説明

蒸気浴方法及び装置

【課題】安全でより効果的な蒸気浴方法及び装置を提供する。
【解決手段】会陰部とその周辺に蒸気を当てる第一開口部12と、膝下部に蒸気を当てる第二開口部13とを備えた蒸気浴用椅子10を用いて、この両方の部分に確実に蒸気を当てる蒸気浴方法を提供する。蒸気を生成する鍋に投入する遠赤外線生成素材で出来た平板や、前部に蒸気取り入れ口と後部に排出口とを設けたシャワーキャップ等は、蒸気浴の健康増進効果をさらに高める補助装置となる。また座面11の下に蒸気を逃がしやすくするために少なくとも三面が開放された空間を設けることで火傷の危険性を低下させる。心臓に負担をかけない膝下部のみの蒸気浴方法と装置を提供し、お年寄り等でも蒸気浴による健康増進を図ることが出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬効成分を帯同する蒸気を体に当てることで健康増進を図る蒸気浴方法とその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ヨモギやもぐさをベースにその他薬草等を混合したものを煮る等して、薬効成分を帯同する蒸気を生成し、その蒸気を会陰部及びその周辺に当てたり、身体をケープなどで覆って蒸気で蒸す、所謂ヨモギ蒸しの健康増進効果は広く知られており、特許文献1に記載されているような器具の発明もなされている。
【0003】
発明者は、25年以上前から虹彩炎から始まる眼の炎症発作に苦しんでいた。最初の発作が起こってから、常に眼の中に海藻のようなゴミが見え、普段は小さいものの、それが大きくなると発作が始まるという傾向があり、一度炎症発作が起こると一ヶ月以上視力が極度に低下した。この病状の原因はまったく不明で、どこの病院ででも炎症を抑えるための対症療法しか行えず、突然のように始まる炎症発作がいつ来るのかという不安と眼の中に見えるゴミの煩わしさとに、長い間悩まされていた。漢方薬にも頼ったが、発作の頻度や程度、視力等に改善の傾向は見られるものの、眼の中のゴミは消えず発作も抑えきることは出来なかった。
【0004】
そしてヨモギ蒸しの紹介を受けた。座面に身体に蒸気を当てるための穴を開けた椅子を作り、座面の下に電熱器と鍋とをセットしてヨモギ蒸し装置を自作した。もぐさを煮て蒸気を発生させ、自作装置を試してみた。数回行った後、眼の中のゴミが少し小さくなっていることに気がついた。さらに毎週2回のペースで行って3ヶ月後、眼の中のゴミはかなり小さくなっていた。もちろんその間炎症発作は一度も起こらず、発作の抑え込みにも成功したようである。25年以上もの長い間色々試してみても出来なかった改善がヨモギ蒸しで簡単に実現したことは、正に驚きで、その健康増進能力の高さを身を以って立証した思いである。
【特許文献1】特開2005−270566号広報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のヨモギ蒸しでは次のような問題がある。
【0006】
第一に、従来のヨモギ蒸しでは周囲の気温に影響を受け易く、冬には健康増進効果がほとんど感じられなくなることである。発明者の場合では、夏と同じ頻度でヨモギ蒸しを続けていても、眼の中に見えるゴミが元の大きさに戻り炎症発作も発症した。家庭でのヨモギ蒸しを行う場所は、発汗した汗や蒸気が冷えて出来た水滴などが落ちるので風呂場しか考えられないが、そこには多くの場合暖房設備は備えられていない。風呂場の空間の大きさを考えるとガスや石油を利用するストーブは危険であるし、電気ストーブはヨモギ蒸し用電熱器の電力を考えると風呂場での使用制限電力を超える場合が多く、したがって暖房が困難で、発明者の場合も含めて多くの家庭での従来のヨモギ蒸しは寒くなると効果が期待できない。
【0007】
