蓄電モジュール
【課題】電池セルを保持するための電池ホルダに大きな内部応力が生じることを抑制した電池モジュールを提供する。
【解決手段】電池モジュールは、電池ホルダ1および電池セル33が交互に積層された積層体と、積層体の両端に配置されたエンドプレート40と、エンドプレート40同士を締結するための拘束バンドとを備える。互いに対向する電池ホルダ1同士の間において、積層方向と垂直な方向に2個の電池セル33が配置されている。電池ホルダ1は、電池セル33を挟み込むベース部1aが剛性を有するように形成されている。電池ホルダ1は、撓むように形成された可撓部1bを含む。可撓部1bは、電池セル33同士の間の領域に形成されている。
【解決手段】電池モジュールは、電池ホルダ1および電池セル33が交互に積層された積層体と、積層体の両端に配置されたエンドプレート40と、エンドプレート40同士を締結するための拘束バンドとを備える。互いに対向する電池ホルダ1同士の間において、積層方向と垂直な方向に2個の電池セル33が配置されている。電池ホルダ1は、電池セル33を挟み込むベース部1aが剛性を有するように形成されている。電池ホルダ1は、撓むように形成された可撓部1bを含む。可撓部1bは、電池セル33同士の間の領域に形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
電池パックには、単一の電池セルを備えるもののほかに、複数の電池セルが一体的に固定された電池モジュールを備えるものがある。電池パックは、電池モジュールが電池ケースに収容されている。電池モジュールは、複数の電池セルを含むために、大きな電流を取り出したり高い電圧を取り出したりすることができる。
【0003】
近年、電動機を駆動源として用いる電気自動車や、電動機とその他の駆動源とを組み合わせたいわゆるハイブリッド電気自動車が実用化されてきている。電池モジュールを備える電池パックは、たとえば、このような自動車に搭載される。電池セルとしては、たとえば、繰り返し充放電が可能なニッケル−カドミウム電池、ニッケル−水素電池またはリチウムイオン電池などに代表される二次電池などが用いられる。
【0004】
特開2001−68081号公報においては、直方体状の単位電池をその最大面積の側面を重ねるように、かつ各単位電池間に冷却媒体通路を形成した状態で並列配置し、単位電池の配列方向の両端に配設したエンドプレートを拘束バンドで緊締して一体化された組電池が開示されている。
【0005】
特開2003−51335号公報においては、極板群とその両側のリード部に接合された集電体と、複数の極板群を収容配置可能な角型電槽とを備えた角型密閉式電池において、複数の極板群を集電体を介して接続して極板群連結体を構成し、極板群連結体の周面の両側面と下面を覆うシートを設けるとともに、シートと集電体の外縁との間をシールして、角型電槽内に挿入配置した電池が開示されている。
【0006】
特開2005−116457号公報においては、剛性のある第1フレームと弾性体からなる第2フレームとにより単電池を弾性的に挟持したものを、複数層積層した積層体を積層方向両面から加圧して形成する組電池が開示されている。
【0007】
特開2001−283794号公報においては、電槽を多列備える蓄電池が開示されている。電槽は、セル外郭部材を備え、セル外郭部材は、コーナー部を予め外側に湾曲成形させた形状の湾曲外郭部を有する。この湾曲外郭部は、その湾曲形状が伸ばされるよう外側に撓み変形するように形成されていることが開示されている。
【特許文献1】特開2001−68081号公報
【特許文献2】特開2003−51335号公報
【特許文献3】特開2005−116457号公報
【特許文献4】特開2001−283794号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
電池モジュールにおいては、複数の電池セルが電池セル保持部材に保持されている構成を備えるものがある。電池セル保持部材は、たとえば、エンドプレートおよび枠部材を含む。電池モジュールは、電池セルおよび枠部材が積層された積層体を備える。この積層体の両側にエンドプレートが配置されている。両側のエンドプレート同士が、たとえば拘束部材としての丸棒で固定されることにより一体化されている。
【0009】
図23に、従来の技術に基づく電池モジュールの積層体の概略断面図を示す。図23は、電池セルと枠部材との積層方向に平行な面で切断したときの概略断面図である。図23は、従来の技術に基づく電池モジュールの問題となる状態を誇張した図である。
【0010】
電池モジュールは、電池セル33と枠部材としての電池ホルダ9との積層体を備える。矢印89に示す方向が電池セル33と電池ホルダ9との積層方向である。電池モジュールは、積層体の積層方向の両側の端部に配置されたエンドプレート49を備える。電池ホルダ9は、リブ21を含む。電池セル33は、電池ホルダ9の一方の面に形成されたリブ21と電池ホルダ9の他方の面とに挟持されている。
【0011】
積層体に含まれる電池セル33や電池ホルダ9は、それぞれの製造工程において大きさに製造誤差および個体差を生じる。電池セル33の積層方向にも寸法の誤差を生じる。たとえば、電池セル33においては、電槽(収容ケース)の板厚のばらつきを有し、積層方向に寸法の製造誤差を生じる。また、電池ホルダ9が樹脂で形成されている場合には、樹脂成型の時に寸法のばらつきが生じて積層方向に寸法の製造誤差が生じる。
【0012】
図23に示す電池モジュールにおいては、積層方向と垂直な方向に複数個の電池セルが配列されている。電池ホルダ9同士の間に2個の電池セル33が並べて配置されている。積層方向に延びる電池セル33の列が2列形成されている。積層体をエンドプレート49で挟んでエンドプレート同士を拘束部材で固定するときには、エンドプレート49同士が近づく向きに荷重が印加される。このときに、電池セル33および電池ホルダ9の製造誤差により、積層方向に垂直な方向に配列した電池セル33同士の間で位置のずれが生じる。
【0013】
電池ホルダ9のうち電池セル33の列同士の間の領域9aにおいて、曲がる方向に力が加わって大きな内部応力が生じる場合がある。この結果、割れ9bが生じる場合がある。または、領域9aの反力により、電池セル33に大きな荷重が加わる場合がある。さらに、エンドプレート49においても、電池セル33の列の間の領域49aにおいて大きな内部応力が生じる場合がある。
【0014】
電池セルには使用すると変形するものがある。たとえば、リチウムイオン電池などは、使用することにより大きさが徐々に大きくなる。この変形にも個体差が生じる。積層された電池セルには、他の電池セルに比べて大きく膨張して、過大な荷重が電池セル本体に印加されたり、電池ホルダまたはエンドプレートに内部応力が生じたりする場合がある。
【0015】
本発明は、電池セルを保持するための枠部材やエンドプレートに大きな内部応力が生じることを抑制した蓄電モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明に基づく一の局面における蓄電モジュールは、枠部材および蓄電セルが交互に積層された積層体を備える。上記積層体の積層方向の両端に配置されたエンドプレートを備える。上記両端に配置された上記エンドプレート同士を締結する拘束部材を備える。互いに対向する上記枠部材同士の間において、上記積層方向と垂直な方向に複数個の上記蓄電セルが配置されている。上記枠部材および上記エンドプレートは、上記蓄電セルを挟み込む領域が剛性を有するように形成されている。上記枠部材および上記エンドプレートのうち少なくとも一方は、変形可能な変形部を含む。上記変形部は、上記積層方向と垂直な方向に配置された上記蓄電セル同士の間の領域に形成されている。
【0017】
上記発明において好ましくは、上記変形部は、撓むように形成されている可撓部を含む。
【0018】
上記発明において好ましくは、上記変形部は、周りの部分よりも薄く形成されている薄肉部を含む。
【0019】
上記発明において好ましくは、上記変形部は、弾性を有する弾性部を含む。
本発明に基づく他の局面における蓄電モジュールは、枠部材および蓄電セルが交互に積層された積層体を備える。上記積層体の積層方向の両端に配置されたエンドプレートを備える。上記両端に配置された上記エンドプレート同士を締結する拘束部材を備える。互いに対向する上記枠部材同士の間において、上記積層方向と垂直な方向に複数個の上記蓄電セルが並んで配置されている。上記枠部材は、上記蓄電セルに当接する板状部材と、上記板状部材を支持するための支持部材とを含む。上記支持部材は、上記板状部材の縁を支持するように枠形状に形成されている。上記支持部材は、上記縁に沿って形成された凸部を有する。上記凸部は、上記板状部材の厚さ方向の両側に形成されている。上記支持部材は、上記凸部同士の間で上記板状部材が動くように形成されている。上記板状部材は、変形可能に形成された変形部を含む。上記変形部は、上記積層方向と垂直な方向に配置された上記蓄電セル同士の間の領域に形成されている。
【0020】
上記発明において好ましくは、上記変形部は、撓むように形成されている。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、電池セルを保持するための枠部材やエンドプレートに大きな内部応力が生じることを抑制した蓄電モジュールを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
(実施の形態1)
図1から図7を参照して、本発明に基づく実施の形態1における蓄電モジュールについて説明する。蓄電パックは、蓄電モジュールがケースに収容されている。本実施の形態における蓄電パックは、電池パックである。本実施の形態における蓄電モジュールは、複数の電池セルを含む電池モジュールである。
【0023】
図1は、本実施の形態における電池モジュールの概略斜視図である。本実施の形態における電池モジュール10は、自動車に搭載されている。本実施の形態における電池モジュール10は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関と、充放電可能な2次電池により駆動するモータとを動力源とするハイブリッド自動車に搭載されている。
【0024】
電池モジュール10は、蓄電セルとしての電池セル33を備える。電池モジュール10は、複数の電池セル33が積層された積層体を備える。複数の電池セル33は、電池セル33の厚み方向に積層されている。矢印89は、電池セル33の積層方向を示す。本実施の形態における電池モジュール10は、電池セル33が2列で積層されている。
【0025】
電池モジュール10は、電池セル33を保持するための電池セル保持部材を備える。電池セル保持部材は、エンドプレート40および枠体としての電池ホルダ1を含む。積層体は、電池セル33および電池ホルダ1を含む。本実施の形態における積層体は、電池セル33の積層方向において、電池セル33と電池ホルダ1とが交互に積層されている。
【0026】
電池ホルダ1は、電池セル33の積層方向において、互いに隣り合う電池セル33同士の間に配置されている。電池ホルダ1は、電池セル33を挟み込んでいる。一の電池セル33は、一の電池セル33の両側に配置された2つの電池ホルダ1によって積層方向に挟持されている。互いに対向する電池ホルダ1同士の間には、積層方向に垂直な方向に複数の電池セル33が配置されている。本実施の形態においては、2個の電池セル33が配置されている。
【0027】
