説明

茎葉収穫機

【課題】
茎葉を収穫する姿勢を容易に変更できると共に、刈り取った茎葉を確実に後方へ搬送して収穫できる茎葉収穫機を提供する。
【解決手段】
機枠6の下部に機体を走行させる走行装置1L,1Rを設け、機枠6の上部に収穫した茎葉を機体後方に搬送する搬送装置Fを設け、搬送装置Fで搬送されて来た茎葉を収容する収容体23を載置する載置台64を機枠6の後部に設けた茎葉収穫機において、搬送装置Fの前端部に茎葉を刈り取る刈取装置Eを設け、搬送装置Fの傾斜角度を変更して刈取装置Eの傾斜角度を変更して刈取高さを調節可能に構成し、刈取装置Eの上方に刈取装置Eで刈り取った茎葉を搬送装置Fに掻き込む掻き込み装置74を設け、搬送装置Fのフレーム41にアーム63aを回動自在に設け、アーム63aの下端部に転輪63を設け、アーム63aの傾斜角度を変更する操作レバー19cを設けて構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、茎葉を収穫する茎葉収穫機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来茎葉処理機として、特許文献1に示されるように、接地部材を圃場に接地させて引起こし装置を圃場の起伏に合わせて上下動させるものがある。
また、特許文献2に示されるように、茎葉の搬送装置の前部に分草装置を備えるものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−253019号公報
【特許文献2】特開2005−160467号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1及び2に記載される茎葉処理機には、処理した茎葉を搬送装置に掻き込む掻き込み手段を有さないため、処理した茎葉の量が多いと、搬送装置に茎葉が上手く入り込まず、茎葉が圃場に落下してしまい、作業者が手作業で拾い集めねばならず、作業者に余分な負担がかかる、という問題がある。
【0005】
そして、特許文献1に記載される茎葉処理機は、引起こし装置の作業位置を機械的に上下動させる手段が設けられていないため、引起こし装置の作業位置を変更するときは機体の走行を停止させ、作業者が手作業で引起こし装置の作業位置を変更しなければならず、作業能率を低下させると共に作業者の労力を増加させてしまうという問題がある。
【0006】
また、接地部材を圃場に接地させているだけであるため、小さな起伏に対しては反応しないことがあり、的確な作業位置調節がなされないという問題がある。
さらに、特許文献2に記載される茎葉処理機は、引起こし装置を茎葉の搬送装置の前部に備えているため、機体の走行等から生じる振動によって引起こし装置の作業位置が定まらないことがあり、適正な茎葉の引起こし作業に支障をきたすという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するために次の技術的手段を講じた。
請求項1記載の発明は、機枠(6)の下部に機体を走行させる走行装置(1L,1R)を設け、該機枠(6)の上部に収穫した茎葉を機体後方に搬送する搬送装置(F)を設け、該搬送装置(F)で搬送されて来た茎葉を収容する収容体(23)を載置する載置台(64)を機枠(6)の後部に設けた茎葉収穫機において、該搬送装置(F)の前端部に茎葉を刈り取る刈取装置(E)を設け、該搬送装置(F)の傾斜角度を変更して刈取装置(E)の傾斜角度を変更して刈取高さを調節可能に構成し、該刈取装置(E)の上方に刈取装置(E)で刈り取った茎葉を搬送装置(F)に掻き込む掻き込み装置(74)を設け、前記搬送装置(F)のフレーム(41)にアーム(63a)を回動自在に設け、該アーム(63a)の下端部に転輪(63)を設け、前記アーム(63a)の傾斜角度を変更する操作レバー(19c)を設けたことを特徴とする茎葉収穫機とした。
【0008】
請求項2記載の発明は、前記掻き込み装置(74)を、掻き込みローラ(50)に掻き込み爪(67)を取り付け、該掻き込みローラ(50)の中心部に回動軸(68)を設け、該掻き込みローラ(50)の左右一側に回転用の掻き込みモータ(73)を設けて構成したことを特徴とする請求項1記載の茎葉収穫機とした。
【0009】
