説明

蓄冷部材

【課題】 冷却用容器(蓄冷部材)がク−ラ−ボックス内部に容易に取り付けられる蓄冷部材を提供することである。
【解決手段】 蓄冷部材1は、2枚の合成樹脂シ−トの周囲を溶着して形成した袋からなる収納体2の内部に収納部2aが形成されて収納部2a内にゲル状の水溶性ポリマ−からなる保冷剤3を密閉して収納体2に吸盤4が取り付けられて構成され、蓄冷部材1はク−ラ−ボックス5等の内部に吸盤4で吸着されている。
収納体2の周縁部2bを溶着して収納部2aに保冷剤3を密閉収納すると、収納部2aが形成された中央側が膨出し周縁部2bに中央部に比べて薄肉の突片2cが形成され、この突片2cに貫通孔2dを設け、この貫通孔2dを介して吸盤4が取り付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ク−ラ−ボックス等の内部に取り付ける蓄冷部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から魚釣りやスポ−ツ、レジャ−においてク−ラ−ボックスに収納したものの冷却状態を維持するために蓄冷部材が用いられている。
これらの多くは、合成樹脂の袋または容器にゲル状の水溶性ポリマ−を密閉したもので、これを冷蔵庫等で冷却し、凍った状態でク−ラ−ボックスに収納して持参していた。
ところが、出かけるときにク−ラ−ボックスに何も収納していないことが多く、蓄冷部材がク−ラ−ボックス内部で移動しやすい。
しかも、蓄冷部材は凍って固く、ク−ラ−ボックスが傾くたびに内部で移動し、内壁にぶつかることでク−ラ−ボックスの内壁を傷めてしまい、時には内壁にヒビが入って水漏れの原因になっていた。
容器内に冷却用容器(蓄冷部材)を着脱自在に取り付けた保冷容器が特許文献1で紹介されているが、この保冷容器は蓋体に設けた取り付け用ベルトで取り付けるようになっており、このベルトによる取り付けに適した冷却用容器でないと取り付けができない。
しかも、ク−ラ−ボックスの多くは収納部を形成する容器本体内部は洗浄しやすいように滑面状に形成されており、冷却用容器の取り付け装置等が設けられていないため、容器本体内部に移動を規制して取り付けることができなかった。
【特許文献1】実開昭54−57572号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
解決しようとする問題点は、特許文献1の冷却用容器(蓄冷部材)取付構造では、取り付け用ベルトによる取り付けに適した冷却用容器でないと取り付けができないことである。
【0004】
本発明の目的は前記欠点に鑑み、冷却用容器(蓄冷部材)がク−ラ−ボックス内部に容易に取り付けられる蓄冷部材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1は、吸盤を有し、該吸盤にてク−ラ−ボックス等の内部に取り付け可能な蓄冷剤を収納した収納体からなることを要旨とするものである。
本発明の請求項2は、吸盤は収納体に設けた孔に係合して取り付けたことを要旨とするものである。
本発明の請求項3は、吸盤は収納体に設けた孔に回動可能に係合していることを要旨とするものである。
本発明の請求項4は、収納体は蓄冷剤の収納部を貫通する孔を有し、吸盤を前記孔を介して取り付けたことを要旨とするものである。
本発明の請求項5は、収納体に周縁部に突片が形成され、前記突片は孔を有し、吸盤は前記突片の孔を介して取り付けられていることを要旨とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、蓄冷部材をク−ラ−ボックス内部に移動を規制して容易に取り付けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