本実施の形態における電池セル33は、平板状に形成されている。電池セル33は、角型の電池セルである。本実施の形態における電池セル33は、リチウムイオン電池を含む。複数の電池セル33は、図示しないバスバーにより、互いに電気的に接続されている。
【0028】
電池ホルダ1は、電気的に絶縁性を有する材料から形成されている。電池ホルダ1は、積層方向に隣り合う電池セル33同士の間を電気的に絶縁している。本実施の形態における電池ホルダ1は、樹脂で形成されている。電池ホルダ1は、たとえば、ポリプロピレン(PP)、ポリプロピレンの重合体、ナイロン、またはポリブチレンテレフタレート(PBT)等の樹脂材料から形成されている。
【0029】
エンドプレート40は、積層体の積層方向の両側に配置されている。本実施の形態におけるエンドプレート40は、板状に形成されている。本実施の形態におけるエンドプレート40は、樹脂によって形成されている。エンドプレート40は、電池セル33および電池ホルダ1の積層体を、積層方向の両側から挟み込むように配置されている。
【0030】
電池モジュール10は、拘束部材としての拘束バンド42を備える。本実施の形態における拘束バンド42は、板状に形成されている。拘束バンド42は、長手方向を有するように形成されている。拘束バンド42は、長手方向が電池セル33の積層方向に延びるように配置されている。本実施の形態における拘束バンド42は、強度が十分に確保できるように厚さおよび幅が調整されている。
【0031】
拘束バンド42は、エンドプレート40同士を互いに締結するように配置されている。拘束バンド42は、締結部材としてのリベット50によってエンドプレート40に固定されている。拘束バンド42は、電池セル33を積層方向に拘束するように配置されている。複数の電池ホルダ1および電池セル33は、拘束バンド42によって一体的に保持されている。
【0032】
拘束バンド42は、電池セル33のそれぞれの列の領域に配置されている。拘束バンド42は、それぞれの電池セル33の列を固定するように配置されている。本実施の形態における拘束バンド42は、電池セル33の一列に対して、複数個が配置されている。拘束バンド42は、電池セル33の一列に対して上側2個および下側2個ずつ配置されている。
【0033】
電池ホルダ1は、排ガス流路部30を有する。排ガス流路部30は、電池セル33から排出されたガスを流通させる排ガス流路を構成している。排ガス流路部30は、凸形状に形成されている。排ガス流路部30は、電池セル33の積層方向に沿って延びている。排ガス流路部30は、電池ホルダ1の表面から突出するように形成されている。排ガス流路部30は、内部が空洞になるように形成されている。それぞれの電池ホルダ1の排ガス流路部30は、互いに連通するように配置されている。排ガス流路部30の端部には、排気管31が接続されている。
【0034】
図2に、本実施の形態における電池モジュールの端部の分解斜視図を示す。図3に本実施の形態における電池モジュールの概略断面図を示す。図3は、図1におけるIII−III線に関する矢視断面図である。
【0035】
図1から図3を参照して、本実施の形態における電池セル33は、電極33aを有する。電極33aは、板状に形成されている。電極33aは、電池セル33の端面から突出するように形成されている。電極33aは、電池ホルダ1の外部に向かうように形成されている。電極33aは、電池ホルダ1の表面22から飛び出すように形成されている。電池ホルダ1は、電極33aが互いに隣り合う電池ホルダ1の間から露出するように形成されている。
【0036】
電池セル33は、互いに対向する一対の表面33bを有する。表面33bは、電池セル33の複数の表面のうち最も大きな面積を有する面積最大面である。複数の電池セル33は、それぞれの表面33b同士が互いにほぼ平行になるように配置されている。
【0037】
電池ホルダ1は、ベース部1aを含む。ベース部1aは、リブ21を有する。リブ21は、線状に形成されている。リブ21は、ベース部1a本体の表面から突出するように形成されている。リブ21は、互いに間隔を空けて複数形成されている。
【0038】
リブ21は、電池セルを冷却するための冷却通路を形成するために形成されている。リブ21に代えて、ドット状に配置されるボスを設けても良いし、リブとボスとを組み合わせて設けても良い。リブ21は、電池セル33の表面33bに当接している。電池セル33は、一の電池ホルダ1のリブ21と、対向する電池ホルダ1のベース部1a本体の表面とに押圧されることによって電池セル33の積層方向に挟持されている。
【0039】
電池ホルダ1は、開口部16,17を有する。本実施の形態における開口部16,17は、電池ホルダ1の側面を切欠くことにより形成されている。リブ21同士の間には、冷却風を流通させるための冷却風の流路100が形成されている。
【0040】
電池モジュール10は、矢印90に示すように、冷却空気が開口部16から取り込まれ、冷却風の流路100を通って開口部17から排出される。電池セル33は、電池セル33の表面33bに沿って空気が流れることにより冷却される。電池セル33は、流路100を通る空気により冷却される。
【0041】
本実施の形態における拘束バンド42は、断面形状において曲がるように形成された曲がり部42aを端部に有する。曲がり部42aは、エンドプレート40の縁の形状に沿って曲がるように形成されている。拘束バンド42は、長手方向の両側の端部に曲がり部42aが形成されることによって、表面が積層方向にほぼ垂直になる部分を有する。この部分が、エンドプレート40に固定されている。エンドプレート40は、拘束バンド42の端部に挟み込まれるように固定されている。
【0042】
本実施の形態における拘束バンド42は、リベット50によってエンドプレート40に固定されている。リベット50は、矢印89に示す積層体の積層方向に延びるように配置されている。リベット50は、積層体の積層方向に挿入されている。
【0043】
図4に、本実施の形態における電池ホルダの斜視図を示す。ベース部1aは平面状に形成されている。ベース部1aは、電池セル33が配置される領域に形成されている。ベース部1aの表裏のうち、一方の表面に形成されたリブ21は、電池セルが配置される領域に配置されている。
【0044】
本実施の形態における電池ホルダ1は、ベース部1aが剛性を有するように形成されている。ベース部1aは、剛性を有する厚さに形成されている。電池ホルダ1は、電池セル33を挟み込む領域が剛性を有するように形成されている。
【0045】
本実施の形態における電池ホルダ1は、変形部としての可撓部1bを有する。変形部は、変形部の周りの領域よりも優先的に変形するように形成されている。可撓部1bは、撓むように形成されている。可撓部1bは、ベース部1aに挟まれる領域に形成されている。可撓部1bは、電池セル33の積層方向と垂直な方向に配置された複数の電池セル同士の間の領域に形成されている。可撓部1bは、それぞれの電池セル33が積層方向に並ぶ列同士の間の領域に形成されている。本実施の形態においては、可撓部1bの両側の領域に電池セル33が配置される。
【0046】
電池ホルダ1は、電池セルを覆うように形成された覆い部1dを有する。覆い部1dは、切欠き部1cを有する。切欠き部1cは、可撓部1bが形成されている領域に対応する領域に形成されている。切欠き部1cは、それぞれの電池セルが配列する列同士の間の領域に形成されている。切欠き部1cは、可撓部1bが変形可能なように形成されている。
【0047】
図5に、本実施の形態における電池ホルダの可撓部の部分の概略断面図を示す。図5は、図4におけるV−V線に対応する概略断面図である。図5は、電池ホルダの両側に電池セルが配置されたときの概略断面図である。電池セル33は、電池ホルダ1の一方の側において、ベース部1aに形成されたリブ21に当接している。電池セル33は、他方の側において、ベース部1a本体の表面に当接している。
【0048】
本実施の形態における可撓部1bは、断面形状がほぼU字形になるように形成されている。可撓部1bは、電池セル33から離れている。可撓部1bは、後述するように、それぞれの電池セル33や電池ホルダ1の製造誤差などの個体差に追従して、変形するように形成されている。
【0049】
図6に、本実施の形態における積層体の概略断面図を示す。図6は、積層方向にほぼ平行な面で切断したときの概略断面図である。図6は、拘束部材で積層体およびエンドプレートを拘束したときの概略断面図である。本実施の形態における積層体は、2列の電池セル33を有する。矢印93に示すように、複数の電池セル33が第1列を構成している。矢印94に示すように、複数の電池セル33が第2列を構成している。第1列と第2列との間の領域には、電池ホルダ1の可撓部1bが配置されている。
【0050】
積層体に含まれる電池セル33や電池ホルダ1は、それぞれの製造工程において寸法の製造誤差を生じる。この結果、矢印93に示す第1列の領域に配置されたベース部1aと、矢印94に示す第2列の領域に配置されたベース部1aとが、同一平面状にならない場合がある。すなわち、積層方向に垂直な方向に配置された複数の電池セル33の表面の位置がずれる場合がある。
【0051】
図7に、可撓部の部分の拡大概略断面図を示す。図7に示す例においては、それぞれの部材の個体差によって、矢印93に示す第1列の領域に配置されたベース部1aが矢印91に示す向きに偏り、矢印94に示す第2列の領域に配置されたベース部1aが矢印92に示す向きに偏っている。このように、第1列の領域のベース部1aと第2列の領域のベース部1aとは、同一平面状ではない状態である。この偏りが生じた場合であっても、可撓部1bが撓むことにより、電池ホルダに大きな内部応力が生じることを抑制することができる。
【0052】
このように、本実施の形態における電池モジュールは、電池ホルダの変形部が変形することにより、電池ホルダに大きな内部応力が生じることを抑制できる。特に、複数の列同士の間の領域に大きな内部応力が生じることを抑制できる。また、大きな内部応力により電池ホルダが破損してしまうことを抑制できる。
【0053】
また、変形部が変形するように形成されているため、使用により電池セルの大きさや形状が変化した場合においても、これらの変形を吸収することができる。さらに、変形部が変形することにより、それぞれの電池セルに印加される荷重を均一化することができる。この結果、電池セルの許容される拘束荷重範囲から逸脱することを抑制できる。
【0054】
本実施の形態においては、電池セルに対して過大な荷重が加わることを抑制して、安定した性能を発揮する電池モジュールを提供することができる。たとえば、リチウムイオン電池などの電池は、優れた性能を発揮できる拘束荷重範囲を有する。性能を保証する拘束荷重範囲よりも大きな荷重が印加された場合には、電池セルの出力が小さくなってしまう場合がある。しかし、本実施の形態における電池モジュールは、この電池セルの出力が小さくなる不具合を抑制できる。
【0055】
さらに、本実施の形態においては、電池セルに対して荷重が過小になることを抑制して、安定した性能を発揮する電池モジュールを提供することができる。たとえば、枠部材が樹脂で形成されている場合には、樹脂のクリープ現象により、電池セルに印加される荷重が徐々に小さくなる場合がある。他の電池セルに比べて膨張が小さい電池セルにおいては、荷重が過小となる場合がある。荷重が過小になり、性能を保証する拘束荷重範囲を下回ってしまう場合がある。この場合には、電池セルの内部でガスが発生して、電池セルの寿命が短くなる場合がある。しかし、本実施の形態における電池モジュールは、この電池セルの寿命が短くなる不具合を抑制できる。
【0056】
