜している。すなわち、圃場の端Wは、図4(b)に示す第1の傾斜である。ここで、最後に田植機1で枕地に田植えを行うためには、枕地を圃場の端Wと平行に形成する必要がある。
【0086】
図5は、圃場の端Wの方向に近づいていく時の田植機1の動作を示す平面図である。
【0087】
圃場の端Wに適切な距離まで近づくと、作業者は、次に旋回する方向を考慮して、左側面側の第1の植え付け部組108aから順に停止させるか、右側面側の第4の植え付け部組108dから停止させるか判断し、左側面側切断スイッチ138a又は右側面側切断スイッチ138bを押す。
【0088】
すなわち、第1の傾斜において、右旋回を行い、圃場の端Wと平行に形成するためには、左側面側の第1の植え付け部組108aから停止させる必要がある。そのため、作業者は、左側面側切断スイッチ138aを押す。
【0089】
この操作によって、制御部132は、第1のワイヤ巻き取り機構120a、第2のワイヤ巻き取り機構120b、第3のワイヤ巻き取り機構120c、及び第4のワイヤ巻き取り機構120dの全てのソレノイド129に通電を行う。
【0090】
この通電により、第1のワイヤ巻き取り機構120a、第2のワイヤ巻き取り機構120b、第3のワイヤ巻き取り機構120c、及び第4のワイヤ巻き取り機構120dにおいて、摩擦板122のプーリ部材121への押圧が解除される。この状態でモータ131によって駆動軸127が回転される。
【0091】
駆動軸127は、図中左回転(後述する図6)で回転し、制御部132によって、第1のワイヤ巻き取り機構120aのソレノイド129への通電が停止される。すると、第1のワイヤ巻き取り機構120aのバネ部材125の付勢力により摩擦板122がプーリ部材121に押圧され、駆動軸127の回転が摩擦板122を介して、プーリ部材121に伝達される。
【0092】
図6は、第1のワイヤ巻き取り機構120aの側面の模式図である。図6に示すように、プーリ部材121が回転し、バネ部材111の付勢力に対抗してワイヤ部材112がプーリ部材121に巻き取られることにより、第1の畦クラッチ110aが切り状態となる。尚、第1の畦クラッチ110aが切り状態になるととともに、第3の端143もプーリ部材121側に引かれ、駆動の伝達が遮断され、第1の植え付け部組108aの第1の植え付け部52a及び第2の植え付け部52bに苗を送る苗送りベルト51bが停止される。尚、苗送りベルト51bは、各条に対して2つずつ設けられているため、1つの植え付け部組の停止に対して4つの苗送りベルト51bが停止されるが、図3では、1つの苗送りベルト51bのみ図示されている。
【0093】
第1のワイヤ巻き取り機構120aのソレノイド129への通電が停止された後、所定の時間を空けて、第2のワイヤ巻き取り機構120bのソレノイド129、第3のワイヤ巻き取り機構120cのソレノイド129、及び第4のワイヤ巻き取り機構120dのソレノイド129の順に通電が停止される。この制御により、第1の畦クラッチ110a、第2の畦クラッチ110b、第3の畦クラッチ110c、及び第4の畦クラッチ110dの順に切り状態となり、駆動軸127の回動が停止される。これにより、第1の植え付け部組108a、第2の植え付け部組108b、第3の植え付け部組108c、及び第4の植え付け部組108dの順に苗の植え付けが停止される。尚、同時に、対応する苗送りベルト51bも停止される。
【0094】
ここで、第1のワイヤ巻き取り機構120aでは、第1の畦クラッチ110aが切り状態となった後も、摩擦板122が回転することになるが、摩擦板122の作用によって、摩擦板122とプーリ部材121の間は、所定以上の負荷がかかると滑るように設定されている。この摩擦板122とプーリ部材121の間が滑る負荷を適切に設定することにより、第1の畦クラッチ110aが切り状態となった後の駆動軸127の回転が摩擦板122からプーリ部材121に伝わらないようにすることが出来る。尚、この構成は、第2のワイヤ巻き取り機構120b、第3のワイヤ巻き取り機構120c、及び第4のワイヤ巻き取り機構120dも同様である。
【0095】
このようにして、左側面側の第1の植え付け部組108a、第2の植え付け部組108b、第3の植え付け部組108c、及び第4の植え付け部組108dが順に停止した後、第1のワイヤ巻き取り機構120a、第2のワイヤ巻き取り機構120b、第3のワイヤ巻き取り機構120c、及び第4のワイヤ巻き取り機構120dのワイヤ巻き取り量がほぼ同じ量となっている。
【0096】
このように動作することによって、図7に示すように、圃場の端Wと平行に苗Nを植え付けことが出来る。尚、上述した適切な距離とは、第4の畦クラッチ110dを切り状態にした時に、走行車体2から圃場の端Wまでの距離がLaになっているような距離のことであり、距離Laは、旋回可能であること及び後の枕地作業などを考慮した距離である。距離Laは、後述するLbと同じ長さにしてもよい。
【0097】
そして、作業者は、植え付け昇降レバー(図示せず)を移動させて、昇降油圧シリンダ25を動作させて植え付け装置4を上昇させる。
【0098】
尚、本実施の形態では、植え付け部組108を段階的に停止させる間隔は、2条毎に設定されている。
【0099】
次に、作業者は、変形圃場の傾斜方向を指示するために旋回指示スイッチ107を移動する。図5及び図7に示す変形圃場の端Wの傾斜は、第1の傾斜方向(図4(b)参照)であるため、作業者は、旋回指示スイッチ107を第1の位置P1に移動する。
【0100】
この動作により、制御部132は田植機1が第1の傾斜方向の変形圃場において旋回を行うことを認識する。
【0101】
そして、作業者がハンドル34を右方向に向けて操舵すると、操舵検知装置102によって旋回が始まったことが検知され、その検知が制御部132に伝えられる。
【0102】
続いて、回転センサ104からのパルスによって旋回の際の内側の後輪11(右側の後輪11)の回転数が検知され、制御部132へと送られる。制御部132は、予め設定されている所定の回転数に達すると、植え付け装置4を自動で降下させ、旋回指示スイッチ107と操舵検知装置102による旋回方向から決定される側から畦クラッチ110を順に入り状態にする。
【0103】
図8は、圃場の端Wから遠ざかる時の田植機1の動作を示す平面図である。
【0104】
第1の傾斜方向において、第1の畦クラッチ110aを入り状態にして第1の植え付け部組108aを動作させ、左側面側の2条の植え付けを開始する。ここで、旋回前の制御により、全ての畦クラッチ110が切り状態となっているため、第1の畦クラッチ110aを入り状態にするために、第1のワイヤ巻き取り機構120aのソレノイド129への通電が開始される。通電が開始されると、可動部129aが矢印B方向に引き込まれ、回動部材130が回動支点130aを中心に回動するため、当接部124がバネ部材125側(矢印C方向)へと移動する。この移動により、摩擦板122のプーリ部材121への押圧が解除される。このとき、ワイヤ部材112は、バネ部材111及び調整用バネ部材147等によって、第1の畦クラッチ110a側に付勢されているため、摩擦板122による押圧が解除されると、プーリ部材121はワイヤ部材112を繰り出す方向に回転し、第1の畦クラッチ110aが入り状態となる。
【0105】
続いて、順に、第2のワイヤ巻き取り機構120b、第3のワイヤ巻き取り機構120c、及び第4のワイヤ巻き取り機構120dのソレノイド129への通電が行われ、第2の畦クラッチ110b、第3の畦クラッチ110c、及び第4の畦クラッチ110dの順に入り状態となる。そして、全ての畦クラッチ110が入り状態になって8条の植え付けが行われる。
【0106】
尚、制御部132は、第1の植え付け部組108aによる植え付けを開始してから、回転センサ104による回転数に基づいて、2株苗Nを植え付けてから第2の畦クラッチ110bを入り状態にして第2の植え付け部組108bを自動で動作させ、中央左側面側の2条の植え付けを開始させる。そして、さらに2株分苗Nを植え付けた時点で、第3の畦クラッチ110cを入り状態にして第3の植え付け部組108cを自動で動作させ、中央右側面側の2条の植え付けを開始させる。そして、さらに2株分苗Nを植え付けた時点で、第4の畦クラッチ110dを入り状態にして第4の植え付け部組108dを自動で動作させ、右側面側の2条の植え付けを開始させる。そこからは、全ての植え付け部組108を動作させて、8条の植え付けが行われる。
【0107】
尚、図8に示すように、予め設定されている所定の回転数は、第4の植え付け部組108dによって最後に植え付けた苗N(矢印Pで示す苗N)から2株分端Wに近い箇所から、第4の植え付け部組108dにより植え付け(矢印Qで示す苗N)が開始されるように設定されている。尚、植え付け装置4を自動で降下させる際には、次の植え付け作業を行う部分に線引きするための線引きマーカ184(図1参照)も自動で降下する。
【0108】
以上のように、旋回指示スイッチ107によって指示された傾斜方向と、ハンドル34の操舵方向によって、旋回後の植え付けタイミングと、第1の植え付け部組108a、第2の植え付け部組108b、第3の植え付け部組108c、第4の植え付け部組108dの動作順が決定される。
【0109】
次に、第2の傾斜方向を有する圃場の端において左旋回を行う場合の畦クラッチ110の制御(以下、第2の制御ともいう)について説明する。
【0110】
すなわち、図9に示すように、圃場の端Wは、走行車体2が端Wに近づく場合、走行車体2の左側より右側の方が、端Wからの距離が近くなるように斜辺の向きが形成されている。このような圃場の端Wにおいて、左旋回を行う場合について説明する。このような状態において、圃場の端Wと苗を平行に植え付けるためには、右側面側の第4の植え付け部組108dから苗の植え付けを停止する必要がある。
【0111】
そこで、作業者は、圃場の端Wに適切な距離まで近づくと、旋回方向を考慮して、右側面側切断スイッチ138bを押す。
【0112】
続いて、第4のワイヤ巻き取り機構120dのソレノイド129への通電が停止され、バネ部材125によって摩擦板122がプーリ部材121に押圧され、駆動軸127の回転がプーリ部材121に伝達され、ワイヤ部材112が巻き取られる。そして、第4の畦クラッチ110dが切り状態となり、第4の植え付け部組108dの動作が停止される。そこから、2条苗Nが植え付けられた後に、第3の植え付け部組108cが停止するように、第3のワイヤ巻き取り機構120cのソレノイド129への通電が停止される。そこから、2条苗Nが植え付けられた後に、第2の植え付け部組108bが停止するように、第2のワイヤ巻き取り機構120bのソレノイド129への通電が停止され、続いて、2条苗Nが植え付けられた後に、第1の植え付け部組108aが停止するように、第1のワイヤ巻き取り機構120aのソレノイド129への通電が停止され、全ての植え付け部組108の動作が停止される。
【0113】
尚、上述した適切な距離とは、第1の畦クラッチ110aを切り状態にした時に、走行車体2から圃場の端Wまでの距離がLaになっているような距離のことである。距離Laは、旋回可能であること及び後の枕地作業などを考慮した距離である。
【0114】
そして、作業者は、植え付け昇降レバー(図示せず)を移動させて、昇降油圧シリンダ25を動作させて植え付け装置4を上昇させる。
【0115】
次に、作業者は、変形圃場の傾斜方向を指示するために旋回指示スイッチ107を移動する。図9に示す変形圃場の端Wの傾斜は、第2の傾斜方向(図4(c)参照)であるため、作業者は、旋回指示スイッチ107を第2の位置P2に移動する。
【0116】
作業者がハンドル34を左方向に向けて操舵すると、操舵検知装置102によって旋回が始まったことが検知され、その検知が制御部132に伝えられる。
【0117】
続いて、回転センサ104によって旋回の際の内側の後輪11(左側の後輪11)の回転数が検知され、制御部132へと送られる。制御部132は、予め設定されている所定の回転数に達すると、植え付け装置4を自動で降下させ、第4の畦クラッチ110dを入り状態にして第4の植え付け部組108dを動作させ、車体右側面側の2条の植え付けを開始させる。ここで、第4の植え付け部組108dを動作させる際には、第4のワイヤ巻き取り機構120dのソレノイド129への通電を行うことで、摩擦版122のプーリ部材121への押圧が解除され、バネ部材111の付勢力によって第4の畦クラッチ110dが入り状態となる。
【0118】
そして、上記と同様に、2株苗Nを植え付けてから第3の植え付け部組108cを動作させ、中央右側の2条の植え付けを開始し、更に2株苗Nを植え付けてから、第2の植え付け部組108bを動作させ、中央左側面側の2条の植え付けを開始し、更に2株苗Nを植え付けしてから、第1の植え付け部組108aを動作させ、左側面側の2条の植え付けをさせる。尚、予め設定されている所定の回転数は、第1の植え付け部組108aによって最後に植え付けた苗N(矢印Pで示す苗N参照)から2株分端Wに近い箇所から、第1の植え付け部組108aにより植え付け(矢印Qで示す苗N参照)が開始されるように、設定されている。
【0119】
次に、第1の傾斜方向を有する圃場の端において左旋回を行う場合の畦クラッチ105の制御(以下、第3の制御ともいう)について説明する。
【0120】
図10は、圃場の端Wが、第1の傾斜方向である場合において、田植機1を左旋回させる動作を説明するための平面図である。この場合、圃場の端Wに近づく方向に旋回することになるため、旋回直前の状態における走行車体2から端Wまでの距離Lbが、圃場の端Wから遠ざかる方向に旋回する図6の距離Laよりも長くなっている。又、圃場の端Wからの枕地の幅Tbも、図6の枕地の幅Taよりも大きくなることになる。
【0121】
この場合、圃場の端Wと並行に苗を植え付けるためには、車体の左側面側の第1の植え付け部組108aから順に植え付け部組108を停止していく必要がある。そのため、圃場の端Wに適切な距離まで近づくと、作業者は、左側面側切断スイッチ138aを押す。これにより、上記第1の制御と同様に、第1の植え付け部組108aが停止される。その後、2株苗を植えつけた時点で第2の植え付け部組108bが停止され、順に第3の植え付け部組108c、及び第4の植え付け部組108dが停止される。
【0122】
尚、上述した適切な距離とは、第4の畦クラッチ110dを切り状態にした時に、走行車体2から畦Wまでの距離がLbになっているような距離のことである。距離Lbは、旋回可能であること及び後の枕地作業などを考慮した距離である。
【0123】
そして、作業者は、植え付け昇降レバー(図示せず)を移動させて、昇降油圧シリンダ25を動作させて植え付け装置4を上昇させる。
【0124】
次に、作業者は、変形圃場の傾斜方向を指示するために旋回指示スイッチ107を移動する。図10に示す変形圃場の端Wの傾斜は、第1の傾斜方向(図4(b)参照)であるため、作業者は、旋回指示スイッチ107を第1の位置P1に移動する。
【0125】
この動作により、制御部132は田植機1が第1の傾斜方向の変形圃場の端において旋回を行うことを認識する。
【0126】
そして、作業者がハンドル34を左方向に向けて操舵すると、操舵検知装置102によって旋回が始まったことが検知され、その検知が制御部132に伝えられる。
【0127】
続いて、回転センサ104によって旋回の際の内側の後輪11(左側の後輪11)の回転数が検知され、制御部132へと送られる。制御部132は、予め設定されている所定の回転数に達すると、植え付け装置4を自動で降下させ、第1の畦クラッチ110aを入り状態にして、第1の植え付け部組108aを動作させ、左側面側の2条の植え付けが開始される。
【0128】
制御部132は、第1の植え付け部組108aによる植え付けを開始してから、2株苗Nを植え付けてから第2の畦クラッチ110bを入り状態にして第2の植え付け部組108bを自動で動作させ、中央左側面側の2条の植え付けを開始させる。この2株苗Nを植え付けたことは、回転センサ104から一定距離分のパルスを検出することによって検出される。そして、さらに2株分苗Nを植え付けた時点で、第3の畦クラッチ110cを入り状態にして第3の植え付け部組108cを自動で動作させ、中央右側面側の2条の植え付けを開始させる。そして、さらに2株分苗Nを植え付けた時点で、第4の畦クラッチ110dを入り状態にして第4の植え付け部組108dを自動で動作させ、右側面側の2条の植え付けを開始させる。
【0129】
そこからは、全ての植え付け部組108を動作させて、8条の植え付けが行われる。尚、予め設定されている所定の回転数は、第1の植え付け部組108aによって最後に植え付けた苗(矢印Pで示す苗N)から2株分端Wから遠い箇所から、第1の植え付け部組108aにより植え付け(矢印Qで示す苗N)が開始されるように設定されている。
【0130】
次に、第2の傾斜方向を有する圃場の端において右旋回を行う場合の畦クラッチ105の制御(以下、第4の制御ともいう)について説明する。
【0131】
図11は、圃場の端Wが、第2の傾斜方向である場合において、田植機1を右旋回させる動作を説明するための平面図である。この場合、圃場の端Wに近づく方向に旋回することになるため、旋回直前の状態における走行車体2から端Wまでの距離Lbが、圃場の端Wから遠ざかる方向に旋回する図9の距離Laよりも長くなっている。すなわち、圃場の端Wからの枕地の幅Tbが、図9のTaよりも大きくなっている。
【0132】
この場合、圃場の端Wと平行に苗を植え付けるためには、車体の右側面側の第4の植え付け部組108dから順に停止していく必要がある。そのため、圃場の端Wに適切な距離まで近づくと、作業者は右側面側切断スイッチ138bを押し、上記第2の制御と同様に、第4の植え付け部組108dの動作が停止される。その後、2株苗を植え付けた時点で第3の植え付け部組108cが停止され、続いて、第2の植え付け部組108b、第1の植え付け部組108aの順に停止される。
【0133】
尚、上述した適切な距離とは、第1の畦クラッチ110aを切り状態にした時に、走行車体2から畦Wまでの距離がLbになっているような距離のことである。距離Lbは、旋回可能であること及び後の枕地作業などを考慮した距離である。
【0134】
そして、作業者は、植え付け昇降レバー(図示せず)を移動させて、昇降油圧シリンダ25を動作させて植え付け装置4を上昇させる。
【0135】
次に、作業者は、変形圃場の傾斜方向を指示するために旋回指示スイッチ107を移動する。図11に示す変形圃場の端Wの傾斜は、第2の傾斜方向(図4(c)参照)であるため、作業者は、旋回指示スイッチ107を第2の位置P2に移動する。
【0136】
この動作により、制御部132は田植機1が第2の傾斜方向の変形圃場において旋回を行うことを認識する。
【0137】
そして、作業者がハンドル34を右方向に向けて操舵すると、操舵検知装置102によって旋回が始まったことが検知され、その検知が制御部132に伝えられる。
【0138】
続いて、回転センサ104によって旋回の際の内側の後輪11(右側の後輪11)の回転数が検知され、制御部132へと送られる。制御部132は、予め設定されている所定の回転数に達すると、植え付け装置4を自動で降下させ、第4の畦クラッチ110dを入り状態にして、第4の植え付け部組108dを動作させ、右側面側の2条の植え付けが開始される。
【0139】
制御部132は、第4の植え付け部組108dによる植え付けを開始してから、回転センサ104による回転数に基づいて、2株苗Nを植え付けてから第3の畦クラッチ110cを入り状態にして第3の植え付け部組108cを自動で動作させ、中央右側の2条の植え付けを開始させる。そして、さらに2株分苗Nを植え付けた時点で、第2の畦クラッチ110bを入り状態にして第2の植え付け部組108bを自動で動作させ、中央左側面側の2条の植え付けを開始させる。そして、さらに2株分苗Nを植え付けた時点で、第1の畦クラッチ110aを入り状態にして第1の植え付け部組108aを自動で動作させ、左側面側の2条の植え付けを開始させる。
【0140】
そこからは、全ての植え付け部組108を動作させて、8条の植え付けが行われる。尚、予め設定されている所定の回転数は、第4の植え付け部組108dによって最後に植え付けた苗N(矢印Pで示す苗N)から2株分端Wから遠い箇所から、第4の植え付け部組108dにより植え付け(矢印Qで示す苗N)が開始されるように設定されている。
【0141】
以上のように、第1の傾斜で右旋回する場合、第2の傾斜で左旋回する場合、第1の傾斜で左旋回する場合、第2の傾斜で右旋回する場合を制御部132が判断し、各場合について旋回後の第1の畦クラッチ110a、第2の畦クラッチ110b、第3の畦クラッチ110c及び第4の畦クラッチ110dの制御を行う。
【0142】
すなわち、第1の傾斜で右旋回する場合には、第1の制御が行われる。図8に示すように、作業者が、左側面側切断スイッチ138aを押すことにより、左側面側から第1の植え付け部組108a、第2の植え付け部組108b、第3の植え付け部組108c、及び第4の植え付け部組108dの順に段階的に動作が停止され、旋回後、第4の植え付け部組108dによって最後に植え付けた苗Nから2株分端Wに近い箇所から第4の植え付け部組108dにより植え付けが開始されるように、自動で、左側面側の第1の植え付け部組108a、第2の植え付け部組108b、第3の植え付け部組108c、第4の植え付け部組108dの順に段階的に動作が開始される。
【0143】
又、第2の傾斜で左旋回する場合には、第2の制御が行われる。図9に示すように、作業者が、右側面側切断スイッチ138bを押すことにより、右側面側の第4の植え付け部組108d、第3の植え付け部組108c、第2の植え付け部組108b、及び第1の植え付け部組108aの順に段階的に動作が停止され、旋回後、第1の植え付け部組108aによって最後に植え付けた苗Nから2株分端Wに近い箇所から第1の植え付け部組108aにより植え付けが開始されるように、自動で、右側面側の第4の植え付け部組108d、第3の植え付け部組108c、第2の植え付け部組108b、及び第1の植え付け部組108aの順に段階的に動作が開始される。
【0144】
又、第1の傾斜で左旋回する場合には、第3の制御が行われる。図10に示すように、作業者が、左側面側切断スイッチ138aを押すことにより、左側面側の第1の植え付け部組108a、第2の植え付け部組108b、第3の植え付け部組108c、及び第4の植え付け部組108dの順に段階的に動作が停止され、旋回後、第1の植え付け部組108aによって最後に植え付けた苗Nから2株分端Wから遠い箇所から第1の植え付け部組108aにより植え付けが開始されるように、自動で、左側面側の第1の植え付け部組108a、第2の植え付け部組108b、第3の植え付け部組108c、第4の植え付け部組108dの順に段階的に動作が開始される。
【0145】
又、第2の傾斜で右旋回する場合には、第4の制御が行われる。図11に示すように、作業者が、右側面側切断スイッチ138bを押すことにより、右側面側の第4の植え付け部組108d、第3の植え付け部組108c、第2の植え付け部組108b、第1の植え付け部組108aの順に段階的に動作が停止され、旋回後、第4の植え付け部組108dによって最後に植え付けた苗Nから2株分端Wから遠い箇所から第4の植え付け部組108dにより植え付けが開始されるように、自動で、右側面側の第4の植え付け部組108d、第3の植え付け部組108c、第2の植え付け部組108b、第1の植え付け部組108aの順に段階的に動作が開始される。
【0146】
以上のように、左側面側切断スイッチ138a又は右側面側切断スイッチ138bを押すだけで、自動で複数の畦クラッチ110を端から順に切り状態し、植え付け部組108を順に停止することが出来る。
【0147】
尚、本実施の形態では、旋回時に、4つの畦クラッチ110について、はじめに切り状態にした側から入り状態にするように制御が行われているが、後述する図17に示すような変形圃場の場合、全ての畦クラッチ110を同時に入り状態にするように制御が行われても良い。また、はじめに切り状態にした側と反対側から入り状態にするように制御がおこなわれてもよく、本実施の形態の畦クラッチ110の制御機構では、自在に制御を行うことが出来る。
