説明

薄型TVの冷却装置

【課題】TV用表示素子と、このTV用表示素子を駆動制御するためのマイコンを有するマイコン基板を含む複数の制御基板と、これらの制御基板を支持する基板ホルダパネルと、を備えた薄型TVにおいて、冷却ファンを用いることなく効率的に冷却し、基板ホルダパネル及び表示素子の温度むらを可及的に小さくすることができる冷却装置を得る。
【解決手段】基板ホルダパネルに、制御基板中の少なくともマイコン基板と熱的に接触する受熱エリアを有する冷却液の循環流路を設け、この循環流路にポンプによって冷却液を循環させる薄型TVの冷却装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄型TVの冷却装置に関する。
【0002】
薄型のTVとして、薄型のTV表示素子(例えば、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)あるいは有機EL素子)を用いた薄型TVが普及している。これらの薄型TVのうち、例えば液晶TVでは、バックライト(例えば冷陰極蛍光管、発光ダイオード)の発熱を問題とし、バックライトの保持パネルに冷却液を循環させることが提案されている(特許文献7)。この特許文献7で指摘されているように、薄型TVでは冷却ファンを用いた空冷システムは事実上採用できない。
【特許文献1】特開平9-244005号公報
【特許文献2】特開2005-84895号公報
【特許文献3】特開2005-202036号公報
【特許文献4】特開2005-316337号公報
【特許文献5】特開2005-317480号公報
【特許文献6】特開2005-352332号公報
【特許文献7】特開2006-310044号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の薄型TVではバックライト以外の発熱は問題とされていなかった。ところが、薄型TVには、別の発熱の問題があることが分かってきた。すなわち、薄型TVには、液晶パネル等の表示素子を駆動制御するための表示コントロール基板、電源を制御する電源基板、バックライトの駆動基板(インバータ)、各種端子を備えた端子基板、あるいはこれらの基板を総合的にコントロールするためのメイン基板等の各種の制御基板が存在し、これらの各種制御基板は、単一の基板ホルダパネル(支持シャーシ)上に固定されている。そして、これら制御基板のうち、例えば表示コントロール基板は、CPU、GPU、チップセット等の発熱要素を含むマイコン基板であり、画素数の多い大型の薄型テレビでは、特にその発熱量が大きい。このため、表示コントロール基板は、放熱性を高めるべく、基板ホルダパネルの上方に固定するのが一般的である。しかし、熱は上方に逃げるため、基板ホルダパネルの上部が下部に比べて高熱となる温度むらが生じる。この基板ホルダパネルの温度むらは、基板ホルダパネルの直前に位置しているTV表示素子に及び、表示素子に温度むらが生じると、色むら、輝度むらの原因となる。
【0004】
本発明は、薄型TVの発熱についての以上の問題意識に基づき、複数の制御基板を支持する基板ホルダパネルを、冷却ファンを用いることなく効率的に冷却し、基板ホルダパネル及び表示素子の温度むらを可及的に小さくすることができる冷却装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、TV表示素子の複数の制御基板を支持する基板ホルダパネル内に液流路を設けて冷却液を循環させるという着眼に基づいてなされたものである。
【0006】
本発明は、TV用表示素子と、このTV用表示素子を駆動制御するためのマイコンを有するマイコン基板を含む複数の制御基板と、これらの制御基板を支持する基板ホルダパネルと、を備えた薄型TVにおいて、基板ホルダパネルに、制御基板中の少なくともマイコン基板と熱的に接触する受熱エリアを有する冷却液の循環流路を設け、この循環流路に冷却液を循環させるポンプを設けたことを特徴としている。
【0007】
基板ホルダパネルは、具体的には例えば、重ね合わせた伝熱性金属板の間に循環流路を形成した放熱シートから構成することができる。
【0008】
また、基板ホルダパネルの上記循環流路上には、上記受熱エリアと、この受熱エリアで受熱した冷媒を冷却する放熱エリアを設定するのが好ましい。
【0009】
