説明

薬剤放散装置

【課題】複数の目的に使用したり、同時に複数の目的に使用できると共に、それぞれの目的で使用した薬剤による薬剤取付部や空気流通路への付着物が混在することがないし、薬剤を効率良く大気に放出でき、しかも狭いスペースで使用できると共に、電源を有効利用でき、簡単に持ち運び、保管できる薬剤放散装置とする。
【解決手段】電源と送風機15と薬剤17を有した主薬剤放散器具1に、送風機25を駆動することで薬剤を含有した空気を放出する補助薬剤放散器具2を、格納姿勢と使用姿勢とに亘って移動自在にそれぞれ複数取付け、この各補助薬剤放散器具2の送風機25のモータ25bは、前記主薬剤放散器具1の電源によってそれぞれ駆動されるようにした薬剤放散装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤を含有する空気を大気に放出する薬剤放散装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、吸込口と吐出口と薬剤取付部を有すると共に、送風機と、この送風機の電源を備えた装置本体に、薬剤を取付け、送風機を駆動することで薬剤に空気を触れることで薬剤を含有する空気とし、その空気を大気に放出するようにした薬剤放散装置が種々提案されている。
この薬剤放散装置は、快適な居住空間を得るための害虫の防除、悪臭の消臭や安らぎの香り、防菌や防黴、などのいろいろな目的として使用される。
【0003】
前述の目的のために薬剤放散装置の使用場面として、ダイニングキッチン室、寝室、子供室、浴室、トイレ、などの居間空間、その他玄関、物置、ペット、等の空間、また、押入れ、衣装室、食材や調理用具などの収納室、などと様々である。
また、キッチンセット、冷蔵庫、家具、などを設置してできる隙間、台所や浴室などの排水管、などの局所空間などもある。
そして、その空間は、大中小などの広さや局所空間の奥行き、入口の大きさ、などが異なることがある。
さらに、一般家庭の他に、販売店、食堂、旅館、病院、乗り物、などでも使用されることがある。
【0004】
前述したように、薬剤放散装置は複数の目的のために使用されると共に、様々な場面で使用されるので、1台の薬剤放散装置で複数の目的に使用できること、同時に複数の目的に使用できること、様々な場面で使用できること、を満足した薬剤放散装置とすることが好ましい。
【0005】
例えば、装置本体の薬剤取付部に、いろいろな目的に供する異なる種類の薬剤のいずれか1つを選択的に取付けて1台の薬剤放散装置で複数の目的に使用することが考えられる。
しかし、このようにすると、それぞれの目的で使用した薬剤による薬剤取付部や空気流通路への付着物が混在する問題がある。例えば、特に有毒イメージの害虫を対象とする害虫防除剤を使用した後、無毒イメージの人間を対象とする芳香剤などを使用する場合、害虫防除剤付着物が混在することはあってはならない問題である。
【0006】
また、同時に複数の目的に使用することができる薬剤放散装置が特許文献1に開示されている。
この薬剤放散装置は、送風機を備えた装置本体の吸込口と吐出口とに薬剤取付部をそれぞれ設け、送風機を駆動することで各々の薬剤取付部に取付けた薬剤を大気に放出するようにしてある。
【0007】
【特許文献1】特開2003−304791号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述の従来の薬剤放散装置のように、吸込口及び吐出口の各薬剤取付部に、目的の違う異なる種類の薬剤(薬剤保持体)を取付けて使用することは、吸込み気流や吐出し気流の空気の流通を妨げる問題がある。例えば、吸込口に取付けた薬剤は、その薬剤の外気への放出(速度、距離)を吐出口に取付けた薬剤が妨げる。また、吐出口に取付けた薬剤は、その薬剤に触れる風力を吸込口に取付けた薬剤が妨げる。
前述のように、空気の流通が妨げられると効率良く薬剤を大気に放出できない。
【0009】
複数の目的に使用したり、同時に複数の目的に使用できると共に、それぞれの目的で使用した薬剤による薬剤取付部や空気流通路への付着物が混在することがないし、薬剤を効率良く大気に放出できることを満足するには、前述した従来の薬剤放散装置を目的の数だけ準備し、目的に応じた薬剤放散装置を選択して用いることが考えられる。
