説明

薬剤溶出医療装置の耐破壊性を向上させる方法

コーティング層及びスキャフォールドの耐破壊性を高める技術を用いてコーティングするステップ、圧着するステップ、及びスキャフォールドを形成するステップを含む、ポリマーステントの薬剤−ポリマーコーティング及びスキャフォールドの耐破壊性を向上させる方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は薬剤溶出医療装置に関し、より詳細には、薬剤溶出型のポリマーベースの医療装置を製造するプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
制御された薬剤の放出を確実にするため、薬剤溶出医療装置には薬理学的に厳密で、かつ良好な機械的な完全性が要求される。ステント等の薬剤溶出医療装置に用いられる効果的で汎用性の高いコーティングの開発には、技術的に重要な課題が存在する。
【0003】
当該技術分野では、ステントのコーティングが圧着(crimping)やバルーン拡張といった外部負荷(外力による負荷)を受けた際に、その完全性を保つ能力に関して重要な機能を果たす様々な因子が知られている。当該技術分野では、そうした因子の多くが十分には解明されておらず、その重要性も十分には理解されていない。本願発明者の知る限り、当該技術分野では、コーティングの完全性に関係する作用のメカニズムが理論レベルで特徴付けられているに過ぎない。また一方、当該技術分野に内在する不確実性を減少させる可能性がある、材料、コーティングに用いるプロセス、コーティングの変形に伴うステントの変形等の間に介在する関係については、未だに明らかにされていない。当然ながら、コーティングに関する破壊力学は、少数の変数に還元することのできない高度な非線形問題である。
【0004】
それでも当該技術分野においては、破壊の問題を、例えば、ステントの機能と臨床/治療目的に応じた温度範囲や圧着手順、望ましい弾性特性を有するポリマーの選択といった小数の未確定要素に還元できる方法論の開発が試みられてきた。例えば、外部負荷(外力による負荷)を受けた際の層間せん断やクラック(ひび割れ)の伝播及びそれに伴うコーティングの構造的、機械的挙動を、有限要素法に基づく解析手法を用いて予測する試みがなされてきた。しかしながら、本願発明者が知る限り、こうした取り組みは、少なくとも医療装置の分野の技術者がその結果に基づいて特定の薬剤溶出ステントのコーティングにクラックや剥離等が発生するかどうかを、装置ごとに試験をすることなく、有益な確かさで予測可能となる程度にまで成功した例は存在しない。
【0005】
このように、ポリマーステント(ポリマー製のステント)等のポリマーベースの医療装置が外部負荷(外力による負荷)を受ける場合における、医療装置に施した薬剤−ポリマーコーティングの完全性又は復元性(弾力)を向上させる方法が求められている。薬剤−ポリマーコーティングのクラック及び/又は剥離を防ぐことは重要である。ステントが半径方向に拡張/収縮したときにコーティングが損傷すると、ステントの移植後に激しい血栓形成反応が引き起こされる原因となることがあり、薬剤投与量及び/又は薬剤溶出ステントの放出レートの制御に支障を来すおそれがある。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、直径が最大に拡張(展開)されたステントの直径に略等しいポリマーチューブからステント本体を形成するステップと、中間の直径までステントの直径を縮小させるステップと、ステントに薬剤−ポリマーコーティングを施すステップと、及び送達するための直径又はステントの最小の直径までステントを圧着するステップとを含む、薬剤溶出ポリマーステントを製造する方法を提供することによって、当該技術を改良する。この方法を用いることにより、クラック/剥離が発生する事例が著しく減少することが観察された。
【0007】
複数の本発明による方法は、従来の確立/立証された薬剤溶出ステントの他の機能性、例えばコーティングされるポリマースキャフォールドの完全性、薬剤放出レート、生体分解速度(生体分解レート)に影響を与えたり、機能性を損なったり、変えたりすることなく実施することができる。この態様によれば、本発明はステントの開発プロセスの単純化に寄与する。例えば、臨床試験によってステントの全機能を確認した後に収納(圧着)された直径を維持したままで拡張(展開)された直径を増大させる必要、又は収納(圧着)された直径を減少させる必要が生じたとする。そして、ステントを拡張させた際に、即ち、ステントのスキャフォールド及びコーティングに要求される変形範囲の拡大に伴い、クラック/剥離が発生したとすれば、当該技術分野には、ポリマー、ステントパターン、コーティング厚さ、薬剤のポリマーに対する比率等を変えることなくこの種の問題に対処するという、重要であるが、未だ実現されていないニーズが存在することになる。コーティングにおけるクラックの発生の問題に対処するためには薬剤溶出ステントを大幅に変更することが避けられない場合もあるが、本発明は、場合によってはその必要性をなくし、結果として追加の臨床試験を回避することを可能とする方法を提供する。
【0008】
