説明

蓄電デバイス用セパレータ

【課題】 本発明は、鉛フリーのハンダによるリフローハンダ付けに対しても十分な耐熱性を有するセパレータを提供することを目的とする。
【解決手段】 融点が200℃以上の樹脂の連続フィラメントからなり、該フィラメントの接点が融着している不織布もしくは織布上に、融点が200℃以上のフィブリル繊維を積層してなる蓄電デバイス用セパレータであって、該蓄電デバイス用セパレータの平均孔径が0.1μmから15μm、最大孔径が1.0μmから30μm、透気度が100秒/100ml以下である蓄電デバイス用セパレータ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電デバイス用セパレータ(以下、「セパレータ」という)に関するものであり、特に、リフローハンダ付け法により回路基板に対してハンダ付けされるコイン型(もしくはボタン型)電気二重キャパシタ用のセパレータに関する。
【背景技術】
【0002】
比較的大容量を有し、かつ、超寿命であることを特長とする電気二重層キャパシタは、その急速充放電性を特長として、各種電子機器に利用されている。この種の電気二重層キャパシタは、ハンダを介して、回路基板に直接実装される場合が多く、特に最近、ハンダの無鉛化に伴ない鉛フリーのハンダが使用されつつあり、この種の電気二重層コンデンサ用のセパレータ材料に対しては、ますます高耐熱化要求が、高くなってきている。
【0003】
セパレータの材料としては、ポリエチレンもしくはポリプロピレン繊維からなるセパレータが用いられている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、ポリエチレンおよびポリプロピレンは耐熱性に劣るため、それらをセパレータとして用いた場合、回路基板に対してリフローハンダ付け法でハンダ付けすることが困難である。すなわち、リフローハンダ付け法によると、コンデンサは260℃以上の高温に数10秒間晒された場合、ポリエチレンもしくはポリプロピレン繊維からなるセパレータはかかる高温では熱変形したり、極端な場合には融解することがあり、セパレータとしての機能を果たさず、電極間でショートを起こすという問題を有していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭63−190322号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来の技術における上記の問題点を改善することを目的として成されたものであって、その目的は、鉛フリーのハンダによるリフローハンダ付けに対しても十分な耐熱性を有するセパレータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のセパレータは、融点が200℃以上の樹脂の連続フィラメントからなり、該フィラメントの接点が融着している不織布もしくは織布上に、融点が200℃以上のフィブリル繊維を積層してなる蓄電デバイス用セパレータであって、該蓄電デバイス用セパレータの平均孔径が0.1μmから15μm、最大孔径が1.0μmから30μm、透気度が100秒/100ml以下であることを特徴とする。
また、前記連続フィラメントからなる不織布もしくは織布の材質が、全芳香族ポリアミド、全芳香族ポリエステル、全芳香族ポリエステルアミド、半芳香族ポリエステルから選ばれる少なくとも1種以上であることが好ましい。
【0007】
また、フィブリル繊維の材質が、アラミド、ポリイミド、ポリフェニレンサルファイド、芳香族ポリエステル、ポリパラフェニレンベンズオキサゾール、ポリベンゾイミダゾールから選ばれる少なくとも1種以上であることが好ましい。
また、前記フィブリル繊維の平均繊維径が3μm以下、平均繊維長が3mm以下であることが好ましく、蓄電デバイス用セパレータの厚さが60μm以下であり、密度が0.25g/cm〜0.75g/cmで、260℃における加熱寸法変化率が0〜−5%であることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明のセパレータは、鉛フリーのハンダによるリフローハンダ付けに対しても十分な耐熱性を有しているため、特に、リフローハンダ付け法により回路基板に対してハンダ付けされるコイン型(もしくはボタン型)電気二重キャパシタ用のセパレータとして好適に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のセパレータは、融点が200℃以上の連続フィラメントの接点が融着している不織布もしくは織布上に、融点が200℃以上のフィブリル繊維を積層してなる。前記不織布もしくは織布上に積層する方法として、予め用意した不織布もしくは織布の上に、フィブリル繊維を、湿式抄紙法によって好適に積層することができる。
