説明

茶葉摘採装置

【課題】刈刃が刈り採った摘採茶葉枝を収容体側に移送する回転ブラシ及び送風ダクトを備えた茶葉摘採装置の性能をさらに向上させる。
【解決手段】回転ブラシ42を回転駆動する回転駆動機構部56を回転ブラシ42の長手方向の中央部に配設すると共に、回転ブラシ42の前方に送風ノズル43が回転ブラシ42の回転領域の後方側に向けて空気流を噴出するように設ける。回転ブラシ42には、空気流を収容体側に向かって通過可能な空間部S1〜S4が形成され、回転ブラシ42の回転動作と送風ノズル43から噴出される空気流との協働によって、刈刃41が茶畝から刈り採った茶葉、枝を収容体側に向けて移送させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、茶葉摘採装置に関し、さらに詳しくは、刈刃が刈り採った茶葉、枝を収容体側に移送する回転ブラシ及び送風ノズルを備えた茶葉摘採装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の茶葉摘採装置にあっては、回転ブラシは、茶畝から茶葉、枝(以下、摘採茶葉枝という)を刈り採るように配設された長尺状の刈刃の長手方向に沿って回転可能に配設されているものであって、刈刃が茶畝から刈り採った摘採茶葉枝を回転ブラシの回転によって後方の収容体に向かって移送するように構成されている。また、送風ノズルは、刈刃の後方に向けて開口するように配設されており、刈刃が刈り採った摘採茶葉枝を送風ノズルから噴出する空気流により収容体に向かって風送するように構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2003−284418号公報(第4図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このような茶葉摘採装置にあっては、回転ブラシを回転させる回転駆動機構部が茶葉摘採装置の一側部、すなわち回転ブラシの長手方向の一端部側に設けられることが多い。これは、刈刃を往復動する往復動機構部が茶葉摘採装置の他側部に配設されるためである(例えば、本件出願人による特願2005−295921号「茶葉摘採装置」参照)。
【0005】
このため、回転ブラシは、その片端部でもって回転駆動されるため、回転駆動機構部側(一端部側)と往復動機構部側(他端部側)とで不均等に負荷がかかると共に回転モーメントが大きくなり、回転駆動機構部が破損する虞があった。
【0006】
また、茶葉摘採装置は、その構造上、走行機体の軌間伸縮には対応できず、横幅は常に一定である。そのため、特に、走行機体の軌間を縮小させた場合には、茶葉摘採装置の側方への張り出し量が大きくなり、茶園管理作業中に隣の茶畝や防霜ファンに干渉し易いという問題もある。
【0007】
さらには、刈刃が刈り採った摘採茶葉枝を回転ブラシの中央部にて左右に振り分ける払い板が配設されていると、茶葉摘採装置の構造がさらに複雑化すると共に、コスト、重量の増加といった問題が発生する。
【0008】
さらにまた、回転ブラシの性能を向上させ、且つ送風ノズルの性能も向上させなければ摘採茶葉装置全体の性能が向上しないという問題もある。
【0009】
そこで、この発明は、上記した従来技術が有している問題点を解決するためになされたものであって、刈刃が刈り採った摘採茶葉枝を収容体側に移送する回転ブラシ及び送風ノズルを備えた茶葉摘採装置の性能をさらに向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため第1の発明は、茶畝を跨ぎながら走行する機体に装着され、茶畝から茶葉、枝を刈り採るように配設された刈刃の長手方向に沿って回転可能に配設された回転体を備えた茶葉摘採装置において、
前記回転体は、前記回転体の長手方向の中央部に設けられた駆動源と、前記駆動源の駆動軸と前記回転体の長手方向の中央部にてほぼ定位置で回転する回転軸部との間に設けられた動力伝達機構部と、を備えた回転駆動機構部により前記回転体の長手方向の中央部でもって回転駆動されることを特徴とする。
【0011】
第1の発明によれば、回転体は、回転体の長手方向の中央部に設けられた駆動源と、この駆動源の駆動軸と回転体の長手方向の中央部にてほぼ定位置で回転する回転軸部との間に設けられた動力伝達機構部とを備えた回転駆動機構部により回転体の長手方向の中央部でもって回転駆動される。これにより、片端部にて回転駆動される場合に比較して、回転体にかかる負荷をほぼ均等にすることができると共に、回転モーメントを小さくすることができて、回転駆動機構部が破損し難くなる。また、摘採茶葉装置の側方への張り出し量が低減するので、茶園管理作業中に摘採茶葉装置が隣の茶畝や防霜ファンに干渉し難くなる。特に、走行機体の軌間を縮小させた状態で茶園管理作業を行う場合、この効果は大きく発揮される。さらにまた、回転駆動機構部を茶葉摘採装置の長手方向の中央部にコンパクトに配設することができる。
【0012】
上記目的を達成するため第2の発明は、茶畝を跨ぎながら走行する機体に装着され、茶畝から茶葉、枝を刈り採るように配設された刈刃の長手方向に沿って回転可能に配設された回転体と、前記刈刃が刈り採った茶葉、枝を収容体側に向かって風送する送風ノズルとを備えた茶葉摘採装置において、
