説明

茶葉摘採機

【課題】吹出口に生ずる振動に起因する高さ及び幅の変動を防止し、吹出口の高さを一定に保持することができる茶葉摘採機を提供する。
【解決手段】移送ダクト50の後面部54と背面ダクト40の下面部44との間に、振動規制部材56を設けて、背面ダクト40内の圧力風によって、下向きの圧力風と上向きの圧力風とを隔てている移送ダクト50の後面部54に発生する振動を規制する。この振動規制部材56によって移送ダクト50の後面部54の振動が規制されるので、吹出口55の高さ(h1)及び幅(w1)を一定に保持することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、茶葉摘採機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、茶樹から茶葉枝を刈り取る刈刃に対して、内部に空気流を流す移送ダクトと、この移送ダクトの刈り取り方向後方側に、移送ダクトに沿って併設された背面ダクトとを備え、背面ダクト内に取り込まれた下向きの圧力風が、上昇流として移送ダクト内に送り込まれることによって、刈り取り後の茶枝葉を所定の位置に向けて移送する茶葉摘採機が提案されている。
【0003】
【特許文献1】特開2006−50963号公報(図1,4参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記した従来の茶葉摘採機にあっては、背面ダクトから移送ダクトに圧力風を吹き出す吹出口は、茶枝葉を安定的に移送するために幅方向に亘りほぼ均一な開口形状(高さ及び幅、詳しくは後述する)を保つことが求められている。
しかしながら、下向きの圧力風と上向きの圧力風とを隔てている移送ダクトの後面部は、その幅方向中央部の剛性が幅方向両端部の剛性よりも低いために、背面ダクト内の圧力風によって幅方向中央部が振動して、吹出口の開口形状(高さ及び幅)が幅方向に亘って不均一(特に幅方向中央部の振動による移送ダクトの後面部の膨らみが大きい)になるという問題があった。
開口形状(高さ及び幅)を一定に保持することができない吹出口にあっては、圧力風の流速が幅方向に亘って不均等になるので、吹出口から上向きに吹き出される圧力風が乱れ、茶枝葉をコンテナ側に安定的に移送することが出来ない。
【0005】
本発明は、こうした事情に鑑みてなされたものであり、吹出口に生ずる振動に起因する高さ及び幅の変動を防止し、吹出口の高さ及び幅を一定に保持することができる茶葉摘採機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため第1の発明は、茶樹から茶葉枝を刈り取る刈刃と、前記刈刃を下方側に有し、前記刈刃が刈り取った茶葉枝を圧力風により風送する移送ダクトと、前記移送ダクトの刈り取り方向後方側に前記移送ダクトに沿って併設された背面ダクトと、を備え、前記背面ダクト内に取り込まれた下向きの圧力風が、上向きの圧力風として前記移送ダクト内に送り込まれることによって、刈り取り後の茶枝葉を所定の位置に向けて移送する茶葉摘採機において、
前記移送ダクトの後面部と前記背面ダクトの下面部との間に、前記背面ダクト内の圧力風による前記移送ダクトの後面部の振動を規制する振動規制部材を備えていることを特徴とする。
【0007】
第1の発明によれば、振動規制部材を移送ダクトの後面部の幅方向中央部に設けたことによって、背面ダクト内の圧力風により発生する移送ダクトの後面部の幅方向中央部の振動は規制される。
これにより、移送ダクトの後面部の幅方向中央部が振動しなくなるので、吹出口に生ずる振動に起因する高さ及び幅の変動が防止され、吹出口の高さ及び幅を一定に保持することができるようになる。その結果、吹出口から吹き出る圧力風の風圧はほぼ均等になり、茶枝葉を安定的にコンテナ側に移送することが可能となる。
【0008】
上記目的を達成するため第2の発明は、第1の発明の構成に加えて、前記移送ダクトの後面部の幅方向全域と前記背面ダクトの下面部の幅方向全域との間に、前記振動規制部材を複数備えていることを特徴とする。
【0009】
第2の発明によれば、幅方向中央部にのみ振動規制部材を設けた場合と比較して、背面ダクト内の圧力風により移送ダクトに発生する振動は、より多くの振動規制部材によって移送ダクトの後面部の全幅に亘って規制される。
