説明

蓄熱式ガス処理装置

【課題】 蓄熱式ガス処理装置において、装置構造を簡略化しながら高いシール機能を得る。
【解決手段】 切換弁体11の回転に伴い、分配器10側に形成の給排口16の各々に対し切換弁体11側に形成の被処理ガス用の供給口33と処理済ガス用の排出口35とを順次に対向連通させることで、一端側を燃焼室6に連通させた複数の蓄熱室3に対し被処理ガスGと処理済ガスG′とを順次に通過させる蓄熱式ガス処理装置において、切換弁体11を分配器10に対する遠近方向での変位が自在な状態に支持し、気室器13に対しては非作用の状態で切換弁体11を分配器10の側へ押圧する切換弁体用の付勢手段44Aを設けてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は汚染物質を含む排ガスの浄化処理や悪臭物質を含む排ガスの脱臭処理などに用いる蓄熱式ガス処理装置に関し、詳しくは(図6,図9参照)、
蓄熱材5aを収容した複数の蓄熱室3を設け、燃焼手段7を備える燃焼室6に前記蓄熱室3それぞれの一端を連通させ、
分配器10と気室器13との間に、前記分配器10と前記気室器13とのそれぞれに対する摺接状態で回転させる切換弁体11を設け、前記蓄熱室3それぞれの他端に対し個別に連通させた複数の給排口16を前記切換弁体11の回転方向に並べて前記分配器10に形成し、
前記切換弁体11の回転に伴い前記給排口16に対し順次に対向連通させる被処理ガス用の供給口33と処理済ガス用の排出口35とを、それら供給口33と排出口35とが同一の前記給排口16に対して同時に対向連通しない状態に配置して前記切換弁体11に形成し、
前記気室器13を介してガス供給路39を前記切換弁体11における前記供給口33に連通させる、又は、前記気室器13を介してガス排出路40を前記切換弁体11における前記排出口35に連通させる構成にするとともに、
前記分配器10と前記切換弁体11との間の隙間を通じての前記供給口33と前記排出口35との連通を遮断する分配器側のシール部材17を、前記分配器10と前記切換弁体11との間に介装、又は、前記気室器13と前記切換弁体11との間の隙間を通じてのガス漏出を阻止する気室器側のシール部材25を、前記気室器13と前記切換弁体11との間に介装し、
前記切換弁体11の回転に伴い、前記ガス供給路39から前記切換弁体11に導入される被処理ガスGを前記供給口33を通じて前記分配器10の側へ供給し、かつ、前記分配器10の側から前記排出口35を通じて前記切換弁体11へ排出される処理済ガスG′をガス排出路40へ導出する構造にしてある蓄熱式ガス処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の蓄熱式ガス処理装置では(同図6,図9参照)、ガス供給路39から切換弁体11に導入される被処理ガスGを、切換弁体11の供給口33及びそれに対向連通の給排口16を通じ一部の蓄熱室3に通過させて燃焼室6に至らせ、この燃焼室6において被処理ガスG中の汚染物質や悪臭物質などを燃焼により処理している。
【0003】
また、処理済ガスG′は他の蓄熱室3に通過させて、その蓄熱室3の収容蓄熱材5aに対し蓄熱を行わせ、その後、その蓄熱室3に対する給排口16及びそれに対向連通の排出口35を通じ切換弁体11を通過させて、ガス排出路40へ導出している。
【0004】
そして、この処理において切換弁体11を回転させることで、切換弁体11の供給口33及び排出口35のそれぞれを対向連通させる給排口16を順次に切り換え(すなわち、被処理ガスGを通過させる蓄熱室3、及び、処理済ガスG′を通過させる蓄熱室3を順次に切り換え)、これにより、処理済ガスG′の通過をもって先に蓄熱した蓄熱材5aにより被処理ガスGを各蓄熱室3の通過過程で予熱するようにして、熱効率の向上を図っている。
【0005】
また、この種の蓄熱式ガス処理装置では、分配器10と切換弁体11との間の隙間を通じての供給口33と排出口35との連通をシール部材17(分配器側のシール部材)により遮断することで、分配器10の側から切換弁体11の排出口35へ排出される処理済ガスG′に供給口通過の被処理ガスGが混入するのを防止したり、気室器13と切換弁体11との間の隙間を通じてのガスの漏洩を気室器側シール部材25により阻止することで、切換弁体11の排出口35へ排出される処理済ガスG′に供給口33から導入された被処理ガスGが混入するのを防止したりしている。
【0006】
ところで、従来、切換弁体11と分配器10との間に介装する分配器側シール部材17による連通遮断(すなわち、シール)については、分配器側シール部材17を弾性体などの付勢具に取り付けた状態で分配器10の側に装備し、この付勢具により分配器側シール部材17を切換弁体11の側へ押圧することで、分配器側シール部材17を切換弁体11に対し確実に圧接させ、切換弁体11と気室器13との間に介装する気室器側シール部材25による連通遮断については、気室器側シール部材25を弾性体などの付勢具に取り付けた状態で気室器13の側に装備し、この付勢具により気室器側シール部材25を切換弁体11の側へ押圧することで、気室器側シール部材25を切換弁体11に対し確実に圧接させて、それら両シール部材17,25によるシール性を高めるようにしたものが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2001−74225
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記の如く分配器側シール部材17を付勢具に取り付けた状態で分配器10の側に装備する構造では、分配器10の側において、分配器10と分配器側シール部材17との間の気密性も保ちながら切換弁体11に対する遠近方向での分配器側シール部材17単体の変位を許す構造が必要になり、このため、装置構造が複雑化し、装置の製作が難しくなる問題があった。
【0008】
また、分配器側シール部材17が単体で変位するので、その変位動作にガタツキを生じ易く、そのことで却ってシール性の低下を招く問題もあった。
【0009】
同様に、気室器側シール部材25を付勢具に取り付けた状態で気室器13の側に装備する構造では、気室器13の側において、気室器13と気室器側シール部材25との間の気密性も保ちながら切換弁体11に対する遠近方向での気室器側シール部材25単体の変位を許す構造が必要になり、このため、装置構造が複雑化し、装置の製作が難しくなり、そして、気室器側シール部材25が単体で変位するので、その変位動作にガタツキを生じ易く、そのことで却ってシール性の低下を招く問題もあった。
【0010】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、合理的な改良をもって上記問題を効果的に解消する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
〔1〕本発明に係る蓄熱式ガス処理装置の第1特徴構成は、
蓄熱材を収容した複数の蓄熱室を設け、燃焼手段を備える燃焼室に前記蓄熱室それぞれの一端を連通させ、
分配器と気室器との間に、前記分配器と前記気室器とのそれぞれに対する摺接状態で回転させる切換弁体を設け、前記蓄熱室それぞれの他端に対し個別に連通させた複数の給排口を前記切換弁体の回転方向に並べて前記分配器に形成し、
前記切換弁体の回転に伴い前記給排口に対し順次に対向連通させる被処理ガス用の供給口と処理済ガス用の排出口とを、それら供給口と排出口とが同一の前記給排口に対して同時に対向連通しない状態に配置して前記切換弁体に形成し、
前記気室器を介してガス供給路を前記切換弁体における前記供給口に連通させる、又は、前記気室器を介してガス排出路を前記切換弁体における前記排出口に連通させる構成にするとともに、
前記分配器と前記切換弁体との間の隙間を通じての前記供給口と前記排出口との連通を遮断する分配器側のシール部材を、前記分配器と前記切換弁体との間に介装し、
前記切換弁体の回転に伴い、前記ガス供給路から前記切換弁体に導入される被処理ガスを前記供給口を通じて前記分配器の側へ供給し、かつ、前記分配器の側から前記排出口を通じて前記切換弁体へ排出される処理済ガスをガス排出路へ導出する構造にしてある蓄熱式ガス処理装置において、
前記切換弁体を前記分配器に対する遠近方向での変位が自在な状態に支持し、前記気室器に対しては非作用の状態で前記切換弁体を前記分配器の側へ押圧する切換弁体用の付勢手段を設けてある点にある。
