説明

荷箱における開閉蓋の開閉支持装置

【課題】 荷箱外壁の開口を開閉し得る開閉蓋が、その開口の左右何れの側へも開閉蓋を回動可能とした荷箱における開閉蓋の開閉支持装置において、開閉蓋の開き方向を変更してもヒンジ連結部の連結解除操作を不要として作業能率を高める。
【解決手段】 荷箱外壁Ctの左右一方の側部に第1アームA1の基端部を、また開閉蓋Tの左右他方の側部に同アームA1の先端部をそれぞれヒンジ連結すると共に、外壁Ctの左右他方の側部に第2アームA2の基端部を、また開閉蓋Tの左右一方の側部に同アームA2の先端部をそれぞれヒンジ連結し、開閉蓋Tを左右一方側に開く時には、外壁Ctに第2アームA2を置き去りにしたまま、開閉蓋Tが第1アームA1と共に回動し、また開閉蓋Tを左右他方側に開く時には、外壁Ctに第1アームA1を置き去りにしたまま、開閉蓋Tが第2アームA2と共に回動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷箱の外壁に設けた開口を開閉し得る開閉蓋の開閉支持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンテナ等の荷箱において、上記開閉蓋としての天蓋が天井壁開口の左右一方側および他方側の何れにもヒンジ連結部(即ち回動支点)を有していて、該開口を開く時にその左右何れの側へも天蓋を該ヒンジ連結部回りに回動できるようにした天蓋開閉支持装置は、既に知られている(例えば下記の特許文献1を参照)。
【特許文献1】特開平2004−83026号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが従来の上記天蓋開閉支持装置では、天蓋を開放するために天井部開口の左右一方側のヒンジ連結部回りに天蓋を回動させるときには、その左右他方側のヒンジ連結部におけるヒンジピンを天蓋又は天井壁より抜き取る等して、該左右他方側のヒンジ連結部を連結解除する必要があった。また、その状態より、天井部開口の左右他方側のヒンジ連結部回りに天蓋を回動させるときには、その左右一方側のヒンジ連結部におけるヒンジピンを天蓋又は天井壁より抜き取る等して、該左右一方側のヒンジ連結部を連結解除すると共に、左右他方側のヒンジ連結部を元の連結状態に戻す必要があったが、このように天蓋の開き方向を変更する度毎に行う上記ヒンジ連結部の連結解除操作及び再連結操作が非常に面倒なものであった。
【0004】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、従来装置の上記問題を簡単な構造で解決できるようにした、荷箱における開閉蓋の開閉支持装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、荷箱の外壁に設けた開口を開閉し得る開閉蓋が、該開口の左右何れの側にもヒンジ連結部を有していて、該開口を開く時にその左右何れの側へも開閉蓋を回動可能とした荷箱における開閉蓋の開閉支持装置において、開口の左右方向と直交する方向に互いに間隔をおいて並ぶ少なくとも2つの第1アームの各基端部を外壁の左右一方の側部に、また同第1アームの各先端部を開閉蓋の左右他方の側部にそれぞれ回動自在にヒンジ連結すると共に、同じく開口の左右方向と直交する方向に互いに間隔をおいて並ぶ少なくとも2つの第2アームの各基端部を外壁の左右他方の側部に、また同第2アームの各先端部を開閉蓋の左右一方の側部にそれぞれ回動自在にヒンジ連結し、開閉蓋を左右一方側に開く時には、外壁に第2アームを置き去りにしたまま、開閉蓋が第1アームと共に、該第1アーム基端部と外壁間のヒンジ連結部回りに回動可能であり、また開閉蓋を左右他方側に開く時には、外壁に第1アームを置き去りにしたまま、開閉蓋が第2アームと共に、該第2アーム基端部と外壁間のヒンジ連結部回りに回動可能であることを特徴とする。
