説明

薄肉ボトル容器

【課題】内部の減圧による変形を目立たなくして外観が損なわれないようにすることができると共に、胴部を把持した力による変形を効果的に抑制することができる薄肉ボトル容器を提供する。
【解決手段】容器の本体部11が、対向する一対の第1パネル面16と、これらの一対の第1パネル面16の側縁部16a間に挟まれて配置される対向する一対の第2パネル面17とを含んでおり、一対の第1パネル面16を両側から把持して用いる合成樹脂製の薄肉ボトル容器10であって、一対の第1パネル面16は、各々、容器10の外側に凸に湾曲して滑らかに連続する一枚の湾曲凸面18を形成しており、一対の第2パネル面17は、容器10の内側に凸に湾曲して滑らかに連続する一枚の湾曲凹面19を形成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄肉ボトル容器に関し、特に容器の本体部が、一対の第1パネル面と一対の第2パネル面とを含んで構成される合成樹脂製の薄肉ボトル容器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば洗剤や食品等の各種の液体を内容物として収納する、合成樹脂製のボトル容器においても、環境負荷の低減が図られるようになっており、使用する樹脂量を減らした薄肉ボトル容器が種々開発されている(例えば、特許文献1参照)。また、CO2の排出量を鑑みて、薄肉ボトル容器を構成する合成樹脂として一般に用いられていたポリエチレンテレフタレートや塩化ビニルに代えて、ポリプロピレンやポリエチレンを用いた薄肉ボトル容器も種々開発されている。
【0003】
一方、ポリプロピレンやポリエチレンを用いた薄肉ボトル容器では、保形剛性が低いため、例えば充填された液体による容器内部に残存する空気中の酸素吸収や、液体の充填時と使用時との温度差等によって、容易の内部が減圧すると、これの影響を受けて変形することにより、外観を損ないやすい。
【0004】
このようなことから、変形吸収用のパネル部を設けたり、容器胴部の曲率半径と肉厚との関係をコントロールすることで、容器の内部の減圧によって外観が損われないようにした薄肉ボトル容器も種々開発されている(例えば、特許文献2、特許文献3参照)。また、薄肉ボトル容器の胴部に凹溝や凸リブを設けて補強することで、保形剛性を向上させることも行われている(例えば、特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−348960号公報
【特許文献2】特開2001−100419号公報
【特許文献3】特開2003−226316号公報
【特許文献4】特許第3819207号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来の薄肉ボトル容器では、外観が損われないようにしたり、胴部の保形剛性を向上させる工夫がなされているが、容器の使用形態によっては、保形剛性が十分ではない場合がある。例えば、詰め替え用の液体を充填した詰替え容器として薄肉ボトル容器を用いる場合、例えば容器の胴部を把持したままの状態で、口首部に装着されたキャップを開放すると、密封されていた内部の圧力が開放されて把持した胴部がさらに変形し易くなることで、把持力によって圧縮変形されて容積が減少することにより、口首部の上端流出口から充填した液体を不用意に溢れ出させることがある。
【0007】
本発明は、内部の減圧による変形を目立たなくして外観が損なわれないようにすることができると共に、胴部を把持した際の把持力による変形を効果的に抑制することのできる薄肉ボトル容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、容器の本体部が、対向する一対の第1パネル面と、該一対の第1パネル面の側縁部間に挟まれて配置される対向する一対の第2パネル面とを含んでいる薄肉ボトル容器であって、前記一対の第1パネル面は、各々、容器の外側に凸に湾曲して滑らかに連続する一枚の湾曲凸面を形成しており、前記一対の第2パネル面は、各々、容器の内側に凸に湾曲して滑らかに連続する一枚の湾曲凹面を形成している薄肉ボトル容器を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の薄肉ボトル容器によれば、内部の減圧による変形を目立たなくして外観が損なわれないようにすることができると共に、胴部を把持した力による変形を効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の好ましい一実施形態に係る薄肉ボトル容器の斜視図である。