【0012】
つまり、この構成であれば、切換弁体用の付勢手段による分配器の側への切換弁体の押圧により、切換弁体と分配器との間に介装の分配器側シール部材を、切換弁体により押圧する形態で切換弁体や分配器に対し圧接(すなわち、分配器側シール部材を分配器の側に装備する場合では切換弁体に対して圧接、一方、分配器側シール部材を切換弁体の側に装備する場合では分配器に対して圧接)させることができる。
【0013】
このように切換弁体の押圧をもって分配器側シール部材を切換弁体や分配器に圧接させる方式を採ることにより、先述の従来装置の如く、分配器側シール部材を分配器の側に装備する場合において、分配器と分配器側シール部材との間の気密性も保ちながら切換弁体に対する遠近方向での分配器側シール部材単体の変位を許す構造が分配器の側で必要になるといったことや、逆に分配器側シール部材を切換弁体の側に装備する場合において、切換弁体と分配器側シール部材との間の気密性も保ちながら分配器に対する遠近方向での分配器側シール部材単体の変位を許す構造が切換弁体の側で必要になるといったことを回避でき、分配器側シール部材を分配器ないし切換弁体に対し固定的に装備する簡易な構造を採りながら、切換弁体用付勢手段の付勢力をもって分配器側シール部材を切換弁体や分配器に対し適切に圧接させることができる。
【0014】
そして、切換弁体を押圧する構造は簡易なもので済むことから、先述の従来装置の如き装置構造の複雑化を回避できて、装置の製作を容易にすることができるとともに、分配器側シール部材単体での変位を許さないので、分配器側シール部材の変位動作にガタツキを生じることで却ってシール性の低下を招くといった問題も効果的に回避できて、高いシール性を確実かつ安定的に得ることができる。
【0015】
また、上記の如く切換弁体用付勢手段の付勢力をもって分配器側シール部材を切換弁体や分配器に対し圧接させることにより、低弾性のシール部材を用いながらも高いシール性を得ることができることから、従前に比べ低弾性で耐磨耗性及び耐熱性に優れたシール部材や低弾性で熱膨張率の小さなシール部材の使用が可能になり、このことで、分配器側シール部材の交換頻度を効果的に低減し得るとともに、熱対応性の面からもシール性を一層効果的に高めることができる。
【0016】
更に、切換弁体用付勢手段によって切換弁体を分配器に対して押圧することにより分配器側シール部材を切換弁体や分配器に対し圧接させることにより、所要のシール性を得るのに要する装置の製作精度も低くすることができ、この点からも装置の製作を一層容易にすることができる。
【0017】
ちなみに、分配器と気室器との間に分配器と気室器とのそれぞれに対する摺接状態で回転させる切換弁体を設けた構造において、分配器と切換弁体の間に介装の分配器側シール部材を分配器又は切換弁体に対して圧接する別方式としては、付勢手段により気室器を切換弁体の側へ付勢して気室器を切換弁体の側へ押圧することで、切換弁体を分配器の側に付勢する(つまり、付勢手段が気室器を介して切換弁体を分配器の側に付勢する)構成が考え得るが、そのような構成だと、気室器を介するため、分配器又は切換弁体に対して分配器側シール部材を適切な力で圧接するように付勢手段の付勢力を調整するのが困難であった。
【0018】
しかしながら、この第1特徴構成であれば、切換弁体用付勢手段の付勢力が気室器に対しては非作用の状態で切換弁体を押圧している(換言すれば、切換弁体は気室器を介さずに切換弁体用付勢手段によって独立的に分配器の側に押圧されている)ので、上記別方式(付勢手段が気室器を介して切換弁体を分配器の側に付勢する方式)に比べて、切換弁体又は分配器に対して分配器側シール部材を適切な力(例えば、十分な気密性を有しながら耐磨耗性について最も有利となる力)で圧接するように切換弁体用付勢手段の付勢力を調整するのが容易となり、これによって、より一層分配器側シール部材の交換頻度を効果的に低減し得るとともに、シール性をより効果的に高めることができる。
【0019】
また、例えば、図9に示すように、上から分配器、切換弁体、気室器の順で上下方向に並設されている装置においても、切換弁体用付勢手段によって独立的に切換弁体が上方の分配器の側に押圧されているので、切換弁体の重量が気室器にかかることがなく、気室器を軽量で強度の低いものにすることも可能となり、これによって、装置全体における軽量化及び装置の製造コストの低廉化も図ることができる。
【0020】
なお、第1特徴構成の実施においては、分配器側のシール部材を分配器の側に装備する構造、あるいは、切換弁体の側に装備する構造のいずれを採用してもよい。
【0021】
また、気室器を介してガス供給路を切換弁体における供給口に連通させる構造、あるいは、気室器を介してガス排出路を切換弁体における排出口に連通させる構造のいずれを採ってもよい。
【0022】
〔2〕本発明に係る蓄熱式ガス処理装置の第2特徴構成は、前記第1特徴構成の実施において、
前記気室器と前記切換弁体との間の隙間を通じてのガス漏出を阻止する気室器側のシール部材を、前記気室器と前記切換弁体との間に介装し、
前記気室器を前記切換弁体に対する遠近方向での変位が自在な状態に支持し、前記気室器を前記切換弁体の側へ押圧する気室器用の付勢手段を設けてある点にある。
【0023】
つまり、この第2特徴構成によれば、分配器と気室器との間に分配器と気室器とのそれぞれに対する摺接状態で回転させる切換弁体を設けた構造において、切換弁体用付勢手段により切換弁体を分配器の側へ押圧し、気室器用の付勢手段により気室器を切換弁体の側へ押圧するので、切換弁体用付勢手段により切換弁体と分配器との間に介装の分配器側シール部材を、切換弁体で押圧する形態で切換弁体や分配器に対し圧接(分配器側シール部材を分配器の側に装備する場合では切換弁体に対して圧接、分配器側シール部材を切換弁体の側に装備する場合では分配器に対して圧接)させるのとは別に、気室器用付勢手段により気室器と切換弁体との間に介装の気室器側シール部材を、気室器で押圧する形態で切換弁体や気室器に対し圧接(気室器側シール部材を気室器の側に装備する場合では切換弁体に対して圧接、気室器側シール部材を切換弁体の側に装備する場合では気室器に対して圧接)させることができる。
【0024】
このように気室器の押圧をもって気室器側シール部材を切換弁体や気室器に圧接させる方式を採ることにより、先述の従来装置の如く、気室器側シール部材を気室器の側に装備する場合において、気室器と気室器側シール部材との間の気密性も保ちながら切換弁体に対する遠近方向での気室器側シール部材単体の変位を許す構造が気室器の側で必要になるといったことや、逆に気室器側シール部材を切換弁体の側に装備する場合において、切換弁体と気室器側シール部材との間の気密性も保ちながら気室器に対する遠近方向での気室器側シール部材単体の変位を許す構造が切換弁体の側で必要になるといったことを回避でき、気室器側シール部材を気室器ないし切換弁体に対し固定的に装備する簡易な構造を採りながら、気室器用付勢手段の付勢力をもって気室器側シール部材を切換弁体や気室器に対し適切に圧接させることができる。
【0025】
そして、気室器を押圧する構造は簡易なもので済むことから、先述の従来装置の如き装置構造の複雑化を回避できて、装置の製作を容易にすることができるとともに、気室器側シール部材単体での変位を許さないので、気室器側シール部材の変位動作にガタツキを生じることで却ってシール性の低下を招くといった問題も効果的に回避できて、高いシール性を確実かつ安定的に得ることができる。
【0026】
また、上記の如く切換弁体用付勢手段の付勢力をもって分配器側シール部材を切換弁体や分配器に対し圧接させるとともに、気室器用付勢手段の付勢力をもって気室器側シール部材を気室器や切換弁体に対し圧接させることで、分配器側シール部材だけでなく気室器側シール部材においても、低弾性のシール部材を用いながらも高いシール性を得ることができることから、従前に比べ低弾性で耐磨耗性及び耐熱性に優れたシール部材や低弾性で熱膨張率の小さなシール部材の使用が可能になり、このことで、両シール部材の交換頻度を効果的に低減し得るとともに、熱対応性の面からもシール性を一層効果的に高めることができる。
【0027】
