薬剤揮散器
【課題】 コスト高を招くこと無く内部の状態を確認可能とする。
【解決手段】 芳香器1を下部構成部12とカバー13で構成し、カバー13内に薬剤容器14を交換可能に配置する。カバー13上部に吸気口111を設け、下部の対向した部位に覗き穴112を開設する。薬剤容器14を位置決めした状態において、薬剤容器121の第1側壁面125を一方の覗き穴112に沿って近接して配置し、第2側壁面126を他方の覗き穴112に沿って近接して配置する。カバー13を下部構成部材12に取り付けた状態で、薬剤容器121から揮散した気化薬剤が貯留される貯留空間131をカバー13内に形成し、吸気口111から流入した空気を貯留空間131を介して排出口134から放出する。
【解決手段】 芳香器1を下部構成部12とカバー13で構成し、カバー13内に薬剤容器14を交換可能に配置する。カバー13上部に吸気口111を設け、下部の対向した部位に覗き穴112を開設する。薬剤容器14を位置決めした状態において、薬剤容器121の第1側壁面125を一方の覗き穴112に沿って近接して配置し、第2側壁面126を他方の覗き穴112に沿って近接して配置する。カバー13を下部構成部材12に取り付けた状態で、薬剤容器121から揮散した気化薬剤が貯留される貯留空間131をカバー13内に形成し、吸気口111から流入した空気を貯留空間131を介して排出口134から放出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば芳香成分を揮散する薬剤揮散器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、芳香成分を揮散する薬剤揮散器としては、芳香器が知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
この芳香器は、上部に芳香タンクを備えている。該芳香タンクは、香料を収容した透明の香料収納カセットと、該香料収納カセットを覆うカバーとによって構成されており、該カバーは、透明体によって構成されている。
【0004】
これにより、香料の減り具合などの変化を外部から観察できるように構成されている。
【特許文献1】特開2000−189506号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような薬剤揮散器にあっては、コスト面からカバーを透明なプラスチックで形成することとなるが、透明プラスチックは、薬剤によって曇化し易く、内部が見えなくなるとともに見栄えが悪化してしまう。
【0006】
また、一部を耐薬性の高い透明体で構成することも考えられるが、部品点数の増加に伴いコスト高となってしまう。
【0007】
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、コスト高を招くこと無く内部の状態を確認することができる薬剤揮散器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために本発明の請求項1の薬剤揮散器にあっては、薬剤を収容した透明性を有する薬剤容器をカバーで覆い、前記薬剤容器より気化した気化薬剤を貯留する貯留部を前記カバー内に形成するとともに、該カバーに設けられた吸気口より吸入した空気を前記貯留部を介して排出口から排出して前記気化薬剤を放出する薬剤揮散器であって、前記カバーに覗き穴を開設するとともに、前記薬剤容器の側壁面を前記覗き穴に沿って近接して配置した。
【0009】
すなわち、薬剤を収容した薬剤容器を覆うとともに、薬剤容器より気化した気化薬剤を貯留する貯留部を形成するカバーには、覗き穴が開設されており、前記薬剤容器は、その側壁面が前記覗き穴に沿って近接して配置される。
【0010】
このため、カバー内に設けられた前記薬剤容器の内部の状態は、前記カバーに設けられた覗き穴より透明性を有した前記薬剤容器の側壁面から確認される。このとき、前記薬剤容器の側壁面は、前記覗き穴に近接して配置されている。このため、当該覗き穴から入る光が前記側壁面を介して前記薬剤容器内に入るため、該薬剤容器内へ光が入り込まない場合と比較して、内部の確認が容易に行われる。
【0011】
そして、前記薬剤容器の側壁面を前記覗き穴に沿って近接して配置することで、前記カバーに開設された前記覗き穴が前記側壁面で閉鎖される。これにより、前記カバーで形成された貯留部の不用意な開放が防止される。
【0012】
また、請求項2の薬剤揮散器においては、前記覗き穴を、前記カバーの対向する部位にそれぞれ設けた。
【0013】
すなわち、カバーに開設された覗き穴は、前記カバーの対向する部位に設けられており、一方の覗き穴の裏側には、他方の覗き穴が配置されることとなる。
【0014】
このため、一方の覗き穴から薬剤容器の内部を確認する際には、他方の覗き穴から入り込む光が利用される。
【0015】
そして、請求項3の薬剤揮散器においては、薬剤を収容した透明性を有する薬剤容器をカバーで覆い、前記薬剤容器より気化した気化薬剤を貯留する貯留部を前記カバー内に形成するとともに、ファンを間欠的に駆動して、該カバーに設けられた吸気口より吸入した空気で、前記貯留部に貯留した空気を排出口から排出して気化薬剤を放出する薬剤揮散器であって、前記カバーに覗き穴を開設するとともに、前記薬剤容器の側壁面を前記覗き穴に沿って近接して配置した。
【0016】
すなわち、薬剤を収容した薬剤容器を覆うとともに、薬剤容器より気化した気化薬剤を貯留する貯留部を形成するカバーには、覗き穴が開設されており、前記薬剤容器は、その側壁面が前記覗き穴に沿って近接して配置される。
【0017】
このため、カバー内に設けられた前記薬剤容器の内部の状態は、前記カバーに設けられた覗き穴より透明性を有した前記薬剤容器の側壁面から確認される。このとき、前記薬剤容器の側壁面は、前記覗き穴に近接して配置されている。このため、当該覗き穴から入る光が前記側壁面を介して前記薬剤容器内に入るため、該薬剤容器内へ光が入り込まない場合と比較して、内部の確認が容易に行われる。
【0018】
また、前記薬剤容器の側壁面を前記覗き穴に沿って近接して配置することで、前記カバーに開設された前記覗き穴が前記側壁面で閉鎖される。これにより、前記カバーで形成された貯留部の不用意な開放が防止される。
【0019】
ここで、このような間欠ファンの薬剤揮散器では、ファン停止中において自然揮散した薬剤を薬剤貯留部に貯留充満させ、これをファンが作動したときに排出する構造であり、効率よく薬剤を適用空間に拡散できるように構成されている。このため、このような構成の薬剤揮散器において、特に有効な構成となる。
【0020】
また、請求項4の薬剤揮散器では、前記覗き穴を、前記カバーの対向する部位にそれぞれ設けた。
【0021】