【0010】
しかし、前述のようにした場合には次のような問題がある。
従来の薬剤放散装置は、装置本体に電源を設けているので、大型であり、大型の薬剤放散装置を複数台並べて用いると広いスペースが必要である。
また、使用していない薬剤放散装置を何処かに保管しなければならず、面倒であるし、持ち運びしにくい。
また、使用していない薬剤放散装置の電源は利用されないので、不経済である。
【0011】
本発明の目的は、複数の目的に使用したり、同時に複数の目的に使用できると共に、それぞれの目的で使用した薬剤による薬剤取付部や空気流通路への付着物が混在することがないし、薬剤を効率良く大気に放出でき、しかも狭いスペースで使用できると共に、電源を有効利用でき、簡単に持ち運び、保管できるようにした薬剤放散装置とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、主薬剤放散器具1と複数の補助薬剤放散器具2を備え、
前記主薬剤放散器具1は、吸込口12と吐出口13と薬剤取付部14を有した器具本体10に送風機15と薬剤17と電源を設け、その送風機15を駆動することで吸込口12から吸い込んだ空気が薬剤17に触れて薬剤を含有した空気を吐出口13から吐出し、前記器具本体10に器具取付部11を設けたものとし、
前記各補助薬剤放散器具2は、取付部21と吸込口22と吐出口23と薬剤取付部24を有した本体20と、薬剤26と送風機25を備え、その送風機25を駆動することで、吸込口22から吸い込んだ空気が薬剤26と触れて薬剤を含有した空気を吐出口23から吐出し、
前記取付部21が前記器具取付部11に取付けられ、補助薬剤放散器具2は主薬剤放散器具1に、主・補助薬剤放散器具1,2の空気流通路が干渉せずに独立した使用姿勢と、補助薬剤放散器具2が主薬剤放散器具1に接近してコンパクトとなった格納姿勢とに亘って移動自在に取付けてあり、
前記補助薬剤放散器具2の送風機25のモータ25aは、主薬剤放散器具1の電源により駆動されるようにしたことを特徴とする薬剤放散装置である。
【0013】
本発明においては、取付部21は器具取付部11に着脱自在で、
前記取付部21を器具取付部11に取付けることで補助薬剤放散器具2は主薬剤放散器具1の周囲に張り出した使用姿勢となり、
前記補助薬剤放散器具2を主薬剤放散器具1の器具本体10の下面に重ね合わせて取付けて格納姿勢とすることができる。
【0014】
本発明においては、主薬剤放散器具1の器具取付部11は、器具本体10に横向きの姿勢と縦向きの姿勢とに亘って回動自在に取付けられ、
前記器具取付部11に取付部21を取付けることで補助薬剤放散器具2は主薬剤放散器具1に横向きの使用姿勢と縦向きの格納姿勢とに亘って上下回動自在に取付けることができる。
【0015】
本発明においては、主薬剤放散器具1の器具本体10に取付縦軸40を設けて器具取付部11とし、
補助薬剤放散器具2の取付部21を、前記取付縦軸40に回動自在に嵌合して取付け、
前記補助薬剤放散器具2は、主薬剤放散器具1に対して上下方向に重なり合った格納姿勢と、取付縦軸40を中心として放射状に展開した使用姿勢とに亘って回動自在にできる。
【0016】
本発明においては、主薬剤放散器具1の器具本体10にブラケットを設け、このブラケットにピン63を挿入、抜き出し自在として器具取付部11とし、
補助薬剤放散器具2の本体20に、前記ピン63が挿入する孔を形成して取付部21とし、
前記補助薬剤放散器具2は、主薬剤放散器具1に対して前記ピン63を中心として横向きの使用姿勢と重なり合った格納姿勢とに亘って回動自在にできる。
【0017】
本発明においては器具取付部11と取付部21は挿入、抜き出し自在で、その器具取付部11と取付部21を挿入して連結することで主薬剤放散器具1の電源が、器具取付部11と取付部21の連結部分を通して補助薬剤放散器具2の送風機25のモータ25aに接続されるようにできる。
【0018】
