説明

蓄電池搭載機器充電用の蓄電池システム

【課題】)自家用蓄電池20と電気自動車等の蓄電池搭載機器の蓄電池22の充電量を融通して充電量の適正化を図る。
【解決手段】自家発電電源装置18の電力で自家用蓄電池20を充電する第1充電回路32と蓄電池搭載機器の蓄電池22を充電する第2充電回路34と、送配電線路12の電力で自家用蓄電池20を充電する第3充電回路36と蓄電池搭載機器の蓄電池22を充電する第4充電回路38と、自家用蓄電池20の電力を宅内配線16に供給する第1放電回路40と、蓄電池搭載機器の蓄電池22の電力を宅内配線16に供給する第2放電回路42と、自家用蓄電池20で蓄電池搭載機器の蓄電池22を充電する第1充放電回路44と、蓄電池搭載機器の蓄電池22で自家用蓄電池20を充電する第2充放電回路46とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自家用蓄電池と電気自動車等の蓄電池搭載機器の充電量を適切に融通できる蓄電池搭載機器充電用の蓄電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電装置や風力発電装置は、再生可能エネルギによる電源装置として広く実用化され、日進月歩進化している。また、クリーンなエネルギを利用した燃料電池も、次世代の自家発電電源装置として実用化が図られている。これらの自家発電電源装置により供給される電力のうちの余剰分は蓄電池に蓄積され、夜間に使用される。一方、電気自動車も、自家発電電源装置の電力や、蓄電池に蓄積した夜間電力等を利用して充電するように、駐車場に電源プラグ接続設備を設けて、自動的に充電をすることが行われている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−200405号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
既知の従来の技術には、次のような解決すべき課題があった。自動車の利用形態は多様である。昼間のみ使用する人もいれば、夜間に多用する人もいる。ほぼ毎日使用する人もいれば、平日はほとんど使用しない人もいる。自動車の利用形態に応じて、自動車に使用する蓄電池に廉価な電力を用いて充電することが好ましい。
本発明は、以上の点に着目してなされたもので、下記のような蓄電池搭載機器充電用の蓄電池システムを提供することを目的とする。
(1)自家発電電源装置の電力や、送配電設備から受電した夜間電力を自家用蓄電池に蓄積しておき、夜でも昼でも廉価な電力を充電できる。
(2)自家用蓄電池と電気自動車等の電池搭載機器の蓄電池の充電量を融通して充電量の適正化を図れる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下の構成はそれぞれ上記の課題を解決するための手段である。
〈構成1〉
自然エネルギを電気エネルギに変換して出力する自家発電電源装置と、前記自家発電電源装置から供給される電力もしくは前記送配電線路から供給される電力を蓄積する自家用蓄電池と、蓄電池搭載機器の蓄電池とを、相互に電気接続して電力を授受するための端子群と回路群とを備え、前記端子群は、前記自家発電電源装置を接続する第1端子と、前記送配電線路と接続された前記分電盤に接続する第2端子と、前記自家用蓄電池を接続する第3端子と、前記蓄電池搭載機器の蓄電池と接続する第4端子とを備え、前記回路群は、前記第1端子から入力する前記自家発電電源装置の電力を受け入れて要求されている直流電力を出力し、前記第3端子に接続された前記自家用蓄電池を充電する第1充電回路と、前記第1端子から入力する前記自家発電電源装置の電力を受け入れて要求されている直流電力を出力し、前記第4端子に接続された前記蓄電池搭載機器の蓄電池を充電する第2充電回路と、前記第2端子から入力する前記送配電線路の電力を受け入れて要求されている直流電力を出力し、前記第3端子に接続された前記自家用蓄電池を充電する第3充電回路と、前記第2端子から入力する前記送配電線路の電力を受け入れて要求されている直流電力を出力し、前記第4端子に接続された前記蓄電池搭載機器の蓄電池を充電する第4充電回路と、前記第3端子に接続された前記自家用蓄電池で前記第4端子に接続された前記蓄電池搭載機器の蓄電池を充電する第1充放電回路と、を備えたことを特徴とする蓄電池搭載機器充電用の蓄電池システム。
