説明

蒸発した液体を発生するための方法及び装置

【課題】蒸発した液体が発生している間における制御と測定の機能を組み込んだ装置を提供する。
【解決手段】蒸発液体発生器220は、第1の開放端部225へ流体又は蒸気を導くことを可能とする流路又は通路223を規定する部材221と、部材221に電圧を印加するための電源装置229と、を含む。その結果、部材中の電流は、流路223で液体材料を蒸発させるのに十分な温度まで通路を加熱し、蒸発した材料が流路223の開放端部225から外に広がって、必要ならば、エアゾールを形成するために外気と混合する。液体は、ポンプ235その他の適切な機構によって、材料の供給源から供給されうる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には実験室の試験のための液体の蒸発によって、エアゾール(aerosols)及び蒸気を発生するフレキシブルプラットホーム(flexible platform)並びに蒸発された液体に対するアプリケーションの開発に関する。
【背景技術】
【0002】
本願に参照により組み込まれる米国特許第5,743,251号は、第1の開放端部(open end)を有するチューブを含むエアゾール発生器を開示している。このエアゾール発生器は、蒸発した材料がチューブの開放端部(open end)から外に広がって、外気と混合してエアゾールを形成するように、チューブ内の材料を液体の形で蒸発させるのに十分な温度までチューブを加熱するためのヒータを更に含む。
【0003】
米国特許第5,743,251号に係るエアゾール発生器21は、図1を参照して概略的に示される。エアゾール発生器21は、開放端部25を有するチューブ23を含む。ヒータ27は、少なくともチューブ23の一部に隣接して配置されているが、加熱された領域(heated zone)全体に均一に熱伝導を最大にする加熱領域をチューブの周囲に設ける方法が好適である。
【0004】
動作中は、液体の形で材料(不図示)がチューブ23に導入される。ヒータ27は、チューブ23の一部を液体材料が蒸発するのに十分な温度まで加熱する。有機液体材料(organic liquid material)の場合では、ヒータは、液体材料の丁度沸点まで液体材料を加熱することが望ましく、チューブ23の表面温度を400℃以下に保つのが望ましい。大部分の有機材料は、ある期間の間その温度以上の温度に晒されると、安定ではないである。蒸発した材料は、チューブ23の開放端部25から外に広がる。蒸発した材料は、チューブの外側で外気と混合し、凝結して(condensed)粒子を形成し、それによってエアゾールを形成する。
【0005】
チューブ23は、0.05〜0.53ミリメートルの内径を有する毛細管(capillary tube)又はその部分であり、チューブの内径は約0.1ミリメートルとなりうる。チューブ23は、繰り返された熱サイクルや発生した圧力に耐え、適切な熱伝導特性を持つことができる、融解石英毛細管カラム(fused silica capillary column)、ケイ酸アルミニウムセラミックチューブ(aluminum silicate ceramic tube)、又はその他の実質的に非反応性材料(non-reactive materials)となりうる。必要に応じて、チューブ23の内壁は、チューブ壁に材料が付着しないようにコーティングが施されてもよい。このような付着材料は、結果として目詰まり(clogging)となりうる。
【0006】
チューブ23は、第2の端部31(second end)で閉じられてもよいし、エアゾールを形成したい場合には、開放端部25を通してチューブ23に液体状の物質が導入されてもよい。したがって、ヒータ27によって液体材料が加熱されると、蒸発した材料が広がるには、開放端部25を通してチューブ23を出るしかない。しかしながら、チューブの第2の端部31は、液体材料の供給源33(図1に点線で示される)に接続される。ヒータ27によって蒸発された、チューブ23の一部の中の液体材料は、液体材料の供給源33からの液体の背圧(back pressure)を受けて、チューブの第2の端部31の方向に広がらないようにされており、チューブの開放端部25から強制的に外に出される。液体の背圧は、約20〜30psiである。
【0007】
上述のエアゾール発生器に対し、様々な利用が展開されるだろうと考えられる。そのような利用を検討するためには、評価用の蒸気及びエアゾールを発生することができる装置を持つことが望ましい。
【発明の開示】
【0008】
本発明の概要
本発明は、液体材料を蒸発させることによって、様々なアプリケーションに対する蒸発した液体の治験使用(investigational use)を容易にするためのプログラマブルな装置を提供する。
【0009】
液体の材料は流路に供給され、材料が流路から外に広がるように、液体材料が材料を蒸発するのに十分な温度まで加熱される。これによって、蒸発した材料の蒸気をもたらし、必要があれば、エアゾールを形成するために空気と混合して凝縮する。プログラマブルコントローラは、流路への液体材料の供給を制御する、及び/又は、液体を蒸発させるためのヒータ機構の加熱を制御するために用いられる。
【0010】
一実施形態は、電気を伝導することができる金属管によって規定される流路を用いて、エアゾールを発生するための装置及び方法に照準をあわせたものである。このチューブは、第1の開放端部と、金属管の一部分(section)を備えるヒータにパワーを供給するための電源装置とを有する。その結果、このチューブは、流路内の液体材料を蒸発させるのに十分な温度まで温度まで熱くなる。蒸発した材料は、流路の開放端部から外に広がって、エアゾールを形成するために外気と混合しうる。
【0011】
他の実施形態は、第1の開放端部と、蒸発した材料が流路の開放端部から外に広がるように液体の材料を蒸発させるのに十分な温度まで流路を加熱するヒータと、有する流路を備える、蒸発した液体を発生するための装置と方法に照準をあわせたものである。蒸発した材料は、エアゾールを形成するために外気と混合しうる。コントローラは、流路の温度を維持し、材料の流れを調節するように動作可能である。コントローラは、手入力された(manually entered)、装置の動作パラメータに関連するコマンド又はプログラムを受け付けることができる。さらに、コントローラは、エアゾール及び/又は先行蒸気(precursor vapor)の発生に関連した、異なるパラメータに対してプログラムされるように構成されているため、コントローラは開発試験に使用することができる。
【0012】
更なる実施形態は、第1の開放端部と、蒸発した材料が開放端部から外に広がってエアゾールを形成するために外気と混合しうるように、流路内の液体の材料を蒸発させるのに十分な温度まで流路を加熱するための複数のヒータと、を含む蒸発した液体を発生するための装置及び方法に照準をあわせたものである。
【0013】
エアゾールと蒸気を発生するための方法であって、ヒータによって加熱される流路内で液体材料を蒸発させるのに十分な温度に対応する、ヒータ機構(例えば、抵抗ヒータ)の目標パラメータ(例えば、抵抗)を設定する工程と、液体材料を前記流路に供給する工程と、周期的に前記ヒータの前記パラメータを決定する工程と、前記パラメータを前記目標パラメータと比較する工程と、前記パラメータが前記目標パラメータよりも小さい場合に前記ヒータにエネルギを与える工程と、を含む。他の実施形態では、前記方法は、一続き又は一範囲(a series or range of)のヒータ抵抗値の等の目標パラメータ(例えば、複数又は可変の目標パラメータ)を設定する工程を含む。
【0014】
他の実施形態は、蒸発した材料の発生のための装置に照準をあわせたものである。この装置は、開放端部を有する少なくとも1つの流路と、液体材料を前記流路に供給するように動作可能な液体供給部と、前記蒸発した材料が前記流路の前記開放端部から外に広がって、前期蒸発した材料がエアゾールを形成するために随意的に外気と混合するように前記流路内の液体の材料を蒸発させるのに十分な温度まで前記流路を加熱するように構成された少なくとも1つのヒータと、前記流路の前記開放端部と流体的に伝達(fluid communication)する第1の流路と、前記流路の前記開放端部と流体的に伝達する第2の流路であって、前記第1の動力伝達路と異なる第2の流路と、前記流路の前記開放端部と流体的に伝達する第1のバルブと、前記蒸発した材料又はエーロゾルが、(i)前記ヒータが不適合な条件にある場合には、前記第1の流路を通って流れ、(ii)前記ヒータが適合な条件にある場合には、前記第2の流路を通って流れるように、前記ヒータの状態をモニタし前記第1のバルブの動作を制御するように動作可能なコントローラと、を備える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の特徴及び利点は、添付の図面と関連した以下の詳細な説明を読み取ることにより適切に理解される。本発明は、蒸発した液体が発生している間における制御と測定の機能を組み込んだ装置を提供する。この蒸発した液体は、エアゾールを形成するために外気中で凝縮されうる。本装置は、医学的、農業的、産業的及び科学的な目的で使用されうる。本装置は、ヒータ機構を組み込む。このヒータ機構は、液体材料を蒸発させるために用いられる。本装置は、様々な制御方式の下で、ヒータ機構に正確なエネルギを印加することを可能とし、それによって固体と液体のエアゾールを発生する。エアゾールは、単一の流路又は複数の流路機構から生成されうる。
【0016】
エアゾールは、多種多様なアプリケーションで有用である。例えば、患者の肺に吸入される液体及び/又は固体(例えば、粉、薬物等)の、細かく分割された粒子のエアゾールスプレーを用いて呼吸器疾患を治療したり、或いは、これらを用いて薬物を供給したりすることが望ましい。エアゾールはまた、所望の香りを部屋に提供したり、皮膚の上に香りを付けたり、塗料や潤滑剤を供給したりする等の目的に使用される。エアゾールはまた、高性能エンジンやタービン用の燃料供給システムも対象として考慮される。これらの高性能エンジンやタービンでは、小さな粒子サイズが点火速度、燃焼効率及び火炎速度に影響を及ぼす。燃焼領域でのエアゾールの発生は、最初はエアゾール形成の原因となるが、点火後は燃焼で経験した温度によって蒸気だけを発生することに成り得る。
【0017】
