荷物固定具
【課題】 荷崩れ防止用締め具により結束され又は覆い隠される荷物に関する情報を、作業者に対し、外側からの目視で容易に認識させることのできる、荷崩れ防止用締め具を提供すること。
【解決手段】荷物群X,…,Xの周囲に巻回される帯部材20と、その帯部材20の両端部同士を着脱自在に連結させる、連結部材とを備えており、更に、その帯部材20に取着され、且つ、可撓性及び透視性を有するとともに、種々の情報を表す情報シートを出し入れ自在に形成した、表示ポケット12を備えており、その表示ポケット内に挿入された情報シート12記載の情報を、外部からの目視で視認することができることを特徴としている。
【解決手段】荷物群X,…,Xの周囲に巻回される帯部材20と、その帯部材20の両端部同士を着脱自在に連結させる、連結部材とを備えており、更に、その帯部材20に取着され、且つ、可撓性及び透視性を有するとともに、種々の情報を表す情報シートを出し入れ自在に形成した、表示ポケット12を備えており、その表示ポケット内に挿入された情報シート12記載の情報を、外部からの目視で視認することができることを特徴としている。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、荷物を固定可能であり、更には運搬時及び保管時の使用に適する荷物固定具に関する。
【0002】
【従来の技術】業者が荷物の運搬をする場合、通常、段ボール等で作製された簡易な箱に荷物を収納して運搬している。この際、単に荷物を箱に収納するだけでは、運搬時の衝撃によって箱の中の荷物が移動して損傷する危険性がある。
【0003】そこで、箱詰めする荷物の周囲を所定の位置に固定できるように、成形した発泡スチロールを荷物にあてがった状態で箱詰する方式により、あるいは箱詰めした荷物の周囲に発泡プラスチック屑やエアーパッキン等の緩衝材等を敷き詰める方式により、荷物の箱内での移動を防止している。
【0004】しかしながら、上記の方式では、運搬の度に、発泡スチロールやエアーパッキン等の緩衝材にかかるコストが発生し、ひいては、運搬に要するコストが嵩んでしまう。また、従来においては、荷物を受け取った側が緩衝材を処理していたため、結局、緩衝材自体がゴミとなりその処理に困窮する事態も発生するといった問題点があった。
【0005】そこで、本出願人は、特開平9−323710号において、荷物搬送台(板状部材)及び荷物固定用ベルト(以下、便宜上、単に「ベルト」と称する)により、荷物搬送台に荷物を固定して運搬するための「荷物搬送及び保管具」について開示している。この「荷物搬送及び保管具」によれば、まず、荷物搬送台に設けられた係止部のうちの一の係止部に対してベルトの一端部を係止し、次に、このベルトの他端部を係止部に挿通し、更には、この挿通されたベルトの端部をフレームを支点に折り返した状態で引っ張りながら面ファスナー相互を係着させ合うことにより、ベルトの他端部をも荷物搬送台に対して係止させるものである。このようにベルトの両端部を係止部に対して係止させることにより、ベルトと荷物搬送台との間に荷物を挟んだ状態に固定することができ、このように荷物の固定された荷物搬送台は、この状態のままでベルトコンベアーに乗せられて搬送され、その搬送中に振動や損傷もなく安全に搬送することができるものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この発明においては、荷物固定用ベルトは荷物搬送台の周辺端部に対向するように形成された係止部にしか固定できない。したがって、小さい荷物を固定する場合には係止部と荷物との間に空間が生じることになり、確実に固定することができないという問題点があった。さらに、荷物固定用ベルトを係止する係止部をあらかじめ荷物搬送台に形成しておく必要があるため、当然個別に専用品を作製する必要があり、格別に製造コストがかかるという問題点もあった。
【0007】また、かかる荷物搬送台によれば、当該搬送台に載置された荷物は張架した固定用ベルトによって押圧且つ板状部材上での移動が規制されて、安全に荷物を搬送あるいは保管されるものの、以下の改善を要する問題点があった。第1の問題点は、荷物の固定作業に手間がかかり作業効率が悪い点であり、第2の問題点は、搬送時に発生する振動等によりベルト自体がその長さ方向にずれてしまう(スライドしてしまう)点である。この後者の問題点により、更には、このスライドによって荷物と荷物搬送台との間に摩擦が生じ直接荷物の外観に擦傷や破損が発生するという問題が生じ、ひいては、その荷物の商品価値が著しく低減してしまうのである。
【0008】そこで、本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたもので、緩衝材等を使用することなく容易且つ確実に荷物の固定作業、及び解除作業をすることができるとともに、運搬時の振動等に伴うベルトのスライドにより荷物が損傷してしまうことを防止することができる荷物固定具を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために請求項1記載の荷物固定具は、周辺端部から内側の位置に形成された1組以上の貫通孔を有する板状部材と、その板状部材との間に荷物を挟んだ状態に固定するために、前記各組の貫通孔に夫々挿通される1本の連続する固定用ベルトと、その固定用ベルトの開放端部同士を連結可能な連結部材と、前記各組の貫通孔に夫々挿通された固定用ベルトのスライドを規制する規制部材とを備えている。
【0010】この請求項1の荷物固定具によれば、板状部材の上に荷物が載置された場合に、連結部材により、かかる板状部材に形成(穿設)された1組の貫通孔に夫々挿通された固定用ベルトの両開放端部同士が連結されると、この連結された固定用ベルトにより板状部材上に載置された荷物が板状部材側に押圧され、即ち、固定用ベルトと板状部材との間に荷物が挟まれた状態に保持され、ひいては、搬送時又は保管時においても板状部材からの荷物の抜け落ちが防止される。
【0011】また、請求項1記載の荷物固定具によれば、規制部材により、貫通孔に挿通状態とされた固定用ベルトのスライドが規制されると、荷物の運搬時又は保管時に振動等の外乱が板状部材又は荷物に対して加わった場合にも、固定用ベルトのスライドに起因する荷物の損傷が一層強固に防止される。
【0012】請求項2記載の荷物固定具は、請求項1記載の荷物固定具において、規制部材は、固定用ベルトを前記貫通孔に挿通した場合に、前記貫通孔の形成箇所近傍の板状部材に当接して、前記固定用ベルトのスライドを規制するものである。
【0013】請求項3記載の荷物固定具は、請求項2記載の荷物固定具において、規制部材は、一の規制部材及び他の規制部材の両規制部材間の間隔が、一の貫通孔及び他の貫通孔の両貫通孔間の間隔と同一とされている。
【0014】請求項4記載の荷物固定具は、請求項2又は3に記載の荷物固定具において、規制部材は、貫通孔よりも面積の大きい規制用ベルトにより構成されており、その規制用ベルトは、前記貫通孔に固定用ベルトを挿通した場合に、前記貫通孔の形成箇所近傍の板状部材と面接触するものである。
【0015】請求項5記載の荷物固定具は、請求項1記載の荷物固定具において、規制部材は、貫通孔よりも幅の広い規制用ベルトにより構成されており、その規制用ベルトの長さは、前記一の貫通孔及び他の貫通孔の両貫通孔間の間隔と同一の長さとされている。
【0016】請求項6記載の荷物固定具は、請求項1から5の何れかに記載の荷物固定具において、連結部材は、固定用ベルトの両開放端部に夫々取着された面ファスナーにより構成されており、その面ファスナー同士の係着に伴って、各組の貫通孔に夫々挿通された固定用ベルトの両開放端部が連結されるものである。
【0017】請求項7記載の荷物固定具は、周辺端部から内側の位置に形成された1組以上の貫通孔を有する板状部材と、その各組の貫通孔に夫々挿通される1本以上の固定用ベルトと、前記各組の貫通孔のうちの一の貫通孔に挿通される固定用ベルトの開放端部、及び他の貫通孔に挿通される固定用ベルトの開放端部の両開放端部に夫々取着された面ファスナーとを備えており、その面ファスナー同士の係着に伴って、前記各組の貫通孔に夫々挿通された固定用ベルトの両開放端部が連結されるととともに、前記固定用ベルト及び板状部材の両部材間に荷物を挟んだ状態に固定可能とされている。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施例について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施例である荷物固定具100の斜視図である。この図1に示すように、荷物固定具100は、板状部材10と、固定用ベルト20と、連結部材30と、規制部材40とを備えている。
