説明

薄片状リン酸水素カルシウム無水物およびその製造方法

【課題】構造材料用のフィラー等として好適な、微細で高アスペクト比のリン酸水素カルシウム無水物を単相で効率的に提供する。
【解決手段】形状が薄片状であり、モネタイト(CaHPO)の単相と実質的にみなされる薄片状リン酸水素カルシウム無水物。この薄片状リン酸水素カルシウム無水物を、(A)リンとカルシウムとのモル比(P/Ca)が0.1以下のカルシウム化合物および(B)リン化合物を、(C)ヒドロキシ酸の存在下において、(D)水および親水性有機溶媒の中から選ばれた少なくとも1種からなる溶媒中にて、加圧条件下で水熱合成することにより製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造材料向けフィラー等としての用途が期待される薄片状のリン酸水素カルシウム無水物と、その製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コスト低減や物性の向上を目的として、各種樹脂類に無機系フィラーを添加混合することは、以前より行われている。
従来、構造材料の強度向上を目的としたフィラーとしては、安全性が高く、且つ比較的価格も安いことから、タルク、シリカ、炭酸カルシウム等の無機物が汎用されている。しかしながら、これらのフィラーには、水を吸収し易い、或いは分散性が悪い等の欠点があり、十分に満足し得るフィラーとは言い難いものであった。
【0003】
そのため、補強効果に優れることはもとより、安全性が高く、分散性が良く、且つ水分を吸収し難い構造材料向けフィラーが望まれていた。また、この構造材料向けフィラーには、樹脂の寸法安定性という観点から、微粒子状で高アスペクト比を持つ形状(薄片状、針状など)であることが望まれている。
【0004】
このような要望を満たすべく、表面活性が低く、吸湿性が無く、生体親和性があり安全性も高いことから、食品添加物や医薬品用賦形剤として広く使用されているリン酸水素カルシウム類を高アスペクト化して、フィラーへ適用する方法が検討されている。例えば、特許第3005883号公報では、多価有機酸の存在下でリン酸とアルカリ性カルシウム化合物を反応させることで柱状のリン酸水素カルシウム(CaHPO・mHO(0≦m≦2))を得る方法が提案され、また、特許第2700141号公報では、柱状のリン酸水素カルシウムを60℃以上で水熱処理することにより、鱗片状のリン酸水素カルシウム(CaHPO・mHO(0≦m≦0.5))を得る方法が提案されている。また、リン酸水素カルシウムを樹脂用フィラーとして使用することが、特開平9−67464号公報に提案されている。
【0005】
しかしながら、本発明者らの検討の結果、これら一連の発明で得られるリン酸水素カルシウムはリン酸水素カルシウム無水物CaHPO(鉱物名モネタイト)の単相ではなく、リン酸水素カルシウム水和物CaHPO・mHO(0<m≦2、鉱物名ブルーシャイト)との混相であるか、或いはリン酸水素カルシウム水和物の単相であるため、樹脂用フィラーとして混練等の方法で樹脂と混合する際に、混練温度以下で水和物の脱離が起こり、この脱離水が樹脂に対して悪影響を及ぼす懸念がある。
また、反応過程としてもリン酸水素カルシウム水和物を一旦生成させてからリン酸水素カルシウム無水物を得るという二段階の工程を要するため、工業的には製造効率やコスト等において問題がある。
【0006】
WO2005/003028号公報には、形状がシート状でモネタイト構造を持つリン酸カルシウムとその製造方法が提案されているが、本発明者らの検討の結果、この方法で得られた生成物はリン酸水素カルシウム水和物が主相であり、リン酸水素カルシウム無水物は副生成物として得られるのみで、形状も板状でアスペクト比の低いものであり、また、沈殿生成反応を室温条件にて行うため、反応速度は水熱合成に比べて非常に遅く、しかも生成物の収率が5%未満と極めて低いため、工業的には問題のあるレベルであることが明らかとなった。
【特許文献1】特許第3005883号公報
【特許文献2】特許第2700141号公報
【特許文献3】特開平9−67464号公報
【特許文献4】WO2005/003028号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、構造材料用のフィラー等として好適な、微細で高アスペクト比のリン酸水素カルシウム無水物を、単相として工業的に有利に提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、特定のカルシウム化合物とリン化合物、およびキレート剤として特定のヒドロキシ酸を用い、特定の条件下で水熱合成することで、微細でかつ高アスペクト比の薄片状リン酸水素カルシウム無水物を単相で効率的に合成することができることを見出し、本発明をなすに至った。