エアゾール及び先行蒸気(precursor vapor)はまた、ナノ粒子及び他の粉を作り出すアプリケーションがある。液体金属の蒸発は、正確かつ費用効率の高い方法で、マイクロボールベアリング(micro ball bearings)、フォームメタル(foam metal)及びメタルメッキ(metal plating)を作り出す可能性をもたらす。エアゾールと先行蒸気の使用はまた、潤滑剤の分野でのアプリケーションがありうる。この分野では、潤滑剤粒子の凝縮(concentration)の導入によって、潤滑剤の排出を容易にすることができる。
【0018】
そのようなアプリケーションの開発は、現時点では利用可能ではないが、多種多様のユーザ制御要素、プログラマブル関数及び記録システムを用いて、エアゾール先行蒸気を作り出すことができる汎用のプラットホームを用いて調査されうる。本装置は、このような調査目的に対して用いられてもよいし、エアゾール又は1つ以上の材料の蒸発の結果として若しくはこれに関連して形成される製品の商業生産に対して用いられてもよい。
【0019】
本装置は、上述のプログラマブルな蒸気発生器を組み込む。本装置の実施形態は、所望の目的を実現するように設計された、様々な電子ハードウェア及びソフトウェアを組み込むことができる。例えば、本装置は、100ミリ秒又はそれ以下のオンタイムスケール(on time scales)で、蒸気を発生するために与えられるエネルギを制御及び測定するために使用されうる。本装置は、様々な制御方法によって、そして多種多様の蒸気発生器設計を用いて、蒸気の発生を制御するようにプログラムされうる。制御方法の中には:一定及び可変の電力プロファイル、一定及び可変のエネルギープロファイル、一定及び可変のヒータ抵抗(温度)プロファイル、一定及び可変の流体の流れプロファイル、一定及び可変の流体圧力プロファイル、蒸気発生器への流体バルブ制御、高温流体の熱伝達制御、能動的エネルギ制御(active energy control)、誘導加熱(inductive heating)、異なるヒータ設計(different heater designs)、複数領域のヒータ(multiple zone heaters)、複数のヒータ等が含まれる。更なる制御方法は、1つ以上の所定の関数及び/又は方程式を用いて、長時間にわたって抵抗パラメータを変化させることによる等の、可変の、ステップ状のヒータ抵抗プロファイル(heater resistance profiles)を含んでもよい。使用可能な他の制御方法には、一定及び可変のデューティサイクル(duty cycle)プロファイルが含まれる。本装置は、肺へ薬物を供給するためのエアゾール特性、室内実験(laboratory experiments)のためのエアゾール特性、吸引研究(inhalation studies)のためのエアゾール特性、殺虫剤用途のためのエアゾール特性、燃焼アプリケーションで用いられる蒸気特性、等に対して使用することができると考えられる。しかしながら、本装置は、必要ならば製品の商業生産に使用することができる。
【0020】
液体は、様々な技術によって、ヒータ機構に供給されうる。例えば、ヒータ機構に液体を供給するためにシリンジポンプが使用されうる。その場合、所定時間の間、一定速度で液体が供給されうる。しかしながら、必要ならば、シリンジポンプは、液体を可変速度でヒータ機構に供給するために使用されうる。プログラムされたコントローラは、所望の量の液体をヒータ機構に供給するために、シリンジポンプを操作するための命令を実行することができる。別の可能性は、液体ポンプの使用である。この液体ポンプは、格納容器から液体を回収して一定速度で液体をヒータ機構に供給する。しかしながら、必要ならば、液体ポンプは、可変速度で液体をヒータ機構に供給してもよい。そのような機構を用いて、コントローラの指示に従って、ポンプは液体を連続的に循環し、バルブは液体をヒータ機構に分流させる(divert)ために用いられる。更なる可能性は、加圧された流体機構の使用である。この加圧された流体機構では、コントローラの指示に従って、加圧された液体をヒータ機構に供給するためにバルブが用いられる。
【0021】
ヒータ機構は、取替え可能なユニットとして設計されうる。例えば、本装置は、交換可能なヒータ機構を収容するように設計されうる。この交換可能なヒータ機構では、流路のサイズがその長さ及び/又は幅を基準として変化しうる。同様に、流路で液体を蒸発させるために使用されるヒータは、単一のヒータ又は複数のヒータ機構等の様々な形態を取ることができる。
【0022】
好適には、流路は、0.01〜10mm、好適には0.05〜1mm、より好適には約0.1〜0.5mmの横断寸法を持つ毛細管サイズの流路である。一方、毛細管通路は、通路の横断面積によって規定されうる。この通路の横断面積は、8x10-5〜80mm2、好適には2x10-3〜8 x10-1mm2、より好適には8x10-3〜2x10-1mm2となりうる、一例として、ヒータ機構は、チューブを通る直流電流の通路に対し、それに取り付けられた導線を有するステンレス鋼チューブを備えてもよい。ステンレス鋼チューブは、所望の直径を有することができる。吸入用薬物を含むエアゾール化された流体の挙動(behavior)を調査するために、チューブは、様々な皮下注射針ゲージ(hypodermic needle gauges)を備えることができる。32ゲージ針は、0.11mm(0.004インチ)の内径を有し、26ゲージ針は、0.26mm(0.01インチ)の内径を有する。したがって、より高い液体流速が必要であれば、液体を蒸発させるためにより大きなサイズの流路が用いられうる。組み合わせヒータ/流路として、ステンレス鋼チューブが用いられてもよいが、その他の機構が流路/ヒータ機構に対して用いられてもよい。例えば、流路を規定する溝を提供するためにセラミック層がエッチングされてもよいし、溝の中で液体を加熱するように構成された、プラチナヒーター等のヒータを組み込んだ、他のセラミック層でセラミック層の表面が覆われてもよい。ステンレス鋼チューブと同様に、抵抗ヒータは、直流電流を通電することによって加熱されうる。
【0023】
本装置は、様々な制御方式を実現するためにプログラムされうる。例えば、抵抗制御方式(resistance control scheme)は、ヒータ機構の加熱下で、オーバーヒートを最小にするために使用されうる。特に、プログラムは、目標抵抗値に達するまで、パワーをヒータに送るために用いられうる。パワー制御方式(power control scheme)下では、ある量のパワーがヒータ機構に供給され、ヒータ機構を所望の温度に維持するように、パワーがモニタされて調整される。電圧制御方式(voltage control scheme)では、ある電圧(例えば、4ボルト)がヒータ機構に連続的に供給され、プログラム(例えば、アルゴリズム)が目標値で電圧をモニタして維持するために使用される。一例として、コントローラは、ヒータへのパワーのパルス供給を制御し(例えば、固定パルス及び1〜10msecのパルス幅を用いた、25%〜100%のデューティサイクル)、ヒータにかかる電圧降下を測定し、温度に依存するヒータの抵抗を計算し、ヒータ機構の目標抵抗値を維持するためにヒータ機構へのエネルギのON/OFF供給を制御するようにプログラムされうる。好適な機構では、デューティサイクルのオンタイム(on time)は2〜4ミリ秒であり、オフタイム(off time)は2〜16ミリ秒の間で変動する。
【0024】
本装置は、蒸発した流体を分析するための様々な検出装置と関連して操作されうる。例えば、フィルタは、エアゾールを回収するのに用いられる。回収したエアゾールは、計量されるか又は更なる評価用に、ガス若しくは液体クロマトグラフィー(liquid chromatography)に出される。粒子サイズと分布を決定するために、ヒータ機構によって生成される噴霧液体のジェットの近傍に、回収デバイス(collection device)が配置されてもよいし、エアゾールを閉じ込めて回収デバイス(collection device)にエアゾールを向けるために多岐管(manifold)が用いられてもよい。他の可能性は、エアゾールに光を通してエアゾールがどのくらい厚いかを測定するデバイスを用いて、それによりエアゾール中の粒子の濃度を測定することである。本装置は、ジェット燃料、ガソリン、ディーゼル、灯油等の様々な炭化水素燃料を蒸発させる効果を研究するために使用されうる。他の可能性は、殺虫剤アプリケーションに本装置を用いることである。例えば、ヒータ機構は、植物をいぶすために、細かい霧又は粒が粗いスプレーを作り出すために使用されうる。本装置は、毒性学研究に使用されうる。この毒性学研究では、吸入した材料の効果を観測するために、ネズミ等の実験動物が用いられうる。コントローラは、ヒータ機構の操作中に興味対象の値(values of interest)プロットするか又は格納するようにプログラムされうる。例えば、メモリは、時間及びその他のパラメータを格納するために使用されうる。これらのパラメータは、ヒータの抵抗、ヒータに送られる全エネルギ、パワー、電圧及び/又は電流等であり、時間が経つにつれて変動する。メモリはまた、定常状態に到達するデューティサイクル及び/又は時間を格納するために用いられうる。さらに、これらのパラメータは、ヒータ機構の操作中又はその後に、スクリーン上にプロットされるか又はプリントアウトされうる。
【0025】
本装置は、複数の蒸発した液体を生成するように設計されうる。例えば、導管又は多岐管は、複数のヒータ機構のエアゾール化された出力を受け取るように構成されうる。例えば、2つ以上のヒータ機構がチューブの軸方向の長さに沿って構成され、ヒータ機構の流路がチューブの軸に垂直ば方向に蒸発した液体を供給するように方向づけられ、或いは、蒸発した液体の方向がチューブの軸に垂直でないようになされうる。複数のヒータ機構は、チューブの軸方向の長さに沿って間隔が開けられ、或いは、チューブの外径の周囲に間隔が開けられうる。
【0026】
