説明

蒸気発生システム

【課題】ヒートポンプでくみ上げる温度差を低減して効率のよい蒸気発生システムを提供する。
【解決手段】第一ヒートポンプ2は、第一蒸発器7と第二蒸発器8とを有する。第二ヒートポンプ3は、前記第一蒸発器7を兼ねる最上段の凝縮器10を介して、第一ヒートポンプ2と接続される。第一ヒートポンプ2の第二蒸発器8と、第二ヒートポンプ3の蒸発器12とに、熱源流体が順に通され、第一ヒートポンプ2の凝縮器5において、水を加熱して蒸気を発生させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒートポンプを用いて蒸気を発生させる蒸気発生システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1に開示されるように、蒸発器において排温水等から熱をくみ上げ、凝縮器において水を加熱して蒸気を発生させるヒートポンプが知られている。
【0003】
また、下記特許文献2に開示されるように、ヒートポンプを上下複数段で構成し、上下のヒートポンプを接続する熱交換器(下段ヒートポンプの凝縮器であり且つ上段ヒートポンプの蒸発器でもある。)を通して給水を加熱し、最上段のヒートポンプの凝縮器から蒸気を取り出すシステムも提案されている。
【0004】
さらに、下記特許文献3に開示されるように、ヒートポンプを左右並列に設置し、各ヒートポンプの凝縮器に水を順に通して高温水を得る装置も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭58−40451号公報(第2図)
【特許文献2】特開2006−348876号公報(図1、図2)
【特許文献3】実開昭60−23669号公報(第2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記特許文献1に記載の発明のように、単段のヒートポンプを用いるだけでは、熱をくみ上げる温度差、つまり蒸発器側と凝縮器側との温度差が大きく、ヒートポンプの効率が悪い。
【0007】
また、前記特許文献2に記載の発明のように、ヒートポンプを単に上下複数段に設置しても、最下段の蒸発器からだけ熱をくみ上げるのでは、前記特許文献1に記載の発明と同様に、ヒートポンプ全体で見た場合のくみ上げる温度差が大きく、ヒートポンプの効率向上に限界がある。
【0008】
また、前記特許文献3に記載の発明のように、ヒートポンプを左右並列に設置しても、左右のヒートポンプが同一構成で、最下段の蒸発器からだけ熱をくみ上げるのでは、前記特許文献2に記載の発明と同様に、くみ上げる温度差が大きく、ヒートポンプの効率向上に限界がある。
【0009】
さらに、熱源流体が温水や排ガスなどであり、ヒートポンプに熱(顕熱)を与えつつ自身は温度低下を伴う場合、左右同一構成で並列に設置されたヒートポンプに熱源流体を通すだけでは、下流側のヒートポンプでは熱源流体の温度が低下してしまうので、これを考慮する必要もある。
【0010】
本発明が解決しようとする課題は、システム全体で見た場合におけるくみ上げ温度差を低減し、それによりシステムの効率向上を図ることにある。また、熱源流体がヒートポンプに顕熱を与える場合、それに伴う温度低下にも対応できる蒸気発生システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、単段または複数段で構成され、少なくとも最下段に第一蒸発器と第二蒸発器とを有する第一ヒートポンプと、単段または複数段で構成され、前記最下段の第一蒸発器を兼ねる最上段の凝縮器を介して前記第一ヒートポンプと接続される第二ヒートポンプとを備え、前記第一ヒートポンプの第二蒸発器と、前記第二ヒートポンプの最下段の蒸発器とに、熱源流体が順に通され、前記第一ヒートポンプの最上段の凝縮器において、水を加熱して蒸気を発生させることを特徴とする蒸気発生システムである。
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、第一ヒートポンプの第二蒸発器と、第二ヒートポンプの最下段の蒸発器とから熱をくみ上げて、第一ヒートポンプの最上段の凝縮器において蒸気を発生させることができる。この際、熱源流体は、第一ヒートポンプの第二蒸発器を通された後、第二ヒートポンプの最下段の蒸発器に通される。これにより、第一ヒートポンプの第二蒸発器において熱源流体が冷やされた分を第二ヒートポンプがカバーして、第二蒸発器を通過後の熱源流体からも再び熱をくみ上げることができる。また、第一ヒートポンプでは、くみ上げる温度差を低減することができ、その分だけ圧縮機の電力を少なくでき、蒸気発生システムの効率を向上することができる。
【0013】
請求項2に記載の発明は、前記第二ヒートポンプは、単段のヒートポンプから構成され、前記第一ヒートポンプの第二蒸発器と、前記第二ヒートポンプの最下段の蒸発器とに順に通される熱源流体から熱をくみ上げ、前記第一ヒートポンプの最上段の凝縮器において、水を加熱して蒸気を発生させることを特徴とする請求項1に記載の蒸気発生システムである。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、単段または複数段の第一ヒートポンプと、単段の第二ヒートポンプとを備え、第一ヒートポンプの第二蒸発器と、第二ヒートポンプの最下段の蒸発器とに熱源流体を順に通して、第一ヒートポンプの最上段の凝縮器において蒸気を発生させることができる。
【0015】
請求項3に記載の発明は、前記第一ヒートポンプは、複数段のヒートポンプから構成され、その内の一部または全部のヒートポンプは、蒸発器として前記第一蒸発器と前記第二蒸発器とを備え、前記各第一蒸発器は、隣接する上下のヒートポンプ同士を接続し、熱源流体は、上段のヒートポンプから順次下段のヒートポンプへと、前記各第二蒸発器を順に通されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の蒸気発生システムである。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、蒸気発生システム全体でみると、三段以上のヒートポンプから構成されることになる。そして、熱源流体は、上段のヒートポンプから順次下段のヒートポンプへと、第一ヒートポンプの各第二蒸発器を順に通された後、第二ヒートポンプの最下段の蒸発器に通され、第一ヒートポンプの最上段の凝縮器において水を加熱して蒸気を発生させることができる。
【0017】
請求項4に記載の発明は、前記第一ヒートポンプを構成する各段のヒートポンプは、蒸発器として前記第一蒸発器と前記第二蒸発器とを備えることを特徴とする請求項3に記載の蒸気発生システムである。
【0018】
請求項4に記載の発明によれば、熱源流体は、第一ヒートポンプの各段の第二蒸発器を通された後、第二ヒートポンプの最下段の蒸発器に通され、簡易な構成で効率よく熱をくみ上げて蒸気を発生させることができる。
【0019】
請求項5に記載の発明は、前記第一ヒートポンプを構成する単段または複数段のヒートポンプの内、前記第一蒸発器と前記第二蒸発器とを有する段のヒートポンプは、その膨張弁から圧縮機への冷媒流路に、前記第一蒸発器と前記第二蒸発器とが直列または並列に設置されるか、凝縮器から圧縮機への冷媒流路に、第一膨張弁および前記第一蒸発器と、第二膨張弁および前記第二蒸発器とが並列に設置されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の蒸気発生システムである。
【0020】
請求項5に記載の発明によれば、第一蒸発器と第二蒸発器とを直列または並列に設置するか、第一膨張弁および第一蒸発器と、第二膨張弁および第二蒸発器とを並列に設置して、第一ヒートポンプの第二蒸発器と、第二ヒートポンプの最下段の蒸発器とから熱をくみ上げて、第一ヒートポンプの最上段の凝縮器において蒸気を発生させることができる。
【0021】
請求項6に記載の発明は、前記第一ヒートポンプと前記第二ヒートポンプとは、次の(a)〜(c)のいずれかの関係で接続されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の蒸気発生システムである。
(a)前記第二ヒートポンプの圧縮機からの冷媒と前記第一ヒートポンプの膨張弁からの冷媒とを受けて、両冷媒を混ぜることなく熱交換する間接熱交換器を備え、この間接熱交換器が前記第二ヒートポンプの凝縮器であると共に前記第一ヒートポンプの第一蒸発器である。
(b)前記第二ヒートポンプの圧縮機からの冷媒と前記第一ヒートポンプの膨張弁からの冷媒とを受けて、両冷媒を直接に接触させて熱交換する中間冷却器を備え、この中間冷却器が前記第二ヒートポンプの凝縮器であると共に前記第一ヒートポンプの第一蒸発器である。
(c)前記第二ヒートポンプの圧縮機からの冷媒と前記第一ヒートポンプの膨張弁からの冷媒とを受けて、両冷媒を直接に接触させて熱交換すると共に、この両冷媒と前記第一ヒートポンプの凝縮器から膨張弁を介することなく前記第二ヒートポンプの膨張弁へ供給される冷媒とを混ぜることなく熱交換する中間冷却器を備え、この中間冷却器が前記第二ヒートポンプの凝縮器であると共に前記第一ヒートポンプの第一蒸発器である。
【0022】
請求項6に記載の発明によれば、第一ヒートポンプと第二ヒートポンプとを、間接熱交換器または中間冷却器で接続して、蒸気発生システムを構成することができる。
【0023】
請求項7に記載の発明は、前記第一ヒートポンプおよび/または前記第二ヒートポンプは、複数段の場合、隣接する段のヒートポンプ同士が次の(a)〜(c)のいずれかの関係で接続されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の蒸気発生システムである。
(a)下段ヒートポンプの圧縮機からの冷媒と上段ヒートポンプの膨張弁からの冷媒とを受けて、両冷媒を混ぜることなく熱交換する間接熱交換器を備え、この間接熱交換器が下段ヒートポンプの凝縮器であると共に上段ヒートポンプの蒸発器である。
(b)下段ヒートポンプの圧縮機からの冷媒と上段ヒートポンプの膨張弁からの冷媒とを受けて、両冷媒を直接に接触させて熱交換する中間冷却器を備え、この中間冷却器が下段ヒートポンプの凝縮器であると共に上段ヒートポンプの蒸発器である。
(c)下段ヒートポンプの圧縮機からの冷媒と上段ヒートポンプの膨張弁からの冷媒とを受けて、両冷媒を直接に接触させて熱交換すると共に、この両冷媒と上段ヒートポンプの凝縮器から膨張弁を介することなく下段ヒートポンプの膨張弁へ供給される冷媒とを混ぜることなく熱交換する中間冷却器を備え、この中間冷却器が下段ヒートポンプの凝縮器であると共に上段ヒートポンプの蒸発器である。
【0024】
請求項7に記載の発明によれば、第一ヒートポンプおよび/または第二ヒートポンプを複数段で構成することができ、隣接する段のヒートポンプ同士を間接熱交換器または中間冷却器で接続して、蒸気発生システムを構成することができる。