前記回転体は、前記回転体の長手方向の中央部に設けられた駆動源と、前記駆動源の駆動軸と前記回転体の長手方向の中央部にてほぼ定位置で回転する回転軸部との間に設けられた動力伝達機構部と、を備えた回転駆動機構部により前記回転体の長手方向の中央部でもって回転駆動されると共に、前記回転体を回転駆動する回転駆動機構部を前記回転体の長手方向の中央部に配設すると共に、前記回転体の前方に前記送風ノズルが前記回転体の回転領域の後方側に向けて空気流を噴出するように設けられ、前記回転体には、前記空気流を前記収容体側に向かって通過可能な空間部が形成され、前記回転体の回転動作と前記送風ノズルから噴出される空気流との協働によって、前記刈刃が茶畝から刈り採った茶葉、枝を前記収容体側に向けて移送することを特徴とする。
【0013】
第2の発明によれば、回転体は、回転体の長手方向の中央部に設けられた駆動源と、この駆動源の駆動軸と回転体の長手方向の中央部にてほぼ定位置で回転する回転軸部との間に設けられた動力伝達機構部とを備えた回転駆動機構部により回転体の長手方向の中央部でもって回転駆動される。これにより、片端部にて回転駆動される場合に比較して、回転体にかかる負荷をほぼ均等にすることができると共に、回転モーメントを小さくすることができるので、回転駆動機構部が破損し難くなる。また、摘採茶葉装置の側方への張り出し量を低減することができるので、茶園管理作業中に摘採茶葉装置が隣の茶畝や防霜ファンに干渉し難くなる。さらにまた、回転駆動機構部を茶葉摘採装置の長手方向の中央部にコンパクトに配設することができる。
【0014】
さらに、この回転体は、回転した如何なる状態にあっても送風ノズルから噴出される空気流を収容体側に向かって通過させるので、刈刃が刈り採った茶葉、枝は、刈刃等に付着することなく収容体側に向かって円滑に移送される。これにより、摘採茶葉装置全体の性能を向上させることができる。
【0015】
上記目的を達成するため第3の発明は、第1または第2の発明において、前記回転体の長手方向の中央部には、前記刈刃が刈り採った摘採茶葉枝を前記回転体に向けて左右に振り分ける振り分け手段が揺動可能に配設されていると共に、前記回転駆動機構部は、前記振り分け手段を揺動するための振り分け手段用駆動部を備えていることを特徴とする。
【0016】
第3の発明によれば、回転体の長手方向の中央部には、刈刃が刈り採った摘採茶葉枝を回転体に向けて左右に振り分ける振り分け手段が揺動可能に配設されていると共に、回転駆動機構部には、振り分け手段を駆動するための振り分け手段用駆動部が備えられている。これにより、第1または第2の発明の作用効果に加えて、振り分け手段用の駆動機構を新たに配設する必要はないので、茶葉摘採装置の構造を簡素化することができると共に、コストの低減化、重量の軽減化を図ることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の茶葉摘採装置によれば、回転体の長手方向の中央部でもって回転体を回転駆動させるので、回転体にかかる負荷がほぼ均等になると共に回転モーメントが小さくなり、回転駆動機構部が破損し難くなる。また、摘採茶葉装置の側方への張り出し量が低減され、茶園管理作業中、特に、軌間縮小時に摘採茶葉装置が隣の茶畝や防霜ファンに干渉し難くなる。さらに、回転体は、回転した如何なる状態にあっても送風ノズルから噴出される空気流を収容体側に向かって通過させるので、刈刃が刈り採った茶葉、枝は、刈刃等に付着することなく収容体側に向かって円滑に移送される。これにより、摘採茶葉装置全体の性能を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態について図面を用いて詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明の茶葉摘採装置が装着された茶葉管理機の正面図、図2は、同茶園管理機の側面図、図3は、同例における茶葉摘採装置の正面図、図4は、同茶葉摘採装置の平面図、図5は、同茶葉摘採装置の斜視図、図6は、同例における茶葉摘採装置を前方から見下ろした図、図7は、同例における回転駆動機構部の背面図、図8(a)は、同例におけるブラシ部の正面図、(b)は、(a)の側面図、(c)は、同例とは異なるブラシ部の正面図、(d)は、(c)の側面図、(e)は、同例とは異なるブラシ部の正面図、(f)は、(e)の側面図、図9(a)は、同例におけるブラシユニットの正面図、(b)は、同ブラシユニットの側面図である。
【0020】
本発明の茶葉摘採装置が装着された茶葉管理機について説明する。
図1、2に示されるように、茶葉管理機10は、乗用型の態様が用いられており、茶畝を跨ぎながら走行する走行機体11の茶畝に臨んだ位置(中央下面側)には、茶畝から茶葉、枝(葉、幹を含む)を摘採するための刈刃41と、この刈刃41によって茶畝から摘採された摘採茶葉を収容するための収容体(例えば、茶袋、コンテナ)側に向かって移送するための可撓性を有する回転体としての回転ブラシ42及び送風ノズル43とを備えた茶葉摘採装置40が備えられている。なお、回転ブラシ42の構成に代えて、例えば回転ゴム板を用いることが可能であるが、これに限定されるものではない。
【0021】
まず、走行機体11について説明する。走行機体11は、茶畝を跨ぎながら走行するため正面視門型に形成された前側フレーム12及び後側フレーム13と、これら前側及び後側フレーム12,13を連結する左右一対の上部及び下部連結フレーム14,15(但し、図2中にあっては右側のみ図示。以下同様)とを備えて構成されている。前側及び後側フレーム12,13は、それぞれ機体前後方向に離間した状態で対向配置されていると共に、機体左右方向に向かって軌間伸縮が可能となるように左右分割構造が用いられている。そして、これら前側及び後側フレーム12,13の中央よりも左寄りの位置に左右分割部が設けられていると共に、軌間伸縮を同期して行うための前後一対の油圧式の軌間伸縮シリンダ16が、前側及び後側フレーム12,13のそれぞれの左右分割部に跨るように横向きに配置されている。