蓄冷部材1は、2枚の合成樹脂シ−トの周囲を溶着して形成した袋からなる収納体2の内部に収納部2aが形成されて収納部2a内にゲル状の水溶性ポリマ−からなる保冷剤3を密閉して収納体2に吸盤4が取り付けられて構成され、蓄冷部材1はク−ラ−ボックス5等の内部に吸盤4で吸着されている。
収納体2の周縁部2bにシ−トの合わせ部が突片状に突出しており、周縁部2bを溶着して収納部2aに保冷剤3を密閉収納すると、収納部2aが形成された中央側が膨出し周縁部2bに中央部に比べて薄肉の突片2cが形成される。
この突片2cに貫通孔2dを設け、この貫通孔2dを介して吸盤4が取り付けられる。
【実施例1】
【0008】
以下、図示の実施例によって本発明を説明すると、図1、図2は第1実施例で、図1はク−ラ−ボックス等の内部に吸盤で蓄冷部材が取り付けられた断面側面図、図2(a)は蓄冷部材の斜視図で(b)は蓄冷部材の断面側面図である。
【0009】
蓄冷部材1は、2枚の合成樹脂シ−トの周囲を溶着して形成した袋からなる収納体2の内部に収納部2aが形成されて収納部2a内にゲル状の水溶性ポリマ−からなる保冷剤3を密閉して収納体2に吸盤4が取り付けられて構成され、蓄冷部材1はク−ラ−ボックス5等の内部に吸盤4で吸着されている。
収納体2は2枚の合成樹脂シ−ト6、7の周囲を溶着して形成した袋で、内部に保冷剤3の収納部2aが形成されてその周縁部2bにシ−トの合わせ部が突片状に突出しており、周縁部2bを溶着して収納部2aに保冷剤3を密閉収納すると、収納部2aが形成された中央側が膨出し周縁部2bに中央部に比べて薄肉の突片2cが形成される。
この突片2cに貫通孔2dを設け、この貫通孔2dを介して吸盤4が取り付けられる。
吸盤4は柔軟性を有する合成樹脂で形成され、一側端に皿状の吸着部4aを有し、その他端側に突起状の係合部が形成され、係合部は軸部4bと先端に抜け止めとなる太径のヘッド部4cを有している。
貫通孔2dには吸盤4の軸部4bが通されてヘッド部4cで抜け止めされている。
ク−ラ−ボックス5は本体5aと蓋体5bからなり、夫々周囲に保温材8が充填されている。
【0010】
収納体2に吸盤4が取り付けられる時は、吸盤4のヘッド部4cを周縁部2bの貫通孔2dに周縁部2bを形成する合成樹脂シ−ト6、7の柔軟性を利用して孔径を押し広げながら差し込んで軸部4bを貫通させて取り付ける。
広がった貫通孔2dが元の大きさに復元するとヘッド部が開口周辺に当り抜け止めとなって吸盤4が係合される。
ク−ラ−ボックス5の内部に蓄冷部材1が取り付けられる時は、本体5a内部の底面に吸盤4の吸着部4aを押し付けて止着する他、内面の側面や蓋体5bの適宜位置に吸盤4の吸着部4aを押し付けて止着することで保冷効果を向上し、収納物に触れにくくすることができる。
蓄冷部材1の取り付け位置は収納した魚が触れないようにすると、いわゆる冷凍やけが防止できる。
吸盤4は貫通孔2dに回動可能に係合しているため、吸盤4をク−ラ−ボックス5内部に取り付けてから吸盤4を中心に収納体2を回動して蓄冷部材1を取り付ける位置や方向を調節できる。
収納体2の周縁部2bの突片2cは一端側に設けたり、図で上下や左右の対向側に設けたり、また、一周するように設けてもよい。
また、貫通孔2dおよび吸盤4は1個でもよいが、複数個設けることが好ましい。
【0011】
前記のように蓄冷部材1が構成されると、ク−ラ−ボックス5の内部に蓄冷部材1の移動を規制して取り付けることができ、蓄冷部材1がク−ラ−ボックス5内部で移動して内壁にぶつかることで内壁を傷めてしまい破損することが防止される。
【実施例2】
【0012】
図3、図4は第2実施例で、図3はク−ラ−ボックス等の内部に吸盤で蓄冷部材が取り付けられた断面側面図、図4(a)は蓄冷部材の斜視図で(b)は蓄冷部材の断面側面図である。