【0010】
本発明のセパレータを構成する不織布もしくは織布は、膜厚を薄くし、目開きを小さくし、できるだけ緻密にする目的から、細い繊維からなることが好ましい。不織布もしくは織布を薄くすることで、抵抗の低減がはかれるとともに、より緻密かつ均一に目開きを小さくすることによって、その上に形成するフィブリル繊維からなる層の目開きが制御され、均一にすることが可能である。
【0011】
不織布もしくは織布の平均繊維径は、不織布そのものの膜厚を薄くすること、また、上層部に形成する層の孔径を極めて小さくすることから、5μm以下であることが好ましい。繊維径が5μmを超える場合は、不織布の目開きが粗くなるために、その上層部の形成層の孔径が大きくなり、また、セパレータの膜厚も厚くなってしまう。
【0012】
本発明において、不織布もしくは織布は、連続フィラメント同士の接点が融着されることによって、薄くても強度が強い不織布が得られ、機械的強度が必要とされる捲回方式で蓄電デバイスを作製することができる。繊維を加熱により融着させたものでもよく、あるいは、不織布もしくは織布の製造工程で融着させたものであってもよい。
【0013】
不織布もしくは織布は、鉛フリーのハンダによるリフローハンダ付けに対しても十分な耐熱性を持たせるために、融点が200℃以上の樹脂材料からなるものであれば、いずれも好適に使用することが可能である。なお、融点が200℃以上の樹脂には、実質的に融点を有さない樹脂材料からなるものを含むものである。具体的には、全芳香族ポリアミド、全芳香族ポリエステル、全芳香族ポリエステルアミド、半芳香族ポリエステル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアミドイミド等があげられる。中でも、全芳香族ポリアミド、全芳香族ポリエステル、全芳香族ポリエステルアミド、半芳香族ポリエステルから選ばれる少なくとも1種以上が、これらの樹脂からなる繊維は耐熱性が優れるとともに、電気化学的な安定性が高いことや有機系の電解液に対する安定性が高いことから、好ましく用いられる。
【0014】
本発明において、不織布もしくは織布の目開きとしては、バブルポイント法で最大孔径が450μ以下であることが好ましい。450μmを超えると、フィブリル繊維が不織布の隙間から抜け出やすく、連続した安定生産が難しくなる。また、セパレータとしての目開きが大きくなりすぎるために、耐自己放電性が悪化するばかりでなく、短絡も生じやすくなる。
【0015】
本発明において、フィブリル繊維の平均繊維径および平均繊維長は、積層した層の孔径を小さくすることから、平均繊維径は3μm以下、平均繊維長は3mm以下であることが好ましい。平均繊維径が3μmより大きい場合や、あるいは、平均繊維長が3mmより大きいと、積層した層の孔径を小さくしきれず、短絡防止や自己放電の抑制ができにくいという問題を生じやすい。
【0016】
フィブリル繊維の材質は、酸化還元雰囲気における電気化学的な安定性が良好であり、絶縁性を有し、融点が200℃以上のものであれば、いずれの材質も用いることができるが、特に、アラミド、ポリイミド、ポリフェニレンサルファイド、芳香族ポリエステル、ポリパラフェニレンベンズオキサゾール、ポリベンゾイミダゾールから選ばれる少なくとも1種以上が好適に用いられる。
【0017】
本発明のセパレータを構成するフィブリル繊維は、電解液の含浸量を多くするために、できるだけ叩解を上げて繊維を細かくして用いるのが好適であり、ろ水度は、500ml以下である。ろ水度が500mlより大きいと、繊維が均一に不織布上に形成されず、十分に孔径を小さくできないため、自己放電の抑制や短絡防止に劣る。しかし、叩解を上げ過ぎると、ろ水性が悪くなり生産効率を低下させてしまう恐れがある。従って、フィブリル繊維のろ水度としては、30ml〜350mlが好ましく、50ml〜150mlがより好ましい。
【0018】
ここで、ろ水度とは、繊維の水切れの程度を表す指標(数値)であり、繊維の叩解の度合いを示す。ろ水度が小さいほど、水切れが悪いことを示し、叩解の度合いが高い。本発明において、ろ水度の試験方法はJIS P 8121に規定されているカナダ゛標準ろ水度試験方法を採用する。
【0019】