【0022】
前側フレーム12の垂直な左右脚部の下端部と、後側フレーム13の垂直な左右脚部の下端部とには、それぞれ機体前後方向に延びた左右一対の下部連結フレーム15が一体的に結合固定されている。これらの下部連結フレーム15には、駆動輪17と従動輪18との間にクローラ19を巻装した油圧式の走行装置20が備えられている。各走行装置20の上方には、油圧アクチュエータに油圧を供給するための油圧タンク21と、後述する駆動源に燃料を供給するための燃料タンク22とがそれぞれ取り付け固定されている。なお、走行装置20は、クローラ19を用いたものに限定されるものではなく、例えば、車輪、レール式等を用いたものであってもよい。
【0023】
また、前側フレーム12の左右の屈曲部(肩部)と、後側フレームの左右の屈曲部とには、それぞれ機体前後方向に斜行した左右一対の上部連結フレーム14が一体的に結合固定されている。さらに、これらの上部連結フレーム14間には、走行機体11の軌間伸縮動作に追従することがない横架フレーム(図示せず)が架設されていると共に、この横架フレームと前側フレーム12との間には板状のフロア部材23が張設されている。
【0024】
フロア部材23は、機体右前部に配設されているものであって、その前方には操縦部24が配設されている。この操縦部24に隣接して、機体左前部にエンジン部25、機体中央前部に送風機部26がそれぞれ配設されている。また、これら操縦部24、エンジン部25及び送風機部26の後方の後側フレーム13上部には、パイプ材によって形成された上下2段の荷受部材27,28がアーム部材29,30を介して各個別に手動で機体後方に張り出すことができるように水平回動可能に取り付け支持されている。
【0025】
操縦部24には、機体操作及び茶葉摘採作業を行うための制御手段としての制御ユニットが組み込まれたタッチパネル式(例えば、入力数値としては刈取高さ、軌間伸縮量等)の入力操作表示部、イグニションスイッチ、作業形態に応じて入力操作表示部の表示高さと実際の刈取高さとに誤差を生じさせないための作動切換スイッチ等(いずれも図示せず)が備えられている。さらに、この操縦部24の制御ユニットは、車載された各種検出手段からの検出値や走行履歴情報、入力情報等に基づいて刈刃41の各種制御、例えばきめ細かな高さ制御、刈刃駆動制御等を行うように予め設定されていると共に、GPS(Global Positioning System、ナビゲーションシステムのこと)による走行履歴情報、例えば走行距離情報、走行スピード情報等を記憶、表示、且つ通信回線を介して送出可能とする機能が備えられている。
【0026】
なお、GPSの構成に代えて、制御ユニットから送出された走行距離情報、走行スピード情報及び作業内容(例えば、日付・時間・作業時間・天候・作業場所・作業の種類・作業条件等の情報データ)を、茶葉摘採機10に搭載した図示しない制御機器(例えば、PCL:プログラマブルロジックコントローラ)に自動的に記憶格納するように構成することが可能である。そして、この制御機器とパソコンとを繋ぐことによって、制御機器内部に記憶格納した情報データがパソコンから取り出される。これにより、GPSを用いることなく作業の内容を容易に管理することが可能となり、しかも、茶園摘採機10の価格上昇を抑えることができる。
【0027】
この操縦部24の後方には、オペレータが着座して機体操作及び茶葉摘採作業を行うための操縦席31、正面視T字状の操作ハンドル32や図示しない各種機体操作レバーが配設されている。操縦席31の足元には、刈刃駆動・走行駆動・昇降駆動・軌間伸縮用の油圧ポンプ33が配置されている。
【0028】
エンジン部25には、走行機体11の動力源としてのエンジン(図示せず)が通気孔があけられた箱型のエンジンカバー34内に格納配置されている。このエンジンには油圧ポンプ33が一体化されており、エンジン動力によって油圧ポンプ33が駆動されるようになっている。
【0029】
送風機部26には、エンジンによってベルト駆動されるターボファン式の送風機35が、通気孔があけられた防護カバー36の後方に配置されている。この送風機35は、操縦部24側に配置された切り替えレバー(図示せず)によってオンオフが切り替え操作されると共に、この送風機35には、発生した風(空気流)を茶葉摘採装置40に導くための伸縮自在な送風ダクト37が接続されている。
【0030】
次に、茶葉摘採装置40について図1〜5を用いて説明する。茶葉摘採装置40は、刈刃41、回転ブラシ42、送風ノズル43及び摘採機枠44を備えて構成され、走行機体11に対してノブボルトや脱着用ピン等を用いて容易に着脱可能、且つ調整可能に取り付けられるようにアタッチメント化されている。
【0031】
摘採機枠44は、図3〜5に示されるように、茶畝の畝幅方向に向かって延設され、且つ回転動作する回転ブラシ42と干渉しないように前後に離間して設けられた2本の角パイプ45からなる上部フレーム46と、摘採機枠44の底面をなすように茶畝の畝幅方向に向かって延設された板状の下部フレームとしての刈刃支持フレーム47との左右両端部とが、左右一対の板状の側面板部48によって連結されることによって、前後開放となるように構成されている。さらに、上部フレーム46の左右両端部には、摘採機枠44を走行機体11に取り付け固定するための筒状の取付ステー49が機体前後方向に向かって配設されている。