コントローラは、ユーザインタフェースによって操作されうる。このユーザインタフェースは、様々なプログラマブル変数を選択することによって、装置の動作用メモリに入力される。コントローラは、以下の変数に基づく計算を実行するアルゴリズムを利用して、プログラムされうる。任意の適切なアルゴリズムが、所望の制御方式を実現するために使用されうる。例えば、カリフォルニア州パロアルトのAgilent Technologies社から入手可能な商用の診断装置を備えるアルゴリズム等が挙げられる。例えば、米国特許第6,269,267号、同6,173,207号、同6,246,613号及び同6,205,362号を参照されたい。“イベント”変数は、実行待ち(イベント=0)とヒータの実行(イベント=1)との間でプログラムを切り換える。イベント“トリガ”変数は、トリガ信号を感知するためのカウンタを作動させる。“パルス”変数は、パワーをヒータに送るための出力状態(パルス=1)に対応する。好適な実施形態では、“パルスカウント”変数は、8ミリ秒のヒーターサイクルでカウンタを作動させる。“イベントカウント”変数は、実行中のミリ秒での累積時間に対応する。“レジストターゲット”変数は、操作中のヒータに対する目標抵抗に対応する。“エネルギ”変数は、ヒータに送られた累積エネルギである。“レジスタンス”変数は、ヒータの測定抵抗である。“エネルギCOEF”変数は、エネルギに対する較正係数(calibration coefficiency)に対応する。“レジストCOEF”変数は、抵抗に対する較正係数である。“アームド”変数は、どの種類のトリガが実行開始に使用されるのかを示す。“タイム”変数は、ヒータにパワーが与えられる時間として定義される実行時間(time for a run)の長さであり、ミリ秒で表される。“vdカウント”変数は、バルブ又はエネルギ遅延(energy delay)を調節するためのカウンタを作動させる。“バルブディレイ”変数は、ヒータが作動した後でバルブを開くために用いられうる。このバルブディレイは、ヒータへパワーを与えること及びバルブを開くことの間での、ミリ秒でのタイムラグである。“ヒータディレイ”変数は、ヒータが作動する前にバルブを開くために用いられうる。このヒータディレイは、バルブを開くこと及びヒータへパワーを与えることの間での、ミリ秒でのタイムラグである。
【0027】
図2は、蒸発液体発生器220の実施形態を示す図である。蒸発液体発生器は、流体又は蒸気を第1の開放端部225に導くことができる流路又は通路223を規定する部材221と、電圧を部材221に印加するための電源装置229とを含む。その結果、部材中の電流は、流路223内の流体材料を蒸発させるのに十分な温度まで通路を加熱し、蒸発した材料は、流路223の開放端部225から外に広がって、必要に応じて、エアゾールを形成するために外気と混合する。液体は、ポンプ235又はその他の適当な機構によって、材料の供給源から供給されうる。
【0028】
本実施形態では、流路223は、好適には304ステンレス鋼である。しかしながら、抵抗加熱されることが可能であり、流路223によって経験される動作温度で必要な機体構造の健全性(structural integrity)を維持し、液体材料と十分に反応しない(sufficiently non-reactive)任意の導電性材料が用いられうる。そのような材料には、特に限定されないが、銅(copper)、アルミニウム(aluminum)、メタル複合材料(metal composites)又はその他のメタル若しくは合金が含まれる。流路223は、加熱された材料を逃がすことを可能にする開放端部225と液体材料が供給されることを可能にする端部231とを有する。
【0029】
本実施形態における電圧を印加するための電源装置は、電圧源229と2つの端部227a及び227bを含む。電圧源229は、直流バッテリーであってもよい。しかしながら、交流電流の使用も効果的であるかもれない。端部227aと227bは、少なくとも部材221の周辺の一部に接触しているのが望ましい。接触端部227aと227bは、部材221と比較して低抵抗な材料で作られ、部材221から分離しないような熱膨脹係数を有することが望ましい。
【0030】
部材221は、抵抗加熱によって加熱されるのが好ましい。電圧源229から部材221に移されたエネルギは、オームの法則によって支配される。
V(電圧)=I(電流)・R(抵抗) (1)
Power=V・I=V/R (2)
一例を挙げると、約3.12オームの平均内部抵抗を持つ、0.001〜0.020インチの内径/0.018〜0.030インチの外径の304ステンレス鋼チューブ(この例では、抵抗が全ての温度に対して一定であると仮定する)及び2.5ボルトの直流を供給する電圧源に対して、流路223へのエネルギ伝達率は以下のように表される。
Power=(2.5V)2/ (3.12ohm)=19.5 joules/sec (3)
したがって、チューブ内に発生した熱は、V(流路にかかる電圧降下)及びチューブの平均抵抗Rの関数である。
【0031】
蒸発液体発生器は、上述の例に合わせたものであり、約2.5ボルトと0.8アンペアで連続的に動作したときに、液体プロピレングリコールから蒸気を発生する際に上手く動作することがわかった。このレベルで動作している電圧源に供給されるパワーは、大気圧で毎秒1.5ミリグラムの速度でプロピレングリコールを蒸発させるのに必要な最小限の所要電力に近く、蒸発液体発生器220が効率的に動作していることを示している。
【0032】
蒸発液体発生器220、例えばオンデマンドで(on demand)断続的に動作してもよいし、後述のように、所定のプロファイルに従って連続的に動作してもよい。断続的に蒸発した液体を発生することが望まれる場合では、先行蒸気又はエアゾールを発生する要求があるたびに、液体の材料が端部227aと227bとの間に配置された加熱領域226に断続的に供給されうる。さらに、断絶的な動作では、ヒータは、流路中の液体が蒸発するのを防ぐためにオフにされてもよい。好適には、液体の材料は、材料の供給源233から加熱領域226まで、ポンプ235、加圧された供給源又はその他の適当な供給機構を通って流れる。
【0033】
1つ以上のバルブが、液体の流れを遮るために、材料の供給源233と加熱領域226との間の流線に提供されうる。好適には、液体の材料は、計量された量(例えば、所定の体積、質量、流速等)で、ポンプ235によって加熱領域226に送り込まれる。材料の供給源233と加熱領域226との間の流線に残っている材料は、流路223の上流端部231の方向に蒸発した材料が広がることを防ぐバリアを提供する。ポンプは、ステッピングモータによって操作され、液体材料の正確な調量を実現することができる。しかしながら、他の機構が流路223へ液体を供給するために用いられてもよい。例えば、液体の量を保持し、正確な量の液体を送るか又は一定流速で液体を供給するシリンジポンプ、正確な容積の液体を供給するシングルショット供給機構(single shot delivery mechanism)、液体を電磁バルブに供給し流路223への液体の供給を制御する加圧された液体格納容器機構等が挙げられる。
【0034】
図3は、液体材料の蒸発を制御するための装置300の実施形態を示す図である。本装置は、下流の第1の開放端部325と、流路323で液体材料を蒸発させるのに十分な温度まで流路323を加熱するためのヒータ310とを有する。その結果、蒸発した材料が流路の開放端部325から外に出て、必要に応じて、外気と混合してエアゾールを形成する。
【0035】
装置300は、ヒータ310を操作し、バルブ342とポンプ335の操作を介して液体供給源333から流路まで液体を供給するためのコントローラ350を含む。コントローラ350はまた、メモリ351に蒸発した液体の発生に関連したパラメータの格納を指示する。コントローラ350はまた、パワーをヒータ310に適用するために、切換機構又はスイッチ340を操作する。メモリ351は、格納操作プログラムだけでなく、液体材料の流速やエネルギ伝達等のパラメータを記録するために設けられる。先行蒸気及びエアゾールの実験を実行するとき又はこれらの特性をモニタしているときは、蒸発液体発生器の操作に関する関連パラメータの保持及び/又は記録が要求されうる。また、コントローラ350に関連するのは、動作中に視覚的にユーザを助けるディスプレイ352であり、また、ユーザ設定やメモリ351の内容も表示する。
【0036】
ヒータ310は、その電気伝導性の一部分又はその他の適当な機構に、電圧を印加することによって作動されうる。例えば、発熱体が、流路323に沿ってワイヤのコイル又は導電性材料層で構成されうる。流路を加熱するために、熱交換器の使用又は燃焼ガスへの暴露(exposure)が用いられうる。通路中の蒸発液体の化学的・機械的方法に加えて、レーザ及び電磁波も可能である。抵抗加熱機構は、特別な実施形態では、チューブ又は発熱体の電気抵抗及びそこに与えられた誘導電流の結果として、電気エネルギを熱エネルギーに変換することによって、流路内部の液体材料を加熱する。電圧は、電源329によって発熱体の327aと327bの端部にかけられる。ヒータ310への電圧の印加は、スイッチ340を介した手動入力又は動作プログラムを通して、コントローラ350によって調整される。本実施形態では、スイッチ340は、10ミリ秒未満、好適には1ミリ秒未満のサイクルによる高速スイッチングを可能にする電界効果トランジスタである。
【0037】
コントローラ350は、計測装置341と計測装置342から流路323への液体材料の流速に関連する入力とを通じて、流路323の温度に関係する入力を受信する。このような測定が可能なベンチュリ管通路、容量型ポンプ(positive displacement pumps)及びその他の装置が、計測装置342として使用されうる。流路323内の液体温度は、発熱体の測定された又は計算された抵抗に基づいて計算される。好適な実施形態では、ヒータ310は金属管の一部であるか、又は、ヒータは抵抗加熱材料の一片又はコイルであってもよい。コントローラ350は、ヒータの抵抗をモニタすることによって、流路323の温度を調節する。
【0038】
抵抗の制御は、ヒータ310の抵抗がその温度が増加するにつれて増加するという単純な原理に基づくことができる。スイッチ340を通してパワーが発熱体310に印加されると、その温度が抵抗加熱によって増加し、ヒータの実際の抵抗も増加する。パワーがオフされると、ヒータ310の温度が下がり、これに対応してその抵抗が減少する。したがって、ヒータのパラメータをモニタすることによって(例えば、抵抗を計算するために既知の電流を用いた、ヒータにかかる電圧)、そしてパワーの印加を制御することによって、コントローラ350は、ヒータ310を特定の抵抗目標値に対応する温度に維持することができる。1つ以上の抵抗素子の使用はまた、抵抗ヒータが流路で液体を加熱するために使用されない場合に、加熱された液体の温度を測定するのに利用されうる。
【0039】
抵抗目標値は、液体が蒸発して流路323の第1の開放端部325から外に広がるように、液体材料へ熱伝達を引き起こすのに十分な温度に対応するように選択される。コントローラ350は、加熱を始動するスイッチ340を閉じさせる。これによって、ヒータ310に継続時間の間エネルギを与え、そのような継続時間の後及び/又は間に、計測装置341からの入力を用いて、ヒータの実時間抵抗を決定する。好適な実施形態では、ヒータの抵抗は、ヒータ310と直列に存在する分流器(不図示)にかかる電圧を測定すること(それによって、ヒータに流れる電流を決定すること)、及び、ヒータにかかる電圧降下を測定すること(それによって、測定電圧と分流器を流れる電流とに基づく抵抗を決定すること)によって計算される。連続した測定を受けために、少量の電流が抵抗の計算を行う目的で分流器及びヒータを通して連続的に流されて、より高い電流のパルスが所望の温度までヒータの加熱するために用いられうる。
