説明

荷電イオン化混合液供給装置

【課題】荷電イオン化混合液供給装置において、水等とオゾン液とを混合した荷電イオン化混合液とすることで、静電微粒化に適した荷電イオン化液を得ると共に、オゾンが溶解された混合液の安定化、配設した電極の取替作業の簡易化、省エネ化を図る装置の提供。
【解決手段】水等とオゾン液とを雨水状の液滴として放出してオゾンが溶解された混合液を貯留する液中継槽10に、ポンプを介在させて貯留された混合液を静電集塵装置の集塵室内に設けた供給管に送出するための誘導管37を配し、誘導管37と前記供給管とを、内部に電極22を配置して成るヘッダー80で連結し、電極22に直流高電圧を印加することで、液中継槽10から誘導管37を通して供給管に送り出す混合液を荷電イオン化混合液とする一方、誘導管37にレリーフ弁38を配し、設定された一定量の混合液を供給管へ供給し、余剰分を液中継槽内に戻すことで混合液を液中継槽内で混合循環させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湿式の静電集塵装置(以下、単に静電集塵装置という)を稼働する際に静電集塵室内で静電微粒化して使用する荷電イオン化液を作るための装置に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
前記した技術分野の項で記載した荷電イオン化液製造装置は、本発明者が既に開発し、該装置は、特許文献1及び特許文献2に示す特開2004−81977号公報、特開2005−349314号公報に開示されて公知となっている。
【0003】
前記公報に開示された装置における液槽に対する液の供給は、その液槽の開口部から所望の距離を離した上方位置に、液供給源から連続した導入管を配し、その先端に液供給源から導入される液を雨水状の液滴として放出する放液器具を設け、この放液器具と液槽の開口部との間に空気による絶縁空間を設け、この放液器具によって放出されて液槽の中に貯留された液に対し、電極を介して直流高電圧を印加してその液を荷電イオン化液とし、この荷電イオン化水液を静電集塵装置の静電集塵室に配設された供給管に供給する構成の装置である。
【0004】
この装置によれば、液槽に貯留された液に直流高電圧を印加して該液を荷電させる場合においても、液槽に液を供給する放液器具は、液槽の上方に液槽の開口と所望の距離を離して配置した放液器具を介して行うことになり、該器具から放出される液は、該器具から雨水状の液滴として放出されることになるので、該液滴は絶縁機能を発揮する空気中を通って液槽中に貯留される。従って、液槽中に貯留された液に直流高電圧が印加されて該液が荷電イオン化液となっても、該液を貯留する液槽、或いは該液槽に貯留される荷電イオン化液と放液器具との間で短絡が生じるのを防止できるという長所を発揮できる。この放液器具はコーテック株式会社製の商品名ノズレスとされている器具を使用する。
すなわち、前記公報に開示された荷電イオン化液製造装置は、荷電イオン化液が貯留される液槽或いは該液槽に貯留する荷電イオン化液と、液槽に液を供給する放液器具との間は絶縁状態が保たれるという長所がある。
【0005】
前記公報に開示された技術は、荷電イオン化液とする液を液槽に貯留し、該液槽には液槽に貯留された液を荷電イオン化液とするため、該液直流高電圧を印加する電極を該液槽内に浸水状態で配置しなければならない。この電極について、特開2004−81977号公報に開示された発明は金網製の籠を、特開2005−349314号公報に開示された発明は棒状又は板状の電極をそれぞれ使用している。
この公開された発明による荷電イオン化液製造装置を以て液槽中に貯留された液を荷電イオン化液とするためには、液槽中に配された電極は、稼働中にカルシウム塩類が経時的に付着し、これが累積したときは、液槽から電極を取り外して付着したカルシウム塩類を取り除くと言う手間のかかる作業を行わなければならないと言う不都合が生じる。また、液槽は蓋を被せる構成となっていなかったので、液放液器具からの放液により、液槽の周囲が水浸しになり、付帯器具を水に濡れてしまうという不都合が生じる。
【0006】
