説明

蒸気トラップの異常放出警報装置

【課題】蒸気システムのパイプラインに設置された蒸気トラップにおいて使用される異常放出警報装置を提供する。
【解決手段】本異常放出警報装置は電力発生部と制御回路とを備える。該電力発生部は蒸気トラップから放出された流体を受け取り、自己発生電力を発生させる。該制御回路は該自己発生電力を受け取り検出して検出結果を得る。該制御回路は、該検出結果が所定の閾値より大きい場合、警報信号を送信する。また、異常放出警報装置は監視ユニットを更に備えてもよい。該制御回路は前記検出結果を該監視ユニットへ送信する。該監視ユニットは集めた検出結果から新しい閾値を求め、該新しい閾値とリアルタイム検出結果とを比較し警報を発するか否かを決める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は異常放出警報装置に関し、特に、電力供給の必要なしに異常放出警報を発することが出来る蒸気トラップの異常放出警報装置に関する。
【背景技術】
【0002】
蒸気トラップは蒸気システムにおいて使用される。蒸気システムの動作中、蒸気と凝縮水とガスとがパイプライン内に通常存在する。蒸気トラップの主な機能は、(a)蒸気がパイプラインから漏れるのを防ぐこと、(b)蒸気システム内の凝縮水を取り除くこと、及び(c)凝縮しないガスを放出することである。使用される蒸気トラップが蒸気システムに適していないか、又は異常動作をすると、重大な結果、例えば水撃音、効果的でない伝熱、蒸気漏れ、及びシステム腐食が発生する場合がある。
【0003】
蒸気トラップを蒸気システムに設置した後、蒸気システムの状態に応じて蒸気トラップは凝縮水又は凝縮しないガスを、弁を介して適切な時に放出し、望ましくない蒸気漏れを防ぐ。蒸気トラップの相対的に頻繁な故障は、(a)排出後の弁閉止故障、(b)弁閉塞による排出故障、及び(c)蒸気漏れである。
【0004】
蒸気トラップが正常に動作しているか否かを前もって知るために、故障診断技術が、例えば特許文献1及び特許文献2に提案されている。
【0005】
特許文献1では、蒸気トラップの温度又は圧力差を測定し、温度又は圧力差に従って故障診断を実行し、蒸気トラップに発生する可能性のある故障を予測する。特許文献2には、圧力センサー、温度センサー、及び渦電流変位センサーを備えるボールフロート蒸気トラップが開示され、この蒸気トラップは各センサーからの信号を用いて診断される。
【0006】
従来技術において、蒸気トラップの現在状態を検知でき、その結果、蒸気トラップの診断を行うことが出来るが、実際の工場用途においては、蒸気トラップに故障が発生する可能性があるという予測に応じて、保守管理者が蒸気トラップを交換することは、コストへの配慮からめったになく、通常、異常が発生した時に、故障した蒸気トラップを交換する。また、蒸気トラップの状態を連続して監視したい場合、全システム内の蒸気トラップが配置された全ての部分において回路配線をする必要があり、また連続監視に必要な電力は環境保護、エネルギー節約、及び炭素削減の要求を満たさない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】英国特許出願公開第2457924号明細書
【特許文献2】米国特許第6644131号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の問題に鑑みて、本発明は、放出流体を使用して電力を生成し、異常放出時に警報信号を送信することが出来、これによりエネルギー節約効果と異常時警報効果を同時に達成する蒸気トラップ異常放出警報装置を提供する。
【0009】
1つの実施形態において、本発明は、流体を放出するための放出口を有する蒸気トラップにおいて使用される蒸気トラップの異常放出警報装置を提供する。この異常放出警報装置は電力発生部と制御回路とを備える。電力発生部は該放出口に接続され、該放出口から放出された流体を受け取る。該流体を受け取った時、電力発生部は自己発生電力を発生させる。該制御回路は所定の閾値を有し、該自己発生電力を受け取り検出して検出結果を得る。該検出結果が該所定の閾値を超えている場合、該制御回路は警報信号を送信する。
【0010】
1つの実施形態において、この蒸気トラップ異常放出警報装置は警報素子を更に備える。該警報素子は前記自己発生電力を受け取り、前記警報信号を受信した時、警報を発する。警報は光又は音であってもよい。