本実施の形態においては、可撓部1bを介してベース部1aが互いに接続されているため、複数列の電池セルを一体化することができる。また、図2および図3を参照して、本実施の形態においては、ベース部1aおよび可撓部1bによって、電池セル33を冷却するための流路100を形成することができる。すなわち、ベース部1aおよび可撓部1bが一体化されているために、電池ホルダ1の表面で冷却空気の流路を構成することができる。
【0057】
本実施の形態における可撓部は、断面形状がU字形に形成されているが、この形態に限られず、撓むように形成されていれば構わない。また、本実施の形態における枠部材は、ベース部および変形部がともに樹脂で形成されているが、この形態に限られず、任意の材質でそれぞれを形成することができる。
【0058】
本実施の形態における変形部は、可撓部を含むが、この形態に限られず、変形部は変形可能に形成されていればよい。本実施の形態における変形部は、電池セルが配置される領域を避けた領域に形成されているが、この形態に限られず、変形部は電池セルが配置されている領域まで延びるように形成されていても構わない。
【0059】
本実施の形態におけるエンドプレートは、樹脂で形成されているが、この形態に限られず、任意の材質で形成することができる。また、本実施の形態におけるエンドプレートは平板状に形成されているが、この形態に限られず、任意の形状を採用することができる。
【0060】
本実施の形態における電池モジュールは、拘束部材として拘束バンドが配置されているが、この形態に限られず、任意の拘束部材で電池モジュールを拘束することができる。たとえば、拘束部材としては丸棒を含んでいても構わない。また本実施の形態における拘束部材は、上側が4箇所および下側が4箇所において、エンドプレート同士を固定しているが、この形態に限られず、任意の個数にてエンドプレート同士を固定することができる。
【0061】
本実施の形態における電池セルは、リチウムイオン電池であるが、この形態に限られず、任意の電池セルを備える電池モジュールに本発明を適用することができる。たとえば、電池セルは、ニッケル水素電池を含んでいてもよい。また、蓄電セルとしては、この形態に限られず、電気を蓄える機能を有していればよい。たとえば、蓄電セルは、キャパシタを含んでいてもよい。また、本実施の形態における蓄電セルは、平板状に形成されているが、この形態に限られず、任意の形状の蓄電セルを含む蓄電モジュールに本発明を適用することができる。
【0062】
本実施の形態においては、2次電池を備えるハイブリッド車両を例に取り上げて説明したが、この形態に限られず、燃料電池と2次電池とを駆動源とする燃料電池ハイブリッド車両(FCHV:Fuel Cell Hybrid Vehicle)または電気自動車(EV:Electric Vehicle)にも本発明を適用することもできる。
【0063】
本発明は、自動車に配置される蓄電モジュールに限られず、蓄電セルが積層された任意の蓄電モジュールに適用することができる。
【0064】
(実施の形態2)
図8から図10を参照して、本発明に基づく実施の形態2における蓄電モジュールについて説明する。本実施の形態における蓄電モジュールは、電池モジュールである。本実施の形態における電池モジュールは、枠部材としての電池ホルダの構成が実施の形態1と異なる。
【0065】
図8に、本実施の形態における電池ホルダの概略斜視図を示す。電池ホルダ2は、ベース部2aを有する。ベース部2a本体の表裏の表面のうち、一方の表面にはリブ21が形成されている。ベース部2aは、剛性を有するように形成されている。
【0066】
本実施の形態における電池ホルダ2は、変形部としての薄肉部2bを有する。薄肉部2bは、薄肉部2bの周りの領域よりも厚さが薄くなっている。薄肉部2bは、電池ホルダ2のベース部2aに挟まれる領域に配置されている。薄肉部2bは、電池セルの積層方向に延びる列同士の間の領域に形成されている。薄肉部2bは、変形するように形成されている。
【0067】
電池ホルダ2は、電池セルを覆うように形成された覆い部2dを有する。覆い部2dは、切欠き部2cを有する。切欠き部2cは、薄肉部2bが形成されている領域に対応する領域に形成されている。切欠き部2cは、それぞれの電池セルが配列する列同士の間の領域に形成されている。切欠き部2cは、薄肉部2bが変形可能なように形成されている。
【0068】
図9に、本実施の形態における電池ホルダの薄肉部の拡大概略断面図を示す。図9は、図8におけるIX−IX線に対応する概略断面図である。図9は、電池セルが配置されている状態を示す。
【0069】
電池セル33は、ベース部2aに当接している。電池セル33は、薄肉部2bを避けた領域に配置されている。電池セル33は、薄肉部2bが形成されている領域の両側に配置されている。薄肉部2bは、矢印93に示す電池セル33の第1列および矢印94に示す電池セル33の第2列の間に形成されている。
【0070】
図10に、拘束部材で積層体を拘束したときの電池ホルダの拡大概略断面図を示す。本実施の形態においても、製造誤差や使用状況により、積層方向に垂直な方向に隣り合うベース部2a同士が同一平面状にならない場合がある。図10に示す例においては、一方のベース部2aが矢印91に示す向きに偏り、他方のベース部2aが矢印92に示す反対向きに偏っている。本実施の形態における薄肉部2bは、曲がっている。
【0071】
本実施の形態においては、このような偏りが生じた場合においても、薄肉部2bが変形することにより、電池ホルダ2に大きな内部応力が生じることを抑制できる。
【0072】
その他の構成、作用および効果については、実施の形態1と同様であるのでここでは説明を繰返さない。
【0073】
(実施の形態3)
図11から図13を参照して、本発明に基づく実施の形態3における蓄電モジュールについて説明する。本実施の形態における蓄電モジュールは、電池モジュールである。本実施の形態における電池モジュールは、枠部材としての電池ホルダの構成が実施の形態1と異なる。
【0074】
図11に、本実施の形態における電池ホルダの概略斜視図を示す。電池ホルダ3は、ベース部3aを有する。ベース部3a本体の表裏の表面のうち、一方の表面にはリブ21が形成されている。ベース部3aは、剛性を有するように形成されている。
【0075】
本実施の形態における電池ホルダ3は、変形部としての弾性部3bを有する。弾性部3bは、弾性を有するように形成されている。弾性部3bは、変形するように形成されている。弾性部3bは、電池セルの積層方向に延びる列同士の間の領域に形成されている。弾性部3bは、電池ホルダ3のベース部3aに挟まれる領域に配置されている。
【0076】
本実施の形態における弾性部3bは、ゴムで形成されている。本実施の形態における弾性部3bは、ベース部3aと一体的に形成されている。たとえば、弾性部3bはベース部3aとインサート成型により一体的に形成されている。
【0077】
図12は、本実施の形態における電池ホルダの弾性部の部分の拡大概略断面図である。図12は、電池セルを配置したときの概略断面図である。図12は、図11におけるXII−XII線に対応する概略断面図である。弾性部3bは、断面形状において波形になるように形成されている。弾性部3bは、蛇腹状に形成されている。弾性部3bは、矢印93に示す電池セル33の第1列と矢印94に示す電池セル33の第2列との間の領域に配置されている。
【0078】
図13に、拘束部材で積層体を拘束したときの電池ホルダの拡大概略断面図を示す。図13に示す例においては、電池セル33の第1列の領域のベース部3aが、矢印91に示す向きに偏り、矢印94に示す第2列の領域のベース部3aが、矢印92に示す逆向きに偏っている。この結果、矢印93に示す第1列の領域のベース部3aと、矢印94に示す第2列の領域のベース部3aとが同一平面状でなくなっている。本実施の形態においては、変形部としての弾性部3bが変形することにより、電池ホルダに大きな内部応力が生じることを抑制できる。
【0079】
本実施の形態における弾性部は、ゴムで形成されているが、この形態に限られず、弾性を有するように形成されていれば構わない。または、弾性部は、電池セルと電池ホルダを拘束部材で拘束したときに、変形可能なように形成されていれば構わない。
【0080】
本実施の形態における弾性部は、断面形状が波型に形成されているが、この形態に限られず、任意の形状を採用することができる。たとえば、弾性部が弾性を有するゴムで形成されている場合には、それぞれのベース部と同一平面状に板状に形成されていても構わない。
【0081】
その他の構成、作用および効果については、実施の形態1または2と同様であるのでここで説明は繰返さない。
【0082】
(実施の形態4)
図14から図18を参照して、本発明に基づく実施の形態4における蓄電モジュールについて説明する。本実施の形態における蓄電モジュールは、電池モジュールである。本実施の形態における電池モジュールは、枠部材としての電池ホルダの構成が実施の形態1と異なる。
【0083】
図14に、本実施の形態における枠部材としての電池ホルダの概略斜視図を示す。図15に、本実施の形態における電池ホルダの概略分解斜視図を示す。本実施の形態における電池ホルダ4は、板状部材4aを備える。板状部材4aは、板状に形成されている。本実施の形態における板状部材4aは、撓むように形成されている。板状部材4aは、表裏の面のうち、一方の表面に形成された複数のリブ23を有する。リブ23は、線状に形成されている。リブ23は、互いに離れて配置されている。
【0084】
電池ホルダ4は、板状部材4aを支持するための支持部材4bを有する。支持部材4bは、平面形状が四角形の枠型に形成されている。支持部材4bは、一の側面に挿入穴4cを有する。挿入穴4cは、板状部材4aが挿入できるように形成されている。支持部材4bは、挿入された板状部材4aを支持するための凸部4dを有する。凸部4dは、支持部材4bの内面から突出するように形成されている。
【0085】
図15を参照して、板状部材4aは、矢印85に示すように、挿入穴4cから挿入される。本実施の形態における挿入穴4cは、挿入穴4cの内部において板状部材4aが矢印89に示す積層方向に移動可能な大きさに形成されている。
【0086】
図16に、本実施の形態における支持部材の凸部の部分の拡大概略断面図を示す。図16は、図14におけるXVI−XVI線に関する矢視断面図である。凸部4dは、矢印89に示す積層方向において、板状部材4aの両側に配置されている。対向する凸部4d同士は、互いに離れて形成されている。凸部4dは、凸部4d同士で挟まれる領域の内部において、板状部材4aが矢印89に示す積層方向に移動可能に形成されている。
【0087】
図17に、本実施の形態における電池ホルダの概略断面図を示す。図17は、図14におけるXVII−XVII線に対応する矢視断面図である。図17は、電池セルを配置したときの概略断面図である。板状部材4aの一方の側においては、リブ23が電池セル33に当接する。板状部材4aの他方の側においては、板状部材4a本体の表面が電池セル33に当接する。本実施の形態においては、積層方向に延びる電池セルの列を2列有する。積層体は、矢印93に示す第1列と、矢印94に示す第2列とを備える。
【0088】
図18に、本実施の形態における積層体を拘束部材で拘束したときの概略断面図を示す。板状部材4aのうち、矢印93に示す第1列と、矢印94に示す第2列との間にずれが生じる。図18においては、板状部材4aの第1列の領域が矢印91に示す向きに偏り、第2列の領域が逆向きの矢印92に示す向きに偏っている。
【0089】
