説明

蒸気拡散環境における結晶化条件のハイスループットスクリーニングのための装置及び方法

複数のタンパク質結晶化溶液を同時にスクリーニングするため、及び蒸気拡散環境において回折高品質タンパク質結晶を生成するための、高密度ハイスループットマイクロプレート及び方法が開示されている。マイクロプレートは、等しいサイズの画定された並設対チャンバを有し、並設対チャンバは約8μlの最大容積を有し、かつ対チャンバは並設対チャンバ間の蒸気交換を提供する蒸気チャネルを有する。マイクロプレートは、マイクロプレートの表面を密閉するための膜を更に具備する。マイクロプレートは、並設対チャンバの一方中に結晶化溶液を受容し、並設対チャンバの他方中にタンパク質溶液を受容するようになされており、タンパク質溶液及び結晶化溶液は蒸気拡散プロセスを介して相互作用し、これによりタンパク質溶液を収容するチャンバ内でのタンパク質結晶の形成が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2007年10月31日に出願された出願第60/983,960号に対する優先権を主張し、その出願の全文は参照することにより本明細書に組み入れられる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は一般に、バイオテクノロジーの分野に関し、詳細には、複数のタンパク質結晶化溶液を同時にスクリーニングし、高密度ハイスループットフォーマットにおいて蒸気拡散環境中で回折高品質タンパク質結晶を生成するためのマイクロプレート及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
本明細書を通して、特許、公開された出願、技術論文、及び学術論文を包含し得る種々の出版物は括弧内に引用され、各々の完全な引用は本明細書の末尾に見出され得る。それらの引用された各出版物はその全体が、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0004】
実験技術における革新的な技術及び進歩により、研究者が、新規に同定される遺伝子の数及び生物学的巨大分子の三次元構造の数の両方を急速に増やすことが可能となってきた。遺伝子発現、タンパク質精製、結晶化、及び構造決定の一連のプロセスに顕著な改善がなされてきたが、依然として結晶化が結晶構造決定における主要なボトルネックの1つである。この課題に対処するために、多くの様々なハイスループットタンパク質結晶化法が提案されており、多くの自動化された結晶化システムが開発されてきた(スチーブンス(Stevens)2000年、スガハラ(Sugahara)及びミヤノ(Miyano)2002年、スルゼンベイチャー(Sulzenbacher)ら2002年、ワタナベ(Watanabe)ら2002年、ホスフィールド(Hosfield)ら2003年、ホイ(Hui)及びエドワーズ(Edwards)2003年、ストヤノフ(Stojanoff)2004年、ヒラキ(Hiraki)ら2006年)。例えば、オリックス(Oryx)6(ダグラス・インストルメンツ(Douglas Instruments, Ltd.)、英国バークシャー(Berkshire))は、シッティングドロップ蒸気拡散のために12分に96ウェルをセットアップすることが可能であり、またシリックス(Syrrx)システムは、蒸気拡散のために1時間あたり2880ドロップをセットアップすることが可能である(ホスフィールド(Hosfield)ら2003年、ヒラキ(Hiraki)ら2006年)。
【0005】
マイクロバッチ及びハンギングドロップ法に比べると、シッティングドロップ蒸気拡散法及びマイクロプレートは、ハイスループットな結晶化用途のための利点を有する。利点としては、結晶化ドロップの観察が容易であること、ドロップからの結晶の収穫が容易であること、及び標準的なロボット工学及び液体ハンドリング装置によるマイクロプレートの取り扱いが容易であることが挙げられる(ヒラキ(Hiraki)ら2006年)。多数のシッティングドロップマイクロプレートが、ハンプトン・リサーチ(Hampton Research)、グレイナー(Greiner)、及びコーニング(Corning)が挙げられる多くの様々なベンダーから低コストで市販されている。エメラルド・バイオストラクチャーズ社(Emerald Biostructures Inc.)、ストラクチュラル・ジェノミクス(Structural Genomics Inc.)、及びUABリサーチ・ファンデーション(UAB Research Foundation)などの他のベンダーはカスタムアプリケーションに向けた彼ら独自のマイクロプレート又はマイクロアレイを設計してきた(米国特許第6,039,804号、同第6,656,267号、及び同第7,214,540号)。シッティングドロップタンパク質結晶学的マイクロプレート又はマイクロアレイのいくつかの例を、以下に簡単に説明する。
【0006】
図1は、ハンプトン・リサーチ(ハンプトン・リサーチ(Hampton Research)、カリフォルニア州アリソビエホ(Aliso Viejo))からのクリスケム(Cryschem)(商標)プレートの斜視図(1A)及び断面側面図(1B)である。クリスケム(Cryschem)(商標)プレートは、24ウェル(102)のアレイを備える24ウェルシッティングドロップマイクロプレートであり、ウェルのそれぞれが評価すべきタンパク質溶液の試料を受容し得る。ハンプトン・リサーチマイクロプレートは、ウェルを支持するフレーム(104)を備える。フレームは矩形形状であり、外壁(106)及び外壁とウェルとの間に延在する上部平坦面(108)を備えている。ウェルは上部平坦面と平行な平面において円形の断面を有する。フレームの外側周囲を画定する外壁は、ウェルよりも低いところに延在する底縁部を有する。したがって、ハンプトン・リサーチマイクロプレートが支持面上に配置されるとき、マイクロプレートは、ウェルを支持面よりも持ち上げている底縁部(110)によって支持され、ウェルを破損から保護する。図示されているように、外壁はまた、マイクロプレートカバー(図示せず)の裾を受けるためのリム(112)も有している。
【0007】