このようにすれば、補助薬剤放散器具2を主薬剤放散器具1に取付けることで、主薬剤放散器具1の電源から補助薬剤放散器具2の送風機25のモータ25aに電力を供給できる状態、つまり通電できる状態とすることができる。
【0019】
本発明においては、取付部21を器具取付部11に着脱自在とすることができる。
【0020】
このようにすれば、補助薬剤放散器具2を取り外して新しく別の補助薬剤放散器具2を取付けて異なる目的に使用できる。
したがって、異なる目的に使用する補助薬剤放散器具2を複数台準備しておくことで、より多くの目的に使用できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、複数の目的に使用したり、同時に複数の目的に使用できると共に、それぞれの目的で使用した薬剤による薬剤取付部や空気流通路への付着物が混在することがないし、薬剤を効率良く大気に放出でき、しかも狭いスペースで使用できると共に、電源を有効利用でき、簡単に持ち運び、保管できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の第1の実施の形態を図1〜図6に基づいて説明する。
1台の主薬剤放散器具1と、補助薬剤放散器具2、好ましくは複数台の補助薬剤放散器具2とで薬剤放散装置とする。
前記主薬剤放散器具1は、器具本体10と、この器具本体10に設けた器具取付部11、好ましくは複数の器具取付部11を有している。その器具本体10は図5に示すように吸込口12と吐出口13と薬剤取付部14と送風機15と電源収容室16を備え、その薬剤取付部14に薬剤17が取付けてあると共に、電源収容室16に電源、例えば電池18が収容してある。
前記送風機15は電池18によって駆動される。
【0023】
前記補助薬剤放散器具2は、本体20と取付部21を有している。
前記本体20は、図6に示すように、吸込口22と吐出口23と薬剤取付部24と送風機25を備え、その薬剤取付部24に薬剤26が取付けてある。
前記取付部21を器具取付部11に取付けることで、図1、図2に示すように補助薬剤放散器具2は、主薬剤放散器具1に使用姿勢として取付けられる。
前記取付部21を器具取付部11から取り外し、各補助薬剤放散器具2を主薬剤放散器具1に格納姿勢として取付けて保持できるようにしてある。
例えば、図3、図4に示すように器具本体10と本体20とが重なり合った格納姿勢として主薬剤放散器具1に補助薬剤放散器具2を取付けて保持できるようにしてある。
【0024】
このようであるから、主薬剤放散器具1の送風機15を駆動することで、その薬剤17の薬剤を含有した空気を大気に放出できる。
また、補助薬剤放散器具2の送風機25を駆動することで、その薬剤26の薬剤を含有した空気を大気に放出できる。
したがって、前記薬剤17と薬剤26を目的の異なるものとして、送風機15,25を同時に駆動することで、複数の目的に使用できる。
【0025】
また、複数、例えば3つの補助薬剤放散器具2に目的の異なる薬剤26をそれぞれ取付け、目的に応じて1つの補助薬剤放散器具2を使用姿勢として取付け、送風機25を駆動することで薬剤26を含む空気を吐出口23から吐出することで、薬剤を含有した空気を大気に放出できる。
なお、各補助薬剤放散器具2を使用姿勢として取付け、いずれか1つの補助薬剤放散器具2の送風機25を駆動するようにしても良い。
いずれにしても、1台の主薬剤放散器具1又は複数台の補助薬剤放散器具2におけるいずれか1台の送風機を駆動して薬剤を大気に放出できる。
したがって、複数の目的に使用できる。
【0026】
また、主・補助薬剤放散器具1,2の送風機15,25を同時に駆動すれば薬剤17,26を含有した空気を大気に放出できる。
また、各補助薬剤放散器具2を使用姿勢として取付け、その各送風機25を駆動すると共に、主薬剤放散器具1の送風機15を駆動することで、各薬剤を含有した空気を各吐出口23,13から吐出し、各薬剤を含有した空気をそれぞれ大気に放出できる。
したがって、同時に複数の目的に使用できる。
【0027】