【0019】板状部材10は、矩形平板状(例えば、縦横の長さが30cm×50cm)に形成された段ボール板材により構成されており、この板状部材10の周辺端部内側近傍には、2つの貫通孔11,11(例えば、夫々、幅4cm×長さ1cm)が対向して穿設されている。このように板状部材10が段ボール板材等の紙材から成るので、板状部材10側に荷物50を押圧しても荷物50が損傷することはないし、板状部材10の廃棄処分をするに際し、荷物50の運搬者や受取者に対し煩雑な作業を強いることもない。具体的には、焼却処分が可能であるから、燃えるゴミの日に他のゴミと一緒に捨てればよいのである。さらには、板状部材10を段ボール板材により構成することにより、再利用された資源を有効活用することもできる。勿論、板状部材10の材質および形状は、上述の記載に限定されるものではなく、例えば、他の紙材から成るものであっても、ベニヤや合成樹脂から成るものであってもよいし、円形に成形されたものであってもよいし、さらには、厚みが特に限定されるものでもない。
【0020】固定用ベルト20は、板状部材10側に荷物50を押圧することにより板状部材10に対して荷物50を固定するためのものであり、板状部材10に穿設された2つの貫通孔11,11に挿通可能な幅(例えば、3cm)の、1本の連続するベルト材により構成されている。即ち、図1に示すように板状部材10と固定用ベルト20とは固着されていないので、固定用ベルト20を容易に板状部材10から取り外すことができる。これにより、荷物50の大きさ(特に、高さ)の如何に応じた長さを固定用ベルト20を適宜選択可能であるし、板状部材10と荷物50との保管を別々に行ったり、さらには、板状部材10または固定用ベルト20の何れかが破損した場合にも個別に交換することもできる。
【0021】連結部材30は、固定用ベルト20の両開放端部同士を着脱自在に連結するものであり、固定用ベルト20の一の開放端部に固着された雄面ファスナー31と、他の開放端部に固着された雌面ファスナー32とによって構成されている。したがって、雄面ファスナー31及び雌面ファスナー32の両面ファスナー相互の係着に伴って、2つの貫通孔11,11に挿通された固定用ベルト20の両開放端部同士を容易に連結することができる。
【0022】また、固定用ベルト20の両開放端部同士の連結が雄面ファスナー31と雌面ファスナー32との相互の係着に伴うものであるから、固定用ベルト20の開放端部を引っ張れば容易に連結を解除することができ、ひいては、固定用ベルト20の連結具合、及び、荷物50の固定力(荷物50に対する締付力)を容易に微調整することができるのである。
【0023】なお、連結部材30は、固定用ベルト20の一の開放端部側に設けられた雄面ファスナー31及び他の開放端部側に設けられた雌面ファスナー32から成るものに限られず、固定用ベルト20の両開放端部を連結可能であれば如何なる構成とされてもよい。例えば、連結部材30を、固定用ベルト20の両開放端部に夫々設けられた雌雄混成の面ファスナーにより構成するようにしてもよいし、ボタン式のものや、バックル式のものにより構成するようにしてもよい。さらには、図2に示すように、固定用ベルト20の一の開放端部側に区分して配設された雄面ファスナー31及び雌面ファスナー32と、固定用ベルト20の他の開放端部側に設けられた略矩形リング状(鈎状であっても良い)の係止部材34とによって構成されるようにしてもよい。このように構成することにより、固定用ベルト20の面ファスナー31,32取着側端部を係止部材34を支点に折り返した状態での牽引作業、及び雄面ファスナー31及び雌面ファスナー32相互の係着作業が可能とされ、ひいては、固定用ベルト20と板状部材10との間に荷物50を強固に固定することができるのである。
【0024】図5は、固定用ベルト20に固着された状態における規制部材40の斜視図である。この図5に示す規制部材40は、板状部材10の2つの貫通孔11,11に挿通された固定用ベルト20のスライド(摺動)を規制するためのものであり、固定用ベルト20と同様に合成樹脂繊維から成る織布を折り畳んで積層構造としたものであり、固定用ベルト20の中間部に縫着されている。このように規制部材40を積層構造とすることにより、規制部材40の強度を容易に向上させることができるのである。
【0025】また、規制部材40の面積は、各貫通孔11の面積(例えば、幅4cm×長さ1cm)よりも、大きい面積(例えば、幅6cm×長さ10cm)とされている。言い換えれば、規制部材40の幅及び長さが共に、各貫通孔11の幅及び長さよりも大きくされている。従って、荷物50を固定するために固定用ベルト20の端部を引っ張った場合にも、規制部材40が積層構造とされていることと相俟って、板状部材10に形成された貫通孔11を規制部材40が突き抜けてしまうことを防止することができる。ひいては、この突き抜けに伴って板状部材10が破損(例えば、貫通孔11の形状がゆがんだり、広がったりすること)してしまうことを防止することができる。尚、当然に、規制部材40の素材は、特に合成繊維を織布状としたものに限られるものではないし、規制部材40の固定用ベルト20に対する取着方式及び取着箇所は、上記実施例に記載のものに限定されるものではなく、例えば、取着方式が接着や加熱圧着であってもよいし、取着箇所が固定用ベルト20の端部側(両端部の連結を阻害しない箇所)であってもよい。
【0026】さらに、この規制部材40は、折り返された固定用ベルト20の間に挟まれた状態で縫着されており、固定用ベルト20の中途部分から垂直に起立可能とされている。従って、固定用ベルト20が貫通孔11に挿通された状態において規制部材40が貫通孔11の形成箇所に位置する場合に、規制部材40を貫通孔11の両側(両サイド)板状部材10に対して面接触させることができるとともに、固定用ベルト20の牽引力が規制部材40と直交する方向とすることができる。ひいては、固定用ベルト20の引っ張りに伴う固定用ベルト20の貫通孔11の突き抜けを防止することができるとともに、荷物50の固定後における固定用ベルト20のスライドを強固に防止することができるのである。
【0027】また、前記した通り規制部材40が、折り返された固定用ベルト20の間に挟まれた状態で縫着されているので、規制部材40と固定用ベルト20との固着強度を高めることができるのである。
【0028】なお、規制部材40は、上記のものに限られるものではなく、例えば、図6に示すように、固定用ベルト20に対して縫着固定された金属製から成り、且つ、日の字状に形成された第2規制部材42であってもよい。
【0029】次に、図1から図5を参照して、荷物固定具100による荷物50の固定方法について説明する。図1に示すように、各貫通孔11に裏面から固定用ベルト20を挿通し、2つの貫通孔11、11に固定用ベルト20の両端部を表面側に突出させる。このとき、規制部材40が貫通孔11両側の板状部材10と面接触するように、固定用ベルト20を調節する。そして、固定用ベルト20の端部間に荷物50を載置するとともに、固定用ベルト20の端部に形成した連結部材30を介して、荷物50を板状部材10に固定させるのである。この際、荷物固定具100の裏面は、図4に示すように規制部材40が貫通孔11に対してぴたりと係止した状態となっている。
【0030】このようにして、本発明の荷物固定具100は、板状部材10に簡易且つ確実に固定できる。また、板状部材10が下側となるようにすれば、板状部材10が下敷きとなって荷物50が荷台や地面に直接接触することもないし、運搬途中に振動が発生しても板状部材10が緩衝材となるので、荷物50に擦傷や損傷もなく安全に運搬することができる。特に、ベルトコンベアー等で運搬する場合には効果的である。さらには、緩衝材を別途用意する必要がないことから、梱包の手間が省け作業効率が向上する。
【0031】また、荷物50固定後においては、規制部材40により、固定用ベルト20の一方向へのスライドが規制(防止)され、ひいては、搬送時又は保管時における荷物50との擦れも防止される。
【0032】(第2実施例)次に、図7を参照して、さらに、他の実施例(第2実施例)の荷物固定具200について説明する。なお、上記実施例(第1実施例)と同一の部分には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる部分のみを説明する。
【0033】図7に示すように、この第2実施例の荷物固定具200は、第1実施例の構成に対し、固定用ベルト20の中間部に取着される規制部材40の数を二つとした点で相違している。そして、この両規制部材40間の間隔は、両貫通孔11間の間隔と同一とされている。