図1Bは、各ウェル(102)が外側壁(114)、底部(116)、及び支柱(118)を備えることを示している。ウェルの中央に配置された支柱は、タンパク質溶液及び試薬溶液が入れられる凹んだリザーバ(120)を備える。ウェルの中の支柱周辺の領域部分は、凹んだリザーバ内のタンパク質及び試薬溶液混合物よりも高い濃度を有する試薬溶液を受容する。そしてウェルの形状が、凹んだリザーバ内のタンパク質溶液及び試薬溶液が支柱の周りの試薬溶液と蒸気拡散プロセスを介して相互作用することを可能にし、これにより凹んだリザーバ内でのタンパク質結晶の形成が可能となる。試薬溶液についての典型的な充填体積は、ウェルの総容量が1.5mLのとき、500μl〜1,000μlである。支柱上の最大ドロップ体積は40μlである。ハンプトン・リサーチはまた、各ウェルの一方の側のシェルフ上に50ナノリットル〜4マイクロリットルのタンパク質溶液が分配されることができ、ウェル中に50〜100マイクロリットルの結晶化試薬を入れることのできる、96ウェルクリスタルクリア・ストリップス(96-well CrystalClear Strips)(商標)マイクロプレート(図示せず)をも有することに注目すべきである。
【0008】
図2は、グレイナー(グレイナー・バイオワン・ノースアメリカ社(Greiner Bio-One North America Inc.)、米国ノースカロライナ州)からのクリスタルクイック(CrystalQuick)(商標)マイクロプレートの斜視図(2A)、部分上面図(2B)、及び断面側面図(2C)を示している。グレイナーマイクロプレートは、各ウェル(202)が調査すべきタンパク質溶液の試料を3つまで受容し得る96ウェルシッティングドロップマイクロプレートである。斜視図から分かるように、グレイナーマイクロプレートは、ウェルを支持するフレーム(204)を備えている。矩形形状のフレームは、フレームの周囲を画定する外壁(206)及び外壁とウェルとの間に延在する上部平坦面(208)を備える。図示されているウェルは上部平坦面に平行な平面において矩形の断面を有する。
【0009】
図2B及び図2Cは、各ウェル(202)が相対的に大きなリザーバ(214)及び3つの相対的に小さなリザーバ(216)を備えることを示している。各小リザーバは、タンパク質溶液及び試薬溶液を堆積させることのできる、平坦な底部(218)を備える。小リザーバの隣に配置される大リザーバは典型的に、小リザーバ内の試薬溶液よりも高い濃度を有する試薬溶液を受容する。そしてウェルの形状は、各小リザーバ内のタンパク質溶液及び試薬溶液が大リザーバ内の試薬溶液と蒸気拡散プロセスを介して相互作用することを可能にする。これが各小リザーバ内でのタンパク質結晶の形成を可能にする。
【0010】
図3は、米国特許第6,913,732号に記載された、コーニングマイクロプレートの斜視図(3A)、切り欠き部分斜視図(3B)、及び断面側面図(3C)を示している。図示されているように、このマイクロプレートは、96の機能ウェル(302)のアレイを備え、そのそれぞれがタンパク質溶液のサンプルを受容できる、96ウェルハイスループット結晶学的マイクロプレートである。マイクロプレートは、ウェルを支持するフレーム(304)を備える。矩形形状のフレームは、外壁(306)及び外壁とウェルとの間に延在する上部平坦面(308)を備えている。図示されているように、外壁はフレームの外部周囲を画定し、ウェルよりも低いところに延在する底縁部(310)を有する。マイクロプレートが支持面上に配置されるとき、マイクロプレートは、ウェルが支持面よりも持ち上げられた状態で底縁部により支持される。外壁はまた、マイクロプレートカバー(図示せず)の裾を受けるためのリムも有している。
【0011】
図3B及び図3Cは、各機能ウェル(302)が2つの重なり合う円形ウェル(302a、302b)から構成され、両方が上部平坦面(308)に平行な平面内に配置されていることを示している。詳細には、第1の重複ウェルはタンパク質溶液及び試薬溶液を受容できる相対的に小さな凹んだリザーバ(314)を有し、第2の重複ウェルは第1のウェル中に堆積させる試薬溶液よりも高い濃度を有する試薬溶液を受容できる相対的に大きなリザーバ(316)を有する。タンパク質溶液及び試薬溶液をウェル中に堆積させた後、溶液の過剰な蒸発を防ぐためにウェルの開口を接着性シール又はヒートシールなどのシールによって覆うことができる。第1及び第2の重複ウェルの形状及び配置の結果として、タンパク質溶液及び試薬溶液が蒸気拡散プロセスを介して相互作用でき、これにより、タンパク質溶液を収容する第1のウェル内におけるタンパク質結晶の形成が可能となる。
【0012】
図4は、米国特許第6,913,732号に記載された第2のマイクロプレート設計の斜視図(4A)、部分上面図(4B)、及び断面側面図(4C)を示している。図4に示されたマイクロプレートは、ウェルの第1部分(402a)及びウェルの第2部分(402b)が互いに隣接しており、そして図3に示されたマイクロプレートのウェルのようには重なり合っていない、96の機能ウェルを有する。
【0013】
図5は、米国特許第6,913,732号に記載された第3のマイクロプレート設計の斜視図(5A)、部分上面図(5B)、及び断面側面図(5C)を示している。図5に示されたマイクロプレートは、チャネル(504)によって互いに連結された第1のウェル(502a)及び第2のウェル(502b)から構成された48の機能ウェルを有する。第1のウェル(502a)は相対的に小さなリザーバを備え、第2のウェル(502b)は相対的に大きなリザーバを備える。
【0014】
米国特許第7,214,540号には、約0.001nl〜約250nlの容積を有するマイクロチャンバを用いたタンパク質結晶成長条件のスクリーニング法が開示されている。図6に示されているような複数のウェル又はリザーバを有するマイクロアレイを使用する方法もまた開示されている。マイクロアレイ(10)は、タンパク質溶液ウェル(12)と沈殿溶液ウェル(14)とを連結するマイクロチャネル(16)によって連結された2つのウェル(12、14)を備える。これらのウェルは、約0.001nl〜約500nl、好ましくは約0.01nl〜約20nlの所望の体積を保持又は保有するのに十分であることが更に開示されている。異なるチャンバ内でのタンパク質結晶成長は、結晶成長を自動的に検出する高解像度若しくはその他の光学的手段により、又は高解像度顕微鏡法若しくは電子顕微鏡法を用いる手作業の検査により監視される。あるサンプルにおいて望ましい結晶成長が観察された場合には、更なる分析のためのタンパク質結晶を生成するために、そのサンプルのタンパク質結晶成長条件をマクロスケールで再現することができるということが開示されている。開示されたスクリーニング法の非常に小さな体積では、スクリーニング中の大きな回折高品質結晶の成長は支持されない。
【0015】
