説明

薄膜トランジスタ液晶ディスプレイ用孔隙形成光拡散シート

【課題】全光線透過率及び光拡散性に非常に優れるため、薄膜トランジスタ液晶ディスプレイ(TFT−LCD)用バックライトユニットの光効率を向上させる光学材料として有用に使用可能な、光拡散シートを提供する。
【解決手段】合成樹脂及び有機粒子または無機粒子からなり、前記有機粒子または無機粒子の周辺に孔隙が形成された基材シートと、前記基材シートの一面に積層された光拡散層と、前記基材シートの他面に積層されたブロッキング防止層とを含んでなる、光拡散シートを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜トランジスタ液晶ディスプレイ(TFT−LCD)バックライトユニット(back light unit)用光拡散シートに係り、より詳しくは、光拡散シートの基材シートに有機粒子または無機粒子が内包されて前記粒子の周辺に孔隙が形成され、基材シートを通過する光線が孔隙を通過して光透過度及び光拡散度が向上した光拡散シートに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイは、超薄型に製作可能な低消費電力、低発熱及び高鮮明の画像出力装置であって、最近、産業各分野の画像表示装置として脚光を浴びている。ところが、このような液晶を用いたディスプレイ方式は、他の平板ディスプレイ方式とは異なり、液晶自体が非発光素材なので、ディスプレイ画面の明るさを向上させるために追加的な発光装置を必要とする。
【0003】
前記追加的な発光装置としては、フロントライト方式の発光装置とバックライト方式の発光装置などがある。前記フロントライト方式は、ディスプレイの前面または前面側方部に光源を取り付けてディスプレイの表面を照光する方式であるが、ディスプレイが大型化するにつれて、光をディスプレイの前面に均一に分散させることが極めて難しい技術上の問題点があり、ディスプレイの前面側方部にさらに付加される装置により、ディスプレイの外観デザインに制約が伴うという問題点がある。
【0004】
これに対し、前記バックライト方式は、ディスプレイ素子の背面に取り付けられたバックライトユニットの光源から発生する光を導光板を介して反対側にまで達するようにし、金属蒸着板または不透明白色板のような反射板に反射させ、前面に光が出射されるようにして、ディスプレイ画面の明るさを向上させる間接照明方式であって、前記フロントライト方式における問題点を解消することが可能な発光方式である。このようなバックライト方式において、画像の明るさ増大のためのバックライトユニット光源数の増加は、消費電力と発熱量の増大に繋がるので、最小の消費電力により最大の光効率を実現する必要がある。これに関連した公知の技術として最も注目されているものは、基材シートの少なくとも一面に光拡散層を形成させた光拡散シートを製造して、光源から発散した光を液晶駆動部に伝達する方式を挙げることができる。したがって、光拡散シートにおいて、基材シートの表面に形成させた光拡散層の効率的設計とそれによる機能向上が関鍵となってきた。
【0005】
前記光拡散シートと関連し、特許文献1には、ビードの混入された合成樹脂層からなる光拡散層が基本材料シートの表面に形成された光拡散シートを開示しており、特許文献2及び特許文献3には、光効率性及び輝度向上のために、透明プラスチックシート基材上に有機粒子を透明な樹脂で形成する方式を開示している。ところが、従来の技術の如く、光拡散層に適用可能な樹脂と粒子の組み合わせを変更する方法だけでは、持続的向上が要求される液晶表示装置の高輝度及び高遮蔽性、すなわち向上した全光線透過率及び光拡散性の達成には実質的に困難さがあった。
【特許文献1】韓国特許出願第1992−14087号明細書
【特許文献2】韓国特許出願第1996−38912号明細書
【特許文献3】特開平7−174909号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明者は、かかる従来の技術の問題点を解決するために研究したところ、光拡散シートのうち、基材フィルム製造の際に有機粒子または無機粒子を基材フィルムの主材料である合成樹脂に内包させて前記有機粒子または無機粒子の周辺に孔隙を形成させ、このような孔隙により光透過率及び光拡散性が向上した光拡散シートを得ることができることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
