説明

葬儀の演出方法

【課題】演出に動きがあるものの、慎ましやかな葬儀の雰囲気を守りつつ、参列者に故人を偲ばせるような幻想的な雰囲気を与えることができる葬儀の演出方法を提供する。
【解決手段】本発明の演出方法は、葬儀の際の祭壇上、または祭壇付近で演出装置を用いて行われる。この演出方法は、発光液を溜める上部貯留槽21から祭壇に向かって左右方向に沿って所定間隔ごとに玉鎖22を吊り下げ、発光液を玉鎖22の上部から流すことで、発光液の連続的な流れに偏りが発生する。この発光液の偏りにより流れの塊ができる。参列者には、この塊が発光部に見え、発光液が下方へ流れることで、発光部が下方に向かって連続的に移動するように見えるので、祭壇上または祭壇付近で動きのある演出を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、葬儀の際に祭壇で行われる葬儀の演出方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
葬儀における演出としては、特許文献1〜3に記載されたものが知られている。
特許文献1には、第1端末からサーバにアップロードされた遺影とスナップ写真や動画などのデジタルデータ、文字情報などの被処理データを、第2端末によりダウンロードし処理した後、再度、サーバにアップロードし、処理済データを葬儀会場で表示すると共に、処理済データに基づいて遺影や会葬礼状等を印刷したり、更に、DVDやアルバム等を作成して参列者に配布したりすることにより、葬祭をより効果的に演出するデジタル遺影表示システムおよびデジタル遺影を利用した葬祭演出方法が記載されている。
【0003】
特許文献2には、葬儀の雰囲気を昂揚させるポジフィルムにより構成された画面に光線等を照射または透過させて、会場に張り巡らされる幕の部分、床の一部または全体、あるいは天井の一部または全体に、葬儀の背景とする儀式又は式典の演出用具が記載されている。
【0004】
特許文献3には、オーロライメージが描き出されている画像パネル部を葬祭壇等の背面に配置し、このオーロライメージに対して星雲等の光パターンが静かに移動する状態で投影する光源部を設けることにより、葬儀会場で故人を追悼する上での厳粛な雰囲気を効果的に演出できるようにした葬祭用オーロライメージの表示装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−288660号公報
【特許文献2】特開平10−201604号公報
【特許文献3】特開2002−223932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載のデジタル遺影を利用した葬祭演出方法では、遺影の画像を投影するものなので、幻想的な雰囲気を醸し出すような演出方法ではない。
また、特許文献2に記載の儀式又は式典の演出用具では、会場に設置したパネルにポジティブフィルムを背景として投影するだけでは動きがないため、演出効果が弱いものと思われる。
【0007】
更に、特許文献3に記載の葬祭用オーロライメージの表示装置では、オーロライメージをアクリルラッカ等の艶のある白色塗料を使用してエアーガンなどの塗装手段で平面パネルに描いたものであるため、動きがあるものではない。また、このオーロライメージを照らす光学的エフェクト部は、北極星などの恒星をイメージした光通過パターンや複数の星の集団をイメージした光通過パターン、星座をイメージした光通過パターン、多数の星が集まった星雲をイメージした光通過パターンを回転させて各イメージを平面パネルに投光するものなので、動きがあるといっても、オーロライメージ上を次々と光通過パターンが変わるだけである。
【0008】
そこで本発明は、演出に動きがあるものの、慎ましやかな葬儀の雰囲気を守りつつ、参列者に故人を偲ばせるような幻想的な雰囲気を与えることができる葬儀の演出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の葬儀の演出方法は、葬儀の際の祭壇上、または祭壇付近で行われる演出方法において、前記祭壇に向かって左右方向に沿って所定間隔ごとに複数の発光部を、上下方向に沿って移動させることを特徴とする。