【0148】
又、左側面側の畦クラッチから切り状態とするか、右側面側の畦クラッチから切り状態とするかを決定するスイッチを押すだけで、畦クラッチを段階的に順番に切り状態とすることが出来る。又、操舵方向と、圃場の端の傾斜方向によって、旋回後の植え付け開始タイミングと、植え付け部組108の動作順を自動で制御することが出来るので、変形田での作業者の負担する労力を減らすことが出来る。
【0149】
尚、本実施の形態では、畦クラッチ110を入り切りするタイミングは、2条ごとであるが、それに限らなくても良い。
【0150】
(実施の形態2)
以下に、本発明にかかる実施の形態2における田植機について説明する。本実施の形態2の田植機の基本的な構成は、実施の形態1と同様であるが、植え付け部組108を順次停止する機構が異なっている。そのため、本相違点を中心に説明する。尚、実施の形態1と同様の構成については同一の符号が付されている。
【0151】
図12は、本実施の形態2の田植機1の植え付け部の駆動の制御機構を示す簡易模式図である。
【0152】
図12に示すように、本実施の形態2では、第1の畦クラッチ110aに接続されているワイヤ部材112の第1の端141が接続されている第1のアーム部材200aと、第2の畦クラッチ110bに接続されているワイヤ部材112の第1の端141が接続されている第2のアーム部材200bと、第3の畦クラッチ110cに接続されているワイヤ部材112の第1の端141が接続されている第3のアーム部材200cと、第4の畦クラッチ110dに接続されているワイヤ部材112の第1の端141が接続されている第4のアーム部材200dが設けられている。
【0153】
図13は、第1のアーム部材200aの側面構成図である。図12及び図13に示すように、第1のアーム部材200aは、短冊形状であり、その一端にワイヤ部材112の第1の端141が接続されており、他端に円柱形状のピン201が立設されている。又、第1のアーム部材200aは、その中央近傍に回動軸202を有しており、この回動軸202を中心に回動可能に構成されている。ピン201の側面には、貫通孔203が形成されている。この貫通孔203の貫通方向は、第1のアーム部材200aの長手方向に対して垂直方向に形成されている。第2のアーム部材200b、第3のアーム部材200c、及び第4のアーム部材200dも、第1のアーム部材200aと同様の構成である。
【0154】
これら第1のアーム部材200a、第2のアーム部材200b、第3のアーム部材200c、及び第4のアーム部材200dの貫通孔203を通して、ケーブル部材204が配設されている。このケーブル部材204を貫通孔203に沿って移動(図中矢印E、F参照)させるためのモータ205が設けられている。
【0155】
また、第1の端141を上側、ピン201を下側とすると、ケーブル部材204の第1のアーム部材200aの左側には、第1の左側当接部206aが設けられており、ケーブル部材204の第1のアーム部材200aの右側には、第1の右側当接部207aが設けられている。初期位置において、第1の左側当接部206aと第1のアーム部材200aのピン201の間のケーブル部材204の距離は、4xに設定されており、第1の右側当接部207aと第1のアーム部材200aのピン201の間のケーブル部材204の距離は、xに設定されている。
【0156】
また、ケーブル部材204の第2のアーム部材200bの左側には、第2の左側当接部206bが設けられており、ケーブル部材204の第2のアーム部材200bの右側には、第2の右側当接部207bが設けられている。初期位置において、第2の左側当接部206bと第2のアーム部材200bのピン201の間のケーブル部材204の距離は、3xに設定されており、第2の右側当接部207bと第2のアーム部材200bのピン201の間のケーブル部材204の距離は、2xに設定されている。
【0157】
また、ケーブル部材204の第3のアーム部材200cの左側には、第3の左側当接部206cが設けられており、ケーブル部材204の第3のアーム部材200cの右側には、第3の右側当接部207cが設けられている。初期位置において、第3の左側当接部206cと第3のアーム部材200cのピン201の間のケーブル部材204の距離は、2xに設定されており、第3の右側当接部207cと第3のアーム部材200cのピン201の間のケーブル部材204の距離は、3xに設定されている。
【0158】
また、ケーブル部材204の第4のアーム部材200dの左側には、第4の左側当接部206dが設けられており、ケーブル部材204の第4のアーム部材200dの右側には、第4の右側当接部207dが設けられている。初期位置において、第4の左側当接部206dと第4のアーム部材200dのピン201の間のケーブル部材204の距離は、xに設定されており、第4の右側当接部207dと第4のアーム部材200dのピン201の間のケーブル部材204の距離は、4xに設定されている。このように、左側当接部206とピン201の間の距離は、第4のアーム部材200dから第1のアーム部材200aに向かって単調増加しており、右側当接部207とピン201の間の距離は、第1のアーム部材200aから第4のアーム部材200dに向かって単調増加している。
【0159】
また、操舵検知装置102、回転センサ104、及び旋回指示スイッチ107の出力に基づいて、モータ205の動作の制御を行う制御部132が設けられている。
【0160】
はじめに、第1の傾斜方向を有する圃場の端において右旋回を行う場合の畦クラッチ105の制御(以下、第1の制御ともいう)について説明する。
【0161】
実施の形態1においても説明したように、第1の傾斜において、右旋回を行い、圃場の端Wと平行に形成するためには、左側面側の第1の植え付け部組108aから停止させる必要がある。そのため、作業者は、左側面側切断スイッチ138aを押す。
【0162】
この操作によって、制御部132によって、ケーブル部材204が矢印E方向に移動するようにモータ205が作動される。
【0163】
このケーブル部材204が初期位置から矢印E方向へx分移動することにより、はじめに、第1の右側当接部207aが、第1のアーム部材200aのピン201に当接する。図14(a)は、第1の右側当接部207aが、第1のアーム部材200aのピン201に当接した状態を示す図である。そこから、更に移動すると、図14(b)に示すように、第1のアーム部材200aが矢印G方向に回動し、第1のアーム部材200aと接続されている第1の端141も矢印G方向に回動する。この回動によりワイヤ部材112が矢印A方向に引かれる。そして、第1の畦クラッチ110aが切り状態となり、第1の植え付け部組108aが停止する。尚、上述したように、第1の植え付け部組108aの停止とともに、それに対応する苗送りベルト51bも停止する。
【0164】
第1の右側当接部207aが第1のアーム部材200aのピン201に当接した後、更にケーブル部材204が距離x分矢印E方向に移動すると、第2の右側当接部207bが第2のアーム部材200bのピン201に当接し、更にケーブル部材204が移動することによって、第2のアーム部材200bが矢印G方向に回動し、第2のアーム部材200bと接続されている第1の端141も矢印G方向に移動する。そして、この回動によりワイヤ部材112が矢印A方向に引かれ、第2の畦クラッチ110bが切り状態となり、第2の植え付け部組108bが停止する。尚、上述したように、第2の植え付け部組108bの停止とともに、それに対応する苗送りベルト51bも停止する。
【0165】
続いて、第2の右側当接部207bが第2のアーム部材200bのピン201に当接した後、更にケーブル部材204が距離x分矢印E方向に移動すると、第3の右側当接部207cが第3のアーム部材200cのピン201に当接する。更にケーブル部材204が移動することによって、第3のアーム部材200cが矢印G方向に回動し、ワイヤ部材112が矢印A方向に引かれ、第3の畦クラッチ110cが切り状態となり、第3の植え付け部組108cが停止する。
【0166】
続いて、第3の右側当接部207cが第3のアーム部材200cのピン201に当接した後、更にケーブル部材204が距離x分矢印E方向に移動すると、第4の右側当接部207dが第4のアーム部材200dのピン201に当接する。更にケーブル部材204が移動することによって、第4のアーム部材200dが矢印G方向に回動し、ワイヤ部材112が矢印A方向に引かれ、第4の畦クラッチ110dが切り状態となり、第4の植え付け部組108dが停止する。
【0167】
以上のように、ケーブル部材204を矢印E方向に移動させることによって、第1の右側当接部207a、第2の右側当接部207b、第3の右側当接部207c、及び第4の右側当接部207dの順に、第1のアーム部材200a、第2のアーム部材200b、第3のアーム部材200c、及び第4のアーム部材200dのピン201に当接し、それぞれのアーム部材が回動し、第1の畦クラッチ110a、第2の畦クラッチ110b、第3の畦クラッチ110c、及び第4の畦クラッチ110dの順に切り状態にすることが出来、図7に示すように、圃場の端Wと平行に苗Nを植え付けことが出来る。
【0168】
尚、上記距離xとワイヤの移動速度により、植え付け部組108を段階的に停止させる間隔を設定することが出来る。本実施の形態では、苗Nを2株植え付ける毎に植え付け部組108が段階的に停止するように設定されている。
【0169】
そして、作業者は、植え付け昇降レバー(図示せず)を移動させて、昇降油圧シリンダ25を動作させて植え付け装置4を上昇させる。
【0170】
次に、作業者は、変形圃場の傾斜方向を指示するために旋回指示スイッチ107を移動する。図5及び図7に示す変形圃場の端Wの傾斜は、第1の傾斜方向(図4(b)参照)であるため、作業者は、旋回指示スイッチ107を第1の位置P1に移動する。
【0171】
この動作により、制御部132は田植機1が第1の傾斜方向の変形圃場において旋回を行うことを認識する。
【0172】
そして、作業者がハンドル34を右方向に向けて操舵すると、操舵検知装置102によって旋回が始まったことが検知され、その検知が制御部132に伝えられる。
【0173】
続いて、回転センサ104からのパルスによって旋回の際の内側の後輪11(右側の後輪11)の回転数が検知され、制御部132へと送られる。制御部132は、予め設定されている所定の回転数に達すると、植え付け装置4を自動で降下させ、第1の畦クラッチ110a、第2の畦クラッチ110b、第3の畦クラッチ110c、及び第4の畦クラッチ110dの順にクラッチを入り状態にすることで、図8のように、圃場の端Wと平行に苗を植え付けることが出来る。
【0174】
ここで、旋回時に植え付け装置4が上昇した後、制御部132によってメインクラッチ109が切り状態とされ、ケーブル部材204が初期位置まで戻される。この際に、全ての畦クラッチ110が入り状態となるが、メインクラッチ109が切り状態であるため、植え付け部組220は動作しない。
【0175】
続いて、制御部132は、旋回指示スイッチ107を第1の位置P1と、回転センサ104による旋回方向に基づいて、ケーブル部材204を矢印F方向に移動させる。この移動により、はじめに第4の左側当接部206dが第4のアーム部材200dに当接し、次に第3の左側当接部206cが第3のアーム部材200cに当接し、次に第2の左側当接部206bが第2のアーム部材200bに当接し、最後に第1の左側当接部206aが第1のアーム部材200aに当接するため、第4のアーム部材200d、第3のアーム部材200c、第2のアーム部材200b、及び第1のアーム部材200aの順に回動することになる。このため、第4の畦クラッチ110d、第3の畦クラッチ110c、第2の畦クラッチ110b、及び第1の畦クラッチ110aの順に切り状態となる。
【0176】
この状態から、旋回終了後、植え付け装置4を自動で降下させた後に、制御部132は、モータ205を動作させてケーブル部材204を初期位置に戻すように矢印E方向に移動させる。
【0177】
矢印E方向に移動させる前の状態では、第1のアーム部材200aが最も回動した量が少ないため、ケーブル部材204を矢印E方向に移動させると、はじめに第1のアーム部材200aが回動する前の状態(ケーブル部材204に対して垂直な状態)に戻り、第1の畦クラッチ110aが入り状態となる。そして、順に、第2の畦クラッチ110b、第3の畦クラッチ110c、第4の畦クラッチ110dが入り状態となり、第1の植え付け部組108a、第2の植え付け部組108b、第3の植え付け部組108c、第4の植え付け部組108dの順に駆動し、植え付けが開始される。
【0178】
そして、ケーブル部材204が初期位置に戻ると、モータ205の動作は停止される。
【0179】
尚、旋回後に再度、植え付けを開始する時にも、上記距離xとワイヤの移動速度は、苗Nを2株植え付ける毎に植え付け部組108が段階的に動作するように設定されている。
【0180】
次に、第2の傾斜方向を有する圃場の端において左旋回を行う場合の畦クラッチ110の制御(以下、第2の制御ともいう)について説明する。
【0181】
実施の形態1においても説明したように、第2の傾斜において、左旋回を行い、圃場の端Wと平行に形成するためには、右側面側の第4の植え付け部組108dから停止させる必要がある。そのため、作業者は、右側面側切断スイッチ138bを押す。
【0182】
この操作によって、制御部132が、ケーブル部材204を矢印F方向へ移動するようにモータ205を制御する。
【0183】
このケーブル部材204が初期位置から矢印F方向へx分移動することにより、はじめに第4の左側当接部206dが、第4のアーム部材200dのピン201に当接し、第4の畦クラッチ110dが切り状態となる。続いて第3の畦クラッチ110c、第2の畦クラッチ110b、第1の畦クラッチ110aの順に、切り状態となり、第4の植え付け部組108d、第3の植え付け部組108c、第2の植え付け部組108b、及び第1の植え付け部組108aの順に動作が停止する。
【0184】
そして、作業者は、植え付け昇降レバー(図示せず)を移動させて、昇降油圧シリンダ25を動作させて植え付け装置4を上昇させる。
【0185】
次に、作業者は、変形圃場の傾斜方向を指示するために旋回指示スイッチ107を移動する。図9に示す変形圃場の端Wの傾斜は、第2の傾斜方向(図4(c)参照)であるため、作業者は、旋回指示スイッチ107を第2の位置P2に移動する。
【0186】
作業者がハンドル34を左方向に向けて操舵すると、操舵検知装置102によって旋回が始まったことが検知され、その検知が制御部132に伝えられる。
【0187】
続いて、回転センサ104によって旋回の際の内側の後輪11(左側の後輪11)の回転数が検知され、制御部132へと送られる。制御部132は、予め設定されている所定の回転数に達すると、植え付け装置4を自動で降下させる。
【0188】
ここで、植え付け装置4が上昇した後に、制御部132によってメインクラッチ109が切り状態とされ、ケーブル部材204が初期位置まで戻される。この際に、全ての畦クラッチ110が入り状態となるが、メインクラッチ109が切り状態であるため、植え付け部組220は動作しない。
【0189】
続いて、制御部132は、旋回指示スイッチ107を第1の位置P1と、回転センサ104による旋回方向に基づいて、ケーブル部材204を矢印E方向に移動させる。この移動により、第1の右側当接部207aが第1のアーム部材200aに当接し、第2の右側当接部207bが第2のアーム部材200bに当接し、第3の右側当接部207cが第3のアーム部材200cに当接し、第4の右側当接部207dが第4のアーム部材200dに当接するため、第1のアーム部材200a、第2のアーム部材200b、第3のアーム部材200c、第4のアーム部材200dの順に回動することになる。このため、第1の畦クラッチ110a、第2の畦クラッチ110b、第3の畦クラッチ110c、第4の畦クラッチ110dの順に切り状態となる。
【0190】
この状態から、旋回終了後、植え付け装置4を自動で降下させた後に、制御部132は、モータ205を動作させてケーブル部材204を初期位置に戻すように矢印F方向に移動させる。
【0191】
矢印F方向に移動させる前の状態では、第4のアーム部材200dが最も回動した量が少ないため、ケーブル部材204を矢印F方向に移動させると、はじめに第4のアーム部材200dが回動する前の状態(ケーブル部材204に対して垂直な状態)に戻り、第4の畦クラッチ110dが入り状態となる。そして、順に、第3の畦クラッチ110c、第2の畦クラッチ110b、第1の畦クラッチ110aが入り状態となり、第4の植え付け部組108d、第3の植え付け部組108c、第2の植え付け部組108b、第1の植え付け部組108aの順に駆動し、植え付けが開始される。
【0192】
そして、ケーブル部材204が初期位置に戻ると、モータ205の動作は停止される。
【0193】
次に、第1の傾斜方向を有する圃場の端において左旋回を行う場合の畦クラッチ105の制御(以下、第3の制御ともいう)について説明する。
【0194】
この場合、図10に示すように、第1の植え付け部組108aから、第2の植え付け部組108b、第3の植え付け部組108c、第4の植え付け部組108dの順に停止させるように、ケーブル部材204を矢印E方向に移動させる。
【0195】
そして、作業者の旋回指示スイッチ107の第1の位置P1への移動と、操舵検知装置102による旋回方向の検知によって、植え付け装置4の上昇の後、制御部132は、ケーブル部材204を一旦初期位置に戻した後、矢印F方向にケーブル部材204を移動させ、第4のアーム部材200d、第3のアーム部材200c、第2のアーム部材200b、第1のアーム部材200aの順に回動させて、全ての畦クラッチ110を切り状態とする。
【0196】
続いて、旋回後に、矢印E方向にケーブル部材204を移動させることによって、第1のアーム部材200a、第2のアーム部材200b、第3のアーム部材200c、第4のアーム部材200dの順に、回動前の状態に戻るため、第1の畦クラッチ110a、第2の畦クラッチ110b、第3の畦クラッチ110c、第4の畦クラッチ110dの順に入り状態となり、苗の植え付けが開始される。
【0197】
次に、第2の傾斜方向を有する圃場の端において右旋回を行う場合の旋回後の畦クラッチ105の自動制御(以下、第4の制御ともいう)について説明する。
【0198】
この場合、図11に示すように、第4の植え付け部組108dから、第3の植え付け部組108c、第2の植え付け部組108b、第1の植え付け部組108aの順に停止させるように、ケーブル部材204を矢印F方向に移動させる。
【0199】
そして、作業者の旋回指示スイッチ107の第2の位置P2への移動と、操舵検知装置102による旋回方向の検知によって、植え付け装置4の上昇の後、制御部132は、ケーブル部材204を一旦初期位置に戻した後、矢印E方向にケーブル部材204を移動させ、第1のアーム部材200a、第2のアーム部材200b、第3のアーム部材200c、第4のアーム部材200dの順に回動させて、全ての畦クラッチ110を切り状態とする。
【0200】
続いて、旋回後に、矢印F方向にケーブル部材204を移動させることによって、第4のアーム部材200d、第3のアーム部材200c、第2のアーム部材200b、第1のアーム部材200aの順に、回動前の状態に戻るため、第4の畦クラッチ110d、第3の畦クラッチ110c、第2の畦クラッチ110b、第1の畦クラッチ110aの順に入り状態となり、苗の植え付けが開始される。
【0201】
尚、本実施の形態2では、当接部206、207はケーブル部材204に設けられていたが、ケーブルに限らず、棒状の部材であってもよい。
【0202】
又、ピン201が設けられておらず、アーム部材200が厚みを有し、アーム部材200に直接貫通孔が形成されていても良い。
【0203】
(実施の形態3)
以下に、本発明にかかる実施の形態3における田植機について説明する。本実施の形態3の田植機の基本的な構成は、実施の形態1と同様であるが、植え付け部組を順次停止する機構が異なっている。そのため、本相違点を中心に説明する。尚、実施の形態1と同様の構成については同一の符号が付されている。又、上記実施の形態では、8条の場合について説明したが、本実施の形態では、説明を分かりやすくするために6条植え付けの場合について説明する。従って、実施の形態1、2で述べた第4の植え付け部組108d、及び第4の畦クラッチ110d等は、本実施の形態3では設けられていない。
【0204】
図15は、本実施の形態3の植え付け部組108を順次停止する機構の簡易模式図である。
【0205】
図15に示すように、本実施の形態3では、モータ131によって回転する断面が六角形状の駆動軸127に、規制部材128と、小径プーリ部材210と、摩擦板122と、駆動用ボス123と、中径プーリ部材211と、摩擦板122と、駆動用ボス123と、大径プーリ部材212と、摩擦板122と、駆動用ボス123と、当接部124と、バネ部材125と、ワリピン126が順に配置されている。小径プーリ部材210、中径プーリ部材211、及び大径プーリ部材212は、円形状の貫通孔を有している。そして、摩擦板122及び駆動用ボス213には、六角形の貫通孔が形成されており、それらの貫通孔を通して駆動軸127が配置されている。すなわち、摩擦板122及び駆動用ボス213は、駆動軸127の長手方向にはスライド可能であるが、駆動軸127の回転に伴って回転することになる。そして、ワリピン126は、駆動軸127に固定されており、ワリピン126にバネ部材125が当接されている。又、当接部124は、実施の形態1で述べたように、ソレノイド129に連結されている回動部材130の一部である。
【0206】
図16は、本実施の形態3における第1の畦クラッチ110a、第2の畦クラッチ110b、及び第3の畦クラッチ110cと、小径プーリ部材210、中径プーリ部材211、及び大径プーリ部材212とのワイヤの接続関係を説明するための簡易模式図である。
【0207】
図16に示すように、大径プーリ部材212には、その初期状態において、最上部に大径右側用ワイヤ部材221が接続されており、最下部には大径左側用ワイヤ部材222が接続されている。中径プーリ部材211には、その初期状態において、最上部に中径右側用ワイヤ部材223が接続されており、最下部には中径左側用ワイヤ部材224が接続されている。小径プーリ部材210には、その初期状態において、最上部に小径右側用ワイヤ部材225が接続されており、最下部には小径左側用ワイヤ部材226が接続されている。これら大径右側用ワイヤ部材221、大径左側用ワイヤ部材222、中径右側用ワイヤ部材223、中径左側用ワイヤ部材224、小径右側用ワイヤ部材225、及び小径左側用ワイヤ部材226のそれぞれには、調整用バネ部材147が設けられている。
【0208】
上述した大径左側用ワイヤ部材222と小径左側用ワイヤ部材226は第1の畦クラッチ用ジョイント227で一本にまとめられており、中径右側用ワイヤ部材223と中径左側用ワイヤ部材224は第2の畦クラッチ用ジョイント228で一本にまとめられており、大径右側用ワイヤ部材221と小径右側用ワイヤ部材225は、第3の畦クラッチ用ジョイント229で一本にまとめられている。
【0209】
