説明

薄葉紙収納箱

【課題】幼児の知育教育として利用する知育用図柄部が破断することなく剥離できる薄葉紙収納箱を提供する。
【解決手段】知育用図柄部10は、薄葉紙収納箱の下面部4の長手方向に延在する上下区画線11A,Bと、下面部4の短手方向に延在する波線形状の左右区画線13A,Bとにより区画され、上下区画線と左右区画線とは切れ目線16で連結されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄葉紙を収納する収納箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ティシュペーパー、キッチンペーパー、ワイプ、キッチンロールペーパー等の薄葉紙を収納する薄葉紙収納箱は周知であり、使用時に薄葉紙収納箱の上面部に設けられた取出口を切除し、薄葉紙を薄葉紙収納箱から順次取出して使用する。
そして、薄葉紙収納箱の下面部には、最後まで薄葉紙を容易に取り出すことができるように押し上げ機構が設けられている。(特許文献1)
【0003】
しかし、薄葉紙収納箱は、幼児が活動する生活環境の近くに置かれ使用されるものであるにも係わらず、薄葉紙収納箱には、幼児の興味を喚起するデザイン等が付されていないことから、主に育児中の両親から幼児の関心を引きつけ、さらに幼児の知育教育としても利用できる薄葉紙収納箱の提供が要望されていた。
【0004】
このような問題を解決するため、薄葉紙収納箱の表面に飛行機、メンコ、動物等の図柄を印刷し、使用後に、図柄を切り取って玩具として使用することができる玩具用薄葉紙収納箱が提案されている。(特許文献2)
【0005】
しかし、玩具用薄葉紙収納箱は、図柄の印刷位置、図柄の外周部に形成されるミシン目の形状については一切考慮されていないことから、玩具用薄葉紙収納箱から図柄を切り取る場合に、玩具として使用する図柄が破断され恐れがあり、また、高速加工する場合に、玩具用薄葉紙収納箱に破断、変形が生じる恐れが高いものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−91455号公報
【特許文献2】特開2004―306974号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明の主たる課題は、幼児の知育教育として利用する知育用図柄部が破断することなく確実に薄葉紙収納箱から剥離できる薄葉紙収納箱を提供することにあり、従たる課題は、立体物の製作が容易に行える知育用図柄部を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決した本発明は、次記のとおりである。
<請求項1記載の発明>
薄葉紙を収納する薄葉紙収納箱であって、
前記薄葉紙収納箱は、薄葉紙の取出口を有する上面部と、下面部と、前面部と、後面部と、右側面部と、左側面部とからなる直方体形状であり、
前記下面部は、剥離可能な知育用図柄部を有し、
前記知育用図柄部は、前記下面部の長手方向に延在する上下区画線と、前記下面部の短手方向に延在する波線形状の左右区画線とにより区画され、
前記上下区画線と前記左右区画線との連結は、切れ目線により形成され、
少なくとも前記左右区画線または前記左右区画線が、前記下面部の外縁から15mm以内の領域に形成され、
前記知育用図柄部の面積は、前記下面部の面積に対し25〜60%である
ことを特徴とする薄葉紙収納箱。
【0009】
<作用効果>
発明者の知見によれば、請求項1に係る発明は、知育用図柄部を下面部の長手方向に延在する上下区画線と、下面部の短手方向に延在する波線形状の左右区画線とにより区画することにより、薄葉紙収納箱の下面部から知育用図柄部に破断等の外傷を生じることなく剥離することができる。
すなわち、連続したパルプ繊維の流れ方向に合致する下面部の長手方向には、長手方向に沿う直線上あるいは緩やかな曲線状の上下区間線を形成することにより、連続したパルプ繊維からの抵抗を受けることなく容易に知育用図柄部を上下区画線に沿って剥離できる。
