蓄電装置を備えた自然エネルギー利用発電所
【課題】風力発電装置などの自然エネルギー発電装置を構成する電力変換器の直流部に蓄電装置を有する自然エネルギー利用発電所において、蓄電装置の充放電量を低減し、蓄電装置が発生する損失を低減する。
【解決手段】複数の風力発電装置1−1,1−2,・,・,1−nと、コントローラ4とによって風力発電所を構成し、複数の風力発電装置は、各々、風車1−1−1と、発電機1−1−3と、発電機側変換器1−1−7と、系統側変換器1−1−8と、発電機側変換器と系統側変換器との間の直流部に接続された二次電池1−1−10を備え、コントローラ4は、個々の発電機から発電機側変換器に流入する流入発電電力検出値と、個々の蓄電装置が蓄積したエネルギー量から個々の系統側変換器が充放電すべき電力指令又は電力補正指令を演算し、個々の系統側変換器は、電力指令又は電力補正指令に応じて系統側変換器が入出力する電力又は直流電圧を制御する。
【解決手段】複数の風力発電装置1−1,1−2,・,・,1−nと、コントローラ4とによって風力発電所を構成し、複数の風力発電装置は、各々、風車1−1−1と、発電機1−1−3と、発電機側変換器1−1−7と、系統側変換器1−1−8と、発電機側変換器と系統側変換器との間の直流部に接続された二次電池1−1−10を備え、コントローラ4は、個々の発電機から発電機側変換器に流入する流入発電電力検出値と、個々の蓄電装置が蓄積したエネルギー量から個々の系統側変換器が充放電すべき電力指令又は電力補正指令を演算し、個々の系統側変換器は、電力指令又は電力補正指令に応じて系統側変換器が入出力する電力又は直流電圧を制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電装置を備えた自然エネルギー利用発電所に係り、特に、風力発電装置や太陽光発電装置などの自然エネルギー利用発電装置と蓄電装置で構成し、自然エネルギー利用発電装置の発電機の交流電力を直流電力に変換する発電機側変換器と直流電力を商用周波数の交流電力に変換して電力系統に供給する系統側変換器との間の直流部分に蓄電装置を設け、発電所の出力変動を緩和するようにした自然エネルギー利用発電所に関する。
【背景技術】
【0002】
自然界に存在する再生可能なエネルギーを電力エネルギーに変換する手段として、風力発電装置や太陽光発電装置が利用されている。風力発電装置や太陽光発電装置のエネルギー源は、時間的に変動する風のエネルギーや太陽光エネルギーであるため、発電装置の発電電力も時間的に変動する。
【0003】
電力系統は、電力需要の大きさに応じて火力発電所や水力発電所,揚水発電所等の発電電力を調整することで、電力需給のバランスを保っている。このため、風力発電装置や太陽光発電装置等の変動の大きな電源が大量に電力系統に連系した場合、需給バランスの調整力不足や、周波数変動の拡大が懸念される。
【0004】
風力発電装置の電力変動が電力系統に与える悪影響を緩和するため、電力貯蔵装置を利用し、風力発電装置の変動する発電電力を、電力貯蔵装置が充放電することで、電力系統に出力する電力変動を緩和するなどの手段が必要となる。
【0005】
自然エネルギー発電装置の一つである風力発電装置において、風車の利用率を向上しつつ、風車の出力変動による出力電力の変動を抑制するものとして、特許文献1には、同期発電機の固定子に接続する順変換器と、順変換器に接続しかつ電力系統に接続する逆変換器と、順変換器と逆変換器の間に直結する充放電可能な二次電池とを備え、順変換器で同期発電機の可変周波数の発電電力を直流電力に変換し、逆変換器で直流電力を固定周波数の交流電力に変換し、二次電池の充放電制御で電力系統へ出力する有効電力の変動を抑制することが記載されている。
【0006】
また、特許文献2には、風車発電装置に充放電器を備えた蓄電池を併設し、出力変動を抑制するようにした風車発電制御方法が記載されている。また、特許文献2には、蓄電池を備えた風車発電装置を複数並列に接続し、電力系統に大きな電力を供給する風力発電システムが記載されている。
【0007】
また特許文献3には、風力発電機前方の風況を予測して風力発電機の出力変動を抑制、または平滑化する風力発電システムにおいて、ウィンドファームにある複数の風力発電機の発電電力変動を抑制するために、コンデンサとコンデンサの電力入出力を行う電力変換器を設置し、風況解析に基づき、複数の風力発電機と電力変換器を制御することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−333752号公報
【特許文献2】特開2002−27679号公報
【特許文献3】特願2004−289896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
電力貯蔵手段を構成する二次電池や蓄電池、コンデンサに充放電する際、二次電池等の内部抵抗や化学反応により、充放電電力の損失が発生する。このため電力貯蔵手段を持たない風力発電装置に比べて発電電力量が低減し、自然エネルギーの利用量が減少する。自然エネルギーを最大限利用するためには、電力貯蔵手段が充放電する充放電電力量を減少させることが必要である。
【0010】
また、特許文献2や3においては、特許文献1に記載のように風力発電装置自身が持つ電力変換器(順変換器と逆変換器)の直流部分に、充放電を行う二次電池を設けるものとは異なり、蓄電池やコンデンサに充放電する際、蓄電池やコンデンサと共に電力貯蔵手段を構成する充放電器や電力変換器が損失を発生する。
【0011】
本発明の目的は、風力発電装置などの自然エネルギー発電装置を構成する電力変換器の直流部に蓄電装置を有する自然エネルギー利用発電所において、蓄電装置の充放電量を低減し、蓄電装置が発生する損失を低減することが可能な自然エネルギー利用発電所を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、風力発電装置などの自然エネルギー利用発電装置を構成する電力変換器の直流部に蓄電装置を有する複数の自然エネルギー利用発電装置で自然エネルギー利用発電所を構成し、複数の自然エネルギー利用発電装置の平滑化効果を利用するようにしたことを特徴とする。
【0013】
より具体的には、自然エネルギー利用発電装置として風力発電装置を用いた場合、本発明の自然エネルギー利用発電所(風力発電所)は、複数の風力発電装置と、コントローラとによって構成し、複数の風力発電装置は、風のエネルギーによって回転する風車と、風車の回転エネルギーを交流電力に変換する発電機と、交流電力を直流電力に変換する発電機側変換器と、直流電力を商用周波数の交流電力に変換して電力系統に供給する系統側変換器と、発電機側変換器と系統側変換器との間の直流部に接続され直流電力を充電及び放電する蓄電装置を備え、さらに風力発電所は、個々の発電機から発電機側変換器に流入する流入発電電力を各々検出する検出装置と、個々の蓄電装置が蓄積したエネルギー量(あるいは蓄積したエネルギー量に相当する物理量)を検出する検出装置を有し、コントローラは、流入電力検出値と蓄積エネルギー量(あるい蓄積エネルギー量に相当する物理量)から個々の系統側変換器が充放電すべき電力指令又は系統側変換器の電力補正指令を演算して個々の系統側変換器に出力し、個々の系統側変換器は、電力指令又は電力補正指令に応じて系統側変換器が入出力する電力又は直流電圧を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明により複数の自然エネルギー利用発電装置(風力発電装置など)の平滑化効果を利用することが可能となり、自然エネルギー利用発電装置(風力発電装置など)を構成する蓄電装置の充放電電力量が低減できる。蓄電装置の充放電電力量が低減することで蓄電装置が発生する損失を低減でき、自然エネルギーの有効利用が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施例における風力発電所の全体構成図。
【図2】本発明の第1の実施例における風力発電装置の構成図。
【図3】本発明の第1の実施例における発電機側変換器の構成図。
【図4】本発明の第1の実施例における系統側変換器の構成図。
【図5】本発明の第1の実施例におけるコントローラの構成図。
【図6】本発明の発電所出力目標値演算器の構成例を示す図。
【図7】本発明の充電率補正演算器の構成例を示す図。
【図8】本発明の充放電可能範囲演算器の構成例を示す図。
【図9】本発明の第1の実施例における風力発電所の動作例を示す図。
【図10】本発明の第1の実施例における表示装置の一例を示す図。
【図11】本発明の発電所出力目標値演算器の構成例を示す図。
【図12】本発明の第1の実施例におけるコントローラの構成例を示す図。
【図13】本発明の発電所出力目標値演算器の構成例を示す図。
【図14】本発明の第2の実施例における風力発電所の全体構成図。
【図15】本発明の第2の実施例におけるコントローラの構成図。
【図16】本発明の第2の実施例における風力発電装置の構成図。
【図17】本発明の第2の実施例における風力発電装置の構成図。
【図18】本発明の第2の実施例における風力発電装置の構成図。
【図19】本発明の第2の実施例における直流電圧の制御方法を示した図。
【図20】本発明の第3の実施例における風力発電所の構成図。
【図21】本発明の第3の実施例における風力発電装置の構成図。
【図22】本発明の第3の実施例におけるコントローラの構成図。
【図23】本発明の第4の実施例における太陽光発電所の構成図。
【図24】本発明の第4の実施例における太陽光発電装置の構成図。
【図25】本発明の第4の実施例におけるDC・DC変換器の構成図。
【図26】本発明の第4の実施例におけるコントローラの構成図。
【図27】本発明の第4の実施例における表示装置の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施例を具体的に説明する前に、本発明に至る経緯について説明する。
【0017】
蓄電装置を有する風力発電装置を複数接続して構成する風力発電所の場合、個々の風力発電装置が受ける風のエネルギーは、風力発電装置を設置した地点の地形により、時間的に均一ではない。このため各風力発電装置が出力する発電電力は時間的に異なっており、複数の風力発電装置全体としては、その総合発電電力が平滑化されている場合がある。この複数の風力発電装置の平滑化効果を利用することで、蓄電池の充放電電力量を低減することが可能である。しかし、特許文献1に記載のように、風力発電装置を構成する電力変換器の直流部に蓄電装置を有する風力発電所では、単一の風力発電装置における出力変動しか考慮されておらず、風力発電装置を複数接続して平滑化効果を利用しようとすることは検討されていなかった。また、特許文献2や3において、風力発電装置を複数接続することが記載されているが、特許文献1のように、風力発電装置の電力変換装置の直流部に蓄電装置を設けたものではないし、複数の風力発電装置の平滑化効果を積極的に利用するような仕組みも検討されていなかった。本発明者らは、風力発電装置を構成する電力変換器の直流部に蓄電装置を有する風力発電所の利点を保持しながら、風力発電装置を複数接続して平滑化効果を効果的に利用するシステムを検討し、本発明に至ったものである。
【0018】
以下、図面を用いて本発明の実施例を説明する。
【0019】
本発明の第一の実施形態について図1から図13を用いて説明する。本実施例は、自然エネルギー利用発電装置として風力発電装置を用いた風力発電所に本発明を適用したものである。
【0020】
図1は本発明の第一の実施形態における風力発電所の全体構成を示した図である。本発明の風力発電所は、主に複数の風力発電装置1−1,1−2,・,・,1−n(nは風力発電装置の台数)とコントローラ4、および表示装置5によって構成する。各風力発電装置1−1,1−2,・,・,1−nとコントローラ4は情報伝達が可能な有線、あるいは無線手段によって接続されており、各風力発電装置の物理量あるいはコントローラ4が演算した指令を伝達することが可能である。具体的な情報伝達手段としては、有線手段の場合は光ファイバを利用したLAN通信や、電気回線を用いた4−20mA通信が利用でき、また無線手段の場合は無線LAN通信等が利用できる。本発明の風力発電所は電力系統3に接続し、その総出力電力を電力系統に送電する。風力発電所は電力系統3との連系地点に風力発電所の総出力電力Psysを検出する電力検出器2を備え、検出した総出力電力値をコントローラ4に伝達する手段を持つ。以下で風力発電所を構成する要素について詳細に説明する。
【0021】
図2は本発明の風力発電装置1−1について説明した図である。本発明の風力発電所は複数の風力発電装置1−1,1−2,・,・,1−nで構成されるが、いずれも風力発電装置1−1と同様の構成を持つ。風力発電装置1−1はブレード1−1−1で風を受け、風の持つエネルギーを、ブレード1−1−1を含む回転体の回転エネルギーに変換する。回転エネルギーは増速器1−1−2によって発電機1−1−3に伝達される。発電機1−1−3は、回転エネルギーを交流の電気エネルギーに変換する役割を担う。発電機1−1−3としては永久磁石発電機や直流励磁型同期発電機、誘導発電機等が利用可能である。発電機1−1−3が発電したエネルギーは、電力変換器である発電機側変換器1−1−7および系統側変換器1−1−8、系統連系変圧器1−1−15を介して電力系統3に送電される。発電機側変換器1−1−7は発電機1−1−3が発電した交流電力を直流電力に変換する役割を持ち、また系統側変換器1−1−8は直流電力を電力系統の周波数に一致した交流電力に変換する役割を持つ。発電機側変換器1−1−7と系統側変換器1−1−8の間には直流コンデンサ1−1−9があり、直流部の直流電圧の変動を緩和する役割を担っている。
【0022】
本発明の風力発電装置1−1,1−2,・,・,1−nは、発電機側変換器1−1−7と系統側変換器1−1−8を接続する直流電圧部分に、蓄電装置としての二次電池1−1−10を備える。二次電池1−1−10は、二次電池の単位セルの直列接続、並列接続、あるいはこれらの組み合わせにより、必要な直流電圧あるいは蓄積エネルギーを実現する。二次電池を構成する電池の種類としては、鉛蓄電池やリチウムイオン電池,ナトリウム硫黄電池,ニッケル水素電池、あるいはリチウムイオンキャパシタ等が挙げられるが、いずれの二次電池を利用しても本発明の効果は実現可能である。
【0023】
本発明の風力発電装置1−1は風車コントローラ1−1cと呼ぶ制御器を持ち、風力発電装置1−1の動作を制御している。風車コントローラ1−1cはマイコンやCPUなで構成する。風車コントローラ1−1cは風速計1−1−4で測定した風速情報等から発電機側変換器1−1−7の有効電力指令を演算する。有効電力指令は風力発電装置1−1のブレード1−1−1の回転数が、最も効率良く風のエネルギーを受ける回転数になるように調整する。また同時に電圧検出器1−1−5で検出した3相交流の発電機端子電圧、および電流検出器1−1−6で検出した3相交流の発電機出力電流から、有効・無効電力演算器1−1c−2において、発電機1−1−3が出力する有効・無効電力を演算する。風車コントローラ1−1cは演算した有効電力指令や検出した有効・無効電力指令を基に、電力制御器1−1c−5,電流制御器1−1c−4,パルス幅変調パルス発生器(PWM1−1c−3)を用いて、発電機側変換器1−1−7のゲートパルス信号を演算する。なお有効電力指令,ゲートパルス信号の詳細な演算方法については、特開2003−120504号公報等に詳細な記載があるため、ここでの詳細な説明は省略する。また本実施例では発電機側変換器1−1−7の動作として電力制御の方式について説明したが、発電機側変換器1−1−7がトルク制御等の他の従来技術を利用して動作しても、本発明の効果は実現可能である。さらに本発明の風力発電装置1−1は検出した有効電力値(流入電力検出値PW1)をコントローラ4に伝達する。