第1の畦クラッチ用ジョイント227でまとめられたワイヤ部材は、実施の形態1で述べた第1の分岐ワイヤ部材112aと、第2の分岐ワイヤ部材112b(図16では省略)に分かれており、第1の分岐ワイヤ部材112aは、第1の畦クラッチ110aに接続されており、第2の分岐ワイヤ部材112bは、第1の植え付け部組108aに対応する苗送りベルト51bへの駆動の入り切りを行う機構に接続されている。第2の畦クラッチ用ジョイント228でまとめられたワイヤ部材も第1の分岐ワイヤ部材112aと、第2の分岐ワイヤ部材112b(図16では省略)に分かれ、第1の分岐ワイヤ部材112aは、第2の畦クラッチ110bに接続されている。第3の畦クラッチ用ジョイント229でまとめられたワイヤ部材も第1の分岐ワイヤ部材112aと、第2の分岐ワイヤ部材112b(図16では省略)に分かれ、第1の分岐ワイヤ部材112aは、第3の畦クラッチ110cに接続されている。このように、本実施の形態3では、駆動軸127の回転を大径プーリ部材212、中径プーリ部材211、及び小径プーリ部材210に伝達し、回転させる伝達機構139は、規制部材128、3個の摩擦板122、3個の駆動用ボス123,ソレノイド129、回動部材130、及びバネ部材125、及びワリピン126を備えている。
【0210】
次に、第1の畦クラッチ110a、第2の畦クラッチ110b、第3の畦クラッチ110cの制御について説明する。
【0211】
本実施の形態3では、図17に示すように、畦の第1の端W1、第2の端W2に沿って植え付け作業を行う場合の制御について説明する。
【0212】
畦の第1の端W1に沿って植え付け作業を行い、第1の端W1と第2の端W2の角に達し、作業者が右側面側切断スイッチ138bを押すと、右側面側の第3の植え付け部組108cから順に停止が行われる。具体的には、駆動軸127を図16中矢印H方向に回動させる。この回動の際、ソレノイド129には通電されていないため、バネ部材125によって、各摩擦板122は大径プーリ部材212、中径プーリ部材211、小径プーリ部材210に押圧されており、駆動軸127の回転は摩擦板122を介して各プーリ部材に伝達される。そして、大径プーリ部材212、中径プーリ部材211、小径プーリ部材210は同時に矢印T方向に回動し、それぞれに接続されている大径右側用ワイヤ部材221、中径右側用ワイヤ部材223、及び小径右側用ワイヤ部材225が巻き取られる。一方、大径左側用ワイヤ部材222、中径左側用ワイヤ部材224、及び小径左側用ワイヤ部材226は弛むことになる。
【0213】
ここで、同じ角度分回動した場合、大径プーリ部材212の方が、中径プーリ部材211及び小径プーリ部材210よりも、ワイヤ部材が巻き取られる量は多くなる。そのため、はじめに、大径右側用ワイヤ部材221と接続されている第3の畦クラッチ110cが切り状態となり、次に、中径右側用ワイヤ部材223と接続されている第2の畦クラッチ110bが切り状態となり、最後に、小径右側用ワイヤ部材225と接続されている第1の畦クラッチ110aが切り状態となる。このように制御することによって、右側面側の第3の植え付け部組108c、第2の植え付け部組108b、及び第1の植え付け部組108aの順に動作が停止する。
【0214】
尚、大径右側用ワイヤ部材221が、第3の畦クラッチ110cが切り状態となった後も回転し続けると、第3の畦クラッチ110cを入り状態に付勢しているバネ部材111に負荷がかかり過ぎる場合があるため、摩擦板122と大径プーリ部材212は所定以上の負荷がかかると滑るように設定されている。これは、摩擦板122と中径プーリ部材211との間、及び摩擦板122と小径プーリ部材210の間も同様に所定以上の負荷がかかると滑るように設定されている。この所定の負荷としては、畦クラッチが切り状態となった直後程度の負荷に設定すればよい。
【0215】
全ての植え付け部組108が停止した後、制御部132によって植え付け装置4が上昇され、作業者は、畦の第2の端W2に平行な方向に走行車体2の向きを変更する。そして、操舵検知装置102によって旋回が終了したことが検知されると、制御部132は、ソレノイド129に通電を行う、この通電により回動部材130が回動し、当接部124がバネ部材125側に移動する。当接部124の移動により、それぞれの摩擦板122の、大径プーリ部材212、中径プーリ部材211、及び小径プーリ部材210への押圧が解除され、バネ部材111及び調整用バネ部材147の付勢力により、全てのプーリ部材が矢印I方向に回転し、第1の畦クラッチ110a、第2の畦クラッチ110b、及び第3の畦クラッチ110cが同時に入り状態となり、第1の植え付け部組108a、第2の植え付け部組108b、及び第3の植え付け部組108cが同時に動作する。このようにして、図17に示すような植え付け作業を行うことが出来る。尚、本実施の形態では、植え付け部組108が段階的に切り状態になるタイミングは、1株単位に設定されている。
【0216】
又、摩擦板122による押圧が解除されて、例えば大径プーリ部材212が矢印I方向に回動するが、駆動軸127に対称な位置で連結された大径右側用ワイヤ部材221と大径左側用ワイヤ部材222に設けられた調整用バネ部材147の作用によって、大径右側用ワイヤ部材221との連結部が最上部、大径左側用ワイヤ部材222との連結部が最下部になるような初期位置で大径プーリ部材212は停止する。尚、中径プーリ部材211及び小径プーリ部材210も同様に初期位置で停止する。
【0217】
又、上記説明では、走行車体2の右側面側の第3の畦クラッチ110cから切り状態としたが、駆動軸127を矢印I方向に回転させることで、大径左側用ワイヤ部材222、中径左側用ワイヤ部材224、及び小径左側用ワイヤ部材226がプーリ部材に巻き取られ、左側面側の第1の畦クラッチ110a、第2の畦クラッチ110b、第3の畦クラッチ110cの順に切り状態とすることが出来る。
【0218】
又、本実施の形態のように、プーリ部材同士の間に摩擦板122を設ける配置構成としたことにより、複数のプーリ部材を設けても左右幅を狭く構成することができるので、機体の小型化や軽量化が可能となる。
【0219】
又、ソレノイドにより、全ての部分条クラッチ機構を同時に入り状態に操作することが出来るので、部分条クラッチ機構が切り状態のまま、次の植え付け条に移動することが防止されるため、苗の植え付け忘れが防止される。
【0220】
ワイヤ部材を2つプーリ部材に配置したことにより、モータの正逆回転により、右側面側又は左側面側から部分条クラッチ機構を切り状態とすることが出来る。
【0221】
(実施の形態4)
以下に、本発明にかかる実施の形態4について説明する。本実施の形態4の田植機の基本的な構成は、実施の形態1と同様であるが、植え付け部組を順次停止する機構が異なっている。そのため、本相違点を中心に説明する。尚、実施の形態1と同様の構成については同一の符号が付されている。又、上記実施の形態では、8条の場合について説明したが、本実施の形態では、説明を分かりやすくするために6条植え付けの場合について説明する。従って、実施の形態1、2で述べた第4の植え付け部組108d、及び第4の畦クラッチ110d等は、本実施の形態3では設けられていない。
【0222】
図18は、本実施の形態4の植え付け部組108を順次停止する機構の簡易模式図である。
【0223】
図18に示すように、本実施の形態4では、モータ131によって回転する断面が六角形状の駆動軸127に、規制部材128と、第1のプーリ部材121aと、摩擦板122と、駆動用ボス123と、第2のプーリ部材121bと、摩擦板122と、駆動用ボス123と、第3のプーリ部材121cと、摩擦板122と、駆動用ボス123と、当接部124と、バネ部材125と、ワリピン126が順に配置されている。本実施の形態4では、実施の形態3と異なり、同じ径のプーリ部材121が設けられている。
【0224】
図19は、本実施の形態4における第1の畦クラッチ110a、第2の畦クラッチ110b、及び第3の畦クラッチ110cと、第1のプーリ部材121a、第2のプーリ部材121b、及び第3のプーリ部材121cとのワイヤの接続関係を説明するための簡易模式図である。
【0225】
そして、第1のプーリ部材121aと第1の畦クラッチ用ジョイント227の間には、第1のワイヤ部材251aが設けられており、第2のプーリ部材121bと第2の畦クラッチ用ジョイント228の間には、第2のワイヤ部材251bが設けられており、第3のプーリ部材121cと第3の畦クラッチ用ジョイント229の間には、第3のワイヤ部材251cが設けられている。
【0226】
そして、図18に示すように、各ワイヤ部材の長さは、第1のワイヤ部材251aが最も短く、第3のワイヤ部材251cが最も長く、第2のワイヤ部材251bの長さは、第1のワイヤ部材251aと第3のワイヤ部材251cの中間に設定されている。このように、本実施の形態4では、駆動軸127の回転を第1のプーリ部材121a、第2のプーリ部材121b、第3のプーリ部材121cに伝達し、回転させる伝達機構139は、規制部材128、3個の摩擦板122、3個の駆動用ボス123、回動部材130、ソレノイド129、バネ部材125、及びワリピン126を備えている。
【0227】
尚、本発明の切替操作部材の一例は、本実施の形態のワイヤ部材251に対応する。
【0228】
このような構成において、畦クラッチ110を段階的に切り状態にする場合、駆動軸127を矢印T方向に回転させると、第1のワイヤ部材251aの長さが最も短いため、第1のワイヤ部材251aが最もはやく張り、第1のプーリ部材121a側に引かれることになる。このように第1のワイヤ部材251が第1のプーリ部材121a側に引かれると、第1の畦クラッチ110aが切り状態となる。続いて、駆動軸127が回転することにより、第2のワイヤ部材251bが張り、第2の畦クラッチ110bが切り状態となる。最後に、第3のワイヤ部材251cが張り、第3の畦クラッチ110cが切り状態となる。
【0229】
尚、上の説明では、第1の畦クラッチ110aから順に切り状態としたが、第3の畦クラッチ110cから順に切り状態とするようにしてもよい。この場合、第3のワイヤ部材251cの長さを最も長くし、第1のワイヤ部材251aの長さを最も短くし、第2のワイヤ部材251bの長さを第1のワイヤ部材251aと第3のワイヤ部材251cの中間の長さにすればよい。
【0230】
又、本実施の形態では、複数のプーリ部材121に同じ径のものを用いて、ワイヤ部材251の長さを変更することによって、右側面側又は左側面側からワイヤ部材が順次張るように構成されているが、プーリ部材の径が異なるものを用いても良く、要するに、右側面側又は左側面側からワイヤ部材が順次張るようにプーリ部材121及びワイヤ部材が構成されておりさえすればよい。
【0231】
(実施の形態5)
以下に、本発明にかかる実施の形態5について説明する。本実施の形態5の田植機は、上記実施の形態1〜4で説明した畦クラッチの操作の際に車体速度を減速させる制御を行う。尚、本実施の形態5では、実施の形態1の田植機1を用いて説明するが、実施の形態2、3、4の田植機についても適用可能である。又、実施の形態1と同様の構成については同一の符号が付されている。
【0232】
図20は、本実施の形態5の制御を示す構成図である。図20に示すように、本実施の形態5の制御部132は、右側面側切断スイッチ138a及び左側面側切断スイッチ138b、HST軸の開度を検知するための第1のモータアシストHSTポテンショメータ301と、HSTレバーの位置を検知するための第2のモータアシストHSTポテンショメータ302からの入力に基づいて、畦クラッチ110の入り切りを行うモータ131と、モータアシストHST用モータ303の制御を行う。尚、本発明の速度調整部の一例は、本実施の形態のモータアシストHST用モータ303に対応し、本発明の速度検知部は、本実施の形態の第1のモータアシストHSTポテンショメータ301又は第2のモータアシストHSTポテンショメータ302に対応する。
【0233】
図21は、本実施の形態4の田植機1の畦クラッチ110を操作する際の車体速度の制御のフロー図である。
【0234】
図21に示すように、ステップS1において、作業者によって、左側面側切断スイッチ138a又は右側面側切断スイッチ138bが押される。次に、ステップS2において、第1のモータアシストHSTポテンショメータ301の第1のポテンショメータ値が検知される。続いて、ステップS3において、第2のモータアシストHSTポテンショメータ301の第2のポテンショメータ値が検知される。
【0235】
ステップS4において、左側面側切断スイッチ138a又は右側面側切断スイッチ138bが押されたことが検知されると、制御はステップS5へと移動する。そして、ステップS5において、第2のポテンショメータ値から求められる車体速度が、予め決められた所定の速度以上であるか否かの判定が行われる。車体速度が所定速度以上の場合、制御は、ステップS6へと進み、第1のポテンショメータ値が一定時間設定値よりも小さくなるように、制御部132によって、モータアシストHST用モータ303の制御が行われる。
【0236】
ここで、設定値とは、HSTレバーに取り付けられた第2のポテンショメータ値が制御部132に入力され、演算結果として出力されたHST開度の制限値である。このHST開度の制限値は、HSTレバーの位置によって設定されている走行速度(第2のポテンショメータ値から求められる速度)よりも一定割合遅い速度になるHST開度に設定されている。そして、第1のモータアシストHSTポテンショメータ301の第1のポテンショメータ値が、HST開度の制限値になるまで、モータアシストHST用モータ303が駆動される。
【0237】
一方、ステップS5において、車体速度が所定速度よりも遅い場合には、制御は終了する。
【0238】
尚、このように、第1のポテンショメータ値がHST開度の制限値に制御されている状態は、スイッチ操作後、畦クラッチ110を切る操作の間だけ行われてもよいが、旋回後、畦クラッチ110の入り操作が行われるまでの間行われても良い。また、第1のポテンショメータ値がHST開度の制限値に制御されている状態が、旋回後、畦クラッチ110の入り操作を行う間のみ行われていてもよい。
【0239】
以上のように、畦クラッチを切り操作するためのスイッチを操作すると、走行速度が減速されることにより、走行車体が前進して、畦クラッチ機構に対応した植え付け部が苗を植え付けることを防止することが出来るため、植え付けが不要な条に苗を植え付けることが防止され、無駄になる苗を減少させることが出来る。
【0240】
尚、本実施の形態では、走行速度が所定の速度以上の場合に、減速が行われるが、所定の速度より小さい場合も一定割合速度を遅くするように制御が行われてもよい。
【0241】
又、所定割合に限らず、予め決められた速度まで車体速度を減速するようにしてもよい。要するに、所望の植え付け位置で植え付け部を停止することが可能な速度であればよい。
【0242】
尚、上記実施の形態1、3、4では、本発明の摩擦部材の一例として摩擦板122が設けられていたが、トルクリミッタ等であっても良い。
【0243】
又、上記実施の形態1、3、4では、ソレノイド129に通電することによって、バネ部材125による摩擦板122のプーリ部材への押圧を解除し、駆動力の伝達を切断しているが、ソレノイド129に通電すると、ソレノイド129に連結している回動部材130の回動により当接部124が摩擦板122を押し、駆動力を伝達するような構成であっても良い。このような構成の一例が図22に示されている。この図22は、実施の形態1の第1のワイヤ巻き取り機構120aの変形例を示す構成図である。図22に示すように、ソレノイド129に通電することによって可動部129aが矢印V方向に引かれ、回動部材130が回動し、当接部124が矢印W方向へ移動することになり、摩擦板122がプーリ部材121に押圧される。一方、ソレノイド129への通電が停止された場合、当接部124による摩擦板122のプーリ部材121への押圧力が弱くなり、摩擦板122が回転してもプーリ部材121は回転しない。尚、バネ部材125は、当接部124を軽く駆動用ボス123に押し付けるために設けられている。
【0244】
図23は、先の図1及び図2で説明したスタンド400のうち、左側面側のスタンド400を田植機1の背面側から視た図である。スタンド支持フレーム401には、前後方向に貫通孔が形成されており、スタンド400は、その貫通孔内に配置され前後方向に形成されている第1のスタンド部分400aと、第1のスタンド部分400aの前端部から外側方向に突出するように形成された第2のスタンド部分400bと、第2のスタンド部分400bの先端から後側に向かって形成された第3のスタンド部分400cとを有している。
【0245】
図23に示すように、スタンド400は、第1のスタンド部分400aを中心にして上下方向(矢印JK方向)に回動可能に構成されている。すなわち、圃場以外で、植え付け装置4を下降させる際には、スタンド400を下方に回動(矢印K方向)させて、第2のスタンド部分400bが地面に対して垂直になるようにすることによって、第3のスタンド部分400cが地面に当接し、植え付け装置4が支持されることになる。一方、植え付け装置4を圃場などで下降させる場合には、植え付け操作に干渉しないように、第2のスタンド部分400bが地面に対して水平な位置になるように、スタンドを上方に回動(矢印J方向)させる。
【0246】
又、スタンド支持フレーム401には、スタンド400の回動を検知するためのスタンド回動検知センサ403が設けられている。また、下リンク41のリンクベースフレーム42近傍には、昇降リンク装置3の状態を検知するためのリンクセンサ404(図1参照)が設けられている。
【0247】
図24は、植え付け装置4を降下させる際の制御フローを示す図である。
【0248】
はじめに、ステップS21において、植え付け装置4を降下させるために、レバー又はスイッチなどの操作が行われる。次に、ステップS22において、センターフロート55の迎い角センサにより、センターフロート55が接地しているか否かの判断が行われる。センターフロート55が接地している場合には、ステップS23において、スタンド回動検知センサ403によって、スタンド400が降りているか否かの判断が行われる。
【0249】
スタンド400が降りている場合には、ステップS24において、スタンド400が接地する直前まで植え付け装置4が急降下される。そして、ステップS25において、残りは、絞り下げで、植え付け装置4が低速で降下される。尚、ステップS22において、フロートが接地している場合には、ステップS26において接地している旨の警告が発せられる。又、ステップS23において、スタンド位置が降りていない場合には、ステップS27において、スタンド400が降りていない旨の警告ランプが発せられる。
【0250】
以上の制御により以下の効果が得られる。
【0251】
従来は、作業者が高さを見ながら、少しずつボタンを押す等して植え付け装置4を下げていたが、操作を誤り急に下げると、勢いよくスタンド400が接地し、破損変形の恐れが生じる場合がある。しかしながら、上記制御を行うことによって、誤って急に下げ操作をしたとしても、植え付け装置4が低速で接地するため、破損変形を防ぐことが出来る。
【0252】
図25は、本実施の形態1の田植機1の油圧計の構成図である。図25に示す500は、HST(23)を示し、501は、植え付け装置4を地面に対して垂直に保つためのローリングシリンダーを示し、502はトルクジェネレータを示し、503は第1のアキュームレータを示し、504は昇降用シリンダを示し、505は油圧バルブアッセイを示している。又、506は、フィルタを示し、507はオイルクーラを示し、508はフロコンバルブを示し、509はポンプを示し510はストレーナを示している。又、切替バルブ511と第2のアキュームレータ512が設けられている。
【0253】
このように、油圧ローリングシリンダー501の入力側にアキュームレータ512を取付け、アキュームレータ512の直前に切替バルブ511を設けることにより、ローリングシリンダー501の効果を調整することが出来る。すなわち、切替バルブ511をオン状態することにより、ローリングシリンダー501の感度を鈍くでき、切替バルブ511をオフ状態にすることにより、ローリングシリンダー501の感度を敏感にすることが出来る。
【0254】
又、従来はハンチングするため、応答速度が挙げられなかったが、応答速度を向上させることが出来る。
【0255】
尚、切替バルブ511の代わりに調整バルブが配置されていても良い。
【0256】
又、本実施の形態1の植え付け装置4の苗送りベルト51bのテンションを保つとともに、クリーニングを行う自動クリーニング機能付きベルトテンションの役割を有するブラシ付けローラ600が設けられていても良い。
【0257】
図26は、植え付け装置4近傍の側面構成図である。又、図27は、植え付け装置4の平面構成図である。図26及び図27に示すように、苗載台51の裏側には、苗送りベルト51bの搬送方向と垂直方向に2条の苗送りベルト51bにわたって配置されたブラシ付きローラ600が配置されている。図27では、中央右側面側の2条の苗送りベルト51b(第3の植え付け部組108cに対応)に配置されているブラシ付きローラ600のみ図示されている。このブラシ付きローラ600は、2条分の苗送りベルト51bの両端側に配置された、板状の泥よけ板支持部材601に回動可能に取り付けられている。尚、この2つの泥よけ板支持部材601の間をわたすように泥よけ板602が配置されている。
【0258】
このブラシ付きローラ600は、苗送りベルト51bを押圧しているため、苗送りベルト51bにテンションをかけることが出来、更に、ブラシによって苗送りベルト51bに巻き付いた根などを取り除くことが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0259】
本発明の苗移植機は、タイムラグを低減することが可能な効果を有し、田植機等として有用である。
【符号の説明】
【0260】
1 田植機
2 走行車体
3 昇降リンク装置
4 植え付け装置
5 施肥装置
10 前輪
11 後輪
12 ミッションケース
13 前輪ファイナルケース
15 メインフレーム
18 後輪ギヤケース
20 エンジン
21 ベルト伝動装置
26 植え付け伝動軸
28 施肥伝動機構
30 エンジンカバー
【技術分野】
【0001】
本発明は、苗移植機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
苗移植機において、畦際近辺での植え付け作業時、及び変形圃場の圃場端での植え付け作業時に、必要な位置にのみ苗を植え付けることを可能とするために、2組の植え付け部毎に駆動力の入り切りを切り替える部分条クラッチが設けられている。
【0003】
このような複数の部分条クラッチの入り切りの操作を行うため、部分条クラッチ毎にスイッチが設けられた構成が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
しかしながら、畦際、圃場端で、複数の部分条クラッチを操作する際には、一つ一つ対応するスイッチを押す必要があるため、操作工数が多く、操作性が低下するという問題がある。
【0005】
この問題を解決するために、モータによりスライドする凹凸のあるカムに、部分条クラッチを操作する軸の先端部に設けたカムローラを、位相を変えて接触させ、カムをスライドさせることによって段階的に部分条クラッチを左端又は右端から入り切りを行う構成が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0006】
この構成は、1つの操作を行うことにより、複数の部分条クラッチが段階的に入り切り操作を行うことを可能とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010―004818号公報
【特許文献2】特許登録第3841542号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、カムの凹凸とカムローラの接触によって部分条クラッチの入り切りを操作しているため、切替に若干のタイムラグが生じることがある。
【0009】
そのため、部分条クラッチが切り操作される前に植え付け部が苗を掻き取って圃場に植えてしまう場合があり、枕地植の際に無駄になる苗が生じるという問題が発生する。
【0010】
本発明は、上記従来の苗移植機の課題を考慮し、タイムラグを低減することが可能な苗移植機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、第1の本発明は、
