説明

荷役搬送システム及び荷役搬送方法

【課題】荷役効率が低下することを抑えつつ、設置及び運用に要するコストを下げることができる荷役搬送システムを提供すること
【解決手段】船舶10にバラ積みされたワークWを船舶10から積み降ろす積み下ろし部30と、積み下ろし部30により船舶10から積み下ろされたワークWが内部に収容されるコンテナ70と、少なくとも一つのコンテナ70を載置可能な空きスペースを設けて容器70を複数集積する集積部50と、積み下ろし部30から集積部50まで容器100を搬送する集積車両60と、集積車両60で搬送されたコンテナ70を集積部50に載置するヤードクレーン55と、集積部50から消費先100へワークWが収容されたコンテナ70を搬送する搬出車両80と、ワークWが収容されていないコンテナ70を積み下ろし部30まで搬送する集積車両60とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷役搬送システム及び荷役搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、木材を加工したときに発生する残材を原料として形成された木質ペレットを、燃料として使用することが知られている。例えば、石炭や石油を主燃料とし、木質ペレットを副燃料として燃焼させ、このときに発生する熱を用いて発電を行うことが知られている。
木質ペレットを消費する発電所などの施設は、港に面した場所に建設されていることが一般的である。このような施設では、海上輸送された石炭や木質ペレットを、石炭や木質ペレットを消費する発電所などの消費先へ搬送する荷役搬送システムが設けられていることがある。荷役搬送システムの例としては、石炭や木質ペレットを搬送するバラ積み船などの船舶が寄航するためのバースと、このバースに接岸した船舶から搬出されたワークを内部に収容して保管するサイロと、バースとサイロとの間に掛け渡されたコンベアとを備えたものを挙げることができる。
また、粒状の搬送対象物(以下、「ワーク」と称する。)を搬送するものとして、例えば特許文献1には、天井側のパネルにハッチが設けられた粉粒体輸送用コンテナが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭59−19590号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、コンベアを用いてサイロまで石炭や木質ペレットを搬送し、サイロを用いて石炭や木質ペレットを保管するワーク搬送システムでは、港湾施設にサイロとコンベアとを建造する必要がある。このため、港湾施設に荷役搬送システムを設置するために要するコストが高くなるおそれがある。
また、石炭や木質ペレットをサイロまで搬送する搬送手段としてコンベアに代えて特許文献1に記載の粉粒体輸送用コンテナを用いることも考えられるが、特許文献1に記載の粉粒体輸送用コンテナ1つあたりの輸送能力は、石炭や木質ペレットをサイロへ搬送するコンベアによる輸送能力よりも低い。このため、船舶から石炭や木質ペレットを積み下ろしするための荷役時間が長く必要になり荷役効率が低下する。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、荷役効率が低下することを抑えつつ、設置及び運用に要するコストを下げることができる荷役搬送システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の荷役搬送システムは、消費先で消費されるワークを船舶から前記消費先まで搬送する荷役搬送システムであって、前記船舶にバラ積みされた前記ワークを前記船舶から積み降ろす積み下ろし部と、前記積み下ろし部により前記船舶から積み下ろされた前記ワークが内部に収容される容器と、少なくとも一つの容器を載置可能な空きスペースを設けて前記容器を複数集積する集積部と、前記積み下ろし部から前記集積部まで前記容器を搬送する第一搬送手段と、前記第一搬送手段で搬送された前記容器を前記集積部に載置する第二搬送手段と、前記集積部から前記消費先へ前記ワークが収容された前記容器を搬送する第三搬送手段と、前記ワークが収容されていない前記容器を前記積み下ろし部まで搬送する第四搬送手段と、を備えることを特徴とする荷役搬送システム。
【0007】
また、前記第四搬送手段は、前記第二搬送手段によって前記集積部において前記容器が下ろされたあとの前記第一搬送手段であることが好ましい。
【0008】
また、前記積み下ろし部は、前記ワークを貯留するホッパーと、一端が前記ホッパーに接続されて前記ホッパーの内部に開口され、他端が前記容器に向けて開口され、内部に前記ワークが流れる管路と、前記管路の内部に設けられ、前記ホッパーへ向かって流れる前記ワークの流量を調整する調整弁と、を有し、前記ホッパーに接続された側の前記管路の開口は一つであり、前記管路は前記ホッパーから前記容器に向かうにしたがって複数に分岐して形成され、前記容器に向けられた前記管路の開口は複数であることが好ましい。
【0009】
また、前記容器は、上側に天井部を有し、前記天井部には、前記管路の前記他端の開口から落下された前記ワークを導入する複数の貫通孔が形成されていることが好ましい。
【0010】
また、前記ホッパーと前記管路と前記調整弁との組を複数組備え、前記管路は、並べて配置された複数の前記容器におけるそれぞれの前記容器の前記複数の貫通孔に連通可能に配置され、前記管路は、並べて配置された複数の前記容器に対して前記ワークを落下させて前記ワークを前記容器の内部に収容させるようになっていることが好ましい。
【0011】
また、前記貫通孔は、前記容器1つあたり4つ設けられていることが好ましい。
【0012】
また、前記集積部には、前記ワークを前記船舶から積み下ろしする前には前記ワークが収容されていない空容器が複数集積されており、前記第二搬送手段は、前記第一搬送手段によって搬送された前記容器を前記空きスペースに載置し、前記空容器を前記集積部から前記第四搬送手段に積み込むことが好ましい。
【0013】
また、前記第二搬送手段は、前記集積部において直線方向に走行する走行機構を有し、前記集積部は、前記第二搬送手段の走行方向に直交する方向に複数の前記容器を並べて載置できると共に前記第二搬送手段の走行方向に沿って複数の前記容器を並べて載置できるように設けられ、前記空きスペースは、前記ワークを前記船舶から搬出する前には前記第二搬送手段の走行方向における前記集積部の端部に位置していることが好ましい。
【0014】
また、前記集積部は、前記第二搬送手段の走行方向に沿う方向に複数の前記容器を載置できると共に前記第二搬送手段の走行方向に直交する方向に沿って複数の前記容器を並べて配置できるように設けられ、前記空きスペースは、前記ワークを前記船舶から搬出する前には前記第二搬送手段の走行方向に直交する方向における前記集積部の端部に位置していることが好ましい。
【0015】
また、前記第一搬送手段は、前記容器を振動させる加振手段とを有することが好ましい。
【0016】