すなわち、本発明は、以下を要旨とする。
【0009】
[1] 形状が薄片状であり、モネタイト(CaHPO)の単相と実質的にみなされる薄片状リン酸水素カルシウム無水物。
【0010】
[2] 一次粒子の平均厚み(d)が0.3μm以下であり、かつ平均アスペクト比(L/d)が5以上であることを特徴とする[1]に記載の薄片状リン酸水素カルシウム無水物。
【0011】
[3] X線回折測定において、(−320)面の回折ピークと(003)面の回折ピークの強度比I(−320)/I(003)が1.0以下であることを特徴とする[1]または[2]に記載の薄片状リン酸水素カルシウム無水物。
【0012】
[4] レーザー回折/散乱方式粒度分布装置を使用した粒度分布測定における粒子径d50(メジアン径)が0.1μm以上10μm以下であることを特徴とする[1]ないし[3]のいずれかに記載の薄片状リン酸水素カルシウム無水物。
【0013】
[5] 原料として(A)リンとカルシウムとのモル比(P/Ca)が0.1以下のカルシウム化合物および(B)リン化合物を用い、(C)ヒドロキシ酸の存在下において、(D)水および親水性有機溶媒の中から選ばれた少なくとも1種からなる溶媒中にて、加圧条件下で水熱合成することを特徴とする[1]ないし[4]のいずれかに記載の薄片状リン酸水素カルシウム無水物の製造方法。
【0014】
[6] 水熱合成時の温度が120℃以上である[5]に記載の薄片状リン酸水素カルシウム無水物の製造方法。
【発明の効果】
【0015】
本発明の薄片状リン酸水素カルシウム無水物は、微細で高アスペクト比の形状を持ち、粒径が揃ったモネタイト(CaHPO)の単相であるため、構造材向けフィラー等として好適に使用することができる。
また、本発明の製造方法によれば、このような本発明の薄片状リン酸水素カルシウム無水物を効率よく製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、これらの内容に限定はされない。
【0017】
[薄片状リン酸水素カルシウム無水物の製造方法]
まず、本発明の薄片状リン酸水素カルシウム無水物の製造方法について説明する。
本発明の薄片状リン酸水素カルシウム無水物は、原料として(A)リンとカルシウムとのモル比(P/Ca)が0.1以下のカルシウム化合物および(B)リン化合物を用い、(C)ヒドロキシ酸の存在下において、(D)水および親水性有機溶媒の中から選ばれた少なくとも1種からなる溶媒中にて、加圧条件下で水熱合成することにより製造される。
【0018】
<カルシウム化合物>
本発明においては、原料の(A)カルシウム化合物として、リンとカルシウムとのモル比(P/Ca)(以下「P/Caモル比」と略記する。)が0.1以下のカルシウム化合物を用いる。原料カルシウム化合物のP/Caモル比が0.1を超える場合には、リン酸水素カルシウム無水物以外の副生成物が混在しやすくなり、また高アスペクト比のリン酸水素カルシウム無水物が生成しにくくなる傾向にある。原料カルシウム化合物のP/Caモル比は、好ましくは0.05以下である。
【0019】
本発明においては、反応原料として用いるカルシウム化合物は、その全体としてのP/Caモル比が0.1以下であれば、P/Caモル比が0.1以下のカルシウム化合物の1種又は2種以上と、P/Caモル比が0.1を超えるカルシウム化合物の1種または2種以上とを混合して用いてもかまわない。
【0020】
本発明に用いられる(A)カルシウム化合物は、このようなP/Caモル比を満たすものであればよく、特に制限されないが、P/Caモル比が0.1以下のカルシウム化合物として好ましいものとしては、例えば、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、フッ化カルシウムなどの難溶性カルシウム化合物;塩化カルシウム、硝酸カルシウム、蟻酸カルシウム、酢酸カルシウムなどの水溶性カルシウム化合物;エチレンジアミン四酢酸カルシウム錯体やシクロヘキサンジアミン四酢酸カルシウム錯体、グリコールエーテルジアミン四酢酸カルシウム錯体、ジエチレントリアミン五酢酸カルシウムなどのカルシウム錯体化合物;フマル酸カルシウム、酒石酸カルシウム、リンゴ酸カルシウム、クエン酸カルシウム、こはく酸カルシウム等の有機カルシウム化合物;を挙げることができる。この中でも、コストの面から好ましくは炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、塩化カルシウム、フッ化カルシウム、硝酸カルシウムであり、さらに微細で高アスペクト化したリン酸水素カルシウム無水物を得る観点から、炭酸カルシウム、水酸化カルシウムがより好ましい。これらは1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0021】