【図2】本発明の好ましい一実施形態に係る薄肉ボトル容器の(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は上面図、(d)は底面図である。
【図3】薄肉ボトル容器の好ましい他の形態を例示する斜視図である。
【図4】薄肉ボトル容器の好ましい他の形態を例示する、(a)は斜視図、(b)正面図、(c)は側面図である。
【図5】比較例1の薄肉ボトル容器の斜視図である。
【図6】FEMによる解析結果の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1に示す本発明の好ましい一実施形態に係る薄肉ボトル容器10は、内容物として例えば詰替え用の液体洗剤を充填収容した詰替え容器として用いられる。本実施形態の薄肉ボトル容器10は、液体の充填時と液体が封入されて製品化された後の陳列時との温度差や、液体洗剤に含まれる界面活性剤が容器10の内部に残存する空気中の酸素を吸収すること等によって、封止された容器10の内部が減圧された際に、このような内部の減圧による変形を効果的に吸収して、外観が損なわれないようにする機能を備える。また、実施形態の薄肉ボトル容器10は、当該容器10を把持した際の把持力等による外力によって、容器が変形するのを効果的に抑制して、例えば容器10を把持したままの状態で、容器10を封止するキャップ(図示せず)を開放した際に、容器が圧縮変形することで容積が減少して、口首部26の上端流出口26aから充填した液体が不用意に溢れ出ないようにする機能を備える。
【0012】
すなわち、本実施形態の薄肉ボトル容器10は、図2(a)〜(d)にも示すように、容器の本体部11が、対向する一対の第1パネル面16と、これらの一対の第1パネル面16の側縁部16a間に挟まれて配置される対向する一対の第2パネル面17とを含んでおり、一対の第1パネル面16を両側から把持して用いる合成樹脂製のボトル容器であって、一対の第1パネル面16は、各々、容器10の外側に凸に湾曲して滑らかに連続する一枚の湾曲凸面18を形成しており、一対の第2パネル面17は、容器10の内側に凸に湾曲して滑らかに連続する一枚の湾曲凹面19を形成している。第1パネル面16の湾曲凸面18と第2パネル面17の湾曲凹面19によって、容器10の本体部11が変形し難いようにしている。
【0013】
また、本実施液形態では、第1パネル面16は正面パネル面となっており、前記第2パネル面は側面パネル面となっている。
【0014】
さらに、本実施形態では、薄肉ボトル容器10は、好ましくはポリエチレンテレフタレートや塩化ビニルと比較してCO2の排出量が少ない合成樹脂として、例えばポロプロピレンやポリエチレン(高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン)を使用し、例えばダイレクトブロー成形や延伸ブロー成形によって成形される。さらに、薄肉ボトル容器10は、合成樹脂の樹脂量が、好ましくは容器の内容量に対して2.0〜5.0g/100mlとなっていて、薄肉に形成されると共に、例えば200〜800cc程度の内容量を備えている。
【0015】
本実施形態では、薄肉ボトル容器10は、本体部11と口首部26とからなり、本体部11は、口首部26が突出する肩部12と、自立載置部13を形成する底部14と、これらの間の胴部15とによって構成される。ここで、本体部11の肩部12は、口首部26の基端部から下方に向けて末広がりに拡径して広がる部分であり、外に凸の領域で見た時に、口首部26の基端部から本体部11の高さの30%の高さ領域の部分とすることができる。
【0016】