本発明の荷役搬送方法は、ワークを収容するための容器であって前記ワークが収容されていない空容器が集積された集積部から、前記容器を搬送する搬送車両へ、前記空容器を積載する積載工程と、前記積載工程の後に、前記ワークをバラ積みした船舶から前記ワークを積み下ろす積み下ろし部へ前記搬送車両によって前記空容器を搬送する空容器搬送工程と、前記空容器搬送工程によって搬送された前記空容器に前記積み下ろし部から前記ワークを移載する移載工程と、前記移載工程において前記ワークが移載された実入り容器を前記積み下ろし部から前記集積部へ前記搬送車両によって搬送する実入り容器搬送工程と、前記実入り容器搬送工程によって搬送された前記実入り容器を前記集積部において前記搬送車両から下ろして前記実入り容器を前記集積部に載置する容器下ろし工程と、を備え、前記容器下ろし工程の後に、前記容器下ろし工程で前記実入り容器が下ろされた前記搬送車両に対して前記積載工程が開始されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の荷役搬送システムによれば、荷役効率が低下することを抑えつつ、設置及び運用に要するコストを下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態の荷役搬送システムを備えるワーク輸送システムを示す全体図である。
【図2】同荷役搬送システムの積み下ろし部の構成を示す部分断面図である。
【図3】(A)及び(B)は、同荷役搬送システムにおける一時貯留部の一部の構成を示す模式図である。
【図4】同荷役搬送システムの一時貯留部の一部の構成を示す模式図である。
【図5】同荷役搬送システムにおける集積部を示す平面図である。
【図6】同荷役搬送システムにおけるヤードクレーンを示す正面図である。
【図7】(A)は同荷役搬送システムにおける集積車両を示す側面図、(B)は加振装置を示す平面図である。
【図8】同荷役搬送システムにおけるコンテナの構成を示す斜視図である
【図9】同荷役搬送システムの使用時の動作を説明するためのフローチャートである。
【図10】同荷役搬送システムの使用時の動作を説明するための動作説明図である。
【図11】(A)及び(B)は同荷役搬送システムの使用時の動作を説明するための動作説明図である。
【図12】同実施形態の荷役搬送システムの使用時の動作を説明するための動作説明図である。
【図13】(A)は本発明の第2実施形態の荷役搬送システムの構成を示す平面図、(B)及び(C)は同荷役搬送システムの使用時の動作を説明するための動作説明図である。
【図14】本発明の第3実施形態の荷役搬送システムの一部の構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態の荷役搬送システムを備えるワーク輸送システム1について説明する。
まず、本実施形態のワーク輸送システム1の構成について図1ないし図7を参照して説明する。図1は、ワーク輸送システム1を示す全体図である。また、図2は、ワーク輸送システム1の積み下ろし部30の構成を示す部分断面図である。また、図3(A)及び図3(B)は、ワーク輸送システム1における一時貯留部37の一部の構成を示す模式図である。また、図4は、一時貯留部37の一部の構成を示す模式図である。また、図5は、ワーク輸送システム1における集積部50を示す平面図である。図6は、ヤードクレーン55を示す正面図である。また、図7(A)は集積車両60を示す側面図、図7(B)は加振装置63を示す平面図である。また、図8は、ワーク輸送システム1におけるコンテナ70の構成を示す斜視図である。
【0020】
ワーク輸送システム1は、船舶10と、コンテナターミナル(荷役搬送システム)20とを備えており、ワークWを船舶10によってコンテナターミナル20内へと輸送するものである。
【0021】
船舶10は、例えばワークWをバラ積みして輸送するバラ積み船であり、船体11にはワークWを格納するための船倉12が複数形成されている。なお、船舶10は、ワークWを輸送することができるバラ積み船であればどのような船舶であっても構わない。
【0022】
コンテナターミナル(荷役搬送システム)20は、船舶係留部21と、積み下ろし部30と、集積部50と、集積車両(搬送車両、第一搬送手段、第四搬送手段)60と、コンテナ(容器)70と、搬出車両(第三搬送手段)80と、車両ヤード22とを備えている。
【0023】
船舶係留部21は、船舶10をコンテナターミナル20に係留させるものであり、船舶係留部21には船舶10を着岸させるための岸壁が形成されている。
【0024】
積み下ろし部30は、船舶係留部21の近傍に設けられている。積み下ろし部30には、船舶10にバラ積みされたワークWをコンテナターミナル20に揚陸させる揚陸装置31が設けられている。
【0025】
図2に示すように、揚陸装置31は、走行機構32と、アーム部33と、吸引搬送機構34とを有している。
【0026】
走行機構32は、アーム部33を、船舶係留部21の岸壁に沿って移動させるものである。走行機構32は、船舶係留部21の岸壁に沿う方向に延ばして設けられたレール32Aと、レール32A上を走行する車輪部32Bとを有している。
車輪部32Bは例えばモータなどによって回転されるものであり、本実施形態では車輪部32Bは金属製の車輪を有している。
走行機構32によって、揚陸装置31は船舶係留部21の岸壁に沿って走行することができるようになっている。
【0027】
アーム部33は、吸引搬送機構34の後述する吸引ノズル35を船舶10の船倉12の内部へと案内するものである。アーム部33は、鉛直方向に向く回転中心軸線O1回りに回動する回動軸33Aと、回動軸33Aに連結され回動軸33Aの側方に延ばされたブーム33Bとを有している。
【0028】
回動軸33Aは、回転中心軸線O1回りに回動することで、ブーム33Bを旋回させるものである。回動軸33Aによって、揚陸装置31はブーム33Bを、船舶係留部21の岸壁から船舶10側へ向かって移動させることができるようになっている。
【0029】
ブーム33Bは、回動軸33Aとの連結部分を揺動の中心として上下に揺動するように回動軸33Aに取り付けられている。ブーム33Bは、図示しない駆動手段によって、水平方向に対して一定の範囲内で上下に揺動され、ブーム33Bの先端部の高さを変化させることができるようになっている。
【0030】
図1及び図2に示すように、吸引搬送機構34は、アーム部33の一端に取り付けられた吸引ノズル35と、吸引ノズル35と連通された搬送管路36と、搬送管路36と連通された積み下ろし部30上に設けられた一時貯留部37とを有している。
【0031】
吸引ノズル35は、船倉12の内部にあるワークWを吸引して船倉12の外へワークWを移動させるものである。吸引ノズル35は、ブーム33Bの先端部から吊り下げられている。また吸引ノズル35は筒状に形成され、開口が船倉12の底まで届く長さに形成されている。
【0032】
