説明

茶こし付急須

【目的】 茶こしの大きさや急須本体の大きさ或いは急須本体の内壁に形成された係止部の形成位置に多少の誤差が生じている場合であっても、さらには長期間の使用により茶こしが変形した場合であっても、該茶こしと急須本体の底部上面とが当接することのない急須付茶こしを提供する。
【構成】 急須本体2と、この急須本体内の内壁5dに周縁3aが圧接され又は係止部に係止された状態で装着されてなる網状の茶こし3と、を備えてなり、上記急須本体2の底部上面2aには、注ぎ口6と対向する内壁5d方向から該注ぎ口6方向に、長い一又は二以上の凸条4,若しくは複数の凸部34が形成されてなる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、急須本体内の内壁に周縁が圧接し又は係止部に係止されて装着されてなる茶こし付急須に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、急須には、茶をこすための茶こしが装着されているものが数多く提案され、中でも、実開平2−103369号公報や実開平2−148623号公報に記載されている茶こし付急須のように、金属網からなる茶こしの一端を注ぎ口よりも上方に圧接し、他端を該注ぎ口とは反対方向の内壁に圧接し又は該急須本体の内壁内に形成された係止部に係止した状態で装着されている茶こし付急須によれば、お湯と茶葉との接触面積が増大されることから美味しいお茶を入れることができる。また、この茶こし付急須によれば、茶こしと急須本体の底部上面とは離間されていることから、一度お茶を入れた後に急須本体内に残ったお湯により茶葉がふやけてしまうことを有効に防止することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述した茶こし付急須では、金属網からなる茶こしが装着される急須本体に対して必ずしも正確に切断されない場合や網の固さ等も一様でない場合が多く、また、急須の大きさ或いは急須本体の内壁に形成された係止部の形成位置の誤差等により、必ずしも上述したように茶こしと急須本体の底部上面とが離間した状態で装着されない、すなわち茶こしの下面が急須本体の底部上面に当接してしまう場合がある。また、当初は茶こしが適性に装着されている場合であっても、使用者により上記茶こしを上方から下方に強く押圧する等して洗浄され、又はこれが繰り返されることにより、徐々に網が変形され上述のように茶こしと急須本体の底部上面とが当接するまで該茶こしが垂れ下がってしまう場合がある。
【0004】そこで、本発明は、上述した従来の茶こし付急須が有する課題を解決するために提案されたものであって、茶こしの大きさや急須本体の大きさ或いは急須本体の内壁に形成された係止部の形成位置に多少の誤差が生じている場合であっても、さらには茶こしが変形した場合であっても、該茶こしと急須本体の底部上面とが当接することのない急須付茶こしを提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、上述した目的を達成するために提案されたものであって、急須本体と、この急須本体内の内壁に周縁が圧接され又は係止部に係止された状態で装着されてなる網状の茶こしと、を備えてなり、上記急須本体の底部上面には、注ぎ口と対向する内壁側から該注ぎ口方向に、長い一又は二以上の凸条若しくは複数の凸部が形成されてなることを特徴するものである。なお、上記凸条又は凸部は、急須本体と一体成形されてなるものであっても良く、さらに上記凸条又は凸部の高さは、急須本体の大きさや高さ等により異なるが、少なくとも急須本体内に残ったお湯の量から1mmの高さとされている必要があり、上限は急須の容量にも依るが入れられたお湯にお茶が浸ることが必要であることから急須本体の高さの1/3以下例えば10mmの高さとすれば良く、通常の急須では3mm〜5mmとするのが好ましい。
【0006】
