苗箱並べ機
【課題】苗箱を縦向きに作業能率良く並べることができる簡潔な構成の苗箱並べ機を得ることを課題とする。
【解決手段】車輪7を備えた機体3に進行方向に対して左右横方向のレール4を設け、該レール4上に複数の苗箱Cを保持して収容する苗箱収容部10を備える横移動車6を設け、該苗箱収容部10に苗箱Cをその長手方向が縦方向となるように繰り出す繰出装置9を設けると共に、該繰出装置9は左右方向に複数の苗箱Cを苗箱間の間隔が苗箱Cの短手方向の長さの自然数倍になるようにして繰り出す構成とした苗箱並べ機。
【解決手段】車輪7を備えた機体3に進行方向に対して左右横方向のレール4を設け、該レール4上に複数の苗箱Cを保持して収容する苗箱収容部10を備える横移動車6を設け、該苗箱収容部10に苗箱Cをその長手方向が縦方向となるように繰り出す繰出装置9を設けると共に、該繰出装置9は左右方向に複数の苗箱Cを苗箱間の間隔が苗箱Cの短手方向の長さの自然数倍になるようにして繰り出す構成とした苗箱並べ機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、苗箱を地面に並べるための苗箱並べ機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、育苗ハウス内に苗箱を縦向きにして左右方向に並べれば、育苗ハウスの左右幅が狭くてもより多くの苗箱を並べて置くことができるので、育苗ハウス内を縦方向に走行させる車輪を備えた機体に横方向のレールを昇降可能に設け、該レール上に複数の苗箱を保持して収容する苗箱収容部を備える横移動車を設けた苗箱並べ機において、苗箱収容部をレール上で左右方向に移動させて育苗ハウス内に苗箱を縦向きに1枚づつ並べていくものがある。
【特許文献1】特開2000−224923号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記背景技術によると、育苗ハウス内に苗箱を縦向きにして左右方向に並べて、育苗ハウスの左右幅が狭くてもより多くの苗箱を並べて置くことができる。然しながら、上記の苗箱並べ機は苗箱を縦向きに1枚づつ並べていくものである為に、作業能率が悪く、育苗時期は短くて然も非常に多くの苗箱にて苗を育苗しないといけないと謂う作業状況にあっては、実用性に課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明は、上記課題を解決するべく次の技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1に係る発明の苗箱並べ機は、車輪7を備えた機体3に進行方向に対して左右横方向のレール4を設け、該レール4上に複数の苗箱Cを保持して収容する苗箱収容部10を備える横移動車6を設け、該苗箱収容部10に苗箱Cをその長手方向が縦方向となるように繰り出す繰出装置9を設けると共に、該繰出装置9は左右方向に複数の苗箱Cを苗箱間の間隔が苗箱Cの短手方向の長さの自然数倍になるようにして繰り出す構成としたものである。
【0005】
従って、請求項1に係る苗箱並べ機は、進行方向に対して左右横方向に設けたレール4上に設けた横移動車6の苗箱収容部10に苗箱Cをその長手方向が縦方向となるように繰り出す繰出装置9を設けると共に、該繰出装置9は左右方向に複数の苗箱Cを苗箱間の間隔が苗箱Cの短手方向の長さの自然数倍になるようにして繰り出す構成としたので、繰り出される複数の苗箱C間に繰出装置9を配置することができて簡潔な構成で複数の苗箱Cを縦向きに並べることができ、更に、複数の苗箱Cを苗箱間の間隔が苗箱Cの短手方向の長さの自然数倍になるようにして並べる構成であるから、苗箱Cを並べられた苗箱C間に順次並べていくことにより左右方向に苗箱Cを整然と並べることができる。
【発明の効果】
【0006】
よって、請求項1に係る苗箱並べ機は、進行方向に対して左右横方向に設けたレール4上で横移動車6を移動させて左右方向に苗箱を縦向きに作業能率良く並べることができて、簡潔な構成で従来例の課題を解決することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、この発明の実施の一形態を、図面に基づいて説明する。
図1及び図2は苗箱並べ機1を示しており、この苗箱並べ機1は、育苗ハウス内において、地面に敷き詰めるように苗箱Cを並べていくためのものである。尚、苗箱並べ機1を使用して床土を入れた後に播種し覆土した苗箱Cを地面に並べ、前記育苗ハウス内で出芽させ苗が所定の大きさになるまで育苗する。尚、場合によっては、苗箱並べ機1により出芽させた状態の苗箱Cを並べて育苗することもある。
【0008】
前記苗箱並べ機1は、育苗ハウスの出入口から育苗ハウス内の中央の地面に並行に敷設された2本の走行軌道2上を走行する走行台車3、該走行台車3に支持された左右一体の横移動レール4、該横移動レール4に連結された左右それぞれの踏み板5及び前記横移動レール4上を移動する横移動車6を備えている。尚、前記走行台車3の走行車輪7は、前後左右に計4個設けられ、中央部に溝7aを備えた構成となっている。尚、この苗箱並べ機1は、左右移動する横移動車6を除いて左右対称に構成されている。この苗箱並べ機1により、走行軌道2の左右にそれぞれ左右1列につき8枚づつ苗箱Cを進行方向に沿って縦向きに並べるようになっている(走行軌道2の左右にそれぞれ苗箱Cの長手方向が隣接して8枚づつ並べられる。即ち、苗箱Cは縦向きに並べられる。)。前記横移動車6は、中央部に溝8aを設けた4個の横移動車輪8により横移動レール4上を左右方向に移動するようになっており、該横移動車6の前後に設けた回転繰出具9に長手方向を前後方向に向けた苗箱Cを上側から載せて係止させる構成となっており、回転繰出具9上に床土を詰めて種籾を播種、覆土した苗箱C…が複数枚(20枚)づつ段積みされた苗箱群Bを左右に2群載置できる苗箱収容部10を備えている。
【0009】
走行台車3の後部には走行ブレ−キペダル11を設けており、該ペダル11を踏み込み操作することにより後側2輪の走行車輪7を制動する構成となっている。
横移動レール4は、正面視又は背面視で左右両端部が上位となる逆ヘの字型の形状となっており、前後方向のレール回動支点軸12を左右中央に固着して設けている。一方、走行台車3の前後には回動軸支持プレ−ト13をそれぞれ固着して設けており、該回動軸支持プレ−ト13には前記レール回動支点軸12が係合する切り欠き部13aを設けている。尚、前記切り欠き部13aは、前記回動軸支持プレ−ト13の上側から切り欠いた構成となっており、横移動レール4の前記レール回動支点軸12が上側から係合するようになっている。従って、横移動レール4は、前記回動軸支持プレ−ト13により左右両端がシーソー状に上下に回動できるように支持された構成となっている。尚、横移動レール4の左右両端には、接地して該横移動レール4を支持するスタンド14をそれぞれ設けている。
【0010】
また、前記横移動レール4のそれぞれ左右方向中途部位置には、横移動車6の左右方向位置を決めるための4つの内側に突出したピン体にて構成した位置決めゲージ15a−1・15a−2・15a−3・15a−4を設け、横移動車6の左右中央部には下方に向けて位置決めストッパー棒15bを延設して設け、横移動車6の位置決めストッパー棒15bが横移動レール4の位置決めゲージ15a−1・15a−2・15a−3・15a−4に当接することにより横移動車6の苗箱Cを繰出す左右位置を決定するようになっている。また、横移動レール4の左右両端には、横移動車6の横移動を規制する横移動ストッパ16を設けている。
【0011】
横移動車6は、左右方向に長い前部フレーム17と後部フレーム18とを備えると共に、左右両側部に前部フレーム17と後部フレーム18とを繋ぐ前後方向に長い側部フレーム19をそれぞれ備え、これらのフレーム17,18,19により機体平面視で長方形状の枠体20が構成されている。前記側部フレーム19にはそれぞれ上下一対の案内ローラ22を取り付けており、該案内ローラ22に案内されて上下方向にスライドするように上下方向に長い昇降ガイド23を左右に設けている。この左右の昇降ガイド23に左右2個の苗箱群Bを収容する苗箱収容部10を固着して設け、昇降ガイド23を左右それぞれの連結リンク24を介して左右それぞれの昇降ハンドル25に連結している。
【0012】
そして、昇降ハンドル25は、前部フレーム17に設けた左右方向の回動軸25a回りに上下に回動するように後側に延びた構成となっており、昇降ハンドル25と後部フレーム18との間には、昇降ハンドル25を上側へ回動する方向へ付勢する付勢装置(ガスダンパー)26を設けている。また、連結リンク24の上部と昇降ハンドル25との連結部は、連結リンク24の上部に形成した長孔24aに昇降ハンドル25に基部が固定された支持ピン25aが係合して、左右昇降ハンドル25にて左右連結リンク24にて左右2個の苗箱収容部10を吊り下げ支持した構成となっている。従って、作業者が左右の昇降ハンドル25を押し下げると、それに伴って苗箱収容部10が下降して地面に近づき、該苗箱収容部10から苗箱を繰り出して地面に供給する態勢となる。また、前記昇降ハンドル25を把持して横移動車6を横移動レール4に沿って横移動させることができ、昇降ハンドル25は横移動車6の移動用操作具を兼用している。