特に断りのない限り、「収納(圧着)された直径」及び「拡張(展開)された直径」は、米国特許公開2008/0275537における圧着された直径及び拡張(展開)された直径と同じ意味で用いる。
【0009】
本発明の一の態様では、薬剤−ポリマーコーティングにおけるクラックの伝播を防ぐための薬剤溶出ポリマーステントの圧着方法は、ステントの直径を中間の直径に縮小するステップの後に、スプレー法によってコーティングを施すステップと、続いてポリマーコーティング及びスキャフォールドをベーキングしてコーティング及びスキャフォールドの耐破壊性を高めるステップとを含む。この方法は、4つのステップを含む最終的な圧着ステップを更に含むものとしてもよい。コーティング及びスキャフォールド中の応力/歪みを逃がすため、直径を縮小させるごとに弛緩期間(焼きなまし期間/アニーリング期間)を設ける。
【0010】
本発明の他の態様では、圧着するステップ及びコーティングするステップに続いてベーキングするステップを実施して、材料をアニーリング(焼きなまし)する。最終的なコーティング重量に達した後、ステントは15分間乃至1時間、摂氏約50度のオーブンに入れられる。ベーキング時間は、ベーキング時間に適したベーキング温度が選択される場合にはもっと長く、例えば、2時間でもよい。このベーキングするステップにより、薬剤溶出ポリマーステントの耐破壊性が向上する。ベーキング時間の間に内部応力の集中が低減されることで耐破壊性が向上すると考えられる。更に、半結晶質のスキャフォールドのポリマーと非晶質の(あるいは、より非晶質に近い)コーティングのポリマーとを結合させることによって、この2つの材料の間の結合層、遷移層又は中間層のせん断力に対する耐性(せん断破壊耐性)を増大する、耐破壊性を高める方法も提案される。
【0011】
本発明の他の態様は、例えば、W字型クローズドセル(W字型の閉じられたセル)のステントパターンと、ヒンジ要素回りに相互に130度以上の角度を成すまで回転して、圧着された直径から拡張(展開)された直径に、又はその逆に変位する、ストラットとを有するポリマースキャフォールドに対して実施される、初期直径の約50%乃至約80%まで直径を縮小するステップと、溶媒が約90重量%乃至約98重量%になるように溶媒と混合した薬剤−ポリマーを堆積(付着)させるステップを含むコーティングプロセス(ステップ)と、非晶質及び半結晶質ポリマーのガラス転移温度より摂氏約5度乃至摂氏約20度低い弛緩温度(焼きなまし温度)で約15分間乃至約60分間アニーリングするステップと、及び非晶質ポリマー(コーティング)及び半結晶質ポリマー(スキャフォールド)のガラス転移温度より摂氏約5度乃至摂氏約20度低い弛緩温度(焼きなまし温度)での3段階の直径を縮小するステップを含む圧着プロセス(ステップ)とを含む、耐破壊性を向上させる方法である。
【0012】
本発明による一の方法では、拡張(展開)された直径(即ち、血管のタイプに合わせて設計された拡張(展開)されたときの設計直径)よりも大きい初期直径を有する薬剤溶出ポリマーステントを形成するステップと、その直径を縮小するステップと、その後更にコーティングするステップとを含み、薬剤‐ポリマーコーティングにおけるクラックの伝播を最小にするものとしてもよい。このように設けると、コーティングにおけるクラックの伝播を引き起こすことなくステントの大きさを初期のサイズの約40%にまで縮小することができる。コーティングの厚さは約2マイクロメートル乃至約10マイクロメートルとすることができ、薬剤のポリマーコーティングに対する比は約1:1乃至約1:3とすることができる。
【0013】
本発明の他の態様では、薬剤溶出ポリマーを圧着する方法は、ステントの直径を圧着された直径まで縮小するステップと、及び圧着された直径を有するステントを送達用のカテーテルに装着するステップとを含む。このとき、薬剤溶出ステントは、薬剤のポリマーに対する含浸率が1:1乃至1:3として設けられ、拡張(展開)された直径の圧着された直径に対する比が2倍乃至5倍に設けられる。
【0014】
発明の他の態様では、コーティングにおけるPDLLAの薬剤に対する比が1:1である薬剤溶出ステントを製造する方法であって、第1の直径を有するステント本体を製造するステップと、薬剤−ポリマーコーティングを施すステップと、及び第1の直径の第2の直径に対する比が約3:1となるようにステントのサイズを第2の直径に縮小するステップとを含む方法が提供される。
【0015】
[参照による引用]
本明細書に記載された全ての刊行物及び特許出願は、その図面も含めた個々の刊行物又は特許出願の各々が具体的かつ個別に参照されて本明細書に組み込まれているように示され、かつ個々の刊行物又は特許出願が十分に説明されているものと同視できるものとして、本明細書に参照により組み込む。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明による薬剤溶出ステントの製造プロセスの好ましい実施の形態を示すフローチャートである。
【0017】
【図2】図2は、第1のスキャフォールドの形状を示す展開図である。本図は、展開された又は拡張された直径の状態にあるスキャフォールドの形状を示す。