一方、P/Caモル比が0.1を超えるカルシウム化合物としては、例えば、リン酸水素カルシウム無水物およびその水和物(CaHPO4・mH2 O、但し0≦m≦2である。)、二リン酸二水素カルシウム(CaH227)、リン酸二水素カルシウム一水和物(Ca(H2PO42・H2O)、二リン酸カルシウム(α−およびβ−Ca227)、リン酸三カルシウム(α−およびβ−Ca3(PO42)、リン酸四カルシウム(Ca4(PO42O)、リン酸八カルシウム五水和物(Ca82(PO46・5H2O)、亜リン酸カルシウム一水和物(CaHPO3・H2O)、次亜リン酸カルシウム(Ca(H2PO22)、ヒドロキシアパタイト(Ca10(PO46(OH)2)などを挙げることができる。これらは1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0022】
また、前記(A)カルシウム化合物として、カルシウム以外の金属元素を含有する金属化合物を混合使用してもよい。この場合、カルシウム以外の金属元素を含有する金属化合物は、該混合物の全金属元素に対するカルシウムの含有率が、70mol%以上、好ましくは80mol%以上、最も好ましくは90mol%以上程度になるような割合で用いることができる。上記範囲を外れた場合には、高アスペクト比のリン酸水素カルシウム無水物が生成しにくくなる傾向にある。
【0023】
<リン化合物>
本発明に用いられる(B)リン化合物は、特に限定されないが、例えば、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、これらのリン酸類のアンモニウム塩類や、リン酸エステル化合物、亜リン酸エステル化合物等を用いることができる。これらは1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0024】
これらのうち、生成した薄片状リン酸水素カルシウム無水物の凝集を防ぎ、分散性の良い、薄い粒子が得られるという点から、リン酸エステル化合物とリン酸の組み合わせが好ましい。さらに粒子の生成効率の点から、リン酸エステル化合物としては、芳香族エステルが好ましく、このうち芳香族モノエステルがより好ましく、特に好ましくはモノフェニルリン酸である。
【0025】
リン酸とモノフェニルリン酸等のリン酸エステル化合物とを併用する場合、その併用割合は、リン酸に対するリン酸エステル化合物のモル比(リン酸エステル化合物/リン酸)で3.0以下であることが好ましく、2.0以下であることが更に好ましく、1.0以下であることが最も好ましく、例えば0.01〜0.8の範囲とすることが好ましい。リン酸に対するリン酸エステル化合物の割合が多過ぎると薄い粒子が得られにくくなる。
【0026】
<ヒドロキシ酸>
本発明に用いられる(C)ヒドロキシ酸とは、カルボン酸類のうち構造中にアルコール性水酸基(OH基)を併せ持つもの、すなわちヒドロキシカルボン酸であり、その種類は特に限定されないが、例えばグリコール酸、乳酸、グリセリン酸、サリチル酸、トロパ酸、キナ酸、ベンジル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、イソクエン酸などが挙げられる。これらのうち、薄片状リン酸水素カルシウム無水物を単相で効率よく得るためには、クエン酸、リンゴ酸が好ましく、特に収率の点からクエン酸が最も好ましい。これらのヒドロキシ酸類は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。更に、ヒドロキシ酸の効果を妨げない範囲であればアルコール性水酸基を有さないカルボン酸類を併用しても構わない。
【0027】
<配合割合>
原料として用いる(A)カルシウム化合物と(B)リン化合物との配合割合は、特に限定されないが、目的のリン酸水素カルシウム無水物を効率的に得るといった観点で、反応原料中のカルシウムとリンとのモル比(Ca/P)が0.4以上1.8以下の範囲になるように配合するのが好ましく、このCa/Pモル比は0.6以上1.5以下の範囲がより好ましく、0.75以上1.25以下の範囲が最も好ましい。Ca/Pが上記範囲を外れた場合には、微細な薄片状のリン酸水素カルシウム無水物が得られにくくなる傾向にある。