【0013】
苗箱収容部10の下部には、前後にそれぞれ回転繰出具9を設けている。該回転繰出具9は、繰出駆動軸27を中心に互いに120度の位置に配置された3本の棒状体28を備え、繰出駆動軸27を駆動することにより、各棒状体28が120度づつ間欠的に回転するようになっている。この各棒状体28の120度の回転により、苗箱Cが1箱圃場に繰出される構成となっている。そして、左右2個の苗箱収容部10は、苗箱Cの短辺方向の長さ分の間隔をあけて設けられており、左右苗箱収容部10にて圃場面に苗箱Cを縦向きに(長手方向が前後方向に向くように)2個並べて置いたとき、その2つの苗箱Cはその間に1つの苗箱Cが縦向きに置ける距離だけ離れた位置関係になっている。
【0014】
そして、横移動車6の枠体20の左右苗箱収容部10間の空間部にバッテリーBT及び2つの左タイマー装置T−L・右タイマー装置T−R及び制御装置Sが配置固定されており、左右苗箱収容部10の各回転繰出具9の繰出駆動軸27は左右電動モータM−L・M−Rにて各々駆動される構成となっている。尚、左右苗箱収容部10は、同じ構成となっている。
【0015】
横移動車6は、その左右苗箱収容部10間の空間部にバッテリーBTや2つの左タイマー装置T−L・右タイマー装置T−Rや制御装置S、また後述の位置決めストッパー棒15bを配置したので、左右苗箱収容部10間の空間部を有効に利用して各部材を配置でき、簡潔で小型の構成とすることができる。よって、小型軽量の安価な苗箱並べ機を得ることができる。
【0016】
また、昇降ハンドル25と連結リンク24の上部と連結部には、繰出し作動スイッチ29が設けられている。そして、作業者が左右の昇降ハンドル25を押し下げると、それに伴って苗箱収容部10が下降して地面に接当して苗箱を繰り出して地面に供給する態勢となるが、苗箱収容部10が下降して地面に接当した後、更に、作業者が左右の昇降ハンドル25を押し下げると、連結リンク24の上部に形成した長孔24aの上端部に位置していた昇降ハンドル25の支持ピン25aが長孔24aの下端部に移動するまで、左右の昇降ハンドル25は下動する。この時、連結リンク24に対して昇降ハンドル25が下動するので、昇降ハンドル25に設けた繰出し作動スイッチ29は連結リンク24に設けた作動用突起24bによりON状態になり、バッテリーBTにて左右電動モータM−L・M−Rが作動し、各繰出駆動軸27が駆動されることにより、各棒状体28が120度回転し、苗箱Cが1箱圃場に繰出される。この時、作業者が左右の昇降ハンドル25を押し下げを止めて繰出し作動スイッチ29がOFFになっても、左右電動モータM−L・M−Rが作動し続けるように(苗箱Cの繰出しが終了するまでの2秒間)左右タイマー装置T−L・T−Rが作動する。また、各棒状体28が120度回転したことを検出するモータ停止用リミットスイッチSWを設けてあり、各棒状体28が120度回転した時に各電動モータM−L・M−Rは停止される構成となっている。
【0017】
回転繰出具9は、苗箱の左右位置を規制するガイド板39の下側に位置し、該ガイド板39よりも苗箱群B側に張り出す状態で設けられている。そして、ナイロン等の素材で作られた布状体40が、上端を苗箱収容部10の外側で且つ回転繰出具9の上方に固定して設けられ、その下部が回転繰出具9と苗箱群Bとの間に垂れ掛けられている。回転繰出具9のそれぞれ内側に位置する1本の棒状体28が苗箱群Bの最下段の苗箱Cの左右縁部Caに下側から係合することにより、苗箱群Bを保持している。この状態で繰出し作動スイッチ29がONすることにより、回転繰出具9が回転すると、苗箱Cの縁部Caに係合していた棒状体28が縁部Caから外れ、最下段の苗箱Cが自重で落下して下方に繰り出される。その際、棒状体28が回転するのに伴い布状体40が張った状態となり、棒状体28が縁部Caの先端に形成されている断面鉤状の補強部Cbから外れやすくなる。苗箱Cが下方に繰り出される直前に、次の棒状体28が新たに最下段になる苗箱Cの縁部Caに下側から係合し、苗箱群Bを保持する。このように、繰出し作動スイッチ29がONする度に回転繰出具9が120度づつ間欠的に回転することにより、苗箱群Bから苗箱Cを最下段のものから順に一枚づつ下方に繰り出す。
【0018】
横移動レール4の左側部分4a及び右側部分4bの後方には、上に人が載って並べられた苗箱を地面にめり込ませるための踏み板5をそれぞれ設けている。横移動レール4の端部位置には後方へ延びる端部固定吊具41aを固着し、横移動レール4の左右両側部分4a,4bの左右方向略中央位置にはそれぞれ中央固定吊具42を固着すると共に、走行台車3の後部には機体背面視への字形状の可動吊具43を前後方向の回動軸43a回りに上下に回動可能に設けている。これらの端部固定吊具41、中央固定吊具42及び可動吊具43からそれぞれの吊下チェーン44aを介して踏み板5を取り付け、1枚の踏み板5の前部が計3本の吊下チェーン44aにより吊り下げられた構成となっている。また、走行台車3の後方に走行台車3と伴走する苗箱載置用伴走トロッコHが連結フレームFにて連結されており、該連結フレームFに側方に延びる固定吊具41bを固着して設け、吊下スプリング44bを介して踏み板5の後部を吊り下げられた構成となっている(作業者が踏み板5に載った時には、吊下スプリング44bが伸びて、踏み板5は並べられた苗箱C上面に接当する)。従って、左右踏み板5は、各々前部と後部が吊り下げ支持された構成となっているので、踏み板5の支持が安定すること、及び、横移動レール4の左側部分4a及び右側部分4bの後方で苗箱載置用伴走トロッコHよりも前方位置に左右踏み板5を配置したことにより、作業者は左右踏み板5上に載る作業や左右踏み板5上で横移動車6にて地面に苗箱Cを並べる作業や苗箱載置用伴走トロッコHに載置された苗箱Cを横移動車6に供給する作業が容易に且つ安全に行なえて作業性が良い。
【0019】
一方、可動吊具43は左右の踏み板5に対応して左右に一対設けられ、この左右の可動吊具43どうしを付勢手段となる下降連動用スプリング45により繋いでいる。従って、この下降連動用スプリング45により、左右の可動吊具43は機体の左右中央側(走行台車3側)で上側へ回動するように付勢され、該可動吊具43に連結された吊下チェーン44aを上側へ引き上げる方向に付勢している。尚、下降連動用スプリング45は左右いずれの可動吊具43も回動付勢して左右の可動吊具43で兼用しているので、部品点数を削減できてコストダウンが図れる。可動吊具43の中途部には下降連動用ロ−ラ46を設け、横移動レール4の左右両側部分4a,4bのレール回動支点軸12近くには、それぞれ前記下降連動用ロ−ラ46に当接する下降連動用部材(プレ−ト)47を横移動レール4に対して外側が上位となるように傾斜姿勢で固着して設けている。
【0020】
従って、図に示すように、通常は、下降連動用スプリング45により、左右の可動吊具43が内側(走行台車3側)へ回動すると、該可動吊具43の下降連動用ロ−ラ46がそれぞれ下降連動用部材47に当接する状態となり、左右の可動吊具43の回動付勢力がつり合って該可動吊具43が左右対称となるように回動し、横移動レール4の左右両側部分4a,4bが左右対称になるよう共に持ち上げられてその端部のスタンド14が対地浮上した状態となる。このとき、横移動レール4の左右両側部分4a,4bの上動で端部固定吊具41及び中央固定吊具42が上昇すると共に、可動吊具43の上側へ回動することにより、踏み板5を吊り下げる3本の吊下チェーン44aが共に引き上げられ、踏み板5が上動して対地浮上する構成となっている。一方、左右一方の踏み板5に作業者が載ると、図に示すように、該踏み板5側の可動吊具43に連結した吊下チェーン44aが下方へ引かれて当該可動吊具43が外側(下側)へ回動し、これに伴って下降連動用ロ−ラ46が左右外側へ移動するため、横移動レール4の下降連動用部材(プレ−ト)47における前記下降連動用ロ−ラ46との当接位置が左右外側に変位し、下降連動用部材(プレ−ト)47が外上がりに形成されている分、横移動レール4は踏み板5に載った側への下降回動が融通されるため、作業者が該踏み板5に載ることにより横移動レール4は端部固定吊具41及び中央固定吊具42に連結した吊下チェーン44aで下方へ引かれながら回動してスタンド14が接地する位置まで下降する。この苗箱並べ状態のとき、横移動レール4の回動により該レ−ル4の左右反対側の部分が上昇して左右反対側の下降連動用部材47が上昇し、該下降連動用部材47と左右反対側の下降連動用ロ−ラ46とが離れる状態となるから、左右反対側の可動吊具43が下降連動用スプリング45の付勢により若干内側へ回動するが、下降連動用スプリング45のスプリング長は通常状態より長くなり、該スプリング45は付勢力が大きくなって通常状態に復帰するように付勢している。従って、前記左右の可動吊具43、下降連動用ロ−ラ46、下降連動用部材47、吊下チェーン44a及び下降連動用スプリング45等により、踏み板5を下動させるのに連動して横移動レール4を下降させる下降連動機構を構成している。尚、作業者が踏み板5から離れると、下降連動用スプリング45の付勢力により下降していた横移動レール4及び踏み板5が上昇して、通常状態に復帰する。尚、踏み板5は、地面に並べられている苗箱の上面に当接する高さまで下降するようになっている。
