説明

荷崩れ防止具

【課題】
パレット又は台車上の積載荷物の回りを作業物が廻ることなく、当該積載荷物に対して覆い被せられると共に、非使用時には簡単に方形板状に折り畳むことのできる荷崩れ防止具の提供である。
【解決手段】
シート本体S1 と、当該シート本体S1 の各側面部2a,2bに取付けられて、作業者一人で持ち上げることにより前記シート本体S1 の全体形状を保つべく、前記各側面部2a,2bに一体に取付けられるフレームF1 ,F2 と、積載荷物J1 に覆い被せられた前記シート本体S1 の各側面部2a,2bの部分を結束するため結束ベルトVとを備えた構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パレット又は台車上に積載された荷物の荷崩れを防止するための荷崩れ防止具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、パレット又は台車上に積載された荷物の荷崩れを防止するには、種々の手段が採用されており、その一つとしてストレッチフィルムを用いて積載荷物を周方向に巻き付けるものである。しかし、このストレッチフィルムを使用する方法では、積載荷物のサイズに自在に対応できる利点がある反面、作業者が積載荷物の回りを何回も廻って当該フィルムを巻き付ける必要があるために、フィルムの巻回作業自体が面倒であると共に、フィルムの繰り返し使用ができないために、使用済のフィルムをそのまま燃焼させると、CO2 の発生により環境に悪影響を及ぼす。また、シートの巻回方向の両端部に粘着テープ、或いはバックルを設けて、締め付けるものもあるが、繰り返し使用が可能ではあるが、作業者が積載荷物の回りを廻ってフィルムを巻き付ける必要がある点は、ストレッチフィルムと同様であって、フィルムの巻付作業が面倒である。
【0003】
また、特許文献1には、パレット上の積載荷物の荷崩れを防止するための方形蓋状をしたパレット用係止具(荷崩れ防止具)が開示されているが、当該パレット用係止具は、定形の4つの周壁と1つの上壁とを組み付ける構成であるので、対応可能な積載荷物の形状(縦横の各寸法)は一義的に定まってしまい、同一のパレット用係止具により縦横寸法の異なる別の積載荷物に対してセットできない欠点がある。
【0004】
また、特許文献2には、独立した4枚のシートが複数本のベルトにより連結された構成の荷崩れ防止具が開示されているが、4枚の個々のシートは、複数本のベルトで連結されているのみであって、独立して配置位置を選択できる構成である。よって、パレット上の積載荷物に対してセットするには、作業者が積載荷物の回りを廻って、各シートを積載荷物に対して仮止めしておき、各シートの全てが仮止めされた後に、各ベルトを引っ張って積載荷物に対して各シートをセットして、当該積載荷物の荷崩れを防止している。従って、作業者が積載荷物の回りを廻って荷崩れ防止具をセットする必要があって、この点の改善がなされていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−20042号公報
【特許文献2】特開2006−131235号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、パレット又は台車上の積載荷物の回りを作業物が廻ることなく、積載荷物に対して所定位置に立ったままで、当該積載荷物に対して覆い被せて、荷崩れを防止した状態で結束できると共に、非使用時には簡単に方形板状に折り畳むことのできる荷崩れ防止具の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための請求項1の発明は、パレット又は台車上に積載された荷物の荷崩れを防止するための荷崩れ防止具であって、全体がシートで一体に形成され、天面部及び4つの各側面部とを備えて底面が開口された方形蓋状に拡げることが可能であって、覆被せ可能な最少平面サイズの積載荷物に対して平面視で僅かに相似大形の防止具本体と、前記防止具本体の4つの全ての側面部、又は3つの側面部の各形状を保つことにより、作業者一人で持ち上げることにより前記防止具本体の全体形状を保つべく、前記各側面部毎に独立して一体に取付けられる保形部材と、前記防止具本体の各側面部の外側に周方向に移動可能なように複数箇所において連結され、前記積載荷物に当該防止具本体が覆い被せられた状態で、当該防止具本体の周方向の余長部を吸収して前記積載荷物を結束状態にするための結束部材とを備え、作業者一人が前記積載荷物の四辺部のうち任意の一辺部において、方形蓋状に拡げられた前記防止具本体を前記積載荷物に上方から覆い被せた後に、当該一辺部において前記結束部材により前記防止具本体の周方向の余長部を吸収して、当該積載荷物を結束するようにしたことを特徴としている。
【0008】
請求項1の発明によれば、防止具本体の全ての側面部又は3つの側面部には、作業者一人で持ち上げることにより、底面が開口された方形蓋状の全体形状又はこれに近い形状を保持するように、保形部材が各側面部毎に独立して取り付けられていて保形されている。このため、作業者一人が積載荷物の四辺部のうち任意の一辺部において、防止具本体を方形蓋状に拡げて、積載荷物の上方から当該積載荷物に防止具本体を覆い被せることが可能となる。なお、防止具本体の4つの側面部のうち3つの側面部のみに保形部材が取付けられている場合には、当該保形部材が取付けられていない側面部を作業者に対向させた位置に配置して、上記覆い被せ作業を行う。その後に、積載荷物の前記一辺部において結束部材により積載荷物を結束すると、防止具本体の周方向の余長部は吸収されて、積載荷物が結束部材により、荷崩れを防止可能な状態に結束される。
【0009】
即ち、請求項1の発明によれば、パレット又は台車上に積載された積載荷物の四辺部のうち任意の一辺部に作業者が立ったままで、積載荷物の廻りを全く移動することなく、パレット上に積載された積載荷物に対して方形蓋状に保形された防止具本体を当該積載荷物に覆い被せた後に、当該一辺部において結束部材により積載荷物を結束することにより、作業者一人で、しかも積載荷物に対して一定の位置に立ったままで、当該積載荷物に対して荷崩れ防止具をセットして、その荷崩れを防止できる。
【0010】
