説明

荷重制御のためのバレル及びエンドキャップを備える股関節骨折装置

距離制限増強、荷重制御増強、及び、異なる構成部品によって両方の増強方法の組み合わせをもたらす、股関節骨折装置。股関節骨折装置は、頭部とシャフト部とを有するプレートを含む。バレルがプレートの頭部から突出し、ネジがバレル内に挿入される。摩擦ピンがネジと摺動可能に接続され、エンドキャップがプレートの頭部に固定される。摩擦ピンはエンドキャップと固定的に接続される。荷重が骨折装置に加えられるとき、ネジはエンドキャップに向かって摩擦ピンの上を摺動する。摩擦ピンの上のネジのさらなる摺動のために必要とされる荷重は、ネジがエンドキャップに向かって摺動するに応じて増分的に増大する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2007年4月19日に出願された米国仮出願第60/925,399号の出願日の利益を主張し、その開示がここに参照として引用される。
【0002】
本発明は、概ね、大腿骨の頚部と転子間領域とを含む近位大腿骨の骨折の治療のための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
図1を参照すると、大腿骨(femur)1は、大腿骨(thigh bone)としても既知であり、一般的には、股関節(hip)から膝関節(knee)まで延びる細長い骨幹(shaft)を含む。骨幹3の近位端部は、頭部5と、頚部7と、より大きい転子8と、より小さい転子9とを含む。大腿骨骨折の内部固定は、一般的には、最も一般的な整形外科手術の1つである。大腿骨の近位部分の骨折(股関節骨折)は、一般的には、大腿骨頚部骨折と、転子間骨折とを含む。骨の頚部内に延びる大腿骨の骨折は、しばしば、ネジを用いて処置され、ネジは、大腿骨頭部内に螺入し、骨幹3の横側(側面)のプレートまで、大腿骨頚部軸A−Aと概ね平行に延びている。
【0004】
大腿骨頚部骨折のための従来的な骨折固定システムは、米国特許第3,107,666号(第666号特許)中に開示されている。第666特許の骨折固定システムは、スリープと、スリーブ内に挿入されるネイルとを有する。プラスチックリングが、スリーブとネイルとの間に配置される。プラスチックリングは、スリーブの内部円筒形表面及びネイルの外表面と摩擦係合する。摩擦は、スリーブとネイルとの間の相対運動に対する抵抗を生み出す。しかしながら、システムに対して作用する力が閾値を超えるや否や、ネイルとスリープとの間の相対運動が許容される。
【0005】
他の従来的なネジ及びプレートシステムは、典型的には、骨折に亘って静的静圧縮力を適用する。患者による装填に応答してネジがその軸に沿って進行するのを許容することは、骨折を治癒するために強い骨の成長をさらに促進することが分かった。この種類のネジは、動的圧縮ネジとして既知であり、軸方向運動をもたらしながら、骨折に亘る角回転又は横方向運動を防止しなければならない。動的圧縮ネジの1つの欠点は、進行が適切に制限されないならば、大腿骨の頚部は望ましくなく短くされ得ることである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、軸方向運動の程度(距離限定増強)を調節可能に制御し、進行に抗する力(荷重制御増強)を調節可能に提供することが望ましい。もし抵抗力が進行の程度と共に増大するならば特に有利である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ここで使用される場合、人体の骨又は他の部分に言及するときには、「近位」という用語は、心臓により近いことを意味し、「遠位」という用語は、心臓からより離れていることを意味する。「下方」という用語は、足に向かうことを意味し、「上方」という用語は、頭部に向かうことを意味する。「前側」という用語は、人体又は顔の前方部分に向かうことを意味し、「後側」という用語は、人体の背部に向かうことを意味する。「内側」という用語は、人体の正中線に向かうことを意味し、「外側」という用語は、人体の正中線から離れることを意味する。
【0008】
本発明は、距離限定増強、荷重制御増強、及び、距離限定増強と荷重制御増強との組み合わせを許容する股関節骨折装置、並びに、これらの装置を使用する方法を提供することによって、上述された必要を満たす。
【0009】
