説明

蓋で閉じられる容器本体を包むカバー付き食品包装材とその製造方法

【課題】容器内の食品を識別する要素を安価に容器に付設すること。
【解決手段】蓋(4)で閉じられる容器本体(3)を備えた食品用の容器(2)と、容器(2)を包み容器に接触して搭載するカバー(5,5')とを備え、蓋(4)が食品を識別する少なくとも1つの食品識別要素(6)で覆われ、食品特定要素(6)は、カバー(5,5')の少なくとも1つの所定形状の領域(S)を除去して形成されて蓋(4)の上に押し付けられることを特徴とする包装材(1,1')。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、蓋で閉じられる食品容器本体を有するタイプの容器と、容器を包み搭載する容器に接触するカバーとを備える包装材と、この包装材を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
蓋で閉じられる容器本体に食品を詰めて、例えば、熱封止や接着することによって、底,上面および少なくともその両側面で容器を包む厚紙製のカバーを設けることは、長い間に、よく知られた慣習である。例えば、特許文献1は、このようにして得られる包装材を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】英国特許第2284585号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
閉じられる容器を包むカバー付き包装材の大きい欠点は、蓋および/又は容器本体にラベルを貼り付ける作業によって、収納する食品の内容に応じて各容器を区別する必要性にあり、それは、容器の製造に比較的高いコストを要することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、蓋で閉じられる容器本体を備えた食品用の容器と、容器を包み容器に接触して搭載するカバーとを備え、蓋が食品を識別する少なくとも1つの食品識別要素で覆われ、その食品識別要素は、カバーの少なくとも1つの所定形状の領域を除去して形成されて蓋の上に押し付けられることを特徴とする包装材を提供するものである。
つまり、この発明は、上記課題を克服するために、蓋で閉じられる容器本体を備えたタイプの食品容器と、容器を包んで容器に接触して搭載するカバーとを備える包装材を提供するものである。
【0006】
また、この発明による包装材では、蓋が食品を識別する少なくとも1つの食品識別要素によって覆われ、その食品識別要素は所定の構造のカバーの少なくとも1つの領域を除去して形成され、蓋の上に押し付けられる。
【0007】
「容器本体」と「蓋」は、この明細書では、底と、場合によっては側壁(この容器本体は、食品を受け入れるベースやトレイの場合には側壁が不要である)とからなる食品用支持体と、この支持体用の封止手段を意味し、封止手段は実質的に平坦な蓋型のものやクローシュ(釣り鐘)形のものであってもよい。
【0008】
なお、この発明による包装材は、各食品を識別するためにカバー自体を使用してカバーの1つ以上の所定領域を、蓋、場合によっては、容器本体の側壁の位置で、容器の壁へ移動させることによって、最初は外観が「中立」である、つまり収容される予定の種々の食品を示す銘板やラベルのない容器を使用することができる。
【0009】
なお、容器は、カバーから生じる複数の個別の食品識別要素、又はこの容器に適用される商業用ラベルを形成するように設計された単一の食品識別要素で覆われることが可能である。
【0010】
容器は、対応する所定領域の位置でカバーを打ち抜くことによって蓋の上に押し付けられる単一の識別要素を有するカバーで覆われ、かつ、その所定領域がカバーの上面の実質的中央に位置することが好ましい。
【0011】
前記カバーの所定領域によって形成される識別要素は、容器本体に留められる蓋の周縁(リム)の内側で蓋の実質的全表面にわたって広がる、蓋用ラベルを形成することがさらに好ましく、蓋の周縁がこの識別要素が設置される周縁の肩に沿って等間隔に形成された複数の凹部を有することが好ましい。
【0012】
なお、これらの凹部によって、蓋の周縁に対して識別要素を位置決めすることが容易になる。
【0013】
この発明の他の特徴によれば、前記食品識別要素は、機械的手段又は付着手段によって蓋に取り付けられることが可能であり、前記食品識別要素には前記打ち抜き作業に先立って蓋に接着するための接着剤が予め塗布され、食品識別要素は容器に収容される食品を識別するラベルを形成する。
【0014】
この発明の他の特徴によれば、カバーの壁は、容器本体を受け入れる底と、2つの対向側面によって接続され前記所定領域の除去によって開放される上面とを備え、この壁はカバー内に容器(2)を固定するのに適している。
【0015】
この発明の他の特徴によれば、カバーの中に容器を保持する保持手段が都合よくカバーの壁に形成され、前記保持手段は、
蓋の内周縁(リム)の内部領域の封止又は接着により、カバーから除去された前記所定領域を取り囲む前記上面の内側の周辺領域において、および/又は、
底の2つの対向縁にそれぞれつながれて前記両側面を接続し、それぞれがカバーの内側へ折り曲げられたとき容器本体の側壁に嵌着するのに適した少なくとも2つの固定フラップにより前記底において、得られる。
【0016】
