説明

蒸気発生システムからの二酸化炭素排出量を求める方法

蒸気発生システム(100)からの炭素排出量を求める方法が開示され、蒸気発生システム(100)に流入する給水の第1エネルギーを測定すること、及び、蒸気発生システム(100)から流出する蒸気の第2エネルギーを測定することを含む。第2エネルギーから前記第1エネルギーを減算し、蒸気発生システム(100)によって吸収された全エネルギーを求める。蒸気発生システム(100)によって吸収された全エネルギーを、全エネルギーで除算し、蒸気発生システム(100)への入熱を求める。入熱を用いて蒸気発生システム(100)からの炭素排出量を求める。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、参照によりそれらの内容の全体が本明細書に組み込まれる2009年6月4日付で出願した仮出願第61/184,136号及び2009年9月21日付で出願した仮出願第61/244,278号の優先権を主張する。
【技術分野】
【0002】
本開示は、作動流体を加熱するために用いる蒸気発生システムからの二酸化炭素排出量を求める方法に関する。
【背景技術】
【0003】
温室効果ガス、特に二酸化炭素の排出に対して世界の関心が高まるにつれて、その排出量を削減することに焦点を絞ることができるように、これらの排出量を可能な限り正確に定量化する必要性が増大している。温室効果ガスを削減する一つの方法は、既存の技術を更に効率的なものに改善することである。しかしながら、既存の技術に最善の改善を施したとしても、温室効果ガスをせいぜい数パーセント程度削減できるだけである。そのため、排出削減量を正確に記録できるように、排出削減量の測定に用いる方法は十分に正確であることが重要である。これらの改善を判定し記録するために採用する方法の不確実性が大きい場合、これらの改善の価値はほぼ確実に失われる。
【0004】
既存の技術では、排気筒内の二酸化炭素及び煙道ガス流量の測定、又は燃料流量と燃料中の炭素含有量とを用いた二酸化炭素量の算定が用いられる。どちらの場合も、流量測定によって、算定した二酸化炭素排出量に一般に約7%を超える顕著な不確実性が生じる。このことは、石炭等の固体燃料に特に当てはまる。この大きな不確実性は、差を用いて二酸化炭素排出量の変化を判定する場合に更に深刻な問題となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そのため、燃焼プロセスから排出された二酸化炭素の量を正確に推定することができる方法の開発が望まれる。温室効果ガス排出の定量化が正確に行われてこそ、これらのガスの排出を低減する様々な方法の有効性を実際に判定することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書において開示されるものは、蒸気発生システムに流入する給水の第1エネルギーを測定すること、前記蒸気発生システムから流出する蒸気の第2エネルギーを測定し、前記第1エネルギーと前記第2エネルギーとの差を計算して前記蒸気発生システムによって吸収された全エネルギーを求めること、前記蒸気発生システムによって吸収された前記全エネルギーを前記蒸気発生システムの効率で除算して前記蒸気発生システムへの入熱を求めること、及び、前記蒸気発生システムへの前記入熱から前記炭素排出量を求めることを包含する方法である。
【0007】
本明細書において更に開示されるものは、ボイラ内の作動流体の状態が変化する時に当該作動流体によって吸収された全エネルギーを計算すること、前記ボイラへの入熱を求めるために前記ボイラによって吸収された全エネルギーを前記ボイラの効率で除算すること、及び、前記ボイラへの前記入熱から前記炭素排出量を求めることを包含する方法である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】蒸気の発生に用いるボイラの例示的な図である。
【図2】エネルギー収支法、直接法及びCEMS法に対する不確実性の限界のグラフによる説明図である。
【図3】エネルギー収支法、直接法及びCEMS法に対する不確実性の限界のグラフによる他の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
第1の、第2の、第3の等の用語は、本明細書においては様々な要素、構成要素、領域、層及び/又はセクションを説明するために用いることができるが、これらの要素、構成要素、領域、層及び/又はセクションは、これらの用語によって限定されものではないことが理解されよう。これらの用語は、1つの要素、構成要素、領域、層又はセクションを、他の要素、構成要素、領域又はセクションから区別するためだけに用いられるものである。よって、以下に説明する第1の要素、構成要素、領域、層又はセクションは、本発明の教示から逸脱することなく、第2の要素、構成要素、領域、層又はセクションと呼ぶこともできる。本明細書において用いるように、「及び/又は」という用語は、関連して記載された項目の1つ以上の任意の、又は全ての組み合わせを含む。
【0010】
本明細書において用いる術語は、特定の実施形態を説明する目的のためだけのものであり、制限することを意図するものではない。本明細書において用いるように、単数形の「a」、「an」、及び「the」は、文脈により明確にそうでないことを示す場合を除き複数形も含むことを意図するものである。さらに、「comprises」及び/又は「comprising」、若しくは「include」及び/又は「including」という語は、本明細書において用いる場合、言及された特徴、領域、整数、工程、稼働、要素及び/又は構成要素の存在を特定するものであるが、1つ以上の他の特徴、領域、整数、工程、稼働、要素、構成要素及び/又はそれらの組み合わせの存在又は追加を排除するものではないことが理解されよう。
【0011】
特別の定義がない限り、本明細書において用いる全ての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。また、一般的に用いられる辞書に定義されているような用語は、関連技術及び本開示の文脈においての意味と一致する意味を有するものとして解釈され、本明細書において明確に定義される場合以外は、理想的な又は過度に形式的な意味において解釈されるものではないことが理解されよう。
【0012】
本明細書において開示されるものは、蒸気発生システムから排出された二酸化炭素の量を正確に推定することができる方法である。一実施形態では、当該方法は、全体の入熱を導き出すために、蒸気発生システム内の作動流体によって吸収された全エネルギーを測定することと、吸収された全エネルギーを蒸気発生システムの効率で除算し全入熱を求めることとを含む。そして、炭素排出量は、全入熱から求めることができる。
【0013】
作動流体は、水、アンモニア等を含むことができる。一実施形態では、作動流体は水である。例示的実施形態では、方法は、蒸気発生システムへ供給される給水の(例えば、給水注入口における)第1エネルギー、及び蒸気発生システムの様々な地点(例えば、蒸気の流出口)から流出する蒸気又は温水の第2エネルギーを測定することと、第1エネルギーを第2エネルギーから減算して蒸気発生システムにおける「吸収エネルギー」の測定を行うこととを含む。その後、この吸収エネルギーを蒸気発生システムの効率で除算し、入熱を求める。その後、入熱を用いて、周囲に排出される二酸化炭素の質量を計算する。
【0014】
この方法は、蒸気発生システムへの炭素の直接の流入を測定するのではなく、蒸気発生システムに対して流入したり流出したりする作動流体の流れから炭素の排出量を推定するため、エネルギー収支法と呼ばれる。作動流体の温度及び圧力は、蒸気発生システムにおいて燃焼した燃料の重量、又は、蒸気発生システムによって発生した煙道ガスの量よりも正確に測定することができるため、この方法は、より精密(precise)で正確(accurate)である。
【0015】
エネルギー収支法又は熱損失法がそのように呼ばれるのは、給水エネルギーと蒸気エネルギー(作動流体が水の場合)との差及び蒸気発生システムの効率から炭素排出量を求め、燃料注入又はガス状排出物のどちらも直接測定しないためである。エネルギー収支法は、正確に用いることで、石油及びガス燃焼式蒸気発生器、微粉炭燃焼式蒸気発生器、循環式流動床蒸気発生器、ストーカー石炭燃料式蒸気発生器、バブリング流動床蒸気発生器等の蒸気発生器における炭素排出量を求めることができる。上述した蒸気発生器に用いる蒸気発生システムの例として、ボイラがある。蒸気発生システムにおいて用いる燃料は、石炭、微粉炭、ガソリン、重油、ディーゼル等とすることができる。この方法は、空気加熱器を含むこと、及び当該空気加熱器の出口のグリッドにおける煙道ガス酸素含有量及び煙道ガスの温度を測定することによって、リアルタイム又はオンライン測定のための同様の性質を持つ他の方法とは異なる。これを含むことにより、方法の正確性が向上し、効率の継続的な測定が可能となる。
【0016】
図1は、蒸気発生システム100のボイラ10の例示的な図である。蒸気発生システム100は、以下ボイラシステム100と呼ぶ。蒸気発生システム100は、エアシステム、燃焼システム、煙道ガスシステム、並びに蒸気・水システムから成る。エアシステムは、ファン30、空気予熱器32,34、並びにウィンドボックス・バーナー36を含む吸入ダクトシステムから成る。この吸入ダクトシステムは、空気が燃料システム(粉砕機)、ウィンドボックス・バーナー36に対して排出する前に空気を加熱するメインの空気加熱器34に空気が流入する前に空気を加熱する空気予熱器32をさらに備える。
【0017】
ウィンドボックス・バーナー36は、燃料が燃焼されるガス気密筐体を有するボイラ10を構成する要素である。ボイラ10は、水が沸騰して蒸気となる水冷壁18から成る。蒸気・水システムは、燃焼した燃料及び空気からの熱を水及び蒸気に伝達するために用いられる配管及び熱伝達面を含む。給水は、エコノマイザ12の蒸気・水システムに入り、そこで加熱されて蒸気ドラム14へ送られる。給水は、蒸気ドラム14で炉水冷壁18を循環する水と混合する。水は、十分なエネルギーによって蒸発するまで、自然循環又は循環ポンプ16のいずれかによって、水冷壁の中を循環する。この水蒸気又は蒸気は、蒸気ドラムから流出して、第1次過熱器20、そして、最後の過熱器22に送られる。過熱器が温度を飽和温度よりも上昇させると、蒸気はボイラから蒸気タービンに移動して電力を発生させる、又は有益な仕事を行うための処理に進む。
【0018】
温度低減器とも呼ばれる蒸気過熱低減ステーションを用いて、蒸気温度を制御し、システム内の金属の過熱を防ぐ。この場合、水は過熱低減器内に噴霧して、蒸発によって蒸気を冷却する。噴霧された水は、第2次過熱器22に注入されるが、主蒸気は、第2過熱器22から除去される。ボイラからの蒸気も、ドラム24へ運ばれ、補助蒸気として用いられる。水は、水質を改善させる必要がある場合にブローダウンとして排出されても良い。
【0019】
発電施設の場合、蒸気の一部が戻り、再加熱されて蒸気タービンに戻っても良い。蒸気・水システムの再加熱部は、蒸気を蒸気タービンに戻す前に蒸気温度を上げるために用いられる熱伝達面24を備える。エコノマイザから流出する燃焼生成物は、煙道ガスと呼ばれ、煙道ガスシステムに流入する。煙道ガスシステムは、高温排煙処理システム(AQCS)を含み、該当する場合、空気予熱器34の煙道ガス側は、微粒子制御装置40を含み、場合によっては追加的なAQCS装置を含む。そのため、煙道ガスは高温排煙処理システム及び微粒子制御装置40を通って移動し、その後、排気筒42を通って大気中に放出される。いくつかのボイラ構成では、ガス再循環ファン38を用いて、煙道ガスの一部を炉に再循環させて熱伝達を向上させる。
【0020】
燃料(例えば、微粉炭)及び空気は、バーナー36を通してボイラ10に導入される。燃料の着火を容易にするものとして、又は主燃料として、石油及びガスをバーナー36を通してウィンドボックスに導入する。ボイラ10において発生した煙道ガスを用いて、給水を加熱して蒸気にする。その後、蒸気は発電機を駆動するために用いられる。そして、煙道ガスは、空気加熱器34を介して排気筒42へと放出される。燃料の燃焼により生成された灰は、ボイラ10の底部から取り除かれる。ボイラ10によって生成されたフライアッシュは、空気加熱器34の高温側又は図示したように空気加熱器34に続いて位置する微粒子制御装置40によって取り除かれる。エコノマイザからの灰も、図1に示されるように取り除いても良い。
【0021】
図1に関して、ボイラシステム100は、空気・煙道ガスシステム、燃料システム、及び蒸気・水システムの3つのメインシステムを含む。空気・煙道ガスシステムでは、空気は、ボイラ送風機(FDファン)と呼ばれる1つのファン又は複数のファン30へと吸引され、そして、この空気を空気予熱器34に導く吸入ダクトシステムへと送られる。この空気予熱器34からの空気又は空気予熱器34がない場合の空気は、ウィンドボックス・バーナー36へと向けられ、燃焼のため燃料と混合され、ボイラ10において燃焼される。そして、この煙道ガスは、空気予熱器34の熱伝達面の上を通過し、汚染制御装置に送られ、その後、大気に排出される。
【0022】
燃料システムは、ボイラシステムにおいて燃やされる燃料のタイプに依存する。ガス状の燃料は、最も簡単で、ガスを直接バーナーへと供給する。石油システムは、石油を運ぶために、及び/又は噴霧化のために、蒸気を加熱する。固体燃料は、一般に、微粉炭のストーカー、可動グリッド、又は流動床の3つの配置構成において燃やされる。微粉炭システムでは、粉砕機において石炭を粉砕して細かい粉末にする。粉砕機には高温の空気を導入し石炭を乾燥させ、燃焼のため石炭をバーナー36及びボイラ10へと運ぶ。粉砕機に導入される空気の温度は、空気加熱器からの高温の空気を非加熱の空気と混合することにより制御される。
【0023】
蒸気・水システムでは、まず水がエコノマイザ12において加熱され、そして、蒸気ドラム14へと導入される。そして、水と蒸気の混合物が炉水冷壁を通って循環し、蒸気ドラム14へと戻る。その結果、蒸気が液体から分離される。液体は、水冷壁18へと再循環する一方で、蒸気は、更なる熱伝達のために第1次過熱器20に送られる。超臨界ボイラ又は淡水加熱器の場合、入口流体と出口流体との間に著しい密度差がないため、蒸気ドラムは用いられない。第1次過熱器20からの蒸気は、ボイラ源の設計によって他の過熱面へと送られる。多くの場合において、蒸気過熱低減器(又は、温度低減器)を最終的な蒸気温度における制御として用いる。いくつかのユニット設計では、複数の過熱低減又は温度低減段階があっても良い。多くのボイラ設計において、再加熱セクションが組み込まれている。このセクションは、プロセスにおいて用いられてきた蒸気を取り出し、プロセスに戻す前に再加熱する。この再加熱のための熱伝達面は、煙道ガス蒸気においてメインの蒸気過熱器と協働する。
【0024】
ボイラからの炭素排出量を求めるために、蒸気の温度及び圧力を測定することが望ましい。蒸気の温度及び圧力は、容易に正確に測定できるため、蒸気又は水のエンタルピーも正確に求めることができる。様々な地点におけるボイラからの蒸気の質量及びエンタルピーは、測定可能であり、それらを用いて式Q=MHによって蒸気のエネルギーを求めることができる。ここで、Mは質量、Hは特定のエンタルピーである。様々な地点におけるボイラからの蒸気のエネルギーとボイラに流入する給水のエネルギーとの差を求めることによって、蒸気及び水によって吸収されたエネルギーを求めることができる。ボイラの効率は、ボイラにおける燃焼により生じた熱で除算される、蒸気及び水によって吸収されたエネルギーによって定義される。そのため、蒸気及び水のエネルギーボイラの効率で除算することで、ボイラへの入熱を推定することができる。ボイラへの入熱を用いて炭素排出量を推定することができる。
【0025】
このセクションでは、多くの式が続く。これらの式は、蒸気と給水との間のエネルギー差に基づいて炭素排出量を求めるために用いられる。術語体系の表は、以下の式で用いられる様々な用語の意味を判断するために読者にとって有益である。以下の式において見られるように、用語同士が連なってできた用語も多数ある。これらの組み合わされた用語の意味は、表1を用いて推測することができる。
【表1】