しかも、各補助薬剤放散器具2が使用姿勢の時には、各補助薬剤放散器具2の空気流通路、主薬剤放散器具1の空気流通路はそれぞれ独立しているので、前述した各薬剤放散器具(主・補助薬剤放散器具1,2)における1つの薬剤放散器具の空気流通路を流通する薬剤を含有した空気が他の薬剤放散器具の空気流通路を流通することがなく、それぞれの目的で使用した薬剤による薬剤取付部や空気流通路への付着物が混在することがない。
前記空気流通路とは、吸込口12,22から吸い込まれ、吐出口13,23から吐出される空気の流通路である。
【0028】
例えば、図1、図2に示すように、使用姿勢の補助薬剤放散器具2は主薬剤放散器具1から大きく張り出し、その各吸込口22がそれぞれ離隔すると共に、主薬剤放散器具1の吐出口13とそれぞれ離れ、各吐出口23がそれぞれ離隔し、かつ他の補助薬剤放散器具2の吸込口22と離れていると共に、主薬剤放散器具1の吸込口12とそれぞれ離隔している。
これによって、主薬剤放散器具1の吸込口12と吐出口13に流れる空気と、各補助薬剤放散器具2の吸込口22と吐出口23に流れる空気とが触れ合うことがなく、各空気流通路は独立している。
【0029】
また、各空気流通路には、1つの薬剤が設けられているので、その空気流通路を空気がスムーズに流通して薬剤に触れる風力が妨げられることがない。
したがって、薬剤を効率良く大気に放出できる。
【0030】
また、各補助薬剤放散器具2の送風機25は主薬剤放散器具1に設けた電池18(電源)で駆動され、その各補助薬剤放散器具2は電源を有していないので、その各補助薬剤放散器具2を小型とすることができる。
したがって、狭いスペースで使用できる。
例えば、図1に示すように主薬剤放散器具1の周囲に、小型の補助薬剤放散器具2を横向きの使用姿勢として複数取付けして各補助薬剤放散器具2から薬剤を含有した空気を大気にそれぞれ放出できるので、狭いスペースで使用できる。
【0031】
また、各補助薬剤放散器具2はそれぞれ電源を有していないので、使用しない補助薬剤放散器具2がある場合に、使用されない電源は存在しない。
したがって、電源を有効利用できる。
【0032】
また、各補助薬剤放散器具2を格納姿勢として主薬剤放散器具1に取付けすれば、全体がコンパクトとなる。
したがって、簡単に持ち運び、保管できる。
例えば、図3、図4に示すように主薬剤放散器具1の下面に各補助薬剤放散器具2を重ね合わせて取付け、その各補助薬剤放散器具2が主薬剤放散器具1の周囲に張り出ししないようにすれば、全体をコンパクトにできる。
【0033】
この実施の形態においては、主薬剤放散器具1に待機補助薬剤放散器具3が着脱自在に取付けてある。
この待機補助薬剤放散器具3は前述した補助薬剤放散器具3と同様である。
すなわち、主薬剤放散器具1に、その器具取付部11の数よりも多くの補助薬剤放散器具2が着脱自在に取付けてある。
【0034】
このようにすれば、より多くの目的に使用できる。
また、未使用の補助薬剤放散器具2(待機補助薬剤放散器具3)を、主薬剤放散器具1に取付けて保管できる。
【0035】
次に、各部材の具体形状を説明する。
前記主薬剤放散器具1の器具本体10は図5に示すように、上面板10aと下面板10bと周面板10cで箱形状で、その内部が仕切板10dで前述の電源収容室16と送風機収容室10eに区画されている。
前記上面板10aに吸込口12、前記周面板10cに吐出口13が送風機収容室10eにそれぞれ開口して形成してある。
この吸込口12が薬剤取付部14で、前記薬剤17は吸込口12に嵌合するリング体17aに薬剤含浸体17bを設けたものとしてある。
【0036】
前記器具取付部11は上面板10aにおける電源収容室16の上方部分に設けられて薬剤取付部14とは離隔している。
前記器具取付部11は差し込み口11aを有し、その差し込み口11aは器具本体10の周方向に向けて開口していると共に、その底部に電源端子11bが設けてある。この電源端子11bが電源収容室16内の電池18(電源)に接続している。
要するに、器具取付部11は差し込みソケットとしてある。
前記器具本体10の下面板10bには被連結部19が設けてある。例えば、下面に開口した被連結穴19aが複数形成してある。
【0037】
前記補助薬剤放散器具2の本体20は図6に示すように、上面板20aと下面板20bと周面板20cで箱形状で、その上面板20aに吸込口22が形成され、周面板20cに吐出口23が形成してある。
