説明

荷崩れ防止バンド

【課題】荷崩れ防止バンドを複数の運搬物の周囲に巻き付ける際の作業性を向上させる。
【解決手段】パレット等の載置台3に載置された複数の運搬物2の周囲に巻き付くことにより、その複数の運搬物2の荷崩れを防止する荷崩れ防止バンド1であって、複数の運搬物2の周囲に巻き付く長さを有するシート部材を備え、そのシート部材は、少なくとも長さ方向に伸縮性を有する。また、そのシート部材はループ状に形成されている。このような構成により、複数の運搬物2への装着の作業性を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、載置台に載置された複数の運搬物の周囲に巻き付くことにより、その複数の運搬物の荷崩れを防止する荷崩れ防止バンドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パレットなどに載置された複数の運搬物の荷崩れを防止する荷崩れ防止バンドが開発されていた(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平7−149364号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1の図4でも示されるように、従来の荷崩れ防止バンドを複数の運搬物に装着する場合には、まず始めに一端を運搬物の間に差し入れることによって仮止めしておき、そのような状態で、荷崩れ防止バンドを複数の運搬物の周りに巻回し、両端部を引き締めて固定することを行っていた。
【0004】
しかしながら、そのようにして複数の運搬物の周囲に荷崩れ防止バンドを装着する場合には、例えば、運搬物の周りをユーザが荷崩れ防止バンドを持って1周しなければならず、荷崩れ防止バンドを複数の運搬物の周りに装着する作業性がよくないという問題があった。
【0005】
また、従来の荷崩れ防止バンドを複数の運搬物に装着する場合には、荷崩れ防止バンドを締め付ける作業が必要であった。
【0006】
本発明は、上記の事情を考慮してなされたものであり、複数の運搬物への装着の作業性を向上させることができる荷崩れ防止バンドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明による荷崩れ防止バンドは、載置台に載置された複数の運搬物の周囲に巻き付くことにより、前記複数の運搬物の荷崩れを防止する荷崩れ防止バンドであって、前記複数の運搬物の周囲に巻き付く長さを有するシート部材を備え、前記シート部材は、長さ方向に伸縮性を有し、ループ状に形成されている、ものである。
【0008】
このような構成により、荷崩れ防止バンドを複数の運搬物の周囲に巻き付ける際の作業性を向上させることができうる。荷崩れ防止バンドがループ状に形成されているため、例えば、複数の運搬物の周囲をユーザが荷崩れ防止バンドを持って1周しなくても、複数の運搬物の周囲に荷崩れ防止バンドを巻き付けることができうるようになる。また、荷崩れ防止バンドがループ状に形成されているため、複数の運搬物の周囲に荷崩れ防止バンドを巻き付ける際に、バンドの両端を締め付ける作業を行う必要がなく、作業性よく装着することができ、その結果として、装着の時間を短縮できうるというメリットもある。
【0009】
また、本発明による荷崩れ防止バンドでは、前記シート部材の全体が少なくとも長さ方向に伸縮性を有するものであってもよい。
【0010】
このような構成により、荷崩れ防止バンドの全体がシート部材の長さ方向の伸縮性を有することになり、複数の運搬物を効果的に締め付けることができうる。
【0011】
また、本発明による荷崩れ防止バンドでは、前記シート部材の一部が少なくとも長さ方向に伸縮性を有するものであってもよい。
【0012】
また、本発明による荷崩れ防止バンドでは、前記シート部材の長さ方向の長さを調整可能な長さ調整機構をさらに備えてもよい。
【0013】
このような構成により、複数の運搬物の周囲の長さに応じて、シート部材の長さ方向の長さを適切に調整することができ、その結果として、複数の運搬物に適切なテンションが掛かる状態で荷崩れ防止バンドを巻き付けることができ、荷崩れを効果的に防止しうることになる。
【0014】
また、本発明による荷崩れ防止バンドでは、前記複数の運搬物に巻き付けた際に、当該複数の運搬物の側となる前記シート部材の面の少なくとも一部に、前記シート部材と前記複数の運搬物との滑りを防止する滑り止め部材をさらに備えてもよい。
