説明

薄型筆記具

【課題】
本体が薄い略扁平状に形成された薄型筆記具において、上記本体を肉厚に構成してもヒケやソリなどが発生せず、強度的に優れ、かつ、部品点数も少なく、経済的に得ることができる薄型筆記具を提供する。
【解決手段】
薄型筆記具1は、幅方向に対し厚さ方向が薄く略扁平状に形成され長手方向に延びる本体2を有する。この本体2は、その先端から後端に延びる本体ベース部3と該本体ベース部3の外周に2色成形又はインサート成形の要領により形成される外層部4で構成されている。上記本体ベース部3には、上記本体2の先端に開口して後方に延びリフィール6が収納される収納部7と上記本体2の幅方向に突出し且つ長手方向に延びる突条部8が形成されている。上記外層部4は該突条部8の外側を被覆している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄型筆記具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、本体の断面形状を幅方向に対し厚さ方向が薄い略扁平状に形成した薄型筆記具が知られているが(例えば、特許文献1参照)、このような薄型筆記具を製造する場合、その構造上種々の問題があった。例えば、図5(A)に示すように、薄型筆記具31の重量や強度をかせぐため本体32の肉厚を増やそうとすると、製造時に樹脂の特性によりヒケやソリなどが生じる不具合があり、正しく成形できないことが多かった(例えば、図5(B))。そのような欠点が生じないよう本体33の肉厚を全体的に薄く形成すると(例えば、図5(C))、充分な強度が得られないし、図5(D)に示すように、本体33の内部に別体の補強部材34を組み込むようにすると、部品点数が増加し、経済的に得ることができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平6−64967号公報(図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、本体が薄い略扁平状に形成された薄型筆記具において、上記本体を肉厚に構成してもヒケやソリなどが発生せず、強度的に優れ、かつ、部品点数も少なく、経済的に得ることができる薄型筆記具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、幅方向に対し厚さ方向が薄く略扁平状に形成され長手方向に延びる本体を具備する薄型筆記具において、上記本体はその先端から後端に延びる本体ベース部と該本体ベース部の外周に2色成形又はインサート成形の要領により形成される外層部を有し、上記本体ベース部には上記本体の先端に開口して後方に延びリフィールが収納される収納部と上記本体の幅方向に突出し且つ長手方向に延びる突条部が形成され、上記外層部は該突状部の外側を被覆していることを特徴とする薄型筆記具が提供され、上記課題が解決される。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、上記のように構成され、幅方向に対し厚さ方向が薄く略扁平状に形成され長手方向に延びる本体を具備する薄型筆記具において、上記本体をその先端から後端に延びる本体ベース部と該本体ベース部の外周に2色成形又はインサート成形の要領により形成される外層部で構成し、上記本体ベース部に上記本体の先端に開口して後方に延びリフィールが収納される収納部と上記本体の幅方向に突出し且つ長手方向に延びる突条部を形成し、該突条部を上記外層部で被覆するようにしたので、上記本体の肉厚は上記突条部と外層部を合計した厚さとなり、本体自体を肉厚に形成しなくてもよいから、成形時にヒケやソリが生じるおそれがない。また、上記突条部を長手方向に沿って設けたことにより、上記本体の強度が高まって、筆記時に屈曲したり撓んだりするおそれがなく、別体の補強部材を組み込む必要もないので、部品点数が減少し、経済的に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の一実施例を示す平面図である。
【図2】側面図である。
【図3】縦断面図及び厚さ方向の各部の断面図である。
【図4】リフィールを筆記位置に移動した状態を示す説明図である。
【図5】従来の薄型筆記具の本体を示し、(A)は本体を肉厚に設けようとした場合の設計段階の断面図、(B)は(A)の構成を製造した場合の断面図、(C)は全体を肉薄に設けた場合の断面図、(D)は肉薄の本体内に補強部材を組み込んだ状態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、シャープペンシルその他の各種筆記具に適用することができるが、図においては、ノック式のボールペンに適用した一実施例を示している。図1ないし図3を用いて説明すると、薄型筆記具1の本体2は、幅W方向に対し厚さT方向が薄く略扁平状に形成され長手方向に延び、その断面形状が略長円状となるように設けられている。該本体の断面形状は、略長円状のほか、略楕円状、略長方形状その他の適宜形状に形成することができる。該本体2は、その先端から後端に延びる本体ベース部3と、該本体ベース部3の外周に2色成形又はインサート成形の要領により形成される外層部4で構成されている。