また、連続したパルプ繊維の流れ方向と交差する下面部の短手方向には、長手方向と略直交する波線形状の左右区画線を形成することにより、連続したパルプ繊維からの抵抗を分散し、波線形状の左右区画線の各部分における抵抗を小さくでき、容易に知育用図柄部を左右区画線に沿って剥離できる。
さらに、波線形状の左右区画線にした場合、知育用図柄部の剥離時に、幼児が指先を損傷する恐れも少なくなる。
なお、知育用図柄部を下面部に設けた場合、外部の粉塵等の異物の薄葉紙収納箱の内部への浸入を抑制することができ、且つ、薄葉紙収納箱の上面部、前面部、後面部、右側面部及び左側面部に統一されたデザインを付与することができる。
【0010】
本請求項においては、上下区画線と左右区画線との連結は、つなぎ等がない切れ目線とされていることから、薄葉紙収納箱の下面部から知育用図柄部の各角部に破断等の外傷を生じることなく剥離することができる。
【0011】
本請求項においては、少なくとも左右区画線または左右区画線を下面部の外縁から15mm以内の領域に形成し、且つ、知育用図柄部の面積を下面部の面積の25〜60%に形成していることから、薄葉紙収納箱を高速加工することができる。
すなわち、薄葉紙収納箱の加工は、薄葉紙収納箱を形成する平面紙を製造した後、平面紙を立体形状にする工程、薄葉紙を挿入する工程、薄葉紙収納箱を移送する工程、複数の薄葉紙収納箱を包装し包装体とする工程、包装体を移送する工程、複数の包装体を段ボールケースに収納する工程によって行われ、確実に各工程の加工を行うには、薄葉紙収納箱には一定以上の曲げ強度、ねじり強度が要求される。
しかし、薄葉紙収納箱の下面部に下区画線と左右区画線とにより区画される知育用図柄部を設けた場合にあっては、薄葉紙収納箱の曲げ強度、ねじり強度は低下する。
そこで、少なくとも左右区画線または左右区画線を下面部の外縁から15mm以内の領域に形成することにより、薄葉紙収納箱の下面部の外縁を固定端とした場合における曲げ強度を一定強度以上に維持し、知育用図柄部の面積を下面部の面積の25〜60%に形成することにより、薄葉紙収納箱の下面部のねじり強度を一定以上に維持することにより高速加工を実現した。
なお、幼児の関心を引き付け、幼児に楽しみながら知得教育を行うには知育用図柄部の面積は、50cm2以上であることが好ましい。
【0012】
<請求項2記載の発明>
前記知育用図柄部は、前記知育用図柄部を裁断する裁断線と、前記知育用図柄部を折り曲げる折り目線とが形成され、前記裁断線と前記折り目線とに包囲される部位に隆起部が形成されている請求項1記載の薄葉紙収納箱。
【0013】
<作用効果>
請求項2記載の発明は、知育用図柄部に知育用図柄部を裁断する裁断線と、知育用図柄部を折り曲げる折り目線と、裁断線と折り目線との包囲部に隆起部を形成していることから、薄葉紙収納箱の下面部から剥離された知育用図柄部を裁断、折り曲げて複雑な立体物にすることができる。
特に、裁断線と折り目線とに包囲される部位に隆起部が形成されているので、包囲部位の剛性が高く、裁断線の裁断時あるいは折り目線の折り時における包囲部位へ影響を抑制し、包囲部位の形状が維持でき、且つ、容易に折り曲げることができる。
【0014】
<請求項3記載の発明>
前記上下区画線は、切れ目部長さが2.5〜5.0mm、つなぎ部長さが0.75〜1.25mmからなるミシン目で形成され、前記左右区画線は、切れ目部長さが7.0〜9.0mm、つなぎ部長さが0.75〜1.25mmで、波形高さが0.5〜0.9mm、ピッチ1.5〜2.5mmからなるミシン目で形成されている請求項1記載の薄葉紙収納箱。
【0015】
<作用効果>
請求項3記載の発明は、上下区画線を、切れ目部長さが2.5〜5.0mm、つなぎ部長さが0.75〜1.25mmからなるミシン目で形成し、左右区画線を、切れ目部長さが7.0〜9.0mm、つなぎ部長さが0.75〜1.25mmで、波形高さが0.5〜0.9mm、ピッチ1.5〜2.5mmからなるミシン目で形成していることから、薄葉紙収納箱の下面部から知育用図柄部に破断等の外傷を生じることなくより一層容易に剥離することができる。