【0040】
必要ならば、ヒータを通る電流の測定からヒータ抵抗を導き出してもよいし、或いは、同じ情報を得るためにその他の方法が用いられてもよい。次に、コントローラ350は、ヒータ310に対する所望の抵抗目標値とコントローラ350によって決定される実抵抗(actual resistance)との間の差に基づいて、追加のエネルギ継続時間を送信するか否かに関する決定を行う。
【0041】
開発モデルでは、ヒータに供給されるパワー継続時間は、1ミリ秒に設定された。ヒータ310のモニタされた抵抗から調整値を引いた値が、抵抗目標値よりも小さい場合には、コントローラ350は、スイッチ340を閉じた(“オン”)位置にしておくことによって、エネルギの別の継続時間を供給するようにプログラムされる。調整値は、作動していないときのヒータの熱損失、計測装置のエラー、コントローラの周期的な期間(cyclic period)、切換装置及びその他の可能性等の要因を考慮する。実施には、ヒータの抵抗は、その温度の関数として変化するため、温度制御を実現するために抵抗制御が用いられうる。
【0042】
タイプ304のステンレス鋼に対する抵抗の温度係数の方程式は:
ρ(ohm-cm)=4.474x10-5+l.0x10-7T−3.091x10-llT2 (4) である。
ここで、Tは、ケルビン温度である。0。669オームの低温の抵抗(室温の24℃)で、28ゲージ、44mmの長い毛細管を備えるヒータの平均温度のプロットが、その抵抗を関数として、図5に示される。図5に示す値は、ヒータの平均温度を表す。すなわち、ヒータの長さに沿った実際の温度は、銅線からの熱損失及び流体の蒸発等の諸要因によって変動しうる。そして、流路323の端部331及び開放端部325に最も近いヒータの温度は、ヒータの中央よりも低くなる傾向があるだろう。
【0043】
コントローラ350は、分流器にかかる電圧降下とヒータにかかる電圧降下で代表される処理データによって、ヒータ310の抵抗を決定するようにプログラムされうる。ヒータに送られるパワー、送られる累積エネルギ及びヒータの実時間抵抗は、以下の方程式によって計算される:
Energy = (Input1・Input2・0.100・Energy Coef) +Energy (5)
Resistance = (Inputl/(Input2・100))・Resist Coef (6)
これらの方程式はオームの法則に基づく。入力1は、多機能測定(multifunction measurement)であり、ヒータにかかる電圧降下を測定する制御ユニットであり、入力2は、分流器にかかる電圧降下を測定する入力端子である。分流器は、0.010オームの抵抗を持つことができる。したがって、ジュールで示されるエネルギは:&
Energy = Power x Time =Vheater・I・t. (7)
である。
ここでVheaterはヒータ(入力1)にかかる電圧降下であり、Iはシステムを通る電流であり、tはヒータに適用される継続時間(例えば、1ミリ秒)である。システムを通る電流は、分流器にかかる電圧降下とその既知の抵抗から以下のように計算することができる:
I = Vshunt/Rshunt (8)
Energy = Input1・(Input2/0.001 (ohm))・0.001 (sec) = Input1・Input2・0.100.(9)
ここで、Vshuntは分流器にかかる電圧降下(Input 1)であり、Rshuntは分流器(0.010オーム)の抵抗値である。
【0044】
継続時間値ごとのエネルギは、較正係数ECFを用いて計測変動(instrumental variations)に対する修正が施されうる。継続時間エネルギは、装置がヒータ310に送られる累積エネルギの推移を把握できるように、メモリ351に格納された以前のエネルギ値に加算される。ヒータの抵抗値に対しても同様である:
Resistance = Vheater/I=(Vheater/(Vshunt/Rshunt))= Input1/(Input2・100) (10)
次に、抵抗値は、較正係数RCFによって修正される。
【0045】
コントローラ350による抵抗の制御は、ヒータを制御するのにいくつかの利点がある。第1に、ヒータ310が最初に動き始めると、コントローラ350は、ヒータの初期のオーバーヒートを防ぐために、その動作抵抗目標値又はそれ以下の値に到達するまで、エネルギを連続的にヒータ310に送ることができる。その後、ヒータは、徐々に所望の温度まで加熱されうる。これによって、ヒータを最も速く始動することができる。第2に、コントローラは、少なくとも電源329の上限に、液体材料の供給速度に無関係に抵抗目標値を維持するための必要条件に適合するように、自動的にヒータに送られるエネルギを調整することができる。抵抗目標値及び対応する温度がヒータ310の材料限界値の範囲内に設定される限り、ヒータは、流体供給システムにおける故障のためにオーバーヒートすることはあり得ない。加熱サイクルの例は図6に示され、ここでは抵抗制御アルゴリズムのためのタイミングサイクルを示しており、この例での抵抗目標値は0.785オームである。これはまた、高く設定されすぎた電源電圧によるオーバーヒートを防止する。さらに、このシステムは、熱電対測定値に基づく実際の温度制御システムよりもはるかに速く応答することが分かった。
【0046】
パルス継続時間の端で、ヒータの測定抵抗から所定の調整値を引いた値が目標抵抗よりも大きい場合では、コントローラ350は、スイッチ340をオフし、これによりヒータ310からのエネルギを抑える。別の所定の継続時間の後では、コントローラは、スイッチ340をオンして、このプロセスを繰り返す。例えば、スイッチ340がオンされると、第2の所定継続時間が前回から8ミリ秒(例えば、2ミリ秒オンして6ミリ秒オフする又は4ミリ秒オンして4ミリ秒オフする等)に設定されうる。
【0047】
図4は、蒸発した液体を発生するための装置の他の実施形態を詳細に示す図である。この実施形態では、材料が蒸発されて通路の開放端部から外に広がるように、流路及びそこを通る液体材料を加熱するための複数の別々のヒータが用いられる。前の実施形態のように、第1の開放端部425を有する流路423は、端部431を通して供給される液体材料を有し、バルブ442は、ポンプ435によって液体材料433の供給源から供給される液体の導入を制御する。この特定の実施形態では、流路と液体とを加熱するために、2つの別々のヒータ410と410'が使用される。加熱は、抵抗加熱を通して実行することができる。しかしながら、上述のように、加熱は、この方法に限定されない。
【0048】
パワーは、ヒータ410に対しては端部427a及び端部427bを介して、ヒータ410’に対しては端部427a’及び端部427b’を介して、各々のヒータに供給される。ヒータへのパワーの印加は、関連メモリ451及びディスプレイ452を用いてコントローラ450によって制御される。コントローラ450は、スイッチング回路440又はパワー制御のためのその他の適当な機構を通した電力の印加を制御する。スイッチング回路は、各々のヒータに独立にパワーを与えることができる。パワーは、電圧源429によって供給される。コントローラは、バルブ442からの入力に加え、計測装置441と441からの情報を用いて、ヒータへのパワーの印加を別々に制御する。コントローラは、自律的に機能するか、或いは、ユーザインタラクションに反応するようにプログラムされうる。
【0049】
この特定の実施形態における計測装置441と441'は、分流器を通して電流を測定し、ヒータの抵抗を決定するためにそれぞれのヒータにかかる電圧降下と結合され、上述のコントローラ450によって制御を容易にしている。上で議論したように、流路423にかかる温度は、液体材料が供給される端部431から材料が蒸気として出ていく開放端部425まで変動しうる。したがって、流路とその中の液体の温度を制御する別々の複数のヒータを使用することは、流路の一部にわたる異なった熱伝達特性のために有利である。液体への流路の熱伝達を更に調節するために、要求に応じて、更にヒータが追加されて制御されうる。
【0050】
図3と同様に、ヒータから液体材料への熱伝達は、異なる熱領域がある単一のヒータを用いて実際に実現されうる。例えば、異なる領域を有する単一のヒータは、流路に沿った所望の位置でより多くの熱を与えることができる、例えば、必要に応じて、流路423の片端でより多くの熱を、中央ではより少ない熱を与えることができる。異なる加熱領域の動的制御はより難しいであろうが、単一のヒータだけを使用して、より望ましい熱プロファイルが得られるだろう。複数領域の加熱は、流路の端部で高い抵抗値を持つ複数のコイルを用いて実現されうるが、中央では発熱体の抵抗値が減少され、その結果、その部分への熱伝達が減少する。さらに、流路に入る前に、液体材料が蒸発する温度の直ぐ下の温度に加熱するために、予熱器(pre-heater)が用いられてもよい。
【0051】
本装置の実施形態は、ヒータ機構の制御された出力によって、所望の、特定量の蒸発した液体を供給するように設計されうる。例えば、ヒータ機構は、導管や管材料等の複数の流体の流路に接続されうる。エアゾール化された出力は、バルブ操作によって異なる通路を通して実施されうる。バルブ制御によって、所定時間間隔で、エアゾール化された出力は異なる出口に向けられることができる。例えば、ヒータが不適合な条件(例えば、非定常状態の条件)にあるときは、蒸気/エーロゾルは、第1の流路を通るように向けられる。そして、ヒータが適合な条件(例えば、定常状態の条件)にヒータがあるときは、バルブ機構は、蒸気/エーロゾルを第2の流路を通るように向ける。本発明の実施の形態は、一定で反復可能な分量がボランティアの人間に投与されることが望まれる臨床実験に使用することができる。
【0052】
図7は、制御された液体材料の蒸発及びエアゾールの選択的な供給のための装置700の実施形態を示す図である。装置700は、流体又は蒸気を第1の開放端部725に導くことができる流路又は通路723を規定する部材705と、部材中の電流が流路723内の流体材料を蒸発させるのに十分な温度まで通路を加熱するように電圧を部材705に印加するための電源装置729とを含み、蒸発した材料は、流路723の開放端部725から外に広がって、必要に応じて、エアゾールを形成するために外気と混合する。液体は、ポンプ735又はその他の適当な機構によって、液体材料の供給源733から液体を供給することができる。