走行車体(2)と、
前記走行車体(2)の後側に設けられ、苗を圃場に植え付ける条単位毎の植え付け部(52)を複数有する植え付け装置(4)と、
前記複数の植え付け部(52)への駆動力を1つ又は複数の前記植え付け部(52)毎に入切する、複数の部分条クラッチ(110)と、
回転可能に構成された駆動軸(127)と、
前記駆動軸(127)に配置された複数のプーリ部材(121)と、
前記駆動軸(127)の回転を前記プーリ部材(121)に伝達して回転させるべく、前記プーリ部材(121)のそれぞれに配置されている伝達機構(139)と、
前記部分条クラッチ(110)と前記プーリ部材(121)を連結する切替操作部材(112)とを備え、
前記部分条クラッチ(110)は、前記切替操作部材(112)が前記プーリ部材(121)の回転によって巻き取られると共に、前記切替操作部材(112)で引かれることによって切り状態となり、
複数の前記伝達機構(139)が、端から順にタイミングをずらして前記プーリ部材(121)に前記駆動軸(127)の回転を伝達し、前記プーリ部材を回転させる、苗移植機である。
【0012】
第2の本発明は、
それぞれの前記伝達機構(139)は、自身の有するソレノイド(129)によって、前記駆動軸(127)の回転の伝達及び否伝達が切り替えられる、第1の本発明の苗移植機である。
【0013】
第3の本発明は、
走行車体(2)と、
前記走行車体(2)の後側に設けられ、苗を圃場に植え付ける条単位毎の植え付け部(52)を複数有する植え付け装置(4)と、
前記複数の植え付け部(52)への駆動力を1つ又は複数の前記植え付け部(52)毎に入切する、複数の部分条クラッチ(110)と、
回転可能に構成された駆動軸(127)と、
前記駆動軸(127)に配置された複数のプーリ部材(121)と、
前記駆動軸(127)の回転を前記複数のプーリ部材(121)に伝達して回転させるべく、前記複数のプーリ部材(121)に配置されている1つの伝達機構(139)と、
前記部分条クラッチ(110)と前記プーリ部材(121)を連結する切替操作部材(251)とを備え、
前記部分条クラッチ(110)は、前記切替操作部材(251)が前記プーリ部材(121)の回転によって巻き取られ、前記切替操作部材(251)で引かれることによって切り状態となり、
前記プーリ部材(121)及び前記切替操作部材(251)は、前記伝達機構(139)が同じタイミングで前記複数のプーリ部材(121)に前記駆動軸(127)の回転を伝達した際、複数の前記切替操作部材(251)が端から順にタイミングをずらして張っていき、前記部分条クラッチ(110)が順次切り状態となる、苗移植機である。
【0014】
第4の本発明は、
前記複数の切替操作部材(251)の長さをそれぞれ異なる長さとすることによって、前記部分条クラッチ(110)が端から順にタイミングがずれて切り状態となる構成とした、第3の本発明の苗移植機である。
【0015】
第5の本発明は、
走行車体(2)と、
前記走行車体(2)の後側に設けられ、苗を圃場に植え付ける条単位毎の植え付け部(52)を複数有する植え付け装置(4)と、
前記複数の植え付け部(52)への駆動力を1つ又は複数の前記植え付け部(52)毎に入切する、複数の部分条クラッチ(110)と、
回転可能に構成された駆動軸(127)と、
前記駆動軸(127)に配置された複数のプーリ部材(210、211、212)と、
前記駆動軸(127)の回転を前記複数のプーリ部材(210、211、212)に伝達して回転させるべく、前記複数のプーリ部材(210、211、212)に配置されている1つの伝達機構(139)と、
前記部分条クラッチ(110)と前記プーリ部材(210、211、212)を連結する切替操作部材(112)とを備え、
前記部分条クラッチ(110)は、前記切替操作部材(112)が前記プーリ部材(210、211、212)の回転によって巻き取られ、前記切替操作部材(112)で引かれることによって切り状態となり、
前記複数のプーリ部材(210、211、212)は、端から順に径が小さくなっており、
前記伝達機構(139)は、同じタイミングで前記複数のプーリ部材(210、211、212)に前記駆動軸(127)の回転を伝達し、前記複数のプーリ部材(210、211、212)のうち、より径の大きい方が、前記切替操作部材(112)の移動量が大きくより早く前記部分条クラッチが切り状態となる、苗移植機である。
【0016】
第6の本発明は、
前記伝達機構(139)は、摩擦部材(122)又はトルクリミッタと、
前記摩擦部材又は前記トルクリミッタを、前記プーリ部材に当接するバネ部材(125)とを有する、第1から5のいずれかの本発明の苗移植機である。
【0017】
第7の本発明は、
走行車体(2)と、
前記走行車体(2)の後側に設けられ、苗を圃場に植え付ける条単位毎の植え付け部(52)を複数有する植え付け装置(4)と、
前記複数の植え付け部(52)への駆動力を1つ又は複数の前記植え付け部(52)毎に入切する、複数の部分条クラッチ(110)と、
前記複数の部分条クラッチ(110)のそれぞれに対応して設けられている、回動可能なアーム部材(200)と、
前記部分条クラッチ(110)と前記アーム部材(200)の一端を連結する切替操作部材(112)と、
複数の前記アーム部材(200)のそれぞれの他端に設けられた孔を貫通して配設されているケーブル部材(204)又は棒状部材と、
前記ケーブル部材(204)又は前記棒状部材に固定されており、当接することによって前記アーム部材(200)を回動させる複数の当接部(206、207)とを備え、
それぞれの前記当接部(206、207)は、それぞれの前記アーム部材(200)の同一の側に設けられており、
前記当接部(206、207)が前記アーム部材(200)に当接していないときにおけるそれぞれの前記アーム部材(200)と前記当接部(206、207)の間隔は、複数の前記アーム部材(200)の一方の端から他方の端に向かって、単調に増加しており、
前記部分条クラッチ(110)は、前記ケーブル部材(204)の移動に伴って前記当接部(206、207)が移動し、前記アーム部材(200)に当接し、前記アーム部材(200)が回動することにより、前記切替操作部材(112)が引かれ、切り状態となる、苗移植機である。
【0018】
第8の本発明は、
前記走行車体の速度を調整する速度調整部(303)と、
前記走行車体の速度を検知する速度検知部(301)と、
前記部分条クラッチの切り操作を検知した際、前記走行車体の速度が所定速度以上であれば、前記速度調整部により前記走行車体の速度が減速される、第1から7のいずれかの本発明の苗移植機である。
【発明の効果】
【0019】
請求項1記載の本発明によって、駆動軸(127)を一方に回転させると、プーリ部材(121)が切替操作部材(112)を操作して部分条クラッチ(110)機構を左側または右側端部から段階的に「切」状態とする構成としたことにより、一つのレバー又はスイッチ等の操作部材で複数の部分条クラッチ(110)の操作を行うことができるので、複数の部分条クラッチ(110)機構を切操作する必要があっても作業能率が向上すると共に、操作性が向上する。
【0020】
複数の部分条クラッチ(110)機構を切操作する必要があるときに、一部の部分条クラッチ(110)を切り忘れることを防止できるので、植え付けが不要な条に苗を植えることが防止され、無駄になる苗が減少する。
【0021】
部分条クラッチ(110)機構が切り操作されるとプーリ部材(121)の作動を伝達機構(139)が停止させる構成であるため、部分条クラッチ(110)機構を切り操作する際に、プーリ部材(121)が切替操作部材(112)を操作し過ぎることを防止することが出来るので、部分条クラッチ(110)の破損が防止される。
【0022】
部分条クラッチ(110)機構が切操作されるとプーリ部材(121)の作動を伝達機構(139)が停止させる構成であるため、部分条クラッチ(110)機構が切状態になる位置を安定させることができるので、部分条クラッチ(110)機構の破損が防止される。
【0023】
伝達機構(139)の作動するタイミングが一定であるため、必要なときに確実に部分条クラッチ(110)を作動させることができるので、不要な苗の植え付けが行われず、苗の無駄が減少する。
【0024】
請求項2記載の本発明によって、請求項1記載の本発明の効果に加えて、操作部材の操作に連動してソレノイド(129)が作動し、伝達機構(139)を作動させて部分条クラッチ(110)機構を確実に切操作することができるので、必要なときに部分条クラッチ(110)機構が即座に切状態となるため、無駄な苗の植え付けが防止される。
【0025】
請求項3記載の本発明によって、駆動軸(127)を一方に回転させると、プーリ部材(121)が切替操作部材(251)を操作して部分条クラッチ(110)機構を左側または右側端部から段階的に「切」状態とする構成としたことにより、一つのレバー又はスイッチ等の操作部材で複数の部分条クラッチ(110)の操作を行うことができるので、複数の部分条クラッチ(110)機構を切操作する必要があっても作業能率が向上すると共に、操作性が向上する。
【0026】
複数の部分条クラッチ(110)機構を切操作する必要があるときに、一部の部分条クラッチ(110)を切り忘れることを防止できるので、植え付けが不要な条に苗を植えることが防止され、無駄になる苗が減少する。
【0027】
部分条クラッチ(110)機構が切り操作されるとプーリ部材(121)の作動を伝達機構(139)が停止させる構成であるため、部分条クラッチ(110)機構を切り操作する際に、プーリ部材(121)が切替操作部材(251)を操作し過ぎることを防止することが出来るので、部分条クラッチ(110)の破損が防止される。
【0028】
部分条クラッチ(110)機構が切操作されるとプーリ部材(121)の作動を伝達機構(139)が停止させる構成であるため、部分条クラッチ(110)機構が切状態になる位置を安定させることができるので、部分条クラッチ(110)機構の破損が防止される。
【0029】
伝達機構(139)の作動するタイミングが一定であるため、必要なときに確実に部分条クラッチ(110)を作動させることができるので、不要な苗の植え付けが行われず、苗の無駄が減少する。
【0030】
請求項4記載の本発明によって、請求項3記載の本発明の効果に加えて、同じサイズのプーリ部材(121)を用い、切替操作部材(251)の長さを変更するだけでよいため、部品点数を少なくすることが可能となる。
【0031】
請求項5記載の本発明によって、駆動軸(127)を一方に回転させると、プーリ部材(210、211、212)が切替操作部材(112)を操作して部分条クラッチ(110)機構を左側または右側端部から段階的に「切」状態とする構成としたことにより、一つのレバー又はスイッチ等の操作部材で複数の部分条クラッチ(110)の操作を行うことができるので、複数の部分条クラッチ機構を切操作する必要があっても作業能率が向上すると共に、操作性が向上する。
【0032】
複数の部分条クラッチ機構を切操作する必要があるときに、一部の部分条クラッチ(110)を切り忘れることを防止できるので、植え付けが不要な条に苗を植えることが防止され、無駄になる苗が減少する。
【0033】
部分条クラッチ(110)機構が切り操作されるとプーリ部材(210、211、212)の作動を伝達機構(139)が停止させる構成であるため、部分条クラッチ(110)機構を切り操作する際に、プーリ部材(121)が切替操作部材(112)を操作し過ぎることを防止することが出来るので、部分条クラッチ(110)の破損が防止される。
【0034】
部分条クラッチ(110)機構が切操作されるとプーリ部材(210、211、212)の作動を伝達機構(139)が停止させる構成であるため、部分条クラッチ(110)機構が切状態になる位置を安定させることができるので、部分条クラッチ(110)機構の破損が防止される。
【0035】
伝達機構(139)の作動するタイミングが一定であるため、必要なときに確実に部分条クラッチ(110)を作動させることができるので、不要な苗の植え付けが行われず、苗の無駄が減少する。
【0036】
請求項6記載の本発明によって、請求項1から4のいずれか1項に記載の本発明に加えて、簡単な機構で部分条クラッチ(110)機構が切状態になる位置をより安定させることができるので、部分条クラッチ(110)機構の破損が防止される。
【0037】
請求項7記載の本発明によって、ケーブル部材(204)を一方に回転させると、アーム部材(200)が切替操作部材(112)を操作して部分条クラッチ(110)機構を左側または右側端部から段階的に「切」状態とする構成としたことにより、一つのレバー又はスイッチ等の操作部材で複数の部分条クラッチ(110)の操作を行うことができるので、複数の部分条クラッチ(110)機構を切操作する必要があっても作業能率が向上すると共に、操作性が向上する。
【0038】
複数の部分条クラッチ(110)機構を切操作する必要があるときに、一部の部分条クラッチ(110)を切り忘れることを防止できるので、植え付けが不要な条に苗を植えることが防止され、無駄になる苗が減少する。
【0039】
アーム部材(200)の作動するタイミングが一定であるため、必要なときに確実に部分条クラッチ(110)を作動させることができるので、不要な苗の植え付けが行われず、苗の無駄が減少する。
【0040】
請求項8記載の本発明によって、請求項1から7のいずれか1項に記載の本発明の効果に加えて、部分条クラッチ(110)機構を切り操作すると走行車体(2)の速度が減速されることにより、走行車体が前進して部分条クラッチ(110)機構に対応した植え付け部(52)が苗を植え付けることを防止することが出来るので、植え付けが不要な条に苗を植え付けることが防止され、無駄になる苗を減少させることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明にかかる実施の形態1における田植機の左側面構成図
【図2】本発明にかかる実施の形態1における田植機の平面構成図
【図3】本発明にかかる実施の形態1における田植機の植え付け部の駆動の制御機構を示す模式図
【図4】(a)本発明にかかる実施の形態1における田植機の旋回指示スイッチの構成を示す図、(b)第1の傾斜方向を示す図(c)第2の傾斜方向を示す図
【図5】本発明にかかる実施の形態1における田植機が圃場の端に近づいて行く状態を説明するための図
【図6】本発明にかかる実施の形態1における田植機のプーリ部材の側面構成図
【図7】本発明にかかる実施の形態1における田植機が圃場の端に近づいて植え付けが終了した状態を説明するための図
【図8】本発明にかかる実施の形態1における田植機の第1の傾斜方向の圃場での右旋回時の畦クラッチの制御を説明するための図
【図9】本発明にかかる実施の形態1における田植機の第2の傾斜方向の圃場での左旋回時の畦クラッチの制御を説明するための図
【図10】本発明にかかる実施の形態1における田植機の第1の傾斜方向の圃場での左旋回時の畦クラッチの自動制御を説明するための図
【図11】本発明にかかる実施の形態1における田植機の第2の傾斜方向の圃場での右旋回時の畦クラッチの自動制御を説明するための図
【図12】本発明にかかる実施の形態2における田植機の植え付け部の駆動の制御機構を示す模式図
【図13】本発明にかかる実施の形態2における田植機のアーム部材の側面構成図
【図14】(a)、(b)本発明にかかる実施の形態2における田植機のアーム部材の回動を説明するための図
【図15】本発明にかかる実施の形態3における田植機の植え付け部の駆動の制御機構を示す模式図
【図16】本発明にかかる実施の形態3における田植機の各畦クラッチプーリ部材とのワイヤの接続関係を示す模式図
【図17】本発明にかかる実施の形態3における田植機による苗の植え付け状態を示す平面図
【図18】本発明にかかる実施の形態4における田植機の植え付け部の駆動の制御機構を示す模式図
【図19】本発明にかかる実施の形態4における田植機の各畦クラッチプーリ部材とのワイヤの接続関係を示す模式図
【図20】本発明にかかる実施の形態5における田植機の制御の構成を示す図
【図21】本発明にかかる実施の形態5における田植機1の畦クラッチを操作する際の車体速度の制御のフロー図
【図22】本発明にかかる実施の形態1のワイヤ巻き取り機構の変形例を示す図
【図23】左側面側のスタンド400を田植機1の背面側から視た図
【図24】植え付け装置を降下させる際の制御フローを示す図
【図25】田植機の油圧計の構成図
【図26】田植機の植え付け装置近傍の側面構成図
【図27】田植機の植え付け装置の平面構成図
【発明を実施するための形態】
【0042】
本発明の苗移植機の一例としての田植機について図面を参照しながら説明する。
【0043】
(実施の形態1)
図1は、本発明にかかる実施の形態1の乗用型の田植機1の左側面構成図である。図2は、本実施の形態1の田植機1の平面構成図である。
【0044】
図1及び図2に示すように、この田植機1は、施肥装置付き乗用型であり、走行車体2の後側に昇降リンク装置3を介して植え付け装置4が昇降可能に装着され、走行車体2の後部上側に施肥装置5の本体部分が設けられている。
【0045】
走行車体2は、駆動輪である左右一対の前輪10、10及び左右一対の後輪11、11を備えた四輪駆動車両であって、機体の前部にミッションケース12が配置され、そのミッションケース12の左右側方に前輪ファイナルケース13、13が設けられ、該左右前輪ファイナルケース13、13の操向方向を変更可能な各々の前輪支持部から外向きに突出する左右前輪車軸に左右の前輪10、10が各々取り付けられている。
【0046】
又、ミッションケース12の背面部にメインフレーム15の前端部が固着されており、そのメインフレーム15の後端左右中央部に前後水平に設けた後輪ローリング軸を支点にして後輪ギヤケース18、18がローリング自在に支持され、その後輪ギヤケース18、18から外向きに突出する後輪車軸11aに後輪11、11が取り付けられている。この後輪ローリング軸に隣接して後輪11の回転数を検出する回転センサ104が設けられている。このような構造によって、後輪11が回転しても検出された回転数が安定する。
【0047】
エンジン20はメインフレーム15の上に搭載されており、該エンジン20の回転動力が、ベルト伝動装置21及びHST23を介してミッションケース12に伝達される。ミッションケース12に伝達された回転動力は、ミッションケース12内のトランスミッションにより変速された後、走行動力と外部取出動力に分離して取り出される。
【0048】
そして、走行動力は、一部が前輪ファイナルケース13、13に伝達されて前輪10、10を駆動すると共に、残りが後輪ギヤケース18、18に伝達されて後輪11、11を駆動する。また、ミッションケース12の右側面側より取り出された外部取出動力は、走行車体2の後部に設けた植え付けクラッチケースに伝達され、それから植え付け伝動軸26によって植え付け装置4へ伝動されるとともに、施肥伝動機構28によって施肥装置5へ伝動される。尚、エンジン20近くのマフラー46はエンジン20の左側でリンクベースフレーム42の近くの外側に配置されており、エンジン20を冷却する冷却ファンはエンジン20の右側面にあって冷却風は機体右側から左側に排風される構成となっている。
【0049】
エンジン20の上部はエンジンカバー30で覆われており、その上に座席31が設置されている。座席31の前方には各種操作機構を内蔵するフロントカバー32があり、その上方に前輪10、10を操向操作するハンドル34が設けられている。
【0050】
次に、走行車体2の後端に設けられている植え付け装置4の構成について説明する。
【0051】
本実施の形態における植え付け装置4は、8条植の構成で、フレームを兼ねる伝動ケース50、マット苗を載せて左右往復動し、マット苗を苗受け板530に押し付けて、苗を一株分ずつ各条の苗取出口51a、…に供給するとともに横一列分の苗を全て苗取出口51a、…に供給する苗送りベルト51b、…により苗を下方に移送する苗載台51、苗取出口51a、…に供給された苗を圃場に植付ける8つの植え付け部52、次行程における機体進路を表土面に線引きする左右一対の線引きマーカ184(図1参照、図2では省略)等を備えている。
【0052】
8つの植え付け部52とは、図2に示すように、左側面側から第1の植え付け部52a、第2の植え付け部52b、第3の植え付け部52c、第4の植え付け部52d、第5の植え付け部52e、第6植え付け部52f、第7植え付け部52g、及び第8植え付け部52hのことである。
【0053】
それぞれの植え付け部52では、回転プレート521に2つの植え付け爪522が配置され、回転プレート521が回転することにより、2つの植え付け爪522が交互に一株分の苗を植え付けていく。
【0054】
また、本実施の形態では、2つの植え付け部52の回転プレート521は、1つの回転軸101によって回転する。すなわち、左側面側の第1の植え付け部52a及び第2の植え付け部52bは、同じ第1の回転軸101aによって回転し、中央左側面側の第3の植え付け部52c及び第4の植え付け部52dは、同じ第2の回転軸101bによって回転し、中央右側面側の第5の植え付け部52e及び第6植え付け部52fは、同じ第3の回転軸101cによって回転し、右側面側の第7植え付け部52g及び第8植え付け部52hは、同じ第4の回転軸101dによって回転する。
【0055】
尚、第1の植え付け部52a、第2の植え付け部52b及び第1の回転軸101aを含む部分を第1の植え付け部組108aとし、第3の植え付け部52c、第4の植え付け部52d及び第2の回転軸101bを含む部分を第2の植え付け部組108bとし、第5の植え付け部52e、第6植え付け部52f及び第3の回転軸101cを含む部分を第3の植え付け部組108cとし、第7植え付け部52g、第8植え付け部52h及び第4の回転軸101dを含む部分を第4の植え付け部組108dとする。
【0056】
植え付け装置4の下部には中央にセンターフロート55、その左右両側に2つずつサイドフロート56、・・・がそれぞれ設けられている。
【0057】
これらセンターフロート55、サイドフロート56、・・・を圃場の泥面に接地させた状態で機体を進行させると、センターフロート55、サイドフロート56、・・・が泥面を整地しつつ滑走し、その整地跡に苗植え付け部52、…により苗が植付けられる。センターフロート55、サイドフロート56、・・・は圃場表土面の凹凸に応じて前端側が上下動するように回動自在に取り付けられており、植え付け作業時にはセンターフロート55の前部の上下動が迎い角センサ(図示せず)により検出され、その検出結果に応じ後述する昇降油圧シリンダ25を制御する油圧バルブを切り替えて植え付け装置4を昇降させることにより、苗の植え付け深さを常に一定に維持する。
【0058】
施肥装置5は、肥料ホッパ60に貯留されている粒状の肥料を繰出部61、…によって一定量ずつ繰り出し、その肥料を施肥ホース62、…でセンターフロート55、サイドフロート56、56の左右両側に取り付けた施肥ガイド62a…まで導き、施肥ガイド62a…の前側に設けた作溝体62b、…によって苗植え付け条の側部近傍に形成される施肥構内に落とし込むようになっている。ブロア用電動モータ53で駆動するブロア58で発生させたエアが、左右方向に長いエアチャンバ59を経由して施肥ホース62、…に吹き込まれ、施肥ホース62、…内の肥料を風圧で強制的に搬送するようになっている。
【0059】
植え付け装置4には整地を行うための第1のロータ27aと、第2のロータ27bが取り付けられている。また、苗載台51は植え付け装置4の全体を支持する左右方向と上下方向に幅一杯の矩形の支持枠体65に支持されている。この支持枠体65は、支持ローラ65aと、両側辺部材65bとを有しており、苗載台51が、支持ローラ65aをレールとして左右方向にスライドする。
【0060】
