説明

蓋体の開閉構造

【課題】所定の解除具を用いて蓋体を開くことができる状態と、解除具を用いずとも容易に蓋体を開閉できるようにした状態とを選択できる蓋体の開閉構造を提供する。
【解決手段】蓋体4と、蓋体4を回動自在に支持する支持基材5と、支持基材5に設けられ、かつ、蓋体4を閉じたときに、この蓋体4を掛止する掛止部材31と、を有する蓋体4の開閉構造であって、前記掛止部材31は、所定の解除具34を用いて蓋体4の掛止の解除が為される第1掛止部36と、解除具34を用いることなく蓋体4の掛止の解除が可能な第2掛止部37とを有し、第1掛止部36による蓋体4の掛止と第2掛止部37による蓋体4の掛止とを選択可能に構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓋体の開閉構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、屋内の壁面に取り付けられるソープディスペンサは、内部に石鹸を収容可能なタンクを収容し、外部からこのタンクを操作して、所定量の石鹸をタンク外に吐出できるようになっている。
【0003】
ソープディスペンサは、タンクに石鹸を補充する場合に取り外しが可能なように、このタンクを支持する支持基材(基板)と、この支持基材に対して開閉可能な蓋体とを備える。
【0004】
ソープディスペンサは、通常使用時は、支持基材と蓋体との間の空間にタンクを収納するとともに、タンクに石鹸を補充する場合、又はタンクを交換する場合に、蓋体を支持基材から開くことができるようになっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ソープディスペンサは、例えば飲食店や公衆トイレ等の種々の施設の屋内壁面に取り付けられるが、取り付け場所によっては、ソープディスペンサの蓋体の開閉構造を変更することが必要になる。
【0006】
例えば、ソープディスペンサが飲食店等に設けられる場合には、所有者がソープディスペンサの付近にいてタンクを頻繁に交換するために、蓋体の開閉を容易に行えるようにすることが望ましい。
【0007】
他方、ソープディスペンサが例えば、公衆トイレのような場所に取り付けられる場合には、その所有者がソープディスペンサの付近におらず、監視する者もいないことから、ソープディスペンサの蓋体が第三者に勝手に開閉されないように、例えば、蓋体が閉じた状態を解除するような専用の解除具を用いて開閉させることが望ましい。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、所定の解除具を用いて蓋体を開くことができる状態と、解除具を用いずとも容易に蓋体を開閉できるようにした状態とを選択できるようにした蓋体の開閉構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記の課題を解決するためのものであり、蓋体と、蓋体を回動自在に支持する支持基材と、支持基材に設けられ、かつ、蓋体を閉じたときに、この蓋体を掛止する掛止部材と、を有する蓋体の開閉構造であって、前記掛止部材は、所定の解除具を用いて蓋体の掛止の解除が為される第1掛止部と、解除具を用いることなく蓋体の掛止の解除が可能な第2掛止部とを有し、第1掛止部による蓋体の掛止と第2掛止部による蓋体の掛止とを選択可能に構成されてなることを特徴とする。
【0010】
かかる構成によれば、例えば、公衆トイレのように、その所有者が常に近くにいないような場合には、第1掛止部によって、蓋体を掛止するとともに、この蓋体を開く場合には、第1掛止部による蓋体の掛止を所定の解除具によって解除するようにすれば、第3者による勝手な蓋体の開閉等を抑止することができる。
【0011】
他方、飲食店のように、その所有者が近くにいる場合のように、第2掛止部によって蓋体を掛止すれば、解除具を用いることなく、蓋体を容易に開くことができ、この点で非常に便利である。
【0012】
また、本発明に係る蓋体の開閉構造は、前記蓋体が、前記第1掛止部及び第2掛止部を挿入可能な挿入孔を有し、第1掛止部が、挿入孔の内面に面接触して蓋体を掛止する接触面を有するとともに解除具によって挿入孔から押し出されるように構成されていてもよい。