【0006】
また請求項2の発明は、請求項1の上記特徴に加えて、外壁には、開閉蓋の左右一方の側部と係合してその側部を外壁側に押し付け得る第1締付具が、第1アーム基端部と外壁間のヒンジ連結部と同一の回動軸線回りに回動自在として取付けられると共に、開閉蓋の左右他方の側部に係合してその側部を外壁側に押し付け得る第2締付具が、第2アーム基端部と外壁間のヒンジ連結部と同一の回動軸線回りに回動自在として取付けられることを特徴とする。
【0007】
また請求項3の発明は、請求項2の上記特徴に加えて、前記開口は、左右方向の幅よりもこれと直交する縦方向の幅が長い縦長形状に形成され、その開口の縦方向一端縁近傍には、互いに隣接する第1及び第2アームの第1の対が、また同開口の縦方向他端縁近傍には、互いに隣接する第1及び第2アームの第2の対がそれぞれ配置され、更にその開口の左右一側縁近傍には、複数の第1締付具が該開口の縦方向に互いに間隔をおいて、また同開口の左右他側縁近傍には、複数の第2締付具が該開口の縦方向に互いに間隔をおいてそれぞれ配置されることを特徴とする。
【0008】
また請求項4の発明は、請求項2又は3の上記特徴に加えて、外壁の開口の外端縁部と、開閉蓋の内面との間には、その間を全周に亘りシールするシールパッキンが介装されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
以上のように本発明によれば、外壁の左右一方の側部に第1アームの基端部を、また開閉蓋の左右他方の側部に同第1アームの先端部をそれぞれ回動自在にヒンジ連結すると共に、外壁の左右他方の側部に第2アームの基端部を、また開閉蓋の左右一方の側部に同第2アームの先端部をそれぞれ回動自在にヒンジ連結し、開閉蓋をそれの左右一方側に開く時には、外壁に第2アームを置き去りにしたまま、開閉蓋が第1アームと共に、該第1アーム基端部と外壁間のヒンジ連結部回りに回動可能であり、また開閉蓋をそれの左右他方側に開く時には、外壁に第1アームを置き去りにしたまま、開閉蓋が第2アームと共に、該第2アーム基端部と外壁間のヒンジ連結部回りに回動可能であるので、開閉蓋を外壁開口の左右何れの側にも支障なく回動させて開口を開くことができ、その上、開閉蓋を左右何れの側に回動させる場合でも、その回動支点となるヒンジ連結部と反対側のヒンジ連結部を一々、連結解除する必要はなくなり、開閉蓋の開き方向を変更する度に従来行われてきた面倒なヒンジ連結部の連結解除や再連結操作から解放されて、作業能率の向上に寄与することができる。
【0010】
また特に請求項2の発明によれば、外壁には、開閉蓋の左右一方の側部と係合してその側部を外壁側に押し付け得る第1締付具が、第1アーム基端部と外壁間のヒンジ連結部と同一の回動軸線回りに回動自在として取付けられると共に、開閉蓋の左右他方の側部に係合してその側部を外壁側に押し付け得る第2締付具が、第2アーム基端部と外壁間のヒンジ連結部と同一の回動軸線回りに回動自在として取付けられるので、第1及び第2締付具を両方とも締付状態におくことにより開閉蓋を閉じ位置に確実に保持しておくことができ、また、その状態より開閉蓋を左右一方側に回動する場合は、その回動支点側の締付具の締付状態を維持したままその反対側の締付具だけを締付解除すればよく、従って、取り扱い操作の簡便化を図りながら、その回動支点側の開閉蓋側部の浮き上がりを同側の締付具により効果的に防止することができる。
【0011】