昇降リンク装置3は平行リンク構成であって、1本の上リンク40と左右一対の下リンク41、41を備えている。これら上リンク40、下リンク41、41は、その基部側がメインフレーム15の後端部に立設した背面視門形のリンクベースフレーム42に回動自在に取り付けられ、その先端側に縦リンク43が連結されている。そして、縦リンク43の下端部に植え付け装置4に回転自在に支承された連結軸44が挿入連結され、連結軸44を中心として植え付け装置4がローリング自在に連結されている。メインフレーム15に固着した支持部材と上リンク40に一体形成したスイングアーム(図示せず)の先端部との間に昇降油圧シリンダ25が設けられており、昇降油圧シリンダ25を油圧で伸縮させることにより、上リンク40が上下に回動し、植え付け装置4がほぼ一定姿勢のまま昇降する。
【0061】
又、植え付け装置4の右側面側と左側面側には、圃場以外で植え付け装置4を降下させた時に、支持するためのスタンド400が設けられている。このスタンド400は、植え付け装置4のフレームから側面に向けて突出して設けられたスタンド支持フレーム401に設けられている。このスタンド400は、圃場以外で植え付け装置4を下げるときの支持台として用いるとともに、苗受け板530を保護する機能も有している。
【0062】
次に、本実施の形態1の植え付け部の駆動の制御機構について説明する。
【0063】
図3は、本実施の形態1の第1の植え付け部組108a、第2の植え付け部組108b、第3の植え付け部組108c、第4の植え付け部組108dの駆動の制御機構を説明するための簡易模式図である。
【0064】
図3に示すように、本実施の形態ではミッションケース12から第1の植え付け部組108a、第2の植え付け部組108b、第3の植え付け部組108c、及び第4の植え付け部組108dにエンジンからの動力伝達を入り切りするためのメインクラッチ109が設けられており、第1の植え付け部組108a、第2の植え付け部組108b、第3の植え付け部組108c、及び第4の植え付け部組108dのそれぞれに対してエンジンからの動力伝達を入り切りするための第1の畦クラッチ110a、第2の畦クラッチ110b、第3の畦クラッチ110c、及び第4の畦クラッチ110dが設けられている。これら畦クラッチ110が、本発明の部分条クラッチの一例に対応し、1つの畦クラッチ110が2つの植え付け部52を同時に入り状態又は切り状態にするように構成されているが、1つの畦クラッチが1つの植え付け部を入り状態又は切りに状態するように構成しても良いし、1つの畦クラッチが3つ以上の植え付け部を入り状態又は切り状態にするように構成しても良い。
【0065】
これら第1の畦クラッチ110a、第2の畦クラッチ110b、第3の畦クラッチ110c、及び第4の畦クラッチ110dのそれぞれには、クラッチ板同士を押し付けるようにバネ部材111が設けられており、このバネ部材111によって、畦クラッチが入り状態になるよう付勢されている。ここで示す入り状態とは、クラッチが接続され、エンジンからの動力が伝達されている状態であり、切り状態とは、クラッチが切断され、エンジンからの動力が伝達されていない状態のことである。
【0066】
そして、第1の畦クラッチ110a、第2の畦クラッチ110b、第3の畦クラッチ110c、及び第4の畦クラッチ110dのそれぞれには、本発明の切替操作部材の一例に対応するワイヤ部材112の一端が接続されている。このワイヤ部材112を矢印A方向に引っ張ることによって、それぞれの畦クラッチが切断されることになる。又、第1の畦クラッチ110a、第2の畦クラッチ110b、第3の畦クラッチ110c、及び第4の畦クラッチ110dのそれぞれに接続されているワイヤ部材112を引くための第1のワイヤ巻き取り機構120a、第2のワイヤ巻き取り機構120b、第3のワイヤ巻き取り機構120c、及び第4のワイヤ巻き取り機構120dが設けられている。これら4つのワイヤ巻き取り機構の構成は同じであるため、第1のワイヤ巻き取り機構120aを例に挙げて、その構成を説明する。
【0067】
尚、ワイヤ部材112は、ワイヤ巻き取り機構120側は、1本であるが、ジョイント140を介して、第1の分岐ワイヤ部材112aと第2の分岐ワイヤ部材112bの2本に分岐している。そして、第1の分岐ワイヤ部材112aの端が畦クラッチ110に連結されている。又、ワイヤ部材112のワイヤ巻き取り機構120側の端を第1の端141とし、第1の分岐ワイヤ部材112aの端を第2の端142とし、第2の分岐ワイヤ部材112bの端を第3の端143とする。ワイヤ部材112のジョイント140のワイヤ巻き取り機構120側の一本の部分には、調整用バネ部材147が設けられている。この調整用バネ部材147は、畦クラッチ110に設けられているバネ部材111に過度な負荷をかけないように設けられている。
【0068】
第1のワイヤ巻き取り機構120aは、第1の端141が接続されているプーリ部材121を有している。このプーリ部材121は、断面が六角形状の駆動軸127上に配置されており、それぞれのプーリ部材121の隣には、順に摩擦板122、駆動用ボス123、当接部124、バネ部材125、ワリピン126が設けられている。また、プーリ部材121の摩擦板122と反対側には、プーリ部材121の移動を規制する規制部材128が駆動軸127に固定されて設けられている。駆動軸127は、減速ギア135を介してモータ131の回転が伝達されて回転する。
【0069】
プーリ部材121には、円形状の貫通孔が形成され、摩擦板122及び駆動用ボス123には、六角形の貫通孔が形成されており、それらの貫通孔を貫通して駆動軸127が配置されている。すなわち、摩擦板122及び駆動用ボス123は、駆動軸127の長手方向にはスライド可能であるが、駆動軸127の回転に伴って回転することになる。そして、ワリピン126は、駆動軸127に固定されており、ワリピン126にバネ部材125が当接されている。
【0070】
又、当接部124は、ソレノイド129によって回動される回動部材130の先端部分であり、回動部材130の末端には、ソレノイド129の可動部129aが連結されている。この回動部材130は、可動部129aとの連結部分と、先端との間に回動支点130aを有しており、可動部129aの移動により、回動部材130が回動支点130aを中心にして回動し、当接部124が移動する。ソレノイド129に通電していない状態では、ワリピン126によって一端側が固定されているバネ部材125が、当接部124を駆動用ボス123及び摩擦板122側に付勢しており、摩擦板122は、プーリ部材121を押圧している。この状態で駆動軸127をモータ131によって回転させると、駆動軸127の回転によって摩擦板122が回転し、摩擦板122と当接しているプーリ部材121も回転し、ワイヤ部材112がプーリ部材121に巻き取られ、第2の端142がプーリ部材121側に引っ張られ、第1の畦クラッチ110aが切り状態となる。このように、本実施の形態1では、駆動軸127の回転をプーリ部材121に伝達し、回転させる伝達機構139は、規制部材128、摩擦板122、駆動用ボス123、回動部材130、ソレノイド129、バネ部材125、及びワリピン126を備えている。
【0071】
尚、第3の端143は、各植え付け部組108に対応する苗送りベルト51bへの駆動の入り切りを行う機構に接続されている。具体的には、第3の端143は、回動アーム部材144の一端に連結されており、この回動アーム部材144の他端144bは、苗送りベルト51bを駆動する駆動ローラ146に駆動力を伝達するためのカム部145に連結されている。
【0072】
そして、第3の端143がジョイント140側に引っ張られることによって、回動アーム部材144が軸144aを中心にして回動すると、回動アーム部材144の他端144bが矢印R方向に移動し、カム部145の嵌合が離間する。このようにカム部145の嵌合が離間されると、駆動ローラ146の回転が停止し、苗送りベルト51bが停止することになる。
【0073】
すなわち、プーリ部材121の回転によってワイヤ部材112が巻き取られると、第2の端142及び第3の端143がプーリ部材121側に移動することになり、例えば、第1の植え付け部組108aが停止すると、その第1の植え付け部52aと第2の植え付け部52bに苗を送る苗送りベルト51bが停止する。
【0074】
一方、ソレノイド129に通電することによって、可動部129aが、矢印B方向に移動し、当接部124がバネ部材125の方向(矢印C方向)に移動する。すると、プーリ部材121が摩擦板122によって押圧されないため、駆動軸127が回転したとしても、プーリ部材121は回転されない。
【0075】
又、4つのソレノイド129の通電を制御するために制御部132が設けられており、4つの畦クラッチ110の制御を行うことを制御部132に指示するための畦クラッチ自動制御指示部138が、ハンドル34の下側のフロントカバー32に設けられている(図2参照)。この畦クラッチ自動制御指示部138には、2つのスイッチが設けられており、一方のスイッチは左側面側の畦クラッチから順に切り状態とする左側面側切断スイッチ138aであり、他方のスイッチは右側面側の畦クラッチから順に切り状態とする右側面側切断スイッチ138bである。
【0076】
尚、図2に示すように、第1の畦クラッチ110a、第2の畦クラッチ110b、第3の畦クラッチ110c、及び第4の畦クラッチ110dのそれぞれを個別に手動で入り切りするための第1の畦クラッチレバー19a、第2の畦クラッチレバー19b、第3の畦クラッチレバー19c、第4の畦クラッチレバー19dが設けられている。
【0077】
又、図1に示すように、ハンドル34の回転軸であるハンドル軸103には、ハンドル34による操舵を検知するための操舵検知装置102が設けられている。この操舵検知装置102は、ポテンショメータなどから構成されている。
【0078】
ハンドル34の下側のフロントカバー32上には、変形圃場での旋回であることを指示する旋回指示スイッチ107が設けられている。旋回指示スイッチ107は、変形圃場の端部分における旋回を行う際に、作業者がスイッチを入れることによって、変形圃場における旋回であることを、制御部132に指示する。この旋回指示スイッチ107は、図4(a)に示すように、変形圃場の端の傾斜方向が、第1の傾斜方向であることを指示する第1の位置P1、第2の傾斜方向であることを指示する第2の位置P2と、指示をしない位置P0に切替可能である。ここで圃場の端Wの第1の傾斜は、図4(b)に示すように、走行車体2が近づく場合に端Wからの距離が右側よりも左側の方が近くなるような傾斜である。一方、圃場の端Wの第2の傾斜は、図4(c)に示すように、走行車体2が近づく場合に端Wからの距離が左側よりも右側の方が近くなるような傾斜である。
【0079】
なお、上記旋回指示スイッチ107は、指示しない状態と、第1の傾斜方向であることを指示する状態、第2の傾斜方向であることを指示する状態と、3つの指示状態に切り替えることが出来るが、2つのスイッチに分けても良い。例えば、指示条状態と未指示状態を切り替える第1のスイッチと、第1の傾斜方向であることを指示する状態と第2の傾斜方向であることを指示する状態を切り替える第2のスイッチの2つのスイッチが設けられていても良い。この場合、第1のスイッチを指示状態にしたときに、第2のスイッチが有効となる構成としてもよい。
【0080】
エンジンカバー30及びフロントカバー32の下端左右両側は水平状のフロアステップ35になっている。フロアステップ35の左右側には貫通孔が多数設けられた格子状部(図2参照)が形成されており、座席31に着座して機体を操縦する操縦者が左右の前輪10,10を目視することができて操縦が容易になる構成としていると共に、該フロアステップ35を歩く作業者の靴についた泥が圃場に落下するようになっている。フロアステップ35の後部は、リヤステップを兼ねる後輪フェンダ36となっている。
【0081】
また、走行車体2の前部左右両側には、補給用の苗を載せておく予備苗載台38、38
が機体よりも側方に張り出す位置と内側に収納した位置とに回動可能に設けられている。
【0082】
次に、本発明にかかる実施の形態1の田植機1の動作について説明する。
【0083】
はじめに、第1の傾斜方向を有する圃場の端において右旋回を行う場合の畦クラッチ105の制御(以下、第1の制御ともいう)について説明する。
【0084】
図5は、変形圃場における田植え動作を説明するための平面図である。図5に示すように、平面視において端Wが斜辺に形成されている圃場において、田植機1が右旋回を行う場合について説明する。
【0085】
図5に示す圃場では、圃場の端Wは、走行車体2が端Wに向かう場合に、走行車体2の右側よりも左側の方が端Wからの距離が近くなるように傾斜している。すなわち、圃場の端Wは、図4(b)に示す第1の傾斜である。ここで、最後に田植機1で枕地に田植えを行うためには、枕地を圃場の端Wと平行に形成する必要がある。
【0086】
図5は、圃場の端Wの方向に近づいていく時の田植機1の動作を示す平面図である。
【0087】
圃場の端Wに適切な距離まで近づくと、作業者は、次に旋回する方向を考慮して、左側面側の第1の植え付け部組108aから順に停止させるか、右側面側の第4の植え付け部組108dから停止させるか判断し、左側面側切断スイッチ138a又は右側面側切断スイッチ138bを押す。
【0088】
すなわち、第1の傾斜において、右旋回を行い、圃場の端Wと平行に形成するためには、左側面側の第1の植え付け部組108aから停止させる必要がある。そのため、作業者は、左側面側切断スイッチ138aを押す。
【0089】
この操作によって、制御部132は、第1のワイヤ巻き取り機構120a、第2のワイヤ巻き取り機構120b、第3のワイヤ巻き取り機構120c、及び第4のワイヤ巻き取り機構120dの全てのソレノイド129に通電を行う。
【0090】
この通電により、第1のワイヤ巻き取り機構120a、第2のワイヤ巻き取り機構120b、第3のワイヤ巻き取り機構120c、及び第4のワイヤ巻き取り機構120dにおいて、摩擦板122のプーリ部材121への押圧が解除される。この状態でモータ131によって駆動軸127が回転される。
【0091】
駆動軸127は、図中左回転(後述する図6)で回転し、制御部132によって、第1のワイヤ巻き取り機構120aのソレノイド129への通電が停止される。すると、第1のワイヤ巻き取り機構120aのバネ部材125の付勢力により摩擦板122がプーリ部材121に押圧され、駆動軸127の回転が摩擦板122を介して、プーリ部材121に伝達される。
【0092】
図6は、第1のワイヤ巻き取り機構120aの側面の模式図である。図6に示すように、プーリ部材121が回転し、バネ部材111の付勢力に対抗してワイヤ部材112がプーリ部材121に巻き取られることにより、第1の畦クラッチ110aが切り状態となる。尚、第1の畦クラッチ110aが切り状態になるととともに、第3の端143もプーリ部材121側に引かれ、駆動の伝達が遮断され、第1の植え付け部組108aの第1の植え付け部52a及び第2の植え付け部52bに苗を送る苗送りベルト51bが停止される。尚、苗送りベルト51bは、各条に対して2つずつ設けられているため、1つの植え付け部組の停止に対して4つの苗送りベルト51bが停止されるが、図3では、1つの苗送りベルト51bのみ図示されている。
【0093】
第1のワイヤ巻き取り機構120aのソレノイド129への通電が停止された後、所定の時間を空けて、第2のワイヤ巻き取り機構120bのソレノイド129、第3のワイヤ巻き取り機構120cのソレノイド129、及び第4のワイヤ巻き取り機構120dのソレノイド129の順に通電が停止される。この制御により、第1の畦クラッチ110a、第2の畦クラッチ110b、第3の畦クラッチ110c、及び第4の畦クラッチ110dの順に切り状態となり、駆動軸127の回動が停止される。これにより、第1の植え付け部組108a、第2の植え付け部組108b、第3の植え付け部組108c、及び第4の植え付け部組108dの順に苗の植え付けが停止される。尚、同時に、対応する苗送りベルト51bも停止される。
【0094】
ここで、第1のワイヤ巻き取り機構120aでは、第1の畦クラッチ110aが切り状態となった後も、摩擦板122が回転することになるが、摩擦板122の作用によって、摩擦板122とプーリ部材121の間は、所定以上の負荷がかかると滑るように設定されている。この摩擦板122とプーリ部材121の間が滑る負荷を適切に設定することにより、第1の畦クラッチ110aが切り状態となった後の駆動軸127の回転が摩擦板122からプーリ部材121に伝わらないようにすることが出来る。尚、この構成は、第2のワイヤ巻き取り機構120b、第3のワイヤ巻き取り機構120c、及び第4のワイヤ巻き取り機構120dも同様である。
【0095】
このようにして、左側面側の第1の植え付け部組108a、第2の植え付け部組108b、第3の植え付け部組108c、及び第4の植え付け部組108dが順に停止した後、第1のワイヤ巻き取り機構120a、第2のワイヤ巻き取り機構120b、第3のワイヤ巻き取り機構120c、及び第4のワイヤ巻き取り機構120dのワイヤ巻き取り量がほぼ同じ量となっている。
【0096】
このように動作することによって、図7に示すように、圃場の端Wと平行に苗Nを植え付けことが出来る。尚、上述した適切な距離とは、第4の畦クラッチ110dを切り状態にした時に、走行車体2から圃場の端Wまでの距離がLaになっているような距離のことであり、距離Laは、旋回可能であること及び後の枕地作業などを考慮した距離である。距離Laは、後述するLbと同じ長さにしてもよい。
【0097】
そして、作業者は、植え付け昇降レバー(図示せず)を移動させて、昇降油圧シリンダ25を動作させて植え付け装置4を上昇させる。
【0098】
尚、本実施の形態では、植え付け部組108を段階的に停止させる間隔は、2条毎に設定されている。
【0099】
次に、作業者は、変形圃場の傾斜方向を指示するために旋回指示スイッチ107を移動する。図5及び図7に示す変形圃場の端Wの傾斜は、第1の傾斜方向(図4(b)参照)であるため、作業者は、旋回指示スイッチ107を第1の位置P1に移動する。
【0100】
この動作により、制御部132は田植機1が第1の傾斜方向の変形圃場において旋回を行うことを認識する。
【0101】
そして、作業者がハンドル34を右方向に向けて操舵すると、操舵検知装置102によって旋回が始まったことが検知され、その検知が制御部132に伝えられる。
【0102】
続いて、回転センサ104からのパルスによって旋回の際の内側の後輪11(右側の後輪11)の回転数が検知され、制御部132へと送られる。制御部132は、予め設定されている所定の回転数に達すると、植え付け装置4を自動で降下させ、旋回指示スイッチ107と操舵検知装置102による旋回方向から決定される側から畦クラッチ110を順に入り状態にする。
【0103】
図8は、圃場の端Wから遠ざかる時の田植機1の動作を示す平面図である。
【0104】
第1の傾斜方向において、第1の畦クラッチ110aを入り状態にして第1の植え付け部組108aを動作させ、左側面側の2条の植え付けを開始する。ここで、旋回前の制御により、全ての畦クラッチ110が切り状態となっているため、第1の畦クラッチ110aを入り状態にするために、第1のワイヤ巻き取り機構120aのソレノイド129への通電が開始される。通電が開始されると、可動部129aが矢印B方向に引き込まれ、回動部材130が回動支点130aを中心に回動するため、当接部124がバネ部材125側(矢印C方向)へと移動する。この移動により、摩擦板122のプーリ部材121への押圧が解除される。このとき、ワイヤ部材112は、バネ部材111及び調整用バネ部材147等によって、第1の畦クラッチ110a側に付勢されているため、摩擦板122による押圧が解除されると、プーリ部材121はワイヤ部材112を繰り出す方向に回転し、第1の畦クラッチ110aが入り状態となる。
【0105】
続いて、順に、第2のワイヤ巻き取り機構120b、第3のワイヤ巻き取り機構120c、及び第4のワイヤ巻き取り機構120dのソレノイド129への通電が行われ、第2の畦クラッチ110b、第3の畦クラッチ110c、及び第4の畦クラッチ110dの順に入り状態となる。そして、全ての畦クラッチ110が入り状態になって8条の植え付けが行われる。
【0106】
尚、制御部132は、第1の植え付け部組108aによる植え付けを開始してから、回転センサ104による回転数に基づいて、2株苗Nを植え付けてから第2の畦クラッチ110bを入り状態にして第2の植え付け部組108bを自動で動作させ、中央左側面側の2条の植え付けを開始させる。そして、さらに2株分苗Nを植え付けた時点で、第3の畦クラッチ110cを入り状態にして第3の植え付け部組108cを自動で動作させ、中央右側面側の2条の植え付けを開始させる。そして、さらに2株分苗Nを植え付けた時点で、第4の畦クラッチ110dを入り状態にして第4の植え付け部組108dを自動で動作させ、右側面側の2条の植え付けを開始させる。そこからは、全ての植え付け部組108を動作させて、8条の植え付けが行われる。
【0107】
尚、図8に示すように、予め設定されている所定の回転数は、第4の植え付け部組108dによって最後に植え付けた苗N(矢印Pで示す苗N)から2株分端Wに近い箇所から、第4の植え付け部組108dにより植え付け(矢印Qで示す苗N)が開始されるように設定されている。尚、植え付け装置4を自動で降下させる際には、次の植え付け作業を行う部分に線引きするための線引きマーカ184(図1参照)も自動で降下する。
【0108】
以上のように、旋回指示スイッチ107によって指示された傾斜方向と、ハンドル34の操舵方向によって、旋回後の植え付けタイミングと、第1の植え付け部組108a、第2の植え付け部組108b、第3の植え付け部組108c、第4の植え付け部組108dの動作順が決定される。
【0109】
次に、第2の傾斜方向を有する圃場の端において左旋回を行う場合の畦クラッチ110の制御(以下、第2の制御ともいう)について説明する。
【0110】
すなわち、図9に示すように、圃場の端Wは、走行車体2が端Wに近づく場合、走行車体2の左側より右側の方が、端Wからの距離が近くなるように斜辺の向きが形成されている。このような圃場の端Wにおいて、左旋回を行う場合について説明する。このような状態において、圃場の端Wと苗を平行に植え付けるためには、右側面側の第4の植え付け部組108dから苗の植え付けを停止する必要がある。
【0111】
そこで、作業者は、圃場の端Wに適切な距離まで近づくと、旋回方向を考慮して、右側面側切断スイッチ138bを押す。
【0112】
続いて、第4のワイヤ巻き取り機構120dのソレノイド129への通電が停止され、バネ部材125によって摩擦板122がプーリ部材121に押圧され、駆動軸127の回転がプーリ部材121に伝達され、ワイヤ部材112が巻き取られる。そして、第4の畦クラッチ110dが切り状態となり、第4の植え付け部組108dの動作が停止される。そこから、2条苗Nが植え付けられた後に、第3の植え付け部組108cが停止するように、第3のワイヤ巻き取り機構120cのソレノイド129への通電が停止される。そこから、2条苗Nが植え付けられた後に、第2の植え付け部組108bが停止するように、第2のワイヤ巻き取り機構120bのソレノイド129への通電が停止され、続いて、2条苗Nが植え付けられた後に、第1の植え付け部組108aが停止するように、第1のワイヤ巻き取り機構120aのソレノイド129への通電が停止され、全ての植え付け部組108の動作が停止される。
【0113】
尚、上述した適切な距離とは、第1の畦クラッチ110aを切り状態にした時に、走行車体2から圃場の端Wまでの距離がLaになっているような距離のことである。距離Laは、旋回可能であること及び後の枕地作業などを考慮した距離である。
【0114】
そして、作業者は、植え付け昇降レバー(図示せず)を移動させて、昇降油圧シリンダ25を動作させて植え付け装置4を上昇させる。
【0115】
次に、作業者は、変形圃場の傾斜方向を指示するために旋回指示スイッチ107を移動する。図9に示す変形圃場の端Wの傾斜は、第2の傾斜方向(図4(c)参照)であるため、作業者は、旋回指示スイッチ107を第2の位置P2に移動する。