【0013】
かかる構成によれば、第1掛止部は、その接触面が挿入口の内面に面接触することで、蓋体が外れないように確実に掛止することができるとともに、解除具によって、挿入孔から押し出されることで、その掛止を解除できる。すなわち、解除具を用いなければ蓋体を開くことができないため、例えば公衆トイレのような所有者が近くに常にいないような場所では、この第1掛止部による掛止が便利である。
【0014】
また、本発明に係る蓋体の開閉構造は、前記蓋体が、前記第1掛止部及び第2掛止部を挿入可能な挿入孔を有し、第2掛止部が、第2掛止部による蓋体の掛止を解除すべく、蓋体を開く方向に引いたときにこの蓋体の掛止を解除できるように、挿入孔の内面にその一部が接触可能な接触面を有する構成を採用できる。
【0015】
かかる構成によれば、第2掛止部は、解除具を用いることなく、蓋体を所定方向に引くだけで容易に掛止を解除できるため、例えば飲食店のような、その所有者が常に近くにいるような場所での使用に適している。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、所定の解除具を用いて蓋体を開くことができる状態と、解除具を用いずとも容易に蓋体を開閉できるようにした状態とを選択できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る蓋体の開閉構造が適用されたソープディスペンサの分解図である。
【図2】ソープディスペンサの側面図である。
【図3】ソープディスペンサの平面図である。
【図4】図3のA−A矢視線の断面図である。
【図5】第1掛止部が蓋体を掛止する状態を示す部分拡大断面図である。
【図6】第2掛止部が蓋体を掛止する状態を示す部分拡大断面図である。
【図7】蓋体の斜視図である。
【図8】(a)(b)は掛止部材の斜視図である。
【図9】(a)は掛止部材の正面図であり、(b)は掛止部材の背面図である。
【図10】(a)は掛止部材の平面図であり、(b)は掛止部材の底面図である。
【図11】(a)は掛止部材の右側面図であり、(b)は図9(a)のA−A矢視線断面図である。
【図12】図9(a)のB−B矢視線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら詳細に説明する。図1〜図7は、本発明に係る蓋体の開閉構造の一実施形態を示す。この実施形態では、蓋体の開閉構造がソープディスペンサ1に適用された例を示す。以下、このソープディスペンサ1の構成とともに蓋体の開閉構造について説明する。
【0019】
ソープディスペンサ1は、図1に示すように、石鹸を収容するタンク2と、タンク2を操作するための操作部材3と、このタンク2を覆う蓋体4と、蓋体4及びタンク2を支持する支持基材5とを有する。
【0020】
タンク2は、石鹸を収容するタンク本体2aを有する。タンク本体2aの側部には、上下方向に沿った溝部7が形成されている。溝部7は、タンク本体2aの一方の側面と他方の側面の2箇所に形成される。
【0021】
タンク本体2aの上部には、石鹸を注入するための注入部8が形成されている。また、タンク本体2aの下部には、操作部材3によって操作されることによりタンク本体2a内の石鹸を吐出する吐出部9が形成されている。吐出部9は、所定量の石鹸を計量する計量部10と、計量された石鹸を下方に吐出させる吐出口部11とを有する。
【0022】
操作部材3は、弾性変形可能な長尺状の板部12と、板部12の一端部に形成されるとともに使用者によって操作される操作部13とを有する。板部12の他端部には、蓋体4に固定される固定部14が形成されている。この固定部14は、板部12の厚さ方向に貫通する複数(図例では2つ)の貫通孔15,15を有する。
【0023】
蓋体4は、上下に長い長尺状に形成されるとともに、支持基材5との間にタンク2を収容できるように、その内側に所定の広さの空間が形成されている。図1に示すように、蓋体4の下部には、操作部材3の操作部13を露出させるための開口部21が形成されている。
【0024】
蓋体4の長手方向の一端部(上部)には、支持基材5に掛止される被掛止部が形成されている。この被掛止部は、蓋体4の厚さ方向に貫通する複数(図例では2つ)の貫通孔22,22となっている。この貫通孔22,22は、正面視において、その縁部分が四角形状になるように形成されている。