【0026】
主蒸気QMSに吸収されたエネルギーは、以下の式(1)において求められる。
【数1】

式中、MFWは、給水の質量、MSBは、すす吹き蒸気の質量、MBdは、ブローダウンの質量、MAuxは、補助蒸気の質量、HMSは、主蒸気のエンタルピー、HFWは、給水のエンタルピーである。給水の質量は、脱気装置周辺のエネルギーバランスによる復水量との比較によって確認されるステーション装置からの一次測定である。すす吹き蒸気流及び補助蒸気流の質量流は、該当する場合及び稼働中の場合、方法全体の正確さに比べて正確さがさほど重要ではない二次流である。稼働中の場合、ブローダウン流もさほど重要ではなく、バルブの開放及びバルブの流量特性によって推測しても良い。蒸気又は水蒸気のエンタルピーは、測定した温度及び/又は圧力に基づいたASME蒸気表を用いて求められる。ブローダウンエンタルピーは、サイクル内にブローダウン冷却器が採用される場合を除いて、ドラム圧における飽和液体に基づき、そして、それがサイクルから流出する時の冷却器からの流出量が用いられる。
【0027】
すす吹き蒸気に吸収されたエネルギーは、以下の式(2)において求められる。
【数2】

式中、MSB及びHFWは、上述されており、Hsbは、すす吹き蒸気のエンタルピーである。
【0028】
ブローダウン蒸気に吸収されたエネルギーは、以下の式(3)において求められる。
【数3】

式中、MBd及びHFWは、上述されており、Hbdは、ブローダウン蒸気のエンタルピーである。補助蒸気に吸収されたエネルギーは、以下の式(4)において求められる。
【数4】

式中、MAUX及びHFWは、上述されており、HAUXは、補助蒸気のエンタルピーである。主蒸気への噴霧によって吸収されたエネルギーは、以下の式(5)によって求められる。
【数5】

式中、QrMSspray及びMrMSsprayは、それぞれ、主蒸気への噴霧のエネルギー比率及び主蒸気への噴霧の質量率であり、HMSは上述されており、HMSsprayは、主蒸気噴霧のエンタルピーである。再加熱蒸気に吸収されたエネルギーは、以下の式(6)において求められる。
【数6】

式中、QrRH及びMrCRHは、それぞれ、再加熱蒸気のエネルギー率及び質量率であり、HHRH及びHCRHは、それぞれ、高温の再加熱蒸気及び低温の再加熱蒸気のエンタルピーである。低温の再加熱CRHの質量率は、高性能(HP)タービンにおける推定漏れ率よりも少ない主蒸気MrMSの質量流、及びタービンからの任意の抽出又はボイラに再流入する前の排気から求められる。給水加熱器への排気は、加熱器の周辺の熱収支から計算される。加熱器の周辺の熱収支は、給水によって吸収されたエネルギーと等しい、抽出蒸気によって放出されるエネルギーを含む。再加熱蒸気への噴霧によって吸収されたエネルギーは、以下の式(7)によって求められる。
【数7】