請求項3記載の発明は、前記刈取装置(E)を、搬送装置(F)のフレーム(41)の前端下部にレシプロカッタ(51)を設け、該フレーム(41)の一側部にレシプロカッタ(51)を駆動する刈取モータ(52)を設け、該刈取モータ(52)に偏心カム(54)を設け、該偏心カム(54)をレシプロカッタ(51)に配置したことを特徴とする請求項1記載の茎葉収穫機とした。
【0010】
請求項4記載の発明は、前記機枠(6)の左右両側に各々独立して回動自在な左右の支持部材(26,26)を設け、該支持部材(26,26)の前部に茎葉を引き起こす左右の引起し装置(42,42)を設け、前記支持部材(26,26)と機枠(6)との間に支持部材(26,26)を上動方向に付勢する左右のバネ部材(30,30)を設け、前記引起し装置(42,42)の下部に前記橇体(36,36)を設けたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の茎葉収穫機とした。
【0011】
請求項5記載の発明は、前記機枠(6)側に基部を装着した左右のリンク装置(28,28)を左右のアクチュエータ(31,31)によって上下動自在に設け、該リンク装置(28,28)と支持部材(26,26)を遊動機能を有する左右の連結部材(66,66)で連結したことを特徴とする請求項4記載の茎葉収穫機とした。
【0012】
請求項6記載の発明は、前記引起し装置(42,42)で引き起こした茎葉を掻き込み装置(74)に引き継がせる左右の掻き上げ装置(49,49)を設け、該掻き上げ装置(49,49)の上端部の左右間隔を下端部の左右間隔と同じかあるいは下端部よりも広く構成したことを特徴とする請求項4または5記載の茎葉収穫機とした。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の発明によれば、搬送装置(F)の搬送始端側の上方に刈取装置(E)で刈り取った茎葉を搬送装置(F)に掻き込む掻き込み装置(74)を配置したことにより、刈り取った茎葉を確実に搬送装置(F)に載せることができるので、作業能率が向上する。
【0014】
また、茎葉が搬送装置(F)に載らずに圃場に落下することを防止できるので、圃場に落ちた茎葉を作業者が拾い集める必要が無く、作業者の労力が軽減される。
そして、搬送装置(F)の傾斜角度を変更して刈取装置(E)の刈取高さを調節可能に構成したことにより、刈取装置(E)を作業条件に合わせることができるので、茎葉が刈り取りやすくなり、作業能率が向上する。
【0015】
さらに、転輪(63)を設けた回動自在なアーム(63a)の傾斜角度を伸縮部材(62)を操作して変更できる構成としたことにより、作業条件に合わせて搬送装置(F)の傾斜角度を適切な角度に変更することができるので、レシプロカッタ(51)で刈り取った茎葉が搬送装置(F)に載りやすくなるため、作業能率が向上する。
【0016】
また、茎葉が圃場に落下することを防止できるので、圃場に落ちた茎葉を作業者が拾い集める必要が無く、作業者の労力が軽減される。
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、掻き込み装置(74)を掻き込みローラ(50)に掻き込み爪(67)を取り付けて構成したことにより、掻き込み爪(67)で刈取装置(E)に刈り取られた茎葉を搬送装置(F)に移動させることができる。
【0017】
請求項3記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、刈取装置(E)を偏心カム(54)の回転により作動するレシプロカッタ(51)で構成したことにより、茎葉を確実に刈り取ることができる。
【0018】
請求項4記載の発明によれば、請求項1から3のいずれか1項に記載の発明の効果に加えて、左右の引起こし装置(42,42)を、左右のバネ部材(30,30)によって上動方向に付勢される左右の支持部材(26,26)に設けたことによって、左右の引起こし装置(42,42)は圃場の起伏に応じて自由に上下動して、左右の引起こし装置(42,42)の作業位置が適正になるので、作業能率が向上する。
【0019】
そして、左右の引起こし装置(42,42)の基部を機体の走行による振動等の影響を受けにくい機枠(6)に設けたことによって、左右の引起こし装置(42,42)もまた機体の走行による振動等の影響を受けにくくなるので、左右の引起こし装置(42,42)の作業位置を安定させることができ、作業能率が向上する。