【0021】
図10(a)及び図12に基づいて苗箱並べ作業について説明すると、予め地面に根切りネット(図示せず)を敷いておく。そして、踏み板5の上に作業者が載って横移動レール4の左右一方を下降させて(例えば、進行方向で右側を下降させて)苗箱並べ状態にすると共に、作業者は昇降ハンドル25を把持して昇降ハンドル25を少し押し下げて下降させた側の横移動レール4の内側から一番目の位置決めゲージ15a−1に横移動車6の位置決めストッパー棒15bが当接する位置まで該横移動車6を昇降ハンドル25を把持して横移動させる(昇降ハンドル25を少し押し下げ状態で横移動車6を左右移動させると、位置決めストッパー棒15bが位置決めゲージ15a−1〜4に接当する位置になる。昇降ハンドル25を押し下げないで横移動車6を左右移動させると、位置決めストッパー棒15bは位置決めゲージ15a−1〜4に接当することがないので、横移動車6を横移動レール4上で自由に左右移動させることができる)。その状態で、作業者が左右の昇降ハンドル25を押し下げて苗箱収容部10を下降させて地面に接当させ、続けて左右の昇降ハンドル25を押し下げると、繰出し作動スイッチ29がONとなり左右苗箱収容部10の苗箱群Bから最下段の左右1枚づつの苗箱C(C1とC3)を繰り出して、地面に左右2枚の苗箱C1・C3間に1枚の苗箱C2が並べられる間隔をあけて並べる。また、一度繰出し作動スイッチ29がONになれば、左右タイマー装置T−L・T−Rにより左右電動モータM−L・M−Rが作動し続けるので、その間、作業者は昇降ハンドル25から手を離して自由に踏み板5により前工程で地面に並べられた苗箱Cを押圧することができる。
【0022】
地面に苗箱C(C1とC3)が並べられたら、同様にして作業者は昇降ハンドル25を把持して昇降ハンドル25を少し押し下げて下降させた側の横移動レール4の内側から二番目の位置決めゲージ15a−2に横移動車6の位置決めストッパー棒15bが当接する位置まで該横移動車6を昇降ハンドル25を把持して横移動させる。その状態で、作業者が左右の昇降ハンドル25を押し下げて苗箱収容部10を下降させて地面に接当させ、続けて左右の昇降ハンドル25を押し下げると、繰出し作動スイッチ29がONとなり左右苗箱収容部10の苗箱群Bから最下段の左右1枚づつの苗箱C(C2とC4)を繰り出して地面に並べる。この時、前工程で並べた2枚の苗箱C1・C3間に1枚の苗箱C2が並べられ、苗箱C3の外側に苗箱C4が並べられる。
【0023】
次に、同様にして作業者は昇降ハンドル25を把持して昇降ハンドル25を少し押し下げて下降させた側の横移動レール4の内側から三番目の位置決めゲージ15a−3に横移動車6の位置決めストッパー棒15bが当接する位置まで該横移動車6を昇降ハンドル25を把持して横移動させる。その状態で、作業者が左右の昇降ハンドル25を押し下げて苗箱収容部10を下降させて地面に接当させ、続けて左右の昇降ハンドル25を押し下げると、繰出し作動スイッチ29がONとなり左右苗箱収容部10の苗箱群Bから最下段の左右1枚づつの苗箱C(C5とC7)を繰り出して地面に並べる。この時、前工程で並べた苗箱C4の外側に苗箱C5が並べられ、苗箱C7は1枚の苗箱C6が並べられる間隔をあけて並べられる。
【0024】
更に、同様にして作業者は昇降ハンドル25を把持して昇降ハンドル25を少し押し下げて下降させた側の横移動レール4の内側から四番目の位置決めゲージ15a−4に横移動車6の位置決めストッパー棒15bが当接する位置まで該横移動車6を昇降ハンドル25を把持して横移動させる。その状態で、作業者が左右の昇降ハンドル25を押し下げて苗箱収容部10を下降させて地面に接当させ、続けて左右の昇降ハンドル25を押し下げると、繰出し作動スイッチ29がONとなり左右苗箱収容部10の苗箱群Bから最下段の左右1枚づつの苗箱C(C6とC8)を繰り出して地面に並べる。この時、前工程で並べた2枚の苗箱C5・C7間に1枚の苗箱C6が並べられ、苗箱C7の外側に苗箱C8が並べられる。
【0025】
尚、このように走行軌道2の左右一側に8枚の苗箱Cを並べる間、作業者は踏み板5上を横移動しながら作業を行うので、踏み板5により作業者の体重をかけて前行程で並べた横一列の計8枚の苗箱Cを上方から略均等に押圧することができる。同様に、走行軌道2の左右他側にも横一列に8枚の苗箱Cを並べ、走行軌道2部分の地面を苗箱Cを並べずに空けて後の育苗管理をするために通路を作り、該通路を挟んで横一列に計8枚づつの苗箱Cを並べる。尚、横一列に苗箱Cを並べるとき、走行台車3の走行ブレ−キペダル11を制動状態に固定して機体が前進しないようにするとよい。
【0026】
左右方向の計8枚づつの苗箱Cの並べ作業が完了したならば、作業者は左右の踏み板5から離れて走行台車3の後方に位置し、横移動レール4の左右両側部分を上昇させて、横移動車4を走行台車3の上方となる横移動レール4の左右中央位置へ移動させ、横移動レール4が次行程で苗箱Cを並べる位置に到達するまで(苗箱Cの長手方向の長さ分)作業者が横移動車6の昇降ハンドル25を押して走行台車3を走行軌道2に沿って前進させる。尚、走行台車3が惰性により所望の位置を越える位置まで前進しそうなときは、適宜走行ブレ−キペダル11を踏み込んで走行台車3に走行制動をかける。以下、前述と同様に、順次踏み板5の上に作業者が載って横一列に苗箱Cを並べていき、走行軌道2の左右両側に苗箱を敷き詰めるように並べていく。
【0027】
尚、左右の踏み板5の前後方向の長さは、苗箱Cの長手方向の長さの1.5倍にしておくと、苗箱並べ作業時に左右の踏み板5は1枚と半枚分の苗箱上に置かれるようになるので、適切な苗箱の地面への押付け作業が行なえて、育苗時の苗の育成が良好となり、優れた苗を得ることができる。
【0028】
図11は、制御装置Sの回路図を示すが、MSはメインスイッチで苗箱並べ機の駆動系の全てを停止させるものである。B−L・B−Rは左右ブザーであって、各々左右電動モータM−L・M−Rが作動しているときに報知音を出すようになっている。PLはパイロットランプであって、メインスイッチMSをONにしている時に点灯する。そして、ST−L・ST−Rは左右起動停止スイッチであって、各々左右の昇降ハンドル25の把持部下方位置に設けられており、左起動停止スイッチST−Lを操作してOFFにすると、左電動モータM−Lの作動がしなくなり、左苗箱収容部10からの苗箱並べが停止される。また、右起動停止スイッチST−Rを操作してOFFにすると、右電動モータM−Rの作動がしなくなり、右苗箱収容部10からの苗箱並べが停止される。
【0029】
次に、走行台車3の左右両側に7枚づつ苗箱Cを並べる苗箱並べ機1について説明すると、走行台車3及び横移動レール4及び横移動車6等の基本構成は上記第1実施例と同じであるが、横移動レール4の左側部分4a及び右側部分4bの左右長さが各々1枚の苗箱C短手方向分だけ短くなっており、位置決めゲージ15a−1〜4の配置が変えてある。
【0030】
図10(b)及び図13に基づいて走行台車3の左右両側に7枚づつ苗箱Cを並べる苗箱並べ作業について説明すると、踏み板5の上に作業者が載って横移動レール4の左右一方を下降させて(例えば、進行方向で右側を下降させて)苗箱並べ状態にすると共に、作業者は昇降ハンドル25を把持して昇降ハンドル25を少し押し下げて下降させた側の横移動レール4の内側から一番目の位置決めゲージ15a−1に横移動車6の位置決めストッパー棒15bが当接する位置まで該横移動車6を昇降ハンドル25を把持して横移動させる。その状態で、作業者が左右の昇降ハンドル25を押し下げて苗箱収容部10を下降させて地面に接当させ、続けて左右の昇降ハンドル25を押し下げると、繰出し作動スイッチ29がONとなり左右苗箱収容部10の苗箱群Bから最下段の左右1枚づつの苗箱C(C1とC3)を繰り出して、地面に左右2枚の苗箱C1・C3間に1枚の苗箱C2が並べられる間隔をあけて並べる。
【0031】