【0053】
本実施形態では、流路723は、好適には304ステンレス鋼である。しかしながら、抵抗加熱されることができ、流路723によって経験される動作温度で必要な機体構造の健全性を維持し、液体材料と十分に反応しない(non-reactive)導電性材料が用いられうる。そのような材料は、特に限定されないが、銅、アルミニウム、メタル複合材料又はその他のメタル若しくは合金を含む。流路723には、加熱された材料を逃がす出口725と液体材料が供給される入口731を有する。装置700はまた、バルブ742と743を含む。コントローラ750は、バルブ742と743によって作動される。バルブ742は、流路760aを介してヒータと流体的に伝達(fluid communication)し、ヒータ710からバルブ742まで蒸発した材料又はエアゾールを導く。必要ならば、ヒータ710によって作り出された蒸発した材料を、流路760aに存在する及び/又は供給される空気と混合させることによって、エーロゾルが形成されうる。例えば、随意的な空気の入口762が空気を流路760aに導入するように構成されるか、或いは、空気がヒータ710の周りに運ばれて流路760aに吸い込まれてもよい。バルブ742は、流路760bを介して排気真空ポンプ744と流体的に伝達(fluid communication)し、流路760cを介してバルブ743と流体的に伝達(fluid communication)する。バルブ743は、流路760dと流体的に伝達(fluid communication)する。ポンプ744は、空気が大気に排出される前に、エアゾール又は蒸気から材料を取り除くために、フィルタ、好適には高効率粒子状空気(high efficiency particulate air)(HEPA)フィルタを有する。流路760a、760b、760c及び760dは、医学用の呼吸管で作られるのが望ましいバルブ743がマウスピース770と流体的に伝達(fluid communication)し、これを通してユーザはエアゾールを吸入することができる。しかしながら、マウスピース770は、省略されるか、或いは、分析装置、コレクションデバイス(collection devices)等の任意の適当な装置と取り替えることができる。
【0054】
吸入器の場合では、本装置は、コントローラ750と電気的に接続され、マウスピース770と流体的に伝達(fluid communication)する圧力センサ745を含むことが望ましい。圧力センサ745は、マウスピース770上で吸入しているユーザによって作動される。吸入は、マウスピース770内に圧力低下を引き起こし、圧力センサ745によって感知される。圧力センサ745は、極度に敏感になる場合がある。例えば、圧力センサ745は、選択された圧力低下、及び/又は、気流(air flow)の閾値、例えば、典型的な人間の吸入速度の約1/10である約3リットル/分と同じくらい低い値で起動されうる。従って、圧力センサ745は、感知できるほどの体積の肺を無駄に使うことなく、ユーザによって作動されうる。
【0055】
バルブ742と743は、以下の方法で好適には作動する。バルブ742がそのデフォルト位置にあるときは、エーロゾルは、第1の流路に沿って流れる。すなわち、流路760aは、ヒータ710からバルブ742までエアゾールを運び、流路760bは、バルブ742からポンプ744までエアゾールを運ぶ。エアゾールは、ポンプ744に設けられたフィルタによってフィルタにかけられ、周囲に排出される。バルブ742がそのデフォルト位置にあるときは、流路760cは空である(すなわち、それを通って動くエアゾールはない。)。従って、マウスピース770に対するどんなエアゾールの流れも許されない。
【0056】
バルブ742がそのデフォルト位置にあるときは、バルブ743もそのデフォルト位置にある。バルブ743がそのデフォルト位置にあるときは、流路760dは、バルブ743を通して外気をマウスピース770に向ける。
【0057】
好適な実施形態では、ヒータ710で作り出されるエアゾールはポンプ744に排出され、ヒータ710が良い条件に達するまでは、エアゾールの流れはマウスピース770に供給されない。例えば、ヒータ710がモニタされる条件とは、抵抗であってもよいし、良い条件とは、測定抵抗が例えば抵抗目標値でほとんど一定な状態である定常状態の条件に達する時であってもよい。定常状態の条件では、作り出されるエアゾールは、結果として人間の吸入に最適である。一方、良い条件は、例えば、流路723の選択された温度の範囲かもしれない。一旦、ヒータ710の所望の条件が実現されると、エーロゾルが第2の流路を介してマウスピース770に供給されうる。
【0058】
装置700は、その間にエアゾールがマウスピースに渡される、選択された期間の間に、バルブ742と743をそれらの非デフォルト位置(non-default positions)にとどまるように操作することができる。選択された期間は、特に制限されないが、例えば、2/3秒、1秒又は2秒となりうる。一旦、選択された期間が切れると、コントローラ750の制御下で、バルブ742と743がそれらのデフォルト位置に移動し、流路760c及びマウスピース770へのエアゾールの供給は終了する。
【0059】
装置700はまた、ユーザが吸入するよう指示された後に、所定期間以内にマウスピース770上で吸入しない場合では、蒸気の発生が終了するように操作することができる。例えば、装置は、一服の薬用エアゾールを供給する準備ができていることをユーザに知らせる出力メッセージ又は光を含んでもよい。代わりに、圧力センサ745は、ユーザが一服のエアゾールを得ようとしていることを示すことができるが、ユーザが所定期間の間吸入を止めるた場合では、装置はヒータ710を止めて、デフォルト条件における値を維持する。したがって、コントローラ750が所定の時間周期の間に、ユーザがマウスピース770上で吸入していることを示す圧力センサ745からの信号の受信が止まると、コントローラ750はヒータ710によって蒸発した材料の発生を終了する。例えば、その時間周期は5秒であってもよい。選択された時間周期の間に、コントローラ750がマウスピース770上で吸入しているユーザによって起動されたことを示す信号を圧力センサ745から受信する場合には、コントローラ750は、蒸発した材料又はエアゾールが流路760cを介してマウスピースに流れるように、バルブ742と743を非デフォルト位置に動かす。図8は、5秒間の選択された時間周期で装置700を操作するためのタイミングダイヤグラムの例示的な実施形態を示す図であり、装置実行時間、吸入検出(圧力センサ745による)、エアゾールの発生及びバルブ作動サイクル(valve actuation cycles)を示す。
【0060】
装置700、マウスピース770、圧力センサ745及び流路の他の実施形態では、760dを省略することができる。必要ならば、バルブ743を随意的に含んでもよい。マウスピースに代わって、随意的な流路(不図示)を設けてもよい。そのような実施形態では、コントローラ750によるバルブ742の操作は、分析のために流路760cを通して検出装置へ蒸発した材料又はエアゾールを導くことができる。あるいは、蒸発した材料又はエーロゾルは、例えば、コーティングをしたり、粉、他の物質と相互作用する化学物質等の他の目的に使用されてもよい。
【0061】
コントローラ750は、ポンプ735の操作を介して、ヒータ710と液体の供給源733から流れチャンネル723まで液体供給の制御操作を実施することができる。上述のように、コントローラ750は、ヒータ710からマウスピース770までのエアゾールの流れを制御するために、圧力センサ745から信号を受信し、バルブ742と743とポンプ744を操作する。コントローラ750は、メモリ751に蒸発した液体の発生に関連したパラメータの記憶装置を支持する。メモリ751は、実験を行うとき又は先行蒸気とエアゾールの特性をモニタしているときに必要となりうる、蒸発液体発生器の操作に関するそのようなパラメータを記録することができる。コントローラ750はまた、パワーをヒータ710に与えるためのスイッチング回路740を操作する。また、コントローラ750に関連したディスプレイ752は、ユーザが動作中に視覚的にモニタし、また、メモリ751のユーザ設定と内容を表示するための助けとなる。
【0062】
本実施形態における電圧を印加するための電源装置は、電源729と2つの端部727a及び727bとを含む。電源729は、直流電流(DC)バッテリー又は直流電源装置であってもよい。ヒータ710への電圧の印加は、手動入力か動作プログラム、スイッチ740を通して、コントローラ750によって調節される。本実施形態では、スイッチ740は、各サイクルを通して10ミリ秒未満,好適には1ミリ秒未満の高速スイッチングを可能にする、電界効果トランジスタである。
【0063】
コントローラ750は、計測装置741を通して、流路723の温度に関係する入力を受信する。流路723中の液体の温度は、発熱体の測定された抵抗又は計算された抵抗に基づいて計算される。好適な実施形態では、ヒータ710は金属管である。コントローラ750は、ヒータの抵抗をモニタすることによって、流路723の温度を調節する。
【0064】
上述のように、抵抗制御は、その温度が増加するにつれてヒータ710の抵抗が増加するという原理に基づくことができる。パワーがスイッチ740を通してヒータ710に適用されると、その温度は、抵抗加熱によって増加し、ヒータ710の実際の抵抗も増加する。パワーがオフされると、ヒータ710の温度は減少し、これに対応してその抵抗は減少する。したがって、ヒータのパラメータをモニタし(例えば、抵抗を計算するために既知の電流を用いたヒータにかかる電圧)、パワーの印加を制御することによって、コントローラ750は、特定の抵抗目標値に対応する温度でヒータ710を維持することができる。1つ以上の抵抗素子の使用も、流路で液体を加熱するのに抵抗ヒータが用いられない実施形態において、高温液体の温度をモニタするために用いられてもよい。
【0065】