できるだけ叩解を上げて繊維を細かくして用いることによって、不織布もしくは織布上に積層した層の孔径を極めて均一に小さくできるとともに、内部構造を極めて多孔性に富んだ高空隙率のものとすることができる。そのため、電解液の含浸量を多くすることができ、蓄電デバイスの低抵抗化とともに高容量化が可能となる。さらに、セパレータの膜厚方向に適度な弾力性を持たせることができるため、電極と積層する際に良好に密着することが可能となり、従って、電極とセパレータの界面抵抗も下げることができ、より電気化学特性が良好となる。
【0020】
本発明のセパレータの厚さは、60μm以下であることが好ましい。セパレータの厚さが60μmを超えると、蓄電デバイスの薄型化になりにくくなると同時に、一定のセル体積に入れられる電極材の量が少なくなるばかりでなく、抵抗が高くなり好ましくない。
【0021】
また、セパレータの密度は、0.25g/cm〜0.75g/cmであることが好ましい。0.25g/cm未満であると、セパレータの空隙部分が過多となり、短絡の発生や、耐自己放電性が悪化しやすいなどの不具合を生ずる場合がある。一方、密度が0.75g/cmより大きいと、セパレータを構成する材料の詰まり方が過多となるために、イオン移動が阻害され抵抗が高くなりやすい。
【0022】
本発明のセパレータの空隙率としては、30%〜90%の範囲にあることが、短絡を防止することと抵抗が高くなるのを抑えることを両立させるために好ましい。ここでいう空隙率は、坪量M(g/cm)、厚さT(μm)、密度D(g/cm)を用いて次式により求められる。
空隙率(%)=[1−(M/T)/D]×100
【0023】
セパレータのバブルポイント法による平均孔径は、0.1μmから15μmであり、好ましくは0.1μm〜10.0μmの範囲である。平均孔径が0.1μmより小さいと、イオン伝導性が低下し、内部抵抗が高くなる。また、セパレータの製造の際に水が抜けにくいため、製造しにくくなる。15μmを超えると、薄膜化した場合に内部短絡を生じる。また、バブルポイント法による最大孔径は1.0μmから30μmであり、好ましくは1.0μm〜10μmの範囲である。最大孔径が1.0μmより小さいと、イオン伝導性が低下し、内部抵抗が高くなる。30μmを超えると、薄膜化した場合に内部短絡を生じる。尚、バブルポイント法による孔径の測定は、西華産業社製のポロメーターを使用すればよい。
【0024】
本発明のセパレータの透気度は、100秒/100ml以下である。透気度が100秒/100ml以下である場合は、イオン伝導性を好適に維持することができる。尚、本発明のセパレータにおける透気度は、ガーレ透気度測定器を用いて測定した値をいう。
【0025】
また、 本発明のセパレータにおいては、260℃における加熱寸法変化率が0〜−5%であることが好ましい。加熱寸法変化率が0より大きいと密閉された蓄電デバイスにひずみが生じやすく、−5%より小さいと鉛フリーのハンダによるリフローハンダ付け時に正極と負極の電極が接触し、内部短絡する問題を有しやすい。
本発明の加熱寸法変化率は、JIS L1909に準じて測定した値を言う。
【0026】
以上説明したように、本発明のセパレータは、融点が200℃以上の連続フィラメントの接点が融着している不織布もしくは織布上に、融点が200℃以上のフィブリル繊維を積層しているので、鉛フリーのハンダによるリフローハンダ付けに対しても十分な耐熱性を有し、リフローハンダ付け法により回路基板に対してハンダ付けされるコイン型(もしくはボタン型)電気二重キャパシタ用のセパレータとして、優れた耐熱性を有する。また、フィブリル繊維を用いることにより、層が緻密なため、電気二重層キャパシタ用として、短絡もなく、且つ、イオン透過性に優れた性能を有する。
【0027】
次に、本発明のセパレータの製造方法の一例について説明する。
フィブリル繊維は、合成樹脂を原料とする繊維を切断した短繊維、あるいは、短繊維をパルプ化したものをイオン交換水に適当な濃度で混ぜ、叩解する。叩解条件は、平均繊維径が3μm以下、平均繊維長が3mm以下、ろ水度が500ml以下に調整する。叩解は、一般的な叩解機であるボールミル、ビーター、ランペルミル、PFIミル、SDR(シングルディスクリファイナー)、DDR(ダブルディスクリファイナー)その他のリファイナー等を使用して叩解することができる。
【0028】
上記で得られたフィブリル繊維を水に分散する。通常のスクリュータイプの攪拌機で混合しながら離解し、抄紙用のスラリーに適用できるように、好ましくは固形分濃度が0.5質量%以下になるように濃度調整する。通常の離解工程で均一に分散しにくい場合は、ローター・ステーター型の分散装置や、超音波分散装置を用いることによって、良好な分散が可能である。また、この分散工程で使用する水は、イオン性不純物をできるだけ少なくするために、イオン交換水を用いた方が好ましい。純水を用いた方がさらに好ましい。