【0028】
(C)ヒドロキシ酸と(A)カルシウム化合物との配合割合としては、特に限定されないが、目的のリン酸カルシウム無水物の単相を効率的に得るといった観点で、反応原料中のヒドロキシ酸とカルシウムのモル比(ヒドロキシ酸/Ca)(以下「ヒドロキシ酸/Caモル比」と称す場合がある。)が0.1以上2.0以下の範囲になるように配合するのが好ましく、このヒドロキシ酸/Caモル比は0.3以上1.8以下の範囲がより好ましく、0.4以上1.6以下の範囲が最も好ましい。ヒドロキシ酸/Caモル比が0.1を下回った場合、ヒドロキシ酸のキレート剤としての効果が不足するため、目的のリン酸水素カルシウム無水物以外の副生成物が混在しやすくなり、また2.0を上回った場合はヒドロキシ酸が過剰となるため、ヒドロキシ酸が、カルシウム塩(例えばクエン酸カルシウム)などの形で生成物中に残留しやすくなる。
【0029】
<溶媒>
本発明で用いる、(D)水および親水性有機溶媒の中から選ばれた少なくとも1種からなる溶媒における、親水性有機溶媒とは、水と相溶する溶媒であれば特に限定しないが、好ましいものとしては、例えばメタノール、エタノール、エチレングリコール等のアルコール系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、アセチルアセトアミド等のアミド系溶媒;その他アセトン、ジエチルエーテル、ジメチルスルフォキシドなど、あるいはこれらの混合物を挙げることができる。これらの中で特に好ましくは水である。また水と上記親水性有機溶媒とを混合して用いてもかまわない。混合する場合の配合割合については特には限定されないが、両者が相分離しない程度が好ましい。
【0030】
<原料濃度>
水熱合成に供される反応混合物(原料液)における混合原料濃度、すなわち(D)溶媒の重量に対する(A)、(B)および(C)の総重量比は特に限定されるものではないが、微粒子化という観点から、原料液が均一溶解あるいは縣濁液となる範囲で、なるべく高濃度であることが望ましい。好ましくは(D)溶媒の重量100重量部に対して、(A)、(B)および(C)の総重量は0.1重量部以上200重量部以下であり、さらに好ましくは1重量部以上100重量部以下である。
【0031】
<水熱合成>
前記原料液を構成する(A)、(B)、(C)、(D)の各成分を配合する順序、および方法は特に限定されず、原料液は攪拌機、超音波、あるいはホモジナイザーなどによって攪拌、混合して調製してもよい。
【0032】
なお、本発明においては、原料液を均一溶解溶液あるいは懸濁液として長時間安定化するために、必要に応じて、分散剤あるいはカップリング剤などを添加してもかまわない。
【0033】
前記原料(A)、(B)および(C)を、(D)溶媒に配合する温度は、取り扱い易さという観点から、好ましくは100℃未満であり、より好ましくは70℃未満であり、更に好ましくは40℃未満であり、通常10℃以上である。
【0034】
原料液のpHは、薄片状リン酸水素カルシウム無水物を効率よく得るという観点から、好ましくは2.5以上5未満であり、より好ましくは3以上4.8未満である。原料液のpHが低すぎるとリン酸水素カルシウム無水物の析出反応が進みにくくなり、またpHが高すぎるとアパタイトとの混相が生成しやすくなり、また板状のリン酸水素カルシウム無水物が生成しやすくなる。従って、原料液のpHが上記好適範囲となるように、前述の各成分の配合割合の範囲において、更に調合割合を調製することが好ましい。
【0035】
本発明の水熱合成とは、好ましくは120℃以上の温度条件でかつ加圧条件下で行う水熱合成である。水熱合成温度は、微細でかつ高アスペクト比の薄片状リン酸水素カルシウム無水物を効率的に得るという観点から、120℃以上の範囲で、上限は好ましくは400℃以下であり、さらに好ましくは375℃以下である。また下限としては140℃以上が好ましく、150℃以上が更に好ましく、170℃以上がより好ましい。この温度が低過ぎると薄片状リン酸水素カルシウム無水物の収率が低くなり、また、アスペクト比も低くなる傾向にあり、高過ぎると製造設備の制約が大きくなり、生産効率が低下する。
【0036】