【0011】
1つの実施形態において、前記電力発生部は、ハウジングと回転子と整流電圧調整回路とを備える。該ハウジングは前記放出口に接続され、複数の誘導コイルを有する。該回転子は該ハウジングに回動可能に取り付けられ、該放出口から前記流体を受け取ることで回転する。該回転子は複数の磁気素子を有し、該回転子が回転する時、該誘導コイルが該磁気素子の磁力線を切ることで誘導電力を発生させる。該整流電圧調整回路は、該誘導電力の整流及び電圧調整を実行し前記自己発生電力を得る。
【0012】
別の実施形態において、蒸気トラップ異常放出警報装置は信号転送モジュールと監視ユニットとを更に備える。該信号転送モジュールは前記警報信号を受信し送信する。該監視ユニットは該信号転送モジュールによって送信された該警報信号を受信し、該警報信号に対応する警報を発する。
【0013】
別の実施形態において、前記制御回路は前記検出結果を前記監視ユニットへ前記信号転送モジュールを介して送信する。該監視ユニットは該検出結果の統計を集め解析して新しい閾値を求め、該新しい閾値を前記制御回路へ該信号転送モジュールを介して送信する。該制御回路は前記所定の閾値を、受信した該新しい閾値で置き換える。
【0014】
別の実施形態において、前記監視ユニットは学習モードと監視モードとを有する。該監視ユニットが該学習モードに設定されている時、該監視ユニットは集めた前記検出結果から間欠周波数範囲、放出持続時間範囲、及び非放出持続時間の上限を求める。該監視ユニットが該監視モードに設定されている時、該監視ユニットは集めた該検出結果から間欠周波数値、放出持続時間、及び非放出持続時間を得る。該間欠周波数値が該間欠周波数範囲に入っていない場合、又は該放出持続時間が該放出持続時間範囲に入っていない場合、又は該非放出持続時間が非放出持続時間の該上限を超えている場合、該監視ユニットは対応する異常信号を送信する。
【0015】
本異常放出警報装置は、電力発生部と制御回路とにより、蒸気トラップから放出された流体を使用して自己発生電力を発生させることが出来る。自己発生電力は該制御回路へ供給され、該制御回路は前記検出結果に従って放出が異常放出であるか否かを判断する。異常放出であると判断すると警報を発する。また、別の実施形態においては、該監視ユニットは該検出結果を集め解析して統計データを求め、蒸気トラップが正常動作状態にあるか否かをより正確に判断することが出来る。
本発明は下記の詳細な説明からより完全に理解されるであろう。下記の説明は例示だけのためであり、本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る蒸気トラップ異常放出警報装置が適用された蒸気トラップの概略図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る蒸気トラップ異常放出警報装置の概略断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る蒸気トラップ異常放出警報装置の概略展開断面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る蒸気トラップ異常放出警報装置の概略上面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る蒸気トラップ異常放出警報装置の概略回路ブロック図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る蒸気トラップ異常放出警報装置の概略回路ブロック図である。
【図7】本発明の第3の実施形態に係る蒸気トラップ異常放出警報装置の概略回路ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る蒸気トラップ異常放出警報装置が適用された蒸気トラップの概略図である。図1から分かるように、異常放出警報装置20は、蒸気トラップ90の放出口96に配置されている。蒸気トラップ90はディスク型蒸気トラップ(又は熱力学蒸気トラップ)である。また、蒸気トラップ90は、これらに限定されないが、ボールフロート蒸気トラップ、逆バケット蒸気トラップ、又は温度感応蒸気トラップ(バイメタル)であってもよい。
【0018】