容器本体の側壁が回転対称であり、例えば、少なくとも一部が切頭円錐形であり、この場合、蓋が側壁に留められるタイプの円形であり、この場合、カバーが実質的に平行六面体構造を有し、前記保持手段が前記2つのフラップからなり、フラップの各自由端が容器本体の側壁の輪郭に嵌着するように円弧状に切り取られ、カバーの2つの側面に対して容器本体を固定すると好都合である。
【0017】
この発明の他の特徴によれば、カバーが折り曲げられ、底の一部の上に延びるシール材によりその底を覆うことによって密封された厚紙から作られ、容器が少なくとも1つのプラスチック(例えば、蓋と容器本体用の2つの異なる可撓性熱可塑性物質)からなることが好都合である。
【0018】
上述のように、カバーは、容器を把持する実質的に平行六面体構造を有し、容器は回転対称で円形放射状部を有することができる。なお、他の非円形構造を、蓋と容器本体の両方に用いることが可能であり、容器は楕円形や多角形(例えば長方形や正方形の部分)を備えることができる。
【0019】
この発明による、上記包装材の製造方法であって、
a)前記食品によって容器を満たすこと、
b)満たされた容器をその蓋で閉じること、
c)食品識別要素を備えるカバーの除去領域が蓋の所定位置に対面して設置されるように、閉じられた容器の周りにカバーを位置決めすること、および
d)領域の位置に位置決めされたカバーを打ち抜いて、蓋の上に食品識別要素を押し付けることからなる。なお、この食品識別要素は、打ち抜き後に蓋に接着するように接着剤が予め塗布されていることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】この発明による包装材の上面図である。
【図2】この発明の一実施形態による図1の包装材の斜視図である。
【図3】図2の変形に対応するこの発明の他の実施形態による、製造中の図1の包装材の斜視図である。
【図4】図2,図3の包装材に用いられる蓋付き容器の斜視図である。
【図5】蓋の構造の詳細を示す、図4の容器の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
包装材1,1'は、図1〜図5に示されるように、例えば、チーズ又はチーズ製品を収容することが好ましいが、他のどのような食品を収容することもできる。この包装材1は、容器2とカバー5,5'とを備え、容器2は食品で満たされ、かつ、蓋4で閉じられた容器本体3を有し、カバー5,5'は容器2を取り囲むと共に、容器2が接触するように容器2を搭載する。
【0022】
図示される代表的な実施形態において、カバー5,5'は容器2を把持する平行六面体構造を有し、容器2は容器本体3の周縁に留められる内周縁4aをのぞいて、いくつかのほぼ切頭円錐形部分に沿って先細る容器本体3と、平坦な蓋4との両方のために、円形放射状部分に関して回転対称を有する。容器本体3と蓋4とは2つの異なる可撓性を有する熱可塑性物質から作られている。
【0023】
図2,図3に示されるように、カバー5,5'は折り曲げられた厚紙で作られ、容器本体3の底を受入れる底5aと、2つの対向側面5cと5dに接続され中央に開口を有する上面5bを備え、カバー5,5'の他の2つの対向側面は(少なくとも部分的に)開放され、そこから容器2を引き出し、使用後に再びそこに収納できるようになっている。このカバー5,5'もまた、底5aの一部分にそって延びるシール材5e(図3参照)の細片で、その底でカバー自体が閉じられている。
【0024】
この発明によって、容器2に食品を満たして閉じた後、打ち抜かれるべき上面5bの下に容器2を正確に位置決めした後、容器2内に収容された食品を識別するラベル6を形成するように設計されたカバー5の所定領域S(図3の破線で示される)を、図3の矢印A方向に打ち抜くことによって、カバー5,5'の上面5bが開かれる(このラベル6は図1,2,4,5においてハッチングによって表されている)。この打ち抜き動作は、自動制御ピストンによって行われると、好都合である。この打ち抜き動作は、図1〜図5に示されるようにカバー5,5'に予め一体化されているラベル6を、例えば、蓋4の全表面にわたって蓋4の外面に押し付けて接着することにより容器2へ移動させる効果を有する。従って、ラベル6は、この打ち抜き動作時に蓋4へ瞬間接着するために、予め塗布された接着剤を有する。
【0025】
図4と図5に示されるように、蓋4の内縁(リム)4aは、肩4bによってラベル6を受入れる蓋4の平坦表面につながり、肩4bは、ラベル6用の垂直周側壁を形成し、蓋4にラベル6が接着されるときにラベル6の位置決めを容易にする等間隔の凹部4c(図3)を有する。
【0026】
この発明による包装材1はまた、図2と図3に示すように、カバー5,5'の中に容器2を保持する保持手段を備える。その保持手段は、カバーの壁に形成され、例えば、領域Sを打ち抜くことによって生じる上面5bの開口を囲む上面5bの内側の図示しない周縁領域を蓋4の内縁(リム)4aに接着することによって得られる。
【0027】
図2に示すように、これらの保持手段はまた、容器本体3を固定する2つのフラップ(垂れ板)7を備える。1つのフラップ7が図2に示されている。2つのフラップ7は、それぞれカバー5の底5aの2つの対向する縁8に各々屈曲可能につながれると共に側面5c,5dを接続する。また、2つのフラップ7は各々円弧状に切り取られた自由端7aを有し、カバー5の内側へ折り込まれることによって容器本体3の側壁に嵌着する。
【0028】
この発明による包装材のカバー5,5'の形状は、これらの図に示されたものに限定されず、カバーの側面の一部又は全体を閉じるようにすることもできる、つまり、カバー5,5'の2つの開放側面の位置に、底5a又は上面5bにつながるフラップを設けることができる。
