薄平状体収納ケースの製造方法
【課題】薄平状の合成透明樹脂シート間に形成されるところの間隙を選択を容易とするとともに、芯材を薄平状の合成透明樹脂シート間に挿入し位置決めする工程を不用としてコスト低減をはかることを課題とする。
【解決手段】薄平状の合成透明樹脂シートの周縁部に、密封固定箇所に位置して、ホットメルト接着剤塗布層を形成し、前記ホットメルト接着剤塗布層の樹脂硬化により形成される溶融樹脂層で、前記芯材を構成することを特徴とする。
【解決手段】薄平状の合成透明樹脂シートの周縁部に、密封固定箇所に位置して、ホットメルト接着剤塗布層を形成し、前記ホットメルト接着剤塗布層の樹脂硬化により形成される溶融樹脂層で、前記芯材を構成することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、複数枚の、薄平状の硬質合成透明樹脂板、軟質合成樹脂透明シートを、重ね合わせ、一部(上端縁)を除いて周縁部を接着して一体化して袋状とし、薄平状体(カード等)の収納を自在とする、薄平状体収納ケースの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の薄平状体収納ケースにおいては、薄平状体(カード等)の収納空間を形成すべく、積層した複数枚の、薄平状の硬質合成透明樹脂板、軟質合成樹脂透明シートの相互間に間隙を形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−32823号公開特許公報「カードケース」
【特許文献2】登録実用新案公報第3048645号「シート状物のホルダー」
【特許文献3】特願2010−048511「太陽電池パネル・電子パネル等の複層製品および太陽電池パネル・電子パネル等の複層製品の周辺部シール方法」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記公知の収納ケースにおいては、前述の間隙を形成させる技術として、特許文献1の特開平11−32823号公開特許公報「カードケース」においては、図10を参照して、薄平状の硬質合成透明樹脂板(透明板材)1a,2aの間に挿入スペーサ(芯材)3aを介装することで、薄平状体(カード等)の収納空間を形成するための間隙gの間隔を決定している。よって、挿入スペーサ(芯材)3aの厚さの選択により、間隙gの間隔は適宜選択することができるが、挿入スペーサ(芯材)3aを硬質合成透明樹脂板(透明板材)1a,2aの間に挿入し位置決めする工程を必要とする問題点がある。
つぎに、特許文献2の登録実用新案公報第3048645号「シート状物のホルダー」においては、図12を参照して、薄平状の軟質合成樹脂透明シート(短形シート)1b、2bの折り返し部3bを、軟質合成樹脂透明シート(短形シート)1b、2bの間に位置させ、周辺部の軟質合成樹脂透明シート(短形シート)1b、2bと前記折り返し部3bとを加熱することで溶融樹脂層を形成して、折り返し部3bに対応する溶融樹脂層により、薄平状体(カード等)の収納空間を形成するための間隙gを決定している。よって、間隙gは、折り返し部3bの厚さで決定されて一定であり、収容物の厚さの変化に対応できない問題点がある。
【0005】
よって、本発明は、公知技術における間隙Gの形成手段(芯材13、折り返し部14)を簡素化するとともに、収容物の厚さの変化に対応すべく間隙Gの間隔(芯材の厚さ)の選択を容易とすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、積層した複数枚の、薄平状の合成透明樹脂シートの周縁部を、収納物の取出口となる開口部を除いて、互いに芯材を介して密着固定して袋状として構成される薄平状体収納ケースの製造にあたり、薄平状の合成透明樹脂シートの周縁部に、密封固定箇所に位置して、ホットメルト接着剤塗布層を形成し、前記ホットメルト接着剤塗布層の樹脂硬化により形成される溶融樹脂層で、前記芯材を構成することを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明は、積層した複数枚の、薄平状