【0034】従って、貫通孔11と規制部材40は夫々2カ所でぴたりと一致するので、荷物50を固定した際に、固定用ベルト20の一の端部側方向へのスライド及び他端部側方向へのスライドの両方向へのスライドを規制することができ、荷物50の損傷をより強固に防止できる。
【0035】(第3実施例)次に、図8を参照して、さらに、他の実施例(第3実施例)の荷物固定具300について説明する。なお、上記実施例(第1実施例および第2実施例)と同一の部分には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる部分のみを説明する。
【0036】図8に示すように、この第3実施例の荷物固定具300は、第1実施例の構成に比して、規制部材40に代えて、第3規制部材43が固定用ベルト20の中間部に縫着されている。この第3規制部材43は、一の貫通孔11および他の貫通孔11の両貫通孔間の間隔と同一の長さとされている幅広(例えば、6cm)のベルト状とされており、固定用ベルト20と同様に合成樹脂繊維製の織布材を加工したものとされている。
【0037】従って、荷物固定具20の場合と同様に、荷物50を固定した際に、固定用ベルト20の一の端部側方向へのスライド及び他端部側方向へのスライドの両方向へのスライドを規制することができ、荷物50の損傷をより強固に防止できる。さらに、第3規制部材43が2つの貫通孔11,11の間隔と同一の長さとされているので、板状部材10の裏面側(第3規制部材43の配設側)に現れる固定用ベルト20全体を補強することもでき、運搬車等により運搬される等して擦れても、固定用ベルト20の摩耗劣化を防止することができ、耐久性に優れる。
【0038】(第4実施例)次に、図9から図11を参照して、さらに、他の実施例(第4実施例)の荷物固定具400について説明する。なお、上記実施例(第1実施例から第3実施例)と同一の部分には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる部分のみを説明する。
【0039】図9に示すように、この第4実施例の荷物固定具400は、上記実施例の構成に対し、板状部材10に穿設されている1組の貫通孔11,11に加え、更に、1組の第2貫通孔12,12を穿設するとともに、固定用ベルト20を2本としたものである。
【0040】第2貫通孔12,12は、貫通孔11,11に対して90度角度をずらした位置に穿設されている。即ち、第2貫通孔12,12同士を結ぶ直線と、貫通孔11,11同士を結ぶ直線とが直交するようにされている。このため、各組の貫通孔11,11、第2貫通孔12,12へ夫々固定用ベルト20を挿通させると、図11に示すように、2本の固定用ベルト20,20及びそれら固定用ベルト20に夫々取着された規制部材40が十字状に交差する。従って、荷物50を強固に固定することができることは勿論のこと、2本の固定用ベルト20,20をいっぺんに固定しなくとも、各固定用ベルト20毎に固定できる。
【0041】(第5実施例)次に、図12及び図13を参照して、さらに、他の実施例(第5実施例)の荷物固定具について説明する。なお、上記実施例(第1実施例から第4実施例)と同一の部分には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる部分のみを説明する。
【0042】図12に示すように、この第4実施例の荷物固定具は、上記実施例の構成に対し、板状部材10に穿設された2つの貫通孔11,11に加え、更に、1つの第3貫通孔13を穿設したものである。
【0043】第3貫通孔13は、一の貫通孔11に対して平行且つ隣接した位置、換言すれば、全ての貫通孔11,11,13を結ぶ結線が一直線状となる位置に穿設されている。即ち、2つの貫通孔11,11及び第3貫通孔13により1組の貫通孔が構成されるのである。従って、荷物50の大きさに応じて、固定用ベルト20を挿通する貫通孔を変更(選択)することにより、小さい荷物50を固定する場合においても、固定用ベルト20と荷物50との間に生じてしまう空間の量を低減し、又は、空間が生じてしまうこと自体を防止することができるのである。固定用ベルト20と荷物50との間に空間が生じてしまうと、固定用ベルト20を緊締しても(きつく締めても)、荷物50がスライドして、結局荷物50が損傷してしまうことに起因している。
【0044】なお、上記実施例においては第3貫通孔13が一の貫通孔11に対して平行且つ隣接した状態に設けられているが、図13に示すように、他の貫通孔11の隣にも設けてもよい。このように構成することにより、対応可能(固定可能な)な荷物の大きさの種類を増やすことができるのである。
【0045】(第6実施例)次に、図14及び図15を参照して、さらに、他の実施例(第6実施例)の荷物固定具について説明する。なお、上記実施例(第1実施例から第5実施例)と同一の部分には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる部分のみを説明する。
【0046】図14に示すように、この第6実施例の荷物固定具は、上記第1〜第5実施例の構成に対し、板状部材10に穿設された2つの貫通孔11,11に加え、更に、2つの第4貫通孔14,14を穿設したものである。
【0047】これら二つの第4貫通孔14,14は、2つの貫通孔11,11に対して夫々離れた位置(一直線上とならない位置)に設けられるとともに、両第4貫通孔14,14間の距離と両貫通孔11,11間の距離とが異なる距離とされている。
【0048】従って、第5実施例の場合と同様に、荷物50の大きさに応じて、固定用ベルト20を挿通する貫通孔を変更(選択)することにより、小さい荷物50を固定する場合においても、固定用ベルト20と荷物50との間に生じてしまう空間の量を低減し、又は、空間が生じてしまうこと自体を防止することができるのである。更には、第4貫通孔14が貫通孔11に対して離れた位置に設けられているので、2つの第4貫通孔14,14に挿通状態とされた固定用ベルト20の端部を強く牽引しても、その牽引力が板状部材10を介して貫通孔11に伝達され、貫通孔11がつぶれて(貫通孔11の形状が変形して)しまうことを防止することができるのである。
【0049】尚、上記実施例においては2つの第4貫通孔14,14が2つの貫通孔11,11に対して平行な位置関係とされているが、当然、図15に示すように、交差(直交)する位置関係としてもよい。
【0050】以上、実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の主旨から逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推測することができるものである。
【0051】本発明には、以下の発明が含まれる。周辺端部から内側の位置に形成された1組以上の貫通孔を有する板状部材と、その板状部材との間に荷物を挟んだ状態に固定可能とするために、前記各組の貫通孔に対して夫々挿通される1本又は2本の固定用ベルトと、その固定用ベルトの開放端部同士を連結可能な連結部材とを備えており、前記板状部材に形成される貫通孔のうち少なくとも1組の貫通孔は、固定用ベルトの挿通される孔を選択可能とするために3以上の貫通孔により構成されており、更に、一の組み合わせの貫通孔間の間隔と他の組み合わせの貫通孔間の間隔とが異なる大きさとされていることを特徴とする荷物固定具(A)。
【0052】荷物固定具(A)において、3以上の貫通孔により構成される組の貫通孔は、少なくとも2つの貫通孔が隣接した位置に設けられていることを特徴とする荷物固定具(B)。
【0053】荷物固定具(A)又は荷物固定具(B)において、板状部材が紙材から成り且つ3以上の貫通孔により構成される貫通孔の組が2以上ある場合に、一の組の貫通孔の形成位置と他の組の貫通孔の形成位置とが重複しない位置とされていることを特徴とする荷物固定具(C)。
【0054】上記荷物固定具(A)によれば、少なくとも一組の貫通孔が3以上の貫通孔により構成されており、更に、一の組み合わせの貫通孔間の間隔と他の組み合わせの貫通孔間の間隔とが異なる大きさとされているので、荷物の大きさ又は形状に応じて固定用ベルトを挿通する貫通孔を変更することができる。ひいては、荷物固定具(A)により、荷物の大きさ又は形状の如何を問わず、荷物をしっかりと固定することができる。
【0055】荷物固定具(B)によれば、荷物固定具(A)の奏する効果に加え、更に、3以上の貫通孔により構成される組の貫通孔は、少なくとも2つの貫通孔が隣接した位置に設けられているので、荷物の大きさに応じた固定用ベルトの貫通孔の変更作業を容易とすることができる。