すなわち、特許文献1並びに特許文献2に開示した装置によれば、液槽内に貯留された液を荷電イオン化液とするために配置する電極として、高電圧の直流制御電源より直流高電圧が印加できるように構成した導電性材料から成る籠、並びに棒状或いは板状の物体を液槽内に絶縁材を介在させて配置する構成としている。この構成とするときは、液供給源から供給される液中に含まれるカルシウム塩類が経時的に電極としての役割を果たす籠、並びに棒状或いは板状の物体の面に付着するので、定期的に籠、並びに棒状或いは板状の物体を液槽から取り出し籠、並びに棒状或いは板状の物体に付着したカルシウム塩類を取り除く煩雑な作業を必要とする不都合があった。
【0007】
更に、上記各装置によれば、大容量の液槽に貯留された水に対して、電極から高電圧を印加して荷電イオン化液とするので、大量の液を荷電し、更に該液の荷電状態を維持する場合に消費電力が大きくなるという不都合があった。
【0008】
それだけでなく、上記の装置では、液槽の上方から前記放液器具で液を雨水状の水滴として放出するので、放液器具の配置位置が高すぎると、水滴が液槽内の液面に落下せず、液槽の周囲にも落下して液槽の周囲が水浸しとしてしまうという不都合が生ずるというおそれがあった。
【特許文献1】特開2004−81977
【特許文献2】特開2005−349314
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、放液器具を液槽から離して配置し、絶縁空間を通して放液することにより、液供給源までの短絡を阻止できるという公知技術の液槽に液を供給する機構の長所を採用し、該技術が液槽に貯留された液を液槽中に配された電極により荷電イオン化液とする際の不都合、即ち、大容量の液槽に配された電極交換を行うときの不都合、更に大容量の液槽に貯留された液を荷電イオン化液とするに際して、更に液槽に貯留された該液の荷電状態を維持するのに必要以上の電力を消費するという不都合を解消することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため本発明は、液供給源から静電集塵室に配された供給管とを連結するヘッダまでの液供給路に、短絡阻止機能をもつ放液器具を配した中継槽を、これまでの貯留槽に代えて配置する。
前記ヘッダーは、静電集塵室に配された供給管に供給する液を通過させるときに荷電させる器具として配置する。
液中継槽とヘッダーとの液路には、余剰液帰還路が設けられている。
液中継槽は、一つの放液器具から放液された混合液が貯留する場合と、複数の放液器具から液とオゾン液とがそれぞれ放液されることで槽内で混合された混合液が貯留する場合とが考えられる。
【0011】
すなわち、請求項1の荷電イオン化混合液供給装置は、水或いは水に所望の添加剤を添加した液を雨水状の液滴として継続的に放出する放液器具と、所望量のオゾン液或いは所望濃度に調整されたオゾン液を雨水状の液滴として継続的に放出するオゾン液放液器具とを所定の高さ位置に配設した蓋を被せる。
前記両放液器具から供給された液及びオゾン液を混合して所定量の混合液として保持しながら通過させる液中継槽に、吸引管、ポンプ、誘導管を介在させ、該誘導管の先端に、内部に直流高電圧を印加する電極を配置して成るヘッダーを連結する。
前記液中継槽と前記ヘッダーとの間の誘導管にレリーフ弁を配し、設定された一定量の混合液を前記ヘッダーへ供給し、余剰分を前記レリーフ弁の配置箇所で前記液中継槽内に戻す余剰液帰還路を設け前記余剰分の混合液を前記液中継槽内で循環混合させる構成を有している。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1の荷電イオン化液供給装置において、前記オゾン液放液器具は、オゾン生成機により生成するオゾンと液とを混合処理することによりオゾン液とするオゾン液発生装置にオゾン液導入管を介して接続され、このオゾン液発生装置からのオゾン液を前記液中継槽に液滴として供給するように構成したことを特徴としている。
【0013】
請求項3の発明は、水或いは水に所望の添加剤を添加した液を供給する液供給管に、所望量のオゾン液或いは所望濃度に調整されたオゾン液を供給するオゾン液供給管を接続し、前記両管を接続した管内で前記液と前記オゾン液とが混合された混合液とし、該混合液を、雨水状の液滴として継続的に放出する混合液放液器具を所定の高さに配設した蓋を被せる。
前記混合放液器具から供給された混合液を所定量の混合液として保持しながら追加させる液中継槽に、吸引管、ポンプ、誘導管を介在させ、該誘導管の先端に、 内部に直流高電圧を印加する電極を配置して成るヘッダーを連結する。
