説明

荷物結束搬送用ベルト

【課題】
折り畳まれたリターナブル容器等の大型の荷物を結束するのに十分な結束力を備えるとともに、結束後の運搬性に優れ、かつ繰り返し使用することが可能な荷物結束搬送用ベルトを提供すること。
【解決手段】
主帯材110と、これに直交して取着される副帯材120とから荷物結束搬送用ベルト100を形成する。主帯材110は、荷物に巻回させた後でを連結させる主帯材連結手段112、115と、荷物に巻回させた状態で、荷物の上面側若しくは側面側に位置する部分に取手部材111とを備える。副帯材120は、荷物に巻回させた後で端部同士を連結させる副帯材連結手段121を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一または二以上の荷物を結束し、運搬を行いやすくするための荷物結束搬送用ベルトに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、商店や製造元などが取引先や得意先に注文の品物を入れて届けるのに使う箱として、段ボール箱が広く使用されている。そして、一般に、品物が納品されて役目を終えた段ボール箱は、受取先で廃棄処分されている。しかし、流通の現場では廃棄物ゼロの推進、グリーン調達、リサイクル関連法への対応から、廃棄物の抑制を求める声が高まっており、近年では、従来の段ボール箱に代わって、繰り返し使用可能なプラスチック製のリターナブル容器が導入されつつある。こうしたリターナブル容器は、品物が受取先で納品された後、発送元へと返却されることによって再度使用される、いわゆる通い箱として用いることが可能である。そして、このリターナブル容器は、折り畳んだものを複数個重ねて結束した状態にして発送元へと返却されるのである。
【0003】
従来より、荷物を結束する手段としては、主にポリエチレンやポリプロピレン製の結束用の紐やバンドが用いられていた(例えば、特許文献1参照)。しかし、こうした結束用紐やバンドでは、一方向のみに巻回するため、締め付けが緩い場合には、重ねた荷物の真ん中あたりに位置する荷物が抜け落ちたりして荷崩れを起こす場合があった。一方、十分な結束性を確保するには強く締め付ける必要があり、そうすると締め付け力が荷物の一部分に集中して、荷物を変形させたり破損させたりすることがあった。また、結束を解除するためには結束用の紐やバンドを切断しなければならないため、再利用することができないだけでなく、これを焼却廃棄するときには、有害物質が発生するため、上述した段ボール箱と同様に、環境保全の観点から好ましくない。さらには、荷物を二方向から結束しようとすると、作業量が2倍となって時間がかかり、かつ、結束解除の作業も繁雑で廃棄物の量も増加することとなる。
【0004】
このような事情を鑑みて、従来の結束用の紐やバンドに代わる結束手段がいくつか提案されており、例えば、ベルト本体部とバックル部とを分離可能にして、ベルト本体部とバックル部とを再利用できるようにした結束ベルト(例えば、特許文献2参照)や、取手が取着されたバックルを用いて、荷物にベルトを弛張自在かつ十文字に紐がけすることで、ベルトを切断することなく結束解除できるようにした結束ベルト(例えば、特許文献3参照)がある。
【0005】
【特許文献1】特開2001−322667号公報
【特許文献2】特開2003−231550号公報
【特許文献3】特開2002−179131号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2に記載の結束ベルトでは、例えば、上述したリターナブル容器のような大型の荷物を複数結束することに使用した場合には、一方向のみに巻回するため荷崩れが生じやすく、結束後の運搬に不便である。また、特許文献3に記載の結束ベルトでは、荷物に対して十文字に巻回するため荷崩れが生じにくいものの、四方に掛けられたベルトの弛張調節を一本ずつ行わなければならないため、結束作業が繁雑となる。
【0007】