葬儀の際の祭壇上、または祭壇付近で発光部を移動させる演出である。発光部は、左右方向に沿って所定間隔ごとにあり、これを上下方向に沿って移動させる。このようにして発光部が祭壇上または祭壇付近で移動することで、動きのある演出とすることができる。また、動きのある演出で参列者の目を引くが、発光部を上下方向に移動するだけなので、慎ましやかな葬儀の雰囲気を壊すことなく、かつ幻想的な雰囲気を醸成することができる。
【0010】
所定間隔ごとに配置された玉鎖(ボールチェーン)に発光液を流して、発光液によりできる流れの塊を前記発光部として移動させるのが望ましい。玉鎖に発光液を流すと、玉鎖を形成する球体部と、球体部を繋ぐ球体部より直径の小さい連結部とにより、発光液の不連続な流れの偏りが発生する。この偏りにより発光液の流れの塊ができる。参列者には、この塊が発光部に見え、発光液が下方へ流れることで、発光部が下方に向かって連続的に移動するように見える。従って、祭壇上または祭壇付近で発光部が移動することで、参列者に興味を抱かせることができる。
【0011】
前記玉鎖に発光液を流し込む上部貯留槽の上面を開放して、発光液をライトアップ照明として発光させるのが望ましい。上部貯留槽の上面が開放されていると、発光液からの光が上方へ向かって広がるので、ライトアップ照明としての演出効果を得ることができる。
【0012】
上下方向に沿って列状に配置された発光ダイオードであって、左右方向に沿って所定間隔ごとに並べられた発光ダイオードを上下方向に沿って順次点灯させることで、発光した発光ダイオードを前記発光部として移動させるのが望ましい。
発光ダイオードが上下方向に沿って列状に配置され、この列状の発光ダイオードが左右方向に沿って所定間隔ごとに並べられている。この発光ダイオードを順次点灯させることにより、発光ダイオードの発光が発光部として下方へ連続的に移動するように見える。
【発明の効果】
【0013】
本発明の葬儀の演出方法によれば、発光部が祭壇上または祭壇付近で発光部を上下方向に移動することで、動きのある演出とすることができると共に、慎ましやかな葬儀の雰囲気を壊すことなく、かつ幻想的な雰囲気を醸成することができる。従って、本発明は、演出に動きがあるものの、慎ましやかな葬儀の雰囲気を守りつつ、参列者に故人を偲ばせるような幻想的な雰囲気を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態1に係る演出方法に用いられる祭壇に設置された演出装置を示す正面図である。
【図2】図1に示す演出装置の側面図である。
【図3】図1に示す演出装置の平面図である。
【図4】図1に示す演出装置の上部貯留槽を示す垂直断面図と一部拡大図である。
【図5】図1に示す演出装置のホッパ部を示す垂直断面図である。
【図6】図1に示す演出装置を循環する発光液を説明するための図である。
【図7】本発明の実施の形態1の第1変形例に係る演出装置を示す正面図である。
【図8】本発明の実施の形態1の第2変形例に係る演出装置を示す図であり、(A)は正面図、(B)は側面図である。
【図9】本発明の実施の形態2に係る演出方法に用いられる祭壇に設置された演出装置を示す正面図である。
【図10】図9に示す演出装置の側面図である。
【図11】図9に示す演出装置の平面図である。
【図12】図9に示す演出装置を循環する水を説明するための図である。
【図13】発光ダイオードが実装された基板を説明するための図である。
【図14】(A)から(D)は発光ダイオードを順次点灯させて移動させる状態を説明するためのタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の形態に係る演出方法について、まず発光液を使用した演出方法について説明する。
(実施の形態1)
本実施の形態1に係る演出方法は、図1から図3に示す演出装置1により発光液を使用して光の流れで葬儀を演出する方法である。
【0016】
図1から図3に示す演出装置1は、発光ユニット2と、発光ユニット2との間で発光液を循環させる制御ユニット3と、ベースユニット4とを備えている。発光ユニット2は、遺影Sの下方に位置する大型の第1の発光ユニット2aと、第1の発光ユニット2aの上方にあって、遺影Sを間に位置させた2台の小型の第2の発光ユニット2bとから構成されている。
第1の発光ユニット2aと2台の第2の発光ユニット2bとは長さが異なるだけで基本構成は同じであるため、第1の発光ユニット2aを説明することで、第2の発光ユニット2bの説明は省略する。