また、全側面部のうち3つの側面部のみに保形部材が取付けられている場合における当該保形部材が取付けられていない側面部を除いて、各側面部は保形部材により方形状に保形されている。従って、底面が開口された防止具本体が蓋状に拡げられた状態において、4つの側面部のうち隣接する側面部どうしをそれぞれ2枚重ねにして全体を2枚重ねにした状態で、ほぼ二等辺三角形状に折り畳まれた天面部を、全体が2枚重ねとなった側面部の上に重ね合わせる。その後に、2枚重ねとなった側面部どうしを更に重ね合わせて4枚重ね状態にして折り畳むと、二等辺三角形状に折り畳まれた天面部は、更に二つに折り畳まれて上下の各保形部材の間で挟まれて、荷崩れ防止具の全体が方形板状に折り畳まれる。これにより、形状の不定形なシートのみから成る防止具本体の天面部は、側面部を保形している各保形部材の間に挟まれて、取り扱い中に抜け出なくなる。よって、繰り返して使用される荷崩れ防止具を、防止具本体の一枚の側面部に相当する方形状に折り畳むことができるので、荷崩れ防止具としての利便性が大幅に高められる。
【0011】
また、請求項2の発明は、パレット又は台車上に積載された荷物の荷崩れを防止するための荷崩れ防止具であって、全体がシートで一体に形成され、4つの各側面部のみを備えた方形枠板状に拡げることが可能であって、覆被せ可能な最少平面サイズの積載荷物に対して平面視で僅かに相似大形の防止具本体と、前記防止具本体の4つの全ての側面部、又は3つの側面部の各形状を保つことにより、作業者一人で持ち上げることにより前記防止具本体の全体形状を保つことを可能にすべく、前記各側面部毎に独立して一体に取付けられる保形部材と、前記防止具本体の各側面部の外側に周方向に移動可能なように複数箇所において連結され、前記積載荷物に当該防止具本体が覆い被せられた状態で、当該防止具本体の周方向の余長部を吸収して前記積載荷物を結束状態にするための結束部材とを備え、作業者一人が前記積載荷物の四辺部のうち任意の一辺部において、方形枠板状に拡げられた前記防止具本体を前記積載荷物に上方から覆い被せた後に、当該一辺部において前記結束部材により前記防止具本体の周方向の余長部を吸収して、当該積載荷物を結束するようにしたことを特徴としている。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1の発明とほぼ同様にして、作業者は、パレット又は台車上の積載荷物の四辺部のうち任意の一辺部において、方形枠板状に拡げられた防止具本体を、前記積載荷物の上方から当該積載荷物の外側に嵌め込むようにして配置し、そのままの状態で、結束部材により積載荷物を結束すると、防止具本体の周方向の余長部は吸収されて、積載荷物は、結束部材により、荷崩れを防止可能な状態で結束される。即ち、積載荷物の一辺部に作業者が立ったままで、当該積載荷物の外側に防止具本体を配置して、そのままの位置で、結束部材により積載荷物を結束して、その荷崩れを防止できるので、作業者が積載荷物の回りを廻る必要がなくなって、積載荷物の荷崩れを防止するための荷崩れ防止具を、作業者一人で簡単に積載荷物に対してセットできる。また、4つの側面部のうち3つの側面部のみに保形部材が取付けられている場合には、当該保形部材が取付けられていない側面部が作業者と対向するように配置して、積載荷物に対して防止具本体を配置することは、請求項1の発明と同様である。
【0013】
また、非使用時に、方形枠板状に拡げられた荷崩れ防止具を折り畳んでおくには、隣接する2つの側面部を2枚重ねにした後に、当該2枚重ねになった各側面部を更に2枚重ねにして、4枚の各側面部を互いに重ね合わせると、全体が薄板状に折り畳まれる。折畳み時、或いは折畳み後の折畳み状態においても、側面部は、保形部材により方形状に保形されているので、折畳みが容易になると共に、折畳み状態を維持できる。このように、単に2工程で薄板状に折り畳むことができるので、折畳み作業が容易であると共に、折畳み状態において荷崩れ防止具は全く嵩張らなくて、取扱いが容易となる。
【0014】
また、請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、前記保形部材は、防止具本体の側面部に対して僅かに小形の相似形状であって、針金からなる方形状のフレームで構成されていることを特徴としている。
【0015】
請求項3の発明によれば、防止具本体の側面部は、天面部と同様にフィルムのみから成るために、不定形であるが、当該側面部を保形する保形部材は、針金からなる方形状のフレームであっても、保形する機能からすると、板状の部材と同等の保形機能を有する。この結果、針金から成るフレーム状の保形部材を使用すると、フレーム状の保形部材で囲まれた部分は、自由な変形が可能なシートのままであるので、板状の保形部材に比較して、保形部材の全体が軽量になると共に、積載荷物に対する荷崩れ防止具の覆被せ作業、及び折畳み作業が容易となる。
【0016】
また、請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかの発明において、前記防止具本体の各側面部には全て保形部材が取付けられていて、4つの保形部材のうち平面視で一方の対角線上に配置される2つの保形部材の隣接部は、相互に回動可能なように連結されていると共に、他方の対角線上に配置される2つの保形部材の残りの隣接部の間には、積載荷物の縦横のサイズに応じて当該積載荷物の結束時に周方向に沿って吸収可能な余長部が設けられていることを特徴としている。
【0017】
請求項4の発明によれば、計4つの保形部材は、平面視で一方の対角線上に配置される2つの隣接部において互いに回動可能に連結されているために、防止具本体を底面が開口した蓋体状に開いた場合の保形性に優れ、作業者一人で積載荷物に対して方形蓋状に開かれた防止具本体を覆い被せる作業が容易になる。また、平面視で他方の対角線上に配置される2つの保形部材の残りの2つの隣接部の間に存在する前記余長部によって、同一の荷崩れ防止具によって、一定範囲内において縦横のサイズの異なる積載荷物に対して対応可能となる。
【0018】