【0020】
請求項5記載の発明によれば、請求項4記載の発明の効果に加えて、左右のアクチュエータ(31,31)によって上下動自在な左右のリンク装置(28,28)と左右の支持部材(26,26)とを遊動機能を有する左右の連結部材(66,66)で連結したことによって、左右の引起こし装置(42,42)は圃場の起伏に応じて自由に上下動して、左右の引起こし装置(42,42)の作業位置が適正になるので、作業能率が向上する。
【0021】
また、畝の高さ等の圃場条件に合わせて左右の引起こし装置(42,42)の作業位置を適正に調節することによって、茎葉を適正に引き上げることができるので、作業能率が向上する。
【0022】
請求項6記載の発明によれば、請求項4または5記載の発明の効果に加えて、引起し装置(42,42)に、引き起こした茎葉を掻き込み装置(74)に引き継がせる左右の掻き上げ装置(49,49)を設けたことにより、引起し装置(42,42)の上下の作業位置が変わると掻き上げ装置(49,49)の上下の作業位置も連動して変更されるので、掻き上げ装置(49,49)から掻き込み装置(74)への茎葉の掻き上げ能率が変わることが防止され、作業能率が安定する。
【0023】
また、掻き上げ装置(49,49)の上端部の左右間隔を下端部の左右間隔と同じかあるいは下端部よりも広く構成したことにより、掻き上げ装置(49,49)の上端部左右間に茎葉が詰まることを防止できるので、茎葉が搬送装置(F)に移動しなくなることが防止され、作業能率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】茎葉収穫機の側面図である。
【図2】茎葉収穫機の平面図である。
【図3】茎葉収穫機の別実施例の側面図である。
【図4】茎葉収穫機の別実施例の平面図である。
【図5】茎葉収穫機の別実施例の側面図である。
【図6】茎葉収穫機の別実施例の平面図である。
【図7】茎葉収穫機の別実施例の要部断面図である。
【図8】茎葉収穫機の別実施例の側面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明の実施の形態について、一実施例として甘藷の茎葉収穫機を説明する。
図1、図2に示すように、甘藷の茎葉収穫機は、機体を走行させる走行装置Aと、操縦者が機体を操作するために搭乗する操縦部Bと、茎葉を収容する収容体23を載置する載置部Cと、茎葉を機体内側へ寄せる茎葉寄せ装置Dと、該茎葉寄せ装置Dで寄せられた茎葉を刈り取る刈取装置Eと、該刈取装置Eで刈り取られた茎葉を後方に搬送する搬送装置Fと、該搬送装置Fにて搬送されてきた茎葉を収容する収容部Gとから構成される。以下、各部の詳細を具体的に記載する。
【0026】
まず、走行装置Aの構成について説明する。
機体前部側の左右転輪2,2と機体後部側の左右駆動スプロケット3,3と、該左右転輪2,2と左右駆動スプロケット3,3との間に取り付けた転輪4…の周りに左右ベルト5,5を巻き掛けて左右一対のクローラ1L,1Rを構成する。また、フレーム6の後部下部にギアボックス7を取り付け、該フレーム6の上面の左側部にエンジン9と油圧ポンプ10を取り付ける。そして、該エンジン9の駆動軸11aと油圧ポンプ10の駆動軸11bの各々の左端部にプーリ12a,12bを取り付けると共に、該プーリ12a,12b間にベルト13を巻き掛ける。さらに、該エンジン9の駆動軸11aの右端部にプーリ15a取り付け、該プーリ15aとギアボックス7の入力軸7aに取り付けるプーリ15bとの間にベルト16を巻き掛ける。そして、前記ギアボックス7から左右方向にドライブシャフト8を延出させ、該ドライブシャフト8の両端にクローラ1L,1Rの駆動スプロケット3,3を軸着させてフレーム6の下部に一定の左右間隔を設けて取り付けた左右クローラ1L,1Rを駆動する構成としている。
【0027】
次に、操縦部Bの構成について説明する。
前記フレーム6の上面の左側部に操縦台17を取り付け、該操縦台17には左右クローラ1L,1Rの回転方向や回転速度を調節して、機体の前後進や走行速度を切り換える左右走行操作レバー18a,18bと、後述する茎葉寄せ装置Dを昇降動作させる昇降レバー19a,19bと、搬送装置Fを昇降動作させる操作レバー19cを取り付ける。そして、該操縦台17の後部に操縦者が搭乗する座席20を取り付けている。
