説明

英文発想練習法、カード、および教材図シート

【課題】英文特有の構造を憶えこませることができ、英文の受け答えを円滑にすることが可能になる英文発想練習法等を提供する。
【解決手段】英文が主語、時制、文型の3つの要素に基づいて構成され、その3つの要素ごとの3つの具体形を、3行3列マトリックスに割り振り、主語を第1の行として具体形を該第1の行に属する3つの列番号に割り当て、時制を第2の行として具体形を該第2の行に属する3つの列番号に割り当て、文型を第3の行として具体形を該第3の行に属する3つの列番号に割り当て、具体形が配列された3行3列マトリックスを表示し、基本英文を提示し、かつ3行3列マトリックスの行ごとに特定の具体形を示して、練習者に、該特定の具体形に合うように基本英文を変形させて回答させることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、英語(外国語)特有の語順等に慣れることで、英語(外国語)をビジネスの場でも、日常の会話等でも、自然に使いこなすことができるようになる、英文発想練習法、カードおよび教材図シートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
日本人にとって英語の習得は難しく、多くの英語学習方法や英語学習装置が提案されている。たとえば視覚と聴覚に印象づけて英単語のスペルと発音とを学習する装置および方法が提案されている(特許文献1)。また、学習者の読み上げ発声を基準にして、ネイティブ英語の再生速度を調整して、能力に応じた習得を可能にする学習システムの提案もなされている(特許文献2)。近年の表示装置、音声関連装置のめざましい普及により、上記の方法によってネイティブ英語に慣れ、単語の習得等も容易になると考えられる。
一方、自分の思うことを文章にして相手に伝える、英文のやりとり能力を向上させるための提案も多くなされている。たとえば、短い日本文に対応した短い英文を憶え、その短英文を核にして、自分が思うことに近い短英文を想起して選んで、当該短英文に付け加えるなど変形してゆく方法の提案がなされている(非特許文献1)。また、一つ英文を基にして、主語や動詞などを変形させる練習を通じて英語に習熟させる参考書もある(非特許文献2)。これらの方法によれば、汗と涙の非常に長い練習の後、英語に対する抵抗を小さくすることは可能かもしれない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−140881
【特許文献2】特開2005−31604
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】森沢洋介著「ポンポン話すための瞬間英作文」ベレ出版
【非特許文献2】ロバート.M.フリン著「Progress in English」イエズス会出版
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の英語学習方法は、徹底して、長期間打ち込めば、それなりの効果を得ることはできるかもしれない。しかし、英語と日本語の文章の相違を認識していないため、多くの労力を要し、労力の割りに身に付くことは少ない。そのため、多くの学習者は途中で投げ出して、実用レベルに到達するに至らない場合が多い。
その理由は、いくつか考えられるが、大きな理由の一つは、日本語と英語の根本的な構造の相違にある。日本語は、相手の文章(話)を最後まで聞かないと、言いたいことが分からない。すなわち、日本語は、文頭では、「花子か太郎か(主語)」は分かるが、「疑問か否定か肯定か(文型)、現在か過去か未来か(時制)」は最後まで聞かないと分からない。
これに対して、英文は文章の頭の部分で、言いたいことは、大部分、分かる。すなわち、英語の場合、「疑問か否定か肯定か(文型)、現在か過去か未来か(時制)、花子か太郎か(主語)」は、文頭でほとんど分かる。
上記の日本語と英語の根本的な相違があるため、英文特有の構造を身体で憶えない限り、日本人にとって英語を自在にあやつることは難しい。
【0006】
本発明は、英文(外国語文)特有の構造を身体に憶えこませることが容易にでき、英文(外国語文)の受け答えを円滑にすることが可能になる、英文発想練習法、カードおよび教材図シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の英文発想練習法は、英文を容易に発想できるようにするための練習法である。この練習法では、英文が、主語、時制、文型の3つの要素によって構成され、該要素ごとに3種類の具体形があるものとして、3つの要素の具体形を、3行3列マトリックスに割り振る。主語の3つの具体形を第1の行に属する3つの列番号に割り当て、時制の3つの具体形を第2の行に属する3つの列番号に割り当て、文型の3つの具体形を第3の行に属する3つの列番号に割り当てる。そして、具体形がすべての位置に配列された3行3列マトリックスを表示し、基本英文を提示し、かつ3行3列マトリックスの行ごとに特定の1つの具体形を示して、練習者に、該特定の具体形に合うように基本英文を変形させて回答させることを特徴とする。