【符号の説明】
【0029】
1 包装材
2 容器
3 容器本体
4 蓋
4a 内縁(リム)
4b 肩
5 カバー
5a 底
5b 上面
5c,5d 側面
5e シール材
6 ラベル
7 フラップ(垂れ板)
7a 自由端
8 縁
S 所定領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓋(4)で閉じられる容器本体(3)を備えた食品用の容器(2)と、容器(2)を包み容器に接触して搭載するカバー(5,5')とを備え、蓋(4)が食品を識別する少なくとも1つの食品識別要素(6)で覆われ、食品識別要素(6)は、カバー(5,5')の少なくとも1つの所定形状の領域(S)を除去して形成されて蓋(4)の上に押し付けられることを特徴とする包装材(1,1')。
【請求項2】
前記食品識別要素(6)は、前記領域(S)の位置でカバー(5,5')を打ち抜くことによって蓋(4)の上に押し付けられ、領域(S)はカバー(5,5')の上面(5a)の中央に実質的に位置することを特徴とする請求項1記載の包装材(1,1')
【請求項3】
カバーの領域(S)によって形成される食品識別要素(6)は、容器本体(3)に留められる蓋の周縁(4a)の内側へ蓋の全表面にわたって実質的に広がる蓋(4)用のラベルを形成し、周縁(4a)は、この食品識別要素が設置される周縁(4a)の肩に沿って等間隔で形成された複数の凹部(4c)を有することを特徴とする請求項2記載の包装材(1,1')。
【請求項4】
前記食品識別要素(6)は機械的手段又は付着手段によって蓋(4)に取り付けられ、前記識別要素(6)は蓋に接着するための接着剤が予め塗布され、識別要素(6)は容器(2)に収容される食品を識別するラベルを形成することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の包装材(1,1')。
【請求項5】
カバー(5,5')の壁は、容器本体(3)を受け入れる底(5a)と、2つの対向側面(5c,5d)によって接続され前記領域(S)の除去によって開放される上面(5b)とを備え、この壁はカバー内に容器(2)を固定するのに適していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の包装材(1,1')。
【請求項6】
カバー(5,5')の中に容器(2)を保持する保持手段がカバーの壁に形成され、前記保持手段は、蓋(4)の内周縁(4a)の内部領域の封止又は接着により、カバー(5')から除去された所定領域(S)を取り囲む前記上面の内側の周辺領域において、および/又は、
底の2つの対向縁にそれぞれつながれて前記両側面(5c,5d)を接続し、それぞれがカバー(5)の内側へ折り曲げられたとき容器本体(3)の側壁に嵌着するのに適した少なくとも2つの固定フラップ(7)により底(5a)において、得られることを特徴とする請求項5記載の包装材(1,1')。
【請求項7】
容器本体(3)の側壁が回転対称であり、少なくとも一部が切頭円錐形であり、蓋(4)が側壁に留められるタイプの円形であり、カバー(5)が実質的に平行六面体構造を有し、前記保持手段が前記2つのフラップ(7)からなり、フラップ(7)の各自由端が容器本体の側壁の輪郭に嵌着するように円弧状に切り取られ、カバー(5)の2つの側面(5c,5d)に対して容器本体を固定することを特徴とする請求項6記載の包装材(1)。
【請求項8】
カバー(5,5')が折り曲げられ、底(5a)の一部の上に延びるシール材によりその底を覆うことによって密封された厚紙から作られ、容器(2)が少なくとも1つのプラスチックからなることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の包装材(1,1')。
【請求項9】
カバー(5,5')が容器(2)を把持する実質的に平行六面体構造を有し、容器(2)は回転対称で円形放射状部を有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載の包装材(1,1')。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1つに記載の包装材(1,1')を製造する方法であって、
a)前記食品によって容器(2)を満たすこと、
b)満たされた容器をその蓋で閉じること、
c)食品識別要素(6)を備えるカバーの除去領域(S)が蓋の所定位置に対面して設置されるように、閉じられた容器の周りにカバー(5,5')を位置決めすること、および
d)領域(S)の位置に位置決めされたカバーを打ち抜いて、蓋の上に食品識別要素を押し付けることからなり、この食品識別要素は打ち抜き後に蓋に接着するように接着剤が予め塗布されていることを特徴とする製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−208695(P2010−208695A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−49163(P2010−49163)
【出願日】平成22年3月5日(2010.3.5)
【出願人】(500466935)
【氏名又は名称原語表記】BONGRAIN S.A.
【住所又は居所原語表記】42,rue Rieussec,78223 VIROFLAY CEDEX,FRANCE
【Fターム(参考)】