本体部11の底部14は、被載置面への載置部を構成する部分から上方に向けて拡径して広がる部分であり、載置部から本体部11の高さの30%の高さ領域の部分とすることができる。また凸面の傾きの変化点が大きいところを境に肩部、胴部、底部と分けることもできる。(変化点が、複数ある場合は、中心に近いところを境に分けることができる。)
【0017】
本実施形態では、薄肉ボトル容器10の肩部12は、胴部15の上方に連続して本体部11の上端部分を構成するドーム形状を備える部分であり、容器10の中心軸方向と垂直な横断形状が楕円形又は略楕円形となっている。肩部12には、当該肩部12の上端中央部分から上方に突出して、円筒形状の口首部26が一体として設けられている。口首部26には、封止用のキャップ(図示せず)が、外周面に形成した雄ネジ突条(図示せず)等を介して着脱可能に装着される。
【0018】
また、肩部12は、当該肩部12への口首部26の接合基端部26bから、下方に向けて楕円形又は略楕円形の横断形状を滑らかに連続して拡径することで、ドーム形状の湾曲外周面を形成する。本実施形態では、肩部12は、容器10の表裏一対の正面部に設けられたラベル貼着境界案内線20を挟んだ上方部分を当該肩部12として、これの下方部分の胴部15と連続する。
【0019】
なお、本実施形態では、胴部15との境界部分であるラベル貼付境界案内線20に沿った肩部12の下端部における楕円形又は略楕円形の横断形状は、後述する側面パネル面17の食い込み部分によって両側端部を切り欠く前の仮想の横断形状(図2(d)の点線参照)において、最大の曲率半径R2と、最小の曲率半径R1との比R1/R2が、1/4以下となっていることが好ましい。最大の曲率半径R2と、最小の曲率半径R1との比R1/R2が、1/4以下となっていることにより、正面パネルを強く把持した際の、正面パネルの凹みを抑制することが可能になる。
【0020】
薄肉ボトル容器10の底部14は、胴部15の下方に連続して容器の下端部分を構成する部分であり、本実施形態では、図2(d)に示すように、肩部12の楕円形又は略楕円形の横断形状と略相似の、楕円形又は略楕円形の横断形状を備える。また、底部14の底面14aには、中央部分が陥没部14bとして陥没すると共に、陥没部14bの外側の楕円環状の帯状部分に、同心状に配置された一対の楕円環状リブ21が、下方に突出して設けられていることで、自立載置部13が形成される。この底面14aの自立載置部13によって、薄肉ボトル容器10を陳列棚等の被載置面に載置した際に、安定した状態で自立させことが可能になる。
【0021】
また、本実施形態では、底部14には、図1及び図2(a)に示すように、容器10の表裏一対の正面部に設けられた段差稜線22が、設けられている。段差稜線22は、ラベル取付面としても機能する胴部15の正面パネル面16よりも、底部14の正面部が外側に配置されるように例えば0.5〜2.0mm程度の深さh(図2(b)参照)の段差を形成するために設けられたものである。底部14の正面部が、段差稜線22を介して胴部15の正面パネル面16よりも外側に、オフセット面として配置されることで、例えば容器10の梱包時に複数の容器10が互いに密着して配置された際に、オフセット面同士を当接させてラベル取付面同士を接触させないことで、貼着されたラベルが擦れ合って損傷するのを効果的に回避することが可能になる。
【0022】
さらに、本実施形態では、底部14の段差稜線22に沿った部分の最も外側に配置される中央部には、底面14aに対して垂直又は略垂直な面に沿って平坦に面取りされたフラット当接面23が設けられている。底部14の正面部の最も外側に配置される部分にフラット当接面23が設けられていることにより、例えば容器の製造ライン上や、充填ライン上や、梱包時において、隣接する容器10のフラット当接面23同士を当接させることで、容器10が回転して整列した状態が乱れるのを効果的に回避することが可能になる。
【0023】
さらにまた、本実施形態では、段差稜線22は、容器10の表裏一対の正面方向から見て下方に凸のU字形状に延設すると共に、後述する胴部15の正面パネル面16の湾曲凸面18に沿って、容器10の横断方向にも湾曲することで、単一2次元平面にない3次元形状に湾曲して延設している。段差稜線22が3次元形状に湾曲して延設していることにより、段差稜線22の部分で容器10が変形しやすくなるのを、効果的に回避することが可能になる。