前記液中継槽と前記ヘッダーとの間の誘導管にレリーフ弁を配し、設定された一定量の混合液を前記ヘッダーへ供給し、余剰分を前記レリーフ弁の配置箇所で前記液中継槽内に戻す余剰液帰還路を設け前記余剰分の混合液を前記液中継槽内で循環混合させる構成を有している。
【0014】
請求項4の発明は、請求項3の荷電イオン化混合液供給装置において、前記オゾン液供給管は、オゾン生成機により生成するオゾンと液供給源からの供給液とを混合処理することによりオゾン液とするオゾン液発生装置に接続して成ることを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明の荷電イオン化混合液供給装置は、従来の液槽に代えて液中継槽を設けた構成とすることで、槽の構成を簡略化することができ、静電集塵室に供給する液を荷電イオン化液とする手段を小容量のヘッダーによって行うことにより、消費電力を大幅に節約することができる。
【0016】
更に、液中継槽とヘッダーの間の誘導管にレリーフ弁を設けたことにより、所望の一定量のオゾン液を溶解した混合液が液中継槽からヘッダーに送られて、荷電イオン化混合液として静電集塵装置側へ供給される際、混合液の余剰分は余剰液帰還路から液中継槽内に戻されるようにしたことでオゾン液が溶解された混合液を循環させることができ、常時液中継槽内においてオゾン液を溶解した混合液の混合作用が繰り返されることで、混合液中におけるオゾンの自己分解速度をセーブすることができ、液中継槽内において溶解された混合液のオゾン濃度の均一化を図ることができる。
【0017】
その結果、静電集塵装置の供給管に送出された荷電イオン化混合液は、オゾンが安定化した状態での静電微粒化が行われ、ガスの脱硫・脱硝効果の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の実施の形態の一例としての荷電イオン化混合液供給装置について、図面を参照して説明する。
【0019】
図1は、静電集塵装置の静電集塵室に併設される荷電イオン化混合液供給装置100を示す構成説明図である。
【0020】
本発明に係る荷電イオン化混合液供給装置100は、堅固な材料で形成された立方体である筐体1内に、液放液器具40とオゾン液放液器具50を配設した蓋体11を被せて成る液中継槽10と、これに附帯する機材を配置して構成されている。前記した筐体1は、絶縁体で構成されるか、或いはその壁面等に接地線8が接続されることでアース電位となっている。また、筐体1内に配置された液中継槽10、並びに機材は、筐体1に対して絶縁材から成る荷台(図示しない)で支持されている。
【0021】
この液中継槽10の開口に被せる蓋体11について説明する。
蓋体11は、例えば絶縁材である透明のアクリル樹脂等で形成され、頂部が傘型状とした傾斜天井の筒体に形成され、この傾斜天井の頂部或いは頂部近傍には、液供給源30から液供給路31を介して液中継槽10に液供給源30から送られる水等の液を雨水状の液滴として放出して、液中継槽10に供給する液放液器具40が設けられ、また、液放液器具40と所望の距離を隔ててオゾン液生成機51から送られるオゾン液を前記した液放液器具40と同じ状態で液滴として放出し、液中継槽10に供給するオゾン液放液器具50が配置されている。
【0022】
その蓋体11の高さは、液中継槽10の開口から前記両器具40、50を配した場所までの内側空間を十分な高さを有する構成とする。
また、蓋体11の内面は、液放液器具40、オゾン液放液器具50から放出される水等の液の液滴やオゾン液の液滴がその内壁面に付着しても、その液滴が速やかに流れ落ちるよう円錐形又は角錐形の傾斜面とした。
【0023】
液中継槽10の開口に、上記構成の蓋体11を被せることにより、放液器具40、並びにオゾン液放液器具50からの放出される液やオゾン液が液中継槽の外部に飛び散らないようになっている。
蓋体11の高さを液中継槽10の開口から十分な内側空間を保った高さとした理由は、液中継槽10の開口から蓋体11に配置した前記液放液器具40並びにオゾン液放液器具50の距離を長くしたことによって、両器具40、50から放出される水等の液、或いはオゾン液が絶縁空間を通って液中継槽に放出されることになり、両器具40、50と液中継槽10との間の短絡を防止することができることによる。また、蓋体11の内面が前記した両器具40、50から放出される水等の液、或いはオゾン液に濡れたとしても濡れ面の長さから生じる電気抵抗を大にして液中継槽10の開口から蓋体11に配置した液放液器具40やオゾン液放液器具50との間で短絡が生じるのを阻止できる構成としたことによる。