第二に、火傷の危険性が高いことである。より高い効果を狙ってより多くの蒸気を発生させようと電熱器の温度を上げると、座面開口部で蒸気に当てている身体の部分に火傷を負うことがある。特に周囲の気温が低めで、全身を蒸すための蒸気の量をなるべく多くしようとした場合に起こりやすい。
【0008】
第三に、体力が必要なことである。お年寄りや心臓に問題を抱えた人の場合には細心の注意が必要である。例えば不整脈のある知人は、冷え性と睡眠障害などを改善するためにヨモギ蒸しを行っているが、ヨモギ蒸しの最中に動悸がするそうで、気軽にはできないと悩んでいた。
【0009】
第四に、簡単に頭部のヨモギ蒸しを行う道具が無いことである。ヨモギやもぐさの薬効成分を帯同した蒸気は美肌効果があることが知られており、抜け毛や薄毛に悩む人達の頭皮改善にも役立つものと考えられる。ヨモギ蒸しサービスを行っている業者の中には、身体に纏うケープの中に頭をすっぽり入れて頭部も蒸すように勧めているところもあるが、全身浴は面倒なので、例えば美顔器のようにもっと手軽に使えるものが望ましい。
【0010】
そこで本発明は、周囲気温が低くても高い健康増進効果を得ることが出来る、また、火傷の可能性を低くしたり、お年寄りや心臓に問題のある人なども気軽に蒸気浴による健康増進効果を得ることが出来る、そのような蒸気浴方法及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
かかる目的を達成するための手がかりとして、発明者は膝下への刺激に注目した。膝下への刺激は、自律神経の副交感神経優位とする働きがあり、心臓の脈拍数を抑え、血管を拡張し内蔵の血行を増大させることが知られている。特許文献1にも記載されているように、従来のヨモギ蒸しの場合でも、座面上で着座位置や着座姿勢を変えながら膝下に蒸気を当てることができる。しかしながら、ヨモギ蒸しでの蒸気を当てる最も重要な場所である会陰部及びその周辺に蒸気を当てながら、同時に膝下に蒸気を当てることは、不可能であるか非常に困難である。
【0012】
そこで自作のヨモギ蒸し装置を改造し、膝下に蒸気を当てる第二の開口部を作成した。元からある第一開口部で会陰部及びその周辺に、第二開口部で膝下に、同時に蒸気を当ててみると、非常に心地よく、会陰部及びその周辺が少し熱くて我慢している場合、その熱さが消えてしまうことが度々あり、眠気を催す等、ヨモギ蒸しの身体の感じ方が大きく変わった。
【0013】
第二開口部付の自作ヨモギ蒸し装置でしばらくヨモギ蒸しを行ってみると、冬でヨモギ蒸し周囲気温が低いにもかかわらず、火傷をするほど電熱器の温度を上げなくても、眼の中のゴミが小さくなり炎症発作も起こらなくなった。このように、第二開口部により膝下へ会陰部及びその周辺と同時に蒸気を当てることは、非常に高い健康増進能力を持つことがわかった。
【0014】
請求項1記載の発明は、座面に開口部を有する椅子と、当該椅子の内側下部に蒸気生成部を配し、当該蒸気生成部は水と生薬等から薬効成分を帯同する蒸気を生成するよう構成してなる蒸気浴装置に於いて、会陰部及びその周辺に蒸気を当てるための第一開口部と、両足或いは片足の少なくともふくらはぎから足首にかけての一部を含む膝下に蒸気を当てるための第二開口部と、を有することを特徴とする蒸気浴装置である。
【0015】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の蒸気浴装置を用いて、会陰部及びその周辺と、両足或いは片足の少なくともふくらはぎから足首にかけての一部を含む膝下とに、同時に蒸気を当てることを特徴とする蒸気浴方法である。
【0016】
ヨモギ蒸しを行っていて、会陰部及びその周辺が熱くて我慢できないときは座面から少しお尻を浮かす。すると座面開口部からは蒸気が吹き上げて身体に当たるが、熱さはそれほど感じない。小型の座面を作り、それを元の座面から所定の高さに固定し、あたかも腰を浮かした状態でヨモギ蒸しを続けているようにすると、火傷を負う可能性は大幅に低下する。