これにより、移送ダクトの後面部が、その幅方向に亘って振動しなくなるので、吹出口の高さ及び幅をより一定に保持することができるようになる。したがって、吹出口から吹き出る圧力風はより一層均等となり、茶枝葉を安定的にコンテナ側に位相することが可能となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、振動規制部材を移送ダクトの後面部の幅方向中央部に設けたことによって、背面ダクト内の圧力風により発生する移送ダクトの後面部の幅方向中央部の振動が規制されるので、吹出口に生ずる振動に起因する高さ及び幅の変動を防止することが可能な茶葉摘採機が実現する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を用いて本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0012】
図1は、茶樹から茶葉枝を刈り取る刈刃30と、刈刃30を下方側に有し、刈刃30が刈り取った茶葉枝を圧力風により風送する移送ダクト50と、移送ダクト50の刈り取り方向後方側に移送ダクト50に沿って併設された背面ダクト40と、を備え、背面ダクト40内に取り込まれた下向きの圧力風が、上向きの圧力風として移送ダクト50内に送り込まれることによって、刈り取り後の茶枝葉を所定の位置に向けて移送する茶葉摘採機100において、移送ダクト50の後面部54と背面ダクト40の下面部44との間に、背面ダクト40内の圧力風による移送ダクト50の後面部54の振動を規制する振動規制部材56を備えている搬送ダクト50及び背面ダクト40の概要を示す。
【0013】
詳述すると、本発明が適用された茶葉摘採機100は、図2及び図3に示すように、フレーム本体10、走行装置20、エンジン、送風ファン、刈刃30、背面ダクト40、移送ダクト50、茶葉分離枠60、コンテナ70を備えて構成されている。
【0014】
フレーム本体10は、茶畝を跨ぎながら走行可能となるように正面視門型に形成された前側フレーム11及び後側フレーム12と、これら前側フレーム11及び後側フレーム12の上部間を連結する左右一対の上部連結フレーム13と、前側フレーム11及び後側フレーム12の下端部間を連結する左右一対の下部連結フレーム14と、を備えて構成されている。
【0015】
前側フレーム11及び後側フレーム12は、その幅方向に延びる横フレーム部11a,12aが2重管構造によって伸縮自在とされていると共に、前側フレーム11の横フレーム部11aの幅方向中央部には、ラックアンドピニオン式の軌間伸縮機構が内蔵されており、茶葉摘採機100の軌間伸縮を可能としている。
【0016】
下部連結フレーム14には、図3に示すように、油圧式の駆動輪21、従動輪22、ゴム製或いは鉄製のクローラ23を備えた走行装置20が一体的に組み付けられている。一方の走行装置20の上方には、機体に装着された各種油圧アクチュエータを作動させるための作動油を貯留する油圧タンク(図示せず)が配設されていると共に、他方の走行装置20の上方には、茶葉摘採機100の動力源としてのエンジンの燃料タンク(図示せず)が配設されている。
なお、走行装置20は、クローラを用いたものに限定されるものではなく、例えば、車輪、レール式等であってもよい。
【0017】
前側フレーム11の上面部は、オペレータや重量物を搭載可能とする上部デッキであって、図2に示されるように、この上部デッキの幅方向一端部側には、操縦部15、操作ハンドル16及び操縦席17(図3に図示)、幅方向他端部側には、油圧ポンプ一体型のエンジン(図示せず)、幅方向中央部には、送風機(図示せず)が配設されている。
【0018】
操縦部15は、機体操作及び茶園管理作業(摘採作業)を行うための制御ユニットが組み込まれたタッチパネル式(例えば、入力数値としては刈刃30の刈り取り高さ、軌間伸縮量等)の入力操作表示部、イグニションスイッチ、作業形態に応じて入力操作表示部の表示高さと実際の剪枝高さとに誤差を生じさせないための作動切換スイッチ等(いずれも図示せず)を備えている。
【0019】