搬送管路36は、図2に示す吸引ノズル35によって吸引されたワークWを図1に示すように一時貯留部37まで搬送するための管である。搬送管路36は筒状に形成されており、搬送管路36は吸引ノズル35に連通され、積み下ろし部30側に向かって延ばされている。さらに、搬送管路36は、積み下ろし部30の地面に沿って一時貯留部37まで延ばされている。
【0033】
図3(A)、図3(B)、及び図4に示すように、一時貯留部37は、搬送管路36の内部を通じて搬送されたワークWを収容して一時的に保管し、後述するコンテナ70へ移送するものである。一時貯留部37は、搬送管路36に連通された分岐管路38と、分岐管路38に設けられた調整弁39と、分岐管路38に連通されたホッパー部40とを有している。
【0034】
分岐管路38は、搬送管路36の下側に設けられており、搬送管路36側からホッパー部40側に向かうにしたがって管の数が増えるように分岐して形成されている。本実施形態では、分岐管路38は、搬送管路36側に設けられた1つの開口部38Aと、ホッパー部40側に設けられた8つの開口部38B1ないし38B8とを有している。また、分岐管路38は、搬送管路36からホッパー部40側に向かってまず二つに分岐され、二つに分岐された先でそれぞれの管が二つに分岐され、これらの管がさらにそれぞれ二つに分岐されている。
分岐管路38の内径の大きさは、分岐管路38の内部を通じて搬送されるワークWの流量を調整するために適宜調整された大きさとすることができる。本実施形態では、分岐管路38の内径の大きさは、分岐管路38のいずれの箇所でも略等しい大きさである。また、分岐管路38の分岐部分の形状は、分岐部分においてワークWを略均等に分けることができる形状であることが好ましい。
【0035】
調整弁39は、分岐管路38の分岐部分においてワークWの流路を切り替えるものである。調整弁39は、分岐管路38において最も搬送管路36に近い側の枝分かれ部分に設けられている。調整弁39としては、例えばモータによって分岐管路38の枝分かれ部分を開閉するバタフライバルブやシャッターバルブなどを採用することができる。なお、調整弁39としては粉粒体の流量を調整するバルブを適宜選択して採用することもでき、一方の管路へ流れるワークWの流量を0%とすることで他方の流路へ流れるワークWの流量を100%とすることもできる。なお、調整弁39を用いて、分岐された管路の分岐先へ流れるワークWの流量の比率を適宜の比率に定めてワークWを分配しても良い。
【0036】
ホッパー部40は、分岐管路38の下に設けられており、8つのホッパー(ホッパー41ないし48)を有している。
ホッパー41ないし48は、同形同大に形成されており、筒状に形成された収容体41Aないし48Aと、収容体41Aないし48Aの下流にそれぞれ連通された排出管41Bないし48Bとを有している。
【0037】
収容体41Aないし48Aは、上側に配置された分岐管路38の開口部38B1ないし38B8にそれぞれ連通されている。すなわち、本実施形態では、調整弁39によって分岐管路38の流路が切り替わると、収容体41Aないし44Aに向かう流路と、収容体45Aないし48Aに向かう流路とが切替わるようになっている。
【0038】
排出管41Bないし44Bは、水平方向に等間隔で一列に配列されている。また、排出管45Bないし48Bは、水平方向に等間隔で一列に配列されている。排出管41Bないし44Bの配列方向と排出管45Bないし48Bの配列方向とは互いに平行である。また、排出管41Bないし44Bの配列間隔と排出管45Bないし48Bの配列間隔とは等しい。
【0039】
ホッパー部40は、ホッパー41ないし44によってコンテナ70にワークWを移載する第一移載系統40Aと、ホッパー45ないし48によってコンテナ70にワークWを移載する第二移載系統40Bとに系統分けされている。第一移載系統40Aに系統分けされたホッパー41ないし44の排出管41Bないし44Bは同期して開閉動作できるようになっており、これにより排出管41Bないし44BからワークWを同時に排出させられるようになっている。また、第二移載系統40Bに系統分けされたホッパー45ないし48の排出管45Bないし48Bは、同期して開閉動作できるようになっている。第一移載系統40Aと第二移載系統40Bとの間では、排出管41Bないし44Bと、排出管45Bないし48Bとの間では開閉動作が同期している必要はない。
【0040】
図1及び図5に示すように、集積部50は、コンテナ70を蔵置するコンテナヤード51と、コンテナ70を搬送するヤードクレーン(第二搬送手段)55とを有している。
コンテナヤード51は、略平面状のクレーン走行レーン52と、クレーン走行レーン52の内側にあらかじめ定められた蔵置領域53と、集積車両60及び搬出車両80が走行する車両走行路54とを有している。
【0041】
クレーン走行レーン52は、一方向に延びた矩形形状に集積部50の地面が区画分けされて設けられた区画であり、本実施形態では2つのクレーン走行レーン52が短手幅方向に隣り合って設けられている。クレーン走行レーン52の短手幅方向の一方側には、クレーン走行レーン52内でヤードクレーン55を案内する地上ガイドライン52Aが設けられている。
【0042】
蔵置領域53は、コンテナ70を蔵置するためにクレーン走行レーン52の区画の内部に設けられた矩形形状の区画であり、地面が平坦に形成されている。蔵置領域53は、クレーン走行レーン52の短手幅方向の中間部に設けられており、クレーン走行レーン52の短手幅方向の大きさよりも狭い範囲に設けられている。本実施形態では、蔵置領域53は、クレーン走行レーン52の長手方向が行、短手幅方向が列となる格子状の行列をなすようにコンテナ70を段積みされて配置するようになっている。
【0043】
図1及び図5に模式的に示すように、車両走行路54は、集積車両60や搬出車両80が走行するための通路であり、クレーン走行レーン52の内側の領域に位置する荷役用走行路54Aと、クレーン走行レーン52の外側の領域に位置する搬送用走行路54Bとを有している。
【0044】
図6に示すように、ヤードクレーン55は、タイヤを用いて走行する自走クレーンであり、本実施形態ではタイヤ式門型クレーン(RTG、Rubber Tired Gantry crane)である。ヤードクレーン55は、門型に形成されたクレーン本体56と、クレーン本体56の下端に取り付けられた走行機構57と、クレーン本体56の上部に取り付けられた吊り下げ機構58とを有している。本実施形態のヤードクレーン55は、例えばヤードクレーン55の操作者によって走行されたりコンテナ70が搬送されたりするものである。なお、ヤードクレーン55としては自動運転によってコンテナ70を搬送できるものが採用されても良い。
【0045】
クレーン本体56は、蔵置領域53の短手幅方向の大きさよりも大きく、かつクレーン走行レーン52の短手幅方向の大きさよりも小さい間隔をあけて設けられた脚部56A、56Bと、脚部56Aと56Bとの上端に架け渡された梁部56Cとを有している。
【0046】