【0028】
上記のように、機体の前後進や走行速度を切り換える左右走行操作レバー18a,18bや茎葉寄せ装置Dを昇降動作させる昇降レバー19a,19bや、搬送装置Fを昇降動作させる操作レバー19cが操縦台17に設けられていることによって、操縦者は座席20に着座したまま機体の操作を行うことができるため、操縦者の労力を軽減することができる。
【0029】
次に、載置部Cの構成について説明する。
前記フレーム6の右側部に回動軸21を取り付け、該回動軸21に載置板22を折りたたみ可能に取り付けている。
【0030】
上記のように、載置板22を折りたたみ可能に設けていることにより、刈り取られた茎葉を収容する収容袋23が満杯になったとき、載置板22を展開することによって満杯になった収容袋23をフレーム6と載置板22の上に載置することができ、収容袋23を圃場に下ろす作業が省略されるため、作業能率を向上させることができると共に、圃場に下ろした収容袋23を回収する作業が省略されるため、作業者の労力が軽減される。
【0031】
次に、茎葉寄せ装置Dの構成について説明する。
フレーム6の左右前側下部に左右ステー24を、左右クローラ1L,1Rよりも前方且つ後述する刈取装置Eよりも後側上方に取り付け、該左右ステー24の左右間に連結軸25を取り付けると共に、該連結軸25に左右回動アーム26を各々独立して上下方向に回動自在に取り付ける。そして、左右回動アーム26の前端部に左右ステー33を取り付け、該左右ステー33の後方位置に左右リンクアーム35を取り付け、該左右リンクアーム35と左右ステー33に左右カバーフレーム34を取り付ける。
【0032】
また、前記フレーム6の右側前端上部に支持フレーム27を取り付ける。そして、該支持フレーム27及び操縦部Bの操縦台17の上端部に左右リンクアーム28の基部を各々独立して上下方向に回動自在に取り付ける。また、該支持フレーム27及び操縦部Bの操縦台17の略中央部に左右固定フレーム29を取り付ける。さらに、該左右固定フレーム29の機体外側下部と左右回動アーム26の略中央部との間に左右バランススプリング30を取り付けると共に、左右固定フレーム29の機体内側上部と左右リンクアーム28の前端下部との間に左右シリンダ31を取り付ける。また、前記左右リンクアーム28の前端部と左右回動アーム26の略中央部との間に遊動機能を有する左右ワイヤー66を取り付ける。なお、左右ワイヤー66はチェーン等で構成してもよい。
【0033】
そして、前記左右カバーフレーム34の下端部から、機体後外側方向に延出させると共に後端部を上方に折り曲げた左右橇体36を取り付け、該左右橇体36の前部に後述する左右引起こしラグが通過する空間部を設けた左右分草体37を取り付けると共に、該左右分草体37の機体外側に左右ナロウガイド65を取り付ける。
【0034】
そして、前記左右カバーフレーム34の内部上端に左右スプロケット38aを取り付け、左右カバーフレーム34の内部下端に左右スプロケット38bを取り付けると共に、該左右スプロケット38aと左右スプロケット38bとの間に左右チェーン39を巻き掛ける。そして、該左右チェーン39に引起しラグ40を取り付け、左右カバーフレーム34,34の機体内側上部に左右スプロケット38aを各々回転させる左右油圧モータ41を取り付けて、左右引起し装置42が構成される。
【0035】
また、前記左右カバーフレーム34の機体内側下部に左右フレーム43を取り付けると共に、該左右フレーム43に左右プレート44を後上り傾斜姿勢に設ける。そして、該左右プレート44の上端部の左右間隔を下端部の左右間隔と略同一または下端部の左右間隔よりも広くなるように取り付ける。また、前記左右プレート44の前端部に左右従動プーリ45を回動軸に軸着して取り付け、左右プレート44の後端部に左右駆動プーリ46を回動軸に軸着して取り付けると共に、該左右従動プーリ45と左右駆動プーリ46との間に左右ラグ付ベルト47を取り付ける。さらに、左右プレート44の下面から、後端部が機体外側方向に向けて開放された左右案内ガイド32を、後述の搬送装置Fの上方且つ機体後方に向けて後上り傾斜姿勢に設けると共に、前記左右駆動プーリ46の回動軸に、左右駆動プーリ46を回転させる左右油圧モータ48を各々取り付けることによって、左右掻き上げ装置49が構成される。
【0036】