の合成透明樹脂シートの周縁部を、収納物の取出口となる開口部を除いて、互いに芯材を介して密着固定して袋状として構成される薄平状体収納ケースの製造にあたり、薄平状の合成透明樹脂シートの周縁部に、ホットメルト接着剤を、開口となる上端を除いて一筆書状に自動連続塗布することにより、一部切欠した環状(ループ状)に塗布してなるホットメルト接着剤層を設けて、ホットメルト接着剤塗布層を形成し、前記ホットメルト接着剤塗布層の樹脂硬化により形成される溶融樹脂層で、前記芯材を構成することを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2の薄平状体収納ケースの製造方法において、前記ホットメルト接着剤塗布層をホットメルト接着剤として、ゴム系ホットメルト接着剤を使用して形成するとともに、前記ホットメルト接着剤塗布層の上方に積層した薄平状の合成透明樹脂シートの周縁部を押圧するタイミングおよび/または押圧力を変化させることで、前記ホットメルト接着剤塗布層の樹脂硬化により形成される溶融樹脂層の厚さ・幅・断面形状等を選択自在としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本願発明は、ホットメルト接着剤の塗布によって、樹脂硬化により溶融樹脂層(前記芯材)を構成するものであるから、芯材の装着、延長部の折返し等の公知技術の作業工程に比して、極めて作業工程が簡素化されて製品コストを低減する効果を有する。
更に、請求項3の発明は、ゴム系ホットメルト接着剤層の樹脂硬化により溶融樹脂層(前記芯材)を構成し、積層した薄平状の合成透明樹脂シートの周縁部を押圧するタイミングおよび/または押圧力を変化させることで溶融樹脂層の厚さ・幅・断面形状等を選択自在とするものであるから、芯材としての溶融樹脂層を、薄平状体収納ケースへの収納物の厚さ等の変化に容易に対応することができる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】薄平状体収納ケースの製造方法により製造された薄平状体収納ケースを示し、a図は正面視の斜視図、b図は横断面図、c図は縦断面図。
【図2】本願発明の薄平状体収納ケースの製造方法の第1工程を示し、a図は正面図、b図は横断面図、c図は部分拡大横断面図。
【図3】本願発明の薄平状体収納ケースの製造方法の第2工程を示し、a図は正面図、b図は横断面図、c図は部分拡大横断面図。
【図4】本願発明の薄平状体収納ケースの製造方法の第3工程を示し、a図は正面図、b図は横断面図、c図は部分拡大横断面図。
【図5】ホットメルト接着剤層の断面形状の変化の説明図。
【図6】溶融樹脂層(芯材)の厚さ、断面形状等の選択の説明図。
【図7】コーター塗布装置の縦断面図。
【図8】コーター塗布装置の塗布作用の説明図で、(a)図はコーター塗布装置の塗布ヘッドの縦断面図、(b)は側面図、(c)図は底面図、(d)図は被塗布ワークへの塗布状態を示す正面図、(e)は部分斜視図。
【図9】コーター塗布装置によるホットメルト接着剤層の形成工程を示し、a図は斜視図、b図は一筆書の説明図。
【図10】可撓性(変形自在の形状)である薄平状体収納ケースを示し、(a)図は斜視図、(b)は断面図。
【図11】公知例の硬質収納ケースを示し、(a)図は斜視図、(b)は断面図。
【図12】公知例の軟質収納ケースを示し、(a)図は斜視図、(b)は断面図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本願発明を下記の工程により実施する。
第1工程:
薄平状の合成透明樹脂シート1の周縁部に、ゴム系ホットメルト接着剤(ホットメチル)Hを塗布して、ゴム系ホットメルト接着剤塗布層を形成する。
第2工程:
前記ゴム系ホットメルト接着剤塗布層Hの樹脂硬化により溶融樹脂層M(芯材3)を形成する。
第3工程:
溶融樹脂層M(芯材3)を形成した薄平状の合成透明樹脂シート1の上方に、二枚目の薄状の合成透明樹脂シート2を重ねることで、二枚の薄平状の合成透明樹脂シート1,2の積層を完成する。
第4工程:
積層した薄平状の合成透明樹脂シート1,2の周縁部を押圧することで、溶融樹脂層M(芯材3)の厚さ、巾、形状を設定値とする。
第5工程:
溶融樹脂層の完全硬化で芯材を完成して、薄平状体収納ケースAとなる。
【実施例】
【0012】
図1は、薄平状体収納ケースAを示し、二枚の薄平状の合成透明樹脂シート1.2を積層し、その周縁部を、収納物取出口となる開口部Rを除いて、互いに芯材3を介して密着固定して、袋状体を構成している。
芯材3により、収納物を格納するための内部空間を確保している。
本願発明の実施にあたり、芯材3は、ホットメルト接着剤塗布層の加熱硬化で形成されるところの、溶融樹脂層Mとすることを特徴とする。
【0013】
図2ないし図4を参照して、薄平状体収納ケースの製造工程を説明する。
図2を参照して:
薄平状の合成透明樹脂シート1の周縁部に、密封固定箇所(図2において、左側端−−−−下端−−−右側端)に位置して、ゴム系ホットメルト接着剤(ホットメチル)Hを塗布する。その結果、密封固定箇所(図2において、左側端−−−−下端−−−右側端)に位置して、ゴム系ホットメルト接着剤塗布層Hが形成される。
図3を参照して:
ゴム系ホットメルト接着剤塗布層Hを形成した薄平状の合成透明樹脂シート1の上方に、二枚目の薄状の合成透明樹脂シート2を重ねることで、二枚の薄平状の合成透明樹脂シート1,2を積層状態とする。
図4を参照して:
積層した薄平状の合成透明樹脂シート1,2の周縁部を押圧することで、ゴム系ホットメルト接着剤塗布層Hの硬化により形成される溶融樹脂樹層M(芯材)3の厚さ、巾、断面形状を設定値とする。溶融樹脂層の完全硬化により、薄平状体収納ケースAを完成する。
【0014】
図5は、上記の工程におけるゴム系ホットメルト接着剤塗布層Hの断面形状等の経時変化を示す。a図は断面台形からの経時変化、b図は断面円形からの経時変化、c図は断面正方形からの経時変化を示す。
【0014】
つぎに、本願発明の第1工程のホットメルト接着剤の塗布によるホットメルト接着剤塗布層の形成に関して、非公開技術である本願出願人の出願にかかるところの、[特許文献3]特願2010−048511」を適用して自動化した実施例を説明する。
【0015】
図6を参照して、a図の断面四角形のゴム系ホットメルト接着剤塗布層Hは、経時変化により、b図の断面形状、さらに、c図の断面形状に変化する。
b図のタイミングで、合成透明樹脂シート2を重ねることで、d図の断面形状となり、d1の厚さの収納物B1に対応する間隙g1を有する。さらに、周辺部を押圧することでe図の断面形状となり、d2の厚さの収納物B2に対応する間隙g2を有する。
c図のタイミングで、合成透明樹脂シート2を重ねることで、f図の断面形状となり、d3の厚さの収納物B3に対応する間隙g3を有する。さらに、周辺部を押圧することでg図の断面形状となり、d4の厚さの収納物B4に対応する間隙g4を有する。
【0016】
図7を参照して、コーター式塗布機構Pを説明する。
【0017】
塗布ユニットは、本体ブロック5の一側にガンユニット10を他側にギヤポンプおよびサーボモータを装備し、本体ブロック5の上部に溶融タンクを形成し、ガンユニット10と本体ブロック5との間に接続ブロックを介装する。
【0018】
本体ブロック5には供給回路7、リターン回路8を形成し、加熱部材9を内装して所定温度に本体ブロック5を高温維持する。
【0019】
ガンユニット10には、弁機構11を内装し、下部の塗布ヘッド13の供給路12を介して、塗布ヘッド13の下端底面に露出する塗布溝14に、ゴム系ホットメルト接着剤(ホットブチル)Hの供給を制御すべく構成されている。
【0020】
図8を参照して、支持台30に戴置した合成透明樹脂シート1(被塗布ワークW)に対するホットブチル)Hの塗布形態を示す。
塗布剤を被塗布ワークの周面に圧接させつつ塗布ノズルを被塗布ワークに対して相対移動させることで、被塗布ワークに塗布した塗布剤を所定の形状(厚さ、塗布範囲、断面形状等)に成型する。
【0021】
なお、実施例では、コーター式塗布機構Pの支持体31をコンプュータ制御のロボット駆動機構(図示省略)により、図9に示す、直進イ、45度回動ロ、直進ハ、45度回動ニ、直進ホ、45度回動ヘ、直進ト、即ち、一筆書き移動を行うことで、ホットブチル)Mの一部切欠した環状ループを完成する。