【0015】
このような構成により、荷崩れ防止バンドを複数の運搬物の周囲に巻き付けた後に、例えば、運搬時の振動等によって荷崩れ防止バンドの巻き付け位置が移動することを防止しうることになる。また、例えば、荷崩れ防止バンドを複数の運搬物に装着する際にも、その滑り止め部材を複数の運搬物の一部に引っ掛けることによって、荷崩れ防止バンドを容易に装着することができるようにもなりうる。
【発明の効果】
【0016】
本発明による荷崩れ防止バンドによれば、荷崩れ防止バンドを複数の運搬物の周りに装着する作業性を向上させることができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明による荷崩れ防止バンドについて、実施の形態を用いて説明する。なお、以下の実施の形態において、同じ符号を付した構成要素は同一または相当するものであり、再度の説明を省略することがある。
【0018】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1による荷崩れ防止バンドについて、図面を参照しながら説明する。本実施の形態による荷崩れ防止バンドは、載置台に載置された複数の運搬物の周囲に巻き付くことにより、その複数の運搬物の荷崩れを防止するものである。
【0019】
図1は、本実施の形態による荷崩れ防止バンド1を複数の運搬物2に装着した状態を示す図である。複数の運搬物2は、載置台3に載置されている。載置台3は、例えば、パレットや、台車等であるが、複数の運搬物2が載置される台であれば、その種類を問わない。また、運搬物2は、段ボール箱や木箱、缶等であり、運送対象となるものであれば、その種類を問わない。荷崩れ防止バンド1は、複数の運搬物2の周囲に巻き付くことにより、その複数の運搬物2の荷崩れを防止することができる。なお、図1では、荷崩れ防止バンド1を水平方向に巻き付けている状態について示しているが、荷崩れ防止バンド1を垂直方向に巻き付けてもよいことは言うまでもない。「複数の運搬物2の周囲に巻き付く」とは、図1で示されるように、複数の運搬物2の周囲を1周することであってもよい。
【0020】
図2(a)は、複数の運搬物2に巻き付いていない状態での荷崩れ防止バンド1を示す図である。その荷崩れ防止バンド1は、シート部材11を備えている。シート部材11は、複数の運搬物2の周囲に巻き付く長さを有している。また、シート部材11は、長さ方向に伸縮性を有している。なお、シート部材11の全体が少なくとも長さ方向に伸縮性を有していてもよく、あるいは、シート部材11の一部が少なくとも長さ方向に伸縮性を有していてもよい。本実施の形態では主に前者の場合について説明する。また、シート部材11は、ループ状に形成されている。すなわち、このシート部材11の伸縮性によって、荷崩れ防止バンド1が、ループの大きくなる方向に伸びた際には、ループが小さくなる方向(ループが縮む方向)に力が働くものとする。なお、シート部材11は、少なくとも長さ方向に伸縮性を有していればよく、幅方向(長さ方向に直交する方向)には、伸縮性を有していてもよく、あるいは、有していなくてもよい。また、例えば、帯状のシート部材11の両端を結合することによってループ状のシート部材11を構成してもよく、あるいは、シート部材11の形成時からループ状に形成してもよい。帯状のシート部材11の両端を結合する場合におけるその結合は、例えば、接着剤を用いた結合でもよく、縫合による結合でもよく、リベットやボルトとナット等を用いた結合でもよく、その他の結合手段を用いた結合でもよい。
【0021】
シート部材11は、例えば、ポリエステルや、ナイロン、塩化ビニル、ウレタン等によって構成されてもよいが、前述のように長さ方向に伸縮性を有している必要がある。シート部材11に伸縮性を持たせるために、伸縮性を有する繊維を少量(例えば、10%程度など)含むナイロンやポリエステルの生地によってシート部材11を構成してもよい。伸縮性を有する繊維とは、例えば、ポリウレタンなどである。伸縮性を有するポリウレタンの繊維として、例えば、ライクラ(登録商標)等を用いてもよい。また、シート部材11は、例えば、繊維状のものであってもよく、あるいは、フィルム状のものであってもよい。このシート部材11の材質は、前述のもの以外であってもよいことは言うまでもない。このシート部材11は、耐久性の高いものが好ましい。