【0032】
これら取付ステー49に挿抜される挿入部(図示せず)は、走行機体11の後側フレーム13の左右脚部に沿って昇降移動する左右の昇降部材50(図2に図示)にそれぞれ設けられている。また、これら昇降部材50間には、刈刃41の中心を左右の走行装置20の軌間中心に正確に位置合せを行う図示しない自動中心機構部(本出願人による特願2003−362170号「茶園乗用型作業機」参照)が組付けられている。さらに、この自動中心機構部には、後側フレーム13上部に取り付けられ、且つ制御ユニットにより駆動制御される図示しない油圧式の巻取装置から同期して繰り出される左右一対のチェーンの下端部がそれぞれ係止されており、チェーンの繰り出し或いは巻取りによって左右の昇降部材50を同期して昇降させることが可能とされている。
【0033】
刈刃41の位置決めは、例えば、チェーンを巻き取るスプロケットの回動角度を検出する検出手段としてのポテンショメータからの検出値に基づいて、制御ユニットが、入力操作表示部を介して予め設定された刈取高さに刈刃が位置するように巻取装置を駆動制御することによって行われる。なお、刈刃41の高さ位置を検出するのはポテンショメータに限られたものでなく、例えば、他の機械式、光学式の検出手段を用いることが可能である。
【0034】
刈刃41は、摘採を目的として作られた樹形に合わせて正面視弧状(或いは水平)に形成され、刈刃支持フレーム47の下面側の前部において茶畝の幅方向に向かって往復動可能に取り付けられた上下2枚の往復動刃(バリカン刃)を有している。この刈刃41を駆動するための往復動機構部51が、上部フレーム46の右端部に取り付けられている。なお、刈刃41は、往復動刃のみに限定されるものではなく、回転刃(ロータリ刃)を用いることができる。
【0035】
往復動機構部51は、図3に示されるように、上部フレーム46の上面側に配設された駆動源としての油圧式の駆動モータ(以下、油圧モータ)51Aと、上部フレーム46と刈刃支持フレーム47とに跨るように配設され、油圧モータ51Aの回転駆動力を偏心カム、アーム部材等を用いて刈刃41を往復動させる動力伝達機構部51Bとを備えて構成されている。そして、油圧モータ51Aには、図6に示されるように、油圧ポンプ33から油路52を介して油圧が供給されるようになっている。
【0036】
さらに、油路52には、流量優先取出弁としてのプライオリティバルブ53が介設されている。このプライオリティバルブ53は、往復動機構部51に近接した上部フレーム46上に配設されており、油圧ポンプ33が吐出する油圧(ポンプ流量)に関係なく、常に一定の油圧(流量)を優先して取り出すように構成されており、エンジン回転数の増減にかかわらず刈り取り作業に応じた刈刃41の駆動スピードが常に得られる油圧を油圧モータ51Aに供給する。このため、エンジン回転数を増大すると送風機35が発生する空気流は増大するが、刈刃41の駆動スピードが速まるようなことはなく、刈り採り作業に応じた刈刃41の駆動スピードを常に保つことが可能とされている。
【0037】
そして、油圧モータ51の下流側(吐出側)は2方向に分岐されている。一方は、油路54を介して油圧タンク21にドレン可能とされていると共に、他方は、油路55を介して後述する回転駆動機構部56に供給可能とされている。さらには、プライオリティバルブ53からの余剰油も油路54を介して油圧タンク21にドレンされるようになっている。
【0038】
なお、各油路52,54,55の接続にはカプラーが用いられており、茶葉摘採装置40の代わりに走行機体11に取り付けられる油圧式のアタッチメントとの接続作業の容易化が図られている。
【0039】
刈刃41の上方には、回転ブラシ42が刈刃41の長手方向に沿って回転可能に配設されている。この回転ブラシ42は、左右一対のブラシ部42a,42aが正面視クランク型となるように配置されている。
【0040】
ブラシ部42aは、図3に示されるように、茶葉摘採装置40に取り付けられた状態にあっては、回転ブラシ42の長手方向の中央部に臨んだ端部に回転支軸42a1が設けられていると共に、畝間側(機体外側)に臨む端部に回転支軸42a2が設けられている。さらに、ブラシ部42aは、回転支軸42a1,42a2に段違いに連なり、且つ刈刃支持フレーム47に応じて湾曲形成された長尺状の取付支持フレーム42a3と、取付支持フレーム42a3に着脱可能に取り付けられ、回転動作した状態にあっては刈刃支持フレーム47の上面前部に摺接可能とする複数のブラシユニット42a4とを備えている。
【0041】
なお、回転ブラシ42は、正面視クランク型にのみ限定されるものではなく、非クランク型とすることも可能である。
【0042】
また、回転ブラシ42の回転支軸42a1,42a2は、取付支持フレーム42a3を介して段違いに連なった構成にのみ限定されるものではなく、図8(c),(d)に示されるように、棒状の取付支持フレーム42a30を介して直線上に連ならせてもよい。さらには、ブラシ部42aの毛先が延びる方向を1方向とするのではなく、図8(e),(f)に示されるように、相反する2方向とすることも可能である。なお、このような取付支持フレーム42a30を用いる場合には、刈刃支持フレーム47の湾曲形状に応じてブラシ部42aの毛先列も湾曲させる必要がある。
【0043】