【0022】
なお、前後方向と左右方向とを非連続すなわち独立して塗布してもよい。
【0023】
本願発明の実施にあたり、ホットメルト塗布剤としてゴム系ホットメルトメ(ホットブチル)を適用するとともに、前記ガンユニットに加熱手段を装備していることにより、溶融状態で塗布ノズルに供給されたゴム系ホットメルトメ(ホットブチル)を塗布剤吐出口の先端より、液体状態で吐出する。
【0024】
被塗布ワークの塗布面に塗布した状態では、ゴム系ホットメルトメ(ホットブチル)は冷却されて固体状態に変化する。
したがって、被塗布ワークに塗布されたゴム系ホットメルトメ(ホットブチル)は、液体状態より固体状態に変化している。
【0025】
本願発明を適用した製品A’について、図10は、湾曲板形状(断面円弧状)とするものである。
収納物を、湾曲板形状とする。また、上板1’、下板2’も、それぞれ湾曲板形状とする。上板1’、下B’は、軟質プラスチックシートのごとく可撓性のある材質とする。この場合には、シール塗布剤をゴム系ホットメルトメ(ホットブチル)Mとすることで、湾曲板形状となることで、上板1’と下板2’とは湾曲半径が相違することとなり、ゴム系ホットメルトメ(ホットブチル)Mの上板1’と下板2’との固定位置は平板状態と比較してずれることとなるが、ゴム系ホットメルトメ(ホットブチル)Mの変形により吸収することができる[ゴム系ホットメルトメ(ホットブチル)Mは、平板状態では、上板1’、下板2’に対し垂直状態であるが、湾曲状態では傾斜して上板1’、下板2`との固定位置を変化することなく、上板1`、下板2’の湾曲に対応できる]。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本願発明は、収納ケースの製造、利用を促進して、この種の産業の発展に寄与するものである。
【符号の説明】
【0027】
1…合成透明樹脂シート
2…合成透明樹脂シート
3…芯材
A…薄平状体収納ケース
B…収納物
H…ゴム系ホットメルト接着剤(ホットメチル)
M…溶融樹脂層
【技術分野】
【0001】
本願発明は、複数枚の、薄平状の硬質合成透明樹脂板、軟質合成樹脂透明シートを、重ね合わせ、一部(上端縁)を除いて周縁部を接着して一体化して袋状とし、薄平状体(カード等)の収納を自在とする、薄平状体収納ケースの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の薄平状体収納ケースにおいては、薄平状体(カード等)の収納空間を形成すべく、積層した複数枚の、薄平状の硬質合成透明樹脂板、軟質合成樹脂透明シートの相互間に間隙を形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−32823号公開特許公報「カードケース」
【特許文献2】登録実用新案公報第3048645号「シート状物のホルダー」
【特許文献3】特願2010−048511「太陽電池パネル・電子パネル等の複層製品および太陽電池パネル・電子パネル等の複層製品の周辺部シール方法」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記公知の収納ケースにおいては、前述の間隙を形成させる技術として、特許文献1の特開平11−32823号公開特許公報「カードケース」においては、図10を参照して、薄平状の硬質合成透明樹脂板(透明板材)1a,2aの間に挿入スペーサ(芯材)3aを介装することで、薄平状体(カード等)の収納空間を形成するための間隙gの間隔を決定している。よって、挿入スペーサ(芯材)3aの厚さの選択により、間隙gの間隔は適宜選択することができるが、挿入スペーサ(芯材)3aを硬質合成透明樹脂板(透明板材)1a,2aの間に挿入し位置決めする工程を必要とする問題点がある。