【0024】
風力発電装置1−1の直流部に接続した二次電池1−1−10の直流電圧および入出力電流は、電圧検出器1−1−12および電流検出器1−1−11によってそれぞれ測定する。風車コントローラ1−1cは、検出した直流電圧と直流電流をもとに、SOC演算器1−1C−6において二次電池1−1−10のSOC(充電率)を演算する。演算したSOCは発電所のコントローラ4に伝達される。なお演算する値は二次電池が蓄積したエネルギー量を表す値であれば良い。このためSOCの代わりに、二次電池1−1−10の直流電圧や、二次電池1−1−10の内部抵抗値等を利用しても本発明の効果は発揮できる。
【0025】
風車コントローラ1−1Cは、系統側変換器1−1−8が出力する電力量を制御する役割も持つ。具体的には系統側変換器1−1−8の出力電圧と出力電流をそれぞれ電圧検出器1−1−14と電流検出器1−1−13でそれぞれ検出する。検出した電圧値,電流値を元に有効・無効電力演算器1−1c−10が系統側変換器1−1−8の出力する有効電力・無効電力を演算する。本実施例では系統側変換器1−1−8が出力すべき系統側変換器電力指令値PGT1はコントローラ4から伝達される。風車コントローラ1−1Cは受信した有効電力指令値に追従するように、電力制御器1−1C−9,電流制御器1−1C−8,パルス幅変調パルス発生器(PWM1−1c−7)を用いて、系統側変換器1−1−8を制御する。
【0026】
発電機側変換器1−1−7の一例について図3を用いて詳細に説明する。発電機側変換器1−1−7はフィルタと呼ばれる電気回路を介して、一方を発電機1−1−3に接続する。フィルタは例えば図3に示すようにコンデンサ1−1−7−1,リアクトル1−1−7−2で構成する。フィルタの一方は半導体素子であるIGBT1−1−7−3に接続する。IGBT1−1−7−3は風車コントローラ1−1Cが送信するゲートパルス信号に応じて、それ自身が導通常態か、あるいは非導通状態のいずれかの状態になる。発電機側変換器1−1−7はこのように、風車コントローラ1−1Cのゲートパルス信号に応じてIGBT1−1−7−3を動作させることで、電力を制御する。発電機側変換器1−1−7は、そのもう一方の出力端子を、風力発電装置1−1の直流部に接続する。本実施例では発電機側変換器1−1−7は二次電池1−1−9に接続する。
【0027】
次に図4を用いて系統側変換器1−1−8の詳細な構成を説明する。系統側変換器1−1−8の一方の出力端子は、風力発電装置1−1の直流部にある直流コンデンサ1−1−9に接続する。直流コンデンサは半導体素子であるIGBT1−1−8−2で構成する電気回路に接続する。IGBT1−1−8−2はゲートパルス信号に応じて、それ自身が導通常態か、あるいは非導通状態のいずれかの状態になる。また系統側変換器1−1−8のもう一方は、フィルタと呼ばれる電気回路を介して連系変圧器1−1−15に接続する。フィルタは例えばリアクトル1−1−8−2,コンデンサ1−1−8−3,リアクトル1−1−8−4で構成する。系統側変換器1−1−8はこのように、風車コントローラ1−1Cのゲートパルス信号に応じてIGBT1−1−8−1を動作させることで、電力を制御する。
【0028】
次に図5を用いて本実施例の風力発電所を構成するコントローラ4の動作について説明する。なお図5以降は本発明を構成する風力発電装置の台数が3台(n=3)として説明を行う。ただし本発明の効果は、風力発電装置の台数が3台に限定されず、風力発電装置の台数が2台以上であれば本発明の効果が得られる。コントローラ4は複数の風力発電装置1−1,1−2,1−3が発電した総発電電力を求めるため、検出した流入電力検出値PW1,PW2,・,・,PWnを加算器4−1で加算することで、風力発電所の総発電電力PWを演算する。コントローラ4は発電所出力目標値演算器4−2において、発電所が出力する電力の目標値PSysTを演算する。発電所出力目標値PSysTは、総発電電力PWの変動を緩和した値である。発電所出力目標値演算器4−2の具体的な動作例としては、図6に示すように総発電電力PWに一次遅れ演算を施した値を、発電所出力目標値PSysTとする。なお図6では一次遅れ時定数をTmで表している。
【0029】
コントローラ4は演算した発電所出力目標値PSysTから減算器4−4を用いて総発電電力PWを減算することにより、変動緩和のために必要な充放電電力指令PBT1を演算する。充放電電力指令PBT1は各風力発電装置1−1、1−2,・,・,1−nの直流部が分担して充放電をおこなう。具体的には分配器である除算器4−5において、PBT1を風力発電装置の運転台数(n=3)で除算することで均等に分配される。
【0030】
風力発電装置1−1,1−2,・,・,1−nを構成する二次電池1−1−10,1−2−10,1−3−10は、SOCが高い状態では充電電力の大きさが制限され易く、逆にSOCが低い状態では放電電力が制限され易い傾向がある。このようなSOCの偏りを防止するため、コントローラ4を構成するSOC補正電力演算器4−3は、各風力発電装置の充放電電力指令を補正する。
【0031】
SOC補正電力演算器4−3の具体的な動作について、図7を用いて説明する。SOC補正電力演算器4−3は検出した各蓄電装置のSOC1,SOC2,SOC3とSOC目標値を減算器4−3−1で減算し、減算すた結果にゲインKpを乗算することで、SOC補正電力指令を演算する。なおSOC目標値は固定値であり、二次電池1−1−10,1−2−10,1−3−10として鉛蓄電池を用いた場合には約70%程度、リチウムイオンを用いた場合には約50%程度の固定値とする。コントローラ4は、図5に示すように演算したSOC補正電力指令PBH1,PBH2,PBH3をそれぞれ加算器4−7において充放電電力指令PBTa1,PBTa2,PBTa3にそれぞれ加算することで、充放電電力指令の中間値PBTb1,PBTb2,PBTb3を演算する。
【0032】
二次電池は一般に運用可能な充放電電力の範囲があり、この範囲を超過する過剰な充電電力や過剰な放電電力は二次電池の劣化を早めるおそれがある。このため本発明の風力発電所は二次電池1−1−10,1−2−10,1−3−10の充放電電力を、二次電池1−1−10,1−2−10,1−3−10が運用可能な範囲に制限する。具体的には図5に示した充放電可能範囲演算器4−6において、各風力発電装置1−1,1−2,1−3を構成する二次電池1−1−10,1−2−10,1−3−10が運用可能な範囲を演算する。図8に示すように、二次電池1−1−10,1−2−10,1−3−10のSOC検出値SOC1,SOC2,SOC3,二次電池1−1−10,1−2−10,1−3−10の温度検出値BTe1,BTe2,BTe3から、それぞれの二次電池1−1−10,1−2−10,1−3−10が運用可能な最大充電電力値PBCM1,PBCM2,PBCM3および運用可能な最大放電電力値PBDM1,PBDM2,PBDM3を演算する。演算は例えば図8に示すように、所定の温度区間ごとに充放電運用範囲のSOC依存性を示したマップデータ4−6−1−1を記憶しており、検出した温度検出値BTe1,BTe2,BTe3とSOC検出値SOC1,SOC2,SOC3からそれぞれ対応した運用範囲を求める。コントローラ4は図5に示すように、演算した最大充電電力値PBCM1,PBCM2,PBCM3と最大放電電力値PBDM1,PBDM2,PBDM3を用いて、制限器4−8で充放電電力指令の中間値PBTb1,PBTb2,PBTb3を制限し、新しい充放電電力指令中間値PBTc1,PBTc2,PBTc3を演算する。このような運用充放電範囲に充放電電力指令を制限する動作により、二次電池1−1−10,1−2−10,1−3−10の長寿命運用が可能となる。
【0033】
コントローラ4は図5に示すように演算した充放電電力指令中間値PBTc1,PBTc2,PBTc3に、検出した流入電力検出値PW1,PW2,PW3を加算器4−9で加算することにより、風力発電装置1−1,1−2,1−3を構成する系統側変換器1−1−8,1−2−8,1−3−8が充放電すべき系統側変換器電力指令PGT1,PGT2,PGT3を演算する。
【0034】
次に本発明の効果について図9を用いて説明する。図9は本発明の風力発電所の動作を示した一例である。図9(a)は各風力発電装置1−1,1−2,1−3の発電機側変換器1−1−7,1−2−7,1−3−7の流入電力検出値PW1,PW2,PW3の時間変化を示している。図9の例では時間2(hour)以前においてはPW1,PW2が逆位相で変化しており、かつPW3は時間的に一定である。このた、図9(b)に示すように発電所全体の総発電電力PWは時間的に一定であり、変動を緩和するための二次電池1−1−10,1−2−10,1−3−10の充放電は必要ない。図9(c)に示すように充放電電力の中間値は時間2(hour)以前において0(MW)であり充放電の必要が無く、各図9(d)に示す各二次電池1−1−10,1−2−10,1−3−10の充放電電力指令PBTc1,PBTC2,PBTc3も0(MW)となる。なお個々では各二次電池1−1−10,1−2−10,1−3−10のSOCはSOC目標値である70%と一致している状態を想定しているため、SOCを補正するためのSOC補正電力指令PBH1、PBH2、PBH3は0(MW)である。時間2(hour)以前においては、図9(e)に示すようにPGT1,PGT2,PGT3が流入電力検出値PW1、PW2、PW3にそれぞれ一致する。これは各風力発電装置1−1,1−2,1−3において、発電機側変換器から流入する電力と系統側変換器から流出する電力が一致することになり、各二次電池1−1−10,1−2−10,1−3−10への電力の入出力は無くなる。このようにして本発明の風力発電所は複数の風力発電装置の平滑化効果を利用して、風力発電装置の直流部に接続した各二次電池1−1−10,1−2−10,1−3−10の充放電量を低減し、結果的に各二次電池1−1−10,1−2−10,1−3−10で発生する損失を低減している。なお図9の時間2(hour)以降では発電所全体の図9(b)に示すように総発電電力PWが時間的に変動するため、変動緩和のための充放電電力が必要となり、図9(d)に示すように各蓄電池1−1−10,1−2−10,1−3−10において電力の入出力が発生する。
【0035】
本発明の風力発電所においては、各構成要素を通過する電力の流れや、各二次電池1−1−10,1−2−10,1−3−10の状態量を監視する必要がある。これは発電所の運用が正常であるかを確認し、また各二次電池1−1−10,1−2−10,1−3−10の動作が正常か否かを確認することで、発電所を構成する装置の故障の早期発見や、事故を未然に防止するためである。発電所の監視は視覚的に実施することで、発電所の異常事態をより確実に発見し易くなる。本目的のため本発明の風力発電所は発電所を視覚的に表示する表示装置5を持つ。表示装置5の具体例を図10に示す。図10に示した表示装置5は風力発電所内の建屋の内部に設置された液晶モニタ等に表示する。表示装置5には風力発電所を構成する各風力発電装置1−1,1−2,1−3を図示し、各構成要素に流れる電力を表示する。電力の表示は視覚的に分かり易い物が好ましく、図10に示した表示装置5においては、矢印の形で電力の流れを表している。例えば表示装置5中の矢印5−1は、風力発電装置1−1の系統側変換器に流入する電力の大きさと向きを示しており、それぞれ矢印の長さが電力の大きさを、矢印の向きが電力の流れる向きを示している。二次電池1−1−10の充放電電力を表す矢印5−3、および系統側変換器1−1−8の出力する電力を表す矢印5−4も、それぞれ矢印の長さが電力の大きさを、矢印の向きが電力の流れる向きを示す点は同じである。また二次電池を模式的に表した5−2は、二次電池1−1−10のSOC(あるいは蓄積したエネルギー量)を塗り潰し部分の面積で表示したものである。図10に示す表示装置5を備えることで、極端な大きさ電力の流れが発生している場合であっても視覚的に比較的容易に発見でき、風力発電所を構成する機器の故障の早期発見に繋がることができる。またコントローラ4の故障により制御に不具合が発生すると、二次電池1−1−10,1−2−10,1−3−10の各SOC値が大きくばらつく状況が発生する。各SOC値が大きくばらつく状況が発生した場合、表示装置5から各二次電池1−1−10,1−2−10,1−3−10のSOCのばらつきを容易に発見でき、コントローラ4の故障の早期発見に繋がる。なお、電力の流れを表す記号は必ずしも矢印である必要はなく、アナログメータを模式的に表現した記号等、視覚的に電力の大きさと流れる向きを表す記号であれば、同様な効果が得られる。二次電池のSOCを表す方法も、必ずしも塗り潰しの面積で表現する必要はなく、アナログメータを模式的に表現した記号や、色の濃淡等で表現しても、本発明の効果は実現できる。また図10に示した表示装置は必ずしも発電所の中、あるいは近傍に設置される必要はなく、無線あるいは有線の信号伝達手段により、遠隔地に設置した表示装置に図10に示したような表示内容を表示しても、同様な効果が得られる。
【0036】
なお本実施例においては発電所出力目標値PSysTを演算する方法として、図6に示したように一次遅れを利用した方式について説明した。しかしながら発電所出力目標値PSysTを演算する際に発電所の総発電電力PWの変動を緩和する別の演算器を用いても、本発明の効果は実現できる。例えば発電所出力目標値演算器として図11に示す発電所出力目標値演算器4−2aを用いても、本発明の効果が得られる。図11に示した発電所出力目標値演算器4−2aは、風力発電装置発電電力PWに対して出力可能な上限値と下限値を設け、上下限で制限した値を発電所出力目標値PSysTとして演算する。上限値と下限値は過去に測定した合成電力PSysから演算する。所定の期間(例えば19分間)前から、現在の時刻までの、風力発電装置の出力電力PSysの出力変動幅から、次の制御期間(例えば1分間)におけるPSysの出力可能範囲(上限値と下限値)を設定する。例えば、所定の期間の過去におけるPSysの最小値に10%を加えたものを上限値に設定し、所定の期間の過去におけるPSysの最大値から10%を減算した値を下限値に設定する。なお発電所出力目標値演算器4−2aにおけるこの上限値および下限値の演算方法は、本発明者等が以前に提案した特開2009−079559号公報においてより詳細に説明されている。
【0037】
また発電所出力目標値PSysTを演算する別の演算方法について、図12,図13を用いて説明する。図12は図5,図11とは異なる変動緩和を目的とした風力発電所のコントローラ4bの構成を示した図である。図12を構成する要素のうち、番号が図5と同一ものは図5に記載した機器と同一の構成要素を表すため、説明は省略する。図12のコントローラ4bと図5との違いは、発電所出力目標値演算器4−2bが、風力発電所の発電電力予測値PPrdを利用する点である。発電電力予測値PPrdは図示していないが発電電力予測事業者等から受信するデータであり、数時間先までの未来における発電所の出力電力PSysの予測値である。発電電力予測事業者は、過去の気象データ、地形データ、風力発電所の現在の運転状況、風力発電所の過去の運転データから、未来における発電電力PPrdを予測する。