【0017】
請求項3記載の発明は、座面に開口部を有する椅子と、当該椅子の内側下部に蒸気生成部を配し、当該蒸気生成部は水と生薬等から薬効成分を帯同する蒸気を生成するよう構成してなる蒸気浴装置に於いて、座面下の少なくとも後方、左右方向、の3方向がほぼ開放されていることを特徴とする座面下開放型蒸気浴装置である。
【0018】
請求項4記載の発明は、開口部を有する座面と当該座面を支える支持部とから構成され、非座面下開放型蒸気浴装置の座面上にそれぞれの開口部を合わせるように設置することで、当該装置を座面下開放型蒸気浴装置に変化させる蒸気浴補助装置である。
【0019】
座面下開放型蒸気浴装置に於いて、座面を大きくすると、身体に当たった蒸気の逃げ道の抵抗が増し、火傷を負う可能性が高くなる可能性がある。そこで、蒸気の噴出し口を持つ蒸気制御板の高さを変更し、例えば噴出し口から遠ざかるに従って低くし、座面との隙間が大きくなるように構成すると、蒸気の逃げ道の抵抗を低くすることが出来る。
【0020】
請求項5記載の発明は、座面下開放型蒸気浴装置に於いて、座面下にある蒸気制御板の開口部周辺が座面に向かって盛り上がるような形態を成すことを特徴とする蒸気浴装置である。
【0021】
ヨモギ蒸し等の蒸気浴で利用者が身体に纏うケープ内部では、空間が十分確保されず、そのため蒸気の流れが阻害され、蒸気浴の効果が低下する可能性がある。それを防止するため請求項6記載の発明は、座面に開口部を有する椅子と、当該椅子の内側下部に蒸気生成部を配し、当該蒸気生成部は水と生薬等から薬効成分を帯同する蒸気を生成するよう構成してなる蒸気浴装置に於いて、利用者が身体に纏ったケープ内の蒸気の流れを良くする為に、ケープを外側に支持しケープの内側に空間を確保するケープ支持部を有することを特徴とする蒸気浴装置である。
【0022】
請求項7記載の発明は、前記ケープ支持部は、折りたたみ或いは取り外し、或いはその両方、が可能で、必要に応じて展開或いは取り付け、或いはその両方、ができるように構成されたことを特徴とする請求項6に記載の蒸気浴装置である。
【0023】
発明者が発見したように、膝下に蒸気を当てることでヨモギ蒸しの効果が非常に高くなった。この事は、膝下にのみ蒸気を当てるだけでもかなりの健康増進効果が期待できると考えられる。
【0024】
請求項8記載の発明は、水と生薬等から薬効成分を帯同する蒸気を生成する蒸気生成部を用いる蒸気浴装置に於いて、利用者の足を支える足支持部を備え、主に少なくともふくらはぎから足首にかけての一部を含む膝下に蒸気を当てるように構成されたこと、を特徴とする蒸気浴装置である。
【0025】
請求項9記載の発明は、前記足支持部は着脱可能であることを特徴とする、請求項8に記載の蒸気浴装置である。
【0026】
請求項10記載の発明は、請求項8或いは請求項9に記載の蒸気浴装置を用いて、主に少なくともふくらはぎから足首にかけての一部を含む膝下にのみ蒸気を当てる膝下蒸気浴方法である。
【0027】
頭部への蒸気浴補助装置について、請求項11記載の発明は、水と生薬等から薬効成分を帯同する蒸気を生成する蒸気生成部を用いる例えば美顔器のような蒸気浴装置に於いて、利用者の頭を覆い、後頭部周辺に排気用開口部を設けたことを特徴とするフード型蒸気浴補助装置である。
【0028】
請求項12記載の発明は、水と生薬等から薬効成分を帯同する蒸気を生成する蒸気生成部を用いる例えば美顔器のような蒸気浴装置に於いて、利用者が頭にかぶり、前部に空気取り込み口と後部に排気用開口部とを備えることを特徴とするキャップ型蒸気浴補助装置である。
【0029】