本発明のマイクロプレートは、他の利用可能な結晶学的マイクロプレートを上回る利点を有する。本発明のマイクロプレートは、768の機能ウェルを有する高密度の1536ウェルフォーマットにおけるものであり、したがってシッティングドロップ蒸気拡散法を用いる、真に高密度でハイスループットなスクリーニングを可能にする。標準的な1536ウェルフォーマットは、マイクロプレートの容易なロボットによる取り扱い及び広範囲の液体ハンドリングシステムとの適合性を可能にする。更に、ウェルの底部で同一平面内に配列された底部を有する等しいサイズのウェルを使用することで、倒立光学顕微鏡による容易な画像取得が可能となると同時に、上からの結晶の操作及び収穫が可能となる。ウェルの底部が平坦である好ましい実施形態では、ウェルの底部が単一の焦点面中にあるため、ウェルの顕微鏡画像が非常に迅速にスクリーニングできる。高密度ハイスループットフォーマットのリザーバ対液滴の体積比(reservoir to droplet ratio volumes)を減少させたことにより、他の利用可能な結晶学的マイクロプレート(サンタルシエロ(Santarsiero)ら2002年)を使用するのと比較して、より早い平衡化速度並びにより迅速なタンパク質の核生成及び結晶成長をもたらはずであることにも注目すべきである。
【0016】
本発明のマイクロプレート及び方法は、米国特許第7,214,540号に記載されたマイクロアレイ及び方法を上回る利点も有する。8μlの最大容積を有する本発明のマイクロプレートを使用することにより、約1μlのタンパク質溶液体積又は2μlもの体積を使用することが可能となり、したがって本発明の方法は、高密度ハイスループットスクリーニング中の回折高品質結晶の成長を可能にする。スクリーンから直接得られる結晶は、X線による分析に適しており、したがって分析されるのに適したタンパク質結晶を生成するためにマクロスケールで結晶を再生成する必要がなくなる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、複数のタンパク質結晶化溶液を同時にスクリーニングし、高密度ハイスループットフォーマットにおいて蒸気拡散環境で回折高品質タンパク質結晶を生成するための、マイクロプレート及び方法を包含する。
【0018】
本発明の第1の態様によれば、等しいサイズの画定された並設対チャンバ(side-by-side paired chambers)を有する複数のウェルを備えるフレームを具備するマイクロプレートであって、並設対チャンバは約8μlの最大体積を有し、かつ並設対チャンバは並設対チャンバ間の蒸気交換を提供する蒸気チャネルを有する、マイクロプレートが提供される。
【0019】
本発明の第2の態様によれば、ロボット式ハンドリングシステムによって簡単に取り扱いできるフットプリントを有するフレームを具備するマイクロプレートが提供される。
【0020】
本発明の第3の態様によれば、並設対チャンバの底部が同一平面内に配列されているマイクロプレートが提供される。
【0021】
本発明の第4の態様によれば、並設対チャンバの底部が平坦な、円錐形の、又は凹んだマイクロプレートが提供される。
【0022】
本発明の第5の態様によれば、所定量の第1及び第2の結晶化溶液が最適に平衡化するのを可能にするように、蒸気チャネルが所定の深さ及び幅を有するマイクロプレートが提供される。
【0023】
本発明の第6の態様によれば、蒸気チャネルが、並設対チャンバ間の壁の一部における所定の開口と、並設対チャンバを覆って位置決めされる透明な接着性膜とによって形成される、マイクロプレートが提供される。
【0024】
本発明の第7の態様によれば、液体ハンドリングシステムが、配合された結晶化溶液を並設対チャンバの一方中に自動的に堆積でき、タンパク質溶液を並設対チャンバの他方中に自動的に堆積できるように、各ウェルが前記フレーム上に位置決めされる、マイクロプレートが提供される。
【0025】
本発明の第8の態様によれば、高密度ハイスループットシッティングドロップ蒸気拡散タンパク質結晶学的マイクロプレートが、768の機能ウェルを有する、マイクロプレートが提供される。
【0026】
本発明の第9の態様によれば、液体ハンドリングシステムが、配合された結晶化溶液を並設対チャンバの一方中に自動的に堆積でき、タンパク質溶液を並設対チャンバの他方中に自動的に堆積できるように、各ウェルが前記フレーム上に位置決めされる、マイクロプレートが提供される。
【0027】
本発明の第10の態様によれば、液体ハンドリングシステムが、配合された結晶化溶液を本発明のマイクロプレートの並設対チャンバの一方中に自動的に堆積でき、タンパク質溶液を本発明のマイクロプレートの並設対チャンバの他方中に自動的に堆積でき、一方の並設対チャンバ中のタンパク質溶液及び第2の並設対チャンバ内の結晶化溶液が蒸気拡散プロセスを介して相互作用し、これによりタンパク質溶液を収容するチャンバ内におけるタンパク質結晶の形成が可能となる、方法が提供される。
【0028】
本発明の第11の態様によれば、配合された結晶化溶液が表2に示された溶液から選択される、方法が提供される。
【0029】
本発明の第12の態様によれば、堆積される配合された結晶化溶液の量は約6μlであり、堆積されるタンパク質溶液の量は約1μlである、方法が提供される。
【0030】
本発明の第13の態様によれば、堆積される配合された結晶化溶液の量が約4μl〜約8μlの範囲であり、堆積されるタンパク質溶液の量が0.5μlを超え約2μlまでの範囲である、方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
ここで本発明の好ましい実施形態を、添付の図面を参照し、例示のみの目的で説明する。
【図1】ハンプトン・リサーチ社(Hampton Research Inc.)からのクリスケム(Cryschem)(商標)プレートの斜視図(1A)及び断面側面図(1B)を示す図。
【図2】グレイナー・バイオワン・ノースアメリカ社(Greiner Bio-One North America Inc.)によるクリスタルクイック(CrystalQuick)(商標)マイクロプレートの斜視図(2A)、部分上面図(2B)、及び断面側面図(2C)を示す図。
【図3】米国特許第6,913,732号に開示された、第1のマイクロプレートの斜視図(3A)、切り欠き部分斜視図(3B)、及び断面側面図(3C)を示す図。
【図4】米国特許第6,913,732号に開示された第2のマイクロプレートの斜視図(4A)、部分上面図(4B)、及び断面側面図(4C)を示す図。
【図5】米国特許第6,913,732号に開示された第3のマイクロプレートの斜視図(5A)、部分上面図(5B)、及び断面側面図(5C)を示す図。