また特に請求項3の発明によれば、前記開口は、左右方向の幅よりもこれと直交する縦方向の幅が長い縦長形状に形成され、その開口の縦方向一端縁近傍には、互いに隣接する第1及び第2アームの第1の対が、また同開口の縦方向他端縁近傍には、互いに隣接する第1及び第2アームの第2の対がそれぞれ配置され、更にその開口の左右一側縁近傍には、複数の第1締付具が該開口の縦方向に互いに間隔をおいて、また同開口の左右他側縁近傍には、複数の第2締付具が該開口の縦方向に互いに間隔をおいてそれぞれ配置されるので、縦長の開口であっても、その開口の縦方向両端縁近傍に2対の第1及び第2アームがそれぞれ配置されることで、その開口が各アームのために分断される虞れはなく、その開口を通しての物の出入れに各アームが邪魔になることはない。その上、第1及び第2締付具を開口の縦方向に間隔をおいて各々複数ずつ配置したことにより、開閉蓋の長手方向中間部の浮き上がりを確実に防止できる。
【0012】
また特に請求項4の発明によれば、外壁の開口の外端縁部と、開閉蓋の内面との間には、その間を全周に亘りシールするシールパッキンが介装されるので、このシールパッキンの左右何れの側に対しても第1,第2締付具の締付力を十分に及ぼすことができて、シール性能の向上が達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の実施の形態を、添付図面に例示した本発明の実施例に基づいて以下に具体的に説明する。
【0014】
添付図面において、図1〜図10は本発明の一実施例を示すものであって、図1は、コンテナ搭載車両を示す全体側面図、図2は、コンテナ天井部の要部平面図(図1の2矢視拡大図)、図3は、図2の3矢視部拡大図、図4は、図3の4−4線拡大断面図、図5は、図3の5−5線拡大断面図、図6は、図3の6−6線拡大断面図、図7は、図3の7−7線拡大断面図、図8は、図3の8−8線拡大断面図、図9は、開閉蓋を左方側に回動して開放した場合を示す図7対応断面図、図10は、開閉蓋を右方側に回動して開放した場合を示す図9対応断面図である。
【0015】
先ず、図1〜図5において、トラック車両Vの車体上には、荷箱としてのコンテナCが、車載の積み卸し装置(図示せず)により積み卸し可能として搭載されている。
【0016】
このコンテナCは、トラック車両Vの前後方向に延びる直方体状の剛体より構成されるコンテナ本体Cmと、そのコンテナ本体Cmの天井壁Ctに形成した開口Oを開閉し得る天蓋Tとを備えており、その開口Oは、それの左右方向の幅よりもこれと直交する縦方向(コンテナCの長手方向、即ち車両前後方向)に長い長方形状に形成される。そして天井壁Ctが本発明の外壁を、また天蓋Tが本発明の開閉蓋を構成する。
【0017】
前記開口Oは、図示例では天井壁Ctにその上面より上方に突出するよう一体に連設されて該天井壁Ctの長方形状の開口部分を取り囲む、上下開放の角筒部1で構成されており、その開口Oの外端縁、即ち角筒部1の上端縁には、その全周に亘って延び上面に天蓋Tの下面を載置し得る無端状のシールパッキンSが被着され、そのシールパッキンSにより開口Oと天蓋T間がシールされる。尚、シールパッキンSは、開口Oと天蓋T間をシールする必要がない場合はこれを省略することも可能である。
【0018】
また天蓋Tは、前記開口Oよりも僅かに大きい長方形状の平板よりなる天蓋本体Tmと、この天蓋本体Tmの下面(内面)の外周縁部に全周に亘り一体的に接合される角パイプ状の枠体Taとより構成される。そして、この天蓋Tの左右両側部の前端面からは、互いに間隔をおいて並列する左右一対の角パイプ状の比較的短い前部支持片Tbf,Tbfがそれぞれ一体に突設され、また同天蓋Tの左右両側部の後端面からは、互いに間隔をおいて並列する左右一対の角パイプ状の比較的短い後部支持片Tbr,Tbrがそれぞれ一体に突設される。