請求項13記載の発明は、ゴムベルト等利用者の頭に装着する手段を備え、前部に空気取り込み口形成手段と、後部に排気用開口部形成手段とを備え、シャワーキャップや帽子等をその上にかぶることで請求項12に記載のキャップ型蒸気浴補助装置を構成することを特徴とする蒸気浴補助装置である。
【0030】
蒸気浴で遠赤外線による健康増進効果も簡単に提供できるようにするために、請求項14記載の発明は、座面に開口部を有する椅子と、当該椅子の内側下部に蒸気生成部を配し、当該蒸気生成部は鍋とヒーターとを有し、水で生薬等を煮ることで薬効成分を帯同する蒸気を生成するよう構成してなる蒸気浴装置に於いて、ほぼ平板で少なくともその一部が円形をなし、遠赤外線生成素材を含んで製造された、或いは少なくとも上面が遠赤外線生成素材でコーティングされている、前記鍋に設置することで当該鍋や中の湯等から熱を受け取り遠赤外線を放射することを特徴とする蒸気浴補助装置である。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、ヨモギ蒸しの重要な部位である会陰部及びその周辺と膝下とを同時に蒸気に当てることが容易に可能であり、従来のヨモギ蒸しに比べてさらに高い健康増進効果を提供できる。発明者の場合を含む一般の家庭で、冬の寒い環境の中でも高い効果を得ることが可能となった。その結果、発明者の眼の中のゴミはかなり小さくなり、炎症発作も抑え込むことが出来た。冬の時期に炎症発作を抑え込むことが出来たのは、最初の炎症発作が発症して以来初めてのことであり、本発明でのヨモギ蒸し方法の健康増進効果が非常に高いことを示している。
【0032】
座面下開放型蒸気浴装置では、大量の蒸気を生成させるべく電熱器等の温度を上げても、火傷の可能性が低くなった。
【0033】
また膝下蒸気浴方法によるヨモギ蒸しを、不整脈があり、冷え性と睡眠障害に悩む知人に試してもらったところ、従来の全身ヨモギ蒸しではしていた動悸も無く、冷え性の症状がかなり軽減され、睡眠障害もこれまでは眠れなかった状況でも眠れるようになるまで改善された。心臓への負担が軽く、健康増進効果が発揮されていることが示された。加えて、この膝下蒸気浴方法では全身蒸気浴に比べて蒸気量が少なくて済み、全身に汗をかくことが無いので服を着用のまま、例えば居間でなど行う場所を選ばず、子供から目を離すことなく手軽に行えることは重要なポイントと、この子育て中でもある知人は市場投入を非常に楽しみにしている。
【0034】
体力を必要としない膝下蒸気浴方法によるヨモギ蒸しは、お年寄りにも安心して勧められる健康法である。全身浴では、ヨモギ蒸しの健康増進効果はわかっていても体力の無いお年寄りには勧めることが難しかった。お年寄りにこそやって欲しい健康増進、膝下蒸気浴方法によるヨモギ蒸しは正に打って付けである。
【0035】
さらに、頭を蒸すためや遠赤外線による効果も取り込む各補助装置や、全身蒸気浴の時に身体に纏うケープ内の蒸気の流れを良くする仕組み等により、より高い健康増進効果を頭皮などより広範囲に得ることが出来るようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。ただし、図面はその概念を説明するためのもので、大きさや量を正確に示すものではない。
【0037】
「実施形態1」
図1は本発明の二つの開口部を持つ蒸気浴用椅子の例を示している。蒸気浴用椅子10は、座面11に第一開口部12と、正面に第二開口部13とを有する。図1の例では、第二開口部13を正面に配したが、その配置場所を限定するものではない。
【0038】
図2に使用例を示す。蒸気生成部として、本例では、電熱器30と鍋20を用い、鍋20に水と生薬等を入れて電熱器30で加熱し薬効成分を帯同する蒸気21を得ている。電熱器30には、図には示されていないが、温度調節を行う温度調整つまみを備え、電力を供給する電源コードが接続されている。利用者1はほぼ裸体となってケープを纏い蒸気浴用椅子10に、利用者1の会陰部及びその周辺が第一開口部12を通して蒸気21が当たるように、座面11の上に腰掛ける。ケーブは図示していない。