股関節骨折装置は、プレート及びネジ組立体を有する。ネジ組立体内のモジュラ構成部品の交換によって、軸方向移動及び移動に抗する力の程度は、相互動作的に調節可能である。
【0010】
本発明の1つの特徴において、股関節骨折装置は、バレル内でのネジの軸方向移動の程度を可変に制限しながら、ネジをバレルと同軸であるよう制約するよう、固定バレルとモジュラエンドキャップを使用する。
【0011】
本発明の他の特徴では、エンドキャップに取り付けられる摩擦ピンが、荷重制御増強をもたらすために、ネジ内のボアと進行的に係合する。
【0012】
本発明の他の特徴において、股関節骨折装置は、ヘッド部とシャフト部とを有するプレートを含む。バレルが、プレートのヘッド部から突出し、ネジがバレル内に挿入される。摩擦ピンが、ネジと摺動可能に接続され、エンドキャップが、プレートのヘッド部に固定される。荷重が骨折装置に加えられるとき、ネジはエンドキャップに向かって摩擦ピンの上を摺動する。摩擦ピンの上でネジをさらに摺動するために必要とされる荷重は、ネジがエンドキャップに向かって摺動するに応じて増分的に増大する。
【0013】
本発明の他の特徴は、大腿骨の頭部と頚部との間の骨折を修復する方法である。本方法は、ヘッド部とシャフト部とを有するプレートを大腿骨に固定することを含み、プレートは、ヘッド部とシャフト部とに開口を有する。バレルがヘッド部の開口に挿入され、ネジがバレルに挿入される。エンドキャップが、バレルをその中に挿入する開口に挿入され、摩擦ピンが、エンドキャップとネジとの間に挿入される。ネジはエンドキャップに向かって摩擦ピンの上を摺動し得る。摩擦ピンの上でネジをさらに摺動するために必要とされる荷重は、ネジがエンドキャップに向かって摺動するに応じて増分的に増大する。
【0014】
他の特徴において、本発明は、頭部と頚部との間の骨折を修復するためのキットを提供する。キットは、少なくとも1つのプレートを含み、プレートは、頭部と、シャフト部とを有し、開口が、頭部及びシャフト部に形成される。キットは、頭部の開口への挿入のために構成される少なくとも1つのバレルと、少なくとも2つのネジとを含み、各ネジは、中心ボアを有し、各ボアは、異なる直径を有する。同様に含まれるのは、少なくとも2つの摩擦ピンであり、各摩擦ピンは、ネジの1つの中心ボアの1つの直径と一致する外径を有し、少なくとも2つのエンドキャップを含み、各エンドキャップは、摩擦ピンの1つの直径と一致する第一ボアを有する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】近位大腿骨内に移植される股関節骨折装置を示す正面図である。
【図2】図1の股関節骨折と共に使用され得る骨プレートの他の実施態様を示す概略図である。
【図3】図1の一部を示す拡大図である。
【図4】エンドキャップが取り外された状態の図1を示す横断面図である。
【図5】長いシャフトを備えるエンドキャップを示す図3におけるような拡大図である。
【図6】短いシャフトを備えるエンドキャップを示す図3におけるような拡大図である。
【図7】エンドキャップと股関節ネジとの間に配置される摩擦ピンを示す図3におけるような拡大図である。
【図8】エンドキャップ内に係合される摩擦ピンと股関節ネジとを示す図3におけるような拡大図であり、股関節ネジはエンドキャップから最大に離れている。
【図9】エンドキャップ内に係合される摩擦ピンと股関節ネジとを示す図3におけるような拡大図であり、股関節ネジはエンドキャップに向かって軸方向に移動されている。
【図10】図9に示される位置と比較された状態でエンドキャップに向かってさらに軸方向に移動された後の股関節ネジを示す拡大図である。
【図11】股関節ネジの頂部がエンドキャップに接触し且つこれ以上移動し得ないようエンドキャップに向かって軸方向に最大限に移動された後の股関節ネジを示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1を参照すると、股関節骨折装置21は、係止プレート11と、1つ又はそれよりも多くの(好ましくは3つの)ネジ組立体31とを含む。股関節骨折装置21は、骨折、特に、ガーデンIII/IV型骨折を含む大腿骨頚部骨折を固定するために使用され得る。
【0017】