式中、QrRHspray及びMrRHsprayは、再加熱蒸気への噴霧のエンタルピー比率及び質量率であり、HHRH及びHRHRHSprayは、それぞれ、高温の再加熱蒸気のエンタルピー及び再加熱蒸気の噴霧のエンタルピーである。
【0029】
ボイラで吸収された全エネルギーは、以下の式(8)を用いて計算することができ、式(1)〜(7)を合計したものである。式(5)〜(7)は正規化して比率を取り除く。
【数8】

式中、QMS、MMSSpray、QBd、QSB、QAUX、QRH、及びQRHsprayは、上述した意味を有する。ボイラで吸収された全エネルギーを求め、ASME PEC4−2008エネルギー収支法により、ボイラ効率を求めた後で、ボイラに供給された熱を、式(9)又は(10)に示した関係を用いて求めることができる。
【数9】


【数10】

式中、式(10)のQFIREDは、式(9)の入熱であり、式(10)のQBLRは、式(9)の吸収エネルギーであり、式(10)のηBLRは、式(9)のボイラ効率である。上記したように、ボイラの効率は、米国機械学会性能試験規約4−2008の方法(ASME PTC4)によって規定された計算方法を用いて計算することができる。この方法の詳細は、以下の通りである。
【0030】
入熱を求めたことにより、100万ブレーキ熱単位(BTU)毎の二酸化炭素の重量及び燃焼による入熱に基づいて炭素排出量を求めることができる。炭素排出量は、以下の式(11)、(12)、及び(13)から求めることができる。
【数11】


【数12】

及び
【数13】

式中、MqCO、MeCO、及びMteCOは、それぞれ、1BTU当たりのポンド数で表される二酸化炭素量、1kW当たりの二酸化炭素排出量、1時間当たりのトン数で表される二酸化炭素排出量であり、MFrCFは、燃料中の炭素の質量分率であり、MqCOは、1BTU当たりのポンド数で表される二酸化炭素量であり、MWCO2は、二酸化炭素量であり、QFIREDは、蒸気発生システムへの入熱である。他の排出量は、式(14)及び(15)を用いて炭素排出量と同様の方法で推定することができる。
【数14】

及び
【数15】

式中、MeEm及びMteEmは、それぞれ、1kW当たりの排出量及び1時間当たりのトン数で表される排出量であり、QFIREDは、上述した意味と同じ意味を有する。一実施形態では、式(14)及び(15)を用いて、酸化窒素、二酸化硫黄、一酸化炭素、及び他の排出量を推定することができる。
【0031】
ボイラへの燃料流量は、式(15a)によって求めることができる。
【数15a】

米国機械学会性能試験規約4−2008燃焼型蒸気発生器(ASME PTC4−2008)は、蒸気発生器の効率を求めるための、全米規格協会(ANSI)である。この規格は、「燃料効率」として効率を定義しており、幅広い蒸気発生器の設計の定義に従って、ボイラ又は蒸気発生器の効率を求めるための方法を提供する。この方法は、効率を求めるための、入出力法及びエネルギー収支法の2つの方法を更に提供する。ASMEの燃料効率は、燃料中の化学エネルギーと出力との比率と定義され、出力は、蒸気発生器の境界内では回収されない作動流体によって回収されるエネルギーとして定義される。
【0032】
本特許に説明した方法では、ASME−PTC4(2008)に従って定められた出力を用いて、それを効率で除算し、燃料により燃焼された化学エネルギー(熱)を求める。ASME−PTC4 2008の方法は、試験計測、並びにテスト中の燃料及び灰のサンプル収集を用いる性能保証タイプのテストを意図している。本明細書において説明する算定及び計算は、効率及び出力をオンラインによりリアルタイムに求めることを可能とするためにいくつかの修正を行う以外は、この方法に従う。コードレベルテストは、約0.5%の不確実性のレベルを有する結果を提供することが意図される。本特許出願に説明した方法では、算定の基礎として定期的に収集された燃料分析及び灰分析が用いられる。
【0033】
これらのサンプルは、算定時に採取されるものではないため、計算結果に更なる不確実性が加わる。多くの場合、石炭が一定のソースから来るため、この不確実性は最小である。産業界の経験及び出版された報告書では、0.1%よりも少ないエラーが入熱に導入されることが示されている。未燃炭素は、灰の中の炭素及び煙道ガス中の一酸化炭素(CO)濃度の両方において明らかとなる。ほとんどのプラントでは、灰の中の炭素を定期的に測定するが、これは、微粉炭機の摩耗の現れであるためである。プラントは、一般に一酸化炭素を汚染物質として測定する。炭素損失パラメータの大きさは、1%未満であり、そのため、これらのパラメータのバリエーションは、値が10%を超えて変化したとしても、一般に0.1%未満の入熱にしか影響を与えない。よって、定期的に燃料及び灰をサンプリングし、これらの分析のデータベースを管理することで、入熱の決定における正確性を高いレベルとすることができる。そして、この記録の履歴を用いて、結果における不確実性が最も低くなる分析を確立することができる。この分析は、受容に加えて、水分及びアッシュフリーベースで行われる。そして、水分及びアッシュフリーベースは、より頻繁な水分及び灰分析によって調整される。
【0034】
また、この方法は、燃料、並びに一酸化炭素として灰の流れの中及び煙道ガスの中に存在する炭素の分析も用いて、燃焼した炭素を求める。これは、理論空気、及び化学量論計算を用いる場合に補正された理論空気を求めるために用いることもできる。これらは、100万BTU当たりのポンド数(すなわち、生成された100万BTU当たりの炭素又は空気のポンド数)、又は1ポンド当たりのポンド数(すなわち、使用された燃料の1ポンド当たりの炭素又は空気のポンド数)のどちらか一方を用いて行われる。ほとんどの損失は、燃料の1ポンド当たりのパーセント損失(BTU損失/HHV)において求められる。損失は、全BTU損失ベースで求められ、燃料流量の当初予測を除算して、発熱量を乗算することによって、燃料1ポンド当たりのパーセントに変換される。損失の決定では、燃料流量の当初予測、及び効率が求められた時の再計算が用いられる。
【0035】
ボイラ効率を求めるためASME−PTC4の方法を用いるためには、様々な要素の評価を行うことが望ましい。以下に挙げたこれらの要素には、石炭の元素分析を行うこと(すなわち、炭素、水素、窒素、酸素、硫黄、水分、及び灰等の石炭の主成分の質量パーセントを求めること)と、石炭の近似分析を行うこと(すなわち、固定炭素、揮発性物質、水分、灰、及び高位発熱量を求めること)と、湿った燃焼生成物及び乾燥した燃焼生成物を計算することと、空気加熱器の入口及び出口の両方において煙道ガスを用いて過剰空気のレベルを求めることと、空気加熱器の入口及び出口の両方において燃焼生成物及び煙道ガス組成物を計算することと、エンタルピーを求め、とりわけ無漏出量用に補正した空気加熱器から流出する煙道ガスの温度を計算することとが含まれる。蒸気発生器からの灰又はごみのサンプルを、灰の中の炭素含有量を求めるために分析する。代替案として、多くのプラントでは、強熱減量(LOI)手順を用いて、灰の中の炭素含有量を推定する。
【0036】
石炭の元素分析及び灰の分析によって、乾燥したごみの中の可燃物を決定し、燃焼した炭素を決定し、理論空気を決定し、燃焼した炭素に対して補正された理論空気を求めることが可能となる。石炭の元素分析及び灰の分析によって、以下の式(16)〜(23)が可能となる。式(16)は、ごみの中の可燃物を測定するものである。
【数16】

式中、CRは、ごみの中の可燃物であり、MpFAは、フライアッシュに対する灰の百分率(すなわち、灰の質量パーセント)であり、MpCFAは、フライアッシュ中の炭素の質量パーセントである。MpBAは、ボトムアッシュの質量パーセントであり、MpCBAは、ボトムアッシュ中の炭素の質量パーセントである。式(16)では、「Mp」は、任意の標記法において先行する、それぞれの含有物又は生成物の「質量パーセント」を示す。なお、追加的な灰のソースは、その炭素含有量、及び式(16)において収集される灰流のパーセントを含んでいれば、含有が判断される。ユニットにおける灰の拡散は、一般にユニット設計に基づいて推定される。微粉炭燃焼型ユニットでは、炉に導入された燃料は非常に細かいため、灰の80%がフライアッシュとして炉から出て20%が底部に落ちるものとされる。底部に落ちる灰のほとんどが水冷壁のすす吹きの結果であり、その灰の中には炭素がほとんど含まれないことが多く、このサンプルを収集することは非常に難しいことが多い(又は、場合によっては不可能である)ため、炭素値が低いとの仮定を正しいものとすることが多い。炭素含有量を求めるために、灰を定期的にサンプルとして採取し分析することもある。この情報をデータベースに記憶しても良い。最新サンプルの結果を、上述した計算において用いても良い。この情報を記憶し傾向を提示することは、オンラインシステムのための情報を提供するだけではなく、間違った又は典型的ではないサンプルを見分ける助けにもなる。
【0037】
燃料からの灰及び未燃炭素である乾燥したごみは、式(17)において推定され、燃焼した炭素は式(18)で、理論空気は式(19)及び(20)で、燃焼した炭素のための理論空気は、式(21)〜(23)において推定される。乾燥したごみは、
【数17】