【0024】
また、蓋体11は、蓋体11を液中継槽10に被せたとき蓋体11の下縁開口部内面が、液中継槽10の上縁開口部内面部内面より内側になる構造形式としたときは、蓋体11の内面に付着した水等の液やオゾン液は、液中継槽10内に落下する。従って、これらの液は液中継槽10の内面を伝わって流下しない。この構成とするときは、蓋体11に配置した液放液器具40、オゾン液放液器具50に対して、液中継槽10中に貯留されている直流高電圧を印加された荷電イオン混合液からの直流高電圧が短絡するのを阻止できる構成とすることができる。
【0025】
前記蓋体11を被せる液中継槽10について説明する。
液中継槽10内は、前記公報に示す液槽とは異なり、前記両器具40、50によって放出された水等の液、並びにオゾン液を混合液として貯留するというのでなく、両器具40、50から放出された液を混合液とする役割を果し、その液中継槽10には、混合液を吸引するための吸引管36を継ぐ排出口36aと、排出口36aに継がれた吸引管36にポンプ3を介在して先端にヘッダ80を配設した誘導管37と、余剰液帰還路としての戻し管39を誘導管37に継ぐ環流口39aを介して設けられている。
【0026】
次に、前記液中継槽10で混合された混合液を、オゾンが溶解された荷電イオン化混合液(以下、単に荷電イオン化混合液という)とするための経路について説明する。
液中継槽10の排出口36aに継がれた吸引管36にポンプ3を介在した誘導管37の先端にヘッダー80を配設する。このヘッダー80は、前駆誘導管37と静電集塵室に配された供給管との連結具である。ヘッダー80には、取り外し可能な電極22が配設されている。このヘッダー80に配設する電極22は、高電圧直流制御電源20からケーブル21を介して直流高電圧を印加するように接続されている。取り外し可能としてヘッダー80に配設される電極22は、絶縁材を介在させて取り外し可能とすることは勿論である。したがって、液中継槽10内に供給された混合液は前記経路を経てヘッダー80に導入されて、ヘッダー80内で電極22より高電圧直流制御電源20からの直流高電圧が印加されて、液中継槽10からヘッダー80に導入された混合液はオゾンが溶解された荷電イオン化混合液となる。
【0027】
本発明のヘッダー80は、前記した連結具としての役割を果し、液中継槽10から送られた混合液をヘッダー80通過時に荷電イオン化混合液とし、この荷電イオン化混合液を静電室側の各供給管に連結して分配するための機能を果すためのものであるので、その容量は前記機能を果す容量を有すればよいものであり、液中継槽10に比較して小型に構成されている。
【0028】
荷電イオン化混合液供給装置100を構成するヘッダー80に内設した電極22には、前記装置を継続して使用するうちに経時的にカルシウム塩類が付着しても、ヘッダー80は、前記オゾンが溶解された混合液をヘッダー80通過時に荷電イオン化混合液とするためだけのものであるから小型のものであり、ヘッダー80に配設された電極22が前記したようにヘッダー80から取り外し可能に配設されていることから、電極22の取り替え、或いは電極22に付着したカルシウム塩類の取り除きは容易に行うことができる。
【0029】
ヘッダー80は、前記したように液中継槽10から混合液を導入し、これを通過するようになっているので、ヘッダー80に内設された電極22に印加する直流高電圧は、ヘッダー80中を通過する混合液に印加される。この直流高電圧は、前記経路を通って液中継槽10中を通過する混合液にも印加されることになり、このため液中継槽10中を通過する混合液もオゾンが溶解された荷電イオン化混合液となる。
【0030】
蓋体11に配設された液放液器具40に液供給源30から水が送られる経路について説明する。
液供給源30から液供給ポンプ60により供給管31を介して液放液器具40に送られる。供給管31の途中には、水中のゴミ等を除去するためのフィルター33、及び、液放液器具40を介して液中継槽10へ供給する液体の流量を調節するための流量調節装置34が装着されている。
【0031】
前記した液放液器具40には、液が導入される液供給路31が接続され、液中継槽10に向けて雨水状の液滴として放出させようになっている。この液滴は、液中継槽10と蓋体11の間に形成される空間、即ち、絶縁機能を発揮する空気中に雨水状の液滴となって放出され、液中継槽10に供給されるようになる。従って、液中継槽10或いは液中継槽10中を通過する荷電イオン化混合液と放液器具の間で短絡するようなことはない。