【0017】
第1の発光ユニット2aは、発光液を溜めるための上部貯留槽21と、上部貯留槽21から吊り下げられた玉鎖22と、玉鎖22の下方に配置されたホッパ23と、鏡24と、前面パネル25とを備えている。
【0018】
図4に示すように、上部貯留槽21は、槽本体211の上面が開放された長尺状の容器である。槽本体211の前面板211aと後面板211bの上部は、塵埃などの侵入を抑制するため、上方に向かうに従って、徐々に間隔が狭くなるように形成されている。槽本体211には、棒状部材212の両端部を担持するための略V字状の切欠が形成された支持部材213が設けられている。玉鎖22は、この棒状部材212に所定間隔ごとに吊り下げることで、上下方向に沿って配置されている。槽本体211の底面板211cには、玉鎖22を挿通させつつ、発光液を玉鎖22に垂らす貫通孔214が玉鎖22の吊り下げ間隔に合わせて設けられている。また、槽本体211には、制御ユニット3からの発光液が供給されるエルボ管215が接続されている。貫通孔214の直径は、玉鎖22が十分に通過できる程度に大きく、かつ発光液が塊になりながら流れ落ちるような適度な孔径に調整されている。
玉鎖22は、中空の球体部221と、拡径した両端が球体部221に回動自在に収納した球体部221同士を繋ぐ棒状の連結部222とから線状体として形成されたものである。本実施の形態では、直径が約1.5mmの球体部221を有する玉鎖22を使用している。
【0019】
図5に示すように、ホッパ23は、玉鎖22を流れる発光液を受けるためのもので、ホッパ本体231の上面が開放された長尺状の容器である。ホッパ本体231の底面の一部には、溜まった発光液を回収するために、発光液を排出するための排出口232が設けられている。排出口232には、発光液に混入した大粒のゴミが排出されないように、ステンレス網233が設けられている。
【0020】
図1および図2に示すように、鏡24は、吊り下げられている玉鎖22の後ろ側に配置され、玉鎖22を流れる発光液からの光を参列者側へ反射する反射手段として機能するものである。前面パネル25は、制御ユニット3の前面に配置され、制御ユニット3の各部が参列者から見えないようにするためのカバー板である。
【0021】
次に、制御ユニット3について、図面に基づいて説明する。
制御ユニット3は、無線や有線による指示により発光ユニット2との間で発光液を循環されるものである。制御ユニット3は、溶液セット部31と、送液部32と、制御部33と、戻り管34とを備えている。
【0022】
溶液セット部31は、第1の発光ユニット2a用と、第2の発光ユニット2b用との2台を備えているが、発光液の容量が異なるだけで構成は同じである。
溶液セット部31は、発光原液と発光反応液とを混合させて発光液とするための循環用貯留槽311と、発光原液が貯留される第1ボトルB1と発光反応液が貯留される第2ボトルB2とを保持する保持部312と、ギヤを介して保持部312を回転させて反転させるモータ313とを備えている。
【0023】
循環用貯留槽311は、ステンレス製で直方体状に形成された上面が開放した容器である。保持部312は、第1ボトルB1および第2ボトルB2を担持すると共に、第1ボトルB1および第2ボトルB2の首部を固定する部材(図示せず)により第1ボトルB1および第2ボトルB2を固定した状態で保持している。
第1ボトルB1には、発光原液が貯留される。発光原液は、蛍光物質、シュウ酸エステル、染料などを溶媒に溶かした蛍光液を用いることができる。また、第2ボトルB2には、発光反応液が貯留される。発光反応液としては、過酸化水素、サリチル酸ナトリウムなどを溶媒に溶かした酸化液を用いることができる。
【0024】
発光原液と発光反応液とを混合することで発光する発光液は、様々な色のものが準備可能である。一例として、第1の発光ユニット2a用の発光液を緑色とし、第2の発光ユニット2b用の発光液を紫としたり、第1の発光ユニット2a用の発光液を青色とし、第2の発光ユニット2b用の発光液をピンク色としたりすることができる。また、葬儀として相応しいものであれば、第1の発光ユニット2aと第2の発光ユニット2bとで、他の色同士を組み合わせることもできる。
【0025】