【0022】
シート部材11の長さや幅は、運搬物2の大きさや量に応じたものであることが好適である。例えば、100センチメートル×100センチメートルの大きさのパレットに用いる場合には、シート部材11は、シート部材11が伸びることを考慮して350センチ程度の長さを有していることが好適である。幅は、用途に応じて、適宜選択することができる。その幅は、例えば、20センチメートルから100センチメートル程度であってもよいが、それに限定されるものではない。運搬物2に巻き付ける際の作業性を考慮すれば、シート部材11の幅は20センチメートル程度であることが好適である。一方、運搬物2の効果的な荷崩れ防止の観点からは、シート部材11の幅は、40センチメートル以上であることが好適である。また、同じ大きさのパレットに載置されている運搬物2に対して用いる場合であっても、シート部材11の幅に応じて、シート部材11の長さを変更するようにしてもよい。例えば、100センチメートル×100センチメートルの大きさのパレットに用いる際に、シート部材11の幅が20センチメートルである場合には、その長さを350センチメートルとし、幅が40センチメートルである場合には、長さを360センチメートルとし、幅が60センチメートルである場合には、長さを370センチメートルとしてもよい。すなわち、幅が大きくなるほど、長さが長くなるようにしてもよい。これは、同じ伸縮率を有するシート部材11を用いていたとしても、幅が広がるにつれて、長さ方向に引き伸ばすためのより大きな力が必要となり、長く伸ばすことが困難となるためである。
【0023】
なお、載置台3の大きさや、運搬物2の大きさごとに荷崩れ防止バンド1を用意することはコスト的に大変であるため、本実施の形態による荷崩れ防止バンド1は、シート部材11の長さ方向の長さを調整可能な長さ調整機構をさらに備えてもよい。
【0024】
長さ調整機構は、例えば、図2(b)で示されるように、複数の面ファスナー21,22,23と、タブ24とから構成されてもよい。図2(b)では、面ファスナー21と、面ファスナー22,23とが着脱可能であるものとする。すなわち、例えば、面ファスナー21が雄の面ファスナーであり、面ファスナー22,23が雌の面ファスナーであってもよく、その逆であってもよい。面ファスナー21等を用いてシート部材11の長さを短くする場合には、例えば、面ファスナー21と、面ファスナー22とを貼り合わせることによって、図2(c)で示されるように、シート部材11の長さを短くすることができ、その結果、荷崩れ防止バンド1のループの大きさを小さくすることができる。また、面ファスナー21と、面ファスナー23とを貼り合わせることによって、荷崩れ防止バンド1のループの大きさをさらに小さくすることができる。なお、面ファスナー21と、面ファスナー22等とを剥がすことによって、もとのシート部材11の長さに戻すことができ、ものとループの大きさに戻すことができる。
【0025】
また、図2(b)、図2(c)において、面ファスナー22,23は、シート部材11に設けられており、面ファスナー21は、タブ24を介してシート部材11に接続されていてもよい。タブ24は、矩形のシート状の小片であって、その一辺がシート部材11の一部に結合されている。その結合は、例えば、接着剤を用いた結合でもよく、縫合による結合でもよく、リベットやボルトとナット等を用いた結合でもよく、その他の結合手段を用いた結合でもよい。また、その結合方向は、図2(b)等で示されるように、例えば、シート部材11の幅方向であってもよい。このように、タブ24を介して面ファスナー21をシート部材11に接続することにより、例えば、面ファスナー21と、面ファスナー22とを貼り合わせることによってシート部材11の長さを短くした後に荷崩れ防止バンド1のループを広げる方向に力が作用したとしても、その面ファスナー21,22の面方向に力が作用することになり、その貼り合わせが剥離しにくいようにすることができる。タブ24は、シート部材11と同様に、シート部材11の長さ方向に少なくとも伸縮性を有する素材であってもよく、そうでなくてもよい。なお、タブ24を用いないで、面ファスナー21をそのままシート部材11の表面に設けてもよいことは言うまでもない。
【0026】