本発明の目的は、光透過率及び光拡散性が向上した薄膜トランジスタ液晶ディスプレイ用光拡散シートを提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、基材シート内に有機粒子または無機粒子が内包されて前記粒子の周辺に孔隙が形成され、光透過率及び光拡散性が向上した光拡散シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、合成樹脂及び有機粒子または無機粒子からなり、前記有機粒子または無機粒子の周辺に孔隙が形成された基材シートと、前記基材シートの一面に積層された光拡散層と、前記基材シートの他面に積層されたブロッキング防止層と、を含んでなることを特徴とする、光拡散シートを提供する。
【0010】
前記光拡散シートに形成された孔隙は、下記数式1を満足する。
【0011】
【数1】

【0012】
前記孔隙が形成された基材シートは、製造の際に合成樹脂に有機粒子または無機粒子を内包させるが、縦方向3〜5及び横方向4〜6の延伸比で延伸し、220〜230℃で熱固定させて製造される。
【0013】
前記において、有機粒子は、アクリル樹脂、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリアミド及びポリメチルメタクリレートよりなる群から選択された少なくとも1種であり、無機粒子は、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、二酸化ケイ素、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、粘土、リン酸カルシウム及びガラスビードよりなる群から選択された少なくとも1種である。
【0014】
前記光拡散シートにおいて、光拡散層は、熱硬化性樹脂からなる光拡散樹脂100重量部に対し、光拡散粒子0.1〜50重量部で製造される。光拡散層の好ましい厚さは0.2〜500μmである。
【0015】
前記光拡散シートにおいて、ブロッキング防止層は、熱硬化性樹脂からなるブロッキング防止樹脂100重量部に対し、ブロッキング防止粒子0.01〜500重量部で製造される。ブロッキング防止層は、0.1〜100μmの厚さを持つ。
【0016】
前記光拡散樹脂またはブロッキング防止樹脂として用いられる熱硬化性樹脂は、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ウレタン樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン、フッ素系樹脂、シリコン系樹脂及びポリアミドイミドよりなる群から選択された少なくとも1種である。
【0017】
また、前記光拡散粒子または前記ブロッキング防止粒子は、アクリル樹脂、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリアミド及びポリメチルメタクリレートよりなる群から選択されたいずれか1種を使用することが好ましく、球形である。
【発明の効果】
【0018】
本発明の孔隙形成光拡散シートは、全光線透過率及び光拡散性に非常に優れるため、薄膜トランジスタ液晶ディスプレイ(TFT−LCD)用バックライトユニットの光効率を向上させる光学材料として有用に使用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明についてより詳細に説明する。
【0020】
本発明の光拡散シート(図1中では符号1)は、例えば図1に示すように、合成樹脂からなる基材シート2と、前記基材シートの一面に積層された光拡散層3と、前記基材シートの他面に積層されたブロッキング防止層4とを含んでなる。前記基材シートは、合成樹脂以外に有機または無機粒子8を内包し、前記有機または無機粒子の周辺に孔隙(図1,2中では符号7)が形成されている。
【0021】
本発明の基材シート2は、光源から発散した光線を透過させるときにさらに有利な、光透過性に優れた合成樹脂を使用する。この際、合成樹脂は、特に限定されるものではないが、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリオレフィン、セルロースアセテートよりなる群から選択されたいずれか1種を使用することが好ましい。
【0022】
基材シート2の厚さは、特に限定されるものではないが、10〜500μmが好ましく、さらに好ましくは75〜250μmである。この際、前記基材シート2の厚さが10μm未満であれば、光拡散層3を形成する樹脂組成物によってカール(curl)が発生し易く、前記基材シート2の厚さが500μm超過であれば、液晶表示装置の輝度が低下し、バックライトユニットの厚さが大きくなるため、液晶表示装置の薄型化の要求に不適である。
【0023】
この際、基材シート2は、前記合成樹脂以外に有機粒子または無機粒子8を内包し、前記有機粒子または前記無機粒子の周辺に特定サイズの孔隙7が形成される。
【0024】