そこで、本発明では、リターナブル容器等の大型の荷物を結束が容易に行えて十分な結束力を備えるとともに、結束後の運搬性に優れ、かつ繰り返し使用することが可能な荷物結束搬送用ベルトを提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に記載した発明が採った手段は、荷物に巻回させて用いられる荷物結束搬送用ベルトであって、主帯材と、該主帯材の長手方向に交叉して取着された副帯材とを有しており、前記主帯材には、その両端部または両端部近傍に配設されて相互に着脱可能に連結する主帯材連結手段と、荷物に巻回させた状態で前記荷物を吊り運ぶためまたは牽引するための取手部材とを備え、前記副帯材には、その両端部または両端部近傍に配設されて相互に着脱可能に連結する副帯材連結手段を備えることを特徴とする荷物結束搬送用ベルト、である。
【0009】
請求項1に記載の荷物結束搬送用ベルトの主たる特徴は、副帯材を主帯材の長手方向に対して交叉して配置し、荷物を四方から結束できるようにしたことにある。さらに、主帯材に取手部材を設けることにより、結束した荷物の持ち運びを行いやすくしている。
【0010】
また、請求項2に記載した発明が採った手段は、副帯材には、荷物に巻回させた状態で前記荷物を吊り運ぶためまたは牽引するための取手部材を備えることを特徴とする請求項1に記載の荷物結束搬送用ベルト、である。
【0011】
取手部材を副帯材にも設けることによって、荷物を四方のどこからでも吊り運んだり、牽引したりすることが可能となる。
【0012】
また、請求項3に記載した発明が取った手段は、取手部材は、主帯材若しくは副帯材を荷物に巻回させた状態で、前記荷物の側面側に位置する部分に取着されていることを特徴とする請求項1または2に記載の荷物結束搬送用ベルト、である。
【0013】
取手部材を荷物の側面に位置する側に取着することで、例えば、二人で荷物を吊り上げて運搬したり、牽引したり、あるいは一人で荷物を持ち上げたりすることが行いやすくなる。
【0014】
また、請求項4に記載した発明が採った手段は、主帯材連結手段及び副帯材連結手段が、互いに係着しあう雌雄一対の面ファスナーであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の荷物結束搬送用ベルト、である。
【0015】
主帯材連結手段及び副帯材連結手段に、面ファスナーを採用することで、主帯材及び副帯材の端部同士の連結操作を容易に行うことができる。
【0016】
また、請求項5に記載した発明が採った手段は、主帯材連結手段は、一端側がリング部材であり、他端側が前記リング部材を介して折り返した状態で係着しあう雌雄一対の面ファスナーを備えた係着辺材であり、副帯材連結手段は、互いに係着しあう雌雄一対の面ファスナーであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の荷物結束搬送用ベルト、である。
【0017】
主帯材連結手段を、面ファスナーを備える係着辺材と、この係着辺材を折り返すための支点となるリング部材とから構成することにより、荷物を結束する際に主帯材の緩締調節を容易に行うことができるようになる。
【0018】
また、請求項6に記載した発明が採った手段は、主帯材連結手段及び副帯材連結手段は、共に、一端側がリング部材であり、他端側が前記リング部材を介して折り返した状態で係着しあう雌雄一対の面ファスナーを備えた係着辺材であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の荷物結束搬送用ベルト、である。
【0019】
副帯材連結手段にも、リング部材と係着辺材とを採用することで、副帯材の緩締調節も容易に行うことができるようになる。
【0020】
また、請求項7に記載した発明が採った手段は、主帯材と副帯材のいすれか一方又はその両方には、荷物を所定位置で巻回するための位置決め線が設けられていることを特徴をする請求項1から6のいずれかに記載の荷物結束搬送用ベルト、である。
【0021】
荷物結束搬送用ベルトを用いて荷物を安定した状態で結束するには、荷物結束搬送用ベルトが、荷物の所定の位置で巻回されるように位置合せを行う必要がある。結束位置がズレていると、結束が不安定となり、運搬性に支障をきたすからである。しかし、荷物の結束を行う毎に、巻回する位置を合わせるとなると、作業が繁雑となってしまう。そこで、主帯材と副帯材のいずれか一方又はその両方に、荷物を所定位置に配置させるための位置決め線を設けることで、荷物の位置決め作業を不要となり、かつ安定した結束状態を得ることができる。