前記吸込口22に嵌合するリング体26aに薬剤含浸体26bを設けて薬剤26としてあり、その吸込口22が薬剤取付部24である。
前記取付部21は周面板20cに設けた端子21aを有し、この端子21aが送風機25のモータ25aに図示しないスイッチを介して接続し、前記端子21aは器具取付部11の差し込み口11aに差し込まれて電源端子11bと接触する。
要するに、取付部21は差し込みプラグである。
【0038】
前記上面板20aには、前記被連結部19に着脱自在に連結される連結部27が設けてある。例えば、被連結穴19aに嵌合する連結突起27aが設けてある。
前記下面板20bには、前記連結部27が着脱自在に連結される被連結部28が設けてある。例えば、連結突起27aが嵌合する被連結穴28aが形成してある。
すなわち、この被連結部28は主薬剤放散器具1の被連結部19と同様である。
【0039】
このようであるから、本体20の連結部27を器具本体10の被連結部19に連結することで主薬剤放散器具1の下面に補助薬剤放散器具2(待機補助薬剤放散器具3)を取付けできる。
また、一方の本体20の連結部27を他方の本体20の被連結部28に連結することで補助薬剤放散器具2を重ね合わせることができる。
【0040】
この実施の形態では、本体20の幅は器具本体10の幅と同一、もしくは小さく、本体20の長さは器具本体10の長さの半分よりも短い。
これにより、補助薬剤放散器具2を主薬剤放散器具1の下面に2つ並列して取付けできる。
【0041】
前記器具取付部11と取付部21は前述のものに限ることはなく、着脱自在であれば良い。
例えば、図7に示すように器具取付部11を凹陥部11cを有し、その底部に電源端子11bを設けてある。
前記取付部21は凹陥部11cに嵌合する突起21bに電源端子21cを設けてある。
そして、突起21bを凹陥部11cに嵌合することで補助薬剤放散器具2が主薬剤放散器具1に使用姿勢で取付けられると共に、電源端子11b,21c相互が接触する。
【0042】
前述の各器具取付部11、取付部21であれば、主薬剤放散器具1に補助薬剤放散器具2を使用姿勢として取付けることで、主薬剤放散器具1の電池18を補助薬剤放散器具2の送風機25のモータ25aに電気的に接続し、電池18の電力をモータ25aに供給できる。
【0043】
次に本発明の第2の実施の形態を図8、図9に基づいて説明する。
この実施の形態は、器具取付部11を横向姿勢と上向姿勢とに亘って回動自在としたことが前述の第1の実施の形態と相違し、他は同様である。
図8、図9に示すように、主薬剤放散器具1の器具本体10の上面板10aにおける吸込口12と離れた部分に一対のブラケット30を上向きに設ける。
この一対のブラケット30間に前述の器具取付部11をピン31で横向姿勢と縦向姿勢とに亘って上下回動自在に取付ける。
【0044】
前記器具取付部11に取付部21を取付け、その器具取付部11を横向姿勢とすることで補助薬剤放散器具2は実線で示すように使用姿勢となる。
前記器具取付部11を上向姿勢とすることで補助薬剤放散器具2は主薬剤放散器具1に対して起立した格納姿勢となる。この時、補助薬剤放散器具2は主薬剤放散器具1の周囲に若干張り出しするが、張り出さないようにすることもできる。
【0045】
次に、本発明の第3の実施の形態を図10〜図12に基づいて説明する。
この実施の形態は、主薬剤放散器具1に複数の補助薬剤放散器具2を使用姿勢と格納姿勢とに亘って縦軸の回りを回転自在に取付けたこと(つまり、器具取付部11、取付部21)が第1・第2の実施の形態と相違し、他の構成は第1・第2の実施の形態と同様である。
前記主薬剤放散器具1の器具本体10の上面板10aに取付縦軸40を取付けて器具取付部11としてある。
前記取付縦軸40は、小径部41と大径部42が長手方向に交互に複数有している。
前記補助薬剤放散器具2の本体20には、前記小径部41が嵌合する半円形の凹部50が形成してあると共に、その凹部50と同一大きさの半円形の凹部51を有したキャップ52がビス53で着脱自在に取付けられ、この凹部50と凹部51で小径部41を回転自在に支承するようにしてあり、これによって取付部21としてある。