【図6】米国特許第7,214,540号に開示されたマイクロアレイを示す図。
【図7】768の機能ウェルを有する修正された1536ウェル透明ポリスチレンアッセイプレートの平面図(7A)を示しており、カラム1及び続く各奇数カラムは結晶化溶液用(W)となされ、カラム2及び続く各偶数カラムはタンパク質液滴用(P)となされている図。透明な接着性膜で密閉された場合、より短く粉砕された壁が2つの並設対チャンバ、W及びPを連結する蒸気チャネルを作り、こうして結晶化のための単一の環境が形成される(7B)。
【図8】本発明の結晶学的マイクロプレートの4つの機能ウェルを示す図。8Aは、4つの機能ウェルの中央を通った側面図であり、カラム1及び続く各奇数カラムは、結晶化溶液用(W)となされ、カラム2及び続く各偶数カラムはタンパク質液滴用(P)となされる。8Bは、8Aの側面図を90度回転された状態で示している。8Cは、本発明の高密度ハイスループット768機能ウェル・マイクロプレートの4つの機能ウェルの平面図を示しており、Wには6μlの結晶化溶液、Pには1μlのタンパク質溶液が入れられている。
【図9】各結晶化実験を採点するために使用される画像及び関連の厳密な採点ガイドラインを示す図。1〜10までのスコアは、各溶液構成成分と対照してタンパク質の閾値を特定する臨界指標(critical markers)である。評点10は、塩であると決定されるまで、最初はタンパク質リードと共にグループ化される。11〜20のスコアは、更なる結晶化及び回折分析のために結晶を再生成するための最適化実験のためにフラグが付けられる。
【0032】
表1:1000溶液結晶化スクリーンのためのストック構成成分:1000溶液結晶化スクリーンを作製するために使用されるストック溶液試薬セットの表が示される。ストック溶液は、CRC化学ハンドブック(CRC Handbook of Chemistry)において提供される溶解度情報に基づく濃度で調製されたか、又はハンプトン・リサーチ社(Hampton Research,Inc.)から購入されたかのいずれかである。
【0033】
表2:1000溶液の完全なリスト:高密度ハイスループットスクリーンにおいて使用される1000の溶液すべての組成を列挙する表が示される。
【0034】
定義
次のように説明される意味を有する特定の用語が、本明細書で使用される。
【0035】
用語「具備する(comprising)」は「主として備えるが、必ずしも単独で備えるのではない」ことを意味する。更に、「comprise」及び「comprises」等の、単語「具備する(comprising)」の変化形はそれに応じて変化した意味を有する。
【0036】
次の省略形が、本明細書中で、及び本明細書を通して使用される。
nl:ナノリットル、
μl:マイクロリットル、
mL:ミリリットル、
mm:ミリメートル、
mg/mL:ミリメートル当たりのミリグラム、
℃:度(摂氏)
【発明を実施するための形態】
【0037】
ここで、本発明を更に、より詳細に説明する。本明細書において与えられる図及び実施例は例示のためのものであり、本発明及びその種々の実施形態を限定しないものであるということが最初に理解されるべきである。
【0038】
ハイスループット結晶化のための試薬開発
ハイスループット結晶化法の開発中、市販の結晶化スクリーンの量が限られていたため、溶液の多様な希薄マトリックススクリーンが設計された。大部分のタンパク質に対する結晶化成功率が2%以上であるという一般化に基づき、セゲルケ(Segelke)は、1つのタンパク質に対する完全なスクリーンはおよそ288の結晶化溶液からなるべきであるということを提唱した(セゲルケ(Segelke)2001年)。本発明の高密度ハイスループット方法及びマイクロプレートの少量のタンパク質及びリザーバ要件の低さをかんがみて、欠落したパラメータスペースの量を少なくし、単一スクリーンにおいて結晶を生成する機会を改善するために、溶液スクリーンを拡張することが決定された。セゲルケ(Segelke)によって議論された推奨サイズのおよそ4倍の結晶化パラメータスペースをカバーするために、1000溶液スクリーンが開発された。好ましい実施形態では、回折高品質結晶は単一の1000溶液スクリーンから直接生成されるが、最初のスクリーンの間に回折高品質結晶が生成されなかった場合、1000溶液スクリーンがタンパク質の溶解性のデータ及び条件の更なる最適化のための情報を提供するようにも設計された。
【0039】
結晶を生ずる最大尤度で独自の1000溶液スクリーンを設計するために理想的な構成成分が選択された。情報は、最適な溶解度スクリーニング品目、NIST/CARB生物学的巨大分子結晶化データベース(the NIST/CARB Biological Macromolecule Crystallization Database)、PDB(ブルックヘブン・プロテイン・データバンク(Brookhaven Protein Data Bank))結晶化パラメーター、ホフメイスターシリーズ(the Hofmeister series)、並びにハンプトン・リサーチ(Hampton Research)及びエメラルド・バイオシステムズ(Emerald Biosystems)からの既存の結晶化スクリーン(ジャンカリク(Jancarik)及びキム(Kim)1991年、サリダキス(Saridakis)及びチェイエン(Chayen)2000年)から収集された。選択された化学物質は、50の沈殿剤、交替するpH値を有する12の緩衝剤、51の添加剤、及び8の界面活性剤(detergent)からなる(表1)。これらの化学物質は相互に関連付けされてクリスツール(CRYStool)(商標)プログラム(イエナ・バイオサイエンス(Jena Bioscience GmbH)、ドイツ)に入れられ、ランダムに1000の独自の溶液を生ずる。クリスツール(CRYStool)(商標)プログラムは、ランダムサンプリングに基づきスクリーンを生成する能力を有するが故に選択された(セゲルケ(Segelke)2001年)。この試薬セットはスプレッドシートへと移されてストック試薬濃度を計算するために使用された。選択された構成成分は、表2に列挙された1000溶液スクリーンを含む各独自の結晶化溶液を作製するように手作業で組み合わされた。1000溶液の完全なセットは、様々なpH、緩衝剤、塩、ポリマー、アルコール、界面活性剤、及び他の添加剤を有する溶液の実に多様なセットである。溶液の全ては、50mLの円錐管中で調製され、4℃で貯蔵するためにマトリックス96ウェル・ディープウェル貯蔵ブロック(Matrix 96-well deep-well storage blocks)(カタログ#4211、サーモ・フィッシャー・サイエンティフィック(Thermo Fisher Scientific)、米国、ニューハンプシャー(New Hampshire))中に移された。ディープウェルブロック中の溶液は、およそ1年の貯蔵寿命を有する。