蒸気トラップ90は空気入口94、放出口96、及びフィルター92を有する。蒸気トラップ90は蒸気システムのパイプライン内に配置され、パイプラインから流体を空気入口94を介して受け取り、その流体を放出口96を介して放出する。正常動作時、蒸気トラップ90は次の放出モードを有する。(1)パイプライン内の蒸気の温度が下がると、蒸気トラップ90は、温度差によって生成された凝縮水を放出口96を介して放出し、放出は通常、間欠的である、(2)凝縮水は、空気を取り込んだ後、直ちにフラッシュ蒸気として時々かつ間欠的に放出される、及び(3)凝縮しないガスがパイプライン内に存在する時、凝縮しないガスは凝縮水と一緒に放出口96を介して放出される。従って、放出口96を介して放出される流体は、凝縮水、蒸気、又は凝縮しないガスである。この流体の圧力は高くても低くてもよく、放出される流体は液状かガス状であってよい。
【0019】
次に、図2及び図3を参照する。図2は本発明の第1の実施形態に係る蒸気トラップ異常放出警報装置の概略断面図であり、図3は本発明の第1の実施形態に係る蒸気トラップ異常放出警報装置の概略展開断面図である。
【0020】
異常放出警報装置20は電力発生部(詳細な構造を下記に説明する)と、制御回路30とを備える。電力発生部は放出口96に接続部230を介して接続され、放出口96から流体を受け取る。流体を受け取ると、電力発生部は自己発生電力を発生させる。
【0021】
制御回路30は所定の閾値を有する。制御回路30は該自己発生電力を受け取り検出して、検出結果を得る。該検出結果が該所定の閾値を超えていたら、制御回路30は警報信号を送信する。該所定の閾値、検出結果、及び警報信号を下記に説明する。該所定の閾値は制御回路30のメモリに記憶されてよい。該メモリはコントローラの内蔵メモリでも、電気消去可能プログラマブル読出し専用メモリ(EEPROM)等の外部メモリでもよい。
【0022】
電力発生部は基部本体232、回転子25、及び整流電圧調整回路28を備える。基部本体232は接続部230に接続されハウジング23を形成する。基部本体232は複数の誘導コイル26を備える。従って、基部本体232と誘導コイル26との組合せを固定子と呼んでもよい。
【0023】
回転子25は軸受け24a、24bを介してハウジング23に回動可能に取り付けられる。回転子25は放出口96から流体を受け取り、流体によって駆動されて回転する。即ち、放出口96の動作が正常か異常かにかかわらず、回転子25は流体が流れ出す限り駆動され回転する。回転子25は複数の磁気素子250と複数のブレード252とを有する。ブレード252は回転子25の中空の円筒壁の内面に輪状に配置されている。このような配置形態は図4から分かる。回転子25のブレード252は、これらに限定されないが、軸流型、遠心型、ソリッドシャフト型、又は中空シャフト型であってもよい。磁気素子250はこれに限定されないが、永久磁石であってもよい。
【0024】
図5は本発明の第1の実施形態に係る蒸気トラップ異常放出警報装置の概略回路ブロック図である。回転子25が回転する時、磁気素子250の磁界は誘導コイル26によって切られる。誘導コイル26は磁界の磁力線を切ることで誘導電力を発生させる。整流電圧調整回路28はこの誘導電力を受け取り、誘導電力の整流電圧調整を行い、自己発生電力を出力する。整流電圧調整回路28は、これに限定されないが、ブリッジ整流器回路とツェナーダイオードとの組合せであってもよい。
【0025】
自己発生電力が発生すると、自己発生電力は制御回路30へ出力される。制御回路30は外部電力供給がない回路であってもよい。従って、自己発生電力が発生すると、制御回路30は動作を開始できる。異常放出警報装置20は警報素子29を更に備えてもよい。警報素子29は表示ランプ又は警報ランプであってよい。警報素子29が表示ランプ(放出表示ランプとも呼ぶ)である場合は、表示ランプは前記自己発生電力を受け取った直後に光を発し、保守管理者又は操作者に蒸気トラップ90が流体を放出していることを通知することが出来る。警報素子29が警報ランプである場合は、警報ランプは前記自己発生電力と警報信号とを受け取るまで発光しないので、保守管理者又は操作者が警報ランプの発光を見た場合、その発光は異常放出の発生を示す。また、警報素子29は警報器であってもよい。警報器は自己発生電力と警報信号とを受け取った後、音を発するので、保守管理者又は操作者は異常放出の発生を知る。
【0026】