【0018】
【図3】図3は、第2のスキャフォールドの形状を示す展開図である。図3は拡張された又は展開された状態のスキャフォールドの形状を示す。
【図4】図4は、同じく、第2のスキャフォールドの形状を示す展開図である。図4は、図3に示すスキャフォールドが収納された又は圧着された直径の状態にあるときのスキャフォールドの形状におけるW字型に設けられた要素の一部分を示す。
【0019】
【図5】図5は、第3のスキャフォールドの形状を示す等角投影図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
好適な実施の形態では、ポリマーであるポリ(DL−乳酸)(以下、「PDLLA」とする)は、コーティング内に薬剤を含有している。PDLLAは非晶質ポリマーである。即ち、決まった結晶パターンを有していない。従って、PDLLAは半結晶質又は結晶質の構造を有するポリマーよりも好ましい耐破壊特性を実現しやすい。スキャフォールド用のポリマーは、PLLA又はポリ(ラクチド−コ−グリコリド)(PLGA)とすることができる。ラクチドを0(ゼロ)乃至100%含む任意の組成物、特に、モル基準でラクチド/グリコリドが80/20乃至90/10の範囲、又はモル基準でラクチド/グリコリドが93/7乃至97/3の範囲の組成物をPLGAスキャフォールド用のポリマーとして用いることができる。
【0021】
PDLLAの破断伸びを測定すると、約5%である。「破断伸び」とは、大幅なクラック/剥離が発生する(前)までの材料の伸び率(パーセンテージ)のことである。この量は、当該技術分野で周知のように、ダンベル試験として知られる引張試験によって測定することができる。残念ながら、PDLLAの破断伸び率と、特定の薬剤溶出ステントのデザインに用いられるPDLLAコーティングのクラック及び剥離に対する耐性との間には、線形的又は直接的な関係は存在しない。例えば、本明細書で開示する実施の形態におけるPDLLA−薬剤コーティングのクラックに対する耐性は、ポリマーにおける薬剤の存在、例えば、薬剤のポリマーに対する比が1:1であること考慮したとしても、その破断伸びの測定値5%とは直接的に関係付けられないことがわかっている。したがって、この量のみに基づいて正確に予測を行うことは不可能であることがわかっている。本発明によって、他の因子(ポリマーの特性以外の因子)を考慮することで、結果はより正確に予測可能であり、より広範に応用することができる。こうした因子は、ステントの形状、材料の特性、薬剤−ポリマーコーティングを施す方法、薬剤−ポリマー比、コーティング重量、使用する圧着プロセス、及び処理ステップと処理ステップとの間、又は処理ステップ中に材料を加工する際の温度等を含む。
【0022】
施した薬剤−ポリマーコーティングの耐破壊性は、不純物を含まないポリマーの耐破壊性とは大きく異なる場合があり、また、薬剤−ポリマーコーティングをどのような方法で施すかによって大きく異なる場合がある。例えば、浸漬法によって施したコーティングの破壊特性は、溶媒に溶解させた薬剤−ポリマーをスプレーすることによって施したコーティングとは異なる場合がある。好適な実施の形態では、薬剤−ポリマーコーティングは、溶媒(アセトン又はTHF)に溶解させたPDLLA及び薬剤(エベロリムス)を含む低重量の溶液をスプレー法により13回程度塗布することで施される。一の実施の形態では、薬剤とPDLLAとは1:1の比率で混合される。
【0023】
コーティングにおける薬剤の割合がそれより多くてもあるいは少なくても耐破壊性に影響を及ぼす場合がある。薬剤に対するポリマーの割合を、例えば、2:1や3:1に高くすると耐破壊性が大きく向上することがある一方で、割合を低くすると耐破壊性を低下させることがある。従って、耐破壊性を向上させつつ薬剤含有量を同じにするためには、薬剤よりもポリマーを多く含む溶液を塗布してコーティングの厚さを厚くすることを選択することができる。例えば、好ましい混合比1:1ではなく、2:1という混合比(即ち、コーティングの2/3がポリマーで1/3が薬剤)を選択した場合、同じ薬剤含有量を有するためには、コーティングの厚さを2マイクロメートルではなく約4マイクロメートルとする。PDLLA以外のポリマーを選択することもコーティングの耐破壊性を向上させることがある。当然ながら、こうした方策によってステントの薬剤放出特性が変化する場合もある。したがって、ある特定のコーティングを選択する場合、この新しいコーティング、あるいは薬剤−ポリマー比又はコーティングの厚さの変化が、望ましい薬剤放出特性に与える影響を考慮することが求められる。
【0024】
コーティングをスプレー法で施す場合、耐破壊性は各層における溶媒の割合、及び/又は2回目以降のコーティングを施す際に前回塗布した層に残留している溶媒、及び/又は最終的なコーティング重量に達した後に残留している溶媒の影響を受けることもある。一の実施の形態では、100%のコーティング重量に達すると約3マイクロメートルの厚さのコーティングが形成される。最終的なコーティング重量には、最終的なコーティング重量の2%の重量の溶液をスプレーし、即座に中間の乾燥ステップを行うサイクルを何回か繰り返すことによって到達する。この実施例では、最終的なコーティング重量の約2%が除去されない溶媒であることがわかっている。続いてコーティング後のスキャフォールドにベーキングを実施して残留した溶媒を除去する。例えば、スプレーサイクル1回当たりのコーティング重量がこれよりも多い場合、コーティングとスキャフォールドとの間における層間応力/歪み特性が溶媒の影響を受けることに起因して(乾燥又はベーキングステップによって除去される前に残留している溶媒が高い濃度で存在するために)、コーティングの破壊特性が変わることがある。