本実施の形態では、発光原液および発光反応液を貯留する貯留容器として第1ボトルB1,第2ボトルB2としているが、発光原液および発光反応液を貯留可能な容量で、かつ耐腐食性がある容器であれば金属製の容器でも他の容器でもよい。しかし、発光原液および発光反応液を入手したときの容器と異なる容器とすると、保持部312に保持させる際に発光原液や発光反応液を移し換える必要があるので、発光原液および発光反応液を入手する際に使用されるボトルをそのまま第1ボトルB1,第2ボトルB2とするのが望ましい。
【0026】
この保持部312の両端には支持軸312aが設けられ、保持部312全体が回動自在に支持されている。モータ313は、送液部32からの指示により正転および逆転をするものである。
送液部32は、第1の発光ユニット2aへ発光液を液送する第1の発光ユニット2a用と、第2の発光ユニット2bへ発光液を液送する第2の発光ユニット2b用の2台のポンプ321が、防音ボックスに収納されたものである。2台のポンプ321は、液送の開始、停止を行うもので、例えばチューブポンプが使用できる。
【0027】
制御部33は、図示しないリモコン装置からの無線信号を、アンテナを介して受信し、無線信号に応じた指示を送液部32へ出力する機能を備えている。本実施の形態では、無線信号により指示を受信しているがリモコン装置と有線により接続されていてもよい。しかし、葬儀場に配線する手間を要する他、見栄えが悪く、リモコン装置を携帯するスタッフも移動しにくくなるので、無線信号により指示を送信する方がよい。
【0028】
戻り管34は、図2に示すように、ホッパ23の排出口232(図5参照)から垂れ流れる発光液を受け、循環用貯留槽311(図6参照)へ流し込むための配管である(第2の発光ユニット2bの戻り管は図示していない)。
図6に示すように、溶液セット部31の循環用貯留槽311とポンプ321との間、ポンプ321と上部貯留槽21との間は、耐腐食性が強く弾性を有するシリコンチューブなどで形成された循環用の接続管35により接続されている。
【0029】
図1から図3に示すように、ベースユニット4は、第1の発光ユニット2aと制御ユニット3とが配置されたベース板部41と、ベース板部41から立設された第1の発光ユニット2aと第2発光ユニット2bとをそれぞれ支持する支柱部42と、演出装置1の移動が容易なようにベース板部41の裏面に設けられた4個の車輪43とを備えている。
【0030】
以上のように構成された演出装置を用いた葬儀用の演出方法について図面に説明する。
葬儀に際しては、予め準備しておいた発光原液が入った第1ボトルB1と、発光反応液が入った第2ボトルB2とを、キャップを取った状態で、保持部312に保持させておく。
【0031】
リモコン装置からの無線信号を受信した制御部33は、その無線信号が第1の発光ユニット2aを発光させるものであれば、第1の発光ユニット2a用のモータ313に保持部312を回転させて反転させる指示を出力すると共に、第1の発光ユニット2a用のポンプ321を始動させる。また、その無線信号が第2の発光ユニット2bを発光させるものであれば、第2の発光ユニット2b用のモータ313に保持部312を回転させて反転させる指示を出力すると共に、第2の発光ユニット2b用のポンプ321を始動させる。
【0032】
制御部33がモータ313を回転させることで、支持軸312aを中心として保持部312を180°回転させて、第1ボトルB1と第2ボトルB2とを上下反転させる。そうすることで、第1ボトルB1内の発光原液と、第2ボトルB2内の発光反応液とが、勢いよく循環用貯留槽311内に吐出して混合されることで混合溶液である発光液となる。第1ボトルB1と第2ボトルB2とを上下反転させることで、一気に撹拌された状態のように混じり合うので、全体的に偏りなく発光させることができる。
【0033】
次に、制御部33は、内部のタイマーにより所定時間を計測した後に、モータ313を逆転させて、反転した第1ボトルB1と第2ボトルB2とを正位置まで戻す。この所定時間は、第1ボトルB1と第2ボトルB2とからそれぞれ排出できる程度の時間とするのが望ましいが、何回かに分けて第1ボトルB1と第2ボトルB2とからの発光液を追加するように制御するときには、所定時間を短くすることも可能である。
【0034】