本実施の形態における板状部材4aは、電池セルと電池ホルダとを積層して拘束したときに、個体差に応じて撓むように形成されている。板状部材4aは、第1列と第2列との間の領域において曲がり、電池ホルダに大きな内部応力が生じることを抑制できる。
【0090】
本実施の形態における電池ホルダは、板状部材と支持部材とが分かれて形成されている。このため、板状部材を別の部材として形成することができ、製造を容易に行なうことができる。また、支持部材に対して、板状部材の材質を容易に異なるものにすることができる。
【0091】
本実施の形態においては、板状部材全体が撓むように形成されているが、この形態に限られず、電池セルが当接する領域が剛性を有するように形成され、電池セルが当接する領域同士の間の領域が変形可能に形成されていても構わない。すなわち、複数の電池セルの列同士の間領域が優先的に変形するように形成されていても構わない。たとえば、板状部材は、剛性を有するベース部と、ベース部同士に挟まれるように配置され、変形可能な変形部とを含んでいても構わない。
【0092】
その他の構成、作用および効果については、実施の形態1から3のいずれかと同様であるので、ここでは説明を繰返さない。
【0093】
(実施の形態5)
図19から図22を参照して、本発明に基づく実施の形態5における蓄電モジュールについて説明する。本実施の形態における蓄電モジュールは、電池モジュールである。本実施の形態においては、電池セル保持部材のうちエンドプレートに変形部が形成されている。
【0094】
図19に、本実施の形態における第1の電池モジュールの端部の概略斜視図を示す。本実施の形態における第1の電池モジュールは、エンドプレート41を備える。エンドプレート41は、電池ホルダおよび電池セルの積層体の両側に配置されている。本実施の形態における電池モジュールは、2列に電池セルを積層するように形成されている。
【0095】
本実施の形態におけるエンドプレート41は、ベース部41aを有する。ベース部41aは、剛性を有する材質で形成されている。本実施の形態におけるベース部41aは、樹脂で形成されている。ベース部41aは、それぞれの電池セルの列に対応するように形成されている。本実施の形態においては、2個のベース部41aが並んで配置されている。第1の電池モジュールの拘束部材は、拘束バンド42を含む。拘束バンド42は、エンドプレート41のベース部41aに固定されている。拘束バンド42は、電池セルのそれぞれの列の領域に配置されている。
【0096】
本実施の形態におけるエンドプレート41は、変形部としての弾性部41bを有する。弾性部41bは、ゴムで形成されている。弾性部41bは、変形するように形成されている。本実施の形態における弾性部41bは、ベース部41aと一体的に形成されている。弾性部41bは、ベース部41aに挟まれるように形成されている。
【0097】
図20に、本実施の形態における電池モジュールの端部の概略断面図を示す。図20は、図19におけるXX−XX線に関する矢視断面図である。図20は、エンドプレートのうち、弾性部の部分の拡大概略断面図である。本実施の形態における弾性部41bは、断面形状がコの字型に形成されている。
【0098】
本実施の形態における電池モジュールは、変形部としての薄肉部2bを有する電池ホルダ2を備える。電池ホルダ2は、リブ21がエンドプレート41のベース部41aに当接している。電池ホルダ2は、ベース部2aが電池セル33に当接している。
【0099】
図21に、積層体をエンドプレートで挟んで拘束部材で拘束したときの拡大概略断面図を示す。矢印93に示す第1列の電池セル33が矢印94に示す向きに偏っている。矢印94に示す第2列の電池セル33が、反対側の矢印92に示す向きに偏っている。本実施の形態における弾性部41bが変形することにより、この偏りが吸収されている。
【0100】
本実施の形態におけるエンドプレートは、電池セルのそれぞれの列同士の間の領域に変形部を有するため、エンドプレートに大きな内部応力が生じることを抑制することができる。
【0101】
本実施の形態におけるエンドプレートの変形部は弾性部を含むが、この形態に限られず、変形部は変形可能に形成されていれば構わない。たとえば、変形部は、撓むように形成された可撓部を含んでいても構わない。
【0102】
図22に、本実施の形態における第2の電池モジュールの端部の概略斜視図を示す。第2の電池モジュールは、エンドプレート43を備える。エンドプレート43は、ベース部43aを有する。ベース部43a同士の間には、変形部としての弾性部43bが配置されている。弾性部43bは、断面形状がコの字形に形成されている。
【0103】
第2の電池モジュールにおける拘束部材は、拘束棒45とナット51とを含む。エンドプレート43は、拘束棒45によって互いに締結されている。拘束棒45の先端には、ねじ部45aが形成されている。ねじ部45aに、ナット51が螺着されることにより、積層体が積層方向に加圧されている。拘束棒45は、それぞれの電池セルの列の領域に対応して配置されている。
【0104】
本実施の形態における第2の電池モジュールにおいては、拘束部材が、エンドプレート43同士を拘束するときの拘束長さを変更することができる。拘束棒45に対してナット51の締付け量を調整することにより、積層方向に対向するエンドプレート43のベース部43a同士の距離を調整することができる。
【0105】
本実施の形態における第2の電池モジュールにおいては、それぞれの電池セルの列の拘束長さを異なるものにすることができる。それぞれの電池セルの列において、エンドプレート43のベース部43a同士の距離を列ごとに調整することができる。電池セルの第1列の積層方向の長さと第2列の積層方向の長さとを異なるものにすることができる。
【0106】
このように、本実施の形態における第2の電池モジュールにおいては、電池ホルダおよびエンドプレートのそれぞれに変形部が形成されている。拘束部材がそれぞれの列ごとに配置されている。拘束部材が積層方向の拘束長さを調節可能に形成されている。この構成により、それぞれの電池セルの列の拘束長さを調整することができ、それぞれの列において印加する荷重を個別に調整することができる。それぞれの列における寸法の製造誤差に応じて、荷重を印加することができる。この結果、第1列における電池セルおよび第2列における電池セルについて、それぞれに印加される荷重をより均一にすることができる。
【0107】
その他の構成、作用および効果については、実施の形態1から4のいずれかと同様であるのでここでは説明を繰返さない。
【0108】
上述のそれぞれの図において、同一または相当する部分には、同一の符号を付している。また、上述の説明において、上または下などの記載は、鉛直方向の絶対的な上下方向を示すものではなく、それぞれの位置関係を相対的に示すものである。
【0109】
なお、今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】実施の形態1における電池モジュールの概略斜視図である。
【図2】実施の形態1における電池モジュールの端部の分解斜視図である。
【図3】実施の形態1における電池モジュールの概略断面図である。
【図4】実施の形態1における電池モジュールの電池ホルダの斜視図である。
【図5】実施の形態1における電池モジュールの電池ホルダの第1の拡大概略断面図である。
【図6】実施の形態1における電池モジュールの積層体の概略断面図である。
【図7】実施の形態1における電池モジュールの電池ホルダの第2の拡大概略断面図である。
【図8】実施の形態2における電池ホルダの概略斜視図である。
【図9】実施の形態2における電池モジュールの電池ホルダの第1の拡大概略断面図である。
【図10】実施の形態2における電池モジュールの電池ホルダの第2の拡大概略断面図である。
【図11】実施の形態3における電池ホルダの概略斜視図である。
【図12】実施の形態3における電池モジュールの電池ホルダの第1の拡大概略断面図である。
【図13】実施の形態3における電池モジュールの電池ホルダの第2の拡大概略断面図である。
【図14】実施の形態4における電池ホルダの概略斜視図である。
【図15】実施の形態4における電池ホルダの概略分解斜視図である。
【図16】実施の形態4における電池ホルダの第1の概略断面図である。
【図17】実施の形態4における電池ホルダの第2の概略断面図である。
【図18】実施の形態4における電池ホルダの第3の概略断面図である。
【図19】実施の形態5における第1の電池モジュールの端部の概略斜視図である。
【図20】実施の形態5における第1の電池モジュールの端部の第1の拡大概略断面図である。
【図21】実施の形態5における第1の電池モジュールの端部の第2の拡大概略断面図である。
【図22】実施の形態5における第2の電池モジュールの端部の概略斜視図である。
【図23】従来の技術に基づく電池モジュールの端部の概略断面図である。
【符号の説明】
【0111】
1〜4,9 電池ホルダ、1a,2a,3a ベース部、1b 可撓部、2b 薄肉部、1c,2c 切欠き部、1d,2d 覆い部、3b 弾性部、4a 板状部材、4b 支持部材、4c 挿入穴、4d 凸部、9a 領域、9b 割れ、10 電池モジュール、16,17 開口部、21,23 リブ、22 表面、30 排ガス流路部、31 排気管、33 電池セル、33a 電極、33b 表面、40,41,43,49 エンドプレート、41a,43a ベース部、41b,43b 弾性部、42 拘束バンド、42a 曲がり部、45 拘束棒、45a ねじ部、49a 領域、50 リベット、51 ナット、85,89〜95 矢印、100 流路。
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
電池パックには、単一の電池セルを備えるもののほかに、複数の電池セルが一体的に固定された電池モジュールを備えるものがある。電池パックは、電池モジュールが電池ケースに収容されている。電池モジュールは、複数の電池セルを含むために、大きな電流を取り出したり高い電圧を取り出したりすることができる。
【0003】
近年、電動機を駆動源として用いる電気自動車や、電動機とその他の駆動源とを組み合わせたいわゆるハイブリッド電気自動車が実用化されてきている。電池モジュールを備える電池パックは、たとえば、このような自動車に搭載される。電池セルとしては、たとえば、繰り返し充放電が可能なニッケル−カドミウム電池、ニッケル−水素電池またはリチウムイオン電池などに代表される二次電池などが用いられる。
【0004】
特開2001−68081号公報においては、直方体状の単位電池をその最大面積の側面を重ねるように、かつ各単位電池間に冷却媒体通路を形成した状態で並列配置し、単位電池の配列方向の両端に配設したエンドプレートを拘束バンドで緊締して一体化された組電池が開示されている。
【0005】
特開2003−51335号公報においては、極板群とその両側のリード部に接合された集電体と、複数の極板群を収容配置可能な角型電槽とを備えた角型密閉式電池において、複数の極板群を集電体を介して接続して極板群連結体を構成し、極板群連結体の周面の両側面と下面を覆うシートを設けるとともに、シートと集電体の外縁との間をシールして、角型電槽内に挿入配置した電池が開示されている。
【0006】
特開2005−116457号公報においては、剛性のある第1フレームと弾性体からなる第2フレームとにより単電池を弾性的に挟持したものを、複数層積層した積層体を積層方向両面から加圧して形成する組電池が開示されている。
【0007】