さらに、掻き込みローラ50にナイロンパイプ等の軟質材からなる掻き込み爪67を取り付けると共に、該掻き込みローラ50の中心部に回動軸68を設ける。そして、後述する搬送装置Fの左右フレーム41に左右支柱69を取り付け、該左右支柱69の左右上端部間にフレーム70を取り付けると共に、左右支柱69の上端部に左右フレーム71を取り付ける。また、該左右フレーム71の前端部に左右ジョイントアーム72を取り付け、該左右ジョイントアーム72間に掻き込みローラ50の回動軸68を回動自在に取り付けると共に、該左右ジョイントアーム72の左右一側に、掻き込みローラ50を回転させる油圧モータ73(掻き込みモータ)を取り付けて、掻き込み装置74を構成する。
【0037】
上記のように、フレーム6の左右前端下部に左右ステー24を、左右クローラ1L,1Rよりも前方に取り付けていることによって、左右ステー24の左右間に連結軸25を設けて左右ステー24を連結することができるので、機体の耐久性が強化される。
【0038】
また、左右ステー24や連結軸25が刈取装置Eよりも上方に取り付けられていることによって、左右ステー24や連結軸25が畦や茎葉の刈り株に接触して機体の走行を妨げることを防止できるので、作業能率が向上する。
【0039】
また、機体の走行による振動等の影響を受けにくいフレーム6の左右前側下部に取り付けた左右ステー24の左右間に連結軸25を取り付けると共に、該連結軸25に左右引起こし装置42を前端部に備えた左右回動アーム26を取り付けたことによって、左右引起こし装置42もまた機体の走行による振動等の影響を受けにくくなるので、左右引起こし装置42の作業位置を安定させることができ、作業能率が向上する。
【0040】
さらに、左右回動アーム26が左右バランススプリング30によって上動方向に付勢されていると共に、左右引起こし装置42の下部に左右橇体36が取り付けられていることによって、左右引起こし装置42は圃場の起伏に応じて自由に上下動して、左右引起こし装置42の作業位置が適正になるので、作業能率が向上する。
【0041】
そして、左右回動アーム26が、左右各々独立して上下方向に回動自在に取り付けられていることによって、左右引起こし装置42は左右各々圃場の起伏に応じて自由に上下動して、左右引起こし装置42の左右各々の作業位置が適正になるので、作業能率が向上する。
【0042】
また、左右橇体36は機体後外側方向に延出させられていることによって、畝に敷設したマルチを傷つけることなく左右引起し装置42を畝に近づけることができるので、茎葉の引起しが効率よく行われ作業能率が向上すると共に、後端部を上方に折り曲げていることによって、機体を後退させるときに左右橇体36の後端部が圃場に刺さって機体の後退を妨げる事が防止され、作業能率が向上する。
【0043】
そして、左右回動アーム26と左右リンクアーム28とが遊動機能を有する左右ワイヤー66によって連結されていることによって、昇降レバー19a,19bを操作して左右シリンダ31を伸縮させて左右リンクアーム28を上下動させると左右回動アーム26が左右ワイヤー66によって上下動させられるので、左右引起こし装置42の作業位置を圃場条件等に合わせて調節することができ、作業能率が向上する。
【0044】
さらに、左右回動アーム26と左右リンクアーム28とが遊動機能を有する左右ワイヤー66によって連結されていることによって、左右引起こし装置42が圃場の起伏に合わせて自由に上下動するので、左右引起こし装置42の作業位置が適正になり、作業能率が向上する。
【0045】
また、左右掻き上げ装置49が左右引起し装置42に連結されていることによって、左右引起し装置42の作業位置が変わると、左右掻き上げ装置49の作業位置も連動して変わり、掻き込み装置74への茎葉の掻き上げ効率が変化しにくいので、作業能率を安定させることができる。
【0046】
そして、左右掻き上げ装置49の上端部の左右間隔が、下端部の左右間隔と略同一または下端部の左右間隔よりも上端部の左右間隔の方が広くなるように設けられていることによって、左右掻き上げ装置49の後部上端で茎葉が詰まって搬送装置Fに落下しなくなることが防止されるので、作業能率が向上する。
【0047】