左右の回転ブラシ42の回転支軸42a1は、図5に示されるように、回転ブラシ42の長手方向のほぼ中央に配設された自在継ぎ手42a5を介して一体的に連結されていると共に、回転支軸42a1は、上部フレーム46の長手方向の中央部から垂下された左右一対の支持ステー57によって回転可能に軸支されている。そして、これら回転軸42a1及び自在継ぎ手42a5によって回転ブラシ42の長手方向の中央部に、ほぼ定位置で回転する回転軸部42a6が形成されている。
【0044】
また、各回転ブラシ42の外側(畝間側)の回転支軸42a2は、それぞれ側面部48によって回転可能に軸支されている。
【0045】
回転ブラシ42を回転動作させる回転駆動機構部56は、回転ブラシ42の長手方向の中央部上方の上部フレーム46と、往復動機構部51側に配置されたブラシ部42aの回転支軸42a1とに跨って配設されている。
【0046】
具体的には、この回転駆動機構部56は、回転ブラシ42の長手方向の中央部、つまり左右の回転ブラシ42の中央部の上方の上部フレーム46に横向きに取り付けられた駆動源としての油圧式の駆動モータ(以下、油圧モータ)56Aと、この油圧モータ56Aの出力軸56Bと往復動機構部51側に配置されたブラシ部42aの回転支軸42a1との間に配設された動力伝達機構部56Cとを備えて構成されている。なお、駆動源には、油圧モータのみが用いられるものではなく、例えば、電動モータ、内燃機関(2,4サイクルエンジン)等を用いてもよい。
【0047】
さらに、この動力伝達機構部56Cは、出力軸56Bの基端部側に取り付け固定された駆動ギヤ56C1と、回転支軸42a1に取り付け固定された従動ギヤ56C2と、駆動ギヤ56C1と従動ギヤ56C2との間に巻装された駆動チェーン56C3とを備えている。これにより、回転駆動機構部56が茶葉摘採装置40の長手方向の中央部にコンパクトに配設することが可能とされている。そして、この回転駆動機構部56により回転ブラシ42がその長手方向の中央部でもって回転駆動されると、片端部にて回転駆動される場合に比較して、回転ブラシ42にかかる負荷がほぼ均等になると共に、回転モーメントが小さくなる。このため、回転駆動機構部56が破損し難くなる。
【0048】
また、回転駆動機構部56を回転ブラシ42の長手方向の中央部に配設したことにより、摘採茶葉装置40の側方への張り出し量が減少するので、茶園管理作業中に摘採茶葉装置40が隣の茶畝や防霜ファンに干渉し難くなる。特に、走行機体11の軌間を縮小させた状態で茶園管理作業を行う場合、この効果は大きく発揮される。
【0049】
油圧モータ56Aには、図6に示されるように、油圧モータ51Aを経た油圧が油路55を介して供給されると共に、この油路55には流量調整弁58が介設されている。この流量調整弁58は、回転駆動機構部56に近接した上部フレーム46上に配設されており、油圧モータ51Aを経た油圧(流量)を油圧モータ56A用に減圧調整し、油圧モータ51Aに比較して油圧モータ56Aを低速駆動させる。そして、油圧モータ56Aを経た油圧が油路59を介してドレンされると共に、この油路59を介して流量調整弁58からの余剰油もドレンされる。また、この油路59は油路54に接続されており、プライオリティバルブ53からの余剰油と共に油圧タンク21に向けてドレンされるようになっている。なお、油路59の接続にもカプラーが用いられている。
【0050】
このように、刈刃駆動用の油圧モータ51Aと回転ブラシ駆動用の油圧モータ56Aとを直列に繋ぐ油圧回路としたことにより、油圧回路機構が簡単になり、コストの削減、重量の軽減化を図ることができる。さらには、操縦部24に設けられた図示しない操作部の刈刃駆動用のスイッチ1つで、刈刃41と回転ブラシ42との駆動開始、停止を行うことができるようになり、茶葉摘採装置40の使い勝手が向上する。
【0051】
ブラシユニット42a4は、図9(a)、(b)に示されるように、複数のブラシ束(糸、毛の束)42a40と、これら複数のブラシ束42a40を植毛したブラシ台42a41とを備えて構成されている。ブラシ束42a40は、合成樹脂製の複数の糸が、隣接する糸との間から空気流が通過可能となるように適宜間隔をあけて植毛されている。また、糸は、約1mm程度の線径を有するのが好ましい。線径がこれよりも細過ぎると腰が弱くなり過ぎて、摘採茶葉枝を円滑に収容体側に搬送できない。また、この線径よりも太過ぎると腰が強くなり過ぎて、摘採茶葉枝を痛めるだけでなく、回転ブラシ42を回転動作させた際に茶葉摘採装置40にかかる負荷が大きくて装置自体が損傷する虞がある。
【0052】
ブラシ台42a41の長手方向の全長が約100mmとされ、その左右両端部にはねじ穴42a42が設けられている。そして、このブラシ台42a41は、取付支持フレーム42a3に取り付けられた状態で、取付支持フレーム42a3の前面側からねじ込まれる固定ねじによって締結固定されるようになっている。 また、このブラシ束42a40には、ブラシ束42a40にぶつかった空気流が、ブラシ束42a40内を通過するのみならず、隣り合ったブラシ束42a40とブラシ束42a40との間からも円滑に流れるように、約10mmのピッチで直径約3mmの植毛穴が1列に複数穿設されており、互いに隣接したブラシ束42a40が予め設定された所定の間隔をあけた状態で植毛されることによって空間部S1が形成されている。そして、このブラシ台42a41に植毛されたブラシ束42a40の毛丈は、約50mm程度とされている。
【0053】
