説明

草刈機

【課題】草を刈る場所に合わせて異なる種類の草刈機を用意する必要のある場合に、使用者にとって作業上の負担や経済的な負担が大きくならないようにする。
【解決手段】草を刈る草刈刃50A,50Bを一端に備えるとともに、草を刈る動力を草刈刃に伝達する第1の伝動軸を内部に備えた複数種の第1の操作ロッド70と、動力を発生する動力源10を一端に備えるとともに、この動力源10の動力を伝達する第2の伝動軸を内部に備えた第2の操作ロッド40と、第1の操作ロッド70の他端と第2の操作ロッド40の他端とを着脱自在に連結するとともに、第1の伝動軸の他端と第2の伝動軸の他端とを着脱自在に連結し動力源10の動力を草刈刃50A,50Bに伝達する連結部80とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、動力で回転する刈刃をロッドの端に備えて雑草などを刈り取る草刈機の分野に係るものである。
【背景技術】
【0002】
畦や畦際の雑草を刈る場合、例えば特許文献1のような円盤カッターを用いた刈払機型の草刈機を使用する。他方、畝間などの草を刈る場合は、例えば特許文献2のような除草ロータを用いた中耕除草機型の草刈機を使用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−95265号公報(第9頁、図1〜4)
【特許文献2】特開2008−118975号公報(第3頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように従来は、草を刈る場所が畦か畝間かで異なる種類の草刈機を用意するので、農家にとって作業上の負担や経済的な負担が大きいという課題があった。
【0005】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたものであり、草を刈る場所に合わせて異なる種類の草刈機を用意する必要がなく、使用者の作業上の負担や経済的な負担を軽減することが可能な草刈機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の草刈機は、草を刈る草刈刃を一端に備えるとともに、草刈刃に動力を伝達する第1の伝動軸を内部に備えた複数種の第1の操作ロッドと、動力源を一端に備えるとともに、この動力源から動力を伝達する第2の伝動軸を内部に備えた第2の操作ロッドと、第1の操作ロッドと第2の操作ロッドとを着脱自在に連結するとともに、第1の伝動軸と第2の伝動軸とを着脱自在に連結して動力源の動力を草刈刃に伝達する連結部と、を備える。
【0007】
また、第1の操作ロッドおよび第2の操作ロッドは、連結の際に、両者の他端の一方が他方に挿入される。そして貫通する一対の孔が他端にそれぞれ形成され、連結部は、第1の操作ロッドまたは第2の操作ロッドの外側面に回動可能に設けられ、この回動軸を中心に、貫通する一対の孔に係合する係合部と、貫通する一対の孔に係合部が係合するよう付勢する弾性体とを両側にそれぞれ形成した掛け止め具を有する。
【0008】
前記連結部は、第1の操作ロッドまたは第2の操作ロッドに設けられ、掛け止め具を覆う覆蓋部を備える。
【0009】
第1の伝動軸および第2の伝動軸は、スプライン結合部を有する。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、この発明によれば、草を刈る草刈刃を一端に備えるとともに、上記草刈刃に動力を伝達する第1の伝動軸を内部に備えた複数種の第1の操作ロッドと、動力源を一端に備えるとともに、この動力源から動力を伝達する第2の伝動軸を内部に備えた第2の操作ロッドと、上記第1の操作ロッドと上記第2の操作ロッドとを着脱自在に連結するとともに、上記第1の伝動軸と上記第2の伝動軸とを着脱自在に連結して上記動力源の動力を上記草刈刃に伝達する連結部と、を備えるので、複数種の第1の操作ロッドから、草を刈る場所に適した型を選んで第2の操作ロッドに連結し草を刈れるようになり、草を刈る場所に合わせて異なる型の草刈機を用意する必要がなく、使用者の作業上の負担や経済的な負担を軽減できるという効果を奏する。
【0011】
この発明によれば、第1の操作ロッドおよび第2の操作ロッドは、連結の際に、両者の他端の一方が他方に挿入されるとともに、貫通する一対の孔が他端にそれぞれ形成され、