【0025】
一の実施の形態では、破壊靱性が向上した3×18mmステントは、本発明の態様に従って製造される場合、溶媒に溶解させた薬剤−ポリマーに13回浸漬することによってコーティングされる。浸漬1回当たりのコーティング重量は、約15マイクログラム(薬剤7.5マイクログラムとポリマー7.5マイクログラム)(約15μg/回)、又は1平方センチメートル当たりでは7.77マイクログラム(約7.77μg/cm/回)である。
【0026】
一旦、特定の薬剤のポリマーに対する比率、コーティング厚さ、及び塗布方法を選択することによって所望の放出特性に到達すると、クラック、剥離、又は剥落の問題に対処するためにこうした塗布特性又は方法を変えることは望ましくないと当業者は考えるであろう(所望の放出特性を得るためのプロセスに到達する際に直面する課題のため、クラック等の問題に対処する場合にこうしたパラメータを変えることを望まないことが多い)。こうした場合、クラック/剥離の問題に対する方策であってもコーティングの特性を変える、したがって薬剤放出特性を変える可能性のあるものは、本願発明で扱う当該技術分野におけるニーズの一を解決するものではないと当業者は考えるであろう。薬剤放出特性に影響を与える可能性が最も低い方策を発見することが好まれる。
【0027】
複数の実施の形態では、本発明は、金属製のスキャフォールドではなくポリマー製のスキャフォールドに施す薬剤−ポリマーコーティングの耐破壊性を向上させる方法に関する。ポリマー製のスキャフォールドは、金属製のスキャフォールドとは異なり複雑さを伴う。これらの複雑さについては、米国特許公開2008/0275537に詳細に記載されている。本発明の一の態様では、ポリマーを半結晶質においてフープ強度が向上された形状に形成することができることから、ポリマー製のスキャフォールドは、拡張(展開)された直径に対応したチューブから形成される。以下、詳細に記載するように、直径を縮小するステップによってスキャフォールドの直径を縮小した後に薬剤−ポリマーコーティングが施される。
【0028】
金属製の(ポリマー製ではなく)スキャフォールドを拡張の中間段階に対応した直径を有するチューブから切り出すことを選択してもよい。ポリマー製のスキャフォールドと異なり、形成したチューブのサイズ以上に拡張させることによる破壊の心配がないためである。従って、金属製のステントを用いた場合は、コーティングの破壊の問題に対処するためのより多くの選択肢が利用可能である。加えて、金属はコーティングを施す前に研磨して(これにより表面粗さを低減する)、微細なクラックやその他の表面の欠陥を減らすことができる。そのため、表面の欠陥が少ないために、金属製の薬剤溶出ステントのコーティングの耐破壊性は高くなり得る。表面の欠陥が少なければ、圧着やバルーンによる拡張中に表面が変形した際のコーティングの破壊に対する耐性は高くなるからである。
【0029】
耐破壊性は、リコイル(スプリングバック)の最小化や剛性の高さと共にポリマースキャフォールドの有用性に影響する重要なパラメータであるため、(コーティングを施す際に)ポリマースキャフォールドの表面に塗布される溶媒の影響を考慮することが求められる。スキャフォールドの機械的特性(剛性、強度)の低下が始まるほどスキャフォールド中のポリマーを溶解させる溶媒の使用を避けることが重要である。しかしながら、スキャフォールドのポリマーの外面に近い部分を一定量溶解させると、この溶媒−ポリマー間の相互作用がステントを拡張/収縮(圧着)させる際のコーティングの完全性の維持に有効であることもわかっている。
【0030】
溶媒に溶解させた薬剤−ポリマーをポリマースキャフォールドの表面に塗布する場合、溶媒は、表面のスキャフォールドのポリマーとある程度相互作用する。当然ながらこの相互作用は、溶液中の溶媒の割合が高い場合や、使用する溶媒及びスキャフォールドの材料次第で高くなる。一の実施の形態では、PLAスキャフォールドの表面にスプレーされる溶液の約90%乃至約98%が溶媒のアセトン又はTHFである。
【0031】
ステントの表面における溶媒の存在がスキャフォールドの完全性、コーティング中のポリマーの特性、薬剤の放出特性等に影響を与える可能性があるため、ステントの表面から溶媒を除去する際に、その割合を制御することが重要である。溶媒は、スキャフォールド層に接触した際にスキャフォールドの表面を形成するポリマー材料を膨張させる可能性がある。適切に制御すれば、この膨張は、コーティングポリマーとスキャフォールドとの間の一種の結合層を形成する手段として役に立つ場合がある。しかしながら、溶媒の存在がコーティングの耐破壊性に悪影響を及ぼすこともある。
【0032】