また、請求項5の発明は、請求項1の発明において、前記防止具本体の各側面部には全て保形部材が取付けられていて、4つの保形部材のうち平面視に一方の対角線上に配置される2つの保形部材の隣接部は、相互に回動可能なように連結されていると共に、他方の対角線上に配置される2つの保形部材の残りの隣接部の間には、積載荷物の縦横のサイズに応じて当該積載荷物の結束時に周方向に沿って吸収可能な余長部が設けられ、前記防止具本体の天面部の中央部には、方形蓋状に拡げられた防止具本体を折り畳む際に、当該天面部が下方に沈み込むのを防止して、作業者の一方の手で掴んで上方に持ち上げるための天面掴み片が設けられていると共に、4つの側面部のうち特定の1つの側面部には、作業者の他方の手で掴んで当該特定の側面部を内方に押し込むための側面掴み片が保形部材における余長部側の端部に設けられていることを特徴としている。
【0019】
請求項5の発明によれば、防止具本体の天面部は、全体がシートのままであるので、方形蓋状に拡げられた当該防止具本体を折り畳む際に、当該天面部が下方に沈み込んで、折り畳みの障害となる。このため、請求項5の発明によれば、作業者の一方の手で、方形蓋状に拡げられた防止具本体の天面部の天面掴み片を掴むと共に、他方の手で、特定の側面部の保形部材の余長部側の端部に設けられた側面掴み片を掴んだ状態で、当該側面掴み片が設けられた側面部を内方に押し込んで、回動可能に連結された各保形部材を取付けた側面部どうしを互いに重ね合わせて、当該防止具本体を折り畳む。
【0020】
また、請求項6の発明は、請求項1ないし5のいずれかの発明において、前記防止具本体の各側面部には、前記結束部材を挿通させるための被挿通部がそれぞれ設けられ、当該結束部材は、防止具本体と一緒に折り畳み可能なように前記各被挿通部に結束部材が挿通されていることを特徴としている。
【0021】
請求項6の発明によれば、積載荷物に荷崩れ防止具が覆い被せられた状態で、当該積載荷物を全周に亘って結束する結束部材は、防止具本体の各側面部に連続して設けられていて、荷崩れ防止具の折畳み時には、防止具本体と一緒に折り畳まれる。従って、結束部材の紛失の恐れがないと共に、当該結束部材を単独に折り畳んで保管する面倒がなくなり、更に、荷崩れ防止具を方形蓋状に拡げると、各側面部には、結束部材が全周に亘って取付けられているため、荷崩れ防止の作業も容易となる。
【0022】
また、請求項7の発明は、請求項1,3,4,5,6のいずれかの発明において、前記シート本体の側面部には、下端縁に近接して保形部材が取付けられることにより、当該側面部における前記保形部材よりも上方の部分は、積載荷物の上部の立体形状に応じて任意に変形可能な変形部となっていて、前記積載荷物の上部の立体形状に応じて変形するシート本体の天面部、及び各側面部の変形部の変形形状は、当該側面部と天面部との間に亘って取付けられる変形形状維持部材により維持されることを特徴としている。
【0023】
請求項7の発明によれば、平面視で方形状であって、上部が不規則な非平面状の積載荷物の場合に対応可能であって、シート本体の側面部における保形部材よりも上方の変形部と天面部の双方を、積載荷物の上部の形状に対応させて変形させ、当該変形部に変形形状維持部材を取付けることにより、積載荷物の上部形状に対応して変形されたシート本体の上部の変形形状を維持できる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、パレット又は台車の任意の一辺部に作業者が位置したままで、当該パレット又は台車上の積載荷物の回りを廻ることなく、当該積載荷物に対して保形部材により方形蓋状、或いは方形枠板状に保形された防止具本体を覆い被せた状態で、防止具本体の余長部を吸収して結束部材により積載荷物を結束することにより、当該積載荷物の荷崩れを防止できる。このように、作業者は、パレット又は台車の任意の一辺部に位置したままで、当該パレット又は台車の回りを廻ることなく、積載荷物の荷崩れを防止できるので、荷崩れ防止具を積載荷物に覆い被せて結束する作業を作業者一人で行える。
【0025】
また、形状の不定形なシートで方形蓋状、或いは方形枠板状に形成された防止具本体の全側面部、又は3つの側面部は、保形部材により方形状に保形されているので、保形部材が取付けられている側面部は、定形である方形を保持し得る。防止具本体は方形蓋状、或いは方形枠板状を保持し得る。よって、非使用時に荷崩れ防止具を折り畳むには、4つの各側面部を二つ折りにした後に、天面部を有する場合には、当該天面部をほぼ二等辺三角形状にして、二つ折りにされた側面部の上に重ね合わせ、その後に、二つ折りにされた側面部を、更に二つ折りにして、計4つの側面部を全て重ね合わせることにより、嵩張ることのない方形板状に容易に折り畳むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】請求項1の発明に係る荷崩れ防止具P1 により積載荷物J1 の荷崩れを防止した状態の斜視図である。
【図2】(a),(b)は、それぞれシート本体S1 を方形蓋状に拡げた(展開させた)状態を斜上方、及び斜下方から見た斜視図である。
【図3】シート本体S1 が拡げられた荷崩れ防止具P1 の各構成部材を分離して示す斜視図である。
【図4】作業者がパレットKの一辺部に立って、方形蓋状に拡げられたシート本体S1 を積載荷物J1 に覆い被せる状態の斜視図である。
【図5】(a),(b)は、同一の荷崩れ防止具P1 により、平面サイズの異なる積載荷物J1,J1'の荷崩れを防止できることを示す模式的平面図である。
【図6】天面及び側面の各掴み片11,12を持って、方形蓋状に展開されたシート本体S1 を折り畳む初期の状態を示す斜視図である。
【図7】シート本体S1 の隣接する各側面部2a,2bが2枚重ねされた状態の斜視図である。
【図8】隣接する各側面部2a,2bが2枚重ねされた状態で、二つ折りにされた天面部1を内側に折り畳んでいる状態の斜視図である。
【図9】2枚重ねされた各側面部2a,2bの間に、四つ折りされた天面部1が挟まれた状態で、シート本体S1 の4つの各側面部2a,2bが4枚重ねされた状態の斜視図である。
【図10−A】(a),(b)は、それぞれシート本体S1 の隣接する各側面部2a,2bを2枚重ねさせるために、当該シート本体S1 の一方の余長部Tを内側に押し込む前後の模式図である。
【図10−B】(c),(d)は、2枚重ねされたシート本体S1 の隣接する各側面部2a,2bの間に四つ折りされた天面部1を挟んで、4枚の各側面部2a,2bを4枚重ねさせる前後の模式図である。