【0008】
上記の方法によれば、日本語を介在させずに、3行3列マトリックスにおける具体形の指示にしたがって、基本英文の変形を行う。練習者は、3行3列マトリックスにおける具体形の指示を直感的に把握できる。このため日本語脳を働かせずに、基本英文の変形に集中することができる。基本英文の変形を繰り返し練習することで、英文特有の語順などを身体で憶えることができる。とくに英文において重要な文頭を発する要領を身体で憶えることができる。この結果、英文が反射的に湧き出る程度にまで習得することができる。
【0009】
なお、基本英文は、主語を省いた英文でもよいし、主語がある普通の英文でもよく、長文または短文を問わない。また、この基本英文は、肯定文と否定文と疑問文とを問わない。さらに、行は、通常、横罫の場合が多いが、縦罫であってもよい。行が縦か横かに応じて、列が横または縦になることは言うまでもない。
また第1の行などの数字は、順番を表すものではなく、単に3行のなかのいずれか1つの行を第1の行と表示している。したがって第1の行が、真ん中の行であっても、一番下に位置する行であってもよい。第2の行は、その他に任意の行であり、第3の行は残りの行に対応する。
上記の定義または説明は、このあとにおいても適用される。
【0010】
3行3列マトリックスの行ごとに示される特定の具体形を、該特定の具体形への強調マークの付加によってすることができる。
これによって、変形の特定の具体形を固定することなく、強調マークの付加で多くのバリエーションを簡単かつ迅速に指示することができる。強調マークは、粘着テープ付きの花弁、ホワイトボードの場合の着色マグネットなどで行うことができる。
【0011】
本発明の別の英文発想練習法は、英文を容易に発想できるようにするための練習法である。この練習法では、英文が、主語、時制、文型の3つの要素によって構成され、該要素ごとに3種類の具体形があるものとして、3つの要素の具体形を、3行3列マトリックスに割り振る。主語の3つの具体形を第1の行に属する3つの列番号に割り当て、時制の3つの具体形を第2の行に属する3つの列番号に割り当て、文型の3つの具体形を第3の行に属する3つの列番号に割り当る。そして、具体形がすべての位置に配列された3行3列マトリックスを表示し、基本英文を提示し、練習者に、基本英文が3行3列マトリックスの行ごとにどの具体形をとっているか回答させることを特徴とする。
【0012】
この方法によれば、特定の基本英文の要素(主語、時制、文型)がどのような具体形をとっているか練習させることができる。上記の基本英文を特定の具体形に合うように変形する練習と、この異なる形態の練習法とを合わせて行うことで、一層容易に英文の構造を身体で習得することができる。
【0013】
基本英文の提示を、書き物でするか、またはスピーチですることができる。
これによって、英文に直接触れて、英文の識字能力を高めることもできるし、またネイティブスピーカの発声を聞いて、ヒヤリング能力も高めることができる。
【0014】
主語の具体形を、I、You、HeまたはShe、の3つとすることができる。これによって、個人のヒトの動作、状態、気持ち等や、個人間の関係を記述することができる。また、会話の基本を練習することができる。言うまでもなく、Iは(一人称)、Youは(二人称)、HeまたはSheは(三人称)、を代表している。
【0015】
主語の具体形を、We(一人称)、You(二人称)、They(三人称)の3つとすることができる。これによって、複数のヒトの動作、気持ち、状態等を記述し、複数の人間の間の関係を記述することができる。Weは(一人称)、Youは(二人称)、Theyは(三人称)の複数形を代表している。
【0016】
時制の具体形を、時間の流れの中の位置付けを示す、過去、現在、未来を連想させる3種類の記号および/または英単語とすることができる。
これによって、言語の概念よりもより直感的な記号、および/または英単語によって変形の指針を得ることができる。このため、日本語を媒介することなく、英文の時制を使いこなす練習ができる。
【0017】
文型の具体形を、肯定を連想させる○、否定を連想させる×、疑問を連想させる?、とすることができる。
これによって、万国共通の記号によって、直ちに言葉の理解の必要なしで、肯定文、否定文、疑問文を発想することができるようになる。
【0018】
文型の具体形を、人、動物または擬人化された物の表情および動作によって、肯定、否定、疑問を連想させる、3つの戯画とすることができる。
これによって、日本語を介在させずに、直感的に、肯定文、否定文、疑問文を発想することができるようになる。
【0019】
本発明のカードは、上記のいずれかの英文発想練習法に用いられる、少なくとも3行3列マトリックスが表示されていることを特徴とする。
このカードを用いてゲームをしながら直感的に英文独特の語順などに習熟することができる。
【0020】