つぎに、特許文献2の登録実用新案公報第3048645号「シート状物のホルダー」においては、図12を参照して、薄平状の軟質合成樹脂透明シート(短形シート)1b、2bの折り返し部3bを、軟質合成樹脂透明シート(短形シート)1b、2bの間に位置させ、周辺部の軟質合成樹脂透明シート(短形シート)1b、2bと前記折り返し部3bとを加熱することで溶融樹脂層を形成して、折り返し部3bに対応する溶融樹脂層により、薄平状体(カード等)の収納空間を形成するための間隙gを決定している。よって、間隙gは、折り返し部3bの厚さで決定されて一定であり、収容物の厚さの変化に対応できない問題点がある。
【0005】
よって、本発明は、公知技術における間隙Gの形成手段(芯材13、折り返し部14)を簡素化するとともに、収容物の厚さの変化に対応すべく間隙Gの間隔(芯材の厚さ)の選択を容易とすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、積層した複数枚の、薄平状の合成透明樹脂シートの周縁部を、収納物の取出口となる開口部を除いて、互いに芯材を介して密着固定して袋状として構成される薄平状体収納ケースの製造にあたり、薄平状の合成透明樹脂シートの周縁部に、密封固定箇所に位置して、ホットメルト接着剤塗布層を形成し、前記ホットメルト接着剤塗布層の樹脂硬化により形成される溶融樹脂層で、前記芯材を構成することを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明は、積層した複数枚の、薄平状の合成透明樹脂シートの周縁部を、収納物の取出口となる開口部を除いて、互いに芯材を介して密着固定して袋状として構成される薄平状体収納ケースの製造にあたり、薄平状の合成透明樹脂シートの周縁部に、ホットメルト接着剤を、開口となる上端を除いて一筆書状に自動連続塗布することにより、一部切欠した環状(ループ状)に塗布してなるホットメルト接着剤層を設けて、ホットメルト接着剤塗布層を形成し、前記ホットメルト接着剤塗布層の樹脂硬化により形成される溶融樹脂層で、前記芯材を構成することを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2の薄平状体収納ケースの製造方法において、前記ホットメルト接着剤塗布層をホットメルト接着剤として、ゴム系ホットメルト接着剤を使用して形成するとともに、前記ホットメルト接着剤塗布層の上方に積層した薄平状の合成透明樹脂シートの周縁部を押圧するタイミングおよび/または押圧力を変化させることで、前記ホットメルト接着剤塗布層の樹脂硬化により形成される溶融樹脂層の厚さ・幅・断面形状等を選択自在としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本願発明は、ホットメルト接着剤の塗布によって、樹脂硬化により溶融樹脂層(前記芯材)を構成するものであるから、芯材の装着、延長部の折返し等の公知技術の作業工程に比して、極めて作業工程が簡素化されて製品コストを低減する効果を有する。
更に、請求項3の発明は、ゴム系ホットメルト接着剤層の樹脂硬化により溶融樹脂層(前記芯材)を構成し、積層した薄平状の合成透明樹脂シートの周縁部を押圧するタイミングおよび/または押圧力を変化させることで溶融樹脂層の厚さ・幅・断面形状等を選択自在とするものであるから、芯材としての溶融樹脂層を、薄平状体収納ケースへの収納物の厚さ等の変化に容易に対応することができる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】薄平状体収納ケースの製造方法により製造された薄平状体収納ケースを示し、a図は正面視の斜視図、b図は横断面図、c図は縦断面図。
【図2】本願発明の薄平状体収納ケースの製造方法の第1工程を示し、a図は正面図、b図は横断面図、c図は部分拡大横断面図。
【図3】本願発明の薄平状体収納ケースの製造方法の第2工程を示し、a図は正面図、b図は横断面図、c図は部分拡大横断面図。
【図4】本願発明の薄平状体収納ケースの製造方法の第3工程を示し、a図は正面図、b図は横断面図、c図は部分拡大横断面図。
【図5】ホットメルト接着剤層の断面形状の変化の説明図。
【図6】溶融樹脂層(芯材)の厚さ、断面形状等の選択の説明図。