【0025】
蓋体4の内面には、操作部材3を支持する複数(例えば2つ)の支持部26,26が設けられている。図4に示すように、支持部26,26は、蓋体4の内面から突出する筒部であり、その内部にねじ穴26a,26aが形成されている。操作部材3は、その固定部14に形成された貫通孔15,15を支持部26,26のねじ穴26a,26aに一致させ、貫通孔15,15を介してボルト、ねじ等の固定部材の軸をねじ穴26a,26aに螺合することで、蓋体4に固定・支持される。
【0026】
支持基材5は、所定面積の板状に形成されている。この支持基材5は、蓋体4を掛止する掛止部材31と、蓋体4を回動自在に支持する支持手段32と、タンク2を保持する保持手段33とを有する。
【0027】
図1、図5、図6、図8〜図12に示すように、掛止部材31は、所定の解除具34を用いて蓋体4の掛止の解除が為される複数(図例では2つ)の第1掛止部36と、解除具34を用いることなく蓋体4の掛止を解除できる複数(図例では2つ)の第2掛止部37と、第1掛止部36と第2掛止部37とを連結する連結部38と、を有する。
【0028】
掛止部材31は、支持基材5に形成された取付部39に対して着脱自在に固定される。これにより、第1掛止部36によって蓋体4を掛止可能な状態と、第2掛止部37によって蓋体4を掛止可能な状態の2つの状態を選択できるように構成されている。
【0029】
なお、蓋体4の開閉構造は、蓋体4と、支持基材5と、支持基材5に設けられる掛止部材31及び支持手段32によって主構成される。
【0030】
第1掛止部36は、図1、図5、図8〜図12に示すように、連結部38の側面から突出する第1突出部41と、この第1突出部41に対してほぼ垂直に、そして上下方向に突出する第2突出部42とを有する。第2突出部42には、蓋体4の被掛止部である貫通孔22,22に挿入される掛止爪部(以下「第1掛止爪部」という)43が形成されている。なお、被掛止部の貫通孔を、第1掛止爪部43が挿入される「挿入孔」という(前記貫通孔と前記挿入孔に共通符号22を用いる)。
【0031】
第1掛止爪部43は、図2に示すように、先端に向かうにつれて先細り状に形成されている。この第1掛止爪部43の下部には、正面視四角形状とされた挿入孔22,22の下側の面(以下「下面」という)22aに面接触可能な接触面(以下「第1接触面」という)44が形成されている。この第1接触面44は、第1掛止爪部43が挿入孔22,22に挿入されたときに、挿入孔22,22の下面22aに接触できるように、蓋体4が閉じた状態における挿入孔22,22の下面22aと平行になるように形成されている。
【0032】
図2に示すように、第1掛止部36は、第1掛止爪部43の第1接触面44が挿入孔22,22の下面22aに面接触することから、この第1掛止爪部43が蓋体4の挿入孔22,22に挿入された状態で、第1接触面44の挿入孔22,22の下面22aへの面接触により確実な掛止が為され、蓋体4を掴んで開こうとしても開くことができない。
【0033】
第1掛止部36による蓋体4の掛止を解除するには、所定の解除具34を使用する。この解除具34は、図1に示すように、操作者が把持可能な把持部34aと、把持部34aから突出する複数(図例では2つ)の突起部34aを有する。本実施形態では、把持部34aは所定厚さの板状に形成されるとともに、その表面に滑り止めのための複数の突条部(又は凹凸部)34cが形成されている。
【0034】
各突起部34a,34aは、その先端が蓋体4の被掛止部の各挿入孔22,22に挿入可能な大きさ(太さ)に形成されている。
【0035】
解除具34は、突起部34aを蓋体4の外側から挿入孔22,22に挿入して、挿入孔22,22に挿入されている第1掛止部36の第1掛止爪部43を挿入孔22,22から押し出すことによって、第1掛止部36による蓋体4の掛止を解除できる。第1掛止部36は、第1突出部41と第2突出部42とによってL字状に構成されており、解除具34によって第1掛止爪部43が押されたときに、この第1掛止爪部43が後退できるように弾性変形することができる。
【0036】