【0019】
その天蓋Tは、開口Oの左右何れの側にも回動支点を有していて、該開口Oを開く時にその左右何れの側へも天蓋Tを回動できるように構成されている。次に、図6〜図10も併せて参照して、その天蓋Tの開閉支持装置の構造を説明する。
【0020】
この開閉支持装置は、開口Oを挟んで互いに並列する前後一対の第1アームA1,A1と、同じく開口Oを挟んで互いに並列する前後一対の第2アームA2,A2とを備えており、それら第1および第2アームA1,A2は、図示例では各々角パイプ状に形成されている。前後一対の第1アームA1,A1は、天蓋Tの閉成時に、開口Oの前後端縁近傍において天井壁Ctの上面に沿ってその左右方向に直線状に延びる第1待機位置X1に各々配置されており、また前後一対の第2アームA2,A2は、同じく天蓋Tの閉成時に、開口Oの前後端縁近傍(図示例では前後一対の第1アームA1,A1の内側即ち開口O側にそれぞれ隣接した位置)において天井壁Ctの上面に沿ってその左右方向に直線状に延びる第2待機位置X2に各々配置される。
【0021】
前後一対の第1アームA1は、その基端部が、開口Oの前方及び後方において天井壁Ctの左右一方の側部にそれぞれ一体に立設した前後一対の第1基部ヒンジブラケットB1b,B1bにヒンジ連結P1b,P1bされると共に、その先端部が、天蓋Tの左右他方の前、後部支持片Tbf,Tbrにそれぞれ一体に延設されて外方下向きに傾斜して延びる前後一対の第1先部ヒンジブラケットB1a,B1aにヒンジ連結P1a,P1aされている。
【0022】
また前後一対の第2アームA2は、その基端部が、開口Oの前方及び後方において天井壁Ctの左右他方の側部にそれぞれ一体に立設した前後一対の第2基部ヒンジブラケットB2b,B2bにヒンジ連結P2b,P2bされると共に、その先端部が、天蓋Tの左右一方の前、後部支持片Tbf,Tbrにそれぞれ一体に延設されて外方下向きに傾斜して延びる前後一対の第2先部ヒンジブラケットB2a,B2aにヒンジ連結P2a,P2aされている。
【0023】
そして、天蓋Tを左右一方側、例えば左側に開く場合(図9参照)には、各第2アームA2を天井壁Ct上に置き去りにしたまま(即ち、前記第2待機位置X2に静止させたまま)、天蓋Tが各第1アームA1と共に、第1アームA1の基端部と天井壁Ct間のヒンジ連結P1b部回りに回動し、その回動の際に、第1アームA1が該ヒンジ連結P1b部寄りの前、後部支持片Tbf,Tbrを介して天蓋Tに対し下側から係合する。
【0024】
また、天蓋Tを左右他方側、例えば右側に開く場合(図10参照)には、各第1アームA1を天井壁Ct上に置き去りにしたまま(即ち、前記第1待機位置X1に静止させたまま)、天蓋Tが各第2アームA2と共に、第2アームA2の基端部と天井壁Ct間のヒンジ連結P2b部回りに回動し、その回動の際に、第2アームA2が該ヒンジ連結P2b部寄りの前、後部支持片Tbf,Tbrを介して天蓋Tに対し下側から係合する。
【0025】
天井壁Ctにおける開口Oの左右一方側の側縁部近傍には、天蓋Tの左右一方の側部と係合してその側部を天井壁Ct側(即ちその側部下面をシールパッキンSに圧接する側)に押し付け得る複数の第1締付具F1が、天蓋Tを左右一方側に開いた時(図9参照)の天蓋Tの回動軸線(即ち前記ヒンジ連結P1b部と同一軸線)回りに回動自在として、且つ開口Oの長手方向(前後方向)に互いに間隔をおいて配設される。
【0026】