【0016】
<請求項4記載の発明>
前記裁断線は、切れ目部長さが2.5〜5.0mm、つなぎ部長さが0.75〜1.25mmからなるミシン目で形成され、前記折り目線は、幅0.15〜0,25mm、深さ0.05〜0.10mmからなる第1折り目線と、幅0.25〜0.40mm、深さ0.07〜0.15mmからなる第2折り目線とで形成され、前記隆起部が0.05〜0.15mmの高さに形成されている請求項2記載の薄葉紙収納箱。
【0017】
<作用効果>
請求項4記載の発明は、裁断線を、切れ目部長さが2.5〜5.0mm、つなぎ部長さが0.75〜1.25mmからなるミシン目で形成し、折り目線を、幅0.15〜0,25mm、深さ0.05〜0.10mmからなる第1折り目線と、幅0.25〜0.40mm、深さ0.07〜0.15mmからなる第2折り目線とで形成し、隆起部を0.05〜0.15mmの高さに形成していることから、薄葉紙収納箱の下面部から剥離された知育用図柄部をより一層容易に裁断、折り曲げて複雑な立体物にすることができる。
【0018】
<請求項5記載の発明>
前記知育用図柄部は、文字を形成し、前記知育用図柄部から製作される立体物は、前記文字から想起される請求項1〜4の何れか1項に記載の薄葉紙収納箱。
【0019】
<作用効果>
請求項5記載の発明は、知育用図柄部は、文字を形成し、知育用図柄部から製作される立体物は、前記文字から想起される立体物であることから、幼児の興味を高揚し、幼児は楽しみながらローマ字、動物の名前等を知得することができる。
また、幼児は、自らの手を使って薄葉紙収納箱の下面部から知育用図柄部を剥離し、知育用図柄部の裁断線を裁断し、折り目線を折り曲げることにより手先の運動感覚も身につけることができる。
【0020】
<請求項6記載の発明>
前記下面部の内方側にフィルムが設けられている、請求項1〜5の何れか1項に記載の薄葉紙収納箱。
【0021】
<作用効果>
請求項6記載の発明は、下面部の内方側にフィルムが設けられていることから、薄葉紙収納箱の使用中に知育用図柄部を薄葉紙収納箱の下面部から剥離した場合にあっても、外部の粉塵、異物、液体等の薄葉紙収納箱内部への浸入を防止できる。
【0022】
<請求項7記載の発明>
複数の薄葉紙収納箱を一体包装した包装体であって、複数の前記薄葉紙収納箱の前記知育用図柄部から製作される立体物が、同一種物に属することを特徴とする包装体。
【0023】
<作用効果>
請求項7記載の発明は、一体包装された複数の薄葉紙収納箱の知育用図柄部から製作される立体物が同一種物であることから、幼児の興味をより一層感化させ、幼児は楽しみながらローマ字、動物の名前等を知得することができる。
【発明の効果】
【0024】
以上の本発明によれば、幼児の知育教育として利用する知育用図柄部が破断することなく剥離できる薄葉紙収納箱が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】薄葉紙収納箱の斜視図である。
【図2】知育用図柄部を有する下面部である。
【図3】図2のA部拡大図である。
【図4】図2のB部拡大図である。
【図5】図2のC部拡大図である。
【図6】図2のD―D断面図である。
【図7】図2のE−E断面図である。
【図8】図2のF―F断面図である。
【図9】知育用図柄部から製作された立体物である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の一実施形態について添付図面を参照しながら詳説する。なお、本発明の用語のうち、「長手方向」とは、図2の左右方向を意味し、「短手方向」とは、図2の上下方向を意味する。
上下区画線の「切れ目部長さ」とは、図3のAL1を意味し、とは、図3のAL2を意味する。