【0024】
そして、本実施形態では、薄肉ボトル容器10の胴部15は、図1及び図2(a),(b)に示すように、対向する一対の正面パネル面16と、これらの一対の正面パネル面16の側縁部16a間に挟まれて配置される対向する一対の側面パネル面17とを含んで構成される。
【0025】
一対の正面パネル面16は、図2(a)に示す薄肉ボトル容器10の正面部において、ラベル貼着境界案内線20と段差稜線22とによって上下を区画されて、上方の肩部12と下方の底部14との間に挟まれる部分である。正面パネル面16は、下辺が段差稜線22に沿って湾曲すると共に、両側の側辺が、一対の側面パネル面17の湾曲凹面19の湾曲形状に沿って湾曲する、略縦長矩形の正面形状を備える。
【0026】
また、正面パネル面16は、容器10の外側に凸に湾曲して滑らかに連続する一枚の湾曲凸面18を形成しており、本実施形態では、この湾曲凸面18は、正面パネル面16の幅方向の横断面においてのみ外側に凸に湾曲する、2次曲面となっている。正面パネル面16の湾曲凸面18が2次曲面となっていることにより、正面パネル面16をラベル取付面として、装着したり貼着したりすることで、ラベルを容易に取り付けることが可能になる。ラベルは、タックラベル、巻きラベル、シュリンクラベル等、種々のものを用いて取り付けることができ、またプラスチック製や紙製のラベルを用いることができる。
【0027】
さらに、正面パネル面16の湾曲凸面18は、ラベル貼着境界案内線20に沿った肩部12の下端部における正面部分の曲率半径と略同様の、幅方向の横断面における曲率半径が例えば20〜60mm、好ましくは30〜45mm、特に好ましくは35〜45mmの湾曲面となっている。
【0028】
ここで、湾曲凸面18の曲率半径が大き過ぎると、把持したままキャップを開けると液が不用意にあふれ出るという不具合が生じることになり、小さ過ぎると、商品情報を提供するラベルを貼る正面の面積の確保が困難になるという不具合が生じることになる。また、湾曲凸面18の曲率半径を30〜50mmとすることで、変形し難くなることと、ラベルを貼る面積を十分に確保できることとの両立を図ることが可能になる。
【0029】
一対の側面パネル面17は、図1及び図2(b)に示すように、薄肉ボトル容器10の側面部において、表裏一対の正面パネル面16の両側の側縁部16aの間に各々挟まれて設けられる。側面パネル面17は、偏平な縦長の略楕円形状を備えており、その両側の側縁部17aが接続稜線24を介して正面パネル面16の側縁部16aに各々接続している。また、側面パネル面17の上端部のU字状縁部17bが、ラベル貼着境界案内線20を越えて、胴部15から肩部12に食い込んで配置されると共に、側面パネル面17の下端部のU字状縁部17cが、段差稜線22を越えて、胴部15から肩部12に食い込んで配置される。これらによって、側面パネル面17は、胴部15から肩部12及び底部14に食い込んで設けられる。側面パネル面17が胴部15から肩部12及び底部14に食い込んで設けられていることにより、肩部12及び底部14の角部が薄肉になって変形しやすくなることを防ぐ効果がある(ブロー成形の際、薄肉になるのを防ぐことが可能になる。)。
【0030】
また、側面パネル面17は、容器10の内側に凸に湾曲して滑らかに連続する一枚の湾曲凹面19を形成しており、本実施形態では、この湾曲凹面19は、側面パネル面17の高さ方向の縦断面においてのみ、例えば700〜1100mmの曲率半径で内側に凸に湾曲する2次曲面となっている。なお、この湾曲凹面19は、側面パネル面17の幅方向の横断面においてのみ、例えば150〜300mmの曲率半径で内側に凸に湾曲する2次曲面とすることもできる。側面パネル面17の高さ方向の縦断面及び幅方向の横断面の双方において内側に凸に湾曲する3次曲面とすることもできる。側面パネル面17を3次曲面とすることにより、側面パネル面17によって内部の減圧による変形を吸収する機能や、外部からの荷重による変形を抑制する機能を、さらに効果的に発揮させることが可能になる。
【0031】