本発明は、別の実施形態では、基板ホルダパネルとは別に、放熱用循環流路を有する放熱パネルを設け、この基板ホルダパネルと放熱パネルの循環流路を互いに接続することができる。
【0010】
いずれの実施形態でも、ポンプは、基板ホルダパネル上に設けることが可能である。あるいは、基板ホルダパネルと放熱パネルを別に設ける態様では、基板ホルダパネルと放熱パネルの循環流路を接続する接続パイプ中にポンプを設けることができる。
【0011】
TV用表示素子は、具体的には例えば液晶表示装置である。この液晶表示装置を有する液晶TVでは、バックライト基板を基板ホルダパネルとして用いることができる。
【0012】
あるいは、液晶TVでは、別の熱源であるバックライトと、基板ホルダパネルとを熱的に分離するため、薄型化は若干犠牲になるものの、基板ホルダパネルを、バックライト基板とは別部材として、かつ該バックライト基板との間に空気間隔をおいて設置する態様も可能である。この空気間隔には断熱材を介在させることができる。
【0013】
最も発熱量の大きいマイコン基板は、表示素子の表示を駆動制御する表示コントロール基板である。
【0014】
放熱シートの受熱エリアと該受熱エリア上に設置されたマイコン基板との間には、伝熱材料からなるヒートスプレッダを介在させることが望ましい。
【0015】
効率的な受熱と放熱を可能とするため、受熱エリアの循環流路の配置密度(あるいは合計流路断面積)は、放熱エリアの循環流路の配置密度(合計流路断面積)より高く(大きく)するのがよい。
【0016】
冷却液を循環させる駆動源のポンプとしては、回転軸を持たず薄型小型化が可能で長寿命の圧電ポンプを用いることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、このTV用表示素子を駆動制御するためのマイコンを有するマイコン基板を含む複数の制御基板を基板ホルダパネルに支持した薄型TVにおいて、基板ホルダパネルに、制御基板中の少なくともマイコン基板と熱的に接触する受熱エリアを有する冷却液の循環流路を設け、この循環流路にポンプによって冷却液を循環させるので、マイコン基板の発熱に起因する色むら、輝度むらを低減することができる。また、ポンプとして回転軸を持たず薄型小型化が可能で長寿命な圧電ポンプを用いると、薄型TVの薄型という特徴を毀損することがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図8は、特許文献6に開示されている液晶TVの概略構成であり、次の説明がある。液晶パネル(TV用表示素子)100は保持金具に保持され液晶パネルユニット110を構成し、その背面には反射/偏光シートやプリズムシートや拡散シートや拡散板などで構成する光学シート111がシート押えアングル112に保持され配置されている。バックライトシャーシ117の液晶パネル100側には反射シート116が図示しないランプクリップで固定され、反射シート116の前面には、ランプホルダ上113とランプホルダ下114にて両端を固定された複数本のランプ(冷陰極管)がバックライト115として配置されている。この部分の組み立て手順としては、バックライトシャーシ117の液晶パネル100側にランプクリップにて反射シート116を固定した後にランプホルダ下114を、反射シート116を挟んでバックライトシャーシ117に固定する。次にバックライト115をランプホルダ下114に所定間隔で設けられたランプ固定溝に左右の位置を合わせて配置した後、ランプホルダ上113を位置合わせの後にバックライト115両端部を被せ、ランプホルダ上113とランプホルダ下114を固定することで、光源部分が完成する。次に、光学シート111が保持されたシート押えアングル112をバックライトシャーシ117にビス固定しその後に、事前に図示しない前キャビネットに固定されている液晶パネルユニット110とバックライトシャーシ117とをビス固定することで、液晶TVの表示光学系が前キャビネット付きで完成する。バックライトシャーシ117の背面(液晶パネル100とは反対の面)には液晶パネル100の駆動回路ユニットや、バックライト115の点灯を制御するバックライト駆動回路ユニットや、映像や音声信号の受信回路ユニットや信号処理回路ユニットなどの液晶TVの駆動や各種制御のためのユニットが搭載され、これら一連の手順で構成された液晶TVユニットを図示しない後キャビネットで被い前キャビネットとビス止め固定することで、液晶TV本体が完成する。
【0019】