左右区画線の「切れ目部長さ」とは、図4のBL1を意味し、「つなぎ部長さ」とは、図4のBL2を意味し、「波形高さ」とは、図4のBHを意味し、「ピッチ」とは、図4のBPを意味する。
裁断線の「切れ目部長さ」とは、図5のCL1を意味し、「つなぎ部長さ」とは、図5のCL2を意味する。
第1折り目線の「幅」とは、図6のDWを意味し、「深さ」とは、図6のDDを意味する。
第2折り目線の「幅」とは、図7のEWを意味し、「深さ」とは、図7のEDを意味する。
隆起部の「高さ」とは、図8のFHを意味する。
【0027】
<薄葉紙収納箱>
図1、2は、本発明に係る薄葉紙収納箱1を示している。この薄葉紙収納箱1は、ティッシュペーパーの取出口2を有する上面部3と、下面部4と、上面部3と下面部4を連結する前面部5、後面部6、左側面部7、右側面部8からなる直六面体形状の箱体である。
また、薄葉紙収納箱1の内部に外部からの粉塵の浸入を防止、且つ、薄葉紙収納箱1の外部にティッシュペーパーに付着した紙粉の拡散を防止するため、上面部3の取出口2には、長手方向にスリットを有する樹脂製フィルムが取り付けられている。
なお、薄葉紙収納箱1の下面部4には、ティッシュペーパーを最後まで確実に取り出させるためにティッシュペーパーを上方に押圧する押し上げ部を設けることもできる。
【0028】
薄葉紙収納箱1の外形寸法は、収納されるティッシュペーパーの寸法により定まるものであるが、一般的な薄葉紙収納箱1の外形寸法は、長手方向寸法が110〜320mm、短手方向寸法が70〜200mm、高さ寸法が40〜150mm程度であり、下面部4等の厚みは、0.45mm〜0.55mmである。
【0029】
薄葉紙収納箱1の素材としては、バージンパルプ、古紙パルプ等の各種のパルプを主原料とする紙素材が使用でき、強度的観点からコートボール紙が好適である。
また。これらの素材の坪量は、250〜500g/m2、好適には350〜400g/m2である。
なお、薄葉紙収納箱1の表面には、花柄模様、螺旋模様、波模様、ドット模様、亀甲模様、星模様、十字模様、幾何学模様を印刷することもできる。
【0030】
<知育用図柄部>
図2〜図8には、本発明の実施形態である知育用図柄部10を示し、図9には、知育用図柄部10から製作された兎(Rabbit)の立体物30を示している。なお、図9に示す立体物30は、表面の色彩及び両眼を付している。
知育用図柄部10は、薄葉紙収納箱1の下面部4の長手方向に延在する上下区画線11Bと、下面部4の短手方向に延在する波線形状の左右区画線11A,Bと、切れ目線16とによりローマ字Rに区画されている。そして、知育用図柄部10は、上下区画線11Bと左右区画線11A,Bとを切断することにより下面部4から剥離できる。
なお、本実施形態では、知育用図柄部10から得られる立体物30が、知育用図柄部10のローマ字Rから想起される兎(Rabbit)であるが、例えば、知育用図柄部10をローマ字E、P、Uに区画し、知育用図柄部10から得られる立体物30を知育用図柄部10から想起される像(Elephant)、ペンギン(Penguin)、一角獣(Unicon)とすることができる。
【0031】
本実施形態では、上下区画線11Bは、切れ目部長さが3.0mm、つなぎ部長さが1.0mmのミシン目12で形成されている。
ミシン目12は、切れ目部長さが2.5〜5.0mmであり、つなぎ部長さが0.75〜1.25mmであるのが好適である。
切れ目部長さが2.5mm未満の場合、切断が困難であり、切れ目部長さが5.0mm超の場合、一連の薄葉紙収納箱1の製造工程中に、知育用図柄部10が剥離する恐れがある。
つなぎ部長さが0.75mm未満の場合、一連の薄葉紙収納箱1の製造工程中に、知育用図柄部10が剥離する恐れがあり、つなぎ部長さが1.25mm越の場合、切断が困難になり切断時に知育用図柄部10を破断する恐れが高くなる。
【0032】
左右区画線13A,Bは、切れ目部長さが8.0mm、つなぎ部長さが1.0mm、高さが0.7mm、ピッチが2.0mmの波形形状のミシン目14で形成されている。