さらに、本実施形態では、側面パネル面17の最も外側に配置される、肩部12に食い込んだ部分の上端部と、底部14に食い込んだ部分の下端部には、底部14の底面14aに対して垂直又は略垂直な面に沿って平坦に面取りされた、フラット当接面25が設けられている。容器10の側面部の最も外側に配置される部分にフラット当接面25が設けられていることにより、上述の底部14の正面部に設けられたフラット当接面23と同様に、隣接する容器10のフラット当接面25同士を当接させることで、容器10が回転して整列した状態が乱れるのを効果的に回避することが可能になる。
【0032】
そして、上述の構成を備える本実施形態の薄肉ボトル容器10によれば、内部の減圧による変形を目立たなくして外観が損なわれないようにすることができると共に、胴部15を把持した力による変形を効果的に抑制することができる。
【0033】
すなわち、本実施形態によれば、容器10の胴部15は、対向する一対の正面パネル面16と、これらの側縁部16aの間に挟まれて配置される対向する一対の側面パネル面17とを含んでおり、一対の正面パネル面16は、各々、容器10の外側に凸に湾曲して滑らかに連続する一枚の湾曲凸面18を形成しており、一対の側面パネル面は、容器10の内側に凸に湾曲して滑らかに連続する一枚の湾曲凹面19を形成している。したがって、一対の側面パネル面17の内側に凸に湾曲する湾曲凹面19は、内側に引き込まれる力を受けてさらに内側に湾曲し易い形状となっているので、例えば液体洗剤の充填時と液体洗剤が封入されて製品化された後の陳列時との温度差や、液体洗剤に含まれる界面活性剤が容器10の内部に残存する空気中の酸素を吸収すること等によって、封止された容器10の内部が減圧された際に、このような内部の減圧による変形を、側面パネル面17の変形によって積極的に吸収することで、大きな面積の正面部を構成する正面パネル面16には変形が及ばないようして、容易に外観が損なわれないようにすることが可能になる。
【0034】
また、本実施形態によれば、容器10の胴部15は、一対の正面パネル面16と一対の側面パネル面17とからなる偏平な横断面形状を備えていることで、使用者は、一対の正面パネル面16を両側から把持して使用するように誘導される。そして、一対の正面パネル面16は、外側に凸に湾曲する湾曲凸面18を形成していることで、外側からの把持力に対して、平坦に変形しないように効果的に抵抗すると共に、一対の側面パネル面17は、内側に凸に湾曲する湾曲凹面19を形成していることで、正面パネル面16への把持力によって内部の液体洗剤を介して負荷される、内側からの加圧力に対して、平坦に変形しないように効果的に抵抗することになる。したがって、これらの正面パネル面16による把持力に対する抵抗力と、側面パネル面17による把持力に対する抵抗力との相乗効果によって、胴部15の保形剛性を効率良く発揮させて、容器10がポロプロピレンやポリエチレンを使用して形成されたものであっても、胴部15を把持した力による変形を効果的に抑制することが可能になる。
【0035】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、薄肉ボトル容器は、CO2の排出量が少ない合成樹脂として、石油由来のポリプロピレンやポリエチレンの他、バイオマスプラスチック(ポリプロピレン、ポリエチレン)等を用いて形成できる他、ポリエチレンテレフタレートや塩化ビニル等を用いて形成することもできる。また、薄肉ボトル容器に収納される液体は、液体洗剤の他、食品や化粧、薬品等の、その他の種々の液体であっても良い。さらに、正面パネル面によって形成される湾曲凸面は、高さ方向の縦断面及び/又は幅方向の横断面において凸状に湾曲する湾曲凸面とすることもできる。さらにまた、図3に示すように、段差稜線30を、肩部12と胴部15との接続部分に設けることもできる。図4(a)〜(c)に示すような形状の薄肉ボトル容器とすることもできる。凹溝や凸リブを適宜設けて補強することで、保形剛性を向上させるようにすることできる。凸リブは、肩部、底部、正面パネル部(第1パネル面)、側面パネル部(第2パネル面)、フラット当接面等に設けることができる。
【0036】
本発明は、本体部断面が、四面体以外の、例えば多面体の場合にも応用できる。
【実施例】
【0037】