また、天井壁Ctにおける開口Oの左右他方側の側縁部近傍には、天蓋Tの左右他方の側部に係合してその側部を天井壁Ct側(即ちその側部下面をシールパッキンSに圧接する側)に押し付け得る第2締付具F2が、天蓋Tを左右他方側に開いた時(図10参照)の天蓋Tの回動軸線(即ち前記ヒンジ連結P2b部と同一軸線)回りに回動自在として、且つ開口Oの長手方向(前後方向)に互いに間隔をおいて配設される。
【0027】
各締付具F1,F2は、基本的に同一構造であって、それは、天井壁Ctに一体に立設した前後一対の第3ヒンジブラケットB3に基端が回動自在にヒンジ連結P3されたネジ棒3と、そのネジ棒3に中心ボス部4bが螺合された円環状の操作ハンドル4とより構成される。そして、その各締付具F1,F2に対応して天蓋Tの左右両側縁部には、前記ネジ棒3の中間部が外側方より抜差可能に係合し得る外側に開放した係合溝5gを有するL字状の受け枠5が固設される。従って、各締付具F1,F2のネジ棒3を図6に示す伏倒位置から同実線に示す係合位置まで回動させて、対応する受け枠5の係合溝5gに係合させ、操作ハンドル4を回動してその中心ボス部4bを受け枠5の上面に圧接させることにより、天蓋Tの対応する左右側部を、シールパッキンSを介して対応する開口Oの上端縁部にそれぞれ押し付けることができる。
【0028】
次に前記実施例の作用を説明する。コンテナCの天井壁Ctに設けられる開口Oを開閉し得る天蓋Tは、これを閉じ位置においた状態で、第1及び第2締付具F1,F2を図7,図8に示すように両方とも締付状態におくことにより、閉じ位置に確実に保持することができる。この場合、天井壁Ctの開口Oの外端縁部にはシールパッキンSが装着され、このシールパッキンSに対し天蓋Tの内面が第1及び第2締付具F1,F2の各締付力を以て押付けられるので、このシールパッキンSの左右何れの側に対しても第1,第2締付具F1,F2の締付力を十分に及ぼすことができて、シール性が良好である。
【0029】
また、このようにして天蓋Tを閉じ位置に保持している状態より、天蓋Tを図9に示すように左右一方側に回動する場合は、その回動支点側の締付具F1の締付状態を維持したままその反対側の締付具F2だけを締付解除して、天蓋Tの左右他方の側部を手で持ち上げるように回動させればよい。また、上記と反対に天蓋Tを図10に示すように左右他方側に回動する場合は、その回動支点側の締付具F2の締付状態を維持したままその反対側の締付具F1だけを締付解除して、天蓋Tの左右一方の側部を手で持ち上げるように回動させればよい。
【0030】
この場合、本実施例の天蓋開閉支持構造では、天井壁Ctの左右一方の側部に第1アームA1の基端部が、また天蓋Tの左右他方の側部に同第1アームA1の先端部がそれぞれヒンジ連結P1b,P1aされると共に、天井壁Ctの左右他方の側部に第2アームA2の基端部が、また天蓋Tの左右一方の側部に同第2アームA2の先端部がそれぞれヒンジ連結P2b,P2aされているため、天蓋Tを左右一方側、例えば左側に開く場合(図9参照)には、各第2アームA2を天井壁Ct上(第2待機位置X2)に置き去りにしたまま、天蓋Tが各第1アームA1と共に、第1アームA1の基端部と天井壁Ct間のヒンジ連結P1b部回りに回動する。また、これとは反対に天蓋Tを左右他方側、例えば右側に開く場合(図10参照)には、各第1アームA1を天井壁Ct上(第1待機位置X1)に置き去りにしたまま、天蓋Tが第2アームA2と共に、該アームA2の基端部と天井壁Ct間のヒンジ連結P2b部回りに回動する。
【0031】
かくして、天蓋Tを左右何れの側に回動させて開放する場合でも、その回動支点となるヒンジ連結部と反対側のヒンジ連結部を一々、連結解除する必要はなくなり、従って、天蓋Tの開き方向を変更する度に従来行われてきた面倒なヒンジピンの抜差し操作(即ちヒンジ連結部の連結解除・再連結操作)から解放され、作業能率の向上が図られる。