なお、第1掛止部36の第1掛止爪部43において、第1接触面44の上側には、所定の角度で傾斜する平坦面状の傾斜面(以下「第1傾斜面」という)43aが形成されている。この第1傾斜面43aは、第1掛止部36の先端向かうにつれて徐々に下方に傾斜するように形成される。
【0037】
この第1傾斜面43aは、蓋体4が閉じられるときに、この蓋体4の内面に接触する。このとき、第1掛止部36は、蓋体4と第1接触面との接触によって、蓋体4に押圧されて弾性変形する。これにより、第1掛止爪部43は、蓋体4を、この蓋体4が閉まる方向(指示基材5に近づく方向)に抵抗なく移動させることを許容する。
【0038】
第2掛止部37は、図1、図6、図8〜図12に示すように、連結部38において第1掛止部36が形成された側面とは反対側の側面に形成されている。第2掛止部37は、第1掛止部36と同様な第1突出部41、第2突出部42を有する。この第2突出部42には、蓋体4の挿入孔22,22に挿入されて蓋体4を掛止する掛止爪部(以下「第2掛止爪部」という)46が形成されている。
【0039】
第2掛止部37の下部には、蓋体4の挿入孔22,22の下側の面にその一部が接触する接触面(以下「第2接触面」という)47が形成されている。この第2接触面47は、側面視において所定の角度で傾斜する傾斜面となっている。
【0040】
第2接触面47は、第1掛止部36の第1接触面44のように挿入孔22,22の内面に面接触するのではなく、その一部が挿入孔22,22の下面22aにおける蓋体4の内面側の縁部22bに接触する。すなわち、この第2接触面47は、挿入孔22の下面22aの縁部22bと線接触可能に構成される。この第2接触面47は、第2掛止爪部46の基部(第2掛止部37の第2突出部42側の部分をいう)から第2掛止爪部46の先端に向かうにつれて、挿入孔22,22の下面22aから徐々に離れるように傾斜して形成される。
【0041】
換言すれば、この第2接触面47は、挿入孔22,22の貫通方向において、蓋体4の内側(内面側)から外側(外面側)に向かうにつれて、この挿入孔22,22の下面22aから離れるような傾斜面となっている。
【0042】
第2接触面47は、挿入孔22aの縁部22bに接触する傾斜面とされていることから、第2掛止部37によって蓋体4を掛止している場合に、この蓋体4を開く方向に引くと、第2接触面47は、縁部22bに押されてこの縁部22bから離れるように後退する。このとき、第2掛止部37の第1突出部41と第2突出部42は、第2接触面47が後退することができるように縁部22bから離れるように弾性変形する。このような構成により、第2掛止部37は、解除具34を用いることなく、蓋体4を開く方向に引くだけで、この蓋体4の掛止を解除できるようになっている。
【0043】
なお、第2掛止部37の第2掛止爪部46において、第2接触面47の上側には、所定の角度で傾斜する平坦面状の傾斜面(以下「第2傾斜面」という)46aが形成されている。この第2傾斜面46aは、第1掛止部36の第1傾斜面43aと同じ目的で、第2掛止爪部46に形成されている。
【0044】
連結部38は、直方体状に形成されている。この連結部38には、上下方向に貫通する複数(図例では3つ)の貫通孔38a,38a,38aが形成されている。支持基材5の取付部39には、この貫通孔38aに一致するように、複数(図例では3つ)のねじ孔39a,39a,39aが形成されている。
【0045】
連結部38の下面38bには、取付部39が嵌められる凹部38cが形成されている。この凹部38cは、前記貫通孔38aと繋がるように形成される。なお、この連結部38の下面38bと、前記第1突出部41の下面41aとは面一になるように形成されている。
【0046】
本実施形態では、掛止部材31は、連結部38の凹部38cに支持基材5の取付部39を入れ、連結部38の各貫通孔38a,38a,38aを取付部39の各ねじ孔39a,39a,39aに一致させるとともに、貫通孔38aを介して、ボルト、ねじ等の固定部材をねじ孔39a,39a,39aに螺合させることで、支持基材5に固定される。
【0047】