【0038】
発電所出力目標値演算器4−2bの具体的な動作について図13を用いて説明する。図12,図13に示した風力発電所の目的は、その出力電力PSysを所定の期間一定することで、その発電電力の変動を減少させることである。図12,図13の例では、30分間の発電電力出力を一定にする条件について説明している。図13に示すように発電所出力目標値演算器4−2bは発電電力の予測値PPrdから、未来における30分間の発電電力の平均値を演算する。発電所出力目標値演算器4−2bはこの発電電力の予測値PPrdを発電所出力電力PSysの発電所出力目標値PSysTとする。風力発電所がその発電電力PSysを発電所出力目標値PSysTに追従するように運転する方法については、図1から図10を用いて説明した方法と同一であるので、説明は省略する。図12,図13に示したように発電所の出力電力PSysを所定期間一定にする運転方法であっても、本発明の効果は実現できる。また発電所出力目標値PSysTを演算する際、他の演算器を用いて変動緩和後の発電所出力目標値PSysTを演算しても、本発明の効果は実現できる。
【0039】
本発明の第2の実施形態について図14から図19を用いて説明する。本実施例も、自然エネルギー利用発電装置として風力発電装置を用いた風力発電所に本発明を適用したものである。
【0040】
図14から図19に示す風力発電所の構成要素の内、実施例1に示した構成要素と番号が同一のものは同一の構成要素を表すため、説明は省略する。本実施例の第1の実施例との違いは、コントローラ4dが、系統側変換器がすべき充放電電力の補正量である系統側変換器電力補正指令PGHT1,PGHT2,PGHT3を送信する点である。
【0041】
図15を用いて本実施例のコントローラ4dの構成と動作について説明する。コントローラ4dが発電機側変換器の流入電力検出値PW1,PW2,PW3,発電所の出力電力検出値PSys、二次電池1−1−10のSOC検出値SOC1,SOC2,SOC3、二次電池1−1−10の温度検出値BTe1,BTe2,BTe3から充放電電力指令中間値PBTb1,PBTb2,PBTb3を演算するまでの過程は、実施例1と同一である。本実施例のコントローラ4dは、制限器4−8で充放電電力指令中間値PBTb1,PBTb2,PBTb3を制限した値を、系統側変換器電力補正指令PGHT1,PGHT2,PGHT3として各風力発電装置1−1d,1−2d,・,1−ndに送信する。なお系統側変換器電力補正指令PGHT1,PGHT2,PGHT3は、各風力発電装置1−1d,1−2d,・,1−ndを構成する二次電池1−1−10,1−2−10,・,1−n−10が充放電すべき充放電電力を表す値である。
【0042】
次に図16を用いて各風力発電装置1−1d,1−2d,・,1−ndの構成と動作について説明する。図16は風力発電装置1−1dの構成を示した図であるが、他の各風力発電装置1−2d,・,1−ndの構成も同一である。風力発電装置1−1dの発電機側変換器1−1−7が、ブレード1−1−1の回転数が最も効率良く風のエネルギーを受ける回転数になるように発電機1−1−3の出力電力を調整する制御構成と動作は、実施例1と同一であるので説明は省略する。本実施例の風力発電装置1−1dは系統側変換器1−1−8の有効電力指令の演算方法が、実施例1と異なる。風力発電装置1−1dはコントローラ4dから受信した系統側変換器電力補正指令PGHT1と発電機側変換器1−1−7の有効電力指令を加算器1−1cd−11にて足し合わせた値を系統側変換器有効電力指令とし、この系統側変換器有効電力指令に追従するように系統側変換器1−1−8を動作させる。
【0043】
本実施例の風力発電所の動作は、実施例1に示した風力発電所と同一となる。つまり風力発電所は複数の風力発電装置の平滑化効果を利用して、風力発電装置の直流部に接続した各二次電池1−1−10,1−2−10,1−3−10の充放電量を低減し、結果的に各二次電池1−1−10,1−2−10,1−3−10で発生する損失を低減できる。
【0044】
また図16に示した風力発電装置1−1dの代わりに、図17に示す風力発電装置1−1eを利用しても、本発明の効果が得られる。図17の風力発電装置1−1eは、系統側変換器有効電力指令を演算する際、コントローラ4dから受信した系統側変換器電力補正指令PGHT1に発電機側変換器1−1−7に流入する電力である流入電力検出値を加える。図17に示した風力発電装置1−1eの構成であっても、本実施例の風力発電所の効果を実現できる。
【0045】
また図16に示した風力発電装置1−1dの代わりに、図18に示す風力発電装置1−1fを利用しても、本発明の効果が得られる。図18に示した風力発電装置1−1fの図16との違いは、風力発電装置1−1fが受信した系統側変換器電力補正指令PGHT1に従って、系統側変換器1−1−8が直流電圧を制御する点である。風力発電装置1−1fは充放電電力演算器1−1cf−9に従って二次電池1−1−10に流入あるいは流出する充放電電力値を演算する。風力発電装置1−1fは演算した充放電電力値と系統側変換器電力補正指令PGHT1に従って、電力制御器1−1cf−10によって直流電圧指令を演算する。電力制御器1−1cf−10,直流電圧制御器1−cf−11について、図19を用いて詳細に説明する。風力発電装置1−1fは電圧検出器1−1−12によって検出した二次電池1−1−10の直流電圧値および電流検出器1−1−11によって検出した二次電池の入出力電流値IBから、充放電電力演算器1−1cf−9において二次電池が充放電している充放電電力値を演算する。風力発電装置1−1fは電力制御器1−1cf−10を構成する減算器1−1f−10−1により、受信した系統側変換器電力補正指令PGHT1と演算した充放電電力の差分を求め、差分値を比例演算器1−1cf−10−2および積分演算器1−1cf−10−3において、それぞれ比例演算、積分演算を実施し、さらに加算器1−1cf−10−4で加算することで直流電圧指令を演算する。なお電力制御器1−1cf−10は、受信した系統側変換器電力補正指令PGHT1より充放電電力が放電側に有る場合は、直流電圧指令を増加させるように演算する。また電力制御器1−1cf−10は、系統側変換器電力補正指令PGHT1より充放電電力が充電側に有る場合は、直流電圧指令を減少させるように演算する。これは二次電池1−1−10が直流電圧を増加させると、より充電方向にその充放電電力が増加し、逆に直流電圧を減少させると、より放電方向に充放電電力が増加する性質を利用している。風力発電装置1−1fは直流電圧制御器1−1cf−11において、演算した直流電圧指令と直流電圧の実測値の差分を減算器1−1cf−11−1によって演算する。さらに差分値を比例演算器1−1cf−11−2および積分器1−1cf−11−3でそれぞれ比例演算、積分演算し、さらに加算器1−1cf−11−4において加算することで系統側変換器1−1−8の有効電流指令を演算する。以上に示したように系統側変換器1−1−8が直流電圧を制御しても、本発明の効果は実現できる。
【0046】
本発明の第3の実施形態について図20から図22を用いて説明する。本実施例も、自然エネルギー利用発電装置として風力発電装置を用いた風力発電所に本発明を適用したものである。
【0047】
図20から図22に示す風力発電所の構成要素の中で、実施例1に示した構成要素と番号が同一のものは同一の構成要素を表すため、説明は省略する。本実施例の第1の実施例との違いは、風力発電装置1−1g,1−2g,・,1−ngを構成する発電機1−1−3gとして二次励磁型発電機を用いる点である。二次励磁発電機を用いた風力発電装置は、実施例1に示した永久磁石発電機や誘導発電機を用いた風力発電装置とは機器構成が異なるため、本発明を適用する風力発電所の構成や運転方法が実施例1,2とは異なる点がある。
【0048】
図20は第3実施例の風力発電所の全体を表した図である。本実施例の風力発電所は二次励磁発電機1−1−3g,1−2−3g,・,1−n−3gを使用するため、二次励磁発電機1−1−3g,1−2−3g,・,1−n−3gの回転子に発電機側変換器1−1−7g,1−2−7g,・,1−n−7gがそれぞれ電気的に接続する。また系統側変換器1−1−3g,1−2−3g,・,1−n−3gは電力系統3に変圧器1−1−15,1−2−15,・,1−n−15を介して電気的に接続する一方で、二次励磁発電機1−1−3g,1−2−3g,・,1−n−3gの固定子にもそれぞれ接続する。なお回転子に発電機側変換器1−1−7g,1−2−7g,・,1−n−7gと系統側変換器1−1−3g,1−2−3g,・,1−n−3gとを接続する直流部に二次電池1−1−10が接続する点は、実施例1、実施例2で説明した風力発電装置と同一である。
【0049】
風力発電装置1−1gの構成と動作について図21を用いて詳細に説明する。なお図21に示していない他の風力発電装置1−2g,・,1−ngについても構成と動作は図21と同一である。二次励磁発電機1−1−3gは回転子、固定子の両方から有効電力・無効電力を供給することが可能である。このため二次励磁発電機1−1−3gは回転子、固定子それぞれから出力される電力を測定する必要がある。回転子側については、電圧検出器1−1−6および電流検出器1−1−5で検出したそれぞれの3相の交流電力、直流電流から、有効・無効電力演算器1−1c−2において有効・無効電力を演算する。なお演算結果の回転子側有効電力について、説明のため図21中でPR1と記載する。同様に固定子側については電圧検出器1−1−17および電流検出器1−1−18で検出したそれぞれの3相の交流電力、直流電流を検出し、有効・無効電力演算器1−1c−11において有効・無効電力を演算する。図21中では説明のため固定子側演算器をPS1として記載する。二次励磁発電機1−1−3gから出力される総合の有効電力である発電機有効電力出力PW1は、回転子側有効電力PR1および固定子側有効電力PS1を加算器1−1c−12で加算することで演算する。発電機側変換器1−1−3gは演算した発電機有効電力出力PW1と有効電力指令演算器1−1c−1を元に、二次励磁発電機1−1−3gからの出力電力を制御する。有効電力指令演算器1−1c−1で演算する有効電力指令は風力発電装置1−1のブレード1−1−1の回転数が、最も効率良く風のエネルギーを受ける回転数になるように調整する。なお発電機側変換器1−1−7gの制御方法については従来技術と同一であるので、詳細な説明は省略する。また発電機側変換器1−1−7gの制御方法が従来技術であるトルク制御であっても本発明の効果は実現できる。風力発電装置1−1gはコントローラ4gに対して回転子側有効電力PR1および発電機有効電力出力PW1をコントローラ4gに送信する。風力発電機1−1gを構成する系統側変換器1−1−8gの制御方法および動作は実施例1と同一であるので説明は省略する。
【0050】
次に図22を用いて本発明の風力発電所を構成するコントローラ4gの構成と動作について説明する。コントローラ4gの構成と動作は実施例1の図5に示したコントローラ4と基本的な構成と動作が同一であるが、回転子側有効電力PR1,PR2,・,PRnを利用する点が実施例1とは異なる。コントローラ4gは加算器4−9gにおいて、新しい充放電電力指令中間値PBTc1,PBTc2,PBTc3にそれぞれ回転子側有効電力PR1,PR2,PR3を加算することで、系統側変換器電力指令値PGT1,PGT2,PGT3を演算する。これは実施例1と異なり、風力発電装置1−1g,・,1−ngの直流部に流入する電力が回転子側有効電力PR1、PR2、PR3だからである。
【0051】
図20から図22に示した構成と動作をすることで、二次励磁発電機1−1−3g,1−2−3g,・,1−n−3gを用いた場合であっても本発明の効果を実現できる。なお図示していないが、実施例2で説明したように系統側変換器電力指令値PGT1,PGT2,PGT3を利用する代わりに系統側変換器電力補正指令PGHT1,PGHT2,PGHT3を利用する場合であっても、本発明の効果は実現できる。また、実施例2で説明したように系統側変換器1−1−3g,1−2−3g,・,1−n−3gが電圧を制御しても、本発明の効果は実現できる。
【0052】
本発明の第4の実施例について図23から図26を用いて説明する。
【0053】
第4の実施例は自然エネルギー発電装置として太陽光発電装置を利用した太陽光発電所に、本発明を適用した例である。図23から図26に示す風力発電所の構成要素の内、実施例1、実施例2、実施例3に示した構成要素と番号が同一のものは同一の構成要素を表すため、説明は省略する。図23は本実施例の太陽光発電所の全体構成を示した図である。本実施例の太陽光発電所は、複数の太陽光発電装置6−1,6−2,・,6−n,コントローラ7,表示装置8,電力検出器2で構成する。太陽光発電装置6−1,6−2,・,6−n(nは太陽項発電装置の数)はそれぞれ太陽光パネル6−1−1,6−1−2,・,6−n−1を持ち、太陽の光エネルギーを電気エネルギーに変換する。電気エネルギーはDC・DC変換器6−1−7,6−2−7,・,6−n−7,系統側変換器6−1−8,6−2−8,・,6−n−8,連系変圧器6−1−15,6−2−15,・,6−n−15を介して電力系統3に発電電力を送電する。DC・DC変換器6−1−7,6−2−7,・,6−n−7と系統側変換器6−1−8,6−2−8,・,6−n−8の中間部にはそれぞれ直流で電力を送電する部分があり、この直流部に二次電池6−1−10,6−2−10,・,6−n−10を接続する。
【0054】
太陽光発電装置6−1の構成と動作について図24を用いて詳細に説明する。なお図示していない他の太陽光発電装置6−2,・,6−nの構成と動作は太陽光発電装置6−1と同一である。太陽光発電装置6−1はPVコントローラ6−1cで、発電装置を制御する。太陽光発電装置6−1は電圧検出器6−1−5と電流検出器6−1−6で、それぞれ太陽光パネルの電圧、電流を測定する。PVコントローラ6−1cの最大電力追従演算器6−1c−5は、太陽光パネルの電力変換効率が最大になるように直流電圧指令を演算する。DC・DC変換器6−1−7は電圧制御器6−1c−4、パルス幅変調パルス発生器6−1c−3を経て、太陽光パネル6−1−1の直流電圧が直流電圧指令に一致するように電圧制御する。本実施例の太陽光発電装置6−1は、DC・DC変換器6−1−7の制御により、太陽光パネル6−1−1の電力変換効率が最大になるように動作する。なお最大電力追従(MPPT)制御の方式には従来知られている技術がいくつかあるが、いずれの方式を適用しても本発明の効果は実現できる。またDC・DC変換器6−1−7が最大電力追従制御を行う方式を説明したが、DC・DC変換器6−1−7が例えば直流電圧一定制御など、他の制御方式を実施しても本発明の効果は実現可能である。本発明の太陽光発電装置6−1は電圧検出器6−1−5と電流検出器6−1−6で検出した電圧、電流の測定値を用いて、PVコントローラ6−1cの有効電力演算器6−1c−1にて太陽光パネル6−1−1の発電電力PPV1を測定し、コントローラ7に送信する。
【0055】