前記所定の閾値の設定を説明する前に、蒸気トラップ90の複数の動作モード(故障状態を含む)を実験と経験により説明する。蒸気トラップ90の動作モードは、モード1:間欠的蒸気又は凝縮水放出、モード2:完全な閉塞、及びモード3:連続的蒸気放出に概ね分けられる。モード1では、蒸気又は凝縮水の放出持続時間は、蒸気トラップ90の設置位置と蒸気システムの特性とに関係し、1秒未満か又は数秒までである。モード2とモード3は故障状態である。モード2では、長時間の間、放出は起こらない。モード3では、放出は長時間継続する。連続的非放出又は放出の持続時間も蒸気トラップ90の設置位置と蒸気システムの特性とに関係する。
【0027】
通常、複数の蒸気トラップ90が蒸気システムに配置される。各蒸気トラップ90は蒸気システムのパイプラインの異なる位置に個別に配置される。経験によると、同じ位置に配置された蒸気トラップ90の放出動作は同じである。即ち、蒸気トラップ90がパイプラインに配置された場合、蒸気トラップ90は正常動作時、通常、モード1の放出を行う。ある期間使用後、この蒸気トラップ90の放出モードが変わった場合、この蒸気トラップ90に故障が発生している可能性がある。従って、蒸気トラップ90を設置した後、蒸気トラップ90の正常動作時の間欠周波数、各放出の持続時間、及び各放出後の閉止(非放出)持続時間を観察により知ることが出来る。観察結果から、放出持続時間の平均値が前記所定の閾値として設定される。
【0028】
異常放出警報装置20の電力発生部は、蒸気トラップ90の放出口96で放出が行われる時、自己発生電力を発生させる。自己発生電力は制御回路30に供給され、制御回路30を作動させ、制御回路30は持続時間計算を行う。制御回路30によって計算された連続放出持続時間が前記所定の閾値を超えると、警報信号が送信される。このようにして、異常を警報するという目的を達成する。
【0029】
前記所定の閾値は、平均値と、ある数の放出の持続時間の統計を解析して求めた標準偏差の3倍又は他の統計的手法で求めた値との和であってもよい。例えば、所定の閾値はこれに限定されないが、信頼水準95%における上限値であってもよい。また、所定の閾値は、ある範囲、例えば、平均値±(ある数の放出の持続時間の統計を解析して求めた標準偏差の3倍)の範囲であってもよい(即ち、制御回路30は2つの閾値を持つ)。このようにして、制御回路30の検出結果(現在放出持続時間)が該所定の閾値(範囲)を超えている場合、制御回路30は警報信号を送信する。即ち、現在放出持続時間が該所定の閾値の下限より短いか又は該所定の閾値の上限より長いと、それは、蒸気トラップ90の放出が正常動作状態とは異なり、保守管理者は蒸気トラップ90を修理しなければならないことを示す。
【0030】
制御回路30の電力は自己発生電力であるので、放出持続時間が該所定の閾値より短い場合、制御回路30は自己発生電力がないので警報信号の送信に失敗する。従って、エネルギー貯蔵コンデンサが制御回路30又は整流電圧調整回路28に設けられてもよい。このエネルギー貯蔵コンデンサは、自己発生電力が存在している時に電力を蓄え、自己発生電力が存在しなくなった時、制御回路30が警報信号を送信できるように電力を供給することが出来る。
【0031】
警報信号は、警報素子29の駆動源又は基準信号として働くだけでなく、有線又は無線送信モジュールを駆動してもよい。これにより、この有線又は無線送信モジュールは警報信号を遠隔中央コンソール(例えば監視ユニット)へ引き続く処理のために送信する。これに関係する実施形態を下記に詳細に説明する。
【0032】
また、制御回路30の検出結果は現在放出持続時間だけでなく、これらに限定されないが、自己発生電力の電圧値又は電流値であってもよい。自己発生電力の電圧値又は電流値の大きさは、放出口96から放出される流体の流量及び流速に関係する。従って、蒸気トラップ90を蒸気システムのパイプラインに設置した後、蒸気トラップ90の正常動作時の電圧値又は電流値を連続的に観察し、統計的手法で正常動作を決める閾値を求めて、該所定の閾値として使用する。
【0033】
図6は本発明の第2の実施形態に係る蒸気トラップ異常放出警報装置の概略回路ブロック図である。図6から分かるように、異常放出警報装置20は信号転送モジュール32と監視ユニット40とを更に備える。監視ユニット40は信号転送モジュール32に電気的に結合されている。
【0034】