本実施形態は、以上の説明に表れるバックライトシャーシ117の背面の発熱要素(駆動回路ユニット、信号処理ユニット、各種制御のためのユニット)を冷却するための冷却装置を提案するものである。以下の実施形態では、バックライトシャーシ117を基板保持パネル200として説明する。
【0020】
図1は、基板保持パネル200の背面の制御基板の配置例を示している。基板保持パネル200の背面には、その中央に上部から順に表示コントロール基板11、電源基板12及び端子基板13が並び、左右に、インバータ14、図の左方のインバータ14と電源基板12(端子基板13)との間に、メイン基板15が配置固定されている。表示コントロール基板11は、液晶パネル100の駆動制御を行うものであり、CPU、GPU、チップセット等を搭載したマイコン基板であり、駆動回路ユニット及び信号処理ユニットを含むものである。この表示コントロール基板11は、以上の各制御基板のうちで最も発熱量が大きく、本実施形態は、この表示コントロール基板11の冷却を主たる目的としている。電源基板12は電源を制御する基板、端子基板13は各種端子を備えた基板、インバータ14はランプ(バックライト)115を駆動する基板、メイン基板15はこれら制御基板を総合的にコントロールする基板であり、いずれも発熱はするが、表示コントロール基板11に比較して発熱量が小さい。
【0021】
この液晶TVは、例えば、図9に示すような駆動ユニットにより駆動される。この駆動ユニットは、液晶パネル100や、バックライト150の駆動電源を供給する電源24、液晶パネル100を駆動するXドライバ回路23X及びYドライバ回路23Y、外部から供給される映像信号や、この液晶TVが備える図示しない受信部で受信され、映像信号処理部で処理された映像信号が、端子基板13を介して供給されるRGBプロセス処理部25、このRGBプロセス処理部25に接続された画像メモリ26及び制御部27、バックライト150を、インバータ114を介して駆動制御するバックライト駆動制御部29などを備えている。
【0022】
この駆動ユニットにおいて、端子基板13を介して入力された映像信号は、RGBプロセス処理部25により、クロマ処理などの信号処理がなされ、さらに、コンポジット信号から液晶パネル100の駆動に適したRGBセパレート信号に変換されて、制御部27に供給されるとともに、画像メモリ26を介してXドライバ23Xに供給される。
【0023】
また、制御部27は、上記RGBセパレート信号に応じた所定のタイミングで、Xドライバ回路23X及びYドライバ回路23Yを制御して、上記画像メモリ260からの映像信号とともにXドライバ回路23Xに供給されるRGBセパレート信号で、液晶パネル100を駆動することにより、上記RGBセパレート信号に応じた映像を表示する。
【0024】
バックライト駆動制御部29は、電源24から供給される電圧からインバータ114を介してパルス幅変調(PWM)信号を生成し、バックライト115を駆動する。
【0025】
ユーザインターフェース28は、上述した図示しない受信部で受信するチャンネルを選択したり、同じく図示しない音声出力部で出力させる音声出力量を調整したり、液晶パネル100を照明するバックライト150からの白色光の輝度調節、ホワイトバランス調節などを実行するためのインターフェースである。例えば、ユーザインターフェース28から、ユーザが輝度調節をした場合には、制御部27を介してバックライト駆動制御部29に輝度制御信号が伝わる。バックライト駆動制御部29は、この輝度制御信号に応じて、パルス幅変調信号のデューティ比を変えてバックライト115を駆動制御することになる。
【0026】
この液晶TVにおいて、RGBプロセス制御部25、画像メモリ26及び制御部27は表示コントロール基板11に搭載され、電源部24及びバックライト駆動制御部29は電源基板12に搭載され、メイン基板15はユーザインターフェース28を含んでいる。圧電ポンプ30は、電源部24から電力供給を受けて作動する。
【0027】
基板保持パネル200には、図1ないし図3に示すように、冷却液(冷媒)の循環流路16が形成されている。この循環流路16は、表示コントロール基板11の直下(受熱エリア)を通過して(表示コントロール基板11と熱的に接触して)該表示コントロール基板11から熱を奪い、次いで表示コントロール基板11以外の部分(放熱エリア)を流れる間に放熱して再び表示コントロール基板11の直下に戻る流路を構成している。基板保持パネル200上には、この冷却液のタンク20と、冷却液循環の動力源となる圧電ポンプ30が搭載されている。なお、基板保持パネル200(バックライトシャーシ117)の前面には、バックライト115が位置しているが、図2、図3では、バックライト115は図示していない。