【0056】荷物固定具(C)によれば、荷物固定具(A)又は荷物固定具(B)の奏する効果に加え、更に、3以上の貫通孔により構成される貫通孔の組が2以上ある場合に、一の組の貫通孔の形成位置と他の組の貫通孔の形成位置とが重複しない位置とされているので、一の組の貫通孔に挿通された固定用ベルトを強く牽引しても、その牽引力が紙材から成る板状部材を伝達して、他の組の貫通孔の形状が変形してしまうことを防止することができる。
【0057】
【発明の効果】請求項1記載の荷物固定具によれば、規制部材により、板状部材に形成された各組の貫通孔に挿通状態とされた固定用ベルトのスライドが規制されるので、固定用ベルトのスライドに起因する荷物の損傷を防止することができるという効果を奏し、ひいては、荷物に対して振動等の外力が加わった場合(特に、運搬時)においても、荷物の損傷を防止することができるという効果を奏する。また、各組の貫通孔に挿通される固定用ベルトは1本の連続するベルト材により構成されているので、板状部材から固定用ベルトを取り外した際においても、固定用ベルトの紛失を防止することができるという効果を奏する。
【0058】請求項2記載の荷物固定具によれば、請求項1に記載の荷物固定具の奏する効果に加え、更に、貫通孔の形成箇所近傍の板状部材に対して規制部材が当接することにより、固定用ベルトのスライド規制が為されるので、スライド規制機構を簡単な構成で実現することができるという効果を奏する。また、荷物非固定時における固定用ベルトの貫通孔からの不用意な脱抜を防止することができるという効果を奏する。
【0059】請求項3記載の荷物固定具によれば、請求項2記載の荷物固定具の奏する効果に加え、更に、一の規制部材及び他の規制部材の両規制部材間の間隔が一の貫通孔及び他の貫通孔の両貫通孔間の間隔と同一とされているので、固定用ベルトを貫通孔に挿通した際に、貫通孔の形成箇所と規制部材の配設箇所とを一致させることができるという効果を奏する。ひいては、固定用ベルトが一本の連続するベルト材から成る場合にも、該固定用ベルトの両方向へのスライドを規制することができるとともに、荷物非固定時における固定用ベルトの貫通孔からの不用意な脱抜を一層防止することができるという効果を奏する。
【0060】請求項4記載の荷物固定具によれば、請求項2又は3記載の荷物固定具の奏する効果に加え、更に、貫通孔より面積の大きい規制用ベルトにより規制部材が構成されており、固定用ベルトが貫通孔に挿通されている場合には、規制用ベルトが貫通孔の形成箇所近傍の板状部材と面接触するようにされているので、荷物固定に際する固定用ベルトの牽引時においても、規制部材が貫通孔を通り抜けてしまうことを防止することができるという効果を奏する。
【0061】請求項5記載の荷物固定具によれば、請求項1記載の荷物固定具の奏する効果に加え、更に、貫通孔よりも面積の大きい規制用ベルトにより規制部材が構成され、その規制用ベルトの長さと一の貫通孔及び他の貫通孔の両貫通孔間の間隔とが同一の長さとされているので、固定用ベルトが一本の連続するベルト材から成る場合においても、貫通孔に挿通状態とされている固定用ベルトの両方向へのスライドを規制することができるとともに、荷物非固定時における固定用ベルトの貫通孔からの不用意な脱抜を一層防止することができ、更には、固定用ベルトの中間部分の強度を高めることができるという効果を奏する。
【0062】請求項6記載の荷物固定具によれば、請求項1から5の何れかに記載の荷物固定具の奏する効果に加え、更に、固定用ベルトの両開放端部に夫々取着された面ファスナーにより連結部材が構成され、この固定用ベルトの両開放端部に夫々取着された面ファスナー相互の係着に伴って、固定用ベルトの両開放端部が連結されるので、固定用ベルトの両開放端部同士を着脱自在に連結することができるという効果を奏する。ひいては、連結時における固定用ベルトの両開放端部同士の連結具合の調整を容易とすることができるという効果を奏する。
【0063】請求項7記載の荷物固定具によれば、固定用ベルトの両開放端部に夫々取着された面ファスナーにより連結部材が構成され、この固定用ベルトの両開放端部に夫々取着された面ファスナー相互の係着に伴って、固定用ベルトの両開放端部が連結されるので、固定用ベルトの両開放端部同士の連結及び解除を容易とすることができるという効果を奏する。ひいては、連結時における固定用ベルトの両開放端部同士の連結具合の調整を容易とすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例である荷物固定具の斜視図である。
【図2】 上記荷物固定具を構成する連結部材に代えて他の連結部材を有する場合の荷物固定具の斜視図である。
【図3】 上記荷物固定具を用いて荷物を固定した状態を示す図である。
【図4】 荷物固定状態における上記荷物固定具の裏面を示す図である。
【図5】 第1実施例の規制部材の斜視図である。
【図6】 上記荷物固定具を構成する規制部材に代えて他の規制部材を有する場合の荷物固定具の裏面を示す図である。
【図7】 第2実施例の荷物固定具の斜視図である。
【図8】 第3実施例の荷物固定具の斜視図である。
【図9】 第3実施例の荷物固定具を用いて荷物を固定した状態を示す図である。
【図10】 第4実施例の荷物固定具の斜視図である。
【図11】 荷物固定状態における第4実施例の荷物固定具の裏面を示す図である。
【図12】 第5実施例の荷物固定具の斜視図である。
【図13】 第5実施例の荷物固定具の第3貫通孔の形成位置を変更した図である。
【図14】 第6実施例の荷物固定具の斜視図である。
【図15】 第6実施例の荷物固定具の第4貫通孔の形成位置を変更した図である。
【符号の説明】
10 板状部材
11 貫通孔
12 第2貫通孔
13 第3貫通孔
14 第4貫通孔
20 固定用ベルト
30 連結部材
31 雄面ファスナー
32 雌面ファスナー
34 係止部材
40 規制部材
42 第2規制部材
43 第3規制部材
100,200,300,400 荷物固定具
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、荷物を固定可能であり、更には運搬時及び保管時の使用に適する荷物固定具に関する。
【0002】
【従来の技術】業者が荷物の運搬をする場合、通常、段ボール等で作製された簡易な箱に荷物を収納して運搬している。この際、単に荷物を箱に収納するだけでは、運搬時の衝撃によって箱の中の荷物が移動して損傷する危険性がある。
【0003】そこで、箱詰めする荷物の周囲を所定の位置に固定できるように、成形した発泡スチロールを荷物にあてがった状態で箱詰する方式により、あるいは箱詰めした荷物の周囲に発泡プラスチック屑やエアーパッキン等の緩衝材等を敷き詰める方式により、荷物の箱内での移動を防止している。
【0004】しかしながら、上記の方式では、運搬の度に、発泡スチロールやエアーパッキン等の緩衝材にかかるコストが発生し、ひいては、運搬に要するコストが嵩んでしまう。また、従来においては、荷物を受け取った側が緩衝材を処理していたため、結局、緩衝材自体がゴミとなりその処理に困窮する事態も発生するといった問題点があった。
【0005】そこで、本出願人は、特開平9−323710号において、荷物搬送台(板状部材)及び荷物固定用ベルト(以下、便宜上、単に「ベルト」と称する)により、荷物搬送台に荷物を固定して運搬するための「荷物搬送及び保管具」について開示している。この「荷物搬送及び保管具」によれば、まず、荷物搬送台に設けられた係止部のうちの一の係止部に対してベルトの一端部を係止し、次に、このベルトの他端部を係止部に挿通し、更には、この挿通されたベルトの端部をフレームを支点に折り返した状態で引っ張りながら面ファスナー相互を係着させ合うことにより、ベルトの他端部をも荷物搬送台に対して係止させるものである。このようにベルトの両端部を係止部に対して係止させることにより、ベルトと荷物搬送台との間に荷物を挟んだ状態に固定することができ、このように荷物の固定された荷物搬送台は、この状態のままでベルトコンベアーに乗せられて搬送され、その搬送中に振動や損傷もなく安全に搬送することができるものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この発明においては、荷物固定用ベルトは荷物搬送台の周辺端部に対向するように形成された係止部にしか固定できない。したがって、小さい荷物を固定する場合には係止部と荷物との間に空間が生じることになり、確実に固定することができないという問題点があった。さらに、荷物固定用ベルトを係止する係止部をあらかじめ荷物搬送台に形成しておく必要があるため、当然個別に専用品を作製する必要があり、格別に製造コストがかかるという問題点もあった。