前記支持手段32は、図1に示すように、支持基材5の長手方向の一端部(下部)に形成された2つのブラケット48,48と、このブラケット48から突出する突起部49とを有する。2つのブラケット48,48は、支持基材5の長手方向に直交する幅方向において対向するように設けられている。各突起部49,49は、各ブラケット48,48の一方の面からブラケット48,48の対向方向外方に突出して形成される。突起部49,49は、円柱状または円筒状に構成されている。
【0048】
図7に示すように、蓋体4の内面側には、前記突起部49,49が嵌合する円形の穴を有する2つの筒部4a,4aが形成されている。図7では、2つの筒部4a,4aのうちの一方を示すが、他方の筒部4aは、一方の筒部4aの突出方向において対向するように蓋体4において、一方の筒部4aが設けられている側部とは反対側の側部内面に形成されている。蓋体4は、各筒部4a,4aに突起部49,49が嵌め込まれることによって支持基材5に対して回動自在に支持される。より具体的には、蓋体4は、前記円形の突起部49,49が筒部4a,4aに嵌ることで、この突起部49,49に枢支される。
【0049】
前記保持手段33は、図1に示すように、支持基材5の一方の面(内面)から突出形成された2つの突起部50,50を有する。2つの突起部50,50は、支持基材5の長手方向に直交する幅方向において対向するように形成される。各突起部50,50の先端部50a,50aは、各突起部50,50の対向方向内方に向かうように曲がって形成されている。
【0050】
上記の構成により、各突起部50,50の先端部50a,50aは、タンク本体2aに形成された溝部7の下部から係合するように構成される。保持手段33は、突起部50,50の先端部50a,50aがタンク本体2aの溝部7に入るように、各突起部50,50の上からタンク本体2aを下ろすことによって、タンク本体2aを保持するようになっている。タンク本体2aは、支持基材5から取り外すには、このタンク本体2aを上方に移動させて、溝部7に係合している突起部50,50から抜き取るようにする。
【0051】
なお、支持基材5の取付部39と保持手段33の間の位置には、この支持基材5の厚さ方向に貫通する複数の貫通孔5a,5a…が形成されている。支持基材5は、例えば、このソープディスペンサ1が設けられる壁面から突出した突起部や壁面に打ち付けられる釘等の固定部材がこの貫通孔5aに挿通されることで、この壁面に取り付けられる。
【0052】
このソープディスペンサ1の蓋体4の開閉構造は、第1掛止部36による蓋体4の掛止と、第2掛止部37による蓋体4の掛止の2種類の掛止を選択できる。具体的には、この蓋体4の開閉構造は、掛止部材31の連結部38を固定するボルト等の固定手段を取り外し、この掛止部材31を180°反転させて再び掛止部材31をこの固定手段によって支持基材5に固定することによって、蓋体4を掛止する掛止部(第1掛止部36、第2掛止部37)を選択できるようになっている。
【0053】
以上説明した本実施形態に係る蓋体4の開閉構造及びソープディスペンサ1によれば、第1掛止部36による蓋体4と掛止と、第2掛止部37による蓋体4の掛止の2種類の掛止を選択できることから、設置場所の種々の環境や条件に柔軟に適応できるようになる。
【0054】
例えば、公衆トイレのように、その所有者が常に近くにいないような場所にソープディスペンサ1が設けられる場合には、第1掛止部36によって、蓋体4を掛止するとともに、この蓋体4を開く場合には、第1掛止部36による蓋体4の掛止を所定の解除具34によって解除するようにすれば、第3者による蓋体4の開閉等を抑止することができる。
【0055】
他方、飲食店のように、その所有者が近くにいる場合のように、第2掛止部37によって蓋体4を掛止すれば、解除具34を用いることなく、蓋体4を容易に開くことができ、この点で非常に便利である。
【0056】
なお、本発明は上記の実施形態に限らず、発明思想を逸脱しない範囲において種々の変更変形が可能である。
【0057】
例えば、上述した実施形態では、支持基材5に形成された突起部49,49を蓋体4の内面に形成された筒部に嵌め込むことで、支持基材5が蓋体4を回動自在に支持するように構成された例を示したが、これに限らず、蓋体4の内面に円柱状又は円筒状の突起部を形成し、支持基材5にこの突起部を嵌合可能な円形穴を有する筒部を形成し、両者を嵌め合わせることで、蓋体4を回動自在にする構成を採用できる。