【図7】コーター塗布装置の縦断面図。
【図8】コーター塗布装置の塗布作用の説明図で、(a)図はコーター塗布装置の塗布ヘッドの縦断面図、(b)は側面図、(c)図は底面図、(d)図は被塗布ワークへの塗布状態を示す正面図、(e)は部分斜視図。
【図9】コーター塗布装置によるホットメルト接着剤層の形成工程を示し、a図は斜視図、b図は一筆書の説明図。
【図10】可撓性(変形自在の形状)である薄平状体収納ケースを示し、(a)図は斜視図、(b)は断面図。
【図11】公知例の硬質収納ケースを示し、(a)図は斜視図、(b)は断面図。
【図12】公知例の軟質収納ケースを示し、(a)図は斜視図、(b)は断面図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本願発明を下記の工程により実施する。
第1工程:
薄平状の合成透明樹脂シート1の周縁部に、ゴム系ホットメルト接着剤(ホットメチル)Hを塗布して、ゴム系ホットメルト接着剤塗布層を形成する。
第2工程:
前記ゴム系ホットメルト接着剤塗布層Hの樹脂硬化により溶融樹脂層M(芯材3)を形成する。
第3工程:
溶融樹脂層M(芯材3)を形成した薄平状の合成透明樹脂シート1の上方に、二枚目の薄状の合成透明樹脂シート2を重ねることで、二枚の薄平状の合成透明樹脂シート1,2の積層を完成する。
第4工程:
積層した薄平状の合成透明樹脂シート1,2の周縁部を押圧することで、溶融樹脂層M(芯材3)の厚さ、巾、形状を設定値とする。
第5工程:
溶融樹脂層の完全硬化で芯材を完成して、薄平状体収納ケースAとなる。
【実施例】
【0012】
図1は、薄平状体収納ケースAを示し、二枚の薄平状の合成透明樹脂シート1.2を積層し、その周縁部を、収納物取出口となる開口部Rを除いて、互いに芯材3を介して密着固定して、袋状体を構成している。
芯材3により、収納物を格納するための内部空間を確保している。
本願発明の実施にあたり、芯材3は、ホットメルト接着剤塗布層の加熱硬化で形成されるところの、溶融樹脂層Mとすることを特徴とする。
【0013】
図2ないし図4を参照して、薄平状体収納ケースの製造工程を説明する。
図2を参照して:
薄平状の合成透明樹脂シート1の周縁部に、密封固定箇所(図2において、左側端−−−−下端−−−右側端)に位置して、ゴム系ホットメルト接着剤(ホットメチル)Hを塗布する。その結果、密封固定箇所(図2において、左側端−−−−下端−−−右側端)に位置して、ゴム系ホットメルト接着剤塗布層Hが形成される。
図3を参照して:
ゴム系ホットメルト接着剤塗布層Hを形成した薄平状の合成透明樹脂シート1の上方に、二枚目の薄状の合成透明樹脂シート2を重ねることで、二枚の薄平状の合成透明樹脂シート1,2を積層状態とする。
図4を参照して:
積層した薄平状の合成透明樹脂シート1,2の周縁部を押圧することで、ゴム系ホットメルト接着剤塗布層Hの硬化により形成される溶融樹脂樹層M(芯材)3の厚さ、巾、断面形状を設定値とする。溶融樹脂層の完全硬化により、薄平状体収納ケースAを完成する。
【0014】
図5は、上記の工程におけるゴム系ホットメルト接着剤塗布層Hの断面形状等の経時変化を示す。a図は断面台形からの経時変化、b図は断面円形からの経時変化、c図は断面正方形からの経時変化を示す。
【0014】
つぎに、本願発明の第1工程のホットメルト接着剤の塗布によるホットメルト接着剤塗布層の形成に関して、非公開技術である本願出願人の出願にかかるところの、[特許文献3]特願2010−048511」を適用して自動化した実施例を説明する。
【0015】
図6を参照して、a図の断面四角形のゴム系ホットメルト接着剤塗布層Hは、経時変化により、b図の断面形状、さらに、c図の断面形状に変化する。
b図のタイミングで、合成透明樹脂シート2を重ねることで、d図の断面形状となり、d1の厚さの収納物B1に対応する間隙g1を有する。さらに、周辺部を押圧することでe図の断面形状となり、d2の厚さの収納物B2に対応する間隙g2を有する。