【0007】また、かかる荷物搬送台によれば、当該搬送台に載置された荷物は張架した固定用ベルトによって押圧且つ板状部材上での移動が規制されて、安全に荷物を搬送あるいは保管されるものの、以下の改善を要する問題点があった。第1の問題点は、荷物の固定作業に手間がかかり作業効率が悪い点であり、第2の問題点は、搬送時に発生する振動等によりベルト自体がその長さ方向にずれてしまう(スライドしてしまう)点である。この後者の問題点により、更には、このスライドによって荷物と荷物搬送台との間に摩擦が生じ直接荷物の外観に擦傷や破損が発生するという問題が生じ、ひいては、その荷物の商品価値が著しく低減してしまうのである。
【0008】そこで、本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたもので、緩衝材等を使用することなく容易且つ確実に荷物の固定作業、及び解除作業をすることができるとともに、運搬時の振動等に伴うベルトのスライドにより荷物が損傷してしまうことを防止することができる荷物固定具を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために請求項1記載の荷物固定具は、周辺端部から内側の位置に形成された1組以上の貫通孔を有する板状部材と、その板状部材との間に荷物を挟んだ状態に固定するために、前記各組の貫通孔に夫々挿通される1本の連続する固定用ベルトと、その固定用ベルトの開放端部同士を連結可能な連結部材と、前記各組の貫通孔に夫々挿通された固定用ベルトのスライドを規制する規制部材とを備えている。
【0010】この請求項1の荷物固定具によれば、板状部材の上に荷物が載置された場合に、連結部材により、かかる板状部材に形成(穿設)された1組の貫通孔に夫々挿通された固定用ベルトの両開放端部同士が連結されると、この連結された固定用ベルトにより板状部材上に載置された荷物が板状部材側に押圧され、即ち、固定用ベルトと板状部材との間に荷物が挟まれた状態に保持され、ひいては、搬送時又は保管時においても板状部材からの荷物の抜け落ちが防止される。
【0011】また、請求項1記載の荷物固定具によれば、規制部材により、貫通孔に挿通状態とされた固定用ベルトのスライドが規制されると、荷物の運搬時又は保管時に振動等の外乱が板状部材又は荷物に対して加わった場合にも、固定用ベルトのスライドに起因する荷物の損傷が一層強固に防止される。
【0012】請求項2記載の荷物固定具は、請求項1記載の荷物固定具において、規制部材は、固定用ベルトを前記貫通孔に挿通した場合に、前記貫通孔の形成箇所近傍の板状部材に当接して、前記固定用ベルトのスライドを規制するものである。
【0013】請求項3記載の荷物固定具は、請求項2記載の荷物固定具において、規制部材は、一の規制部材及び他の規制部材の両規制部材間の間隔が、一の貫通孔及び他の貫通孔の両貫通孔間の間隔と同一とされている。
【0014】請求項4記載の荷物固定具は、請求項2又は3に記載の荷物固定具において、規制部材は、貫通孔よりも面積の大きい規制用ベルトにより構成されており、その規制用ベルトは、前記貫通孔に固定用ベルトを挿通した場合に、前記貫通孔の形成箇所近傍の板状部材と面接触するものである。
【0015】請求項5記載の荷物固定具は、請求項1記載の荷物固定具において、規制部材は、貫通孔よりも幅の広い規制用ベルトにより構成されており、その規制用ベルトの長さは、前記一の貫通孔及び他の貫通孔の両貫通孔間の間隔と同一の長さとされている。
【0016】請求項6記載の荷物固定具は、請求項1から5の何れかに記載の荷物固定具において、連結部材は、固定用ベルトの両開放端部に夫々取着された面ファスナーにより構成されており、その面ファスナー同士の係着に伴って、各組の貫通孔に夫々挿通された固定用ベルトの両開放端部が連結されるものである。
【0017】請求項7記載の荷物固定具は、周辺端部から内側の位置に形成された1組以上の貫通孔を有する板状部材と、その各組の貫通孔に夫々挿通される1本以上の固定用ベルトと、前記各組の貫通孔のうちの一の貫通孔に挿通される固定用ベルトの開放端部、及び他の貫通孔に挿通される固定用ベルトの開放端部の両開放端部に夫々取着された面ファスナーとを備えており、その面ファスナー同士の係着に伴って、前記各組の貫通孔に夫々挿通された固定用ベルトの両開放端部が連結されるととともに、前記固定用ベルト及び板状部材の両部材間に荷物を挟んだ状態に固定可能とされている。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施例について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施例である荷物固定具100の斜視図である。この図1に示すように、荷物固定具100は、板状部材10と、固定用ベルト20と、連結部材30と、規制部材40とを備えている。
【0019】板状部材10は、矩形平板状(例えば、縦横の長さが30cm×50cm)に形成された段ボール板材により構成されており、この板状部材10の周辺端部内側近傍には、2つの貫通孔11,11(例えば、夫々、幅4cm×長さ1cm)が対向して穿設されている。このように板状部材10が段ボール板材等の紙材から成るので、板状部材10側に荷物50を押圧しても荷物50が損傷することはないし、板状部材10の廃棄処分をするに際し、荷物50の運搬者や受取者に対し煩雑な作業を強いることもない。具体的には、焼却処分が可能であるから、燃えるゴミの日に他のゴミと一緒に捨てればよいのである。さらには、板状部材10を段ボール板材により構成することにより、再利用された資源を有効活用することもできる。勿論、板状部材10の材質および形状は、上述の記載に限定されるものではなく、例えば、他の紙材から成るものであっても、ベニヤや合成樹脂から成るものであってもよいし、円形に成形されたものであってもよいし、さらには、厚みが特に限定されるものでもない。
【0020】固定用ベルト20は、板状部材10側に荷物50を押圧することにより板状部材10に対して荷物50を固定するためのものであり、板状部材10に穿設された2つの貫通孔11,11に挿通可能な幅(例えば、3cm)の、1本の連続するベルト材により構成されている。即ち、図1に示すように板状部材10と固定用ベルト20とは固着されていないので、固定用ベルト20を容易に板状部材10から取り外すことができる。これにより、荷物50の大きさ(特に、高さ)の如何に応じた長さを固定用ベルト20を適宜選択可能であるし、板状部材10と荷物50との保管を別々に行ったり、さらには、板状部材10または固定用ベルト20の何れかが破損した場合にも個別に交換することもできる。
【0021】連結部材30は、固定用ベルト20の両開放端部同士を着脱自在に連結するものであり、固定用ベルト20の一の開放端部に固着された雄面ファスナー31と、他の開放端部に固着された雌面ファスナー32とによって構成されている。したがって、雄面ファスナー31及び雌面ファスナー32の両面ファスナー相互の係着に伴って、2つの貫通孔11,11に挿通された固定用ベルト20の両開放端部同士を容易に連結することができる。
【0022】また、固定用ベルト20の両開放端部同士の連結が雄面ファスナー31と雌面ファスナー32との相互の係着に伴うものであるから、固定用ベルト20の開放端部を引っ張れば容易に連結を解除することができ、ひいては、固定用ベルト20の連結具合、及び、荷物50の固定力(荷物50に対する締付力)を容易に微調整することができるのである。
【0023】なお、連結部材30は、固定用ベルト20の一の開放端部側に設けられた雄面ファスナー31及び他の開放端部側に設けられた雌面ファスナー32から成るものに限られず、固定用ベルト20の両開放端部を連結可能であれば如何なる構成とされてもよい。例えば、連結部材30を、固定用ベルト20の両開放端部に夫々設けられた雌雄混成の面ファスナーにより構成するようにしてもよいし、ボタン式のものや、バックル式のものにより構成するようにしてもよい。さらには、図2に示すように、固定用ベルト20の一の開放端部側に区分して配設された雄面ファスナー31及び雌面ファスナー32と、固定用ベルト20の他の開放端部側に設けられた略矩形リング状(鈎状であっても良い)の係止部材34とによって構成されるようにしてもよい。このように構成することにより、固定用ベルト20の面ファスナー31,32取着側端部を係止部材34を支点に折り返した状態での牽引作業、及び雄面ファスナー31及び雌面ファスナー32相互の係着作業が可能とされ、ひいては、固定用ベルト20と板状部材10との間に荷物50を強固に固定することができるのである。