係止プレート11は、近位大腿骨の側部に概ね合致し、大腿骨1の転子下の骨幹(シャフト)領域3内の孔を通る少なくとも1つの皮質連結ネジ15によって大腿骨に取り付けられる。連結ネジ15は、プレート11を大腿骨1に取り付ける働きをする。プレート11は、各ネジ組立体31のための1つ又はそれよりも多くの段付きボア17も有する。段付きボア17の大きい直径は、ネジ組立体31を締結するためのネジ山を含む。段付きボア17の小さい直径は、大きい直径及び小さい直径の接合部に肩部19を創成する。各段付きボア17は、ネジ組立体31のそれぞれの軸と整列される。図2は、プレート11Aを示している。プレート11Aは、プレート11の設計の変形であり、スロット13Aを含む。プレート11Aは、プレート11の代わりに使用され得る。案内ワイヤが、スロット13Aを通じて大腿骨1内に挿入され得る。案内ワイヤは、プレート11Aを大腿骨1の表面上で所望の整列に位置付けるために使用され得る。以後に開示される圧縮ネジの実施態様は、骨プレート11Aと共に使用され得る。
【0018】
ネジ組立体31は、股関節ネジ33と、バレル41と、エンドキャップ51と、摩擦ピン61とを含む。摩擦ピンは、バネピンとも呼ばれ得る。少なくとも1つのネジ組立体31が、プレート11と共に、大腿骨頭部5上の荷重に起因する垂直力(法線力)Fによって大腿骨頸部7上に創成されるモーメントを相殺するために表示方向に角安定性をもたらす。ネジ組立体31は、全ての他の方向にも角安定性をもたらす。もし1つよりも多くのネジ組立体31がプレート11に接続されるならば、頭部軸A−Aについての回転安定性が達成される。典型的には、股関節ネジ組立体31は、図示されるように、大腿骨頸部軸A−Aと平行に方向付けられる。
【0019】
股関節ネジ33は、典型的には、ボア37にカニューレ挿入される。非カニューレ挿入版は、遠位端部に盲ボア37を有し得る。ネジ33は、小さい外径を定める中心シャフト34と、ネジの遠位端部に大きい外径を定める外部フランジ38とを有する。フランジ38の内側に形成されているのは、六角ソケット39のような回転機能である。ボアに固定されるのに適したネジ山35が、ネジ33の近位端部に形成され、大腿骨頭部5の海綿骨と係合する。
【0020】
図3を参照すると、バレル41は、概ね円筒形であり、プレート11内の段付きボア17の小さい直径に対応する外径43を備える。バレル41は、段付きボア17内に滑合(滑り嵌め)し、段部19上に載る。
【0021】
バレル41の遠位端部に配置されているのは、外部フランジ49であり、外部フランジは、段付きボア17の大きい直径と滑合し、バレル41がネジ組立体軸に沿って近位方向に移動するのを防止するために肩部19と係合する。バレル41は、大きい直径46と小さい直径47とを備える段付きボア45を有する。小さい直径47は、大きい直径46及び小さい直径47の接合部に肩部48を創成する。小さい直径47は、ネジ33の中心シャフト34と滑合し、肩部48は、ネジ33がネジ組立体軸に沿って近位方向に移動することを制限するために、外部フランジ38と係合する。
【0022】
頭部52が、エンドキャップ51の遠位部に形成されている。頭部52は、大きい直径53と、プレート11のボア17の噛み合いネジ山との締結のために、大きい直径53上に形成された外部機械加工ネジ山とを含む。頭部52の内側に形成されているのは、六角ソケット59のような回転機能である。エンドキャップ51の近位領域は、バレル41の大きい直径との滑合をもたらす小さい直径56を備えるシャフト55である。シャフト55は、ネジ33がネジ組立体軸に沿って遠位方向に移動するのを制限するために、フランジ38の端部に当接し得る近位端部58を有する。端部58は、盲ボア57を有する。
【0023】
摩擦ピン61は、荷重制御増強のために設けられる。摩擦ピン61は、典型的には、スロット67(図4)を備えるロールピンであり、それは、存在するとき、ボア57内にプレス嵌めされ、ネジ33のボア37と滑り干渉嵌めされる。ボア57は、摩擦ピンを堅く保持するような大きさとされる。ボア57は、図8乃至11と共にさらに記載されるように、ネジ33がネジ組立体軸に沿って遠位方向に移動するのに抗するために制御された摩擦抵抗をもたらす大きさとされる。ネジ組立体31の全ての様々な直径及びボアは、図4に描写されるように、組立体の軸について同心状であり、図4はエンドキャップ51又は六角ソケット39を示していない。様々な同心状の滑合は、ネジ33がその軸に沿ってのみ、即ち、軸A−Aと平行に移動することを可能にする。