さらに、この操縦部15の制御ユニットは、車載された各種検出手段からの検出値や走行履歴情報、入力情報等に基づいて摘採装置の姿勢制御、例えばきめ細かな刈り取り高さ制御等を行うように予め設定されていると共に、GPS(Global Positioning System、ナビゲーションシステムのこと)による走行履歴情報、例えば走行距離情報、走行スピード情報等を記憶、表示、且つ通信回線を介して送出可能とする機能を備えている。
【0020】
なお、GPSの構成に代えて、制御ユニットから送出された走行距離情報、走行スピード情報及び作業内容(例えば、日付・時間・作業時間・天候・作業場所・作業の種類・作業条件等の情報データ)を、茶葉摘採機10に搭載した図示しない制御機器(例えば、PCL:プログラマブルロジックコントローラ)に自動的に記憶格納するように構成することが可能である。そして、この制御機器とパソコンとを繋ぐことによって、制御機器内部に記憶格納した情報データがパソコンから取り出される。これにより、GPSを用いることなく作業の内容を容易に管理することが可能となり、しかも、茶葉摘採機10のコストを抑えることができる。
【0021】
この操縦部15の後方に、平面視T字状の操作ハンドル16(図2に図示)、オペレータが着座する操縦席17(図3に図示)が配設されている。
【0022】
エンジンは、複数の通気孔が穿設された箱型のエンジンカバー18内に配設されている。このエンジンに一体化された油圧ポンプによって、走行装置20及び摘採作業用の各油圧アクチュエータに作動油が供給されるようになっている。各油圧アクチュエータに送られた作動油は、ファン式オイルクーラ(図示せず)で冷却されてから作動油タンクに戻されるようになっている。
【0023】
送風機は、操縦部15に隣接して配置されたファンカバー19内に配設されている。この送風機は、ベルト駆動式であり、茶樹から刈り取った茶枝葉をコンテナ70側に向かって移送する圧力風を発生すると共に、操縦席17横の切り替えレバー(図示せず)によって駆動、停止の切り替えが行われる。この送風機が発生した圧力風は、背面ダクト40にフレキシブル管(図示せず)を介して送風されるようになっている。
【0024】
この上部デッキと後側フレーム12との間には、刈刃30、背面ダクト40及び移送ダクト50が一体化された状態で昇降可能に配置されている。
【0025】
ここで、刈刃30及び背面ダクト40を移送ダクト50の一部とみなすと、この移送ダクト50は、図3に示すように、その下部が、後側フレーム12の脚部12bに沿って昇降可能に設けられた左右一対の第1の昇降体24に連結部材(図示せず)を介して連結固定されており、詳しくは後述するが、刈刃30の刈り取り高さ位置を調整できるようになっている。また、この第1の昇降体24は、コンテナ70を下方側から離脱可能に支持している。
【0026】
左右の第1の昇降体24間には、刈刃30の中心を左右の走行装置20の軌間中心に正確に位置合せを行う図示しない自動中心機構部(本出願人による特願2003−362170号「茶園乗用型作業機」参照)が組み付けられている。
さらに、この自動中心機構部には、後側フレーム12上部に取り付けられ、且つ制御ユニットにより駆動制御される図示しない油圧式の巻取装置から同期して繰り出される左右一対のチェーンの下端部がそれぞれ係止されており、チェーンの繰り出し或いは巻取りによって一対の第1の昇降体24を同期して昇降させることが可能となっている。これにより、第1の昇降体24の昇降動作に応じて移送ダクト50、茶葉分離枠60及びコンテナ70が昇降するようになっている。
茶葉分離枠60は、圧力風によって移送されてきた茶枝葉を圧力風から分離して下方側のコンテナ70内に落下させるための金網(図示せず)が張設されている。
【0027】
刈刃30の位置決めは、例えば、チェーンを巻き取るスプロケットの回動角度を検出する検出手段としてのポテンショメータからの検出値に基づいて、制御ユニットが、入力操作表示部を介して予め設定された刈取高さに刈刃が位置するように巻取装置を駆動制御することによって行われる。なお、刈刃30の高さ位置を検出するのはポテンショメータに限られたものでなく、例えば、他の機械式、光学式の検出手段を用いることが可能である。
【0028】
また、コンテナ70の中央側部は、後側フレーム12から上方に向かって延設された左右一対の延長フレーム12cに沿って昇降可能に設けられた一対の第2の昇降体25に下方側から支持されており、第2の昇降体25の昇降動作に応じてコンテナ70及び茶葉分離枠60が昇降移動するようになっている。