【0024】図5は、固定用ベルト20に固着された状態における規制部材40の斜視図である。この図5に示す規制部材40は、板状部材10の2つの貫通孔11,11に挿通された固定用ベルト20のスライド(摺動)を規制するためのものであり、固定用ベルト20と同様に合成樹脂繊維から成る織布を折り畳んで積層構造としたものであり、固定用ベルト20の中間部に縫着されている。このように規制部材40を積層構造とすることにより、規制部材40の強度を容易に向上させることができるのである。
【0025】また、規制部材40の面積は、各貫通孔11の面積(例えば、幅4cm×長さ1cm)よりも、大きい面積(例えば、幅6cm×長さ10cm)とされている。言い換えれば、規制部材40の幅及び長さが共に、各貫通孔11の幅及び長さよりも大きくされている。従って、荷物50を固定するために固定用ベルト20の端部を引っ張った場合にも、規制部材40が積層構造とされていることと相俟って、板状部材10に形成された貫通孔11を規制部材40が突き抜けてしまうことを防止することができる。ひいては、この突き抜けに伴って板状部材10が破損(例えば、貫通孔11の形状がゆがんだり、広がったりすること)してしまうことを防止することができる。尚、当然に、規制部材40の素材は、特に合成繊維を織布状としたものに限られるものではないし、規制部材40の固定用ベルト20に対する取着方式及び取着箇所は、上記実施例に記載のものに限定されるものではなく、例えば、取着方式が接着や加熱圧着であってもよいし、取着箇所が固定用ベルト20の端部側(両端部の連結を阻害しない箇所)であってもよい。
【0026】さらに、この規制部材40は、折り返された固定用ベルト20の間に挟まれた状態で縫着されており、固定用ベルト20の中途部分から垂直に起立可能とされている。従って、固定用ベルト20が貫通孔11に挿通された状態において規制部材40が貫通孔11の形成箇所に位置する場合に、規制部材40を貫通孔11の両側(両サイド)板状部材10に対して面接触させることができるとともに、固定用ベルト20の牽引力が規制部材40と直交する方向とすることができる。ひいては、固定用ベルト20の引っ張りに伴う固定用ベルト20の貫通孔11の突き抜けを防止することができるとともに、荷物50の固定後における固定用ベルト20のスライドを強固に防止することができるのである。
【0027】また、前記した通り規制部材40が、折り返された固定用ベルト20の間に挟まれた状態で縫着されているので、規制部材40と固定用ベルト20との固着強度を高めることができるのである。
【0028】なお、規制部材40は、上記のものに限られるものではなく、例えば、図6に示すように、固定用ベルト20に対して縫着固定された金属製から成り、且つ、日の字状に形成された第2規制部材42であってもよい。
【0029】次に、図1から図5を参照して、荷物固定具100による荷物50の固定方法について説明する。図1に示すように、各貫通孔11に裏面から固定用ベルト20を挿通し、2つの貫通孔11、11に固定用ベルト20の両端部を表面側に突出させる。このとき、規制部材40が貫通孔11両側の板状部材10と面接触するように、固定用ベルト20を調節する。そして、固定用ベルト20の端部間に荷物50を載置するとともに、固定用ベルト20の端部に形成した連結部材30を介して、荷物50を板状部材10に固定させるのである。この際、荷物固定具100の裏面は、図4に示すように規制部材40が貫通孔11に対してぴたりと係止した状態となっている。
【0030】このようにして、本発明の荷物固定具100は、板状部材10に簡易且つ確実に固定できる。また、板状部材10が下側となるようにすれば、板状部材10が下敷きとなって荷物50が荷台や地面に直接接触することもないし、運搬途中に振動が発生しても板状部材10が緩衝材となるので、荷物50に擦傷や損傷もなく安全に運搬することができる。特に、ベルトコンベアー等で運搬する場合には効果的である。さらには、緩衝材を別途用意する必要がないことから、梱包の手間が省け作業効率が向上する。
【0031】また、荷物50固定後においては、規制部材40により、固定用ベルト20の一方向へのスライドが規制(防止)され、ひいては、搬送時又は保管時における荷物50との擦れも防止される。
【0032】(第2実施例)次に、図7を参照して、さらに、他の実施例(第2実施例)の荷物固定具200について説明する。なお、上記実施例(第1実施例)と同一の部分には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる部分のみを説明する。
【0033】図7に示すように、この第2実施例の荷物固定具200は、第1実施例の構成に対し、固定用ベルト20の中間部に取着される規制部材40の数を二つとした点で相違している。そして、この両規制部材40間の間隔は、両貫通孔11間の間隔と同一とされている。
【0034】従って、貫通孔11と規制部材40は夫々2カ所でぴたりと一致するので、荷物50を固定した際に、固定用ベルト20の一の端部側方向へのスライド及び他端部側方向へのスライドの両方向へのスライドを規制することができ、荷物50の損傷をより強固に防止できる。
【0035】(第3実施例)次に、図8を参照して、さらに、他の実施例(第3実施例)の荷物固定具300について説明する。なお、上記実施例(第1実施例および第2実施例)と同一の部分には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる部分のみを説明する。
【0036】図8に示すように、この第3実施例の荷物固定具300は、第1実施例の構成に比して、規制部材40に代えて、第3規制部材43が固定用ベルト20の中間部に縫着されている。この第3規制部材43は、一の貫通孔11および他の貫通孔11の両貫通孔間の間隔と同一の長さとされている幅広(例えば、6cm)のベルト状とされており、固定用ベルト20と同様に合成樹脂繊維製の織布材を加工したものとされている。
【0037】従って、荷物固定具20の場合と同様に、荷物50を固定した際に、固定用ベルト20の一の端部側方向へのスライド及び他端部側方向へのスライドの両方向へのスライドを規制することができ、荷物50の損傷をより強固に防止できる。さらに、第3規制部材43が2つの貫通孔11,11の間隔と同一の長さとされているので、板状部材10の裏面側(第3規制部材43の配設側)に現れる固定用ベルト20全体を補強することもでき、運搬車等により運搬される等して擦れても、固定用ベルト20の摩耗劣化を防止することができ、耐久性に優れる。
【0038】(第4実施例)次に、図9から図11を参照して、さらに、他の実施例(第4実施例)の荷物固定具400について説明する。なお、上記実施例(第1実施例から第3実施例)と同一の部分には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる部分のみを説明する。
【0039】図9に示すように、この第4実施例の荷物固定具400は、上記実施例の構成に対し、板状部材10に穿設されている1組の貫通孔11,11に加え、更に、1組の第2貫通孔12,12を穿設するとともに、固定用ベルト20を2本としたものである。
【0040】第2貫通孔12,12は、貫通孔11,11に対して90度角度をずらした位置に穿設されている。即ち、第2貫通孔12,12同士を結ぶ直線と、貫通孔11,11同士を結ぶ直線とが直交するようにされている。このため、各組の貫通孔11,11、第2貫通孔12,12へ夫々固定用ベルト20を挿通させると、図11に示すように、2本の固定用ベルト20,20及びそれら固定用ベルト20に夫々取着された規制部材40が十字状に交差する。従って、荷物50を強固に固定することができることは勿論のこと、2本の固定用ベルト20,20をいっぺんに固定しなくとも、各固定用ベルト20毎に固定できる。
【0041】(第5実施例)次に、図12及び図13を参照して、さらに、他の実施例(第5実施例)の荷物固定具について説明する。なお、上記実施例(第1実施例から第4実施例)と同一の部分には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる部分のみを説明する。
【0042】図12に示すように、この第4実施例の荷物固定具は、上記実施例の構成に対し、板状部材10に穿設された2つの貫通孔11,11に加え、更に、1つの第3貫通孔13を穿設したものである。