【0024】
大腿骨1上での装置21の組立ては、以下の通り進行する。先ず、プレート11が、骨幹3の側方領域で近位大腿骨1に固定される。大腿骨1は、ネジ31及びバレル41の挿入のための大きさとされた孔を穿孔することによって準備される。次に、バレル41が、その最終位置(フランジ49が肩部49に対して位置付けられる位置)がボア17の大きい直径と小さい直径との間に形成されるまで、プレート11のボア17内に挿入される。次に、ネジ33が、バレル41内に挿入され、ネジフランジ38がバレル肩部48に対して位置付けられるまで、骨内に回転される。圧縮ネジ33の幾つかの追加的な回転によって、大腿骨頭部を含む大腿骨頭部骨片が、大腿骨1の遠位骨折表面に対して引っ張られ、骨折が初期的に圧縮される。
【0025】
エンドキャップ51及び摩擦ピン61の様々な構造のキットから選択することによって、増強のために必要とされる程度及び力が、手術中のこの時点で外科医によって調節され得る。外科医が、移動を厳格に制限し且つ大腿骨頚部が短くなることを防止するために、骨片の静止係合を望むならば、図5に示されるように、ネジ33の遠位運動を防止するために、より長いシャフト56aを備えるエンドキャップ51aが使用される。ここでは、エンドキャップ51は、ネジ33の端部と接触しており、従って、大腿骨頭部骨片の軸方向移動は許容されない。図6は、ネジ33の距離限定摺動を可能とするために様々な長さのシャフト56を備えるエンドキャップ51がどのように使用され得るかを示している。図6では、エンドキャップ56の端部とネジ33の反対端部との間には空間がある。従って、ネジ33、結果的に、大腿骨頭部骨片は、エンドキャップ56に向かって軸方向に移動し得る。この場合における最大移動距離は、エンドキャップ56の端部とネジ33の反対端部との間の空間と等しい。大腿骨頭部骨片のこの距離限定摺動は、荷重負荷による骨片対抗(fragment opposition)及び術後動的骨折場所圧縮(postoperative dynamic fracture site compression)を許容しながら、大腿骨頸部が過剰に短くなることを制限する。
【0026】
図7に示されるように、摩擦ピン61が追加されるとき、ネジ組立体31は、ネジ33の荷重制御摺動をもたらす。この摺動は、荷重負荷による大腿骨頭部骨片対抗及び術後動的骨折場所圧縮を許容しながら、骨折場所上の荷重を制限し、荷重に基づく移動距離を制限し、且つ、骨の応力誘導再吸収(stress induced resorption)を防止する。摩擦便61及びボア37によって創成される初期摩擦は、患者重量、骨構造、及び、骨折の種類に従った様々な直径を備えるピンのキットから選択することによって変更され得る。よって、より大きい骨を備えるより重い患者は、より多くの摩擦を創成するピンを装着され得る。
【0027】
図7に示される股関節装置21は、荷重負荷による骨片付着(fragment apposition)及び術後動的骨折場所圧縮を可能にしながら、骨折場所に対する荷重を制限し且つ骨の応力誘導再吸収を防止するために、大腿骨頭部骨片の荷重制御された摺動をもたらす。制御機構は、摺動距離の増大を伴う抵抗の増大をもたらす。これは、図8乃至11に描写されるように、摺動中にボア37によって係合される摩擦ピン61の進行的により大きい長さによって引き起こされる。ネジ33の摺動は、抵抗が体重誘導力と等しくなるとき或いは距離制限に達するときのいずれかに停止する。
【0028】
多数のネジ組立体31が使用されるとき、据付けステップは反復され、抵抗は一部又は全部の組立体中で摩擦ピンを使用することによって変更され得る。典型的には、距離制限は、全ての組立体で同じである。
【0029】
使用中、プレート11は、孔13を通じて皮質ネジ15を転子下骨幹領域内に挿入することによって骨に固定される。当業者に既知の方法を使用することによって、1つ又はそれよりも多くの孔が、大腿骨の横側(側面)から大腿骨頭部内に穿孔される。孔は、ネジ33及びバレル41を受け入れる大きさとされる。次に、バレル41が孔13内に挿入され、ネジ33がバレル内に挿入される。もし1つよりも多くのネジが使用されるべきであるならば、この時点で或いは後に、プロセスは反復される。次に、ネジ33は大腿骨頭部骨片内で回転され、それによって、ネジを骨片に取り付ける。
【0030】