ミシン目14は、切れ目部長さが7.0〜9.0mmであり、つなぎ部長さは0.75〜1.25mmであるのが好適である。
また、波形15の高さは0.5〜0.9mmであり、波形15のピッチは1.5〜2.5mmであるのが好適である。
切れ目部長さが7.0mm未満の場合、切断が困難であり、切れ目部長さが、9.0mm越の場合、一連の薄葉紙収納箱1の製造工程中に、知育用図柄部10が剥離する恐れがある。
つなぎ部長さが0.75mm未満の場合、一連の薄葉紙収納箱1の製造工程中に、知育用図柄部10が剥離する恐れがあり、つなぎ部長さが1.25mm越の場合、切断が困難になり切断時に知育用図柄部10を破断する恐れが高くなる。
波形15の高さが0.5mm未満の場合、薄葉紙収納箱1に使用されている長手方向に連続するパルプ繊維から抵抗を分散できないことから破断が困難であり、且つ、切断時に波形15の端が手先に圧接し幼児の手先に外傷を与える恐れがあり、波形15の高さが0.9mm越の場合、一連の薄葉紙収納箱1の製造工程中に、知育用図柄部10が剥離する恐れがある。
波形15のピッチが1.5mm未満の場合、薄葉紙収納箱1に使用されている長手方向に連続するパルプ繊維から抵抗を分散できないことから破断が困難であり、且つ、切断時に波形15の端が手先に圧接し幼児の手先に外傷を与える恐れがあり、波形15のピッチが2.5mm越の場合、一連の薄葉紙収納箱1の製造工程中に、知育用図柄部10が剥離する恐れがある。
【0033】
切れ目線16は、つなぎ部を有しない切れ目部にのみで形成されている。これにより、知育用図柄部10を下面部4から剥離する場合、知育用図柄部10の各コーナー部に多発する破断を防止できる。
【0034】
知育用図柄部10を区画する上区画線11Aは、直線と曲線とから構成され、薄葉紙収納箱1の下面部4の上外縁9Aから18〜40mm離間した領域に設けられ、下区画線11Bは、直線で構成され、下外縁9Bから14mm離間した領域に設けられている。
知育用図柄部10を区画する左区画線13Aは、直線で構成され、薄葉紙収納箱1の下面部4の左外縁9Cから20mm離間した領域に設けられ、右区画線13Bは、離間した2本の直線と該直線を連結する折れ線から構成され、右外縁9Dから125〜155mm離間した領域に設けられている。
また、下面部4の面積は276cm2であり、知育用図柄部10の面積は約72cm2であり、下面部4の面積に対し約26%である。
このように、下区画線11Bを下外縁から14mm離間した領域に設け、知育用図柄部10の面積を下面部4の面積に対し約26%に形成していることから、知育用図柄部10の強度が大きく、一連の薄葉紙収納箱1の製造を高速で行うことができる。
さらに、知育用図柄部10の強度を一定以上に維持し、一連の薄葉紙収納箱1の製造をより高速で行う観点から、知育用図柄部10の面積が下面部4の面積に対し、20〜40%であることがより好適であり、さらには25〜30%であることが一層好適である。
【0035】
本実施形態の知育用図柄部10には、知育用図柄部10を裁断する裁断線20と、第1折り目線22と、第2折り目線24と、裁断線20と第1折り目線22又は第2折り目線24とで囲まれる領域に隆起部27が形成されている。
裁断線20とは、知育用図柄部10から得られる立体物30の複雑な構造を実現する為、知育用図柄部10の内部を裁断する線である。例えば、図2に示す知育用図柄部10の左下部に設けられたU字状の裁断線20を切断し、図9に示した立体物30の兎のしっぽにすることができる。
第1折り目線22とは、知育用図柄部10から得られる立体物30に立体感を付与させる知育用図柄部10の内部を折り曲げる線であり、特に、第1折り目線22とは、知育用図柄部10を10〜90度未満に折り曲げる線である。例えば、図2に示す知育用図柄部10の右上部から左下部に向かって放射状に設けられた第1折り目線22を準じ後方に折り曲げることにより、図9に示した立体物30の兎の胴体部に立体的にすることができる。