更に、気室器用付勢手段によって気室器を切換弁体に対して押圧することにより気室器側シール部材を切換弁体や気室器に対し圧接させることにより、所要のシール性を得るのに要する装置の製作精度も低くすることができ、この点からも装置の製作を一層容易にすることができる。
【0028】
そして、この第2特徴構成によれば、切換弁体を分配器の側へ押圧する付勢手段(切換弁体用付勢手段)と気室器を切換弁体の側へ押圧する付勢手段(気室器用付勢手段)とが各別に設けられ、それら各付勢手段によって切換弁体と気室器とが各別に支持されながらそれぞれ分配器の側、切換弁体の側に押圧されているので、第1特徴構成で記述した別方式(付勢手段により気室器を切換弁体の側へ付勢することで切換弁体を分配器の側に付勢する方式)では、付勢手段の付勢力を気室器の切換弁体の側への押圧と切換弁体の分配器の側への押圧とに作用させてあるのに比べ、分配器側シール部材及び気室器側シール部材をそれぞれ分配器又は切換弁体、気室器又は切換弁体に対して適切な力(例えば、十分な気密性を有しながら耐磨耗性について最も有利となる力)で圧接するように各付勢手段の付勢力を調整することが容易となり、これによって、両シール部材の交換頻度をより一層効果的に低減し得るとともに、シール性をより効果的に高めることができる。
【0029】
また、切換弁体と気室器とのそれぞれを個別に付勢するため、気室器用付勢手段の付勢力を、第1特徴構成で記述した別方式(つまり、切換弁体と気室器とを1つの付勢手段で付勢する方式)における付勢手段の付勢力に比べて低弱化させることができるため、気室器を低強度で軽量の材質で製作することができ、これによって、装置全体の軽量化及び製造コストの低廉化を図ることができる。
【0030】
なお、第2特徴構成の実施においては、気室器側のシール部材を気室器の側に装備する構造、あるいは、切換弁体の側に装備する構造のいずれを採用してもよい。
【0031】
〔3〕本発明に係る蓄熱式ガス処理装置の第3特徴構成は、
蓄熱材を収容した複数の蓄熱室を設け、燃焼手段を備える燃焼室に前記蓄熱室それぞれの一端を連通させ、
分配器と気室器との間に、前記分配器と前記気室器とのそれぞれに対する摺接状態で回転させる切換弁体を設け、前記蓄熱室それぞれの他端に対し個別に連通させた複数の給排口を前記切換弁体の回転方向に並べて前記分配器に形成し、
前記切換弁体の回転に伴い前記給排口に対し順次に対向連通させる被処理ガス用の供給口と処理済ガス用の排出口とを、それら供給口と排出口とが同一の前記給排口に対して同時に対向連通しない状態に配置して前記切換弁体に形成し、
前記気室器を介してガス供給路を前記切換弁体における前記供給口に連通させる、又は、前記気室器を介してガス排出路を前記切換弁体における前記排出口に連通させる構成にするとともに、
前記気室器と前記切換弁体との間の隙間を通じてのガス漏出を阻止する気室器側のシール部材を、前記気室器と前記切換弁体との間に介装し、
前記切換弁体の回転に伴い、前記ガス供給路から前記切換弁体に導入される被処理ガスを前記供給口を通じて前記分配器の側へ供給し、かつ、前記分配器の側から前記排出口を通じて前記切換弁体へ排出される処理済ガスをガス排出路へ導出する構造にしてある蓄熱式ガス処理装置において、
前記切換弁体を前記気室器に対する遠近方向での変位が自在な状態に支持し、前記分配器に対しては非作用の状態で前記切換弁体を前記気室器の側へ押圧する切換弁体用の付勢手段を設けてある点にある。
【0032】
つまり、この構成であれば、切換弁体用の付勢手段による気室器の側への切換弁体の押圧により、切換弁体と気室器との間に介装の気室器側シール部材を、切換弁体により押圧する形態で切換弁体や気室器に対し圧接(すなわち、気室器側シール部材を気室器の側に装備する場合では切換弁体に対して圧接、一方、気室器側シール部材を切換弁体の側に装備する場合では気室器に対して圧接)させることができる。
【0033】
このように切換弁体の押圧をもって気室器側シール部材を切換弁体や気室器に圧接させる方式を採ることにより、先述の従来装置の如く、気室器側シール部材を気室器の側に装備する場合において、気室器と気室器側シール部材との間の気密性も保ちながら切換弁体に対する遠近方向での気室器側シール部材単体の変位を許す構造が気室器の側で必要になるといったことや、逆に気室器側シール部材を切換弁体の側に装備する場合において、切換弁体と気室器側シール部材との間の気密性も保ちながら気室器に対する遠近方向での気室器側シール部材単体の変位を許す構造が切換弁体の側で必要になるといったことを回避でき、気室器側シール部材を気室器ないし切換弁体に対し固定的に装備する簡易な構造を採りながら、切換弁体用付勢手段の付勢力をもって気室器側シール部材を切換弁体や気室器に対し適切に圧接させることができる。
【0034】
そして、切換弁体を押圧する構造は簡易なもので済むことから、先述の従来装置の如き装置構造の複雑化を回避できて、装置の製作を容易にすることができるとともに、気室器側シール部材単体での変位を許さないので、気室器側シール部材の変位動作にガタツキを生じることで却ってシール性の低下を招くといった問題も効果的に回避できて、高いシール性を確実かつ安定的に得ることができる。
【0035】
また、上記の如く切換弁体用付勢手段の付勢力をもって気室器側シール部材を切換弁体や気室器に対し圧接させることにより、低弾性のシール部材を用いながらも高いシール性を得ることができることから、従前に比べ低弾性で耐磨耗性及び耐熱性に優れたシール部材や低弾性で熱膨張率の小さなシール部材の使用が可能になり、このことで、気室器側シール部材の交換頻度を効果的に低減し得るとともに、熱対応性の面からもシール性を一層効果的に高めることができる。
【0036】
更に、切換弁体用付勢手段によって切換弁体を気室器に対して押圧することにより気室器側シール部材を切換弁体や気室器に対し圧接させることにより、所要のシール性を得るのに要する装置の製作精度も低くすることができ、この点からも装置の製作を一層容易にすることができる。
【0037】
ちなみに、分配器と気室器との間に分配器と気室器とのそれぞれに対する摺接状態で回転させる切換弁体を設けた構造において、気室器と切換弁体の間に介装の気室器側シール部材を気室器又は切換弁体に対して圧接する別方式としては、付勢手段により分配器を切換弁体の側へ付勢して分配器を切換弁体の側へ押圧することで、切換弁体を気室器の側に付勢する(つまり、付勢手段が分配器を介して切換弁体を気室器の側に付勢する)構成が考え得るが、そのような構成だと、分配器を介するため、気室器又は切換弁体に対して気室器側シール部材を適切な力で圧接するように付勢手段の付勢力を調整するのが困難であった。
【0038】
しかしながら、この第3特徴構成であれば、切換弁体用付勢手段の付勢力が分配器に対しては非作用の状態で切換弁体を押圧している(換言すれば、切換弁体は分配器を介さずに切換弁体用付勢手段によって独立的に気室器の側に押圧されている)ので、上記別方式(付勢手段が分配器を介して切換弁体を気室器の側に付勢する方式)に比べて、切換弁体又は気室器に対して気室器側シール部材を適切な力(例えば、十分な気密性を有しながら耐磨耗性について最も有利となる力)で圧接するように切換弁体用付勢手段の付勢力を調整するのが容易となり、これによって、より一層気室器側シール部材の交換頻度を効果的に低減し得るとともに、シール性をより効果的に高めることができる。
【0039】
また、例えば、上から気室器、切換弁体、分配器の順で上下方向に並設されている装置においても、切換弁体用付勢手段によって独立的に切換弁体が上方の気室器の側に押圧されているので、切換弁体の重量が分配器にかかることがなく、分配器を軽量で強度の低いものにすることも可能となり、これによって、装置全体における軽量化及び装置の製造コストの低廉化も図ることができる。
【0040】
なお、第3特徴構成の実施においては、気室器側シール部材を気室器の側に装備する構造、あるいは、切換弁体の側に装備する構造のいずれを採用してもよい。
【0041】
また、気室器を介してガス供給路を切換弁体における供給口に連通させる構造、あるいは、気室器を介してガス排出路を切換弁体における排出口に連通させる構造のいずれを採ってもよい。
【0042】
〔4〕本発明に係る蓄熱式ガス処理装置の第4特徴構成は、前記第3特徴構成の実施において、
前記分配器と前記切換弁体との間の隙間を通じての前記供給口と前記排出口との連通を遮断する分配器側のシール部材を、前記分配器と前記切換弁体との間に介装し、