【0032】
また天蓋Tの回動時に、上記のように回動支点側の締付具F1(F2)の締付状態を維持したままその反対側の締付具F2(F1)だけを締付解除すればよいため、取り扱い操作を極力簡便化しながら、回動支点側の天蓋T側部の浮き上がりを同側の締付具F1(F2)によって効果的に防止できる。
【0033】
また図示例では、コンテナCの天井壁Ctにおける開口Oは、左右方向の幅よりもこれと直交する縦方向の幅が長い縦長形状に形成され、その開口Oの縦方向一端縁近傍に、互いに隣接する第1及び第2アームA1,A2の第1の対が、また同開口Oの縦方向他端縁近傍に、互いに隣接する第1及び第2アームA1,A2の第2の対がそれぞれ配置され、更にその開口Oの左右一側縁近傍には、複数の第1締付具F1…が該開口Oの縦方向に互いに間隔をおいて、また同開口Oの左右他側縁近傍には、複数の第2締付具F2…が該開口Oの縦方向に互いに間隔をおいてそれぞれ配置されるので、縦長の開口Oであっても、その開口Oの縦方向両端縁近傍に2対の第1及び第2アームA1,A2がそれぞれ纏めて配置されることで、その開口Oが各アームA1,A2のために分断される虞れはなく、その開口Oの有効開口面積が十分に確保され、該開口Oを通しての物の出入れ作業に各アームA1,A2が邪魔になることはない。しかも第1及び第2締付具F1,F2を開口Oの縦方向に間隔をおいて各々複数ずつ配置したことにより、天蓋Tの長手方向中間部の浮き上がりを確実に防止できる。
【0034】
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明はその実施例に限定されることなく、本発明の範囲内で種々の実施例が可能である。
【0035】
例えば、前記実施例では、開閉蓋としての天蓋Tの開閉操作を手動で行うようにしたものを示したが、本発明では、開閉蓋をアクチュエータで強制的に開閉操作するようにしてもよい。
【0036】
また前記実施例では、荷箱としてのコンテナCの天井壁Ctに設けた開口Oを開閉する天蓋Tの開閉支持装置に実施したものを示したが、本発明では、コンテナ等の荷箱の左,右側壁又は前,後側壁に設けた開口を開閉する横開き式の開閉蓋の開閉支持装置や、テールゲートリフタ車の横開き式の開閉蓋の開閉支持装置に適用してもよい。また荷箱は、図示例のように車両に積み卸し可能に搭載されるものの他、地面等の設置面に恒久的に定置されるものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の一実施例に係るコンテナ搭載車両を示す全体側面図
【図2】コンテナ天井部の要部平面図(図1の2矢視拡大図)
【図3】図2の3矢視部拡大図
【図4】図3の4−4線拡大断面図
【図5】図3の5−5線拡大断面図
【図6】図3の6−6線拡大断面図
【図7】図3の7−7線拡大断面図
【図8】図3の8−8線拡大断面図
【図9】開閉蓋を左方側に回動して開放した場合を示す図7対応断面図
【図10】開閉蓋を右方側に回動して開放した場合を示す図9対応断面図
【符号の説明】
【0038】
A1・・・第1アーム
A2・・・第2アーム
C・・・・コンテナ(荷箱)
Ct・・・天井壁(外壁)
F1・・・第1締付具
F2・・・第2締付具
O・・・・開口
P1a・・第1アーム先端部と天蓋間のヒンジ連結
P1b・・第1アーム基端部と天井壁間のヒンジ連結
P2a・・第2アーム先端部と天蓋間のヒンジ連結
P2b・・第2アーム基端部と天井壁間のヒンジ連結
S・・・・シールパッキン
T・・・・天蓋(開閉蓋)
X1・・・第1待機位置