【0006】
〈構成2〉
構成1に記載の蓄電池搭載機器充電用の蓄電池システムにおいて、前記第3端子から入力する前記自家用蓄電池の電力を受け入れて要求されている交流電力を出力し、送配電線路を経由して分電盤を介して商用電源を受け入れる宅内配線に対して前記交流電力を供給する第1放電回路を備えたことを特徴とする蓄電池搭載機器充電用の蓄電池システム。
【0007】
〈構成3〉
構成1に記載の蓄電池搭載機器充電用の蓄電池システムにおいて、前記第4端子から入力する前記蓄電池搭載機器の蓄電池の電力を受け入れて要求されている交流電力を出力し、前記宅内配線に供給する第2放電回路とを備えたことを特徴とする蓄電池搭載機器充電用の蓄電池システム。
【0008】
〈構成4〉
構成1に記載の蓄電池搭載機器充電用の蓄電池システムにおいて、前記第3端子から入力する前記自家用蓄電池の電力を受け入れて要求されている交流電力を出力し、送配電線路を経由して分電盤を介して商用電源を受け入れる宅内配線に対して前記交流電力を供給する第1放電回路と、前記第4端子から入力する前記蓄電池搭載機器の蓄電池の電力を受け入れて要求されている交流電力を出力し、前記宅内配線に供給する第2放電回路とを備えたことを特徴とする蓄電池搭載機器充電用の蓄電池システム。
【0009】
〈構成5〉
構成1乃至4のいずれかに記載の蓄電池搭載機器充電用の蓄電池システムにおいて、前記第4端子に接続された前記蓄電池搭載機器の蓄電池で前記第3端子に接続された自家用蓄電池を充電する第2充放電回路を備えたことを特徴とする蓄電池搭載機器充電用の蓄電池システム。
【0010】
〈構成6〉
構成1乃至5のいずれかに記載の蓄電池搭載機器充電用の蓄電池システムにおいて、前記回路群に含まれたいずれかの回路もしくは全ての回路に充電量適正化回路が設けられ、前記充電量適正化回路は、前記自家用蓄電池もしくは前記電池搭載機器の蓄電池の充電量を設定された範囲に制御することを特徴とする蓄電池搭載機器充電用の蓄電池システム。
【0011】
〈構成7〉
構成6に記載の蓄電池搭載機器充電用の蓄電池システムにおいて、前記充電量適正化回路が、建物内部の総合的なエネルギ管理をするHEMSサーバにより、前記自家用蓄電池もしくは前記電池搭載機器の蓄電池の充電量を設定された範囲に制御することを特徴とする蓄電池搭載機器充電用の蓄電池システム。
【発明の効果】
【0012】
〈構成1の効果〉
自家用蓄電池と電気自動車等の電池搭載機器の蓄電池を、商用電源と自家発電電源装置により充電できる。また、自家用蓄電池から電気自動車等の電池搭載機器の蓄電池に充電できる。従って、電池搭載機器の蓄電池に低コストの電力を充電できる。
〈構成2の効果〉
自家用蓄電池の電力を宅内配線に供給できる。
〈構成3の効果〉
電池搭載機器の蓄電池の電力を宅内配線に供給でき、電池搭載機器の蓄電池を有効利用できる。
〈構成4の効果〉
自家用蓄電池と電池搭載機器の蓄電池の両方の電力を合わせて宅内配線に供給でき、電池搭載機器の蓄電池を有効利用できる。
〈構成5の効果〉
自家用蓄電池と電池搭載機器の蓄電池に充電された電力を相互に融通して、電池搭載機器の蓄電池を有効利用できる。
〈構成6の効果〉
自家用蓄電池や電池搭載機器の蓄電池の充電量を、利用者が予め設定しておいた範囲に自動的に制御できる。従って、利用者が自家用蓄電池や電池搭載機器の蓄電池を、いつどのように利用するかを決めて、充電量を最適化できる。
〈構成7の効果〉
建物内部の総合的なエネルギ管理をするHEMSサーバにより、自動的に、自家用蓄電池や電池搭載機器の蓄電池の充電量を最適化できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施例1の蓄電池搭載機器充電用の蓄電池システム10を示す結線図である。
【図2】蓄電池搭載機器の蓄電池の従来の充電方法説明図である。
【図3】実施例2の充電回路例を示す結線図である。