【0046】
前記各補助薬剤放散器具2を図10、図11に示すように取付縦軸40を中心として放射状に展開した使用姿勢とすると主薬剤放散器具1の周囲に張り出し、前述の図1、図2に示すと同様になる。
前述の状態から補助薬剤放散器具2を縦軸回りに回転して格納姿勢とすることで、各補助薬剤放散器具2が主薬剤放散器具1の上方で上下方向に重なり合うようにして主薬剤放散器具1の幅、長さ内に収められる。
【0047】
前記ビス53を弛めてキャップ52を取り外しすることで取付部21を器具取付部11から分離できるので、補助薬剤放散器具2を主薬剤放散器具1から取り外して、待機補助放散器具3を主薬剤放散器具1に取付けできる。
【0048】
前記取付部21は図13に示すように、円弧状の凹陥部54を形成する一対の側壁部55を弾性変形可能で、その凹陥部54を弾性的に拡開できるようにしても良い。
このようにすれば、一対の側壁部55を取付縦軸40の小径部41に強い力で押しつけることで凹陥部54を小径部41に回転自在に嵌合して取付けできるし、その状態で本体20を強い力で引くことで一対の側壁部55が拡開変形して小径部41から抜き出しできる。
【0049】
前述の第1〜第3の実施の形態では、待機補助薬剤放散散器具3(器具取付部11の数よりも多い補助薬剤放散器具2)を備えているが、この待機補助薬剤放散器具3は主薬剤放散器具1に取付けて保持せずに別の場所に保管しても良い。
また、待機補助薬剤放散器具3を備えなくても良い。つまり、器具取付部11の数だけの補助薬剤放散器具2としても良い。
【0050】
次に、本発明の第4の実施の形態を図14に基づいて説明する。
この実施の形態は、主薬剤放散器具1の器具取付部11に幅寸法の異なる補助薬剤放散器具2を選択して取付けできるようにしたことが第1の実施の形態と相違し、他の構成は第1の実施の形態と同様である。
図14に示すように、主薬剤放散器具1の器具本体10の上面板10aにおける吸込口12と離れた位置に第1・第2・第3ブラケット60,61,62を設けると共に、各ブラケット60,61,62に亘ってピン63を挿入、抜き出し自在として器具取付部11としてある。
【0051】
前記補助薬剤放散器具2は幅寸法の異なる第1〜第5補助薬剤放散器具2−1,2−2,2−3,2−4,2−5を備えている。
前記第1補助薬剤放散器具2−1の本体20の幅は、前記第1ブラケット60と第2ブラケット61との間の寸法と同一で、その本体20の幅方向に貫通した孔を形成し、この孔に前記ピン63が挿入するようにして取付部21としてある。
このようであるから、第1の補助薬剤放散器具2−1を第1・第2ブラケット60,61間にピン63で取付けできる。
【0052】
前記第2の補助薬剤放散器具2−2の本体20の幅は、第2・第3ブラケット61,62間の寸法と同一で、その本体20の幅方向に貫通した孔が形成してある。
この孔は前記ピン63が挿入する大きさで、前記取付部21としてある。
このようであるから、第2の補助薬剤放散器具2−2を第2・第3ブラケット61,62間にピン63で取付けできる。
【0053】
前記第3の補助薬剤放散器具2−3の本体20の幅は、第1・第2ブラケット60,61の外側面60a,61a間の寸法よりも若干大きく、その本体20の端部に一対の突片70,70が設けてあり、この一対の突片70に前記ピン63が挿入する孔71を形成して取付部21としてある。
このようであるから、一対の突片70を第1・第2ブラケット60,61の外側面60a,61a間に挿入してピン63で取付けできる。
【0054】
前記第4の補助薬剤放散器具2−4の本体20の幅は、第2ブラケット61の内側面61bと第3ブラケット62の外側面62aとの間の寸法よりも若干大きく、一対の突片70を第2ブラケット61の内側面61bと第3ブラケット62の外側面62aとの間に挿入してピン63で取付けできる。
【0055】
前記第5の補助薬剤放散器2−5の本体20の幅は、第1ブラケット60の外側面60aと第3ブラケット62の外側面62aとの間の寸法よりも若干大きく、その一対の突片70を第1・第3ブラケット60,62の外側面60a,62a間に挿入しピン63で取付けできる。