【0025】
請求項8に記載の発明は、前記第一ヒートポンプと前記第二ヒートポンプとが、請求項6の(b)の関係で接続される場合、前記第二ヒートポンプの圧縮機からの冷媒は、前記中間冷却器へ供給するのに代えてまたはそれに加えて、前記中間冷却器から圧縮機への冷媒流路へ供給することを特徴とする請求項6に記載の蒸気発生システムである。
【0026】
請求項8に記載の発明によれば、第二ヒートポンプの圧縮機からの冷媒を中間冷却器に入れるのを抑制することで、中間冷却器を構成する熱交換器を小さく構成することができる。また、第二ヒートポンプの圧縮機の潤滑油が中間冷却器に溜まることが防止できると共に、第一ヒートポンプの圧縮機の油切れを防止できる。
【0027】
請求項9に記載の発明は、前記第一ヒートポンプと前記第二ヒートポンプとが、請求項6の(c)の関係で接続される場合、前記第二ヒートポンプの圧縮機からの冷媒は、前記中間冷却器へ供給するのに代えてまたはそれに加えて、前記第一ヒートポンプの中間冷却器から圧縮機への冷媒流路、または、膨張弁から中間冷却器もしくは圧縮機への冷媒流路へ供給することを特徴とする請求項6に記載の蒸気発生システムである。
【0028】
請求項9に記載の発明によれば、第二ヒートポンプの圧縮機からの冷媒を中間冷却器に入れるのを抑制することで、中間冷却器を構成する熱交換器を小さく構成することができる。
【0029】
請求項10に記載の発明は、前記第一ヒートポンプと前記第二ヒートポンプとが、請求項6の(c)の関係で接続される場合、前記第一ヒートポンプの膨張弁からの冷媒を気液分離するセパレータを備え、このセパレータで分離された気相分を前記第二蒸発器から圧縮機までの冷媒流路へ供給することを特徴とする請求項6に記載の蒸気発生システムである。
【0030】
請求項10に記載の発明によれば、セパレータを設置して、気相分を中間冷却器および/または第二蒸発器に入れない構成とすることで、これらを構成する熱交換器を小さく構成することができる。
【0031】
請求項11に記載の発明は、次の(a)〜(d)の内、いずれか一以上のサブ熱交換器を備え、前記第一ヒートポンプの最上段の凝縮器と、第一サブ熱交換器が設置される場合にはその第一サブ熱交換器とへの水や蒸気の流通順序について、前記第一サブ熱交換器が設置される場合にはこの第一サブ熱交換器が先になるように設定され、前記第一ヒートポンプの第二蒸発器と、第四サブ熱交換器が設置される場合にはその第四サブ熱交換器と、前記第二ヒートポンプの最下段の蒸発器と、第二サブ熱交換器が設置される場合にはその第二サブ熱交換器とへの熱源流体の流通順序について、前記第二ヒートポンプの最下段の蒸発器が後になるように設定され、前記第一ヒートポンプの第一蒸発器と、第三サブ熱交換器が設置される場合にはその第三サブ熱交換器と、前記第一ヒートポンプの第二蒸発器と、第四サブ熱交換器が設置される場合にはその第四サブ熱交換器とへの冷媒の流通順序について、前記第一蒸発器および前記第二蒸発器を、前記第三サブ熱交換器および前記第四サブ熱交換器よりも先になるように設定されることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の蒸気発生システムである。
(a)前記第一ヒートポンプの最上段の凝縮器から膨張弁への冷媒と水との第一サブ熱交換器。
(b)前記第二ヒートポンプの最下段の蒸発器から圧縮機への冷媒と熱源流体との第二サブ熱交換器。
(c)前記第一蒸発器が間接熱交換器である場合において、前記第一ヒートポンプの最下段の膨張弁から圧縮機への冷媒と、前記第二ヒートポンプの圧縮機から第一蒸発器への冷媒との第三サブ熱交換器。
(d)前記第一ヒートポンプの最下段の膨張弁から圧縮機への冷媒と熱源流体との第四サブ熱交換器。
【0032】
請求項11に記載の発明によれば、第一サブ熱交換器を冷媒の過冷却器としたり、第二サブ熱交換器を冷媒の過熱器としたり、第四サブ熱交換器を冷媒の過熱器としたり、さらに第三サブ熱交換器を適宜設置したりして、蒸気発生システムの効率を向上することができる。
【0033】
さらに、請求項12に記載の発明は、前記熱源流体は、蒸気使用設備からのドレンとされることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の蒸気発生システムである。
【0034】
請求項12に記載の発明によれば、蒸気使用設備からのドレンから熱回収して、蒸気を発生させることができる。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、システム全体で見た場合におけるくみ上げ温度差を低減し、それによりシステムの効率向上を図ることができる。また、熱源流体がヒートポンプに顕熱を与える場合、それに伴う温度低下にも対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の蒸気発生システムの実施例1を示す概略図である。
【図2】第四サブ熱交換器と、第一ヒートポンプの第二蒸発器と、第二サブ熱交換器と、第二ヒートポンプの蒸発器とへの熱源流体の流通順序を示す図である。
【図3】第一ヒートポンプの第一蒸発器と、第三サブ熱交換器と、第一ヒートポンプの第二蒸発器と、第四サブ熱交換器とへの、第一ヒートポンプの冷媒の流通順序を示す図である。
【図4】本発明の蒸気発生システムと、従来公知の2段ヒートポンプとの成績係数を比較したグラフである。
【図5】本発明の蒸気発生システムと、従来公知の2段ヒートポンプとの、上下各段の圧縮機吸込体積流量を比較したグラフである。
【図6A】理想サイクルのT−S線図である。
【図6B】従来公知の単段のヒートポンプ(逆カルノーサイクル)のT−S線図である。
【図7】本実施例の蒸気発生システムのT−S線図である。
【図8】図7において、ヒートポンプの段数を増やした場合を示している。
【図9】本発明の蒸気発生システムの実施例2を示す概略図である。
【図10】実施例2の蒸気発生システムの変形例を示す概略図である。
【図11】本発明の蒸気発生システムの実施例3を示す概略図である。
【図12】実施例3の蒸気発生システムの変形例を示す概略図である。
【図13】本発明の蒸気発生システムの実施例4を示す概略図である。
【図14】実施例4において、第一ヒートポンプの第一蒸発器と、第三サブ熱交換器とへの、第一ヒートポンプの冷媒の流通順序を示すと共に、第一ヒートポンプの第二蒸発器と、第四サブ熱交換器とへの、第一ヒートポンプの冷媒の流通順序を示す図である。
【図15】本発明の蒸気発生システムの実施例5を示す概略図である。
【図16】実施例5の蒸気発生システムの変形例を示す概略図である。
【図17】本発明の蒸気発生システムの実施例6を示す概略図である。
【図18】実施例6の蒸気発生システムの変形例1を示す概略図である。
【図19】実施例6の蒸気発生システムの変形例2を示す概略図である。
【図20】第一セパレータと、第二セパレータと、第三セパレータとの設置の組合せを示す図である。
【図21】本発明の蒸気発生システムの実施例7を示す概略図である。
【図22】本発明の蒸気発生システムの実施例8を示す概略図である。
【図23】実施例8の蒸気発生システムの変形例1を示す概略図である。
【図24】実施例8の蒸気発生システムの変形例2を示す概略図である。
【図25】本発明の蒸気発生システムの実施例9を示す概略図である。
【図26】実施例9の蒸気発生システムの変形例1を示す概略図である。
【図27】実施例9の蒸気発生システムの変形例2を示す概略図である。
【図28】第一セパレータと第二セパレータとの設置の組合せを示す図である。
【図29A】三段以上のヒートポンプで構成した本発明の蒸気発生システムの一例を示す概略図である。
【図29B】第一ヒートポンプを単段、第二ヒートポンプを二段にした場合のT−S線図である。
【図29C】複数段の第一ヒートポンプの各段に第一蒸発器と第二蒸発器とを設け、第二ヒートポンプを単段とした場合のT−S線図である。
【図30】実施例1の蒸気発生システムを用いた蒸気システムの一例を示す概略図である。
【図31】図30の蒸気システムの変形例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明の蒸気発生システムは、複数段のヒートポンプを備え、最下段を除いた各段のヒートポンプの内、一部または全部のヒートポンプは、蒸発器として第一蒸発器と第二蒸発器とを備え、各第一蒸発器は、隣接する上下のヒートポンプ同士を接続する。そして、上段のヒートポンプから順次下段のヒートポンプへと、各第二蒸発器を熱源流体が順に通され、最上段の凝縮器において、水を加熱して蒸気を発生させる。
以下、本発明の具体的実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0038】
図1は、本発明の蒸気発生システム1の実施例1を示す概略図である。本実施例の蒸気発生システム1は、第一ヒートポンプ2と第二ヒートポンプ3とを備える。
【0039】
第一ヒートポンプ2は、蒸気圧縮式のヒートポンプであり、本実施例では単段のヒートポンプから構成される。具体的には、第一ヒートポンプ2は、圧縮機4、凝縮器5、膨張弁6および蒸発器7,8が順次環状に接続されて構成される。ここで、第一ヒートポンプ2は、蒸発器として第一蒸発器7と第二蒸発器8との二つの蒸発器を備え、これら蒸発器7,8は、本実施例では直列に接続されている。つまり、第一ヒートポンプ2の膨張弁6からの冷媒は、第一蒸発器7と第二蒸発器8とを順に(または後述するように逆に)通された後、圧縮機4へ送られる。
【0040】
そして、圧縮機4は、ガス冷媒を圧縮して高温高圧にする。また、凝縮器5は、圧縮機4からのガス冷媒を凝縮液化する。さらに、膨張弁6は、凝縮器5からの液冷媒を通過させることで、冷媒の圧力と温度とを低下させる。そして、蒸発器7,8は、膨張弁6からの冷媒の蒸発を図る。
【0041】
従って、第一ヒートポンプ2は、蒸発器7,8において、冷媒が外部から熱を奪って気化する一方、凝縮器5において、冷媒が外部へ放熱して凝縮することになる。これを利用して、第一ヒートポンプ2は、蒸発器7,8において、熱源流体などから熱をくみ上げ、凝縮器5において、水を加熱して蒸気を発生させる。
【0042】
熱源流体(各ヒートポンプ2,3の熱源)は、特に問わないが、各ヒートポンプ2,3に顕熱を与えるもの、すなわち各ヒートポンプ2,3に熱を与えつつ自身は温度低下を伴う流体が好適に用いられる。たとえば、蒸気使用設備からのドレンや、ボイラなどからの排ガスが用いられる。
【0043】
なお、ヒートポンプ2の回路には、所望により、圧縮機4の出口側に油分離器を設置したり、凝縮器5の出口側に受液器を設置したり、圧縮機4の入口側にアキュムレータを設置したり、凝縮器5から膨張弁6への冷媒と蒸発器7,8から圧縮機4への冷媒とを混ぜることなく熱交換する液ガス熱交換器を設置したりしてもよい。このことは、第一ヒートポンプ2に限らず、第二ヒートポンプ3についても同様である。また、第一ヒートポンプ2や第二ヒートポンプ3が複数段の場合には、それを構成する各段のヒートポンプについても同様である。