なお、長さ調整機構は、面ファスナー以外によって構成されてもよいことは言うまでもない。長さ調整機構は、例えば、図3(a)で示されるように、ボタン31と、ボタンホール32,33と、タブ34とを有してもよい。例えば、タブ34に設けられているボタン31をボタンホール32にはめ込むことにより、シート部材11の長さを短くすることができる。また、例えば、ボタン31をボタンホール33にはめ込むことにより、さらにシート部材11の長さを短くすることができる。また、ボタン31をボタンホール32等から外すことにより、ものとループの大きさに戻すことができる。なお、図3(a)では、ボタン31が2個である場合について示しているが、ボタンの個数は1個であってもよく、3個以上であってもよい。なお、ボタン31の着脱の観点からは、ボタンの個数は2,3個程度であることが好適である。
【0027】
また、長さ調整機構は、例えば、図3(b)で示されるように、線ファスナー41,42,43と、タブ44とを有してもよい。なお、タブ44の一端に設けられている線ファスナー41は、線ファスナーのエレメントとスライダーを有しており、線ファスナー42,43は、線ファスナー41の有するエレメントと噛み合うエレメントを有する。なお、線ファスナー41のエレメントと、線ファスナー42,43のエレメントとの噛み合わせ、及び噛み合わせの解除は、線ファスナー41の有するスライダーをシート部材11の幅方向にスライドすることによってなされる。例えば、線ファスナー41と線ファスナー42とを噛み合わせることにより、シート部材11の長さを短くすることができる。また、例えば、線ファスナー41と線ファスナー43とを噛み合わせることにより、さらにシート部材11の長さを短くすることができる。また、線ファスナー41を線ファスナー42等から外すことにより、ものとループの大きさに戻すことができる。
【0028】
また、長さ調整機構は、例えば、図3(c)で示されるように、棒状部材51と、フック52,53と、タブ54とを有してもよい。例えば、タブ54の一端に設けられている棒状部材51をフック52に引っ掛けることにより、シート部材11の長さを短くすることができる。また、例えば、棒状部材51をフック53に引っ掛けることにより、さらにシート部材11の長さを短くすることができる。また、棒状部材51をフック52等から外すことにより、ものとループの大きさに戻すことができる。なお、図3(c)に示されるフック52,53では、棒状部材51がフック52等に掛着している場合に、荷崩れ防止バンド1のループが縮んだ際には、棒状部材51がフック52等から外れるおそれもありうるが、一般的に荷崩れ防止バンド1が運搬物2に巻き付いている際には、棒状部材51がフック52等に引っ掛かる方向にテンションが掛かっていると考えられるため、そのようなことは起きないと考えられる。また、図3(c)では、フック52,53がそれぞれ2個である場合について示しているが、フックの個数は1個であってもよく、3個以上であってもよい。図3(c)で示されるように、タブ54の幅は、シート部材11の幅よりも短くてもよい。
【0029】
図3(a)〜図3(c)においても、タブ34,44,54を介してボタン31や、線ファスナー41、棒状部材51をシート部材11に接続することによって、それらによって長さ調整のためにシート部材11の長さが短くされている場合に、ボタン31や、線ファスナー41、棒状部材51が外れにくいようにすることができる。なお、タブ34,44,54を用いないで、ボタン31や、線ファスナー41、棒状部材51をそのままシート部材11の表面に設けてもよいことは言うまでもない。
【0030】
なお、上述した長さ調整機構は一例であって、それら以外の長さ調整機構を荷崩れ防止バンド1が備えてもよいことは言うまでもない。長さ調整機能は、例えば、シート部材11に一端が結合されたシート状のタブと、そのタブに設けられた第1の結合手段と、シート部材11の表面に設けられた第2の結合手段とを備えてもよい。そして、第1の結合手段と、第2の結合手段とを結合させることによって、シート部材11の長さを調整することができるようにしてもよい。第1の結合手段は、例えば、上述した面ファスナー21や、ボタン31、線ファスナー41、棒状部材51等であり、第2の結合手段は、例えば、上述した面ファスナー22,23や、ボタンホール32,33、線ファスナー42,43、フック52,53等である。