発光し始めた発光液は、ポンプ321により吸引されることにより循環用貯留槽311から排出される。循環用貯留槽311の下部からは混合された発光液の一部が徐々に排出されるが、偏りなく混じり合った発光液は最もよい発光状態で取り出すことができる。従って、最初から最後まで最もよい発光状態の発光液を循環用貯留槽311から発光ユニット2へ液送することができる。
【0035】
発光液は、循環用貯留槽311から発光ユニット2の上部貯留槽21へ向けて接続管35を通じて上昇する。上昇した発光液は、エルボ管215を介して槽本体211に溜まる。槽本体211に溜まった発光液は、槽本体211の底面板211cから玉鎖22に伝わりながら流れる。玉鎖22は棒状部材212に吊り下げられているが、この棒状部材212は槽本体211の上部に設けられた支持部材213により支持されている。つまり、玉鎖22は、槽本体211の底面板211cに設けられた貫通孔214に、真上から挿通して垂下している状態である。従って、貫通孔214の縁部に、直接玉鎖22を引っ掛ける場合と比較して、発光液は貫通孔214からスムーズに流れ落ち、玉鎖22の球体部221に満遍なく均等に伝わる。
【0036】
玉鎖22に発光液を流すと、玉鎖22を形成する球体部221と、球体部221を繋ぐ球体部221より直径の小さい連結部222とにより、発光液の連続的な流れに偏りが発生する。この発光液の偏りにより流れの細い部分と、流れの太い塊の部分ができる。流れの細い部分と塊の部分とは、それぞれ発光しているが、参列者には、この塊が発光部に見え、発光液が下方へ流れることで、発光部が下方に向かって連続的に移動するように見える。従って、祭壇上または祭壇付近で発光部が移動することで、参列者に興味を抱かせることができる。
【0037】
静かに玉鎖22を流れる発光液は、玉鎖22の下端まで移動すると、ホッパ23へ流れ落ちる。ホッパ23からは戻り管34を通じて循環用貯留槽311へ戻り、再度、ポンプ321により吸い出されることで全体を循環する。
【0038】
メンテナンスの際には、上部貯留槽21や玉鎖22を洗浄する。図4に示すように、玉鎖22が吊り下げられている棒状部材212を支持部材213から引き上げることで、所定間隔ごとに配置された玉鎖22を一度に引き上げることができる。また、棒状部材212が槽本体211の上部に設けられた支持部材213に担持されているので、簡単に棒状部材212を取り外しすることができる。
【0039】
このように本発明の実施の形態1に係る演出装置1を用いた演出方法によれば、玉鎖22の上部から発光液を流すことで、球体部221が高輝度の発光部となって移動することで、動きのある演出とすることができる。また、祭壇上または祭壇付近で発光液の高輝度部分が移動することで、参列者の目を引くが、玉鎖22に沿って高輝度部分が下方に移動するだけなので、慎ましやかな葬儀の雰囲気を壊すことなく、かつ幻想的な雰囲気を醸成することができる。従って、本実施の形態1に係る葬儀用の演出方法は、演出に動きがあるものの、慎ましやかな葬儀の雰囲気を守りつつ、参列者に故人を偲ばせるような幻想的な雰囲気を与えることができる。
【0040】
また、上部貯留槽21は、槽本体211の上面が開放されているので、槽本体211に溜まった発光液からの光が上方へ向かって広がる。従って、ライトアップ照明としての演出効果を得ることができる。特に、図1に示すように、第1の発光ユニット2aでは、上方に、遺影Sや第2の発光ユニット2bが配置されているので、遺影Sと共に、第2の発光ユニット2bが下方から照らすことができる。第1の発光ユニット2aによる下方からの光が第2の発光ユニット2bの玉鎖22を流れる発光液に反射して、第2の発光ユニット2bの玉鎖22がより美しく発光したように見えるので、より効果的な演出ができる。また、第1の発光ユニット2aによる下方からの光が遺影Sを近くから照らすので、遺影Sにスポットライトを照らしたような効果を得ることができる。
また、発光ユニット2の玉鎖22の背面側に鏡24が配置されていることで、玉鎖22を流れる発光液の光を、鏡24が参列者に向かって反射するので、輝度の高い発光部を数多く見せる演出を施すことができる。
【0041】
更に、演出装置1の背面上方から霧発生装置によるドライアイスの霧を流せば、ドライアイスによる霧が演出装置1の上方から前面に広がるようにして参列者の方向へ流れ、玉鎖22に流れる発光液の光と、上部貯留槽21から上方へ照射される光とにより、更に幻想的な雰囲気を醸成することができる。
【0042】
(実施の形態1の第1変形例)