本発明の一の好ましい態様は、コーティングをベーキングするステップに関する。最終的なコーティング重量に達した後に、ステントは15分間乃至1時間、摂氏約50度のオーブンに入れられる。このベーキングステップが薬剤溶出ポリマーステントの耐破壊性を向上することが見出された。何らかの特定の理論にまとめようとするものではないが、ベーキング期間(時間)の間に、薬剤−ポリマーコーティング、ポリマースキャフォールド及び遷移層内において集中する残留応力が少なくとも部分的に減少するために耐破壊性が増大する結果となるものと考えられる。更に、耐破壊性を向上する、半結晶質ポリマーのスキャフォールドと非晶質(又はより非晶質に近い)コーティングポリマーとの間の結合層又は遷移層のせん断に対する耐性を増大する可能性もあるものと考えられる。
【0033】
ステントの圧着段階における加工中の温度とステントの変形速度(変形率)がコーティングの完全性だけでなくスキャフォールドの完全性にも影響することがある。より急速又はより緩慢な漸進的な圧着プロセスを特定の温度で実施する、即ち、より少ない/より多いステップをより高い/より低い温度で実施すると、スキャフォールド材料の内部応力/歪みの緩和(加工硬化/焼きなまし)の程度に影響する。圧着方法も薬剤−ポリマーコーティングの完全性に影響することがある。本発明の実施の形態では、摂氏約40度(PDLLAのガラス転移温度よりも摂氏約10度低い)での4段階のステップを含む圧着プロセスが用いられる。
【0034】
4段階のステップを含む圧着プロセスによってもたらされるスキャフォールドに対する有益な効果は、コーティングに対しても有益である。内部応力/歪みを逃がす温度でステントのサイズを徐々に縮小すると、この弛緩期間(焼きなまし期間)は、ステントの縮小に伴ってコーティングとスキャフォールドの表面との境界、例えば前述の結合層又は遷移層に生じる応力/歪みを逃がす作用も有する。したがって、ステントを収納された直径又は圧着された直径にまで圧着するために用いる方法も、コーティングを拡張又は収縮(圧着)したときのクラックの発生及び剥離に対するコーティングの耐性に影響する。
【0035】
コーティング層とスキャフォールドの表面との境界における応力/歪みの挙動は、コーティングが施されるステントの表面によって大きく異なる。従って、ステントの形状も考慮すべき因子である。スキャフォールドは他の部材よりも大きい、いずれかの種類の部材を加工(変形)することで半径方向に拡張/収縮させるため、その部分、又はその付近のコーティングにより高い応力集中を生じさせる。しかしながら、コーティングを破壊するほどの応力が生じるかどうかは、ステントのパターンから容易に推定できることではない。ステントの形状の中には、性能が優れている、即ち、拡張(展開)されたときと収納(圧着)されたときとの直径の変化によるポリマースキャフォールドの破壊の問題が生じないにも関わらず、コーティングのクラックを生じやすいものがある。ステント内部の応力/歪みと負荷のこのようなコーティング層内に対する応力への移行との間の正確な関係は、十分に解明されていない。したがって、一般に、クラックの発生/剥離の問題は、任意のステントの形状やスキャフォールドの数学的モデルを用いて定義される応力/歪みの分布に関連付けて予測できるものではない、即ち、適切な解を予め得ることができるものではない。
【0036】
本願発明者は、米国特許公開2008/0275537に記載されたステントのスキャフォールド700の直径が最大に拡張(展開)された直径のときにPDLLA‐薬剤コーティングを施す実験を行った。この実験では、続いてステントを収納(圧着)された直径にまで圧縮し、カテーテルのバルーンによって再び拡張(展開)された直径にまで拡張(展開)させた。この実験において、コーティングには、あちこちでクラック及び剥離が発生した。米国特許公開2008/0275537の図3に示され、本明細書の図2に再掲するスキャフォールド300の場合には、スキャフォールド及び薬剤−ポリマーコーティング層の材料が同じで、収納(圧着)された直径に対する拡張(展開)された直径の比(両ステントとも収納(圧着)された直径に対する拡張(展開)された直径の比は約2.5倍である)が同じであっても同様のクラックの発生/剥離の問題は発生しなかった。この違いは、ストラットがヒンジ点回りに回転する角度の大きさによって説明できると考えられる。
【0037】
米国特許公開2008/0275537の図6及び図7(本明細書の図3及び図4として再掲する)を参照すると、リング712のリング要素732は、最初にPLLAチューブから切り出されたときは、即ち、圧縮(圧着)されていない状態では、(角度Fよりも大きい)角度Dを形成し、スキャフォールドが圧縮(圧着)されたときは、角度Fを形成する。一の実施の形態では、角度Dは100度よりも大きく、好ましくは124度と130度の間の角度に設けられる。図2と図3を比較するとわかるように、圧縮(圧着)/拡張される際、収納(圧着)された直径に対する拡張(展開)された直径の比が同じでも、部材(ストラット)730がそのヒンジ点738回りに回転する角度は、構造部に関する対応した部材(ストラット)320/315が回転する角度(角度θ、θ及びθを形成する)よりも大きい。図5は、他の実施の形態によるステントの形状を示す。