そして、ブラシ束42a40が回転ブラシ42の仮想回転中心軸Z(図3に図示)からほぼ一方向に向かって揃って延び、且つ左右の回転ブラシ42の位相をずらすようにして(例えば、約180度)、ブラシ束42a40が植毛されたブラシ台42a41を取付支持フレーム42a3に沿って列状に取り付けることによってブラシ部42aが形成されている。これにより、回転ブラシ42のブラシ部42aを通過する空気流の流れが円滑になると共に、一部分のブラシ束42a40が痛んだ場合に、その痛んだ部分のブラシ台42a41を新たなブラシ台と交換することによって、ランニングコスト及びメンテナンス性が向上する。
【0054】
さらにまた、左右の回転ブラシ42が回転動作した際にブラシ部42が摺接する刈刃支持フレーム47に加わる衝撃が分散して、刈刃支持フレーム47にかかる負荷を軽減する。
【0055】
なお、糸径、植毛穴径等の数値は、これらに限定されるものではなく、適宜変更することが可能である。
【0056】
また、左右のブラシ部42の間には、図5に示されるように、上部フレーム46のほぼ中央位置に設けられた回動軸60を回動支点として畝幅方向に向かって振り子動作することによって、刈刃41が刈り採った摘採茶葉枝を回転ブラシ42に向けて左右に振り分ける振り分け手段としての払い板61が揺動可能に配設されている。この払い板61は、上部フレーム46のほぼ中央に設けられた回転駆動機構部56の払い板用駆動機構部56Dによって駆動されるようになっている。
【0057】
この払い板用駆動機構部56Dは、図5に示されるように、油圧モータ56Aの出力軸56Bの中央部に介設された緩衝部材としてのゴムカップリング56D1と、ゴムカップリング56D1以降の出力軸56Bを前方に約90度曲げるための傘歯車機構部56D2と、傘歯車機構部56D2の出力軸56D3の先端部に固定された偏心カム56D4と、偏心カム56D4と払い板61の上部とを結ぶアーム部材56D5と、を備えて構成されている。
【0058】
そして、油圧モータ56Aの回転駆動に伴った偏心カム56D4の回転動作に伴ったアーム部材56D5が機体幅方向に往復動することによって、払い板61が振り子動作するようになっている。さらに、この払い板61の後方には、前方から後方に向かって流れる空気流を整流するための平面視V字状の整流板62が立設されている。
【0059】
さらに、これら回転ブラシ42の前方には、図1,2に示されるように、回転ブラシ42の仮想回転中心軸Zよりも下方側の回転領域に向けて空気流を噴風する送風ノズル43が列設されている。送風ノズル43は、その上部が茶畝の幅方向に延び、且つ送風ダクト37の下部に着脱可能に連なった二股状の中間ダクト63に一体的に連なっている。これにより、送風機35が発生した空気流は、送風ダクト37、中間ダクト63を介して、送風ノズル43から回転ブラシ42のほぼ前面に向かって噴出される。
【0060】
なお、送風ノズル43の吹出し角度は、図2に示されるように、中間ダクト63を左右側方から支持するために摘採機枠44の左右側面部48に取り付けられた中間ダクト用支持板64に穿設された角度調整用長穴65に螺合している2つの調整用ボルト66,67によって調節が可能とされている。
【0061】
また、刈刃41の後方には、図2に示されるように、摘採茶葉を収容するための収容体としての図示しない茶袋が搭載される荷台68が機体後方に向かって張り出さた状態で配置されている。昇降部材50の下部には、荷台68の前部を左右側方から支持すると共に、荷台後部68Bを機体前方側に向かって跳上げ式に回動させるためのフランジ部70が取り付けられている。
【0062】
左右のフランジ部70と自動中心機構部の固定横架フレームとの間には、左右一対のパイプ部材71が、走行機体11に組み付けられる際の他の機体部品との干渉を回避し、且つ荷台68を装着した際の支持剛性の増強及び後述する伸縮シリンダ72を支持する目的で、適宜蛇行した形態で立設されていると共に、これらのパイプ部材71の中間部には、それぞれ機体上方に延びた継ぎ手部材73の下端部が接合された状態で溶接により強固に結合固定されている。これら継ぎ手部材73の上部の茶畝側面(外側面)には、荷台後部68Bを機体前方側に向かって回動させるための油圧式の伸縮シリンダ72の上部が、機体前後方向に向かって回動可能に取り付けられている。
【0063】
各伸縮シリンダ72の下部とフランジ部70との間には、ヒンジ部材74が介設されている。ヒンジ部材74は、垂直状の垂直面部74Aと、この垂直面部74Aよりも機体内側に向かって水平状に延設された図示しない張出面部とを備えて構成され、伸縮シリンダ72の二股状とされた下部が、垂直面部74Aの中央部を上方から挟み込んだ状態でノブボルト(図示せず。以下同様)により機体前後方向に向かって回動可能に取り付けられている。さらに、ヒンジ部材74の垂直面部74Aの前部は、フランジ部70に対して機体側方から接合した状態で機体前後方向に向かって回動可能となるようにノブボルトを介して取り付けられており、荷台後部68Bの回動支点とされている。なお、回動支点は、走行装置20の後端部よりも前側に位置するのが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0064】
また、ヒンジ部材74の張出面部は、機体左右方向に延びる機体の一部としての荷台後部68Bの図示しない支持フレームの上面側に接合した状態で結合固定されている。これにより、伸縮シリンダ72を短縮動作させると、機体後方に張り出された荷台後部68Bが機体前方側に向かって跳上げ式に回動される。また、伸縮シリンダ72を伸張動作させると、機体後部において倒立している荷台後部69Bが機体後方に向かって張り出されるように回動する。