抵抗目標値は、液体が蒸発して出口725を通して広がるように、液体材料への熱伝達を引き起こすことができるのに十分な温度に相当するものが選択される。コントローラ750は、スイッチ740を閉じることを行う。これは加熱を始動し、その結果、ヒータ710に継続時間の間エネルギを与えて、そのような継続時間の後及び/又は間に、計測装置741からの入力を用いてヒータの実時間抵抗を決定する。好適な実施形態では、ヒータの抵抗は、ヒータ710と直列に存在する分流器(不図示)にかかる電圧を測定すること(それによって、ヒータに流れる電流を決定すること)、及び、ヒータにかかる電圧降下を測定すること(それによって、測定電圧と分流器を流れる電流に基づく抵抗を決定すること)によって計算される。連続した測定を得るために、少量の電流が抵抗の計算を行う目的で分流器及びヒータを通して連続的に流され、より高い電流のパルスが所望の温度までヒータの加熱を行うために用いられうる。
【0066】
必要ならば、ヒータを通る電流の測定からヒータ抵抗を導き出してもよいし、或いは、これと同じ情報を得るためにその他の方法が用いてもよい。次に、コントローラ750は、ヒータ710に対する所望の抵抗目標値とコントローラ750によって決定される実際の抵抗との間の差に基づいて、追加のエネルギ継続時間を送信するか否かに関する決定をする。
【0067】
開発モデルでは、ヒータに供給されるパワーの継続時間は、1ミリ秒に設定された。ヒータ710のモニタされた抵抗から調整値を引いた値が抵抗目標値よりも小さい場合には、コントローラ750は、スイッチ740を閉じた(“オン”)位置にしておくことによって、エネルギの別の継続時間を供給するようにプログラムされる。調整値は、作動していないときのヒータの熱損失、計測装置のエラー、コントローラの周期的な期間、切換装置及びその他の可能性等の要因を取り入れる実施には、ヒータ710の抵抗は、その温度関数として変化するため、温度制御を実現するために抵抗制御が用いられうる。
【0068】
コントローラ750は、分流器にかかる電圧降下とヒータにかかる電圧降下で代表される処理データによって、ヒータ710の抵抗を決定するようにプログラムされうる。ヒータに送られるパワー、送られる累積エネルギ及びヒータの実時間抵抗は、以下の方程式(5)及び(6)によって計算される。分流器は、0.010オームの抵抗を持つことができる。したがって、ジュールで示されるエネルギは、上述の方程式(7)によって与えられる。
【0069】
システムを通る電流は、分流器にかかる電圧降下と、上述の方程式(8)によって既知であるその抵抗から計算されうる。
【0070】
継続時間値ごとのエネルギは、較正係数ECFを用いて計測変動(instrumental variations)に対する修正が施されうる。継続時間エネルギは、装置がヒータ710に送られる累積エネルギの推移を把握できるように、メモリ751に格納された以前のエネルギ値に加算される。同様に、ヒータの抵抗値に対しても、上述の方程式(10)が用いられる。そして、抵抗値は、較正係数RCFによって修正される。
【0071】
コントローラ750による抵抗の制御は、ヒータを制御するのにいくつかの利点がある。第1に、ヒータ710が最初に動き始めると、コントローラ750は、ヒータの初期のオーバーヒートを防ぐために、その動作抵抗目標値又はそれ以下の値に到達するまで、エネルギを連続的にヒータ710に送ることができる。その後、ヒータは、徐々に所望の温度まで加熱されうる。これによって、ヒータを最も速く始動することができる。
【0072】
第2に、コントローラ750は、少なくとも電源729の上限に、液体材料の供給速度に無関係な抵抗目標値を維持するための必要条件に適合するように、自動的にヒータに送られるエネルギを調整することができる。抵抗目標値及び対応する温度がヒータ710の材料限界値の範囲内に設定される限り、ヒータ710は、流体供給システムにおける故障のためにオーバーヒートすることはあり得ない。加熱サイクルの例は上述の図6に示される。これはまた、高く設定されすぎた電源電圧によるオーバーヒートを防止する。さらに、このシステムは、熱電対測定値に基づく実際の温度制御システムよりもはるかに速く応答することが分かった。
【0073】
パルス継続時間の端で、ヒータ710の測定抵抗から所定の調整値を引いた値が目標抵抗よりも大きい場合では、コントローラ750は、スイッチ740をオフし、その結果、ヒータ710からのエネルギを抑える。他の所定の継続時間の後では、コントローラは、スイッチ740をオンして、このプロセスを繰り返す。例えば、スイッチ740がオンされると、第2の所定継続時間が前回から8ミリ秒(例えば、2ミリ秒オンして6ミリ秒オフする又は4ミリ秒オンして4ミリ秒オフする等)に設定されうる。
【0074】
必要ならば、装置は、複数の蒸気発生器を備えることができる。例えば、上述のヒータがある2つ以上の流路が、空気又はその他の媒体が通過する導管に蒸発した液体を供給するように構成されうる。分析デバイスは、蒸発した液体の様座生特性を測定するために導管に沿って及び/又は下流に配置されうる。例えば、エアゾールのサイズ及び/又は粒子サイズ分布を測定したり、蒸発した液体の化学的な相互作用の効果を割り出す等のデバイスが挙げられる。蒸気発生器は、交差又は非交差ガス流として、蒸発した液体を供給するように構成されうる。例えば、流路は、隣接した平行ガス流、半径方向に向いた、周囲に間隙を介したガス流、又は、半径方向に向いた、軸方向に間隙を介したガス流等として、蒸発している流体を導管に向けるように構成されうる。平行な発生器機構によって、2つ以上の別々に蒸発した液体を混合することによって形成された、混合エアゾール又は先行蒸気を形成しやすくする。平行な蒸発液体発生器機構は、液体の状態ではあまり混合しない2つ以上の材料を含むエアゾールを形成することが求められている所で、特に役に立つ。
【0075】
本装置は、エアゾールの発生を様々な観点から研究するために用いることができ、エアゾール発生器に供給されるエアゾール発生器及び液体材料のパラメータの関数として異なる。例えば、人間の吸入を意図したエーロゾルに対しては、エアゾールは、エアゾール粒子のマスメジアン粒径(mass median particle diameter)で2ミクロン以下、好適には0.2〜2ミクロン、更に好適には0.5〜1ミクロンで生成されうる。
【0076】
プロピレングリコール及びグリセロール等の液体材料は、所定の範囲で、マスメジアン粒径(mass median particle diameter)と温度を持つエアゾールを形成することが観察される。理論によって制約されることを望まないが、加熱された流路を出て行く蒸発した材料の急速な冷却と凝縮の結果として、極度に小さいエアゾールのマスメジアン粒径(mass median particle diameters)が実現されると、少なくとも幾分は考えられている。流路の内径、流路を規定する材料の伝熱特性、ヒータのヒータ容量、及び/又は液体の材料が流路に供給される速度等の、蒸発液体発生器のパラメータの動作は、エアゾール温度及びマスメジアン粒径(mass median particle diameter)に影響するように実行されうる。本装置は、エアゾールの形成を調査するのにブデソニド(budesonide)等の薬物に対して、液体キャリアとしてプロピレングリコールとリセロールを用いて、使用することができる。本装置はまた、エアゾールの形成及び/又は液体材料、例えば、ジェット燃料、殺虫剤、除草剤、塗料及び他のタイプの材料等の液体材料の蒸発された流体の特性を調査するのに用いられてもよい。
【0077】
本装置は、テーブル面に据付けたアイテム等のように、かなり大きなものであると考えられるが、本装置の原理は、小型化されたデバイス等の他の形態で実行されてもよい。発生器が小型化できることは、大部分は、低い電力所要量で蒸発液体発生器のバッテリー動作を容易にする、ヒータと流路との間の高効率な熱伝達のためである。本装置は、液体がヒータ機構によって蒸発させられる、エアゾール発生器のプログラマブルな動作を含むように設計された実験室ユニットとして実施されうる。本装置は、様々な構成要素が交換できるように、モジュール構造であってもよい。エアゾールのマスメジアン粒径(mass median particle diameter)は、U.S.P. Advisory Panel on Aerosols on the General Chapters on Aerosols (601) and Uniformity of Dosage Units (905)、Pharmacopeial Forum、Vol.20、No.3、pp.7477 et.seq.(May-June 1994)での提案(Recommendations)により特定された方法に従って、カスケードインパクタを使用して測定することができ、質量がインパクタから集められたとおりに、重量測定によって測定されうる。
【0078】
本装置によって使用される基本的な抵抗制御プログラムは、様々なアプリケーションに適合されうる。例えば、液体は、シリンジポンプによって供給され、装置は、非常に長い実行時間の間エアゾールを発生するようにをプログラムされうる。例えば、毒性学的な研究では、数時間エアゾールを発生することが必要かもしれない。そのような場合では、4時間などの延長された期間の間で、4つのヒータを実行することが望ましいかもしれない。一方、装置が携帯用吸入器の動作を真似ることに使用されるならば、ランタイムがさらに10〜15秒のオーダーとなるだろう。本装置のオペレータは、拡張された実行の間では、10秒毎のように、定期的にモニタされるデータを出力することによって、本装置の動作が知らされ続ける。
【0079】
ヒータのための最適な抵抗目標値は、標準的な操作手順を用いて実験的に決定されうる。装置制御プログラムに入力された抵抗目標値がその最適値から低下するにつれて、エアゾールの質はすぐに低下する。特に、大きな液滴と余分な流体がヒータの端部から垂れる場合に、より多くの液体がヒータから放出されるだろう。抵抗目標値がその最適値を超えて増加するにつれて、エアゾールの特性も最終的には劣化するであろう。例えば、発生器は、エアゾールを発生するのに必要であるよりも多くのエネルギを使用し、より高い抵抗目標値では、エアゾール流体の著しい熱劣化(thermal degradation)が起こりうる。極限の場合では、ヒータは、赤く光り初めて、損傷を受けるかもしれない。
【0080】
ヒータを駆動するために選択される電圧は、各パルスでヒータに送られるエネルギの量を決定する1ミリ秒のパルスに対して、ジュール単位でのパルスあたりのエネルギは方程式:エネルギ=V2・t/Rによって与えられ、ここでVはヒータにかかる電圧であり、Rはヒータ抵抗であり、tは1ミリ秒である。ヒータにかかる電圧は、電源装置の電圧に直接関連するが、配線における損失のためにわずかに低い。一般に、本装置の好適な実施形態で使用することができる最も低い電圧は4ボルトである。この下限は、FETを動作させるのに必要な最小の電圧によって設定される。