【図11】(a),(b)は、積載荷物J2 の結束前後のシート本体S2 を主体に示す模式的平面図である。
【図12】(a)〜(c)は、シート本体S2 の折り畳みの順序を説明する模式図である。
【図13】天面部を有しないシート本体S3 を備えた荷崩れ防止具P3 により積載荷物J3 の荷崩れを防止している状態の斜視図である。
【図14】荷崩れ防止具P4 の斜視図である。
【図15】荷崩れ防止具P4 の使用状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、複数の最適な実施例を挙げて、本発明について更に詳細に説明する。
【実施例1】
【0028】
最初に、図1ないし図9を参照して、請求項1の発明について説明する。図1は、請求項1の発明に係る荷崩れ防止具P1 により積載荷物J1 の荷崩れを防止した状態の斜視図であり、図2(a),(b)は、それぞれシート本体S1 を方形蓋状に拡げた(展開させた)状態を斜上方、及び斜下方から見た斜視図であり、図3は、シート本体S1 が拡げられた荷崩れ防止具P1 の各構成部材を分離して示す斜視図であり、図4は、作業者がパレットKの一辺部に立って、方形蓋状に拡げられたシート本体S1 を積載荷物J1 に覆い被せる状態の斜視図であり、図5(a),(b)は、同一の荷崩れ防止具P1 により、平面サイズの異なる積載荷物J1,J1'の荷崩れを防止できることを示す模式的平面図である。荷崩れ防止具P1 は、全体がシートで一体に形成され、天面部1及び4つの各側面部2a,2bとを備えて、拡げた状態で底面が開口された方形蓋状をなしていて、覆い被せ可能な最少平面サイズの積載荷物J1 に対して平面視で僅かに相似大形のシート本体S1 と、当該シート本体S1 の4つの全ての側面部2a,2bの各形状を保って、作業者Mが一人で持ち上げることにより前記シート本体S1 の全体形状を保つべく、前記各側面部2a,2b毎に独立して一体に取付けられる針金から成るフレームF1 ,F2 と、前記シート本体S1 の各側面部2a,2bの外側に複数個ずつ(実施例では2個)設けられたベルト通し3に挿通されて、前記積載荷物J1 に前記シート本体S1 が覆い被せられた状態で、当該シート本体S1 の周方向の余長部Tを吸収可能にして前記積載荷物J1 を結束状態にするための結束ベルトVとを備えている。
【0029】
シート本体S1 は、拡げた状態(展開状態)で底面が開口した方形蓋状をなしていて、周方向に沿ってフレームF1 ,F2 が配置されていない部分を設けて、当該部分を余長部Tとすることにより、同一の荷崩れ防止具P1 により、一定範囲内において平面サイズの異なる複数の積載荷物J1 を結束可能にしてある。また、シート本体S1 の高さ方向の寸法(H)は、例えば図1に示されるように、パレットK上に2段となって荷物が積載される場合には、当該積載荷物J1 の各段に跨がる(下段の荷物に達する)ような長さを有することが必要である。積載荷物J1 の全体形状は、直方体状であることが多く、実施例では、平面視で方形を構成する2辺の長さが異なっている。このため、シート本体S1 の計4つの側面部2a,2bのうち、長さ(L1)の長い辺の側面部2aと、長さ(L2)の短い辺の側面部2bとでは、これらの各側面部2a,2bの方形形状を保持するためのフレームF1 ,F2 の長さが異なる。各フレームF1 ,F2 の短辺の長さ(L13)は等しいが、各長辺の長さは、異なっていると共に、各フレームF1 ,F2 の長辺の長さ(L11,L12)は、それぞれ対応するシート本体S1 の側面部2a,2bの長辺の長さ(L1,L2)に対して所定長だけ短くなっており、これによりシート本体S1 の周方向に沿った前記余長部Tを形成している。即ち、当該余長部Tは、シート本体S1 の各側面部2a,2bの周方向に沿ってフレームF1 ,F2 が配置されていない部分であって、当該余長部Tの存在により、同一の荷崩れ防止具P1 により、一定範囲内において平面視における方形サイズの異なる積載荷物J1 の荷崩れ防止を可能にさせている。長短の各側面部2a,2bには、それぞれフレームF1 ,F2 が取付けられる。図3に示されるように、長さの異なる各フレームF1 ,F2 の隣接配置される各短辺部F1aは、複数の連結体4を介して互いに回動可能に連結されており、この連結構造は、後述するように、シート本体S1 を板状に折り畳む際に、その折り畳み作業を容易にしていると共に、シート本体S1 の折畳み形状を安定化させている。各フレームF1 ,F2 は、シート本体S1 の各側面部2a,2bに縫製により取付けられる。即ち、各フレームF1 ,F2 のコーナー部を除く直線部は、隣接する別のフレームF2 ,F1 と連結されている短辺部F1aを含めて、取付布部5により覆われて、結果的に、各フレームF1 ,F2 の短辺部F1a及び長辺部F1bは、シート本体S1 の側面部2a,2bに筒状となって縫着された当該取付布部5の間に挿通保護された形態となっていて、各フレームF1 ,F2 は、各コーナー部を除いて露出していない。シート本体S1 の各側面部2a,2bに対する各フレームF1 ,F2 の高さ方向の取付位置は、各側面部2a,2bの下辺部と、各フレームF1 ,F2 の下方の長辺部F1bとがほぼ一致するように取付けられて、各側面部2a,2bの上辺部と各フレームF1 ,F2 の上方の長辺部F1bとの間に所定の間隔を設けることにより、積載荷物J1 の上面の隅部と、シート本体S1 の各側面部2a,2bに取付けられた各フレームF1 ,F2 との干渉を避けている。
【0030】
このように、シート本体S1 は、拡げた状態で理論上は方形蓋状となり得るが、現実には、容易に形状崩れして方形蓋状を保持するのは極めて難しく、一人の作業者のみで直方体状の積載荷物J1 に対してシート本体S1 を拡げて覆い被せることは極めて難しい。ところが、請求項1の発明によって、上記したように、シート本体S1 の各側面部2a,2bの全てに針金から成るフレームF1 ,F2 が取付けられているため、各側面部2a,2bの方形形状を保持させられる。また、隣接配置された各フレームF1 ,F2 は、平面視で対角線に沿った方向に対向する部分が複数の連結体4により互いに回動可能に連結されているため、シート本体S1 の各側面部2a,2bが単独で方形状を保持し易くなるのに加えて、隣接する二つの各側面部2a,2bは、当該各側面部2a,2bに取付けられる方形状の各フレームF1 ,F2 が短辺部F1a, F2aで連結されているため、当該各フレームF1 ,F2 の連結状態に倣って連結された状態となる。従って、シート本体S1 を拡げた場合に、作業者Mが一人の場合であっても、当該シート本体S1 を方形蓋状に保持させられる。