DC・DC変換器6−1−7は太陽光パネル6−1−1の直流電圧か、電流、あるいは電力を制御する機能を持つ。DC・DC変換器6−1−7の具体例を示したものが図25である。図25はDC・DC変換器6−1−7が昇圧チョッパーの例を示したものである。図25に示したDC・DC変換器6−1−7である昇圧チョッパーは直流コンデンサ6−1−7−1,6−1−7−5,リアクトル6−1−7−2,IGBT6−1−7−3,ダイオード6−1−7−4などで構成し、太陽光パネル6−1−1の直流電圧を制御することが可能である。なおDC・DC変換器6−1−7としては、図25に示した昇圧チョッパーの他に、従来知られている降圧チョッパーや高周波リンクDC・DC変換器など、太陽光パネル6−1−1の直流電圧か、電流、あるいは電力を制御できる機能を有している変換器であれば、本発明の効果は実現できる。
【0056】
本発明の太陽光発電所は、図24に示すように直流部に二次電池6−1−11を持つ。二次電池6−1−11に流入する電流は、電流検出器6−1−11で計測され、また二次電池6−1−11の直流電圧は6−1−12で測定される。測定した電圧、電流をもとにSOC演算器6−1c−6で二次電池6−1−11の充電率を測定する。さらに二次電池6−1−1の温度は温度検出器6−1−16を用いて測定される。検出した充電率や温度はコントローラ7に送信する。二次電池6−1−11の状態の検出方法やコントローラ7に送信する構成は、実施例1、実施例2、実施例3で示した風力発電装置の直流部に接続した二次電池と同一である。
【0057】
図24を用いて系統側変換器6−1−8の動作について説明する。系統側変換器6−1−8はPVコントローラ6−1cからのゲートパルス信号に従って電力制御を実施する。具体的にはコントローラ7から受信した系統側変換器電力指令PGT1に追従するように、系統側変換器6−1−8が電力を制御する。系統側変換器の動作方法については、実施例1、実施例2、実施例3で示した風力発電装置の系統側変換器の動作と同一である。
【0058】
本発明の太陽光発電所を構成するコントローラ7の構成と動作を、図26を用いて説明する。コントローラ7の構成と動作は、実施例1において図5で説明した風力発電所のコントローラ4における各風力発電装置の発電電力PW1,PW2,PW3を、太陽光発電装置6−2,・,6−nの各太陽光パネル出力電力PPV1,PPV2,PPV3に置き換えたのみで、その他の動作と構成は同一である。
【0059】
以上で説明したように、本発明の太陽光発電所は、実施例1,実施例2,実施例3で説明した風力発電所において発電機を太陽光パネルに、発電機側変換機をDC・DC変換器に置き換えたのみで、その他の構成や動作は同一である。以上で説明した構成をとることで、本発明の太陽光発電所は複数の太陽光発電装置6−2,・,6−nの平滑化効果を利用することが可能となり、変動緩和に必要な二次電池6−1−11の充放電電力量が低減され、結果的に二次電池6−1−11で発生する損失が低減できる。
【0060】
また本発明の風力発電装置は、図27に示すような表示装置8を持つことが望ましい。表示装置8は発電所内の電力の流れが視覚的に判断できるように図示する機能を持つ。表示装置8の詳細は、実施例1で説明した風力発電所の表示装置(図10)の風力発電装置の記号を太陽光パネルの記号に置き換えたのみで、その他の動作は同一である。
【符号の説明】
【0061】
1−1,1−2,・,1−n,1−1d,1−2d,・,1−dn,1−1f,1−1g,1−2g,・,1−ng 風力発電装置
1−1−1 ブレード
1−1−2 増速器
1−1−3 発電機
1−1−4 風速計
1−1−5,1−1−12,1−1−14,1−1−17,6−1−5 電圧検出器
1−1−6,1−1−11,1−1−13,1−1−18,6−1−6 電流検出器
1−1−7 発電機側変換器
1−1−7−1,1−1−8−3,6−1−7−1,6−1−7−5 コンデンサ
1−1−7−2,1−1−8−2,1−1−8−4,6−1−7−2 リアクトル
1−1−7−3,1−1−8−1,6−1−7−3 IGBT
1−1−8,1−2−8,・,1−n−8,1−1−8g,1−2−8g,・,1−n―8g,6−1−8,6−2−8,・,6−n−8 系統側変換器
1−1−9 直流コンデンサ
1−1−10,6−1−10,6−2−10,・,6−n−10 二次電池
1−1−15,6−1−15,6−2−15,・,6−n−15 連系変圧器
1−1−16 温度検出器
1−1c,1−1cd,1−1cf 風車コントローラ
1−1c−1 有効電力指令演算器
1−1c−2,1−1c−10,1−1c−11,6−1c−10 有効・無効電力演算器
1−1c−3,1−1c−7,6−1c−3,6−1c−7 パルス幅変調パルス発生器
1−1c−4,1−1c−8,6−1c−8 電流制御器
1−1c−5,1−1c−9,1−1cf−10,6−1c−9 電力制御器
1−1c−6,6−1c−6 SOC演算器
1−1cf−9 充放電電力演算器
1−1cf−10−1,1−1cf−11−1,4−4 減算器
1−1cf−10−2,1−1cf−11−2 比例演算器
1−1cf−10−3,1−1cf−11−3 積分演算器
1−1cf−10−4,1−1cd−11,1−1ce−11,1−1cf−11−4,1−1c−12,4−1,4−7,4−9,4−9g 加算器
1−1cf−11 直流電圧制御器
2 電力検出器
3 電力系統
4,4g,7 コントローラ
4−2,4−2a 発電所出力目標値演算木
4−3 SOC補正電力演算器
4−5 除算器
4−6 充放電可能範囲演算器
4−6−1,4−6−2,4−6−3 充放電可能範囲マップデータ
4−8 制限器
5,5g,8 表示装置
5−1,8−1 発電機側変換器に流入する電力を表す記号
5−2,8−2 二次電池の充電率を表す記号
5−3 ,8−3 二次電池の充放電電力を表す記号
5−4,8−4 系統側変換器の出力電力を表す記号
5−5,8−5 発電所の総出力電力を表す記号
6−1,6−2,・,6−n 太陽光発電装置
6−1c PVコントローラ
6−1−c−1 有効電力制御
6−1c−4 電圧制御器
6−1c−5 最大電力追従演算器
6−1−1,6−2−1,・,6−n−1 太陽光パネル
6−1−7,6−2−7,・,6−n−7 DC・DC変換器
6−1−7−4 ダイオード
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電装置を備えた自然エネルギー利用発電所に係り、特に、風力発電装置や太陽光発電装置などの自然エネルギー利用発電装置と蓄電装置で構成し、自然エネルギー利用発電装置の発電機の交流電力を直流電力に変換する発電機側変換器と直流電力を商用周波数の交流電力に変換して電力系統に供給する系統側変換器との間の直流部分に蓄電装置を設け、発電所の出力変動を緩和するようにした自然エネルギー利用発電所に関する。
【背景技術】
【0002】
自然界に存在する再生可能なエネルギーを電力エネルギーに変換する手段として、風力発電装置や太陽光発電装置が利用されている。風力発電装置や太陽光発電装置のエネルギー源は、時間的に変動する風のエネルギーや太陽光エネルギーであるため、発電装置の発電電力も時間的に変動する。
【0003】
電力系統は、電力需要の大きさに応じて火力発電所や水力発電所,揚水発電所等の発電電力を調整することで、電力需給のバランスを保っている。このため、風力発電装置や太陽光発電装置等の変動の大きな電源が大量に電力系統に連系した場合、需給バランスの調整力不足や、周波数変動の拡大が懸念される。
【0004】
風力発電装置の電力変動が電力系統に与える悪影響を緩和するため、電力貯蔵装置を利用し、風力発電装置の変動する発電電力を、電力貯蔵装置が充放電することで、電力系統に出力する電力変動を緩和するなどの手段が必要となる。
【0005】
自然エネルギー発電装置の一つである風力発電装置において、風車の利用率を向上しつつ、風車の出力変動による出力電力の変動を抑制するものとして、特許文献1には、同期発電機の固定子に接続する順変換器と、順変換器に接続しかつ電力系統に接続する逆変換器と、順変換器と逆変換器の間に直結する充放電可能な二次電池とを備え、順変換器で同期発電機の可変周波数の発電電力を直流電力に変換し、逆変換器で直流電力を固定周波数の交流電力に変換し、二次電池の充放電制御で電力系統へ出力する有効電力の変動を抑制することが記載されている。
【0006】
また、特許文献2には、風車発電装置に充放電器を備えた蓄電池を併設し、出力変動を抑制するようにした風車発電制御方法が記載されている。また、特許文献2には、蓄電池を備えた風車発電装置を複数並列に接続し、電力系統に大きな電力を供給する風力発電システムが記載されている。
【0007】
また特許文献3には、風力発電機前方の風況を予測して風力発電機の出力変動を抑制、または平滑化する風力発電システムにおいて、ウィンドファームにある複数の風力発電機の発電電力変動を抑制するために、コンデンサとコンデンサの電力入出力を行う電力変換器を設置し、風況解析に基づき、複数の風力発電機と電力変換器を制御することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−333752号公報
【特許文献2】特開2002−27679号公報
【特許文献3】特願2004−289896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
電力貯蔵手段を構成する二次電池や蓄電池、コンデンサに充放電する際、二次電池等の内部抵抗や化学反応により、充放電電力の損失が発生する。このため電力貯蔵手段を持たない風力発電装置に比べて発電電力量が低減し、自然エネルギーの利用量が減少する。自然エネルギーを最大限利用するためには、電力貯蔵手段が充放電する充放電電力量を減少させることが必要である。
【0010】
また、特許文献2や3においては、特許文献1に記載のように風力発電装置自身が持つ電力変換器(順変換器と逆変換器)の直流部分に、充放電を行う二次電池を設けるものとは異なり、蓄電池やコンデンサに充放電する際、蓄電池やコンデンサと共に電力貯蔵手段を構成する充放電器や電力変換器が損失を発生する。
【0011】
本発明の目的は、風力発電装置などの自然エネルギー発電装置を構成する電力変換器の直流部に蓄電装置を有する自然エネルギー利用発電所において、蓄電装置の充放電量を低減し、蓄電装置が発生する損失を低減することが可能な自然エネルギー利用発電所を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、風力発電装置などの自然エネルギー利用発電装置を構成する電力変換器の直流部に蓄電装置を有する複数の自然エネルギー利用発電装置で自然エネルギー利用発電所を構成し、複数の自然エネルギー利用発電装置の平滑化効果を利用するようにしたことを特徴とする。
【0013】
より具体的には、自然エネルギー利用発電装置として風力発電装置を用いた場合、本発明の自然エネルギー利用発電所(風力発電所)は、複数の風力発電装置と、コントローラとによって構成し、複数の風力発電装置は、風のエネルギーによって回転する風車と、風車の回転エネルギーを交流電力に変換する発電機と、交流電力を直流電力に変換する発電機側変換器と、直流電力を商用周波数の交流電力に変換して電力系統に供給する系統側変換器と、発電機側変換器と系統側変換器との間の直流部に接続され直流電力を充電及び放電する蓄電装置を備え、さらに風力発電所は、個々の発電機から発電機側変換器に流入する流入発電電力を各々検出する検出装置と、個々の蓄電装置が蓄積したエネルギー量(あるいは蓄積したエネルギー量に相当する物理量)を検出する検出装置を有し、コントローラは、流入電力検出値と蓄積エネルギー量(あるい蓄積エネルギー量に相当する物理量)から個々の系統側変換器が充放電すべき電力指令又は系統側変換器の電力補正指令を演算して個々の系統側変換器に出力し、個々の系統側変換器は、電力指令又は電力補正指令に応じて系統側変換器が入出力する電力又は直流電圧を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明により複数の自然エネルギー利用発電装置(風力発電装置など)の平滑化効果を利用することが可能となり、自然エネルギー利用発電装置(風力発電装置など)を構成する蓄電装置の充放電電力量が低減できる。蓄電装置の充放電電力量が低減することで蓄電装置が発生する損失を低減でき、自然エネルギーの有効利用が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施例における風力発電所の全体構成図。
【図2】本発明の第1の実施例における風力発電装置の構成図。
【図3】本発明の第1の実施例における発電機側変換器の構成図。
【図4】本発明の第1の実施例における系統側変換器の構成図。
【図5】本発明の第1の実施例におけるコントローラの構成図。
【図6】本発明の発電所出力目標値演算器の構成例を示す図。
【図7】本発明の充電率補正演算器の構成例を示す図。
【図8】本発明の充放電可能範囲演算器の構成例を示す図。
【図9】本発明の第1の実施例における風力発電所の動作例を示す図。
【図10】本発明の第1の実施例における表示装置の一例を示す図。
【図11】本発明の発電所出力目標値演算器の構成例を示す図。
【図12】本発明の第1の実施例におけるコントローラの構成例を示す図。
【図13】本発明の発電所出力目標値演算器の構成例を示す図。
【図14】本発明の第2の実施例における風力発電所の全体構成図。
【図15】本発明の第2の実施例におけるコントローラの構成図。
【図16】本発明の第2の実施例における風力発電装置の構成図。
【図17】本発明の第2の実施例における風力発電装置の構成図。
【図18】本発明の第2の実施例における風力発電装置の構成図。
【図19】本発明の第2の実施例における直流電圧の制御方法を示した図。
【図20】本発明の第3の実施例における風力発電所の構成図。
【図21】本発明の第3の実施例における風力発電装置の構成図。
【図22】本発明の第3の実施例におけるコントローラの構成図。
【図23】本発明の第4の実施例における太陽光発電所の構成図。
【図24】本発明の第4の実施例における太陽光発電装置の構成図。
【図25】本発明の第4の実施例におけるDC・DC変換器の構成図。
【図26】本発明の第4の実施例におけるコントローラの構成図。
【図27】本発明の第4の実施例における表示装置の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施例を具体的に説明する前に、本発明に至る経緯について説明する。
【0017】
蓄電装置を有する風力発電装置を複数接続して構成する風力発電所の場合、個々の風力発電装置が受ける風のエネルギーは、風力発電装置を設置した地点の地形により、時間的に均一ではない。このため各風力発電装置が出力する発電電力は時間的に異なっており、複数の風力発電装置全体としては、その総合発電電力が平滑化されている場合がある。この複数の風力発電装置の平滑化効果を利用することで、蓄電池の充放電電力量を低減することが可能である。しかし、特許文献1に記載のように、風力発電装置を構成する電力変換器の直流部に蓄電装置を有する風力発電所では、単一の風力発電装置における出力変動しか考慮されておらず、風力発電装置を複数接続して平滑化効果を利用しようとすることは検討されていなかった。また、特許文献2や3において、風力発電装置を複数接続することが記載されているが、特許文献1のように、風力発電装置の電力変換装置の直流部に蓄電装置を設けたものではないし、複数の風力発電装置の平滑化効果を積極的に利用するような仕組みも検討されていなかった。本発明者らは、風力発電装置を構成する電力変換器の直流部に蓄電装置を有する風力発電所の利点を保持しながら、風力発電装置を複数接続して平滑化効果を効果的に利用するシステムを検討し、本発明に至ったものである。