前記無機粒子としては、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、二酸化ケイ素、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、リン酸カルシウム、粘土及びガラスビードよりなる群から選択された少なくとも1種を使用することが好ましい。前記有機粒子としては、アクリル樹脂、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリアミド及びポリメチルメタクリレートよりなる群から選択された少なくとも1種を使用することが好ましい。
【0025】
本発明の特徴は、合成樹脂からなる基材シート2に内包された前記粒子の周辺に孔隙(void)7が形成されるため、基材シートを通過する光線、より正確には孔隙を通過する光線が最大の散乱、反射過程を経てさらに補強された拡散性を持つ光拡散シートを提供することにある。
【0026】
本発明に係る光拡散シートの基材シート内に形成された孔隙7は、下記数式1を満足する。
【0027】
【数1】

【0028】
前記孔隙が形成された基材シートは、製造の際に合成樹脂に有機粒子または無機粒子を内包させるが、縦方向3〜5及び横方向4〜6の延伸比で延伸し、220〜230℃で熱固定させて製造される。
【0029】
この際、使用された粒子のサイズと周辺に形成された孔隙との関係が0.01未満の場合、孔隙による拡散性向上の効果が殆どなく、使用された粒子のサイズと周辺に形成された孔隙との関係が4超過の場合、拡散性は良好であるが、全光線透過率が極めて低下してLCDディスプレイの輝度特性が不良になる。
【0030】
本発明の光拡散シート1の一面に、光拡散樹脂6と光拡散粒子5とからなる光拡散層3を備える。
【0031】
前記光拡散樹脂6としては、取り扱い及び入手が容易な熱硬化性樹脂を使用することが良い。前記熱硬化性樹脂は、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ウレタン樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン、フッ素系樹脂、シリコン系樹脂及びポリアミドイミドよりなる群から選択されたいずれか1種を使用することが好ましいが、これらに限定されるものではない。さらに好ましくは、前記熱硬化性樹脂は光線を透過させなければならないので無色透明なものがよい。前記光拡散樹脂以外に、必要に応じて可塑剤、安定化剤、劣化防止剤、分散剤、消泡剤または発泡剤がさらに配合できる。
【0032】
また、光拡散層に使用される光拡散粒子5は、アクリル樹脂、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリアミド及びポリメチルメタクリレートよりなる群から選択された少なくとも1種であり、球形が好ましい。さらに好ましくは、前記光拡散粒子は光拡散シートを透過する光線量を最大化するために無色透明なものが良い。
【0033】
光拡散粒子の粒径は0.1〜100μmの範囲が好ましく、より好ましくは0.1〜50μmの範囲、さらに好ましくは0.1〜10μmの範囲である。前記光拡散粒子の粒径が0.1μm未満であれば、光拡散効果が微々であり、前記光拡散粒子の粒径が100μm超過であれば、光拡散層を形成する樹脂組成物のコーティングが難しく、光拡散層の積層後に粒子の脱落が発生する。
【0034】
本発明の光拡散層3の光学特性を制御して85〜95%の全光線透過率を持つ光拡散シートを製造するためには、前記光拡散樹脂6と前記光拡散粒子5の割合で制御することができる。すなわち、光拡散層3は、前記光拡散樹脂100重量部に対し、前記光拡散粒子0.1〜50重量部が含まれて製造されることが好ましく、より好ましくは0.1〜30重量部であり、最も好ましくは0.1〜15重量部である。この際、光拡散粒子5の量が0.1重量部未満であれば、光拡散効果が低下するという問題点があり、光拡散粒子5の量が50重量部超過であれば、光拡散層を形成する光拡散樹脂組成物の塗布が困難であるという問題点がある。
【0035】
また、本発明の光拡散シート1は、光拡散層3の塗布層の厚さを調節することにより、光透過率を制御することができる。
【0036】
特に、85〜95%の全光線透過率を有する光拡散シートを製造するためには、光拡散層3の塗布層の厚さが0.2〜500μmであることが好ましく、さらに好ましくは2〜200μmであることがよい。もし塗布層の厚さが0.2μm未満であれば、コーティングの際にフィルムとの接着力が低くなり、積層後に粒子の脱落が発生し、もし塗布層の厚さが500μm超過であれば、全光線透過率が84%以下となって所望の光拡散シートを製造することができない。