【0044】
第二ヒートポンプ3は、蒸気圧縮式のヒートポンプであり、本実施例では単段のヒートポンプから構成される。第二ヒートポンプ3は、基本的には前述した第一ヒートポンプ2と同様の構成である。つまり、第二ヒートポンプ3は、圧縮機9、凝縮器10、膨張弁11および蒸発器12が順次環状に接続されて構成される。但し、第二ヒートポンプ3は、第一ヒートポンプ2のように二種類の蒸発器を備える必要はない。そして、第二ヒートポンプ3は、蒸発器12において、熱源流体から熱をくみ上げ、凝縮器10において、第一ヒートポンプ2の冷媒を加熱して自身は凝縮を図られる。
【0045】
第一ヒートポンプ2と第二ヒートポンプ3とは、次のようにして接続される。すなわち、第二ヒートポンプ3の圧縮機9からの冷媒と第一ヒートポンプ2の膨張弁6からの冷媒とを受けて、両冷媒を混ぜることなく熱交換する間接熱交換器13を備え、この間接熱交換器13が第二ヒートポンプ3の凝縮器10であると共に第一ヒートポンプ2の第一蒸発器7とされる。なお、各ヒートポンプ2,3の冷媒は、同一でもよいし、異ならせてもよい。また、用いる冷媒は、特に問わないが、炭素数が4以上のハイドロフルオロカーボン(HFC)(たとえばR−365mfc)またはこれに水および/または消火液を加えたもの、アルコール(たとえばエチルアルコール、メチルアルコールまたはトリフルオロエタノール(TFE))またはこれに水および/または消火液を加えたもの、または水(たとえば純水または軟水)が好適に用いられる。
【0046】
詳細は後述するが、第一ヒートポンプ2の第二蒸発器8と、第二ヒートポンプ3の蒸発器12とには、熱源流体が通される。従って、蒸気発生システム1は、これら蒸発器8,12において、熱源流体から熱をくみ上げ、第一ヒートポンプ2の凝縮器5において、水を加熱して蒸気を発生させる。
【0047】
蒸気発生システム1には、以下に述べる各種のサブ熱交換器14〜17の内、いずれか一以上のサブ熱交換器を設置してもよい。
(a)第一サブ熱交換器14は、第一ヒートポンプ2の凝縮器5から膨張弁6への冷媒と水との間接熱交換器であり、第一ヒートポンプ2の冷媒の過冷却器として機能する。
(b)第二サブ熱交換器15は、第二ヒートポンプ3の蒸発器12から圧縮機9への冷媒と熱源流体との間接熱交換器であり、第二ヒートポンプ3の冷媒の過熱器として機能する。
(c)第三サブ熱交換器16は、第一蒸発器7が間接熱交換器13である場合において、第一ヒートポンプ2の膨張弁6から圧縮機4への冷媒と、第二ヒートポンプ3の圧縮機9から第一蒸発器7への冷媒との間接熱交換器であり、第一ヒートポンプ2の冷媒の過熱器として機能する。
(d)第四サブ熱交換器17は、第一ヒートポンプ2の膨張弁6から圧縮機4への冷媒と熱源流体との間接熱交換器であり、第一ヒートポンプ2の冷媒の過熱器として機能する。
【0048】
次に、水や蒸気の流通経路について説明する。
第一ヒートポンプ2の凝縮器5と、所望により設置される第一サブ熱交換器14とは、水が供給されて蒸気が導出される。この水や蒸気の流通順序について、第一サブ熱交換器14が設置される場合には、この第一サブ熱交換器14を第一ヒートポンプ2の凝縮器5よりも先になるように設定する。そして、通常、第一ヒートポンプ2の凝縮器5から飽和蒸気を導出する。なお、各ヒートポンプ2,3の凝縮器5,10は、図示例ではそれぞれ一つずつ設置しているが、直列または並列に複数の熱交換器から構成してもよい。
【0049】
次に、熱源流体の流通経路について説明する。
第一ヒートポンプ2の第二蒸発器8と、所望により設置される第四サブ熱交換器17と、第二ヒートポンプ3の蒸発器12と、所望により設置される第二サブ熱交換器15とは、適宜の順序で設置され、熱源流体が通されるが、その流通経路については、図2に示すいずれかが用いられる。
【0050】
図2は、所望により設置される第四サブ熱交換器17と、第一ヒートポンプ2の第二蒸発器8と、所望により設置される第二サブ熱交換器15と、第二ヒートポンプ3の蒸発器12とへの熱源流体の流通順序を示す図である。図中の番号は、各熱交換器17,8,15,12への流通順序を示しており、番号が0とはその熱交換器を設置しないことを示している。また、同一番号は、並列に設置することを示しているが、同一番号の熱交換器同士は互いに入れ替え可能である。なお、各ヒートポンプ2,3の蒸発器8,12は、図示例ではそれぞれ一つずつ設置しているが、直列または並列に複数の熱交換器から構成してもよい。
【0051】
具体例をいくつか説明すると、たとえば1行目には、1−2−3−4とある。すなわち、第四サブ熱交換器17が1、第一ヒートポンプ2の第二蒸発器8が2、第二サブ熱交換器15が3、第二ヒートポンプ3の蒸発器12が4である。この場合、熱源流体は、第四サブ熱交換器17、第一ヒートポンプ2の第二蒸発器8、第二サブ熱交換器15、第二ヒートポンプ3の蒸発器12を順に通される。
【0052】
また、2行目には、1−2−1−3とある。すなわち、第四サブ熱交換器17が1、第一ヒートポンプ2の第二蒸発器8が2、第二サブ熱交換器15が1、第二ヒートポンプ3の蒸発器12が3である。この場合、熱源流体は、第四サブ熱交換器17と第二サブ熱交換器15とを並列に通された後、第一ヒートポンプ2の第二蒸発器8と、第二ヒートポンプ3の蒸発器12とを順に通される。
【0053】
さらに、4行目には、1−2−0−3とある。すなわち、第四サブ熱交換器17が1、第一ヒートポンプ2の第二蒸発器8が2、第二サブ熱交換器15が0、第二ヒートポンプ3の蒸発器12が3である。この場合、第二サブ熱交換器15は設置されず、熱源流体は、第四サブ熱交換器17を通された後、第一ヒートポンプ2の第二蒸発器8と、第二ヒートポンプ3の蒸発器12とを順に通される。
【0054】
いずれにしても、基本的には、熱源流体の流通順序について、第二ヒートポンプ3の蒸発器12が後になるように設定するのが好ましい。言い換えれば、熱源流体は、第一ヒートポンプ2の第二蒸発器8を通された後、第二ヒートポンプ3の蒸発器12に通される。
【0055】
図3は、第一ヒートポンプ2の第一蒸発器7と、所望により設置される第三サブ熱交換器16と、第一ヒートポンプ2の第二蒸発器8と、所望により設置される第四サブ熱交換器17への、第一ヒートポンプ2の冷媒の流通順序を示す図である。図中の番号は、各熱交換器7,16,8,17への流通順序を示しており、番号が0とはその熱交換器を設置しないことを示している。また、同一番号は、並列に設置することを示している。
【0056】
具体例をいくつか説明すると、たとえば1行目には、1−3−2−3とある。すなわち、第一蒸発器7が1、第三サブ熱交換器16が3、第二蒸発器8が2、第四サブ熱交換器17が3である。この場合、第一ヒートポンプ2の膨張弁6からの冷媒は、第一蒸発器7と第二蒸発器8とを順に通された後、第三サブ熱交換器16と第四サブ熱交換器17とを並行に通されて、圧縮機4へ送られる。
【0057】
また、2行目には、1−3−2−4とある。すなわち、第一蒸発器7が1、第三サブ熱交換器16が3、第二蒸発器8が2、第四サブ熱交換器17が4である。この場合、第一ヒートポンプ2の膨張弁6からの冷媒は、第一蒸発器7、第二蒸発器8、第三サブ熱交換器16および第四サブ熱交換器17を順に通されて、圧縮機4へ送られる。
【0058】
さらに、4行目には、1−3−2−0とある。すなわち、第一蒸発器7が1、第三サブ熱交換器16が3、第二蒸発器8が2、第四サブ熱交換器17が0である。この場合、第四サブ熱交換器17は設置されず、第一ヒートポンプ2の膨張弁6からの冷媒は、第一蒸発器7、第二蒸発器8および第三サブ熱交換器16を順に通されて、圧縮機4へ送られる。
【0059】
いずれにしても、基本的には、第一ヒートポンプ2の冷媒の流通順序について、第一蒸発器7および第二蒸発器8を、第三サブ熱交換器16および第四サブ熱交換器17よりも先になるように設定するのが好ましい。
【0060】
本実施例の蒸気発生システム1は、前述したとおり、熱源流体として、たとえばドレンが用いられる。一例として、158℃のドレンが、第一ヒートポンプ2の第二蒸発器8に供給され125℃で排出された後、第二ヒートポンプ3の蒸発器12に供給されて80℃で排出される。第二ヒートポンプ3は、低温側(圧縮機9の入口側)の冷媒温度が75℃とされ、第一ヒートポンプ2は、低温側(圧縮機4の入口側)の冷媒温度が120℃、高温側(圧縮機4の出口側)の冷媒温度が163℃とされ、凝縮器5では158℃の蒸気を発生させる。
【0061】
本実施例の蒸気発生システム1によれば、熱源流体は、第一ヒートポンプ2の第二蒸発器8を通された後、第二ヒートポンプ3の蒸発器12に通される。これにより、第一ヒートポンプ2の第二蒸発器8においてドレンが冷やされた分を第二ヒートポンプ3がカバーして、第二蒸発器8を通過後のドレンからも再び熱をくみ上げることができる。また、第一ヒートポンプ2では、くみ上げる温度差を低減することができ、その分だけ圧縮機4の電力を少なくでき、蒸気発生システム1の効率を向上することができる。
【0062】
言い換えれば、蒸気発生システム1は、全体でみるとあたかも複数段(本実施例では二段)のヒートポンプ2,3で構成されてなり、くみ上げるエネルギーの一部(典型的には半分)が中段からくみ上げることになるので、成績係数を増加させることができる。また、最下段からくみ上げるエネルギーを減らす(典型的には半分にする)ことができるので、低段側(第二ヒートポンプ3)の圧縮機9の容量を小さくすることができる。
【0063】
図4は、本実施例の蒸気発生システム1と、従来公知の2段ヒートポンプとの成績係数を比較したグラフである。図中、実線が本実施例の蒸気発生システム1を示しており、破線が従来公知の2段のヒートポンプを示している。また、ここでは熱源流体としてドレンを用いた場合を示しており、第二ヒートポンプ3の蒸発器12を通過後の最終的なドレン温度を横軸とし、理論上の成績係数を縦軸としている。なお、冷媒はR−365mfcであり、また、前述した条件、つまり初期温度158℃のドレンを用い158℃(5kgf/cm(G))の蒸気を発生させる場合について検討した。
【0064】
この図に示すように、熱源流体(ドレン)の温度に拘わらず、本実施例の蒸気発生システム1による方が、従来公知の2段のヒートポンプよりも効率が高くなる。なお、従来公知の2段ヒートポンプとは、いわば図1において第二蒸発器8の設置を省略して、最下段の第二ヒートポンプ3の蒸発器12のみから熱をくみ上げる構成と同等である。
【0065】
図5は、本実施例の蒸気発生システム1と、従来公知の2段ヒートポンプとの、上下各段の圧縮機吸込体積流量を比較したグラフである。図中、実線が本実施例の蒸気発生システム1を示しており、破線が従来公知の2段のヒートポンプを示している。また、ここでは熱源流体としてドレンを用いた場合を示しており、第二ヒートポンプ3の蒸発器12を通過後の最終的なドレン温度を横軸とし、圧縮機吸込体積流量を縦軸としている。