すなわち、カバーに開設された覗き穴は、前記カバーの対向する部位に設けられており、一方の覗き穴の裏側には、他方の覗き穴が配置されることとなる。
【0022】
このため、一方の覗き穴から薬剤容器の内部を確認する際には、他方の覗き穴から入り込む光が利用される。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように本発明の請求項1及び請求項3の薬剤揮散器にあっては、カバー内に設けられた薬剤容器の内部の状態を、前記カバーに設けられた覗き穴より透明性を有した前記薬剤容器の側壁面を介して確認することができる。
【0024】
このため、前記カバーを不透明な素材で形成することができるので、カバーを透明なプラスチックで形成しなければならなかった従来と比較して、薬剤による変色等に起因した不具合を防止することができる。また、カバーの一部を、耐薬性の高い透明体で構成する場合と比較して、部品点数の増加に押さえることができ、低コスト化を図ることができる。
【0025】
また、前記薬剤容器の側壁面は、前記覗き穴に近接して配置されており、当該覗き穴から入る光を前記側壁面を介して前記薬剤容器内に導くことができる。これにより、該薬剤容器が前記覗き窓から離れた位置に配置され薬剤容器内に光が届かない場合と比較して、内部の確認を容易に行うことができる。
【0026】
さらに、前記薬剤容器の側壁面は、前記覗き穴に沿って近接して配置されているので、前記カバーに開設された前記覗き穴を前記側壁面によって閉鎖することができる。このため、吸気口より吸入した空気をカバー内に形成された貯留部を介して排出口から放出する通流経路において、前記覗き穴による中途部での不用意な開放を防止することができる。これにより、前記貯留部に貯留された気化薬剤の前記排出口からの放出を効率良く行うことができる。
【0027】
ここで、請求項3の間欠ファンの薬剤揮散器では、ファン停止中において自然揮散した薬剤を薬剤貯留部に貯留充満させ、これをファンが作動したときに排出する構造であり、効率よく薬剤を適用空間に拡散できるように構成されている。このため、このような構成の薬剤揮散器において、特に有効な構成となり得る。
【0028】
また、請求項2及び4の薬剤揮散器においては、一方の覗き穴から内部を確認する際には、これに対向する部位に設けられた他方の覗き穴から入り込む光を利用して、前記薬剤容器の内部を確認することができる。
【0029】
これにより、内部の視認性を、より高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
(第1の実施の形態)
【0031】
以下、本発明の第1の実施の形態を図に従って説明する。図1は、本実施の形態にかかる薬剤揮散器としての芳香器1を示す図であり、該芳香器1は、トイレや居住空間で使用されるものである。
【0032】
この芳香器1の芳香器本体11は、図2にも示すように、下部を構成する下部構成部12と、該下部構成部12の上部に着脱自在に取り付けられるカバー13とによって構成されている。該カバー13内には、薬剤容器14が交換可能に設けられており、該薬剤容器14に収容された液状薬剤を揮散できるように構成されている。
【0033】
前記下部構成部材12は、図3に示すように、底部を構成する容器部21と、該容器部21の上部開口部を閉鎖して上下を隔てる隔成部22と、該隔成部22上に配置される送出手段としてのファン23と、前記隔成部22の上部に間隔を置いて配置されるリング状のリングフィン24と、該リングフィン24の上部に間隔を置いて配置される薬剤載置部25とによって構成されている。
【0034】
前記容器部21は、図4に示すように、楕円形の底面31と、該底面31の周縁に起立した周壁32とによって容器状に形成されている。前記底面31には、上方に膨出した裏面開口状の電池収容部33が形成されており、当該電池収容部33に底面側から電池を交換可能に収容できるように構成されている。前記電池収容部33には、支柱34,・・・が四カ所に立設されており、各支柱34,・・・の端部には、前記電池収容部33側に連通する連通穴35,・・・が設けられている。また、前記周壁32には、発光ダイオードが挿入されるライト穴36が設けられており、その逆側には、スイッチ37aが挿入されるスイッチ穴37が設けられている。
【0035】
この容器部21上に配置される前記隔成部22の周囲部には、図5に示すように、内側から外縁へ向かうに従って上方に傾斜した下部傾斜面41が形成されており、その内側には、円筒部42が四カ所に設けられている。各円筒部42,・・・の中央部には、円形穴43,・・・が開設されており、各円形穴43,・・・は、前記容器部21に設けられた前記支柱34,・・・の連通穴35,・・・と合致する位置に設けられている。
【0036】
この隔成部22の裏面には、プリント基板51が固定されており、該プリント基板51に構成された電子回路は、前記電池収容部33内の電池から電源供給を受けて作動するように構成されている。前記プリント基板51には、前記電子回路によって一定時間駆動と停止を繰り返すように回動制御されるモータ52が設けられており、該モータ52は、前記隔成部22の中央に膨出形成されたモータ取付部53内に収容された状態で固定されている。このモータ52の回転軸54は、前記隔成部22を挿通して上方に突出しており、この回転軸54には、前記ファン23が固定されている。
【0037】
該ファン23は、図3に示したように、前記回転軸54に取り付けられるボス部61と、該ボス部61より側方に延出する延出片62,・・・と、各延出片62,・・・に支持され前記モータ取付部53を包囲するように配置される円筒部63とによって構成されている。該円筒部63には、複数のスリット64,・・・が設けられており、各スリット64,・・・の縁部からは、内側へ向けて斜めに延出する整流フィン65,・・・が設けられている。これにより、当該ファン23が回動された際には、前記各延出片62,・・・間の開口部分66,・・・から導入した空気を、前記各スリット64,・・・から外周部へ排出できるように構成されている。
【0038】
前記隔成部22上に配置される前記リングフィン24は、図6に示すように、楕円リング状に形成されており、その内側には、平坦な平坦部71が設けられている。この平坦部71は、前記隔成部22の前記円筒部42,・・・に支持されるように構成されており、当該リングフィン24と前記隔成部22との間には、前記円筒部42,・・・の高さ分の間隙が確保されている。前記円筒部42による支持位置の中央には、上下に貫通する貫通穴72,・・・が設けられており、当該平坦部71の外周部には、内側から外周縁へ向かうに従って上方に傾斜した中傾斜面73が形成されている。
【0039】