【0037】
また、本発明の光拡散シート1は、ブロッキング防止樹脂9とブロッキング防止粒子10とからなるブロッキング防止層4を備える。
【0038】
ブロッキング防止層4に使用できるブロッキング防止樹脂9は、前記光拡散樹脂6と同様に熱硬化性樹脂を使用することが好ましく、その一例として、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ウレタン樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン、フッ素系樹脂、シリコン系樹脂およびポリアミドイミドよりなる群から選択されたいずれか1種を使用する。また、ブロッキング防止樹脂9は、光線を透過させなければならないので、無色透明なものが好ましい。
【0039】
これ以外に、可塑剤、安定化剤、劣化防止剤、分散剤、消泡剤、発泡剤またはワックス剤を使用することができる。
【0040】
また、ブロッキング防止層4に使用されるブロッキング防止粒子10も、前記光拡散粒子5と同一のものであって、アクリル樹脂、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリアミド及びポリメチルメタアクリレートよりなる群から選択されたいずれか1種を使用し、球形であることが好ましい。ブロッキング防止粒子10も、光拡散シートを透過する光線量を最大化させるために、無色透明なものが好ましく、ブロッキング防止粒子10の粒径も0.1〜100μm、さらに好ましくは1〜50μmの範囲である。この際、前記ブロッキング防止粒子10の粒径が0.1μm未満であれば、フィルム走行性を阻害するブロッキング現象が工程中に発生し、前記ブロッキング防止粒子10の粒径が100μm超過であれば、ブロッキング防止層を形成するブロッキング防止層樹脂組成物のコーティングが困難であり、ブロッキング防止層の積層後に粒子が脱落するという問題点がある。
【0041】
この際、ブロッキング防止層4に使用されるブロッキング防止粒子10の量は、ブロッキング防止層4に使用されるブロッキング防止樹脂100重量部に対し0.01〜500重量部であり、より好ましくは0.1〜100重量部であることが良い。この際、ブロッキング防止粒子10の使用量が0.01重量部未満であれば、フィルム走行性を阻害するブロッキング現象が工程中に発生し、ブロッキング防止粒子10の使用量が500重量部超過であれば、ブロッキング防止層4を形成する樹脂組成物のコーティングが困難になる。
【0042】
また、高い光透過率及びブロッキング防止機能を確保し、85〜95%の全光線透過率を得るために、ブロッキング防止層4の塗布層の厚さを調節することができるが、ブロッキング防止層4の塗布層の厚さは、好ましくは0.1〜100μmであり、さらに好ましくは0.1〜50μmの範囲であり、最も好ましくは0.1〜20μmの範囲である。この際、ブロッキング防止層4の厚さが0.1μm未満であれば、コーティングの際に基材シートとの接着力が低くなり、積層後に粒子が脱落するという問題点があり、ブロッキング防止層4の厚さが100μm超過であれば、全光線透過率が84%以下に低下して所望の光拡散シートを製造することができない。
【0043】
また、光拡散フィルムが使用されるBLU組み立て工程中、静電気による異物流入の防止のために光拡散フィルムのブロッキング防止層に帯電防止剤を投入またはコーティング塗布する。この際、帯電防止剤は、帯電防止性と耐熱性の側面を考慮に入れて適切に選択して使用することができる。その一例として、陽イオン系帯電防止剤、陰イオン系帯電防止剤、陽性系帯電防止剤、非イオン系帯電防止剤及び高分子型帯電防止剤などから選択して使用することができるが、より好ましくは第4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、第1〜3級アミノ基などから選択して使用することが可能な陽イオン系帯電防止剤またはスルホン酸塩基、硫酸エステル塩基、リン酸エステル塩基及びホスホン酸塩基よりなる群から選択される陰イオン系帯電防止剤を使用することができる。
【0044】
以下、本発明を実施例によって詳細に説明する。ところが、これらの実施例は、本発明を例示するためのものに過ぎず、本発明の内容を限定するものではない。
【0045】
[実施例1]光拡散シートの製造1
<段階1:基材シートの製造>