【0029】
第2の昇降体25の昇降移動は、第1の昇降体24と同様、後側フレーム12上部に取り付けられ、且つ制御ユニットにより駆動制御される図示しない油圧式の巻取装置から同期して繰り出される左右一対のチェーンによって行われるようになっており、チェーンの繰り出し或いは巻取りによって一対の第2の昇降体25を同期して昇降させることが可能となっている。
【0030】
これに応じて、移送ダクト50の上下方向中央部は、図4に示されたように、2つの後ろ向きの上部開口部52に連なった管部と、前向きの下部開口部53に連なった管部とが摺接可能とされた2重管構造の伸縮管部51が設けられており、上部開口部52に連なった管部が上下方向に伸縮自在となっている。つまり、コンテナ70上部の茶葉分離枠60に連なった上部開口部52がコンテナ70と共に昇降移動できるようになっている。また、後述するように、コンテナ70が機体後方側へ回動した際に、上部開口部52が伸縮管部51から切り離されるようになっている。
【0031】
コンテナ70は、周囲に通気孔付きパネル材を張り巡らせたアルミ枠で構成され、このコンテナ70を機体後方側に向かって回動可能に支持する枠体状のコンテナ支持フレーム71を介してフレーム本体10に支持されている。
また、フレーム本体10とコンテナ70との間には、コンテナ70を機体後方側に向かって回動させるための左右一対の転位用油圧シリンダ72及びリンク機構(図示せず)が配設されている。
【0032】
また、このコンテナ70は、その後面部が跳ね上げ式の排出扉73となっている。この排出扉73は、コンテナ70が機体後方側に向かって回動するのに連動して開動作するように構成されているものであって、排出扉73を開方向に常時付勢するガススプリング(図示せず)と、コンテナ70の底部及びコンテナ支持フレーム71の上部にそれぞれ回転可能に設けられた複数のスプロケット(図示せず)と、これら複数のスプロケットに互いに違いに噛み合わされた状態でコンテナ支持フレーム71と排出扉73との間に張架されたチェーン(図示せず)とを備えた開閉連動機構によって開閉可能となっている(より詳しくは、本出願人による特願2004−272442号「乗用型茶葉摘採機」参照)。
【0033】
ところで、茶樹から茶葉枝を刈り取る刈刃(上下2枚のバリカン刃)30は、図1に示すように、内部に下方から上方に向かって空気流が流れる移送ダクト50の下方側に配設され、かつ背面ダクト40の下面部44から着脱可能に張り出し支持された刈刃支持フレーム31に往復動可能に支持されているものであって、図2,3に示すように、移送ダクト50の前向きの下部開口部53から機体外側に張り出されたガード34によって防護された油圧モータ32(図4,6に図示)によって幅方向に往復駆動される。
なお、下部開口部53よりも機体外側に油圧モータ32を張り出したのは、茶樹幅(例えば1800mm)よりも幅広の刈刃(例えば1900mm)を用いることよって、刈り残しがないようにするためである。
また、油圧モータ32は、下部開口部53の一端部側に配置しても他端部側に配置してもどちらでもよい。
【0034】
油圧モータ32とエンジンの油圧ポンプとを結ぶ油路には、流量優先取出弁としてのプライオリティバルブ(図示せず)が介設されている。プライオリティバルブは、油圧ポンプが吐出する油圧(ポンプ流量)に関係なく、常に一定の油圧(流量)を優先して取り出すことができるバルブであって、エンジン回転数の増減にかかわらず刈り取り作業に応じた刈刃30の駆動スピードが常に得られる油圧を油圧モータ32に供給する。このため、エンジン回転数を増大すると送風機が発生する空気流は増大するが、刈刃スピードが速まるようなことはなく、刈り取り作業に応じた刈刃スピードが常に保たれるようになっている。
【0035】
また、この刈刃30の刈り取り方向後側には、図1に示すように、刈刃支持フレーム31を支持する背面ダクト40が移送ダクト50の後面部54に沿って併設されている。この背面ダクト40の上面部41は、図4に示すように、2つの山型に形成されており、それらの頂部42にはフレキシブル管が接続される接続口43が設けられている。