であり、式中、DRは、乾燥したごみ、MpAsFは燃料中の質量パーセントの灰であり、CRは上式(16)において示される。該当する場合、石灰石とSOの流動床反応による固体沈殿物を、全乾燥ごみ量を求める上式において用いる。PTC4からの方法は、参照することで援用される。
【0038】
燃焼した炭素の質量パーセントは、
【数18】

であり、式中、MpCbは、燃焼した炭素の質量パーセントであり、MpCFは、燃料中の炭素の質量パーセントであり、DR及びCRは上述したその通常の意味を有する。
【0039】
理論空気は、以下の式(19)、(19a)、及び(20)によって求めることができる。
【数19】


【数19a】

式中、MFrThAは、燃料1ポンド当たりの乾燥した空気をポンド数で表した理論空気量であり、式19aのMFrThAwは、湿った理論空気である。MpHFは、水素の質量パーセントであり、MpSFは、硫黄の質量パーセントであり、MpOFは、酸素の質量パーセントである。
【数20】

MqThAfは、1BTU当たりのポンド数で表される、燃料1ポンド当たりの理論空気量であり、MFrThAは、1BTU当たりの空気のポンド数で表される理論空気量であり、HHVは、1BTU当たりのポンド数で表される高位発熱量である。
【0040】
燃焼した炭素に対して補正された理論空気は、以下の式(21)によって求められる。
【数21】

式中、MFrThACrは、燃料1ポンド当たりのポンド数で表した燃焼した炭素に対して補正された理論空気であり、MFrScは、硫黄捕捉の質量分率(通常、非流動床ユニットに対してはゼロ)であり、MpCb、MpHF、MpSF、及びMpOFは、上述したその通常の意味を有する。式(21)は、式(22)及び(23)の形で表すことができる。
【数22】


【数23】

式中、MqThACr及びMoThACrは、1bs/BTUの質量、及び燃焼した炭素に対して補正された理論空気のモル数を表す。
【0041】
100万BTU当たりのポンド数で表される理論空気は、燃料元素分析の質の良い指標である。全ての瀝青石炭に対して、100万BTU当たり765ポンドの湿った理論空気(19a)は、+/−2.6%(20lb/100万BTU)が期待される。よって、石炭がいくら変化しようと、異なるランクの石炭を用いていない限り、最大のバリエーションは、+/−2.6%であり、プラントが現金取引市場で石炭を買う場合であっても、バリエーションが、亜瀝青西部炭から瀝青東部炭となることは全くありそうにない。
【0042】
湿った燃焼生成物及び乾燥した燃焼生成物は、以下の式(24)、(25)、及び(26)を用いて推定される。乾燥した生成物のモル数は、以下の式(24)から推定することができる。
【数24】

式中、MoDPcは、乾燥した生成物のモル数であり、MpCb、MFrSc、及びMpSFは、上述した通りであり、MpNfは、燃料中の窒素の質量パーセントであり、MoCOSbは、吸着剤中の二酸化炭素のモル数である。
【0043】
1モルの乾燥した空気当たりの水分のモル数は、以下の式(25)から推定される。
【数25】

式中、MoWAは、水分のモル数を表し、MFrWAは、乾燥した空気1ポンド当たりの水分量をポンド数で表した比湿である。湿った燃焼生成物のモル数は、以下の式(26)から推定することができる。
【数26】

式中、MoWPcは、湿った燃焼生成物のモル数であり、MoDPc、MpHF、MFrWAは、上述した通りであり、MpWF及びMoWSbは、それぞれ、給水の質量パーセント及びすす吹き蒸気中の水のモル数である。
【0044】
過剰空気のレベルは、空気加熱器の入口及び出口の両方で測定した煙道ガス中のパーセント酸素を用いて求める。これは、それぞれ、式(27)及び(28)によって求められる。
【数27】

式中、DVpOは、乾燥した量に基づいたパーセント酸素であり、Moは、前に付ける用語のモル数であり、MoDPc及びMoThACrは、乾燥した生成物のモル数、及び燃焼した炭素に対して補正された理論空気のモル数である。酸素量の湿気に基づいた過剰空気は、式(28)で示される。
【数28】

式中、VpOは、湿った量に基づく酸素の百分率である。
【0045】
空気加熱器の入口及び出口両方における燃焼生成物及び煙道ガスの組成物は、以下に挙げた化学量論的算定を用いて推定される。添え字zは、位置固有の情報を示す。組成における違いは、高圧の入口から低圧の出口までの空気漏れの結果である。位置zより前方のボイラに流入する乾燥した空気は、以下の式(29)〜(42)によって推定される。
【数29】

式中、Mqは、1BTU当たりのポンド数で表される質量を表し、MqDAzは、1BTU当たりのポンド数で表される、位置zにおける乾燥した空気の質量を表し、MqThACrは、燃料1ポンド当たりのポンド数で表される理論空気の1BTU当たりのポンド数で表される質量を表し、XpAzは、位置zにおける湿った酸素量に基づく過剰空気を表す。
【数30】

【0046】
位置zより前方のボイラに流入する湿った空気は、以下の式(31)及び(32)によって求められる。
【数31】


【数32】

式中、用語MqAz、MFrWA、MqDAz、及びMFrDAxの詳細は上述した。燃料からの湿ったガスは、以下の式(33)から求めることができる。
【数33】

式中、用語MqFgFは、燃料中の湿ったガスの1BTU当たりのポンド数で表される質量であり、MpAsFは、燃料中の灰の質量パーセントであり、MpUbCは、未燃炭素の質量パーセントであり、MFrScは、捕捉した硫黄の部分質量であり、MpSFは、燃料中の硫黄の質量パーセントである。
【0047】
燃料中の水からの水分を、以下の式(34)において推定することができる。
【数34】

式中、MqWFは、1BTU当たりのポンド数で表される燃料中の水の質量であり、MpWFは、燃料中の水のパーセント質量である。
【0048】
燃料中のHの燃焼からの水分を、以下の式(35)において推定することができる。
【数35】

式中、MqWHFは、1BTU当たりのポンド数で表される燃料中の湿った水素の質量であり、MpHFは、燃料中の水素のパーセント質量である。
【0049】
吸着剤からの二酸化炭素ガス(該当する場合は、CFB型ユニット用等)を、以下の式(36)において推定することができる。
【数36】

式中、MqCOb及びMFrCObは、それぞれ、1BTU当たりのポンド数で表される吸着剤からの二酸化炭素の質量、及び吸着剤からの二酸化炭素の理論質量である。
【0050】
吸着剤からの水は、以下の式(37)から推定することができる。
【数37】

式中、MqWSb及びMFrWSbは、1BTU当たりのポンド数で表されるm吸着剤中の水の質量、及び吸着剤中の水の部分質量である。
【0051】
追加的な水(該当する場合、すす吹き、噴霧蒸気等からの)は、以下の式(38)から推定される。
【数38】

式中、MFrWADzは、燃焼した燃料1ポンド当たりの追加された水分の部分質量であり、MrStzは、追加された蒸気/水の質量流量であり、MrFは、(当初予測された)燃料の質量流量である。
【数39】

式中、MqWADzは、1BTU当たりのポンド数で表される、燃焼した燃料1ポンド当たりの追加された水分の質量である。
【0052】
煙道ガス中の全水分は、上述した式から求めた水分の値を合計することで式(40)において求められる。
【数40】

式中、MqWvFは、1BTU当たりのポンド数で表される燃料中の水蒸気の質量である。燃料中の水蒸気は、ガス状の燃料として存在する。
【0053】
1BTU当たりのポンド数で表される湿った煙道ガス重量は、式(41)において求められる。
【数41】

【0054】
ボイラから流出する煙道ガス流は、以下の式(42)に示される。以下の式(42)に示した乾燥煙道ガス重量は、式(41)から式(40)を引くことで求められる。
【数42】

【0055】
エンタルピーの求め方を以下に記す。ASME−PTC4 2008の出版物に詳細があるように、統合陸海空軍/北米宇宙局(JANAF/NASA)の相関に基づいて求められる。77°Fの基準温度は、ASME−PTC4 2008で規定されるように、効率の計算に用いられ、JANAFの式の基準温度も77°Fとする。ASME−PTC4 2008における乾燥煙道ガスのエンタルピーは、15.3%のCO、3.5%のO、0.1%のSO2、及び81.1%のNの組成に基づくことができる。過剰空気のレベルが300%未満である場合、化石燃料の燃焼に際しこの組成からのバリエーションにより生じる誤りは重要ではない。本特許に示した方法は、上述したASME−PTC4補正、又は煙道ガスの個々の構成要素から計算され、重量組成に基づいて組み合わせたものを用いても良い。非標準の燃料に対して、個々の構成要素による方法が用いられ、重量に基づいて組み合わされる。
【0056】
水蒸気によるエンタルピーは、以下の式(43)によって求められる。
【数43】