このリングフィン24上に配置される前記薬剤載置部25の中央部には、図7に示すように、四カ所の支持部81,・・・で支持された円形の棚部82が設けられており、前記各支持部81,・・・間には、上下を連通する通流部83,・・・が設けられている。前記棚部82の縁部には、上方に延出する長方形板状の側面当接リブ84,84が対向して設けられており、各側面当接リブ84,84の裏面には、補強条85,85が一体形成されている。これら各側面当接リブ84,84によって前記棚部82に載置された前記薬剤容器14を位置決めできるように構成されている。
【0040】
前記棚部82の外周部には、内側から外周縁へ向かうに従って上方に傾斜した上部傾斜面91が形成されており、該上部傾斜面91の上面には、上方に延出する係止片92,92が相対向する部位に立設されている。各係止片92,92の上端には、前記カバー13の内側面と係合する係合爪93,93が突設されており、該係合爪93,93の下部には、押圧操作用の凸部94,94が形成されている。
【0041】
また、前記薬剤載置部25の下面には、下方へ向けて延出する脚部101,・・・が前記上部傾斜面91の内側の4カ所に設けられており、隔脚部101,・・・の基端部には、大径の大径部102が形成され、中途部に段部103が形成されている(一カ所のみ図示)。また、各脚部101,・・・の端部には、小孔が設けられている(図示省略)。
【0042】
これにより、芳香器本体11組み立て時には、前記薬剤載置部25の前記各脚部101,・・・を前記リングフィン24の前記貫通穴72,・・・へ挿通した際に、前記段部103が前記リングフィン24の上面に当接することによって、当該リングフィン24と前記薬剤載置部25との間に所定の間隙を確保できるように構成されている。そして、前記貫通穴72,・・・を挿通した各脚部101,・・・を前記隔成部22の円筒部42,・・・に内嵌し、当該隔成部22を前記容器部21に取り付けるとともに、この状態で、前記容器部21の前記電池収容部33側から当該容器部21に設けられた前記支柱34,・・・の連通穴35,・・・にタッピンネジを挿入するとともに、該タッピンネジを前記脚部101,101の小孔に螺入することによって、前記薬剤載置部25と前記リングフィン24と前記隔成部22とを前記容器部21に固定できるように構成されている。
【0043】
前記カバー13は、図2に示したように、不透明(白色)の樹脂によって形成されており、当該カバー13は、横断面が楕円形状であって上方へ向かうに従って縮径する山形状に形成されている。このカバー13の上端部には、水平方向に延在するスリット状の吸気口111,・・・が四カ所に設けられており、下部には、内部に連通する楕円形の覗き穴112,112が当該カバー13側面の相対向する箇所に開設されている(図10及び図12参照)。
【0044】
前記薬剤載置部25の前記係止片92に対応する部位には、前記凸部94を露出させる為の切欠部113が設けられており、前記凸部94の押圧操作を可能としている。この切欠部113,113上部の内側面には、前記薬剤載置部25に設けられた前記係止片92,92の係合爪93,93と係合する係合溝が形成されており(図示省略)、前記係合片92,92の前記係合爪93,93と前記カバー13の係合溝とが係合することによって、当該カバーを前記下部構成部12に取り付けた状態で固定できるように構成されている。
【0045】
また、前記薬剤容器14は、図8に示すように、無色透明のガラス瓶によって形成されており、矩形容器状の容器本体121と、円筒状の口部122とによって一体形成されている。該口部122には、図外のキャップを螺着する為の雄ねじ123が形成されており、キャップ装着時に口部122の開口部を閉鎖できるように構成されている。
【0046】
前記容器本体121の底面124は、長方形状に形成されており、対向する短辺からは第1側壁面125及び第2側壁面126が起立している。また、前記底面124の対向する長辺からは、第3側壁面127及び第4側壁面128が起立しており、前記第1及び第2側壁面125,126は、図9及び図10にも示すように、前記カバー13の内側面に沿って延在する湾曲面で構成されている。
【0047】
前記第3及び第4側壁面127,128には、図8に示したように、上下に延在する縦長の溝部129,129が形成されており、取付時において、図2及び図9に示したように、前記薬剤載置部25に設けられた前記側面当接リブ84,84が前記各溝部129,129内に挿入された状態で、当該薬剤容器14が位置決めされるように構成されている。
【0048】
この位置決め状態では、図10に示すように、前記薬剤容器121の前記第1側壁面125が前記カバー13に設けられた一方の覗き穴112に沿って近接して配置されるとともに、前記第2側壁面126が他方の覗き穴112に沿って近接して配置されるように構成されている。このとき、前記カバー13は、樹脂成型品からなり、前記薬剤容器121の各壁面125,126と前記カバー13の内側面との間には、約1mmの間隔が形成されるように設計されている。なお、この間隙は、2mm程度であれば、本発明の効果に影響がないことは実験により確認されている。
【0049】
前記薬剤容器121の前記口部122には、芯材が収容されており(図示省略)、該芯材が容器本体121内の液状薬剤を吸い上げることによって、芯材の露出部より前記液状薬剤を揮散できるように構成されている。
【0050】
これにより、図11に示すように、前記下部構成部材12に前記薬剤容器14をセットするとともに前記カバー13を取り付けて芳香器本体11形成した状態で、該芳香器本体11のカバー13内には、前記薬剤容器121から揮散した気化薬剤が貯留される貯留部としての貯留空間131が形成されており、スイッチ操作に従って前記モータ52を作動して前記ファン23を回動することにより、前記カバー13上端部の吸気口111,・・・から前記貯留空間131内に空気を導入するとともに、該貯留空間131に貯留した気化薬剤を、前記薬剤載置部25の上部傾斜面91下面が構成する上壁面132と前記隔成部22の前記下部傾斜面41上面が構成する下壁面133との間にて当該芳香器本体11の全周に渡って形成された排出口134から外部へ放出できるように構成されている。
【0051】
そして、前記薬剤容器14がセットされた前記下部構成部材12に前記カバー13を取り付けて該カバー13で前記薬剤容器14を覆った状態において、図12に示すように、前記薬剤載置部25の棚部82に載置された前記薬剤容器14の前記容器本体121における対向した第1及び第2側壁面125,126の上縁125a,126aが前記カバー13の内側面に線接触するように、前記棚部82の高さが設定されている。これにより、前記薬剤容器14は、不用意な上下動が防止されている。