【0022】
また、請求項8に記載した発明が採った手段は、主帯材若しくは副帯材の表面には、送り状や管理カード、ラベル等の表示物が収納される表示物収納部が設けられていることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の荷物結束搬送用ベルト、である。
【0023】
主帯材若しくは副帯材の表面に、表示物収納部を設けることにより、例えば、送り状や管理カード、ラベルといった表示物を、簡単に収納することが可能となる。
【発明の効果】
【0024】
請求項1に記載した荷物結束搬送用ベルトによれば、主帯材と、この主帯材の長手方向に交叉して取着される副帯材とを備えることにより、荷物を四方から結束することができるので、強固かつ安定した結束状態が得られるので、結束した荷物を吊り下げて運搬しても、一方向の結束の場合のように結束された荷物が抜け落ちるといった不具合が防止できるので、荷崩れを起こすことがない。また、主帯材には取手部材が設けられるので運搬性に極めて優れ、一人でも簡単に荷物を吊り運ぶことができる。
【0025】
請求項2に記載した荷物結束搬送用ベルトによれば、請求項1に記載した荷物結束搬送用ベルトの効果に加えて、取手部材が副帯材にも設けられるので、取手部材を副帯材にも設けることによって、荷物を四方のどこからでも吊り運んだり、牽引したりすることができる。
【0026】
請求項3に記載した荷物結束搬送用ベルトによれば、請求項1または2に記載した荷物結束ベルトの効果に加えて、取手部材を、主帯材若しくは副帯材を荷物に巻回させた状態で、前記荷物の側面側に位置する部分に取着しているので、例えば、二人で荷物を吊り上げて運搬したり、牽引したりすることが行いやすくなる。
【0027】
請求項4に記載した荷物結束搬送用ベルトによれば、請求項1から3のいずれかに記載した荷物結束搬送用ベルトの効果に加えて、主帯材連結手段及び副帯材連結手段に面ファスナーを採用したことにより、主帯材及び副帯材の端部同士の連結操作及び取り外し操作を簡単に行うことができる。
【0028】
請求項5に記載した荷物結束搬送用ベルトによれば、請求項1から3のいずれかに記載した荷物結束搬送用ベルトの効果に加えて、主帯材連結手段を、リング部材と、リング部材を介して折り返した状態で係着しあう雌雄一対の面ファスナーを備える係着辺材とから構成したことにより、主帯材の緩締操作が容易となり、締め具合を調節を自在に行うことができる。
【0029】
請求項6に記載した荷物結束搬送用ベルトによれば、請求項1から3のいずれかに記載した荷物結束搬送用ベルトの効果に加えて、主帯材連結手段と副帯材連結手段とを、共にリング部材と、リング部材を介して折り返した状態で係着しあう雌雄一対の面ファスナーを備える係着辺材とから構成したことにより、主帯材及び副帯材の緩締操作が容易となり、締め具合の調節を自在に行うことができる。
【0030】
請求項7に記載した荷物結束搬送用ベルトによれば、請求項1から6のいずれかに記載した荷物結束搬送用ベルトの効果に加えて、主帯材に位置決め線を設けたことにより、
主帯材と副帯材のいずれか一方又はその両方に、荷物を所定位置に配置させるための位置決め線を設けることで、荷物の位置決め作業を不要となり、かつ安定した結束状態を得ることができるので、巻回する位置の調節が不要となって作業の簡素化を図ることができるとともに、運搬性に支障をきたすことなく、荷物を安定した状態で結束することができる。
【0031】
請求項8に記載した荷物結束搬送用ベルトによれば、請求項1から7のいずれかに記載した荷物結束搬送用ベルトの効果に加えて、主帯材若しくは副帯材の表面に表示物収納部を設けたことにより、例えば、送り状や管理カード等の表示物を、荷物結束搬送用ベルトに簡単に収納することができ、また、表示物の交換も簡単に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