【0038】
好適な実施の形態では、ポリマーステントには、ポリマースキャフォールドに適した直径を縮小するステップが実施される。続いて、ポリマー−薬剤コーティングが施される。その後、ステントは多段階のプロセスを用いて収納又は圧着された直径にまで圧着される。ポリマー−薬剤コーティング比が約1:1の場合、溶媒に溶解させた薬剤−ポリマーをポリマースキャフォールドにスプレーすることによってコーティングを施す方法を用いると、クラックの発生及び剥離の事例が大幅に減少することがわかっている。本発明の開示に照らせば、当業者は、本発明の方法が発明の範囲を逸脱することなくこの好適な実施の形態に限定されないコーティングとスキャフォールドの組み合わせに対しても容易に適用し得ることを理解するであろう。
【0039】
直径を縮小するステップの利点の一つは、スプレー法を用いた場合に、より均一なコーティングを施すことができる点である。直径が縮小されると、外腔面(外径面)と内腔面(内径面)とが相互に近づき、その結果、同時にその表面に吹き付けられるスプレーの濃度の均一性が高まる。表面に吹き付けられるスプレーの濃度の均一性が高まれば、より均一なコーティングが得られることになる。
【0040】
図1を参照すると、以下の実施例では、ステントのスキャフォールド700は収納された又は完全に圧着された際の直径の約2.5倍の最大の直径を有していた。ステント上に最終的に形成される薬剤−ポリマーコーティングは、コーティングの厚さが約3マイクロメートルである。薬剤のポリマーに対する比は約1:1であった。また、コーティングは薬剤−ポリマーを溶媒に溶解させるスプレー法によって施されている。ベーキングステップ及び4段階のステップを含む圧着も実施される。
【0041】
スキャフォールド700(図3参照)は、臨床で使用されるスキャフォールドの予定最大直径に近い直径まで径方向に変形されて押し出し成形されたチューブから形成されている。この形成プロセスは、米国特許公開2008/275537に更に詳細に記載されている。この径方向に変形するステップは、スキャフォールドに周期的な半径方向の負荷が加えられたときに剛性を向上し、リコイル(スプリングバック)を低減する半径方向に配向した半結晶質構造を生み出す。チューブからスキャフォールドのパターンを形成するために、レーザー(加工)を用いる。チューブの直径は、血管内に移植されたときのステントの拡張又は展開された直径よりも大きいことが好ましい。これは、医師が使用中にチューブの直径を超える直径までステントを過剰に拡張させる可能性を最小にするためである。初期のチューブの直径を超えたステントの拡張は、コーティング内にクラックが伝播する可能性を増大させるからである。
【0042】
スキャフォールドの外径は、使用が見込まれる場所、例えば、体内の特定の部位又は領域に依存して指定してもよい。しかしながら、通常、外径は治療に必要とされる値に単に近い値とされる。例えば、ステントが血管内で移動してしまう原因となり得る、一度に治療薬の効果を台無しにしてしまう広範囲に及ぶ石灰化が生じる可能性がある。更に、血管壁の断面は円形とは限らず、また、その実際の大きさも近似値に過ぎないため、ステントが適切な位置に確実に留まるよう、医師はステントを過剰に拡張させることを選択することができる。こうした理由から、予定されるステントの拡張(展開)された直径よりも直径の大きいチューブを使用することが好ましい。
【0043】
一の実施の形態では、完全に圧着した直径に対する拡張(展開)された直径の比は約2.5倍である。本実施の形態では、圧着された直径は、初期直径の約40%の外径に相当する。従って、薬剤溶出ステントは、拡張(展開)されると収納又は圧着された直径の約2.5倍に達する。他の実施の形態では、バルーンで拡張されるポリマースキャフォールドの場合、収納(圧着)された直径に対する拡張(展開)された直径の比は4.0倍に達するものとしてもよい、即ち、拡張(展開)された直径を圧着された直径の250%乃至400%として大きく設けてもよい。
【0044】
本発明の一の態様では、耐破壊性を高める方法が、対向するストラットから100度を超える角度、あるいは、124度乃至132度の角度の間隔が空けられたクローズドセル(閉じられたセル)の一部を形成する一対のストラットを有するスキャフォールドに適用される。そのようなスキャフォールドのパターンの一の実施例を図3に示す。このクローズドセル(閉じられたセル)のパターンは、相互に連結されたストラット730で形成されるW字型の要素(複数)を有する。図3及び図4に示すように、リング712のリング要素732がヒンジ点となる。スキャフォールドが圧縮(圧着)されると角度Fが形成され、拡張(展開)されると(角度Fよりも大きい)角度Dが形成される。
【0045】
スキャフォールドの形成後、2段階のステップを含む直径を縮小するステップが実施される。好適な実施の形態では、PLLA製のスキャフォールドを摂氏48度の温度に35秒間曝し、続いて圧着機で直径を約60%に、例えば、直径0.136インチから直径0.08インチに縮小する。圧着する間、温度を摂氏48度に保つ。圧着後、ある程度のリコイル(スプリングバック)が予測される。一般に、初期の直径の縮小量は、対象とするスキャフォールドのパターンの種類から合理的な近似値の範囲内で決定することができる。図3に示すスキャフォールドのパターンの場合、60%への直径の縮小が適している。