【0028】
基板保持パネル200は、図2ないし図4に示すように、一対の重ね合わせた伝熱性金属板(ブレージングシート)10Uと10Lからなるもので、その一方のブレージングシート10Lに、循環流路16を構成する流路凹部16aが形成されている。流路凹部16aの深さは例えば0.2mm前後である。ブレージングシートは周知のように、金属材料(一般的にアルミニウム合金)からなるシート芯材の表裏にロウ材を付着形成したもので、プレス加工によって流路凹部16aを形成可能であり、一対を当接させて加圧下で加熱することにより、ロウ材が溶融して互いに接着される。一般的にブレージングプレート10U(10L)は、0.4mm程度の厚さを有するものであるが、本発明は、基板保持パネル(放熱シート)200の材質、構成枚数、厚みその他は問わない。
【0029】
基板保持パネル200の循環流路16の全体形状は、図1に表れている。この循環流路16は、始端部16bと終端部16cを有する循環流路(繰返曲折流路)16dと、始端部16bと終端部16cの間に位置する接続流路16eとからなっている。そして、ブレージングシート10Uには、図2に示すように、接続流路16eの終端部16fと繰返曲折流路16dの始端部16bに対応させて、出口突起(出口孔)17aと入口突起(入口孔)17bが突出形成され、繰返曲折流路16dの終端部16cと接続流路16eの始端部16gとに対応させて、出口突起(出口孔)18aと入口突起(入口孔)18bが突出形成されている。
【0030】
この出口突起17aと入口突起17bはそれぞれ、圧電ポンプ30の吸入口32と吐出口31にそれぞれ連通(嵌合)している。また、出口突起18aと入口突起18bはそれぞれ、タンク20の入口孔21と出口孔22にそれぞれ連通(嵌合)している。
【0031】
循環流路16(繰返曲折流路16d)は、始端部16bからすぐに表示コントロール基板11の直下に位置する受熱エリアに入り、該受熱エリア内をジグザグに進んだ後、表示コントロール基板11の直下から出る。その後は、適宜ジグザグを繰り返しながら基板保持パネル200内を進み、その間、電源基板12、端子基板13、インバータ14及びメイン基板15の下面も通過した後、終端部16cに至る。表示コントロール基板11と基板保持パネル200の間(受熱エリア)には、良伝熱性金属材料からなるヒートスプレッダ11Hが介在している。表示コントロール基板11の下面の繰返曲折流路16dの配置密度は、発熱量の大きい表示コントロール基板11から効果的に熱を奪うことができるように、残部の配置密度に比べて高く設定されている。配置密度に代えて(加えて)、合計流路断面積を大きくしてもよい。
【0032】
圧電ポンプ30は、図3に示すように、下方から順にロアハウジング30Lとアッパハウジング30Uを有している。ロアハウジング30Lには、該ハウジングの板厚平面に直交させて、吐出口31と吸入口32が互いに平行に穿設されている。ロアハウジング30Lとアッパハウジング30Uの間には、Oリング33を介して圧電振動子(ダイヤフラム)34が液密に挟着支持されていて、該圧電振動子34とロアハウジング30Lとの間にポンプ室Pを構成している。圧電振動子34とアッパハウジング30Uとの間には、大気室Aが形成される。
【0033】
圧電振動子34は、中心部のシム34aと、シム34aの表裏の一面(図8の上面)に積層形成した圧電体34bとを有するユニモルフタイプである。ポンプ室Pには、シム34aが臨んで冷媒と接触する。シム34aは、導電性の金属薄板材料、例えば厚さ50〜300μm程度のステンレス、42アロイ等により形成された金属製の薄板からなる。圧電体34bは、例えば厚さ300μm程度のPZT(Pb(Zr、Ti)O3)から構成されるもので、その表裏方向に分極処理が施されている。このような圧電振動子は周知である。
【0034】
ロアハウジング30Lの吐出口31と吸入口32にはそれぞれ、逆止弁(アンブレラ)35と36が設けられている。逆止弁35は、吸入口32からポンプ室Pへの流体流を許してその逆の流体流を許さない吸入側逆止弁であり、逆止弁36は、ポンプ室Pから吐出口31への流体流を許してその逆の流体流を許さない吐出側逆止弁である。