信号転送モジュール32は制御回路30に電気的に結合されている。信号転送モジュール32は警報信号を受信し送信する。監視ユニット40は信号転送モジュール32が送信した警報信号を受信し、警報信号に対応する警報を発する。通常、外部電力が監視ユニット40に供給され、警報信号を受信した直後に警報を連続的に保守管理者が警報を確認するまで発することが出来る。監視ユニット40が発する警報の形態は、これらに限定されないが、ランプ光表示、画面表示、短いメッセージ表示、又は音響警報であってよい。
【0035】
信号転送モジュール32は、これらに限定されないが、有線又は無線送信モジュールであってもよい。この無線送信モジュールは、これらに限定されないが、ブルートゥース通信装置、無線ネットワーク通信装置(例えばジグビー)、汎用パケット無線サービス(GPRS)通信装置、簡易型携帯電話システム(PHS)通信装置、符号分割多重アクセス(CDMA)通信装置、広帯域CDMA(WCDMA)通信装置、又はグローバル・システム・フォー・モバイル・コミュニケーションズ(GSM)通信装置であってもよい。
【0036】
図6に示すように、監視ユニット40はコントローラ41、信号送受信モジュール42、及び警報ランプ43を備える。信号送受信モジュール42は信号転送モジュール32から送信された警報信号を受信し、この警報信号をコントローラ41に提供する。警報信号を受信した後、コントローラ41は警報ランプ43を作動し発光させ、保守管理者に警報を発して、遠隔警報の効果を達成する。
【0037】
また、監視ユニット40はメモリ44、表示素子45、及び入力素子46を更に備える。メモリ44は、これらに限定されないが、ランダムアクセスメモリ(RAM)又はEEPROMであってもよい。表示素子45は、これらに限定されないが、液晶ディスプレイ(LCD)ユニット、7セグメントディスプレイ、又は発光ダイオード(LED)表示パネルであってもよい。入力素子46はユーザが監視ユニット40を操作するためのキーボード又はボタンであってもよい。
【0038】
コントローラ41は受信した警報信号をメモリ44に記憶するか、又は警報信号を表示素子45上に表示する。ユーザ(例えば保守管理者)は、入力素子46と表示素子45を使用して警報信号の全記録を問い合せてもよい。
【0039】
また、制御回路30は検出結果を監視ユニット40へ信号転送モジュール32を介して送信することが出来る。監視ユニット40は検出結果の統計を集め解析して新しい閾値を求める。次に、監視ユニット40はこの新しい閾値を信号転送モジュール32を介して制御回路30へ送信することが出来る。制御回路30は前記所定の閾値を受信した新しい閾値で置き換える。このようにして、制御回路30の該所定の閾値は、監視ユニット40による統計手法により設定でき、相対的に正確な異常監視を実現できる。
【0040】
本実施形態によると、異常放出警報装置20の動作は2つのモード、学習モードと監視モードとに分けることが出来る。異常放出警報装置20と蒸気トラップ90とが蒸気システムに設置され最初に正常動作する時、異常放出警報装置20は学習モードに設定される。この時、異常放出警報装置20の監視ユニット40は制御回路30から送信される検出結果を集める。この検出結果は、これらに限定されないが、放出持続時間、各放出の持続時間、放出間隔における電圧値、又は放出間隔における電流値であってもよい。
【0041】
コントローラ41は検出結果を受信し、メモリ44に記憶するか、又は表示素子45に表示する。続いて、ある時間後、又はユーザが異常放出警報装置20を監視モードに切り替えた時、コントローラ41は集めた全ての検出結果の統計を解析して閾値を求める。この時、コントローラ41が求める閾値は、異なる物理量の閾値、例えば放出持続時間範囲(上限と下限)、放出の間欠周波数範囲、放出電圧範囲、放出電流範囲、又は非放出持続時間の上限であってもよい。間欠周波数範囲は、ある期間の統計の解析によって求めた単位時間(1時間又は1日)当たりの蒸気トラップ90からの放出の回数を意味する。間欠周波数値は、期間、例えば正常状態での各放出と閉止(非放出)との持続時間の上限値と下限値(範囲)で置き換えてもよい。放出持続時間範囲は、正常放出時に統計的に求めた蒸気トラップ90からの各連続放出の正常持続時間の範囲(上限と下限)を意味する。非放出持続時間の上限の場合は、蒸気トラップ90の正常動作時、非放出持続時間が上限を超えると、それは蒸気トラップ90に閉塞が発生している可能性があることを示す。