ネジ33が肩部48の底に達し、骨折間隙の閉塞をもたらした後、回転は継続される。ネジは、初期圧縮を骨折場所に適用するためにさらに回転され得る。次に、エンドキャップ51a(図5)が孔13内に挿入され、所定場所でネジ止めされる。エンドキャップ51aは、ネジ33の如何なる軸方向移動をも防止するために、その近位端部がネジ33の端部上に載るような長さであり得る。もしエンドキャップがより短い長さであるならば、ネジ33は軸方向に摺動して戻ることが許容される。ネジ33がエンドキャップ56に触れるとき、摺動移動は停止される。
【0031】
代替的に、図8に示されるように、摩擦ピン61の一方の端部がネジ33のボア37内に挿入され、他方の端部がエンドキャップ51のボア57内に挿入され、それによって、摩擦ピン61をエンドキャップ51とネジ33との間で締め付ける。例えば、股関節、よって、装置に体重をかけることによって荷重を適用した後、摩擦ピン61はボア37内にさらに押し込まれ得る。図9及び10に見られるように、摩擦ピン61がボア37内にさらに押し込まれると、エンドキャップ51に向かうネジ33の軸方向移動のために、益々より大きい荷重が必要とされる。図11に見られるように、ネジ33がエンドキャップ51に触れるや否や、ネジ33のあらゆるさらなる軸方向移動は防止される。
【0032】
本発明は具体的な実施態様を参照してここに記載されたが、これらの実施態様は本発明の原理及び適用の例証に過ぎないことが理解されるべきである。従って、数多くの変形が例示的な実施態様に行われ得ること、並びに、本発明の精神及び範囲から逸脱せずに、他の構成が企図され得ることが理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭部及びシャフト部を有する、プレートと、
前記プレートの前記頭部から突出するバレルと、
該バレル内に挿入されるネジと、
該ネジと摺動可能に接続される摩擦ピンと、
前記プレートの前記頭部に固定されるエンドキャップとを含む、
股関節骨折装置であって、
前記摩擦ピンは、前記エンドキャップと固定的に接続され、前記ネジは、荷重が当該股関節骨折装置に加えられるときに、前記エンドキャップに向かって前記摩擦ピンの上を摺動する、
骨折装置。
【請求項2】
前記摩擦ピンの上の前記ネジのさらなる摺動のために必要とされる荷重は、前記ネジが前記エンドキャップに向かって摺動するに応じて増分的に増大する、請求項1に記載の骨折装置。
【請求項3】
前記摩擦ピンは、
管状本体と、
該管状本体に形成されるスリットとを含む、
請求項1及び2のうちのいずれか1項に記載の骨折装置。
【請求項4】
前記エンドキャップは、
頭部と、
該頭部から突出するシャフトとを含み、
該シャフトは、前記摩擦ピンの外表面と圧力嵌めを形成する大きさとされる盲ボアを有する、
請求項1乃至3のうちのいずれか1項に記載の骨折装置。
【請求項5】
前記頭部上に形成される第一ネジ山と、
前記プレートの前記頭部のボアに形成される第二ネジ山とをさらに含み、
前記第一ネジ山及び前記第二ネジ山は、噛み合うよう構成され、それによって、前記エンドキャップを前記プレートに固定する、
請求項4に記載の骨折装置。
【請求項6】
前記エンドキャップに向かう前記ネジの移動の最大長さは、前記頭部から突出する前記シャフトの長さと反比例する、請求項4及び5のいずれか1項に記載の骨折装置。
【請求項7】
前記ネジは、フランジをさらに含み、前記バレルは、肩部を含み、前記フランジは、前記ネジが前記エンドキャップから可能な最も遠い距離にあるとき、前記肩部に対して位置する、請求項4乃至6のうちのいずれか1項に記載の骨折装置。
【請求項8】
前記フランジが前記肩部に対して位置するときに前記ネジを回転することは、大腿骨頭部骨片と大腿骨との間の間隙を閉塞するために、大腿骨頭部骨片を大腿骨に向かって引っ張る、請求項1乃至7のうちのいずれか1項に記載の骨折装置。
【請求項9】
前記プレートの前記頭部から突出する第二バレル及び第三バレルと、
前記第二バレル内に挿入される第二ネジ及び前記第三バレル内に挿入される第三ネジと、
前記第二ネジと摺動可能に接続される第二摩擦ピン及び前記第三ネジと摺動可能に接続される第三摩擦ピンと、
前記プレートの前記頭部に固定される第二エンドキャップ及び第三エンドキャップとをさらに含み、