【図4】コンピュータによる充電量制御のための回路結線図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明では、自家用蓄電池と蓄電池搭載機器の蓄電池に対して、自家発電電源装置や送配電線路から供給される電力を蓄積できるように構成する。さらに、自然エネルギや夜間電力により自家用蓄電池に充電した電力で、蓄電池搭載機器の蓄電池を充電できる回路を設ける。これで、電気自動車等の蓄電池搭載機器に対して、いつでも低コストの電力を充電できる。また、蓄電池搭載機器の使用頻度が低い場合には、自家用蓄電池や蓄電池搭載機器の蓄電池に蓄積された電力を宅内配線側で有効に利用する。以下、本発明の実施の形態を実施例毎に詳細に説明する。
【実施例1】
【0015】
図1は実施例1の蓄電池搭載機器充電用の蓄電池システム10を示す結線図である。
図の蓄電池システム10は、自家用蓄電池20と蓄電池搭載機器の蓄電池22に充電をして、その電力を利用するためのものである。これらの蓄電池は、自家発電電源装置18から供給される電力や送配電線路12から供給される電力を蓄積する。
【0016】
自家発電電源装置18、例えば、太陽光発電装置は、自然エネルギを電気エネルギに変換して出力する。宅内配線16は、送配電線路12を経由して分電盤14を介して商用電源を受け入れる。そして、自家発電電源装置18と宅内配線16と自家用蓄電池20と蓄電池搭載機器の蓄電池22とを、相互に電気接続して電力を授受するための端子群と回路群とが設けられている。以下、装置の各部を具体的に説明する。
【0017】
[自家発電電源装置]
自家発電電源装置18には、様々なものが知られている。太陽光発電装置は、太陽エネルギを電気エネルギに変換して出力するものである。風力発電装置は、風力エネルギを電気エネルギに変換して出力するものである。燃料電池は、水素等を燃料として発電するものである。その他にも、熱エネルギや水力や波力を電気エネルギに変換して出力する電源装置がある。本発明では、これらの自家発電電源装置18のいずれも利用することができる。最も低コストのエネルギ源として利用できる。
【0018】
[送配電線路と宅内配線]
送配電線路12は、電力会社から商用電源を供給するための線路である。宅内配線16は、送配電線路12と分電盤14等を介して接続される。宅内配線16は、送配電線路12と分電盤14等の受電設備により隔てられた配電設備で、住宅やマンション等の住人が商用電源を利用するための設備である。分電盤14は、宅内配電用の分岐回路やブレーカー等を内蔵した機器である。電力会社から供給される夜間電力は、自然エネルギの次に低コストで安定なエネルギ源として利用できる。
【0019】
[蓄電池]
蓄電池は充放電により電力を蓄積したり放出したりする機能を持つ2次電池である。この実施例では、自家用蓄電池20と蓄電池搭載機器の蓄電池22を使用する。自家用蓄電池20は、自家発電電源装置18から供給される電力の蓄積に利用される。図の実施例では、自家発電電源装置18の出力する電力は不安定なため、自家用蓄電池20にいったん蓄積してから使用される。しかし、自家発電電源装置18から既知のパワーコントロールを介して分電盤側に電力を送出し、売電に利用したり、宅内配線側に直接電力を供給してもよい。
【0020】
自家発電電源装置18の出力する電力を自家用蓄電池20に蓄積して夜間に使用することができる。さらに、送配電線路12から供給される電力を自家用蓄電池20に蓄積して、昼間に使用することもできる。また、この実施例のシステムは、自家用蓄電池20にいったん蓄積した電力で、蓄電池搭載機器の蓄電池22を充電することができる回路を備える。この回路は後で説明する。
【0021】
[蓄電池搭載機器]
蓄電池搭載機器には、電気自動車がある。電気モーターのみで走行するものやいわゆるハイブリッド式のものを含む。充電に大電力が必要なために特別の配線を必要とする場合も多い。その一方で、大容量の蓄電池22を搭載していることから、この実施例では、最も低コストの電力で充電することを可能にした。また、蓄電池22を自家用蓄電池20の代用として使用することもできる。
【0022】
電気自動車のほかに、蓄電池搭載機器として、電動式のオートバイやスクーター等を含む電動バイクや、電動アシスト式の自転車等を含む電動自転車や、その他、電動式の車椅子や農機、電動式の産業機器等を挙げることができる。本発明では、これらに搭載した蓄電池も有効に利用できる。
【0023】
(端子群)
図1に示した端子群は、第1端子24と第2端子26と第3端子28と第4端子30とを含む。第1端子24には自家発電電源装置18を接続する。第2端子26には送配電線路12と接続された分電盤14を接続する。第3端子28には、自家用蓄電池20を接続する。第4端子30には蓄電池搭載機器の蓄電池22を接続する。