【作用】本発明に係る茶こし付急須によれば、一又は二以上の凸条若しくは複数の凸部が形成されてなるので、たとえ茶こし等の大きさに誤差が生じたり或いは茶こしが変形した場合であっても、茶こしはこれら凸条等の上端に当接しそれ以上下方に移動又は垂れ下がることがないので、急須本体内に残ったお湯により茶葉がふやけることがない。したがって、二番茶や三番茶も一番茶と同じように美味しいお茶を入れることができる。特に、本発明を構成する上記凸条等は、注ぎ口と対向する内壁から該注ぎ口方向に長く、又は注ぎ口方向に複数成形されているので、急須本体内のお茶を注ぎ口から注ぐ場合に大きな抵抗として作用することがないとともに、茶こしが注ぎ口方向で急須本体の底部上面に垂れ下がる場合、該注ぎ口方向とは反対方向(注ぎ口と対向する内壁側で垂れ下がる場合、或いは中央部分で垂れ下がる場合であっても茶葉がふやけることを有効に防止することができる。さらに、作業者が急須本体内に茶こしを装着する場合、急須本体の底部上面には上記凸条等が形成されているので、茶こしが急須本体の底部上面に当接しないよう微妙に力を加減をする必要はなく、したがって迅速に茶こしの装着作業を行うことができる。
【0007】
【実施例】以下、本発明の各実施例に係る茶こし付急須について図面を参照しながら詳細に説明する。先ず、第1の実施例に係る茶こし付急須について、図1乃至図5を参照しながら詳細に説明する。
【0008】この第1の実施例に係る茶こし付急須1は、図1及び図2に示すように、鋳込み成形された陶器製の急須本体2と、この急須本体2内に装着されてなる金属製の茶こし3とからなり、上記急須本体2の底部上面2aには、本発明を構成する凸条4が形成されてなるものである。
【0009】上記急須本体2は、内部にお湯が収容される収容部5と、この収容部5内の液体であるお茶を外部に注ぐ注ぎ口6とから構成されている。そして、上記収容部5の上方には、この周収容部5内に図示しないお湯やお茶を充填する開口5aが形成され、この開口5aには図示しない蓋体が載置される段部5bが形成されている。また、この収容部5の壁面には注ぎ口6と連通してなる通孔5cが形成されている。また、前記茶こし3は、金属網ならる平板状の網体が略楕円形状に切断されてなるものであって、上記急須本体2に形成された開口5aから挿入され、図1に示すように、周縁3aが急須本体2を構成する収容部5の内壁5dに圧接されてなるものである。また、上記凸条4は、図1及び図2に示すように、急須本体2を構成する収容部5の底部上面2aであって、上記注ぎ口6とは反対方向から該注ぎ口6方向に長いものとされ、本実施例においては、図3に示すように、急須本体2が成形された後に固定されるものであって、高さは約4mmとされている。
【0010】上述した構成に係る茶こし付急須1によれば、茶こし3の大きさや急須本体2の大きさに誤差が生じている場合であっても、上記凸条4により、該茶こし3が急須本体2の底部上面2aに当接してしまうことがない。また、上記凸条4は、注ぎ口6とは反対方向から該注ぎ口6方向に長いものとされていることから、茶こし3の装着作業の際又は繰り返しの使用や洗浄等により、図4に示すように、注ぎ口6側が垂れ下がった場合であっても、或いは図5に示すように、該注ぎ口6とは反対方向が垂れ下がった場合であっても、茶こし3が底部上面2aに当接することがない。したがって、茶こし3が変形等した場合であっても、急須本体内に残ったお湯により茶葉がふやけてしまうことがなく、二番茶や三番茶も一番茶と同じように美味しいお茶を入れることができる。また、この茶こし付急須1によれば、茶こし3を急須本体2に装着する場合において、該茶こし3が急須本体2の底部上面2aに当接しないよう微妙な力加減をして行う必要はないので、迅速な茶こし3の装着作業を行うことができる。
【0011】なお、本発明に係る茶こし付急須は、上記第1の実施例で説明したように、必ずしも注ぎ口6とは反対方向から該注ぎ口6方向に亘って長い一つの凸条4を形成した物ばかりではなく、本発明の第2の実施例として図6及び図7に示す茶こし付急須10のように、注ぎ口16とは反対方向から該注ぎ口16方向に亘って複数の(この実施例においては四つの)凸条17・・・20が形成されているものであっても良い。
【0012】すなわち、この第2の実施例に係る茶こし付急須10は、急須本体12と、この急須本体12を構成する収容部15内に圧入されてなるとともに係止部21により一端が係止された状態で装着されてなる金属網からなる茶こし13と、急須本体12の底部上面12aに一列に形成されてなり複数の凸条17・・・20とから構成されてなるものである。なお、この第2の実施例に係る茶こし付急須10を構成する各凸条17・・・20は、図8に示すように、急須本体12と一体成形されてなるものである。
【0013】このような構成に係る茶こし付急須10による場合であっても、茶こし13の垂れ下がりにより茶葉がふやけることを有効に防止することができる等、前記第1の実施例に係る茶こし付急須1と同じ作用効果を奏することができる。特に、この第2の実施例に係る茶こし付急須10は、前述のように、各凸条17・・・20は、急須本体と一体成形されてなるものであることから、第1の実施例に係る茶こし付急須1のように、急須本体2の成形の後に凸条4を固定する作業が不要となり、一層迅速に製造することができる。