【0116】
作業者がハンドル34を左方向に向けて操舵すると、操舵検知装置102によって旋回が始まったことが検知され、その検知が制御部132に伝えられる。
【0117】
続いて、回転センサ104によって旋回の際の内側の後輪11(左側の後輪11)の回転数が検知され、制御部132へと送られる。制御部132は、予め設定されている所定の回転数に達すると、植え付け装置4を自動で降下させ、第4の畦クラッチ110dを入り状態にして第4の植え付け部組108dを動作させ、車体右側面側の2条の植え付けを開始させる。ここで、第4の植え付け部組108dを動作させる際には、第4のワイヤ巻き取り機構120dのソレノイド129への通電を行うことで、摩擦版122のプーリ部材121への押圧が解除され、バネ部材111の付勢力によって第4の畦クラッチ110dが入り状態となる。
【0118】
そして、上記と同様に、2株苗Nを植え付けてから第3の植え付け部組108cを動作させ、中央右側の2条の植え付けを開始し、更に2株苗Nを植え付けてから、第2の植え付け部組108bを動作させ、中央左側面側の2条の植え付けを開始し、更に2株苗Nを植え付けしてから、第1の植え付け部組108aを動作させ、左側面側の2条の植え付けをさせる。尚、予め設定されている所定の回転数は、第1の植え付け部組108aによって最後に植え付けた苗N(矢印Pで示す苗N参照)から2株分端Wに近い箇所から、第1の植え付け部組108aにより植え付け(矢印Qで示す苗N参照)が開始されるように、設定されている。
【0119】
次に、第1の傾斜方向を有する圃場の端において左旋回を行う場合の畦クラッチ105の制御(以下、第3の制御ともいう)について説明する。
【0120】
図10は、圃場の端Wが、第1の傾斜方向である場合において、田植機1を左旋回させる動作を説明するための平面図である。この場合、圃場の端Wに近づく方向に旋回することになるため、旋回直前の状態における走行車体2から端Wまでの距離Lbが、圃場の端Wから遠ざかる方向に旋回する図6の距離Laよりも長くなっている。又、圃場の端Wからの枕地の幅Tbも、図6の枕地の幅Taよりも大きくなることになる。
【0121】
この場合、圃場の端Wと並行に苗を植え付けるためには、車体の左側面側の第1の植え付け部組108aから順に植え付け部組108を停止していく必要がある。そのため、圃場の端Wに適切な距離まで近づくと、作業者は、左側面側切断スイッチ138aを押す。これにより、上記第1の制御と同様に、第1の植え付け部組108aが停止される。その後、2株苗を植えつけた時点で第2の植え付け部組108bが停止され、順に第3の植え付け部組108c、及び第4の植え付け部組108dが停止される。
【0122】
尚、上述した適切な距離とは、第4の畦クラッチ110dを切り状態にした時に、走行車体2から畦Wまでの距離がLbになっているような距離のことである。距離Lbは、旋回可能であること及び後の枕地作業などを考慮した距離である。
【0123】
そして、作業者は、植え付け昇降レバー(図示せず)を移動させて、昇降油圧シリンダ25を動作させて植え付け装置4を上昇させる。
【0124】
次に、作業者は、変形圃場の傾斜方向を指示するために旋回指示スイッチ107を移動する。図10に示す変形圃場の端Wの傾斜は、第1の傾斜方向(図4(b)参照)であるため、作業者は、旋回指示スイッチ107を第1の位置P1に移動する。
【0125】
この動作により、制御部132は田植機1が第1の傾斜方向の変形圃場の端において旋回を行うことを認識する。
【0126】
そして、作業者がハンドル34を左方向に向けて操舵すると、操舵検知装置102によって旋回が始まったことが検知され、その検知が制御部132に伝えられる。
【0127】
続いて、回転センサ104によって旋回の際の内側の後輪11(左側の後輪11)の回転数が検知され、制御部132へと送られる。制御部132は、予め設定されている所定の回転数に達すると、植え付け装置4を自動で降下させ、第1の畦クラッチ110aを入り状態にして、第1の植え付け部組108aを動作させ、左側面側の2条の植え付けが開始される。
【0128】
制御部132は、第1の植え付け部組108aによる植え付けを開始してから、2株苗Nを植え付けてから第2の畦クラッチ110bを入り状態にして第2の植え付け部組108bを自動で動作させ、中央左側面側の2条の植え付けを開始させる。この2株苗Nを植え付けたことは、回転センサ104から一定距離分のパルスを検出することによって検出される。そして、さらに2株分苗Nを植え付けた時点で、第3の畦クラッチ110cを入り状態にして第3の植え付け部組108cを自動で動作させ、中央右側面側の2条の植え付けを開始させる。そして、さらに2株分苗Nを植え付けた時点で、第4の畦クラッチ110dを入り状態にして第4の植え付け部組108dを自動で動作させ、右側面側の2条の植え付けを開始させる。
【0129】
そこからは、全ての植え付け部組108を動作させて、8条の植え付けが行われる。尚、予め設定されている所定の回転数は、第1の植え付け部組108aによって最後に植え付けた苗(矢印Pで示す苗N)から2株分端Wから遠い箇所から、第1の植え付け部組108aにより植え付け(矢印Qで示す苗N)が開始されるように設定されている。
【0130】
次に、第2の傾斜方向を有する圃場の端において右旋回を行う場合の畦クラッチ105の制御(以下、第4の制御ともいう)について説明する。
【0131】
図11は、圃場の端Wが、第2の傾斜方向である場合において、田植機1を右旋回させる動作を説明するための平面図である。この場合、圃場の端Wに近づく方向に旋回することになるため、旋回直前の状態における走行車体2から端Wまでの距離Lbが、圃場の端Wから遠ざかる方向に旋回する図9の距離Laよりも長くなっている。すなわち、圃場の端Wからの枕地の幅Tbが、図9のTaよりも大きくなっている。
【0132】
この場合、圃場の端Wと平行に苗を植え付けるためには、車体の右側面側の第4の植え付け部組108dから順に停止していく必要がある。そのため、圃場の端Wに適切な距離まで近づくと、作業者は右側面側切断スイッチ138bを押し、上記第2の制御と同様に、第4の植え付け部組108dの動作が停止される。その後、2株苗を植え付けた時点で第3の植え付け部組108cが停止され、続いて、第2の植え付け部組108b、第1の植え付け部組108aの順に停止される。
【0133】
尚、上述した適切な距離とは、第1の畦クラッチ110aを切り状態にした時に、走行車体2から畦Wまでの距離がLbになっているような距離のことである。距離Lbは、旋回可能であること及び後の枕地作業などを考慮した距離である。
【0134】
そして、作業者は、植え付け昇降レバー(図示せず)を移動させて、昇降油圧シリンダ25を動作させて植え付け装置4を上昇させる。
【0135】
次に、作業者は、変形圃場の傾斜方向を指示するために旋回指示スイッチ107を移動する。図11に示す変形圃場の端Wの傾斜は、第2の傾斜方向(図4(c)参照)であるため、作業者は、旋回指示スイッチ107を第2の位置P2に移動する。
【0136】
この動作により、制御部132は田植機1が第2の傾斜方向の変形圃場において旋回を行うことを認識する。
【0137】
そして、作業者がハンドル34を右方向に向けて操舵すると、操舵検知装置102によって旋回が始まったことが検知され、その検知が制御部132に伝えられる。
【0138】
続いて、回転センサ104によって旋回の際の内側の後輪11(右側の後輪11)の回転数が検知され、制御部132へと送られる。制御部132は、予め設定されている所定の回転数に達すると、植え付け装置4を自動で降下させ、第4の畦クラッチ110dを入り状態にして、第4の植え付け部組108dを動作させ、右側面側の2条の植え付けが開始される。
【0139】
制御部132は、第4の植え付け部組108dによる植え付けを開始してから、回転センサ104による回転数に基づいて、2株苗Nを植え付けてから第3の畦クラッチ110cを入り状態にして第3の植え付け部組108cを自動で動作させ、中央右側の2条の植え付けを開始させる。そして、さらに2株分苗Nを植え付けた時点で、第2の畦クラッチ110bを入り状態にして第2の植え付け部組108bを自動で動作させ、中央左側面側の2条の植え付けを開始させる。そして、さらに2株分苗Nを植え付けた時点で、第1の畦クラッチ110aを入り状態にして第1の植え付け部組108aを自動で動作させ、左側面側の2条の植え付けを開始させる。
【0140】
そこからは、全ての植え付け部組108を動作させて、8条の植え付けが行われる。尚、予め設定されている所定の回転数は、第4の植え付け部組108dによって最後に植え付けた苗N(矢印Pで示す苗N)から2株分端Wから遠い箇所から、第4の植え付け部組108dにより植え付け(矢印Qで示す苗N)が開始されるように設定されている。
【0141】
以上のように、第1の傾斜で右旋回する場合、第2の傾斜で左旋回する場合、第1の傾斜で左旋回する場合、第2の傾斜で右旋回する場合を制御部132が判断し、各場合について旋回後の第1の畦クラッチ110a、第2の畦クラッチ110b、第3の畦クラッチ110c及び第4の畦クラッチ110dの制御を行う。
【0142】
すなわち、第1の傾斜で右旋回する場合には、第1の制御が行われる。図8に示すように、作業者が、左側面側切断スイッチ138aを押すことにより、左側面側から第1の植え付け部組108a、第2の植え付け部組108b、第3の植え付け部組108c、及び第4の植え付け部組108dの順に段階的に動作が停止され、旋回後、第4の植え付け部組108dによって最後に植え付けた苗Nから2株分端Wに近い箇所から第4の植え付け部組108dにより植え付けが開始されるように、自動で、左側面側の第1の植え付け部組108a、第2の植え付け部組108b、第3の植え付け部組108c、第4の植え付け部組108dの順に段階的に動作が開始される。
【0143】
又、第2の傾斜で左旋回する場合には、第2の制御が行われる。図9に示すように、作業者が、右側面側切断スイッチ138bを押すことにより、右側面側の第4の植え付け部組108d、第3の植え付け部組108c、第2の植え付け部組108b、及び第1の植え付け部組108aの順に段階的に動作が停止され、旋回後、第1の植え付け部組108aによって最後に植え付けた苗Nから2株分端Wに近い箇所から第1の植え付け部組108aにより植え付けが開始されるように、自動で、右側面側の第4の植え付け部組108d、第3の植え付け部組108c、第2の植え付け部組108b、及び第1の植え付け部組108aの順に段階的に動作が開始される。
【0144】
又、第1の傾斜で左旋回する場合には、第3の制御が行われる。図10に示すように、作業者が、左側面側切断スイッチ138aを押すことにより、左側面側の第1の植え付け部組108a、第2の植え付け部組108b、第3の植え付け部組108c、及び第4の植え付け部組108dの順に段階的に動作が停止され、旋回後、第1の植え付け部組108aによって最後に植え付けた苗Nから2株分端Wから遠い箇所から第1の植え付け部組108aにより植え付けが開始されるように、自動で、左側面側の第1の植え付け部組108a、第2の植え付け部組108b、第3の植え付け部組108c、第4の植え付け部組108dの順に段階的に動作が開始される。
【0145】
又、第2の傾斜で右旋回する場合には、第4の制御が行われる。図11に示すように、作業者が、右側面側切断スイッチ138bを押すことにより、右側面側の第4の植え付け部組108d、第3の植え付け部組108c、第2の植え付け部組108b、第1の植え付け部組108aの順に段階的に動作が停止され、旋回後、第4の植え付け部組108dによって最後に植え付けた苗Nから2株分端Wから遠い箇所から第4の植え付け部組108dにより植え付けが開始されるように、自動で、右側面側の第4の植え付け部組108d、第3の植え付け部組108c、第2の植え付け部組108b、第1の植え付け部組108aの順に段階的に動作が開始される。
【0146】
以上のように、左側面側切断スイッチ138a又は右側面側切断スイッチ138bを押すだけで、自動で複数の畦クラッチ110を端から順に切り状態し、植え付け部組108を順に停止することが出来る。
【0147】
尚、本実施の形態では、旋回時に、4つの畦クラッチ110について、はじめに切り状態にした側から入り状態にするように制御が行われているが、後述する図17に示すような変形圃場の場合、全ての畦クラッチ110を同時に入り状態にするように制御が行われても良い。また、はじめに切り状態にした側と反対側から入り状態にするように制御がおこなわれてもよく、本実施の形態の畦クラッチ110の制御機構では、自在に制御を行うことが出来る。
【0148】
又、左側面側の畦クラッチから切り状態とするか、右側面側の畦クラッチから切り状態とするかを決定するスイッチを押すだけで、畦クラッチを段階的に順番に切り状態とすることが出来る。又、操舵方向と、圃場の端の傾斜方向によって、旋回後の植え付け開始タイミングと、植え付け部組108の動作順を自動で制御することが出来るので、変形田での作業者の負担する労力を減らすことが出来る。
【0149】
尚、本実施の形態では、畦クラッチ110を入り切りするタイミングは、2条ごとであるが、それに限らなくても良い。
【0150】
(実施の形態2)
以下に、本発明にかかる実施の形態2における田植機について説明する。本実施の形態2の田植機の基本的な構成は、実施の形態1と同様であるが、植え付け部組108を順次停止する機構が異なっている。そのため、本相違点を中心に説明する。尚、実施の形態1と同様の構成については同一の符号が付されている。
【0151】
図12は、本実施の形態2の田植機1の植え付け部の駆動の制御機構を示す簡易模式図である。
【0152】
図12に示すように、本実施の形態2では、第1の畦クラッチ110aに接続されているワイヤ部材112の第1の端141が接続されている第1のアーム部材200aと、第2の畦クラッチ110bに接続されているワイヤ部材112の第1の端141が接続されている第2のアーム部材200bと、第3の畦クラッチ110cに接続されているワイヤ部材112の第1の端141が接続されている第3のアーム部材200cと、第4の畦クラッチ110dに接続されているワイヤ部材112の第1の端141が接続されている第4のアーム部材200dが設けられている。
【0153】
図13は、第1のアーム部材200aの側面構成図である。図12及び図13に示すように、第1のアーム部材200aは、短冊形状であり、その一端にワイヤ部材112の第1の端141が接続されており、他端に円柱形状のピン201が立設されている。又、第1のアーム部材200aは、その中央近傍に回動軸202を有しており、この回動軸202を中心に回動可能に構成されている。ピン201の側面には、貫通孔203が形成されている。この貫通孔203の貫通方向は、第1のアーム部材200aの長手方向に対して垂直方向に形成されている。第2のアーム部材200b、第3のアーム部材200c、及び第4のアーム部材200dも、第1のアーム部材200aと同様の構成である。
【0154】
これら第1のアーム部材200a、第2のアーム部材200b、第3のアーム部材200c、及び第4のアーム部材200dの貫通孔203を通して、ケーブル部材204が配設されている。このケーブル部材204を貫通孔203に沿って移動(図中矢印E、F参照)させるためのモータ205が設けられている。
【0155】
また、第1の端141を上側、ピン201を下側とすると、ケーブル部材204の第1のアーム部材200aの左側には、第1の左側当接部206aが設けられており、ケーブル部材204の第1のアーム部材200aの右側には、第1の右側当接部207aが設けられている。初期位置において、第1の左側当接部206aと第1のアーム部材200aのピン201の間のケーブル部材204の距離は、4xに設定されており、第1の右側当接部207aと第1のアーム部材200aのピン201の間のケーブル部材204の距離は、xに設定されている。
【0156】
また、ケーブル部材204の第2のアーム部材200bの左側には、第2の左側当接部206bが設けられており、ケーブル部材204の第2のアーム部材200bの右側には、第2の右側当接部207bが設けられている。初期位置において、第2の左側当接部206bと第2のアーム部材200bのピン201の間のケーブル部材204の距離は、3xに設定されており、第2の右側当接部207bと第2のアーム部材200bのピン201の間のケーブル部材204の距離は、2xに設定されている。
【0157】
また、ケーブル部材204の第3のアーム部材200cの左側には、第3の左側当接部206cが設けられており、ケーブル部材204の第3のアーム部材200cの右側には、第3の右側当接部207cが設けられている。初期位置において、第3の左側当接部206cと第3のアーム部材200cのピン201の間のケーブル部材204の距離は、2xに設定されており、第3の右側当接部207cと第3のアーム部材200cのピン201の間のケーブル部材204の距離は、3xに設定されている。
【0158】
また、ケーブル部材204の第4のアーム部材200dの左側には、第4の左側当接部206dが設けられており、ケーブル部材204の第4のアーム部材200dの右側には、第4の右側当接部207dが設けられている。初期位置において、第4の左側当接部206dと第4のアーム部材200dのピン201の間のケーブル部材204の距離は、xに設定されており、第4の右側当接部207dと第4のアーム部材200dのピン201の間のケーブル部材204の距離は、4xに設定されている。このように、左側当接部206とピン201の間の距離は、第4のアーム部材200dから第1のアーム部材200aに向かって単調増加しており、右側当接部207とピン201の間の距離は、第1のアーム部材200aから第4のアーム部材200dに向かって単調増加している。
【0159】
また、操舵検知装置102、回転センサ104、及び旋回指示スイッチ107の出力に基づいて、モータ205の動作の制御を行う制御部132が設けられている。
【0160】
はじめに、第1の傾斜方向を有する圃場の端において右旋回を行う場合の畦クラッチ105の制御(以下、第1の制御ともいう)について説明する。
【0161】
実施の形態1においても説明したように、第1の傾斜において、右旋回を行い、圃場の端Wと平行に形成するためには、左側面側の第1の植え付け部組108aから停止させる必要がある。そのため、作業者は、左側面側切断スイッチ138aを押す。
【0162】
この操作によって、制御部132によって、ケーブル部材204が矢印E方向に移動するようにモータ205が作動される。
【0163】
このケーブル部材204が初期位置から矢印E方向へx分移動することにより、はじめに、第1の右側当接部207aが、第1のアーム部材200aのピン201に当接する。図14(a)は、第1の右側当接部207aが、第1のアーム部材200aのピン201に当接した状態を示す図である。そこから、更に移動すると、図14(b)に示すように、第1のアーム部材200aが矢印G方向に回動し、第1のアーム部材200aと接続されている第1の端141も矢印G方向に回動する。この回動によりワイヤ部材112が矢印A方向に引かれる。そして、第1の畦クラッチ110aが切り状態となり、第1の植え付け部組108aが停止する。尚、上述したように、第1の植え付け部組108aの停止とともに、それに対応する苗送りベルト51bも停止する。
【0164】
第1の右側当接部207aが第1のアーム部材200aのピン201に当接した後、更にケーブル部材204が距離x分矢印E方向に移動すると、第2の右側当接部207bが第2のアーム部材200bのピン201に当接し、更にケーブル部材204が移動することによって、第2のアーム部材200bが矢印G方向に回動し、第2のアーム部材200bと接続されている第1の端141も矢印G方向に移動する。そして、この回動によりワイヤ部材112が矢印A方向に引かれ、第2の畦クラッチ110bが切り状態となり、第2の植え付け部組108bが停止する。尚、上述したように、第2の植え付け部組108bの停止とともに、それに対応する苗送りベルト51bも停止する。
【0165】
続いて、第2の右側当接部207bが第2のアーム部材200bのピン201に当接した後、更にケーブル部材204が距離x分矢印E方向に移動すると、第3の右側当接部207cが第3のアーム部材200cのピン201に当接する。更にケーブル部材204が移動することによって、第3のアーム部材200cが矢印G方向に回動し、ワイヤ部材112が矢印A方向に引かれ、第3の畦クラッチ110cが切り状態となり、第3の植え付け部組108cが停止する。
【0166】
続いて、第3の右側当接部207cが第3のアーム部材200cのピン201に当接した後、更にケーブル部材204が距離x分矢印E方向に移動すると、第4の右側当接部207dが第4のアーム部材200dのピン201に当接する。更にケーブル部材204が移動することによって、第4のアーム部材200dが矢印G方向に回動し、ワイヤ部材112が矢印A方向に引かれ、第4の畦クラッチ110dが切り状態となり、第4の植え付け部組108dが停止する。
【0167】
以上のように、ケーブル部材204を矢印E方向に移動させることによって、第1の右側当接部207a、第2の右側当接部207b、第3の右側当接部207c、及び第4の右側当接部207dの順に、第1のアーム部材200a、第2のアーム部材200b、第3のアーム部材200c、及び第4のアーム部材200dのピン201に当接し、それぞれのアーム部材が回動し、第1の畦クラッチ110a、第2の畦クラッチ110b、第3の畦クラッチ110c、及び第4の畦クラッチ110dの順に切り状態にすることが出来、図7に示すように、圃場の端Wと平行に苗Nを植え付けことが出来る。
【0168】
尚、上記距離xとワイヤの移動速度により、植え付け部組108を段階的に停止させる間隔を設定することが出来る。本実施の形態では、苗Nを2株植え付ける毎に植え付け部組108が段階的に停止するように設定されている。
【0169】
そして、作業者は、植え付け昇降レバー(図示せず)を移動させて、昇降油圧シリンダ25を動作させて植え付け装置4を上昇させる。
【0170】
次に、作業者は、変形圃場の傾斜方向を指示するために旋回指示スイッチ107を移動する。図5及び図7に示す変形圃場の端Wの傾斜は、第1の傾斜方向(図4(b)参照)であるため、作業者は、旋回指示スイッチ107を第1の位置P1に移動する。
【0171】
この動作により、制御部132は田植機1が第1の傾斜方向の変形圃場において旋回を行うことを認識する。
【0172】
そして、作業者がハンドル34を右方向に向けて操舵すると、操舵検知装置102によって旋回が始まったことが検知され、その検知が制御部132に伝えられる。
【0173】
続いて、回転センサ104からのパルスによって旋回の際の内側の後輪11(右側の後輪11)の回転数が検知され、制御部132へと送られる。制御部132は、予め設定されている所定の回転数に達すると、植え付け装置4を自動で降下させ、第1の畦クラッチ110a、第2の畦クラッチ110b、第3の畦クラッチ110c、及び第4の畦クラッチ110dの順にクラッチを入り状態にすることで、図8のように、圃場の端Wと平行に苗を植え付けることが出来る。
【0174】
ここで、旋回時に植え付け装置4が上昇した後、制御部132によってメインクラッチ109が切り状態とされ、ケーブル部材204が初期位置まで戻される。この際に、全ての畦クラッチ110が入り状態となるが、メインクラッチ109が切り状態であるため、植え付け部組220は動作しない。
【0175】