【0065】
次に、茶葉摘採装置40が装着された茶園管理機10を用いて摘採作業を行う場合について説明する。
【0066】
まず、オペレータは、茶畝を跨ぐように走行機体11を操作すると共に、刈刃41の高さが所望する刈取高さとなるように入力操作表示部を操作して、茶葉摘採装置40及び茶袋を搭載した荷台68を昇降移動させる。それらの昇降移動が終了すると、刈刃41、回転ブラシ42及び送風機35を駆動して刈り取り作業を開始する。刈り取り作業開始時にあっては、操縦部24に設けられた図示しない操作部の刈刃駆動用のスイッチ1つで、刈刃41と回転ブラシ42とが駆動を開始する。
【0067】
そして、正面視クランク型に形成された回転ブラシ42が回転動作し、図3中にあっては左側のブラシ部42aのように、ブラシ部42aが刈刃41に最接近した状態にあっては、ブラシ部42aと仮想回転中心軸Zとの間には空間部S2が形成され、この空間部S2から送風ノズル43から噴出される空気流が機体後方に向かって円滑に流れると共に、ブラシ部42aとブラシ部42aとの間の空間部S1からも空気流が機体後方に向かって円滑に流れる。もちろん、ブラシ束42a40内を空気流が流れると共に、仮想回転中心軸Zと上部フレーム46との間にも空間部S3が形成され、この空間部S3からも空気流が流れるのは言うまでもない。そして、回転ブラシ42が適宜回転し、機体後方に向かって延びるように位置した状態でも、空気流の円滑さ、安定さに変わるところはない。
【0068】
また、図3中にあっては右側のブラシ部42aのように、ブラシ部42aが刈刃41から最大限に離間した状態、つまり仮想回転中心軸Zのほぼ直上に位置した状態にあっては、ブラシ部42aと刈刃41との間には空気流を遮る部材が何もない大きな空間部S4が形成される。そして、この空間部S4を介して送風ノズル43から噴出される空気流が機体後方に向かって円滑に流れる。このように、回転ブラシ42のブラシ部42aが、回転ブラシ42の回転動作に伴ってどのような位置にあっても、送風ノズル43から噴出される空気流は常に安定し、且つ円滑に機体後方に流れるようになる。その結果、摘採茶葉枝は、回転ブラシ42の回転動作と送風ノズル43から噴出される空気流との協働によって、刈刃41や回転軸部42a6に絡まったり、刈刃41の支持フレーム47に溜まることなく、円滑に機体後方に向けて移送されたのち、機体前方に向けて開口された茶袋等の収容体に送り込まれて収容される。
【0069】
このように、回転ブラシ42は、回転駆動機構部56により回転ブラシ42の長手方向の中央部でもって回転駆動される。これにより、片端部にて回転駆動される場合に比較して、左右のブラシ部42aにかかる負荷をほぼ均等にすることができると共に、回転モーメントを小さくすることができるので、回転駆動機構部56が破損し難くなる。
【0070】
さらには、送風ノズル43から噴出される空気流は常に安定して機体後方の茶袋側に向かって円滑に流れるようになるので、摘採茶葉枝をより円滑、確実、安定して茶袋側に向けて移送することができ、摘採茶葉枝の収容能率を大幅に向上させることができる。また、摘採茶葉枝を長芽とするような摘採条件であっても、回転ブラシ42や回転軸に摘採茶葉枝を絡ませることなく茶袋側に向かって円滑に移送することができる。また、摘採茶葉枝が刈刃前方に向かって投げ出されるのを防止することができる。
【0071】
これらの結果、摘採茶葉装置全体の性能を向上させることができる。
【0072】
やがて、茶畝端部まで到達して刈り取り作業が終了すると、オペレータは刈刃41、回転ブラシ42及び送風機35を停止させると共に、入力操作表示部を操作して刈刃41を上昇させる。刈刃41の位置が高くなったら、次の茶畝に移動するために枕地において方向変換を行う。この場合、伸縮シリンダ72を短縮動作させることによって、荷台後部68Bを機体前方側に向かって跳上げ式に回動させて倒立させる。これにより、機体後方への張出量が低減して機体全長が短くなるので、オペレータは、狭い枕地であっても荷台68を茶畝に干渉させることなく、しかも非常に安定して走行機体11を旋回させることができる。また、摘採茶葉装置40は、その側方への張り出し量が低減されているので、旋回時に隣の茶畝や防霜ファンに干渉し難くなってる。特に、走行機体11の軌間を縮小させた状態で茶園管理作業を行う場合は、この効果は大きく発揮される。
【0073】
そして、走行機体11を旋回し終えたオペレータは、伸縮シリンダ72を伸張動作させて荷台後部68Bを機体後方に張り出した後、上述した手順と同様にして、隣の茶畝の刈り取り作業を開始する。
【0074】
なお、刈刃41、回転ブラシ42及び送風機35の駆動、停止は、オペレータによって行われるように構成されているが、これに限定されるものではない。例えば、刈刃41が所望刈り取り高さ位置に移動するのに連動して、回転ブラシ42及び送風機35の駆動が行われるように構成することができる。また、刈刃41が所望刈り取り高さ位置から移動させると、回転ブラシ42及び送風機35の駆動が停止するように構成することも可能である。
【0075】
また、茶袋の代わりにコンテナを用いることが可能であり、コンテナに連なった搬送ダクトを摘採機枠44の後方において開口させるように構成することが可能である。
【0076】