【0018】
以下、図面を用いて本発明の実施例を説明する。
【0019】
本発明の第一の実施形態について図1から図13を用いて説明する。本実施例は、自然エネルギー利用発電装置として風力発電装置を用いた風力発電所に本発明を適用したものである。
【0020】
図1は本発明の第一の実施形態における風力発電所の全体構成を示した図である。本発明の風力発電所は、主に複数の風力発電装置1−1,1−2,・,・,1−n(nは風力発電装置の台数)とコントローラ4、および表示装置5によって構成する。各風力発電装置1−1,1−2,・,・,1−nとコントローラ4は情報伝達が可能な有線、あるいは無線手段によって接続されており、各風力発電装置の物理量あるいはコントローラ4が演算した指令を伝達することが可能である。具体的な情報伝達手段としては、有線手段の場合は光ファイバを利用したLAN通信や、電気回線を用いた4−20mA通信が利用でき、また無線手段の場合は無線LAN通信等が利用できる。本発明の風力発電所は電力系統3に接続し、その総出力電力を電力系統に送電する。風力発電所は電力系統3との連系地点に風力発電所の総出力電力Psysを検出する電力検出器2を備え、検出した総出力電力値をコントローラ4に伝達する手段を持つ。以下で風力発電所を構成する要素について詳細に説明する。
【0021】
図2は本発明の風力発電装置1−1について説明した図である。本発明の風力発電所は複数の風力発電装置1−1,1−2,・,・,1−nで構成されるが、いずれも風力発電装置1−1と同様の構成を持つ。風力発電装置1−1はブレード1−1−1で風を受け、風の持つエネルギーを、ブレード1−1−1を含む回転体の回転エネルギーに変換する。回転エネルギーは増速器1−1−2によって発電機1−1−3に伝達される。発電機1−1−3は、回転エネルギーを交流の電気エネルギーに変換する役割を担う。発電機1−1−3としては永久磁石発電機や直流励磁型同期発電機、誘導発電機等が利用可能である。発電機1−1−3が発電したエネルギーは、電力変換器である発電機側変換器1−1−7および系統側変換器1−1−8、系統連系変圧器1−1−15を介して電力系統3に送電される。発電機側変換器1−1−7は発電機1−1−3が発電した交流電力を直流電力に変換する役割を持ち、また系統側変換器1−1−8は直流電力を電力系統の周波数に一致した交流電力に変換する役割を持つ。発電機側変換器1−1−7と系統側変換器1−1−8の間には直流コンデンサ1−1−9があり、直流部の直流電圧の変動を緩和する役割を担っている。
【0022】
本発明の風力発電装置1−1,1−2,・,・,1−nは、発電機側変換器1−1−7と系統側変換器1−1−8を接続する直流電圧部分に、蓄電装置としての二次電池1−1−10を備える。二次電池1−1−10は、二次電池の単位セルの直列接続、並列接続、あるいはこれらの組み合わせにより、必要な直流電圧あるいは蓄積エネルギーを実現する。二次電池を構成する電池の種類としては、鉛蓄電池やリチウムイオン電池,ナトリウム硫黄電池,ニッケル水素電池、あるいはリチウムイオンキャパシタ等が挙げられるが、いずれの二次電池を利用しても本発明の効果は実現可能である。
【0023】
本発明の風力発電装置1−1は風車コントローラ1−1cと呼ぶ制御器を持ち、風力発電装置1−1の動作を制御している。風車コントローラ1−1cはマイコンやCPUなで構成する。風車コントローラ1−1cは風速計1−1−4で測定した風速情報等から発電機側変換器1−1−7の有効電力指令を演算する。有効電力指令は風力発電装置1−1のブレード1−1−1の回転数が、最も効率良く風のエネルギーを受ける回転数になるように調整する。また同時に電圧検出器1−1−5で検出した3相交流の発電機端子電圧、および電流検出器1−1−6で検出した3相交流の発電機出力電流から、有効・無効電力演算器1−1c−2において、発電機1−1−3が出力する有効・無効電力を演算する。風車コントローラ1−1cは演算した有効電力指令や検出した有効・無効電力指令を基に、電力制御器1−1c−5,電流制御器1−1c−4,パルス幅変調パルス発生器(PWM1−1c−3)を用いて、発電機側変換器1−1−7のゲートパルス信号を演算する。なお有効電力指令,ゲートパルス信号の詳細な演算方法については、特開2003−120504号公報等に詳細な記載があるため、ここでの詳細な説明は省略する。また本実施例では発電機側変換器1−1−7の動作として電力制御の方式について説明したが、発電機側変換器1−1−7がトルク制御等の他の従来技術を利用して動作しても、本発明の効果は実現可能である。さらに本発明の風力発電装置1−1は検出した有効電力値(流入電力検出値PW1)をコントローラ4に伝達する。
【0024】
風力発電装置1−1の直流部に接続した二次電池1−1−10の直流電圧および入出力電流は、電圧検出器1−1−12および電流検出器1−1−11によってそれぞれ測定する。風車コントローラ1−1cは、検出した直流電圧と直流電流をもとに、SOC演算器1−1C−6において二次電池1−1−10のSOC(充電率)を演算する。演算したSOCは発電所のコントローラ4に伝達される。なお演算する値は二次電池が蓄積したエネルギー量を表す値であれば良い。このためSOCの代わりに、二次電池1−1−10の直流電圧や、二次電池1−1−10の内部抵抗値等を利用しても本発明の効果は発揮できる。
【0025】
風車コントローラ1−1Cは、系統側変換器1−1−8が出力する電力量を制御する役割も持つ。具体的には系統側変換器1−1−8の出力電圧と出力電流をそれぞれ電圧検出器1−1−14と電流検出器1−1−13でそれぞれ検出する。検出した電圧値,電流値を元に有効・無効電力演算器1−1c−10が系統側変換器1−1−8の出力する有効電力・無効電力を演算する。本実施例では系統側変換器1−1−8が出力すべき系統側変換器電力指令値PGT1はコントローラ4から伝達される。風車コントローラ1−1Cは受信した有効電力指令値に追従するように、電力制御器1−1C−9,電流制御器1−1C−8,パルス幅変調パルス発生器(PWM1−1c−7)を用いて、系統側変換器1−1−8を制御する。
【0026】
発電機側変換器1−1−7の一例について図3を用いて詳細に説明する。発電機側変換器1−1−7はフィルタと呼ばれる電気回路を介して、一方を発電機1−1−3に接続する。フィルタは例えば図3に示すようにコンデンサ1−1−7−1,リアクトル1−1−7−2で構成する。フィルタの一方は半導体素子であるIGBT1−1−7−3に接続する。IGBT1−1−7−3は風車コントローラ1−1Cが送信するゲートパルス信号に応じて、それ自身が導通常態か、あるいは非導通状態のいずれかの状態になる。発電機側変換器1−1−7はこのように、風車コントローラ1−1Cのゲートパルス信号に応じてIGBT1−1−7−3を動作させることで、電力を制御する。発電機側変換器1−1−7は、そのもう一方の出力端子を、風力発電装置1−1の直流部に接続する。本実施例では発電機側変換器1−1−7は二次電池1−1−9に接続する。
【0027】
次に図4を用いて系統側変換器1−1−8の詳細な構成を説明する。系統側変換器1−1−8の一方の出力端子は、風力発電装置1−1の直流部にある直流コンデンサ1−1−9に接続する。直流コンデンサは半導体素子であるIGBT1−1−8−2で構成する電気回路に接続する。IGBT1−1−8−2はゲートパルス信号に応じて、それ自身が導通常態か、あるいは非導通状態のいずれかの状態になる。また系統側変換器1−1−8のもう一方は、フィルタと呼ばれる電気回路を介して連系変圧器1−1−15に接続する。フィルタは例えばリアクトル1−1−8−2,コンデンサ1−1−8−3,リアクトル1−1−8−4で構成する。系統側変換器1−1−8はこのように、風車コントローラ1−1Cのゲートパルス信号に応じてIGBT1−1−8−1を動作させることで、電力を制御する。
【0028】
次に図5を用いて本実施例の風力発電所を構成するコントローラ4の動作について説明する。なお図5以降は本発明を構成する風力発電装置の台数が3台(n=3)として説明を行う。ただし本発明の効果は、風力発電装置の台数が3台に限定されず、風力発電装置の台数が2台以上であれば本発明の効果が得られる。コントローラ4は複数の風力発電装置1−1,1−2,1−3が発電した総発電電力を求めるため、検出した流入電力検出値PW1,PW2,・,・,PWnを加算器4−1で加算することで、風力発電所の総発電電力PWを演算する。コントローラ4は発電所出力目標値演算器4−2において、発電所が出力する電力の目標値PSysTを演算する。発電所出力目標値PSysTは、総発電電力PWの変動を緩和した値である。発電所出力目標値演算器4−2の具体的な動作例としては、図6に示すように総発電電力PWに一次遅れ演算を施した値を、発電所出力目標値PSysTとする。なお図6では一次遅れ時定数をTmで表している。
【0029】
コントローラ4は演算した発電所出力目標値PSysTから減算器4−4を用いて総発電電力PWを減算することにより、変動緩和のために必要な充放電電力指令PBT1を演算する。充放電電力指令PBT1は各風力発電装置1−1、1−2,・,・,1−nの直流部が分担して充放電をおこなう。具体的には分配器である除算器4−5において、PBT1を風力発電装置の運転台数(n=3)で除算することで均等に分配される。
【0030】
風力発電装置1−1,1−2,・,・,1−nを構成する二次電池1−1−10,1−2−10,1−3−10は、SOCが高い状態では充電電力の大きさが制限され易く、逆にSOCが低い状態では放電電力が制限され易い傾向がある。このようなSOCの偏りを防止するため、コントローラ4を構成するSOC補正電力演算器4−3は、各風力発電装置の充放電電力指令を補正する。
【0031】
SOC補正電力演算器4−3の具体的な動作について、図7を用いて説明する。SOC補正電力演算器4−3は検出した各蓄電装置のSOC1,SOC2,SOC3とSOC目標値を減算器4−3−1で減算し、減算すた結果にゲインKpを乗算することで、SOC補正電力指令を演算する。なおSOC目標値は固定値であり、二次電池1−1−10,1−2−10,1−3−10として鉛蓄電池を用いた場合には約70%程度、リチウムイオンを用いた場合には約50%程度の固定値とする。コントローラ4は、図5に示すように演算したSOC補正電力指令PBH1,PBH2,PBH3をそれぞれ加算器4−7において充放電電力指令PBTa1,PBTa2,PBTa3にそれぞれ加算することで、充放電電力指令の中間値PBTb1,PBTb2,PBTb3を演算する。
【0032】
二次電池は一般に運用可能な充放電電力の範囲があり、この範囲を超過する過剰な充電電力や過剰な放電電力は二次電池の劣化を早めるおそれがある。このため本発明の風力発電所は二次電池1−1−10,1−2−10,1−3−10の充放電電力を、二次電池1−1−10,1−2−10,1−3−10が運用可能な範囲に制限する。具体的には図5に示した充放電可能範囲演算器4−6において、各風力発電装置1−1,1−2,1−3を構成する二次電池1−1−10,1−2−10,1−3−10が運用可能な範囲を演算する。図8に示すように、二次電池1−1−10,1−2−10,1−3−10のSOC検出値SOC1,SOC2,SOC3,二次電池1−1−10,1−2−10,1−3−10の温度検出値BTe1,BTe2,BTe3から、それぞれの二次電池1−1−10,1−2−10,1−3−10が運用可能な最大充電電力値PBCM1,PBCM2,PBCM3および運用可能な最大放電電力値PBDM1,PBDM2,PBDM3を演算する。演算は例えば図8に示すように、所定の温度区間ごとに充放電運用範囲のSOC依存性を示したマップデータ4−6−1−1を記憶しており、検出した温度検出値BTe1,BTe2,BTe3とSOC検出値SOC1,SOC2,SOC3からそれぞれ対応した運用範囲を求める。コントローラ4は図5に示すように、演算した最大充電電力値PBCM1,PBCM2,PBCM3と最大放電電力値PBDM1,PBDM2,PBDM3を用いて、制限器4−8で充放電電力指令の中間値PBTb1,PBTb2,PBTb3を制限し、新しい充放電電力指令中間値PBTc1,PBTc2,PBTc3を演算する。このような運用充放電範囲に充放電電力指令を制限する動作により、二次電池1−1−10,1−2−10,1−3−10の長寿命運用が可能となる。
【0033】
コントローラ4は図5に示すように演算した充放電電力指令中間値PBTc1,PBTc2,PBTc3に、検出した流入電力検出値PW1,PW2,PW3を加算器4−9で加算することにより、風力発電装置1−1,1−2,1−3を構成する系統側変換器1−1−8,1−2−8,1−3−8が充放電すべき系統側変換器電力指令PGT1,PGT2,PGT3を演算する。
【0034】
次に本発明の効果について図9を用いて説明する。図9は本発明の風力発電所の動作を示した一例である。図9(a)は各風力発電装置1−1,1−2,1−3の発電機側変換器1−1−7,1−2−7,1−3−7の流入電力検出値PW1,PW2,PW3の時間変化を示している。図9の例では時間2(hour)以前においてはPW1,PW2が逆位相で変化しており、かつPW3は時間的に一定である。このた、図9(b)に示すように発電所全体の総発電電力PWは時間的に一定であり、変動を緩和するための二次電池1−1−10,1−2−10,1−3−10の充放電は必要ない。図9(c)に示すように充放電電力の中間値は時間2(hour)以前において0(MW)であり充放電の必要が無く、各図9(d)に示す各二次電池1−1−10,1−2−10,1−3−10の充放電電力指令PBTc1,PBTC2,PBTc3も0(MW)となる。なお個々では各二次電池1−1−10,1−2−10,1−3−10のSOCはSOC目標値である70%と一致している状態を想定しているため、SOCを補正するためのSOC補正電力指令PBH1、PBH2、PBH3は0(MW)である。時間2(hour)以前においては、図9(e)に示すようにPGT1,PGT2,PGT3が流入電力検出値PW1、PW2、PW3にそれぞれ一致する。これは各風力発電装置1−1,1−2,1−3において、発電機側変換器から流入する電力と系統側変換器から流出する電力が一致することになり、各二次電池1−1−10,1−2−10,1−3−10への電力の入出力は無くなる。このようにして本発明の風力発電所は複数の風力発電装置の平滑化効果を利用して、風力発電装置の直流部に接続した各二次電池1−1−10,1−2−10,1−3−10の充放電量を低減し、結果的に各二次電池1−1−10,1−2−10,1−3−10で発生する損失を低減している。なお図9の時間2(hour)以降では発電所全体の図9(b)に示すように総発電電力PWが時間的に変動するため、変動緩和のための充放電電力が必要となり、図9(d)に示すように各蓄電池1−1−10,1−2−10,1−3−10において電力の入出力が発生する。
【0035】