【0066】
この図に示すように、熱源流体(ドレン)の温度に拘わらず、本実施例の蒸気発生システム1による方が、圧縮機吸込体積流量を少なくすることができる。これにより、本実施例の蒸気発生システム1による方が、従来公知の2段のヒートポンプよりも効率が高くなる。
【0067】
図6Aは、熱を与えられる流体の入口部の状態がTの飽和水、熱を与えられる流体の出口部の状態がTの飽和蒸気であり(つまり熱を与えられる流体は潜熱を与えられる)、熱を与える流体の入口部の状態がTの飽和水、熱を与える流体の出口部の状態がTの過冷却水(つまり熱を与える流体は顕熱を奪われる)の条件において、理想的に熱をくみ上げる場合(以下、理想サイクルという。)のT−S線図である。つまり、縦軸が温度、横軸がエントロピーを示している。
【0068】
この理想サイクルつまり実線で囲まれた三角形の面積が、前記条件を実現するための最小動力(理想動力)となる。そして、このときの成績係数COP=2×(T/(T−T))となる。
【0069】
一方、図6Bは、従来公知の単段のヒートポンプ(逆カルノーサイクル)のT−S線図である。但し、図6Bは、膨張弁出口損失、圧縮機過熱損失は無視し、熱交換性能を無限大とした場合を示している。この場合、成績係数COP=T/(T−T)となる。二点鎖線Aで示すように、ヒートポンプを上下二段にしても同様である。
【0070】
図6Aと図6Bとを比較すると、図6Bの四角形の面積から図6Aの三角形の面積を引いた分が、理想サイクルと比べて余分な動力といえ、その分だけ成績係数は低下する。
【0071】
一方、図7は、本実施例の蒸気発生システムのT−S線図である。この場合、成績係数COP=(4/3)×(T/(T−T))となる。つまり、従来公知の単段のヒートポンプの効率の4/3倍となる。なお、T=(T+T)/2、S=(S+S)/2とした。図6Bと比べて、右下の箇所が欠けることで、この分だけ動力を軽減して、効率を増すことができる。
【0072】
さて、図7では、段数を二段としたが、段数を増やせば、図8に示すように、サイクルで囲まれる面積をさらに少なくすることができ、蒸気発生システム1の効率をさらに向上することができる。段数を無限大とした場合、理論上、COP=2×(T/(T−T))となる。つまり、従来公知の単段のヒートポンプの効率の2倍とできる。段数を増やした蒸気発生システム1の具体的構成については、後述する。
【実施例2】
【0073】
図9は、本発明の蒸気発生システム1の実施例2を示す概略図である。本実施例2の蒸気発生システム1は、基本的には前記実施例1と同様である。そこで、以下においては、両者の異なる点を中心に説明し、対応する箇所には同一の符号を付して説明する。
【0074】
本実施例2では、第一ヒートポンプ2と第二ヒートポンプ3との接続の構成において、前記実施例1と異なる。前記実施例1では、第一ヒートポンプ2と第二ヒートポンプ3とを間接熱交換器13で接続したが、本実施例2では、第一ヒートポンプ2と第二ヒートポンプ3とを中間冷却器18で接続している。
【0075】
具体的には、第二ヒートポンプ3の圧縮機9からの冷媒と第一ヒートポンプ2の膨張弁6からの冷媒とを受けて、両冷媒を直接に接触させて熱交換する中間冷却器18を備え、この中間冷却器18が第二ヒートポンプ3の凝縮器10であると共に第一ヒートポンプ2の蒸発器7とされる。より詳細には、中間冷却器18として中空タンク(直接熱交換器)が用いられ、第二ヒートポンプ3の圧縮機9からの冷媒と、第一ヒートポンプ2の膨張弁6からの冷媒とを受け入れて、タンク内で直接に接触させることにより、第二ヒートポンプ3の圧縮機9からの冷媒の凝縮と、第一ヒートポンプ2の膨張弁6からの冷媒の気化とを図る。そして、それにより得られる液冷媒を第二ヒートポンプ3の膨張弁11へ送る一方、気液混合冷媒は第一ヒートポンプ2の第二蒸発器8を介して圧縮機4へ送ればよい。
【0076】
本実施例2では、第一ヒートポンプ2の膨張弁6からの冷媒は、基本的に、中間冷却器18と第二蒸発器8とを順に介して、圧縮機4へ送られる。第二蒸発器8においても冷媒を沸騰させる関係上、中間冷却器18から第二蒸発器8へは、気相分と液相分とを所定割合で混合して送られる。この混合割合の調整は、たとえば、中間冷却器18からの気相分の冷媒流路と液相分の冷媒流路とにそれぞれ設けた弁(図示省略)の開度調整により行われる。
【0077】
また、本実施例2では、第三サブ熱交換器16は設置されない。その他の構成は、前記実施例1と同様のため、説明を省略する。
【0078】
次に、本実施例2の蒸気発生システム1の変形例について説明する。この際、図9と異なる点を中心に説明し、同様の構成については説明を省略する。また、対応する箇所には同一の符号を付して説明する。
【0079】
図10は、本実施例2の蒸気発生システム1の変形例を示す概略図である。図9の蒸気発生システム1では、第二ヒートポンプ3の圧縮機9からの冷媒は、中間冷却器18へ供給されたが、本変形例では、中間冷却器18への供給に代えてまたはこれに加えて、二点鎖線Aで示すように、第一ヒートポンプ2の中間冷却器18から圧縮機4への冷媒流路へ供給される。この際、第二蒸発器8の入口側でもよいし出口側でもよいし、第四サブ熱交換器17が設置される場合にはその第四サブ熱交換器17の入口側でもよいし出口側でもよい。また、二点鎖線Bで示すように、第二ヒートポンプ3の圧縮機9からの冷媒は、第一ヒートポンプ2の膨張弁6から中間冷却器18への冷媒流路に合流させてもよい。
【実施例3】
【0080】
図11は、本発明の蒸気発生システム1の実施例3を示す概略図である。本実施例3の蒸気発生システム1は、基本的には前記実施例1と同様である。そこで、以下においては、両者の異なる点を中心に説明し、対応する箇所には同一の符号を付して説明する。
【0081】
本実施例3では、第一ヒートポンプ2と第二ヒートポンプ3との接続の構成において、前記実施例1と異なる。前記実施例1では、第一ヒートポンプ2と第二ヒートポンプ3とを間接熱交換器13で接続したが、本実施例3では、第一ヒートポンプ2と第二ヒートポンプ3とを中間冷却器19で接続している。
【0082】
具体的には、第二ヒートポンプ3の圧縮機9からの冷媒と第一ヒートポンプ2の膨張弁6からの冷媒とを受けて、両冷媒を直接に接触させて熱交換すると共に、この両冷媒と第一ヒートポンプ2の凝縮器5から膨張弁6を介することなく第二ヒートポンプ3の膨張弁11へ供給される冷媒とを混ぜることなく熱交換する中間冷却器19を備え、この中間冷却器19が第二ヒートポンプ3の凝縮器10であると共に第一ヒートポンプ2の蒸発器7である。より詳細には、中間冷却器19として、第一領域20と第二領域21の各流体を混ぜることなく熱交換する間接熱交換器が用いられ、第一領域20において、第二ヒートポンプ3の圧縮機9からの冷媒と第一ヒートポンプ2の膨張弁6からの冷媒とが直接に熱交換される一方、第二領域21に、第一ヒートポンプ2の凝縮器5から膨張弁6を介することなく冷媒を通して、第二ヒートポンプ3の膨張弁11へ供給すればよい。この場合、第二ヒートポンプ3の圧縮機9からの冷媒は、中間冷却器19において第一ヒートポンプ2の膨張弁6からの冷媒で中間冷却を図られた後、第一ヒートポンプ2の圧縮機4においてさらに高圧高温のガス冷媒とされ、第一ヒートポンプ2の凝縮器5にて凝縮される。そして、その液冷媒の一部は、第一ヒートポンプ2の膨張弁6を介して、中間冷却器19の第一領域20へ送られる一方、残りの液冷媒は、中間冷却器19の第二領域21を介して、第二ヒートポンプ3の膨張弁11で減圧され、第二ヒートポンプ3の蒸発器12において気化した後、再び第二ヒートポンプ3の圧縮機9へ戻される。
【0083】
このような構成に伴い、本実施例3では、第三サブ熱交換器16は設置されない。その他の構成は、前記実施例1と同様のため、説明を省略する。
【0084】
次に、本実施例3の蒸気発生システム1の変形例について説明する。この際、図11と異なる点を中心に説明し、同様の構成については説明を省略する。また、対応する箇所には同一の符号を付して説明する。
【0085】
図12は、本実施例3の蒸気発生システム1の変形例を示す概略図である。図11の蒸気発生システム1では、第二ヒートポンプ3の圧縮機9からの冷媒は、中間冷却器19へ供給されたが、本変形例では、中間冷却器19への供給に代えてまたはこれに加えて、二点鎖線Aで示すように、第一ヒートポンプ2の中間冷却器19から圧縮機4への冷媒流路へ供給される。この際、第二蒸発器8の入口側でもよいし出口側でもよいし、第四サブ熱交換器17が設置される場合にはその第四サブ熱交換器17の入口側でもよいし出口側でもよい。また、二点鎖線Bで示すように、第一ヒートポンプ2の膨張弁6から中間冷却器19への冷媒流路へ供給してもよい。なお、第一ヒートポンプ2の膨張弁6から中間冷却器19への冷媒流路に後述するセパレータ22を設ける場合には、その膨張弁6からセパレータ22への冷媒流路でもよいし、セパレータ22からの気相分の冷媒流路23に供給してもよい。
【0086】
また、本変形例では、第一ヒートポンプ2の膨張弁6の出口側にセパレータ22を設けている。この場合、セパレータ22で分離された液相分は、中間冷却器19へ供給され、気相分は、流路23で示すように、第一ヒートポンプ2の中間冷却器19から圧縮機4への冷媒流路へ供給される。この際、第二蒸発器8の入口側でもよいし出口側でもよいし、第四サブ熱交換器17が設置される場合にはその第四サブ熱交換器17の入口側でもよいし出口側でもよい。
【0087】
なお、セパレータ22は、第一ヒートポンプ2の膨張弁6から中間冷却器19への冷媒流路に設けることに代えてまたはこれに加えて、中間冷却器19から第二蒸発器8への冷媒流路に設けてもよい。その場合、液相分は、第二蒸発器8へ供給され、気相分は、第二蒸発器8から圧縮機4への冷媒流路のいずれの箇所へ供給してもよい。
【実施例4】
【0088】
図13は、本発明の蒸気発生システム1の実施例4を示す概略図である。本実施例4の蒸気発生システム1は、基本的には前記実施例1と同様である。そこで、以下においては、両者の異なる点を中心に説明し、対応する箇所には同一の符号を付して説明する。
【0089】
前記実施例1では、第一蒸発器7と第二蒸発器8とが直列に設置されたが、本実施例4では、第一蒸発器7と第二蒸発器8とが並列に設置される。すなわち、本実施例では、第一ヒートポンプ2の膨張弁6からの冷媒は、第一蒸発器7と、所望により設置される第三サブ熱交換器16とを介して、圧縮機4へ供給されると共に、第二蒸発器8と、所望により設置される第四サブ熱交換器17とを介して、圧縮機4へ供給される。
【0090】