【0039】
鍋20から発生する蒸気21は上方へ向かって流れるが、第一開口部12が利用者1によって塞がれているため、第二開口部13から排出される。この時利用者1は、第二開口部13に膝下を近づけることでふくらはぎやくるぶしなどに蒸気21を当てることが出来る。その際両足同時でも良いし、片足ずつでも良い。また足を上下することで蒸気21の当たる場所を調整する。また、第二開口部13に電動ファンや自動で上下するルーバーなどを設置し、足を動かさなくても自動的に膝下にまんべんなく蒸気21を吹き付けてくれるように構成しても、もちろん良い。尚、第二開口部13から排気された蒸気21はケープ内に充満し利用者1の身体を蒸す働きも行う。
【0040】
図12に遠赤外線放射補助装置26の設置例を示す。この遠赤外線放射補助装置26の形状は、平板で円形を成す。強度を増すために、円形の周囲の厚みを増しても良い。平板にするのは、遠赤外線の放射の多くを利用者1の身体に当てるために上方に向けるためである。球状底を持つ鍋の場合でも適正に設置できる円形が好適であるが、もし例えば四角形で作成する場合には、その四隅を同心円となる円形で丸めると球状底の鍋でも設置しやすいし四隅が壊れ難くなる。
【0041】
遠赤外線生成素材としては、例えばAl2O3+TiO2を主成分とするセラミック材がある。この素材で、或いはこの素材を混合して、遠赤外線放射補助装置26を製造するか、或いは別の素材で作成し、少なくともその上方表面を遠赤外線生成素材をコーティングしても良い。
【0042】
遠赤外線放射補助装置26を鍋20に設置することにより、遠赤外線放射補助装置26は鍋20及び内部の湯等から熱を受け取り遠赤外線を上方へ放射し、利用者1に照射することになり、したがって遠赤外線による健康増進効果を蒸気浴に追加することが出来る。
【0043】
以上の如く本実施形態1によれば、蒸気浴用椅子の二つの開口部により容易に会陰部及びその周辺と膝下とに同時に薬効成分を帯同する蒸気を当てることが出来、従来の蒸気浴に比べて非常に高い健康増進効果を得ることが出来る。さらに、遠赤外線放射補助装置26を鍋26に設置することで遠赤外線を身体に照射することで得られる健康増進効果をも追加できる。
【0044】
「実施形態2」
図3は座面補助装置の例である。座面補助装置40は、従来の蒸気浴用椅子の座面に開口部同士を合わせるようにセットすることで、小型座面の下に略開放空間を作ることが出来、非座面下開放型蒸気浴装置を座面下開放型蒸気浴装置に変えることが出来る。座面補助装置40を使用すると、座面の高さが高くなって、場合によっては足置き台50が必要となるかもしれない。
【0045】
図4は座面補助装置40の使用例である。蒸気浴用椅子10Aは、第二開口部13にダクト14を備えているが、これは蒸気21を確実に第二開口部13へ導くために設けられたものである。特に座面下開放型蒸気浴装置の場合には上方開口部が利用者1により塞がれていないので、ダクト14無しでは多くの蒸気が上方へそのまま抜けてしまい第二開口部13からはほとんど排出されなくなる。ダクト14を使用する方法以外でも、第二開口部13に蒸気を誘導し排出させる手段であれば、例えば椅子の内部に仕切りを作成して別途蒸気生成手段を準備しても良い。
【0046】