前記分配器を前記切換弁体に対する遠近方向での変位が自在な状態に支持し、前記分配器を前記切換弁体の側へ押圧する分配器用の付勢手段を設けてある点にある。
【0043】
つまり、この第4特徴構成によれば、分配器と気室器との間に分配器と気室器とのそれぞれに対する摺接状態で回転させる切換弁体を設けた構造において、切換弁体用付勢手段により切換弁体を気室器の側へ押圧し、分配器用の付勢手段により分配器を切換弁体の側へ押圧するので、切換弁体用付勢手段により切換弁体と気室器との間に介装の気室器側シール部材を、切換弁体で押圧する形態で切換弁体や気室器に対し圧接(気室器側シール部材を気室器の側に装備する場合では切換弁体に対して圧接、気室器側シール部材を切換弁体の側に装備する場合では気室器に対して圧接)させるのとは別に、分配器用付勢手段により分配器と切換弁体との間に介装の分配器側シール部材を、分配器で押圧する形態で切換弁体や分配器に対し圧接(分配器側シール部材を分配器の側に装備する場合では切換弁体に対して圧接、分配器側シール部材を切換弁体の側に装備する場合では分配器に対して圧接)させることができる。
【0044】
このように分配器の押圧をもって分配器側シール部材を切換弁体や分配器に圧接させる方式を採ることにより、先述の従来装置の如く、分配器側シール部材を分配器の側に装備する場合において、分配器と分配器側シール部材との間の気密性も保ちながら切換弁体に対する遠近方向での分配器側シール部材単体の変位を許す構造が分配器の側で必要になるといったことや、逆に分配器側シール部材を切換弁体の側に装備する場合において、切換弁体と分配器側シール部材との間の気密性も保ちながら分配器に対する遠近方向での分配器側シール部材単体の変位を許す構造が切換弁体の側で必要になるといったことを回避でき、分配器側シール部材を分配器ないし切換弁体に対し固定的に装備する簡易な構造を採りながら、分配器用付勢手段の付勢力をもって分配器側シール部材を切換弁体や分配器に対し適切に圧接させることができる。
【0045】
そして、分配器を押圧する構造は簡易なもので済むことから、先述の従来装置の如き装置構造の複雑化を回避できて、装置の製作を容易にすることができるとともに、分配器側シール部材単体での変位を許さないので、分配器側シール部材の変位動作にガタツキを生じることで却ってシール性の低下を招くといった問題も効果的に回避できて、高いシール性を確実かつ安定的に得ることができる。
【0046】
また、上記の如く切換弁体用付勢手段の付勢力をもって気室器側シール部材を切換弁体や気室器に対し圧接させるとともに、分配器用付勢手段の付勢力をもって分配器側シール部材を分配器や切換弁体に対し圧接させることで、気室器側シール部材だけでなく分配器側シール部材においても、低弾性のシール部材を用いながらも高いシール性を得ることができることから、従前に比べ低弾性で耐磨耗性及び耐熱性に優れたシール部材や低弾性で熱膨張率の小さなシール部材の使用が可能になり、このことで、両シール部材の交換頻度を効果的に低減し得るとともに、熱対応性の面からもシール性を一層効果的に高めることができる。
【0047】
更に、分配器用付勢手段によって分配器を切換弁体に対して押圧することにより分配器側シール部材を切換弁体や分配器に対し圧接させることにより、所要のシール性を得るのに要する装置の製作精度も低くすることができ、この点からも装置の製作を一層容易にすることができる。
【0048】
そして、この第4特徴構成によれば、切換弁体を気室器の側へ押圧する付勢手段(切換弁体用付勢手段)と分配器を切換弁体の側へ押圧する付勢手段(分配器用付勢手段)とが各別に設けられ、それら各付勢手段によって切換弁体と分配器とが各別に支持されながらそれぞれ気室器の側、切換弁体の側に押圧されているので、第3特徴構成で記述した別方式(付勢手段により分配器を切換弁体の側へ付勢することで切換弁体を気室器の側に付勢する方式)では、付勢手段の付勢力を分配器の切換弁体の側への押圧と切換弁体の気室器の側への押圧とに作用させてあるのに比べ、気室器側シール部材及び分配器側シール部材をそれぞれ気室器又は切換弁体、分配器又は切換弁体に対して適切な力(例えば、十分な気密性を有しながら耐磨耗性について最も有利となる力)で圧接するように各付勢手段の付勢力を調整することが容易となり、これによって、両シール部材の交換頻度をより一層効果的に低減し得るとともに、シール性をより効果的に高めることができる。
【0049】
また、切換弁体と分配器とのそれぞれを個別に付勢するため、分配器用付勢手段の付勢力を、第3特徴構成で記述した別方式(つまり、切換弁体と分配器とを1つの付勢手段で付勢する方式)における付勢手段の付勢力に比べて低弱化させることができるため、分配器を低強度で軽量の材質で製作することができ、これによって、装置全体の軽量化及び製造コストの低廉化を図ることができる。
【0050】
なお、第4特徴構成の実施においては、分配器側のシール部材を分配器の側に装備する構造、あるいは、切換弁体の側に装備する構造のいずれを採用してもよい。
【0051】
〔5〕本発明に係る蓄熱式ガス処理装置の第5特徴構成は、前記第1〜第4の特徴構成のいずれか1つの特徴構成の実施において、
前記切換弁体用付勢手段を、前記切換弁体の回転軸に対してそれを伸長又は短縮させる側へ付勢作用することで、前記切換弁体を付勢する構成にしてある点にある。
【0052】
つまり、この第5特徴構成によれば、分配器と気室器との間に分配器と気室器とのそれぞれに対する摺接状態で回転させる切換弁体を設けた構造において、分配器と気室器との間に位置する切換弁体を分配器の側又は気室器の側へ押圧するのに、切換弁体用付勢手段が、分配器と気室器の間で独立して回転する切換弁体の回転軸に対してその回転軸を伸長又は短縮させる側へ付勢作用する構造にしてあるので、第1及び第2特徴構成の実施においては気室器に対して非作用の状態で切換弁体を分配器の側へ押圧する構造を、第3及び第4特徴構成の実施においては分配器に対しては非作用の状態で切換弁体を気室器の側へ押圧する構造を、装置の大型化を伴うことなく容易に実現することができる。
【0053】
〔6〕本発明に係る蓄熱式ガス処理装置の第6特徴構成は、前記第5特徴構成の実施において、
前記回転軸の伸縮部を、前記回転軸に対する駆動手段と前記切換弁体との間に配置して前記回転軸に設け、
前記切換弁体用付勢手段を、前記伸縮部よりも前記切換弁体側の回転軸部分に対して付勢作用する構成にしてある点にある。
【0054】
つまり、この第6特徴構成によれば、回転軸の駆動手段と切換弁体との間に配置された伸縮部により軸心方向への動きを吸収することができるので、回転軸を回転させる駆動手段に、軸心方向への動きが伝わることを防止することができ、これによって、駆動手段により切換弁体を安定的に回転させることができるとともに、軸心方向への動きを原因とする駆動手段の不具合の発生等を効果的に防止することができる。
【0055】
〔7〕本発明に係る蓄熱式ガス処理装置の第7特徴構成は、前記第1〜第6特徴構成のうち一つの特徴構成の実施において、
複数の前記切換弁体用付勢手段を、前記回転軸の軸心周りで等間隔に配置してある点にある。
【0056】
つまり、この第7特徴構成であれば、複数の切換弁体用付勢手段が切換弁体に対して均一に付勢するので、切換弁体を分配器の側又は気室器の側に対して偏りなく押圧することができるので、確実に分配器側シール部材又は気室器側シール部材を、分配器又は切換弁体又は気室器に対して圧接することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0057】
〔第1実施形態〕
図1,図2及び図9は本発明による蓄熱式ガス処理装置を示し、装置上部に配置したハウジング1の内部を仕切壁2により仕切ることで、蓄熱室3の室群として、平面視で並列配置の8室の蓄熱室3をハウジング1内に形成し、このハウジング1の下方には、各蓄熱室3に対して連通させる風路の切り換えを行う切換装置4を配置してある。
【0058】
各蓄熱室3には蓄熱材5aの通気性充填層5を収容してあり、蓄熱室3それぞれの上端はハウジング1内の上部に形成した燃焼室6に開口連通させ、この燃焼室6にはバーナー7を装備してある。
【0059】