【0081】
本装置は、パワーをヒータに提供する電源装置が、FETにもスイッチング電圧を印加するように配線されるのが好ましい。定常状態におけるヒータの抵抗は、抵抗目標値では、ほとんど一定であると想定されうる。したがって、電圧を変えることによって、各パルスで送られるエネルギに大きな差をつけることができる。電圧の効果は、主に、ヒータの定常状態の動作に現れる。電圧が低過ぎるならば、ヒータは、抵抗目標値に達することが難しく、エアゾールの特性が低下しうる。電圧に対する設定が高すぎる場合には、アルゴリズムは、ヒータを制御するために8ミリ秒のサイクルを用い、あまりに多量のエネルギが単一パルスで送られる場合には、ヒータは抵抗目標値を0.002オーム以上超えてもよい。そのような場合では、ヒータがオンに戻るのに数サイクルかかってもよいが、今回までに、ヒータは通り抜ける流体の流れによって、実質的に冷却されうる。従って、電圧設定は、特定の流速と特定の液体材料に対して最適化されうる。
【0082】
エアゾールを発生するためにヒータによって要求されるパワーは、通過する液体流速に正比例する。流速が非常に低い場合、例えば0.1ミリリットル/分未満では、ヒータは電圧が高過ぎるように振る舞う場合がある。他方では、流速が高過ぎる場合には、ヒータは電圧が低過ぎるように振る舞う場合がある。電圧を上げることが高い流速を補償するのに必要である場合がある。タイミング(負荷)サイクルの長さは、ヒータが著しく冷却する前にオンに戻るように設定されるのが望ましい。0.1ミリリットル/分の流速で、ヒータとして32ゲージステンレス鋼チューブを用いた実験は、4〜10ミリ秒のタイミングサイクルがエアゾールにほとんど影響しないことを示している。しかしながら、タイミングサイクルは、ヒータの振る舞い及び/又はエアゾールの特性を補償するために、変化されうる。抵抗制御の目標は、ヒータの操作抵抗を抵抗目標値に非常に近く維持することである。例として、電圧は、エネルギの単一パルスに対する抵抗の増加が比較的小さくなるように設定されうる。例えば、コントローラは、ヒータの抵抗をモニタし、アルゴリズムによってヒータがオフされると、抵抗目標値が0.002オームを以上超えないことを保証するようにプログラムされうる。したがって、ヒータへのパワー供給の引き金となるのに、0.002オームの減少を使用することができる。原理的には、本装置は、上述した0.002オームの減少を除いた、抵抗目標値における所望の変化により、ヒータの操作を行うように設計することができる。
【0083】
本発明は、上述の実施形態を参照して説明したが、装置及び/又はその方法に対して、種々の変更なされ得ることは明らかであろう。本装置は、吸入又は毒性研究等のその他の使用に対し、エアゾールの特性を示すのに役だつとして説明した。本装置は、基板への随意的なコーティング等のコーティングの適用、ナノサイズの粉等の粉を作ること、マイクロコンバスタ(microcombustor)デバイスに蒸発した燃料を供給すること、その化学的な相互作用に対し、蒸発した流体の多数の材料を供給すること等の付加的な目的で役に立つだろう。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】従来技術に係るエアゾール発生器の概略図である。
【図2】金属管の一部分がヒータとして使用される装置の実施形態を示す図である。
【図3】コントローラが流体の供給とヒータ機構とを操作する装置の実施形態を示す図である。
【図4】加熱領域が液体を加熱する装置の実施形態に示す図である。
【図5】抵抗ヒータの抵抗に対する温度をプロットした図である。
【図6】時間に対する抵抗加熱要素の抵抗プロットした図であり、プロットされた点は、発熱体がいつパワーが供給され、いつに供給されないのかを示している。
【図7】コントローラが流体の供給とヒータ機構とを操作する装置の他の実施形態を示す図である。
【図8】図7に示す装置の動作に対する例示的なタイミングダイヤグラムを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸発した材料をプログラム可能に発生する装置であって、
第1の開放端部を有する少なくとも1つの流路と、
前記流路に液体材料を供給するように動作可能な液体供給部と、
前記蒸発した材料が前記流路の前記開放端部から外に広がるように、前記流路内の液体の材料を蒸発させるのに十分な温度まで前記流路を加熱するように構成された少なくとも1つのヒータ機構と、
前記ヒータの動作を制御し、前記液体供給部の動作を制御するように動作可能なコントローラと、
前記コントローラにヒータ性能データを供給するように動作可能なモニタリング機構であって、所望の温度範囲に前記ヒータ機構を維持するために、前記ヒータ機構にパワーを供給するか、又は、前記ヒータ機構へのパワーを遮断するように、該データが前記コントローラによって用いられるモニタリング機構と、
前記装置に関連したパラメータを格納するように動作可能なメモリと、
を備えることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記モニタリング機構は、前記ヒータ機構へのパワーの供給を制御するスイッチングデバイスを含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ヒータ機構は、前記流路を規定する金属チューブの一部分を随意的に有する少なくとも1つの抵抗ヒータを含むことを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記流路は、毛細管の内側等の毛細管サイズの通路を含むことを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記モニタリング機構は、前記抵抗ヒータの温度に依存する抵抗を示すデータを出力し、前記コントローラは、前記モニタリング機構から受信した前記データに基づいて前記抵抗ヒータのモニタされた抵抗を計算し、前記コントローラは、少なくとも前記モニタされた抵抗が目標抵抗以下に下がる場合に、前記抵抗ヒータにパワーのパルスを供給する前記スイッチングデバイスを操作することを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つのヒータ機構は、複数の抵抗ヒータを備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記液体供給部は、所定の期間の間、前記液体を供給するように動作可能なバルブ機構を含み、前記所定の期間の間は、前記コントローラへの命令コマンドの入力によって決定されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記コントローラは、前記液体供給部によって供給される前記液体材料を加熱する前記ヒータ機構を動作させる前に、前記バルブ機構を動作させることを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記装置の設定を表示するディスプレイを更に備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記流路に供給される液体材料の量をモニタする計測デバイスを更に備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記ヒータ機構は、2ミクロン以下のマスメジアン粒径を有するエアゾールを形成するヒータ機構を備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記エアゾールは、0.2〜2ミクロンのマスメジアン粒径を有することを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項13】
固体粒子が前記液体材料の溶液中を浮遊し、前記固体粒子は、前記エアゾールが前記液体材料及び前記固体粒子の凝縮粒子を含むように、前記蒸発した材料が広がるときに前記流路の前記開放端部から強制的に外に出されることを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項14】
前記流路は、ステンレス鋼チューブの内径によって規定され、前記ヒータ機構は、前記チューブ上に軸方向に間隔が開けらた位置に取り付けられた一対の導線を備え、直流電源が前記一対の導線に電気的に接続され、スイッチング機構が前記電源から前記チューブへの直流電流の流れを遮断するように動作可能であり、前記コントローラは、液体材料が前記チューブに供給されるときに前記チューブにパルス状のパワーの供給を行う前記スイッチング機構に動作可能に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記流路は、セラミックラミネイト内の通路によって規定され、前記ヒータ機構は、前記流路に沿って配置された抵抗ヒータを備え、直流電源が一対の導線を介して前記ヒータに電気的に接続され、スイッチング機構が前記電源から前記ヒータへの直流電流の流れを遮断するように動作可能であり、前記コントローラは、液体材料が前記ヒータに供給されるときに前記ヒータにパワーの供給を行う前記スイッチングに動作可能に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記少なくとも1つの流路は、複数の流路を有し、前記少なくとも1つのヒータ機構は、複数のヒータ機構を備え、前記流路の各々は、前記ヒータ構成のうちの1つと結合され、前記ヒータ機構は、前記コントローラによって選択的に動作可能であり、前記流路の各々は、同じ又は異なる液体材料が供給され、前記流路の出口は、多岐管に向けられていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項17】
請求項1に記載の装置を動作させる方法であって、
前記流路内で液体材料を蒸発させるのに十分な温度に対応する目標パラメータを選択する工程と、
前記流路に前記液体材料を供給する工程と、
前記ヒータ機構にエネルギを与える工程と、
前記ヒータ機構の抵抗加熱要素のモニタされたパラメータを周期的に決定する工程と、
前記モニタされたパラメータを前記目標パラメータと比較する工程と、
前記モニタされたパラメータが前記目標パラメータ以下の場合に、前記抵抗加熱要素にパワーを供給する工程と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項18】