以下、実施例及び比較例により、本発明の薄肉ボトル容器をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0038】
〔実施例1、比較例1〕
上記実施形態と同様の構成を備える薄肉ボトル容器を実施例1の薄肉ボトル容器とした。正面パネル面や側面パネル面に湾曲凸面やの湾曲凹面を備えていない、図5に示す薄肉ボトル容器を比較例1の薄肉ボトル容器とした。実施例1の薄肉ボトル容器及び比較例1の薄肉ボトル容器について、以下のようなFEM解析によって、把持した際の樹脂量と最大変位との関係を解析した。解析結果を図6に示す。
【0039】
〔解析方法〕
市販のFEM解析プログラム「SolidWorks」(ダッソー・システムズ・ソリッドワークス社製)を用いて、実施例1の薄肉ボトル容器及び比較例1の薄肉ボトル容器の3次元モデルを作成した。「SolidWorks Simulation」にて容器の胴部を棒(指の代用)によって所定の荷重によって押す解析を行った。棒は、前後以外の動きを規制し、支持方向のみに移動可能とした。また、3次元モデルは半分で対称形状である拘束条件を与えた。
【0040】
図6に示す解析結果によれば、本発明に係る実施例1の薄肉ボトル容器によれば、把持した際の変形を効果的の抑制できることが判明する。
【符号の説明】
【0041】
10 薄肉ボトル容器
11 本体部
12 肩部
13 自立載置部
14 底部
14a 底面
15 胴部
16 正面パネル面(第1パネル面)
16a 側縁部
17 側面パネル面(第2パネル面)
17a 側縁部
17b,17c U字状縁部
18 湾曲凸面
19 湾曲凹面
20 ラベル貼着境界案内線
21 楕円環状リブ
22 段差稜線
23,25 フラット当接面
24,30 接続稜線
26 口首部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の本体部が、対向する一対の第1パネル面と、該一対の第1パネル面の側縁部間に挟まれて配置される対向する一対の第2パネル面とを含んでいる薄肉ボトル容器であって、
前記一対の第1パネル面は、各々、容器の外側に凸に湾曲して滑らかに連続する一枚の湾曲凸面を形成しており、前記一対の第2パネル面は、各々、容器の内側に凸に湾曲して滑らかに連続する一枚の湾曲凹面を形成している薄肉ボトル容器。
【請求項2】
前記第2パネル面によって形成される湾曲凹面は、高さ方向の縦断面及び/又は幅方向の横断面において凹状に湾曲する湾曲凹面となっている請求項1記載の薄肉ボトル容器。
【請求項3】
前記本体部は、肩部、胴部、及び底部から構成され、前記第2パネル面は、前記胴部から前記肩部及び/又は前記底部に食い込んで設けられている請求項1又は2記載の薄肉ボトル容器。
【請求項4】
前記第1パネル面によって形成される湾曲凸面は、高さ方向の縦断面及び/又は幅方向の横断面において凸状に湾曲する湾曲凸面となっている請求項1〜3の何れか1項記載の薄肉ボトル容器。
【請求項5】
前記容器を構成する合成樹脂は、ポリプロピレン、ポリエチレン又はポリエチレンテレフタレートである請求項1〜4の何れか1項記載の薄肉ボトル容器。
【請求項6】
前記合成樹脂の樹脂量が、容器の内容量に対して2.0〜5.0g/100mlである請求項1〜5の何れか1項記載の薄肉ボトル容器。
【請求項7】
前記第1パネル面によって形成される湾曲凸面は、幅方向の横断面における曲率半径が30〜45mmの湾曲面となっている請求項1〜6の何れか1項記載の薄肉ボトル容器。
【請求項8】
前記第1パネル面によって形成される湾曲凸面は、二次曲面となっている請求項1〜7の何れか1項記載の薄肉ボトル容器。
【請求項9】
前記第1パネル面に、段差稜線が設けられており、該段差稜線が、3次元形状に湾曲して延設している請求項1〜8のいずれか1項記載の薄肉ボトル容器。
【請求項10】
前記第1パネル面が正面パネル面であり、前記第2パネル面が側面パネル面である請求項1〜9のいずれか1項記載の薄肉ボトル容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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