第2の結合手段の個数は、1以上であれば2個であっても、それ以上であってもよい。また、第1の結合手段と第2の結合手段が結合される機構も問わない。ただし、両者が結合された後に、荷崩れ防止バンド1のループが広がる方向に力が作用した際に、その結合が外れにくいものであることが好適である。また、長さ調整機構は、例えば、2枚以上の帯状のものを挟むことによって両者を固定することができる締め金具(例えば、ゴム製の氷枕の口を止めるための締め金具と同様のもの)であってもよい。その締め金具を用いて、図2(c)のようにシート部材11をたるませた箇所において、シート部材11(図2(c)では3枚のシート部材11)を固定することによって、シート部材11の長さを調整することができる。この場合には、シート部材11の長さを任意に調整することができる。また、長さ調整機構が面ファスナーである場合にも、図2(b)において、一の雄の面ファスナー21と、面ファスナー22,23、及びそれらの間の全ての領域をカバーする大きさの一の雌の面ファスナー(図示せず)とを用いて、長さ調整機構を構成してもよい。この場合にも、シート部材11の長さを任意に調整することができる。また、図2(b)、図3(a)〜(c)を用いて、シート部材11の長さを2段階に調整できる場合について説明したが、1段階、または3段階以上にシート部材11の長さを調整できるようにしてもよい。また、図2(b)、図3(a)〜(c)では、長さ調整機構がシート部材11の外側(すなわち、荷崩れ防止バンド1が複数の運搬物2の周囲に巻き付けられた場合において、複数の運搬物2に接しない側)に設けられている場合について説明したが、そうでなくてもよい。すなわち、長さ調整機能は、シート部材11の内側に設けられてもよい。
【0031】
また、荷崩れ防止バンド1が長さ調整機構を有する場合に、複数の運搬物2の周囲に荷崩れ防止バンド1を装着する前に長さ調整機構を用いた長さの調整を行ってもよく、あるいは、複数の運搬物2の周囲に荷崩れ防止バンド1を装着した後に長さ調整機構を用いた長さの調整を行ってもよい。なお、ここでは荷崩れ防止バンド1が有する長さ調整機構について説明したが、荷崩れ防止バンド1が長さ調整機構を有していなくてもよいことは言うまでもない。
【0032】
次に、本実施の形態による荷崩れ防止バンド1を装着する方法について説明する。図4で示されるように、ユーザは、荷崩れ防止バンド1を持って、載置台3に載置された複数の運搬物2のユーザと反対の側に荷崩れ防止バンド1を引っ掛ける。そして、その荷崩れ防止バンド1を伸ばしながら、荷崩れ防止バンド1を複数の運搬物2のユーザの側に引っ掛ける。このようにすることで、荷崩れ防止バンド1を複数の運搬物2の周囲に容易に巻き付けることができる。なお、ユーザは、その後に、荷崩れ防止バンド1をずらすことによって、複数の運搬物2の下方に移動させてもよい。その際には、荷崩れ防止バンド1を容易にずらすことができるように、荷崩れ防止バンド1が滑り性のよい素材であることが好適である。滑り性のよい素材とは、例えば、繊維製のものなどである。
【0033】
なお、ここではユーザが複数の運搬物2の周囲を回ることなく荷崩れ防止バンド1を複数の運搬物2の周囲に装着する場合について説明したが、運搬物2の形状や大きさ、載置台3の大きさ等によっては、ユーザが、複数の運搬物2の周囲を回りながら荷崩れ防止バンド1を複数の運搬物2の周囲に装着してもよいことは言うまでもない。
【0034】
また、本実施の形態による荷崩れ防止バンド1は、伸縮性を有するものであるため、図1で示されるように複数の運搬物2の周囲に巻き付けた状態においても、荷崩れ防止バンド1を伸ばすことによって、一部の運搬物2を載置台3の上から取り出すことも可能である。また、荷崩れ防止バンド1を伸ばすことだけでは一部の運搬物2を取り出すことができない場合であっても、荷崩れ防止バンド1を上下にずらすことによって、一部の運搬物2を載置台3の上から取り出すことも可能である。なお、荷崩れ防止バンド1を上下にずらすことを容易にするために、荷崩れ防止バンド1に取っ手やタブ、指や手を挿入可能な孔等を設け、ユーザは、その取っ手等を用いて、荷崩れ防止バンド1を上下に移動させてもよい。
【0035】