【0043】第3貫通孔13は、一の貫通孔11に対して平行且つ隣接した位置、換言すれば、全ての貫通孔11,11,13を結ぶ結線が一直線状となる位置に穿設されている。即ち、2つの貫通孔11,11及び第3貫通孔13により1組の貫通孔が構成されるのである。従って、荷物50の大きさに応じて、固定用ベルト20を挿通する貫通孔を変更(選択)することにより、小さい荷物50を固定する場合においても、固定用ベルト20と荷物50との間に生じてしまう空間の量を低減し、又は、空間が生じてしまうこと自体を防止することができるのである。固定用ベルト20と荷物50との間に空間が生じてしまうと、固定用ベルト20を緊締しても(きつく締めても)、荷物50がスライドして、結局荷物50が損傷してしまうことに起因している。
【0044】なお、上記実施例においては第3貫通孔13が一の貫通孔11に対して平行且つ隣接した状態に設けられているが、図13に示すように、他の貫通孔11の隣にも設けてもよい。このように構成することにより、対応可能(固定可能な)な荷物の大きさの種類を増やすことができるのである。
【0045】(第6実施例)次に、図14及び図15を参照して、さらに、他の実施例(第6実施例)の荷物固定具について説明する。なお、上記実施例(第1実施例から第5実施例)と同一の部分には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる部分のみを説明する。
【0046】図14に示すように、この第6実施例の荷物固定具は、上記第1〜第5実施例の構成に対し、板状部材10に穿設された2つの貫通孔11,11に加え、更に、2つの第4貫通孔14,14を穿設したものである。
【0047】これら二つの第4貫通孔14,14は、2つの貫通孔11,11に対して夫々離れた位置(一直線上とならない位置)に設けられるとともに、両第4貫通孔14,14間の距離と両貫通孔11,11間の距離とが異なる距離とされている。
【0048】従って、第5実施例の場合と同様に、荷物50の大きさに応じて、固定用ベルト20を挿通する貫通孔を変更(選択)することにより、小さい荷物50を固定する場合においても、固定用ベルト20と荷物50との間に生じてしまう空間の量を低減し、又は、空間が生じてしまうこと自体を防止することができるのである。更には、第4貫通孔14が貫通孔11に対して離れた位置に設けられているので、2つの第4貫通孔14,14に挿通状態とされた固定用ベルト20の端部を強く牽引しても、その牽引力が板状部材10を介して貫通孔11に伝達され、貫通孔11がつぶれて(貫通孔11の形状が変形して)しまうことを防止することができるのである。
【0049】尚、上記実施例においては2つの第4貫通孔14,14が2つの貫通孔11,11に対して平行な位置関係とされているが、当然、図15に示すように、交差(直交)する位置関係としてもよい。
【0050】以上、実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の主旨から逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推測することができるものである。
【0051】本発明には、以下の発明が含まれる。周辺端部から内側の位置に形成された1組以上の貫通孔を有する板状部材と、その板状部材との間に荷物を挟んだ状態に固定可能とするために、前記各組の貫通孔に対して夫々挿通される1本又は2本の固定用ベルトと、その固定用ベルトの開放端部同士を連結可能な連結部材とを備えており、前記板状部材に形成される貫通孔のうち少なくとも1組の貫通孔は、固定用ベルトの挿通される孔を選択可能とするために3以上の貫通孔により構成されており、更に、一の組み合わせの貫通孔間の間隔と他の組み合わせの貫通孔間の間隔とが異なる大きさとされていることを特徴とする荷物固定具(A)。
【0052】荷物固定具(A)において、3以上の貫通孔により構成される組の貫通孔は、少なくとも2つの貫通孔が隣接した位置に設けられていることを特徴とする荷物固定具(B)。
【0053】荷物固定具(A)又は荷物固定具(B)において、板状部材が紙材から成り且つ3以上の貫通孔により構成される貫通孔の組が2以上ある場合に、一の組の貫通孔の形成位置と他の組の貫通孔の形成位置とが重複しない位置とされていることを特徴とする荷物固定具(C)。
【0054】上記荷物固定具(A)によれば、少なくとも一組の貫通孔が3以上の貫通孔により構成されており、更に、一の組み合わせの貫通孔間の間隔と他の組み合わせの貫通孔間の間隔とが異なる大きさとされているので、荷物の大きさ又は形状に応じて固定用ベルトを挿通する貫通孔を変更することができる。ひいては、荷物固定具(A)により、荷物の大きさ又は形状の如何を問わず、荷物をしっかりと固定することができる。
【0055】荷物固定具(B)によれば、荷物固定具(A)の奏する効果に加え、更に、3以上の貫通孔により構成される組の貫通孔は、少なくとも2つの貫通孔が隣接した位置に設けられているので、荷物の大きさに応じた固定用ベルトの貫通孔の変更作業を容易とすることができる。
【0056】荷物固定具(C)によれば、荷物固定具(A)又は荷物固定具(B)の奏する効果に加え、更に、3以上の貫通孔により構成される貫通孔の組が2以上ある場合に、一の組の貫通孔の形成位置と他の組の貫通孔の形成位置とが重複しない位置とされているので、一の組の貫通孔に挿通された固定用ベルトを強く牽引しても、その牽引力が紙材から成る板状部材を伝達して、他の組の貫通孔の形状が変形してしまうことを防止することができる。
【0057】
【発明の効果】請求項1記載の荷物固定具によれば、規制部材により、板状部材に形成された各組の貫通孔に挿通状態とされた固定用ベルトのスライドが規制されるので、固定用ベルトのスライドに起因する荷物の損傷を防止することができるという効果を奏し、ひいては、荷物に対して振動等の外力が加わった場合(特に、運搬時)においても、荷物の損傷を防止することができるという効果を奏する。また、各組の貫通孔に挿通される固定用ベルトは1本の連続するベルト材により構成されているので、板状部材から固定用ベルトを取り外した際においても、固定用ベルトの紛失を防止することができるという効果を奏する。
【0058】請求項2記載の荷物固定具によれば、請求項1に記載の荷物固定具の奏する効果に加え、更に、貫通孔の形成箇所近傍の板状部材に対して規制部材が当接することにより、固定用ベルトのスライド規制が為されるので、スライド規制機構を簡単な構成で実現することができるという効果を奏する。また、荷物非固定時における固定用ベルトの貫通孔からの不用意な脱抜を防止することができるという効果を奏する。
【0059】請求項3記載の荷物固定具によれば、請求項2記載の荷物固定具の奏する効果に加え、更に、一の規制部材及び他の規制部材の両規制部材間の間隔が一の貫通孔及び他の貫通孔の両貫通孔間の間隔と同一とされているので、固定用ベルトを貫通孔に挿通した際に、貫通孔の形成箇所と規制部材の配設箇所とを一致させることができるという効果を奏する。ひいては、固定用ベルトが一本の連続するベルト材から成る場合にも、該固定用ベルトの両方向へのスライドを規制することができるとともに、荷物非固定時における固定用ベルトの貫通孔からの不用意な脱抜を一層防止することができるという効果を奏する。
【0060】請求項4記載の荷物固定具によれば、請求項2又は3記載の荷物固定具の奏する効果に加え、更に、貫通孔より面積の大きい規制用ベルトにより規制部材が構成されており、固定用ベルトが貫通孔に挿通されている場合には、規制用ベルトが貫通孔の形成箇所近傍の板状部材と面接触するようにされているので、荷物固定に際する固定用ベルトの牽引時においても、規制部材が貫通孔を通り抜けてしまうことを防止することができるという効果を奏する。
【0061】請求項5記載の荷物固定具によれば、請求項1記載の荷物固定具の奏する効果に加え、更に、貫通孔よりも面積の大きい規制用ベルトにより規制部材が構成され、その規制用ベルトの長さと一の貫通孔及び他の貫通孔の両貫通孔間の間隔とが同一の長さとされているので、固定用ベルトが一本の連続するベルト材から成る場合においても、貫通孔に挿通状態とされている固定用ベルトの両方向へのスライドを規制することができるとともに、荷物非固定時における固定用ベルトの貫通孔からの不用意な脱抜を一層防止することができ、更には、固定用ベルトの中間部分の強度を高めることができるという効果を奏する。