本発明は、荷物に巻回させて用いられる荷物結束搬送用ベルトであり、主帯材と、副帯材とを備える。主帯材は、荷物結束搬送用ベルトの構成のうち、荷物を強固かつ安定した状態で結束するための最も重要な役割を担う部分である。主帯材の材質は特に限定されないが、例えば、ポリプロピレン繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維等を織布状とした化学繊維織布等、引っ張り強度に優れたものを用いることが好ましい。また、主部材の長さ寸法及び幅寸法は特に限定されるものではなく、巻回する荷物の大きさに応じて適宜設定することができる。
【0033】
主部材には、荷物に巻回させた後、その端部同士を連結させる主帯材連結手段が設けられる。主帯材連結手段は、例えば、面ファスナーやスナップボタン、バックル等による連結等、端部同士の連結状態が容易に解除されないものであれば特に限定されるものではない。主帯材の一端に取着されるリング部材と、一端側に突出して配設され前記リング部材を介して折り返した状態で係着しあう雌雄一対の面ファスナーを備える係着辺材とから構成されるものとすれば、連結操作が容易となるだけでなく、荷物への締め付けをしっかりと行うことができる。
【0034】
また、主帯材には、取手部材が設けられる。取手部材は、荷物結束搬送用ベルトにより結束された荷物を持ち運ぶ際の持ち手として機能するものである。取手部材は、どのような位置に設けてもよいが、荷物に巻回した際に、荷物の上面側若しくは側面側となる位置に取着すると持ち運びの際に扱い良い。また、取手部材の形状、材質も特に限定されるものではなく、例えば、主帯材と同様の材質からなるベルト材やループ状に形成した紐材等から作製してもよいし、プラスチックや金属等から作製してもよい。
【0035】
また、主帯材には、荷物の位置決めをするための位置決め線を設けてもよい。本発明に係る荷物結束搬送用ベルトを用いて荷物を安定した状態で結束するには、荷物結束搬送用ベルトを荷物の中心に対して均等に配置して巻回する方がよい。しかし、荷物の結束を行う毎に、荷物結束搬送用ベルトに対して荷物の位置合わせをするとなると、作業が繁雑となってしまう。そこで、主帯材に、荷物が載置される所定位置を示す位置決め線を設けることで、位置決め作業を不要とし、かつバランス良く巻き付けることができ、安定した結束状態が得られるようになる。位置決め線を設ける位置は、荷物結束搬送用ベルトが適用される荷物の大きさに応じて適宜設定すればよい。
【0036】
副帯材は、主帯材の長手方向に交叉して取着され、主帯材の巻き付け方向に対して荷物が抜け落ちることを防止する方向に巻回されて、荷物をより安定した状態で結束させるためのものである。副帯材は、主帯材と同様の素材で作製することができるが、副帯材は結束された荷物の荷崩れやズレを防止するという機能上、伸縮性を有する素材から作製してもよい。副帯材の長さ寸法及び幅寸法は、結束する荷物の大きさに応じて適宜設定すればよく、また、配設する数も特定の数に限られず、荷物の大きさ等に応じて複数設けてもよい。また、副帯材には、荷物に巻回させた後、端部同士を連結するための副帯材連結手段を備える。この副帯材連結手段には、主帯材と同様のものを用いることができる。さらに、副帯材にも、主帯材と同様の位置決め線を設けてもよい。
【0037】
この他、本発明に係る荷物結束搬送用ベルトには、送り状や管理カード、ラベル等の表示物を収納するための表示物収納部を設けてもよい。荷物結束搬送用ベルトにより結束された荷物が、保管されたり輸送されたりする場合には、その荷物の内容や輸送先等が把握できるように、荷物の表面に表示をする必要がある。そこで、表示部収納部を設け、これに表示物を収納して表示を行えるようにすることで、表示物の汚れや破れを防ぐことができるとともに、交換作業も簡単に行えるようになる。表示部収納部は、例えば、その内部に表示物が収納されるため、内部を視認することができるポリエチレンテレフタレートやポリプロピレン等からなる透明若しくは半透明の材質から作製される。また、表示物収納部は、主帯材若しくは副帯材を荷物に巻回させたときに視認しやすい位置(例えば、荷物の上面側や側面側となる位置等)に設けるとよい。