【0031】
また、シート本体S1 の各側面部2a,2bにおける各フレームF1 ,F2 の内側であって、しかも当該各フレームF1 ,F2 の短辺部F1a, F2aに近い部分には、それぞれベルト通し3が縫着されていて、各ベルト通し3に結束ベルトVが挿通されている。実施例では、シート本体S1 の各側面部2a,2bの高さ方向の中央部に1本の結束ベルトVが配置されて、当該結束ベルトVにより、積載荷物J1 と、当該積載荷物J1 に覆い被せられたシート本体S1 とを一体にして結束して荷崩れを防止するものであるが、積載荷物J1 が2段以上の数段に亘る場合には、高さ方向に沿って異なる複数箇所に結束ベルトVを配置することが望ましい。結束ベルトVの長さは、当該荷崩れ防止具P1 により結束可能な最大の周長の積載荷物の当該周長よりも締付け代分の長さだけ長くなっていて、当該結束ベルトVの一端部には、当該結束ベルトVの他端部を挿通して固定するバックル部6が一体に設けられている。
【0032】
また、請求項1の発明に係る荷崩れ防止具P1 は、一人の作業者Mにより、しかもパレットKの任意の一辺部に当該作業者Mが立ったままで、即ち、当該パレットKに積載された荷物J1 の回りを廻ることなく、当該積載荷物J1 に対して覆い被せることができる点に大きく特徴があるのに加えて、形状が不定形なシートで構成されたシート本体S1 を、作業者M一人で板状に折り畳められる工夫もしてある点に別の特徴が存在する。即ち、後に詳述するように、シート本体S1 の各側面部2a,2bにそれぞれフレームF1 ,F2 が取付けられて平面形状を保ち易いようにしてあること、隣接する各側面部2a,2bに取付けられるフレームF1 ,F2 は、隣接する各短辺部F1a,F2aが互いに回動可能に連結してあること、シート本体S1 の各側面部2a,2bの周方向の長さが、フレームF1 ,F2 の長辺部F1b,F2bの長さよりも僅かに短くなっていて、シート本体S1 には、周方向に沿って余長部Tが形成されていることに加えて、シート本体S1 の折り畳みの初期において、一人の作業者Mにより、シート本体S1 が方形蓋状に拡げられている状態において、各側面部2a,2bを2枚重ねさせ易いように、天面部1及び特定の側面部2bに、それぞれ天面掴み片11及び側面掴み片12を設けて、前記2枚重ねを容易にしてあることによって、シート本体S1 の折り畳みを容易にしている。
【0033】
即ち、図1ないし図4に示されるように、シート本体S1 の天面部1の中央部には、当該シート本体S1 を折り畳む際に、前記天面部1が下方に沈み込んで、当該折り畳みを阻害するのを防止するための天面掴み片11が取付けられていると共に、周方向に沿った長さである長辺の短い側面部2bの余長部Tの部分に、方形蓋状に拡げられたシート本体S1 の一部を内方に押し込んで、シート本体S1 の隣接する側面部2a,2bを2枚重ねさせる際の目印としての機能を果す側面掴み片12が取付けられている。
【0034】
そして、パレットK上の積載荷物J1 に対して荷崩れ防止具P1 のシート本体S1 を覆い被せて、当該積載荷物J1 の荷崩れを防止するには、以下のようにして行う。まず、図2に示されるように、シート本体S1 を拡げて、方形蓋状にしておく。シート本体S1 の各側面部2a,2bには、それぞれ針金から成る方形状のフレームF1 ,F2 が取付けられて、そのままでは方形状を保持し得ない各側面部2a,2bの方形形状を保持しているのに加えて、平面視で余長部Tが設けられていない対角線方向の各コーナー部において、各フレームF1 ,F2 の短辺部F1a,F2aは、複数の連結体4を介して互いに回動可能に連結されていて、当該部分の起立性を高めている。このため、シート本体S1 を方形蓋状に拡げると、当該シート本体S1 は、その方形蓋状の立体形状を崩すことなく維持し得る。よって、図4に示されるように、一人の作業者MがパレットKの特定の一辺部(実施例の場合には、直方体状の積載荷物J1 の平面視で短辺側の一辺部)に立って、両手によりシート本体S1 の側面部2aのフレームF1 の長辺部F1bを掴んで当該シート本体S1 を積載荷物J1 の上方に持ち上げて、そのまま前記積載荷物J1 に対して覆い被せる。シート本体S1 は、自身の方形蓋状を崩すことなく、そのままの立体形状を維持しており、しかも作業者Mは、両手によりシート本体S1 の側面部2aのフレームF1 の長辺部F1bを掴むことにより、方形蓋状に拡げられたシート本体S1 を安定して掴むことができるため、パレットK上の積載荷物J1 に対してシート本体S1 を安定した姿勢で、しかも簡単に覆い被せることができる。従って、作業者Mは、パレットKの特定の一辺部に立ったままで、従来の種々の荷崩れ防止具のように、パレットK上の積載荷物J1 の回りを廻る必要が一切ないので、短時間に、しかも確実に積載荷物J1 に対してシート本体S1 を覆い被せられる。最後に、結束ベルトVのバックル部6において、当該結束ベルトVの余長部を引っ張り込んで締め付けると、覆い被せられたシート本体S1 により積載荷物J1 の荷崩れが防止される(図1参照)。なお、積載荷物J1 は、パレットK上に限られず、台車上、或いは車両の荷台上に積載される場合もある。
【0035】
また、シート本体S1 は、平面視で最大サイズの前記積載荷物J1 に対して対応可能であって、当該積載荷物J1 の場合には、平面視で一方の対角線方向に沿って存在している余長部Tによって、積載荷物J1 の一方の対角線方向の垂直隅部J1aが覆われる〔図5(a)参照〕。このため、同一のシート本体S1 を、積載荷物J1 に対して平面サイズの小さな積載荷物J1'に覆い被せて、荷崩れを防止する場合には、図5(b)に示されるように、シート本体S1 の周方向の余長部Tは、余長となって結束には寄与しない。図5(b)に示される積載荷物J1'は、シート本体S1 により荷崩れを防止できる最少平面サイズの荷物である。なお、図5(b)において、シート本体S1 の余長部Tは、実線のみならず、その存在を明確にするために2点鎖線でも図示してある。