【0052】
以上の構成にかかる本実施の形態において、液状薬剤を収容した薬剤容器14を覆うとともに、薬剤容器14より気化した気化薬剤を貯留する貯留空間131を形成するカバー13には、覗き穴112,112が開設されており、前記薬剤容器14は、第1及び第2側壁面125,126が前記覗き穴112,112に沿って近接して配置される。
【0053】
このため、前記カバー13内に設けられた前記薬剤容器14の液状薬剤の残量等の内部の状態は、前記カバー13に設けられた覗き穴112,112より無色透明の前記薬剤容器14の第1及び第2側壁面125,126を介して確認することができる。
【0054】
このため、前記カバー13を不透明な素材で形成することができるので、カバー13を透明なプラスチックで形成しなければならなかった従来と比較して、薬剤の変色等に起因した不具合を防止することができる。また、カバー13の一部を、耐薬性の高い透明体で構成する場合と比較して、部品点数の増加を押さえることができ、低コスト化を図ることができる。
【0055】
また、前記薬剤容器14の各側壁面125,126は、前記覗き穴112,112に近接して配置されており、当該覗き穴112,112から入る光を前記各側壁面125,126を介して前記薬剤容器14内に導くことができる。これにより、該薬剤容器14が前記覗き窓112,112から離れた位置に配置され薬剤容器14内に光が届かない場合と比較して、内部の確認を容易に行うことができる。
【0056】
そして、前記薬剤容器14の各側壁面125,126は、前記覗き穴112,112に沿って近接して配置されており、前記カバー13に開設された前記覗き穴112,112を前記各側壁面125,126によって閉鎖することができる。このため、カバー13上部の吸気口111,・・・より吸入した空気を前記貯留空間131を介して排出口134から放出する通流経路において、前記覗き穴112,112による中途部での不用意な開放を防止することができる。
【0057】
これにより、前記貯留空間131に貯留した気化薬剤が覗き穴112,112から漏れ出したり、あるいは液状薬剤が気化される薬剤容器14の口部122より下流側に設けられた前記覗き穴112,112から空気が流入し前記排出口134から直接排出されてしまうといった不具合を防止することができる。よって、前記貯留空間131に貯留された気化薬剤の前記排出口134からの放出を効率良く行うことができる。
【0058】
また、前記覗き穴112,112は、前記カバー13の対向する部位に設けられており、一方の覗き穴112の裏側には、他方の覗き穴112が配置されることとなる。
【0059】
このため、一方の覗き穴112から薬剤容器14の内部を確認する際には、これに対向する部位に設けられた他方の覗き穴112から入り込む光を利用して、前記薬剤容器14の内部を確認することができる。
【0060】
これにより、前記薬剤容器14内部の視認性を、より高めることができる。
【0061】
なお、本実施の形態では、薬剤容器14の第1及び第2側壁面125,126をカバー13に設けられた覗き穴112,112に沿って延在する湾曲面で構成した場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものでは無い。
【0062】
(第2の実施の形態)
【0063】
すなわち、図13に示すように、薬剤容器14の第1及び第2側壁面125,126に、カバー13の覗き穴112,112に挿入されカバー13外部へ突出する凸部201,201を形成しても良い。
【0064】
この場合、前記薬剤容器14の内部の状態の確認がさらに容易となる。
【0065】
さらに、内部にランプを設けても良い。
【0066】
また、前記各実施の形態にあっては、容器本体121の短辺を構成する第1側壁面125及び第2側壁面126を覗き穴112,112に沿って近接して配置した場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものでは無い。
【0067】
(第3の実施の形態)
【0068】
すなわち、図14に示すように、容器本体121の長辺を構成する第3側壁面127及び第4側壁面128を覗き穴112,112に沿って近接して配置しても良い。
【0069】
この場合、カバー13への面接部分を長くとることがでるため、当該薬剤容器14の固定性を高めることができる。
【0070】
各実施の形態において吸気口111付近にフィルタを設け、洗浄した空気に薬効を付与させて周囲に排出させるようにすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す図である。
【図2】同実施の形態のカバーを外した状態を示す斜視図である。
【図3】同実施の形態の下部構成部材を示す分解斜視図である。
【図4】同実施の形態の容器部を示す拡大図である。
【図5】同実施の形態の隔成部を示す拡大図である。
【図6】同実施の形態のリングフィンを示す拡大図である。
【図7】同実施の形態の薬剤載置部を示す拡大図である。
【図8】同実施の形態の薬剤容器を示す拡大図である。
【図9】同実施の形態の薬剤載置部に薬剤容器を載置した状態を示す平面図である。
【図10】同実施の形態の薬剤容器とカバーとの関係を示す模式図である。
【図11】同実施の形態の内部の様子を示す説明図である。
【図12】図11のA−A線に沿った断面に相当する模式図。
【図13】本発明の第2の実施の形態を示す模式図である。
【図14】本発明の第3の実施の形態を示す模式図である。
【符号の説明】
【0072】
1 芳香器
13 カバー
14 薬剤容器
111 吸気口
112 覗き穴
121 容器本体
125 第1側壁面
126 第2側壁面
134 排出口
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば芳香成分を揮散する薬剤揮散器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、芳香成分を揮散する薬剤揮散器としては、芳香器が知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
この芳香器は、上部に芳香タンクを備えている。該芳香タンクは、香料を収容した透明の香料収納カセットと、該香料収納カセットを覆うカバーとによって構成されており、該カバーは、透明体によって構成されている。
【0004】
これにより、香料の減り具合などの変化を外部から観察できるように構成されている。