以上のように、本実施の形態による荷崩れ防止バンド1によれば、複数の運搬物2の周りに荷崩れ防止バンド1を装着する際に、複数の運搬物2の周りを1周しなくても装着しうることになり、荷崩れ防止バンド1を複数の運搬物2の周囲に装着する際の作業性が向上されるというメリットがある。例えば、複数の運搬物2の載置されている載置台(パレット)3の間隔が狭いため、複数の運搬物2の周りをユーザが荷崩れ防止バンド1を持って1周することができないような状況においても、本実施の形態による荷崩れ防止バンド1を用いることによって、複数の運搬物2の周囲に荷崩れ防止バンド1を巻き付けることができるようになりうる。
【0036】
また、複数の運搬物2の周囲に荷崩れ防止バンド1を巻き付ける際に、従来の荷崩れ防止バンドのようにバンドの両端を締め付ける作業をする必要がなく、荷崩れ防止バンド1を複数の運搬物2の周囲に装着する際の作業性をよくすることができ、装着の時間を短縮できるというメリットもある。
【0037】
なお、本実施の形態では、シート部材11の全体が少なくとも長さ方向に伸縮性を有する場合について主に説明したが、図5で示されるように、シート部材11の一部が少なくとも長さ方向に伸縮性を有するものであってもよい。図5では、4箇所に伸縮性を有する領域61の存在するシート部材11を示しているが、伸縮性を有する領域61は、1箇所以上存在すればよい。ただし、荷崩れ防止バンド1の全体が、伸縮性を有する領域61による伸縮性の影響を均等に受けることができるように、伸縮性を有する領域61は、シート部材11においてできるだけ均等に配置されていることが好適である。
【0038】
また、前述のように、荷崩れ防止バンド1を滑り性のよい素材で構成した場合には、荷崩れ防止バンド1を複数の運搬物2に巻き付けた状態で容易に移動させることができるというメリットがあるが、一方、運搬中の振動等によって、荷崩れ防止バンド1を巻き付けていたい本来の位置からずれてしまうこともありうる。また、図4で示されるように荷崩れ防止バンド1を複数の運搬物2に装着する場合においても、荷崩れ防止バンド1の滑り性がよいと、複数の運搬物2のユーザと反対の側の位置に荷崩れ防止バンド1が適切に引っ掛からないという問題も起こりえる。そのため、図6で示されるように、シート部材11の内側の面(すなわち、荷崩れ防止バンド1を複数の運搬物2に巻き付けた際に、その複数の運搬物2の側となる面)の少なくとも一部に、滑り止め部材71を設けてもよい。滑り止め部材71は、荷崩れ防止バンド1の装着時に、シート部材11と複数の運搬物2との滑りを防止するためのものである。
【0039】
滑り止め部材71は、例えば、薄いシート状のものであってもよい。また、滑り止め部材71は、例えば、ゴムや、滑り止め性の高い樹脂(例えば、ウレタンやシリコン等)によって構成されてもよい。また、シート部材11の内側の面において、滑り止め部材71が設けられる範囲は問わない。例えば、そのシート部材11の内側の面の全面に滑り止め部材71が設けられてもよく、あるいは、一部に滑り止め部材71が設けられてもよい。また、シート部材11の内側の面の一部に滑り止め部材71が設けられる場合に、図6(c)で示されるように、シート部材11の幅方向の全体にわたって滑り止め部材71が設けられてもよい。また、図6(a)、図6(b)で示されるように、シート部材11の幅方向の一端の側にのみ滑り止め部材71が設けられてもよい(すなわち、荷崩れ防止バンド1のループの開口の一端側に滑り止め部材71が設けられてもよい)。図6(a)、図6(b)のように、シート部材11の幅方向の一端側に滑り止め部材71が設けられた場合には、例えば、図1で示されるように荷崩れ防止バンド1を複数の運搬物2の周囲に巻き付けた後に、荷崩れ防止バンド1をずらす際に、図6(a)、図6(b)で示される滑り止め部材71の位置に手を挿入し、滑り止め部材71が複数の運搬物2の表面に触れないようにすることによって、荷崩れ防止バンド1を容易に移動させることができるようになる。そのため、図6(a)で示されるように、シート部材11の幅方向の一端側に滑り止め部材71が設けられる場合に、その滑り止め部材71の大きさや位置は、ユーザが滑り止め部材71と運搬物2の間に手を挿入した際に、その滑り止め部材71が運搬物2の表面から浮くように設定されていることが好適である。例えば、図6(a)の場合には、滑り止め部材71は、シート部材11の長さ方向に20センチメートル、シート部材11の幅方向に5〜20センチメートルであってもよい(滑り止め部材71の位置に片手を挿入する場合)。