本発明の風力発電所においては、各構成要素を通過する電力の流れや、各二次電池1−1−10,1−2−10,1−3−10の状態量を監視する必要がある。これは発電所の運用が正常であるかを確認し、また各二次電池1−1−10,1−2−10,1−3−10の動作が正常か否かを確認することで、発電所を構成する装置の故障の早期発見や、事故を未然に防止するためである。発電所の監視は視覚的に実施することで、発電所の異常事態をより確実に発見し易くなる。本目的のため本発明の風力発電所は発電所を視覚的に表示する表示装置5を持つ。表示装置5の具体例を図10に示す。図10に示した表示装置5は風力発電所内の建屋の内部に設置された液晶モニタ等に表示する。表示装置5には風力発電所を構成する各風力発電装置1−1,1−2,1−3を図示し、各構成要素に流れる電力を表示する。電力の表示は視覚的に分かり易い物が好ましく、図10に示した表示装置5においては、矢印の形で電力の流れを表している。例えば表示装置5中の矢印5−1は、風力発電装置1−1の系統側変換器に流入する電力の大きさと向きを示しており、それぞれ矢印の長さが電力の大きさを、矢印の向きが電力の流れる向きを示している。二次電池1−1−10の充放電電力を表す矢印5−3、および系統側変換器1−1−8の出力する電力を表す矢印5−4も、それぞれ矢印の長さが電力の大きさを、矢印の向きが電力の流れる向きを示す点は同じである。また二次電池を模式的に表した5−2は、二次電池1−1−10のSOC(あるいは蓄積したエネルギー量)を塗り潰し部分の面積で表示したものである。図10に示す表示装置5を備えることで、極端な大きさ電力の流れが発生している場合であっても視覚的に比較的容易に発見でき、風力発電所を構成する機器の故障の早期発見に繋がることができる。またコントローラ4の故障により制御に不具合が発生すると、二次電池1−1−10,1−2−10,1−3−10の各SOC値が大きくばらつく状況が発生する。各SOC値が大きくばらつく状況が発生した場合、表示装置5から各二次電池1−1−10,1−2−10,1−3−10のSOCのばらつきを容易に発見でき、コントローラ4の故障の早期発見に繋がる。なお、電力の流れを表す記号は必ずしも矢印である必要はなく、アナログメータを模式的に表現した記号等、視覚的に電力の大きさと流れる向きを表す記号であれば、同様な効果が得られる。二次電池のSOCを表す方法も、必ずしも塗り潰しの面積で表現する必要はなく、アナログメータを模式的に表現した記号や、色の濃淡等で表現しても、本発明の効果は実現できる。また図10に示した表示装置は必ずしも発電所の中、あるいは近傍に設置される必要はなく、無線あるいは有線の信号伝達手段により、遠隔地に設置した表示装置に図10に示したような表示内容を表示しても、同様な効果が得られる。
【0036】
なお本実施例においては発電所出力目標値PSysTを演算する方法として、図6に示したように一次遅れを利用した方式について説明した。しかしながら発電所出力目標値PSysTを演算する際に発電所の総発電電力PWの変動を緩和する別の演算器を用いても、本発明の効果は実現できる。例えば発電所出力目標値演算器として図11に示す発電所出力目標値演算器4−2aを用いても、本発明の効果が得られる。図11に示した発電所出力目標値演算器4−2aは、風力発電装置発電電力PWに対して出力可能な上限値と下限値を設け、上下限で制限した値を発電所出力目標値PSysTとして演算する。上限値と下限値は過去に測定した合成電力PSysから演算する。所定の期間(例えば19分間)前から、現在の時刻までの、風力発電装置の出力電力PSysの出力変動幅から、次の制御期間(例えば1分間)におけるPSysの出力可能範囲(上限値と下限値)を設定する。例えば、所定の期間の過去におけるPSysの最小値に10%を加えたものを上限値に設定し、所定の期間の過去におけるPSysの最大値から10%を減算した値を下限値に設定する。なお発電所出力目標値演算器4−2aにおけるこの上限値および下限値の演算方法は、本発明者等が以前に提案した特開2009−079559号公報においてより詳細に説明されている。
【0037】
また発電所出力目標値PSysTを演算する別の演算方法について、図12,図13を用いて説明する。図12は図5,図11とは異なる変動緩和を目的とした風力発電所のコントローラ4bの構成を示した図である。図12を構成する要素のうち、番号が図5と同一ものは図5に記載した機器と同一の構成要素を表すため、説明は省略する。図12のコントローラ4bと図5との違いは、発電所出力目標値演算器4−2bが、風力発電所の発電電力予測値PPrdを利用する点である。発電電力予測値PPrdは図示していないが発電電力予測事業者等から受信するデータであり、数時間先までの未来における発電所の出力電力PSysの予測値である。発電電力予測事業者は、過去の気象データ、地形データ、風力発電所の現在の運転状況、風力発電所の過去の運転データから、未来における発電電力PPrdを予測する。
【0038】
発電所出力目標値演算器4−2bの具体的な動作について図13を用いて説明する。図12,図13に示した風力発電所の目的は、その出力電力PSysを所定の期間一定することで、その発電電力の変動を減少させることである。図12,図13の例では、30分間の発電電力出力を一定にする条件について説明している。図13に示すように発電所出力目標値演算器4−2bは発電電力の予測値PPrdから、未来における30分間の発電電力の平均値を演算する。発電所出力目標値演算器4−2bはこの発電電力の予測値PPrdを発電所出力電力PSysの発電所出力目標値PSysTとする。風力発電所がその発電電力PSysを発電所出力目標値PSysTに追従するように運転する方法については、図1から図10を用いて説明した方法と同一であるので、説明は省略する。図12,図13に示したように発電所の出力電力PSysを所定期間一定にする運転方法であっても、本発明の効果は実現できる。また発電所出力目標値PSysTを演算する際、他の演算器を用いて変動緩和後の発電所出力目標値PSysTを演算しても、本発明の効果は実現できる。
【0039】
本発明の第2の実施形態について図14から図19を用いて説明する。本実施例も、自然エネルギー利用発電装置として風力発電装置を用いた風力発電所に本発明を適用したものである。
【0040】
図14から図19に示す風力発電所の構成要素の内、実施例1に示した構成要素と番号が同一のものは同一の構成要素を表すため、説明は省略する。本実施例の第1の実施例との違いは、コントローラ4dが、系統側変換器がすべき充放電電力の補正量である系統側変換器電力補正指令PGHT1,PGHT2,PGHT3を送信する点である。
【0041】
図15を用いて本実施例のコントローラ4dの構成と動作について説明する。コントローラ4dが発電機側変換器の流入電力検出値PW1,PW2,PW3,発電所の出力電力検出値PSys、二次電池1−1−10のSOC検出値SOC1,SOC2,SOC3、二次電池1−1−10の温度検出値BTe1,BTe2,BTe3から充放電電力指令中間値PBTb1,PBTb2,PBTb3を演算するまでの過程は、実施例1と同一である。本実施例のコントローラ4dは、制限器4−8で充放電電力指令中間値PBTb1,PBTb2,PBTb3を制限した値を、系統側変換器電力補正指令PGHT1,PGHT2,PGHT3として各風力発電装置1−1d,1−2d,・,1−ndに送信する。なお系統側変換器電力補正指令PGHT1,PGHT2,PGHT3は、各風力発電装置1−1d,1−2d,・,1−ndを構成する二次電池1−1−10,1−2−10,・,1−n−10が充放電すべき充放電電力を表す値である。
【0042】
次に図16を用いて各風力発電装置1−1d,1−2d,・,1−ndの構成と動作について説明する。図16は風力発電装置1−1dの構成を示した図であるが、他の各風力発電装置1−2d,・,1−ndの構成も同一である。風力発電装置1−1dの発電機側変換器1−1−7が、ブレード1−1−1の回転数が最も効率良く風のエネルギーを受ける回転数になるように発電機1−1−3の出力電力を調整する制御構成と動作は、実施例1と同一であるので説明は省略する。本実施例の風力発電装置1−1dは系統側変換器1−1−8の有効電力指令の演算方法が、実施例1と異なる。風力発電装置1−1dはコントローラ4dから受信した系統側変換器電力補正指令PGHT1と発電機側変換器1−1−7の有効電力指令を加算器1−1cd−11にて足し合わせた値を系統側変換器有効電力指令とし、この系統側変換器有効電力指令に追従するように系統側変換器1−1−8を動作させる。
【0043】
本実施例の風力発電所の動作は、実施例1に示した風力発電所と同一となる。つまり風力発電所は複数の風力発電装置の平滑化効果を利用して、風力発電装置の直流部に接続した各二次電池1−1−10,1−2−10,1−3−10の充放電量を低減し、結果的に各二次電池1−1−10,1−2−10,1−3−10で発生する損失を低減できる。
【0044】
また図16に示した風力発電装置1−1dの代わりに、図17に示す風力発電装置1−1eを利用しても、本発明の効果が得られる。図17の風力発電装置1−1eは、系統側変換器有効電力指令を演算する際、コントローラ4dから受信した系統側変換器電力補正指令PGHT1に発電機側変換器1−1−7に流入する電力である流入電力検出値を加える。図17に示した風力発電装置1−1eの構成であっても、本実施例の風力発電所の効果を実現できる。
【0045】
また図16に示した風力発電装置1−1dの代わりに、図18に示す風力発電装置1−1fを利用しても、本発明の効果が得られる。図18に示した風力発電装置1−1fの図16との違いは、風力発電装置1−1fが受信した系統側変換器電力補正指令PGHT1に従って、系統側変換器1−1−8が直流電圧を制御する点である。風力発電装置1−1fは充放電電力演算器1−1cf−9に従って二次電池1−1−10に流入あるいは流出する充放電電力値を演算する。風力発電装置1−1fは演算した充放電電力値と系統側変換器電力補正指令PGHT1に従って、電力制御器1−1cf−10によって直流電圧指令を演算する。電力制御器1−1cf−10,直流電圧制御器1−cf−11について、図19を用いて詳細に説明する。風力発電装置1−1fは電圧検出器1−1−12によって検出した二次電池1−1−10の直流電圧値および電流検出器1−1−11によって検出した二次電池の入出力電流値IBから、充放電電力演算器1−1cf−9において二次電池が充放電している充放電電力値を演算する。風力発電装置1−1fは電力制御器1−1cf−10を構成する減算器1−1f−10−1により、受信した系統側変換器電力補正指令PGHT1と演算した充放電電力の差分を求め、差分値を比例演算器1−1cf−10−2および積分演算器1−1cf−10−3において、それぞれ比例演算、積分演算を実施し、さらに加算器1−1cf−10−4で加算することで直流電圧指令を演算する。なお電力制御器1−1cf−10は、受信した系統側変換器電力補正指令PGHT1より充放電電力が放電側に有る場合は、直流電圧指令を増加させるように演算する。また電力制御器1−1cf−10は、系統側変換器電力補正指令PGHT1より充放電電力が充電側に有る場合は、直流電圧指令を減少させるように演算する。これは二次電池1−1−10が直流電圧を増加させると、より充電方向にその充放電電力が増加し、逆に直流電圧を減少させると、より放電方向に充放電電力が増加する性質を利用している。風力発電装置1−1fは直流電圧制御器1−1cf−11において、演算した直流電圧指令と直流電圧の実測値の差分を減算器1−1cf−11−1によって演算する。さらに差分値を比例演算器1−1cf−11−2および積分器1−1cf−11−3でそれぞれ比例演算、積分演算し、さらに加算器1−1cf−11−4において加算することで系統側変換器1−1−8の有効電流指令を演算する。以上に示したように系統側変換器1−1−8が直流電圧を制御しても、本発明の効果は実現できる。
【0046】
本発明の第3の実施形態について図20から図22を用いて説明する。本実施例も、自然エネルギー利用発電装置として風力発電装置を用いた風力発電所に本発明を適用したものである。
【0047】
図20から図22に示す風力発電所の構成要素の中で、実施例1に示した構成要素と番号が同一のものは同一の構成要素を表すため、説明は省略する。本実施例の第1の実施例との違いは、風力発電装置1−1g,1−2g,・,1−ngを構成する発電機1−1−3gとして二次励磁型発電機を用いる点である。二次励磁発電機を用いた風力発電装置は、実施例1に示した永久磁石発電機や誘導発電機を用いた風力発電装置とは機器構成が異なるため、本発明を適用する風力発電所の構成や運転方法が実施例1,2とは異なる点がある。
【0048】
図20は第3実施例の風力発電所の全体を表した図である。本実施例の風力発電所は二次励磁発電機1−1−3g,1−2−3g,・,1−n−3gを使用するため、二次励磁発電機1−1−3g,1−2−3g,・,1−n−3gの回転子に発電機側変換器1−1−7g,1−2−7g,・,1−n−7gがそれぞれ電気的に接続する。また系統側変換器1−1−3g,1−2−3g,・,1−n−3gは電力系統3に変圧器1−1−15,1−2−15,・,1−n−15を介して電気的に接続する一方で、二次励磁発電機1−1−3g,1−2−3g,・,1−n−3gの固定子にもそれぞれ接続する。なお回転子に発電機側変換器1−1−7g,1−2−7g,・,1−n−7gと系統側変換器1−1−3g,1−2−3g,・,1−n−3gとを接続する直流部に二次電池1−1−10が接続する点は、実施例1、実施例2で説明した風力発電装置と同一である。
【0049】
風力発電装置1−1gの構成と動作について図21を用いて詳細に説明する。なお図21に示していない他の風力発電装置1−2g,・,1−ngについても構成と動作は図21と同一である。二次励磁発電機1−1−3gは回転子、固定子の両方から有効電力・無効電力を供給することが可能である。このため二次励磁発電機1−1−3gは回転子、固定子それぞれから出力される電力を測定する必要がある。回転子側については、電圧検出器1−1−6および電流検出器1−1−5で検出したそれぞれの3相の交流電力、直流電流から、有効・無効電力演算器1−1c−2において有効・無効電力を演算する。なお演算結果の回転子側有効電力について、説明のため図21中でPR1と記載する。同様に固定子側については電圧検出器1−1−17および電流検出器1−1−18で検出したそれぞれの3相の交流電力、直流電流を検出し、有効・無効電力演算器1−1c−11において有効・無効電力を演算する。図21中では説明のため固定子側演算器をPS1として記載する。二次励磁発電機1−1−3gから出力される総合の有効電力である発電機有効電力出力PW1は、回転子側有効電力PR1および固定子側有効電力PS1を加算器1−1c−12で加算することで演算する。発電機側変換器1−1−3gは演算した発電機有効電力出力PW1と有効電力指令演算器1−1c−1を元に、二次励磁発電機1−1−3gからの出力電力を制御する。有効電力指令演算器1−1c−1で演算する有効電力指令は風力発電装置1−1のブレード1−1−1の回転数が、最も効率良く風のエネルギーを受ける回転数になるように調整する。なお発電機側変換器1−1−7gの制御方法については従来技術と同一であるので、詳細な説明は省略する。また発電機側変換器1−1−7gの制御方法が従来技術であるトルク制御であっても本発明の効果は実現できる。風力発電装置1−1gはコントローラ4gに対して回転子側有効電力PR1および発電機有効電力出力PW1をコントローラ4gに送信する。風力発電機1−1gを構成する系統側変換器1−1−8gの制御方法および動作は実施例1と同一であるので説明は省略する。