第2折り目線24とは、第1折り目線22と同様に、知育用図柄部10から得られる立体物30に立体感を付与させる知育用図柄部10の内部を折り曲げる線であり、特に、第2折り目線24とは、知育用図柄部10を90〜170度未満に折り曲げる線である。例えば、図2に示す知育用図柄部10の右上部及び右下部に設けられた第2折り目線24を後方に折り曲げることにより、図9に示した立体物30の兎を自立させることができる。
【0036】
本実施形態では、裁断線20は、切れ目部長さが3.0mm、つなぎ部長さが1.0mmのミシン目21で形成されている。
ミシン目21は、切れ目部長さが2.5〜5.0mmであり、つなぎ部長さが0.75〜1.25mmであるのが好適である。
切れ目部長さが2.5mm未満の場合、切断が困難であり、切れ目部長さが5.0mm超の場合、一連の薄葉紙収納箱1の製造工程中にミシン目が破断する恐れがある。
つなぎ部長さが0.75mm未満の場合、一連の薄葉紙収納箱1の製造工程中にミシン目が破断する恐れがあり、つなぎ部長さが1.25mm越の場合、裁断が困難になり裁断時に知育用図柄部10を破断する恐れがある。
【0037】
第1折り目線22は、幅が0.20mm、深さが0.07mmの圧縮線23で形成されている。
圧縮線23は、幅が0.15〜0.25mmであり、深さが0.05〜0.10mmであり、本実施形態では、薄葉紙収納箱1の下面部4の厚さは0.5mmであることから、深さは、下面部4の厚さに対し10〜20%であるのが好適である。
幅が0.15mm未満の場合、折り曲げが困難であり、幅が0.25mm越であると折り曲げた状態を維持することが困難、すなわち知育用図柄部10から得られた立体物30の形状を維持することができなくなる恐れがある。
深さが0.05mm未満の場合、折り曲げることができず、深さが0.10mmを越えると折り曲げた状態を維持することが困難である。
【0038】
第2折り目線24は、幅が0.32mmであり、深さが0.11mmの圧縮線25で形成されている。
圧縮線25は、幅が0.25〜0.40mmであり、深さが0.07〜0.15mmであり、深さは、下面部4の厚さに対し14〜30%であるのが好適である。
幅が0.25mm未満の場合、90度以上に折り曲ることが困難であり、幅が0.40mm越であると折り曲げた状態を維持することが困難、すなわち知育用図柄部10から得られた立体物30の形状を維持することができなくなる恐れがある。
深さが0.07mm未満の場合、90度以上に折り曲ることができず、深さが0.15mmを知育用図柄部10の剛性が低下し、一連の薄葉紙収納箱1の製造工程中に知育用図柄部10が折り曲がる恐れがある。
【0039】
裁断線20と第1折り目線22又は第2折り目線24とで囲まれた囲部26には高さが0.10mmの隆起部27が形成されている。
一対の加圧ロールによって加工された囲部26の隆起部27は、高さが0.05〜0.15mmであり、薄葉紙収納箱1下面部4の厚さに対し10〜30%であるのが好適である。
高さが0.05mm未満の場合、囲部26が第1折り目線22又は第2折り目線24を起点として起立させるのが困難であり、高さが0.15mm超の場合、加圧ロールの加圧を高くして加工する必要があり、囲部26の周辺部に外傷を与える恐れがある。
なお、ミシン目12,14,21の長さの値、圧縮線23,25の幅及び深さの値、隆起部27の高さの値は、レーザー顕微鏡(キーエンス社製VK−9510)を用い、それぞれ10回ずつ3次元測定した値の平均値である。
【0040】
また、薄葉紙収納箱1の下面部4の内方側にフィルムを粘着することもできる。下面部4の内方側にフィルムを粘着した場合、薄葉紙収納箱1の使用中に知育用図柄部10を薄葉紙収納箱1の下面部4から剥離し立体物30を製作しても、外部の粉塵の薄葉紙収納箱1内部への浸入を防止できる。