図7に示す実施の形態1の第1変形例に係る演出装置は、2台の発光ユニット2が遺影Sを挟んで両側に配置して、ホッパ23を共通させている。そして、玉鎖22を図1に示す玉鎖22より長いものとすることで、玉鎖22の球体部221で光る発光部の移動時間が長くなるので、参列者に発光部を大きな滝のような流れとして見せることができる。
(実施の形態1の第2変形例)
【0043】
図8(A)および同図(B)に示す実施の形態1の第2変形例に係る演出装置は、発光ユニット2が、制御ユニット3を収納した台座44上に置かれた柩Cの前に配置されている。そして、発光ユニット2と柩Cとの間に鏡24が配置されていることで、玉鎖22を流れる発光液の光を、鏡24が参列者に向かって反射するので、輝度の高い発光部を数多く見せる演出を施すことができる。
従来の葬儀では、祭壇の中央部に配置された柩は、最も注目される位置にありながら、何ら演出もされていない。図8に示す演出装置では、故人を天国へ旅立たせる演出を創出することにより、厳粛な中にもより効果のある演出方法を提供することができる。
【0044】
(実施の形態2)
本実施の形態2に係る演出方法は、図9から図12に示す演出装置5により発光ダイオードを使用して光の流れで葬儀を演出する方法である。なお、図9から図11においては図1から図3と、図12においては図5と同じ構成のものは同符号を付して説明を省略する。
【0045】
図9から図11に示す演出装置5は、発光ダイオードDが実装された発光ユニット6(第1の発光ユニット6a,第2の発光ユニット6b)と、発光ユニット6の発光ダイオードDを点灯制御する制御ユニット7とを備えている。
【0046】
演出装置5では、発光ダイオードDを発光部として機能させているため、実施の形態1に係る演出装置1のような玉鎖22(図1参照)は設けられていない。また、発光液の代わりに、水を発光ユニット6と制御ユニット7との間で循環させている。
【0047】
制御ユニット7は、水タンク部71と、送水部72と、制御部73とを備えている。
水タンク部71は、発光ユニット6と制御ユニット7との間を循環させる水を貯留するタンクである(図12参照)。従って、水タンク部71は、図6に示す溶液セット部31と異なり、発光液を保持する保持部312や保持部312を回転させるモータ313などを備えておらず、循環用貯留槽311のみを備えている。
送水部72は、水を水タンク部71から吸い出し、発光ユニット6の上部貯留槽21へ送り出すポンプ721を備えている。ポンプ721は、水を送水するものであるため、薬品である発光液を送水するポンプ321より安価なものが使用できる。
制御部73は、図示しないリモコン装置からの無線信号を、アンテナを介して受信し、無線信号に応じた指示を送水部72へ出力する機能を備えている。また、制御部73は、発光ユニット6の発光ダイオードDの発光制御を行う。
【0048】
図9および図10に示すように、発光ユニット6は、大型の第1の発光ユニット6aと、第1の発光ユニット6aの上方に位置する小型の第2の発光ユニット6bとから構成されている。第1の発光ユニット6aと第2の発光ユニット6bとは長さが異なるだけで基本構成は同じである。
発光ユニット6には、図13に示すように、パネル61に絶縁板である固定板62を貼り合わせた基板63に発光ダイオードDが実装されている。なお、図13においては、5個の発光ダイオード(LED(1)〜LED(5))のみを図示している。パネル61は反射手段として機能させるために、白色パネルとしたり、鏡としたりすることができる。
この基板63には、発光ダイオードDが上下方向に沿って列状に配置されて発光ダイオード列として実装されていると共に、この発光ダイオード列が左右方向に沿って所定間隔ごとに並べられている(図9参照)。
【0049】
発光ダイオードDには、制御部73からそれぞれ出力線(LED(1)出力〜LED(5)出力)が接続されている。また、全部の発光ダイオードDには、制御部73からの共通線(COM)が接続されている。制御部73は、出力線(LED(1)出力〜LED(5)出力)を有効とすることで、発光ダイオードDを点灯させる。
また、発光ユニット6は、上部貯留槽21の貫通孔214から水を何も介在させることなく、ホッパ23へ直接落下させて、発光ダイオードDからの発光を落下する水で乱反射させている。
【0050】