鍋20で出来た薬効成分を含む蒸気21は、蒸気浴用椅子10Aの上方開口部と座面補助装置の開口部を通って腰掛けている利用者1の会陰部及びその周辺に当たる。本図でも利用者1の纏うケープは図示していいない。蒸気21は利用者1の身体に当たってすぐに座面補助装置40の作った空間に逃げていく。ちょうど少し腰を浮かしたような格好で蒸気浴を行えるようになり、蒸気量を増やすために電熱器の温度を上げても、蒸気浴用椅子10Aの開口部から噴出した蒸気が身体に当たってもすぐに略開放空間に逃げるからか、それほど熱さは感じない。もちろん、座面補助装置40を使わなくても、小型座面を直接蒸気浴用椅子10Aに作りつけても良い。また、一度利用者1の身体に当たった蒸気21が前方に逃げて、利用者1の腿の間等の隙間を抜けるときに火傷を負う可能性があるので、座面下の空間の前方を閉じ、左右方向と後方のみを開放としても良い。
【0047】
図5は、広い座面11を持ち、蒸気制御板16を有する蒸気浴用椅子10Bの使用説明図である。特徴は、蒸気制御板16の周囲が中央の開口部に比べて低く構成されていることである。これは、開口部を通って利用者1の身体に当たった蒸気21が逃げる場合に、座面が広くなった分少しでも抵抗を低くなるように行ったものである。
【0048】
ケーブ支持部15は、利用者1が纏うケープが座面11と蒸気制御板16との間後方から出てくる蒸気21の流路を妨げないように後方に向かって支持するためのものである。同時に、蒸気21は上方に向かうので、背中に蒸気21が良く流れるように背中への流路確保の目的もある。このケープ支持部は、折り畳んだり着脱が可能としても良い。
【0049】
本実施形態2によれば、大量の蒸気21を発生させるべく電熱器30の温度を上げても、利用者1の火傷の可能性が低く、大量の蒸気21により全身を蒸す効果が高まる。座面補助装置40により、従来の蒸気浴用椅子にも同様の機能を提供できる。またケープ支持部15によりケープ内部の蒸気の流れが良くなり、全身蒸しの効果を高くすることができる。
【0050】
「実施形態3」
図6は膝下蒸気浴用囲いの例である。膝下蒸気浴用囲い60は、足支持部61を有する。図7に膝下蒸気浴装置の使用例を示す。利用者1は椅子51に腰掛け、膝下を膝下蒸気浴用囲い60に入れ、足を足支持部61に置いて蒸気浴を行う。図示しないが、電熱器32は温度を調節する温度調節つまみを有し、電力を供給する電源コードが接続されている。鍋22には水と生薬等が投入され薬効成分を帯同する蒸気21を生成する。図示しないが、タオル等を足にかけると、適度に蒸し効果が出て好適である。
【0051】
利用者1は足を動かしながら蒸気21の当たり具合を調整することが出来る。膝下のふくらはぎから足首にかけて蒸気21を当てる。足の裏にも多くの灸のつぼがあるようなので、足の裏に蒸気21を当てるのも健康増進に効果があると考えられる。
【0052】
足支持部61は、本例では足の裏を置いて足を支持する構成となっているが、特にそれにこだわらない。少なくともふくらはぎから足首にかけての一部を含む膝下を、蒸気21に当てることが出来れば良い。例えばふくらはぎで足を支持しても良いが、その場合には、血行をなるべく妨げないために、例えば多点支持のように支持圧力を分散させるなどの工夫が必要である。
【0053】
膝下に蒸気21を当てる膝下蒸気浴は、全身蒸気浴と異なり、蒸気21の量が少なくて良い。身体を蒸すために纏い蒸気21を逃さないケープは無く、その中で蒸気21が水滴となって滴下することも、全身で発汗して汗が滴り落ちることも、無い。膝下さえ裸になればよく、その他は着衣のままで良い。したがって全身蒸気浴のように風呂場で行う必要は無く、居間でさえ可能である。
【0054】
着脱可能な足支持部61を取り外し、顔に蒸気21を当てる美顔器のような使い方が出来る。図8は膝下蒸気浴装置を美顔器として利用している例を示している。足支持部61を外した膝下蒸気浴装置を適当な高さの置き台52に置き、鍋22から立ち昇る蒸気21を利用者1の顔に当てることで、蒸気21が帯同する薬効成分により美肌効果が期待できる。
【0055】