c図のタイミングで、合成透明樹脂シート2を重ねることで、f図の断面形状となり、d3の厚さの収納物B3に対応する間隙g3を有する。さらに、周辺部を押圧することでg図の断面形状となり、d4の厚さの収納物B4に対応する間隙g4を有する。
【0016】
図7を参照して、コーター式塗布機構Pを説明する。
【0017】
塗布ユニットは、本体ブロック5の一側にガンユニット10を他側にギヤポンプおよびサーボモータを装備し、本体ブロック5の上部に溶融タンクを形成し、ガンユニット10と本体ブロック5との間に接続ブロックを介装する。
【0018】
本体ブロック5には供給回路7、リターン回路8を形成し、加熱部材9を内装して所定温度に本体ブロック5を高温維持する。
【0019】
ガンユニット10には、弁機構11を内装し、下部の塗布ヘッド13の供給路12を介して、塗布ヘッド13の下端底面に露出する塗布溝14に、ゴム系ホットメルト接着剤(ホットブチル)Hの供給を制御すべく構成されている。
【0020】
図8を参照して、支持台30に戴置した合成透明樹脂シート1(被塗布ワークW)に対するホットブチル)Hの塗布形態を示す。
塗布剤を被塗布ワークの周面に圧接させつつ塗布ノズルを被塗布ワークに対して相対移動させることで、被塗布ワークに塗布した塗布剤を所定の形状(厚さ、塗布範囲、断面形状等)に成型する。
【0021】
なお、実施例では、コーター式塗布機構Pの支持体31をコンプュータ制御のロボット駆動機構(図示省略)により、図9に示す、直進イ、45度回動ロ、直進ハ、45度回動ニ、直進ホ、45度回動ヘ、直進ト、即ち、一筆書き移動を行うことで、ホットブチル)Mの一部切欠した環状ループを完成する。
【0022】
なお、前後方向と左右方向とを非連続すなわち独立して塗布してもよい。
【0023】
本願発明の実施にあたり、ホットメルト塗布剤としてゴム系ホットメルトメ(ホットブチル)を適用するとともに、前記ガンユニットに加熱手段を装備していることにより、溶融状態で塗布ノズルに供給されたゴム系ホットメルトメ(ホットブチル)を塗布剤吐出口の先端より、液体状態で吐出する。
【0024】
被塗布ワークの塗布面に塗布した状態では、ゴム系ホットメルトメ(ホットブチル)は冷却されて固体状態に変化する。
したがって、被塗布ワークに塗布されたゴム系ホットメルトメ(ホットブチル)は、液体状態より固体状態に変化している。
【0025】
本願発明を適用した製品A’について、図10は、湾曲板形状(断面円弧状)とするものである。
収納物を、湾曲板形状とする。また、上板1’、下板2’も、それぞれ湾曲板形状とする。上板1’、下B’は、軟質プラスチックシートのごとく可撓性のある材質とする。この場合には、シール塗布剤をゴム系ホットメルトメ(ホットブチル)Mとすることで、湾曲板形状となることで、上板1’と下板2’とは湾曲半径が相違することとなり、ゴム系ホットメルトメ(ホットブチル)Mの上板1’と下板2’との固定位置は平板状態と比較してずれることとなるが、ゴム系ホットメルトメ(ホットブチル)Mの変形により吸収することができる[ゴム系ホットメルトメ(ホットブチル)Mは、平板状態では、上板1’、下板2’に対し垂直状態であるが、湾曲状態では傾斜して上板1’、下板2`との固定位置を変化することなく、上板1`、下板2’の湾曲に対応できる]。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本願発明は、収納ケースの製造、利用を促進して、この種の産業の発展に寄与するものである。
【符号の説明】
【0027】
1…合成透明樹脂シート
2…合成透明樹脂シート
3…芯材
A…薄平状体収納ケース
B…収納物
H…ゴム系ホットメルト接着剤(ホットメチル)
M…溶融樹脂層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層した複数枚の、薄平状の合成透明樹脂シートの周縁部を、収納物の取出口となる開口部を除いて、互いに芯材を介して密着固定して袋状として構成される薄平状体収納ケースの製造にあたり、
薄平状の合成透明樹脂シートの周縁部に、ホットメルト接着剤塗布層を形成し、
前記ホットメルト接着剤塗布層の樹脂硬化により形成される溶融樹脂層で、前記芯材を構成することを特徴とする、薄平状体収納ケースの製造方法。