【0038】
以下に本発明の実施例を図に基づいて説明する。
【実施例1】
【0039】
図1及び図2には、それぞれ実施例1に係る荷物結束搬送用ベルト100の表面図及び裏面図が示されている。この荷物結束搬送用ベルト100は、主帯材110と、副帯材120とを備えている。
【0040】
主帯材100は、主に荷物の長手方向に対して巻回され、荷物の結束の中心的役割を担う部材である。この主帯材110には、主帯材連結手段としての係着辺材112及びリング部材115と、取手部材111と、表示物収納部117とが設けられている。
【0041】
係着辺材112は、主帯材110の長手方向一端側に2本並列に取着されており、端辺より突出する突出部112aと、主帯材110の表面上に位置して非突出部112bとからなる。そして、突出部112aには、主帯材110の表面側に雄面ファスナー113aが取着され、非突出部112bには、雄面ファスナー113aが取着される面と同一の面側に雌面ファスナー113bが取着されている。また、雄面ファスナー113aと雌面ファスナー113bの間には、後述するリング部材115によって係着辺材112が折り返されるための折返し部113cが形成されている。また、2本の係着辺材112の先端には、それぞれ主帯材110を荷物に巻回させたときに行う係着辺材112の引っ張り操作や、互いに係着された雄面ファスナー113aと雌面ファスナー113bとを引き剥がす操作を行い易くするための指掛部114が設けられている。
【0042】
リング部材115は、主帯材110の表面上の長手方向他端側、すなわち、2本の係着辺材112が配設される側と反対側に、2個並列に取着されている。このリング部材115は、略矩形に形成されており、主帯材110を荷物に巻回させたときに係着辺材112が掛け通されて、係着辺材112を折り返す支点として機能するものである。
【0043】
取手部材は、荷物結束搬送用ベルト100により結束された荷物を運搬する際に持ち手として機能する部材であり、主帯材110が荷物に巻回されたときに、主帯材110のうち、荷物の両側面側となる部分にそれぞれ取着されている。
【0044】
表示物収納部117は、主帯材110の表面上にあって、主帯材110を荷物に巻回させたときに上面に位置する部分に配設されている。表示物収納部117は、ポリエチレンテレフタレートからなって矩形にカットされた透明のシート部材117aより構成されており、その三辺が主帯材110に縫着され、縫着されない残りの一辺側から、送り状や管理カード等の表示物をシート部材117aと主帯材110との間に差し入れて収納できるようになっている。
【0045】
また、図2に示すように、主帯材110の裏面側には、結束される荷物が載置される最適位置を示す位置決め線が設けられている。
【0046】
副帯材120は、主帯材110の長手方向中腹部分に、主帯材110と直交して取着されている。この副帯材120は、主帯材110が巻回される方向と直交する方向に巻回されて、主帯材110により結束された荷物が荷崩れやズレ等を起こさないように安定させるためのものである。このため、副帯材120は、主帯材110よりもやや幅長さが狭く形成されている。そして、副帯材120には、巻回されたときにその端部同士を連結するための副帯材連結手段として、一端の表面側に雄面ファスナーが取着され、他端の裏面側に雌面ファスナーが取着されており、巻回された後に両者を係着することで副帯材の端部同士を連結できるようにしている。
【0047】
図3から図5には、荷物結束搬送用ベルト100により荷物200が結束されるまでの態様が順に示されている。図3から図5に示されている荷物200は、折り畳まれた状態にあるプラスチック製のリターナブル容器を5個重ねたものである。荷物結束搬送用ベルト100により荷物200の結束を行うには、まず、荷物結束搬送用ベルトの裏面(図2に示されている面)を上に向けて広げ、図2に示されている主帯材110に形成された位置決め線116に荷物200の側辺を合わせて、荷物結束搬送用ベルト100上に荷物200を載置する。そして、図3に示すように、主帯材110を荷物200に巻回させて係着辺材112をリング部材115に通して折り返すとともに、指掛部114を持って係着辺材112を引っ張りながら雄面ファスナー113aと雌面ファスナー113bとを係着して主帯材の端部同士を連結させる。次いで、図4に示すように、副帯材120を巻回させた後、雄面ファスナー121aと雌面ファスナー121bとを係着することによって、図5に示すような状態で荷物結束搬送用ベルト100による荷物200の結束が完了する。このとき、取手部材111は、結束された荷物200の側面側に位置して、運搬時の持ち手として機能する。