【0050】
次に図22を用いて本発明の風力発電所を構成するコントローラ4gの構成と動作について説明する。コントローラ4gの構成と動作は実施例1の図5に示したコントローラ4と基本的な構成と動作が同一であるが、回転子側有効電力PR1,PR2,・,PRnを利用する点が実施例1とは異なる。コントローラ4gは加算器4−9gにおいて、新しい充放電電力指令中間値PBTc1,PBTc2,PBTc3にそれぞれ回転子側有効電力PR1,PR2,PR3を加算することで、系統側変換器電力指令値PGT1,PGT2,PGT3を演算する。これは実施例1と異なり、風力発電装置1−1g,・,1−ngの直流部に流入する電力が回転子側有効電力PR1、PR2、PR3だからである。
【0051】
図20から図22に示した構成と動作をすることで、二次励磁発電機1−1−3g,1−2−3g,・,1−n−3gを用いた場合であっても本発明の効果を実現できる。なお図示していないが、実施例2で説明したように系統側変換器電力指令値PGT1,PGT2,PGT3を利用する代わりに系統側変換器電力補正指令PGHT1,PGHT2,PGHT3を利用する場合であっても、本発明の効果は実現できる。また、実施例2で説明したように系統側変換器1−1−3g,1−2−3g,・,1−n−3gが電圧を制御しても、本発明の効果は実現できる。
【0052】
本発明の第4の実施例について図23から図26を用いて説明する。
【0053】
第4の実施例は自然エネルギー発電装置として太陽光発電装置を利用した太陽光発電所に、本発明を適用した例である。図23から図26に示す風力発電所の構成要素の内、実施例1、実施例2、実施例3に示した構成要素と番号が同一のものは同一の構成要素を表すため、説明は省略する。図23は本実施例の太陽光発電所の全体構成を示した図である。本実施例の太陽光発電所は、複数の太陽光発電装置6−1,6−2,・,6−n,コントローラ7,表示装置8,電力検出器2で構成する。太陽光発電装置6−1,6−2,・,6−n(nは太陽項発電装置の数)はそれぞれ太陽光パネル6−1−1,6−1−2,・,6−n−1を持ち、太陽の光エネルギーを電気エネルギーに変換する。電気エネルギーはDC・DC変換器6−1−7,6−2−7,・,6−n−7,系統側変換器6−1−8,6−2−8,・,6−n−8,連系変圧器6−1−15,6−2−15,・,6−n−15を介して電力系統3に発電電力を送電する。DC・DC変換器6−1−7,6−2−7,・,6−n−7と系統側変換器6−1−8,6−2−8,・,6−n−8の中間部にはそれぞれ直流で電力を送電する部分があり、この直流部に二次電池6−1−10,6−2−10,・,6−n−10を接続する。
【0054】
太陽光発電装置6−1の構成と動作について図24を用いて詳細に説明する。なお図示していない他の太陽光発電装置6−2,・,6−nの構成と動作は太陽光発電装置6−1と同一である。太陽光発電装置6−1はPVコントローラ6−1cで、発電装置を制御する。太陽光発電装置6−1は電圧検出器6−1−5と電流検出器6−1−6で、それぞれ太陽光パネルの電圧、電流を測定する。PVコントローラ6−1cの最大電力追従演算器6−1c−5は、太陽光パネルの電力変換効率が最大になるように直流電圧指令を演算する。DC・DC変換器6−1−7は電圧制御器6−1c−4、パルス幅変調パルス発生器6−1c−3を経て、太陽光パネル6−1−1の直流電圧が直流電圧指令に一致するように電圧制御する。本実施例の太陽光発電装置6−1は、DC・DC変換器6−1−7の制御により、太陽光パネル6−1−1の電力変換効率が最大になるように動作する。なお最大電力追従(MPPT)制御の方式には従来知られている技術がいくつかあるが、いずれの方式を適用しても本発明の効果は実現できる。またDC・DC変換器6−1−7が最大電力追従制御を行う方式を説明したが、DC・DC変換器6−1−7が例えば直流電圧一定制御など、他の制御方式を実施しても本発明の効果は実現可能である。本発明の太陽光発電装置6−1は電圧検出器6−1−5と電流検出器6−1−6で検出した電圧、電流の測定値を用いて、PVコントローラ6−1cの有効電力演算器6−1c−1にて太陽光パネル6−1−1の発電電力PPV1を測定し、コントローラ7に送信する。
【0055】
DC・DC変換器6−1−7は太陽光パネル6−1−1の直流電圧か、電流、あるいは電力を制御する機能を持つ。DC・DC変換器6−1−7の具体例を示したものが図25である。図25はDC・DC変換器6−1−7が昇圧チョッパーの例を示したものである。図25に示したDC・DC変換器6−1−7である昇圧チョッパーは直流コンデンサ6−1−7−1,6−1−7−5,リアクトル6−1−7−2,IGBT6−1−7−3,ダイオード6−1−7−4などで構成し、太陽光パネル6−1−1の直流電圧を制御することが可能である。なおDC・DC変換器6−1−7としては、図25に示した昇圧チョッパーの他に、従来知られている降圧チョッパーや高周波リンクDC・DC変換器など、太陽光パネル6−1−1の直流電圧か、電流、あるいは電力を制御できる機能を有している変換器であれば、本発明の効果は実現できる。
【0056】
本発明の太陽光発電所は、図24に示すように直流部に二次電池6−1−11を持つ。二次電池6−1−11に流入する電流は、電流検出器6−1−11で計測され、また二次電池6−1−11の直流電圧は6−1−12で測定される。測定した電圧、電流をもとにSOC演算器6−1c−6で二次電池6−1−11の充電率を測定する。さらに二次電池6−1−1の温度は温度検出器6−1−16を用いて測定される。検出した充電率や温度はコントローラ7に送信する。二次電池6−1−11の状態の検出方法やコントローラ7に送信する構成は、実施例1、実施例2、実施例3で示した風力発電装置の直流部に接続した二次電池と同一である。
【0057】
図24を用いて系統側変換器6−1−8の動作について説明する。系統側変換器6−1−8はPVコントローラ6−1cからのゲートパルス信号に従って電力制御を実施する。具体的にはコントローラ7から受信した系統側変換器電力指令PGT1に追従するように、系統側変換器6−1−8が電力を制御する。系統側変換器の動作方法については、実施例1、実施例2、実施例3で示した風力発電装置の系統側変換器の動作と同一である。
【0058】
本発明の太陽光発電所を構成するコントローラ7の構成と動作を、図26を用いて説明する。コントローラ7の構成と動作は、実施例1において図5で説明した風力発電所のコントローラ4における各風力発電装置の発電電力PW1,PW2,PW3を、太陽光発電装置6−2,・,6−nの各太陽光パネル出力電力PPV1,PPV2,PPV3に置き換えたのみで、その他の動作と構成は同一である。
【0059】
以上で説明したように、本発明の太陽光発電所は、実施例1,実施例2,実施例3で説明した風力発電所において発電機を太陽光パネルに、発電機側変換機をDC・DC変換器に置き換えたのみで、その他の構成や動作は同一である。以上で説明した構成をとることで、本発明の太陽光発電所は複数の太陽光発電装置6−2,・,6−nの平滑化効果を利用することが可能となり、変動緩和に必要な二次電池6−1−11の充放電電力量が低減され、結果的に二次電池6−1−11で発生する損失が低減できる。
【0060】
また本発明の風力発電装置は、図27に示すような表示装置8を持つことが望ましい。表示装置8は発電所内の電力の流れが視覚的に判断できるように図示する機能を持つ。表示装置8の詳細は、実施例1で説明した風力発電所の表示装置(図10)の風力発電装置の記号を太陽光パネルの記号に置き換えたのみで、その他の動作は同一である。
【符号の説明】
【0061】
1−1,1−2,・,1−n,1−1d,1−2d,・,1−dn,1−1f,1−1g,1−2g,・,1−ng 風力発電装置
1−1−1 ブレード
1−1−2 増速器
1−1−3 発電機
1−1−4 風速計
1−1−5,1−1−12,1−1−14,1−1−17,6−1−5 電圧検出器
1−1−6,1−1−11,1−1−13,1−1−18,6−1−6 電流検出器
1−1−7 発電機側変換器
1−1−7−1,1−1−8−3,6−1−7−1,6−1−7−5 コンデンサ
1−1−7−2,1−1−8−2,1−1−8−4,6−1−7−2 リアクトル
1−1−7−3,1−1−8−1,6−1−7−3 IGBT
1−1−8,1−2−8,・,1−n−8,1−1−8g,1−2−8g,・,1−n―8g,6−1−8,6−2−8,・,6−n−8 系統側変換器
1−1−9 直流コンデンサ
1−1−10,6−1−10,6−2−10,・,6−n−10 二次電池
1−1−15,6−1−15,6−2−15,・,6−n−15 連系変圧器
1−1−16 温度検出器
1−1c,1−1cd,1−1cf 風車コントローラ
1−1c−1 有効電力指令演算器
1−1c−2,1−1c−10,1−1c−11,6−1c−10 有効・無効電力演算器
1−1c−3,1−1c−7,6−1c−3,6−1c−7 パルス幅変調パルス発生器
1−1c−4,1−1c−8,6−1c−8 電流制御器
1−1c−5,1−1c−9,1−1cf−10,6−1c−9 電力制御器
1−1c−6,6−1c−6 SOC演算器
1−1cf−9 充放電電力演算器
1−1cf−10−1,1−1cf−11−1,4−4 減算器
1−1cf−10−2,1−1cf−11−2 比例演算器
1−1cf−10−3,1−1cf−11−3 積分演算器
1−1cf−10−4,1−1cd−11,1−1ce−11,1−1cf−11−4,1−1c−12,4−1,4−7,4−9,4−9g 加算器
1−1cf−11 直流電圧制御器
2 電力検出器
3 電力系統
4,4g,7 コントローラ
4−2,4−2a 発電所出力目標値演算木
4−3 SOC補正電力演算器
4−5 除算器
4−6 充放電可能範囲演算器
4−6−1,4−6−2,4−6−3 充放電可能範囲マップデータ
4−8 制限器
5,5g,8 表示装置
5−1,8−1 発電機側変換器に流入する電力を表す記号
5−2,8−2 二次電池の充電率を表す記号
5−3 ,8−3 二次電池の充放電電力を表す記号
5−4,8−4 系統側変換器の出力電力を表す記号
5−5,8−5 発電所の総出力電力を表す記号
6−1,6−2,・,6−n 太陽光発電装置
6−1c PVコントローラ
6−1−c−1 有効電力制御
6−1c−4 電圧制御器
6−1c−5 最大電力追従演算器
6−1−1,6−2−1,・,6−n−1 太陽光パネル
6−1−7,6−2−7,・,6−n−7 DC・DC変換器
6−1−7−4 ダイオード
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の風力発電装置とコントローラによって構成する風力発電所であって、
前記複数の風力発電装置の各々は、風のエネルギーによって回転する風車と、前記風車の回転エネルギーを交流電力に変換する発電機と、前記交流電力を直流電力に変換する発電機側変換器と、前記直流電力を商用周波数の交流電力に変換して電力系統に供給する系統側変換器と、前記発電機側変換器と系統側変換器との間に接続され前記直流電力を充電及び放電する蓄電装置を備え、
前記風力発電所は、前記複数の発電機側変換器の物理量と前記蓄電装置の物理量を測定する手段を有し、
前記コントローラは、前記測定した物理量から前記系統側変換器が充放電すべき電力指令かあるいは前記系統側変換器の電力補正指令を演算して前記各系統側変換器に伝達し、
前記各系統側変換器は、前記個々の電力指令あるいは電力補正指令に応じて前記各系統側変換器が入出力する電力かあるいは直流電圧を制御することを特徴とする蓄電装置を備えた風力発電所。
【請求項2】
複数の風力発電装置とコントローラによって構成した風力発電所であって、
前記複数の風力発電装置は、各々、風のエネルギーによって回転する風車と、前記風車の回転エネルギーを交流電力に変換する発電機と、前記交流電力を直流電力に変換する発電機側変換器と、前記直流電力を商用周波数の交流電力に変換して電力系統に供給する系統側変換器と、前記発電機側変換器と前記系統側変換器との間の直流部に接続され直流電力を充電及び放電する蓄電装置を備え、
前記風力発電所は、個々の前記発電機から前記発電機側変換器に流入する流入発電電力を各々検出する検出装置と、個々の前記蓄電装置が蓄積したエネルギー量あるいは蓄積したエネルギー量に相当する物理量を検出する検出装置を有し、
前記コントローラは、前記流入電力検出値と前記蓄積エネルギー量あるいは蓄積エネルギー量に相当する物理量から個々の前記系統側変換器が充放電すべき電力指令又は前記系統側変換器の電力補正指令を演算して個々の前記系統側変換器に出力し、
個々の前記系統側変換器は、前記電力指令又は前記電力補正指令に応じて前記系統側変換器が入出力する電力又は直流電圧を制御することを特徴とする蓄電装置を備えた風力発電所。
【請求項3】
請求項2において、前記風力発電所は、前記風力発電所が電力系統に接続する地点において前記風力発電所が出力する総出力電力値を検出する検出装置を備え、前記コントローラは、前記総出力電力値と前記流入電力検出値と前記蓄積エネルギー量あるいは蓄積エネルギー量に相当する物理量から個々の前記系統側変換器が充放電すべき電力指令又は前記系統側変換器の電力補正指令を演算して個々の前記系統側変換器に出力することを特徴とする蓄電装置を備えた風力発電所。
【請求項4】
複数の風力発電装置とコントローラによって構成する風力発電所であって、
前記複数の風力発電装置の各々は、風のエネルギーによって回転する風車と、前記風車の回転エネルギーを交流電力に変換する二次励磁発電機と、前記二次励磁発電機の回転子に接続された発電機側変換器と、前記二次励磁発電機の固定子に接続された系統側変換器と、前記発電機側変換器と系統側変換器との間に接続され、直流電力を充電及び放電する蓄電装置を備え、
前記風力発電所は、前記複数の発電機側変換器の物理量と前記蓄電装置の物理量を測定する手段とを有し、
前記コントローラは、前記測定した物理量から前記系統側変換器が充放電すべき電力指令かあるいは前記系統側変換器の電力補正指令を演算して前記各系統側変換器に伝達し、
前記各系統側変換器は、前記個々の電力指令あるいは電力補正指令に応じて前記各系統側変換器が入出力する電力かあるいは直流電圧を制御することを特徴とする蓄電装置を備えた風力発電所。
【請求項5】
請求項1または請求項4において、前記測定した物理量は個々の前記発電機から発電機側変換器に流入する流入発電電力と個々の前記蓄電装置が蓄積したエネルギー量あるいは蓄積したエネルギー量に相当する物理量であることを特徴とする蓄電装置を備えた風力発電所。
【請求項6】
請求項5において、前記測定した物理量はさらに前記蓄電装置の温度を含むことを特徴とする蓄電装置を備えた風力発電所。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れかにおいて、前記風力発電所はさらに表示装置を持ち、前記表示装置は個々の前記発電機から前記発電機側変換器に流入する発電電力値と前記個々の系統側変換器の充放電電力値と前記蓄電装置の蓄積したエネルギー量あるい蓄積したエネルギー量に相当する物理量を表示する機能を有することを特徴とする蓄電装置を備えた風力発電所。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れかにおいて、前記蓄積したエネルギー量に相当する物理量は、前記蓄電装置を構成する二次電池の充電率、前記二次電池の直流電圧、または前記二次電池の内部抵抗、若しくはこれらの組合せであることを特徴とする蓄電装置を備えた風力発電所。