また、水熱合成の圧力は、加圧下であれば特に限定されないが、微細でかつ高アスペクト化した薄片状リン酸水素カルシウム無水物を効率的に得るという観点から、好ましくは0.5MPa以上であり、より好ましくは1.0Mpa以上であり、更には好ましくは1.5Mpa以上であり、最も好ましくは2.0Mpa以上である。また、上限としては10MPa以下が好ましく、5MPa以下がより好ましい。この圧力が低過ぎると薄片状リン酸水素カルシウム無水物の収率が低くなり、また、アスペクト比も低くなる傾向にあり、高過ぎると製造設備の制約が大きくなり、生産効率が低下する。
【0037】
水熱合成の方法は、特に限定はされないが、例えば原料液をオートクレーブなどの反応容器に封入し、窒素などの不活性ガスで置換した後、密閉状態で前記温度条件下、飽和水蒸気圧程度の圧力条件下で行う方法や、あるいは水熱合成中に、反応容器から水あるいは親水性溶媒を抜き出し、飽和水蒸気圧より低い圧力で行う方法や、これらを組み合わせた方法などを用いることができる。
【0038】
水熱合成のための装置としては、オートクレーブなどの耐圧反応容器を用いることができ、特に限定されるものではないが、均一な微粒子を得るといった観点から、攪拌装置を装備しているオートクレーブ型反応容器が最も好ましい。
【0039】
水熱合成時間は、反応を完結させるため、任意に決めることができるが、1時間以上とすることが好ましく、さらに好ましくは2時間以上である。上限については特に制限はないが、通常24時間以下である。
【0040】
水熱合成反応により得られた薄片状リン酸カルシウム無水物含有スラリーは、遠心分離や濾過などによって薄片状リン酸水素カルシウム無水物を分離して用いてもよいし、薄片状リン酸水素カルシウム無水物をスラリーの状態で使用しても差し支えない。
【0041】
[薄片状リン酸水素カルシウム無水物]
次に、上述のような方法で得られる本発明の薄片状リン酸水素カルシウム無水物の粒子形状および物性について説明する。
なお、本発明の薄片状リン酸水素カルシウム無水物を製造する方法は、上述の本発明の薄片状リン酸水素カルシウム無水物の製造方法に何ら限定されない。
【0042】
本発明の薄片状リン酸水素カルシウム無水物は、形状が薄片状であり、モネタイト(CaHPO)の単相と実質的にみなされるものである。
なお、ここで、「モネタイト(CaHPO)の単相と実質的にみなされる」とは、後述の如く、X線回折測定における回折パターンが実質的にモネタイト(CaHPO)の単相とみなされるものであることをいう。
【0043】
本発明の薄片状のリン酸水素カルシウム無水物とは、その一次粒子形状が薄片状、例えば鱗片状、円盤状、短冊状、層状などの様々な箔状形状をしているものであり、一次粒子の平均厚み(d)が0.3μm以下、好ましくは0.2μm以下であり、最も好ましくは0.1μm以下であり、かつ平均アスペクト比(L/d)が5以上、好ましくは10以上であり、さらに好ましくは15以上である。
【0044】
なお、ここで「アスペクト比(L/d)」とは、リン酸水素カルシウム無水物の一次粒子において、最も長い軸(長辺)の長さを「長さL」とし、それと対応する最も短い軸の長さを「厚みd」とし、長い軸の短い軸に対する割合L/dをさす。
【0045】
これらの粒子サイズの測定方法としては、本発明の薄片状リン酸水素カルシウム無水物粒子を走査型電子顕微鏡下で5000倍〜3万倍にて観察し、100個の一次粒子を任意に選択し、個々の粒子の長さLと厚みd、およびアスペクト比L/dを計算し、これらの値の平均をとることで粒子サイズの平均値を求めることができる。
【0046】
また、本発明の薄片状リン酸水素カルシウム無水物は、粒度分布測定において累積粒度分布50%に相当する粒子径d50(メジアン径)が通常0.05μm以上で、通常10μm以下、好ましくは8μm以下、より好ましくは3μm以下、最も好ましくは1μm以下である。d50が0.05μmより小さくなると、粉体粒子としての取り扱いが難しくなり、また10μmを上回った場合は、粒子が粗大であるため、樹脂中でのフィラー効果が発揮されにくくなる。
【0047】
ここで、本発明の薄片状リン酸水素カルシウム無水物の粒度分布測定は、試料を純水中に分散させ、株式会社堀場製作所製レーザー回折/散乱式粒度分布装置LA−920を使用して行うことができる。測定方法をより具体的に説明すると、試料を純水に分散させ、3分間の超音波処理を行い測定試料とする。この測定試料の濃度は透過率が適正な範囲になるように調整する。ブランク試料は純水のみを用いて測定する。得られた粒度分布を基に、粒子径d50を求める。
【0048】
また、本発明の薄片状リン酸水素カルシウム無水物の比表面積は通常5〜70m/gであり、樹脂に対する接触面積として充分な面積を持っている。