X2・・・第2待機位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷箱(C)の外壁(Ct)に設けた開口(O)を開閉し得る開閉蓋(T)が、該開口(O)の左右何れの側にもヒンジ連結(P1b,P2b)部を有していて、該開口(O)を開く時にその左右何れの側へも開閉蓋(T)を回動可能とした荷箱における開閉蓋の開閉支持装置において、
開口(O)の左右方向と直交する方向に互いに間隔をおいて並ぶ少なくとも2つの第1アーム(A1)の各基端部を外壁(Ct)の左右一方の側部に、また同第1アーム(A1)の各先端部を開閉蓋(T)の左右他方の側部にそれぞれ回動自在にヒンジ連結(P1b,P1a)すると共に、同じく開口(O)の左右方向と直交する方向に互いに間隔をおいて並ぶ少なくとも2つの第2アーム(A2)の各基端部を外壁(Ct)の左右他方の側部に、また同第2アーム(A2)の各先端部を開閉蓋(T)の左右一方の側部にそれぞれ回動自在にヒンジ連結(P2b,P2a)し、
開閉蓋(T)を左右一方側に開く時には、外壁(Ct)に第2アーム(A2)を置き去りにしたまま、開閉蓋(T)が第1アーム(A1)と共に、該第1アーム(A1)基端部と外壁(Ct)間のヒンジ連結(P1b)部回りに回動可能であり、
また開閉蓋(T)を左右他方側に開く時には、外壁(Ct)に第1アーム(A1)を置き去りにしたまま、開閉蓋(T)が第2アーム(A2)と共に、該第2アーム(A2)基端部と外壁(Ct)間のヒンジ連結(P2b)部回りに回動可能であることを特徴とする、荷箱における開閉蓋の開閉支持装置。
【請求項2】
外壁(Ct)には、開閉蓋(T)の左右一方の側部と係合してその側部を外壁(Ct)側に押し付け得る第1締付具(F1)が、第1アーム(A1)基端部と外壁(Ct)間のヒンジ連結(P1b)部と同一の回動軸線回りに回動自在として取付けられると共に、開閉蓋(T)の左右他方の側部に係合してその側部を外壁(Ct)側に押し付け得る第2締付具(F2)が、第2アーム(A2)基端部と外壁(Ct)間のヒンジ連結(P2b)部と同一の回動軸線回りに回動自在として取付けられることを特徴とする、請求項1に記載の荷箱における開閉蓋の開閉支持装置。
【請求項3】
前記開口(O)は、左右方向の幅よりもこれと直交する縦方向の幅が長い縦長形状に形成され、その開口(O)の縦方向一端縁近傍には、互いに隣接する第1及び第2アーム(A1,A2)の第1の対が、また同開口(O)の縦方向他端縁近傍には、互いに隣接する第1及び第2アーム(A1,A2)の第2の対がそれぞれ配置され、更にその開口(O)の左右一側縁近傍には、複数の第1締付具(F1)が該開口(O)の縦方向に互いに間隔をおいて、また同開口(O)の左右他側縁近傍には、複数の第2締付具(F2)が該開口(O)の縦方向に互いに間隔をおいてそれぞれ配置されることを特徴とする、請求項2に記載の荷箱における開閉蓋の開閉支持装置。
【請求項4】
外壁(Ct)の開口(O)の外端縁部と、開閉蓋(T)の内面との間には、その間を全周に亘りシールするシールパッキン(S)が介装されることを特徴とする、請求項2又は3に記載の荷箱における開閉蓋の開閉支持装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−160310(P2006−160310A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−354020(P2004−354020)
【出願日】平成16年12月7日(2004.12.7)
【出願人】(000002358)新明和工業株式会社 (919)
【Fターム(参考)】