次に、同様にして作業者は昇降ハンドル25を把持して昇降ハンドル25を少し押し下げて下降させた側の横移動レール4の内側から二番目の位置決めゲージ15a−2に横移動車6の位置決めストッパー棒15bが当接する位置まで該横移動車6を昇降ハンドル25を把持して横移動させる。その状態で、作業者が左右の昇降ハンドル25を押し下げて苗箱収容部10を下降させて地面に接当させ、続けて左右の昇降ハンドル25を押し下げると、繰出し作動スイッチ29がONとなり左右苗箱収容部10の苗箱群Bから最下段の左右1枚づつの苗箱C(C2とC4)を繰り出して地面に並べる。この時、前工程で並べた2枚の苗箱C1・C3間に1枚の苗箱C2が並べられ、苗箱C3の外側に苗箱C4が並べられる。
【0032】
次に、同様にして作業者は昇降ハンドル25を把持して昇降ハンドル25を少し押し下げて下降させた側の横移動レール4の内側から三番目の位置決めゲージ15a−3に横移動車6の位置決めストッパー棒15bが当接する位置まで該横移動車6を昇降ハンドル25を把持して横移動させる。その状態で、作業者が左起動停止スイッチST−Lを操作してOFFにして、左右の昇降ハンドル25を押し下げて苗箱収容部10を下降させて地面に接当させ、続けて左右の昇降ハンドル25を押し下げると、繰出し作動スイッチ29がONとなり右苗箱収容部10の苗箱群Bからのみ最下段の右1枚の苗箱C(C6)を繰り出して地面に並べる。この時、苗箱C6は、前工程で並べた苗箱C4の外側方に1枚の苗箱C5が並べられる間隔をあけて並べられる。
【0033】
更に、同様にして作業者は昇降ハンドル25を把持して昇降ハンドル25を少し押し下げて下降させた側の横移動レール4の内側から四番目の位置決めゲージ15a−4に横移動車6の位置決めストッパー棒15bが当接する位置まで該横移動車6を昇降ハンドル25を把持して横移動させる。その状態で、作業者が左右の昇降ハンドル25を押し下げて苗箱収容部10を下降させて地面に接当させ、続けて左右の昇降ハンドル25を押し下げると、繰出し作動スイッチ29がONとなり左右苗箱収容部10の苗箱群Bから最下段の左右1枚づつの苗箱C(C5とC7)を繰り出して地面に並べる。この時、前工程で並べた1枚の苗箱C6の左右両側に並べられる。
【0034】
そして、同様にして走行台車3の左側にも7枚の苗箱Cを並べれば、走行台車3の左右両側に7枚づつ苗箱Cを並べることができる。
次に、走行台車3の左右両側に6枚づつ苗箱Cを並べる苗箱並べ機1について説明すると、走行台車3及び横移動レール4及び横移動車6等の基本構成は上記第1実施例と同じであるが、横移動レール4の左側部分4a及び右側部分4bの左右長さが各々2枚の苗箱C短手方向分だけ短くなっており、位置決めゲージ15a−1〜4の配置が変えてある。
【0035】
図10(C)及び図14に基づいて走行台車3の左右両側に6枚づつ苗箱Cを並べる苗箱並べ作業について説明すると、踏み板5の上に作業者が載って横移動レール4の左右一方を下降させて(例えば、進行方向で右側を下降させて)苗箱並べ状態にすると共に、作業者は昇降ハンドル25を把持して昇降ハンドル25を少し押し下げて下降させた側の横移動レール4の内側から一番目の位置決めゲージ15a−1に横移動車6の位置決めストッパー棒15bが当接する位置まで該横移動車6を昇降ハンドル25を把持して横移動させる。その状態で、作業者が左右の昇降ハンドル25を押し下げて苗箱収容部10を下降させて地面に接当させ、続けて左右の昇降ハンドル25を押し下げると、繰出し作動スイッチ29がONとなり左右苗箱収容部10の苗箱群Bから最下段の左右1枚づつの苗箱C(C1とC3)を繰り出して、地面に左右2枚の苗箱C1・C3間に1枚の苗箱C2が並べられる間隔をあけて並べる。
【0036】
次に、同様にして作業者は昇降ハンドル25を把持して昇降ハンドル25を少し押し下げて下降させた側の横移動レール4の内側から二番目の位置決めゲージ15a−2に横移動車6の位置決めストッパー棒15bが当接する位置まで該横移動車6を昇降ハンドル25を把持して横移動させる。その状態で、作業者が左右の昇降ハンドル25を押し下げて苗箱収容部10を下降させて地面に接当させ、続けて左右の昇降ハンドル25を押し下げると、繰出し作動スイッチ29がONとなり左右苗箱収容部10の苗箱群Bから最下段の左右1枚づつの苗箱C(C2とC4)を繰り出して地面に並べる。この時、前工程で並べた2枚の苗箱C1・C3間に1枚の苗箱C2が並べられ、苗箱C3の外側に苗箱C4が並べられる。
【0037】
次に、同様にして作業者は昇降ハンドル25を把持して昇降ハンドル25を少し押し下げて下降させた側の横移動レール4の内側から三番目の位置決めゲージ15a−3に横移動車6の位置決めストッパー棒15bが当接する位置まで該横移動車6を昇降ハンドル25を把持して横移動させる。その状態で、作業者が左起動停止スイッチST−Lを操作してOFFにして、左右の昇降ハンドル25を押し下げて苗箱収容部10を下降させて地面に接当させ、続けて左右の昇降ハンドル25を押し下げると、繰出し作動スイッチ29がONとなり右苗箱収容部10の苗箱群Bからのみ最下段の右1枚の苗箱C(C5)を繰り出して地面に並べる。この時、苗箱C5は、前工程で並べた苗箱C4の外側方に並べられる。
【0038】
更に、同様にして作業者は昇降ハンドル25を把持して昇降ハンドル25を少し押し下げて下降させた側の横移動レール4の内側から四番目の位置決めゲージ15a−4に横移動車6の位置決めストッパー棒15bが当接する位置まで該横移動車6を昇降ハンドル25を把持して横移動させる。その状態で、作業者が左起動停止スイッチST−Lを操作してOFFにして、左右の昇降ハンドル25を押し下げて苗箱収容部10を下降させて地面に接当させ、続けて左右の昇降ハンドル25を押し下げると、繰出し作動スイッチ29がONとなり右苗箱収容部10の苗箱群Bからのみ最下段の右1枚の苗箱C(C6)を繰り出して地面に並べる。この時、苗箱C6は、前工程で並べた苗箱C5の外側方に並べられる。
【0039】
そして、同様にして走行台車3の左側にも6枚の苗箱Cを並べれば、走行台車3の左右両側に6枚づつ苗箱Cを並べることができる。
以上により、この苗箱並べ機1は、縦方向に走行させる走行車輪7を備えた機体に横移動レール4を昇降可能に設け、該レール4上に複数の苗箱Cを保持して収容する苗箱収容部10を備える横移動車6を設け、地面に並べた苗箱Cを上方から押圧するための踏み板5を下動させるのに連動して前記レール4を下降させる下降連動機構を設けている。従って、作業者が踏み板5に載って該踏み板5を下動させると、下降連動機構により横移動レール4が下降する。そして、該レール4に沿って横移動車6を横移動させながら横一列に苗箱Cを並べて作業者が踏み板5から離れることにより、該踏み板5を上動させると共に横移動レール4を上昇させることができる。そして、横移動レール4を上昇させた状態で、順次走行台車3により縦方向へ苗箱1枚分の距離だけ走行し、再度作業者が踏み板5に載って該踏み板5を下動させて横移動レール4を下降させ、次列の苗箱Cを並べながら前行程で並べた苗箱Cを上方から押圧し、順次苗箱Cを地面に並べることができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】苗箱並べ機の平面図である。
【図2】苗箱並べ機の背面図である。
【図3】苗箱並べ機の左側面図である。
【図4】苗箱並べ機の作用説明用要部左側面図である。
【図5】苗箱並べ機の作用説明用要部背面図である。
【図6】苗箱並べ機の作用説明用要部背面図である。
【図7】苗箱並べ機の作用説明用要部背面図である。
【図8】苗箱並べ機の作用説明用要部背面図である。
【図9】苗箱並べ機の作用説明用要部拡大背断面図である。
【図10】苗箱並べ機の作用説明用要部背面図である。
【図11】制御装置の電気回路図である。
【図12】苗箱並べ機の作用説明用要部背面図である。
【図13】苗箱並べ機の他の例を示す作用説明用要部背面図である。
【図14】苗箱並べ機の他の例を示す作用説明用要部背面図である。
【符号の説明】
【0041】
1 苗箱並べ機
3 機体(走行台車)
4 レール(横移動レ−ル)
6 横移動車
7 車輪(走行車輪)
9 繰出装置
10 苗箱収容部
C 苗箱
【技術分野】
【0001】
本発明は、苗箱を地面に並べるための苗箱並べ機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、育苗ハウス内に苗箱を縦向きにして左右方向に並べれば、育苗ハウスの左右幅が狭くてもより多くの苗箱を並べて置くことができるので、育苗ハウス内を縦方向に走行させる車輪を備えた機体に横方向のレールを昇降可能に設け、該レール上に複数の苗箱を保持して収容する苗箱収容部を備える横移動車を設けた苗箱並べ機において、苗箱収容部をレール上で左右方向に移動させて育苗ハウス内に苗箱を縦向きに1枚づつ並べていくものがある。