本発明の教材図シートは、上記のいずれかの英文発想練習法に用いられる、少なくとも3行3列マトリックスが表示されていることを特徴とする。
先生または指導者は、この教材図シートをホワイトボードに掲示して、生徒(受講者)に対面して教えることができる。先生は、基本英文を提示して、この教材図シートに書かれた3行3列マトリックス内の主語、時制、文型の具体形を1つずつマグネット等で示して、生徒に基本英文の変形の練習をさせることができる。基本英文は、教材図シートに提示されていてもよいが、多くの基本英文を練習するので、別の教材図シートに基本英文のみまとめて書いてあってもよい。
【0021】
本発明の別のカードは、英文の要素が3行3列マトリックスに描かれている。3行3列マトリックスにおいて、第1の行に主語の具体形の、一人称、二人称、三人称に対応する、3種類の英単語または記号が配列され、第2の行に時制の具体形の、過去、現在、未来に対応する、3種類の英単語および/または記号が配列され、第3の行に文型の具体形の、肯定、否定、疑問に対応する、3種類の記号または戯画が配列されていることを特徴とする。
このカードを用いてゲーム感覚で直感的に英文独特の語順などに習熟することができる。
【0022】
マトリックスの各行において、具体形を示すように、強調マークすることができる。
カードに特定の1つの具体形を示しておくことで、カードをめくりながら、日本語で考えることなく、即座に回答(変形英文)をするゲームをすることができる。
【0023】
カードは複数枚がセットになっていて、所定のカードは基本英文が示されている基本英文カードとすることができる。
基本英文カードと3行3列マトリックスが表示されたカードとを別にすることで、上達の程度に応じて内容を変えることができ、また英文のレベルを変えることができる。そして、ゲームの面白さを増すことができる。
【0024】
本発明の教材図シートは、英文の要素が3行3列マトリックスに描かれたシートである。このシートは、第1の行に主語の具体形の、一人称、二人称、三人称に対応する、3種類の英単語または記号が配列され、第2の行に時制の具体形の、過去、現在、未来に対応する、3種類の英単語および/または記号が配列され、第3の行に文型の具体形の、肯定、否定、疑問に対応する、3種類の記号または戯画が配列されていることを特徴とする。
先生は、この教材図シートをホワイトボード等に掲示して、生徒に対面して教えることができる。先生は、基本英文を提示して、この教材図シートに書かれた3行3列マトリックス内の主語、時制、文型の具体形を示して、生徒に基本英文の変形の練習をさせることができる。基本英文は、教材図シートに提示されていてもよいが、多くの基本英文を練習するので、別の教材図シートに基本英文のみまとめて書いてあってもよい。
【0025】
3行3列マトリックスの外に基本英文を提示することができる。
基本英文の提示は粘着テープ等で置き換え自由にすることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の英文発想練習法等によれば、英文特有の構造を身体に憶えこませることが容易にでき、英文の受け答えを円滑にすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施の形態1における英文練習法を説明するための図である。
【図2】図1の英文練習法の変形例である。
【図3】本発明の実施の形態2におけるカードを説明するための図である。
【図4】本発明の実施の形態3における教材図シートを説明するための図である。
【図5】文型の具体形をアニメのキャラクタとした変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における英文発想練習法を説明するための図である。本実施の形態の練習法は、次の要領で行う。
(1)基本英文の提示
(2)その基本英文を、変形の指示にしたがって変形する。その変形の指示は、次の洞察に基づいている。
(2−1)日本語と異なる点、かつ日本人が習得しにくいポイントに着目すると、英文は、主語、時制、文型、の3つの構成要素で成り立っている、とみるのがよい。
(2−2) 主語、時制、文型、の3つの構成要素には、それぞれ3つの具体形があるものと簡単化する。すなわち反復練習のために、3つの具体形に大ぐくりする。例えば、図1の<変形の指示>では次の準備をまず行う。
(a1)主語:I、You、Heを3行3列マトリックスの1行目に配置する。
(a2)時制:過去(past)、現在(present)、未来(future)の英単語および過去、現在、未来を連想させる矢印記号を3行3列マトリックスの2行目に配置する。
(a3)文型:肯定を連想させる○、否定を連想させる×、疑問を練側させる?を3行3列マトリックスの3行目に配置する。
(2−3)変形の指示は、3行3列マトリックスの各行の1つの具体形を強調マーク等で行う。たとえば図1では、1行目の主語はHe、2行目の時制は現在、3行目の文型は疑問、とせよ、という指示をしている。番号列では、322となる。先頭の「3」は1行目(主語)のHeがある列番号3であり、2番目の「2」は2行目(時制)のpresentがある列番号2であり、3番目の「2」は3行目(文型)の?がある列番号2、である。