【特許文献1】特開2000−189506号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような薬剤揮散器にあっては、コスト面からカバーを透明なプラスチックで形成することとなるが、透明プラスチックは、薬剤によって曇化し易く、内部が見えなくなるとともに見栄えが悪化してしまう。
【0006】
また、一部を耐薬性の高い透明体で構成することも考えられるが、部品点数の増加に伴いコスト高となってしまう。
【0007】
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、コスト高を招くこと無く内部の状態を確認することができる薬剤揮散器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために本発明の請求項1の薬剤揮散器にあっては、薬剤を収容した透明性を有する薬剤容器をカバーで覆い、前記薬剤容器より気化した気化薬剤を貯留する貯留部を前記カバー内に形成するとともに、該カバーに設けられた吸気口より吸入した空気を前記貯留部を介して排出口から排出して前記気化薬剤を放出する薬剤揮散器であって、前記カバーに覗き穴を開設するとともに、前記薬剤容器の側壁面を前記覗き穴に沿って近接して配置した。
【0009】
すなわち、薬剤を収容した薬剤容器を覆うとともに、薬剤容器より気化した気化薬剤を貯留する貯留部を形成するカバーには、覗き穴が開設されており、前記薬剤容器は、その側壁面が前記覗き穴に沿って近接して配置される。
【0010】
このため、カバー内に設けられた前記薬剤容器の内部の状態は、前記カバーに設けられた覗き穴より透明性を有した前記薬剤容器の側壁面から確認される。このとき、前記薬剤容器の側壁面は、前記覗き穴に近接して配置されている。このため、当該覗き穴から入る光が前記側壁面を介して前記薬剤容器内に入るため、該薬剤容器内へ光が入り込まない場合と比較して、内部の確認が容易に行われる。
【0011】
そして、前記薬剤容器の側壁面を前記覗き穴に沿って近接して配置することで、前記カバーに開設された前記覗き穴が前記側壁面で閉鎖される。これにより、前記カバーで形成された貯留部の不用意な開放が防止される。
【0012】
また、請求項2の薬剤揮散器においては、前記覗き穴を、前記カバーの対向する部位にそれぞれ設けた。
【0013】
すなわち、カバーに開設された覗き穴は、前記カバーの対向する部位に設けられており、一方の覗き穴の裏側には、他方の覗き穴が配置されることとなる。
【0014】
このため、一方の覗き穴から薬剤容器の内部を確認する際には、他方の覗き穴から入り込む光が利用される。
【0015】
そして、請求項3の薬剤揮散器においては、薬剤を収容した透明性を有する薬剤容器をカバーで覆い、前記薬剤容器より気化した気化薬剤を貯留する貯留部を前記カバー内に形成するとともに、ファンを間欠的に駆動して、該カバーに設けられた吸気口より吸入した空気で、前記貯留部に貯留した空気を排出口から排出して気化薬剤を放出する薬剤揮散器であって、前記カバーに覗き穴を開設するとともに、前記薬剤容器の側壁面を前記覗き穴に沿って近接して配置した。
【0016】
すなわち、薬剤を収容した薬剤容器を覆うとともに、薬剤容器より気化した気化薬剤を貯留する貯留部を形成するカバーには、覗き穴が開設されており、前記薬剤容器は、その側壁面が前記覗き穴に沿って近接して配置される。
【0017】
このため、カバー内に設けられた前記薬剤容器の内部の状態は、前記カバーに設けられた覗き穴より透明性を有した前記薬剤容器の側壁面から確認される。このとき、前記薬剤容器の側壁面は、前記覗き穴に近接して配置されている。このため、当該覗き穴から入る光が前記側壁面を介して前記薬剤容器内に入るため、該薬剤容器内へ光が入り込まない場合と比較して、内部の確認が容易に行われる。
【0018】
また、前記薬剤容器の側壁面を前記覗き穴に沿って近接して配置することで、前記カバーに開設された前記覗き穴が前記側壁面で閉鎖される。これにより、前記カバーで形成された貯留部の不用意な開放が防止される。
【0019】
ここで、このような間欠ファンの薬剤揮散器では、ファン停止中において自然揮散した薬剤を薬剤貯留部に貯留充満させ、これをファンが作動したときに排出する構造であり、効率よく薬剤を適用空間に拡散できるように構成されている。このため、このような構成の薬剤揮散器において、特に有効な構成となる。
【0020】
また、請求項4の薬剤揮散器では、前記覗き穴を、前記カバーの対向する部位にそれぞれ設けた。
【0021】
すなわち、カバーに開設された覗き穴は、前記カバーの対向する部位に設けられており、一方の覗き穴の裏側には、他方の覗き穴が配置されることとなる。
【0022】
このため、一方の覗き穴から薬剤容器の内部を確認する際には、他方の覗き穴から入り込む光が利用される。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように本発明の請求項1及び請求項3の薬剤揮散器にあっては、カバー内に設けられた薬剤容器の内部の状態を、前記カバーに設けられた覗き穴より透明性を有した前記薬剤容器の側壁面を介して確認することができる。
【0024】
このため、前記カバーを不透明な素材で形成することができるので、カバーを透明なプラスチックで形成しなければならなかった従来と比較して、薬剤による変色等に起因した不具合を防止することができる。また、カバーの一部を、耐薬性の高い透明体で構成する場合と比較して、部品点数の増加に押さえることができ、低コスト化を図ることができる。
【0025】
また、前記薬剤容器の側壁面は、前記覗き穴に近接して配置されており、当該覗き穴から入る光を前記側壁面を介して前記薬剤容器内に導くことができる。これにより、該薬剤容器が前記覗き窓から離れた位置に配置され薬剤容器内に光が届かない場合と比較して、内部の確認を容易に行うことができる。
【0026】
さらに、前記薬剤容器の側壁面は、前記覗き穴に沿って近接して配置されているので、前記カバーに開設された前記覗き穴を前記側壁面によって閉鎖することができる。このため、吸気口より吸入した空気をカバー内に形成された貯留部を介して排出口から放出する通流経路において、前記覗き穴による中途部での不用意な開放を防止することができる。これにより、前記貯留部に貯留された気化薬剤の前記排出口からの放出を効率良く行うことができる。
【0027】
ここで、請求項3の間欠ファンの薬剤揮散器では、ファン停止中において自然揮散した薬剤を薬剤貯留部に貯留充満させ、これをファンが作動したときに排出する構造であり、効率よく薬剤を適用空間に拡散できるように構成されている。このため、このような構成の薬剤揮散器において、特に有効な構成となり得る。
【0028】
また、請求項2及び4の薬剤揮散器においては、一方の覗き穴から内部を確認する際には、これに対向する部位に設けられた他方の覗き穴から入り込む光を利用して、前記薬剤容器の内部を確認することができる。