式中、HWvは、水蒸気のエンタルピーであり、Tは、度数Kで表される温度である。蒸気及び水のエンタルピーは、以下の式(44)及び(45)において求められる。
【数44】


【数45】

式中、HStは、蒸気のエンタルピーであり、HWは、水のエンタルピーである。
【0057】
残滓のエンタルピーは、以下の式(46)において求められる。
【数46】

式中、HRsは、残滓のエンタルピーである。
【0058】
乾燥煙道ガスのエンタルピーは、以下の式(47)に記載される。
【数47】

式中、HDFgは、乾燥煙道ガスのエンタルピーである。
【0059】
煙道ガスのエンタルピーは、以下のように式(48)に記載される。
【数48】

式中、HFgは、煙道ガスのエンタルピーであり、MFrWFgは、煙道ガス中の水分の部分質量であり、MFrRsFgは、煙道ガス中の残滓の部分質量であり、HDFg、HWv、HRsは、上述される。MFrRsFgは、灰の濃度が100万BTU当たり15lmを超える場合にのみ用いられる。用いる場合は、ASME−PTC4 2008を参照して算定する。
【0060】
空気加熱器から流出する煙道ガスの温度は、式(49)、(50)及び(51)を用いて漏れがない場合の温度に補正される。
【0061】
空気の平均比熱は、式(49)において求められる。
【数49】

【0062】
煙道ガスの平均比熱は、以下の式(50)に記載される。
【数50】


【数51】

式中、HATFgLvは、煙道ガスが流出する温度における空気のエンタルピーであり、HAEnは、空気が流入する温度における空気のエンタルピーであり、TAEnは、空気加熱器に流入する空気の温度であり、TFgLvは、空気加熱器から流出する煙道ガスの測定温度であり、HFgTFgLvは、煙道ガスから流出する温度における煙道ガスのエンタルピーであり、HFgTFgLvCrは、煙道ガスから流出する補正された温度における煙道ガスのエンタルピーであり、MqFgLvは、1BTU当たりのポンド数で表される、空気加熱器から流出する全ての湿った煙道ガスであり、MqFgEnは、1BTU当たりのポンド数で表される、空気加熱器に流入する全ての湿った煙道ガスである。
【0063】
これは、補正された温度を用いて煙道ガスの平均比熱を求めるため反復計算と言える。吸入ダクト温度として機能するサーモカプラのグリッドを空気加熱器の吸入ダクトに設置しても良い。ステーション湿度計を用いてオンラインの相対湿度を得ることができる。多くの場合、一酸化炭素(CO)濃度、全炭化水素濃度、及び水素濃度は、無視して良い。有意であると測定又は判定されるものがある場合は、非ゼロ値を、測定データから計算するか、又は割り当てる。
【0064】
ASME−PTC4の方法では、以下の効率損失及び補填が考慮される。これらの損失及び補填を、以下に記載する。
a)損失
i)乾燥排ガス損失
ii)燃料中の水による損失
(1)燃料中の水素の燃焼から生成された水による損失
(2)燃料中の液体水による損失
(3)ガス状の燃料中の水蒸気による損失―この損失は、ガス状の燃料のみに適用され、固体燃料又は液体燃料には適用されない。
iii)空気中の水分による損失
iv)未燃焼の可燃物による損失
(1)未燃炭素による損失
(2)未燃水素による損失―場合によっては適用が任意であるか、若しくは無視できる。
(3)一酸化炭素による損失―一般に無視できる。
(4)粉砕機の廃棄物による損失―該当する場合推定値を入力する。
v)残滓における顕熱による損失
vi)高温排煙処理装置による損失―場合によっては適用が任意である。
vii)換気による損失―該当する場合、高温排煙処理システム(AQCS)に含まれる
viii)酸化窒素(NOx)の形成による損失
ix)表面放射による損失―予測は、BTU/時間損失を求めるためにASME−PTC4の手順に基づいて行う。そして、この損失は、百分率を求めるために考慮される。
x)追加的水分による損失
xi)焼成による損失―場合によっては適用が任意である。
xi)吸着剤中の水による損失―場合によっては適用が任意である。
xiii)湿った灰だめによる損失―ASMEの手順によって推定されたもの
xiv)再循環した蒸気による損失―場合によっては適用が任意である。
xv)冷却水からの損失―場合によっては適用が任意である。
xvi)内部で供給された空気予熱による損失―場合によっては適用が任意である。
b)補填
i)流入する乾燥した空気による補填
iii)空気中の水分による補填
iii)燃料中の顕熱による補填
iv)硫酸化による補填―場合によっては適用が任意である。
v)補助装置の電力による補填―場合によっては適用が任意である。
vi)吸着剤中の顕熱による補填―場合によっては適用が任意である。
vii)追加的な水分により供給された追加的エネルギーによる補填
【0065】
効率損失は以下の通り計算される。
【0066】
i)百分率で表された乾燥ガス損失
【数52】

式中、MqDFgは、1BTU当たりのポンド数で表される乾燥した煙道ガスの重量であり、HDFgLvCrは、空気加熱器から流出する補正された温度における乾燥した煙道ガスのエンタルピーである。
【0067】
ii)燃料中の水による損失は、式(53)、(54)、及び(55)によって求められる以下の3つのカテゴリに分類することができる。
(1)燃料中の水素の燃焼から生成された水による損失
【数53】

(2)燃料中の液体水による損失
【数54】

(3)ガス状の燃料中の水蒸気による損失
【数55】

式中、MqWHFは、燃料中のHの燃料によって生じた水分であり、HStLvCrは、空気加熱器から流出する補正された温度における蒸気のエンタルピーであり、HWReは、基準温度における水のエンタルピーであり、HWvLvCrは、空気加熱器から流出する補正された温度における水蒸気のエンタルピーである。
【0068】
iii)空気中の水分による損失は、以下の式(56)に示される。
【数56】

MFrWAは、乾燥した空気1ポンド当たりの水のポンド数で表される空気の比湿であり、MqDAは、1BTU当たりのポンド数で表される乾燥した空気の重量であり、HWvLvCrは、空気加熱器から流出する補正された温度における水蒸気のエンタルピーである。
【0069】
iv)未燃焼の可燃物による損失
(1)未燃炭素による損失は、式(57)によって求められる。
【数57】

式中、MpUbCは、燃料のlb当たりの未燃炭素の質量であり、HHVCrは、ごみの中の炭素の高位発熱量であり、14,500BTU/lbと等しく、HHV=燃料の高位発熱量である。
(2)残滓中の未燃水素による損失(一般的には、水素が検出される場合この式は用いない)を式(58)によって求める。
【数58】

式中、MrRsは、残滓の質量率であり、MpHRsは、残滓中のHのパーセント(複数の流れ用に加重された質量)であり、HHVHは、H61,100BTU/lbの燃料の高位発熱量、MrFは、lb/時間による燃料流量であり、HHVは、燃料の高位発熱量である。
(3)一酸化炭素による損失は、式(59)によって求められ、一酸化炭素は、効率の観点から一般に無視しても良いが、COモニタが存在する場合、それは容易に計算することができる。
【数59】

式中、DVpCOは、一酸化炭素の乾燥量であり、MoDFgは、燃料1ポンド当たりの乾燥した煙道ガスのモル数であり、MwCOは、一酸化炭素の分子量(28.01)であり、HHVCOは、CO4,347BTU/lbの高位発熱量であり、HHVは、燃料の高位発熱量である。
(4)粉砕機の廃棄物による損失は、(60)における式を用いて計算される。
【数60】

式中、MrPrは、粉砕機の廃棄物の質量率であり、MrFは、燃料流量であり、HHVPrは、実験室分析からの粉砕機の廃棄物の発熱量であり、HPrは、粉砕機の廃棄物のエンタルピーである(ミル出口の温度における残滓のエンタルピーを用いる)。
(5)未燃焼炭化水素による損失は、式(61)によって求められ、未燃炭化水素は一般に無視できる量であるが、ある周知のプロセスにおいては、以下の式で表される。
【数61】

式中、DVpHcは、全炭化水素のパーセント乾燥量であり、MoDFgは、燃料1ポンド当たりの乾燥した煙道ガスのモル数であり、MWHcは、炭化水素の分子量を表し(分析に用いた基準ガスの分子量は、一般に1モル当たりプロパン44.096グラム)、HHVHcは、用いた基準ガスの高位発熱量であり、HHVは、燃料の高位発熱量である。
【0070】
v)残滓中の顕熱による損失は、式(62)によって求められる。
【数62】

式中、MqRszは、1BTU当たりのポンド数で表される特定の場所における残滓であり、HRszは、位置の温度における残滓のエンタルピーである。
【0071】
vi)高温排煙処理装置による損失は、式(63)によって求められる。
【数63】

式中、MqFgEnは、1BTU当たりのポンド数で表されるAQCSに流入する煙道ガスの質量であり、MqFgLvは、1BTU当たりのポンド数で表されるAQCSから流出する煙道ガスの質量であり、HFgEnは、流入温度における煙道ガスのエンタルピーであり、HFgLvは、流出温度における煙道ガスのエンタルピーであり、HAAqLvは、AQCSから流出するガスの温度における湿った空気のエンタルピーであり、HALvCrは、空気加熱器から流出するガスの補正された温度における湿った空気のエンタルピーである。
【0072】
高温のAQCSへの漏れに含まれていない、通常のボイラ出口(例えば、ガスエコノマイザの排気口)と空気加熱器の出口との間の換気による損失は、式(64)によって求められる。
【数64】