【0046】
例えば、図3に示すクローズドセル(閉じられたセル)のパターンを有するポリマースキャフォールドの場合、初期の直径から初期の直径の約55%乃至65%への初期的な直径の縮小を行うとコーティングのクラックの発生/剥離の量に顕著な違いが生じると考えられる。しかしながら、先に説明したように、この直径を縮小するステップだけでは満足のいく結果を生み出さないこともある。結果はスキャフォールドのパターンの性質、コーティングの組成、コーティングを施す方法、及び前述のように圧着方法によって異なる可能性がある。
【0047】
本発明の開示を考慮すると、当然ながら、クラックの発生/剥離の問題をより確実に避ける、又は解決するためには、検討の範囲をコーティング以前に行う直径を縮小するステップに限定することはできない。残念ながら、本願発明者によれば、ポリマースキャフォールドに施されたポリマー−薬剤コーティングにおける破壊問題に関する複雑さは、それほど単純な答えを以って表すことはできない。このため、本発明の態様の耐破壊性を向上させる方法は、ポリマースキャフォールドの直径を初期直径の約50%乃至80%まで縮小するステップを含むだけでなく、一例として、クローズドセル(閉じられたセル)のパターンと、図2乃至図4を示して前述したように、圧着されたときと拡張(展開)されたときとの間で変位(移動)するストラットとを有するポリマースキャフォールドの直径を縮小するステップであって、溶媒が約90重量%乃至約98重量%になるように溶媒と混合した薬剤‐ポリマーを堆積(付着)させるステップを含むコーティングプロセス(ステップ)と、非晶質及び半非晶質のポリマーのガラス転移温度より摂氏約5度乃至摂氏約20度低い弛緩温度(焼きなまし温度)で約15分間乃至約60分間アニーリングするステップと、及び非晶質ポリマー(コーティング)及び半結晶質ポリマー(スキャフォールド)のガラス転移温度より摂氏約5度乃至摂氏約20度低い弛緩温度(焼きなまし温度)で3回の直径の縮小を有するように直径を縮小するステップとを含む、圧着プロセスを同様に含む。
【0048】
「弛緩温度(焼きなまし温度)」とは、ポリマーのガラス転移温度に比較的近い温度、例えば、ガラス転移温度から摂氏10度乃至摂氏20度以内の温度であり、材料がこの上昇された温度に十分な時間曝されると材料の変形又は加工によって引き起こされた内部応力/歪みを逃がすことができる温度のことをいうことが意図されている。ガラス転移温度よりも高い温度でガラス転移温度に近い温度ではこの弛緩(焼きなまし)プロセスはより急速に進行する。ポリマーを弛緩温度(焼きなまし温度)に曝す時間が長すぎると、構造中の配向が崩れ始め、材料の強度が低下する。「弛緩時間(焼きなまし時間)」とは、ポリマーが弛緩温度(焼きなまし温度)に曝され、材料の内部応力を逃がす効果を有する時間のことをいうことが意図されている。
【0049】
ステント本体が、その最大直径の約60%に達すると、所望のコーティング重量のスプレーがスプレーコーティングプロセスによって施される。スプレーコーティングプロセスの例は、米国特許公開2009/0087541及び2007/0281073に記載されている。好ましくは、この発明のいくつかの態様に従って、コーティングプロセスが含まれる。
【0050】
スプレー−乾燥サイクル終了後、ステントをオーブンに入れて残留する溶媒を除去することが好ましい。本発明の一の態様では、このベーキングするステップは、本来、スプレー−乾燥ステップ後に溶媒を気化(揮発)させて除去することを目的としていたが、このベーキングするステップは、又、薬剤溶出ポリマーステントの耐破壊性を高める場合がある。スプレー−乾燥プロセス後のベーキングで更に長時間弛緩温度(焼きなまし温度)に曝すと、ポリマー−薬剤層、スキャフォールド、及び(前述の)遷移層、中間層又は結合層の内部応力を逃がす効果が得られる。ベーキングサイクルは、摂氏40度乃至摂氏50度で15分間乃至60分間とする。より一般的には、ベーキング温度はガラス転移温度より摂氏約5度乃至摂氏約20度低くし、弛緩時間(焼きなまし時間)は荷重を支えるスキャフォールドの機械的特性が低下しないように選択される。
【0051】
図1に示すように、PDLLA−薬剤コーティングの最終乾燥重量が得られた後、コーティングしたステントを任意の好適な圧着機を用いて圧着するプロセスを施す。一の実施の形態では、縮小された直径を有するコーティングされたステントを図1に示す4段階のステップを含むプロセスに従って圧着する。
【0052】
本発明の特定の実施の形態を示し、記述してきたが、本発明のより広い態様を逸脱しない限り、変更及び変形を施すことも可能であることは当業者にとって自明であろう。したがって、添付の請求項はその範囲において本発明の真の精神及び範囲に含まれる全ての変更及び変形を包含する。
【符号の説明】
【0053】
300 スキャフォールド
315 ストラット(部材)