切換装置4は、図3〜図6に示す如く、平面視で環状配置の8個の給排室8を仕切壁9により内部に形成した8角筒状の分配器10と、切換弁体11を内装した円筒状の弁体器12と、被処理ガスGを受け入れる円筒状の気室器13とからなり、設置架台14の上部に弁体器12を固定的に取り付けるとともに、分配器10を弁体器12の上方に同芯状に配置して弁体器12に対し固定的に連結し、気室器13は、弁体器12の下方に同芯状に配置して弁体器12の環状底板12aに吊り下げ状に連結するとともに、設置架台14の下部フレーム14aにより下方から支持してある。
【0060】
8室の蓄熱室3は、それらの下端を上端閉塞の分配器10における8個の給排室8に対し給排路15を通じて個別に連通させてあり、弁体器12の天板を兼ねる分配器10の底板10aには、8個の扇状の給排口16を各給排室8に対し個別に対応位置させた環状配置(すなわち、後述する切換弁体11の回転方向に並ぶ配置)で形成し、その底板10aの下面には、図7に示す如く外周部17aと内周部17bと8本の放射状部17cとからなって給排口16を個々に囲む形態の分配器側シール部材17を付設してある。
【0061】
また、分配器10の中央部には、パージ用ガスG″を受け入れる中央室18を仕切筒19により形成し、この中央室18には分配器10の上端側からパージ用ガス供給路20を連通させてある。
【0062】
弁体器12に内装する切換弁体11は、図4〜図8に示す如く、弁周壁21と弁天板22と弁底板23と縦姿勢の筒状回転軸24とを備える逆向き円錐台状に形成してあり、弁天板22を分配器10の底板10aに対して摺接(厳密には分配器側シール部材17に対して摺接)させ、かつ、弁底板23を気室器13の上端開口の縁部に対して摺接(厳密には、その縁部に装備した環状の気室器側シール部材25に対して摺接)させる形態で、弁体器12内において回転軸心P周りで図中矢印Rで示す方向に回転させる。
【0063】
切換弁体11の内部は、弁周壁21と筒状回転軸24とにわたる2枚の仕切壁26により平面視で供給室27と排出室28とに区画し、また、切換弁体11内の上部において一方の仕切壁26の隣接箇所には、中底板29と上部仕切壁30とによりパージ用室31を形成し、これにより、切換弁体11の上部では、内部区画室の環状列として、供給室27とパージ用室31と排出室28とが、その順で切換弁体11の回転上手側から並ぶ構造にしてある。なお、32は室内連通用の連通口32aを形成してある補強リブ板であり、上部仕切壁30の下方に連なる部分も同様の補強リブ板構造にしてある。
【0064】
そして、弁天板22には、切換弁体11の回転に伴い分配器10の側の給排口16に対して順次に対向連通させる被処理ガス用の供給口33とパージ用口34と処理済ガス用の排出口35とを、供給室27、パージ用室31、排出室28に対し個別に対応位置させた環状配置で、かつ、分配器10の側における同一の給排口16(厳密には同一の給排口16に対する分配器側シール部材17の囲い領域)に対して同時に対向連通することがない配置で形成してある。
【0065】
また、軸上端を分配器10の中央室18内に位置させる筒状回転軸24には、その内部空間をパージ用室31に連通させるパージ用連通口36を形成し、弁底板23には、気室器13の内部空間に対して供給室27を常時連通させる気室器用の連通口37を形成し、弁周壁21には、弁体器12内における切換弁体11周りの器内空間に対して排出室28を常時連通させる弁体器用の連通口38を形成し、この構成において、気室器13には、その気室器13に被処理ガスGを供給するガス供給路39を接続し、一方、弁体器12には、その弁体器12から処理済ガスG′を排出するガス排出路40を接続してある。
【0066】
つまり、この蓄熱式ガス処理装置では、ガス供給路39から気室器13及び気室器用の連通口37を通じて切換弁体11の供給室27に導入される被処理ガスG(例えば、有機溶剤を含む塗装ブースからの排出空気)を、切換弁体11の弁天板22に形成の供給口33、その供給口33に対向連通する分配器10側の給排口16、その給排口16に連通の給排室8、及び、その給排室8に連通の給排路15を通じ、一部の蓄熱室3に通過させて燃焼室6に至らせ、この燃焼室6において被処理ガスG中の汚染物質や悪臭物質などを燃焼により処理する。
【0067】
また、処理済ガスG′は、燃焼室6から他の蓄熱室3に通過させて、その蓄熱室3に収容の蓄熱材5aに対し蓄熱を行わせ、その後、その蓄熱室3に連通の給排路15、その給排路15に連通する分配器10側の給排室8、その給排室8に連通の給排口16、及び、その給排口16に対向連通する切換弁体11側の排出口35を通じ、切換弁体11の排出室28へ導くとともに、それに続き、切換弁体11の弁周壁21に形成の弁体器用連通口38、及び、弁体器12内における切換弁体11周りの器内空間を通じて、ガス排出路40へ導出する。
【0068】
さらに、パージ用ガス供給路20から分配器10の中央室18に導入するパージ用ガスG″は、切換弁体11における筒状回転軸24の上端部に形成の連通孔24f、筒状回転軸24の内部、及び、その筒状回転軸24に形成のパージ用連通口36を通じて切換弁体11のパージ用室31に導くとともに、それに続き、切換弁体11の弁天板22に形成のパージ用口34、そのパージ用口34に対向連通する分配器10側の給排口16、その給排口16に連通の給排室8、及び、その給排室8に連通の給排路15を通じ、更に他の蓄熱室3に通過させて燃焼室6に至らせ、その後は処理済ガスG′に合流させる。
【0069】
そして、この処理において切換弁体11を回転させることで、切換弁体11の弁天板22に形成の供給口33、パージ用口34、排出口35の各々を対向連通させる分配器10側の給排口16を順次に切り換えて、この切り換えにより、被処理ガスGを通過させる蓄熱室3、パージ用ガスG″を通過させる蓄熱室3、処理済ガスG′を通過させる蓄熱室3を順次に切り換える形態で、各蓄熱室3を図9に示す如き被処理ガスGの通過状態、パージ用ガスG″の通過状態、処理済ガスG′の通過状態に、その順で順次に切り換え、これにより、処理済ガスG′の通過をもって先に蓄熱した蓄熱材5aにより被処理ガスGを各蓄熱室3の通過過程において予熱する。
【0070】
また、被処理ガスGの通過後、次に処理済ガスG′を通過させるに先立ち各蓄熱室3にパージ用ガスG″を通過させるようにし、これにより、蓄熱室3内に残る被処理ガスGを次の処理済ガスG′の通過の前に燃焼室6へ排出して、次にその蓄熱室3を通過する処理済ガスG′に残留被処理ガスGが混入することを防止する。
【0071】
なお、パージ用ガス供給路20はガス排出路40から分岐した風路であり、この風路分岐により、ガス排出路40への排出処理済ガスG′の一部をパージ用ガスG″として使用するようにしてある。
【0072】
弁体器12に内装の切換弁体11は、切換弁体11の筒状回転軸24と連結した駆動回転軸41、及び、減速機42を介してモーター43により回転させる構成で、切換弁体11の筒状回転軸24と駆動回転軸41との間(つまり、筒状回転軸24と駆動回転軸41とからなる回転軸X)に、切換弁体用付勢手段としての圧縮コイルスプリング44Aを配設して、筒状回転軸24を弾性的に上方へ押圧するとともに、その圧縮コイルスプリング44Aの配設位置において、筒状回転軸24と駆動回転軸41をスプライン軸継手45で連結することで回転軸Xの伸縮部Eとし、モーター43により回転する駆動回転軸41の回転動作を筒状回転軸24に伝達して、切換弁体11を弁体器12内において縦軸心P周りで図中矢印Rで示す方向に回転させながら、回転軸X(具体的には筒状回転軸24)における軸心P方向への動きを吸収してある。
【0073】
つまり、圧縮コイルスプリング44Aを、伸縮部Eよりも切換弁体側の回転軸部分(つまり、筒状回転軸24)に対して回転軸Xを伸長させる側へ付勢作用させることで、圧縮コイルスプリング44Aの押圧付勢力を気室器13に対しては非作用の状態で切換弁体11を上下方向での変位を自在に分配器10の側へ付勢するようにしてあるとともに、伸縮部Eのスプライン軸継手45によって筒状回転軸24の軸心P方向への動きを吸収して、回転軸Xを回転させる駆動手段に軸心P方向への動きが伝わることを防止する。
【0074】