前記第二摩擦ピンは、前記第二エンドキャップと固定的に接続され、前記第三摩擦ピンは、前記第三エンドキャップと固定的に接続され、前記第二ネジ及び前記第三ネジは、荷重が当該骨折装置上に加えられるときに、前記エンドキャップに向かって前記第二摩擦ピン及び前記第三摩擦ピンの上をそれぞれ摺動する、
請求項1乃至8のうちのいずれか1項に記載の骨折装置。
【請求項10】
前記摩擦ピン、前記第二摩擦ピン、及び、前記第三摩擦ピン上の前記ネジ、前記第二ネジ、及び、前記第三ネジのさらなる摺動のために必要とされる荷重は、それぞれ、前記ネジがそれぞれのエンドキャップに向かって摺動するに応じて増分的に増大する、請求項9に記載の骨折装置。
【請求項11】
前記摩擦ピンは、前記第二摩擦ピン及び前記第三摩擦ピンと比べて異なる直径である、請求項9及び10のうちのいずれか1項に記載の骨折装置。
【請求項12】
大腿骨の頭部と頚部との間の骨折を修復するために股関節骨折装置を適用する方法であって、
ヘッド部及びシャフト部を有し且つ前記ヘッド部及び前記シャフト部に開口を有するプレートを固定すること、
前記ヘッド部の前記開口内にバレルを挿入すること、
前記バレル内にネジを挿入すること、
前記バレルが挿入された前記開口内にエンドキャップを挿入すること、
前記ネジが前記エンドキャップに向かって前記摩擦ピンの上を摺動し得るよう、前記エンドキャップと前記ネジとの間に摩擦ピンを挿入することを含み、
前記摩擦ピンの上で前記ネジをさらに摺動するために必要とされる荷重は、前記ネジが前記エンドキャップに向かって摺動するに応じて増分的に増大する、
方法。
【請求項13】
前記固定することは、大腿骨上に固定することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
異なるサイズの摩擦ピンを選択することによって、前記エンドキャップに向かう前記ネジの軸方向移動のために必要とされる荷重を変更することをさらに含む、請求項12及び13のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
第二バレルを前記頭部の第二開口に挿入すること、
前記第二バレルにネジを挿入すること、
前記第二開口に第二エンドキャップを挿入すること、
前記エンドキャップと前記ネジとの間に第二摩擦ピンを挿入することをさらに含む、
請求項12乃至14のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記第二摩擦ピンは、前記摩擦ピンと同じサイズである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第二摩擦ピンは、前記摩擦ピンと異なるサイズである、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記第一摩擦ピン及び前記第二摩擦ピンは、同じ長さである、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
大腿骨の頭部と頚部との間の骨折を修復するためのキットであって、
少なくとも1つのプレートを含み、各プレートは、頭部と、シャフト部とを有し、開口が、前記頭部及び前記シャフト部に形成され、
前記頭部の前記開口に挿入するために構成される少なくとも1つのバレルを含み、
少なくとも2つのネジを含み、各ネジは、中心ボアを有し、各ボアは、異なる直径を有し、
少なくとも2つの摩擦ピンを含み、各摩擦ピンは、前記ネジの1つの前記中心ボアの1つの直径と一致する外径を有し、
少なくとも2つのエンドキャップを含み、各エンドキャップは、前記摩擦ピンの1つの直径と一致する第一ボアを有する、
キット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2010−523295(P2010−523295A)
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−503388(P2010−503388)
【出願日】平成20年4月11日(2008.4.11)
【国際出願番号】PCT/EP2008/002892
【国際公開番号】WO2008/128662
【国際公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(507015952)ストライカー トラウマ ゲーエムベーハー (13)
【Fターム(参考)】