【0062】請求項6記載の荷物固定具によれば、請求項1から5の何れかに記載の荷物固定具の奏する効果に加え、更に、固定用ベルトの両開放端部に夫々取着された面ファスナーにより連結部材が構成され、この固定用ベルトの両開放端部に夫々取着された面ファスナー相互の係着に伴って、固定用ベルトの両開放端部が連結されるので、固定用ベルトの両開放端部同士を着脱自在に連結することができるという効果を奏する。ひいては、連結時における固定用ベルトの両開放端部同士の連結具合の調整を容易とすることができるという効果を奏する。
【0063】請求項7記載の荷物固定具によれば、固定用ベルトの両開放端部に夫々取着された面ファスナーにより連結部材が構成され、この固定用ベルトの両開放端部に夫々取着された面ファスナー相互の係着に伴って、固定用ベルトの両開放端部が連結されるので、固定用ベルトの両開放端部同士の連結及び解除を容易とすることができるという効果を奏する。ひいては、連結時における固定用ベルトの両開放端部同士の連結具合の調整を容易とすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例である荷物固定具の斜視図である。
【図2】 上記荷物固定具を構成する連結部材に代えて他の連結部材を有する場合の荷物固定具の斜視図である。
【図3】 上記荷物固定具を用いて荷物を固定した状態を示す図である。
【図4】 荷物固定状態における上記荷物固定具の裏面を示す図である。
【図5】 第1実施例の規制部材の斜視図である。
【図6】 上記荷物固定具を構成する規制部材に代えて他の規制部材を有する場合の荷物固定具の裏面を示す図である。
【図7】 第2実施例の荷物固定具の斜視図である。
【図8】 第3実施例の荷物固定具の斜視図である。
【図9】 第3実施例の荷物固定具を用いて荷物を固定した状態を示す図である。
【図10】 第4実施例の荷物固定具の斜視図である。
【図11】 荷物固定状態における第4実施例の荷物固定具の裏面を示す図である。
【図12】 第5実施例の荷物固定具の斜視図である。
【図13】 第5実施例の荷物固定具の第3貫通孔の形成位置を変更した図である。
【図14】 第6実施例の荷物固定具の斜視図である。
【図15】 第6実施例の荷物固定具の第4貫通孔の形成位置を変更した図である。
【符号の説明】
10 板状部材
11 貫通孔
12 第2貫通孔
13 第3貫通孔
14 第4貫通孔
20 固定用ベルト
30 連結部材
31 雄面ファスナー
32 雌面ファスナー
34 係止部材
40 規制部材
42 第2規制部材
43 第3規制部材
100,200,300,400 荷物固定具
【特許請求の範囲】
【請求項1】 周辺端部から内側の位置に形成された1組以上の貫通孔を有する板状部材と、その板状部材との間に荷物を挟んだ状態に固定するために、前記各組の貫通孔に夫々挿通される1本の連続する固定用ベルトと、その固定用ベルトの開放端部同士を連結可能な連結部材と、前記各組の貫通孔に夫々挿通された固定用ベルトのスライドを規制する規制部材とを備えていることを特徴とする荷物固定具。
【請求項2】 規制部材は、固定用ベルトを前記貫通孔に挿通した場合に、前記貫通孔の形成箇所近傍の板状部材に当接して、前記固定用ベルトのスライドを規制することを特徴とする請求項1記載の荷物固定具。
【請求項3】 規制部材は、一の規制部材及び他の規制部材の両規制部材間の間隔が、一の貫通孔及び他の貫通孔の両貫通孔間の間隔と同一とされていることを特徴とする請求項2記載の荷物固定具。
【請求項4】 規制部材は、貫通孔よりも面積の大きい規制用ベルトにより構成されており、その規制用ベルトは、前記貫通孔に固定用ベルトを挿通した場合に、前記貫通孔の形成箇所近傍の板状部材と面接触することを特徴とする請求項2又は3に記載の荷物固定具。
【請求項5】 規制部材は、貫通孔よりも幅の広い規制用ベルトにより構成されており、その規制用ベルトの長さは、前記一の貫通孔及び他の貫通孔の両貫通孔間の間隔と同一の長さとされていることを特徴とする請求項1記載の荷物固定具。
【請求項6】 連結部材は、固定用ベルトの両開放端部に夫々取着された面ファスナーにより構成されており、その面ファスナー同士の係着に伴って、各組の貫通孔に夫々挿通された固定用ベルトの両開放端部が連結されることを特徴とする請求項1から5の何れかに記載の荷物固定具。
【請求項7】 周辺端部から内側の位置に形成された1組以上の貫通孔を有する板状部材と、その各組の貫通孔に夫々挿通される1本以上の固定用ベルトと、前記各組の貫通孔のうちの一の貫通孔に挿通される固定用ベルトの開放端部、及び他の貫通孔に挿通される固定用ベルトの開放端部の両開放端部に夫々取着された面ファスナーとを備えており、その面ファスナー同士の係着に伴って、前記各組の貫通孔に夫々挿通された固定用ベルトの両開放端部が連結されるととともに、前記固定用ベルト及び板状部材の両部材間に荷物を挟んだ状態に固定可能とされていることを特徴とする荷物固定具。
【請求項1】 周辺端部から内側の位置に形成された1組以上の貫通孔を有する板状部材と、その板状部材との間に荷物を挟んだ状態に固定するために、前記各組の貫通孔に夫々挿通される1本の連続する固定用ベルトと、その固定用ベルトの開放端部同士を連結可能な連結部材と、前記各組の貫通孔に夫々挿通された固定用ベルトのスライドを規制する規制部材とを備えていることを特徴とする荷物固定具。
【請求項2】 規制部材は、固定用ベルトを前記貫通孔に挿通した場合に、前記貫通孔の形成箇所近傍の板状部材に当接して、前記固定用ベルトのスライドを規制することを特徴とする請求項1記載の荷物固定具。
【請求項3】 規制部材は、一の規制部材及び他の規制部材の両規制部材間の間隔が、一の貫通孔及び他の貫通孔の両貫通孔間の間隔と同一とされていることを特徴とする請求項2記載の荷物固定具。
【請求項4】 規制部材は、貫通孔よりも面積の大きい規制用ベルトにより構成されており、その規制用ベルトは、前記貫通孔に固定用ベルトを挿通した場合に、前記貫通孔の形成箇所近傍の板状部材と面接触することを特徴とする請求項2又は3に記載の荷物固定具。
【請求項5】 規制部材は、貫通孔よりも幅の広い規制用ベルトにより構成されており、その規制用ベルトの長さは、前記一の貫通孔及び他の貫通孔の両貫通孔間の間隔と同一の長さとされていることを特徴とする請求項1記載の荷物固定具。
【請求項6】 連結部材は、固定用ベルトの両開放端部に夫々取着された面ファスナーにより構成されており、その面ファスナー同士の係着に伴って、各組の貫通孔に夫々挿通された固定用ベルトの両開放端部が連結されることを特徴とする請求項1から5の何れかに記載の荷物固定具。
【請求項7】 周辺端部から内側の位置に形成された1組以上の貫通孔を有する板状部材と、その各組の貫通孔に夫々挿通される1本以上の固定用ベルトと、前記各組の貫通孔のうちの一の貫通孔に挿通される固定用ベルトの開放端部、及び他の貫通孔に挿通される固定用ベルトの開放端部の両開放端部に夫々取着された面ファスナーとを備えており、その面ファスナー同士の係着に伴って、前記各組の貫通孔に夫々挿通された固定用ベルトの両開放端部が連結されるととともに、前記固定用ベルト及び板状部材の両部材間に荷物を挟んだ状態に固定可能とされていることを特徴とする荷物固定具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図14】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図14】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図15】
【公開番号】特開2003−170905(P2003−170905A)
【公開日】平成15年6月17日(2003.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−368612(P2001−368612)
【出願日】平成13年12月3日(2001.12.3)
【出願人】(000132921)株式会社タカギ・パックス (11)
【出願人】(399114359)オリックス株式会社 (4)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成15年6月17日(2003.6.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成13年12月3日(2001.12.3)
【出願人】(000132921)株式会社タカギ・パックス (11)
【出願人】(399114359)オリックス株式会社 (4)
【Fターム(参考)】
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