【特許文献1】特開2000−224923号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記背景技術によると、育苗ハウス内に苗箱を縦向きにして左右方向に並べて、育苗ハウスの左右幅が狭くてもより多くの苗箱を並べて置くことができる。然しながら、上記の苗箱並べ機は苗箱を縦向きに1枚づつ並べていくものである為に、作業能率が悪く、育苗時期は短くて然も非常に多くの苗箱にて苗を育苗しないといけないと謂う作業状況にあっては、実用性に課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明は、上記課題を解決するべく次の技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1に係る発明の苗箱並べ機は、車輪7を備えた機体3に進行方向に対して左右横方向のレール4を設け、該レール4上に複数の苗箱Cを保持して収容する苗箱収容部10を備える横移動車6を設け、該苗箱収容部10に苗箱Cをその長手方向が縦方向となるように繰り出す繰出装置9を設けると共に、該繰出装置9は左右方向に複数の苗箱Cを苗箱間の間隔が苗箱Cの短手方向の長さの自然数倍になるようにして繰り出す構成としたものである。
【0005】
従って、請求項1に係る苗箱並べ機は、進行方向に対して左右横方向に設けたレール4上に設けた横移動車6の苗箱収容部10に苗箱Cをその長手方向が縦方向となるように繰り出す繰出装置9を設けると共に、該繰出装置9は左右方向に複数の苗箱Cを苗箱間の間隔が苗箱Cの短手方向の長さの自然数倍になるようにして繰り出す構成としたので、繰り出される複数の苗箱C間に繰出装置9を配置することができて簡潔な構成で複数の苗箱Cを縦向きに並べることができ、更に、複数の苗箱Cを苗箱間の間隔が苗箱Cの短手方向の長さの自然数倍になるようにして並べる構成であるから、苗箱Cを並べられた苗箱C間に順次並べていくことにより左右方向に苗箱Cを整然と並べることができる。
【発明の効果】
【0006】
よって、請求項1に係る苗箱並べ機は、進行方向に対して左右横方向に設けたレール4上で横移動車6を移動させて左右方向に苗箱を縦向きに作業能率良く並べることができて、簡潔な構成で従来例の課題を解決することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、この発明の実施の一形態を、図面に基づいて説明する。
図1及び図2は苗箱並べ機1を示しており、この苗箱並べ機1は、育苗ハウス内において、地面に敷き詰めるように苗箱Cを並べていくためのものである。尚、苗箱並べ機1を使用して床土を入れた後に播種し覆土した苗箱Cを地面に並べ、前記育苗ハウス内で出芽させ苗が所定の大きさになるまで育苗する。尚、場合によっては、苗箱並べ機1により出芽させた状態の苗箱Cを並べて育苗することもある。
【0008】
前記苗箱並べ機1は、育苗ハウスの出入口から育苗ハウス内の中央の地面に並行に敷設された2本の走行軌道2上を走行する走行台車3、該走行台車3に支持された左右一体の横移動レール4、該横移動レール4に連結された左右それぞれの踏み板5及び前記横移動レール4上を移動する横移動車6を備えている。尚、前記走行台車3の走行車輪7は、前後左右に計4個設けられ、中央部に溝7aを備えた構成となっている。尚、この苗箱並べ機1は、左右移動する横移動車6を除いて左右対称に構成されている。この苗箱並べ機1により、走行軌道2の左右にそれぞれ左右1列につき8枚づつ苗箱Cを進行方向に沿って縦向きに並べるようになっている(走行軌道2の左右にそれぞれ苗箱Cの長手方向が隣接して8枚づつ並べられる。即ち、苗箱Cは縦向きに並べられる。)。前記横移動車6は、中央部に溝8aを設けた4個の横移動車輪8により横移動レール4上を左右方向に移動するようになっており、該横移動車6の前後に設けた回転繰出具9に長手方向を前後方向に向けた苗箱Cを上側から載せて係止させる構成となっており、回転繰出具9上に床土を詰めて種籾を播種、覆土した苗箱C…が複数枚(20枚)づつ段積みされた苗箱群Bを左右に2群載置できる苗箱収容部10を備えている。
【0009】
走行台車3の後部には走行ブレ−キペダル11を設けており、該ペダル11を踏み込み操作することにより後側2輪の走行車輪7を制動する構成となっている。
横移動レール4は、正面視又は背面視で左右両端部が上位となる逆ヘの字型の形状となっており、前後方向のレール回動支点軸12を左右中央に固着して設けている。一方、走行台車3の前後には回動軸支持プレ−ト13をそれぞれ固着して設けており、該回動軸支持プレ−ト13には前記レール回動支点軸12が係合する切り欠き部13aを設けている。尚、前記切り欠き部13aは、前記回動軸支持プレ−ト13の上側から切り欠いた構成となっており、横移動レール4の前記レール回動支点軸12が上側から係合するようになっている。従って、横移動レール4は、前記回動軸支持プレ−ト13により左右両端がシーソー状に上下に回動できるように支持された構成となっている。尚、横移動レール4の左右両端には、接地して該横移動レール4を支持するスタンド14をそれぞれ設けている。
【0010】
また、前記横移動レール4のそれぞれ左右方向中途部位置には、横移動車6の左右方向位置を決めるための4つの内側に突出したピン体にて構成した位置決めゲージ15a−1・15a−2・15a−3・15a−4を設け、横移動車6の左右中央部には下方に向けて位置決めストッパー棒15bを延設して設け、横移動車6の位置決めストッパー棒15bが横移動レール4の位置決めゲージ15a−1・15a−2・15a−3・15a−4に当接することにより横移動車6の苗箱Cを繰出す左右位置を決定するようになっている。また、横移動レール4の左右両端には、横移動車6の横移動を規制する横移動ストッパ16を設けている。
【0011】
横移動車6は、左右方向に長い前部フレーム17と後部フレーム18とを備えると共に、左右両側部に前部フレーム17と後部フレーム18とを繋ぐ前後方向に長い側部フレーム19をそれぞれ備え、これらのフレーム17,18,19により機体平面視で長方形状の枠体20が構成されている。前記側部フレーム19にはそれぞれ上下一対の案内ローラ22を取り付けており、該案内ローラ22に案内されて上下方向にスライドするように上下方向に長い昇降ガイド23を左右に設けている。この左右の昇降ガイド23に左右2個の苗箱群Bを収容する苗箱収容部10を固着して設け、昇降ガイド23を左右それぞれの連結リンク24を介して左右それぞれの昇降ハンドル25に連結している。
【0012】
そして、昇降ハンドル25は、前部フレーム17に設けた左右方向の回動軸25a回りに上下に回動するように後側に延びた構成となっており、昇降ハンドル25と後部フレーム18との間には、昇降ハンドル25を上側へ回動する方向へ付勢する付勢装置(ガスダンパー)26を設けている。また、連結リンク24の上部と昇降ハンドル25との連結部は、連結リンク24の上部に形成した長孔24aに昇降ハンドル25に基部が固定された支持ピン25aが係合して、左右昇降ハンドル25にて左右連結リンク24にて左右2個の苗箱収容部10を吊り下げ支持した構成となっている。従って、作業者が左右の昇降ハンドル25を押し下げると、それに伴って苗箱収容部10が下降して地面に近づき、該苗箱収容部10から苗箱を繰り出して地面に供給する態勢となる。また、前記昇降ハンドル25を把持して横移動車6を横移動レール4に沿って横移動させることができ、昇降ハンドル25は横移動車6の移動用操作具を兼用している。
【0013】
苗箱収容部10の下部には、前後にそれぞれ回転繰出具9を設けている。該回転繰出具9は、繰出駆動軸27を中心に互いに120度の位置に配置された3本の棒状体28を備え、繰出駆動軸27を駆動することにより、各棒状体28が120度づつ間欠的に回転するようになっている。この各棒状体28の120度の回転により、苗箱Cが1箱圃場に繰出される構成となっている。そして、左右2個の苗箱収容部10は、苗箱Cの短辺方向の長さ分の間隔をあけて設けられており、左右苗箱収容部10にて圃場面に苗箱Cを縦向きに(長手方向が前後方向に向くように)2個並べて置いたとき、その2つの苗箱Cはその間に1つの苗箱Cが縦向きに置ける距離だけ離れた位置関係になっている。
【0014】
そして、横移動車6の枠体20の左右苗箱収容部10間の空間部にバッテリーBT及び2つの左タイマー装置T−L・右タイマー装置T−R及び制御装置Sが配置固定されており、左右苗箱収容部10の各回転繰出具9の繰出駆動軸27は左右電動モータM−L・M−Rにて各々駆動される構成となっている。尚、左右苗箱収容部10は、同じ構成となっている。
【0015】