【0040】
修正マイクロプレート設計
1000溶液スクリーンを素早くセットアップして使用するためのマイクロプレート及び方法が必要であった。利用可能な代替の方法も存在するが、全結晶化実験の95%ほどが蒸気拡散環境下でセットアップされる。20年を超える長期にわたり日常的に使用されている伝統的な蒸気拡散法は、24ウェル・ディープウェルリンブロプレート(24-well deep-well Linbro plate)及びガラスカバースリップ上の懸濁された2μlのタンパク質液滴を使用するものである。タンパク質液滴は典型的に1:1の比率のタンパク質と結晶化溶液で構成され、液滴は1mLの結晶化溶液上に懸濁される。蒸気拡散法は、水が液滴から抜き出されて、タンパク質液滴が結晶化溶液と平衡化するのを可能にする。平衡化の間に水が抜き出されると、液滴中でタンパク質及び沈殿剤の濃度がゆっくりと上昇し、それにより状態が広範囲にわたって変化して核生成及び/又は結晶成長を促進する。不都合なことに、24ウェル・ディープウェルリンブロプレート及びガラスカバースリップ上の懸濁された2μlのタンパク質液滴を使用する伝統的なハンギングドロップ法は、極めて労力のいる面倒なプロセスである。加えて、1000溶液スクリーンを行うために従来の24ウェルリンブロプレートを使用するなら、およそ0.057立方メートル(2立方フィート)のインキュベータ空間を占有し、1ウェルあたり1mLの各結晶化溶液を使用することにより1リットルの結晶化溶液を消費し、実験のセットアップのためにおよそ16時間かかる、42のプレートが必要となったであろう。96ウェル結晶化プレートの手法ならば、プレートの数を11まで減少させ、1ウェルあたり80μlの各結晶化溶液を使用することによって結晶化溶液の合計体積を80mLまで減少させ、かつ1000の溶液スクリーンをセットアップするための時間をおよそ3時間まで短縮させたであろう。
【0041】
本発明は、768の機能ウェルを有する修正された1536ウェルのハイベース・クリア・ポリスチレン・フラットボトム・マイクロプレートにおいてシッティングドロップ蒸気拡散実験を行うためのマイクロプレート及び方法を提供する(図7及び図8)。この方法及びマイクロプレートは、プレート貯蔵容量を増大し、1ウェルあたり6μlだけを使用することで7mLをわずかに下回るまで結晶化溶液の総消費を減少させ、1000溶液スクリーンを完全にセットアップするための時間をわずか約20分まで短縮させた。更に、リザーバ対液滴体積比(ratio volumes)が減少されることにより、より早い平衡化速度と、より迅速なタンパク質核生成及び結晶成長がもたらされることが期待された(サンタルシェロ(Santarsiero)ら2002年)。未修正の1536ウェルハイベース・クリア・ポリスチレン・フラットボトム・マイクロプレートは、グレイナーから購入された(グレイナー・アメリカ(Greiner America, Inc)、カタログ#782101)。修正されたマイクロプレートは、2つの並設ウェルの間の壁の頂部からの高さの約1/4を粉砕し、こうして768の並設対チャンバからなる768の機能ウェルを有するマイクロプレートを作り出すことにより作製した。粉砕後、各チャンバは約8μlの最大容積を有する。並設対チャンバの間の短く粉砕された壁は、マイクロプレートが透明な接着性膜で密閉されたときに、蒸気チャネルとなる(図7及び図8)。
【0042】
マイクロプレートの左側から出発して、カラム1及び続く各奇数カラムがウェル溶液用(W)となされる(図7及び図8)。カラム2及び続く各偶数カラムがタンパク質液滴用(P)となされる(図7及び図8)。透明な接着性膜で密閉された場合、短く粉砕された壁が2つの並設対チャンバ、W及びPを連結する蒸気チャネルを作り、こうして結晶化のための単一の環境を形成する。例えば、1つの実験は、W1中に1000溶液からの第1の選択及びP2中にタンパク質液滴を包含しうる。第2の実験は、W3中に1000溶液からの第2の選択及びP4中にタンパク質液滴を包含しうる。第3の実験は、W5中に1000溶液からの第3の選択及びP6中にタンパク質液滴を包含しうる。各タンパク質液滴は、約0.5μlのストックタンパク質溶液及び0.5μlの1000結晶化溶液の1つを各タンパク質ウェル中にピペット分取することにより作製された、1:1の比率のストックタンパク質溶液及び1000結晶化溶液の1つである。各タンパク質液滴ウェル(P)中で1:1の比率で使用される結晶化溶液は、各並設対結晶化溶液ウェル(W)中で使用される対応する結晶化溶液と同じである。この手順を、768結晶化実験の完全なマイクロプレートをセットアップするために修正マイクロプレート全体にわたって続ける。
【0043】
修正マイクロプレートの利用
1000の結晶化溶液を、マトリックス96ウェル・ディープウェル貯蔵ブロック(カタログ#4211、サーモ・フィッシャー・サイエンティフィック(Thermo Fisher Scientific)、米国ニューハンプシャー(New Hampshire))から、ギルソン(Gilson)C250ロボット(ギルソン(Gilson, Inc.)、米国ウィスコンシン州ミッドレトン(Middleton))を用いて3枚の384ウェルドータープレート(グレイナー・アメリカ(Greiner America, Inc.)、カタログ#781201)へと移す。各ドータープレートは、1ウェルあたり80μlの1000結晶化溶液の1つを収容するように作製される。各ドータープレートは、再分配が必要となる前に、12のタンパク質のハイスループットスクリーニングサイクルに適応させることが可能である。ドータープレートを使用して、結晶化溶液をスクリーニングマイクロプレートへと分配する。1000溶液の完全なスクリーンを実行するためには、768の機能ウェルを有する修正された1536ウェル修正マイクロプレートが2枚必要である。768の機能ウェルに768の実験を収容するように、第1のマイクロプレートが作製される。232機能ウェル中に残りの232の実験を収容するように第2のマイクロプレートが作製され、追加の536の機能ウェルはより多くの溶液が所望された場合に将来的にスクリーンを拡張するためのものとされる。