特開2001−283794号公報においては、電槽を多列備える蓄電池が開示されている。電槽は、セル外郭部材を備え、セル外郭部材は、コーナー部を予め外側に湾曲成形させた形状の湾曲外郭部を有する。この湾曲外郭部は、その湾曲形状が伸ばされるよう外側に撓み変形するように形成されていることが開示されている。
【特許文献1】特開2001−68081号公報
【特許文献2】特開2003−51335号公報
【特許文献3】特開2005−116457号公報
【特許文献4】特開2001−283794号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
電池モジュールにおいては、複数の電池セルが電池セル保持部材に保持されている構成を備えるものがある。電池セル保持部材は、たとえば、エンドプレートおよび枠部材を含む。電池モジュールは、電池セルおよび枠部材が積層された積層体を備える。この積層体の両側にエンドプレートが配置されている。両側のエンドプレート同士が、たとえば拘束部材としての丸棒で固定されることにより一体化されている。
【0009】
図23に、従来の技術に基づく電池モジュールの積層体の概略断面図を示す。図23は、電池セルと枠部材との積層方向に平行な面で切断したときの概略断面図である。図23は、従来の技術に基づく電池モジュールの問題となる状態を誇張した図である。
【0010】
電池モジュールは、電池セル33と枠部材としての電池ホルダ9との積層体を備える。矢印89に示す方向が電池セル33と電池ホルダ9との積層方向である。電池モジュールは、積層体の積層方向の両側の端部に配置されたエンドプレート49を備える。電池ホルダ9は、リブ21を含む。電池セル33は、電池ホルダ9の一方の面に形成されたリブ21と電池ホルダ9の他方の面とに挟持されている。
【0011】
積層体に含まれる電池セル33や電池ホルダ9は、それぞれの製造工程において大きさに製造誤差および個体差を生じる。電池セル33の積層方向にも寸法の誤差を生じる。たとえば、電池セル33においては、電槽(収容ケース)の板厚のばらつきを有し、積層方向に寸法の製造誤差を生じる。また、電池ホルダ9が樹脂で形成されている場合には、樹脂成型の時に寸法のばらつきが生じて積層方向に寸法の製造誤差が生じる。
【0012】
図23に示す電池モジュールにおいては、積層方向と垂直な方向に複数個の電池セルが配列されている。電池ホルダ9同士の間に2個の電池セル33が並べて配置されている。積層方向に延びる電池セル33の列が2列形成されている。積層体をエンドプレート49で挟んでエンドプレート同士を拘束部材で固定するときには、エンドプレート49同士が近づく向きに荷重が印加される。このときに、電池セル33および電池ホルダ9の製造誤差により、積層方向に垂直な方向に配列した電池セル33同士の間で位置のずれが生じる。
【0013】
電池ホルダ9のうち電池セル33の列同士の間の領域9aにおいて、曲がる方向に力が加わって大きな内部応力が生じる場合がある。この結果、割れ9bが生じる場合がある。または、領域9aの反力により、電池セル33に大きな荷重が加わる場合がある。さらに、エンドプレート49においても、電池セル33の列の間の領域49aにおいて大きな内部応力が生じる場合がある。
【0014】
電池セルには使用すると変形するものがある。たとえば、リチウムイオン電池などは、使用することにより大きさが徐々に大きくなる。この変形にも個体差が生じる。積層された電池セルには、他の電池セルに比べて大きく膨張して、過大な荷重が電池セル本体に印加されたり、電池ホルダまたはエンドプレートに内部応力が生じたりする場合がある。
【0015】
本発明は、電池セルを保持するための枠部材やエンドプレートに大きな内部応力が生じることを抑制した蓄電モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明に基づく一の局面における蓄電モジュールは、枠部材および蓄電セルが交互に積層された積層体を備える。上記積層体の積層方向の両端に配置されたエンドプレートを備える。上記両端に配置された上記エンドプレート同士を締結する拘束部材を備える。互いに対向する上記枠部材同士の間において、上記積層方向と垂直な方向に複数個の上記蓄電セルが配置されている。上記枠部材および上記エンドプレートは、上記蓄電セルを挟み込む領域が剛性を有するように形成されている。上記枠部材および上記エンドプレートのうち少なくとも一方は、変形可能な変形部を含む。上記変形部は、上記積層方向と垂直な方向に配置された上記蓄電セル同士の間の領域に形成されている。
【0017】
上記発明において好ましくは、上記変形部は、撓むように形成されている可撓部を含む。
【0018】
上記発明において好ましくは、上記変形部は、周りの部分よりも薄く形成されている薄肉部を含む。
【0019】
上記発明において好ましくは、上記変形部は、弾性を有する弾性部を含む。
本発明に基づく他の局面における蓄電モジュールは、枠部材および蓄電セルが交互に積層された積層体を備える。上記積層体の積層方向の両端に配置されたエンドプレートを備える。上記両端に配置された上記エンドプレート同士を締結する拘束部材を備える。互いに対向する上記枠部材同士の間において、上記積層方向と垂直な方向に複数個の上記蓄電セルが並んで配置されている。上記枠部材は、上記蓄電セルに当接する板状部材と、上記板状部材を支持するための支持部材とを含む。上記支持部材は、上記板状部材の縁を支持するように枠形状に形成されている。上記支持部材は、上記縁に沿って形成された凸部を有する。上記凸部は、上記板状部材の厚さ方向の両側に形成されている。上記支持部材は、上記凸部同士の間で上記板状部材が動くように形成されている。上記板状部材は、変形可能に形成された変形部を含む。上記変形部は、上記積層方向と垂直な方向に配置された上記蓄電セル同士の間の領域に形成されている。
【0020】
上記発明において好ましくは、上記変形部は、撓むように形成されている。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、電池セルを保持するための枠部材やエンドプレートに大きな内部応力が生じることを抑制した蓄電モジュールを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
(実施の形態1)
図1から図7を参照して、本発明に基づく実施の形態1における蓄電モジュールについて説明する。蓄電パックは、蓄電モジュールがケースに収容されている。本実施の形態における蓄電パックは、電池パックである。本実施の形態における蓄電モジュールは、複数の電池セルを含む電池モジュールである。
【0023】
図1は、本実施の形態における電池モジュールの概略斜視図である。本実施の形態における電池モジュール10は、自動車に搭載されている。本実施の形態における電池モジュール10は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関と、充放電可能な2次電池により駆動するモータとを動力源とするハイブリッド自動車に搭載されている。
【0024】
電池モジュール10は、蓄電セルとしての電池セル33を備える。電池モジュール10は、複数の電池セル33が積層された積層体を備える。複数の電池セル33は、電池セル33の厚み方向に積層されている。矢印89は、電池セル33の積層方向を示す。本実施の形態における電池モジュール10は、電池セル33が2列で積層されている。
【0025】
電池モジュール10は、電池セル33を保持するための電池セル保持部材を備える。電池セル保持部材は、エンドプレート40および枠体としての電池ホルダ1を含む。積層体は、電池セル33および電池ホルダ1を含む。本実施の形態における積層体は、電池セル33の積層方向において、電池セル33と電池ホルダ1とが交互に積層されている。
【0026】
電池ホルダ1は、電池セル33の積層方向において、互いに隣り合う電池セル33同士の間に配置されている。電池ホルダ1は、電池セル33を挟み込んでいる。一の電池セル33は、一の電池セル33の両側に配置された2つの電池ホルダ1によって積層方向に挟持されている。互いに対向する電池ホルダ1同士の間には、積層方向に垂直な方向に複数の電池セル33が配置されている。本実施の形態においては、2個の電池セル33が配置されている。
【0027】
本実施の形態における電池セル33は、平板状に形成されている。電池セル33は、角型の電池セルである。本実施の形態における電池セル33は、リチウムイオン電池を含む。複数の電池セル33は、図示しないバスバーにより、互いに電気的に接続されている。
【0028】
電池ホルダ1は、電気的に絶縁性を有する材料から形成されている。電池ホルダ1は、積層方向に隣り合う電池セル33同士の間を電気的に絶縁している。本実施の形態における電池ホルダ1は、樹脂で形成されている。電池ホルダ1は、たとえば、ポリプロピレン(PP)、ポリプロピレンの重合体、ナイロン、またはポリブチレンテレフタレート(PBT)等の樹脂材料から形成されている。
【0029】
エンドプレート40は、積層体の積層方向の両側に配置されている。本実施の形態におけるエンドプレート40は、板状に形成されている。本実施の形態におけるエンドプレート40は、樹脂によって形成されている。エンドプレート40は、電池セル33および電池ホルダ1の積層体を、積層方向の両側から挟み込むように配置されている。
【0030】
電池モジュール10は、拘束部材としての拘束バンド42を備える。本実施の形態における拘束バンド42は、板状に形成されている。拘束バンド42は、長手方向を有するように形成されている。拘束バンド42は、長手方向が電池セル33の積層方向に延びるように配置されている。本実施の形態における拘束バンド42は、強度が十分に確保できるように厚さおよび幅が調整されている。
【0031】
拘束バンド42は、エンドプレート40同士を互いに締結するように配置されている。拘束バンド42は、締結部材としてのリベット50によってエンドプレート40に固定されている。拘束バンド42は、電池セル33を積層方向に拘束するように配置されている。複数の電池ホルダ1および電池セル33は、拘束バンド42によって一体的に保持されている。
【0032】
拘束バンド42は、電池セル33のそれぞれの列の領域に配置されている。拘束バンド42は、それぞれの電池セル33の列を固定するように配置されている。本実施の形態における拘束バンド42は、電池セル33の一列に対して、複数個が配置されている。拘束バンド42は、電池セル33の一列に対して上側2個および下側2個ずつ配置されている。
【0033】
電池ホルダ1は、排ガス流路部30を有する。排ガス流路部30は、電池セル33から排出されたガスを流通させる排ガス流路を構成している。排ガス流路部30は、凸形状に形成されている。排ガス流路部30は、電池セル33の積層方向に沿って延びている。排ガス流路部30は、電池ホルダ1の表面から突出するように形成されている。排ガス流路部30は、内部が空洞になるように形成されている。それぞれの電池ホルダ1の排ガス流路部30は、互いに連通するように配置されている。排ガス流路部30の端部には、排気管31が接続されている。
【0034】
図2に、本実施の形態における電池モジュールの端部の分解斜視図を示す。図3に本実施の形態における電池モジュールの概略断面図を示す。図3は、図1におけるIII−III線に関する矢視断面図である。
【0035】
図1から図3を参照して、本実施の形態における電池セル33は、電極33aを有する。電極33aは、板状に形成されている。電極33aは、電池セル33の端面から突出するように形成されている。電極33aは、電池ホルダ1の外部に向かうように形成されている。電極33aは、電池ホルダ1の表面22から飛び出すように形成されている。電池ホルダ1は、電極33aが互いに隣り合う電池ホルダ1の間から露出するように形成されている。