【0036】
次に、図6ないし図10(B)を参照して、非使用時に荷崩れ防止具P1 のシート本体S1 を折り畳んでおく場合について説明する。図6は、天面及び側面の各掴み片11,12を持って、方形蓋状に展開されたシート本体S1 を折り畳む初期の状態を示す斜視図であり、図7は、シート本体S1 の隣接する各側面部2a,2bが2枚重ねされた状態の斜視図であり、図8は、隣接する各側面部2a,2bが2枚重ねされた状態で、二つ折りにされた天面部1を内側に折り畳んでいる状態の斜視図であり、図9は、2枚重ねされた各側面部2a,2bの間に、四つ折りされた天面部1が挟まれた状態で、シート本体S1 の4つの各側面部2a,2bが4枚重ねされた状態の斜視図であり、図10−Aの(a),(b)は、それぞれシート本体S1 の隣接する各側面部2a,2bを2枚重ねさせるために、当該シート本体S1 の一方の余長部Tを内側に押し込む前後の模式図であり、図10−Bの(c),(d)は、2枚重ねされたシート本体S1 の隣接する各側面部2a,2bの間に四つ折りされた天面部1を挟んで、4枚の各側面部2a,2bを4枚重ねさせる前後の模式図である。
【0037】
まず、図10−Aの(a)で示されるシート本体S1 が方形蓋状に開かれている状態において、図6及び図10−Aの(b)でそれぞれ示されるように、作業者Mの一方の手で、シート本体S1 の天面部1の天面掴み片11を掴むと共に、他方の手で、側面部2bの側面掴み片12の部分を内方に押し込むと、隣接する各フレームF1 ,F2 の短辺部F1a,F2aを連結したフレーム連結部21を中心にして各フレームF1 ,F2 が2枚重ねになる方向に回動させられて、図7及び図10−Bの(c)で示されるように、各フレームF1 ,F2 を取付けているシート本体S1 の側面部2a,2bが2枚重ねとなる。ここで、四辺部を4つの各側面部2a,2bの上辺部に連結されている天面部1は、前記各フレーム連結部21を結ぶ対角線方向の部分が僅かに短くなって、当該対角線方向の部分を中心にして二つ折り状態となる。なお、シート本体S1 の天面部1の対角線方向に沿った長さを(L3)〔図10−Aの(a)参照〕とし、シート本体S1 を拡げた状態で、各フレームF1 ,F2 の上側の長辺と、天面部1までの距離をH’〔図2参照〕とすると、図10−Bの(c)が示される天面部1が二つ折りされてほぼ二等辺三角形状となった底辺の長さは、ほぼ(L3 +2H’)となる。ここで、各フレームF1 ,F2 で保形されている側面部2a,2bは、上記したように2枚重ねにすることは可能であるが、天面部1における各フレームF1 ,F2 の余長部Tの側の端部の間の長さは、シート本体S1 を拡げた状態ににおける長さを超えて長くならないので、各フレームF1 ,F2 で保形されている側面部2a,2bを平面状に拡げることはできない。しかし、余長部5が設けられている部分では、図10−A(b)に示されるように、当該余長部5を介して隣接する各F1 ,F2 が長辺方向に近接可能であるため、余長部5を介して隣接する各F1 ,F2 が取付けられている各側面部2は、2枚重ねが可能となる。
【0038】
次に、図8に示されるように、2枚重ねとなった二組の各側面部2a,2bを互いに重ね合わせて4枚重ねとする途中において、二つ折り状態の天面部1’を、2枚重ねとなった二組の各側面部2a,2bの間に挟み込んで、図9及び図10−Bの(d)に示されるように、計4つの各側面部2a,2bを4枚重ねとする。なお、図10−Bの(d)において、1”は、二つ折りにより二等辺三角形状となった天面部1’を更に二つ折りにすることにより、元の方形状の天面部1を四つ折りにした部分を示す。このように、方形蓋状に拡げられたシート本体S1 を上記順序に従って規則的に折り畳むと、単に一人の作業者Mによって、拡げられた状態では方形蓋状のシート本体S1 を、ほぼフレームF1 の大きさの方形板状に折り畳むことができる。このように、各側面部2a,2bを4枚重ねにして、シート本体S1 を方形板状に折り畳むことができるのは、シート本体S1 の各側面部2a,2bにそれぞれ方形枠状のフレームF1 ,F2 が取付けられて方形形状が保たれていること、及び隣接する2つの方形枠状の各フレームF1 ,F2 は、短辺部F1a,F2aで互いに回動可能に連結されていることによる。また、各側面部2a,2bを4枚重ねにして折り畳まれた状態においても、方形枠状の各フレームF1 ,F2 で囲まれた部分は、シート状のままであって、シート本体S1 の全体重量の増加を最小限に抑えられるので、シート本体S1 が折り畳まれた状態での取り扱いが容易である。また、シート本体S1 は、天面部1を備えているので、荷崩れを防止した状態で積載荷物J1 を屋外に設置しても、雨水等から積載荷物J1 を保護できる。
【0039】
なお、実施例1の荷崩れ防止具P1 のフレームF1 ,F2 は、シート本体S1 の余長部Tが設けられていない部分において複数の連結体4により互いに回動可能に連結されており、これによる利点は上記した通りであるが、シート本体S1 の4つの各側面部2a,2bにフレームF1 ,F2 を互いに独立して(上記のように回動可能に連結しないことを意味する)取付けることも可能である。
【実施例2】
【0040】
次に、図11及び図12を参照して、請求項1の発明の別の実施例(実施例2)の荷崩れ防止具P2 について説明する。図11(a),(b)は、積載荷物J2 の結束前後のシート本体S2 を主体に示す模式的平面図であり、図12(a)〜(c)は、シート本体S2 の折り畳みの順序を説明する模式図である。実施例1,2の各荷崩れ防止具P1,P2 は、これを構成するシート本体S1,S2 の構成が僅かに異なるのみであるので、この異なる部分を中心に説明する。シート本体S1 は、4つの側面部2a,2bの全てにフレームF1,F2 が取付けられているが、シート本体S2 では、4つの側面部2a,2bのうち特定の1つの側面部2aにのみフレームF1 が取付けられておらず、残りの3つの側面部2a,2bには、全てフレームF1,F2 が取付けられている点、及び隣接して配置される各フレームF1,F2 は、連結されておらず、互いに独立して配置されている点が異なるのみである。