【0042】
検出結果の統計を解析して閾値を求める時、コントローラ41はアウトライアー除去とクラスター化処理とを集めた全データに先ず行い、より正確な閾値を求めてもよい。更に、異常放出警報装置20が異常信号を不適切に送信するのを防ぐために、コントローラ41は統計的に求めた閾値に安全係数を加えてもよい。
【0043】
異常放出警報装置20が学習モードから監視モードへ切り替わった後、コントローラ41は前記様々な閾値を求め、制御回路30が送信する蒸気トラップ90のリアルタイム放出情報(即ち、検出結果)を連続的に受信する。検出結果を受信した後、コントローラ41は検出結果を該閾値と比較する。検出結果が閾値を超えている(より大きいかより小さい)場合、コントローラ41は警報を発する。即ち、監視ユニット40が監視モードに設定された時、監視ユニット40は間欠周波数値を集めた検出結果から得、その間欠周波数値が間欠周波数範囲内に入っていない場合、監視ユニット40は間欠異常信号を送信する。監視ユニット40が放出持続時間(単一のリアルタイム連続放出の持続時間)を集めた検出結果から得、その放出持続時間が放出持続時間範囲内に入っていない場合、監視ユニット40は放出異常信号を送信する。監視ユニット40が非放出持続時間を集めた検出結果から得、その非放出持続時間が非放出持続時間の上限を超えている場合、監視ユニット40は非放出異常信号を送信する。
【0044】
図6の第2の実施形態に係る異常放出警報装置20が使用された場合、異常が発生しているか否かをコントローラ41が判断できる。このように、判断可能な異常の種類は様々な検出結果の詳細な物理特性、例えば電圧と電流をカバーする。蒸気トラップ90が閉塞し長時間動作停止しているか否かを判断してもよい。このようにして、異常放出警報装置20は蒸気トラップ90の3つの異なる動作モードを監視するという目的を達成できる。
【0045】
図7は本発明の第3の実施形態に係る蒸気トラップ異常放出警報装置の概略回路ブロック図である。第3の実施形態において、異常放出警報装置は複数の近端装置50a、50bと監視ユニット40とを備える。各近端装置50a、50bは電力発生部、制御回路30、及び信号転送モジュール32を備えてもよい。監視ユニット40はコントローラ41、信号送受信モジュール42、メモリ44、警報ランプ43、表示素子45、及び入力素子46を備えてもよい。
【0046】
各近端装置50a、50bは、蒸気トラップ90から各放出の検出結果を集めるために蒸気トラップ90に配置される。各近端装置50a、50bの制御回路30は集めた検出結果を監視ユニット40へ信号転送モジュール32を介してリアルタイムに送信し、同時に自身の識別子(番号)を監視ユニット40へ送信する。監視ユニット40は蒸気トラップ90の検出結果を集め、各近端装置50a、50bの識別子に従って分類する。ユーザ(又は保守管理者)が監視ユニット40を制御し閾値を計算させるか、又は異常放出警報装置20を学習モードから監視モードに切り替えた場合、コントローラ41は統計を解析し、各近端装置50a、50bの識別子に従って対応する閾値を求める。即ち、本実施形態では、各近端装置50a、50bは対応する閾値を有し、各近端装置50a、50bは複数の閾値を有してもよく、対応する蒸気トラップ90の放出が正常か否かをリアルタイムに監視する。
【0047】
上記から分かるように、異なる機能を異常放出警報装置20の異なる実施形態で実現することが出来る。異常放出警報装置20は蒸気トラップ90から放出された流体を使って自己発生電力を発生させ、その自己発生電力を制御回路30に供給することが出来、これにより制御回路30は異常が発生していると判断した時、異常信号を送信できる。第2の実施形態では監視ユニット40を更に設けることで、蒸気トラップ90の複数の異常状態を監視し、制御回路30がより正確に警報信号を送信できるように特定の蒸気トラップ90の正常動作の状態に従って前記所定の閾値を更新することが出来る。第3の実施形態では、単一の監視ユニット40が複数の近端装置50a、50bに対して設けられ、各近端装置50a、50bに対応する蒸気トラップ90を監視するために使用される。これによりエネルギー節約と異常警報の効果を達成する。
【符号の説明】
【0048】
20 異常放出警報装置
23 ハウジング
25 回転子