【0048】
上述のように、荷物結束搬送用ベルト100を主帯材と副帯材とを備えることで、荷物を四方から巻回することができるので、強固かつ安定した結束状態を得ることができる。そして、主帯材連結手段として、雌雄の面ファスナーを備える係着辺材とリング部材とを採用することで、主帯材を荷物に巻回させた後で端部同士の連結が容易に行えるとともに、主帯材の荷物に対する締め付けをしっかりと行うことができる。また、主帯材には、取手部材が取着されているので、結束された荷物の運搬性にも極めて優れる。さらに、主帯材には荷物を載置する最適位置を示す位置決め線を設けているので、結束を行う際に、わざわざ荷物の位置決め作業をする必要がなくなるとともに、最適な位置に荷物を載置することができるようになる。
【実施例2】
【0049】
図6には、実施例2に係る荷物結束搬送用ベルト100の表面図が示されている。実施例2に係る荷物結束搬送用ベルト100の基本構成は実施例1と共通するが、実施例1では副帯材120が1本だけ設けられているのに対し、実施例2ではこれが2本設けられている点で相違する。このように副帯材120を2本とすることによって、荷物の結束状態をより安定させることができる。
【実施例3】
【0050】
図7には、実施例3に係る荷物結束搬送用ベルト100の表面図が示されている。実施例3もまた、実施例1とその基本構成は共通しているが、主帯材がより幅広に形成されるとともに、主帯材連結手段としての係着辺材112及びリング部材115が3セット設けられている。このように主帯材110を幅広とし、さらに係着辺材112及びリング部材115の数を増やすことで、大型の荷物にも対応できるようになる。
【0051】
以上、本発明に係る荷物結束搬送用ベルトの実施例について説明したが、上記各実施例で述べた荷物結束搬送用ベルト100は、あくまでも本発明に係る荷物結束搬送用ベルトの好適な実施形態を示すに過ぎず、本発明の技術的範囲は、上記各実施例そのものに何ら限定されるものではなく、本発明の構成を備える範囲内において適宜変更することができる。例えば、図8に示されているように、副帯材を主帯材に対して斜めに配設してもよい。副帯材をこのように配設することで、例えば、荷物の上面や側面に突起等がある場合にはこれを避けて巻回することができるようになる。
【0052】
また、図9に示すように、主帯材に取着される取手部材111を、荷物200に巻回したときに上面側にくる位置に設けてもよいし、図10に示されているように、表示物収納部122のを副帯材120上に設けてもよい。
【0053】
さらに、主帯材連結手段としてのリング部材と係着辺材は、1セットだけ設けてもよいし、2セット以上設けてもよい。また、副帯材連結手段にも、リング部材と係着辺材とからなる連結手段を採用してもよい。
【0054】
また、上記実施例において、荷物結束搬送用ベルトは、プラスチック製のリターナブル容器を結束するのに用いられているが、その用途はこれに限定されるものではなく、例えば、図11に示されているように、組立前あるいは使用後に畳まれた段ボール箱を結束して運搬する場合、さらには図12に示されているように、箱体を複数個まとめて結束して運搬する場合等、あらゆる荷物の結束に用いることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】実施例1に係る荷物結束搬送用ベルトの表面図である。
【図2】実施例1に係る荷物結束搬送用ベルトの裏面図である。
【図3】実施例1に係る荷物結束搬送用ベルトの使用方法を説明する斜視図である。
【図4】実施例1に係る荷物結束搬送用ベルトの使用方法を説明する斜視図である。