重合過程で混入された粒径0.4μmの二酸化ケイ素粒子が含有されているポリエステル原料樹脂を真空乾燥させた後、押し出し機を介して溶融及び押出し、溶融された高温のポリエステル樹脂がダイを介して回転冷却ロールでシート状に製造された。この際、静電印加法によってポリマーを冷却ロールに密着させることにより、未延伸ポリエステルシートを得た。前記未延伸ポリエステルシートを、70〜120℃に予熱されたロール上を通過させながら、縦方向に3倍延伸して一軸延伸ポリエステルフィルムを得た。前記一軸延伸ポリエステルフィルムの両端部をクリップで把持し、80〜150℃で加熱された領域に投入して上、下部に熱風を加えて熱量を供給することにより幅方向に5倍延伸した後、より高温の領域、すなわち220℃の領域に誘導して熱固定結晶配向し、0.8μmサイズの孔隙を形成した。
【0046】
<段階2:光拡散層の形成>
前記段階1によって製造された高透明ポリエステルフィルム(東レセハン株式会社XG533−100um)の一面に、表1の組成を持つ組成物を塗布した後、110℃で60秒間乾燥させて厚さ30μmの光拡散層を形成した。
【0047】
【表1】

【0048】
<段階3:ブロッキング防止層の形成>
前記段階1で製造された基材シートの光拡散層形成面とは異なる面に、表2の組成を持つブロッキング防止層塗布液を塗布した後、110℃で40秒間乾燥させて厚さ5μmのブロッキング防止層を形成して最終拡散シートを製造した。
【0049】
【表2】

【0050】
[実施例2]光拡散シートの製造2
基材シート製造段階で、粒径0.4μmの二酸化ケイ素粒子を使用し、延伸比を4×5倍として延伸する以外は、前記実施例1と同様にして、1.2μmサイズの孔隙が形成された光拡散シートを製造した。
【0051】
[実施例3]光拡散シートの製造3
基材シート製造段階で、粒径0.6μmの二酸化ケイ素粒子を使用し、延伸比を4×6倍として延伸する以外は、前記実施例1と同様にして、1.4μmサイズの孔隙が形成された光拡散シートを製造した。
【0052】
[比較例1]
基材シート製造段階で、粒径1.2μmの二酸化ケイ素粒子を使用し、延伸比を3×5倍として延伸した後、熱固定結晶配向温度を200℃に調整した以外は、前記実施例1と同様にして、6.3μmサイズの孔隙が形成された光拡散シートを製造した。
【0053】
[比較例2]
基材シート製造段階で、粒径3.5μmの二酸化ケイ素粒子を使用し、延伸比を6×5倍として延伸した後、熱固定結晶配向温度を200℃に調整した以外は、前記実施例1と同様にして、16.0μmサイズの孔隙が形成された光拡散シートを製造した。
【0054】
[比較例3]
基材シート製造段階で、粒径1.0μmの二酸化ケイ素粒子を使用し、延伸比を3×5倍として延伸して実施し、熱固定結晶配向温度を240℃に調整した以外は、前記実施例1と同様にして、0.001μmサイズの孔隙が形成された光拡散シートを製造した。
【0055】
[実験例1]
<1.孔隙サイズの測定>
前記実施例1で製造された光拡散シートの基材フィルム内に形成された孔隙の直径を測定した。
【0056】
基材シートをプラズマ表面処理機で前処理した後、JOL社の電子顕微鏡を用いて3000倍の倍率で粒子及び粒子の周辺に形成された孔隙のサイズを測定した。
【0057】
<2.全光線透過率の測定>
前記実施例1で製造された光拡散シートの光透過能及び分散能を検定するために、下記の如く行った。
【0058】
日本電色社のヘイズメーター(Automatic Digital Hazemeter)を用いて10cm×10cmの大きさでサンプリングした光拡散シート1枚を垂直に置き、垂直に置かれた試料の直角方向に波長550nmの光を透過させて示した値を測定した。
【0059】
この際、全光線透過率値は、下記数式2を用いて算出した。
【0060】
【数2】

【0061】
<3.光拡散性の測定>
前記実施例1で製造された光拡散シートの光拡散能を測定するために、下記の如く行った。
【0062】
32″直下型バックライトユニットを用いて輝度を測定し、拡散シートを裁断して光拡散板上に装着することにより、TOPCON社のBM−7測定器を用いて測定角度を0.2°、BM−7とバックライトユニットとの間隔を25cmにしてバックライトユニット上のランプ13個の位置とランプ間の空間の12箇所で輝度を測定してランプ部分の輝度平均値とランプのない部分の輝度平均値との差を測定して光拡散性で示した。また、前記輝度平均値の差(ランプ部分の輝度平均値−無ランプ部分の輝度平均値)を下記の如く光拡散性と連係して分類、表示した。
【0063】
△(輝度平均値の差)<1:良好
△(輝度平均値の差)≧1:不良
【0064】
【表3】

【0065】
表3に示すように、本発明によって製造された実施例1〜3の場合、全光線透過率及び光拡散性が全て良好な値を示したが、粒子と孔隙のサイズを余計に拡張させた比較例1及び比較例2の場合には、全光線透過率が極めて低調であり、孔隙を殆ど形成させていない比較例3の場合には、光拡散性が非常に低下することを確認した。
【0066】