【0029】
これにより、内部の視認性を、より高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
(第1の実施の形態)
【0031】
以下、本発明の第1の実施の形態を図に従って説明する。図1は、本実施の形態にかかる薬剤揮散器としての芳香器1を示す図であり、該芳香器1は、トイレや居住空間で使用されるものである。
【0032】
この芳香器1の芳香器本体11は、図2にも示すように、下部を構成する下部構成部12と、該下部構成部12の上部に着脱自在に取り付けられるカバー13とによって構成されている。該カバー13内には、薬剤容器14が交換可能に設けられており、該薬剤容器14に収容された液状薬剤を揮散できるように構成されている。
【0033】
前記下部構成部材12は、図3に示すように、底部を構成する容器部21と、該容器部21の上部開口部を閉鎖して上下を隔てる隔成部22と、該隔成部22上に配置される送出手段としてのファン23と、前記隔成部22の上部に間隔を置いて配置されるリング状のリングフィン24と、該リングフィン24の上部に間隔を置いて配置される薬剤載置部25とによって構成されている。
【0034】
前記容器部21は、図4に示すように、楕円形の底面31と、該底面31の周縁に起立した周壁32とによって容器状に形成されている。前記底面31には、上方に膨出した裏面開口状の電池収容部33が形成されており、当該電池収容部33に底面側から電池を交換可能に収容できるように構成されている。前記電池収容部33には、支柱34,・・・が四カ所に立設されており、各支柱34,・・・の端部には、前記電池収容部33側に連通する連通穴35,・・・が設けられている。また、前記周壁32には、発光ダイオードが挿入されるライト穴36が設けられており、その逆側には、スイッチ37aが挿入されるスイッチ穴37が設けられている。
【0035】
この容器部21上に配置される前記隔成部22の周囲部には、図5に示すように、内側から外縁へ向かうに従って上方に傾斜した下部傾斜面41が形成されており、その内側には、円筒部42が四カ所に設けられている。各円筒部42,・・・の中央部には、円形穴43,・・・が開設されており、各円形穴43,・・・は、前記容器部21に設けられた前記支柱34,・・・の連通穴35,・・・と合致する位置に設けられている。
【0036】
この隔成部22の裏面には、プリント基板51が固定されており、該プリント基板51に構成された電子回路は、前記電池収容部33内の電池から電源供給を受けて作動するように構成されている。前記プリント基板51には、前記電子回路によって一定時間駆動と停止を繰り返すように回動制御されるモータ52が設けられており、該モータ52は、前記隔成部22の中央に膨出形成されたモータ取付部53内に収容された状態で固定されている。このモータ52の回転軸54は、前記隔成部22を挿通して上方に突出しており、この回転軸54には、前記ファン23が固定されている。
【0037】
該ファン23は、図3に示したように、前記回転軸54に取り付けられるボス部61と、該ボス部61より側方に延出する延出片62,・・・と、各延出片62,・・・に支持され前記モータ取付部53を包囲するように配置される円筒部63とによって構成されている。該円筒部63には、複数のスリット64,・・・が設けられており、各スリット64,・・・の縁部からは、内側へ向けて斜めに延出する整流フィン65,・・・が設けられている。これにより、当該ファン23が回動された際には、前記各延出片62,・・・間の開口部分66,・・・から導入した空気を、前記各スリット64,・・・から外周部へ排出できるように構成されている。
【0038】
前記隔成部22上に配置される前記リングフィン24は、図6に示すように、楕円リング状に形成されており、その内側には、平坦な平坦部71が設けられている。この平坦部71は、前記隔成部22の前記円筒部42,・・・に支持されるように構成されており、当該リングフィン24と前記隔成部22との間には、前記円筒部42,・・・の高さ分の間隙が確保されている。前記円筒部42による支持位置の中央には、上下に貫通する貫通穴72,・・・が設けられており、当該平坦部71の外周部には、内側から外周縁へ向かうに従って上方に傾斜した中傾斜面73が形成されている。
【0039】
このリングフィン24上に配置される前記薬剤載置部25の中央部には、図7に示すように、四カ所の支持部81,・・・で支持された円形の棚部82が設けられており、前記各支持部81,・・・間には、上下を連通する通流部83,・・・が設けられている。前記棚部82の縁部には、上方に延出する長方形板状の側面当接リブ84,84が対向して設けられており、各側面当接リブ84,84の裏面には、補強条85,85が一体形成されている。これら各側面当接リブ84,84によって前記棚部82に載置された前記薬剤容器14を位置決めできるように構成されている。
【0040】
前記棚部82の外周部には、内側から外周縁へ向かうに従って上方に傾斜した上部傾斜面91が形成されており、該上部傾斜面91の上面には、上方に延出する係止片92,92が相対向する部位に立設されている。各係止片92,92の上端には、前記カバー13の内側面と係合する係合爪93,93が突設されており、該係合爪93,93の下部には、押圧操作用の凸部94,94が形成されている。
【0041】
また、前記薬剤載置部25の下面には、下方へ向けて延出する脚部101,・・・が前記上部傾斜面91の内側の4カ所に設けられており、隔脚部101,・・・の基端部には、大径の大径部102が形成され、中途部に段部103が形成されている(一カ所のみ図示)。また、各脚部101,・・・の端部には、小孔が設けられている(図示省略)。
【0042】
これにより、芳香器本体11組み立て時には、前記薬剤載置部25の前記各脚部101,・・・を前記リングフィン24の前記貫通穴72,・・・へ挿通した際に、前記段部103が前記リングフィン24の上面に当接することによって、当該リングフィン24と前記薬剤載置部25との間に所定の間隙を確保できるように構成されている。そして、前記貫通穴72,・・・を挿通した各脚部101,・・・を前記隔成部22の円筒部42,・・・に内嵌し、当該隔成部22を前記容器部21に取り付けるとともに、この状態で、前記容器部21の前記電池収容部33側から当該容器部21に設けられた前記支柱34,・・・の連通穴35,・・・にタッピンネジを挿入するとともに、該タッピンネジを前記脚部101,101の小孔に螺入することによって、前記薬剤載置部25と前記リングフィン24と前記隔成部22とを前記容器部21に固定できるように構成されている。
【0043】