走行機構57は、ゴム製のタイヤ57Aと、タイヤ57Aを回転させる図示しない駆動機構とを有している。走行機構57によって、ヤードクレーン55を複数のコンテナヤード51(図1参照)を行き来するように走行させたり、コンテナターミナル20内を自在に走行させたりできるようになっている。
【0047】
吊り下げ機構58は、梁部56Cに沿って進退動作できるように梁部56Cに設けられている。また、吊り下げ機構58は、コンテナ70を保持する保持部58Aと、保持部58Aを吊り下げる吊り下げワイヤ58Bと、吊り下げワイヤ58Bに接続された保持部58Aを梁部56Cに沿って進退動作させるトロリ58Cとを有している。
【0048】
集積車両60は、コンテナターミナル20(図1参照)内でコンテナ70(図7参照)を搬送する搬送車両である。
図7(A)に示すように、集積車両60は、走行装置61と、走行装置61に連結された載置部62と、載置部62に載置された加振装置63とを有している。本実施形態では、コンテナターミナル20には複数台の集積車両60が設けられている。集積車両60の数量は、船舶10(図1参照)から積み下ろすワークWの量や、集積部50に設けられたヤードクレーン55の数量、及び一時貯留部37における移載系統の数などに応じて適宜定めることができる。
【0049】
例えば、ヤードクレーン55がコンテナヤード51あたり一台設けられ、一時貯留部37における移載系統が2系統であり、コンテナヤード51を一つ使用してワークWを船舶10から積み下ろす場合には、集積車両60が停車する場所が3箇所あるので、例えば3台の集積車両60を備えていても渋滞が発生する頻度は少ない。このため、このような場合には集積車両60の数量は3台、4台、あるいは5台程度としてよい。もちろん、適切な交通管制の下で多数の集積車両60を同時に運用しても構わない。
【0050】
走行装置61は、走行装置61は運転者によって運転されるものであり、図1に示すコンテナターミナル20内で載置部62を引き回して運転者の運転操作によって走行するものである。本実施形態では、走行装置61は、載置部62を連結して載置部62を牽引するトレーラヘッドである。
【0051】
載置部62は、加振装置63を介してコンテナ70を載置するものである。本実施形態では、載置部62は、走行装置61によって牽引されるトレーラである。
【0052】
加振装置63は、ワークWが収容されたコンテナ70(図8参照)を振動させて、コンテナ70の内部に収容されたワークWの上面の傾斜角が安息角よりも小さい崩潰角となるようにワークWの上面を均すものである。
図7(A)及び図7(B)に示すように、加振装置63は、載置部62に対して一定範囲で移動できるように載置部62取り付けられた可動台64と、可動台64と載置部62とのそれぞれに連結され、可動台64と載置部62との間で伸縮動作するアクチュエータ65とを有している。
【0053】
アクチュエータ65は、例えば空気圧を用いて伸縮動作するエアシリンダであり、走行装置61のエンジンの動力によって図示しない圧縮空気タンクに蓄えられた圧縮空気を用いて一定の周期で伸縮できるようになっている。また、アクチュエータ65には、アクチュエータ65の動作を開始させたりアクチュエータ65の動作を停止させたりするためのスイッチSW1が設けられている。
【0054】
図8に示すように、コンテナ70は、内部にワークWを収容するものである。コンテナ70は略直方体形状に形成されており、板状の基部71と、基部71から垂直に立てられた壁部72と、壁部72の上部に張り渡された天井部73とを有している。
【0055】
本実施形態では、コンテナ70は図示しないバンプールに多数保管されている。そのため、コンテナ70を使用するときに、必要な数量のコンテナ70をバンプールからコンテナヤード51(図1参照)に移動させて使用できるようになっている。また、コンテナ70は、内部にワークWが収容された状態で集積部50(図1参照)に集積されることで集積部50にワークWを保管することができるようになっている。
【0056】
また、天井部73には、コンテナ70の上側から落下するワークWを受け入れるためのハッチ部74が設けられている。
ハッチ部74は、天井部73を貫通して形成された貫通孔75と、貫通孔75を塞ぐことができる大きさに形成された蓋体76とを有している。
【0057】
本実施形態では、貫通孔75は、コンテナ70の天井部73における短手幅方向の中央に形成され、貫通孔75は、天井部73の長手方向に一定間隔置きに4つ形成されている。4つの貫通孔75の間隔は、上述のホッパー部40(図3及び図4参照)における排出管41Bないし44Bの間隔、及び排出管45Bないし48Bの間隔と等しい。
このため、コンテナ70は、ホッパー部40の排出管41Bないし44B、あるいは排出管45Bないし48Bの下に配置されたときに、4つの貫通孔75を通じて、コンテナ70の内部にワークWを落下させて収容できるようになっている(図3参照)。
【0058】
蓋体76は、天井部73に連結されており、貫通孔75を開放状態にしたり貫通孔75を塞いだりするものである。すなわち、貫通孔75を通じてワークWをコンテナ70の内部に収容させているときには蓋体76を開けて貫通孔75を開放状態にし、集積部50においてワークWを保管しているときには蓋体76を閉めて貫通孔75を塞ぐようになっている。これにより、ワークWがコンテナ70の外部の気象条件などによって影響を受けることを軽減できるようになっている。
以下では、ワークWが内部に収容されていない状態のコンテナ70を「空コンテナ70A」とし、ワークWが内部に収容されている状態のコンテナ70を「実入りコンテナ70B」として区別して表記する。
【0059】
図1に示すように、搬出車両80は、ワークWが船舶10から積み下ろしされて集積部50に集積されたあとに、ワークWを消費する消費先100へワークWをコンテナ70ごと搬送するものである。搬出車両80としては、例えばコンテナ70を搬送するトラックや牽引車両など、あるいはコンテナターミナル20と消費先100との間でワークWをコンテナ70ごと搬送する自動搬送台車などを適宜選択して採用することができる。
本実施形態では、搬出車両80は、搬出車両80を運転する運転者によって走行されるようになっている。
【0060】
車両ヤード22は、集積車両60や搬出車両80が待機するためにコンテナターミナル20内に設けられた平坦な区画である。車両ヤード22は、集積部50の近傍に配置されていることが好ましい。
【0061】
以上に説明した構成の、本実施形態のコンテナターミナル(荷役搬送システム)20を備えるワーク輸送システム1の使用時の動作について説明する。図9は、コンテナターミナル(荷役搬送システム)20の使用時の動作を示すフローチャートである。また、図10ないし図12は、コンテナターミナル(荷役搬送システム)20の使用時の動作を説明するための動作説明図である。
【0062】
コンテナターミナル20に船舶10が寄航する予定がコンテナターミナル20に通知されると、コンテナターミナル20では、空コンテナ70Aをコンテナヤード51の蔵置領域53に搬入する搬入工程S1が行われる。