【0058】
上記の実施形態では、蓋体4の開閉構造がソープディスペンサ1に適用された例を示したが、ソープディスペンサ1以外の種々の容器類にも本発明を適用できる。
【0059】
上記の実施形態では、第2掛止部37の第2接触面47を傾斜面状に形成した例を示したが、これに限らず、この第2接触面47を、第2掛止爪部46の基部から先端に向かうにつれて、挿入孔22,22の下面22aから徐々に離れるような側面視凸状の湾曲面として形成してもよい。このように形成した場合であっても、湾曲面状とされた第2接触面47が、挿入孔22の下面22aの縁部22bと線接触することで、蓋体4を適切に掛止できる。
【0060】
上記の実施形態では、蓋体4に2つの挿入孔22,22を形成するとともに、掛止部材31に、挿入孔22,22に挿入可能な2つの第1掛止部36,36、及び2つの第2掛止部37,37を形成し、さらに、解除具34に2つの突起部34b,34bを形成した例を示したが、これらの数は、1、又は3以上の複数であってもよい。
【0061】
同様に、上記の実施形態では、掛止部材31の連結部38に3つの貫通孔38a,38a,38aを形成した例を示したが、これに限らず、貫通孔の数を1、2、又は4以上としてもよい。
【0062】
上記の実施形態では、第1傾斜面43aと、第2傾斜面46aを平坦面状に形成した例を示したが、これに限らず、これらを凸状の湾曲面状に形成してもよい。
【符号の説明】
【0063】
1…ソープディスペンサ、2…タンク、2a…タンク本体、3…操作部材、4…蓋体、4a…筒部、5…支持基材、5a…支持基材の貫通孔、7…溝部、8…注入部、9…吐出部、10…計量部、11…吐出口部、12…板部、13…操作部、14…固定部、15…貫通孔、21…開口部、22…挿入孔(貫通孔)、22a…挿入孔の下面、22b…縁部、26…支持部、26a…ねじ穴、31…掛止部材、32…支持手段、33…保持手段、34…解除具、34a…把持部、34b…突起部、34c…突条部、36…第1掛止部、37…第2掛止部、38…連結部、38a…貫通孔、38b…連結部の下面、38c…連結部の凹部、39…取付部、39a…ねじ孔、41…第1突出部、41a…第1突出部の下面、42…第2突出部、43…第1掛止爪部、43a…第1傾斜面、44…第1接触面、46…第2掛止爪部、46a…第2傾斜面、47…第2接触面、48…ブラケット、49…突起部、50…突起部、50a…突起部の先端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓋体と、蓋体を回動自在に支持する支持基材と、支持基材に設けられ、かつ、蓋体を閉じたときに、この蓋体を掛止する掛止部材と、を有する蓋体の開閉構造であって、
前記掛止部材は、所定の解除具を用いて蓋体の掛止の解除が為される第1掛止部と、解除具を用いることなく蓋体の掛止の解除が可能な第2掛止部とを有し、第1掛止部による蓋体の掛止と第2掛止部による蓋体の掛止とを選択可能に構成されてなることを特徴とする蓋体の開閉構造。
【請求項2】
前記蓋体は、前記第1掛止部及び第2掛止部を挿入可能な挿入孔を有し、第1掛止部は、挿入孔の内面に面接触可能な接触面を有するとともに解除具によって挿入孔から押し出されるように構成されてなる請求項1に記載の蓋体の開閉構造。
【請求項3】
前記蓋体は、前記第1掛止部及び第2掛止部を挿入可能な挿入孔を有し、第2掛止部は、第2掛止部による蓋体の掛止を解除すべく、蓋体を開く方向に引いたときにこの蓋体の掛止を解除できるように、挿入孔の内面にその一部が接触可能な接触面を有する請求項1に記載の蓋体の開閉構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2010−269804(P2010−269804A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−121040(P2009−121040)
【出願日】平成21年5月19日(2009.5.19)
【出願人】(591206142)京都リフレ新薬株式会社 (18)
【Fターム(参考)】