【0032】
蓋体11に配設されたオゾン液放液器具50に酸化液発生装置であるオゾン液生成機51から酸化液オゾン液が送られる経路について説明する。
このオゾン液生成機51に対しては、液供給路31から分岐される分配管32を介して濃度調整用の水等の液が供給される構成となっている。
分配管32の途中には、液中継槽10へのオゾン液の供給量を調節するための流量調節装置35が装着されている。そして、オゾン液生成機51からオゾン液導入管53を介してオゾン液放液器具50にオゾン液が流れるようになっている。
オゾン液放液器具50の構造、並びに機能は液放液器具40と同じである。
【0033】
オゾン液生成機51は、オゾン液生成機51に組み込まれたオゾン発生機が空気中から圧力スイング吸着機(PSA)により酸素酸化方式で酸素(O)を取り込んだ後、オゾン(O)を発生させる。オゾン発生機で発生したオゾンと水等の液とを混合処理することで所望のオゾン濃度を有するオゾン液が生成され、このオゾン液がオゾン液放液器具50より雨水状の液滴として液中継槽10に向かって放出される。
すなわち、オゾン液放液器具50は、液供給路31に接続される分配管32からの水を導いてオゾン液生成機51内でオゾン液を生成し、このオゾン液をオゾン液導入管53を介して液中継槽上部からオゾン液放液器具50を通して雨水状の液滴として放出するようになっている。
なお、オゾン液生成機51で得られるオゾン液のオゾン濃度は、オゾン液生成機51中のオゾン発生機によるオゾン発生量を制御することにより、或いは、発生したオゾンと水等の液の混合割合を調整することにより可能なようになっている。
また、オゾン液生成機51には接地線52が接続されることでアース電位(0V)となっている。
【0034】
液中継槽10の開口側の内側面の上方位置には液面検知装置70が装着される。この液面検知装置70は、信号変換器71を介して供給管31途中に装着された電磁弁72に接続されている。そして、液中継槽10内に放出された混合液の水位が所定の液面(上限水位)に達した時には、これを検知した液面検知装置70が電磁弁72をOFFにして液放液器具40及びオゾン液放液器具50から液中継槽10への水等の液及びオゾン液の供給を停止する。また、液中継槽10内の水位が所定の液面(下限水位)よりも下位になった時には、これを検知した液面検知装置70が電磁弁をONし、液中継槽10の液が所定の液面(上限水位)に達するまで液放液器具40及びオゾン液放液器具50から水等の液及びオゾン液の供給が行われる。
この操作を行う液面検知装置70の働きによって、液中継槽10中にイオンが溶解された混合液が所定の液面を保持される。
【0035】
液中継槽10の底部の排出口36aには、前記した両器具40、50から放出されて混合された混合液、即ちオゾンが溶解された混合液を排出するための混合液の吸引管36が接続されている。この吸引管36は、筐体1底板に固定する絶縁材から成る荷台2上に設置された混合液循環供給用のポンプ3を介してヘッダー80に通ずる誘導管37に接続されている。
混合液循環供給ポンプ3は、その駆動軸が絶縁材4を介してモーター5の回転軸に連結され、モーター5の駆動により混合液循環供給ポンプ3が連動するように構成されている。
【0036】
ヘッダー80に混合液を供給する誘導管37の途中にはレリーフ弁38が配設されている。レリーフ弁38には液中継槽10の環流口39aに通ずる戻し配管39が接続されている。このレリーフ弁38は、予め設定された一定量のオゾンが溶解された混合液を誘導管37の先方のヘッダー80側に流すとともに、余剰分を液中継槽10の環流口39aに通ずる戻し管39に流し、液中継槽10に環流するように作動する。
すなわち、ポンプ3の作用により、誘導管37を通じて、ヘッダー80側にオゾンが溶解された混合液を排出するように設定され、レリーフ弁38の作用により、予め設定された一定量が液中継槽10に供給され、オゾンが溶解された混合液の余剰分が戻し配管39を介して液中継槽10内に戻される混合液の混合循環手段が構成されている。
液中継槽10は、液中継槽10に放出されて混合された混合液をヘッダー80側へ流し、ヘッダー80内で混合液をオゾンが溶解された荷電イオン化混合液とするための通過槽としての役割を有している。
【0037】