図14は、本実施例4において、第一ヒートポンプ2の第一蒸発器7と、所望により設置される第三サブ熱交換器16とへの、第一ヒートポンプ2の冷媒の流通順序を示すと共に、第一ヒートポンプ2の第二蒸発器8と、所望により設置される第四サブ熱交換器17とへの、第一ヒートポンプ2の冷媒の流通順序を示す図である。図中の番号は、各熱交換器7,16,8,17への流通順序を示しており、番号が0とはその熱交換器を設置しないことを示している。また、同一番号は、並列に設置することを示している。
【0091】
具体例をいくつか説明すると、たとえば1行目には、1−2−1−2とある。すなわち、第一蒸発器7が1、第三サブ熱交換器16が2、第二蒸発器8が1、第四サブ熱交換器17が2である。この場合、第一ヒートポンプ2の膨張弁6からの冷媒は、第一蒸発器7と第三サブ熱交換器16とを順に通される冷媒流路と、第二蒸発器8と第四サブ熱交換器17とを順に通される冷媒流路とを並列に通され、圧縮機4へ送られる。
【0092】
また、2行目には、1−2−1−3とある。すなわち、第一蒸発器7が1、第三サブ熱交換器16が2、第二蒸発器8が1、第四サブ熱交換器17が3である。この場合、第一ヒートポンプ2の膨張弁6からの冷媒は、第一蒸発器7と第二蒸発器8とに並列に通された後、第三サブ熱交換器16と第四サブ熱交換器17とを順に通されて、圧縮機4へ送られる。あるいは、第一ヒートポンプ2の膨張弁6からの冷媒は、第一蒸発器7と第三サブ熱交換器16とを順に通されると共に、これと並行に第二蒸発器8にも通された後、両者は合流して第四サブ熱交換器17を介して圧縮機4へ送られる。
【0093】
さらに、4行目には、1−0−1−1とある。すなわち、第一蒸発器7が1、第三サブ熱交換器16が0、第二蒸発器8が1、第四サブ熱交換器17が1である。この場合、第三サブ熱交換器16は設置されず、第一ヒートポンプ2の膨張弁6からの冷媒は、第一蒸発器7と、第二蒸発器8と、第四サブ熱交換器17とを並列に通された後、圧縮機4へ送られる。
【0094】
いずれにしても、基本的には、第一ヒートポンプ2の冷媒の流通順序について、第一蒸発器7および第二蒸発器8を、第三サブ熱交換器16および第四サブ熱交換器17よりも先になるように設定するのが好ましい。その他の構成は、前記実施例1と同様のため、説明を省略する。
【実施例5】
【0095】
図15は、本発明の蒸気発生システム1の実施例5を示す概略図である。本実施例5の蒸気発生システム1は、基本的には前記実施例2と同様である。そこで、以下においては、両者の異なる点を中心に説明し、対応する箇所には同一の符号を付して説明する。
【0096】
前記実施例2では、中間冷却器18から気相分と液相分とが所定の混合割合で、第二蒸発器8と、所望により設置される第四サブ熱交換器17とを介して、圧縮機4へ供給されたが、本実施例5では、中間冷却器18の気相部と圧縮機4とを結ぶ冷媒流路と、中間冷却器18の液相部と圧縮機4とを結ぶ冷媒流路とが、並列に設置される。そして、後者の冷媒流路には、第二蒸発器8と、所望により第四サブ熱交換器17が設置される。なお、中間冷却器18からの気相分の冷媒は、直接に圧縮機4の入口側へ供給する以外に、二点鎖線Aで示すように、第四サブ熱交換器17が設置される場合には、その手前側へ供給してもよい。
【0097】
前記実施例4に対する本実施例5の関係は、前記実施例1に対する前記実施例2の関係と対応する。その他の構成は、前記実施例2と同様のため、説明を省略する。
【0098】
次に、本実施例5の蒸気発生システム1の変形例について説明する。この際、図15と異なる点を中心に説明し、同様の構成については説明を省略する。また、対応する箇所には同一の符号を付して説明する。
【0099】
図16は、本実施例5の蒸気発生システム1の変形例を示す概略図である。図15の蒸気発生システム1では、第二ヒートポンプ3の圧縮機9からの冷媒は、中間冷却器18へ供給されたが、本変形例では、中間冷却器18への供給に代えてまたはこれに加えて、二点鎖線Aで示すように、中間冷却器18から圧縮機4への気相分の冷媒流路へ供給するか、二点鎖線Bで示すように、中間冷却器18から圧縮機4への液相分の冷媒流路へ供給する。後者の場合、第二蒸発器8の入口側でもよいし出口側でもよいし、第四サブ熱交換器17が設置される場合にはその第四サブ熱交換器17の入口側でもよいし出口側でもよい。また、二点鎖線Cで示すように、第二ヒートポンプ3の圧縮機9からの冷媒は、第一ヒートポンプ2の膨張弁6から中間冷却器18への冷媒流路に合流させてもよい。
【実施例6】
【0100】
図17は、本発明の蒸気発生システム1の実施例6を示す概略図である。本実施例6の蒸気発生システム1は、基本的には前記実施例3と同様である。そこで、以下においては、両者の異なる点を中心に説明し、対応する箇所には同一の符号を付して説明する。
【0101】
前記実施例3では、第一ヒートポンプ2の膨張弁6からの冷媒は、中間冷却器19および第二蒸発器8を介して圧縮機4へ供給されたが、本実施例6では、第一ヒートポンプ2の膨張弁6からの冷媒は、中間冷却器19を介するが第二蒸発器8は介さずに圧縮機4へ供給されると共に、これと並列に、中間冷却器19は介さずに第二蒸発器8を介して圧縮機4へ供給される。
【0102】
なお、二点鎖線Aで示すように、第一ヒートポンプの膨張弁6から中間冷却器19への冷媒の供給は、第二ヒートポンプ3の圧縮機9から中間冷却器19への冷媒と合流させて行ってもよい。また、二点鎖線Xで示すように、中間冷却器19から圧縮機4への冷媒は、場合により、第四サブ熱交換器17の手前へ供給してもよい。
【0103】
前記実施例4に対する本実施例6の関係は、前記実施例1に対する前記実施例3の関係と対応する。その他の構成は、前記実施例3と同様のため、説明を省略する。
【0104】
次に、本実施例6の蒸気発生システム1の変形例について説明する。この際、図17と異なる点を中心に説明し、同様の構成については説明を省略する。また、対応する箇所には同一の符号を付して説明する。
【0105】
図18は、本実施例6の蒸気発生システム1の変形例1を示す概略図である。図17の蒸気発生システム1では、第二ヒートポンプ3の圧縮機9からの冷媒は、中間冷却器19へ供給されたが、本変形例では、中間冷却器19への供給に代えてまたはこれに加えて、二点鎖線Aで示すように、第一ヒートポンプ2の膨張弁6から中間冷却器19への冷媒流路へ合流させてもよいし、二点鎖線Bで示すように、膨張弁6から第二蒸発器8を介した圧縮機4への冷媒流路へ供給してもよいし、二点鎖線Cで示すように、中間冷却器19から圧縮機4への冷媒流路へ供給してもよい。
【0106】
図19は、本実施例6の蒸気発生システム1の変形例2を示す概略図である。本変形例では、第一ヒートポンプ2の膨張弁6の出口側にセパレータ22(22A〜22C)を設けている。第一ヒートポンプ2の膨張弁6からの冷媒は、共通流路24を介して、第二蒸発器8への流路25と、中間冷却器19への流路26とに分岐されるが、そのいずれの箇所にセパレータ22を設置してもよい。共通流路24に設置されるものを第一セパレータ22A、第二蒸発器8への流路25に設置されるものを第二セパレータ22B、中間冷却器19への流路26に設置されるものを第三セパレータ22Cとして、図20に示す組合せで設置可能である。図20では、1が設置、0が無設置を示している。
【0107】
図20中、1行目のパターンでは、いずれのセパレータも設置されない。2行目のパターンでは、第一セパレータ22Aのみが設置される。この場合、セパレータ22Aで分離された液相分が中間冷却器19および第二蒸発器8へ供給され、気相分が二点鎖線Aで示すように、第二蒸発器8から圧縮機4までのいずれかの箇所へ供給される。
【0108】
また、3行目のパターンでは、第二セパレータ22Bのみが設置される。この場合、第一ヒートポンプ2の膨張弁6からの冷媒は、中間冷却器19とセパレータ22Bへと供給され、セパレータ22Bで分離された液相分が第二蒸発器8へ供給され、気相分が二点鎖線Aで示すように、第二蒸発器8から圧縮機4までのいずれかの箇所へ供給される。
【0109】
また、4行目のパターンでは、第三セパレータ22Cのみが設置される。この場合、第一ヒートポンプ2の膨張弁6からの冷媒は、第二蒸発器8とセパレータ22Cへと供給され、セパレータ22Cで分離された液相分が中間冷却器19へ供給され、気相分が二点鎖線Aで示すように、第二蒸発器8から圧縮機4までのいずれかの箇所へ供給される。
【0110】
さらに、5行目のパターンに示すように、第二セパレータ22Bと第三セパレータ22Cとの双方を設置してもよい。いずれにしても、セパレータ22を設けて、気相分を中間冷却器19や第二蒸発器8に入れない構成とすることで、これらを構成する熱交換器を小さくすることができる。
【実施例7】
【0111】
図21は、本発明の蒸気発生システム1の実施例7を示す概略図である。本実施例7の蒸気発生システム1は、基本的には前記実施例4と同様である。そこで、以下においては、両者の異なる点を中心に説明し、対応する箇所には同一の符号を付して説明する。
【0112】
前記実施例4では、第一蒸発器7と第二蒸発器8とが並列に設置され、共通の膨張弁6を介した冷媒がそれぞれ通されたが、本実施例7では、第一ヒートポンプ2の凝縮器5からの冷媒は、第一膨張弁6Aと第一蒸発器7とを備える冷媒流路と、第二膨張弁6Bと第二蒸発器8とを備える冷媒流路とを並列に通された後、圧縮機4へ供給される。その他の構成は、前記実施例4と同様のため、説明を省略する。
【実施例8】
【0113】
図22は、本発明の蒸気発生システム1の実施例8を示す概略図である。本実施例8の蒸気発生システム1は、基本的には前記実施例5と同様である。そこで、以下においては、両者の異なる点を中心に説明し、対応する箇所には同一の符号を付して説明する。
【0114】
前記実施例5では、中間冷却器18からの気相分の冷媒流路と液相分の冷媒流路とが並列に設置され、共通の膨張弁6を介した冷媒がそれぞれ通されたが、本実施例8では、第一ヒートポンプ2の凝縮器5からの冷媒は、第一膨張弁6Aを介して中間冷却器18へ供給されると共に、これと並行に、第二膨張弁6Bを介して第二蒸発器8へも供給される。そして、中間冷却器18の気相部と圧縮機4とが冷媒流路で接続される。一方、第二膨張弁6Bからの冷媒は、第二蒸発器8や、所望により設置される第四サブ熱交換器17を介して圧縮機4へ供給される。その他の構成は、前記実施例5と同様のため、説明を省略する。
【0115】
次に、本実施例8の蒸気発生システム1の変形例について説明する。この際、図22と異なる点を中心に説明し、同様の構成については説明を省略する。また、対応する箇所には同一の符号を付して説明する。
【0116】
図23は、本実施例8の蒸気発生システム1の変形例1を示す概略図である。図22の蒸気発生システム1では、第二ヒートポンプ3の圧縮機9からの冷媒は、中間冷却器18へ供給されたが、本変形例では、中間冷却器18への供給に代えてまたはこれに加えて、二点鎖線Aで示すように、中間冷却器18から圧縮機4への冷媒流路に供給してもよいし、二点鎖線Bで示すように、第二膨張弁6Bから第二蒸発器8を介した圧縮機4への冷媒流路のいずれの箇所へ供給してもよい。あるいは、第二ヒートポンプ3の圧縮機9からの冷媒は、二点鎖線Cで示すように、第一ヒートポンプ2の第一膨張弁6Aからの冷媒と合流させて中間冷却器18へ供給してもよい。