連結部は、第1の操作ロッドまたは第2の操作ロッドの外側面に回動可能に設けられ、この回動軸を中心に、上記貫通する一対の孔に係合する係合部と、上記貫通する一対の孔に上記係合部が係合するよう付勢する弾性体とを両側にそれぞれ形成した掛け止め具を有するので、掛け止め具の弾性体側を押したり離したりする簡単な操作だけで第1の操作ロッドと第2の操作ロッドとを着脱自在に連結できるようになり、草刈機の操作性が向上するという効果を奏する。
【0012】
この発明によれば、連結部は、第1の操作ロッドまたは第2の操作ロッドに設けられ、掛け止め具を覆う覆蓋部を備えるので、草を刈っている最中に掛け止め具に誤って触れてしまうことがなくなり、第1の操作ロッドが草刈機から外れる不測の事態を防止できるという効果を奏する。
【0013】
この発明によれば、第1の伝動軸および第2の伝動軸は、スプライン結合部を有するので、スプライン結合部という簡単な構成により第1の伝動軸および第2の伝動軸を着脱自在に連結して確実に動力を伝達できるようになり、草刈機の製造が容易になり、安定した性能が得られるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明の実施の形態1による草刈機の外観を示す斜視図である。
【図2】連結部の構成を示す斜視図である。
【図3】この発明の実施の形態1による草刈機の使用方法を説明するための断面図である。
【図4】この発明の実施の形態1による草刈機の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しつつ、この発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、各図面では、同一の構成または相当する構成については同一の符号を付す。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による草刈機の外観を示す斜視図である。
【0016】
図1において、10は動力を発生するエンジンや電気モータなどの動力源、20は使用者の体に掛けるベルト、30は作業の際に手で握るハンドル、40は動力源10側のパイプ状の操作ロッド、50は回転して草を刈る草刈刃であり、円盤カッタータイプの草刈刃50Aは地面と垂直な回転軸ax1周りに回転し、除草ロータタイプの草刈刃50Bは地面と水平な回転軸ax2周りに回転する。
【0017】
また図1において、60は草刈刃50から飛び散る草・土・小石から使用者を護るカバー、60Sは地面に突き当たって草刈刃50Bの転がり過ぎを防止する抵抗棒、70は草刈刃50側のパイプ状の操作ロッド、80は操作ロッド40と操作ロッド70とを着脱自在に連結する連結部である。図1(b)では、草刈刃50Bによる草刈作業のやり易さを考慮して操作ロッド70をやや曲げてあり、この形状に合うように、操作ロッド70内の伝動軸には鋼を用いている。
【0018】
図2は連結部80の構成を示す斜視図である。
図2において、41は動力源10側の伝動軸、42は伝動軸41の端に形成された凸状のスプライン結合部、43は操作ロッド40の開口、71は草刈刃50に動力を伝達する伝動軸、72は伝動軸71の端に形成された凹状のスプライン結合部、81は操作ロッド40の表面に回動可能に設けられた掛け止め具、82は掛け止め具81の回動軸、83は掛け止め具81の一端に設けられたバネなどの弾性体、84は掛け止め具81の他端に設けられたツメなど係合部、85,86は操作ロッド40および操作ロッド70に形成された一対の孔である。
【0019】
次に使用方法について説明する。
図3はこの発明の実施の形態1による草刈機の使用方法を説明するための断面図である。
まず、図3(a)に示すように、弾性体83の付勢力に抗うように、掛け止め具81の弾性体83側を指で操作ロッド40側へ押すと、指の押圧力により回動軸82を中心にして掛け止め具81が回動し、係合部84が孔85から抜ける。
【0020】
続いて、図3(b)に示すように、操作ロッド40の開口43に対して操作ロッド70を挿入すると、伝動軸41のスプライン結合部42に伝動軸71のスプライン結合部72が嵌り、このとき孔85と孔86とがちょうど重なりあって貫通する。
【0021】
さらに、図3(c)に示すように、掛け止め具81の弾性体83側から指を離すと、弾性体83の付勢力により回動軸82を中心にして掛け止め具81が回動し、孔85,86に係合部84が嵌る。これにより、操作ロッド40から操作ロッド70が抜けないようになる。
【0022】