また、例えば、図6(a)の場合には、滑り止め部材71は、シート部材11の長さ方向に40〜60センチメートル、シート部材11の幅方向に5〜20センチメートルであってもよい(滑り止め部材71の位置に両手を挿入する場合)。また、図6(b)の場合には、各滑り止め部材71は、シート部材11の長さ方向に20センチメートル、シート部材11の幅方向に5〜20センチメートルであってもよい。また、その2個の滑り止め部材71の間隔は、例えば、10〜50センチメートルであってもよい。なお、滑り止め部材71の大きさや位置は、これらに限定されないことはいうまでもない。ただし、前述のように、荷崩れ防止バンド1を運搬物2の表面上で移動させる際に、滑り止め部材71が複数の運搬物2の表面に触れないようにすることができる大きさや位置であることが好適である。
【0040】
また、滑り止め部材71を備えた荷崩れ防止バンド1を図4で示されるようにして複数の運搬物2に装着する際には、複数の運搬物2のユーザと反対の側の位置に滑り止め部材71が存在するようにすることで、荷崩れ防止バンド1を運搬物2に効果的に引っ掛けることができうる。その際に、滑り止め部材71の位置が図6(a)や図6(b)で示されるように、シート部材11の幅方向の一端側となる場合には、滑り止め部材71が下側になるようにして荷崩れ防止バンド1を運搬物2に装着することによって、滑り止め部材71を効果的に運搬物2に引っ掛けることができうる。
【0041】
また、本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0042】
以上より、本発明による荷崩れ防止バンドは、例えば、載置台に載置された複数の運搬物の周囲に容易に巻き付けることができ、その複数の運搬物の荷崩れを防止する荷崩れ防止バントとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施の形態1による荷崩れ防止バントの装着状態を示す図
【図2】同実施の形態による荷崩れ防止バントを示す図
【図3】同実施の形態による荷崩れ防止バントの長さ調整機構の一例を示す図
【図4】同実施の形態による荷崩れ防止バントの装着方法について説明するための図
【図5】同実施の形態による荷崩れ防止バントの他の一例について説明するための図
【図6】同実施の形態による荷崩れ防止バントの他の一例について説明するための図
【符号の説明】
【0044】
1 荷崩れ防止バンド
2 運搬物
3 載置台
11 シート部材
21、22、23 面ファスナー
31 ボタン
32、33 ボタンホール
41、42、43 線ファスナー
51 棒状部材
52、53 フック
61 伸縮性を有する領域
71 滑り止め部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
載置台に載置された複数の運搬物の周囲に巻き付くことにより、前記複数の運搬物の荷崩れを防止する荷崩れ防止バンドであって、
前記複数の運搬物の周囲に巻き付く長さを有するシート部材を備え、
前記シート部材は、長さ方向に伸縮性を有し、ループ状に形成されている、荷崩れ防止バンド。
【請求項2】
前記シート部材の全体が少なくとも長さ方向に伸縮性を有するものである、請求項1記載の荷崩れ防止バンド。
【請求項3】
前記シート部材の一部が少なくとも長さ方向に伸縮性を有するものである、請求項1記載の荷崩れ防止バンド。
【請求項4】
前記シート部材の長さ方向の長さを調整可能な長さ調整機構をさらに備えた、請求項1から請求項3のいずれか記載の荷崩れ防止バンド。
【請求項5】
前記複数の運搬物に巻き付けた際に、当該複数の運搬物の側となる前記シート部材の面の少なくとも一部に、前記シート部材と前記複数の運搬物との滑りを防止する滑り止め部材をさらに備えた、請求項1から請求項4のいずれか記載の荷崩れ防止バンド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−280212(P2009−280212A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−131077(P2008−131077)
【出願日】平成20年5月19日(2008.5.19)
【出願人】(504240371)菊地シート工業株式会社 (11)
【Fターム(参考)】