液中継槽10内では、液中継槽10内に供給されているオゾンが溶解された混合液と、液中継槽10から排出されて戻し配管39から戻されたオゾンが溶解された混合液とが液中継槽10内で常時循環混合することにより、混合液中におけるオゾンの自己分解速度をセーブすることができ、液中継槽内において溶解された混合液のオゾン濃度の均一化を図ることでオゾンが溶解された混合液が常に安定する。
【0038】
ヘッダー80の先には、静電集塵装置を稼働して、静電集塵室内で荷電イオン化混合液の静電微粒化に際して噴霧パターンを一定化するための各定量弁81を介して各段ヘッダー82が接続され、これから静電集塵装置の静電集塵室(図示せず)内にオゾンが溶解された混合液を荷電イオン化混合液として送り込むようになっている。
【0039】
なお、液供給路31、分配管32、混合液供給管37には、各配管における流量や圧力を測定するための流量計7や圧力計8がそれぞれ装着されている。
また、液供給路31に薬剤液などを混入する場合には、液供給路31に逆止弁9aを装着し、この逆止弁9aの下流側に逆止弁9bを介してポンプ61により薬剤液供給源(図示せず)から供給するようにすればよい。
【0040】
次に、上記構成の荷電イオン化混合液供給装置の動作について説明する。
先ず、液供給源30の液は、液供給路31を通じて液放液器具40から液中継槽10へ雨を降らせるような状態の液滴として放出して供給される。また、オゾン液生成機51で生成したオゾン液もオゾン液放液器具50から液中継槽10へ上記した液放液器具40と同様に液滴として放出して供給される。
【0041】
液放液器具40、オゾン液放液器具50から放出された前記の水等の液及びオゾン液は、液中継槽10に所定の水位に達するまで供給される。液放液器具40から供給される水等の液と、オゾン液放液器具50から供給されるオゾン液との量、或いは濃度の割合は、静電集塵装置の静電集塵室へ供給されて静電微粒化されるオゾンが溶解された荷電イオン化混合液が、オゾン液の作用を十分に発揮させるために、流量調節装置34、35を調整するようになっている。また、水にオゾン液を混合する割合はオゾン液生成機51で生成されるオゾン液のオゾン濃度により異なる。
具体的には、荷電イオン化液供給装置に併設される静電集塵装置の静電集塵室内において、静電微粒化パターンで噴霧される液滴のオゾン濃度が0.2〜0.4mg/l程度になるように、液中継槽10内において、液放液器具40から供給される水と、オゾン液放液器具50から供給されるオゾン液とが混合するように、供給比率等を調整するようにしている。
【0042】
液中継槽10内に水等の液及びオゾン液が前記両器具40、50により雨水状に液滴状態で放出されて混合されることで、オゾンを溶解した混合液となり、この混合液がヘッダー80に送られ、ヘッダー80通過時に、ヘッダー80内に配置された電極22には高電圧直流制御電源20からケーブル21を介して、例えば−30kV前後の負の直流高電圧が印加される。
【0043】
したがって、液滴として液中継槽10内に放出されて混合されヘッダー80に送られたオゾンが溶解された混合液は、ヘッダー80には常時高電圧直流制御電源20から電極22を介して高電圧が印加される状態が維持されているので、ヘッダー80通過時にヘッダー80内でオゾンが溶解された荷電イオン化混合液となる。
その際、小型で小容量のヘッダー80を通過する液を荷電イオン化液とするので、従来例のような大容量の液槽内の液を荷電する必要がなく、また、大容量の液について荷電状態を維持するようなこともない。したがって、ヘッダー80内における比較的小容量の液について荷電し、若しくは荷電状態を維持すればよいので、電力消費量を少なくすることができ、荷電を行うに際しての省エネ化を図ることができる。
【0044】
液放液器具40及びオゾン液放液器具50から液中継槽10へ供給される水等の液及びオゾン液は、液放液器具10及びオゾン液放液器具50の配置位置が液中継槽10の開口と所定の距離を隔てて配置され、その間に存在する空気が絶縁機能を発揮するので、液中継槽10に貯留された混合液が荷電されてオゾンを溶解した荷電イオン化混合液となっても、このオゾンを溶解した荷電イオン化混合液に印加された電圧が液放液器具40及びオゾン液放液器具50に向かってリークするようなことはない。
【0045】
また、液中継槽10の開口部は上記した構成の蓋体11で塞がれているので、液放液器具40及びオゾン液放液器具50を介して放出される液滴は、蓋体11外に飛散することなく必ず液中継槽10内に落下するので、液中継槽10の周囲が水浸しになるようなことを防止できる。