図9は蒸気浴用フードの説明図である。蒸気浴用フード80は雨具のフード様の物で、利用者1の頭にかぶり、利用者1が顔に蒸気21を当てるとき、その蒸気21を前方より取り込み、蒸気浴用フードと利用者1の頭部との間に蒸気21が流れ、頭皮と蒸気21とが接触する。その後蒸気21は熱を奪われたりして排気蒸気25となり、後方のフード開口部81より排出される。よって薬効成分を帯同する蒸気21を頭皮の前部のみならず、頭頂部から後頭部にかけても接触させることが可能となり、より広範囲に蒸気浴の効果を提供できる。
【0056】
図10は蒸気ダクトベルトの例である。蒸気ダクトベルト70は、利用者1の頭に装着するゴムベルト73を備え、利用者1の頭に装着されると前方に蒸気取り入れダクト71を、後方に蒸気排出ダクト72とを形成する。この上にシャワーキャップや帽子などをかぶると、蒸気浴用フード80と同様の効果を期待できる。
【0057】
図11に蒸気ダクトベルト70とシャワーキャップ82とを利用した例を示す。蒸気浴用フード80の場合と同様に、利用者1が蒸気21を顔に当てるとき、その蒸気21を前方の蒸気取り入れダクト71より流入させ、シャワーキャップ82と利用者1の頭部との間に流す。したがって頭皮と蒸気21とが後頭部に渡ってまで接触し、蒸気21は排気蒸気25となって、後方の蒸気排出ダクト72より排出される。よって蒸気浴の効果を広範囲に提供できる。
【0058】
本実施形態3によれば、心臓に負担のかからない、居間でも行える、手軽な、そして健康増進効果の高い膝下蒸気浴方法を提供できる。本膝下蒸気浴装置は美顔器としても利用でき、さらに、蒸気浴用フード80や、蒸気ダクトベルトとシャワーキャップ等により、頭部まで蒸気浴を行うことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の第一及び第二開口部を持つ蒸気浴用椅子の例である。
【図2】本発明の二つの開口部を使った蒸気浴の説明図である。
【図3】本発明の座面補助装置の例である。
【図4】本発明の座浴補助装置を使用した場合の説明図である。
【図5】座面下開放型蒸気浴装置に於いて広い座面を構成した場合の説明図である。
【図6】本発明の膝下蒸気浴用囲いの例である。
【図7】本発明の膝下蒸気浴の説明図である。
【図8】本発明の膝下蒸気浴装置を美顔器として利用している例の図である。
【図9】本発明の蒸気浴用フードを使用したときの説明図である。
【図10】本発明の蒸気ダクトベルトの例の外観図である。
【図11】蒸気ダクトベルトとシャワーキャップを使用したときの説明図である。
【図12】本発明の遠赤外線放射補助装置の設置例の図である。
【符号の説明】
【0060】
1 利用者
10、10A、10B 蒸気浴用椅子
11 座面
12 第一開口部
13 第二開口部
14 ダクト
15 ケープ支持部
16 蒸気制御板
20、22 鍋
21 蒸気
25 排気蒸気
26 遠赤外線放射補助装置
30、32 電熱器
40 座面補助装置
50 足置き台
51 椅子
52 置き台
60 膝下蒸気浴用囲い
61 足支持部
70 蒸気ダクトベルト
71 蒸気取り入れダクト
72 蒸気排出ダクト
73 ゴムベルト
80 蒸気浴用フード
81 フード開口部
82 シャワーキャップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
座面に開口部を有する椅子と、当該椅子の内側下部に蒸気生成部を配し、当該蒸気生成部は水と生薬等から薬効成分を帯同する蒸気を生成するよう構成してなる蒸気浴装置に於いて、会陰部及びその周辺に蒸気を当てるための第一開口部と、両足或いは片足の少なくともふくらはぎから足首にかけての一部を含む膝下に蒸気を当てるための第二開口部と、を有することを特徴とする蒸気浴装置。
【請求項2】
請求項1に記載の蒸気浴装置を用いて、会陰部及びその周辺と、両足或いは片足の少なくともふくらはぎから足首にかけての一部を含む膝下とに、同時に蒸気を当てることを特徴とする蒸気浴方法。