また、気室器13及び切換弁体11の上下方向での変位を自在にするのに、切換弁体11における筒状回転軸14の上端部は、回転軸Xの軸心P方向への動きを許す上部軸受46を介して分配器10により支持してあるとともに、気室器13の下部と筒状回転軸24との間には、筒状回転軸24の軸芯方向への滑りを許し、かつ、気室器13と筒状回転軸24との隙間を通じて被処理ガスGが外部に漏洩することを防止するためのシール部材を備えた下部軸受47を介して気密性を確保してある。
【0075】
そして、気室器13を連結する弁体器12の環状底板12aには、強靭で可撓性の高い金属板を用いてあり、この可撓性により、気室器13は上下方向での変位(すなわち、切換弁体11に対する遠近方向への変位)を自在にしてある。
【0076】
また、気室器13を設置架台14の下部フレーム14aにより下方から支持するのに、断面コの字状の下部フレーム14aの内部に、気室器用付勢手段として気室器13を弾性的に上方へ押圧(すなわち、切換弁体11の側へ押圧)する引張コイルスプリング44Bが軸心P周りで等間隔の4箇所に介装されてあるとともに、気室器13の下端フランジ部13fと下部フレーム14aとを連結する連結軸48が、引張コイルスプリング44Bそれぞれの中心を挿通するように配設され、連結軸48にはネジ溝が形成されてある。
【0077】
連結軸48は、その一端が気室器13の下端フランジ部13fにおいて固着されているとともに、他端が下部フレーム14aの上面を貫通し上下方向への変位が可能な状態で気室器13と下部フレーム14aとを連結しており、断面コの字状の下部フレーム14aの内部における連結軸48の下端部には、引張コイルスプリング44Bの引張付勢力を受けて気室器13を切換弁体11の側へ付勢するためのナット49が引張コイルスプリング44Bの下端部と連結された状態で固定されている。
【0078】
このように切換弁体用付勢手段である圧縮コイルスプリング44Aで切換弁体11を分配器10の側へ押圧することで、分配器10と切換弁体11との間において、分配器10の底板10aに装備の分配器側シール部材17を、切換弁体11により押圧する形態で切換弁体11の弁天板22に対して確実に圧接させ、分配器10の底板10aと切換弁体11の弁天板22との間の隙間を通じての供給口33と排出口35の連通、及び、供給口33とパージ用口34との連通を、弁天板22に対する分配器側シール部材17の摺接により遮断し、これにより、その隙間連通による処理済ガスG′中への被処理ガスGの混入を確実に防止することができる。
【0079】
また、気室器用付勢手段である引張コイルスプリング44Bで気室器11を切換弁体11の側へ押圧することで、気室器13と切換弁体11との間において、気室器13の上端開口縁部に装備の気室器側シール部材25を、気室器13により押圧する形態で切換弁体11の弁底板23に対し確実に圧接させ、気室器13からの弁体器12内への被処理ガスGの漏出を阻止して、処理済ガスG′中への被処理ガスGの混入を防止し、これらの混入防止により、被処理ガスG中に含まれる汚染物質や悪臭物質が未処理のままで処理済ガスG′とともに装置から排出されてしまうことを確実に防止することができる。
【0080】
なお、切換弁体11に対する圧縮コイルスプリング44Aの押圧付勢力(換言すれば、分配器10の底板10aに対する分配器側シール部材17の圧接力)、及び、気室器13に対する引張コイルスプリング44Bの引張付勢力(換言すれば、切換弁体11の弁底板23に対する気室器側シール部材25の圧接力)は、各自調整可能に構成されている。
【0081】
以上要するに、本第1実施形態では、切換弁体11を分配器10に対する遠近方向での変位が自在な状態に支持して切換弁体用付勢手段(圧縮コイルスプリング44A)により気室器13に対しては非作用の状態で分配器10の側へ押圧することで、分配器10の底板10aに装備の分配器側シール部材17を切換弁体11の弁天板22に対して適切な圧接力で確実に圧接させるようにしてある。
【0082】
また、切換弁体11を付勢する切換弁体用付勢手段(圧縮コイルスプリング44A)とは別に気室器用付勢手段(引張コイルスプリング44B)を設けて、気室器13を切換弁体11に対する遠近方向での変位が自在な状態に支持して気室器用付勢手段(引張コイルスプリング44B)により切換弁体11の側へ押圧することで、気室器13の上端開口縁部に装備の気室器側シール部材25を切換弁体11の弁座板23に対して適切な圧接力で確実に圧接させるようにしてある。
【0083】
そして、切換弁体11と気室器13とのそれぞれが圧縮コイルスプリング44Aと引張コイルスプリング44Bとにより各別に付勢されているので、切換弁体11並びに気室器13の強度を圧縮コイルスプリング44A及び引張コイルスプリング44Bそれぞれの付勢力に耐え得る強度にすればよく、これによって、装置全体としての軽量化及び製造コストの低廉化をより図ることができる。
【0084】
また、切換弁体11と気室器13とのそれぞれが圧縮コイルスプリング44Aと引張コイルスプリング44Bとにより各別に支持されているので、切換弁体11の重量(自重)が気室器13にかからず、気室器13の強度を更に低下させることが可能となり、これによって、装置全体としての軽量化及び製造コストの低廉化をより一層図ることができる。
【0085】
〔第2実施形態〕
図10は、本発明の実施において、第1実施形態で示した蓄熱式ガス処理装置に改良を施した蓄熱式ガス処理装置を示し、この蓄熱式ガス処理装置では、第1実施形態で示した分配器10と弁体器12と気室器13との組を上下反転させて装備(つまり、上から気室器13、弁体器12、分配器10の順にして装備)し、固定させた気室器13に対して切換弁体11の上下方向(遠近方向)への変位を自在にし、分配器10を切換弁体11に対して上下方向(遠近方向)への変位を自在にしてある。
【0086】
弁体器12に内装の切換弁体11は、第1実施形態と同様に、切換弁体11の筒状回転軸24と連結した駆動回転軸41、及び、減速機42を介してモーター43により回転させる構成で、切換弁体11の筒状回転軸24と駆動回転軸41との間(つまり、筒状回転軸24と駆動回転軸41とからなる回転軸X)に、切換弁体用付勢手段としての圧縮コイルスプリング44Aを配設して、筒状回転軸24を弾性的に上方へ押圧するとともに、その圧縮コイルスプリング44Aの配設位置において、筒状回転軸24と駆動回転軸41をスプライン軸継手45で連結することで回転軸Xの伸縮部Eとし、モーター43により回転する駆動回転軸41の回転動作を筒状回転軸24に伝達しながら回転軸X(具体的には筒状回転軸24)における軸心P方向への動きを吸収してある。
【0087】
つまり、圧縮コイルスプリング44Aを、伸縮部Eよりも切換弁体側の回転軸部分(つまり、筒状回転軸24)に対して回転軸Xを伸長させる側へ付勢作用させることで、圧縮コイルスプリング44Aの押圧付勢力を分配器10に対しては非作用の状態で切換弁体11を上下方向での変位を自在に気室器13の側へ付勢するようにしてあるとともに、伸縮部Eのスプライン軸継手45によって筒状回転軸24の軸心P方向への動きを吸収して、回転軸Xを回転させる駆動手段に軸心P方向への動きが伝わることを防止する。
【0088】
分配器10は、設置架台14の下部フレーム14aにより下方から支持されており、断面コの字状の下部フレーム14aの内部に、分配器用付勢手段として分配器10を弾性的に上方へ押圧(すなわち、切換弁体11の側へ押圧)する引張コイルスプリング44Bが軸心P周りで等間隔の4箇所に介装されてあるとともに、分配器10の下端フランジ部10fと下部フレーム14aとを連結する連結軸48が、引張コイルスプリング44Bそれぞれの中心を挿通するように配設され、連結軸48にはネジ溝が形成されてある。
【0089】
連結軸48は、その一端が分配器10の下端フランジ部10fにおいて固着されているとともに、他端が下部フレーム14aの上面を貫通し上下方向への変位が可能な状態で分配器10と下部フレーム14aとを連結しており、断面コの字状の下部フレーム14aの内部における連結軸48の下端部には、引張コイルスプリング44Bの付勢力を受けて分配器10を切換弁体11の側へ付勢するためのナット49が引張コイルスプリング44Bの下端部と連結された状態で固定されている。
【0090】
そして、分配器10と蓄熱室3とを連通する給排路15における分配器10との接続部15aは、分配器10の上下方向における変位に対応して伸縮自在な構成になっている。
【0091】