【0046】
液供給源30並びにオゾン液生成機51から液中継槽に供給された水、並びにオゾン液は、混合液としてヘッダー80に送られ、ヘッダー80内で高電圧直流制御電源20から直流高電圧が印加されることでヘッダー80通過時にオゾンが溶解された荷電イオン化混合液となる。この液が静電集塵装置の静電集塵室内の供給管へ送られる。
【0047】
液中継槽10で所定の水位まで貯留されるオゾンが溶解された混合液は、モーター5の駆動によりポンプ3を作動して誘導管37から取り出され、誘導管37に接続されたレリーフ弁38の作用により、設定された一定量のオゾンを溶解した荷電イオン化液をヘッダー80側へ流すとともに、オゾンを溶解した混合液の一部が液中継槽10内に戻る循環作用が行われる。
すなわち、ポンプ3は、ヘッダー80側の分岐液量の余剰分のオゾンを溶解した混合液を誘導管37へ供給するようにし、レリーフ弁38の作用によりオゾンを溶解した混合液の余剰分が戻し配管39を介して液中継槽10内に戻されるようになっている。
液中継槽10へ戻されるオゾンを溶解した混合液の量は、オゾン液のオゾン濃度により異なるが、例えば、ポンプ3で混合液が吸引管36からに排出される量を一定割合に設定している。
【0048】
混合液中に溶解されているオゾンの量は、オゾンが酸素に変化する自己分解により、時間の経過とともに減衰する性質がある。混合液中に溶解されているオゾン量が減衰すると、混合液におけるオゾン濃度が減少し、静電微粒化に際して脱硫・脱硝酸効果を発揮するに最適なオゾン濃度を確保することができなくなる。
本発明の荷電イオン化混合液製造装置によれば、オゾンが減衰するのを見越して濃度を高くしたオゾン液をオゾン液放液器具から供給し、前記した混合液の循環作用により、液中継槽10内のオゾンが溶解された混合液と、戻し配管39から戻されたオゾンが溶解された混合液とを常時混合させ、液中継槽内に各放液器具により供給される液とオゾン液との混合液におけるオゾン濃度の均一化を保持することにより、オゾンが溶解された混合液を常時安定化した状態で利用することが可能となる。
【0049】
液中継槽10に戻されない比率設定されたオゾンを溶解した混合液は、ヘッダー80を通して荷電イオン化混合液として静電集塵室の静電集塵室内に配した複数の供給管(電極管)に送られる。
したがって、供給管(電極管)においては、オゾンが安定化した状態で荷電イオン化混合液の静電微粒化が行われ、ガスの脱硫・脱硝効果の向上を図ることができる。
【0050】
図2は、静電集塵装置の静電集塵室に連結される荷電イオン化混合液供給装置の他の実施例を示すもので、図1の荷電イオン化混合液供給装置100と同様の構成を採る部分については同一の符号を付して説明を省略する。
図2の荷電イオン化混合液供給装置は、液中継槽10へのオゾン液の供給の仕方が図1の例と異なるものである。
【0051】
すなわち、液中継槽10に被せるように装着された蓋体11に混合液放液器具41を装着し、この混合液放液器具41には液供給管31aが接続されている。液供給管31aには、図1の装置と同様に、水或いは水に所望の添加剤を添加した液が供給されるが、液供給管31aに対して、所望量のオゾン液或いは所望濃度に調整されたオゾン液を供給するオゾン液供給管54が接続されている。そして、オゾン液供給管54との接続箇所より下流側の液供給管内において液とオゾン液とが混合され、この混合液が前記した混合液放液器具41により、雨水状の液滴として液中継槽10内に継続的に放出されるようになっている。
オゾン液供給管54には逆止弁55が設けられ、液供給管31aからの液が逆流しないようになっている。
【0052】
液中継槽10内の混合液は、図1の荷電イオン化液製造装置と同様に、レリーフ弁38による混合液の循環作用により、液中継槽10内のオゾンが溶解された混合液と、戻し配管39から戻されたオゾンが溶解された混合液とが常時混合し、液中継槽10内に混合液放液器具41により供給される液とオゾン液との混合液におけるオゾン濃度の均一化を保持することにより、オゾンが溶解された混合液を常時安定化した状態で利用することが可能となる。
【0053】