【0063】
搬入工程S1では、複数の空コンテナ70Aをコンテナターミナル20のバンプールからコンテナヤード51へ搬出車両80が搬送する。このとき、搬出車両80は、コンテナターミナル20に到着する船舶10に格納されたワークWの総量以上の容積となるように複数の空コンテナ70Aを搬送する。なお、空コンテナ70Aをバンプールからコンテナヤード51へ集積車両60が搬送してもかまわない。
【0064】
コンテナヤード51へ複数の空コンテナ70Aが搬送されたら、ヤードクレーン55が搬出車両80(あるいは集積車両60)から蔵置領域53へ空コンテナ70Aを搬送する(例えば図6参照。)。本実施形態では、蔵置領域53には、空コンテナ70Aが4段に段積みされており、空コンテナ70Aは蔵置領域53の列方向に6つ、高さ方向に4段積まれる。このように、搬入工程S1では、蔵置領域53の一列には24個の空コンテナ70Aが配置される。
【0065】
また、図5に示すように、蔵置領域53においてクレーン走行レーン52の長手方向の一端に位置する1列は、空コンテナ70Aを配置しないことで空きスペース53Aとなる。本実施形態では、開きスペース53Aには24個のコンテナ70を配置できるようになっている。
以上で搬入工程S1は終了し、コンテナターミナル20ではワークWを積載した船舶10がコンテナターミナル20に到着するまで待機する。
【0066】
船舶10がコンテナターミナル20に到着したら、積み下ろし工程S2が開始する。
積み下ろし工程S2は、船舶10からワークWを積み下ろす工程である。
積み下ろし工程S2では、図1に示すように、船舶10を船舶係留部21に係留させ、積み下ろし部30の揚陸装置31を用いて船倉12からワークWを取り出す。このとき、船倉12から取り出されたワークWは、搬送管路36の内部を通じて一時貯留部37のホッパー部40まで送られる。
【0067】
図3(A)、図3(B)及び図4に示すように、ホッパー部40では、まず、調整弁39によってホッパー41ないし44側に流路が切り替えられる。すると、分岐管路38の内部を通じて送られたワークWはホッパー41ないし44に流入し、収容体41Aないし44Aの内部に貯留される。ここで、収容体41Aないし44Aに流れ込むワークWの流量は略均等である。収容体41Aないし44AにワークWがあらかじめ定められた規定量まで貯留されたら、調整弁39を動作させて、搬送管路36からホッパー45ないし48に向かう流路に切り替える。すると、ホッパー45ないし48にワークWが流れ込むようになる。
【0068】
なお、ホッパー41ないし44にワークWが上述の規定量まで貯留させることは必ずしも必須の動作ではない。例えば、ホッパー41ないし44内のワークWの量の合計がコンテナ70の容積以上であれば調整弁39によってホッパー41ないし44からホッパー44ないし48へ流路を切り替えてよい。この場合、ホッパー41ないし44にワークWがいっぱいまで貯留されるのを待つ場合よりも早くホッパー45ないし48にワークWを貯留させることができる。その結果、ホッパー41ないし44による第一移載系統40Aとホッパー45ないし48による第二移載系統40Bとを早い段階で共に使用可能にすることができる。
【0069】
続いて、集積部50の蔵置領域53に集積された空コンテナ70Aを集積車両60に積載する積載工程S3が開始される。なお、積載工程S3では、ホッパー41ないし48にワークWがいっぱいまで貯留された後に開始されることは必須ではない。例えば、船舶10の船倉12からワークWを取り出され始めたときからホッパー41ないし48にワークWが貯留されるまでの間のいずれかの時点で開始されてもよい。
【0070】
積載工程S3では、まず、図1に示す車両ヤード22に待機している集積車両60が車両ヤード22からコンテナヤード51へ移動する。このとき、集積車両60は車両ヤード22に待機しているすべての集積車両60が一列になって移動し、コンテナヤード51の車両走行路54へ進入して車両走行路54内で一列に停車する。
【0071】
続いて、図10に示すように、蔵置領域53に積み重ねられた空コンテナ70Aをヤードクレーン55が一つ吊り上げて、集積車両60の可動台64の上に載置する。
積載工程S3においてヤードクレーン55が吊り上げる空コンテナ70Aは、空きスペース53Aに最も近い列に配置された空コンテナ70Aの中から適宜選択することができる。
【0072】
本実施形態では、積載工程S3において、複数の集積車両60の可動台64の上に、1つずつの空コンテナ70Aを積載させる。このとき車両走行路54における進行方向の先頭側に位置している集積車両60から先に空コンテナ70Aを積載させることが好ましい。また、空コンテナ70Aが積載された順に集積車両60を車両走行路54から発車させてもよい。
以上で積載工程S3は終了し、空容器搬送工程S4が開始される。
【0073】
空容器搬送工程S4は、集積部50のコンテナヤード51に集積されて配置された空コンテナ70Aをホッパー部40まで集積車両60によって搬送する工程である。
空容器搬送工程S4では、図1に示すように車両走行路54から一時貯留部37へ集積車両60が移動する。図3(A)に示すように、ホッパー部40では、例えば先頭の集積車両60が第一移載系統40Aのホッパー41ないし44の下に停車し、二番目の集積車両60が第二移載系統40Bのホッパー45ないし48の下に停車する。
なお、三番目以降の集積車両60は、ホッパー部40の近傍で一列あるいはあらかじめ定められた配列に停車する。
以上で空容器搬送工程S4は終了し、移載工程S5が開始される。
【0074】
移載工程S5は、ホッパー部40に搬送された空コンテナ70Aの内部へホッパー41ないし48からワークWを移載する工程である。
移載工程S5では、図3(A)及び図3(B)に示すように、第一移載系統40Aのホッパー41ないし44の下に集積車両60が停車した後に、空コンテナ70Aの天井部73に設けられたハッチ部74の蓋体76を例えば手作業によって開ける。さらに、排出管41Bないし44Bを、例えば手作業によってそれぞれ貫通孔75(図8参照)に連通させて接続する。また、第二移載系統40Bにおいても同様に空コンテナ70Aの天井部73に設けられたハッチ部74の蓋体76をすべて開けて、排出管45Bないし48Bをそれぞれ貫通孔75(図8参照)に連通させて接続する。
【0075】
その後、ホッパー41ないし44の排出管41Bないし44が同時に開かれ、ホッパー45ないし48の排出管45Bないし48Bが同時に開かれる。すると、収容体41Aないし44A、及び収容体45Aないし48Aから空コンテナ70Aの内部へとワークWが落下する。
【0076】
空コンテナ70Aの内部では、空コンテナ70Aの長手方向に離間する4箇所で、傾斜角度がワークWの安息角の大きさとなり、且つ4つの貫通孔75のそれぞれの位置が最も高い山状にワークWが盛られる。
【0077】