つまり、本第2実施形態では、切換弁体用付勢手段である圧縮コイルスプリング44Aにより分配器10に対しては非作用の状態で切換弁体11を気室器13の側へ押圧付勢することで、気室器13の開口縁部に装備の気室器側シール部材25を、切換弁体11により押圧する形態で切換弁体11の弁底板23(実質的には天板)に対し確実に圧接させるようにするとともに、分配器用付勢手段である引張コイルスプリング44Bにより分配器10を切換弁体11の側へ押圧付勢することで、分配器10の底板10a(本第2実施形態では実質的には分配器10の天板)に装備の分配器側シール部材17を切換弁体11の弁天板22(実質的には切換弁体11の底板)に対して確実に圧接させるようにしてある。
【0092】
また、本第2実施形態では、分配器10と切換弁体11と気室器13との組を、ハウジング1の横側方(すなわち、蓄熱室3の室群の横側方)に配置し、これにより、装置の全体高さを低くして蓄熱式ガス処理装置の屋内設置を容易にしてある。
【0093】
なお、その他の構成は、前記第1実施形態と同一であり、第1実施形態で記載した構成部分と同一構成又は同一機能を有する構成部分には同一番号を付記してそれの説明を省略する。
【0094】
〔第3実施形態〕
図5、図11及び図12は、本発明の実施において、第1実施形態及び第2実施形態で示した蓄熱式ガス処理装置に改良を施した蓄熱式ガス処理装置を示し、この蓄熱式ガス処理装置では、切換弁体11の筒状回転軸24と駆動回転軸41との連結部分のそれぞれにフランジ部24f,41fを形成し、筒状回転軸側フランジ部24fにおいて軸心P周りで等間隔に筒状回転軸24と駆動回転軸41とを連結する(つまり、筒状回転軸24と駆動回転軸41とからなる回転軸Xを形成する)連結用ボルト50を螺合挿入するためのネジ孔が4箇所設けられているとともに、軸心P方向(上下方向)においてそれら4箇所のネジ孔24aに相対向する駆動回転軸側フランジ部41fの4箇所には、連結用ボルト50の先端部50aが挿通する挿通孔41aが形成されており、連結用ボルト50は、その先端部50aが挿通孔41aに挿通した状態となることでモーター43による回転動作を駆動回転軸41から筒状回転軸24に伝達して、切換弁体11を弁体器12内において回転軸心P周りで図中矢印Rで示す方向に回転させる。
【0095】
筒状回転軸側フランジ部24fと駆動回転軸側フランジ部41fとの間には、切換弁体用付勢手段としての圧縮コイルスプリング44Aが各連結用ボルト50に巻装させた状態で、筒状回転軸24を上方に押圧(つまり、切換弁体11を分配器10又は気室器13の側に押圧)するように配設されている。
【0096】
つまり、本第3実施形態では、切換弁体用付勢手段としての圧縮コイルスプリング44Aが切換弁体11を分配器10又は気室器13の側(つまり、筒状回転軸24に対して回転軸Xを伸長させる側)に付勢押圧して、分配器10の底板10aに装備の分配器側シール部材17又は気室器13の開口縁部に装備の気室器側シール部材25を切換弁体11に対して圧接させるとともに、駆動回転軸41のフランジ部41fに形成された挿通孔41aにより連結用ボルト50の先端部50aが上下方向に変位自在となり、これによって、回転軸Xの伸縮を許す伸縮部Eを構成してある。
【0097】
そして、気室器13を設置架台14の下部フレーム14aにより下方から支持するのに、断面コの字状の下部フレーム14aの内部に、気室器用付勢手段として気室器13を弾性的に上方へ押圧(すなわち、切換弁体11の側へ押圧)する引張コイルスプリング44Bが軸心P周りで等間隔の4箇所に介装されてあるとともに、気室器13の下端フランジ部13fと下部フレーム14aとを連結する連結軸48が、引張コイルスプリング44Bそれぞれの中心を挿通するように配設され、連結軸48にはネジ溝が形成されてある。
【0098】
連結軸48は、その一端が気室器13の下端フランジ部13fにおいて固着されているとともに、他端が下部フレーム14aの上面を貫通し上下方向への変位が可能な状態で気室器13と下部フレーム14aとを連結しており、断面コの字状の下部フレーム14aの内部における連結軸48の下端部には、引張コイルスプリング44Bの付勢力を受けて気室器13を切換弁体11の側へ付勢するためのナット49が引張コイルスプリング44Bの下端部と連結された状態で固定されている。
【0099】
切換弁体11を分配器10の側に押圧するのに、このように切換弁体用付勢手段として複数(4つ)の圧縮コイルスプリング44Aを軸心P周りで等間隔に設けたことにより、切換弁体11を分配器10に対して偏りなく押圧することができて、分配器側シール部材17を分配器10に対して確実に圧接することができるとともに、分配器側シール部材17が変形しても、分配器側シール部材17の変形箇所における切換弁体11の分配器10に対する押圧度合を部分的に上昇させて、変形した分配器側シール部材17を分配器10に対して確実に圧接することができ、よって、分配器側シール部材17の気密性をより確実に維持することができる。
【0100】
そして、同様に、気室器13を切換弁体11側に押圧するのに、気室器用付勢手段として複数(4つ)の引張コイルスプリング44Bを軸心P周りで等間隔に設けたことにより、気室器側シール部材25の変形に対して気室器13の切換弁体11に対する押圧度合を部分的に上昇させて、変形した気室器側シール部材25を切換弁体11に対して確実に圧接することができるだけでなく、分配器側シール部材17の変形により切換弁体11の分配器10に対する押圧度合を部分的に上昇して切換弁体11が分配器10に対して傾斜した姿勢になっても、切換弁体11の傾斜に伴って気室器13も傾斜した姿勢で切換弁体11の側に押圧され、これによって、気室器側シール部材25を切換弁体11に対して確実に圧接することができる。
【0101】
なお、その他の構成は、前記第1実施形態と同一であり、第1実施形態で記載した構成部分と同一構成又は同一機能を有する構成部分には同一番号を付記してそれの説明を省略する。
【0102】
また、この第3実施形態においては、第2実施形態の如く上から気室器13、弁体器12、分配器10の順にして装備した構成であってもよく、その場合、切換弁体用付勢手段である圧縮コイルスプリング44Aにより切換弁体11は気室器13の側へ押圧され、分配器用付勢手段である引張コイルスプリング44Bにより分配器10は切換弁体11の側へ押圧されることとなる。
【0103】
〔別実施形態〕
次に本発明の別実施形態を列記する。
【0104】
第1及び第3実施形態では、切換弁体11を分配器10に対する遠近方向での変位が自在な状態に支持して切換弁体用付勢手段により分配器10の側へ押圧するのに、切換弁体用付勢手段を気室器13の側に配設し、切換弁体用付勢手段の伸長する側への付勢力により切換弁体11を分配器10の側に押すように付勢してさせていたが、これに代えて、切換弁体用付勢手段を分配器10の側に配設して、切換弁体用付勢手段の短縮する側への付勢力により切換弁体11を分配器10の側に引っ張るように付勢させるようにしてもよい。
【0105】
同様に、第2実施形態では、切換弁体11を気室器13に対する遠近方向での変位が自在な状態に支持して切換弁体用付勢手段により気室器13の側へ押圧するのに、切換弁体用付勢手段を分配器10の側に配設し、切換弁体用付勢手段の伸長する側への付勢力により切換弁体11を気室器13の側に押すように付勢してさせていたが、これに代えて、切換弁体用付勢手段を気室器13の側に配設して、切換弁体用付勢手段の短縮する側への付勢力により切換弁体11を気室器13の側に引っ張るように付勢させるようにしてもよい。
【0106】
上記第1〜第3実施形態の蓄熱式ガス処理装置では、分配器10、切換弁体11を内装した弁体器12、気室器13をその順で上下方向に並べて装備してあったが、切換弁体11の回転軸Xを横向きにして、これら分配器10、弁体器12、気室器13をその順で横方向に並べて装備してもよい。
【0107】
回転軸Xの伸縮部Eは、駆動手段42,43からの回転動作を切換弁体11に伝達しながら、回転軸Xの軸心方向の動きが駆動手段42,43に伝わることを防止する構成であれば如何なる構成であってもよく、また、切換弁体用付勢手段との位置関係についても、回転軸Xの軸心方向の動きが駆動手段42,43に伝わることを防止できる位置であれば、回転軸Xの如何なる位置に設けてもよい。
【0108】