【0036】
刈刃30を支持する刈刃支持フレーム31は、図5(a)に示すように、前後にずらされて結合固定された上下2枚の平板部材31a,31bによって形成され、下側の平板部材31bの上面側に背面ダクト40の下面部44が着脱可能となるようにボルト固定されている。また、上側の平板部材31aの上面には、背面ダクト40内に取り込まれた下向きの圧力風を上向きの圧力風として移送ダクト50内に送り込むためのアングル等を用いた変向部材33が一体的に結合固定されている。
【0037】
背面ダクト40内の下向きの圧力風と移送ダクト50内の上向きの圧力風とは、移送ダクト50の後面部54によって隔てられていると共に、この移送ダクト50の後面部54の下端部54aは、上方から変向部材33に向かって斜めに下降したのち、変向部材33の垂直面部33aに対して所定の横幅(距離)w1をあけて対向するようにほぼ水平に折り曲げられている。この際、例えば横幅w1を4mmとすると、移送ダクト50の後面部54の下端部54aと変向部材33の水平面部33bとの間の高さ(距離)h1は7mmとするのが望ましい。これは、吹出口55から吹き上げる圧力風の風速を上げるためである。
なお、上述した吹出口55を形成するw1,h1の数値は一例であり、それに限定されるものではない。また、カセット刃及びユニット刃の場合のw1,h1は任意である。
【0038】
このように、移送ダクト50の後面部54と変向部材33を備えた刈刃支持フレーム31とによって、背面ダクト40内に取り込んだ下向きの圧力風を上向きの圧力風として移送ダクト50内に送り込むための上向きの吹出口55が形成されることとなる。
【0039】
吹出口55は、刈刃30が茶樹から刈り取った茶枝葉をコンテナ70側に安定的に移送するために、摘採作業中は、その高さ(h1)及び幅(w1)を幅方向に亘り常に一定に保つことが求められている。しかしながら、下向きの圧力風と上向きの圧力風とを隔てている移送ダクト50の後面部54が、幅方向両端部よりも幅方向中央部の剛性が低いために、背面ダクト40内の圧力風の風圧によって、その幅方向中央部を中心として振動するのに伴って吹出口55の高さ(h1)及び幅(w1)も変動し、吹出口55の開口形状(高さ(h1)及び幅(w1))を一定に保持することができなくなってしまう。
幅方向に亘って高さ(h1)及び幅(w1)を一定に保持することができなくなった吹出口55にあっては、圧力風の風速が幅方向中央部と幅方向両側とでは異なるので、吹出口55から上向きに吹き出される圧力風が乱れ、茶枝葉をコンテナ70側に安定的に移送することが出来なくなってしまう。
【0040】
そこで、本実施形態にあっては、図1,6に示すように、吹出口55を形成する移送ダクト50の後面部54の幅方向中央(幅方向中央線CL上のこと)と背面ダクト40の下面部44の幅方向中央(CL上のこと)との間に、背面ダクト40内の圧力風による移送ダクト50の後面部54の振動を規制する振動規制部材56を備えている。
【0041】
振動規制部材56は、例えば前後方向に延びた板状部材であって、移送ダクト50の後面部54に臨んだ前面上部56aには、移送ダクト50の幅方向両側に延びた平板状の中間部材57が溶接により結合固定されている。この中間部材57と移送ダクト50の背面部54とは、機械的結合(例えばねじ止めまたはリベット止め)により結合固定されている。
また、この振動規制部材56の前面下部56bは、移送ダクト50の後面部54の下端部54aを下方側から支持している。
【0042】
なお、振動規制部材56は、板状でなく、形状は任意である。また、振動規制部材56は、移送ダクト50の後面部54の振動を防止するためであれば、形状の他に、位置、個数、材質、固定方法は問わない。
すなわち、振動規制部材56は、移送ダクト50の後面部54の幅方向中央(CL上)と背面ダクト40の下面部44の幅方向中央(CL上)との間に1つ設けるようにしたが、これに限定されるものではなく、図6に示すように、幅方向中央(CL上)から幅方向にオフセットした位置、つまり幅方向中央部の範囲内(図6中にあっては、振動規制部材560で示す)に配置してもよい。また、振動規制部材56は、幅方向中央部に1つだけでなく2つ以上設けるようにしてもよい。
また、
【0043】