【0036】
電池セル33は、互いに対向する一対の表面33bを有する。表面33bは、電池セル33の複数の表面のうち最も大きな面積を有する面積最大面である。複数の電池セル33は、それぞれの表面33b同士が互いにほぼ平行になるように配置されている。
【0037】
電池ホルダ1は、ベース部1aを含む。ベース部1aは、リブ21を有する。リブ21は、線状に形成されている。リブ21は、ベース部1a本体の表面から突出するように形成されている。リブ21は、互いに間隔を空けて複数形成されている。
【0038】
リブ21は、電池セルを冷却するための冷却通路を形成するために形成されている。リブ21に代えて、ドット状に配置されるボスを設けても良いし、リブとボスとを組み合わせて設けても良い。リブ21は、電池セル33の表面33bに当接している。電池セル33は、一の電池ホルダ1のリブ21と、対向する電池ホルダ1のベース部1a本体の表面とに押圧されることによって電池セル33の積層方向に挟持されている。
【0039】
電池ホルダ1は、開口部16,17を有する。本実施の形態における開口部16,17は、電池ホルダ1の側面を切欠くことにより形成されている。リブ21同士の間には、冷却風を流通させるための冷却風の流路100が形成されている。
【0040】
電池モジュール10は、矢印90に示すように、冷却空気が開口部16から取り込まれ、冷却風の流路100を通って開口部17から排出される。電池セル33は、電池セル33の表面33bに沿って空気が流れることにより冷却される。電池セル33は、流路100を通る空気により冷却される。
【0041】
本実施の形態における拘束バンド42は、断面形状において曲がるように形成された曲がり部42aを端部に有する。曲がり部42aは、エンドプレート40の縁の形状に沿って曲がるように形成されている。拘束バンド42は、長手方向の両側の端部に曲がり部42aが形成されることによって、表面が積層方向にほぼ垂直になる部分を有する。この部分が、エンドプレート40に固定されている。エンドプレート40は、拘束バンド42の端部に挟み込まれるように固定されている。
【0042】
本実施の形態における拘束バンド42は、リベット50によってエンドプレート40に固定されている。リベット50は、矢印89に示す積層体の積層方向に延びるように配置されている。リベット50は、積層体の積層方向に挿入されている。
【0043】
図4に、本実施の形態における電池ホルダの斜視図を示す。ベース部1aは平面状に形成されている。ベース部1aは、電池セル33が配置される領域に形成されている。ベース部1aの表裏のうち、一方の表面に形成されたリブ21は、電池セルが配置される領域に配置されている。
【0044】
本実施の形態における電池ホルダ1は、ベース部1aが剛性を有するように形成されている。ベース部1aは、剛性を有する厚さに形成されている。電池ホルダ1は、電池セル33を挟み込む領域が剛性を有するように形成されている。
【0045】
本実施の形態における電池ホルダ1は、変形部としての可撓部1bを有する。変形部は、変形部の周りの領域よりも優先的に変形するように形成されている。可撓部1bは、撓むように形成されている。可撓部1bは、ベース部1aに挟まれる領域に形成されている。可撓部1bは、電池セル33の積層方向と垂直な方向に配置された複数の電池セル同士の間の領域に形成されている。可撓部1bは、それぞれの電池セル33が積層方向に並ぶ列同士の間の領域に形成されている。本実施の形態においては、可撓部1bの両側の領域に電池セル33が配置される。
【0046】
電池ホルダ1は、電池セルを覆うように形成された覆い部1dを有する。覆い部1dは、切欠き部1cを有する。切欠き部1cは、可撓部1bが形成されている領域に対応する領域に形成されている。切欠き部1cは、それぞれの電池セルが配列する列同士の間の領域に形成されている。切欠き部1cは、可撓部1bが変形可能なように形成されている。
【0047】
図5に、本実施の形態における電池ホルダの可撓部の部分の概略断面図を示す。図5は、図4におけるV−V線に対応する概略断面図である。図5は、電池ホルダの両側に電池セルが配置されたときの概略断面図である。電池セル33は、電池ホルダ1の一方の側において、ベース部1aに形成されたリブ21に当接している。電池セル33は、他方の側において、ベース部1a本体の表面に当接している。
【0048】
本実施の形態における可撓部1bは、断面形状がほぼU字形になるように形成されている。可撓部1bは、電池セル33から離れている。可撓部1bは、後述するように、それぞれの電池セル33や電池ホルダ1の製造誤差などの個体差に追従して、変形するように形成されている。
【0049】
図6に、本実施の形態における積層体の概略断面図を示す。図6は、積層方向にほぼ平行な面で切断したときの概略断面図である。図6は、拘束部材で積層体およびエンドプレートを拘束したときの概略断面図である。本実施の形態における積層体は、2列の電池セル33を有する。矢印93に示すように、複数の電池セル33が第1列を構成している。矢印94に示すように、複数の電池セル33が第2列を構成している。第1列と第2列との間の領域には、電池ホルダ1の可撓部1bが配置されている。
【0050】
積層体に含まれる電池セル33や電池ホルダ1は、それぞれの製造工程において寸法の製造誤差を生じる。この結果、矢印93に示す第1列の領域に配置されたベース部1aと、矢印94に示す第2列の領域に配置されたベース部1aとが、同一平面状にならない場合がある。すなわち、積層方向に垂直な方向に配置された複数の電池セル33の表面の位置がずれる場合がある。
【0051】
図7に、可撓部の部分の拡大概略断面図を示す。図7に示す例においては、それぞれの部材の個体差によって、矢印93に示す第1列の領域に配置されたベース部1aが矢印91に示す向きに偏り、矢印94に示す第2列の領域に配置されたベース部1aが矢印92に示す向きに偏っている。このように、第1列の領域のベース部1aと第2列の領域のベース部1aとは、同一平面状ではない状態である。この偏りが生じた場合であっても、可撓部1bが撓むことにより、電池ホルダに大きな内部応力が生じることを抑制することができる。
【0052】
このように、本実施の形態における電池モジュールは、電池ホルダの変形部が変形することにより、電池ホルダに大きな内部応力が生じることを抑制できる。特に、複数の列同士の間の領域に大きな内部応力が生じることを抑制できる。また、大きな内部応力により電池ホルダが破損してしまうことを抑制できる。
【0053】
また、変形部が変形するように形成されているため、使用により電池セルの大きさや形状が変化した場合においても、これらの変形を吸収することができる。さらに、変形部が変形することにより、それぞれの電池セルに印加される荷重を均一化することができる。この結果、電池セルの許容される拘束荷重範囲から逸脱することを抑制できる。
【0054】
本実施の形態においては、電池セルに対して過大な荷重が加わることを抑制して、安定した性能を発揮する電池モジュールを提供することができる。たとえば、リチウムイオン電池などの電池は、優れた性能を発揮できる拘束荷重範囲を有する。性能を保証する拘束荷重範囲よりも大きな荷重が印加された場合には、電池セルの出力が小さくなってしまう場合がある。しかし、本実施の形態における電池モジュールは、この電池セルの出力が小さくなる不具合を抑制できる。
【0055】
さらに、本実施の形態においては、電池セルに対して荷重が過小になることを抑制して、安定した性能を発揮する電池モジュールを提供することができる。たとえば、枠部材が樹脂で形成されている場合には、樹脂のクリープ現象により、電池セルに印加される荷重が徐々に小さくなる場合がある。他の電池セルに比べて膨張が小さい電池セルにおいては、荷重が過小となる場合がある。荷重が過小になり、性能を保証する拘束荷重範囲を下回ってしまう場合がある。この場合には、電池セルの内部でガスが発生して、電池セルの寿命が短くなる場合がある。しかし、本実施の形態における電池モジュールは、この電池セルの寿命が短くなる不具合を抑制できる。
【0056】
本実施の形態においては、可撓部1bを介してベース部1aが互いに接続されているため、複数列の電池セルを一体化することができる。また、図2および図3を参照して、本実施の形態においては、ベース部1aおよび可撓部1bによって、電池セル33を冷却するための流路100を形成することができる。すなわち、ベース部1aおよび可撓部1bが一体化されているために、電池ホルダ1の表面で冷却空気の流路を構成することができる。
【0057】
本実施の形態における可撓部は、断面形状がU字形に形成されているが、この形態に限られず、撓むように形成されていれば構わない。また、本実施の形態における枠部材は、ベース部および変形部がともに樹脂で形成されているが、この形態に限られず、任意の材質でそれぞれを形成することができる。
【0058】
本実施の形態における変形部は、可撓部を含むが、この形態に限られず、変形部は変形可能に形成されていればよい。本実施の形態における変形部は、電池セルが配置される領域を避けた領域に形成されているが、この形態に限られず、変形部は電池セルが配置されている領域まで延びるように形成されていても構わない。
【0059】
本実施の形態におけるエンドプレートは、樹脂で形成されているが、この形態に限られず、任意の材質で形成することができる。また、本実施の形態におけるエンドプレートは平板状に形成されているが、この形態に限られず、任意の形状を採用することができる。
【0060】
本実施の形態における電池モジュールは、拘束部材として拘束バンドが配置されているが、この形態に限られず、任意の拘束部材で電池モジュールを拘束することができる。たとえば、拘束部材としては丸棒を含んでいても構わない。また本実施の形態における拘束部材は、上側が4箇所および下側が4箇所において、エンドプレート同士を固定しているが、この形態に限られず、任意の個数にてエンドプレート同士を固定することができる。
【0061】
本実施の形態における電池セルは、リチウムイオン電池であるが、この形態に限られず、任意の電池セルを備える電池モジュールに本発明を適用することができる。たとえば、電池セルは、ニッケル水素電池を含んでいてもよい。また、蓄電セルとしては、この形態に限られず、電気を蓄える機能を有していればよい。たとえば、蓄電セルは、キャパシタを含んでいてもよい。また、本実施の形態における蓄電セルは、平板状に形成されているが、この形態に限られず、任意の形状の蓄電セルを含む蓄電モジュールに本発明を適用することができる。
【0062】
本実施の形態においては、2次電池を備えるハイブリッド車両を例に取り上げて説明したが、この形態に限られず、燃料電池と2次電池とを駆動源とする燃料電池ハイブリッド車両(FCHV:Fuel Cell Hybrid Vehicle)または電気自動車(EV:Electric Vehicle)にも本発明を適用することもできる。
【0063】
本発明は、自動車に配置される蓄電モジュールに限られず、蓄電セルが積層された任意の蓄電モジュールに適用することができる。
【0064】
(実施の形態2)
図8から図10を参照して、本発明に基づく実施の形態2における蓄電モジュールについて説明する。本実施の形態における蓄電モジュールは、電池モジュールである。本実施の形態における電池モジュールは、枠部材としての電池ホルダの構成が実施の形態1と異なる。