横移動車6は、その左右苗箱収容部10間の空間部にバッテリーBTや2つの左タイマー装置T−L・右タイマー装置T−Rや制御装置S、また後述の位置決めストッパー棒15bを配置したので、左右苗箱収容部10間の空間部を有効に利用して各部材を配置でき、簡潔で小型の構成とすることができる。よって、小型軽量の安価な苗箱並べ機を得ることができる。
【0016】
また、昇降ハンドル25と連結リンク24の上部と連結部には、繰出し作動スイッチ29が設けられている。そして、作業者が左右の昇降ハンドル25を押し下げると、それに伴って苗箱収容部10が下降して地面に接当して苗箱を繰り出して地面に供給する態勢となるが、苗箱収容部10が下降して地面に接当した後、更に、作業者が左右の昇降ハンドル25を押し下げると、連結リンク24の上部に形成した長孔24aの上端部に位置していた昇降ハンドル25の支持ピン25aが長孔24aの下端部に移動するまで、左右の昇降ハンドル25は下動する。この時、連結リンク24に対して昇降ハンドル25が下動するので、昇降ハンドル25に設けた繰出し作動スイッチ29は連結リンク24に設けた作動用突起24bによりON状態になり、バッテリーBTにて左右電動モータM−L・M−Rが作動し、各繰出駆動軸27が駆動されることにより、各棒状体28が120度回転し、苗箱Cが1箱圃場に繰出される。この時、作業者が左右の昇降ハンドル25を押し下げを止めて繰出し作動スイッチ29がOFFになっても、左右電動モータM−L・M−Rが作動し続けるように(苗箱Cの繰出しが終了するまでの2秒間)左右タイマー装置T−L・T−Rが作動する。また、各棒状体28が120度回転したことを検出するモータ停止用リミットスイッチSWを設けてあり、各棒状体28が120度回転した時に各電動モータM−L・M−Rは停止される構成となっている。
【0017】
回転繰出具9は、苗箱の左右位置を規制するガイド板39の下側に位置し、該ガイド板39よりも苗箱群B側に張り出す状態で設けられている。そして、ナイロン等の素材で作られた布状体40が、上端を苗箱収容部10の外側で且つ回転繰出具9の上方に固定して設けられ、その下部が回転繰出具9と苗箱群Bとの間に垂れ掛けられている。回転繰出具9のそれぞれ内側に位置する1本の棒状体28が苗箱群Bの最下段の苗箱Cの左右縁部Caに下側から係合することにより、苗箱群Bを保持している。この状態で繰出し作動スイッチ29がONすることにより、回転繰出具9が回転すると、苗箱Cの縁部Caに係合していた棒状体28が縁部Caから外れ、最下段の苗箱Cが自重で落下して下方に繰り出される。その際、棒状体28が回転するのに伴い布状体40が張った状態となり、棒状体28が縁部Caの先端に形成されている断面鉤状の補強部Cbから外れやすくなる。苗箱Cが下方に繰り出される直前に、次の棒状体28が新たに最下段になる苗箱Cの縁部Caに下側から係合し、苗箱群Bを保持する。このように、繰出し作動スイッチ29がONする度に回転繰出具9が120度づつ間欠的に回転することにより、苗箱群Bから苗箱Cを最下段のものから順に一枚づつ下方に繰り出す。
【0018】
横移動レール4の左側部分4a及び右側部分4bの後方には、上に人が載って並べられた苗箱を地面にめり込ませるための踏み板5をそれぞれ設けている。横移動レール4の端部位置には後方へ延びる端部固定吊具41aを固着し、横移動レール4の左右両側部分4a,4bの左右方向略中央位置にはそれぞれ中央固定吊具42を固着すると共に、走行台車3の後部には機体背面視への字形状の可動吊具43を前後方向の回動軸43a回りに上下に回動可能に設けている。これらの端部固定吊具41、中央固定吊具42及び可動吊具43からそれぞれの吊下チェーン44aを介して踏み板5を取り付け、1枚の踏み板5の前部が計3本の吊下チェーン44aにより吊り下げられた構成となっている。また、走行台車3の後方に走行台車3と伴走する苗箱載置用伴走トロッコHが連結フレームFにて連結されており、該連結フレームFに側方に延びる固定吊具41bを固着して設け、吊下スプリング44bを介して踏み板5の後部を吊り下げられた構成となっている(作業者が踏み板5に載った時には、吊下スプリング44bが伸びて、踏み板5は並べられた苗箱C上面に接当する)。従って、左右踏み板5は、各々前部と後部が吊り下げ支持された構成となっているので、踏み板5の支持が安定すること、及び、横移動レール4の左側部分4a及び右側部分4bの後方で苗箱載置用伴走トロッコHよりも前方位置に左右踏み板5を配置したことにより、作業者は左右踏み板5上に載る作業や左右踏み板5上で横移動車6にて地面に苗箱Cを並べる作業や苗箱載置用伴走トロッコHに載置された苗箱Cを横移動車6に供給する作業が容易に且つ安全に行なえて作業性が良い。
【0019】
一方、可動吊具43は左右の踏み板5に対応して左右に一対設けられ、この左右の可動吊具43どうしを付勢手段となる下降連動用スプリング45により繋いでいる。従って、この下降連動用スプリング45により、左右の可動吊具43は機体の左右中央側(走行台車3側)で上側へ回動するように付勢され、該可動吊具43に連結された吊下チェーン44aを上側へ引き上げる方向に付勢している。尚、下降連動用スプリング45は左右いずれの可動吊具43も回動付勢して左右の可動吊具43で兼用しているので、部品点数を削減できてコストダウンが図れる。可動吊具43の中途部には下降連動用ロ−ラ46を設け、横移動レール4の左右両側部分4a,4bのレール回動支点軸12近くには、それぞれ前記下降連動用ロ−ラ46に当接する下降連動用部材(プレ−ト)47を横移動レール4に対して外側が上位となるように傾斜姿勢で固着して設けている。
【0020】
従って、図に示すように、通常は、下降連動用スプリング45により、左右の可動吊具43が内側(走行台車3側)へ回動すると、該可動吊具43の下降連動用ロ−ラ46がそれぞれ下降連動用部材47に当接する状態となり、左右の可動吊具43の回動付勢力がつり合って該可動吊具43が左右対称となるように回動し、横移動レール4の左右両側部分4a,4bが左右対称になるよう共に持ち上げられてその端部のスタンド14が対地浮上した状態となる。このとき、横移動レール4の左右両側部分4a,4bの上動で端部固定吊具41及び中央固定吊具42が上昇すると共に、可動吊具43の上側へ回動することにより、踏み板5を吊り下げる3本の吊下チェーン44aが共に引き上げられ、踏み板5が上動して対地浮上する構成となっている。一方、左右一方の踏み板5に作業者が載ると、図に示すように、該踏み板5側の可動吊具43に連結した吊下チェーン44aが下方へ引かれて当該可動吊具43が外側(下側)へ回動し、これに伴って下降連動用ロ−ラ46が左右外側へ移動するため、横移動レール4の下降連動用部材(プレ−ト)47における前記下降連動用ロ−ラ46との当接位置が左右外側に変位し、下降連動用部材(プレ−ト)47が外上がりに形成されている分、横移動レール4は踏み板5に載った側への下降回動が融通されるため、作業者が該踏み板5に載ることにより横移動レール4は端部固定吊具41及び中央固定吊具42に連結した吊下チェーン44aで下方へ引かれながら回動してスタンド14が接地する位置まで下降する。この苗箱並べ状態のとき、横移動レール4の回動により該レ−ル4の左右反対側の部分が上昇して左右反対側の下降連動用部材47が上昇し、該下降連動用部材47と左右反対側の下降連動用ロ−ラ46とが離れる状態となるから、左右反対側の可動吊具43が下降連動用スプリング45の付勢により若干内側へ回動するが、下降連動用スプリング45のスプリング長は通常状態より長くなり、該スプリング45は付勢力が大きくなって通常状態に復帰するように付勢している。従って、前記左右の可動吊具43、下降連動用ロ−ラ46、下降連動用部材47、吊下チェーン44a及び下降連動用スプリング45等により、踏み板5を下動させるのに連動して横移動レール4を下降させる下降連動機構を構成している。尚、作業者が踏み板5から離れると、下降連動用スプリング45の付勢力により下降していた横移動レール4及び踏み板5が上昇して、通常状態に復帰する。尚、踏み板5は、地面に並べられている苗箱の上面に当接する高さまで下降するようになっている。
【0021】
図10(a)及び図12に基づいて苗箱並べ作業について説明すると、予め地面に根切りネット(図示せず)を敷いておく。そして、踏み板5の上に作業者が載って横移動レール4の左右一方を下降させて(例えば、進行方向で右側を下降させて)苗箱並べ状態にすると共に、作業者は昇降ハンドル25を把持して昇降ハンドル25を少し押し下げて下降させた側の横移動レール4の内側から一番目の位置決めゲージ15a−1に横移動車6の位置決めストッパー棒15bが当接する位置まで該横移動車6を昇降ハンドル25を把持して横移動させる(昇降ハンドル25を少し押し下げ状態で横移動車6を左右移動させると、位置決めストッパー棒15bが位置決めゲージ15a−1〜4に接当する位置になる。昇降ハンドル25を押し下げないで横移動車6を左右移動させると、位置決めストッパー棒15bは位置決めゲージ15a−1〜4に接当することがないので、横移動車6を横移動レール4上で自由に左右移動させることができる)。その状態で、作業者が左右の昇降ハンドル25を押し下げて苗箱収容部10を下降させて地面に接当させ、続けて左右の昇降ハンドル25を押し下げると、繰出し作動スイッチ29がONとなり左右苗箱収容部10の苗箱群Bから最下段の左右1枚づつの苗箱C(C1とC3)を繰り出して、地面に左右2枚の苗箱C1・C3間に1枚の苗箱C2が並べられる間隔をあけて並べる。また、一度繰出し作動スイッチ29がONになれば、左右タイマー装置T−L・T−Rにより左右電動モータM−L・M−Rが作動し続けるので、その間、作業者は昇降ハンドル25から手を離して自由に踏み板5により前工程で地面に並べられた苗箱Cを押圧することができる。