第1及び第3実施形態における気室器用付勢手段44B、並びに、第2実施形態における分配器用付勢手段44Bは、設置架台14の断面コの字状の下部フレーム14aの内部に配設されているがこの構成に限るものではなく、気室器用付勢手段又は分配器用付勢手段である引張コイルスプリング44Bは、気室器13又は分配器10を切換弁体11の側へ付勢する構造であればその配設位置は何れの位置であってもよい。
【0109】
また、これら気室器用付勢手段44B並びに分配器用付勢手段44Bは、それら付勢手段を気室器13又は分配器10を切換弁体11の側へ押圧付勢する付勢力を備えた付勢手段にしてもよい。
【0110】
切換弁体用付勢手段及び気室器用付勢手段又は分配器用付勢手段には、スプリング、シリンダ、モーター等種々のものを採用できる。
【0111】
蓄熱室3の具体的構造、並びに、複数の蓄熱室3と分配器10との間の具体的風路構造は種々の構成変更が可能であり、また、被処理ガスGを導くガス供給路39、及び、処理済ガスG′を導くガス排出路40の各々を分配器10側に形成の給排口16及びそれに対向連通させる切換弁体11側の供給口33や排出口35を通じて複数の蓄熱室3に対し順次に連通させる切換弁体11や分配器10の具体的構造も前述の実施形態で示した構造に限らず、種々の構成変更が可能である。
【0112】
さらにまた、切換弁体11の回転に並行して、ガス供給路39から切換弁体11に被処理ガスGを導入するとともに切換弁体11からガス排出路40へ処理済ガスG′を導出するための構造も、前述の実施形態で示した気室器13や弁体器12による構造に限らず、種々の構成変更が可能である。
【0113】
被処理ガスGは塗装設備の排ガスなどに限らず、燃焼室6での燃焼により処理し得るガスであれば、どのようなガスであってもよく、処理目的も浄化や脱臭に限られるものではない。
【0114】
また、燃焼室6に装備する燃焼手段はバーナー7に限らず、電気ヒーターなどであってもよく、さらに、各蓄熱室3において蓄熱材5aよりも燃焼室6の側に触媒を配設して、触媒燃焼により被処理ガスGを処理するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】第1実施形態を示す装置側面図
【図2】第1実施形態を示す蓄熱室部分での装置平面視断面図
【図3】第1実施形態を示す分配器部分での装置平面図
【図4】第1実施形態を示す切換装置部分の側面視断面図
【図5】第1実施形態及び第3実施形態を示す切換装置要部の分解平面図
【図6】第1実施形態を示す切換装置要部の分解斜視図
【図7】第1実施形態を示す切換弁体の分解斜視図
【図8】第1実施形態を示す回転軸要部の分解斜視図
【図9】第1実施形態を示す装置機能説明図
【図10】第2実施形態を示す装置側面図
【図11】第3実施形態を示す切換装置部分の側面視断面図
【図12】第3実施形態を示す回転軸要部の分解斜視図
【符号の説明】
【0116】
3 蓄熱室
5a 蓄熱材
6 燃焼室
7 燃焼手段
10 分配器
11 切換弁体
13 気室器
16 給排口
17 分配器側シール部材
25 気室器側シール部材
33 供給口
35 排出口
39 ガス供給路
40 ガス排出路
42 駆動手段
43 駆動手段
44A 切換弁体用付勢手段
44B 気室器用付勢手段、分配器用付勢手段
E 伸縮部
X 回転軸
G 被処理ガス
G′ 処理済ガス
P 軸心


【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄熱材を収容した複数の蓄熱室を設け、燃焼手段を備える燃焼室に前記蓄熱室それぞれの一端を連通させ、
分配器と気室器との間に、前記分配器と前記気室器とのそれぞれに対する摺接状態で回転させる切換弁体を設け、前記蓄熱室それぞれの他端に対し個別に連通させた複数の給排口を前記切換弁体の回転方向に並べて前記分配器に形成し、
前記切換弁体の回転に伴い前記給排口に対し順次に対向連通させる被処理ガス用の供給口と処理済ガス用の排出口とを、それら供給口と排出口とが同一の前記給排口に対して同時に対向連通しない状態に配置して前記切換弁体に形成し、
前記気室器を介してガス供給路を前記切換弁体における前記供給口に連通させる、又は、前記気室器を介してガス排出路を前記切換弁体における前記排出口に連通させる構成にするとともに、
前記分配器と前記切換弁体との間の隙間を通じての前記供給口と前記排出口との連通を遮断する分配器側のシール部材を、前記分配器と前記切換弁体との間に介装し、
前記切換弁体の回転に伴い、前記ガス供給路から前記切換弁体に導入される被処理ガスを前記供給口を通じて前記分配器の側へ供給し、かつ、前記分配器の側から前記排出口を通じて前記切換弁体へ排出される処理済ガスをガス排出路へ導出する構造にしてある蓄熱式ガス処理装置であって、
前記切換弁体を前記分配器に対する遠近方向での変位が自在な状態に支持し、前記気室器に対しては非作用の状態で前記切換弁体を前記分配器の側へ押圧する切換弁体用の付勢手段を設けてある蓄熱式ガス処理装置。
【請求項2】
前記気室器と前記切換弁体との間の隙間を通じてのガス漏出を阻止する気室器側のシール部材を、前記気室器と前記切換弁体との間に介装し、
前記気室器を前記切換弁体に対する遠近方向での変位が自在な状態に支持し、前記気室器を前記切換弁体の側へ押圧する気室器用の付勢手段を設けてある請求項1記載の蓄熱式ガス処理装置。
【請求項3】
蓄熱材を収容した複数の蓄熱室を設け、燃焼手段を備える燃焼室に前記蓄熱室それぞれの一端を連通させ、
分配器と気室器との間に、前記分配器と前記気室器とのそれぞれに対する摺接状態で回転させる切換弁体を設け、前記蓄熱室それぞれの他端に対し個別に連通させた複数の給排口を前記切換弁体の回転方向に並べて前記分配器に形成し、
前記切換弁体の回転に伴い前記給排口に対し順次に対向連通させる被処理ガス用の供給口と処理済ガス用の排出口とを、それら供給口と排出口とが同一の前記給排口に対して同時に対向連通しない状態に配置して前記切換弁体に形成し、
前記気室器を介してガス供給路を前記切換弁体における前記供給口に連通させる、又は、前記気室器を介してガス排出路を前記切換弁体における前記排出口に連通させる構成にするとともに、
前記気室器と前記切換弁体との間の隙間を通じてのガス漏出を阻止する気室器側のシール部材を、前記気室器と前記切換弁体との間に介装し、
前記切換弁体の回転に伴い、前記ガス供給路から前記切換弁体に導入される被処理ガスを前記供給口を通じて前記分配器の側へ供給し、かつ、前記分配器の側から前記排出口を通じて前記切換弁体へ排出される処理済ガスをガス排出路へ導出する構造にしてある蓄熱式ガス処理装置であって、
前記切換弁体を前記気室器に対する遠近方向での変位が自在な状態に支持し、前記分配器に対しては非作用の状態で前記切換弁体を前記気室器の側へ押圧する切換弁体用の付勢手段を設けてある蓄熱式ガス処理装置。
【請求項4】
前記分配器と前記切換弁体との間の隙間を通じての前記供給口と前記排出口との連通を遮断する分配器側のシール部材を、前記分配器と前記切換弁体との間に介装し、
前記分配器を前記切換弁体に対する遠近方向での変位が自在な状態に支持し、前記分配器を前記切換弁体の側へ押圧する分配器用の付勢手段を設けてある請求項3記載の蓄熱式ガス処理装置。
【請求項5】
前記切換弁体用付勢手段を、前記切換弁体の回転軸に対してそれを伸長又は短縮させる側へ付勢作用することで、前記切換弁体を付勢する構成にしてある請求項1〜4のいずれか1項に記載の蓄熱式ガス処理装置。
【請求項6】
前記回転軸の伸縮部を、前記回転軸に対する駆動手段と前記切換弁体との間に配置して前記回転軸に設け、
前記切換弁体用付勢手段を、前記伸縮部よりも前記切換弁体側の回転軸部分に対して付勢作用する構成にしてある請求項5記載の蓄熱式ガス処理装置。
【請求項7】
複数の前記切換弁体用付勢手段を、前記回転軸の軸心周りで等間隔に配置してある請求項1〜6のいずれか1項に記載の蓄熱式ガス処理装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−177638(P2006−177638A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−373449(P2004−373449)
【出願日】平成16年12月24日(2004.12.24)
【出願人】(000149790)株式会社大気社 (136)
【Fターム(参考)】