続いて、制御部132は、旋回指示スイッチ107を第1の位置P1と、回転センサ104による旋回方向に基づいて、ケーブル部材204を矢印F方向に移動させる。この移動により、はじめに第4の左側当接部206dが第4のアーム部材200dに当接し、次に第3の左側当接部206cが第3のアーム部材200cに当接し、次に第2の左側当接部206bが第2のアーム部材200bに当接し、最後に第1の左側当接部206aが第1のアーム部材200aに当接するため、第4のアーム部材200d、第3のアーム部材200c、第2のアーム部材200b、及び第1のアーム部材200aの順に回動することになる。このため、第4の畦クラッチ110d、第3の畦クラッチ110c、第2の畦クラッチ110b、及び第1の畦クラッチ110aの順に切り状態となる。
【0176】
この状態から、旋回終了後、植え付け装置4を自動で降下させた後に、制御部132は、モータ205を動作させてケーブル部材204を初期位置に戻すように矢印E方向に移動させる。
【0177】
矢印E方向に移動させる前の状態では、第1のアーム部材200aが最も回動した量が少ないため、ケーブル部材204を矢印E方向に移動させると、はじめに第1のアーム部材200aが回動する前の状態(ケーブル部材204に対して垂直な状態)に戻り、第1の畦クラッチ110aが入り状態となる。そして、順に、第2の畦クラッチ110b、第3の畦クラッチ110c、第4の畦クラッチ110dが入り状態となり、第1の植え付け部組108a、第2の植え付け部組108b、第3の植え付け部組108c、第4の植え付け部組108dの順に駆動し、植え付けが開始される。
【0178】
そして、ケーブル部材204が初期位置に戻ると、モータ205の動作は停止される。
【0179】
尚、旋回後に再度、植え付けを開始する時にも、上記距離xとワイヤの移動速度は、苗Nを2株植え付ける毎に植え付け部組108が段階的に動作するように設定されている。
【0180】
次に、第2の傾斜方向を有する圃場の端において左旋回を行う場合の畦クラッチ110の制御(以下、第2の制御ともいう)について説明する。
【0181】
実施の形態1においても説明したように、第2の傾斜において、左旋回を行い、圃場の端Wと平行に形成するためには、右側面側の第4の植え付け部組108dから停止させる必要がある。そのため、作業者は、右側面側切断スイッチ138bを押す。
【0182】
この操作によって、制御部132が、ケーブル部材204を矢印F方向へ移動するようにモータ205を制御する。
【0183】
このケーブル部材204が初期位置から矢印F方向へx分移動することにより、はじめに第4の左側当接部206dが、第4のアーム部材200dのピン201に当接し、第4の畦クラッチ110dが切り状態となる。続いて第3の畦クラッチ110c、第2の畦クラッチ110b、第1の畦クラッチ110aの順に、切り状態となり、第4の植え付け部組108d、第3の植え付け部組108c、第2の植え付け部組108b、及び第1の植え付け部組108aの順に動作が停止する。
【0184】
そして、作業者は、植え付け昇降レバー(図示せず)を移動させて、昇降油圧シリンダ25を動作させて植え付け装置4を上昇させる。
【0185】
次に、作業者は、変形圃場の傾斜方向を指示するために旋回指示スイッチ107を移動する。図9に示す変形圃場の端Wの傾斜は、第2の傾斜方向(図4(c)参照)であるため、作業者は、旋回指示スイッチ107を第2の位置P2に移動する。
【0186】
作業者がハンドル34を左方向に向けて操舵すると、操舵検知装置102によって旋回が始まったことが検知され、その検知が制御部132に伝えられる。
【0187】
続いて、回転センサ104によって旋回の際の内側の後輪11(左側の後輪11)の回転数が検知され、制御部132へと送られる。制御部132は、予め設定されている所定の回転数に達すると、植え付け装置4を自動で降下させる。
【0188】
ここで、植え付け装置4が上昇した後に、制御部132によってメインクラッチ109が切り状態とされ、ケーブル部材204が初期位置まで戻される。この際に、全ての畦クラッチ110が入り状態となるが、メインクラッチ109が切り状態であるため、植え付け部組220は動作しない。
【0189】
続いて、制御部132は、旋回指示スイッチ107を第1の位置P1と、回転センサ104による旋回方向に基づいて、ケーブル部材204を矢印E方向に移動させる。この移動により、第1の右側当接部207aが第1のアーム部材200aに当接し、第2の右側当接部207bが第2のアーム部材200bに当接し、第3の右側当接部207cが第3のアーム部材200cに当接し、第4の右側当接部207dが第4のアーム部材200dに当接するため、第1のアーム部材200a、第2のアーム部材200b、第3のアーム部材200c、第4のアーム部材200dの順に回動することになる。このため、第1の畦クラッチ110a、第2の畦クラッチ110b、第3の畦クラッチ110c、第4の畦クラッチ110dの順に切り状態となる。
【0190】
この状態から、旋回終了後、植え付け装置4を自動で降下させた後に、制御部132は、モータ205を動作させてケーブル部材204を初期位置に戻すように矢印F方向に移動させる。
【0191】
矢印F方向に移動させる前の状態では、第4のアーム部材200dが最も回動した量が少ないため、ケーブル部材204を矢印F方向に移動させると、はじめに第4のアーム部材200dが回動する前の状態(ケーブル部材204に対して垂直な状態)に戻り、第4の畦クラッチ110dが入り状態となる。そして、順に、第3の畦クラッチ110c、第2の畦クラッチ110b、第1の畦クラッチ110aが入り状態となり、第4の植え付け部組108d、第3の植え付け部組108c、第2の植え付け部組108b、第1の植え付け部組108aの順に駆動し、植え付けが開始される。
【0192】
そして、ケーブル部材204が初期位置に戻ると、モータ205の動作は停止される。
【0193】
次に、第1の傾斜方向を有する圃場の端において左旋回を行う場合の畦クラッチ105の制御(以下、第3の制御ともいう)について説明する。
【0194】
この場合、図10に示すように、第1の植え付け部組108aから、第2の植え付け部組108b、第3の植え付け部組108c、第4の植え付け部組108dの順に停止させるように、ケーブル部材204を矢印E方向に移動させる。
【0195】
そして、作業者の旋回指示スイッチ107の第1の位置P1への移動と、操舵検知装置102による旋回方向の検知によって、植え付け装置4の上昇の後、制御部132は、ケーブル部材204を一旦初期位置に戻した後、矢印F方向にケーブル部材204を移動させ、第4のアーム部材200d、第3のアーム部材200c、第2のアーム部材200b、第1のアーム部材200aの順に回動させて、全ての畦クラッチ110を切り状態とする。
【0196】
続いて、旋回後に、矢印E方向にケーブル部材204を移動させることによって、第1のアーム部材200a、第2のアーム部材200b、第3のアーム部材200c、第4のアーム部材200dの順に、回動前の状態に戻るため、第1の畦クラッチ110a、第2の畦クラッチ110b、第3の畦クラッチ110c、第4の畦クラッチ110dの順に入り状態となり、苗の植え付けが開始される。
【0197】
次に、第2の傾斜方向を有する圃場の端において右旋回を行う場合の旋回後の畦クラッチ105の自動制御(以下、第4の制御ともいう)について説明する。
【0198】
この場合、図11に示すように、第4の植え付け部組108dから、第3の植え付け部組108c、第2の植え付け部組108b、第1の植え付け部組108aの順に停止させるように、ケーブル部材204を矢印F方向に移動させる。
【0199】
そして、作業者の旋回指示スイッチ107の第2の位置P2への移動と、操舵検知装置102による旋回方向の検知によって、植え付け装置4の上昇の後、制御部132は、ケーブル部材204を一旦初期位置に戻した後、矢印E方向にケーブル部材204を移動させ、第1のアーム部材200a、第2のアーム部材200b、第3のアーム部材200c、第4のアーム部材200dの順に回動させて、全ての畦クラッチ110を切り状態とする。
【0200】
続いて、旋回後に、矢印F方向にケーブル部材204を移動させることによって、第4のアーム部材200d、第3のアーム部材200c、第2のアーム部材200b、第1のアーム部材200aの順に、回動前の状態に戻るため、第4の畦クラッチ110d、第3の畦クラッチ110c、第2の畦クラッチ110b、第1の畦クラッチ110aの順に入り状態となり、苗の植え付けが開始される。
【0201】
尚、本実施の形態2では、当接部206、207はケーブル部材204に設けられていたが、ケーブルに限らず、棒状の部材であってもよい。
【0202】
又、ピン201が設けられておらず、アーム部材200が厚みを有し、アーム部材200に直接貫通孔が形成されていても良い。
【0203】
(実施の形態3)
以下に、本発明にかかる実施の形態3における田植機について説明する。本実施の形態3の田植機の基本的な構成は、実施の形態1と同様であるが、植え付け部組を順次停止する機構が異なっている。そのため、本相違点を中心に説明する。尚、実施の形態1と同様の構成については同一の符号が付されている。又、上記実施の形態では、8条の場合について説明したが、本実施の形態では、説明を分かりやすくするために6条植え付けの場合について説明する。従って、実施の形態1、2で述べた第4の植え付け部組108d、及び第4の畦クラッチ110d等は、本実施の形態3では設けられていない。
【0204】
図15は、本実施の形態3の植え付け部組108を順次停止する機構の簡易模式図である。
【0205】
図15に示すように、本実施の形態3では、モータ131によって回転する断面が六角形状の駆動軸127に、規制部材128と、小径プーリ部材210と、摩擦板122と、駆動用ボス123と、中径プーリ部材211と、摩擦板122と、駆動用ボス123と、大径プーリ部材212と、摩擦板122と、駆動用ボス123と、当接部124と、バネ部材125と、ワリピン126が順に配置されている。小径プーリ部材210、中径プーリ部材211、及び大径プーリ部材212は、円形状の貫通孔を有している。そして、摩擦板122及び駆動用ボス213には、六角形の貫通孔が形成されており、それらの貫通孔を通して駆動軸127が配置されている。すなわち、摩擦板122及び駆動用ボス213は、駆動軸127の長手方向にはスライド可能であるが、駆動軸127の回転に伴って回転することになる。そして、ワリピン126は、駆動軸127に固定されており、ワリピン126にバネ部材125が当接されている。又、当接部124は、実施の形態1で述べたように、ソレノイド129に連結されている回動部材130の一部である。
【0206】
図16は、本実施の形態3における第1の畦クラッチ110a、第2の畦クラッチ110b、及び第3の畦クラッチ110cと、小径プーリ部材210、中径プーリ部材211、及び大径プーリ部材212とのワイヤの接続関係を説明するための簡易模式図である。
【0207】
図16に示すように、大径プーリ部材212には、その初期状態において、最上部に大径右側用ワイヤ部材221が接続されており、最下部には大径左側用ワイヤ部材222が接続されている。中径プーリ部材211には、その初期状態において、最上部に中径右側用ワイヤ部材223が接続されており、最下部には中径左側用ワイヤ部材224が接続されている。小径プーリ部材210には、その初期状態において、最上部に小径右側用ワイヤ部材225が接続されており、最下部には小径左側用ワイヤ部材226が接続されている。これら大径右側用ワイヤ部材221、大径左側用ワイヤ部材222、中径右側用ワイヤ部材223、中径左側用ワイヤ部材224、小径右側用ワイヤ部材225、及び小径左側用ワイヤ部材226のそれぞれには、調整用バネ部材147が設けられている。
【0208】
上述した大径左側用ワイヤ部材222と小径左側用ワイヤ部材226は第1の畦クラッチ用ジョイント227で一本にまとめられており、中径右側用ワイヤ部材223と中径左側用ワイヤ部材224は第2の畦クラッチ用ジョイント228で一本にまとめられており、大径右側用ワイヤ部材221と小径右側用ワイヤ部材225は、第3の畦クラッチ用ジョイント229で一本にまとめられている。
【0209】
第1の畦クラッチ用ジョイント227でまとめられたワイヤ部材は、実施の形態1で述べた第1の分岐ワイヤ部材112aと、第2の分岐ワイヤ部材112b(図16では省略)に分かれており、第1の分岐ワイヤ部材112aは、第1の畦クラッチ110aに接続されており、第2の分岐ワイヤ部材112bは、第1の植え付け部組108aに対応する苗送りベルト51bへの駆動の入り切りを行う機構に接続されている。第2の畦クラッチ用ジョイント228でまとめられたワイヤ部材も第1の分岐ワイヤ部材112aと、第2の分岐ワイヤ部材112b(図16では省略)に分かれ、第1の分岐ワイヤ部材112aは、第2の畦クラッチ110bに接続されている。第3の畦クラッチ用ジョイント229でまとめられたワイヤ部材も第1の分岐ワイヤ部材112aと、第2の分岐ワイヤ部材112b(図16では省略)に分かれ、第1の分岐ワイヤ部材112aは、第3の畦クラッチ110cに接続されている。このように、本実施の形態3では、駆動軸127の回転を大径プーリ部材212、中径プーリ部材211、及び小径プーリ部材210に伝達し、回転させる伝達機構139は、規制部材128、3個の摩擦板122、3個の駆動用ボス123,ソレノイド129、回動部材130、及びバネ部材125、及びワリピン126を備えている。
【0210】
次に、第1の畦クラッチ110a、第2の畦クラッチ110b、第3の畦クラッチ110cの制御について説明する。
【0211】
本実施の形態3では、図17に示すように、畦の第1の端W1、第2の端W2に沿って植え付け作業を行う場合の制御について説明する。
【0212】
畦の第1の端W1に沿って植え付け作業を行い、第1の端W1と第2の端W2の角に達し、作業者が右側面側切断スイッチ138bを押すと、右側面側の第3の植え付け部組108cから順に停止が行われる。具体的には、駆動軸127を図16中矢印H方向に回動させる。この回動の際、ソレノイド129には通電されていないため、バネ部材125によって、各摩擦板122は大径プーリ部材212、中径プーリ部材211、小径プーリ部材210に押圧されており、駆動軸127の回転は摩擦板122を介して各プーリ部材に伝達される。そして、大径プーリ部材212、中径プーリ部材211、小径プーリ部材210は同時に矢印T方向に回動し、それぞれに接続されている大径右側用ワイヤ部材221、中径右側用ワイヤ部材223、及び小径右側用ワイヤ部材225が巻き取られる。一方、大径左側用ワイヤ部材222、中径左側用ワイヤ部材224、及び小径左側用ワイヤ部材226は弛むことになる。
【0213】
ここで、同じ角度分回動した場合、大径プーリ部材212の方が、中径プーリ部材211及び小径プーリ部材210よりも、ワイヤ部材が巻き取られる量は多くなる。そのため、はじめに、大径右側用ワイヤ部材221と接続されている第3の畦クラッチ110cが切り状態となり、次に、中径右側用ワイヤ部材223と接続されている第2の畦クラッチ110bが切り状態となり、最後に、小径右側用ワイヤ部材225と接続されている第1の畦クラッチ110aが切り状態となる。このように制御することによって、右側面側の第3の植え付け部組108c、第2の植え付け部組108b、及び第1の植え付け部組108aの順に動作が停止する。
【0214】
尚、大径右側用ワイヤ部材221が、第3の畦クラッチ110cが切り状態となった後も回転し続けると、第3の畦クラッチ110cを入り状態に付勢しているバネ部材111に負荷がかかり過ぎる場合があるため、摩擦板122と大径プーリ部材212は所定以上の負荷がかかると滑るように設定されている。これは、摩擦板122と中径プーリ部材211との間、及び摩擦板122と小径プーリ部材210の間も同様に所定以上の負荷がかかると滑るように設定されている。この所定の負荷としては、畦クラッチが切り状態となった直後程度の負荷に設定すればよい。
【0215】
全ての植え付け部組108が停止した後、制御部132によって植え付け装置4が上昇され、作業者は、畦の第2の端W2に平行な方向に走行車体2の向きを変更する。そして、操舵検知装置102によって旋回が終了したことが検知されると、制御部132は、ソレノイド129に通電を行う、この通電により回動部材130が回動し、当接部124がバネ部材125側に移動する。当接部124の移動により、それぞれの摩擦板122の、大径プーリ部材212、中径プーリ部材211、及び小径プーリ部材210への押圧が解除され、バネ部材111及び調整用バネ部材147の付勢力により、全てのプーリ部材が矢印I方向に回転し、第1の畦クラッチ110a、第2の畦クラッチ110b、及び第3の畦クラッチ110cが同時に入り状態となり、第1の植え付け部組108a、第2の植え付け部組108b、及び第3の植え付け部組108cが同時に動作する。このようにして、図17に示すような植え付け作業を行うことが出来る。尚、本実施の形態では、植え付け部組108が段階的に切り状態になるタイミングは、1株単位に設定されている。
【0216】
又、摩擦板122による押圧が解除されて、例えば大径プーリ部材212が矢印I方向に回動するが、駆動軸127に対称な位置で連結された大径右側用ワイヤ部材221と大径左側用ワイヤ部材222に設けられた調整用バネ部材147の作用によって、大径右側用ワイヤ部材221との連結部が最上部、大径左側用ワイヤ部材222との連結部が最下部になるような初期位置で大径プーリ部材212は停止する。尚、中径プーリ部材211及び小径プーリ部材210も同様に初期位置で停止する。
【0217】
又、上記説明では、走行車体2の右側面側の第3の畦クラッチ110cから切り状態としたが、駆動軸127を矢印I方向に回転させることで、大径左側用ワイヤ部材222、中径左側用ワイヤ部材224、及び小径左側用ワイヤ部材226がプーリ部材に巻き取られ、左側面側の第1の畦クラッチ110a、第2の畦クラッチ110b、第3の畦クラッチ110cの順に切り状態とすることが出来る。
【0218】
又、本実施の形態のように、プーリ部材同士の間に摩擦板122を設ける配置構成としたことにより、複数のプーリ部材を設けても左右幅を狭く構成することができるので、機体の小型化や軽量化が可能となる。
【0219】
又、ソレノイドにより、全ての部分条クラッチ機構を同時に入り状態に操作することが出来るので、部分条クラッチ機構が切り状態のまま、次の植え付け条に移動することが防止されるため、苗の植え付け忘れが防止される。
【0220】
ワイヤ部材を2つプーリ部材に配置したことにより、モータの正逆回転により、右側面側又は左側面側から部分条クラッチ機構を切り状態とすることが出来る。
【0221】
(実施の形態4)
以下に、本発明にかかる実施の形態4について説明する。本実施の形態4の田植機の基本的な構成は、実施の形態1と同様であるが、植え付け部組を順次停止する機構が異なっている。そのため、本相違点を中心に説明する。尚、実施の形態1と同様の構成については同一の符号が付されている。又、上記実施の形態では、8条の場合について説明したが、本実施の形態では、説明を分かりやすくするために6条植え付けの場合について説明する。従って、実施の形態1、2で述べた第4の植え付け部組108d、及び第4の畦クラッチ110d等は、本実施の形態3では設けられていない。
【0222】
図18は、本実施の形態4の植え付け部組108を順次停止する機構の簡易模式図である。
【0223】
図18に示すように、本実施の形態4では、モータ131によって回転する断面が六角形状の駆動軸127に、規制部材128と、第1のプーリ部材121aと、摩擦板122と、駆動用ボス123と、第2のプーリ部材121bと、摩擦板122と、駆動用ボス123と、第3のプーリ部材121cと、摩擦板122と、駆動用ボス123と、当接部124と、バネ部材125と、ワリピン126が順に配置されている。本実施の形態4では、実施の形態3と異なり、同じ径のプーリ部材121が設けられている。
【0224】
図19は、本実施の形態4における第1の畦クラッチ110a、第2の畦クラッチ110b、及び第3の畦クラッチ110cと、第1のプーリ部材121a、第2のプーリ部材121b、及び第3のプーリ部材121cとのワイヤの接続関係を説明するための簡易模式図である。
【0225】
そして、第1のプーリ部材121aと第1の畦クラッチ用ジョイント227の間には、第1のワイヤ部材251aが設けられており、第2のプーリ部材121bと第2の畦クラッチ用ジョイント228の間には、第2のワイヤ部材251bが設けられており、第3のプーリ部材121cと第3の畦クラッチ用ジョイント229の間には、第3のワイヤ部材251cが設けられている。
【0226】
そして、図18に示すように、各ワイヤ部材の長さは、第1のワイヤ部材251aが最も短く、第3のワイヤ部材251cが最も長く、第2のワイヤ部材251bの長さは、第1のワイヤ部材251aと第3のワイヤ部材251cの中間に設定されている。このように、本実施の形態4では、駆動軸127の回転を第1のプーリ部材121a、第2のプーリ部材121b、第3のプーリ部材121cに伝達し、回転させる伝達機構139は、規制部材128、3個の摩擦板122、3個の駆動用ボス123、回動部材130、ソレノイド129、バネ部材125、及びワリピン126を備えている。
【0227】
尚、本発明の切替操作部材の一例は、本実施の形態のワイヤ部材251に対応する。
【0228】
このような構成において、畦クラッチ110を段階的に切り状態にする場合、駆動軸127を矢印T方向に回転させると、第1のワイヤ部材251aの長さが最も短いため、第1のワイヤ部材251aが最もはやく張り、第1のプーリ部材121a側に引かれることになる。このように第1のワイヤ部材251が第1のプーリ部材121a側に引かれると、第1の畦クラッチ110aが切り状態となる。続いて、駆動軸127が回転することにより、第2のワイヤ部材251bが張り、第2の畦クラッチ110bが切り状態となる。最後に、第3のワイヤ部材251cが張り、第3の畦クラッチ110cが切り状態となる。
【0229】
尚、上の説明では、第1の畦クラッチ110aから順に切り状態としたが、第3の畦クラッチ110cから順に切り状態とするようにしてもよい。この場合、第3のワイヤ部材251cの長さを最も長くし、第1のワイヤ部材251aの長さを最も短くし、第2のワイヤ部材251bの長さを第1のワイヤ部材251aと第3のワイヤ部材251cの中間の長さにすればよい。
【0230】
又、本実施の形態では、複数のプーリ部材121に同じ径のものを用いて、ワイヤ部材251の長さを変更することによって、右側面側又は左側面側からワイヤ部材が順次張るように構成されているが、プーリ部材の径が異なるものを用いても良く、要するに、右側面側又は左側面側からワイヤ部材が順次張るようにプーリ部材121及びワイヤ部材が構成されておりさえすればよい。
【0231】
(実施の形態5)
以下に、本発明にかかる実施の形態5について説明する。本実施の形態5の田植機は、上記実施の形態1〜4で説明した畦クラッチの操作の際に車体速度を減速させる制御を行う。尚、本実施の形態5では、実施の形態1の田植機1を用いて説明するが、実施の形態2、3、4の田植機についても適用可能である。又、実施の形態1と同様の構成については同一の符号が付されている。
【0232】
図20は、本実施の形態5の制御を示す構成図である。図20に示すように、本実施の形態5の制御部132は、右側面側切断スイッチ138a及び左側面側切断スイッチ138b、HST軸の開度を検知するための第1のモータアシストHSTポテンショメータ301と、HSTレバーの位置を検知するための第2のモータアシストHSTポテンショメータ302からの入力に基づいて、畦クラッチ110の入り切りを行うモータ131と、モータアシストHST用モータ303の制御を行う。尚、本発明の速度調整部の一例は、本実施の形態のモータアシストHST用モータ303に対応し、本発明の速度検知部は、本実施の形態の第1のモータアシストHSTポテンショメータ301又は第2のモータアシストHSTポテンショメータ302に対応する。
【0233】
図21は、本実施の形態4の田植機1の畦クラッチ110を操作する際の車体速度の制御のフロー図である。
【0234】