式中、MqALgは、1BTU当たりのポンド数で表される空気加熱器に流入する空気の質量であり、HALgEnは、空気加熱器に流入する空気の温度における湿った空気のエンタルピーであり、HALvCrは、空気加熱器から流出するガスの補正された温度における湿った空気のエンタルピーである。
【0073】
viii)NOxの生成による損失
【数65】

式中、DVpNOxは、NOxの%乾燥量であり、MoDFgは、燃料1ポンド当たりの乾燥した煙道ガスのモル数であり、MwCOは、一酸化炭素の分子量(1モル当たり28.01グラム)であり、HrNOxは、酸化窒素の生成熱(酸化窒素の生成熱は、約38,600BTU/lbと仮定され、二酸化窒素の生成熱は、約35,630BTU/lbと仮定)であり、HHVは、燃料の高位発熱量である。
【0074】
ix)表面放射による損失は、以下の式から求められ、
式(66)において大きい方を用いる:
【数66】

式(66)では、
【数67】


【数68】

及び
【数69】

式中、Hcazは、対流伝熱係数、Hrazは、放射伝熱係数、TDiは、表面温度―より高いことが周知の表面を除いて50であると仮定された周辺温度、Vazは、1.67と仮定された表面近くの気流速度であり、Tdi及びVazは、テスト及び複数のエリア用に測定されても良く、又は上記したように仮定されても良い。
【0075】
x)追加的な水分による損失は、式(70)及び(71)から求めることができる。
【数70】


【数71】

【0076】
xi)計算による損失は、式(72)及び(73)から求めることができる。
【数72】


【数73】

【0077】
xii)吸着剤中の水による損失は、式(74)及び(75)から求めることができる。
【数74】


【数75】

【0078】
xiii)湿った灰だめによる損失は、式(76)及び(77)から求めることができる。
【数76】


【数77】

【0079】
xiv)再循環した気体流及び再循環した固体流に関して、再循環した流れによる損失の詳細を、以下に説明する。
(1)再循環した気体流は、式(78)及び(79)から求めることができる。
【数78】


【数79】

(2)再循環した固体流は、式(80)及び(81)から求めることができる。
【数80】


【数81】

【0080】
xv)冷却水からの損失は、式(82)及び(83)から求めることができる。
【数82】


【数83】

【0081】
xvi)内部で供給された空気の予熱による損失は、式(84)及び(85)から求めることができる。
【数84】


【数85】

【0082】
効率を計算するためのASME−PTC4補填を、以下にリストアップする。
【0083】
i)流入する乾燥した空気による補填は、式(86)から求めることができる。
【数86】

式中、MqDAは、1BTU当たりのポンド数で表される乾燥した空気であり、HDAEnは、空気熱流入温度における乾燥した空気のエンタルピーである。
【0084】
ii)空気中の水分による補填は、式(87)から求めることができる。
【数87】

式中、MFrWAは、比湿であり、MqDAは、1BTU当たりのポンド数で表される乾燥した空気の質量であり、HWvEnは、空気熱流入温度における水蒸気のエンタルピーである。
【0085】
iii)燃料中の顕熱による補填は、式(88)から求めることができる。
【数88】

式中、HFEnは、流入する燃料のエンタルピーであり、HHVは、燃料の高位発熱量である。
【0086】
iv)硫酸化による補填は、式(89)から求めることができる。
【数89】

式中、MFrScは、硫黄捕捉の質量分率であり、MpSFは、燃料中の質量パーセントの硫黄であり、HRSlfは、硫酸化のための生成熱であり、HHVは、燃料の高位発熱量である。
【0087】
v)補助装置の電力による補填は、蒸気駆動式装置及び電気駆動式装置に適用される。
【0088】
(1)蒸気駆動式装置に関しては、式(90)及び(91)から求めることができる。
【数90】


【数91】

式中、MrStXは、装置に供給された蒸気の質量率であり、HStEnは、装置に流入する蒸気のエンタルピーであり、HStLvは、出口の圧力で流出する蒸気のエンタルピー及び流入するエントロピーであり、EXは、全駆動効率である。そして、
【0089】
(2)電気駆動式装置に関しては、式(92)によって求めることができる。
【数92】

式中、QXは、1キロワット−アワー(kWh)における装置へのエネルギー入力であり、EXは、総駆動効率である。
【0090】
vi)吸着剤中の顕熱による補填
【数93】

式中、MrSbは、流入する吸着剤の質量率であり、HSbEnは、流入する吸着剤のエンタルピーであり、MrFは、流入する燃料の質量率であり、HHVは、燃料の高位発熱量である。
【0091】
vii)追加的な水分によって供給された追加的なエネルギーによる補填は、式(94)及び(95)によって求めることができる。
【数94】


【数95】

式中、MrStzは、追加的な水分の質量流量であり、HStEnzは、追加的に流入する水分のエンタルピーであり、HWReは、基準温度における水のエンタルピーであり、MrFは、流入する燃料の質量率であり、HHVは、燃料の高位発熱量である。
【0092】
そして、効率は、損失の合計と補填の合計を合わせたものによって算定される。
【0093】
効率を計算する
【数96】

式中、EFは、効率であり、QpLは、式(52)〜(85)に記載されたそれぞれの損失、及び式(86)〜(96)におけるそれぞれの補填を表す記号である。
【0094】
一実施形態では、蒸気発生システムからの温室効果ガスの排出量を連続して監視するためには、蒸気発生システムは、施設で燃やされた燃料の燃料分析データベースを備える。このデータベースは、分析した全てのサンプルに関して、元素分析、近似分析、及びHHV分析を記憶するものである。各鉱山源に関しては、水分及び灰がないことを原則とした混合物の平均分析が維持される。水分及び灰の含有物を用いる定期的(毎日から毎週又は列車積載量当たり)な近似分析を、移動平均の元素分析と共に用いて「受けたままのオンライン」組成を構成する。長期的には、この方法は、他の制限的な形のテストよりも高い正確性を達成するものである。水分及び灰がないことを原則とすると、任意の鉱山からの石炭分析はほとんど変化しないため、水分及び灰の含有量の頻繁なサンプリング並びに分析とこの情報を組み合わせることで、オンラインシステムが正確な燃料特性を用いて性能を計算することができるようになる。この手法は、「オンライン」の燃料分析監視の利用を排除するものではなく、その結果を、独立して又は上述したデータベースと組み合わせて組み込んでも良い。
【0095】
炭素排出量を求めるための上述したエネルギー収支法は、一般に、蒸気発生システムに流入する燃料流量又は排気筒内の煙道ガスを計測することにより炭素含有量を求める従来用いられてきた直接法よりも正確である。エネルギー収支法で直接法及び他の方法と併せて行われる不確実性分析は、これを立証する。エネルギー収支法は、直接法よりも不確実性の限界が低い。これは、エネルギー収支法の正確性を示すものである。
【0096】
この方法は、二酸化炭素の測定において不確実性の度合いを著しく低減するという利点がある。そのような排出量の正確な定量化により、これらの排出量を減らすために用いられる様々な測定の有効性に関する貴重なデータを得ることができる。正確に定量化することによって、これらの排出量を減らすための最も有効な方法を決定することが可能となる。それによって、二酸化炭素の環境への排出量を減らすための新しい方法の開発が容易となる。
【0097】
一実施形態では、直接法の不確実性の限界は、エネルギー収支法の不確実性の限界よりも少なくとも20%低い。他の実施形態では、直接法の不確実性の限界は、エネルギー収支法の不確実性の限界よりも少なくとも30%低い。更に他の実施形態では、直接法の不確実性の限界は、エネルギー収支法の不確実性の限界よりも少なくとも40%低い。
【0098】
以下の実施例は、例として挙げられているものであり、限定するものではないが、本明細書において説明する方法における様々な実施形態に係る炭素排出量を計測するエネルギー収支法の正確性を説明するものである。
【実施例】
【0099】
この実施例は、3つの異なる方法によって測定された炭素排出量を求めるために用いられた。どの方法が最も正確であるかを判定するため、及びどの方法が最小の標準偏差で一貫して正確な結果を提供するかを判定するためにこれらの方法が検証された。
【0100】
3つの異なる方法とは、a)エネルギー収支法、b)直接法、及びc)アメリカ合衆国環境保護庁継続的排出量監視システム(US EPA CEMS)法第75部付録Fである。エネルギー収支法は、詳細を上記したようにボイラの効率及びエネルギー出力に基づく。エネルギー収支法は、熱損失法と呼ばれることもある。
【0101】
いくつかの国際的に認められている規格が、ASME/ANSI PTC4 エネルギー収支効率法、ドイツ DIN 1942、及びドイツ DIN 1942規格に密接に従うISO規格案等の方法を使用している。これらの手順の全ては、この参照に組み込まれるが、各特定の規格は、オンラインの算定法に併せるために微調整を用いる。これらの手順の類似性のために、不確実性分析の結果は、オンライン算定用に修正したASME−PTC4エネルギーバランス効率に基づきここに示し詳述したものと著しく異なることはない。また、これらの規格の類似性のために、ここに記載した修正は、これらの規格にも適用可能である。
【0102】
エネルギー収支法に従って行った測定により、いくつかの規格外の測定が発電プラント構成に組み込まれリアルタイムの正確性が向上する。これらの測定は、グリッド状の空気加熱器の出口における煙道ガス酸素の測定を含む。その空気加熱器の出口の大きさは、特定のユニット構成及びダクトの大きさに依存する。これは、我々の方法が、酸素を測定するためのグリッドを設置することで通常のプラント構成に対応するものになるという点で重要な特徴である。温度グリッドを空気加熱器の出口に設置する。これらのグリッドは、空気加熱器からの流出経路である煙道ダクト内の数箇所に配置されたそれぞれ個別の測定器である。これらの測定器は、煙道ガスの流れに垂直な平面における等面積の領域のそれぞれの略中心に位置する。グリッドは、ダクトの大きさが約100スクエアフィート以下である場合を除いて、各酸素及び温度測定に対して少なくとも4箇所に配置されている。これらのグリッドを設置することによって、他の測定法よりも正確性が著しく向上する。
【0103】
温度グリッドは、空気加熱器の煙道ガスの排出口に設置される。他の多くのプラントでは空気加熱器から流出する時の温度を測定するが、この測定法は、代表的な測定を実現するために適切に分散されたものではない、非常に限られた数の温度プローブに基づいている。温度グリッドを用いることで、非常に限られた数の温度プローブを有する標準的なプラントと比較して、煙道ガス排出口及び空気加熱器においてより正確な測定が得られる。給水流測定法の検証を行い、流れの不確実性が1.5%未満であることを保証するためのステップを行った。
【0104】
直接法では、二酸化炭素排出量は、測定した石炭流及び燃料分析から求められる。燃料中のパーセント石炭及び対応する燃料流量を知ることで、二酸化炭素のトン数を直接決定することができる。アメリカ合衆国環境保護庁継続的排出量監視システム(US EPA CEMS)法は、測定された排気筒流及び排気筒内の測定されたCOを用いてCO排出量を求める。この方法は、連邦規則のコードである表題40第75部付録Fに詳述されている。
【0105】
この実施例に対するデータは、全負荷又は全負荷に近い状態で稼働するユニットからの2時間単位のデータを収集することにより得られたものである。このデータは、多くの分散された制御システム(DCS)タグを含む。データは、分散制御システムに記憶される。分散制御システムでは、タグは特定の測定場所である。タグは、タイムスタンプとの組み合わせによって、期間内に毎分サンプリングされた、時間内の特定のポイントにおけるデータ値を提供する。このデータから、平均値、標準偏差、及びサンプルの数が得られた。
【0106】
エネルギー収支法による二酸化炭素の計算法は、式(13)において上述されている。
【0107】
直接法を用いたCOの算定
直接法を用いてCO排出量を計算するために以下の式(97)を用いる。
【数97】