【0041】
そして、積載荷物J2 に対してシート本体S2 を覆い被せる場合には、フレームF1 が取付けられていない側面部2aを作業者Mと対向する側(作業者Mの手前側)に配置させて、対向配置された各側面部2bのフレームF2 を掴んで、シート本体S2 を方形蓋状に拡げた状態を保持しながら、積載荷物J2 に対して上方から覆い被せる。その後に、結束ベルトVにより積載荷物J2 を結束すると、フレームF1 が取付けられていない側面部2aに周方向の余長部の全てが集まって結束される〔図11(b)参照〕。
【0042】
また、非使用時にシート本体S2 を折り畳むには、実施例1のシート本体S1 の場合とほぼ同様であって、図12(a)の拡げられた状態において、フレームF1 が取付けられた側面部2aとフレームF2 が取付けられた側面部2bを2枚重ねにすると共に、フレームF2 が取付けられた側面部2bに対してフレームF1 の取付けられていない側面部2aを重ね合わせると、方形状の天面部1は、二つ折り状態となる〔図12(b)〕。その後に、互いに2枚重ねとなった側面部2a,2bを更に2枚重ねにする途中において、二つ折りの天面部1を更に二つ折りにすることにより、結果として四つ折りにして、2枚重ねとなった二組の各側面部2a,2bの間に挟み込んで、4つの各側面部2a,2bを4枚重ねにすると、拡げられた状態で方形蓋状のシート本体S2 は、全体として方形板状に折り畳まれる〔図12(c)〕。
【0043】
なお、実施例2の荷崩れ防止具P2 のシート本体S2 の4つの側面部2a、2bのうち3つの側面部2a、2bに取付けられる3つのフレームF1 ,F2 のうち、隣接する2本のフレームF1 ,F2 は、垂直方向に配置される辺の部分で互いに回動可能に連結してもよく、これによりシート本体S2 を拡げる作業、及び折畳み作業の双方が容易となる。
【実施例3】
【0044】
次に、図13を参照して、請求項2の発明の実施例について説明する。図13に示される実施例3の荷崩れ防止具P3 は、実施例1の荷崩れ防止具P1 に対して、シート本体S1 の天面部1を備えていない点が異なるのみであって、他の構成は全て同一である。即ち、シート本体S1 は、4つの側面部2a,2bのみで構成されて、各側面部2a,2bには、フレームF1 ,F2 が取付けられて、方形形状を保持するようにしてある。
【0045】
荷崩れ防止具P3 は、天面部を有しないシート本体S3 を備えているので、積載荷物J3 の高さが高い場合に有効であって、上下方向に沿って各荷物が重なり合う部分にのみそれぞれ荷崩れ防止具P3 を配置して結束すればよく、図13の使用例では、5段に積載された荷物の上下の各重り部分にそれぞれ荷崩れ防止具P3 が配置されて、各段の荷物の荷崩れを防止している。
【実施例4】
【0046】
次に、図14及び図15を参照して、上部が非平面状の不規則な形状となっている積載荷物J4 の荷崩れを防止するための荷崩れ防止具P4 について説明する。荷崩れ防止具P4 のシート本体S4 は、天面部31と4つの側面部32a,32bを備えていて、拡げられた形状が方形蓋状をなしていて、各側面部32a,32bには、各フレームF1 ,F2 の下方の長辺が当該各側面部32a,32bの下端縁に一致するようにして、当該各フレームF1 ,F2 が取付けられることにより、各側面部32a,32bは、各フレームF1 ,F2 が取付けられている部分のみが方形状に保形されて、各フレームF1 ,F2 よりも上方は自由に変形可能な変形部33となっている。また、シート本体S4 の天面部31の中央部から各側面部32bの上部には、広幅の第1ファスナー部材34が取付けられていると共に、対向配置された各側面部32aにおけるフレームF1 の直上には、狭幅の第2ファスナー部材35が水平に取付けられている。また、広幅の第1ファスナー部材34の両側には、天面部31から側面部32bにかけてベルトV’が配置されて、当該各ベルトV’の両端部は、シート本体S4 に一体に止められていて、各ベルトV’の側面部32bに配置された部分には、当該ベルトV’の長さを短くするためのバックル部36が設けられている。
【0047】
また、変形維持部材37は、シート本体S4 の各側面部32a,32bにおける各フレームF1 ,F2 よりも上方の部分、及び天面部31の変形形状を維持させるための部材であって、長方形状の本体部37aの裏面に縦横に複数のファスナー部材37b,37cが取付けられている。
【0048】
図15において、積載荷物J4 の上部は平面状ではなくて、個々の荷物が段差を有して配置されている。このため、積載荷物J4 にシート本体S4 を覆い被せたのみでは、当該積載荷物J4 の上部とシート本体S4 の天面部31との間に大きな隙間が形成されて、個々の荷物が移動して荷崩れを防止できない。このため、バックル部36によりベルトV’を引っ張って、当該ベルトV’の部分のシート本体S4 を収縮させると共に、シート本体S4 の天面部31に取付けられた第1ファスナー部材34と、対向する各側面部32aに取付けられた第2ファスナー部材35との間に、変形維持部材37を貼り付けることにより、シート本体S4 の天面部31の形状を積載荷物J4 の上面部の形状に倣わせて、積載荷物J4 の上部の個々の荷物が横方向に崩れるのを防止する。
【0049】
また、上記各実施例1〜4では、シート本体の側面部の形状を保持する保形部材として、針金から成るフレームを使用しており、シート本体の側面部の形状を保持できるのに加えて、側面部におけるフレームの間のシートは拘束されていないので、荷崩れ防止時、及び折畳み時の双方において、取り扱いが容易である利点があるが、保形部材としては、方形板状の部材を用いてシート本体の側面部を保形することも可能である。
【0050】
また、シート本体の平面視における縦横の各寸法は、積載荷物の形状により任意に定められるものであって、上記した各寸法(縦横比)に限定されないことは、当然である。
【符号の説明】
【0051】
1,F2 :フレーム(保形部材)
1a, F2a:フレームの短辺部
1b, F2b:フレームの長辺部
1 〜J4 :積載荷物
K:パレット
M:作業者
1 〜P4 :荷崩れ防止具