空コンテナ70Aの内部へワークWが落下し始めた後、例えば手作業によって加振装置63のスイッチSW1(図7(B)参照。)が入れられる。すると、載置部62上の可動台64がアクチュエータ65によって往復移動する。これにより、可動台64上に積載された空コンテナ70Aは振動し、空コンテナ70Aの振動は空コンテナ70Aの内部のワークWに伝わる。
【0078】
ワークWに振動が伝わると、空コンテナ70Aの内部に収容されたワークWは振動し、安息角よりも小さい崩潰角をなす形状まで崩れる。これにより、貫通孔75の真下にワークWを流入させることができる隙間が生じる(図8参照)。
このため、空コンテナ70Aを振動させながらワークWを空コンテナ70Aに流入させることで、空コンテナ70AへのワークWの充填率を高めることができる。
【0079】
空コンテナ70AにワークWがあらかじめ定められた量だけ流入したら、ホッパー41ないし44の排出管41Bないし44B、及びホッパー45ないし48の排出管45Bないし48を閉じる。さらに、例えば手作業によって実入りコンテナ70Bのハッチ部74の蓋体76を閉める。これにより、空コンテナ70AはワークWが収容された実入りコンテナ70Bとなる。
以上で移載工程S5は終了し、実入り容器搬送工程S6が開始される。
【0080】
実入り容器搬送工程S6は、集積車両60によって、実入りコンテナ70Bをホッパー部40から集積部50へ搬送する工程である。
実入り容器搬送工程S6では、図3(A)に示すホッパー部40の第一移載系統40Aと第二移載系統40Bとのうちで先に実入りコンテナ70Bとなったほうから集積車両60がホッパー部40から発車する。実入りコンテナ70Bが積載された集積車両60は、図1に示すように一時貯留部37から集積部50のコンテナヤード51へ移動する。コンテナヤード51に到着した集積車両60は、コンテナヤード51の車両走行路54に進入して、上述の積載工程S3において空コンテナ70Aが積載されたときの集積車両60の停車位置の近傍に停車する。
以上で実入り容器搬送工程S6は終了し、容器下ろし工程S7が開始される。
【0081】
容器下ろし工程S7は、実入りコンテナ70Bを集積車両60から下ろして蔵置領域53に載置する工程である。
容器下ろし工程S7では、図11(A)及び図11(B)に示すように、ヤードクレーン55が集積車両60に積載された実入りコンテナ70Bを吊り上げ、蔵置領域53の空きスペース53Aに実入りコンテナ70Bを下ろす。ヤードクレーン55は、複数の集積車両60によってコンテナヤード51まで搬送された実入りコンテナ70Bを、蔵置領域53において空コンテナ70Aが集積されているのと同様の行列をなすように集積する。
【0082】
本実施形態では、空きスペース53Aには24個(1列あたり6つのコンテナ70を載置でき、各列においてコンテナ70を4段に積み重ねることができる。)の実入りコンテナ70Bを載置することができる。そのため、集積車両60によって一度に集積部50まで搬送される実入りコンテナ70Bが24個以下であれば、蔵置領域53に置かれた空コンテナ70Aを退避させることなく実入りコンテナ70Bを蔵置領域53に置くことができる。
以上で容器下ろし工程S7は終了する。
【0083】
容器下ろし工程S7が終了したら、実入りコンテナ70Bが下ろされた集積車両60は、その場に停車し続ける。さらに、実入りコンテナ70Bを空きスペース53Aに下ろしたヤードクレーン55は、蔵置領域53において空きスペース53Aに隣接した区画におかれた空コンテナ70Aを吊り上げて、集積車両60に再び積載する。すなわち、上述の容器積載工程S3が再び開始される。
【0084】
このように、集積車両60においては、実入りコンテナ70Bが空コンテナ70Aに入れ替えられる。すなわち、積み下ろし部30から集積部50までコンテナ70を搬送する集積車両(第一搬送手段)と、実入りコンテナ70Bが下ろされた後に空コンテナ70Aが積載されて空コンテナ70Aを積み下ろし部30まで搬送する集積車両(第四搬送手段)とは同じ集積車両60によって兼ねられている。
【0085】
そして、空コンテナ70Aが再び積載された集積車両60は、空容器積載工程S3、空容器搬送工程S4、移載工程S5、実入り容器移載工程S5、容器下ろし工程S7をこの順に繰り返す。これにより、蔵置領域53に置かれた空コンテナ70Aは実入りコンテナ70Bに置き換えられてゆく。
【0086】
このとき、搬入工程S1において空コンテナ70Aが置かれていなかった空きスペース53Aは、空きスペース53Aに実入りコンテナ70Bが置かれることで蔵置領域53において空コンテナ70Aが置かれた側へ移る。このため、空きスペース53Aは、空コンテナ70Aが置かれた区画に隣接した区画に常に位置している。その結果、空きスペース53Aに実入りコンテナ70Bを置いた後に空コンテナ70Aを吊り上げるためにヤードクレーン55がクレーン走行レーン52を走行する距離を短くすることができる。
【0087】
図1に示すように、ワークWを消費先100で使用するために消費先100までワークWを搬出するときには、車両ヤード22に待機している搬出車両80が車両ヤード22からコンテナヤード51へ移動する。
搬出車両80は、車両走行路54上で実入りコンテナ70Bの近傍の位置に停車する。続いて、ヤードクレーン55は蔵置領域53に置かれた実入りコンテナ70Bを蔵置領域53から搬出車両80へ搬送して、搬出車両80に実入りコンテナ70Bを積載する。
実入りコンテナ70Bが積載された搬出車両80は、消費先100まで移動する。さらに、消費先100においてワークWが実入りコンテナ70Bから下ろされる(ここで、実入りコンテナ70Bは空コンテナ70Aになる。)。
消費先100でワークWが下ろされたあとの空コンテナ70Aは、例えば上述のバンプールへと搬出車両80によって搬送されて、バンプールに保管される。
【0088】
なお、船舶10からワークWを積み下ろしている最中にワークWを消費先へ搬出する必要がある場合には、コンテナヤード51に複数のヤードクレーン55を配置してもよい。例えば、上述の容器積載工程S3と容器下ろし工程S7とを専ら行うヤードクレーン55と、専ら実入りコンテナ70Bを搬出車両80に積載するヤードクレーン55とに役割が分けられた複数のヤードクレーン55を一つのコンテナヤード51に配置することができる。この場合、蔵置領域53の長手方向に離間した位置に空コンテナ70Aと実入りコンテナ70Bとが分けて配置されているので、ヤードクレーン55が互いに干渉する可能性が低い。その結果、ワークWを船舶10から集積部50へと搬送する系統と、集積部50から消費先100へワークWを搬送する系統とを互いに独立して稼動させることができる。
【0089】
以上に説明したように、本実施形態のコンテナターミナル(荷役搬送システム)20によれば、集積車両60や搬出車両80によって搬送できるコンテナ70を複数用いてコンテナヤード51の蔵置領域53にワークWを保管することができる。その結果、ワークWを保管するための大掛かりなサイロなどの施設を建造する必要がないので、コンテナターミナル20を設置して運用するために要するコストを下げることができる。