【0117】
図24は、本実施例8の蒸気発生システム1の変形例2を示す概略図である。本変形例では、第二膨張弁6Bから第二蒸発器8への冷媒流路にセパレータ22を設けている。これにより、第二膨張弁6Bからの冷媒は、セパレータ22で気液分離され、その液相分が第二蒸発器8へ供給され、気相分は、二点鎖線Aで示すように第二蒸発器8から圧縮機4への冷媒流路のいずれかの箇所へ供給される。
【実施例9】
【0118】
図25は、本発明の蒸気発生システム1の実施例9を示す概略図である。本実施例9の蒸気発生システム1は、基本的には前記実施例6と同様である。そこで、以下においては、両者の異なる点を中心に説明し、対応する箇所には同一の符号を付して説明する。
【0119】
前記実施例6では、第一ヒートポンプ2では、共通の膨張弁6からの冷媒が、中間冷却器19と第二蒸発器8とに並列に通されて圧縮機4へ供給されたが、本実施例9では、第一ヒートポンプ2の凝縮器5からの冷媒は、第一膨張弁6Aを介して中間冷却器19へ供給されると共に、これと並行に、第二膨張弁6Bを介して第二蒸発器8へも供給される。なお、二点鎖線Aで示すように、第二膨張弁6Bからの冷媒は、第二ヒートポンプ3の圧縮機9からの冷媒と合流させて、中間冷却器19へ供給してもよい。その他の構成は、前記実施例6と同様のため、説明を省略する。
【0120】
次に、本実施例9の蒸気発生システム1の変形例について説明する。この際、図25と異なる点を中心に説明し、同様の構成については説明を省略する。また、対応する箇所には同一の符号を付して説明する。
【0121】
図26は、本実施例9の蒸気発生システム1の変形例1を示す概略図である。図25の蒸気発生システム1では、第二ヒートポンプ3の圧縮機9からの冷媒は、中間冷却器19へ供給されたが、本変形例では、中間冷却器19への供給に代えてまたはこれに加えて、二点鎖線Aで示すように、第一膨張弁6Aから中間冷却器19への冷媒流路に合流させてもよいし、二点鎖線Bで示すように、中間冷却器19から圧縮機4への冷媒流路に供給してもよいし、二点鎖線Cで示すように、第二膨張弁6Bから第二蒸発器8を介した圧縮機4への冷媒流路のいずれの箇所へ供給してもよい。
【0122】
図27は、本実施例9の蒸気発生システム1の変形例2を示す概略図である。本変形例では、第二膨張弁6Bから第二蒸発器8への冷媒流路に第一セパレータ22Aを設けている。これにより、第二膨張弁6Bからの冷媒は、第一セパレータ22Aで気液分離され、その液相分が第二蒸発器8へ供給され、気相分は、二点鎖線Aで示すように第二蒸発器8から圧縮機4への冷媒流路のいずれかの箇所へ供給される。また、第一膨張弁6Aから中間冷却器19への冷媒流路に、第二セパレータ22Bを設けてもよい。これにより、第一膨張弁6Aからの冷媒は、第二セパレータ22Bで気液分離され、その液相分が中間冷却器19へ供給され、気相分は、二点鎖線Bで示すように第二蒸発器8から圧縮機4への冷媒流路のいずれかの箇所へ供給される。
【0123】
図28は、第一セパレータ22Aと第二セパレータ22Bとの設置の組合せを示す図である。この図では、1が設置、0が無設置を示している。この図に示すように、両セパレータ22A,22Bを設置してもよいし、いずれか一方のセパレータのみを設置してもよいし、両方のセパレータの設置を省略してもよい。
【実施例10】
【0124】
前記各実施例では、第一ヒートポンプ2を単段で構成し、第二ヒートポンプ3も単段で構成したが、各ヒートポンプ2,3の段数は適宜に変更可能である。言い換えれば、前記各実施例では、単段の第一ヒートポンプ2と単段の第二ヒートポンプ3とを組み合わせて、蒸気発生システム1全体でみるとあたかも二段のヒートポンプで構成した例を示したが、蒸気発生システム1を構成するヒートポンプの段数は適宜に変更可能である。なお、複数段(多段)のヒートポンプには、図9のような一元多段のヒートポンプの他、図1のような複数元(多元)のヒートポンプ、あるいは両者の組合せのヒートポンプが含まれる。
【0125】
たとえば、図29Aは、第一ヒートポンプ2を上下二段で構成し、第二ヒートポンプ3を単段で構成した例を示している。言い換えれば、蒸気発生システム1を三段のヒートポンプから構成している。なお、第二ヒートポンプ3についても、従来公知の二段ヒートポンプと同様に、二段またはそれ以上の複数段で構成してもよい。
【0126】
図29Aの蒸気発生システム1では、最下段のヒートポンプ(第二ヒートポンプ3)を除き、各ヒートポンプ(各段の第一ヒートポンプ2A,2B)の蒸発器として第一蒸発器7A,7Bと第二蒸発器8A,8Bとが設置され、第一蒸発器7A,7Bで上下隣接するヒートポンプ同士を接続し、第二蒸発器8A,8Bには熱源流体が通される。この際、隣接する上下のヒートポンプ同士は、前記各実施例で説明したいずれの関係で接続してもよい。つまり、上下に隣接するヒートポンプ同士は、図示例では間接熱交換器13(13A,13B)で接続されているが、前述したような中間冷却器18,19で接続されてもよい。また、第一ヒートポンプ2を構成する各段のヒートポンプは、前記実施例1の構成に限らず、その他の実施例の構成としてもよい。そして、熱源流体は、典型的には、最上段のヒートポンプから順次下段のヒートポンプへと、それぞれの第二蒸発器8(8A,8B)を順に通される。
【0127】
蒸気発生システム1を3段以上のヒートポンプで構成する場合(言い換えれば第一ヒートポンプ2を複数段にする場合)、最下段のヒートポンプ(第二ヒートポンプ3)を除き、すべての段の第一ヒートポンプ2A,2Bにおいて、蒸発器として第一蒸発器7A,7Bと第二蒸発器8A,8Bとを設け、各第一蒸発器7A,7Bで上下隣接するヒートポンプ同士を接続し、各第二蒸発器8A,8Bには上段から下段へ向けて熱源流体が順次通されるのが好ましい。
【0128】
このように構成するのが好ましい理由は、次のとおりである。すなわち、図29Bは、第一ヒートポンプ2を単段、第二ヒートポンプ3を二段とした場合のT−S線図であり、図29Cは、第一ヒートポンプ2が二段でその各段に第一蒸発器7A,7Bと第二蒸発器8A,8Bとを設置し、第二ヒートポンプ3を単段とした場合のT−S線図である。図29Bと図29Cとを比較した場合、ハッチングを施した損失分の面積は、図29Cの方が少なくできる。よって、蒸気発生システム1は、最下段のヒートポンプ3を除き、各段のヒートポンプ2A,2Bに第二蒸発器8A,8Bを設置して、熱源流体を通すのが好ましい。
【0129】
このようにして蒸気発生システム1を3段以上のヒートポンプで構成する場合(言い換えれば第一ヒートポンプ2を複数段にする場合)において、第一サブ熱交換器14を設置しようとするときは、第一サブ熱交換器14は最上段のヒートポンプ(第一ヒートポンプ2の最上段のヒートポンプ2A)に設置すればよい。
【0130】
また、蒸気発生システム1を3段以上のヒートポンプで構成する場合において、第二サブ熱交換器15を設置しようとするときは、第二サブ熱交換器15は最下段のヒートポンプ(第二ヒートポンプ3の最下段のヒートポンプ)に設置すればよい。
【0131】
さらに、蒸気発生システム1を3段以上のヒートポンプで構成する場合において、第三サブ熱交換器16および/または第四サブ熱交換器17を設置しようとするときは、第三サブ熱交換器16および/または第四サブ熱交換器17は、各段の第一ヒートポンプ2(2A,2B)に設置できる。この場合において、最下段の第一ヒートポンプ2Bでは、第三サブ熱交換器16は、第一ヒートポンプ2の最下段の膨張弁6Bから圧縮機4Bへの冷媒と、第二ヒートポンプ3の圧縮機9から第一蒸発器7Bへの冷媒との間接熱交換器となるが、それより上段の各第一ヒートポンプ2Aでは、第三サブ熱交換器16は、その段の第一ヒートポンプ2Aの膨張弁6Aから圧縮機4Aへの冷媒と、一つ下段の第一ヒートポンプ2Bの圧縮機4Bから第一蒸発器7Aへの冷媒との間接熱交換器となる。
【0132】
図30は、前記実施例1の蒸気発生システム1を用いた蒸気システム27の一例を示す概略図である。ここでは、説明の便宜上、第一ヒートポンプ2の第二蒸発器8と、所望により設置される第四サブ熱交換器17と、第二ヒートポンプ3の蒸発器12と、所望により設置される第二サブ熱交換器15とを、熱くみ上げ用熱交換器(8,17,12,15)ということにする。また、第一ヒートポンプ2の凝縮器5と、所望により設置される第一サブ熱交換器14とを、蒸気発生用熱交換器(5,14)ということにする。
【0133】
蒸気システム27は、蒸気発生システム1とボイラ28とを備える。
蒸気発生システム1は、実施例1の構成を用いているが、前述したその他の実施例の構成のものを用いてもよい。いずれにしても、蒸気発生システム1は、熱くみ上げ用熱交換器(8,17,12,15)においてドレンの熱をくみ上げて、蒸気発生用熱交換器(5,14)において水を加熱して蒸気を発生させる。そのために、熱くみ上げ用熱交換器(8,17,12,15)には、蒸気使用設備29からのドレンが通される。熱くみ上げ用熱交換器(8,17,12,15)としての各蒸発器8,12や各サブ熱交換器17,15へのドレンの通し方は、図2に基づき説明したとおりである。
【0134】
一方、蒸気発生用熱交換器(5,14)には、給水ポンプ30により水が供給可能とされ、蒸気発生用熱交換器(5,14)には所望量の水が貯留される。具体的には、純水または軟水、あるいはこれに代えてまたはこれに混ぜられて、蒸気使用設備29からのドレンが、給水ポンプ30、給水弁31、逆止弁32を介して、蒸気発生用熱交換器(5,14)に供給される。蒸気発生用熱交換器(5,14)としての凝縮器5や第一サブ熱交換器14への水や蒸気の通し方も、前記各実施例で説明したとおりである。
【0135】
ボイラ28は、典型的には燃料焚きボイラまたは電気ボイラである。燃料焚きボイラは、燃料の燃焼により水を蒸気化する装置であり、蒸気圧を所望に維持するように、燃焼の有無や量が調整される。また、電気ボイラは、電気ヒータにより水を蒸気化する装置であり、蒸気圧を所望に維持するように、電気ヒータへの給電の有無や量が調整される。ボイラ28には、給水ポンプ33と逆止弁34とを介して水が供給可能とされ、ボイラ28の缶体内の水位は所望に維持される。
【0136】
蒸気発生用熱交換器(5,14)からの蒸気路35と、ボイラ28からの蒸気路36とは、合流するよう構成される。この合流は、蒸気ヘッダを用いて行うこともできる。また、蒸気発生用熱交換器(5,14)からの蒸気路35には、合流部よりも上流側に、逆止弁37が設けられる。これにより、蒸気発生システム1が停止中、ボイラ28からの蒸気が蒸気発生用熱交換器(5,14)へ逆流するのが防止される。
【0137】