図21に示すように、ステップS1において、作業者によって、左側面側切断スイッチ138a又は右側面側切断スイッチ138bが押される。次に、ステップS2において、第1のモータアシストHSTポテンショメータ301の第1のポテンショメータ値が検知される。続いて、ステップS3において、第2のモータアシストHSTポテンショメータ301の第2のポテンショメータ値が検知される。
【0235】
ステップS4において、左側面側切断スイッチ138a又は右側面側切断スイッチ138bが押されたことが検知されると、制御はステップS5へと移動する。そして、ステップS5において、第2のポテンショメータ値から求められる車体速度が、予め決められた所定の速度以上であるか否かの判定が行われる。車体速度が所定速度以上の場合、制御は、ステップS6へと進み、第1のポテンショメータ値が一定時間設定値よりも小さくなるように、制御部132によって、モータアシストHST用モータ303の制御が行われる。
【0236】
ここで、設定値とは、HSTレバーに取り付けられた第2のポテンショメータ値が制御部132に入力され、演算結果として出力されたHST開度の制限値である。このHST開度の制限値は、HSTレバーの位置によって設定されている走行速度(第2のポテンショメータ値から求められる速度)よりも一定割合遅い速度になるHST開度に設定されている。そして、第1のモータアシストHSTポテンショメータ301の第1のポテンショメータ値が、HST開度の制限値になるまで、モータアシストHST用モータ303が駆動される。
【0237】
一方、ステップS5において、車体速度が所定速度よりも遅い場合には、制御は終了する。
【0238】
尚、このように、第1のポテンショメータ値がHST開度の制限値に制御されている状態は、スイッチ操作後、畦クラッチ110を切る操作の間だけ行われてもよいが、旋回後、畦クラッチ110の入り操作が行われるまでの間行われても良い。また、第1のポテンショメータ値がHST開度の制限値に制御されている状態が、旋回後、畦クラッチ110の入り操作を行う間のみ行われていてもよい。
【0239】
以上のように、畦クラッチを切り操作するためのスイッチを操作すると、走行速度が減速されることにより、走行車体が前進して、畦クラッチ機構に対応した植え付け部が苗を植え付けることを防止することが出来るため、植え付けが不要な条に苗を植え付けることが防止され、無駄になる苗を減少させることが出来る。
【0240】
尚、本実施の形態では、走行速度が所定の速度以上の場合に、減速が行われるが、所定の速度より小さい場合も一定割合速度を遅くするように制御が行われてもよい。
【0241】
又、所定割合に限らず、予め決められた速度まで車体速度を減速するようにしてもよい。要するに、所望の植え付け位置で植え付け部を停止することが可能な速度であればよい。
【0242】
尚、上記実施の形態1、3、4では、本発明の摩擦部材の一例として摩擦板122が設けられていたが、トルクリミッタ等であっても良い。
【0243】
又、上記実施の形態1、3、4では、ソレノイド129に通電することによって、バネ部材125による摩擦板122のプーリ部材への押圧を解除し、駆動力の伝達を切断しているが、ソレノイド129に通電すると、ソレノイド129に連結している回動部材130の回動により当接部124が摩擦板122を押し、駆動力を伝達するような構成であっても良い。このような構成の一例が図22に示されている。この図22は、実施の形態1の第1のワイヤ巻き取り機構120aの変形例を示す構成図である。図22に示すように、ソレノイド129に通電することによって可動部129aが矢印V方向に引かれ、回動部材130が回動し、当接部124が矢印W方向へ移動することになり、摩擦板122がプーリ部材121に押圧される。一方、ソレノイド129への通電が停止された場合、当接部124による摩擦板122のプーリ部材121への押圧力が弱くなり、摩擦板122が回転してもプーリ部材121は回転しない。尚、バネ部材125は、当接部124を軽く駆動用ボス123に押し付けるために設けられている。
【0244】
図23は、先の図1及び図2で説明したスタンド400のうち、左側面側のスタンド400を田植機1の背面側から視た図である。スタンド支持フレーム401には、前後方向に貫通孔が形成されており、スタンド400は、その貫通孔内に配置され前後方向に形成されている第1のスタンド部分400aと、第1のスタンド部分400aの前端部から外側方向に突出するように形成された第2のスタンド部分400bと、第2のスタンド部分400bの先端から後側に向かって形成された第3のスタンド部分400cとを有している。
【0245】
図23に示すように、スタンド400は、第1のスタンド部分400aを中心にして上下方向(矢印JK方向)に回動可能に構成されている。すなわち、圃場以外で、植え付け装置4を下降させる際には、スタンド400を下方に回動(矢印K方向)させて、第2のスタンド部分400bが地面に対して垂直になるようにすることによって、第3のスタンド部分400cが地面に当接し、植え付け装置4が支持されることになる。一方、植え付け装置4を圃場などで下降させる場合には、植え付け操作に干渉しないように、第2のスタンド部分400bが地面に対して水平な位置になるように、スタンドを上方に回動(矢印J方向)させる。
【0246】
又、スタンド支持フレーム401には、スタンド400の回動を検知するためのスタンド回動検知センサ403が設けられている。また、下リンク41のリンクベースフレーム42近傍には、昇降リンク装置3の状態を検知するためのリンクセンサ404(図1参照)が設けられている。
【0247】
図24は、植え付け装置4を降下させる際の制御フローを示す図である。
【0248】
はじめに、ステップS21において、植え付け装置4を降下させるために、レバー又はスイッチなどの操作が行われる。次に、ステップS22において、センターフロート55の迎い角センサにより、センターフロート55が接地しているか否かの判断が行われる。センターフロート55が接地している場合には、ステップS23において、スタンド回動検知センサ403によって、スタンド400が降りているか否かの判断が行われる。
【0249】
スタンド400が降りている場合には、ステップS24において、スタンド400が接地する直前まで植え付け装置4が急降下される。そして、ステップS25において、残りは、絞り下げで、植え付け装置4が低速で降下される。尚、ステップS22において、フロートが接地している場合には、ステップS26において接地している旨の警告が発せられる。又、ステップS23において、スタンド位置が降りていない場合には、ステップS27において、スタンド400が降りていない旨の警告ランプが発せられる。
【0250】
以上の制御により以下の効果が得られる。
【0251】
従来は、作業者が高さを見ながら、少しずつボタンを押す等して植え付け装置4を下げていたが、操作を誤り急に下げると、勢いよくスタンド400が接地し、破損変形の恐れが生じる場合がある。しかしながら、上記制御を行うことによって、誤って急に下げ操作をしたとしても、植え付け装置4が低速で接地するため、破損変形を防ぐことが出来る。
【0252】
図25は、本実施の形態1の田植機1の油圧計の構成図である。図25に示す500は、HST(23)を示し、501は、植え付け装置4を地面に対して垂直に保つためのローリングシリンダーを示し、502はトルクジェネレータを示し、503は第1のアキュームレータを示し、504は昇降用シリンダを示し、505は油圧バルブアッセイを示している。又、506は、フィルタを示し、507はオイルクーラを示し、508はフロコンバルブを示し、509はポンプを示し510はストレーナを示している。又、切替バルブ511と第2のアキュームレータ512が設けられている。
【0253】
このように、油圧ローリングシリンダー501の入力側にアキュームレータ512を取付け、アキュームレータ512の直前に切替バルブ511を設けることにより、ローリングシリンダー501の効果を調整することが出来る。すなわち、切替バルブ511をオン状態することにより、ローリングシリンダー501の感度を鈍くでき、切替バルブ511をオフ状態にすることにより、ローリングシリンダー501の感度を敏感にすることが出来る。
【0254】
又、従来はハンチングするため、応答速度が挙げられなかったが、応答速度を向上させることが出来る。
【0255】
尚、切替バルブ511の代わりに調整バルブが配置されていても良い。
【0256】
又、本実施の形態1の植え付け装置4の苗送りベルト51bのテンションを保つとともに、クリーニングを行う自動クリーニング機能付きベルトテンションの役割を有するブラシ付けローラ600が設けられていても良い。
【0257】
図26は、植え付け装置4近傍の側面構成図である。又、図27は、植え付け装置4の平面構成図である。図26及び図27に示すように、苗載台51の裏側には、苗送りベルト51bの搬送方向と垂直方向に2条の苗送りベルト51bにわたって配置されたブラシ付きローラ600が配置されている。図27では、中央右側面側の2条の苗送りベルト51b(第3の植え付け部組108cに対応)に配置されているブラシ付きローラ600のみ図示されている。このブラシ付きローラ600は、2条分の苗送りベルト51bの両端側に配置された、板状の泥よけ板支持部材601に回動可能に取り付けられている。尚、この2つの泥よけ板支持部材601の間をわたすように泥よけ板602が配置されている。
【0258】
このブラシ付きローラ600は、苗送りベルト51bを押圧しているため、苗送りベルト51bにテンションをかけることが出来、更に、ブラシによって苗送りベルト51bに巻き付いた根などを取り除くことが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0259】
本発明の苗移植機は、タイムラグを低減することが可能な効果を有し、田植機等として有用である。
【符号の説明】
【0260】
1 田植機
2 走行車体
3 昇降リンク装置
4 植え付け装置
5 施肥装置
10 前輪
11 後輪
12 ミッションケース
13 前輪ファイナルケース
15 メインフレーム
18 後輪ギヤケース
20 エンジン
21 ベルト伝動装置
26 植え付け伝動軸
28 施肥伝動機構
30 エンジンカバー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車体(2)と、
前記走行車体(2)の後側に設けられ、苗を圃場に植え付ける条単位毎の植え付け部(52)を複数有する植え付け装置(4)と、
前記複数の植え付け部(52)への駆動力を1つ又は複数の前記植え付け部(52)毎に入切する、複数の部分条クラッチ(110)と、
回転可能に構成された駆動軸(127)と、
前記駆動軸(127)に配置された複数のプーリ部材(121)と、
前記駆動軸(127)の回転を前記プーリ部材(121)に伝達して回転させるべく、前記プーリ部材(121)のそれぞれに配置されている伝達機構(139)と、
前記部分条クラッチ(110)と前記プーリ部材(121)を連結する切替操作部材(112)とを備え、
前記部分条クラッチ(110)は、前記切替操作部材(112)が前記プーリ部材(121)の回転によって巻き取られると共に、前記切替操作部材(112)で引かれることによって切り状態となり、
複数の前記伝達機構(139)が、端から順にタイミングをずらして前記プーリ部材(121)に前記駆動軸(127)の回転を伝達し、前記プーリ部材を回転させる、苗移植機。
【請求項2】
それぞれの前記伝達機構(139)は、自身の有するソレノイド(129)によって、前記駆動軸(127)の回転の伝達及び否伝達が切り替えられる、請求項1記載の苗移植機。
【請求項3】
走行車体(2)と、
前記走行車体(2)の後側に設けられ、苗を圃場に植え付ける条単位毎の植え付け部(52)を複数有する植え付け装置(4)と、
前記複数の植え付け部(52)への駆動力を1つ又は複数の前記植え付け部(52)毎に入切する、複数の部分条クラッチ(110)と、
回転可能に構成された駆動軸(127)と、
前記駆動軸(127)に配置された複数のプーリ部材(121)と、
前記駆動軸(127)の回転を前記複数のプーリ部材(121)に伝達して回転させるべく、前記複数のプーリ部材(121)に配置されている1つの伝達機構(139)と、
前記部分条クラッチ(110)と前記プーリ部材(121)を連結する切替操作部材(251)とを備え、
前記部分条クラッチ(110)は、前記切替操作部材(251)が前記プーリ部材(121)の回転によって巻き取られ、前記切替操作部材(251)で引かれることによって切り状態となり、
前記プーリ部材(121)及び前記切替操作部材(251)は、前記伝達機構(139)が同じタイミングで前記複数のプーリ部材(121)に前記駆動軸(127)の回転を伝達した際、複数の前記切替操作部材(251)が端から順にタイミングをずらして張っていき、前記部分条クラッチ(110)が順次切り状態となる、苗移植機。
【請求項4】
前記複数の切替操作部材(251)の長さをそれぞれ異なる長さとすることによって、前記部分条クラッチ(110)が端から順にタイミングがずれて切り状態となる構成とした、請求項3記載の苗移植機。
【請求項5】
走行車体(2)と、
前記走行車体(2)の後側に設けられ、苗を圃場に植え付ける条単位毎の植え付け部(52)を複数有する植え付け装置(4)と、
前記複数の植え付け部(52)への駆動力を1つ又は複数の前記植え付け部(52)毎に入切する、複数の部分条クラッチ(110)と、
回転可能に構成された駆動軸(127)と、
前記駆動軸(127)に配置された複数のプーリ部材(210、211、212)と、
前記駆動軸(127)の回転を前記複数のプーリ部材(210、211、212)に伝達して回転させるべく、前記複数のプーリ部材(210、211、212)に配置されている1つの伝達機構(139)と、
前記部分条クラッチ(110)と前記プーリ部材(210、211、212)を連結する切替操作部材(112)とを備え、
前記部分条クラッチ(110)は、前記切替操作部材(112)が前記プーリ部材(210、211、212)の回転によって巻き取られ、前記切替操作部材(112)で引かれることによって切り状態となり、
前記複数のプーリ部材(210、211、212)は、端から順に径が小さくなっており、
前記伝達機構(139)は、同じタイミングで前記複数のプーリ部材(210、211、212)に前記駆動軸(127)の回転を伝達し、前記複数のプーリ部材(210、211、212)のうち、より径の大きい方が、前記切替操作部材(112)の移動量が大きくより早く前記部分条クラッチが切り状態となる、苗移植機。
【請求項6】
前記伝達機構(139)は、摩擦部材(122)又はトルクリミッタと、
前記摩擦部材又は前記トルクリミッタを、前記プーリ部材に当接するバネ部材(125)とを有する、請求項1から5のいずれか1項に記載の苗移植機。
【請求項7】
走行車体(2)と、
前記走行車体(2)の後側に設けられ、苗を圃場に植え付ける条単位毎の植え付け部(52)を複数有する植え付け装置(4)と、
前記複数の植え付け部(52)への駆動力を1つ又は複数の前記植え付け部(52)毎に入切する、複数の部分条クラッチ(110)と、
前記複数の部分条クラッチ(110)のそれぞれに対応して設けられている、回動可能なアーム部材(200)と、
前記部分条クラッチ(110)と前記アーム部材(200)の一端を連結する切替操作部材(112)と、
複数の前記アーム部材(200)のそれぞれの他端に設けられた孔を貫通して配設されているケーブル部材(204)又は棒状部材と、
前記ケーブル部材(204)又は前記棒状部材に固定されており、当接することによって前記アーム部材(200)を回動させる複数の当接部(206、207)とを備え、
それぞれの前記当接部(206、207)は、それぞれの前記アーム部材(200)の同一の側に設けられており、
前記当接部(206、207)が前記アーム部材(200)に当接していないときにおけるそれぞれの前記アーム部材(200)と前記当接部(206、207)の間隔は、複数の前記アーム部材(200)の一方の端から他方の端に向かって、単調に増加しており、
前記部分条クラッチ(110)は、前記ケーブル部材(204)の移動に伴って前記当接部(206、207)が移動し、前記アーム部材(200)に当接し、前記アーム部材(200)が回動することにより、前記切替操作部材(112)が引かれ、切り状態となる、苗移植機。
【請求項8】
前記走行車体の速度を調整する速度調整部(303)と、
前記走行車体の速度を検知する速度検知部(301)と、
前記部分条クラッチの切り操作を検知した際、前記走行車体の速度が所定速度以上であれば、前記速度調整部により前記走行車体の速度が減速される、請求項1から7のいずれか1項に記載の苗移植機。
【請求項1】
走行車体(2)と、
前記走行車体(2)の後側に設けられ、苗を圃場に植え付ける条単位毎の植え付け部(52)を複数有する植え付け装置(4)と、
前記複数の植え付け部(52)への駆動力を1つ又は複数の前記植え付け部(52)毎に入切する、複数の部分条クラッチ(110)と、
回転可能に構成された駆動軸(127)と、
前記駆動軸(127)に配置された複数のプーリ部材(121)と、
前記駆動軸(127)の回転を前記プーリ部材(121)に伝達して回転させるべく、前記プーリ部材(121)のそれぞれに配置されている伝達機構(139)と、
前記部分条クラッチ(110)と前記プーリ部材(121)を連結する切替操作部材(112)とを備え、
前記部分条クラッチ(110)は、前記切替操作部材(112)が前記プーリ部材(121)の回転によって巻き取られると共に、前記切替操作部材(112)で引かれることによって切り状態となり、
複数の前記伝達機構(139)が、端から順にタイミングをずらして前記プーリ部材(121)に前記駆動軸(127)の回転を伝達し、前記プーリ部材を回転させる、苗移植機。
【請求項2】
それぞれの前記伝達機構(139)は、自身の有するソレノイド(129)によって、前記駆動軸(127)の回転の伝達及び否伝達が切り替えられる、請求項1記載の苗移植機。
【請求項3】
走行車体(2)と、
前記走行車体(2)の後側に設けられ、苗を圃場に植え付ける条単位毎の植え付け部(52)を複数有する植え付け装置(4)と、
前記複数の植え付け部(52)への駆動力を1つ又は複数の前記植え付け部(52)毎に入切する、複数の部分条クラッチ(110)と、
回転可能に構成された駆動軸(127)と、
前記駆動軸(127)に配置された複数のプーリ部材(121)と、
前記駆動軸(127)の回転を前記複数のプーリ部材(121)に伝達して回転させるべく、前記複数のプーリ部材(121)に配置されている1つの伝達機構(139)と、
前記部分条クラッチ(110)と前記プーリ部材(121)を連結する切替操作部材(251)とを備え、
前記部分条クラッチ(110)は、前記切替操作部材(251)が前記プーリ部材(121)の回転によって巻き取られ、前記切替操作部材(251)で引かれることによって切り状態となり、
前記プーリ部材(121)及び前記切替操作部材(251)は、前記伝達機構(139)が同じタイミングで前記複数のプーリ部材(121)に前記駆動軸(127)の回転を伝達した際、複数の前記切替操作部材(251)が端から順にタイミングをずらして張っていき、前記部分条クラッチ(110)が順次切り状態となる、苗移植機。
【請求項4】
前記複数の切替操作部材(251)の長さをそれぞれ異なる長さとすることによって、前記部分条クラッチ(110)が端から順にタイミングがずれて切り状態となる構成とした、請求項3記載の苗移植機。
【請求項5】
走行車体(2)と、
前記走行車体(2)の後側に設けられ、苗を圃場に植え付ける条単位毎の植え付け部(52)を複数有する植え付け装置(4)と、
前記複数の植え付け部(52)への駆動力を1つ又は複数の前記植え付け部(52)毎に入切する、複数の部分条クラッチ(110)と、
回転可能に構成された駆動軸(127)と、
前記駆動軸(127)に配置された複数のプーリ部材(210、211、212)と、
前記駆動軸(127)の回転を前記複数のプーリ部材(210、211、212)に伝達して回転させるべく、前記複数のプーリ部材(210、211、212)に配置されている1つの伝達機構(139)と、
前記部分条クラッチ(110)と前記プーリ部材(210、211、212)を連結する切替操作部材(112)とを備え、
前記部分条クラッチ(110)は、前記切替操作部材(112)が前記プーリ部材(210、211、212)の回転によって巻き取られ、前記切替操作部材(112)で引かれることによって切り状態となり、
前記複数のプーリ部材(210、211、212)は、端から順に径が小さくなっており、
前記伝達機構(139)は、同じタイミングで前記複数のプーリ部材(210、211、212)に前記駆動軸(127)の回転を伝達し、前記複数のプーリ部材(210、211、212)のうち、より径の大きい方が、前記切替操作部材(112)の移動量が大きくより早く前記部分条クラッチが切り状態となる、苗移植機。
【請求項6】
前記伝達機構(139)は、摩擦部材(122)又はトルクリミッタと、
前記摩擦部材又は前記トルクリミッタを、前記プーリ部材に当接するバネ部材(125)とを有する、請求項1から5のいずれか1項に記載の苗移植機。
【請求項7】
走行車体(2)と、
前記走行車体(2)の後側に設けられ、苗を圃場に植え付ける条単位毎の植え付け部(52)を複数有する植え付け装置(4)と、
前記複数の植え付け部(52)への駆動力を1つ又は複数の前記植え付け部(52)毎に入切する、複数の部分条クラッチ(110)と、
前記複数の部分条クラッチ(110)のそれぞれに対応して設けられている、回動可能なアーム部材(200)と、
前記部分条クラッチ(110)と前記アーム部材(200)の一端を連結する切替操作部材(112)と、
複数の前記アーム部材(200)のそれぞれの他端に設けられた孔を貫通して配設されているケーブル部材(204)又は棒状部材と、
前記ケーブル部材(204)又は前記棒状部材に固定されており、当接することによって前記アーム部材(200)を回動させる複数の当接部(206、207)とを備え、
それぞれの前記当接部(206、207)は、それぞれの前記アーム部材(200)の同一の側に設けられており、
前記当接部(206、207)が前記アーム部材(200)に当接していないときにおけるそれぞれの前記アーム部材(200)と前記当接部(206、207)の間隔は、複数の前記アーム部材(200)の一方の端から他方の端に向かって、単調に増加しており、
前記部分条クラッチ(110)は、前記ケーブル部材(204)の移動に伴って前記当接部(206、207)が移動し、前記アーム部材(200)に当接し、前記アーム部材(200)が回動することにより、前記切替操作部材(112)が引かれ、切り状態となる、苗移植機。
【請求項8】
前記走行車体の速度を調整する速度調整部(303)と、
前記走行車体の速度を検知する速度検知部(301)と、
前記部分条クラッチの切り操作を検知した際、前記走行車体の速度が所定速度以上であれば、前記速度調整部により前記走行車体の速度が減速される、請求項1から7のいずれか1項に記載の苗移植機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図6】
【図7】
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【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【公開番号】特開2013−90607(P2013−90607A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−235873(P2011−235873)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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