320 ストラット(部材)
700 スキャフォールド
712 リング
730 ストラット(部材)
732 リング要素(リング)
738 ヒンジ点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤を溶出するステントのコーティングを形成する方法であって;
血管内に移植されたときの前記ステントの最大に拡張された直径に略等しい直径を有するポリマー製のチューブから前記ステントを形成するステップと;
前記ステントの本体をより小さい中間の直径まで圧着するステップと;
前記中間の直径を有する前記ステントの本体に薬剤−ポリマーコーティングを施すステップと;
前記薬剤−ポリマーコーティングを施した後に前記ステントの本体を送達するための直径まで圧着するステップとを含む;
方法。
【請求項2】
展開された直径と収納された直径とを有する薬剤を溶出するポリマー製のステントの耐破壊性を向上する方法であって;
押出成形されたポリマー製のチューブを半径方向に拡張して前記ステントの前記展開された直径よりも大きい初期直径とするステップと;
前記チューブから前記ステントのスキャフォールドを形成するステップと;
前記スキャフォールドの直径を前記初期直径の約50%乃至80%まで縮小するステップと;
溶媒に溶解させた薬剤−ポリマーを有する溶液を前記スキャフォールドの表面にスプレーするステップであって、前記スプレーされる溶液は、前記溶媒が90重量%乃至98重量%であるように構成された、前記スキャフォールドの表面にスプレーするステップと;
前記薬剤−ポリマーを前記表面に有する前記スキャフォールドを第1の弛緩時間にわたってベーキングするステップと;
複数の中間圧着ステップを含んで、前記ステントを前記ステントの収納された直径まで圧着するステップであって、少なくとも一の前記中間圧着ステップを第2の弛緩時間の後に続けて有する、前記ステントを圧着するステップとを備える;
方法。
【請求項3】
前記スキャフォールドはW字型要素を有する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ステントを前記収納された直径から前記展開された直径に拡張させる際に、ストラットが相互に130度を超える角度を成すまで回転する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記スプレーするステップは、前記溶媒を除去するための中間の強制的な空気乾燥を行うステップを含む、最終的なコーティングの重量に達するまで複数回にわたって前記溶媒が90重量%乃至98重量%である前記溶液を塗布するステップである、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記ベーキングするステップは、前記コーティングのポリマーのガラス転移温度よりも摂氏約5度乃至摂氏約20度低い温度で約15分間乃至約60分間実施される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記コーティングのポリマーはPDLLAであり、前記スキャフォールドのポリマーはPLLA又はPLGAである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記収納された直径に対する前記展開された直径の比が2:1乃至5:1である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記薬剤−ポリマーにおける前記ポリマーはPDLLAである、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記薬剤‐ポリマーにおける前記ポリマーはPDLLAである、請求項2に記載の方法。
【請求項11】
前記スキャフォールドのポリマーはPGLA又はPLLAからなる群から選択されたいずれか一である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記スキャフォールドのポリマーはPGLA又はPLLAからなる群から選択されたいずれか一である、請求項2に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−531259(P2012−531259A)
【公表日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−517614(P2012−517614)
【出願日】平成22年6月18日(2010.6.18)
【国際出願番号】PCT/US2010/039226
【国際公開番号】WO2010/151497
【国際公開日】平成22年12月29日(2010.12.29)
【出願人】(509268314)アボット カルディオバスキュラー システムズ インコーポレーテッド (16)
【氏名又は名称原語表記】Abbott Cardiovascular Systems Inc.
【住所又は居所原語表記】3200 Lakeside Drive,Santa Clara,California 95054,United States of America
【Fターム(参考)】