さらに、ボイラ28からの蒸気路36には、合流部よりも上流側に、ボイラ蒸気供給弁38が設けられる。ボイラ蒸気供給弁38は、図示例では自力式の減圧弁(二次圧力調整弁)とされる。なお、ボイラ蒸気供給弁38より上流側は、下流側よりもボイラ28により高圧に維持される。
【0138】
蒸気発生システム(5,14)やボイラ28からの蒸気は、一または複数の蒸気使用設備29へ送られる。蒸気使用設備29のドレンは、第一蒸気トラップ39を介して、中空容器状のセパレータタンク40へ排出される。セパレータタンク40には、上部に第一流路41が接続され、下部に第二流路42が接続される。
【0139】
第一流路41には、セパレータタンク40の側から順に、熱くみ上げ用熱交換器(8,17,12,15)と第二蒸気トラップ43とが設けられる。このような構成であるから、蒸気使用設備29のドレンは、第一蒸気トラップ39により低圧下に排出された後、熱くみ上げ用熱交換器(8,17,12,15)を通過後に、第二蒸気トラップ43によりさらに低圧下(典型的には大気圧下)に排出される。つまり、蒸気使用設備29のドレンは、第一蒸気トラップ39を介して排出されることにより、フラッシュ蒸気およびその凝縮水となり、熱くみ上げ用熱交換器(8,17,12,15)に通されて冷却(過冷却を含む)された後、第二蒸気トラップ43から排出される。このような構成の場合、熱くみ上げ用熱交換器(8,17,12,15)において冷媒に熱を与える流体は、大気圧を超える圧力で、100℃を超える温度に維持できる。なお、第二蒸気トラップ43からの排水は、そのまま捨ててもよいし、ボイラ28および/または蒸気発生用熱交換器(5,14)への給水タンク44へ供給してもよいし、このような給水タンク44を介さずに蒸気発生用熱交換器(5,14)への給水として用いてもよい。
【0140】
一方、第二流路42には、排出弁45が設けられる。排出弁45は、図示例では自力式の減圧弁(一次圧力調整弁)とされる。このような構成であるから、蒸気使用設備29のドレンは、第一蒸気トラップ39により低圧下に排出された後、排出弁45によりさらに低圧下(典型的には大気圧下)に排出可能とされる。そして、排出弁45からの流体は、そのまま捨ててもよいし、ボイラ28および/または蒸気発生用熱交換器(5,14)への給水タンク44へ供給してもよいし、このような給水タンク44を介さずに蒸気発生用熱交換器(5,14)への給水として用いてもよい。
【0141】
さらに、緊急時や停電時のために、第一流路41には、セパレータタンク40と熱くみ上げ用熱交換器(8,17,12,15)との間に、ノーマルクローズド型の電磁弁46を設ける一方、第二流路42には、排出弁45と並行に、ノーマルオープン型の電磁弁47を設けるのが好ましい。この場合、通常時には、第一流路41の電磁弁46は開かれた状態に維持され、第二流路42の電磁弁47は閉じられた状態に維持される。そして、緊急時や停電時には、第一流路41の電磁弁46が閉じられ、第二流路42の電磁弁47が開かれるので、蒸気使用設備29からのドレンは、熱くみ上げ用熱交換器(8,17,12,15)を介さずに排出される。
【0142】
蒸気発生用熱交換器(5,14)へは、純水もしくは軟水、蒸気使用設備29からのドレン、またはこのようなドレンと純水もしくは軟水との混合水が供給される。そのための給水系統は特に問わないが、たとえば、以下の構成とすることができる。なお、蒸気使用設備29からのドレンは、液体のみの状態の他、気液二相の状態(大気圧を超える状態のドレンをそれより低圧下に放出した場合に生じるフラッシュ蒸気とその凝縮水)であってもよい。
(A)二点鎖線Aで示すように、セパレータタンク40で分離された液体からなるドレンを、排出弁45より上流側から、給水ポンプ30の入口側へ供給する。
(B)二点鎖線Bで示すように、熱くみ上げ用熱交換器(8,17,12,15)を通過後のドレンを、第二蒸気トラップ43より上流側から、給水ポンプ30の入口側へ供給する。なお、熱くみ上げ用熱交換器(8,17,12,15)は複数の熱交換器から構成されるが、二点鎖線B´で示すように、一部の熱交換器を通過後にドレンを分岐させて、給水ポンプ30の入口側へ供給してもよい。
(C)二点鎖線Cで示すように、熱くみ上げ用熱交換器(8,17,12,15)を通過後のドレンを、第二蒸気トラップ43より下流側から、給水ポンプ30の入口側へ供給する。
(D)図30下部の破線領域に示すように、第二蒸気トラップ43からのドレン、および/または、排出弁45からのドレンなどを、一旦、給水タンク44に溜め、この給水タンク44内の水を、給水ポンプ30の入口側へ供給する。給水タンク44には、蒸気使用設備29からのドレンの他、純水または軟水が適宜供給されてもよい。
(E)前記A〜Dのいずれか二以上の組合せでもよい。この場合、二以上の給水路が合流して蒸気発生用熱交換器(5,14)へ給水されるが、各給水路内の圧力が異なる場合には、各給水路が合流した後に給水ポンプ30を設けるのではなく、合流部より手前において各給水路に給水ポンプを設ければよい。
【0143】
蒸気発生用熱交換器(5,14)からの蒸気とボイラ28からの蒸気との合流蒸気の圧力を検出可能な位置には、圧力センサからなる第一センサ48が設けられる。また、熱くみ上げ用熱交換器(8,17,12,15)を通過する流体の圧力または温度を検出可能に、圧力センサまたは温度センサからなる第二センサ49が設けられる。そして、蒸気発生システム1は、第一センサ48と第二センサ49との一方または双方の検出値に基づき制御される。
【0144】
たとえば、第一センサ48の検出圧力に基づき、最上段のヒートポンプの圧縮機(第一ヒートポンプの圧縮機4)を制御すると共に、それより下段の各ヒートポンプの圧縮機(第二ヒートポンプ3の圧縮機9)は、その段の凝縮器10または一つ上段の蒸発器7,8の冷媒の圧力に基づき制御すればよい。
【0145】
あるいは、第二センサ49の検出圧力または検出温度に基づき、最下段のヒートポンプの圧縮機(第二ヒートポンプ3の圧縮機9)を制御すると共に、それより上段の各ヒートポンプの圧縮機(第一ヒートポンプ2の圧縮機4)は、その段の蒸発器7,8または一つ下段の凝縮器10の冷媒の圧力または温度に基づき制御すればよい。
【0146】
図31は、図30の蒸気システム27の変形例を示す概略図である。図31の蒸気システム27も、基本的には図30と同様である。そこで、以下においては、両者の異なる点を中心に説明し、対応する箇所には同一の符号を付して説明する。
【0147】
本変形例では、蒸気使用設備29のドレンは、一旦、ドレン貯留部としてのバッファタンク50に溜められる。そして、バッファタンク50のドレンは、第一流路41により熱くみ上げ用熱交換器(8,17,12,15)へ供給可能とされると共に、第三流路51により熱くみ上げ用熱交換器(8,17,12,15)を介することなく排出可能とされる。
【0148】
具体的には、バッファタンク50には、下部に第一流路41が接続され、それより上部に第三流路51が接続される。第一流路41には、バッファタンク50の側から順に、導入弁52、熱くみ上げ用熱交換器(8,17,12,15)および第二蒸気トラップ43が設けられる。導入弁52は、本変形例では自力式の減圧弁(二次圧力調整弁)とされる。
【0149】
このような構成であるから、蒸気使用設備29のドレンは、導入弁52により低圧下に排出された後、熱くみ上げ用熱交換器(8,17,12,15)を通過後に、第二蒸気トラップ43によりさらに低圧下(典型的には大気圧下)に排出される。そして、第二蒸気トラップ43からの排水は、そのまま捨ててもよいし、ボイラ28および/または蒸気発生用熱交換器(5,14)への給水タンク44へ供給してもよいし、このような給水タンク44を介さずに蒸気発生用熱交換器(5,14)への給水として用いてもよい。
【0150】
一方、第三流路51には、第三蒸気トラップ53が設けられる。バッファタンク50に対して第三流路51は第一流路41よりも上方に接続されているので、バッファタンク50からオーバーフローするドレンが第三流路51から排出される。そして、その排水は、第三蒸気トラップ53を介して排出される。そして、第三蒸気トラップ53からの排水は、そのまま捨ててもよいし、ボイラ28および/または蒸気発生用熱交換器(5,14)への給水タンク44へ供給してもよいし、このような給水タンク44を介さずに蒸気発生用熱交換器(5,14)への給水として用いてもよい。
【0151】
さらに、緊急時や停電時のために、第一流路41には、導入弁52とバッファタンク50との間に、ノーマルクローズド型の電磁弁46を設けるのが好ましい。この場合、通常時には、第一流路41の電磁弁46は開かれた状態に維持される。そして、緊急時や停電時には、第一流路41の電磁弁46が閉じられるので、蒸気使用設備29のドレンは、第三流路51により熱くみ上げ用熱交換器(8,17,12,15)を介さずに排出される。
【0152】
本変形例の場合も、蒸気発生用熱交換器(5,14)へは、純水もしくは軟水、蒸気使用設備からのドレン、またはこのようなドレンと純水もしくは軟水との混合水が供給される。そのための給水系統は特に問わないが、たとえば、図30の場合と同様に、以下の構成とすることができる。
(A)二点鎖線Aで示すように、バッファタンク50からのドレンを、導入弁52より上流側(電磁弁46を設ける場合は、それより上流側または下流側のいずれでもよい。)から、給水ポンプ30の入口側へ供給する。
(B)二点鎖線Bで示すように、熱くみ上げ用熱交換器(8,17,12,15)を通過後のドレンを、第二蒸気トラップ43より上流側から、給水ポンプ30の入口側へ供給する。なお、熱くみ上げ用熱交換器(8,17,12,15)は複数の熱交換器から構成されるが、二点鎖線B´で示すように、一部の熱交換器を通過後にドレンを分岐させて、給水ポンプ30の入口側へ供給してもよい。
(C)二点鎖線Cで示すように、熱くみ上げ用熱交換器(8,17,12,15)を通過後のドレンを、第二蒸気トラップ43より下流側から、給水ポンプ30の入口側へ供給する。
(D)図31下部の破線領域に示すように、第二蒸気トラップ43からのドレン、および/または、第三蒸気トラップ53からのドレンなどを、一旦、給水タンク44に溜め、この給水タンク44内の水を、給水ポンプ30の入口側へ供給する。給水タンク44には、蒸気使用設備29からのドレンの他、純水または軟水が適宜供給されてもよい。なお、給水タンク44は、図30の場合もであるが、上方へ開口せず大気圧を超える圧力でドレンを貯留可能としてもよい。
(E)前記A〜Dのいずれか二以上の組合せでもよい。この場合、二以上の給水路が合流して蒸気発生用熱交換器(8,17,12,15)へ給水されるが、各給水路内の圧力が異なる場合には、各給水路が合流した後に給水ポンプ30を設けるのではなく、合流部より手前において各給水路に給水ポンプを設ければよい。
【0153】