【0035】
逆止弁35、36は、同一の形態であり、流路に接着固定される穴あき基板35a、36aに、弾性材料からなるアンブレラ35b、36bを装着してなっている。このような逆止弁(アンブレラ)自体は周知である。
【0036】
以上の圧電ポンプ30は、圧電振動子34が正逆に弾性変形(振動)すると、ポンプ室Pの容積が拡大する行程では、吸入側逆止弁35が開いて吐出側逆止弁36が閉じるため、吸入口32からポンプ室P内に冷媒が流入する。一方、ポンプ室Pの容積が縮小する行程では、吐出側逆止弁36が開いて吸入側逆止弁35が閉じるため、ポンプ室Pから吐出口31に冷媒が流出する。したがって、圧電振動子34を正逆に連続させて弾性変形させる(振動させる)ことで、ポンプ作用が得られる。
【0037】
上記構成の液晶TVの冷却装置は、TV視聴状態で圧電ポンプ30を駆動すると、吐出口31から流出する冷却液は、基板保持パネル200の循環流路16の始端部16bからまず表示コントロール基板11直下の受熱エリアをジグザグに流れヒートスプレッダ11Hを介して表示コントロール基板11の熱を奪う。表示コントロール基板11の直下を出ると、発熱要素(制御基板)が存在しない放熱エリア、及び電源基板12、端子基板13、インバータ14及びメイン基板15を有する準受熱エリアを流れて放熱し、あるいは受熱する。電源基板12ないしメイン基板15のどの要素が受熱部となりあるいは放熱部となるかは、これら要素の放熱量と表示コントロール基板11の放熱量とによって決定される。いずれにしても、表示コントロール基板11の直下の受熱エリアを通って昇温した冷却液は、基板保持パネル200の残部の放熱エリアまたは準放熱エリアにおいて放熱し、基板保持パネル200の温度を均一化し、ホットスポットをなくす作用をする。そして、最終的に終端部16cに至った冷却液は、出口突起18a、入口孔21からタンク20内に入り、出口孔22、入口突起18bから接続流路16eを流れて、さらに出口突起17a、吸入口31から圧電ポンプ30に戻る。以下、同じ循環が繰り返される。
【0038】
以上の実施形態では、電源基板12ないしメイン基板15の各制御基板直下の繰返曲折流路16dの配置密度に特別な配慮を払っていないが、これら制御基板(要素)のうち、発熱量の大きい制御基板の直下は、表示コントロール基板11の直下と同様の受熱エリアとして設定し、繰返曲折流路16dの配置密度を上げることも勿論可能である。ヒートスプレッダを同様に配置してもよい。また、一つの受熱部につき、一つの放熱部を作り、複数の基板保持パネルを構成しても良いし、受熱エリアと放熱エリアの各流路を別々に設け、それぞれを樹脂や金属製のパイプでつないでも良い。
【0039】
図5と図6は、基板保持パネル200の循環流路16の別の形成例を示している。図5は、ブレージングシート10Uと10Lの対向面にそれぞれ、流路凹部16aをスタンプ加工で形成した例、図6は、一方のブレージングシート10Lのみに同様に流路凹部16aを形成した例を示している。3枚以上のブレージングシートを重ね、中間部の同シートに貫通穴で循環流路を構成するタイプも勿論用いることができる。
【0040】
また、以上の実施形態は、バックライト115を保持するバックライトシャーシ117自体に冷却液流路を形成したものであるが、バックライト115自体が発熱源であることを考慮すると、薄さは若干犠牲になるものの、バックライトシャーシ117と基板ホルダパネル200とを熱的に分離する態様も可能である。図7はその実施形態であり、カラー液晶表示パネル100の後方に位置するバックライト115を保持したバックライトシャーシ117と、表示コントロール基板11ないしメイン基板15を背面に支持した基板保持パネル200とが空気間隔dを置いて設置されている。この空気間隔dには、断熱材300を介在させることができる。
【0041】
図10ないし図14は、本発明による薄型TVの冷却装置の別の実施形態を示している。この実施形態は、図10に全体構成を示すように、各種制御基板を搭載した基板保持パネル200とは別に一対の放熱パネル(放熱シート)50を設け、この放熱パネル50に形成した放熱用循環流路51aと、基板保持パネル200の循環流路16とを、合成樹脂製あるいは金属製の接続パイプ60で接続している。基板保持パネル200上の構成要素は、図1の実施形態と比較してポンプ30とタンク20を除いた以外は同一であり、同一の構成要素には同一の符号を付している。また、基板保持パネル200内の循環流路16は、図1の実施形態では一連の閉じた流路であるのに対し、この実施形態では、4カ所に外部取出口200tが開口しており、これらの外部取出口200tに、それぞれ接続パイプ60の一端部が接続されている。