【0044】
結晶化溶液及びタンパク質溶液を高密度ハイスループット768機能ウェル・スクリーニングマイクロプレートへと添加するために、固定384シリンジヘッド(ベロシティー11(Velocity 11)社、米国カリフォルニア)を有するVPrep(登録商標)自動化液体ハンドリングシステムを用いる高度に再現可能な結晶化ルーチンが開発された。典型的な高密度ハイスループットスクリーンでは、(W)ウェルは384ウェルドータープレートから6μlの1000結晶化溶液の1つを受容し、(P)ウェルは、最終体積が1μlとなるように0.5μlのストックタンパク質溶液及び0.5μlの1000結晶化溶液の1つを受容する。各タンパク質液滴ウェル(P)中で1:1の比率で使用される結晶化溶液は、各並設対結晶化溶液ウェル(W)中で使用される対応する結晶化溶液と同じである。スクリーニングマイクロプレートをセットアップした後、各ウェルの溶液(W)には、その結晶化溶液の本質的に半分の濃度でタンパク質液滴(P)が隣接されている(図7及び図8)。マイクロプレートを、次いで透明な接着性膜で密閉し、2500rpmで5分間遠心分離してタンパク質液滴が確実にタンパク質ウェルの底にくるようにする。プレートはその後、画像分析の列に入れられるまで4℃又は22℃のいずれかで貯蔵される。透明な接着性膜で密閉されると、この膜が768の対チャンバ間の粉砕壁から蒸気チャネルを形成し、各タンパク質液滴は、タンパク質溶液がウェル溶液と同濃度に到達するまで、各ウェル溶液と平衡化する。平衡化のプロセスは、タンパク質が過飽和状態に向かって濃縮されるままにする(permitting)ことにより核生成を促進する。
【0045】
視覚化及び画像分析
高密度ハイスループット768機能ウェル・マイクロプレートにおける実験を評価するのに必要なスループット及び正確性の両方を向上させるために、自動化ニコン(Nikon)M3倒立顕微鏡、フェーズ3イメージングXYステージ(Phase 3 Imaging XY stage)、及びエボリューションMP5.1メガピクセルCCDカラーカメラ(Evolution MP 5.1 Mega-pixel CCD color camera)を組み合わせて画像を取り込み記録する。第一の焦点は、収穫及びX線回折による分析のために結晶を特定すること、又はデータ分析のため、及び更には結晶品質を向上させるべく最適化するために結晶化リードを特定することである。取り込まれた各画像、フレームあたり100KBは、視覚化のための独自の図の配列を作り出すために、日時を刻印して適切なフォルダー中に入れられる。完全な1000ウェル実験セットを撮像するのにおよそ1時間半かかる。
【0046】
1000の画像の各セットは、ディスクスペースのおよそ100MBを使用し、比較試験のためにアクセスされる内部データベースに格納される。社内で設計された結晶評価者ブラウザを使用して、画像のセットを読み込み、各画像を視覚化する。内部制御設定は精密な採点を補助するためのズームイン/アウト及び光度フィルターを備える。採点プロセスは現在は手作業で行われているが、画像認識ソフトウェアが更に自動化されれば、自動化プロセスに容易に適応させることができる。各画像を20の序数評点スキーマに対して手作業で採点し、タンパク質結晶化液滴の視覚特性を定義する(図9)。各評点の厳密な解釈が、各溶液構成成分がタンパク質の挙動にどのように影響を与えるかについての関連付けを支援する。≧10の評点を有するあらゆる液滴が初期リードとしてフラグ付けされ、その後再現性及びタンパク質検証の研究のための待ち行列に入れられる。評点はまた、0及び1のバイナリフォーマットへと変換される。1〜10と観測されたあらゆる結果は0として記録され、一方11〜20の結果は1として記録される。結果は、観測者ごとに主観的である傾向があるが、評点リストは、結晶化実験において典型的に観測される大多数の観測を最下位から最上位まで具体的に定義するように作成された。11〜20までの評点は、タンパク質結晶を生成する溶液を特定するが故に最も重要である。否定的なものを含む全ての結果が序数及びバイナリの両方の表を包含するようにデータベースに記録され、溶液ごとのタンパク質結晶化における傾向を検討するためのデータを提供する。リードの品質は更なる結晶化のために取られる経路を指示する。X線調査用の十分に大きい結晶は高密度ハイスループット768機能ウェル・マイクロプレートから直接収穫され、予め処方された凍結防止剤に入れられて−173℃にて凍結され、タンパク質回折のためにスクリーニングされる。結晶がX線には小さすぎる場合には、クーマシー(Coomassie)溶液で染色して吸収を観測するか、砕いてタンパク質かどうか確認するか、又は結晶再生成におけるシードストックとして使用される。最適化実験は≧8Åの回折により特定されたリードにおいて行われる。構造研究に好適な改善された結晶を生成するための伝統的な方法としては、変動可能なpH及び沈殿剤濃度、添加剤スクリーニング、緩衝剤/沈殿剤の置換、及び播種による実験が挙げられる。
【0047】
結果
1000溶液セット及び高密度ハイスループット768機能ウェル・マイクロプレートフォーマット及び方法は、最初に15mg/mLリゾチームストック溶液を用いて試験された。試験は、リゾチームを結晶化するためのリードとして175の独自の溶液を特定することにより17.5%のヒット率を示した。そのヒットは、結晶シャワーから0.5mmよりも大きな結晶の範囲に渡っていた。0.05mmから0.5mmを超える範囲の結晶が、1000溶液の14%を構成し、0.25mmよりも大きいものが2%であった。結果は、1000溶液セット及び高密度ハイスループット768機能ウェル・マイクロプレートフォーマット及び方法が、スクリーンにおけるタンパク質結晶の生成のため、及び更なる最適化及び結晶生成のためのリードを特定するために好適であるということを確証した。
【0048】
1000溶液セット及び高密度ハイスループット768機能ウェル・マイクロプレートフォーマット及び方法は、タンパク質を迅速にスクリーニングしてリードを特定し、構造に基づいた医薬品設計のために好適な結晶を生ずるプロセスのために極めて重要なものとなってきている。過去3年の間に、このプロセスは、684のリードを特定し、結果として調査された46の治療標的のうちの、33のタンパク質又は13の阻害剤複合体の構造決定につながった。未知のタンパク質のための最適な結晶化条件の計算及び予測のためのレポジトリを構築するために、全ての治療領域からのタンパク質について1000溶液の各々に対する表面応答データを、現在収集中である。
【0049】
【表1】