前記カバー13は、図2に示したように、不透明(白色)の樹脂によって形成されており、当該カバー13は、横断面が楕円形状であって上方へ向かうに従って縮径する山形状に形成されている。このカバー13の上端部には、水平方向に延在するスリット状の吸気口111,・・・が四カ所に設けられており、下部には、内部に連通する楕円形の覗き穴112,112が当該カバー13側面の相対向する箇所に開設されている(図10及び図12参照)。
【0044】
前記薬剤載置部25の前記係止片92に対応する部位には、前記凸部94を露出させる為の切欠部113が設けられており、前記凸部94の押圧操作を可能としている。この切欠部113,113上部の内側面には、前記薬剤載置部25に設けられた前記係止片92,92の係合爪93,93と係合する係合溝が形成されており(図示省略)、前記係合片92,92の前記係合爪93,93と前記カバー13の係合溝とが係合することによって、当該カバーを前記下部構成部12に取り付けた状態で固定できるように構成されている。
【0045】
また、前記薬剤容器14は、図8に示すように、無色透明のガラス瓶によって形成されており、矩形容器状の容器本体121と、円筒状の口部122とによって一体形成されている。該口部122には、図外のキャップを螺着する為の雄ねじ123が形成されており、キャップ装着時に口部122の開口部を閉鎖できるように構成されている。
【0046】
前記容器本体121の底面124は、長方形状に形成されており、対向する短辺からは第1側壁面125及び第2側壁面126が起立している。また、前記底面124の対向する長辺からは、第3側壁面127及び第4側壁面128が起立しており、前記第1及び第2側壁面125,126は、図9及び図10にも示すように、前記カバー13の内側面に沿って延在する湾曲面で構成されている。
【0047】
前記第3及び第4側壁面127,128には、図8に示したように、上下に延在する縦長の溝部129,129が形成されており、取付時において、図2及び図9に示したように、前記薬剤載置部25に設けられた前記側面当接リブ84,84が前記各溝部129,129内に挿入された状態で、当該薬剤容器14が位置決めされるように構成されている。
【0048】
この位置決め状態では、図10に示すように、前記薬剤容器121の前記第1側壁面125が前記カバー13に設けられた一方の覗き穴112に沿って近接して配置されるとともに、前記第2側壁面126が他方の覗き穴112に沿って近接して配置されるように構成されている。このとき、前記カバー13は、樹脂成型品からなり、前記薬剤容器121の各壁面125,126と前記カバー13の内側面との間には、約1mmの間隔が形成されるように設計されている。なお、この間隙は、2mm程度であれば、本発明の効果に影響がないことは実験により確認されている。
【0049】
前記薬剤容器121の前記口部122には、芯材が収容されており(図示省略)、該芯材が容器本体121内の液状薬剤を吸い上げることによって、芯材の露出部より前記液状薬剤を揮散できるように構成されている。
【0050】
これにより、図11に示すように、前記下部構成部材12に前記薬剤容器14をセットするとともに前記カバー13を取り付けて芳香器本体11形成した状態で、該芳香器本体11のカバー13内には、前記薬剤容器121から揮散した気化薬剤が貯留される貯留部としての貯留空間131が形成されており、スイッチ操作に従って前記モータ52を作動して前記ファン23を回動することにより、前記カバー13上端部の吸気口111,・・・から前記貯留空間131内に空気を導入するとともに、該貯留空間131に貯留した気化薬剤を、前記薬剤載置部25の上部傾斜面91下面が構成する上壁面132と前記隔成部22の前記下部傾斜面41上面が構成する下壁面133との間にて当該芳香器本体11の全周に渡って形成された排出口134から外部へ放出できるように構成されている。
【0051】
そして、前記薬剤容器14がセットされた前記下部構成部材12に前記カバー13を取り付けて該カバー13で前記薬剤容器14を覆った状態において、図12に示すように、前記薬剤載置部25の棚部82に載置された前記薬剤容器14の前記容器本体121における対向した第1及び第2側壁面125,126の上縁125a,126aが前記カバー13の内側面に線接触するように、前記棚部82の高さが設定されている。これにより、前記薬剤容器14は、不用意な上下動が防止されている。
【0052】
以上の構成にかかる本実施の形態において、液状薬剤を収容した薬剤容器14を覆うとともに、薬剤容器14より気化した気化薬剤を貯留する貯留空間131を形成するカバー13には、覗き穴112,112が開設されており、前記薬剤容器14は、第1及び第2側壁面125,126が前記覗き穴112,112に沿って近接して配置される。
【0053】
このため、前記カバー13内に設けられた前記薬剤容器14の液状薬剤の残量等の内部の状態は、前記カバー13に設けられた覗き穴112,112より無色透明の前記薬剤容器14の第1及び第2側壁面125,126を介して確認することができる。
【0054】
このため、前記カバー13を不透明な素材で形成することができるので、カバー13を透明なプラスチックで形成しなければならなかった従来と比較して、薬剤の変色等に起因した不具合を防止することができる。また、カバー13の一部を、耐薬性の高い透明体で構成する場合と比較して、部品点数の増加を押さえることができ、低コスト化を図ることができる。
【0055】
また、前記薬剤容器14の各側壁面125,126は、前記覗き穴112,112に近接して配置されており、当該覗き穴112,112から入る光を前記各側壁面125,126を介して前記薬剤容器14内に導くことができる。これにより、該薬剤容器14が前記覗き窓112,112から離れた位置に配置され薬剤容器14内に光が届かない場合と比較して、内部の確認を容易に行うことができる。
【0056】
そして、前記薬剤容器14の各側壁面125,126は、前記覗き穴112,112に沿って近接して配置されており、前記カバー13に開設された前記覗き穴112,112を前記各側壁面125,126によって閉鎖することができる。このため、カバー13上部の吸気口111,・・・より吸入した空気を前記貯留空間131を介して排出口134から放出する通流経路において、前記覗き穴112,112による中途部での不用意な開放を防止することができる。
【0057】
これにより、前記貯留空間131に貯留した気化薬剤が覗き穴112,112から漏れ出したり、あるいは液状薬剤が気化される薬剤容器14の口部122より下流側に設けられた前記覗き穴112,112から空気が流入し前記排出口134から直接排出されてしまうといった不具合を防止することができる。よって、前記貯留空間131に貯留された気化薬剤の前記排出口134からの放出を効率良く行うことができる。