【0042】
4本の接続パイプ60の他端部は、一対ずつが接続ブロック70を介して放熱パネル50に接続されている。放熱パネル50は、図11及び図13に示すように、一連の貫通流路51aを有する中心部の貫通流路板(ブレージングシート)51と、表裏の閉塞板(同)52とからなっており、この貫通流路板51と閉塞板52には、冷却能を高めるとともに、ブレージングシートのロウ材を逃がすための表裏貫通穴53が形成されている。接続ブロック70は、図13に示すように、放熱パネル50の一連の循環流路16の両端部(入口部と出口部)を、接続パイプ60に接続する流路71を有している。図12は、放熱パネル50の中心部の貫通流路板を同一形状の2枚(51Uと51D)とした実施形態であり、放熱パネル50を構成する伝熱性金属板の構成枚数には自由度がある。
【0043】
ポンプ(好ましくは圧電ポンプ)30は、1本の接続パイプ60中に、その吐出口31と吸入口32を接続している。タンク20の図示は省略している。
【0044】
この実施形態では従って、TV視聴状態で圧電ポンプ30を駆動すると、吐出口31から流出する冷却液は、接続パイプ60及び接続ブロック70を介して一方の放熱パネル50の放熱用循環流路51aに流れ、該放熱パネル50で十分に冷却された後、基板保持パネル200の外部取出口200t(循環流路16)に入る(戻る)。次いで基板保持パネル200の循環流路16からまず表示コントロール基板11直下の受熱エリアをジグザグに流れヒートスプレッダ11Hを介して表示コントロール基板11の熱を奪う。表示コントロール基板11の直下を出ると、発熱要素(制御基板)が存在しない放熱エリアと、メイン基板15及びインバータ14を有する準受熱エリアを流れて放熱しまたは受熱し、次に外部取出口200tから接続パイプ60及び接続ブロック70を介してもう一方の放熱パネル50の放熱用循環流路51aに流れて十分冷却される。冷却された冷媒は、接続ブロック70及び接続パイプ60を介して再び基板保持パネル200の循環流路16に戻り、端子基板13、電源基板12、及びインバータ14を有する準受熱エリアを流れて受熱する。受熱した冷媒は、接続パイプ60を介し吸入口31からポンプ30に戻り、以下、同じ循環が繰り返される。
【0045】
この実施形態によると、放熱パネル50によって放熱性を一層高めることができる。放熱パネル50の大きさ、数及び配置位置は、薄型TV内のスペースによって適宜定めることができる。
【0046】
以上の実施形態は、本発明を液晶TVに適用したものであるが、本発明はプラズマTV等の薄型TVにも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明による薄型TVの冷却装置の一実施形態を示す、各種制御基板を搭載した基板ホルダパネルの背面図である。
【図2】図1の一部を分解して示した斜視図である。
【図3】図1のIII-III線に沿う断面図である。
【図4】基板ホルダパネルの断面図である。
【図5】基板ホルダパネルの別の流路構成例を示す、図4に対応する断面図である。
【図6】同別の流路構成例を示す断面図である。
【図7】本発明による薄型TVの冷却装置の一別の実施形態を示す断面図である。
【図8】薄型TVの構造例を示す斜視図である。
【図9】同薄型TVの駆動回路構成の概要を示すブロック回路図である。
【図10】本発明による薄型TVの冷却装置の別の実施形態を示す、各種制御基板を搭載した基板ホルダパネルの背面図を含む系統接続図である。
【図11】図10のXI-XI線に沿う断面図である。
【図12】放熱パネルを構成するブレージングシートの別の実施形態を示す、図11に対応する断面図である。
【図13】図10のXIII-XIII線に沿う断面図である。
【図14】図10のXIV-XIV線に沿う断面図である。
【符号の説明】
【0048】
100 液晶パネル
115 バックライト
117 バックライトシャーシ
200 基板保持パネル
300 断熱材
10U 10L ブレージングシート
11 表示コントロール基板
12 電源基板
13 端子基板
14 インバータ
15 メイン基板