【0050】
【表2−1】

【0051】
【表2−2】

【0052】
【表2−3】

【0053】
【表2−4】

【0054】
【表2−5】

【0055】
【表2−6】

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【0057】
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【0058】
【表2−9】

【0059】
【表2−10】

【0060】
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【0061】
【表2−12】

【0062】
【表2−13】

【0063】
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【0064】
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【表2−16】

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【0067】
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【表2−20】

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【0099】
【表2−50】

【0100】
【表2−51】

【0101】
【表2−52】

【0102】
【表2−53】

【0103】
【表2−54】

【0104】
【表2−55】

【0105】
【表2−56】

【0106】
【表2−57】

【0107】
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【0108】
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【0109】
【表2−60】

【0110】
【表2−61】

【0111】
【表2−62】

【0112】
【表2−63】

【0113】
【表2−64】

【0114】
参考文献
特許及び特許公報
米国特許第6,913,732号
米国特許第6,039,804号
米国特許第6,656,267号
米国特許第7,214,540号
【0115】
他の参考文献
ヒラキ(Hiraki)、M.、R.カトウ(Kato)ら(2006年)。「ハイスループットタンパク質構造分析のための自動化大スケールタンパク質結晶化及びモニタリングシステムの開発(Development of an automated large-scale protein-crystallization and monitoring system for high-throughput protein-structure analyses)」。アクタクリスタログラフィカDバイオロジカルクリスタログラフィ(Acta Crystallogr D Biol Crystallogr)62(Pt9)、1058〜65。
【0116】
ヒラキ(Hiraki)、M.、R.カトウ(Kato)ら(2006年)。「ハイスループットタンパク質構造分析のための自動化大スケールタンパク質結晶化及びモニタリングシステムの開発(Development of an automated large-scale protein-crystallization and monitoring system for high-throughput protein-structure analyses)」。アクタクリスタログラフィカセクションD(Acta Crystallographica Section D)62(9)、1058〜1065。
【0117】
ホスフィールド(Hosfield)、D.、J.パラン(Palan)ら(2003年)。「小分子医薬品の発見のための完全に一体化されたタンパク質結晶化プラットフォーム(A fully integrated protein crystallization platform for small-molecule drug discovery)」。ジャーナルオブストラクチュラルバイオロジー(J Struct Biol)142(1)、207〜17。
【0118】
ホイ(Hui)、R.及びA.エドワーズ(Edwards)(2003年)。「ハイスループットタンパク質結晶化(High-throughput protein crystallization)」。ジャーナルオブストラクチュラルバイオロジー(J Struct Biol)142(1)、154〜61。
【0119】
ジャンカリク(Jancarik)、J.及びS.H.キム(Kim)(1991年)。「希薄なマトリックスサンプリング:タンパク質の結晶化のためのスクリーニング法(Sparse matrix sampling: a screening method for crystallization of proteins)」。ジャーナルオブアプライドクリスタログラフィ(J Appl Crystallogr)24、409〜411。
【0120】
サンタルシェロ(Santarsiero)、B.D.、D.T.イエジアン(Yegian)ら(2002年)。「ナノ液滴を用いた迅速なタンパク質結晶化へのアプローチ(An approach to rapid protein crystallization using nanodroplets)」。ジャーナルオブアプライドクリスタログラフィ(Journal of Applied Crystallography)35(2)、278〜281。
【0121】
サリダキス(Saridakis)、E.及びN.E.チェイエン(Chayen)(2000年)。「デカップリング核生成及び蒸気拡散における成長によるタンパク質結晶品質の改善(Improving protein crystal quality by decoupling nucleation and growth in vapor diffusion)」。プロテインサイエンス(Protein Sci)9(4)、755〜7。
【0122】
セゲルケ(Segelke)、B.W.(2001年)。「タンパク質結晶化スクリーニングにおいて使用されるサンプリングプロトコルの効率分析(Efficiency analysis of sampling protocols used in protein crystallization screening)」ジャーナルオブクリスタルグロウス(Journal of Crystal Growth)232(1)、553〜562。
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スチーブンス(Stevens)、R.C.(2000年)。「ハイスループットタンパク質結晶化(High-throughput protein crystallization)」。カレントオピニオンインストラクチュラルバイオロジー(Curr Opin Struct Biol)10(5)、558〜63。
【0124】
ストヤノフ(Stojanoff)、V.(2004年)。「ハイスループットスクリーニングへの新規なアプローチ;構造ゲノム学のための溶液?(A novel approach to high-throughput screening; a solution for structural genomics?)」ストラクチャー(Structure)12(7)、1127〜8。
【0125】
スガハラ(Sugahara)、M.及びM.ミヤノ(Miyano)(2002年)。「[ハイスループット自動化タンパク質結晶化及び観察システムの開発(Development of high-throughput automatic protein crystallization and observation system)]」。蛋白質核酸酵素(Tanpakushitsu Kakusan Koso)47(8Suppl)、1026〜32。
【0126】
スルゼンベイチャー(Sulzenbacher)、G.、A.グルツ(Gruez)ら(2002年)。「ミディアムスループット結晶化アプローチ(A medium-throughput crystallization approach)」。アクタクリスタログラフィカDバイオロジカルクリスタログラフィ(Acta Crystallogr D Biol Crystallogr)58(Pt12)、2109〜15。
【0127】
ワタナベ(Watanabe)、N.、H.ムライ(Murai)ら(2002年)。「ドロップ中の結晶からのX線回折のその場観察を可能にする半自動タンパク質結晶化システム(Semi-automatic protein crystallization system that allows in situ observation of X-ray diffraction from crystals in the drop)」。アクタクリスタログラフィカDバイオロジカルクリスタログラフィ(Acta Crystallogr D Biol Crystallogr)58(Pt10Pt1)、1527〜30。
【図1A】