上記した各荷電イオン化混合液供給装置の構造によれば、液中継槽10内において水等の液とオゾン液とが混合されて混合液になるとともに、レリーフ弁38によりオゾンが溶解された混合液が循環するようにしたので、常時液中継槽内においてオゾン液を溶解した混合液の混合作用が繰り返されることで混合液のオゾン濃度の均一化を図ることができ、簡単な構成でオゾン混合液を確実に安定化させることができる。
【0054】
本発明の荷電イオン化混合液供給装置に配されるヘッダー80は小型に構成され、且つ、液中継槽10からヘッダー80に送られる水等の液とオゾン液とを混合した混合液を、ヘッダー80通過時にオゾンを溶解した荷電イオン化混合液とする構成としたことにより、従来技術に比較して消費電力の軽減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の荷電イオン化液供給装置を示す構成説明図である。
【図2】荷電イオン化液供給装置の他の実施例を示す構成説明図である。
【符号の説明】
【0056】
1 筐体
3 ポンプ
10 液中継槽
11 蓋体
20 高電圧直流制御電源
21 ケーブル
22 電極
30 液供給源
31 液供給路
31a 液供給管
32 分配管
36 吸引管
37 誘導管
38 レリーフ弁
39 戻し配管(余剰液帰還路)
40 液放液器具
41 混合液放液器具
50 オゾン液放液器具
51 オゾン液生成機
53 オゾン液導入管
54 オゾン液供給管
60 液供給ポンプ
70 液面検知装置
80 ヘッダー
81 定量弁
82 各段ヘッダー
100 荷電イオン化液供給装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
水或いは水に所望の添加剤を添加した液を雨水状の液滴として継続的に放出する放液器具と、所望量のオゾン液或いは所望濃度に調整されたオゾン液を雨水状の液滴として継続的に放出するオゾン液放液器具とを所定の高さ位置に配設した蓋を被せ、前記両放液器具から供給された液及びオゾン液を混合して所定量の混合液として保持しながら通過させる液中継槽に、吸引管、ポンプ、誘導管を介在させ、
該誘導管の先端に、内部に直流高電圧を印加する電極を配置して成るヘッダーを連結し、
前記液中継槽と前記ヘッダーとの間の誘導管にレリーフ弁を配し、設定された一定量の混合液を前記ヘッダーへ供給し、余剰分を前記レリーフ弁の配置箇所で前記液中継槽内に戻す余剰液帰還路を設け前記余剰分の混合液を前記液中継槽内で循環混合させる構成とした
ことを特徴とする荷電イオン化混合液供給装置。
【請求項2】
前記オゾン液放液器具は、オゾン生成機により生成するオゾンと液とを混合処理することによりオゾン液とするオゾン液発生装置にオゾン液導入管を介して接続され、このオゾン液発生装置からのオゾン液を前記液中継槽に液滴として供給するように構成した請求項1に記載の荷電イオン化混合液供給装置。
【請求項3】
水或いは水に所望の添加剤を添加した液を供給する液供給管に、所望量のオゾン液或いは所望濃度に調整されたオゾン液を供給するオゾン液供給管を接続し、前記両管を接続した管内で前記液と前記オゾン液とが混合された混合液とし、該混合液を、雨水状の液滴として継続的に放出する混合液放液器具を所定の高さに配設した蓋を被せて、前記混合放液器具から供給された混合液を所定量の混合液として保持しながら追加させる液中継槽に、吸引管、ポンプ、誘導管を介在させ、
該誘導管の先端に、内部に直流高電圧を印加する電極を配置して成るヘッダーを連結し、
前記液中継槽と前記ヘッダーとの間の誘導管にレリーフ弁を配し、設定された一定量の混合液を前記ヘッダーへ供給し、余剰分を前記レリーフ弁の配置箇所で前記液中継槽内に戻す余剰液帰還路を設け前記余剰分の混合液を前記液中継槽内で循環混合させる構成とした
ことを特徴とする荷電イオン化混合液供給装置。
【請求項4】
前記オゾン液供給管は、オゾン生成機により生成するオゾンと液供給源からの供給液とを混合処理することによりオゾン液とするオゾン液発生装置に接続して成る請求項3に記載の荷電イオン化混合液供給装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−290063(P2008−290063A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−316439(P2007−316439)
【出願日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【出願人】(506020126)株式会社CDS (3)
【Fターム(参考)】