【0029】
上記の3行3列マトリックスによる変形の指示において、日本語による指示を無くすか、少なくとも日本語による指示を主体にしないことが重要である。日本語を理解しようとする頭の回路を作動させると、英文特有の出だしの発想が妨げられる。このため、変形の指示は、記号、英単語、戯画などによって行うことが好ましい。これによって直感的に指示が納得され即座に英文を出しやすくなる。
【0030】
練習者は、3行3列マトリックスを注視しながら、変形の指示を、日本語を介在させずに、したがって日本語で考えずに、理解して、理解しながら英文を発想する。もちろん発想した英文を発声してもよい。最初は、指示を納得してから英文を発想するまで時間がかかるかもしれないが、集中して反復練習することで、咄嗟に、自動的に英文が発想できるようになり、口をついて出るようになる。この集中→英文発想の反復練習によって、とくに英文の出だしについて、主語、時制、文型を総合的に咄嗟に判断して、即座にその出だしを口に出すことができるようになる。英文は出だしが非常に重要である。出だしが即座に出てくるようになればしめたものである。この練習による進歩が実感されより集中して練習することができる。
【0031】
基本英文は、たとえば日常生活のいろいろな局面、朝、出勤、登校、会社、学校、ビジネス、友人との会話、旅行、などのカテゴリについて代表的な英文をリストしておくのがよい。その中から練習の際に、適宜、選択することができる。
【0032】
練習の形態は、一人で独習してもよいし、先生が生徒に練習させてもよい。このあと説明するように、独習者はカードを用いることができる。また、先生は、教材図シートを用いて教えることができる。
変形の指示は、カードを用いる場合は、基本英文カードと別に、指示のための3行3列マトリックスが表示されたカードがセットになっている。各マトリックスカードは1種類の番号列に対応する強調マークが3行3列マトリックスに表示されている。各マトリックスカードを合わせて、すべての変形の形態(27種類)が網羅されるように構成されるべきである。
【0033】
練習者は、これから英語を学習する、幼児、児童、生徒でもよいし、一通り英語は学習してみたものの、いざ使おうとすると思うように英文が出てこないという大人でもよい。とくに大人は、日本語を介在させて日本語で考えながら英文を発想するように習慣づけられてきている。そのような反応回路を修正して、すぐに英文を発想できるようにするのに本練習法は有効である。
【0034】
図2は、図1の英文発想練習法の変形例を示す図である。図1では、基本英文を、書き文字で示すが、図2の変形例では、音声(スピーチ)で基本英文を提示する。CD、DVD、テープ、または本人のその場のスピーチ等によって基本英文を提示してもよく、ヒヤリング能力を高めるには、このほうがよい。スピーチは、ネイティブスピーカによるものが好ましい。とくに日本人のヒヤリング能力は他のアジア諸国の人々に比べて低いのでネイティブスピーカによるものが好ましい。
ネイティブイングリッシュを聴いて、3行3列マトリックスに示される指示の強調マークを見て、英文を自然に発声できるように練習を繰り返すのがよい。このような練習法によって、英文の頭の部分について、「疑問か否定か肯定か(文型)、現在か過去か未来か(時制)、花子か太郎か(主語)」が刷り込まれる。この結果、英文特有の構造を身体で憶えることができ、大人の日本人であっても、英語を自在に操ることができるようになる。
【0035】
(実施の形態2)
図3は、本発明の実施の形態2におけるカード10および当該カードを用いた英文発想練習法を示す図である。カード10は2種類ある。マトリックスカード10aおよび基本英文カード10bである。練習は、基本的に一人で行うことを想定している。マトリックスカード10aは、3行3列マトリックスに変形の指示の強調マークKが入っている。マトリックスカード10aは、すべての指示に対応する枚数があるべきであり、1セット27枚とするのがよい。これらのカードは見えないように裏側を上に山にしておく。
【0036】
また、基本英文カード10bについても、裏側を上に複数枚を山にしておく。枚数は任意である。初学者用には、基本英文カード10bには、基本英文が1つ書かれているのがよい。1つの基本英文のほうが集中できるからである。練習によってレベルが高くなった場合は、複数の基本英文が書かれていてもよい。高いレベルに達した練習者は、1つの変形指示に対して、その複数の基本英文を、順に、次々に変形することができる。
【0037】