【0065】
図8に、本実施の形態における電池ホルダの概略斜視図を示す。電池ホルダ2は、ベース部2aを有する。ベース部2a本体の表裏の表面のうち、一方の表面にはリブ21が形成されている。ベース部2aは、剛性を有するように形成されている。
【0066】
本実施の形態における電池ホルダ2は、変形部としての薄肉部2bを有する。薄肉部2bは、薄肉部2bの周りの領域よりも厚さが薄くなっている。薄肉部2bは、電池ホルダ2のベース部2aに挟まれる領域に配置されている。薄肉部2bは、電池セルの積層方向に延びる列同士の間の領域に形成されている。薄肉部2bは、変形するように形成されている。
【0067】
電池ホルダ2は、電池セルを覆うように形成された覆い部2dを有する。覆い部2dは、切欠き部2cを有する。切欠き部2cは、薄肉部2bが形成されている領域に対応する領域に形成されている。切欠き部2cは、それぞれの電池セルが配列する列同士の間の領域に形成されている。切欠き部2cは、薄肉部2bが変形可能なように形成されている。
【0068】
図9に、本実施の形態における電池ホルダの薄肉部の拡大概略断面図を示す。図9は、図8におけるIX−IX線に対応する概略断面図である。図9は、電池セルが配置されている状態を示す。
【0069】
電池セル33は、ベース部2aに当接している。電池セル33は、薄肉部2bを避けた領域に配置されている。電池セル33は、薄肉部2bが形成されている領域の両側に配置されている。薄肉部2bは、矢印93に示す電池セル33の第1列および矢印94に示す電池セル33の第2列の間に形成されている。
【0070】
図10に、拘束部材で積層体を拘束したときの電池ホルダの拡大概略断面図を示す。本実施の形態においても、製造誤差や使用状況により、積層方向に垂直な方向に隣り合うベース部2a同士が同一平面状にならない場合がある。図10に示す例においては、一方のベース部2aが矢印91に示す向きに偏り、他方のベース部2aが矢印92に示す反対向きに偏っている。本実施の形態における薄肉部2bは、曲がっている。
【0071】
本実施の形態においては、このような偏りが生じた場合においても、薄肉部2bが変形することにより、電池ホルダ2に大きな内部応力が生じることを抑制できる。
【0072】
その他の構成、作用および効果については、実施の形態1と同様であるのでここでは説明を繰返さない。
【0073】
(実施の形態3)
図11から図13を参照して、本発明に基づく実施の形態3における蓄電モジュールについて説明する。本実施の形態における蓄電モジュールは、電池モジュールである。本実施の形態における電池モジュールは、枠部材としての電池ホルダの構成が実施の形態1と異なる。
【0074】
図11に、本実施の形態における電池ホルダの概略斜視図を示す。電池ホルダ3は、ベース部3aを有する。ベース部3a本体の表裏の表面のうち、一方の表面にはリブ21が形成されている。ベース部3aは、剛性を有するように形成されている。
【0075】
本実施の形態における電池ホルダ3は、変形部としての弾性部3bを有する。弾性部3bは、弾性を有するように形成されている。弾性部3bは、変形するように形成されている。弾性部3bは、電池セルの積層方向に延びる列同士の間の領域に形成されている。弾性部3bは、電池ホルダ3のベース部3aに挟まれる領域に配置されている。
【0076】
本実施の形態における弾性部3bは、ゴムで形成されている。本実施の形態における弾性部3bは、ベース部3aと一体的に形成されている。たとえば、弾性部3bはベース部3aとインサート成型により一体的に形成されている。
【0077】
図12は、本実施の形態における電池ホルダの弾性部の部分の拡大概略断面図である。図12は、電池セルを配置したときの概略断面図である。図12は、図11におけるXII−XII線に対応する概略断面図である。弾性部3bは、断面形状において波形になるように形成されている。弾性部3bは、蛇腹状に形成されている。弾性部3bは、矢印93に示す電池セル33の第1列と矢印94に示す電池セル33の第2列との間の領域に配置されている。
【0078】
図13に、拘束部材で積層体を拘束したときの電池ホルダの拡大概略断面図を示す。図13に示す例においては、電池セル33の第1列の領域のベース部3aが、矢印91に示す向きに偏り、矢印94に示す第2列の領域のベース部3aが、矢印92に示す逆向きに偏っている。この結果、矢印93に示す第1列の領域のベース部3aと、矢印94に示す第2列の領域のベース部3aとが同一平面状でなくなっている。本実施の形態においては、変形部としての弾性部3bが変形することにより、電池ホルダに大きな内部応力が生じることを抑制できる。
【0079】
本実施の形態における弾性部は、ゴムで形成されているが、この形態に限られず、弾性を有するように形成されていれば構わない。または、弾性部は、電池セルと電池ホルダを拘束部材で拘束したときに、変形可能なように形成されていれば構わない。
【0080】
本実施の形態における弾性部は、断面形状が波型に形成されているが、この形態に限られず、任意の形状を採用することができる。たとえば、弾性部が弾性を有するゴムで形成されている場合には、それぞれのベース部と同一平面状に板状に形成されていても構わない。
【0081】
その他の構成、作用および効果については、実施の形態1または2と同様であるのでここで説明は繰返さない。
【0082】
(実施の形態4)
図14から図18を参照して、本発明に基づく実施の形態4における蓄電モジュールについて説明する。本実施の形態における蓄電モジュールは、電池モジュールである。本実施の形態における電池モジュールは、枠部材としての電池ホルダの構成が実施の形態1と異なる。
【0083】
図14に、本実施の形態における枠部材としての電池ホルダの概略斜視図を示す。図15に、本実施の形態における電池ホルダの概略分解斜視図を示す。本実施の形態における電池ホルダ4は、板状部材4aを備える。板状部材4aは、板状に形成されている。本実施の形態における板状部材4aは、撓むように形成されている。板状部材4aは、表裏の面のうち、一方の表面に形成された複数のリブ23を有する。リブ23は、線状に形成されている。リブ23は、互いに離れて配置されている。
【0084】
電池ホルダ4は、板状部材4aを支持するための支持部材4bを有する。支持部材4bは、平面形状が四角形の枠型に形成されている。支持部材4bは、一の側面に挿入穴4cを有する。挿入穴4cは、板状部材4aが挿入できるように形成されている。支持部材4bは、挿入された板状部材4aを支持するための凸部4dを有する。凸部4dは、支持部材4bの内面から突出するように形成されている。
【0085】
図15を参照して、板状部材4aは、矢印85に示すように、挿入穴4cから挿入される。本実施の形態における挿入穴4cは、挿入穴4cの内部において板状部材4aが矢印89に示す積層方向に移動可能な大きさに形成されている。
【0086】
図16に、本実施の形態における支持部材の凸部の部分の拡大概略断面図を示す。図16は、図14におけるXVI−XVI線に関する矢視断面図である。凸部4dは、矢印89に示す積層方向において、板状部材4aの両側に配置されている。対向する凸部4d同士は、互いに離れて形成されている。凸部4dは、凸部4d同士で挟まれる領域の内部において、板状部材4aが矢印89に示す積層方向に移動可能に形成されている。
【0087】
図17に、本実施の形態における電池ホルダの概略断面図を示す。図17は、図14におけるXVII−XVII線に対応する矢視断面図である。図17は、電池セルを配置したときの概略断面図である。板状部材4aの一方の側においては、リブ23が電池セル33に当接する。板状部材4aの他方の側においては、板状部材4a本体の表面が電池セル33に当接する。本実施の形態においては、積層方向に延びる電池セルの列を2列有する。積層体は、矢印93に示す第1列と、矢印94に示す第2列とを備える。
【0088】
図18に、本実施の形態における積層体を拘束部材で拘束したときの概略断面図を示す。板状部材4aのうち、矢印93に示す第1列と、矢印94に示す第2列との間にずれが生じる。図18においては、板状部材4aの第1列の領域が矢印91に示す向きに偏り、第2列の領域が逆向きの矢印92に示す向きに偏っている。
【0089】
本実施の形態における板状部材4aは、電池セルと電池ホルダとを積層して拘束したときに、個体差に応じて撓むように形成されている。板状部材4aは、第1列と第2列との間の領域において曲がり、電池ホルダに大きな内部応力が生じることを抑制できる。
【0090】
本実施の形態における電池ホルダは、板状部材と支持部材とが分かれて形成されている。このため、板状部材を別の部材として形成することができ、製造を容易に行なうことができる。また、支持部材に対して、板状部材の材質を容易に異なるものにすることができる。
【0091】
本実施の形態においては、板状部材全体が撓むように形成されているが、この形態に限られず、電池セルが当接する領域が剛性を有するように形成され、電池セルが当接する領域同士の間の領域が変形可能に形成されていても構わない。すなわち、複数の電池セルの列同士の間領域が優先的に変形するように形成されていても構わない。たとえば、板状部材は、剛性を有するベース部と、ベース部同士に挟まれるように配置され、変形可能な変形部とを含んでいても構わない。
【0092】
その他の構成、作用および効果については、実施の形態1から3のいずれかと同様であるので、ここでは説明を繰返さない。
【0093】
(実施の形態5)
図19から図22を参照して、本発明に基づく実施の形態5における蓄電モジュールについて説明する。本実施の形態における蓄電モジュールは、電池モジュールである。本実施の形態においては、電池セル保持部材のうちエンドプレートに変形部が形成されている。
【0094】
図19に、本実施の形態における第1の電池モジュールの端部の概略斜視図を示す。本実施の形態における第1の電池モジュールは、エンドプレート41を備える。エンドプレート41は、電池ホルダおよび電池セルの積層体の両側に配置されている。本実施の形態における電池モジュールは、2列に電池セルを積層するように形成されている。
【0095】
本実施の形態におけるエンドプレート41は、ベース部41aを有する。ベース部41aは、剛性を有する材質で形成されている。本実施の形態におけるベース部41aは、樹脂で形成されている。ベース部41aは、それぞれの電池セルの列に対応するように形成されている。本実施の形態においては、2個のベース部41aが並んで配置されている。第1の電池モジュールの拘束部材は、拘束バンド42を含む。拘束バンド42は、エンドプレート41のベース部41aに固定されている。拘束バンド42は、電池セルのそれぞれの列の領域に配置されている。
【0096】
本実施の形態におけるエンドプレート41は、変形部としての弾性部41bを有する。弾性部41bは、ゴムで形成されている。弾性部41bは、変形するように形成されている。本実施の形態における弾性部41bは、ベース部41aと一体的に形成されている。弾性部41bは、ベース部41aに挟まれるように形成されている。
【0097】
図20に、本実施の形態における電池モジュールの端部の概略断面図を示す。図20は、図19におけるXX−XX線に関する矢視断面図である。図20は、エンドプレートのうち、弾性部の部分の拡大概略断面図である。本実施の形態における弾性部41bは、断面形状がコの字型に形成されている。
【0098】