16 循環流路
16a 流路凹部
16b 始端部
16c 終端部
17a 出口突起
17b 入口突起
18a 出口突起
18b 入口突起
20 タンク
21 入口孔
22 出口孔
30 圧電ポンプ
31 吐出口
32 吸入口
34 圧電振動子
35 吸入側逆止弁
36 吐出側逆止弁
50 放熱パネル(放熱シート)
51a 放熱用循環流路
60 接続パイプ
70 接続ブロック
71 流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
TV用表示素子と、このTV用表示素子を駆動制御するためのマイコンを有するマイコン基板を含む複数の制御基板と、これらの制御基板を支持する基板ホルダパネルと、を備えた薄型TVにおいて、
上記基板ホルダパネルに、上記制御基板中の少なくともマイコン基板と熱的に接触する受熱エリアを有する冷却液の循環流路を設け、
この循環流路に冷却液を循環させるポンプを設けたことを特徴とする薄型TVの冷却装置。
【請求項2】
請求項1記載の薄型TVの冷却装置において、上記基板ホルダパネルは、重ね合わせた伝熱性金属板の間に上記循環流路を形成した放熱シートから構成されている薄型TVの冷却装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の薄型TVの冷却装置において、上記基板ホルダパネルの上記循環流路上には、上記受熱エリアと、この受熱エリアで受熱した冷媒を冷却する放熱エリアが設定されている薄型TVの冷却装置。
【請求項4】
請求項1または2記載の薄型TVの冷却装置において、上記基板ホルダパネルとは別に、放熱用循環流路を有する放熱パネルが設けられ、この基板ホルダパネルと放熱パネルの循環流路が互いに接続されている薄型TVの冷却装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項記載の薄型TVの冷却装置において、ポンプは、上記基板ホルダパネル上に設けられている薄型TVの冷却装置。
【請求項6】
請求項4記載の薄型TVの冷却装置において、ポンプは、上記基板ホルダパネルと放熱パネルの循環流路を接続する接続パイプ中に設けられている薄型TVの冷却装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項記載の薄型TVの冷却装置において、上記TV用表示素子は液晶表示装置であって、該液晶表示装置のバックライト基板が上記基板ホルダパネルである薄型TVの冷却装置。
【請求項8】
請求項1ないし6のいずれか1項記載の薄型TVの冷却装置において、上記TV用表示素子は液晶表示装置であって、上記基板ホルダパネルは、該液晶表示装置のバックライト基板とは別部材として、かつ該バックライト基板との間に空気間隔をおいて設置されている薄型TVの冷却装置。
【請求項9】
請求項8記載の薄型TVの冷却装置において、上記空気間隔には断熱材が介在している薄型TVの冷却装置。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれか1項記載の薄型TVの冷却装置において、上記マイコン基板は、表示素子の表示を駆動制御する表示コントロール基板である薄型TVの冷却装置。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれか1項記載の薄型TVの冷却装置において、上記受熱エリアと該受熱エリア上に設置されたマイコン基板との間には、伝熱材料からなるヒートスプレッダが介在している薄型TVの冷却装置。
【請求項12】
請求項1ないし10のいずれか1項記載の薄型TVの冷却装置において、上記受熱エリアの循環流路の配置密度は、放熱エリアの循環流路の配置密度より高い薄型TVの冷却装置。
【請求項13】
請求項1ないし12のいずれか1項記載の薄型TVの冷却装置において、上記ポンプは、圧電ポンプである薄型TVの冷却装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−159581(P2009−159581A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−4426(P2008−4426)
【出願日】平成20年1月11日(2008.1.11)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】