26 誘導コイル
28 整流電圧調整回路
30 制御回路
90 蒸気トラップ
96 放出口
250 磁気素子
252 ブレード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を放出するための放出口を有する蒸気トラップにおいて使用される蒸気トラップの異常放出警報装置であって、
該流体を受け取るために放出口に接続され、該流体を受け取った時、自己発生電力を発生させる電力発生部と、
所定の閾値を有し、該自己発生電力を受け取り検出して検出結果を得、該検出結果が該所定の閾値を超えている場合、警報信号を送信する制御回路と
を備える異常放出警報装置。
【請求項2】
前記自己発生電力を受け取り、前記警報信号を受信した時、光を発するための警報ランプを更に備える請求項1に記載の異常放出警報装置。
【請求項3】
前記電力発生部は、
前記放出口に接続され、複数の誘導コイルを有するハウジングと、
該ハウジングに回動可能に取り付けられ、該放出口から前記流体を受け取ることで回転する回転子であって、複数の磁気素子を有し、該回転子が回転する時、該誘導コイルが該磁気素子の磁力線を切ることで誘導電力を発生させる回転子と、
該誘導電力の整流及び電圧調整を実行し前記自己発生電力を得る整流電圧調整回路と
を備える、請求項1に記載の異常放出警報装置。
【請求項4】
前記警報信号を受信し送信するための信号転送モジュールと、
該信号転送モジュールによって送信された該警報信号を受信し、該警報信号に対応する警報を発するための監視ユニットと
を更に備える請求項1に記載の異常放出警報装置。
【請求項5】
前記制御回路は前記検出結果を前記監視ユニットへ前記信号転送モジュールを介して送信し、該監視ユニットは該検出結果の統計を集め解析して新しい閾値を求め、該新しい閾値を前記制御回路へ該信号転送モジュールを介して送信し、該制御回路は前記所定の閾値を、受信した該新しい閾値で置き換える請求項4に記載の異常放出警報装置。
【請求項6】
前記制御回路は識別子を更に備え、前記検出結果を送信するか又は前記警報信号を送信する時、該制御回路は該識別子を一緒に前記監視ユニットへ送信する請求項5に記載の異常放出警報装置。
【請求項7】
前記監視ユニットは学習モードと監視モードとを有し、該監視ユニットが該学習モードに設定されている時、該監視ユニットは集めた前記検出結果から間欠周波数範囲を求め、該監視ユニットが該監視モードに設定されている時、該監視ユニットは集めた該検出結果から間欠周波数値を得て、該間欠周波数値が該間欠周波数範囲に入っていない場合、該監視ユニットは間欠異常信号を送信する請求項4に記載の異常放出警報装置。
【請求項8】
前記監視ユニットが前記学習モードに設定されている時、該監視ユニットは集めた前記検出結果から放出持続時間範囲を求め、該監視ユニットが前記監視モードに設定されている時、該監視ユニットは集めた該検出結果から放出持続時間を得て、該放出持続時間が該放出持続時間範囲に入っていない場合、該監視ユニットは放出異常信号を送信する請求項7に記載の異常放出警報装置。
【請求項9】
前記監視ユニットが前記学習モードに設定されている時、該監視ユニットは集めた前記検出結果から非放出持続時間の上限を求め、該監視ユニットが前記監視モードに設定されている時、該監視ユニットは集めた該検出結果から非放出持続時間を得て、該非放出持続時間が非放出持続時間の該上限を超えている場合、該監視ユニットは非放出異常信号を送信する請求項8に記載の異常放出警報装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−208799(P2011−208799A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−113255(P2010−113255)
【出願日】平成22年5月17日(2010.5.17)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(390023582)財団法人工業技術研究院 (524)
【氏名又は名称原語表記】INDUSTRIAL TECHNOLOGY RESEARCH INSTITUTE
【住所又は居所原語表記】195 Chung Hsing Rd.,Sec.4,Chutung,Hsin−Chu,Taiwan R.O.C
【Fターム(参考)】