以上、本発明の好適な実施例について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、本発明の技術思想の範疇内において各種の変形例または修正例に想到し得ることは、明らかである。これら変形例及び修正例も本発明の技術的範囲に属するのは、当たり前のことである。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明に係る孔隙形成光拡散シートの断面模式図である。
【図2】本発明に係る孔隙形成光拡散シートの粒子とその周辺に形成された孔隙の断面模式図である。
【符号の説明】
【0068】
1…光拡散シート
2…基材シート
3…光拡散層
4…ブロッキング防止層
5…光拡散粒子
6…光拡散樹脂
7…孔隙
8…有機または無機粒子
9…ブロッキング防止樹脂
10…ブロッキング防止粒子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂及び有機粒子または無機粒子からなり、前記有機粒子または無機粒子の周辺に孔隙が形成された基材シートと、
前記基材シートの一面に積層された光拡散層と、
前記基材シートの他面に積層されたブロッキング防止層と、を含んでなることを特徴とする、光拡散シート。
【請求項2】
前記孔隙は、下記数式1を満足することを特徴とする、請求項1に記載の光拡散シート。
【数1】

【請求項3】
前記孔隙が形成された基材シートは、製造の際に合成樹脂に有機粒子または無機粒子を内包させるが、縦方向3〜5及び横方向4〜6の延伸比で延伸し、220〜230℃で熱固定させて製造されることを特徴とする、請求項1に記載の光拡散シート。
【請求項4】
前記有機粒子は、アクリル樹脂、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリアミド及びポリメチルメタクリレートよりなる群から選択された少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1に記載の光拡散シート。
【請求項5】
前記無機粒子は、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、二酸化ケイ素、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、粘土、リン酸カルシウム及びガラスビードよりなる群から選択された少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1に記載の光拡散シート。
【請求項6】
前記光拡散層は、熱硬化性樹脂からなる光拡散樹脂100重量部に対し、粒径0.1〜100μmの光拡散粒子0.1〜50重量部で製造されることを特徴とする、請求項1に記載の光拡散シート。
【請求項7】
前記光拡散層の厚さは0.2〜500μmであることを特徴とする、請求項1に記載の光拡散シート。
【請求項8】
前記ブロッキング防止層は、熱硬化性樹脂からなるブロッキング防止樹脂100重量部に対し、粒径0.1〜100μmのブロッキング防止粒子0.01〜500重量部で製造されることを特徴とする、請求項1に記載の光拡散シート。
【請求項9】
前記ブロッキング防止層の厚さは0.1〜100μmであることを特徴とする、請求項1に記載の光拡散シート。
【請求項10】
前記熱硬化性樹脂は、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ウレタン樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン、フッ素系樹脂、シリコン系樹脂及びポリアミドイミドよりなる群から選択された少なくとも1種であることを特徴とする、請求項6または8に記載の光拡散シート。
【請求項11】
前記粒子は、アクリル樹脂、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリアミド及びポリメチルメタクリレートよりなる群から選択された少なくとも1種であり、球形であることを特徴とする、請求項6または8に記載の光拡散シート。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−259736(P2006−259736A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−71977(P2006−71977)
【出願日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【出願人】(504092127)トーレ・サエハン・インコーポレーテッド (20)
【氏名又は名称原語表記】TORAY SAEHAN INCORPORATED
【Fターム(参考)】