本発明の蒸気発生システム1は、前記各実施例の構成に限らず、適宜変更可能である。たとえば、蒸気発生システム1の適用例として、図30および図31に示す蒸気システム27を用いたが、これ以外のシステムにも適用可能なことは言うまでもない。また、蒸気発生システム1の熱源として、蒸気使用設備29からのドレンを用いた例を説明したが、ドレンに限らず、たとえば、ボイラなどからの排ガス、その排ガスの冷却水として用いた水、工場などから排出される排温水、圧縮機の冷却水として用いた水、エンジン(圧縮機などの駆動装置)のオイルクーラにおいて冷却水として用いた水、エンジンのジャケットの冷却水として用いた水などを用いてもよい。
【0154】
さらに、蒸気発生システム1は、熱源流体の温度を下げながら、その熱で蒸気を発生させる場合に限らない。たとえば、蒸気使用設備29からの排蒸気を熱源流体として用いてもよい。その場合、たとえば図1において、第一ヒートポンプ2の第四サブ熱交換器17および第二蒸発器8には排蒸気が通され、この第二蒸発器8を通過後に蒸気トラップ、オリフィスまたは減圧弁により減圧され、第二ヒートポンプ3の第二サブ熱交換器15および蒸発器12に通されてもよい。排蒸気の流路には、第二ヒートポンプ3の蒸発器12の出口側にも蒸気トラップなどを設けてもよいし、設けなくてもよい。つまり、第二ヒートポンプ3の蒸発器12を通過する蒸気は、大気圧を超える状態としてもよいし、大気圧としてもよい。なお、第四サブ熱交換器17および第二サブ熱交換器15の一方または双方は省略可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0155】
1 蒸気発生システム
2 第一ヒートポンプ
3 第二ヒートポンプ
4 (第一ヒートポンプの)圧縮機
5 (第一ヒートポンプの)凝縮器
6 (第一ヒートポンプの)膨張弁
7 (第一ヒートポンプの)第一蒸発器
8 (第一ヒートポンプの)第二蒸発器
9 (第二ヒートポンプの)圧縮機
10 (第二ヒートポンプの)凝縮器
11 (第二ヒートポンプの)膨張弁
12 (第二ヒートポンプの)蒸発器
13 間接熱交換器
14 第一サブ熱交換器
15 第二サブ熱交換器
16 第三サブ熱交換器
17 第四サブ熱交換器
18 中間冷却器
19 中間冷却器
22 セパレータ
27 蒸気システム
29 蒸気使用設備

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単段または複数段で構成され、少なくとも最下段に第一蒸発器と第二蒸発器とを有する第一ヒートポンプと、
単段または複数段で構成され、前記最下段の第一蒸発器を兼ねる最上段の凝縮器を介して前記第一ヒートポンプと接続される第二ヒートポンプとを備え、
前記第一ヒートポンプの第二蒸発器と、前記第二ヒートポンプの最下段の蒸発器とに、熱源流体が順に通され、
前記第一ヒートポンプの最上段の凝縮器において、水を加熱して蒸気を発生させる
ことを特徴とする蒸気発生システム。
【請求項2】
前記第二ヒートポンプは、単段のヒートポンプから構成され、
前記第一ヒートポンプの第二蒸発器と、前記第二ヒートポンプの最下段の蒸発器とに順に通される熱源流体から熱をくみ上げ、
前記第一ヒートポンプの最上段の凝縮器において、水を加熱して蒸気を発生させる
ことを特徴とする請求項1に記載の蒸気発生システム。
【請求項3】
前記第一ヒートポンプは、複数段のヒートポンプから構成され、その内の一部または全部のヒートポンプは、蒸発器として前記第一蒸発器と前記第二蒸発器とを備え、
前記各第一蒸発器は、隣接する上下のヒートポンプ同士を接続し、
熱源流体は、上段のヒートポンプから順次下段のヒートポンプへと、前記各第二蒸発器を順に通される
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の蒸気発生システム。
【請求項4】
前記第一ヒートポンプを構成する各段のヒートポンプは、蒸発器として前記第一蒸発器と前記第二蒸発器とを備える
ことを特徴とする請求項3に記載の蒸気発生システム。
【請求項5】
前記第一ヒートポンプを構成する単段または複数段のヒートポンプの内、前記第一蒸発器と前記第二蒸発器とを有する段のヒートポンプは、その膨張弁から圧縮機への冷媒流路に、前記第一蒸発器と前記第二蒸発器とが直列または並列に設置されるか、凝縮器から圧縮機への冷媒流路に、第一膨張弁および前記第一蒸発器と、第二膨張弁および前記第二蒸発器とが並列に設置される
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の蒸気発生システム。
【請求項6】
前記第一ヒートポンプと前記第二ヒートポンプとは、次の(a)〜(c)のいずれかの関係で接続される
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の蒸気発生システム。
(a)前記第二ヒートポンプの圧縮機からの冷媒と前記第一ヒートポンプの膨張弁からの冷媒とを受けて、両冷媒を混ぜることなく熱交換する間接熱交換器を備え、この間接熱交換器が前記第二ヒートポンプの凝縮器であると共に前記第一ヒートポンプの第一蒸発器である。
(b)前記第二ヒートポンプの圧縮機からの冷媒と前記第一ヒートポンプの膨張弁からの冷媒とを受けて、両冷媒を直接に接触させて熱交換する中間冷却器を備え、この中間冷却器が前記第二ヒートポンプの凝縮器であると共に前記第一ヒートポンプの第一蒸発器である。
(c)前記第二ヒートポンプの圧縮機からの冷媒と前記第一ヒートポンプの膨張弁からの冷媒とを受けて、両冷媒を直接に接触させて熱交換すると共に、この両冷媒と前記第一ヒートポンプの凝縮器から膨張弁を介することなく前記第二ヒートポンプの膨張弁へ供給される冷媒とを混ぜることなく熱交換する中間冷却器を備え、この中間冷却器が前記第二ヒートポンプの凝縮器であると共に前記第一ヒートポンプの第一蒸発器である。
【請求項7】
前記第一ヒートポンプおよび/または前記第二ヒートポンプは、複数段の場合、隣接する段のヒートポンプ同士が次の(a)〜(c)のいずれかの関係で接続される
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の蒸気発生システム。
(a)下段ヒートポンプの圧縮機からの冷媒と上段ヒートポンプの膨張弁からの冷媒とを受けて、両冷媒を混ぜることなく熱交換する間接熱交換器を備え、この間接熱交換器が下段ヒートポンプの凝縮器であると共に上段ヒートポンプの蒸発器である。
(b)下段ヒートポンプの圧縮機からの冷媒と上段ヒートポンプの膨張弁からの冷媒とを受けて、両冷媒を直接に接触させて熱交換する中間冷却器を備え、この中間冷却器が下段ヒートポンプの凝縮器であると共に上段ヒートポンプの蒸発器である。
(c)下段ヒートポンプの圧縮機からの冷媒と上段ヒートポンプの膨張弁からの冷媒とを受けて、両冷媒を直接に接触させて熱交換すると共に、この両冷媒と上段ヒートポンプの凝縮器から膨張弁を介することなく下段ヒートポンプの膨張弁へ供給される冷媒とを混ぜることなく熱交換する中間冷却器を備え、この中間冷却器が下段ヒートポンプの凝縮器であると共に上段ヒートポンプの蒸発器である。
【請求項8】
前記第一ヒートポンプと前記第二ヒートポンプとが、請求項6の(b)の関係で接続される場合、前記第二ヒートポンプの圧縮機からの冷媒は、前記中間冷却器へ供給するのに代えてまたはそれに加えて、前記中間冷却器から圧縮機への冷媒流路へ供給する
ことを特徴とする請求項6に記載の蒸気発生システム。
【請求項9】
前記第一ヒートポンプと前記第二ヒートポンプとが、請求項6の(c)の関係で接続される場合、前記第二ヒートポンプの圧縮機からの冷媒は、前記中間冷却器へ供給するのに代えてまたはそれに加えて、前記第一ヒートポンプの中間冷却器から圧縮機への冷媒流路、または、膨張弁から中間冷却器もしくは圧縮機への冷媒流路へ供給する
ことを特徴とする請求項6に記載の蒸気発生システム。
【請求項10】
前記第一ヒートポンプと前記第二ヒートポンプとが、請求項6の(c)の関係で接続される場合、前記第一ヒートポンプの膨張弁からの冷媒を気液分離するセパレータを備え、
このセパレータで分離された気相分を前記第二蒸発器から圧縮機までの冷媒流路へ供給する
ことを特徴とする請求項6に記載の蒸気発生システム。
【請求項11】
次の(a)〜(d)の内、いずれか一以上のサブ熱交換器を備え、
前記第一ヒートポンプの最上段の凝縮器と、第一サブ熱交換器が設置される場合にはその第一サブ熱交換器とへの水や蒸気の流通順序について、前記第一サブ熱交換器が設置される場合にはこの第一サブ熱交換器が先になるように設定され、
前記第一ヒートポンプの第二蒸発器と、第四サブ熱交換器が設置される場合にはその第四サブ熱交換器と、前記第二ヒートポンプの最下段の蒸発器と、第二サブ熱交換器が設置される場合にはその第二サブ熱交換器とへの熱源流体の流通順序について、前記第二ヒートポンプの最下段の蒸発器が後になるように設定され、
前記第一ヒートポンプの第一蒸発器と、第三サブ熱交換器が設置される場合にはその第三サブ熱交換器と、前記第一ヒートポンプの第二蒸発器と、第四サブ熱交換器が設置される場合にはその第四サブ熱交換器とへの冷媒の流通順序について、前記第一蒸発器および前記第二蒸発器を、前記第三サブ熱交換器および前記第四サブ熱交換器よりも先になるように設定される
ことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の蒸気発生システム。
(a)前記第一ヒートポンプの最上段の凝縮器から膨張弁への冷媒と水との第一サブ熱交換器。
(b)前記第二ヒートポンプの最下段の蒸発器から圧縮機への冷媒と熱源流体との第二サブ熱交換器。
(c)前記第一蒸発器が間接熱交換器である場合において、前記第一ヒートポンプの最下段の膨張弁から圧縮機への冷媒と、前記第二ヒートポンプの圧縮機から第一蒸発器への冷媒との第三サブ熱交換器。
(d)前記第一ヒートポンプの最下段の膨張弁から圧縮機への冷媒と熱源流体との第四サブ熱交換器。
【請求項12】
前記熱源流体は、蒸気使用設備からのドレンとされる
ことを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の蒸気発生システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29A】
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【図29B】
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【図29C】
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【図30】
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【図31】
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