1 〜S4 :シート本体
T:シート本体の周方向の余長部
V:結束ベルト
1,31:シート本体の天面部
2a,2b,32a,32b:シート本体の側面部
3:ベルト通し
11:天面掴み片
12:側面掴み片
37:変形維持部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パレット又は台車上に積載された荷物の荷崩れを防止するための荷崩れ防止具であって、
全体がシートで一体に形成され、天面部及び4つの各側面部とを備えて底面が開口された方形蓋状に拡げることが可能であって、覆被せ可能な最少平面サイズの積載荷物に対して平面視で僅かに相似大形の防止具本体と、
前記防止具本体の4つの全ての側面部、又は3つの側面部の各形状を保つことにより、作業者一人で持ち上げることにより前記防止具本体の全体形状を保つべく、前記各側面部毎に独立して一体に取付けられる保形部材と、
前記防止具本体の各側面部の外側に周方向に移動可能なように複数箇所において連結され、前記積載荷物に当該防止具本体が覆い被せられた状態で、当該防止具本体の周方向の余長部を吸収して前記積載荷物を結束状態にするための結束部材とを備え、
作業者一人が前記積載荷物の四辺部のうち任意の一辺部において、方形蓋状に拡げられた前記防止具本体を前記積載荷物に上方から覆い被せた後に、当該一辺部において前記結束部材により前記防止具本体の周方向の余長部を吸収して、当該積載荷物を結束するようにしたことを特徴とする荷崩れ防止具。
【請求項2】
パレット又は台車上に積載された荷物の荷崩れを防止するための荷崩れ防止具であって、
全体がシートで一体に形成され、4つの各側面部のみを備えた方形枠板状に拡げることが可能であって、覆被せ可能な最少平面サイズの積載荷物に対して平面視で僅かに相似大形の防止具本体と、
前記防止具本体の4つの全ての側面部、又は3つの側面部の各形状を保つことにより、作業者一人で持ち上げることにより前記防止具本体の全体形状を保つことを可能にすべく、前記各側面部毎に独立して一体に取付けられる保形部材と、
前記防止具本体の各側面部の外側に周方向に移動可能なように複数箇所において連結され、前記積載荷物に当該防止具本体が覆い被せられた状態で、当該防止具本体の周方向の余長部を吸収して前記積載荷物を結束状態にするための結束部材とを備え、
作業者一人が前記積載荷物の4辺部のうち任意の一辺部において、方形枠板状に拡げられた前記防止具本体を前記積載荷物に上方から覆い被せた後に、当該一辺部において前記結束部材により前記防止具本体の周方向の余長部を吸収して、当該積載荷物を結束するようにしたことを特徴とする荷崩れ防止具。
【請求項3】
前記保形部材は、防止具本体の側面部に対して僅かに小形の相似形状であって、針金からなる方形状のフレームで構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の荷崩れ防止具。
【請求項4】
前記防止具本体の各側面部には全て保形部材が取付けられていて、4つの保形部材のうち平面視に一方の対角線上に配置される2つの保形部材の隣接部は、相互に回動可能なように連結されていると共に、他方の対角線上に配置される2つの保形部材の残りの隣接部の間には、積載荷物の縦横のサイズに応じて当該積載荷物の結束時に周方向に沿って吸収可能な余長部が設けられていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の荷崩れ防止具。
【請求項5】
前記防止具本体の各側面部には全て保形部材が取付けられていて、4つの保形部材のうち平面視に一方の対角線上に配置される2つの保形部材の隣接部は、相互に回動可能なように連結されていると共に、他方の対角線上に配置される2つの保形部材の残りの隣接部の間には、積載荷物の縦横のサイズに応じて当該積載荷物の結束時に周方向に沿って吸収可能な余長部が設けられ、
前記防止具本体の天面部の中央部には、方形蓋状に拡げられた防止具本体を折り畳む際に、当該天面部が下方に沈み込むのを防止して、作業者の一方の手で掴んで上方に持ち上げるための天面掴み片が設けられていると共に、4つの側面部のうち特定の1つの側面部には、作業者の他方の手で掴んで当該特定の側面部を内方に押し込むための側面掴み片が保形部材における余長部側の端部に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の荷崩れ防止具。
【請求項6】
前記防止具本体の各側面部には、前記結束部材を挿通させるための被挿通部がそれぞれ設けられ、当該結束部材は、防止具本体と一緒に折り畳み可能なように前記各被挿通部に結束部材が挿通されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の荷崩れ防止具。
【請求項7】
前記シート本体の側面部には、下端縁に近接して保形部材が取付けられることにより、当該側面部における前記保形部材よりも上方の部分は、積載荷物の上部の立体形状に応じて任意に変形可能な変形部となっていて、
前記積載荷物の上部の立体形状に応じて変形するシート本体の天面部、及び各側面部の変形部の変形形状は、当該側面部と天面部との間に亘って取付けられる変形形状維持部材により維持されることを特徴とする請求項1,3,4,5,6のいずれかに記載の荷崩れ防止具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10−A】
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【図10−B】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−25947(P2011−25947A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−171744(P2009−171744)
【出願日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【特許番号】特許第4387455号(P4387455)
【特許公報発行日】平成21年12月16日(2009.12.16)
【出願人】(000139735)株式会社伊原工業 (11)
【Fターム(参考)】