【0024】
(回路群)
一点鎖線の枠内に配置した回路群は、第1充電回路32と第2充電回路34と第3充電回路36と第4充電回路38と第1放電回路40と第2放電回路42と第1充放電回路44と第2充放電回路46とを含む。
【0025】
第1充電回路32は、第1端子24から入力する自家発電電源装置18の電力を受け入れて要求されている直流電力を出力し、第3端子28に接続された自家用蓄電池20を充電する機能を持つ。第2充電回路34は、第1端子24から入力する自家発電電源装置18の電力を受け入れて要求されている直流電力を出力し、第4端子30に接続された蓄電池搭載機器の蓄電池22を充電する機能を持つ。
【0026】
第3充電回路36は、第2端子26から入力する送配電線路12の電力を受け入れて要求されている直流電力を出力し、第3端子28に接続された自家用蓄電池20を充電する機能を持つ。第4充電回路38は、第2端子26から入力する送配電線路12の電力を受け入れて要求されている直流電力を出力し、第4端子30に接続された蓄電池搭載機器の蓄電池22を充電する機能を持つ。
【0027】
第1放電回路40は、第3端子28から入力する自家用蓄電池20の電力を受け入れて要求されている交流電力を出力し、宅内配線16に供給する機能を持つ。第2放電回路42は、第4端子30から入力する蓄電池搭載機器の蓄電池22の電力を受け入れて要求されている交流電力を出力し、宅内配線16に供給する機能を持つ。
【0028】
第1充放電回路44は、第3端子28に接続された自家用蓄電池20で第4端子30に接続された蓄電池搭載機器の蓄電池22を充電する機能を持つ。第2充放電回路46は、第4端子30に接続された蓄電池搭載機器の蓄電池22で第3端子28に接続された自家用蓄電池20を充電する機能を持つ。
【0029】
[回路の具体例]
第1充電回路32や第2充電回路34は、例えば、太陽光発電装置の出力する直流電圧を、蓄電池の充電に適当な電圧に変換するDC−DCコンバータと、充電を制御する電圧電流制御回路等を備える。DC出力電圧が近接していれば、第1充電回路32と第2充電回路34とをひとつにまとめることができる。DC−DCコンバータの出力側に選択スイッチを設けて、自家用蓄電池20または蓄電池搭載機器の蓄電池22のいずれかに接続すればよい。即ち、第1充電回路32と第2充電回路34とは必ずしも別個に設ける必要はない。
【0030】
第3充電回路36や第4充電回路38は、例えば、AC100ボルトの宅内配線16に接続して、蓄電池の充電に適当な直流電圧に変換するAC−DCコンバータと、充電を制御する電圧電流制御回路等を備える。DC出力電圧が近接していれば、上記の場合と同様に、出力側に選択スイッチを設けて、第3充電回路36と第4充電回路38とをひとつにまとめることができる。即ち、第3充電回路36と第4充電回路38とは必ずしも別個に設ける必要はない。
【0031】
第1放電回路40と第2放電回路42とは、蓄電池に接続して宅内配線16用の交流電圧を出力するDC−ACコンバータや過電流保護回路等を備えるとよい。自家用蓄電池20と蓄電池搭載機器の蓄電池22のDC出力電圧が同じであれば、入力側に選択スイッチを設けて、第1放電回路40と第2放電回路42とをひとつにまとめることもできる。
【0032】
第1充放電回路44と第2充放電回路46は、例えば、一方の蓄電池20に接続して他方の蓄電池22の充電に適当な直流電圧に変換するDC−DCコンバータと、充電を制御する電圧電流制御回路等を備える。起電力の高いほうから低いほうへの充電は充電電流を制御しながらオンオフするスイッチ回路のみで構成することができる。
【0033】
図2は、蓄電池搭載機器の蓄電池の従来の充電方法説明図である。
個人の住宅で電気自動車の充電をする場合には、例えば、交流100ボルトあるいは交流200ボルトのコンセント50に、電気自動車に設けられた充電用のプラグ48を接続する。実施例のシステムにこのようなコンセント50も設けておくとよい。なお、従来はこのように交流電源を用いた充電がなされていたが、この実施例のシステムを利用する場合には、第4端子に蓄電池搭載機器の蓄電池22を直流で充電する端子を設けることが好ましい。またあるいは、実施例2以下で説明するように、蓄電池搭載機器の蓄電池22を蓄電池搭載機器から取り外して充電をするとよい。