【0022】
地面に苗箱C(C1とC3)が並べられたら、同様にして作業者は昇降ハンドル25を把持して昇降ハンドル25を少し押し下げて下降させた側の横移動レール4の内側から二番目の位置決めゲージ15a−2に横移動車6の位置決めストッパー棒15bが当接する位置まで該横移動車6を昇降ハンドル25を把持して横移動させる。その状態で、作業者が左右の昇降ハンドル25を押し下げて苗箱収容部10を下降させて地面に接当させ、続けて左右の昇降ハンドル25を押し下げると、繰出し作動スイッチ29がONとなり左右苗箱収容部10の苗箱群Bから最下段の左右1枚づつの苗箱C(C2とC4)を繰り出して地面に並べる。この時、前工程で並べた2枚の苗箱C1・C3間に1枚の苗箱C2が並べられ、苗箱C3の外側に苗箱C4が並べられる。
【0023】
次に、同様にして作業者は昇降ハンドル25を把持して昇降ハンドル25を少し押し下げて下降させた側の横移動レール4の内側から三番目の位置決めゲージ15a−3に横移動車6の位置決めストッパー棒15bが当接する位置まで該横移動車6を昇降ハンドル25を把持して横移動させる。その状態で、作業者が左右の昇降ハンドル25を押し下げて苗箱収容部10を下降させて地面に接当させ、続けて左右の昇降ハンドル25を押し下げると、繰出し作動スイッチ29がONとなり左右苗箱収容部10の苗箱群Bから最下段の左右1枚づつの苗箱C(C5とC7)を繰り出して地面に並べる。この時、前工程で並べた苗箱C4の外側に苗箱C5が並べられ、苗箱C7は1枚の苗箱C6が並べられる間隔をあけて並べられる。
【0024】
更に、同様にして作業者は昇降ハンドル25を把持して昇降ハンドル25を少し押し下げて下降させた側の横移動レール4の内側から四番目の位置決めゲージ15a−4に横移動車6の位置決めストッパー棒15bが当接する位置まで該横移動車6を昇降ハンドル25を把持して横移動させる。その状態で、作業者が左右の昇降ハンドル25を押し下げて苗箱収容部10を下降させて地面に接当させ、続けて左右の昇降ハンドル25を押し下げると、繰出し作動スイッチ29がONとなり左右苗箱収容部10の苗箱群Bから最下段の左右1枚づつの苗箱C(C6とC8)を繰り出して地面に並べる。この時、前工程で並べた2枚の苗箱C5・C7間に1枚の苗箱C6が並べられ、苗箱C7の外側に苗箱C8が並べられる。
【0025】
尚、このように走行軌道2の左右一側に8枚の苗箱Cを並べる間、作業者は踏み板5上を横移動しながら作業を行うので、踏み板5により作業者の体重をかけて前行程で並べた横一列の計8枚の苗箱Cを上方から略均等に押圧することができる。同様に、走行軌道2の左右他側にも横一列に8枚の苗箱Cを並べ、走行軌道2部分の地面を苗箱Cを並べずに空けて後の育苗管理をするために通路を作り、該通路を挟んで横一列に計8枚づつの苗箱Cを並べる。尚、横一列に苗箱Cを並べるとき、走行台車3の走行ブレ−キペダル11を制動状態に固定して機体が前進しないようにするとよい。
【0026】
左右方向の計8枚づつの苗箱Cの並べ作業が完了したならば、作業者は左右の踏み板5から離れて走行台車3の後方に位置し、横移動レール4の左右両側部分を上昇させて、横移動車4を走行台車3の上方となる横移動レール4の左右中央位置へ移動させ、横移動レール4が次行程で苗箱Cを並べる位置に到達するまで(苗箱Cの長手方向の長さ分)作業者が横移動車6の昇降ハンドル25を押して走行台車3を走行軌道2に沿って前進させる。尚、走行台車3が惰性により所望の位置を越える位置まで前進しそうなときは、適宜走行ブレ−キペダル11を踏み込んで走行台車3に走行制動をかける。以下、前述と同様に、順次踏み板5の上に作業者が載って横一列に苗箱Cを並べていき、走行軌道2の左右両側に苗箱を敷き詰めるように並べていく。
【0027】
尚、左右の踏み板5の前後方向の長さは、苗箱Cの長手方向の長さの1.5倍にしておくと、苗箱並べ作業時に左右の踏み板5は1枚と半枚分の苗箱上に置かれるようになるので、適切な苗箱の地面への押付け作業が行なえて、育苗時の苗の育成が良好となり、優れた苗を得ることができる。
【0028】
図11は、制御装置Sの回路図を示すが、MSはメインスイッチで苗箱並べ機の駆動系の全てを停止させるものである。B−L・B−Rは左右ブザーであって、各々左右電動モータM−L・M−Rが作動しているときに報知音を出すようになっている。PLはパイロットランプであって、メインスイッチMSをONにしている時に点灯する。そして、ST−L・ST−Rは左右起動停止スイッチであって、各々左右の昇降ハンドル25の把持部下方位置に設けられており、左起動停止スイッチST−Lを操作してOFFにすると、左電動モータM−Lの作動がしなくなり、左苗箱収容部10からの苗箱並べが停止される。また、右起動停止スイッチST−Rを操作してOFFにすると、右電動モータM−Rの作動がしなくなり、右苗箱収容部10からの苗箱並べが停止される。
【0029】
次に、走行台車3の左右両側に7枚づつ苗箱Cを並べる苗箱並べ機1について説明すると、走行台車3及び横移動レール4及び横移動車6等の基本構成は上記第1実施例と同じであるが、横移動レール4の左側部分4a及び右側部分4bの左右長さが各々1枚の苗箱C短手方向分だけ短くなっており、位置決めゲージ15a−1〜4の配置が変えてある。
【0030】
図10(b)及び図13に基づいて走行台車3の左右両側に7枚づつ苗箱Cを並べる苗箱並べ作業について説明すると、踏み板5の上に作業者が載って横移動レール4の左右一方を下降させて(例えば、進行方向で右側を下降させて)苗箱並べ状態にすると共に、作業者は昇降ハンドル25を把持して昇降ハンドル25を少し押し下げて下降させた側の横移動レール4の内側から一番目の位置決めゲージ15a−1に横移動車6の位置決めストッパー棒15bが当接する位置まで該横移動車6を昇降ハンドル25を把持して横移動させる。その状態で、作業者が左右の昇降ハンドル25を押し下げて苗箱収容部10を下降させて地面に接当させ、続けて左右の昇降ハンドル25を押し下げると、繰出し作動スイッチ29がONとなり左右苗箱収容部10の苗箱群Bから最下段の左右1枚づつの苗箱C(C1とC3)を繰り出して、地面に左右2枚の苗箱C1・C3間に1枚の苗箱C2が並べられる間隔をあけて並べる。
【0031】
次に、同様にして作業者は昇降ハンドル25を把持して昇降ハンドル25を少し押し下げて下降させた側の横移動レール4の内側から二番目の位置決めゲージ15a−2に横移動車6の位置決めストッパー棒15bが当接する位置まで該横移動車6を昇降ハンドル25を把持して横移動させる。その状態で、作業者が左右の昇降ハンドル25を押し下げて苗箱収容部10を下降させて地面に接当させ、続けて左右の昇降ハンドル25を押し下げると、繰出し作動スイッチ29がONとなり左右苗箱収容部10の苗箱群Bから最下段の左右1枚づつの苗箱C(C2とC4)を繰り出して地面に並べる。この時、前工程で並べた2枚の苗箱C1・C3間に1枚の苗箱C2が並べられ、苗箱C3の外側に苗箱C4が並べられる。
【0032】
次に、同様にして作業者は昇降ハンドル25を把持して昇降ハンドル25を少し押し下げて下降させた側の横移動レール4の内側から三番目の位置決めゲージ15a−3に横移動車6の位置決めストッパー棒15bが当接する位置まで該横移動車6を昇降ハンドル25を把持して横移動させる。その状態で、作業者が左起動停止スイッチST−Lを操作してOFFにして、左右の昇降ハンドル25を押し下げて苗箱収容部10を下降させて地面に接当させ、続けて左右の昇降ハンドル25を押し下げると、繰出し作動スイッチ29がONとなり右苗箱収容部10の苗箱群Bからのみ最下段の右1枚の苗箱C(C6)を繰り出して地面に並べる。この時、苗箱C6は、前工程で並べた苗箱C4の外側方に1枚の苗箱C5が並べられる間隔をあけて並べられる。
【0033】