前記モニタされた抵抗を周期的に決定する前記工程では、分流器にかかる電圧降下を測定し、前記抵抗加熱要素にかかる電圧降下を測定する工程を含むことを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記抵抗加熱要素は、1〜100ミリ秒のデューティサイクルを有するパルスでパワーが供給されることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記目標パラメータは目標抵抗であり、前記モニタされたパラメータはモニタされた抵抗であることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記コントローラは、前記流路に前記液体材料を供給する継続時間を制御するように動作可能であることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項22】
前記流路は、ステンレス鋼チューブの内径によって規定され、前記ヒータ機構は、前記チューブ上に軸方向に間隔が開けらた位置に取り付けられた一対の導線を備え、直流電源が前記一対の導線に電気的に接続され、スイッチング機構が前記電源から前記チューブへの直流電流の流れを遮断するように動作可能であり、前記コントローラは、液体材料が前記チューブに供給されるときに前記チューブにパルス状のパワーの供給を行う前記スイッチング機構に動作可能に接続されていることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項23】
前記流路は、セラミックラミネイト内の通路によって規定され、前記ヒータ機構は、前記流路に沿って配置された抵抗ヒータを備え、直流電源が一対の導線を介して前記ヒータに電気的に接続され、スイッチング機構が前記電源から前記ヒータへの直流電流の流れを遮断するように動作可能であり、前記コントローラは、液体材料が前記ヒータに供給されるときに前記ヒータにパワーを供給する前記スイッチング機構を動作させることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項24】
前記少なくとも1つの流路は、複数の流路を有し、前記少なくとも1つのヒータ機構は、複数のヒータ機構を備え、前記流路の各々は、前記ヒータ構成のうちの1つと結合され、前記ヒータ機構は、前記コントローラによって選択的に動作可能であり、前記流路の各々は、同じか又は異なる液体材料が供給され、前記流路の出口は、多岐管機構に向けられていることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項25】
蒸発した材料を発生する装置であって、
出口を有する少なくとも1つの流路と、
前記流路に液体材料を供給するように動作可能な液体供給部と、
前記蒸発した材料が前記流路の前記出口から外に広がるように、前記流路内の液体の材料を蒸発させるのに十分な温度まで前記流路を加熱するように構成された少なくとも1つのヒータであって、前記蒸発した材料が随意的に空気と混合してエーロゾルを形成するヒータと、
前記流路の前記出口と流体的に伝達する第1の流路と、
前記流路の前記出口と流体的に伝達する第2の流路であって、前記第1の流路とは異なる第2の流路と、
前記流路の前記出口と流体的に伝達する第1のバルブと、
前記蒸発した材料又はエーロゾルが、(i)前記ヒータが不適合な条件にある場合には、前記第1の流路を通って流れ、(ii)前記ヒータが適合な条件にある場合には、前記第2の流路を通って流れるように、前記第1のバルブの動作を制御するように動作可能なコントローラと、
を備えることを特徴とする装置。
【請求項26】
前記第1の流路と流体的に伝達するポンプを更に備え、前記蒸発した材料又はエーロゾルは、前記ヒータが不適合な条件にある場合には、前記第1のバルブによって前記ポンプに向けられることを特徴とする請求項25に記載の装置。
【請求項27】
前記ポンプは、前記蒸発した材料又はエーロゾルにフィルタをかけるフィルタを備え、前記ポンプは、フィルタされた空気を環境に排出することを特徴とする請求項26に記載の装置。
【請求項28】
出口を有するマウスピースであって、前記第2の流路と流体的に伝達するマウスピースと、
前記マウスピースと流体的に伝達する圧力センサと、
を更に備え、
前記圧力センサは、ユーザが前記マウスピースの前記出口の上で吸入した場合に、前記コントローラに少なくとも1つの信号を出力することを特徴とする請求項25に記載の装置。
【請求項29】
前記コントローラは、前記圧力センサが前記マウスピース内で閾値圧力降下を検出した場合に、前記蒸発した材料又はエアゾールが前記第2の流路を通って前記マウスピースに流れ込むように、前記第1のバルブの動作を制御するように動作可能であることを特徴とする請求項28に記載の装置。
【請求項30】
前記コントローラは、前記蒸発した材料又はエアゾールが前記第2の流路を通って、選択された期間の間、前記マウスピースに流れ込むように、前記第1のバルブの動作を制御するように動作可能であることを特徴とする請求項29に記載の装置。
【請求項31】
前記コントローラは、該コントローラが前記圧力センサから前記閾値圧力降下が所定の時間間隔の後に検出されたことを示す信号を受信しない場合には、前記ヒータによって蒸発した材料の形成が終了するようにプログラムされることを特徴とする請求項29に記載の装置。
【請求項32】
前記コントローラは、所定の時間間隔の範囲内で、該コントローラが前記圧力センサから前記閾値圧力降下が検出されたことを示す信号を受信する場合には、前記ヒータによって蒸発した材料の形成を継続するように動作可能であることを特徴とする請求項29に記載の装置。
【請求項33】
前記マウスピースと流体的に伝達する第2のバルブを更に備え、前記コントローラは、空気の流れを前記マウスピースに向ける第2のバルブの動作を制御するように動作可能であることを特徴とする請求項28に記載の装置。
【請求項34】
前記コントローラは、前記ヒータ及び前記液体供給部の動作を制御するようにプログラムされ、
前記装置は、更に、
前記コントローラにヒータ性能データを供給するように動作可能なモニタリング機構であって、所望の温度範囲に前記ヒータを維持するために、前記ヒータにパワーを供給するか、又は、前記ヒータへのパワーを遮断するように、該データが前記コントローラによって用いられるモニタリング機構と、
前記装置に関連したパラメータを格納するように動作可能なメモリと、
を備えることを特徴とする請求項25に記載の装置。
【請求項35】
前記ヒータは、少なくとも1つの抵抗ヒータであることを特徴とする請求項25に記載の装置。
【請求項36】
前記ヒータの前記適合な条件は、定常状態の抵抗値であることを特徴とする請求項35に記載の装置。
【請求項37】
前記ヒータの前記適合な条件は、前記流路の選択された温度範囲であることを特徴とする請求項25に記載の装置。
【請求項38】
前記装置は、前記蒸発した材料が空気と混合して前記エアゾールを形成するように構成された空気供給部を含むことを特徴とする請求項25に記載の装置。
【請求項39】
請求項25に記載の装置を動作させる方法であって、
前記流路に液体材料を供給する工程と、
前記蒸発した材料が前記流路の前記出口から外に広がるように、前記ヒータを用いて前記流路内の前記液体材料を加熱する工程と、
前記蒸発した材料を空気と随意的に混合してエアゾールを形成する工程と、
前記ヒータをモニタする工程と、
前記蒸発した材料又はエーロゾルが、(i)前記ヒータが不適合な条件にある場合には、前記第1の流路を通って流れ、(ii)前記ヒータが適合な条件にある場合には、前記第2の流路を通って流れるように、前記第1のバルブの動作を制御する工程と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項40】
前記ヒータの前記適合な条件は、定常状態の抵抗値であることを特徴とする請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記ヒータの前記適合な条件は、前記流路の選択された温度範囲であることを特徴とする請求39に記載の方法。
【請求項42】
前記第1の流路を通って流れる前記蒸発した材料又はエアゾールをフィルタリングする工程と、空気を環境に排出する工程とを更に含むことを特徴とする請求項39に記載の方法。
【請求項43】
前記装置は、更に、
前記第2の流路と流体的に伝達するマウスピースと、
を更に備え、
前記方法は、前記マウスピース上でユーザが吸入した場合に、前記マウスピース内の圧力降下を検出する工程を更に含むことを特徴とする請求項39に記載の方法。
【請求項44】
前記圧力センサが前記マウスピース内で閾値圧力降下を検出した場合に、前記蒸発した材料が前記第2の流路を通って前記マウスピースに流れ込むように、前記コントローラを用いて前記第1のバルブの動作を制御する工程を更に含むことを特徴とする請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記蒸発した材料又はエアゾールが前記第2の流路を通って、選択された期間の間、前記マウスピースに流れ込むように、前記コントローラを用いて前記第1のバルブの動作を制御する工程を更に含むことを特徴とする請求項43に記載の方法。
【請求項46】
所定の時間間隔の後に、前記コントローラが前記圧力センサから前記閾値圧力降下が検出されたことを示す信号を受信しない場合には、前記ヒータによって蒸発した材料の形成が終了する工程を更に含むことを特徴とする請求項44に記載の方法。
【請求項47】
所定の時間間隔の範囲内で、前記コントローラが前記圧力センサから前記閾値圧力降下が検出されたことを示す信号を受信する場合には、前記ヒータによって蒸発した材料の形成を継続する工程を更に含むことを特徴とする請求項44に記載の方法。
【請求項48】
前記エアゾールを形成するために前記蒸発した材料を空気と混合する工程を更に含むことを特徴とする請求項39に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−22752(P2009−22752A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−177400(P2008−177400)
【出願日】平成20年7月7日(2008.7.7)
【分割の表示】特願2003−517685(P2003−517685)の分割
【原出願日】平成14年7月29日(2002.7.29)
【出願人】(505416441)フィリップ モーリス ユーエスエー インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】