【0034】
以上の回路は次のようにして使用する。
(1)第1充電回路32により、自家発電電源装置18の発電電力を自家用蓄電池20に充電できる。この電力は、主として宅内配線16側に供給されて使用される。自家用蓄電池20に充電された電力は、夜間に蓄電池搭載機器の蓄電池22の充電にも利用される。
(2)第2充電回路34により、自家発電電源装置18の発電電力を蓄電池搭載機器の蓄電池22に充電できる。昼間に蓄電池搭載機器を接続できれば、この方法で充電ができる。
(3)第3充電回路36により、廉価な夜間電力を自家用蓄電池20に充電できる。自家発電電源装置18の発電電力が不足な場合に利用される。
(4)第4充電回路38により、廉価な夜間電力を利用して、電池搭載機器の蓄電池22を充電できる。夜間に蓄電池搭載機器を接続できれば、この方法で充電ができる。
【0035】
(5)電気自動車が、昼間は戸外で使用され夜間にのみ駐車場に置かれることも多い。太陽光発電装置のような昼間に発電する装置の電力を自家用蓄電池20に蓄積しておけば、上記のように、夜間にその電力を電気自動車に充電できる。
(6)電気自動車が、昼間にのみ駐車場に置かれるときは、廉価な夜間電力を自家用蓄電池20に蓄積しておき、昼間にその電力を電気自動車に充電できる。
(7)上記のいずれかの方法を選択することにより、電池搭載機器の蓄電池22の充電に、最も経済的な方法を採用できる。
【0036】
(8)自家用蓄電池20に充電された電力を住宅内で利用する場合、蓄電池搭載機器の蓄電池22が接続されていれば、自家用蓄電池20の充電電力と蓄電池搭載機器の蓄電池22の充電電力との合計容量の電力を利用することが可能となり、より大きな経済効果を得ることができる。
【0037】
(9)第1充放電回路44や第2充放電回路46により、自家用蓄電池20と電池搭載機器の蓄電池22の充電量を融通して充電量の適正化を図れる。電池搭載機器の蓄電池22を自家発電電源装置18の電力を蓄積するために利用すれば、自家用蓄電池20の負荷を軽減し、自家用蓄電池20の寿命を伸ばすことができる。
【0038】
(10)特に、蓄電池搭載機器が、長期間使用されないか、あるいは希にしか使用されない場合がある。このような場合に、蓄電池搭載機器の蓄電池22を適度に使用すれば、その蓄電池22の性能を維持できる。しかも、自然放電により充電量が適正値以下まで減少するのを防ぎ、例えば、蓄電池22の適正最低充電量を30%に設定して、蓄電池搭載機器をいつでも使用できる状態にしておくことができる。
【実施例2】
【0039】
図3は実施例2の充電回路例を示す結線図である。
例えば、太陽電池の場合、多数のセル群を必要な数だけ直列接続して、要求される出力電圧を得ることができる。従って、蓄電池を充電するための最適な直流出力電圧を直接取り出すことも可能である。この場合には、直流電圧を昇圧したり、降圧したりする回路は必要としない。例えば第1充電回路32と第2充電回路34は、充電電圧や充電電流をモニタしながら出力電流を断続するスイッチング回路等であればよい。この実施例では、第1充電回路32と第2充電回路34とを一体化した例を示した。
【0040】
図の例では、自家用蓄電池20と蓄電池搭載機器の蓄電池22に、充電量適正化回路60と充電器性能判定回路62とを接続した。一般に、蓄電池の充電では、例えば、蓄電量が少ない状態で定電流制御をし、端子電圧上昇後に定電圧制御に切り替えるといった制御を行う。充電量適正化回路60がこの役割を果たす。これにより、充電量の適正化が図れる。同時に、充電器性能判定回路62は、充放電特性を監視して、蓄電池の充電性能を判定する。なお、この実施例では、蓄電池搭載機器の蓄電池22を蓄電池搭載機器から取り外して充電をするようにしている。これにより、自家発電電源装置18から自家用蓄電池20への充電と、自家発電電源装置18から蓄電池搭載機器の蓄電池22への充電を自由に制御できる。
【0041】