【0014】また、上記第1及び第2の実施例に係る茶こし付急須1,10では、いずれも凸条4,17・・・20を急須本体2,12の底部上面2aに形成した物を図示して説明したが、第3の実施例として図9及び図10R>0に示す茶こし付急須30のように、急須本体32の底部上面32aに注ぎ口36方向に多数の凸部34が形成されてなるものであっても良い。このような構成に係る茶こし付急須30による場合であっても、前記第1の実施例に係る茶こし付急須と同様な作用効果を奏することができる。
【0015】なお、前記第1乃至第3の実施例に係る各茶こし付急須1,10,30に形成された凸条4,17・・・20或いは凸部24の縦断面形状は、必ずしも方形状又は円弧状とされている必要はなく、台形状,三角形状等他の形状とされてなるものであっても良い。
【0016】
【発明の効果】前記各実施例の説明からも明らかなように、本発明に係る茶こし付急須によれば、一又は二以上の凸条若しくは複数の凸部が急須本体の底部上面に形成されてなるので、たとえ茶こし等の大きさに誤差が生じたり或いは茶こしが変形し垂れ下がった場合であっても、茶こしはこれら凸条等に当接しそれ以上下方に移動することがないので、お茶を湯飲み等に注いだ後に急須本体内に戻ったお茶によって茶葉がふやけることがない。したがって、二番茶や三番茶も一番茶と同じように美味しいお茶を入れることができる。特に、本発明を構成する上記凸条等は、注ぎ口方向に長く成形されているので、急須本体内の液体であるお茶を注ぎ口から注ぐ場合に大きな抵抗として作用することがないとともに、茶こしが注ぎ口側において急須本体の底部上面に垂れ下がった場合、該注ぎ口側とは反対方向において垂れ下がった場合、或いは中央部分で垂れ下がった場合の何れの場合であっても茶葉がふやけることを有効に防止することができる。さらに、作業者が急須本体内に茶こしを装着する場合、急須本体の底部上面には上記凸条等が形成されているので、茶こしが急須本体の底部上面に当接しないよう微妙な力加減をする必要はなく、したがって迅速な茶こしの装着作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、第1の実施例に係る茶こし付急須を示す正断面図である。
【図2】図2は、図1に示す茶こし付急須であって茶こしを一部破断した状態を示す平断面図である。
【図3】図3は、図1に示す茶こし付急須の側断面図である。
【図4】図4は、茶こしの前方側(注ぎ口側)が垂れ下がった状態を示す正断面図である。
【図5】図5は、茶こしの後方側(注ぎ口とは反対側)が垂れ下がった状態を示す正断面図である。
【図6】図6は、第2の実施例に係る茶こし付急須を示す正断面図である。
【図7】図7は、図6に示す茶こし付急須であって茶こしを一部破断した状態を示す平断面図である。
【図8】図8は、図6に示す茶こし付急須の側断面図である。
【図9】図9は、第3の実施例に係る茶こし付急須を示す正断面図である。
【図10】図10は、図9に示す茶こし付急須であって茶こしを一部破断した状態を示す平断面図である。
【符号の説明】
1 茶こし付急須
2 急須本体
3 茶こし
4 凸条
10 茶こし付急須
12 急須本体
13 茶こし
17 凸条
18 凸条
19 凸条
20 凸条
30 茶こし付急須
32 急須本体
33 茶こし
34 凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】 急須本体と、この急須本体内の内壁に周縁が圧接され又は係止部に係止された状態で装着されてなる網状の茶こしと、を備えてなり、上記急須本体の底部上面には、注ぎ口と対向する内壁側から該注ぎ口方向に、長い一又は二以上の凸条若しくは複数の凸部が形成されてなることを特徴する茶こし付急須。
【請求項2】 上記凸条又は凸部は、急須本体と一体成形されてなることを特徴とする請求項1記載の茶こし付急須。
【請求項3】 上記凸条又は凸部の高さは、1mm〜10mmとされてなることを特徴とする請求項1又は2記載の茶こし付急須。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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