【0056】
また、図15に示すように器具取付部11は図14と同様とし、第6〜第10の補助薬剤放散器2−6,2−7,2−8,2−9,2−10の幅を前述したと同様に第1・第2・第3ブラケット60,61,62間の寸法よりも若干大きくし、一対の突片70,70を設けて取付部21としてある。
【0057】
前記第6の補助薬剤放散器具2−6の一対の突片70,70を第1ブラケット60の内側面60bと第2ブラケット61の外側面61a間に挿入してピン63で取付ける。
【0058】
前記第7の補助薬剤放散器具2−7の一対の突片70,70を第2ブラケット61の外側面61aと第3ブラケット62の外側面62a間に挿入してピン63で取付ける。
【0059】
前記第8の補助薬剤放散器具2−8の一対の突片70,70を第2ブラケット61の内側面61bと第3ブラケット62の内側面62b間に挿入してピン63で取付ける。
【0060】
前記第9の補助薬剤放散器具2−9の一対の突片70,70は、第1ブラケット60の外側面60aと第3ブラケット62の内側面62b間に挿入してピン63で取付ける。
【0061】
前記第10の補助薬剤放散器具2−10の一対の突片70,70は、第1ブラケット60の内側面60bと第3ブラケット62の外側面62a間に挿入してピン63で取付けられる。
【0062】
前述の図14、図15に示す第1〜第10の補助薬剤放散器2−1〜2−10は、主薬剤放散器具1に取付けた状態でピン63を中心として横向姿勢から重なり姿勢に回動でき、横向姿勢や縦向姿勢が前述の使用姿勢で、重なり姿勢が格納姿勢である。
また、主薬剤放散器具1に取付けない補助薬剤放散器具2は器具本体10に重ね合わせて取付けても良いし、他の場所に保管しても良い。
【0063】
前述の図14、図15に示すブラケット60,61,62について、その数は3個に限定されない。また、補助薬剤放散器具2などの取付けの組み合わせも自由である。例えば、ブラケットを2個とし、用意する補助や大気補助薬剤放散器具2,3の数を減らしたり、又はブラケットを第1・第2・第3・第4ブラケットの4つを設け、第1ブラケットと第2ブラケットの間、第2ブラケットと第3ブラケットの間、第3ブラケットと第4ブラケットの間に取付けるなど、使用目的や使用場面などに応じて設計することができる。
【0064】
また、前述の図14、図15では、ブラケット60,61,62及びピン63を器具取付部11、取付部21としたが、これに限定されない。図示していないが、例えば主薬剤放散器具1の器具取付部11としてブラケットに凹陥部を設け、補助薬剤放散器具2の取付部21として凹陥部に嵌合する突起を補助薬剤放散器具2の両端に設け、器具取付部11に取付部21を嵌合することで、それぞれに設けられた電源端子相互が接触するようにすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す使用状態の平面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態を示す使用状態の正面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態を示す格納状態の平面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態を示す格納状態の正面図である。
【図5】主薬剤放散器具の断面図である。
【図6】補助薬剤放散器具の断面図である。
【図7】器具取付部と取付部の他の実施の形態を示す斜視図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態を示す使用状態の平面図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態を示す使用状態の正面図である。
【図10】本発明の第3の実施の形態を示す使用状態の平面図である。
【図11】本発明の第3の実施の形態を示す使用状態の正面図である。
【図12】器具取付部と取付部の分解斜視図である。