図のように、第3端子28と第4端子30の間に第1充放電回路44を設けることにより、昼間に自家発電電源装置18を用いて自家用蓄電池20に充電した電力を、蓄電池搭載機器の蓄電池22に送って充電をすることができる。一方、例えば、長期間蓄電池搭載機器を使用する予定がない場合がある。このときは、蓄電池搭載機器の蓄電池22に対して、その性能を維持できる最小限の電力のみを充電しておくことが好ましい。余分な電力が充電されていれば、その電力を自家用蓄電池20に移して有効に利用する。このために、第3端子28と第4端子30の間に第2充放電回路46を設けた。即ち、自家用蓄電池20と蓄電池22の充電量を適当に融通することができる。
【0042】
例えば、充電量適正化回路60は適正最大充電量を80%とか90%に設定して、蓄電池の長寿命化を図ることができる。また、例えば、蓄電池搭載機器の蓄電池22の適正最低充電量を30%と設定しておく。これにより、宅内への電力供給のために充放電を行なったとしても、適正最低充電量30%以上は放電しないで維持しておくことができる。これにより、蓄電池搭載機器の突然の使用要求に応えることができる。事前に使用予定が分かっていれば、蓄電池搭載機器の蓄電池22をフル充電しておくとよい。
【実施例3】
【0043】
図4は、コンピュータによる充電量制御のための回路結線図である。
上記のような自家用蓄電池20と蓄電池搭載機器の蓄電池22の充放電量の適正な融通制御は、コンピュータにより自動化することができる。また、利用者がコンピュータを使用して充電量を設定できる。その場合には、図1に示した回路群を、例えば、HEMS(ホームエネルギマネージメントサービス)サーバ64に接続して制御するとよい。
【0044】
HEMSサーバ64は、一般住宅等の建物内部のエネルギ供給量とエネルギ消費量とを詳細にモニタして、その結果をディスプレイ66に表示したり、例えば、エアコンの運転を制御して、適正温度に制御するといった機能を持つ。このHEMSサーバ64に、自家用蓄電池20と蓄電池搭載機器の蓄電池22の適正最大充電量や適正最低充電量を計算する機能等を付与するとよい。なお、本発明において、HEMSサーバ64は、少なくとも、建物内の指定されたエネルギ使用機器の状態とエネルギ供給状態を取得する機能があればよく、例えば、エネルギ使用機器として、蓄電池を指定し、エネルギ供給状態として、送配電線路からの受電出電力と自家発電装置の発電電力を指定すれば、以下のシステムが実現する。
【0045】
図4には、図1に示した各回路に図3で説明した充電量適正化回路60と充電器性能判定回路62とを設けた例を示す。第2充電回路以下にも、第1充電回路と同様に充電量適正化回路60と充電器性能判定回路62とを追加する。図4ではそれらの図示を省略した。
【0046】
例えば、図4の例では、ディスプレイ66に表示された制御画面により、例えば、蓄電池搭載機器の蓄電池22の適正最大充電量を90%とし、最低充電量を30%に設定する。この設定は、各回路の充電量適正化回路60に通知される。従って、蓄電池搭載機器の蓄電池22を商用電源で充電する場合も、自家発電電源装置18で充電する場合も、自家用蓄電池20で充電する場合も、フル充電の場合には90%まで充電する。また、蓄電池搭載機器の蓄電池22の電力を宅内配線に放電する場合には、充電量が30%になると、放電を停止するように制御する。
【0047】
このほかに、任意のタイミングで、自家用蓄電池20と蓄電池搭載機器の蓄電池22を充電したり、これらを放電させたり、これらのうちの一方で他方を充電したりする制御信号を、HEMSサーバ64から送出させるとよい。これにより、建物内部の総合的なエネルギ管理に自家用蓄電池20と蓄電池搭載機器の蓄電池22を役立てることができる。
【符号の説明】
【0048】
10 蓄電池システム
12 送配電線路
14 分電盤
16 宅内配線
18 自家発電電源装置
20 自家用蓄電池
22 蓄電池搭載機器の蓄電池
24 第1端子
26 第2端子
28 第3端子
30 第4端子
32 第1充電回路
34 第2充電回路
36 第3充電回路
38 第4充電回路
40 第1放電回路
42 第2放電回路
44 第1充放電回路
46 第2充放電回路
48 プラグ
50 コンセント
52 太陽電池セル群
56 充電用出力端子
60 充電量適正化回路
62 充電器性能判定回路
64 HEMSサーバ
66 ディスプレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自然エネルギを電気エネルギに変換して出力する自家発電電源装置と、前記自家発電電源装置から供給される電力もしくは前記送配電線路から供給される電力を蓄積する自家用蓄電池と、蓄電池搭載機器の蓄電池とを、相互に電気接続して電力を授受するための端子群と回路群とを備え、