更に、同様にして作業者は昇降ハンドル25を把持して昇降ハンドル25を少し押し下げて下降させた側の横移動レール4の内側から四番目の位置決めゲージ15a−4に横移動車6の位置決めストッパー棒15bが当接する位置まで該横移動車6を昇降ハンドル25を把持して横移動させる。その状態で、作業者が左右の昇降ハンドル25を押し下げて苗箱収容部10を下降させて地面に接当させ、続けて左右の昇降ハンドル25を押し下げると、繰出し作動スイッチ29がONとなり左右苗箱収容部10の苗箱群Bから最下段の左右1枚づつの苗箱C(C5とC7)を繰り出して地面に並べる。この時、前工程で並べた1枚の苗箱C6の左右両側に並べられる。
【0034】
そして、同様にして走行台車3の左側にも7枚の苗箱Cを並べれば、走行台車3の左右両側に7枚づつ苗箱Cを並べることができる。
次に、走行台車3の左右両側に6枚づつ苗箱Cを並べる苗箱並べ機1について説明すると、走行台車3及び横移動レール4及び横移動車6等の基本構成は上記第1実施例と同じであるが、横移動レール4の左側部分4a及び右側部分4bの左右長さが各々2枚の苗箱C短手方向分だけ短くなっており、位置決めゲージ15a−1〜4の配置が変えてある。
【0035】
図10(C)及び図14に基づいて走行台車3の左右両側に6枚づつ苗箱Cを並べる苗箱並べ作業について説明すると、踏み板5の上に作業者が載って横移動レール4の左右一方を下降させて(例えば、進行方向で右側を下降させて)苗箱並べ状態にすると共に、作業者は昇降ハンドル25を把持して昇降ハンドル25を少し押し下げて下降させた側の横移動レール4の内側から一番目の位置決めゲージ15a−1に横移動車6の位置決めストッパー棒15bが当接する位置まで該横移動車6を昇降ハンドル25を把持して横移動させる。その状態で、作業者が左右の昇降ハンドル25を押し下げて苗箱収容部10を下降させて地面に接当させ、続けて左右の昇降ハンドル25を押し下げると、繰出し作動スイッチ29がONとなり左右苗箱収容部10の苗箱群Bから最下段の左右1枚づつの苗箱C(C1とC3)を繰り出して、地面に左右2枚の苗箱C1・C3間に1枚の苗箱C2が並べられる間隔をあけて並べる。
【0036】
次に、同様にして作業者は昇降ハンドル25を把持して昇降ハンドル25を少し押し下げて下降させた側の横移動レール4の内側から二番目の位置決めゲージ15a−2に横移動車6の位置決めストッパー棒15bが当接する位置まで該横移動車6を昇降ハンドル25を把持して横移動させる。その状態で、作業者が左右の昇降ハンドル25を押し下げて苗箱収容部10を下降させて地面に接当させ、続けて左右の昇降ハンドル25を押し下げると、繰出し作動スイッチ29がONとなり左右苗箱収容部10の苗箱群Bから最下段の左右1枚づつの苗箱C(C2とC4)を繰り出して地面に並べる。この時、前工程で並べた2枚の苗箱C1・C3間に1枚の苗箱C2が並べられ、苗箱C3の外側に苗箱C4が並べられる。
【0037】
次に、同様にして作業者は昇降ハンドル25を把持して昇降ハンドル25を少し押し下げて下降させた側の横移動レール4の内側から三番目の位置決めゲージ15a−3に横移動車6の位置決めストッパー棒15bが当接する位置まで該横移動車6を昇降ハンドル25を把持して横移動させる。その状態で、作業者が左起動停止スイッチST−Lを操作してOFFにして、左右の昇降ハンドル25を押し下げて苗箱収容部10を下降させて地面に接当させ、続けて左右の昇降ハンドル25を押し下げると、繰出し作動スイッチ29がONとなり右苗箱収容部10の苗箱群Bからのみ最下段の右1枚の苗箱C(C5)を繰り出して地面に並べる。この時、苗箱C5は、前工程で並べた苗箱C4の外側方に並べられる。
【0038】
更に、同様にして作業者は昇降ハンドル25を把持して昇降ハンドル25を少し押し下げて下降させた側の横移動レール4の内側から四番目の位置決めゲージ15a−4に横移動車6の位置決めストッパー棒15bが当接する位置まで該横移動車6を昇降ハンドル25を把持して横移動させる。その状態で、作業者が左起動停止スイッチST−Lを操作してOFFにして、左右の昇降ハンドル25を押し下げて苗箱収容部10を下降させて地面に接当させ、続けて左右の昇降ハンドル25を押し下げると、繰出し作動スイッチ29がONとなり右苗箱収容部10の苗箱群Bからのみ最下段の右1枚の苗箱C(C6)を繰り出して地面に並べる。この時、苗箱C6は、前工程で並べた苗箱C5の外側方に並べられる。
【0039】
そして、同様にして走行台車3の左側にも6枚の苗箱Cを並べれば、走行台車3の左右両側に6枚づつ苗箱Cを並べることができる。
以上により、この苗箱並べ機1は、縦方向に走行させる走行車輪7を備えた機体に横移動レール4を昇降可能に設け、該レール4上に複数の苗箱Cを保持して収容する苗箱収容部10を備える横移動車6を設け、地面に並べた苗箱Cを上方から押圧するための踏み板5を下動させるのに連動して前記レール4を下降させる下降連動機構を設けている。従って、作業者が踏み板5に載って該踏み板5を下動させると、下降連動機構により横移動レール4が下降する。そして、該レール4に沿って横移動車6を横移動させながら横一列に苗箱Cを並べて作業者が踏み板5から離れることにより、該踏み板5を上動させると共に横移動レール4を上昇させることができる。そして、横移動レール4を上昇させた状態で、順次走行台車3により縦方向へ苗箱1枚分の距離だけ走行し、再度作業者が踏み板5に載って該踏み板5を下動させて横移動レール4を下降させ、次列の苗箱Cを並べながら前行程で並べた苗箱Cを上方から押圧し、順次苗箱Cを地面に並べることができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】苗箱並べ機の平面図である。
【図2】苗箱並べ機の背面図である。
【図3】苗箱並べ機の左側面図である。
【図4】苗箱並べ機の作用説明用要部左側面図である。
【図5】苗箱並べ機の作用説明用要部背面図である。
【図6】苗箱並べ機の作用説明用要部背面図である。
【図7】苗箱並べ機の作用説明用要部背面図である。
【図8】苗箱並べ機の作用説明用要部背面図である。
【図9】苗箱並べ機の作用説明用要部拡大背断面図である。
【図10】苗箱並べ機の作用説明用要部背面図である。
【図11】制御装置の電気回路図である。
【図12】苗箱並べ機の作用説明用要部背面図である。
【図13】苗箱並べ機の他の例を示す作用説明用要部背面図である。
【図14】苗箱並べ機の他の例を示す作用説明用要部背面図である。
【符号の説明】
【0041】
1 苗箱並べ機
3 機体(走行台車)
4 レール(横移動レ−ル)
6 横移動車
7 車輪(走行車輪)
9 繰出装置
10 苗箱収容部
C 苗箱
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪(7)を備えた機体(3)に進行方向に対して左右横方向のレール(4)を設け、該レール(4)上に複数の苗箱(C)を保持して収容する苗箱収容部(10)を備える横移動車(6)を設け、該苗箱収容部(10)に苗箱(C)をその長手方向が縦方向となるように繰り出す繰出装置(9)を設けると共に、該繰出装置(9)は左右方向に複数の苗箱(C)を苗箱間の間隔が苗箱(C)の短手方向の長さの自然数倍になるようにして繰り出す構成としたことを特徴とする苗箱並べ機。
【請求項1】
車輪(7)を備えた機体(3)に進行方向に対して左右横方向のレール(4)を設け、該レール(4)上に複数の苗箱(C)を保持して収容する苗箱収容部(10)を備える横移動車(6)を設け、該苗箱収容部(10)に苗箱(C)をその長手方向が縦方向となるように繰り出す繰出装置(9)を設けると共に、該繰出装置(9)は左右方向に複数の苗箱(C)を苗箱間の間隔が苗箱(C)の短手方向の長さの自然数倍になるようにして繰り出す構成としたことを特徴とする苗箱並べ機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2008−43296(P2008−43296A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−224340(P2006−224340)
【出願日】平成18年8月21日(2006.8.21)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【出願人】(597007101)有限会社ピポリー技研製作所 (10)
【出願人】(591070990)本田農機工業株式会社 (7)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年8月21日(2006.8.21)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【出願人】(597007101)有限会社ピポリー技研製作所 (10)
【出願人】(591070990)本田農機工業株式会社 (7)
【Fターム(参考)】
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