さらには、図7に示すように、吹出口55の幅方向に亘って振動規制部材56を配設するようにしてもよい。その場合、複数の振動規制部材56を等間隔に配置することが望ましいがそれに限定されるものではない。
【0044】
振動規制部材56の下面後部56cは、その一部が背面ダクト40の下面部44に溶接により結合固定されていると共に、他部は背面ダクト40の下面部44に設けられた貫通孔45(図1,5に図示)に嵌め込まれている。
また、背面ダクト40の下面部44と刈刃支持フレーム31とはねじ止め固定されており、図5(b)に示されるように、刈刃支持フレーム31が背面ダクト40の下方側に離脱可能となっている。
また、振動規制部材56の下面前部56dは、下向きから上向きに転じる際の圧力風の乱れを防止し、かつ変向部材33との干渉を防止するために上向きに切り欠かれている。
【0045】
かかる構成によれば、背面ダクト40内の圧力風によって、下向きの圧力風と上向きの圧力風とを隔てている移送ダクト50の後面部54の幅方向中央部に発生する振動は、振動規制部材56によって規制される。
これにより、移送ダクト50の後面部54の幅方向中央部が振動しなくなるので、吹出口55に生ずる振動に起因する高さ(h1)並びに幅(w1)の変動が防止され、吹出口55の高さ(h1)及び幅(w1)を一定に保持することができるようになる。その結果、吹出口55から吹き出る圧力風は安定し、茶枝葉を安定的にコンテナ70側に移送することが可能となる。
【0046】
また、吹出口55の幅方向に亘って振動規制部材56を複数設けた場合は、幅方向中央部にのみ振動規制部材56を設けた場合と比較して、移送ダクト50の後面部54の幅方向に亘って発生する振動を、より多くの振動規制部材56によって規制することができる。これにより、移送ダクト50の後面部54の振動がより多くの振動規制部材56によって確実に防止されるので、吹出口55は、その高さ(h1)及び幅(w1)を幅方向に亘って常にほぼ一定に保持することができるようになる。従って、吹出口55から吹き出る圧力風はより安定度を増し、茶枝葉をさらに安定的にコンテナ70側に移送することが可能となる。
また、複数の振動規制部材56を等間隔に配置した場合には、不等間隔に配置した場合よりも、より一層、吹出口55の開口形状を安定して保つことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】振動規制部材を備えた移送ダクトの後面部及び背面ダクトの下面部の状態を説明するための説明図である。
【図2】茶葉摘採機の正面図である。
【図3】図2の側面図である。
【図4】同例における刈刃及び背面ダクトが一体化された移送ダクトの後方斜視図である。
【図5】(a),(b)は、要部の拡大図である。
【図6】同例における背面ダクトの前方斜視図である。
【図7】同例における背面ダクトの前方斜視図である。
【符号の説明】
【0048】
100…茶葉摘採機
10…フレーム本体
30…刈刃
40…背面ダクト
44…下面部
50…移送ダクト
54…後面部
55…吹出口
56…振動規制部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
茶樹から茶葉枝を刈り取る刈刃と、前記刈刃を下方側に有し、前記刈刃が刈り取った茶葉枝を圧力風により風送する移送ダクトと、前記移送ダクトの刈り取り方向後方側に前記移送ダクトに沿って併設された背面ダクトと、を備え、前記背面ダクト内に取り込まれた下向きの圧力風が、上向きの圧力風として前記移送ダクト内に送り込まれることによって、刈り取り後の茶枝葉を所定の位置に向けて移送する茶葉摘採機において、
前記移送ダクトの後面部と前記背面ダクトの下面部との間に、前記背面ダクト内の圧力風による前記移送ダクトの後面部の振動を規制する振動規制部材を備えていることを特徴とする茶葉摘採機。
【請求項2】
前記移送ダクトの後面部の幅方向全域と前記背面ダクトの下面部の幅方向全域との間に、前記振動規制部材を複数備えていることを特徴とする請求項1に記載の茶葉摘採機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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