説明

薄型長方形パイプで構成された薄型冷却ユニットを有する電磁コイル。

【課題】従来の電磁コイルに於いて、磁束密度を高めた場合電磁コイルの発熱による信頼性低下、また温度上昇を低下させるため電磁コイルを冷却する方法があるが電磁コイルが大きくなる等の問題があり限られた用途のしか使用できないと言う問題があった。
【解決手段】薄型冷却ユニットの収納スペースに電磁コイルを密着固定する事によって電磁コイルの温度上昇を低く抑え、且つ磁束密度を大きくし電機・電子機器の性能、信頼性を大幅に向上した事を特徴とした薄型冷却ユニットを備えた電磁コイルを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、融着導線を用い空芯巻きまたはアルファ巻電磁コイルの性能および信頼性を著しく向上させるために、電磁コイルを薄型冷却ユニットの収納スペースに密着固定を可能とした事を特徴とする薄型冷却ユニット有する電磁コイルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電磁コイルの性能、信頼性を著しく向上のためには電磁コイルで発生するジュール熱を外部に効率良く発散させ、温度上昇を低くする必要がある。方法としては、発熱を抑えるために導線径を太くする。または銅パイプを有する冷却板で電磁コイルを冷却する。または、強制空冷にて冷却する。銅パイプで電磁コイルを製作し直接冷却する等の方法で性能、信頼性向上させる方法が一般的であるが、従来の方法においては、形状、冷却効率、コスト等の問題があり実用化には制約があり限られた条件でのみでしか使用できないと言う欠点を有していた。
【0003】
また電磁コイルに使用する導線径を太くする場合電磁コイルのサイズが大きくなり機器に収納出来ないと言う問題があった。更に銅パイプを有する冷却板で電磁コイルを冷却する場合も電磁コイルを含む全体の大きさが大きくなり前記同様機器に収納できない等の問題が顕在していた。
【0004】
更に電磁コイルを強制空冷においてもスペース、コスト等の問題、直接電磁コイルを冷却する方法として電磁コイルに銅パイプを用いる方法があるが、電磁コイルが小型化できなく実用的ではないと言う欠点があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする問題点は、薄型冷却ユニットの限られたスペースで有効に冷却できる電磁コイルを製作する事にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記問題を解決するために、薄型冷却ユニットのスペースに密着するように融着導線を空芯またはアルファ巻にし、必要に応じて加熱圧縮し巻線間の隙間を限りなく小さくし熱伝導を改善し、薄型冷却ユニットの収納スペースに密着固定し熱伝導効率を最大限活用する事にある。
【0007】
また、積層高密度空芯巻きまたは積層高密度アルファ巻電磁コイルの積層面に薄型冷却ユニットを密着固定することにより電磁コイルで発生する熱を効率よく冷却でき、高性能、高信頼性の電磁コイルを提供する事にある。
【0008】
本発明に使用する薄型冷却ユニットの構成は、電磁コイルの基本的性能を損なう事の無い様に長方形の短辺が0.2mmから1.0mmの薄型長方形パイプで構成された冷却ユニットを使用する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の薄型冷却ユニットを有した事を特徴とする電磁コイルは、電磁コイルのみに較べ、薄型冷却ユニットの冷却により温度上昇を低くコントロールでき、同等の電磁コイルに比較し数倍の起磁力を得る事が出来るだけでなく、温度を低く押えることが出来るため絶縁層の劣化が抑制でき、冷却なしの電磁コイルに比較し寿命を著しく改善できる。従って従来の電磁コイルに比較し、高性能、高信頼性の電磁コイルを提供する事にある。冷却により起磁力が数倍にできるため大きなトルクの必要なモータ等のコイルとして、また同一起磁力であれば小型化が可能となり、特にリニアーモータ、ソレノイド等のコイルとして最適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
融着導線を用い空芯またはアルファ巻電磁コイルを薄型冷却ユニットの収納スペースに密着固定または加熱成形しコイル巻線間の隙間を出来るだけ小さくすることにより熱伝導が改善され事により、冷却効果が大幅に改善でき電磁コイルに流す電流を大幅に増加する事が出来た。結果として起磁力を大幅に増加する事が出来、トルクを大幅に改善したモータ、ソレノイドが可能となる。
【実施例1】
【0011】