発光ダイオードDは、様々な色のものが準備可能である。一例として、第1の発光ユニット6a用の発光ダイオードDを緑色とし、第2の発光ユニット6b用の発光ダイオードDを紫としたり、第1の発光ユニット6a用の発光ダイオードDを青色とし、第2の発光ユニット6b用の発光ダイオードDをピンク色としたりすることができる。また、赤色・緑色・青色を発光する3色発光の発光ダイオードDであれば、制御部73により発光色の組み合わせにより他の色も発光させることが可能なので、葬儀として相応しいものであれば、第1の発光ユニット6aと第2の発光ユニット6bとで、他の色同士を組み合わせることもできる。
【0051】
以上のように構成された本発明の実施の形態2に係る演出装置5の動作について、図面に基づいて説明する。
図12に示すように、制御部73がポンプ721を始動させることで、水はポンプ721により吸引され、水タンク部71の循環用貯留槽311から排出される。水は、循環用貯留槽311から発光ユニット6の上部貯留槽21へ向けて接続管35を通じて上昇する。上部貯留槽21からホッパ23へ向かって流れ落ちた水は、ホッパ23から循環用貯留槽311へ戻る。このようにして演出装置5は、発光液と同様に水を循環させている。
【0052】
なお、本実施の形態2に係る演出装置5では、第1の発光ユニット6a用および第2の発光ユニット6b用に2個の水タンク部71を設けている。しかし、第1の発光ユニット6a用および第2の発光ユニット6b用の水タンク部71を共通させて、1個の水タンク部71とすることもできる。その場合には、この1個の水タンク部71に2台のポンプ721を2本の接続管35を介して接続して、それぞれのポンプ721から第1の発光ユニット6aおよび第2の発光ユニット6bへ送水する。また、第1の発光ユニット6aおよび第2の発光ユニット6bからのホッパ23からの水を、それぞれの戻り管34から集合させて水タンク部71へ戻す。このように構成することで、1個の水タンク部71とすることができので、コスト削減を図ることができる。
【0053】
制御部73は、ポンプ721の始動・停止を制御するだけなく、発光ダイオードDの点灯制御を行っている。この点灯制御について、図14に基づいて説明する。なお、図14については、5個の発光ダイオードD(LED(1)〜(5))の点灯制御を例に説明する。LED(1)〜(5)は基板63に列状に実装された発光ダイオードDの一部であり、LED(1)が上側、LED(5)が下側である。
【0054】
制御部73による発光ダイオードDの点灯制御は、例えば、図14(A)に示すように、隣接した2個の発光ダイオードDの発光タイミングの一部が重なるようにして2個の発光ダイオードDを同時に発光させ、同時発光の重なりが終了すると、次の発光ダイオードDを発光させる。具体的には、まずLED(1)を点灯させ、次にLED(2)を点灯させることで、LED(1)とLED(2)とが同時点灯状態となる。次のタイミングでは、LED(1)を消灯させ、LED(3)を点灯させることで、LED(2)とLED(3)とが同時点灯状態となる。このように同時発光のタイミングを、順次、下方の発光ダイオードDにずらすことで、2個ずつの発光ダイオードDの発光を、次々と下方へ移動するように点灯させることができる。
【0055】
また、図14(B)に示すように、制御部73は、2個の発光状態の発光ダイオードDが次々と上方へ移動するように点灯させている。具体的には、まずLED(5)を点灯させ、次にLED(4)を点灯させることで、LED(5)とLED(4)とが同時点灯状態となる。次のタイミングでは、LED(5)を消灯させ、LED(3)を点灯させることで、LED(4)とLED(3)とが同時点灯状態となる。このように同時発光のタイミングを、順次、上方の発光ダイオードDにずらすことで、2個ずつの発光ダイオードDの発光を、次々と上方へ移動するように点灯させることができる。
【0056】
更に、図14(C)では、制御部73が、発光ダイオードDを1個ずつ点灯させ、順次、下方の発光ダイオードDへ移動させることで、発光を下方へ移動させている。具体的には、まずLED(1)を点灯させ、次にLED(1)を消灯させると共に、LED(2)を点灯させる。次のタイミングでは、LED(2)を消灯させると共に、LED(3)を点灯させる。このように、1個の発光状態の発光ダイオードDを、順次、下方へ移動させることができる。