【0090】
また、ワークWを保管するために特化したサイロなどの施設を建造する必要がないので、コンテナターミナルの用途を他の用途に変更したり、コンテナターミナルのレイアウトを変更したりするときに生じる手間とコストを低減することができる。
【0091】
また、集積部50に最初に配置されていた複数の空コンテナ70Aを取り出した位置の近傍に実入りコンテナ70Bを置いて、空コンテナ70Aを実入りコンテナ70Bに順次置き換えるようになっている。このため、集積部50においてヤードクレーン55を走行させるためにかかる時間を短くすることができ、コンテナターミナル20における荷役効率が低下することを軽減できる。
【0092】
(第2実施形態)
次に本発明の第2実施形態の荷役搬送システムについて説明する。なお、以下に示す各実施形態では、上述の第1実施形態で説明したコンテナターミナル(荷役搬送システム)20及びワーク輸送システム1と同一の構成を有している構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
図13(A)は、本実施形態のコンテナターミナル(荷役搬送システム)120を示す平面図、図13(B)及び図13(C)はコンテナターミナル(荷役搬送システム)120の使用時の動作を説明するための動作説明図である。
【0093】
図12(A)に示すように、コンテナターミナル120は、コンテナヤード51には蔵置領域53に代えて蔵置領域153が設けられている。本実施形態では、コンテナヤード51の蔵置領域153におけるコンテナ70の配列が、第1実施形態で説明した蔵置領域53におけるコンテナ70の配列と異なっている。
【0094】
蔵置領域153において、蔵置領域153が含まれるコンテナヤード51における車両走行路54に最も近い側の一行の区画が、空コンテナ70Aが置かれていない空きスペース153Aになっている。
【0095】
図12(B)に示すように、本実施形態においては、第1実施形態で説明した容器積載工程S3では、ヤードクレーン55は車両走行路54に近い側の空コンテナ70Aを集積車両60へ積載する。また、図12(C)に示すように、本実施形態においては、第1実施形態で説明した容器下ろし工程S7では、ヤードクレーン55は空きスペース153Aに実入りコンテナ70Bを置く。
【0096】
本実施形態のコンテナターミナル120によっても上述の第1実施形態で説明したコンテナターミナル20と同様に、蔵置領域153に配置された空コンテナ70Aを実入りコンテナ70Bに置き換えて実入りコンテナ70Bを蔵置領域153に集積させることができる。
また、本実施形態のように蔵置領域153に空コンテナ70Aを配列すると、空きスペース153Aに実入りコンテナ70Bを置いたあと、ヤードクレーン55を走行させずにトロリ58Cを移動させるだけで空コンテナ70Aを集積車両60に効率よく積載させることができる。
本実施形態に示した空コンテナ70Aの配列は、蔵置領域153における行の方向に並べられたコンテナ70の数が蔵置領域153における列の方向に並べられたコンテナ70の数よりも少ない場合には、第1実施形態で説明した蔵置領域53における空コンテナ70Aの配列よりも、蔵置領域153に収容できるコンテナ70の数量を多くできるという効果を奏する。
【0097】
(第3実施形態)
以下では、本発明の第3実施形態のコンテナターミナル(荷役搬送システム)220について図14を参照して説明する。図14は、本実施形態のコンテナターミナル220における一時貯留部237の構成を示す模式図である。
【0098】
図13に示すように、本実施形態では、コンテナターミナル220は、第1実施形態で説明した一時貯留部37に代えて一時貯留部237を備えている点で第1実施形態のコンテナターミナル20と構成が異なっている。
【0099】
一時貯留部237は、ホッパー41ないし48を有するホッパー部40と、ホッパー部40と搬送管路36とにそれぞれ連通された分岐管路38と、調整弁39と、分岐管路38の内部に設けられた調整弁239A、調整弁239B、調整弁239C、調整弁239D、調整弁239E、及び調整弁239F(以下、「調整弁239A〜239F」と称することがある。)とを有している。
【0100】
調整弁239A〜239Fは調整弁39よりも分岐管路38においてワークWが流れる方向の下流側にある分岐管路38の分岐部分にそれぞれ設けられている。
【0101】
調整弁239Aは、調整弁39側から流れてきたワークWがホッパー41、42へ向かう流量と、調整弁39側から流れてきたワークWがホッパー43、44へ向かう流量との比率を調整するものである。
調整弁239Bは、調整弁239Aを通過して流れてきたワークWがホッパー41へ向かう流量と、調整弁239Aを通過して流れてきたワークWがホッパー42へ向かう流量との比率を調整するものである。
調整弁239Cは、調整弁239Aを通過して流れてきたワークWがホッパー43へ向かう流量と、調整弁239Aを通過して流れてきたワークWがホッパー44へ向かう流量との比率を調整するものである。
【0102】
調整弁239A、調整弁239B、調整弁239Cによって、第一移載系統40Aにおけるホッパー41ないし44のそれぞれに流入するワークWの量を個別に調整できるようになっている。
【0103】
調整弁239Dは、調整弁39側から流れてきたワークWがホッパー45、46へ向かう流量と、調整弁39側から流れてきたワークWがホッパー47、48へ向かう流量との比率を調整するものである。
調整弁239Eは、調整弁239Dを通過して流れてきたワークWがホッパー45へ向かう流量と、調整弁239Dを通過して流れてきたワークWがホッパー46へ向かう流量との比率を調整するものである。
調整弁239Fは、調整弁239Dを通過して流れてきたワークWがホッパー47へ向かう流量と、調整弁239Dを通過して流れてきたワークWがホッパー48へ向かう流量との比率を調整するものである。
【0104】
調整弁239D、調整弁239E、調整弁239Fによって、第二移載系統40Bにおけるホッパー45ないし48のそれぞれに流入するワークWの量を個別に調整できるようになっている。
【0105】
このような構成によれば、ホッパー41ないし48のそれぞれに流入するワークWの量を個別に調整することができるので、ホッパー41ないし48に収容されるワークWの量が偏ることを抑制できる。
【0106】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
例えば、上述の各実施形態では、ヤードクレーン55が操作者によって操作されるものである例を示したが、これに限らず、自動運転を行う制御部を備えた遠隔操作式クレーンをヤードクレーンとして採用することもできる。
【0107】
また、上述の各実施形態では、集積車両60、搬出車両80が運転者によって操作されるものである例を示したが、これに限らず、自動運転を行う制御部を備えた自動搬送台車などを集積車両及び搬出車両として採用することもできる。
【符号の説明】