以上述べたように本発明の茶葉摘採装置によれば、回転ブラシ42は、回転ブラシ42の長手方向の中央部に設けられた油圧モータ56Aと、油圧モータ56Aの出力軸56Bと回転ブラシ42の長手方向の中央部にてほぼ定位置で回転する回転軸部42a6との間に設けられた動力伝達機構部56Cと、を備えた回転駆動機構部56により回転ブラシ42の長手方向の中央部でもって回転駆動される。これにより、片端部にて回転駆動される場合に比較して、回転ブラシ42にかかる負荷をほぼ均等にすることができると共に、回転モーメントを小さくすることができて、回転駆動機構部56が破損し難くなる。また、摘採茶葉装置40の側方への張り出し量が低減するので、茶園管理作業中に摘採茶葉装置40が隣の茶畝や防霜ファンに干渉し難くなる。特に、走行機体11の軌間を縮小させた状態で茶園管理作業を行う場合、この効果は大きく発揮される。さらにまた、回転駆動機構部56を茶葉摘採装置40の長手方向の中央部にコンパクトに配設することができる。
【0077】
さらに、この回転ブラシ42は、回転した如何なる状態にあっても送風ノズル43から噴出される空気流を収容体側に向かって通過させるので、刈刃41が刈り採った摘採茶葉枝は、刈刃41等に付着することなく収容体側に向かって円滑に移送される。これにより、摘採茶葉装置全体の性能を向上させることができる。
【0078】
また、本発明によれば、回転ブラシ42の長手方向の中央部には、刈刃41が刈り採った摘採茶葉枝を回転ブラシ42に向けて左右に振り分ける払い板61が配設されていると共に、回転駆動機構部56には、払い板61を駆動するための払い板用駆動部56Dが備えられている。これにより、払い板用の駆動機構を新たに配設する必要はないので、茶葉摘採装置40の構造を簡素化することができると共に、コストの低減化、重量の軽減化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の茶葉摘採装置が装着された茶葉管理機の正面図である。
【図2】同茶園管理機の側面図である。
【図3】同例における茶葉摘採装置の正面図である。
【図4】同茶葉摘採装置の平面図である。
【図5】同茶葉摘採装置の斜視図である。
【図6】同例における茶葉摘採装置を前方から見下ろした図である。
【図7】同例における回転駆動機構部の背面図である。
【図8】(a)は、同例におけるブラシ部の正面図、(b)は、(a)の側面図、(c)は、同例とは異なるブラシ部の正面図、(d)は、(c)の側面図、(e)は、同例とは異なるブラシ部の正面図、(f)は、(e)の側面図である。
【図9】(a)は、同例におけるブラシユニットの正面図、(b)は、同ブラシユニットの側面図である。
【符号の説明】
【0080】
10 茶葉管理機
11 走行機体
40 茶葉摘採装置
41 刈刃
42 回転ブラシ(回転体)
42a ブラシ部
42a1 回転支軸
42a2 回転支軸
42a3 取付支持フレーム
42a4 ブラシユニット
42a5 自在継ぎ手
42a6 回転軸部
43 送風ノズル
51 往復動機構部
51A 油圧モータ(駆動源)
56 回転駆動機構部
56A 油圧モータ(駆動源)
56B 出力軸
56C 動力伝達機構部
56D 払い板用駆動機構部(振り分け手段用駆動部)
61 払い板(振り分け手段)
S1,S2,S3,S4 空間部
Z 仮想回転中心軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
茶畝を跨ぎながら走行する機体に装着され、茶畝から茶葉、枝を刈り採るように配設された刈刃の長手方向に沿って回転可能に配設された回転体を備えた茶葉摘採装置において、
前記回転体は、前記回転体の長手方向の中央部に設けられた駆動源と、前記駆動源の駆動軸と前記回転体の長手方向の中央部にてほぼ定位置で回転する回転軸部との間に設けられた動力伝達機構部と、を備えた回転駆動機構部により前記回転体の長手方向の中央部でもって回転駆動されることを特徴とする茶葉摘採装置。
【請求項2】
茶畝を跨ぎながら走行する機体に装着され、茶畝から茶葉、枝を刈り採るように配設された刈刃の長手方向に沿って回転可能に配設された回転体と、前記刈刃が刈り採った茶葉、枝を収容体側に向かって風送する送風ノズルとを備えた茶葉摘採装置において、
前記回転体は、前記回転体の長手方向の中央部に設けられた駆動源と、前記駆動源の駆動軸と前記回転体の長手方向の中央部にてほぼ定位置で回転する回転軸部との間に設けられた動力伝達機構部と、を備えた回転駆動機構部により前記回転体の長手方向の中央部でもって回転駆動されると共に、前記回転体の前方に前記送風ノズルが前記回転体の回転領域の後方側に向けて空気流を噴出するように設けられ、前記回転体には、前記空気流を前記収容体側に向かって通過可能な空間部が形成され、前記回転体の回転動作と前記送風ノズルから噴出される空気流との協働によって、前記刈刃が茶畝から刈り採った茶葉、枝を前記収容体側に向けて移送することを特徴とする茶葉摘採装置。
【請求項3】
前記回転体の長手方向の中央部には、前記刈刃が刈り採った茶葉、枝を前記回転体に向けて左右に振り分ける振り分け手段が揺動可能に配設されていると共に、前記回転駆動機構部は、前記振り分け手段を揺動するための振り分け手段用駆動部を備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の茶葉摘採装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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