さらに、左右案内ガイド32は、その後端部が機体外側方向に向けて開放されていると共に、搬送装置Fの上方且つ機体後方に向けて後上り傾斜姿勢に設けていることによって、茎葉を搬送装置F上に載るように誘導することができるので、圃場に落下する茎葉が少なくなり、圃場に落ちた茎葉を回収する作業が省略されて作業者の労力が軽減されると共に、左右案内部材32の終端部に茎葉が詰まることが防止でき、作業能率が向上する。
【0048】
また、搬送装置Fの搬送始端部上方且つ左右引起し装置42の間に掻き込み装置74が設けられていることによって、刈取装置Eで刈り取られた茎葉が搬送装置Fに掻き込まれるため、刈り取られた茎葉が搬送装置Fに載り易くなり、圃場に落下する茎葉が少なくなるため作業能率が向上すると共に、茎葉の回収作業が省略されるため作業者の労力を軽減することができる。
【0049】
次に、刈取装置Eの構成について説明する。
前記左右フレーム41の前端下部にレシプロカッター51を取り付け、左右フレーム41の左右一側部にモータ(刈取モータ)52を取り付け、該モータ52の駆動軸53に偏心カム54を取り付けると共に、該偏心カム54をレシプロカッター51に取り付けている。
【0050】
次に、搬送装置Fの構成について説明する。
前記左右フレーム41の前後端にローラ55a,55bを取り付け、該ローラ55a,55b間に弾性材より構成する平ベルト56を巻き掛けると共に、ローラ55bの回動軸にモータ57を取り付ける。そして、前記左右フレーム41の略中央部下部に左右フレーム41を連結する第1繋ぎフレーム58を取り付け、該第1繋ぎフレーム58とフレーム6との間にシリンダ59を取り付ける。また、前記左右フレーム41を連結する第2繋ぎフレーム60と第3繋ぎフレーム61を、左右フレーム41の前部下部に取り付ける。そして、左右転輪63を各々左右アーム63aに取り付け、該左右アーム63aを第3繋ぎフレーム61に上下方向に回動自在に取り付けると共に、第2繋ぎフレーム60にシリンダ62の基部を枢着する。また、各左右アーム63aの上端より後部に延出した左右延出部材63bの後部に左右シリンダ62の前端を枢着している。
【0051】
上記のように、刈り取られた茎葉が弾性材より構成される平ベルト56の上面に載せられて搬送されることによって、茎葉が潰されたり引き摺られたりして傷付きにくくなると共に、搬送途中に選別作業を行えるので作物の商品価値を高めることができる。
【0052】
また、操作レバー19cを操作してシリンダ59及び左右シリンダ62を伸縮させることによって、搬送装置Fの平ベルト56と左右転輪63との傾斜角度を作業条件に適した角度に調節することができ、刈取装置Eで茎葉が刈り取られやすくなると共に、刈り取られた茎葉が搬送装置Fに載り易くなり作業能率が向上する。
【0053】
次に、収容部Gの構成について説明する。
前記フレーム6の後部に回動軸94を取り付け、該回動軸94に茎葉を収容する収容袋23を載置する載置台64を折りたたみ可能に取り付けると共に、左右フレーム41に収容袋23を吊り下げる吊り下げ枠93を取り付けている。
【0054】
上記のように、茎葉を収穫する収容袋23を吊り下げ枠93のフックに吊り下げて取り付けていることにより、該収容袋23が茎葉で満杯になったときは吊り下げ枠93のフックから満杯になった収容袋23を外して載置部Cの載置板22等に載置し、新しい収容袋23を吊り下げ体93のフックに引っ掛けるだけで収容を再開できるので、交換作業が簡単になる。
【0055】
また、載置部Cの載置板22と収容部Gの載置台64が折りたたみ可能であることによって、該載置板22と載置台64とを折りたたむことによって機体サイズをコンパクトにすることができ、軽トラック等にも積み込みやすくなる。
【0056】
なお、本実施例では茎葉を収容する手段として収容袋23を例示しているが、載置台64上にコンテナ等を載置して茎葉を収容してもよい。
以下、本件甘藷の茎葉収穫機の別実施例を説明する。
【0057】
図3、図4で示すように、フレーム6の左右前端下部に左右ステー24を、左右クローラ1L,1Rよりも前方且つ後述する刈取装置Eよりも後側上方に取り付け、該左右ステー24の左右間に連結軸25を取り付けると共に、該連結軸25に左右リンクアーム76を上下方向に回動自在に取り付ける。そして、左右リンクアーム76の前端上部に左右ステー77を取り付け、該左右ステー77を、左右引起こし装置42に取り付ける。さらに、該左右引起こし装置42の下部に、左右橇体36を取り付ける。