前記端子群は、前記自家発電電源装置を接続する第1端子と、前記送配電線路と接続された前記分電盤に接続する第2端子と、前記自家用蓄電池を接続する第3端子と、前記蓄電池搭載機器の蓄電池と接続する第4端子とを備え、
前記回路群は、
前記第1端子から入力する前記自家発電電源装置の電力を受け入れて要求されている直流電力を出力し、前記第3端子に接続された前記自家用蓄電池を充電する第1充電回路と、
前記第1端子から入力する前記自家発電電源装置の電力を受け入れて要求されている直流電力を出力し、前記第4端子に接続された前記蓄電池搭載機器の蓄電池を充電する第2充電回路と、
前記第2端子から入力する前記送配電線路の電力を受け入れて要求されている直流電力を出力し、前記第3端子に接続された前記自家用蓄電池を充電する第3充電回路と、
前記第2端子から入力する前記送配電線路の電力を受け入れて要求されている直流電力を出力し、前記第4端子に接続された前記蓄電池搭載機器の蓄電池を充電する第4充電回路と、
前記第3端子に接続された前記自家用蓄電池で前記第4端子に接続された前記蓄電池搭載機器の蓄電池を充電する第1充放電回路と、
を備えたことを特徴とする蓄電池搭載機器充電用の蓄電池システム。
【請求項2】
請求項1に記載の蓄電池搭載機器充電用の蓄電池システムにおいて、
前記第3端子から入力する前記自家用蓄電池の電力を受け入れて要求されている交流電力を出力し、送配電線路を経由して分電盤を介して商用電源を受け入れる宅内配線に対して前記交流電力を供給する第1放電回路を備えたことを特徴とする蓄電池搭載機器充電用の蓄電池システム。
【請求項3】
請求項1に記載の蓄電池搭載機器充電用の蓄電池システムにおいて、
前記第4端子から入力する前記蓄電池搭載機器の蓄電池の電力を受け入れて要求されている交流電力を出力し、前記宅内配線に供給する第2放電回路とを備えたことを特徴とする蓄電池搭載機器充電用の蓄電池システム。
【請求項4】
請求項1に記載の蓄電池搭載機器充電用の蓄電池システムにおいて、
前記第3端子から入力する前記自家用蓄電池の電力を受け入れて要求されている交流電力を出力し、送配電線路を経由して分電盤を介して商用電源を受け入れる宅内配線に対して前記交流電力を供給する第1放電回路と、
前記第4端子から入力する前記蓄電池搭載機器の蓄電池の電力を受け入れて要求されている交流電力を出力し、前記宅内配線に供給する第2放電回路とを備えたことを特徴とする蓄電池搭載機器充電用の蓄電池システム。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の蓄電池搭載機器充電用の蓄電池システムにおいて、
前記第4端子に接続された前記蓄電池搭載機器の蓄電池で前記第3端子に接続された自家用蓄電池を充電する第2充放電回路を備えたことを特徴とする蓄電池搭載機器充電用の蓄電池システム。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の蓄電池搭載機器充電用の蓄電池システムにおいて、
前記回路群に含まれたいずれかの回路もしくは全ての回路に充電量適正化回路が設けられ、前記充電量適正化回路は、前記自家用蓄電池もしくは前記電池搭載機器の蓄電池の充電量を設定された範囲に制御することを特徴とする蓄電池搭載機器充電用の蓄電池システム。
【請求項7】
請求項6に記載の蓄電池搭載機器充電用の蓄電池システムにおいて、
前記充電量適正化回路が、建物内部の総合的なエネルギ管理をするHEMSサーバにより、前記自家用蓄電池もしくは前記電池搭載機器の蓄電池の充電量を設定された範囲に制御することを特徴とする蓄電池搭載機器充電用の蓄電池システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−191698(P2012−191698A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−51161(P2011−51161)
【出願日】平成23年3月9日(2011.3.9)
【出願人】(000183428)住友林業株式会社 (540)
【Fターム(参考)】