なお、この比表面積は、試料を脱気処理後、吸着ガスとして窒素を用いて、比表面積測定装置にてBET法により求めた値である。
【0049】
本発明の薄片状リン酸水素カルシウムは、このように、薄片状でアスペクト比が高く、微細かつ均一な粒子径で粗大粒子の混在が殆ど無く、比表面積も大きいため、構造材料用フィラーとして剛性などの強度の向上および寸法安定性の向上などが期待できるものである。
【0050】
また、本発明の薄片状リン酸水素カルシウム無水物は、X線回折測定における回折パターンが実質的にモネタイト(CaHPO)の単相であるとみなされるものである。
この回折パターンの判別方法としては、X線の線源として銅Kαを用いてX線回折測定を行い、回折角(2θ)12.5〜13.5°に(001)面ピークが存在し、また回折角(2θ)26.0〜27.0°に(002)面ピークが存在し、さらに回折角(2θ)29.7〜30.7°に(120)面ピークが存在することで生成物がモネタイトであることを確認し、かつモネタイト以外の副生成物由来のピークが観測されないことで、実質的にモネタイトの単相であると判断される。
【0051】
本発明の薄片状リン酸水素カルシウム無水物に混在しやすい副生成物としては、ブルーシャイトやヒドロキシアパタイト、キレート剤として用いたヒドロキシ酸のカルシウム塩(例えばクエン酸カルシウム)などが主に挙げられる。それらの確認方法としては、各生成物の結晶構造に由来する主な回折ピークが観測されることで判断できる。
例えば、ブルーシャイトでは回折角(2θ)11.0〜12.0°に(020)面ピーク、20.5〜21.5°に(−121)面ピーク、29〜30°に(−141)面ピークが存在し、ヒドロキシアパタイトでは回折角(2θ)25.5〜26.5°に(002)面ピーク、31.5〜32.5°に(121)面ピーク、32.5〜33.5°に(300)面ピークが存在する。これらのピークがバックグラウンドに対するSN比3以上の強度で明瞭に観測された場合、生成物中にはこれらの副生成物が混在していると判断される。
【0052】
また、ブルーシャイトが混在している場合、熱分析測定(TG−DTA)によっても確認することができる。具体的には、試料を昇温し、150〜250℃の間でTGが減量を示し、かつDTAの吸熱ピークが観測された場合、生成物中に混在するブルーシャイトからの脱水が起きていると判断される。
【0053】
さらに、本発明の薄片状リン酸水素カルシウム無水物は、上述のX線回折における(−320)面の回折ピークと(003)面の回折ピークの強度比I(−320)/I(003)が好ましくは1.0以下、より好ましくは0.01以上1.0以下であり、より好ましくは0.05以上0.9以下である。この強度比I(−320)/I(003)が0.01を下回った場合、形状が厚みを持った板状になり、フィラーとしての適性を欠いてしまう。一方、強度比I(−320)/I(003)が1.0を上回った場合ではアスペクト比の小さい粒状となり、寸法安定性などフィラーとしての効果が劣るものとなる。
【0054】
この強度比I(−320)/I(003)の確認方法をより具体的に説明すると、X線の線源として銅Kαを用いて下記に示す測定条件にてX線回折測定を行い、回折角(2θ)が49.0〜49.5°に現れる(−320)面ピークと、回折角(2θ)が39.5〜40.5°に現れる(003)面ピークのピーク強度比I(−320)/I(003)を求め、その値が1.0以下、特に0.2以上1.0以下であることを確認すればよい。
【0055】
なお、X線回折における、測定試料の成形方法およびX線回折測定条件は以下の通りである。
(1)試料成形方法
メノウ乳鉢と乳棒で試料を軽く粉砕する。このとき、測定粒子の凝集を解き、かつ一次粒子を粉砕しないよう、できるだけ力を加えず、乳棒の重さを利用して粉砕する。使用したメノウ乳鉢のサイズは内径80mm×外径100mm×深さ25mm(浅型)または内径80mm×外径100mm×深さ35mm(深型)で、メノウ乳棒のサイズは長さ106mm、直径24mm、重さ86gである。
試料量は成形一回につき0.03g〜0.4g程度とし、XRD測定装置に付属のサンプルホルダー(内径27.1mm×深さ2.3mm)に試料を充填する。測定粒子を意図的に配向させることのないよう、試料の裏から無反射板等をあて、軽く(60〜85gw程度)押さえて成形する。
(2)X線回折測定条件
装置名:PANalytical PW1700
X線:銅Kα
管電圧:40KV
管電流:30mA
走査速度:3.0deg./min
発散スリット:1deg.
散乱スリット:1deg.