練習の際には、練習者は、図3に示すように、マトリックスカード10aおよび基本英文カード10bを各1枚引いてあける。基本英文カード10bの基本英文、およびマトリックスカード10aの3行3列マトリックスに示された強調マークKを見て、英文を発想するように集中する。この集中→英文発想の反復練習によって、とくに英文の出だしについて、主語、時制、文型を総合的に咄嗟に判断して、即座にその出だしを口に出すことができるようになる。英文は出だしに伝えたいことの多くが込められている。上記のカード10を用いた練習によって、英文の出だしに抵抗がなくなるようになる。この結果、ビジネス会話等において、臆することなく自然に英文を話すことができるようになる。
【0038】
(実施の形態3)
図4は、本発明の実施の形態3における教材図シート20および当該教材図シートを用いた英文発想練習法を示す図である。教材図シート20はたとえばホワイトボード(図示せず)にマグネット(図示せず)等で留めておく、教材図である。教材図シート20を用いる練習は、先生が生徒に教える練習形態を想定している。教材図シート20は、2つの部分を主体としている。3行3列マトリックス部20aと、基本英文の提示部20bの2つの部分である。基本英文の部分20bに基本英文を提示する仕方は、たとえば印刷した基本英文がある紙片を、ポストイットなどの粘着テープで教材図シート20に粘着して固定するのがよい。ホワイトボード上に複数のマグネットで教材図シート20の上から留めてもよい。
【0039】
3行3列マトリックス部20aでは、主語、時制、文型の具体形に強調マークを表示する。この場合、強調マークKは、たとえば赤色のマグネットなどを用いるのがよい。変形の指示を変えやすいからである。先生は、生徒の反応を確かめながら、そのマグネットによる強調マークKを、次々に変えることができる。この教材図シート20を用いた英文発想練習法は、カードによる練習が難しい幼児、児童を対象にするのが好ましい。この教材図シート20によって練習法の概要またはガイドを説明して、あとはカードを用いた独習に進行させるのがよい。
また、この教材図シートを用いた練習法は、基本英文の提示を音声(スピーチ)で行うのが容易である。ヒヤリングによって基本英文を認識し、3行3列マトリックス部20aで変形の指示を直感的に知覚することで、英文出だしの即座の発想を実現することができる。
【0040】
図5は、3行3列マトリックスにおける3行目(文型)の具体形の変形例を示す図であり、本発明の実施の形態である。変形の指示の具体形は、日本語による指示を無くすか、少なくとも日本語による指示を主体にしないことが重要である、と述べた。このため、上記の実施の形態1〜3では、文型の具体形は、○(肯定)、×(否定)、?(疑問)としていた。この記号は直裁で分かりやすいが、若者の好奇心または興味を増すために、図5に示すような、人物、動物、アニメのキャラクタを戯画に用いて、肯定、否定、疑問を連想させてもよい。図5に示す、戯画による文型の具体形は、実施の形態1〜3のいずれにも用いることができる。
【0041】
(その他の形態)
(1)実施の形態1〜3では、変形の指示に従って基本英文を変形して、その変形した英文を回答としている。しかし、基本英文の代わりに変形した英文(実施の形態1〜3では回答)を提示して、要素の具体形がどのようなものか、その内容を番号列で回答してもよい。
(2)実施の形態1〜3では、時制の具体形を、過去、現在、未来を連想させる3つの記号および英単語としたが、これらの代わりに、doまたはdoes、did、will doの3つとしてもよい。または、am、was、will beまたはshall
beの3つであってもよい。さらに、are、were、will be、の3つとしてもよいし、is、was、will be、の3つとしてもよい。主語についても、三人称におけるHeもしくはSheの代わりにまたはHe、SheとともにItを配置してもよい。さらに複数形の、we(一人称)、you(二人称)、they(三人称)、の3つとしてもよい。
【0042】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明の英文発想練習法等によれば、英文(外国語文)特有の構造を身体に憶えこませることができ、とくに英文に重要な出だしが即座に出てくるようになる。これによって、ビジネス、友人との会話等において英文が円滑に出るようになる。
【符号の説明】
【0044】
10 カード、10a マトリックスカード、10b 基本英文カード、20 教材図シート、20a マトリックス部、20b 基本英文提示部、K 強調マーク(マグネット)。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
英文を容易に発想できるようにするための練習法であって、
前記英文が、主語、時制、文型の3つの要素によって構成され、該要素ごとに3種類の具体形があるものとして、前記3つの要素の具体形を、3行3列マトリックスに割り振り、
前記主語の3つの具体形を第1の行に属する3つの列番号に割り当て、
前記時制の3つの具体形を第2の行に属する3つの列番号に割り当て、
前記文型の3つの具体形を第3の行に属する3つの列番号に割り当て、
前記具体形がすべての位置に配列された3行3列マトリックスを表示し、基本英文を提示し、かつ前記3行3列マトリックスの行ごとに特定の1つの具体形を示して、練習者に、該特定の具体形に合うように前記基本英文を変形させて回答させることを特徴とする、英文発想練習法。