【図5】実施例1に係る荷物結束搬送用ベルトの使用方法を説明する斜視図である。
【図6】実施例2に係る荷物結束搬送用ベルトの表面図である。
【図7】実施例3に係る荷物結束搬送用ベルトの表面図である。
【図8】本発明に係る荷物結束搬送用ベルトの他の実施形態の表面図である。
【図9】他の実施形態の荷物結束搬送用ベルトを荷物に巻回させた状態を示す斜視図である。
【図10】本発明に係る荷物結束搬送用ベルトの他の実施形態の表面図である。
【図11】本発明に係る荷物結束搬送用ベルトの他の使用形態を示す斜視図である。
【図12】本発明に係る荷物結束搬送用ベルトの他の使用形態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0056】
100 荷物結束搬送用ベルト
110 主帯材
111 取手部材
112 係着辺材(主帯材連結手段)
113a 雄面ファスナー
113b 雌面ファスナー
115 リング部材(主帯材連結手段)
116 位置決め線
117 表示物収納部
117a シート部材
120 副帯材
121a 雄面ファスナー
121b 雌面ファスナー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物に巻回させて用いられる荷物結束搬送用ベルトであって、
主帯材と、
該主帯材の長手方向に交叉して取着された副帯材とを有しており、
前記主帯材には、その両端部または両端部近傍に配設されて相互に着脱可能に連結する主帯材連結手段と、荷物に巻回させた状態で前記荷物を吊り運ぶためまたは牽引するための取手部材とを備え、
前記副帯材には、その両端部または両端部近傍に配設されて相互に着脱可能に連結する副帯材連結手段を備えることを特徴とする荷物結束搬送用ベルト。
【請求項2】
副帯材には、荷物に巻回させた状態で前記荷物を吊り運ぶためまたは牽引するための取手部材を備えることを特徴とする請求項1に記載の荷物結束搬送用ベルト。
【請求項3】
取手部材は、主帯材若しくは副帯材を荷物に巻回させた状態で、前記荷物の側面側に位置する部分に取着されていることを特徴とする請求項1または2に記載の荷物結束搬送用ベルト。
【請求項4】
主帯材連結手段及び副帯材連結手段が、互いに係着しあう雌雄一対の面ファスナーであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の荷物結束搬送用ベルト。
【請求項5】
主帯材連結手段は、一端側がリング部材であり、他端側が前記リング部材を介して折り返した状態で係着しあう雌雄一対の面ファスナーを備えた係着辺材であり、
副帯材連結手段は、互いに係着しあう雌雄一対の面ファスナーであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の荷物結束搬送用ベルト。
【請求項6】
主帯材連結手段及び副帯材連結手段は、共に、一端側がリング部材であり、他端側が前記リング部材を介して折り返した状態で係着しあう雌雄一対の面ファスナーを備えた係着辺材であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の荷物結束搬送用ベルト。
【請求項7】
主帯材と副帯材のいずれか一方又はその両方には、荷物を所定位置で巻回するための位置決め線が設けられていることを特徴をする請求項1から6のいずれかに記載の荷物結束搬送用ベルト。
【請求項8】
主帯材若しくは副帯材の表面には、送り状や管理カード、ラベル等の表示物が収納される表示物収納部が設けられていることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の荷物結束搬送用ベルト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−213842(P2008−213842A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−49653(P2007−49653)
【出願日】平成19年2月28日(2007.2.28)
【出願人】(000132921)株式会社タカギ・パックス (11)
【Fターム(参考)】