【図13】器具取付部と取付部の他の実施の形態の平面図である。
【図14】本発明の第4の実施の形態を示す平面図である。
【図15】本発明の第5の実施の形態を示す平面図である。
【符号の説明】
【0066】
1…主薬剤放散器具、2…補助薬剤放散器具、10…器具本体、11…器具取付部、112…吸込口、13…吐出口、14…薬剤取付部、15…送風機、17…薬剤、18…電池(電源)、20…本体、21…取付部、22…吸込口、23…吐出口、24…薬剤取付部、25…送風機、26…薬剤、60…第1ブラケット、61…第2ブラケット、62…第3ブラケット、63…ピン、70…突片、71…孔。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主薬剤放散器具1と複数の補助薬剤放散器具2を備え、
前記主薬剤放散器具1は、吸込口12と吐出口13と薬剤取付部14を有した器具本体10に送風機15と薬剤17と電源を設け、その送風機15を駆動することで吸込口12から吸い込んだ空気が薬剤17に触れて薬剤を含有した空気を吐出口13から吐出し、前記器具本体10に器具取付部11を設けたものとし、
前記各補助薬剤放散器具2は、取付部21と吸込口22と吐出口23と薬剤取付部24を有した本体20と、薬剤26と送風機25を備え、その送風機25を駆動することで、吸込口22から吸い込んだ空気が薬剤26と触れて薬剤を含有した空気を吐出口23から吐出し、
前記取付部21が前記器具取付部11に取付けられ、補助薬剤放散器具2は主薬剤放散器具1に、主・補助薬剤放散器具1,2の空気流通路が干渉せずに独立した使用姿勢と、補助薬剤放散器具2が主薬剤放散器具1に接近してコンパクトとなった格納姿勢とに亘って移動自在に取付けてあり、
前記補助薬剤放散器具2の送風機25のモータ25aは、主薬剤放散器具1の電源により駆動されるようにしたことを特徴とする薬剤放散装置。
【請求項2】
取付部21は器具取付部11に着脱自在で、
前記取付部21を器具取付部11に取付けることで補助薬剤放散器具2は主薬剤放散器具1の周囲に張り出した使用姿勢となり、
前記補助薬剤放散器具2を主薬剤放散器具1の器具本体10の下面に重ね合わせて取付けて格納姿勢とした請求項1記載の薬剤放散装置。
【請求項3】
主薬剤放散器具1の器具取付部11は、器具本体10に横向きの姿勢と縦向きの姿勢とに亘って回動自在に取付けられ、
前記器具取付部11に取付部21を取付けることで補助薬剤放散器具2は主薬剤放散器具1に横向きの使用姿勢と縦向きの格納姿勢とに亘って上下回動自在に取付けてある請求項1記載の薬剤放散装置。
【請求項4】
主薬剤放散器具1の器具本体10に取付縦軸40を設けて器具取付部11とし、
補助薬剤放散器具2の取付部21を、前記取付縦軸40に回動自在に嵌合して取付け、
前記補助薬剤放散器具2は、主薬剤放散器具1に対して上下方向に重なり合った格納姿勢と、取付縦軸40を中心として放射状に展開した使用姿勢とに亘って回動自在とした請求項1記載の薬剤放散装置。
【請求項5】
主薬剤放散器具1の器具本体10にブラケットを設け、このブラケットにピン63を挿入、抜き出し自在として器具取付部11とし、
補助薬剤放散器具2の本体20に、前記ピン63が挿入する孔を形成して取付部21とし、
前記補助薬剤放散器具2は、主薬剤放散器具1に対して前記ピン63を中心として横向きの使用姿勢と重なり合った格納姿勢とに亘って回動自在とした請求項1記載の薬剤放散装置。
【請求項6】
器具取付部11と取付部21は挿入、抜き出し自在で、その器具取付部11と取付部21を挿入して連結することで主薬剤放散器具1の電源が、器具取付部11と取付部21の連結部分を通して補助薬剤放散器具2の送風機25のモータ25aに接続されるようにした請求項1記載の薬剤放散装置。
【請求項7】
補助薬剤放散器具2の取付部21を、主薬剤放散器具1の器具取付部11に着脱自在とした請求項1記載の薬剤放散装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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