【0058】
また、前記フレーム6の右側前端上部に支持フレーム27を取り付ける。さらに、該支持フレーム27及び操縦部Bの操縦台17の上端部に左右リンクアーム75の基部を各々独立して上下方向に回動自在に取り付けると共に、先端部を左右引起こし装置42の上部に取り付ける。また、該支持フレーム27及び操縦部Bの操縦台17の略中央部に左右固定フレーム29を取り付ける。そして、該左右固定フレーム29の機体外側下部と左右回動アーム26の略中央部との間に左右バランススプリング30を取り付けると共に、該左右固定フレーム29の機体内側上部と左右リンクアーム75の略中央部に左右シリンダ31を取り付けて、左右リンク機構78を構成する。
【0059】
上記のように構成することによって、左右引起こし装置42は左右リンク機構78によって支持されるので、昇降レバー19a,19bを操作して左右シリンダ31を伸縮させ、左右リンクアーム75を上下動させても左右引起こし装置42の傾斜があまり変化しないため、左右引起こし装置42の作業位置を変更しても茎葉の引起こし効率が変わりにくいので、作業能率が安定する。
【0060】
また、左右リンクアーム76が左右バランススプリング30によって上動方向に付勢されていると共に、左右引起こし装置42の下部に左右橇体36が取り付けられていることによって、左右引起こし装置42は圃場の起伏に応じて自由に上下動して、左右引起こし装置42の作業位置が適正になるので、作業能率が向上する。
【0061】
図5、図6で示すように、搬送装置Fの終端部にバイブレータ79を取り付け、終端部両側に取り付ける左右ステー80に左右ワイヤー81等で連結すると共に、該左右ステー80にスノコ状の伸縮式シュータ82を機体後方に向けて取り付ける。また、収容部Gの載置台64の終端中央部にボス83を取り付け、該ボス83に茎葉を回収する牽引車84を取り付ける。そして、載置台64上且つシュータ81の下方に害虫回収箱85を載置する。
【0062】
上記のように構成することによって、搬送装置Fの終端部まで搬送された茎葉は、バイブレータ79によって振動させられるスノコ状のシュータ82を通過するので、茎葉に付いている害虫等をスノコ部から害虫回収箱85へと振るい落としてから牽引車84で回収することができ、茎葉の商品価値が向上すると共に、収穫作業後に茎葉から害虫等を取り除く作業を省略でき、作業者の労力を軽減することができる。
【0063】
また、シュータ82が伸縮自在であることによって、牽引車84に茎葉を投入する位置を変更することができ、茎葉を牽引車84に均一に投入することができるので、茎葉の回収量を増加させることができる。
【0064】
なお、害虫回収箱85に殺虫効果のある薬剤i等を入れておくと、回収した害虫が箱から逃げ出して再び茎葉に付くのを防止することができるので、茎葉の商品価値が向上する。
【0065】
図7で示すように、害虫回収箱85の上部に、カーテン86と網体90とを取り付けた網付枠87を取り付ける。
上記のように構成することによって、シュータ82から茎葉が落下しても、茎葉は網体90によって害虫回収箱85内に入るのを防止されるので、収穫作業後に落下した茎葉を回収することができ、収穫量を増やすことができる。
【0066】
また、網付枠87にカーテン86を取り付けることによって、害虫回収箱85に害虫の好む暗所が形成され、害虫が害虫回収箱85から逃げ出して再び茎葉に付くのを防止することができるので、茎葉の商品価値が向上する。
【0067】
また、害虫回収箱85に殺虫効果のある薬剤i等を入れておくと、回収した害虫が箱から逃げ出して再び茎葉に付くのを防止することができるので、茎葉の商品価値が向上する。
【0068】
図8で示すように、収容部Gの吊り下げ枠93の内側にシュータ88を上下方向に回動自在に取り付ける。
上記のように構成することによって、害虫等の少ない圃場や牽引車84を装着しての旋回動作が困難な圃場では、シュータ88を下降させて吊り下げ枠93に収容袋23を取り付けて茎葉の回収を行い、害虫の多い圃場ではシュータ88を上昇させ、牽引車84を取り付けて茎葉の回収を行うことができるので、作業条件に応じた作業形態の切り換えが容易であり、作業能率が向上する。
【符号の説明】
【0069】
1L 走行装置(左右クローラ)
1R 走行装置(左右クローラ)
6 機枠(フレーム)
19c 操作レバー