本実施の形態における電池モジュールは、変形部としての薄肉部2bを有する電池ホルダ2を備える。電池ホルダ2は、リブ21がエンドプレート41のベース部41aに当接している。電池ホルダ2は、ベース部2aが電池セル33に当接している。
【0099】
図21に、積層体をエンドプレートで挟んで拘束部材で拘束したときの拡大概略断面図を示す。矢印93に示す第1列の電池セル33が矢印94に示す向きに偏っている。矢印94に示す第2列の電池セル33が、反対側の矢印92に示す向きに偏っている。本実施の形態における弾性部41bが変形することにより、この偏りが吸収されている。
【0100】
本実施の形態におけるエンドプレートは、電池セルのそれぞれの列同士の間の領域に変形部を有するため、エンドプレートに大きな内部応力が生じることを抑制することができる。
【0101】
本実施の形態におけるエンドプレートの変形部は弾性部を含むが、この形態に限られず、変形部は変形可能に形成されていれば構わない。たとえば、変形部は、撓むように形成された可撓部を含んでいても構わない。
【0102】
図22に、本実施の形態における第2の電池モジュールの端部の概略斜視図を示す。第2の電池モジュールは、エンドプレート43を備える。エンドプレート43は、ベース部43aを有する。ベース部43a同士の間には、変形部としての弾性部43bが配置されている。弾性部43bは、断面形状がコの字形に形成されている。
【0103】
第2の電池モジュールにおける拘束部材は、拘束棒45とナット51とを含む。エンドプレート43は、拘束棒45によって互いに締結されている。拘束棒45の先端には、ねじ部45aが形成されている。ねじ部45aに、ナット51が螺着されることにより、積層体が積層方向に加圧されている。拘束棒45は、それぞれの電池セルの列の領域に対応して配置されている。
【0104】
本実施の形態における第2の電池モジュールにおいては、拘束部材が、エンドプレート43同士を拘束するときの拘束長さを変更することができる。拘束棒45に対してナット51の締付け量を調整することにより、積層方向に対向するエンドプレート43のベース部43a同士の距離を調整することができる。
【0105】
本実施の形態における第2の電池モジュールにおいては、それぞれの電池セルの列の拘束長さを異なるものにすることができる。それぞれの電池セルの列において、エンドプレート43のベース部43a同士の距離を列ごとに調整することができる。電池セルの第1列の積層方向の長さと第2列の積層方向の長さとを異なるものにすることができる。
【0106】
このように、本実施の形態における第2の電池モジュールにおいては、電池ホルダおよびエンドプレートのそれぞれに変形部が形成されている。拘束部材がそれぞれの列ごとに配置されている。拘束部材が積層方向の拘束長さを調節可能に形成されている。この構成により、それぞれの電池セルの列の拘束長さを調整することができ、それぞれの列において印加する荷重を個別に調整することができる。それぞれの列における寸法の製造誤差に応じて、荷重を印加することができる。この結果、第1列における電池セルおよび第2列における電池セルについて、それぞれに印加される荷重をより均一にすることができる。
【0107】
その他の構成、作用および効果については、実施の形態1から4のいずれかと同様であるのでここでは説明を繰返さない。
【0108】
上述のそれぞれの図において、同一または相当する部分には、同一の符号を付している。また、上述の説明において、上または下などの記載は、鉛直方向の絶対的な上下方向を示すものではなく、それぞれの位置関係を相対的に示すものである。
【0109】
なお、今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】実施の形態1における電池モジュールの概略斜視図である。
【図2】実施の形態1における電池モジュールの端部の分解斜視図である。
【図3】実施の形態1における電池モジュールの概略断面図である。
【図4】実施の形態1における電池モジュールの電池ホルダの斜視図である。
【図5】実施の形態1における電池モジュールの電池ホルダの第1の拡大概略断面図である。
【図6】実施の形態1における電池モジュールの積層体の概略断面図である。
【図7】実施の形態1における電池モジュールの電池ホルダの第2の拡大概略断面図である。
【図8】実施の形態2における電池ホルダの概略斜視図である。
【図9】実施の形態2における電池モジュールの電池ホルダの第1の拡大概略断面図である。
【図10】実施の形態2における電池モジュールの電池ホルダの第2の拡大概略断面図である。
【図11】実施の形態3における電池ホルダの概略斜視図である。
【図12】実施の形態3における電池モジュールの電池ホルダの第1の拡大概略断面図である。
【図13】実施の形態3における電池モジュールの電池ホルダの第2の拡大概略断面図である。
【図14】実施の形態4における電池ホルダの概略斜視図である。
【図15】実施の形態4における電池ホルダの概略分解斜視図である。
【図16】実施の形態4における電池ホルダの第1の概略断面図である。
【図17】実施の形態4における電池ホルダの第2の概略断面図である。
【図18】実施の形態4における電池ホルダの第3の概略断面図である。
【図19】実施の形態5における第1の電池モジュールの端部の概略斜視図である。
【図20】実施の形態5における第1の電池モジュールの端部の第1の拡大概略断面図である。
【図21】実施の形態5における第1の電池モジュールの端部の第2の拡大概略断面図である。
【図22】実施の形態5における第2の電池モジュールの端部の概略斜視図である。
【図23】従来の技術に基づく電池モジュールの端部の概略断面図である。
【符号の説明】
【0111】
1〜4,9 電池ホルダ、1a,2a,3a ベース部、1b 可撓部、2b 薄肉部、1c,2c 切欠き部、1d,2d 覆い部、3b 弾性部、4a 板状部材、4b 支持部材、4c 挿入穴、4d 凸部、9a 領域、9b 割れ、10 電池モジュール、16,17 開口部、21,23 リブ、22 表面、30 排ガス流路部、31 排気管、33 電池セル、33a 電極、33b 表面、40,41,43,49 エンドプレート、41a,43a ベース部、41b,43b 弾性部、42 拘束バンド、42a 曲がり部、45 拘束棒、45a ねじ部、49a 領域、50 リベット、51 ナット、85,89〜95 矢印、100 流路。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠部材および蓄電セルが交互に積層された積層体と、
前記積層体の積層方向の両端に配置されたエンドプレートと、
前記両端に配置された前記エンドプレート同士を締結する拘束部材と
を備え、
互いに対向する前記枠部材同士の間において、前記積層方向と垂直な方向に複数個の前記蓄電セルが配置され、
前記枠部材および前記エンドプレートは、前記蓄電セルを挟み込む領域が剛性を有するように形成され、
前記枠部材および前記エンドプレートのうち少なくとも一方は、変形可能な変形部を含み、
前記変形部は、前記積層方向と垂直な方向に配置された前記蓄電セル同士の間の領域に形成されている、蓄電モジュール。
【請求項2】
前記変形部は、撓むように形成されている可撓部を含む、請求項1に記載の蓄電モジュール。
【請求項3】
前記変形部は、周りの部分よりも薄く形成されている薄肉部を含む、請求項1または2に記載の蓄電モジュール。
【請求項4】
前記変形部は、弾性を有する弾性部を含む、請求項1から3のいずれかに記載の蓄電モジュール。
【請求項5】
枠部材および蓄電セルが交互に積層された積層体と、
前記積層体の積層方向の両端に配置されたエンドプレートと、
前記両端に配置された前記エンドプレート同士を締結する拘束部材と
を備え、
互いに対向する前記枠部材同士の間において、前記積層方向と垂直な方向に複数個の前記蓄電セルが並んで配置され、
前記枠部材は、前記蓄電セルに当接する板状部材と、
前記板状部材を支持するための支持部材と
を含み、
前記支持部材は、前記板状部材の縁を支持するように枠形状に形成され、
前記支持部材は、前記縁に沿って形成された凸部を有し、
前記凸部は、前記板状部材の厚さ方向の両側に形成され、
前記支持部材は、前記凸部同士の間で前記板状部材が動くように形成され、
前記板状部材は、変形可能に形成された変形部を含み、
前記変形部は、前記積層方向と垂直な方向に配置された前記蓄電セル同士の間の領域に形成されている、蓄電モジュール。
【請求項6】
前記変形部は、撓むように形成されている、請求項5に記載の蓄電モジュール。
【請求項1】
枠部材および蓄電セルが交互に積層された積層体と、
前記積層体の積層方向の両端に配置されたエンドプレートと、
前記両端に配置された前記エンドプレート同士を締結する拘束部材と
を備え、
互いに対向する前記枠部材同士の間において、前記積層方向と垂直な方向に複数個の前記蓄電セルが配置され、
前記枠部材および前記エンドプレートは、前記蓄電セルを挟み込む領域が剛性を有するように形成され、
前記枠部材および前記エンドプレートのうち少なくとも一方は、変形可能な変形部を含み、
前記変形部は、前記積層方向と垂直な方向に配置された前記蓄電セル同士の間の領域に形成されている、蓄電モジュール。
【請求項2】
前記変形部は、撓むように形成されている可撓部を含む、請求項1に記載の蓄電モジュール。
【請求項3】
前記変形部は、周りの部分よりも薄く形成されている薄肉部を含む、請求項1または2に記載の蓄電モジュール。
【請求項4】
前記変形部は、弾性を有する弾性部を含む、請求項1から3のいずれかに記載の蓄電モジュール。
【請求項5】
枠部材および蓄電セルが交互に積層された積層体と、
前記積層体の積層方向の両端に配置されたエンドプレートと、
前記両端に配置された前記エンドプレート同士を締結する拘束部材と
を備え、
互いに対向する前記枠部材同士の間において、前記積層方向と垂直な方向に複数個の前記蓄電セルが並んで配置され、
前記枠部材は、前記蓄電セルに当接する板状部材と、
前記板状部材を支持するための支持部材と
を含み、
前記支持部材は、前記板状部材の縁を支持するように枠形状に形成され、
前記支持部材は、前記縁に沿って形成された凸部を有し、
前記凸部は、前記板状部材の厚さ方向の両側に形成され、
前記支持部材は、前記凸部同士の間で前記板状部材が動くように形成され、
前記板状部材は、変形可能に形成された変形部を含み、
前記変形部は、前記積層方向と垂直な方向に配置された前記蓄電セル同士の間の領域に形成されている、蓄電モジュール。
【請求項6】
前記変形部は、撓むように形成されている、請求項5に記載の蓄電モジュール。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2008−53072(P2008−53072A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−228657(P2006−228657)
【出願日】平成18年8月25日(2006.8.25)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000225577)内浜化成株式会社 (21)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年8月25日(2006.8.25)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000225577)内浜化成株式会社 (21)
【Fターム(参考)】
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