操作ロッド40,70の連結が完了すると、使用者はベルト20により草刈機を体に保持し、図3(d)に示すように、操作ロッド40の一端に備えた動力源10を起動する。この動力源10の動力により、操作ロッド40内に設けた伝動軸41と、操作ロッド70内に設けた伝動軸71とが回転軸ax0周りに回転して草刈刃50を回転させ、使用者はハンドル30を使って操作ロッド40,70を操作しつつ、草刈刃50により草を刈る。操作ロッド70を別のものに連結し直す場合も図3と同様の動作を行う。
【0023】
このように、この実施の形態1によれば、圃場において、畦や畦際の草を刈る場合は草刈刃50Aを一端に備えた操作ロッド70を操作ロッド40に着脱自在に連結して草を刈り、一方、畝間などの草を刈る場合は草刈刃50Bを一端に備えた操作ロッド70を操作ロッド40に着脱自在に連結して草を刈ることができるので、草を刈る場所に合わせて異なる型の草刈機を用意する必要がなくなり、使用者の作業上の負担や経済的な負担を軽減することが可能となっている。
【0024】
また、この実施の形態1によれば、凸状のスプライン結合部72と、このスプライン結合部72の形状に合わせて削り込んだ凹状のスプライン結合部42という簡単な構成のおかげで、伝動軸41,71を着脱自在に連結して確実に動力を伝達できるようになり、草刈機の製造が容易になり、安定した性能が得られる。
【0025】
さらに、この実施の形態1によれば、掛け止め具81の弾性体83側を押したり離したりするだけの簡単な操作で操作ロッド40,70を着脱自在に連結できるようになり、草刈機の操作性を向上させている。
【0026】
ここで、例えば図4のスライドカバーのように、掛け止め具81を覆う覆蓋部87を連結部80に設けるようにしても良い。このことにより、作業中などに掛け止め具81に誤って触れてしまうことがなくなり、草刈刃50側が草刈機から外れる不測の事態を防止できる。
【0027】
なお、草刈刃50は、円盤カッタータイプの草刈刃50Aや除草ロータタイプの草刈刃50B以外のものであっても良い。また、掛け止め具81は操作ロッド70側に形成することも可能である。さらに、スプライン結合部42,72の形状は特に限定されるものではなく、角柱以外の凹凸状でも良い。さらに、覆蓋部87はスライドカバーに限定されず、他の方式でも良い。
【符号の説明】
【0028】
10 動力源、20 ベルト、30 ハンドル、40 操作ロッド、41 伝動軸、42 スプライン結合部、43 開口、50,50A,50B 草刈刃、ax0,ax1,ax2 回転軸、60 カバー、60S 抵抗棒、70 操作ロッド、71 伝動軸、72 スプライン結合部、80 連結部、81 掛け止め具、82 回動軸、83 弾性体、84 係合部、85,86 孔、87 覆蓋部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
草を刈る草刈刃を一端に備えるとともに、上記草刈刃に動力を伝達する第1の伝動軸を内部に備えた複数種の第1の操作ロッドと、
動力源を一端に備えるとともに、この動力源から動力を伝達する第2の伝動軸を内部に備えた第2の操作ロッドと、
上記第1の操作ロッドと上記第2の操作ロッドとを着脱自在に連結するとともに、上記第1の伝動軸と上記第2の伝動軸とを着脱自在に連結して上記動力源の動力を上記草刈刃に伝達する連結部と、
を備えることを特徴とする草刈機。
【請求項2】
第1の操作ロッドおよび第2の操作ロッドは、連結の際に、両者の他端の一方が他方に挿入されるとともに、貫通する一対の孔が他端にそれぞれ形成され、
連結部は、第1の操作ロッドまたは第2の操作ロッドの外側面に回動可能に設けられ、この回動軸を中心に、上記貫通する一対の孔に係合する係合部と、上記貫通する一対の孔に上記係合部が係合するよう付勢する弾性体とを両側にそれぞれ形成した掛け止め具を有することを特徴とする請求項1記載の草刈機。
【請求項3】
連結部は、第1の操作ロッドまたは第2の操作ロッドに設けられ、掛け止め具を覆う覆蓋部を備えることを特徴とする請求項2記載の草刈機。
【請求項4】
第1の伝動軸および第2の伝動軸は、スプライン結合部を有することを特徴とする請求項1記載の草刈機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−90535(P2012−90535A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−238590(P2010−238590)
【出願日】平成22年10月25日(2010.10.25)
【出願人】(000113816)マメトラ農機株式会社 (25)
【Fターム(参考)】