【図1B】

【図2A】

【図2B】

【図2C】

【図3A】

【図3B】

【図3C】

【図4A】

【図4B】

【図4C】

【図5A】

【図5B】

【図5C】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
等しいサイズの画定された併設対チャンバ(side-by-side paired chambers)を有する複数のウェルを備えるフレームを具備するマイクロプレートであって、該並設対チャンバは約8μlの最大容積を有し、かつ該並設対チャンバは該並設対チャンバ間の蒸気交換を提供する蒸気チャネルを有する、マイクロプレート。
【請求項2】
前記フレームが、ロボット式ハンドリングシステムによって容易に取り扱いできるフットプリントを有する、請求項1に記載のマイクロプレート。
【請求項3】
前記並設対チャンバが、同一平面内に配列される底部を有する、請求項1に記載のマイクロプレート。
【請求項4】
前記並設対チャンバが、平坦な、円錐形の、又は凹んだ底部を有する、請求項1に記載のマイクロプレート。
【請求項5】
前記蒸気チャネルは、所定量の第1の結晶化溶液及び第2の結晶化溶液が最適に平衡化するのを可能にするような所定の深さ及び幅を有する、請求項1に記載のマイクロプレート。
【請求項6】
前記蒸気チャネルが、前記並設対チャンバ間の壁における開口と、前記複数のウェルを覆って位置決めされる膜とによって形成される、請求項1に記載のマイクロプレート。
【請求項7】
液体ハンドリングシステムが結晶化溶液を前記並設対チャンバの一方中に自動的に堆積でき、タンパク質溶液を前記並設対チャンバの他方中に自動的に堆積できるように、各ウェルが前記フレーム上に位置決めされる、請求項1に記載のマイクロプレート。
【請求項8】
前記マイクロプレートが768の機能ウェルを有する、請求項1に記載のマイクロプレート。
【請求項9】
液体ハンドリングシステムが結晶化溶液を前記並設対チャンバの一方中に自動的に堆積でき、タンパク質溶液を前記並設対チャンバの他方中に自動的に堆積できるように、各ウェルが前記フレーム上に位置決めされる、請求項8に記載のマイクロプレート。
【請求項10】
結晶化溶液を第1の並設対チャンバ中に自動的に堆積し、タンパク質溶液を第2の並設対チャンバ中に自動的に堆積するための液体ハンドリングシステムを採用することを備える、マイクロプレートを使用する方法であって、該並設対チャンバはそれぞれ約8μlの最大容積を有し、該結晶化溶液及び該タンパク質溶液は蒸気拡散を介して相互作用し、かつタンパク質結晶が、該タンパク質溶液を収容するチャンバ内で形成される、方法。
【請求項11】
前記結晶化溶液は表2に示された溶液から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
堆積される結晶化溶液の量は約6μlであり、堆積されるタンパク質溶液の量は約1μlである、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
堆積される結晶化溶液の量は約4μl〜約8μlの範囲であり、堆積されるタンパク質溶液の量は0.5μlを超え約2μlまでの範囲である、請求項10に記載の方法。

【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2011−502151(P2011−502151A)
【公表日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−532086(P2010−532086)
【出願日】平成20年4月25日(2008.4.25)
【国際出願番号】PCT/US2008/061552
【国際公開番号】WO2009/058419
【国際公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【出願人】(390033008)ジヤンセン・フアーマシユーチカ・ナームローゼ・フエンノートシヤツプ (616)
【氏名又は名称原語表記】JANSSEN PHARMACEUTICA NAAMLOZE VENNOOTSCHAP
【Fターム(参考)】