式中、COは石炭流と同じユニットにおける二酸化炭素、%炭素は燃料中の重量パーセント炭素、石炭流は1時間当たりのポンド数又は1時間当たりのトン数で表される石炭の質量流である。
【0108】
CEMS法を用いたCOの算定
アメリカ合衆国環境保護庁(US EPA)は、CEMSを用いた時のCO排出量を求めるために用いる手順を表題40第75部付録Fにおいて詳細に記載している。EPAの式F−11は、以下の式(98)として示される。
【数98】

式中、Eは、ユニットが稼働している間の毎時間の二酸化炭素質量排出率であり、1時間当たりのトン数で表される。Kは、二酸化炭素に対しては5.7×10−7(二酸化炭素のパーセント当たりの標準立法フィート当たりのトン数)であり、Cは、ユニットが稼働している間の毎時間の平均二酸化炭素濃度であり、湿った状態におけるものである。また、Cは、二酸化炭素を監視し直接測定したもの、又は式F−14bを用いて湿った状態の酸素データから計算したものであり、パーセント二酸化炭素である。Qは、ユニットが稼働している間の毎時間の平均体積流量であり、湿った状態における、標準立法フィート時間で表されるものである。
【0109】
不確実性の計算
各パラメータに対して、平均値、標準偏差、及びサンプルの数を記録する。これらの値は、不確実性のランダム成分を求めるために用いられる。各入力パラメータに対して、標準偏差の値、平均の標準偏差、不確実性のランダム成分は、以下の式によって求められる。
【0110】
サンプルの標準偏差は、以下の式(99)を用いて測定される。
【数99】

式中、Sは、サンプルの標準偏差であり、Xは、Xの平均であり、Nは、ポイント数であり、iは、ポイント番号である。標準偏差が求められた後、平均の標準偏差が以下のように式(100)から求められる。
【数100】



【0111】
各入力が最終的な結果に持つ影響は、絶対感度係数を求めることにより考慮される。この係数は、入力変化のユニット当たりの結果の変化であり、以下の通り表される。
【数101】

式中、θは、絶対感度係数であり、ΔRは、入力パラメータの任意の変化に対する結果の変化であり、ΔXは、入力パラメータの変化である。
【0112】
これらの値が各入力パラメータに対して求められると、不確実性のランダム成分は、以下の通り算定することができる。
結果のランダムな不確実性
【数102】



【0113】
各パラメータに対する不確実性のランダム成分に加えて、不確実性の系統的成分も推定される。 この分析に関して、推定は、一般的機器で行われた。
【0114】
以下の表2は、この分析に用いた推定値を示す。
【表2】

【0115】
全不確実性は、以前は、それぞれ、精密さ及びバイアスと呼ばれたランダム成分及び系統的成分の組み合わせである。ランダム成分は、t−係数(スチューデントのt)を用いて95%の信頼区間に収まるように調節される。系統的成分の推定は、ランダム成分と同じ信頼区間で行われなければならない。20を超える測定法を有する95%の信頼区間に対して、t−係数を2と仮定する。この分析の結果は、エネルギー収支法(すなわち、本明細書において詳述する方法)によって生じる不確実性が、両方の顧客に対して3つの方法のうち最も低いことをはっきりと示している。以下の表3に結果を示す。
【表3】

【0116】
表1及び表2から、直接法及びCEMS法は、不正確になりやすい流量測定に依存することが分かる。直接法の場合、流量測定は、石炭流である。不均質性の固体燃料である石炭は、重量測定フィーダーでも測定することが困難である。これは、石炭自体の大きさのばらつき及び重量ベルトにおける石炭の配置によるものである。古いユニットは、重量測定フィーダーを持たないが、ホイールの回転数を数え、石炭量及び濃度を推定する体積測定フィーダーを有する。
【0117】
CEMS排気筒の場合は、煙道ガス流を測定する。排気筒流は、S型ピトー管トラバース、又はせいぜい3穴式プローブを用いて調整される。これらのプローブの正確性は、4〜8%の範囲であり本質的に低いものである。
【0118】
図2及び図3は、3つの測定法の間の比較を示す。図2及び図3から、直接法が高い値を生成し、推定した不確実性の範囲が、他の2つの測定した値をカバーすることができないことが分かる。これは、直接法に関する不確実性の推定がおそらく低すぎ、8%の範囲に近い値が系統的エラーのより良い推定となることを示している。
【0119】
いくつかの実施形態を参照して本発明を説明してきたが、当業者であれば、本発明の範囲を逸脱することなく、種々の変更を加え、本発明の要素を等価物に置換できることを理解するであろう。さらに、本発明の本質的な範囲を逸脱することなく、本発明の教示を特定の状況又は材料に適用する多くの変更を加えることができる。従って、本発明が本発明を実行するために考えられた最良の実施形態として開示した特定の実施形態に限定されないこと、及び本発明が添付の請求項の範囲内の全ての実施形態を含むことが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気発生システムに流入する給水の第1エネルギーを測定すること、
前記蒸気発生システムから流出する蒸気又は水の第2エネルギーを測定すること、
前記第1エネルギーと前記第2エネルギーとの差を減算して前記蒸気発生システムによって吸収された全エネルギーを求めること、
前記蒸気発生システムによって吸収された前記全エネルギーを前記蒸気発生システムの効率で除算して前記蒸気発生システムへの入熱を求めること、及び、
前記蒸気発生システムへの前記入熱から炭素排出量を求めること、
を包含する方法。
【請求項2】
煙道ガスの酸素含有量及び空気加熱器の出口のグリッドにおける煙道ガスの温度を測定することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記蒸気発生システムからの燃料及び灰を定期的にサンプリングし、当該燃料及び灰を分析することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
燃料及び灰を分析したデータベースを維持し、前記データベースからのデータを用いて前記蒸気発生システムへの前記入熱を正確に求めることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記データベースを、履歴記録を蓄積するために用い、前記履歴記録を、最も不確実性の低い結果を分析するために用いる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記最も不確実性の低い結果を分析することは、受容ベースに加えて、水分及びアッシュフリーベースで行なわれ、前記受容ベースは、受容時の燃料に関連する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記炭素排出量を、以下の式(11)、(12)、及び(13)から求めることができ、
【数11】