図1は、本発明の薄型冷却ユニット付電磁コイルの立体図であって、1は電磁コイル、2は引出しリード線、3は融着導線、4は薄型冷却ユニット、5は冷却媒体の流入口、6は冷却媒体の排出口を示す。図2は、本発明の図1の組立前の立体図であって、7は引出しリード線、8は融着導線、9は薄型冷却ユニット、10は冷却媒体の流入口、11は冷却媒体の排出口を示す。
【0012】
図3は、本発明の積層薄型冷却ユニット付の立体図であって、12は積層用薄型冷却ユニット、13は冷却媒体の流入口、14は冷却媒体の排出口、15は積層コイル、16は引出しリード、17は融着導線を示す。図4は、図3の組立前の立体図であって、18は積層用薄型冷却ユニット、19は積層コイル、20は冷却媒体の流入口、21は冷却媒体の排出口、22は引出しリード線、23は接続用リード線、24は融着導線を示す。
【0013】
図5は、従来型の冷却ユニットを備えた電磁コイルの立体図であって、25は
冷却ユニット、26は電磁コイル、27は冷却媒体流入口、28は冷却媒体排出口、29は冷却用パイプを示す。
【0014】
融着導線の空芯巻きまたはアルファ巻きの寸法に合わせ、長方形の短辺が0.2mmから1.0mmの長方形型パイプで薄型冷却ユニットを製作し空芯巻きまたはアルファ巻き電磁コイルを収納部分に密着する。また電磁コイルの隙間を限りなく小さくし熱伝導を改善する目的で加熱成型する。上記電磁コイルを薄型冷却ユニットの収納部分に密着固定する。密着固定する事によって電磁コイルで発生した熱が効率よく薄型冷却ユニットに伝わり効率よく放熱する事が出来る。
【0015】
また積層高精度コイルの積層面に薄型冷却ユニットを固定する事により冷却ユニットの冷却面が有効に利用でき冷却効果が増加した薄型冷却ユニットを備えた電磁コイルが提供出来た。
【0016】
本発明の薄型冷却ユニットを備えた電磁コイルは、接触面の熱抵抗はゼロに極めて近く、放熱性が大幅に改善され、放熱性が大幅に改善できる事により、温度上昇が低く抑えられるため電流増加により大きな起磁力が得られ、高トルクのモータが得られた。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明の薄型冷却ユニットを備えた電磁コイルは、温度上昇が小さく電流を多く流すことの出来る電磁コイルを提供する。電流を増加する事によって大きな磁力が得られる。また同一電流の場合は温度上昇を低く抑える事ができ、コイル温度が低く絶縁層の劣化が極めて小さくなり信頼性を向上することが出来る。大きなトルクを発生するリニアーモータ、ソレノイド等の電磁コイルとして適している。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の薄型冷却ユニット付電磁コイルの立体図。
【図2】本発明の図1の組立前の立体図。
【図3】本発明の積層薄型冷却ユニット付の立体図。
【図4】本発明の図3の組立前の立体図。
【図5】従来型の冷却ユニットを備えた電磁コイルの立体図。
【符号の説明】
【0019】
1、21、26 電磁コイル
2、7、16、22 引出しリード線
3、8、17 融着導線
4、9、24 薄型冷却ユニット
5、10、13、20、27 冷却媒体の流入口
6、11,14、21、28 冷却媒体の排出口
12、18 積層用薄型冷却ユニット
15、19 積層コイル
23 接続用リード線
25 冷却ユニット
29 冷却用パイプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導線と、該導線の周りを被覆する絶縁皮膜と、該絶縁皮膜の周りをさらに被覆する融着皮膜を備える平角線または丸線(以降融着導線と言う)をもちい空芯巻きまたはアルファ巻きした電磁コイルに薄型長方形パイプで構成された薄型冷却ユニットを備えた事を特徴とする電磁コイル。
【請求項2】
融着導線をもちい空芯巻きまたはアルファ巻した積層電磁コイルにおいて積層面に薄型長方形パイプで構成された薄型冷却ユニットを備えた事を特徴とする電磁コイル。
【請求項3】
融着導線をもちい高密度空芯電磁コイルまたは高密度アルファ巻き電磁コイルに薄型長方形パイプで構成された薄型冷却ユニットを備えた事を特徴とする電磁コイル。
【請求項4】
融着導線をもちい積層高密度空芯巻き電磁コイルまたは積層高密度アルファ巻き電磁コイルの積層面に薄型長方形パイプで構成された薄型冷却ユニットを備えた事を特徴とする電磁コイル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−135489(P2008−135489A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−319453(P2006−319453)
【出願日】平成18年11月28日(2006.11.28)
【出願人】(000132574)株式会社セルコ (18)
【Fターム(参考)】