【請求項9】
請求項1,2,4乃至8の何れかにおいて、前記風力発電所が電力系統に接続する地点において前記風力発電所が出力する総出力電力値を検出する検出装置を備え、前記コントローラは、前記検出した総出力電力値から総出力電力目標値を演算する手段と、個々の前記発電機から前記発電機側変換器に流入する発電電力である流入電力検出値を加算して総発電電力値を演算する加算手段と、前記演算した総出力電力目標値から前記演算した総発電電力値を減算することで総充放電電力指令値を演算する減算器と、前記総充放電電力指令値を分配して各風力発電装置が充放電すべき充放電電力指令を演算する分配器と、前記各風力発電装置の充放電電力指令に前記各流入電力検出値をおのおの加算することで前記電力指令を演算する電力指令演算手段を有し、前記各系統側変換器は、前記各電力指令に追従するように電力制御する手段を有することを特徴とする蓄電装置を備えた風力発電所。
【請求項10】
請求項1,2,4乃至8の何れかにおいて、前記風力発電所が電力系統に接続する地点において前記風力発電所が出力する総出力電力値を検出する検出装置を備え、前記コントローラは、前記検出した総出力電力値から総出力電力目標値を演算する手段と、個々の前記発電機から前記発電機側変換器に流入する発電電力である流入電力検出値を加算して総発電電力値を演算する加算手段と、前記演算した総出力電力目標値から前記演算した総発電電力値を減算することで総充放電電力指令値を演算する減算器と、前記総充放電電力指令値を分配して各風力発電装置の電力補正指令を演算する電力補正指令演算手段を有し、前記各系統側変換器は、前記各発電機側変換器の流入電力目標値かあるいは前記各発電機側変換器の前記各流入電力検出値に前記各電力補正指令を加算した値に追従するように前記系統側変換器が電力かあるいは直流電圧を制御する手段を有することを特徴とする蓄電装置を備えた風力発電所。
【請求項11】
請求項1,2,4乃至8の何れかにおいて、前記風力発電所が電力系統に接続する地点において前記風力発電所が出力する総出力電力値を検出する検出装置を備え、前記コントローラは、前記検出した総出力電力値から総出力電力目標値を演算する手段と、個々の前記発電機から前記発電機側変換器に流入する発電電力である流入電力検出値を加算して総発電電力値を演算する加算手段と、前記演算した総出力電力目標値から前記演算した総発電電力値を減算することで総充放電電力指令値を演算する減算器と、前記総充放電電力指令値を分配して各風力発電装置の電力補正指令を演算する電力補正指令演算手段を有し、前記風力発電装置は、前記各蓄電装置の充放電電力を検出する手段を備え、前記各系統側変換器は、前記検出した各蓄電装置の充放電電力が各前記電力補正指令に追従するように前記系統側変換器が電力かあるいは直流電圧を制御する手段を有することを特徴とする蓄電装置を備えた風力発電所。
【請求項12】
複数の風力発電装置とコントローラによって構成する風力発電所の運用方法であって、
前記複数の風力発電装置の各々は、風のエネルギーによって回転する風車と、前記風車の回転エネルギーを交流電力に変換する発電機と、前記交流電力を直流電力に変換する発電機側変換器と、前記直流電力を商用周波数の交流電力に変換して電力系統に供給する系統側変換器と、前記発電機側変換器と系統側変換器との間に接続され前記直流電力を充電及び放電する蓄電装置を備え、
前記複数の風力発電装置を構成する前記蓄電装置のうち変動緩和のための充放電運転をする前記蓄電装置は、全て充電状態にあるか、あるいは全て放電状態にあるか、あるいは全て充放電電力が無い状態であるかの、いずれかの状態にあり、かつ前記複数の風力発電装置の前記系統側変換器の出力電力は、各々を構成する前記発電機の発電電力と前記蓄電装置の充放電電力に応じて各々充電運転の状態かあるいは放電運転の状態かあるいは充放電が無い状態となる蓄電装置を備えた風力発電所の運用方法。
【請求項13】
請求項12において、前記複数の風力発電装置を構成する前記蓄電装置のうち変動緩和のための充放電運転をする前記蓄電装置は、全て同一の充放電電力を充放電する運転状態にあり、かつ前記複数の風力発電装置の前記系統側変換器の出力電力は、各々を構成する前記発電機の発電電力と前記蓄電装置の充放電電力に応じて各々充電方向あるいは放電方向の出力電力となる蓄電装置を備えた風力発電所の運用方法。
【請求項14】
請求項1乃至3,5乃至11の何れかにおいて、前記風力発電所は太陽光発電所であり、前記複数の風力発電装置は複数の太陽光発電装置であり、前記発電機は太陽の光エネルギーを直流電力に変換する太陽光パネルであり、前記発電機側変換器はDC・DC変換器である蓄電装置を備えた太陽光発電所。
【請求項1】
複数の風力発電装置とコントローラによって構成する風力発電所であって、
前記複数の風力発電装置の各々は、風のエネルギーによって回転する風車と、前記風車の回転エネルギーを交流電力に変換する発電機と、前記交流電力を直流電力に変換する発電機側変換器と、前記直流電力を商用周波数の交流電力に変換して電力系統に供給する系統側変換器と、前記発電機側変換器と系統側変換器との間に接続され前記直流電力を充電及び放電する蓄電装置を備え、
前記風力発電所は、前記複数の発電機側変換器の物理量と前記蓄電装置の物理量を測定する手段を有し、
前記コントローラは、前記測定した物理量から前記系統側変換器が充放電すべき電力指令かあるいは前記系統側変換器の電力補正指令を演算して前記各系統側変換器に伝達し、
前記各系統側変換器は、前記個々の電力指令あるいは電力補正指令に応じて前記各系統側変換器が入出力する電力かあるいは直流電圧を制御することを特徴とする蓄電装置を備えた風力発電所。
【請求項2】
複数の風力発電装置とコントローラによって構成した風力発電所であって、
前記複数の風力発電装置は、各々、風のエネルギーによって回転する風車と、前記風車の回転エネルギーを交流電力に変換する発電機と、前記交流電力を直流電力に変換する発電機側変換器と、前記直流電力を商用周波数の交流電力に変換して電力系統に供給する系統側変換器と、前記発電機側変換器と前記系統側変換器との間の直流部に接続され直流電力を充電及び放電する蓄電装置を備え、
前記風力発電所は、個々の前記発電機から前記発電機側変換器に流入する流入発電電力を各々検出する検出装置と、個々の前記蓄電装置が蓄積したエネルギー量あるいは蓄積したエネルギー量に相当する物理量を検出する検出装置を有し、
前記コントローラは、前記流入電力検出値と前記蓄積エネルギー量あるいは蓄積エネルギー量に相当する物理量から個々の前記系統側変換器が充放電すべき電力指令又は前記系統側変換器の電力補正指令を演算して個々の前記系統側変換器に出力し、
個々の前記系統側変換器は、前記電力指令又は前記電力補正指令に応じて前記系統側変換器が入出力する電力又は直流電圧を制御することを特徴とする蓄電装置を備えた風力発電所。
【請求項3】
請求項2において、前記風力発電所は、前記風力発電所が電力系統に接続する地点において前記風力発電所が出力する総出力電力値を検出する検出装置を備え、前記コントローラは、前記総出力電力値と前記流入電力検出値と前記蓄積エネルギー量あるいは蓄積エネルギー量に相当する物理量から個々の前記系統側変換器が充放電すべき電力指令又は前記系統側変換器の電力補正指令を演算して個々の前記系統側変換器に出力することを特徴とする蓄電装置を備えた風力発電所。
【請求項4】
複数の風力発電装置とコントローラによって構成する風力発電所であって、
前記複数の風力発電装置の各々は、風のエネルギーによって回転する風車と、前記風車の回転エネルギーを交流電力に変換する二次励磁発電機と、前記二次励磁発電機の回転子に接続された発電機側変換器と、前記二次励磁発電機の固定子に接続された系統側変換器と、前記発電機側変換器と系統側変換器との間に接続され、直流電力を充電及び放電する蓄電装置を備え、
前記風力発電所は、前記複数の発電機側変換器の物理量と前記蓄電装置の物理量を測定する手段とを有し、
前記コントローラは、前記測定した物理量から前記系統側変換器が充放電すべき電力指令かあるいは前記系統側変換器の電力補正指令を演算して前記各系統側変換器に伝達し、
前記各系統側変換器は、前記個々の電力指令あるいは電力補正指令に応じて前記各系統側変換器が入出力する電力かあるいは直流電圧を制御することを特徴とする蓄電装置を備えた風力発電所。
【請求項5】
請求項1または請求項4において、前記測定した物理量は個々の前記発電機から発電機側変換器に流入する流入発電電力と個々の前記蓄電装置が蓄積したエネルギー量あるいは蓄積したエネルギー量に相当する物理量であることを特徴とする蓄電装置を備えた風力発電所。
【請求項6】
請求項5において、前記測定した物理量はさらに前記蓄電装置の温度を含むことを特徴とする蓄電装置を備えた風力発電所。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れかにおいて、前記風力発電所はさらに表示装置を持ち、前記表示装置は個々の前記発電機から前記発電機側変換器に流入する発電電力値と前記個々の系統側変換器の充放電電力値と前記蓄電装置の蓄積したエネルギー量あるい蓄積したエネルギー量に相当する物理量を表示する機能を有することを特徴とする蓄電装置を備えた風力発電所。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れかにおいて、前記蓄積したエネルギー量に相当する物理量は、前記蓄電装置を構成する二次電池の充電率、前記二次電池の直流電圧、または前記二次電池の内部抵抗、若しくはこれらの組合せであることを特徴とする蓄電装置を備えた風力発電所。
【請求項9】
請求項1,2,4乃至8の何れかにおいて、前記風力発電所が電力系統に接続する地点において前記風力発電所が出力する総出力電力値を検出する検出装置を備え、前記コントローラは、前記検出した総出力電力値から総出力電力目標値を演算する手段と、個々の前記発電機から前記発電機側変換器に流入する発電電力である流入電力検出値を加算して総発電電力値を演算する加算手段と、前記演算した総出力電力目標値から前記演算した総発電電力値を減算することで総充放電電力指令値を演算する減算器と、前記総充放電電力指令値を分配して各風力発電装置が充放電すべき充放電電力指令を演算する分配器と、前記各風力発電装置の充放電電力指令に前記各流入電力検出値をおのおの加算することで前記電力指令を演算する電力指令演算手段を有し、前記各系統側変換器は、前記各電力指令に追従するように電力制御する手段を有することを特徴とする蓄電装置を備えた風力発電所。
【請求項10】
請求項1,2,4乃至8の何れかにおいて、前記風力発電所が電力系統に接続する地点において前記風力発電所が出力する総出力電力値を検出する検出装置を備え、前記コントローラは、前記検出した総出力電力値から総出力電力目標値を演算する手段と、個々の前記発電機から前記発電機側変換器に流入する発電電力である流入電力検出値を加算して総発電電力値を演算する加算手段と、前記演算した総出力電力目標値から前記演算した総発電電力値を減算することで総充放電電力指令値を演算する減算器と、前記総充放電電力指令値を分配して各風力発電装置の電力補正指令を演算する電力補正指令演算手段を有し、前記各系統側変換器は、前記各発電機側変換器の流入電力目標値かあるいは前記各発電機側変換器の前記各流入電力検出値に前記各電力補正指令を加算した値に追従するように前記系統側変換器が電力かあるいは直流電圧を制御する手段を有することを特徴とする蓄電装置を備えた風力発電所。
【請求項11】
請求項1,2,4乃至8の何れかにおいて、前記風力発電所が電力系統に接続する地点において前記風力発電所が出力する総出力電力値を検出する検出装置を備え、前記コントローラは、前記検出した総出力電力値から総出力電力目標値を演算する手段と、個々の前記発電機から前記発電機側変換器に流入する発電電力である流入電力検出値を加算して総発電電力値を演算する加算手段と、前記演算した総出力電力目標値から前記演算した総発電電力値を減算することで総充放電電力指令値を演算する減算器と、前記総充放電電力指令値を分配して各風力発電装置の電力補正指令を演算する電力補正指令演算手段を有し、前記風力発電装置は、前記各蓄電装置の充放電電力を検出する手段を備え、前記各系統側変換器は、前記検出した各蓄電装置の充放電電力が各前記電力補正指令に追従するように前記系統側変換器が電力かあるいは直流電圧を制御する手段を有することを特徴とする蓄電装置を備えた風力発電所。
【請求項12】
複数の風力発電装置とコントローラによって構成する風力発電所の運用方法であって、
前記複数の風力発電装置の各々は、風のエネルギーによって回転する風車と、前記風車の回転エネルギーを交流電力に変換する発電機と、前記交流電力を直流電力に変換する発電機側変換器と、前記直流電力を商用周波数の交流電力に変換して電力系統に供給する系統側変換器と、前記発電機側変換器と系統側変換器との間に接続され前記直流電力を充電及び放電する蓄電装置を備え、
前記複数の風力発電装置を構成する前記蓄電装置のうち変動緩和のための充放電運転をする前記蓄電装置は、全て充電状態にあるか、あるいは全て放電状態にあるか、あるいは全て充放電電力が無い状態であるかの、いずれかの状態にあり、かつ前記複数の風力発電装置の前記系統側変換器の出力電力は、各々を構成する前記発電機の発電電力と前記蓄電装置の充放電電力に応じて各々充電運転の状態かあるいは放電運転の状態かあるいは充放電が無い状態となる蓄電装置を備えた風力発電所の運用方法。
【請求項13】
請求項12において、前記複数の風力発電装置を構成する前記蓄電装置のうち変動緩和のための充放電運転をする前記蓄電装置は、全て同一の充放電電力を充放電する運転状態にあり、かつ前記複数の風力発電装置の前記系統側変換器の出力電力は、各々を構成する前記発電機の発電電力と前記蓄電装置の充放電電力に応じて各々充電方向あるいは放電方向の出力電力となる蓄電装置を備えた風力発電所の運用方法。
【請求項14】
請求項1乃至3,5乃至11の何れかにおいて、前記風力発電所は太陽光発電所であり、前記複数の風力発電装置は複数の太陽光発電装置であり、前記発電機は太陽の光エネルギーを直流電力に変換する太陽光パネルであり、前記発電機側変換器はDC・DC変換器である蓄電装置を備えた太陽光発電所。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【公開番号】特開2012−75299(P2012−75299A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−220257(P2010−220257)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000233044)株式会社日立エンジニアリング・アンド・サービス (276)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000233044)株式会社日立エンジニアリング・アンド・サービス (276)
【Fターム(参考)】
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