【0029】
上記で得られたフィブリル繊維の分散体を、長網式、短網式、円網式、傾斜式などの湿式抄紙機を適用し、予め通紙してある不織布もしくは織布上に積層し、連続したワイヤーメッシュ状の脱水パートで脱水して、多筒式やヤンキー式ドライヤー等の乾燥パートを通して、セパレータを得ることができる。
【0030】
以下に、本発明のセパレータを実施例によって説明する。しかしながら、本発明は、これらの実施例によって限定されるものではない。
【実施例1】
【0031】
アラミドフィブリル繊維(平均繊維径0.25μm、平均繊維長0.5mm、融点なし)をイオン交換水に1質量%で分散した液を超音波分散装置で10分間分散し、フィブリル繊維の分散体を作成した。さらに、固形分が、イオン交換水中で0.03質量%となるように離解した。離解は、小型の投入型スクリューを用いて、ステンレス容器中で10分間行った。離解後、さらにイオン交換水を用いて、トータルの固形分濃度が0.01質量%となるようにイオン交換水を添加して抄紙材料を調整した。次に、本発明に用いる不織布として、繊維径が3μmの全芳香族ポリエステル繊維(融点280℃)からなる厚さ15μmの連続フィラメントの接点が融着している不織布(バブルポイント法による最大孔径:300μm)を準備し、JIS P8222に規定する標準型手抄き装置を用いて、上記調整した抄紙材料を不織布上に積層した。なお、抄紙材料は固形分の単位面積あたりの質量が4g/mとなるように、抄紙した。その後、得られた湿体シートを手抄紙装置から取り出した後に、ヤンキー・ドライヤーにて130℃で乾燥して本発明のセパレータを得た。得られたセパレータの物性は、平均孔径は0.81μm、最大孔径は1.98μm、透気度は30秒/100ml、加熱寸法変化率は−0.1%、密度は0.45g/cm、空隙率は77%、圧縮率は1.24であった。また、セパレータの厚さは25μmであった。
【実施例2】
【0032】
アラミドフィブリル繊維の代わりに全芳香族ポリエステルフィブリル繊維(平均繊維径0.3μm、平均繊維長0.55mm、融点280℃)を用いた以外は、実施例1と同様にして本発明のセパレータを得た。得られたセパレータの物性は、平均孔径は1.33μm、最大孔径は2.69μm、透気度は24秒/100ml、加熱寸法変化率は−0.1%、密度は0.41g/cm、空隙率は80%、圧縮率は1.23であった。また、セパレータの厚さは25μmであった。
【実施例3】
【0033】
アラミドフィブリル繊維の代わりにポリフェニレンサルファイドフィブリル繊維(平均繊維径0.3μm、平均繊維長0.5mm、融点280℃)を用いた以外は、実施例1と同様にして本発明のセパレータを得た。得られたセパレータの物性は、平均孔径は1.00μm、最大孔径は2.25μm、透気度は18秒/100ml、加熱寸法変化率は−0.1%、密度は0.45g/cm、空隙率は77%、圧縮率は1.28であった。また、セパレータの厚さは25μmであった。
【実施例4】
【0034】
アラミドフィブリル繊維の代わりにポリパラフェニレンベンズオキサゾールフィブリル繊維(平均繊維径1μm、平均繊維長1.5mm、融点なし)を用いた以外は、実施例1と同様にして本発明のセパレータを得た。得られたセパレータの物性は、平均孔径は1.30μm、最大孔径は3.19μm、透気度は28秒/100ml、加熱寸法変化率は−0.1%、密度は0.43g/cm、空隙率は79%、圧縮率は1.34であった。また、セパレータの厚さは26μmであった。
【実施例5】
【0035】
不織布を平均繊維径が3.5μm、厚さが18μmの連続フィラメントの接点が融着している全芳香族ポリエステル繊維(融点300℃以上)からなる不織布を用いた以外は、実施例1と同様にして本発明のセパレータを得た。得られたセパレータの物性は、平均孔径は0.81μm、最大孔径は1.97μm、透気度は32秒/100ml、加熱寸法変化率は−0.1%、密度は0.48g/cm、空隙率は74%、圧縮率は1.17であった。また、セパレータの厚さは28μmであった。
【実施例6】
【0036】
不織布を平均繊維径が2.5μm、厚さが15μmの連続フィラメントの接点が融着しているアラミド繊維(融点320℃)からなる不織布を用いた以外は、実施例1と同様にして本発明のセパレータを得た。得られたセパレータの物性は、平均孔径は1.80μm、最大孔径は1.96μm、透気度は28秒/100ml、加熱寸法変化率は−0.2%、密度は0.45g/cm、空隙率は77%、圧縮率は1.27であった。また、セパレータの厚さは25μmであった。