【請求項3】
座面に開口部を有する椅子と、当該椅子の内側下部に蒸気生成部を配し、当該蒸気生成部は水と生薬等から薬効成分を帯同する蒸気を生成するよう構成してなる蒸気浴装置に於いて、座面下の少なくとも後方、左右方向、の3方向がほぼ開放されていることを特徴とする座面下開放型蒸気浴装置。
【請求項4】
開口部を有する座面と当該座面を支える支持部とから構成され、非座面下開放型蒸気浴装置の座面上にそれぞれの開口部を合わせるように設置することで、当該装置を座面下開放型蒸気浴装置に変化させる蒸気浴補助装置。
【請求項5】
座面下開放型蒸気浴装置に於いて、座面下にある蒸気制御板の開口部周辺が座面に向かって盛り上がるような形態を成すことを特徴とする蒸気浴装置。
【請求項6】
座面に開口部を有する椅子と、当該椅子の内側下部に蒸気生成部を配し、当該蒸気生成部は水と生薬等から薬効成分を帯同する蒸気を生成するよう構成してなる蒸気浴装置に於いて、利用者が身体に纏ったケープ内の蒸気の流れを良くする為に、ケープを外側に支持しケープの内側に空間を確保するケープ支持部を有することを特徴とする蒸気浴装置。
【請求項7】
前記ケープ支持部は、折りたたみ或いは取り外し、或いはその両方、が可能で、必要に応じて展開或いは取り付け、或いはその両方、ができるように構成されたことを特徴とする請求項6に記載の蒸気浴装置。
【請求項8】
水と生薬等から薬効成分を帯同する蒸気を生成する蒸気生成部を用いる蒸気浴装置に於いて、利用者の足を支える足支持部を備え、主に少なくともふくらはぎから足首にかけての一部を含む膝下に蒸気を当てるように構成されたこと、を特徴とする蒸気浴装置。
【請求項9】
前記足支持部は着脱可能であることを特徴とする、請求項8に記載の蒸気浴装置。
【請求項10】
請求項8或いは請求項9に記載の蒸気浴装置を用いて、主に少なくともふくらはぎから足首にかけての一部を含む膝下にのみ蒸気を当てる膝下蒸気浴方法。
【請求項11】
水と生薬等から薬効成分を帯同する蒸気を生成する蒸気生成部を用いる例えば美顔器のような蒸気浴装置に於いて、利用者の頭を覆い、後頭部周辺に排気用開口部を設けたことを特徴とするフード型蒸気浴補助装置。
【請求項12】
水と生薬等から薬効成分を帯同する蒸気を生成する蒸気生成部を用いる例えば美顔器のような蒸気浴装置に於いて、利用者が頭にかぶり、前部に空気取り込み口と後部に排気用開口部とを備えることを特徴とするキャップ型蒸気浴補助装置。
【請求項13】
ゴムベルト等利用者の頭に装着する手段を備え、前部に空気取り込み口形成手段と、後部に排気用開口部形成手段とを備え、シャワーキャップや帽子等をその上にかぶることで請求項12に記載のキャップ型蒸気浴補助装置を構成することを特徴とする蒸気浴補助装置。
【請求項14】
座面に開口部を有する椅子と、当該椅子の内側下部に蒸気生成部を配し、当該蒸気生成部は鍋とヒーターとを有し、水で生薬等を煮ることで薬効成分を帯同する蒸気を生成するよう構成してなる蒸気浴装置に於いて、ほぼ平板で少なくともその一部が円形をなし、遠赤外線生成素材を含んで製造された、或いは少なくとも上面が遠赤外線生成素材でコーティングされている、前記鍋に設置することで当該鍋や中の湯等から熱を受け取り遠赤外線を放射することを特徴とする蒸気浴補助装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2009−291584(P2009−291584A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−176315(P2008−176315)
【出願日】平成20年6月9日(2008.6.9)
【出願人】(597151910)
【Fターム(参考)】