26 左右支持部材(左右回動アーム)
28 左右リンク部材(左右リンクアーム)
30 左右バネ部材(左右バランススプリング)
31 左右アクチュエータ(左右シリンダ)
36 左右接地部材(左右橇体)
41 左右フレーム
42 左右引起こし装置
49 左右掻き上げ装置
50 掻き込みローラ
67 掻き込み爪
51 レシプロカッター
52 モータ(刈取モータ)
54 偏心カム
62 シリンダ
63 転輪
63a 左右アーム
64 載置台
66 左右連結部材(左右ワイヤー)
67 掻き込み爪
68 回動軸
73 油圧モータ(掻き込みモータ)
74 掻き込み装置
E 刈取装置
F 搬送装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機枠(6)の下部に機体を走行させる走行装置(1L,1R)を設け、該機枠(6)の上部に収穫した茎葉を機体後方に搬送する搬送装置(F)を設け、該搬送装置(F)で搬送されて来た茎葉を収容する収容体(23)を載置する載置台(64)を機枠(6)の後部に設けた茎葉収穫機において、該搬送装置(F)の前端部に茎葉を刈り取る刈取装置(E)を設け、該搬送装置(F)の傾斜角度を変更して刈取装置(E)の傾斜角度を変更して刈取高さを調節可能に構成し、該刈取装置(E)の上方に刈取装置(E)で刈り取った茎葉を搬送装置(F)に掻き込む掻き込み装置(74)を設け、前記搬送装置(F)のフレーム(41)にアーム(63a)を回動自在に設け、該アーム(63a)の下端部に転輪(63)を設け、前記アーム(63a)の傾斜角度を変更する操作レバー(19c)を設けたことを特徴とする茎葉収穫機。
【請求項2】
前記掻き込み装置(74)を、掻き込みローラ(50)に掻き込み爪(67)を取り付け、該掻き込みローラ(50)の中心部に回動軸(68)を設け、該掻き込みローラ(50)の左右一側に回転用の掻き込みモータ(73)を設けて構成したことを特徴とする請求項1記載の茎葉収穫機。
【請求項3】
前記刈取装置(E)は、搬送装置(F)のフレーム(41)の前端下部にレシプロカッタ(51)を設け、該フレーム(41)の一側部にレシプロカッタ(51)を駆動する刈取モータ(52)を設け、該刈取モータ(52)に偏心カム(54)を設け、該偏心カム(54)をレシプロカッタ(51)に配置して構成することを特徴とする請求項1記載の茎葉収穫機。
【請求項4】
前記機枠(6)の左右両側に各々独立して回動自在な左右の支持部材(26,26)を設け、該支持部材(26,26)の前部に茎葉を引き起こす左右の引起し装置(42,42)を設け、前記支持部材(26,26)と機枠(6)との間に支持部材(26,26)を上動方向に付勢する左右のバネ部材(30,30)を設け、前記引起し装置(42,42)の下部に前記橇体(36,36)を設けたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の茎葉収穫機。
【請求項5】
前記機枠(6)側に基部を装着した左右のリンク装置(28,28)を左右のアクチュエータ(31,31)によって上下動自在に設け、該リンク装置(28,28)と支持部材(26,26)を遊動機能を有する左右の連結部材(66,66)で連結したことを特徴とする請求項4記載の茎葉収穫機。
【請求項6】
前記引起し装置(42,42)に、引起し装置(42,42)で引き起こした茎葉を掻き込み装置(74)に引き継がせる左右の掻き上げ装置(49,49)を設け、該掻き上げ装置(49,49)の上端部の左右間隔を下端部の左右間隔と同じかあるいは下端部よりも広く構成したことを特徴とする請求項4または5記載の茎葉収穫機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−62214(P2011−62214A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−290470(P2010−290470)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【分割の表示】特願2006−248225(P2006−248225)の分割
【原出願日】平成18年9月13日(2006.9.13)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】