受光スリット:0.2mm
【実施例】
【0056】
以下、本発明を実施例により、より具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に制限されるものではない。
なお、評価結果における「モネタイトの収率」とは、生成物がモネタイトの単相であった場合に、原料液から計算された理論生成量に対する、実際の生成物重量の比率を示す。
【0057】
[実施例1]
脱塩水520mlに、水酸化カルシウム7.4g(0.1モル)と、リン酸9.8g(0.1モル)と、クエン酸28.8g(0.15モル)を、40℃以下の温度条件で混合して原料液とした。原料液のpHは3.3であった。その後、攪拌装置を有する1Lオートクレーブ中に原料液を入れ、200rpmで攪拌しながら、系内を窒素で充分に置換した後、200℃に昇温した。この時の圧力は2.1MPaであった。この状態を12時間維持し、水熱合成を行った。その後、加熱を止め、室温まで冷却してから攪拌装置を停止し、白色懸濁液を抜き出した。この白色懸濁液を遠心分離して溶媒分を除去した後、脱塩水による洗浄を充分に行った。洗浄後の沈殿物をメンブレンフィルターにて加圧濾過し、100℃にて乾燥することにより白色粉末を得た。
生成物の評価結果を表1に示す。
【0058】
[実施例2]
水熱合成の反応時間を8時間にした以外の操作は、実施例1と同様に実施した。
生成物の評価結果を表1に示す。
また、得られた生成物の電子顕微鏡写真(スケール3μm)を図1に示す。
【0059】
[実施例3]
水熱合成の反応時間を2時間にした以外の操作は、実施例1と同様に実施した。
生成物の評価結果を表1に示す。
【0060】
[実施例4]
出発原料中のクエン酸の量を9.6g(0.05モル)にした以外の操作は、実施例3と同様に実施した。
生成物の評価結果を表1に示す。
【0061】
[実施例5]
脱塩水520mlに、水酸化カルシウム14.8g(0.2モル)と、リン酸19.6g(0.2モル)と、クエン酸19.2g(0.1モル)を、40℃以下の温度条件で混合して原料液とした以外の操作は、実施例3と同様に実施した。
生成物の評価結果を表1に示す。
【0062】
[実施例6]
水熱合成の反応温度を160℃にした以外の操作は、実施例2と同様に操作した。
生成物の評価結果を表1に示す。
【0063】
[実施例7]
脱塩水520mlに、水酸化カルシウム7.4g(0.1モル)と、リン酸9.8g(0.1モル)と、リンゴ酸20.1g(0.15モル)を、40℃以下の温度条件で混合して原料液とした以外の操作は、実施例2と同様に実施した。
生成物の評価結果を表1に示す。
【0064】
[実施例8]
出発原料中のリン化合物として、リン酸9.8g(0.1モル)の代わりに、リン酸6.9g(0.07モル)とモノフェニルリン酸5.2g(0.03モル)を用いた以外の操作は、実施例4と同様に実施した。
生成物の評価結果を表1に示す。
【0065】
[比較例1]
脱塩水520mlに、水酸化カルシウム7.4g(0.1モル)と、リン酸9.8g(0.1モル)と、アジピン酸21.9g(0.15モル)を、40℃以下の温度条件で混合して原料液とした。原料液のpHは4.4であった。その後、攪拌装置を有する1Lオートクレーブ中に原料液を入れ、200rpmで攪拌しながら、系内を窒素で充分に置換した後、200℃に昇温した。この時の圧力は2.1MPaであった。この状態を8時間維持し、水熱合成を行った。その後、加熱を止め、室温まで冷却してから攪拌装置を停止し、白色懸濁液を抜き出した。この白色懸濁液を遠心分離して溶媒分を除去した後、脱塩水による洗浄を充分に行った。洗浄後の沈殿物をメンブレンフィルターにて加圧濾過し、100℃にて乾燥することにより白色粉末を得た。
生成物の評価結果を表2に示す。
【0066】
[比較例2]
脱塩水534mlに、炭酸カルシウム8.0g(0.08モル)と、リン酸トリメチル11.7g(0.08モル)と、アジピン酸22.4g(0.16モル)を、40℃以下の温度条件で混合して原料液とし、また水熱合成時の反応時間を24時間とした以外は比較例1と同様に実施した。
生成物の評価結果を表2に示す。
また、生成物の電子顕微鏡写真(スケール100μm)を図2に示す。
【0067】
[比較例3]
脱塩水300mlに、水酸化カルシウム19.2g(0.26モル)と、リン酸二水素カルシウム一水和物(Ca(HPO・HO)75.0g(0.30モル)および乳酸36.2g(0.40モル)を、40℃以下の温度条件で混合して原料液とした。原料液のpHは2.9であった。その後、攪拌装置を有する1Lオートクレーブ中に原料液を入れ、200rpmで攪拌しながら、系内を窒素で充分に置換した後、200℃に昇温した。この時の圧力は2.1MPaであった。この状態を4時間維持し、水熱合成を行った。その後、加熱を止め、室温まで冷却してから攪拌装置を停止し、白色懸濁液を抜き出した。この白色懸濁液を遠心分離して溶媒分を除去した後、脱塩水による洗浄を充分に行った。洗浄後の沈殿物をメンブレンフィルターにて加圧濾過し、100℃にて乾燥することにより白色粉末を得た。
生成物の評価結果を表2に示す。
【0068】
[比較例4]
