説明

茶呑み容器

【課題】 急須やポットを使用することなく、茶湯を飲むことができるようにする。
【解決手段】 容器本体10に通水性の茶葉収納部11を設ける。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
この考案は、緑茶、紅茶、烏龍茶などの茶葉からの茶湯を飲むための湯呑み茶碗、紅茶カップ等の茶呑み容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
緑茶の茶湯を飲む場合、通常は急須に緑茶の茶葉を入れ、湯を注いで暫く待った後、急須を持ち上げて傾け、急須内の茶湯を湯呑み茶わんに注ぎ出している。
又、紅茶の場合はポットに紅茶の茶葉を入れ、同様に湯を注いで暫く待った後、ポットを持ち上げて傾け、ポット内の茶湯を紅茶カップに注ぎ出す。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
このため、急須やポットの使用が必要であり、場合によっては茶碗やカップに茶湯を注ぎ出す際に、急須やポットを誤って落とし、茶湯で卓上を汚したり、急須やポットを破損したりすることがあった。又、洗う際は茶碗のほかに急須やポットをも洗わねばならない。急須内に茶漉しを使用している場合は、茶漉しを急須から取り出して茶殻を捨てた後、急須ともども茶漉しも洗わなければならない。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本考案は、上記に鑑み、急須やポットを使用することなく茶を飲むことができるようにした茶呑み容器を提供するために開発されたもので、容器本体の内部に通水性の茶葉収納部を設けたことを特徴とする。
【0005】
【考案の実施の形態】
上記茶葉収納部の下端を容器本体の内部の底から上に離すことが好ましい。
【0006】
【実施例】
図示の各実施例において、10は容器本体、11は茶葉収納部を示し、容器本体10は陶器(セラミック)でもよいし、金属板、プラスチックの成形品でもよい。
【0007】
図1の実施例では、茶葉収納部11は容器本体10と一体の仕切壁12によって本体の内部上方に形成してあり、仕切壁12には多数の細孔13が設けてある。
【0008】
図2の実施例では、茶葉収容部11は容器本体10の外部上方に一体に形成してあり、茶葉収容部11によって囲まれた容器本体の壁10′には多数の細孔13が設けてある。
【0009】
図3の実施例では、茶葉収納部11は容器本体とは別体の網袋14からなり、網袋の上端を取付けた口枠14′には容器本体の上縁に折返し状に引掛けて容器本体の外に下がる支持具15が設けてある。従って、支持具15により網袋14を容器本体10内に位置させて吊り下げることができる。
【0010】
網袋14、その口枠14′、支持具15は、例えばプラスチックで一体に形成してもよいし、支持具15と口枠14′をプラスチックで一体に成形するか、金属線、例えばステンレス鋼線を溶接して一体に成形し、別体の網袋14の上縁部を口枠14′に取付けてもよい。
【0011】
図4の実施例は、容器本体10の内壁に2つの縦溝16,16を形成し、この両縦溝16,16に網18を有する仕切枠17の両側縁をスライドさせて落し込み、仕切枠17によって容器本体の内部に茶葉収納部11を仕切って設けたのである。仕切枠17と網18はプラスチックで一体に成形してもよいし、別体に成形し、接着などで構成してもよい。
【0012】
以上、いずれの実施例の場合も、茶葉収納部11に必要量の茶葉Tを入れ、容器本体内に湯を注ぎ入れることにより茶湯になる。従って、容器本体の上縁の、茶葉収納部以外の個所に口を付け、容器を傾けて喫飲できる。
【0013】
紅茶茶碗のように把手がある場合は、図1,図4の実施例では茶葉収容部の外側に位置する容器本体の外に破線で示すように把手19を設ければよい。又、図3の実施例では破線で示した把手19の内側の近くで網袋14を容器本体の内部に吊り下げればよい。
【0014】
又、図1の実施例では仕切壁12の上部に凹部20を設け、図3の実施例では仕切枠17の上部に凹部20を設けることにより、喫飲の際、容器本体の底部の茶湯まで飲むために容器本体を大きく傾けたとき、鼻が茶葉収納部に当るのを防ぐことができる。
【0015】
そして、図1,図2,図3の実施例に示したように、茶葉収納部11の下端11′を容器本体の内部の底から上に離すことが好ましい。それは、容器本体内の湯の液面Wが茶葉収納部11の下端11′よりも下になると、茶葉収納部内の茶葉Tは湯と接触しなくなるため、茶葉から成分が過剰に湯に抽出するのが防がれ、おいしい茶湯を回数多く喫飲できるからである。
【0016】
洗う際は、図1,図2の実施例では茶葉収納部内の茶を捨てて洗えばよい。又、図3の実施例では支持具ごと網袋を容器本体から外し、網袋内の茶殻を捨て、網袋と容器本体とを洗う。図4の実施例では仕切枠を容器本体から外し、容器本体内の茶殻を捨て、容器本体と仕切枠を洗う。
【0017】
【考案の効果】
以上のように本考案によれば急須やポットを使用することなく、茶湯を喫飲できる。従って、急須やポットを使用して茶湯をこぼしたり、破損したりすることが防げる。その上、急須やポットを洗う手間が省ける。そして、喫飲の際は茶葉の香りを鼻で嗅ぐことができるため、味と香りを楽しむことができる。
【0018】
そして、請求項2に記載したように、茶葉収納部の下端を容器の内部の底から上に離すと、容器本体内の茶湯の液面が茶葉収納部の下端よりも下がることにより茶葉収納部内の茶葉の成分が湯に抽出されなくなるため、おいしい茶湯を回数多く喫飲できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は本考案の茶呑み容器の第1実施例の斜視図、(B)は(A)のB−B線での断面図である。
【図2】(A)は本考案の茶呑み容器の第2実施例の斜視図、(B)は(A)のB−B線での断面図である。
【図3】(A)は本考案の茶呑み容器の第3実施例の斜視図、(B)は(A)のB−B線での断面図、(C)は網袋としての茶葉収納部の斜視図である。
【図4】(A)は本考案の茶呑み容器の第4実施例の平面図、(B)は(A)のB−B線での断面図、(C)は茶葉収納部を形成する仕切り枠の斜視図である。
【符号の説明】
10 容器本体
11 茶葉収納部
11′ 茶葉収納部の下端
T 茶葉

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 容器本体に通水性の茶葉収納部を設けたことを特徴とする茶呑み容器。
【請求項2】 容器本体に通水性の茶葉収納部を設け、この茶葉収納部の下端を容器本体の内部の底から上に離したことを特徴とする茶呑み容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【登録番号】第3043433号
【登録日】平成9年(1997)9月3日
【発行日】平成9年(1997)11月18日
【考案の名称】茶呑み容器
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願平9−3938
【出願日】平成9年(1997)5月15日
【出願人】(597067507)