【請求項2】
積層した複数枚の、薄平状の合成透明樹脂シートの周縁部を、収納物の取出口となる開口部を除いて、互いに芯材を介して密着固定して袋状として構成される薄平状体収納ケースの製造にあたり、
薄平状の合成透明樹脂シートの周縁部に、ホットメルト接着剤を、開口となる上端を除いて一筆書状に自動連続塗布することにより、一部切欠した環状(ループ状)に塗布してなるホットメルト接着剤層を設けて、ホットメルト接着剤塗布層を形成し、
前記ホットメルト接着剤塗布層の樹脂硬化により形成される溶融樹脂層で、前記芯材を構成することを特徴とする、薄平状体収納ケースの製造方法。
【請求項3】
前記ホットメルト接着剤塗布層をホットメルト接着剤として、ゴム系ホットメルト接着剤を使用して形成するとともに、
前記ホットメルト接着剤塗布層の上方に積層した薄平状の合成透明樹脂シートの周縁部を押圧するタイミングおよび/または押圧力を変化させることで、前記ホットメルト接着剤塗布層の樹脂硬化により形成される溶融樹脂層の厚さ・幅・断面形状等を選択自在としたことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載する、薄平状体収納ケースの製造方法。
【請求項1】
積層した複数枚の、薄平状の合成透明樹脂シートの周縁部を、収納物の取出口となる開口部を除いて、互いに芯材を介して密着固定して袋状として構成される薄平状体収納ケースの製造にあたり、
薄平状の合成透明樹脂シートの周縁部に、ホットメルト接着剤塗布層を形成し、
前記ホットメルト接着剤塗布層の樹脂硬化により形成される溶融樹脂層で、前記芯材を構成することを特徴とする、薄平状体収納ケースの製造方法。
【請求項2】
積層した複数枚の、薄平状の合成透明樹脂シートの周縁部を、収納物の取出口となる開口部を除いて、互いに芯材を介して密着固定して袋状として構成される薄平状体収納ケースの製造にあたり、
薄平状の合成透明樹脂シートの周縁部に、ホットメルト接着剤を、開口となる上端を除いて一筆書状に自動連続塗布することにより、一部切欠した環状(ループ状)に塗布してなるホットメルト接着剤層を設けて、ホットメルト接着剤塗布層を形成し、
前記ホットメルト接着剤塗布層の樹脂硬化により形成される溶融樹脂層で、前記芯材を構成することを特徴とする、薄平状体収納ケースの製造方法。
【請求項3】
前記ホットメルト接着剤塗布層をホットメルト接着剤として、ゴム系ホットメルト接着剤を使用して形成するとともに、
前記ホットメルト接着剤塗布層の上方に積層した薄平状の合成透明樹脂シートの周縁部を押圧するタイミングおよび/または押圧力を変化させることで、前記ホットメルト接着剤塗布層の樹脂硬化により形成される溶融樹脂層の厚さ・幅・断面形状等を選択自在としたことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載する、薄平状体収納ケースの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図10】
【図8】
【図9】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図10】
【図8】
【図9】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−22439(P2013−22439A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−173396(P2011−173396)
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【出願人】(591232543)株式会社サンツール (10)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【出願人】(591232543)株式会社サンツール (10)
【Fターム(参考)】
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