【数12】

及び
【数13】

式中、MqCO、MeCO2、及びMteCOは、それぞれ、1BTU当たりのポンド数で表される二酸化炭素の質量、1kW当たりの二酸化炭素排出量、1時間当たりのトン数で表される二酸化炭素排出量であり、MFrCFは、燃料中の炭素の質量分率であり、MqCOは、1BTU当たりのポンド数で表される二酸化炭素の質量であり、MWCO2は、二酸化炭素の分子量であり、MWは、炭素の分子量であり、QFIREDは、前記蒸気発生システムへの前記入熱である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
酸化窒素、二酸化硫黄、及び一酸化炭素の量を、以下の式(14)及び(15)を用いて求め、
【数14】

及び
【数15】

式中、MqEm、MeEm、及びMteEmは、それぞれ、酸化窒素、二酸化硫黄又は一酸化炭素排出量のいずれかの、1BTU当たりのポンド数で表される質量、1kW当たりの排出量、1時間当たりのトン数で表される排出量であり、QFIREDは、前記蒸気発生システムへの前記入熱である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記蒸気発生システムによって吸収された前記全エネルギーを、式(8)から求め、
【数8】

式中、QMSは、主蒸気の全エネルギーであり、MMSsprayは、主蒸気に導入された噴霧の全エネルギーであり、QBdは、ブローダウン蒸気の全エネルギーであり、QSBは、すす吹き蒸気の全エネルギーであり、QAUXは、補助蒸気の全エネルギーであり、QRHは、再加熱蒸気の全エネルギーであり、QRhsprayは、再加熱蒸気に導入された噴霧の全エネルギーである、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記主蒸気QMSの前記全エネルギーを、式(1)によって求め、
【数1】

式中、MFWは、前記給水の質量、MSBは、前記すす吹き蒸気の質量、MBdは、前記ブローダウン水の質量、MAuxは、前記補助蒸気の質量、HMSは、前記主蒸気のエンタルピー、HFWは、前記給水のエンタルピーである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記すす吹き蒸気の前記全エネルギーを、以下の式(2)によって求め、
【数2】

式中、QSBは、すす吹き蒸気の全エネルギーであり、MSBは、前記すす吹き蒸気の質量であり、HFWは、前記給水のエンタルピーであり、Hsbは、前記すす吹き蒸気のエンタルピーである、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記ブローダウン水QBdの前記全エネルギーを、以下の式(3)によって求め、
【数3】

式中、MBbは、ブローダウン水の質量であり、HFWは、給水のエンタルピーであり、Hbdは、ドラム圧の飽和条件における前記ブローダウン水のエンタルピーである、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記補助蒸気QAUXの前記全エネルギーを、以下の式(4)によって求め、
【数4】

式中、MAUXは、補助蒸気の質量であり、HFWは、給水のエンタルピーであり、HAUXは、前記補助蒸気のエンタルピーである、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記主蒸気への噴霧によって吸収された前記全エネルギーは、以下の式(5)によって求められ、
【数5】

式中、QrMSspray及びMrMSsprayは、それぞれ、前記主蒸気への噴霧のエネルギー比率及び前記主蒸気への前記噴霧のz質量率であり、HMSは前記主蒸気のエンタルピーであり、HMSsprayは、前記主蒸気への噴霧のエンタルピーである、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記再加熱蒸気において吸収された前記全エネルギーを、以下の式(6)によって求め、
【数6】

式中、QrRH及びMrCRHは、それぞれ、前記再加熱蒸気の前記エネルギー比率及び前記質量率であり、HHRH及びHCRHは、それぞれ、高温の再加熱蒸気及び低温の再加熱蒸気のエンタルピーである、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
前記再加熱蒸気への噴霧によって吸収された前記全エネルギーを、以下の式(7)によって求め、
【数7】

式中、QrRHspray及びMrRHsprayは、前記再加熱蒸気への前記噴霧のエンタルピー比率及び質量比率であり、HHRH及びHRHRHSprayは、それぞれ、高温の再加熱蒸気のエンタルピー及び前記再加熱蒸気への噴霧のエンタルピーである、請求項9に記載の方法。
【請求項17】
前記蒸気発生システムへの燃料流量を以下の式(15a)によって求めることをさらに含み、
【数15a】

式中、QFIREDは、前記蒸気発生システムへの前記入熱であり、HHVは、高位発熱量を表す、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
位置zより前方のボイラに流入する乾燥した空気の量を式(29)によって求めることをさらに含み、
【数29】

式中、Mqは、1BTU当たりのlbsで表される質量を表し、MqDAzは、位置zにおける1BTU当たりのポンド数で表される乾燥した空気の質量を表し、MqThACrは、燃料1ポンド当たりのポンド数で表される理論空気の、1BTU当たりのポンド数で表される質量を表し、XpAzは、位置zにおける酸素量湿度基準に基づく過剰空気を表す、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
位置zより前方の前記ボイラに流入する湿った空気を式(31)及び(32)によって求めることをさらに含み、
【数31】

及び
【数32】

式中、用語Mqは、1BTU当たりのポンド数で表される質量を表し、MqAzは、位置zにおける、ポンド数で表される乾燥した空気の質量を表し、MFrWAは、湿った空気の質量分率であり、MqDAzは、位置zにおける、1BTU当たりのポンド数で表される乾燥した空気の質量を表し、MFrDAzは、位置zにおける乾燥した空気の質量分率を表す、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
燃料からの前記湿ったガスを以下の式(33)によって求めることをさらに含み、
【数33】

式中、用語MqFgFは、1BTU当たりのポンド数で表される燃料中の湿ったガスの質量であり、MpAsFは、燃料中の灰の質量パーセントであり、MpUbCは、未燃炭素の質量パーセントであり、MFrScは、捕捉した硫黄の部分質量であり、MpSFは、燃料中の硫黄の質量パーセントである、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
1BTU当たりのポンド数で表される前記全湿った煙道ガスの重量を式(41)によって求めることをさらに含み、
【数41】

式中、MqFgzは、1BTU当たりのポンド数で表される位置zにおける燃料中の湿ったガスの質量であり、MqDAzは、1BTU当たりのポンド数で表される位置zにおける乾燥した空気の質量を表し、MqWAzは、1BTU当たりのポンド数で表される位置zにおける湿った空気の質量を表し、MgFgFは、1BTU当たりのポンド数で表される燃料中の湿ったガスの質量であり、MqCOSbは、1BTU当たりのポンド数で表される吸着剤中の二酸化炭素の質量であり、MqWSbは、1BTU当たりのポンド数で表される湿った吸着剤の質量であり、MqWADzは、1BTU当たりのポンド数で表される、燃焼した燃料1ポンド当たりに追加された水分の質量である、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
燃焼した炭素に対して補正された前記理論空気を式(21)によって求めることをさらに含み、
【数21】

式中、MFrThACrは、燃料1ポンド当たりのポンド数で表される燃焼した炭素に対して補正された前記理論空気であり、MFrScは、硫黄捕捉の質量分率であり、MpCb、MpHF、MpSF、及びMpOFは、それぞれ、炭素の質量パーセント、燃料中の水素の質量パーセント、燃料中の硫黄の質量パーセント、及び燃料中の酸素の質量パーセントである、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記蒸気発生システムの効率を、修正したASME−PTC4の方法によって求める、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記蒸気発生システムはボイラである、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
ボイラ内の作動流体の状態が変化する時に当該作動流体によって吸収された全エネルギーを算定すること、
前記ボイラへの入熱を求めるために前記ボイラによって吸収された前記全エネルギーを前記ボイラの効率で除算すること、及び、
前記ボイラへの前記入熱から炭素排出量を求めること、
を包含する方法。
【請求項26】
前記作動流体は水である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記作動流体によって吸収された前記全エネルギーを算定することは、前記ボイラに流入する時の前記作動流体の第1エネルギー及び前記ボイラから流出する時の前記作動流体の第2エネルギーを測定することと、前記第2エネルギーから前記第1エネルギーを引くこととを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記第1エネルギーは、前記ボイラに流入する時の給水のエネルギーである、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記給水のエネルギーは、流量の不確実性が1.5%未満である給水流量測定を繰り返し検証することにより求められる、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記第2エネルギーは、前記ボイラから流出する時の蒸気のエネルギーである、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
前記炭素排出量は、以下の式(11)、(12)、及び(13)から求めることができ、
【数11】


【数12】

及び
【数13】

式中、MqCO、MeCO、及びMteCOは、それぞれ、100万BTU当たりのポンド数で表される二酸化炭素の質量、1キロワット当たりの二酸化炭素のポンド数、1時間当たりの二酸化炭素のトン数であり、MFrCFは、燃料中の炭素の質量分率であり、MqCOは、100万BTU当たりのポンド数で表される二酸化炭素の質量であり、MWCO2は、二酸化炭素の分子量であり、MWは、炭素の分子量であり、QFIREDは、前記蒸気発生システムへの前記入熱である、請求項25に記載の方法。
【請求項32】
前記蒸気発生システムの効率は、修正したASME−PTC4の方法によって求められる、請求項25に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−529052(P2012−529052A)
【公表日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−513974(P2012−513974)
【出願日】平成22年5月21日(2010.5.21)
【国際出願番号】PCT/US2010/035733
【国際公開番号】WO2010/141242
【国際公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(503416353)アルストム テクノロジー リミテッド (394)
【氏名又は名称原語表記】ALSTOM Technology Ltd
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 7, CH−5400 Baden, Switzerland
【Fターム(参考)】