【0108】
1 ワーク輸送システム
10 船舶
11 船体
12 船倉
20、120、220 コンテナターミナル(荷役搬送システム)
21 船舶係留部
22 車両ヤード
30 積み下ろし部
31 揚陸装置
32 走行機構
33 アーム部
33A 回動軸
33B ブーム
34 吸引搬送機構
35 吸引ノズル
36 搬送管路
37 一時貯留部
38 分岐管路
39 調整弁
40 ホッパー部
40A 第一移載系統
40B 第二移載系統
41 ホッパー
41A 収容体
41B 排出管
42 ホッパー
43 ホッパー
44 ホッパー
45 ホッパー
45A 収容体
45B 排出管
46 ホッパー
47 ホッパー
48 ホッパー
50 集積部
51 コンテナヤード
52 クレーン走行レーン
53 蔵置領域
54 車両走行路
55 ヤードクレーン
56 クレーン本体
56A 脚部
56B 脚部
56C 梁部
57 走行機構
58 吊り下げ機構
60 集積車両
61 走行装置
62 載置部
63 加振装置
64 可動台
65 アクチュエータ
70 コンテナ
70A 空コンテナ
70B 実入りコンテナ
71 基部
72 壁部
73 天井部
74 ハッチ部
75 貫通孔
76 蓋体
80 搬出車両
153 蔵置領域
237 一時貯留部
239A、239B、239C、239D、239E、239F 調整弁
W ワーク
S1 搬入工程
S2 積み下ろし工程
S3 積載工程
S4 空容器搬送工程
S5 移載工程
S6 実入り容器搬送工程
S7 容器下ろし工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
消費先で消費されるワークを船舶から前記消費先まで搬送する荷役搬送システムであって、
前記船舶にバラ積みされた前記ワークを前記船舶から積み降ろす積み下ろし部と、
前記積み下ろし部により前記船舶から積み下ろされた前記ワークが内部に収容される容器と、
少なくとも一つの容器を載置可能な空きスペースを設けて前記容器を複数集積する集積部と、
前記積み下ろし部から前記集積部まで前記容器を搬送する第一搬送手段と、
前記第一搬送手段で搬送された前記容器を前記集積部に載置する第二搬送手段と、
前記集積部から前記消費先へ前記ワークが収容された前記容器を搬送する第三搬送手段と、
前記ワークが収容されていない前記容器を前記積み下ろし部まで搬送する第四搬送手段と、
を備えることを特徴とする荷役搬送システム。
【請求項2】
前記第四搬送手段は、前記第二搬送手段によって前記集積部において前記容器が下ろされたあとの前記第一搬送手段であることを特徴とする請求項1に記載の荷役搬送システム。
【請求項3】
前記積み下ろし部は、
前記ワークを貯留するホッパーと、
一端が前記ホッパーに接続されて前記ホッパーの内部に開口され、他端が前記容器に向けて開口され、内部に前記ワークが流れる管路と、
前記管路の内部に設けられ、前記ホッパーへ向かって流れる前記ワークの流量を調整する調整弁と、
を有し、
前記ホッパーに接続された側の前記管路の開口は一つであり、
前記管路は前記ホッパーから前記容器に向かうにしたがって複数に分岐して形成され、
前記容器に向けられた前記管路の開口は複数である
ことを特徴とする請求項1または2に記載の荷役搬送システム。
【請求項4】
前記容器は、上側に天井部を有し、
前記天井部には、前記管路の前記他端の開口から落下された前記ワークを導入する複数の貫通孔が形成されている
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の荷役搬送システム。
【請求項5】
前記ホッパーと前記管路と前記調整弁との組を複数組備え、
前記管路は、並べて配置された複数の前記容器におけるそれぞれの前記容器の前記複数の貫通孔に連通可能に配置され、
前記管路は、並べて配置された複数の前記容器に対して前記ワークを落下させて前記ワークを前記容器の内部に収容させるようになっている
ことを特徴とする請求項4に記載の荷役搬送システム。
【請求項6】
前記貫通孔は、前記容器1つあたり4つ設けられていることを特徴とする請求項3から5のいずれか一項に記載の荷役搬送システム。
【請求項7】
前記集積部には、前記ワークを前記船舶から積み下ろしする前には前記ワークが収容されていない空容器が複数集積されており、
前記第二搬送手段は、前記第一搬送手段によって搬送された前記容器を前記空きスペースに載置し、前記空容器を前記集積部から前記第四搬送手段に積み込むことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の荷役搬送システム。
【請求項8】
前記第二搬送手段は、前記集積部において直線方向に走行する走行機構を有し、
前記集積部は、前記第二搬送手段の走行方向に直交する方向に複数の前記容器を並べて載置できると共に前記第二搬送手段の走行方向に沿って複数の前記容器を並べて載置できるように設けられ、
前記空きスペースは、前記ワークを前記船舶から搬出する前には前記第二搬送手段の走行方向における前記集積部の端部に位置している
ことを特徴とする請求項7に記載の荷役搬送システム。
【請求項9】
前記集積部は、前記第二搬送手段の走行方向に沿う方向に複数の前記容器を載置できると共に前記第二搬送手段の走行方向に直交する方向に沿って複数の前記容器を並べて配置できるように設けられ、
前記空きスペースは、前記ワークを前記船舶から搬出する前には前記第二搬送手段の走行方向に直交する方向における前記集積部の端部に位置している
ことを特徴とする請求項7に記載の荷役搬送システム。
【請求項10】
前記第一搬送手段は、
前記容器を振動させる加振手段とを有することを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の荷役搬送システム。
【請求項11】
ワークを収容するための容器であって前記ワークが収容されていない空容器が集積された集積部から、前記容器を搬送する搬送車両へ、前記空容器を積載する積載工程と、
前記積載工程の後に、前記ワークをバラ積みした船舶から前記ワークを積み下ろす積み下ろし部へ前記搬送車両によって前記空容器を搬送する空容器搬送工程と、
前記空容器搬送工程によって搬送された前記空容器に前記積み下ろし部から前記ワークを移載する移載工程と、
前記移載工程において前記ワークが移載された実入り容器を前記積み下ろし部から前記集積部へ前記搬送車両によって搬送する実入り容器搬送工程と、
前記実入り容器搬送工程によって搬送された前記実入り容器を前記集積部において前記搬送車両から下ろして前記実入り容器を前記集積部に載置する容器下ろし工程と、
を備え、
前記容器下ろし工程の後に、前記容器下ろし工程で前記実入り容器が下ろされた前記搬送車両に対して前記積載工程が開始されることを特徴とする荷役搬送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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