【0013】
第2実施例では、蓄冷部材1は合成樹脂をブロ−成型で形成した容器からなる収納体2′の内部に収納部2eが形成されて収納部2e内にゲル状の水溶性ポリマ−からなる保冷剤3を密閉して収納体2′に吸盤4が取り付けられて構成され、蓄冷部材1はク−ラ−ボックス5等の内部に吸盤4で吸着されている。
ブロ−成型によって収納体2′を形成した時は、収納体2′の中に柱状体2fが架け渡されて柱状体2fに貫通孔2gが形成されている。
このような収納体2′は、保形性が高く繰り返しの使用が可能となる。
この場合前記第1実施例の合成樹脂シ−ト6、7の収納体2に設けた吸盤4よりも軸部が長いものが用いられ、貫通孔2gに差し込んで止着される。
しかし、この場合、吸盤4の軸部が係合可能な凹凸を有して分離するようにし、例えば雄ネジと雌ネジが形成され、貫通孔の両側から取り付けるようにしてもよい。
他の構成は前記第1実施例と略同一である。
【実施例3】
【0014】
図5は第3実施例で、図5は蓄冷部材の断面側面図である。
【0015】
第3実施例では、収納体2の2枚の合成樹脂シ−ト6、7の内側のシ−ト6に別体のシ−ト9の周辺を溶着して取り付け別体のシ−ト9の貫通孔9aに吸盤4が回動自在に止着される。
周辺の吸盤4は収納体2が柔軟性を有して形成されているため、中央の吸盤4をク−ラ−ボックスの内壁に吸着した後、上下の突片2cが変形して周辺の吸盤4もク−ラ−ボックスの内壁に吸着する。
又、周辺の吸盤4の軸部の長さを長くすれば3つの吸盤4は同時に吸着することができる。
別体のシ−ト9に吸盤4が止着された蓄冷部材1が使用される時は、予め中央の吸盤4をク−ラ−ボックス等の内部に止着した後収納体2を取り付けてもよい。
他の構成は前記第1実施例と略同一である。
【産業上の利用可能性】
【0016】
本発明は蓄冷部材全般に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1実施例で、ク−ラ−ボックス等の内部に吸盤で蓄冷部材が取り付けられた断面側面図である。
【図2】同(a)は蓄冷部材の斜視図で(b)は蓄冷部材の断面側面図である。
【図3】第2実施例で、ク−ラ−ボックス等の内部に吸盤で蓄冷部材が取り付けられた断面側面図である。
【図4】同(a)は蓄冷部材の斜視図で(b)は蓄冷部材の断面側面図である。
【図5】第3実施例で、蓄冷部材の断面側面図である。
【符号の説明】
【0018】
1 蓄冷部材
2、2′ 収納体
2a、2e 収納部
2b 周縁部
2c 突片
2d、2g、9a 貫通孔
3 保冷剤
4 吸盤
5 ク−ラ−ボックス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸盤を有し、該吸盤にてク−ラ−ボックス等の内部に取り付け可能な蓄冷剤を収納した収納体からなることを特徴とする蓄冷部材。
【請求項2】
吸盤は収納体に設けた孔に係合して取り付けたことを特徴とする請求項1記載の蓄冷部材。
【請求項3】
吸盤は収納体に設けた孔に回動可能に係合していることを特徴とする請求項2記載の蓄冷部材。
【請求項4】
収納体は蓄冷剤の収納部を貫通する孔を有し、吸盤を前記孔を介して取り付けたことを特徴とする請求項2または3記載の蓄冷部材。
【請求項5】
収納体は周縁部に突片が形成され、前記突片は孔を有し、吸盤は前記突片の孔を介して取り付けられていることを特徴とする請求項2または3記載の蓄冷部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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