脱塩水27.5mlに、水酸化カルシウム3.63g(0.49モル)を加えて30分攪拌した溶液に、脱塩水50mlにクエン酸0.94gを加えて溶解した溶液を、室温〜40℃で攪拌しながらリン酸5.30gと共に30分間で同時に添加した。そして30分間攪拌を続行した後、この溶液を還流下にて95℃まで昇温し、3時間攪拌後、加熱を止め、室温まで冷却してから攪拌装置を停止し、白色懸濁液を抜き出した。この白色懸濁液を遠心分離して溶媒分を除去した後、脱塩水による洗浄を充分に行った。洗浄後の沈殿物をメンブレンフィルターにて加圧濾過し、110℃にて乾燥することにより白色粉末を得た。
生成物の評価結果を表2に示す。
【0069】
[比較例5]
脱塩水100mlに、リン酸水素カルシウム二水和物12.4g(0.072モル)を添加して攪拌した。この溶液にクエン酸0.18g(0.00093モル)を添加し、攪拌しながら還流下にて95℃まで昇温し、1時間攪拌後、加熱を止め、室温まで冷却してから攪拌装置を停止し、白色懸濁液を抜き出した。この白色懸濁液を遠心分離して溶媒分を除去した後、脱塩水による洗浄を充分に行った。洗浄後の沈殿物をメンブレンフィルターにて加圧濾過し、110℃にて乾燥することにより白色粉末を得た。
生成物の評価結果を表2に示す。
【0070】
[比較例6]
脱塩水100mlに、リン酸水素カルシウム二水和物12.4g(0.072モル)を添加し、攪拌した。この溶液にクエン酸1.38g(0.0072モル)を添加し、攪拌しながら還流下にて95℃まで昇温し、3時間攪拌後、加熱を止め、室温まで冷却してから攪拌装置を停止し、白色懸濁液を抜き出した。この白色懸濁液を遠心分離して溶媒分を除去した後、脱塩水による洗浄を充分に行った。洗浄後の沈殿物をメンブレンフィルターにて加圧濾過し、110℃にて乾燥することにより白色粉末を得た。
生成物の評価結果を表2に示す。
【0071】
[比較例7]
脱塩水40mlに、塩化カルシウム二水和物1.62g(0.011モル)と、マレイン酸1.16g(0.01モル)を添加して攪拌溶解させた(溶液Aとする)。次に脱塩水1.5mlにリン酸水素ナトリウム0.84g(0.007モル)と1%カゼインナトリウム溶液10mlを攪拌溶解させた(溶液Bとする)。これらの溶液Aと溶液Bを同時に混合して30分攪拌した後、一晩静置した。この混合液にエタノール200mlを添加した後、さらに16時間静置した。静置後の溶液を遠心分離して溶媒分を除去した後、エタノール500mlを添加して再び遠心分離し、さらに脱塩水で溶媒置換を行って洗浄を充分に行った。洗浄後の沈殿物をメンブレンフィルターにて加圧濾過し、100℃にて乾燥することにより白色粉末を得た。
生成物の評価結果を表2に示す。
【0072】
【表1】

【0073】
【表2】

【0074】
以上の結果から、本発明によれば、微細でかつ高アスペクト比の薄片状リン酸水素カルシウム無水物を単相として効率的に合成することができることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】実施例2で得られた薄片状リン酸水素カルシウム無水物の電子顕微鏡写真(スケール3μm)である。
【図2】比較例2で得られた板状リン酸水素カルシウム無水物の電子顕微鏡写真(スケール100μm)である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
形状が薄片状であり、モネタイト(CaHPO)の単相と実質的にみなされる薄片状リン酸水素カルシウム無水物。
【請求項2】
一次粒子の平均厚み(d)が0.3μm以下であり、かつ平均アスペクト比(L/d)が5以上であることを特徴とする請求項1に記載の薄片状リン酸水素カルシウム無水物。
【請求項3】
X線回折測定において、(−320)面の回折ピークと(003)面の回折ピークの強度比I(−320)/I(003)が1.0以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の薄片状リン酸水素カルシウム無水物。
【請求項4】
レーザー回折/散乱方式粒度分布装置を使用した粒度分布測定における粒子径d50(メジアン径)が0.1μm以上10μm以下であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の薄片状リン酸水素カルシウム無水物。
【請求項5】
原料として(A)リンとカルシウムとのモル比(P/Ca)が0.1以下のカルシウム化合物および(B)リン化合物を用い、(C)ヒドロキシ酸の存在下において、(D)水および親水性有機溶媒の中から選ばれた少なくとも1種からなる溶媒中にて、加圧条件下で水熱合成することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の薄片状リン酸水素カルシウム無水物の製造方法。
【請求項6】
水熱合成時の温度が120℃以上である請求項5に記載の薄片状リン酸水素カルシウム無水物の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2009−29693(P2009−29693A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−157407(P2008−157407)
【出願日】平成20年6月17日(2008.6.17)
【出願人】(000005968)三菱化学株式会社 (4,356)
【出願人】(304021417)国立大学法人東京工業大学 (1,821)