【請求項2】
前記3行3列マトリックスの行ごとに示される特定の具体形が、該特定の具体形への強調マークの付加によってなされることを特徴とする、請求項1に記載の英文発想練習法。
【請求項3】
英文を容易に発想できるようにするための練習法であって、
前記英文が、主語、時制、文型の3つの要素によって構成され、該要素ごとに3種類の具体形があるものとして、前記3つの要素の具体形を、3行3列マトリックスに割り振り、
前記主語の3つの具体形を第1の行に属する3つの列番号に割り当て、
前記時制の3つの具体形を第2の行に属する3つの列番号に割り当て、
前記文型の3つの具体形を第3の行に属する3つの列番号に割り当て、
前記具体形がすべての位置に配列された3行3列マトリックスを表示し、基本英文を提示し、練習者に、前記基本英文が前記3行3列マトリックスの前記行ごとにどの具体形をとっているか回答させることを特徴とする、英文発想練習法。
【請求項4】
前記基本英文の提示が、書き物でされるか、またはスピーチでなされることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の英文発想練習法。
【請求項5】
前記主語の具体形が、I、You、HeまたはShe、の3つであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の英文発想練習法。
【請求項6】
前記主語の具体形が、We、You、They、の3つであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の英文発想練習法。
【請求項7】
前記時制の具体形が、時間の流れの中の位置付けを示す、過去、現在、未来を連想させる3種類の記号および/または英単語であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の英文発想練習法。
【請求項8】
前記文型の具体形が、肯定を連想させる○、否定を連想させる×、疑問を連想させる?、であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の英文発想練習法。
【請求項9】
前記文型の具体形が、人、動物または擬人化された物の表情および動作によって、肯定、否定、疑問を連想させる、3つの戯画であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の英文発想練習法。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の英文発想練習法に用いられる、少なくとも前記3行3列マトリックスが表示されていることを特徴とする、カード。
【請求項11】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の英文発想練習法に用いられる、少なくとも前記3行3列マトリックスが表示されていることを特徴とする、教材図シート。
【請求項12】
英文の要素が3行3列マトリックスに描かれたカードであって、
第1の行に主語の具体形の、一人称、二人称、三人称に対応する、3種類の英単語または記号が配列され、
第2の行に時制の具体形の、過去、現在、未来に対応する、3種類の英単語および/または記号が配列され、
第3の行に文型の具体形の、肯定、否定、疑問に対応する、3種類の記号または戯画が配列されていることを特徴とする、カード。
【請求項13】
前記マトリックスの各行において、具体形を示すように、強調マークされていることを特徴とする、請求項10に記載のカード。
【請求項14】
前記カードは複数枚がセットになっていて、所定のカードは基本英文が示されている基本英文カードであることを特徴とする、請求項12または13に記載のカード。
【請求項15】
英文の要素が3行3列マトリックスに描かれたシートであって、
第1の行に主語の具体形の、一人称、二人称、三人称に対応する、3種類の英単語または記号が配列され、
第2の行に時制の具体形の、過去、現在、未来に対応する、3種類の英単語および/または記号が配列され、
第3の行に文型の具体形の、肯定、否定、疑問に対応する、3種類の記号または戯画が配列されていることを特徴とする、教材図シート。
【請求項16】
前記3行3列マトリックスの外に基本英文が提示されていることを特徴とする、請求項15に記載の教材図シート。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−68496(P2012−68496A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−214045(P2010−214045)
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【出願人】(302028971)有限会社レシプロ (5)