【0058】
また、前記覗き穴112,112は、前記カバー13の対向する部位に設けられており、一方の覗き穴112の裏側には、他方の覗き穴112が配置されることとなる。
【0059】
このため、一方の覗き穴112から薬剤容器14の内部を確認する際には、これに対向する部位に設けられた他方の覗き穴112から入り込む光を利用して、前記薬剤容器14の内部を確認することができる。
【0060】
これにより、前記薬剤容器14内部の視認性を、より高めることができる。
【0061】
なお、本実施の形態では、薬剤容器14の第1及び第2側壁面125,126をカバー13に設けられた覗き穴112,112に沿って延在する湾曲面で構成した場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものでは無い。
【0062】
(第2の実施の形態)
【0063】
すなわち、図13に示すように、薬剤容器14の第1及び第2側壁面125,126に、カバー13の覗き穴112,112に挿入されカバー13外部へ突出する凸部201,201を形成しても良い。
【0064】
この場合、前記薬剤容器14の内部の状態の確認がさらに容易となる。
【0065】
さらに、内部にランプを設けても良い。
【0066】
また、前記各実施の形態にあっては、容器本体121の短辺を構成する第1側壁面125及び第2側壁面126を覗き穴112,112に沿って近接して配置した場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものでは無い。
【0067】
(第3の実施の形態)
【0068】
すなわち、図14に示すように、容器本体121の長辺を構成する第3側壁面127及び第4側壁面128を覗き穴112,112に沿って近接して配置しても良い。
【0069】
この場合、カバー13への面接部分を長くとることがでるため、当該薬剤容器14の固定性を高めることができる。
【0070】
各実施の形態において吸気口111付近にフィルタを設け、洗浄した空気に薬効を付与させて周囲に排出させるようにすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す図である。
【図2】同実施の形態のカバーを外した状態を示す斜視図である。
【図3】同実施の形態の下部構成部材を示す分解斜視図である。
【図4】同実施の形態の容器部を示す拡大図である。
【図5】同実施の形態の隔成部を示す拡大図である。
【図6】同実施の形態のリングフィンを示す拡大図である。
【図7】同実施の形態の薬剤載置部を示す拡大図である。
【図8】同実施の形態の薬剤容器を示す拡大図である。
【図9】同実施の形態の薬剤載置部に薬剤容器を載置した状態を示す平面図である。
【図10】同実施の形態の薬剤容器とカバーとの関係を示す模式図である。
【図11】同実施の形態の内部の様子を示す説明図である。
【図12】図11のA−A線に沿った断面に相当する模式図。
【図13】本発明の第2の実施の形態を示す模式図である。
【図14】本発明の第3の実施の形態を示す模式図である。
【符号の説明】
【0072】
1 芳香器
13 カバー
14 薬剤容器
111 吸気口
112 覗き穴
121 容器本体
125 第1側壁面
126 第2側壁面
134 排出口
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤を収容した透明性を有する薬剤容器をカバーで覆い、前記薬剤容器より気化した気化薬剤を貯留する貯留部を前記カバー内に形成するとともに、該カバーに設けられた吸気口より吸入した空気を前記貯留部を介して排出口から排出して前記気化薬剤を放出する薬剤揮散器であって、
前記カバーに覗き穴を開設するとともに、前記薬剤容器の側壁面を前記覗き穴に沿って近接して配置したことを特徴とする薬剤揮散器。
【請求項2】
前記覗き穴を、前記カバーの対向する部位にそれぞれ設けたことを特徴とする請求項1記載の薬剤揮散器。
【請求項3】
薬剤を収容した透明性を有する薬剤容器をカバーで覆い、前記薬剤容器より気化した気化薬剤を貯留する貯留部を前記カバー内に形成するとともに、ファンを間欠的に駆動して、該カバーに設けられた吸気口より吸入した空気で、前記貯留部に貯留した空気を排出口から排出して気化薬剤を放出する薬剤揮散器であって、
前記カバーに覗き穴を開設するとともに、前記薬剤容器の側壁面を前記覗き穴に沿って近接して配置したことを特徴とする薬剤揮散器。
【請求項4】
前記覗き穴を、前記カバーの対向する部位にそれぞれ設けたことを特徴とする請求項3記載の薬剤揮散器。
【請求項1】
薬剤を収容した透明性を有する薬剤容器をカバーで覆い、前記薬剤容器より気化した気化薬剤を貯留する貯留部を前記カバー内に形成するとともに、該カバーに設けられた吸気口より吸入した空気を前記貯留部を介して排出口から排出して前記気化薬剤を放出する薬剤揮散器であって、
前記カバーに覗き穴を開設するとともに、前記薬剤容器の側壁面を前記覗き穴に沿って近接して配置したことを特徴とする薬剤揮散器。
【請求項2】
前記覗き穴を、前記カバーの対向する部位にそれぞれ設けたことを特徴とする請求項1記載の薬剤揮散器。
【請求項3】
薬剤を収容した透明性を有する薬剤容器をカバーで覆い、前記薬剤容器より気化した気化薬剤を貯留する貯留部を前記カバー内に形成するとともに、ファンを間欠的に駆動して、該カバーに設けられた吸気口より吸入した空気で、前記貯留部に貯留した空気を排出口から排出して気化薬剤を放出する薬剤揮散器であって、
前記カバーに覗き穴を開設するとともに、前記薬剤容器の側壁面を前記覗き穴に沿って近接して配置したことを特徴とする薬剤揮散器。
【請求項4】
前記覗き穴を、前記カバーの対向する部位にそれぞれ設けたことを特徴とする請求項3記載の薬剤揮散器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2006−158469(P2006−158469A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−350688(P2004−350688)
【出願日】平成16年12月3日(2004.12.3)
【出願人】(000102544)エステー化学株式会社 (127)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年12月3日(2004.12.3)
【出願人】(000102544)エステー化学株式会社 (127)
【Fターム(参考)】
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