さらに、知育用図柄部10が付された複数個の薄葉紙収納箱1を一体包装した包装体にすることもできる。一体包装した包装体に含まれる薄葉紙収納箱1の各知育用図柄部10から製作される立体物30が、相互に関連する動物、植物、電車、自動車等に統一した場日、幼児の関心を高めることができ幼児の知徳教育により一層の効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、ティシュペーパー、キッチンペーパー、ワイプ、キッチンロールペーパー等の薄葉紙を収納する薄葉紙収納箱に利用可能である。
【符号の説明】
【0042】
1…薄葉紙収納箱
2…取出口
3…上面部
4…下面部
5…前面部
6…後面部
7…左側面部
8…右側面部
9A…上外縁
9B…下外縁
9C…左外縁
9D…右外縁
10…知育用図柄部
11A…上区画線
11B…下区画線
12…ミシン目
13A…左区画線
13B…右区画線
14…ミシン目
16…切れ目線
20…裁断線
21…ミシン目
22…第1折り目線
23…圧縮線
24…第2折り目線
25…圧縮線
27…隆起部
30…立体物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄葉紙を収納する薄葉紙収納箱であって、
前記薄葉紙収納箱は、薄葉紙の取出口を有する上面部と、下面部と、前面部と、後面部と、右側面部と、左側面部とからなる直方体形状であり、
前記下面部は、剥離可能な知育用図柄部を有し、
前記知育用図柄部は、前記下面部の長手方向に延在する上下区画線と、前記下面部の短手方向に延在する波線形状の左右区画線とにより区画され、
前記上下区画線と前記左右区画線との連結は、切れ目線により形成され、
少なくとも前記左右区画線または前記左右区画線が、前記下面部の外縁から15mm以内の領域に形成され、
前記知育用図柄部の面積は、前記下面部の面積に対し25〜60%である
ことを特徴とする薄葉紙収納箱。
【請求項2】
前記知育用図柄部は、前記知育用図柄部を裁断する裁断線と、前記知育用図柄部を折り曲げる折り目線とが形成され、前記裁断線と前記折り目線とに包囲される部位に隆起部が形成されている請求項1記載の薄葉紙収納箱。
【請求項3】
前記上下区画線は、切れ目部長さが2.5〜5.0mm、つなぎ部長さが0.75〜1.25mmからなるミシン目で形成され、前記左右区画線は、切れ目部長さが7.0〜9.0mm、つなぎ部長さが0.75〜1.25mmで、波形高さが0.5〜0.9mm、ピッチ1.5〜2.5mmからなるミシン目で形成されている請求項1記載の薄葉紙収納箱。
【請求項4】
前記裁断線は、切れ目部長さが2.5〜5.0mm、つなぎ部長さが0.75〜1.25mmからなるミシン目で形成され、前記折り目線は、幅0.15〜0,25mm、深さ0.05〜0.10mmからなる第1折り目線と、幅0.25〜0.40mm、深さ0.07〜0.15mmからなる第2折り目線とで形成され、前記隆起部が0.05〜0.15mmの高さに形成されている請求項2記載の薄葉紙収納箱。
【請求項5】
前記知育用図柄部は、文字を形成し、前記知育用図柄部から製作される立体物は、前記文字から想起される請求項1〜4の何れか1項に記載の薄葉紙収納箱。
【請求項6】
前記下面部の内方側にフィルムが設けられている、請求項1〜5の何れか1項に記載の薄葉紙収納箱。
【請求項7】
複数の薄葉紙収納箱を一体包装した包装体であって、複数の前記薄葉紙収納箱の前記知育用図柄部から製作される立体物が、同一種物に属することを特徴とする包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−222041(P2010−222041A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−72252(P2009−72252)
【出願日】平成21年3月24日(2009.3.24)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】