【0009】
上記本体ベース部3は、プラスチック材料で形成され、図3に示すように、先端に設けた開口部5から後方に延びボールペンリフィール6を収納する収納部7と、該収納部7から幅方向に突出し且つ長手方向に延びる突条部8を有する。該突条部8は、上記本体の全長にわたって設けることもできるが、図示のものでは、上記収納部7の開口部5付近から中間部のやや後方にわたって設けられ、その肉厚は、上記収納部7を形成する壁体9の肉厚とほぼ同じ程度の厚さに形成されている。また、上記本体ベース部3の中間部から後方の部分に上記突条部は設けられておらず、幅方向に広がり、後述するように、ノック部材12を収納するためのノック収納部11が形成されているが、このノック収納部11は空所として設けられるため、肉厚に形成してもヒケやソリの問題は生じない。
【0010】
上記外層部4は、上述したように、公知の2色成形又はインサート成形の要領により上記本体ベース部3の外周に設けられ、このとき該本体ベース部3の収納部7及び突条部8を含めた全周を覆うようにしてもよいが、少なくとも該突条部8を覆うように形成されている。その他種々の態様で上記外層部を設けることができ、例えば、図示するように、上記本体ベース部3の一部が視認できるよう窓部10を上記外層部4に設けたり、上記収納部7の壁体9が外周面に現れるように本体ベース部3を突出させてその周囲を外層部4で囲むことによりほぼ同一面に形成したり、本体ベース部3を凹ませて外層部4で覆ったり、該外層部4と上記本体ベース部3を色や質感などが異なる樹脂や硬度の異なる樹脂、例えば上記外層部を軟質性のある樹脂で成形したりすれば、種々の変化に富んだものが得られる。
【0011】
上記本体ベース部3の後方には、上述したように、上記収納部7に連通して後端に開口するノック収納部11が設けられ、該ノック収納部11には、上記ボールペンリフィール6を操作するノック部材12が収納されている。該ノック部材12の後端には、受孔13が形成され、クリップ14が挿入固定されている。
【0012】
上記ボールペンリフィールの繰出機構は、種々の構成にすることができ、図に示す実施例では、上記ボールペンリフィール6の後端を上記ノック部材12で保持し、該ノック部材12と上記本体2の間にスプリング15を介装してノック部材12を後方に付勢してある。そして、該ノック部材12の一側に形成した弾性片16の端部に係止爪17を設け、該係止爪17を上記本体2の係止孔18又は係止孔19に係止することにより、上記ボールペンリフィール6を収納状態(図1ないし図3)又は筆記状態(図4)で保持できるようにしてある。なお、筆記状態において、上記ノック部材12の先端に形成した略山形状の突出部20が上記本体2の後端に形成した略山形状の凹部21に嵌まり込むようにしてあり、これにより上記ボールペンリフィール6の後端を安定的に保持することができる。上記ノック部材や繰出機構、これらを収納する上記本体ベース部の内部構造は、筆記具の種類などに応じて、その他適宜の構成にすることができる。
【0013】
上記の構成により、上記本体を肉厚に形成する構成であっても、該本体を本体ベース部と外層部で構成するようにしたので、ヒケやソリを生じるおそれがなく、筆記に際しても上記本体ベース部が突条部で補強されているため、剛性があり、撓んだりしないから、筆記しやすく壊れにくい。
【符号の説明】
【0014】
1 薄型筆記具
2 本体
3 本体ベース部
4 外層部
7 収納部
8 突条部
9 壁体
12 ノック部材
W 幅
T 厚さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
幅方向に対し厚さ方向が薄く略扁平状に形成され長手方向に延びる本体を具備する薄型筆記具において、上記本体はその先端から後端に延びる本体ベース部と該本体ベース部の外周に2色成形又はインサート成形の要領により形成される外層部を有し、上記本体ベース部には上記本体の先端に開口して後方に延びリフィールが収納される収納部と上記本体の幅方向に突出し且つ長手方向に延びる突条部が形成され、上記外層部は該突状部の外側を被覆していることを特徴とする薄型筆記具。
【請求項2】
上記外層部には、上記本体ベース部の一部が視認できるよう窓部が形成されている請求項1に記載の薄型筆記具
【請求項3】
上記外層部は、外周面に現れた上記本体ベース部を囲んでいる請求項1又は請求項2に記載の薄型筆記具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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