【0057】
また、図14(D)に示すように、制御部73は、発光ダイオードDを1個ずつ点灯させ、順次、上方の発光ダイオードDへ移動させることで、発光を上方へ移動させている。具体的には、まずLED(5)を点灯させ、次にLED(5)を消灯させると共に、LED(4)を点灯させる。次のタイミングでは、LED(4)を消灯させると共に、LED(3)を点灯させる。このように、1個の発光状態の発光ダイオードDを、順次、上方へ移動させることができる。
【0058】
2個の発光状態の発光ダイオードDを、順次、下方や上方へ移動したり、1個の発光状態の発光ダイオードDを、順次、下方や上方へ移動したりするように点灯させることで、発光部として機能する発光ダイオードDの点灯が、下方へ移動したり、上方へ移動したりすることができる。
このように発光ダイオードDの点灯を一方向からだけでなく、他方向からも移動させることができる。
【0059】
なお、本実施の形態2では、発光部の移動として、2個の発光ダイオードDを同時発光させたり、1個の発光ダイオードDを発光させたりしているが、3個以上の発光ダイオードDを同時発光させるようにしてもよい。
【0060】
本実施の形態2に係る演出装置5を用いた演出方法では、発光ダイオードDの発光が発光部として上方または下方へ連続的に移動するように見えるので、動きのある演出とすることができる。発光部が祭壇上または祭壇付近で移動することで、参列者の目を引くが、発光ダイオードDの発光を上下方向に移動するだけなので、慎ましやかな葬儀の雰囲気を壊すことなく、かつ幻想的な雰囲気を醸成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、葬儀の際の祭壇上、または祭壇付近で行われる演出方法に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0062】
1 演出装置
2 発光ユニット
2a 第1の発光ユニット
2b 第2の発光ユニット
21 上部貯留槽
211 槽本体
211a 前面板
211b 後面板
211c 底面板
212 棒状部材
213 支持部材
214 貫通孔
215 エルボ管
22 玉鎖
221 球体部
222 連結部
23 ホッパ
231 ホッパ本体
232 排出口
233 ステンレス網
24 鏡
25 前面パネル
3 制御ユニット
31 溶液セット部
311 循環用貯留槽
312 保持部
312a 支持軸
313 モータ
32 送液部
321 ポンプ
33 制御部
34 戻り管
35 接続管
4 ベースユニット
41 ベース板部
42 支柱部
43 車輪
44 台座
5 演出装置
6 発光ユニット
6a 第1の発光ユニット
6b 第2の発光ユニット
61 パネル
62 固定板
63 基板
7 制御ユニット
71 水タンク部
72 送水部
721 ポンプ
73 制御部
B1 第1ボトル
B2 第2ボトル
C 柩
D 発光ダイオード
S 遺影

【特許請求の範囲】
【請求項1】
葬儀の際の祭壇上、または祭壇付近で行われる演出方法において、
前記祭壇に向かって左右方向に沿って所定間隔ごとに複数の発光部を、上下方向に沿って移動させることを特徴とする葬儀の演出方法。
【請求項2】
所定間隔ごとに配置された玉鎖に発光液を流して、発光液によりできる流れの塊を前記発光部として移動させる請求項1記載の葬儀の演出方法。
【請求項3】
前記玉鎖に発光液を流し込む上部貯留槽の上面を開放して、発光液をライトアップ照明として発光させる請求項2記載の葬儀の演出方法。
【請求項4】
上下方向に沿って列状に配置された発光ダイオードであって、左右方向に沿って所定間隔ごとに並べられた発光ダイオードを上下方向に沿って順次点灯させることで、発光した発光ダイオードを前記発光部として移動させる請求項1記載の葬儀の演出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−191974(P2012−191974A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−56315(P2011−56315)
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【出願人】(599077384)株式会社発光技研 (9)
【Fターム(参考)】