【実施例7】
【0037】
平均繊維径が3μmの全芳香族ポリエステル繊維(融点260℃)からなる厚さ15μmの連続フィラメントの接点が融着している織布を用いた以外は、実施例1と同様にして本発明のセパレータを得た。得られたセパレータの物性は、平均孔径は0.83μm、最大孔径は2.00μm、透気度は31秒/100ml、加熱寸法変化率は−0.1%、密度は0.45g/cm、空隙率は77%、圧縮率は1.27であった。また、セパレータの厚さは25μmであった。
【0038】
(比較例1)
電気二重層コンデンサのセパレータに従来から広く使用され、商業的に入手可能なポリエチレン繊維からなる微孔性の不織布を用いて比較用セパレータとした。
【0039】
<電気二重層キャパシタの組み立ておよびその評価>
実施例1〜7および比較例1で得られたセパレータについて、各々電極を用いて電気二重層キャパシタを組み立てて、コイン型セルを作製した。コイン型セルの作製においては、電極として電気二重層キャパシタ用の活性炭電極(宝泉社製)を用いた。また、電解液としてプロピレンカーボネートに、1mol/Lとなるようにテトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレイトを溶解したものを用いた。
作製されたコイン型セルについて、予備加熱170℃で2分行い、更に本加熱260℃で30秒の温度条件でリフローハンダ付けを行ない、漏れ電流を測定した。漏れ電流の測定結果は、電気二重層キャパシタ100個の平均値である。
得られた結果を表1に示す。
【0040】
【表1】

【0041】
表1の結果から、本発明のセパレータを用いた電気二重層キャパシタは、回路基板に対してリフローハンダ付けして使用しても漏れ電流が増加することのなく、耐熱特性に優れる。本発明のセパレータは、リフローハンダ付け法により回路基板に対してハンダ付けされるコイン型(もしくはボタン型)電気二重キャパシタ用のセパレータとして好適に用いられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
融点が200℃以上の樹脂の連続フィラメントからなり、該フィラメントの接点が融着している不織布もしくは織布上に、融点が200℃以上のフィブリル繊維を積層してなる蓄電デバイス用セパレータであって、該蓄電デバイス用セパレータの平均孔径が0.1μmから15μm、最大孔径が1.0μmから30μm、透気度が100秒/100ml以下であることを特徴とする蓄電デバイス用セパレータ。
【請求項2】
前記連続フィラメントからなる不織布もしくは織布の材質が、全芳香族ポリアミド、全芳香族ポリエステル、全芳香族ポリエステルアミド、半芳香族ポリエステルから選ばれる少なくとも1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
【請求項3】
フィブリル繊維の材質が、アラミド、ポリイミド、ポリフェニレンサルファイド、芳香族ポリエステル、ポリパラフェニレンベンズオキサゾール、ポリベンゾイミダゾールから選ばれる少なくとも1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
【請求項4】
前記フィブリル繊維の平均繊維径が3μm以下、平均繊維長が3mm以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の蓄電デバイス用セパレータ。
【請求項5】
蓄電デバイス用セパレータの厚さが60μm以下であり、密度が0.25g/cm〜0.75g/cmであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の蓄電デバイス用セパレータ。
【請求項6】
260℃における加熱寸法変化率が0〜−5%であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の蓄電デバイス用セパレータ。
【請求項7】
前記蓄電デバイスが、電気二重層キャパシタであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の蓄電デバイス用セパレータ。

【公開番号】特開2010−239040(P2010−239040A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−87421(P2009−87421)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000153591)株式会社巴川製紙所 (457)
【Fターム(参考)】